JPWO2011027798A1 - 易曲面対応型モールドイン成形用面ファスナー、その製造方法、面ファスナー付き発泡樹脂成形体の製造方法とその成形体を用いた座席の製造方法 - Google Patents

易曲面対応型モールドイン成形用面ファスナー、その製造方法、面ファスナー付き発泡樹脂成形体の製造方法とその成形体を用いた座席の製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明のモールドイン成形用面ファスナーは、表面に多数の係合素子を有する長矩形状の織物の裏面に柔軟な発泡樹脂層が一体化されている易曲面対応型のモールドイン成形用面ファスナーであって、該織物には、その短辺方向にほぼ平行に打ち込まれている糸の本数の多少により形成される密な部分と粗な部分が長辺方向に交互に存在しているので、3次元的曲面に十分追随可能で、金型へのセット性が良好であり、さらに係合力の高いモールドイン成形用面ファスナーを提供することができる。【選択図】図1

Description

本発明は、自動車用座席や事務用椅子等のクッション体となる発泡樹脂成形体を成形する際に、この発泡樹脂成形体表面に固定されるモールドイン成形用面ファスナー、およびその製造方法、さらに該面ファスナーが表面に取り付けられた発泡樹脂成形体の製造方法およびそれが用いられた座席に関するものである。
自動車用座席、航空機用座席、事務用椅子等として用いられるシートは、発泡ポリウレタン等からなるクッション体の表面に、シートカバー(被覆体)を被せ、シートカバーをクッション体表面に固定することで構成されている。クッション体の表面にシートカバーを固定する方法としては、クッション体とシートカバーの両方に埋め込まれた金属製ワイヤーを金属製リングで固定するホグリング工法、クッション体とシートカバーを接着剤で固定する接着工法、およびクッション体を成形する際にその表面にプラスチック製の雄型係合素子含有面ファスナーを固定し、この雄型係合素子含有面ファスナーと、シートカバーの裏面に縫製により取り付けられた雌型面ファスナーとを係合させることによりシートカバーを固定する面ファスナーモールドイン工法がある。
近年、自動車用座席、航空機用座席、事務用椅子等の形状は、着座したときの身体のホールド性を向上させるため、あるいは座り心地を向上させるために、さらには高級感を出すために、座面や背面を複雑な曲面形状とした座席が増加している。上記したシートカバー固定工法の中で、面ファスナーモールドイン工法は、生産工程の作業が容易である点および座席をリサイクルするための分解作業が容易である点でもっとも優れているが、曲面形状の座席への対応が困難であるという問題があった。
この問題点を解決する技術について従来から種々の検討がなされており、例えば特許文献1には、帯状の係止部材の基部にほぼ箱状の膨張部を複数個形成し、該膨張部の表面に雄型係合素子を立設し、該帯状係止部材を曲面対応可能とした面ファスナーが記載されている。
また、特許文献2には、断面円形状の可撓性棒体の周面上に面ファスナーテープを螺旋状に巻きつけるか、あるいは円周方向に並べて面ファスナーを貼り付け、可撓性棒体の易屈曲性を利用したモールドイン成形用面ファスナーが記載されている。
さらに、特許文献3には、ダブルラッセル編地の2枚の基布を連結するモノフィラメントを中央でカットし、それにより形成された基布から突出するカットされた該モノフィラメントの先端部を溶融させて膨頭形状とした面ファスナーの裏面に発泡樹脂層を一体化した曲面対応可能モールドイン成形用面ファスナーが記載されている。
しかしながら、上記特許文献1および特許文献2に記載のモールドイン成形用面ファスナーでは、曲面追随性やクッション体を成形する際の金型へのセット性が不完全であり、さらに雄型係合素子部への成形用樹脂の流れ込みが生じやすく、その結果、係合力が低下しがちであり、更に平面柔軟性および曲面への追随性も低いことが大きな問題点であった。また、特許文献3に記載のモールドイン成形用面ファスナーの場合には、編物が有する伸縮性を利用して曲面対応を可能としたものであるが、連結糸をカットして得られるモノフィラメントは編物面に対して垂直となっているものが少なく、その結果、得られる面フ
ァスナーの係合力が低いという問題を有していた。
上記特許文献3の問題点を解消する方法として、面ファスナー基布を織物とすることが考えられるが、織物から構成される面ファスナーは、一般に、経糸と緯糸により織組織が強固に固定されていることから、横方向へ曲げることが難しく、曲面への追随性が低いため曲面対応型とはなり得ない。
特許第3794801号 特許第3255384号 WO2009/013998号
本発明は、上記問題点を鑑みてなされたものであり、3次元的曲面に十分追随可能(以下、この特性を備えたものを「易曲面対応型」という。)で、金型へのセット性が良好で、さらに係合力の高いモールドイン成形用面ファスナーを提供することを目的とするものである。
本発明者らは、従来のモールドイン成形用面ファスナーの上記問題点を解決すべく鋭意検討した結果、長矩形の織物面ファスナーの幅方向にほぼ平行に打ち込まれている織糸の本数密度が低い部分(粗な部分)を長矩形面ファスナーの長辺方向にほぼ一定間隔で複数箇所設けて、織糸密度の密な部分と粗な部分を長矩形面ファスナーの長辺方向に交互に存在させるようにすることにより、そしてこのような織物面ファスナーの裏面に発泡樹脂層を一体化することにより、さらに好ましくは、長矩形の長辺方向にほぼ平行に存在している織糸として伸縮性を有する糸を用いることにより上記問題点が解決されることを見出した。
すなわち、本発明は、表面に多数の係合素子を有する長矩形状の織物の裏面に柔軟な発泡樹脂層が一体化されているモールドイン成形用面ファスナーにおいて、該織物には、その短辺方向にほぼ平行に打ち込まれている糸の本数の多少により形成される密な部分と粗な部分が長辺方向に交互に存在している易曲面追随型モールドイン成形用面ファスナーである。
また、本発明は、多数の係合素子を有する幅10〜100mmの係止部が経糸方向に連続して存在しており、係止部の幅方向両サイドには実質的に係合素子が存在せず、かつ織糸の本数密度が低い2〜20mmの耳部が存在し、この係止部と耳部が緯糸方向に複数繰り返されている面ファスナーの裏面に柔軟な発泡樹脂を一体化した後、緯糸にほぼ平行な方向を長辺とする幅5〜30mmの長矩形状に切断するか、あるいは発泡樹脂層を一体化する前の面ファスナーをまず緯糸にほぼ平行な方向を長辺とする幅5〜30mmの長矩形状に切断し、その後に裏面に発泡樹脂層を一体化する易曲面追随型のモールドイン成形用面ファスナーの製造方法である。
さらに、本発明は、表面に多数の係合素子を有する長矩形状の織物の裏面に柔軟な発泡樹脂層が一体化され、該織物には、その短辺方向にほぼ平行に打ち込まれている糸の本数の多少により形成される密な部分と粗な部分が長辺方向に交互に存在している易曲面対応型のモールドイン成形用面ファスナーを、成形型の内面に設けられた凹部に該係合素子を有する面が凹部底面側となるように挿入し、次いで成形型内に発泡性樹脂液を導入し、該発泡樹脂液を発泡硬化させて面ファスナー付の成形体(クッション体)を得て、然る後に成形型から該面ファスナー付成形体を取り出す面ファスナー付き発泡樹脂成形体の製造方法である。
さらにまた、本発明は、この面ファスナー付き発泡樹脂成形体の表面をシートカバーで覆い、該シートカバー裏面に存在する被係合素子と該面ファスナーの係合素子とを係合させることで、該成形体表面にシートカバーを固定させる座席の製造方法である。
本発明において、長矩形状の織物の短辺方向長さ(幅)および長辺方向長さは、好ましくは、それぞれ、5〜30mmおよび50〜1500mmとすることができる。一方、粗な部分および密な部分の織物の長辺方向長さは、好ましくは、それぞれ2〜20mmおよび10〜100mmとすることができる。また、密な部分の表面には係合素子が存在しているが、粗な部分には係合素子が実質的に存在していないことが好ましく、裏面に一体化されている発泡樹脂層が、エラストマー樹脂からなる発泡層である場合が好ましい。
さらに、本発明において、織物の長辺方向にほぼ平行に織物に打ち込まれている糸が伸縮性を有するものである場合が好ましく、そして、この伸縮性を有する糸が、モールドイン成形用面ファスナーから取り出し、0.3g/dtexの荷重をかけて引っ張った場合にモールドイン成形用面ファスナー内に存在していた状態の糸長さより20%以上伸長される糸である場合が好ましい。さらにまた、伸縮性を有する糸が、芯糸の回りに側糸を芯糸に対して20%以上の糸長差を持たせてまつわり付かせた構造加工糸から、織物後に該芯糸を除去して得られる糸であることが好ましく、また、伸縮性を有する糸が、弾性繊維からなる糸である場合がより好ましい。
また、本発明において、裏面に一体化されている発泡樹脂層の厚さが3〜30mmであることが好ましく、織物または発泡樹脂層に、磁性材を含む樹脂が一体化されていることが好ましい。
なお、本発明において「ほぼ平行」という語は、必ずしも正確に平行な状態を意味するものではなく、したがって「短辺方向にほぼ平行に打ち込まれている」とは、例えば、織物の組織に角度を以って長矩形状面ファスナーが切り出されている場合には、短辺方向とは角度を有していることとなるが、本発明はこのような場合も含み、打ち込まれている糸の本数の多少により形成される密な部分と粗な部分を織物の経糸の密度で形成していることを意味している。
本発明により、自動車用座席、航空機用座席、事務用又は家庭用椅子等の座席において、これら座席を構成するクッション体の表面に取り付けられる面ファスナーが、これらクッション体が三次元的曲面を有している場合に、面ファスナーを金型の3次元曲面に沿って容易に曲げることができ、しかもシートカバー裏面に取り付けたループ状係止部材と強固に係合し得る易曲面対応が可能なモールドイン成形用面ファスナーを提供できる。
また、本発明は、このような面ファスナーを従来の織面ファスナーの製造装置を何ら改造変更することなく、そのまま使用して、製造することができる。
さらに、本発明の面ファスナー付き発泡樹脂成形体(クッション体)の製造方法により、金型凹部への面ファスナーのセット速度に優れ、金型凹部が3次元的な曲がりを有していても、凹部から面ファスナーの幅方向の片側が浮き上がるという事態を殆ど生ずることなく、凹部の横方向の複雑な曲がりに忠実に沿って凹部に面ファスナーをセットすることができ、かつ発泡樹脂液を金型内に流し込み成形する時に樹脂液が金型凹部の面ファスナーと凹部との隙間から、雄型係合素子面側に浸入することがなく、したがって雄型係合素子が発泡成形体で覆われることのない、面ファスナー付き発泡樹脂成形体(クッション体)が得られる。
本発明のモールドイン成形用面ファスナーの代表例の斜視図である。 本発明のモールドイン成形用面ファスナーの他の代表例の斜視図である。 本発明のモールドイン成形用面ファスナーの製造に適した、本発明のモールドイン成形用面ファスナーを切り出す前の面ファスナーの上面図である。 本発明のモールドイン成形用面ファスナーをクッション体の製造に用いる金型の内部に設けた凹部に装着した断面図である。
1:面ファスナー基布
2:面ファスナー
3:密な部分
4:粗な部分(耳部)
5:発泡樹脂層
10:クッション体整形用金型の一部
11:磁石
12:金型内に設けた凹部
W:短辺方向長さ(幅)
D:密な部分の長さ
S:粗な部分の長さ
以下、図面により本発明を説明する。図1は、本発明の易曲面対応型モールドイン成形用面ファスナーの代表例の斜視図である。また図2は、本発明の図1のものとは別の代表例の斜視図である。さらに、図3は、本発明の易曲面対応型のモールドイン成形用面ファスナーの製造に適した、本発明の易曲面対応型のモールドイン成形用面ファスナーを長矩形に切り出す前の面ファスナーの上面図である。
まず、本発明の易曲面対応型のモールドイン成形用面ファスナーは、図1や図2に示すように、長矩形の形状を有する織面ファスナー(2)とその裏面側に一体化された柔軟な発泡樹脂層(5)からなる。面ファスナーは、織物基布(1)とその表面に形成された係合素子を有している。そして、面ファスナーには、その短辺方向にほぼ平行に打ち込まれている糸の本数の多少により密な部分(3)と粗な部分(4)が長辺方向に交互に存在している。粗な部分(4)は横方向に曲がり易いことから得られる面ファスナーに易曲面追随性を与えることとなる。
密な部分(3)の表面には、図1や図2に示すように多数の雄型係合素子が存在している。粗な部分(4)の表面には雄型係合素子は実質的に存在しないようにすることが曲面対応型のものが容易に得られる上で好ましいが、存在していてもよい。通常、雄型係合素子を構成する糸として、太いモノフィラメントが用いられ、この太い雄型用係合素子用モノフィラメントが経糸と平行に織組織に打ち込まれている。したがってこのような太いモノフィラメントで織組織が固定されているとその部分は当然横方向へ曲がりにくくなる。したがって、このような太い雄型係合素子用モノフィラメントが織物組織中に存在しない粗な部分が横方向への曲がり易さをもたらすこととなる。
本発明のモールドイン成形用面ファスナーは長矩形状を呈しており、その長辺方向長さとしては、好ましくは50〜1500mm、より好ましくは80〜1000mmであり、短辺方向長さ(W)としては、好ましくは5〜30mm、より好ましくは8〜25mmである。長辺方向の長さが長すぎると取扱いが厄介となり、逆に短すぎると本発明の効果が低下する。また短辺方向長さ(W)が長くなると横方向への曲がり易さが損なわれ易い。また、短くなり過ぎると係合力が低下する。
そして、長辺方向に、密な部分(3)と粗な部分(4)が交互に存在しており、密な部分の長さ(D)としては、好ましくは10〜100mm、より好ましくは15〜60mmであり、粗な部分の長さ(S)は、2〜20mm、より好ましくは3〜15mm、更に好ましくは4〜12mmである。密な部分の長さ(D)が長くなり過ぎると、あるいは粗な部分の長さ(S)が短くなり過ぎると、横方向へ曲げ難くなり、逆に密な部分の長さ(D)が短くなり過ぎると、あるいは祖な部分の長さ(S)が長くなり過ぎると係合力が低下することとなる。
また、1本の長矩形面ファスナーに粗な部分(4)が3〜30箇所、特に4〜20箇所存在しているのが好ましい。
粗な部分(4)に存在する短辺方向にほぼ平行な糸の本数(織密度)は、密な部分(3)に存在する短辺方向にほぼ平行な糸の本数の90%以下が好ましく、より好ましくは、25%〜85%である。短辺方向にほぼ平行な糸の本数を減らすことにより、減らした部分の織組織が粗くなり、その結果、この部分が容易に横方向への曲がり易さをもたらすこととなる。例えば、雄型係合素子用モノフィラメントをこの部分(4)に打ち込まないことにより粗な部分が形成され、この部分が横方向に曲がり易くなる。
密な部分(3)に存在する短辺方向にほぼ平行に存在する糸の本数(織密度)としては、通常、雄型係合素子を構成する糸との合計本数で80〜200本/インチが好ましく、この合計本数のうちの50〜10%が雄型係合素子用モノフィラメントを構成する糸である。そして、粗な部分(4)には、雄型係合素子を構成させるための糸(モノフィラメント)を存在させないのが、上記した粗な部分(4)と密な部分(3)が存在することの効果を発現させる上で好ましい。もちろん、雄型係合素子を構成する糸の本数を減らすことにより、或いは雄型係合素子を構成する糸とほぼ平行に走行する糸の本数を減らすことによっても達成される。
密な部分(3)に存在する雄型係合素子を構成するモノフィラメントの太さとしては、200〜500dtex、特に220〜400dtexの範囲が好ましい。また、短辺方向に平行に存在する糸としては、通常マルチフィラメント糸が用いられ、10〜50本のフィラメントからなるトータル太さが120〜250dtexのマルチフィラメントが用いられる。
また、長矩形の長辺方向にほぼ平行に存在させる糸は、面ファスナーの製織工程においては緯糸として打ち込まれ、その後に伸縮性を発現し得る糸が、より高度の曲面追随性を達成する上で好ましい。このような伸縮性を有する糸(以下、「伸縮性糸」という場合がある。)としては、面ファスナー用織物を織る段階では伸縮性を有していないが、織物となった後において、糸を構成する繊維の一部または糸を構成する繊維を構成するポリマーの一成分を除去することにより残存する糸に伸縮性を生じるような糸が面ファスナーの製造し易さの点で好ましい。
伸縮性糸の具体例として、(i)芯糸の回りに側糸を弛ませた状態、例えば20%以上の弛みを持って纏わりつかせ、織物とした後に芯糸のみを溶解または分解除去することにより得られる糸や、(ii)エラストマーポリマーと非エラストマーポリマーを複合紡糸して得られる複合繊維からなる糸を用いて織物とし、その後に、非エラストマーポリマーのみを溶解または分解除去することにより得られる糸、(iii)水溶性繊維からなる糸と撚をかけた非水溶性マルチフィラメント糸を合糸し、該非水溶性マルチフィラメントの撚方向とは逆の方向に撚をかけた複合撚糸を用いて織物とし、その後に該水溶性繊維糸のみを溶解除去することにより得られる糸等が挙げられる。
ここで用いられる溶解または分解除去される芯糸、複合繊維の非エラストマーポリマーや水溶性繊維としては、アルカリ分解性のポリエステル系繊維、熱水可溶性のポリエステル系樹脂やポリビニルアルコール系の樹脂、あるいはこれら樹脂を繊維化したもの等が挙げられる。なかでも、エチレンで代表されるオレフィン類を5〜15モル%共重合したオレフィン変性ポリビニルアルコールが、溶融紡糸性と水溶性と十分な繊維物性を兼ね備えていることから特に好ましい。
そして、伸縮性の程度としては、モールドイン成形用面ファスナーの織組織から、該糸を取り出し、0.3g/dtexの荷重をかけて伸長した場合に、モールドインファスナー内に存在していた状態での糸長さより20%以上伸長される程度、すなわち糸長さが1.2倍以上となる程度が好ましく、より好ましくは、40%以上400%以下である。なお、この方法で測定した伸縮性の程度を以下伸縮度と称す。0%が全く伸縮しない状態である。また、長辺方向にほぼ平行に打ち込まれる糸の太さとしては、1成分除去後の値で5〜40本のマルチフィラメントからなり、トータルdtexが50〜200dtexの範囲のものが好ましい。
また、長辺方向に平行に存在する糸の打ち込み本数としては、1インチ幅当たり、20〜100本、特に25〜60本の範囲が好ましい。
雄型係合素子の密度としては、密な部分において1cm2当たり、10〜140個存在させるのが好ましく、より好ましくは30〜120個の範囲である。また、雄型係合素子の高さとしては、1.0〜2.5mmが好ましく、より好ましくは1.2〜2.0mmの範囲である。もちろん、雄型係合素子は、先端部がフック状となったものの他に、キノコ状、膨頭状、錨状となったもののいずれでもよいが、作り易さの点で、キノコ状、膨頭状の形状のものが好ましい。図1に示す雄型係合素子は、キノコ状または膨頭状のものであり、図2に示す雄型係合素子は、先端部がフック状に曲がっている場合である。
また、本発明の面ファスナーには、雄型係合素子が容易に引き抜かれないように、裏面に樹脂液を塗布してもよいし、また面ファスナーを構成する糸の少なくとも一部として熱融着性繊維を用い、織物とした後に、該熱融着性繊維を融着させて、織物構成糸を固定する方法を用いてもよい。裏面に樹脂液を塗布または熱融着性繊維を融着させるタイミングとしては、織物とした後ならば特に限定はないが、好ましくは構成糸が動くことにより面ファスナー構造が崩れることを防ぐために、係合素子構成モノフィラメントのループの頂部または側面をカットする前でかつ面ファスナーを長矩形状に切断する前に行うのが好ましい。
裏面に樹脂液を塗布する場合には、得られる面ファスナーの有する横方向への曲げ易さが損なわれないように、ポリウレタンで代表されるエラストマー系の樹脂を用いるのが好ましい。しかしながら、樹脂液を塗布する方法よりも、熱融着性繊維を用いる方法の方が、得られる面ファスナーの横方向への曲げ易さに優れていることから、本発明には好ましい方法と言える。
このような、長矩形の長さ方向に密な部分(3)と粗な部分(4)を交互に有する面ファスナーは、次の方法により、従来から用いられている織物製面ファスナーの製造方法と装置をそのまま用いて製造することができる。
すなわち、従来より織物製面ファスナーの製造には、経糸と緯糸を織り、そしてその際に雄型用係合素子となるモノフィラメントを経糸と平行に打ち込み、図3に示すように、同時に複数本の織面ファスナーを得るために、緯糸方向(図3に記載するCD方向)に、係合素子部(D)と耳部(S)が交互に存在するように複数の係合素子部が1枚の織物中に長さ方向(すなわち経糸方向:図3に示すMD方向)に連続して存在するように幅広の長尺織物をまず得て、そして、織物の各耳部(S)にMD方向に平行にスリットを入れることにより各係合素子部(D)を独立させて、長いリボン状の複数枚の面ファスナーを同時に得る方法が用いられている。
本発明は、この従来用いられている方法において、耳部にスリットを入れるのではなく、経糸に対してほぼ垂直となる方向(CD方向)に切断するものである。すなわち、従来の切断方向とは90°相違する方向に切断するものである。そうすることにより、長矩形のテープ状の面ファスナーが得られ、長矩形の長さ方向に、密な部分(係合素子部)と粗な部分(耳部)が交互に存在する面ファスナーが得られることとなる。
つまり、図3に示すように、MD方向にほぼ垂直に複数の係合素子部(D)と耳部(S)を横切ってW幅のテープ状に切り出す。
もちろん、本発明でいう「経糸に対してほぼ垂直となる方向」や「MD方向にほぼ垂直」とは、厳密な意味での経糸方向に垂直、すなわち緯糸方向に平行ということを意味するのではなく、緯糸方向に若干の角度を有している場合も包含される。
このようにして得られた面ファスナーの裏面には発泡樹脂層(図1および図2で示す5)が一体化される。発泡樹脂層としては、エラストマー樹脂からなる発泡層が好ましく、特にポリウレタン発泡層が好ましい。本発明に用いられる発泡樹脂層は、発泡密度15〜100kg/m3の範囲、特に20〜40kg/m3の範囲のものが好ましい。
このような発泡樹脂層が面ファスナーの裏面に存在することにより、面ファスナーを横方向に曲げた際の歪みを発泡樹脂層が吸収してくれるとともに、面ファスナーが横方向へ曲げた場合に内側と外側のいずれか一方が浮き上がるか沈むかして、面ファスナーが同一面とはならないことを軽減する役目を有しており、さらに、金型凹部に面ファスナーを挿入セットする際に、凹部幅を発泡樹脂層幅より若干狭くしておくと凹部と面ファスナーとの間に隙間がなくなり、その結果、成形時に発泡樹脂液が面ファスナーの係合素子面側に浸入することを防ぐことができる。さらに、発泡樹脂層が存在することにより、発泡樹脂層内にクッション体を構成する発泡樹脂液が浸入して、アンカー効果によりクッション体から面ファスナーが剥離することを防止することができる。
発泡樹脂層の厚さとしては、3〜30mmの範囲、特に5〜15mmの範囲が上記した特長が高度に達成される点で好ましい。また、発泡樹脂層の幅としては面ファスナーの幅と同一あるいは面ファスナーの幅よりも僅かに広い程度であるのが好ましい。長さとしては、面ファスナーの裏面の端から端までを完全に覆っているのが好ましく、より好ましくは、面ファスナーの両端部から発泡樹脂層がはみ出して存在している場合である。薄い場合には、存在価値が低下し、厚すぎる場合には、取扱い性に劣ることとなる。
面ファスナーの裏面に樹脂発泡層を一体化させる方法としては、接着剤を用いて一体化する方法がもっとも一般的であるが、その際に用いる接着剤は、面ファスナーの裏面に、係合素子が面ファスナー面から引き抜き出されるのを防ぐために塗付されるバックコート樹脂層を兼ねていてもよい。また面ファスナーを構成している繊維がポリウレタンエラストマーからなる繊維で熱融着性を有する場合には、この繊維を熱融着させて面ファスナー構成糸を固定すると共に、ポリウレタン発泡層からなる樹脂発泡層を熱融着させて一体化させてもよい。
また、それ以外の好ましい接着方法として、火炎処理による融着接着法、すなわちフレームラミネ―ション法が挙げられる。フレームラミネーション法は、発泡樹脂層の表面を火炎または電熱ヒーターで加熱し、その表面だけを溶融させ、該溶融面に面ファスナーの裏面を圧接して両者を接着する方法である。この溶融接着法を用いると、接着剤の硬化がなく、発泡樹脂層の硬化も表面の極薄い層に限定されるので、発泡樹脂層および融着した面ファスナーの硬化も少なく、面ファスナーの柔軟性が保たれる。
面ファスナーの裏面への発泡樹脂層の一体化は、面ファスナーを長矩形状に切断する前であっても、長矩形に切断した後であってもよい。面ファスナーの切断と発泡樹脂層の切断が同時にできる観点から、面ファスナーを長矩形状に切断する前に一体化し、そして面ファスナーと発泡樹脂層を同時に長矩形に切断する方法が好ましい。
なお、本発明の易曲面対応型モールドイン成形用面ファスナーにおいて、磁性材を含む樹脂が一体化されていると、金型凹部底面に磁石を埋め込むことにより、より強固に金型凹部の底面に密着させることができ、より金型凹部への易曲面対応型モールドイン成形用面ファスナーのセット性を改善することができ、かつ係合素子面側に樹脂液が浸入することを高度に防ぐことができる。具体的に、磁性材を含む樹脂を存在させる場所としては、係合素子の根元部分や織物基布と発泡樹脂層との間、あるいは発泡樹脂層の間または発泡樹脂層の裏面側のいずれでもよい。
次に、本発明のモールドイン成形用面ファスナーを用いて座席用樹脂成形体(クッション体)を製造する方法について図4を用いて説明する。本発明のモールドイン成形用面ファスナー2は、座席用クッション体のデザインに応じて、シートカバーとクッション体との係合一体化位置に対応する金型の一部10内の所定位置に取り付けられた成形用凹部12に、係合素子が凹部12の底面側となるように凹部内に収容配置される。
金型内に設置された凹部12が、3次元的に複雑に曲がっている場合には、本発明のモールドイン成形用面ファスナーは特に優れた効果を発揮する。すなわち、本発明のモールドイン成形用面ファスナーは前後のみならず、左右方向(横方向)にも曲げ易く、従来は、凹部が左右方向に曲がっている場合には、面ファスナーを短く切って金型凹部の曲がりに合わせて、この短い面ファスナーを複数本嵌めていたが、本発明では1本の面ファスナーで金型凹部の左右方向への曲がりにも対応できるため、金型凹部12への面ファスナーセット速度においてはるかに優れていることとなる。もちろん、凹部の深さとしては、雄型係合素子が全て凹部に入り、さらに係合素子を有する面ファスナーの裏面に一体化されている発泡樹脂層の少なくとも一部または全部が凹部内に入るに十分な深さを有していなければならない。そうでないと、発泡樹脂液の導入時に雄型係合素子面まで発泡樹脂液が浸入して係合素子面を発泡樹脂が覆い、係合機能が喪失することとなる。
金型凹部に本発明のモールドイン成形用面ファスナーをセットした後、成形金型内に成形用樹脂液(発泡樹脂液)を所定量注入し、該樹脂液を硬化させた後、金型より成形体(クッション体)を取り出すことにより、樹脂に殆ど覆われていない係合素子が露出した面ファスナー付き発泡樹脂成形体(座席用樹脂成形体、クッション体)を得ることができる。
本発明の面ファスナー付き発泡樹脂成形体は、自動車用座席、飛行機用座席、事務用椅子等に用いることができ、特に高級自動車用座席に用いることができる。成形用の発泡樹脂液としては、各種の合成樹脂が使用できるが、面ファスナーの裏面に一体化されている発泡樹脂層との接着性、気泡の安定性や弾性特性、耐久性などの観点から、ポリウレタン樹脂液が好ましく用いられる。
ポリウレタン樹脂液としては、従来公知の発泡性ポリウレタン系組成物が好適に使用できる。その硬化物の硬度も公知技術の範囲内で調整可能である。より具体的な発泡ポリウレタンについて説明すると、発泡ポリウレタンは、ポリオールやポリオール中でアクリロニトリルやスチレンをラジカル重合させて得られたポリマー粒子が分散したポリマーポリオール、発泡剤としての水、シリコーン系界面活性剤等の整泡剤、アミンや錫化合物等の触媒、必要により架橋剤等と、難燃剤、顔料、各種安定剤等と、有機ポリイソシアネートを混合することにより製造される。
ポリオールとしては、ポリグリセリンにプロピレンオキサイドやエチレンオキサイドを付加させた平均分子量が400〜10000、好ましくは1500〜6000のポリエーテルポリオールが代表例として挙げられ、またポリイソシアネートとしては、2,4−または2,6−トリレンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネートなどが代表例として挙げられる。また、アミンとしてはトリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルエタノールアミン等の三級アミン類が挙げられ、錫化合物としては、ジブチルチンラウレートが代表例として挙げられる。
なお、市販されている発泡ポリウレタン用の原料液は、上記ポリオールに水や触媒等が予め添加された液とイソシアネートからなる液の二液からなり、この二液を金型に注入する直前に攪拌混合し、混合液を直ちに金型内に注入して発泡と同時に重合・成形を行う方法が用いられる。
上記の方法により得られたモールドイン成形用面ファスナー付き発泡体の表面をシートカバーで覆い、シートカバー裏面に存在する被係合素子(ループ素子)と該面ファスナーの雄型係合素子とを係合させることでクッション体表面にシートカバーを固定させる。シートカバーとしては、布、皮革等を挙げることができる。
本発明のモールドイン成形用面ファスナー付き発泡樹脂成形体の製造方法によれば、座席や背面を曲線形状とした座席のデザインに対応して、高能率的に、かつ高いデザイン性を保持した状態で、座席用成形体の表面を強固にシートカバーで覆った座席を得ることができる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
実施例1
1m幅の面ファスナー織機を用いて、下記の地経糸、雄型係合素子用経糸および地緯糸を用い、下記の織密度で織り(耳部には雄型係合素子用経糸を存在させず)、ループ織物を作製し、ループ面をシャーリングしてループ先端部をカットし、さらにループ先端部を溶融させて、膨頭状とした。そして、地緯糸を構成している水溶性ポリビニルアルコール系マルチフィラメントを熱水により溶解除去して、緯糸に伸縮性を付与した(緯糸の伸縮度は50%であった)。
裏面に接着剤を塗付して面ファスナーを固定した。そして裏面にポリウレタンからなる厚さ10mmの発泡層を貼り付けた。得られた雄型係合素子含有面ファスナーは、経糸方向に連続する40mm幅の面ファスナー部(密な部分)20個とその幅方向両隣に存在する10mm幅の耳部(粗な部分)21個から形成されており、面ファスナー部と耳部が緯糸方向に交互に存在している幅広織物である。そして、該耳部には係合素子は存在していない。一方、面ファスナー部には、高さ1.5mmの係合素子が1cm2当たり60個存在している。そして、面ファスナーの係合素子根元部分の所々に、フェライト粉末を樹脂に対して60重量%添加した樹脂溶液を塗付し、乾燥して、フェライト粉末を面ファスナーに付与した。
この幅広織物を、緯糸方向に平行に幅9mmでスリットして、長矩形の易曲面対応型のモールドイン成形用面ファスナーを得た。この易曲面対応型モールドイン成形用面ファスナーは、長さ40mmの密な部分と長さ10mmの粗な部分が長辺方向に交互に存在しており、横方向に曲げた場合、容易に曲げることができ、しかも、曲げた部分の内側や外側が浮き上がったり沈んだりすることがなかった。
[粗な部分(耳部)]
地経糸:167dtex/30フィラメントのPET未加工糸
地経糸密度:120本/インチ
地緯糸:100dtex/20フィラメントからなる水溶性ポリビニルアルコール系マルチフィラメント(株式会社クラレ製エクセバール)を芯糸とし、その回りに100dtex/20フィラメントのPETマルチフィラメントを糸長差50%(すなわち、水溶性ポリビニルアルコール系マルチフィラメントの糸長さに対してPETマルチフィラメントの糸長さが1.5倍長い状態)で纏わりつかせた200dtex/40フィラメントの構造加工糸
地緯糸密度:40本/インチ
[密な部分(係合素子部)]
雄型係合素子形成用経糸:300dtexのポリプロピレン製モノフィラメント
雄型係合素子形成用経糸密度:30本/インチ
地経糸:167dtex/30フィラメントのPET未加工糸
地経糸密度:120本/インチ
地緯糸:上記構造加工糸
地緯糸密度:40本/インチ
得られた易曲面対応型のモールドイン成形用面ファスナーを長さ30cmに切断し、これを自動車用座席用クッション体の製造金型の背もたれ部分両サイドに相当する位置に、平面曲率半径25cmでかつ前後方向(金型の深さ方向)にも曲げ、三次元対応の深さ4mm、長さ300mm、幅9mmの凹部(12)を設けた図4に示すような金型10に、係合素子面が凹部底部に接するように埋め込み装着した。凹部の底部には、磁石(11)を凹部長さ方向に連続して埋め込んでおいた。
上記の易曲面対応型のモールドイン成形用面ファスナーは、金型凹部の曲線に沿って前後左右に曲げて挿入することができ、かつこの状態で固定でき、金型凹部への固定において何ら問題がなかった。この状態でウレタン樹脂液を金型内に注入してモールドイン成形し、得られた成形物(クッション体)を型から取り出したところ、面ファスナーと金型凹部壁との隙間からウレタン樹脂液が面ファスナー係合素子面側に浸入した形跡は見られなかった。さらに、面ファスナーは裏面に存在する発泡樹脂層を介してクッション体に強固に一体化されており、面ファスナーがクッション体表面から剥離するということも全くなかった。
立毛織物からなるシートカバーの裏面に設けたループ状繊維からなる係合素子を上記クッションの雄型係合素子に係合させて、シートカバーを被せることによりシートカバーがクッション面に極めて強固に固定され、さらにシートカバーにより被覆されたクッションは、人体の形状に沿った複雑な三次元形状を有し、シートカバーも係止部材により三次元形状に忠実に追随することができており、極めて高級感があり、すわり心地に極めて優れたものであった。
比較例1
実施例1において、用いる面ファスナーを経糸方向に平行に係合素子部から切り出した幅9mmの面ファスナー、すなわち、粗な部分を有していない密な部分のみからなる面ファスナーを用いる以外は実施例1と同様に行い、発泡樹脂層を裏面に有するモールドイン成形用面ファスナーを得た。このものを実施例1と同じ金型凹部に装着しようとしたところ、曲げた個所で面ファスナーの片面が浮き上がり、到底、成形できるような状態ではなかった。
実施例2
実施例1において、地経糸として、12フィラメントからなりトータル太さが155dtexのナイロン6マルチフィラメントを用い、地緯糸として、芯成分が伸縮性ポリウレタン、鞘成分がエチレン変性ポリビニルアルコールからなり、芯鞘の重量比が50:50である芯鞘型複合フィラメント24本からなるトータルデニールが200dtexのマルチフィラメントを用いる以外は上記実施例1と同様にして易曲面対応型のモールドイン成形用面ファスナーを作製した。鞘成分を熱水溶解した後の緯糸の伸縮度は210%であった。
得られた易曲面対応型のモールドイン成形用面ファスナーを用いて、実施例1と同様にクッション体の成形に使用したところ、金型凹部の曲がりに忠実に追隋可能であり、金型凹部からの浮き上がりも見られず、係合素子面が樹脂で覆われておらず、クッション体との剥離強度に極めて優れたものであり、さらにシートカバーとの係合力においても実施例1のものと同様に極めて優れたものであった。
本発明のモールドイン成形用面ファスナーは、クッション体が三次元的曲面を有している自動車用座席、航空機用座席、事務用又は家庭用椅子等の座席の表面に取り付けられる面ファスナーとして有効に利用できる。
また、本発明の製造方法は、本発明の面ファスナーを従来の織面ファスナーの製造装置を何ら改造変更することなく、そのまま使用して製造できる方法として、モールドイン成形用面ファスナーの製造に有効に利用できる。
さらに、本発明の面ファスナー付き発泡樹脂成形体の製造方法は、座席や背面を曲線形状とした座席のデザインに対応して、高能率的に、かつ高いデザイン性を保持した状態で、座席用成形体の表面を強固にシートカバーで覆った座席を得ることができるモールドイン成形用面ファスナー付き発泡樹脂成形体の製造方法として有効に利用できる。

Claims (13)

  1. 表面に多数の係合素子を有する長矩形状の織物の裏面に柔軟な発泡樹脂層が一体化されているモールドイン成形用面ファスナーであって、該織物には、その短辺方向にほぼ平行に打ち込まれている糸の本数の多少により形成される密な部分と粗な部分が長辺方向に交互に存在していることを特徴とするモールドイン成形用面ファスナー。
  2. 長矩形状の織物の短辺方向長さおよび長辺方向長さが、それぞれ、5〜30mmおよび50〜1500mmであり、粗な部分および密な部分の織物長辺方向長さがそれぞれ2〜20mmおよび10〜100mmである請求項1に記載のモールドイン成形用面ファスナー。
  3. 密な部分の表面には係合素子が存在しているが、粗な部分には係合素子が実質的に存在していない請求項1または2に記載のモールドイン成形用面ファスナー。
  4. 裏面に一体化されている発泡樹脂層が、エラストマー樹脂からなる発泡層である請求項1〜3のいずれかに記載のモールドイン成形用面ファスナー。
  5. 長矩形状の織物の長辺方向にほぼ平行に織物に打ち込まれている糸が伸縮性を有するものである請求項1〜4のいずれかに記載のモールドイン成形用面ファスナー。
  6. 伸縮性を有する糸が、モールドイン成形用面ファスナーから取り出し、0.3g/dtexの荷重をかけて引っ張った場合にモールドイン成形用面ファスナー内に存在していた状態の糸長さより20%以上伸長される糸である請求項5に記載のモールドイン成形用面ファスナー。
  7. 伸縮性を有する糸が、芯糸の回りに側糸を芯糸に対して20%以上の糸長差を持たせてまつわり付かせた構造加工糸から、製織後に該芯糸を除去して得られる糸である請求項5または6に記載のモールドイン成形用面ファスナー。
  8. 伸縮性を有する糸が、弾性繊維からなる糸である請求項5または6に記載のモールドイン成形用面ファスナー。
  9. 裏面に一体化されている発泡樹脂層の厚さが3〜30mmである請求項1〜8のいずれかに記載のモールドイン成形用面ファスナー。
  10. 織物または発泡樹脂層に、磁性材を含む樹脂が一体化されている請求項1〜9のいずれかに記載のモールドイン成形用面ファスナー。
  11. 多数の係合素子を有する幅10〜100mmの係止部が経糸方向に連続して存在しており、係止部の幅方向両サイドには実質的に係合素子が存在しない幅2〜20mmの耳部が存在し、この係止部と耳部が緯糸方向に複数繰り返されている面ファスナーの裏面に柔軟な発泡樹脂を一体化した後、緯糸にほぼ平行な方向を長辺とする幅5〜30mmの長矩形状に切断するか、あるいは発泡樹脂層を一体化する前の面ファスナーを先ず緯糸にほぼ平行な方向を長辺とする幅5〜30mmの長矩形状に切断し、その後に裏面に発泡樹脂層を一体化することを特徴とするモールドイン成形用面ファスナーの製造方法。
  12. 表面に多数の係合素子を有する長矩形状の織物の裏面に柔軟な発泡樹脂層が一体化され、該織物には、その短辺方向にほぼ平行に打ち込まれている糸の本数の多少により形成される密な部分と粗な部分が長辺方向に交互に存在しているモールドイン成形用面ファスナーを、成形型の内面に設けられた凹部に該係合素子を有する面が凹部底面側となるように挿入し、次いで成形型内に発泡性樹脂液を導入し、該発泡樹脂液を発泡硬化させて面ファスナー付の成形体を得て、しかる後に成形型から該面ファスナー付成形体を取り出すことを特徴とする面ファスナー付き発泡樹脂成形体の製造方法。
  13. 請求項12に記載の製造方法で得られた面ファスナー付き発泡樹脂成形体の表面をシートカバーで覆い、該シートカバー裏面に存在する被係合素子と該面ファスナーの係合素子とを係合させることで、該成形体表面にシートカバーを固定させることを特徴とする座席の製造方法。
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