JP3541089B2 - 雄型面ファスナーおよびその製法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、適度の係合力を有し、クッション性が要求される箇所に好適に使用でき、かつステム部の基材からの脱落が少ない雄型面ファスナーおよびその製法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
従来、マシュルーム型ないしはキノコ型と呼ばれる雄型の面ファスナーの製法はいくつか知られている。例えば、樹脂を成型する方法(射出成型方法)がある。
【0003】
また、接結二重織法により2枚の基材に熱可塑性樹脂モノフィラメントを織り込み、基材間でモノフィラメントを切断し、次いでモノフィラメントの先端を加熱溶融させて肥大させる方法(実開平04−019888号参照)、あるいはダブルラッセル編機を用いて基布間を熱可塑性樹脂モノフィラメントで連結し、連結部のモノフィラメントを切断し、切断部を加熱溶融して肥大させる方法(特開平04−338402号参照)などが知られている。
【0004】
しかしながら、これまでに、クッション性が要求される部分に好適に使用できる雄型面ファスナーの製法は見当たらなかった。かかる事情に鑑み、出願人は、鋭意研究を重ねた結果、タフティングマシーンを用い、基材としてある程度の厚みを有する発泡体樹脂シートにステム材料を打ち込むことにより、かかる課題を解決できることを見い出し、それにより完成された発明を既に出願した(特願平7−154612号)。
【0005】
かかる特願平7−154612号の発明は、タフティングマシーンを用いて、ステム部となる熱可塑性フラットヤーンを、1本毎にまたは複数本束ねて、発泡体樹脂シートの基材に打ち込み、次いで、打ち込まれた該フラットヤーンの非基材側先端を加熱溶融して肥大させることよりなる雄型面ファスナーの製法、および厚み2mm〜20mmの発泡体樹脂シートの基材、および該基材に1本毎にまたは複数本束ねてほぼ直立状に打ち込まれた熱可塑性フラットヤーンのステム部からなり、該ステム部の非基材側先端が肥大されている雄型面ファスナーを提供するものである。
【0006】
出願人は、特願平7−154612号の面ファスナーよりも、ステム部が基材から抜けにくい(脱落しにくい)面ファスナーを得ようと、研究を続行した。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明はかかる研究の結果完成されたものであり、フラットヤーンの代わりに、束ねた複数のモノフィラメントを基材に打ち込むことにより目的が達成されるという知見に基づくものである。
【0008】
すなわち、本発明は、タフティングマシーンを用いて、ステム部となる150d以下の熱可塑性モノフィラメントの複数本を束ねて発泡体樹脂シートの基材に打ち込み、次いで、同じ穴に打ち込まれた該モノフィラメントにより形成されたループを切断することなく該ループの非基材側先端部を加熱溶融して、2本連続したステムの先端部が融着一体化した肥大部を形成させることを特徴とする雄型面ファスナーの製法を提供するものである。
【0009】
また、本発明は、厚み2mm〜20mmの発泡体樹脂シートの基材、および該基材に複数本束ねてほぼ直立状に打ち込まれた150d以下の熱可塑性モノフィラメントのステム部からなり、同じ穴に打ち込まれているステム部のうち連続した2本の非基材側先端が一体化させ、かつ肥大されている雄型面ファスナーを提供するものである。
【0010】
さらに、本発明は、かかる雄型面ファスナーを発泡体樹脂表面に一体化させてなる面ファスナー付き発泡体材料を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の雄型面ファスナーおよびその製法を説明する。
【0012】
図1は、本発明の雄型面ファスナーの一具体例を模式的に示す概略図である。図2は、基材にステム材料が打ち込まれたところを模式的に示す概略図である。図3は、ステム部を部分拡大した概略図である。
【0013】
図1を参照し、本発明の雄型面ファスナー(1)は、基材(2)、およびそれに打ち込まれたステム部(3)よりなる(図1は、さらに、基材の非ステム側の片面にラミネート補強材層(4)を設けた態様を示す)。
【0014】
まず、基材(2)から説明する。基材は発泡ポリウレタン、発泡ポリエチレン、発泡ポリスチレン、発泡ポリプロピレン、発泡ポリエステルなどの発泡体樹脂シートからなる。かかる発泡体樹脂シートを基材に用いることにより、クッション性が要求される箇所に好適に使用できる面ファスナーが得られる。
【0015】
基材(2)の厚みは2mm〜20mmとする。このように基材を厚くすることにより、面ファスナー自体にクッション性が付与されると共に、後記するステム部(3)がほぼ直立状に打ち込まれることが可能となる。ここに、「ほぼ直立状」とは、ステム面(5)から伸びるステム部が垂直方向から30°位までは傾いていてもよいことを意味する。
【0016】
次に、基材に打ち込まれたステム部はモノフィラメントからなる。このモノフィラメントは150d以下の太さのものを用いる。この太さのものであれば、非ステム面(6)側での、隣接するステム間のステム接続部(7)の基材に対する密着性が良好となる。また、一カ所(一穴)に打ち込まれたステム部は4〜10本である(後記するごとくタフティングマシーンで打ち込む段階での本数はモノフィラメントで2〜5本である)。
【0017】
ステム部の先端部(8)は肥大させる。肥大には加熱溶融させなければならないので、フラットヤーンは熱可塑性でなければならない。かかる材質としてはポリプロピレン、ポリエチレン、PET、ナイロンが挙げられる。
【0018】
肥大した先端部は、2本のステム部の先端部が一体化したものである。これを部分拡大したものを図3に示す。
【0019】
打込み密度は1平方インチ当たり1〜150カ所とする。打込み密度がこれを超えて余り密になると、発泡体基材の損傷が激しく不都合が生じる。他方、打込み密度が前記範囲を下回って疎になると、所望の係合が達成できない。なお、前記したごとく、ステム換算で、1カ所に2〜5本ずつ打ち込む。
【0020】
なお、ステムが発泡体樹脂シート基材を破壊して抜けるのを防止するために、基材の両面または非ステム面側の面を、不織布、織物または編物でラミネート補強したものとすることもできる。
【0021】
また、ステムが基材から抜けるのを防止するために、基材の非ステム面にウレタン系、アクリル系等の合成樹脂でコーティングしたものとすることもできる。
【0022】
本発明の雄型面ファスナーは、以下のごとくに製造される。
【0023】
まず、必要に応じ、予め基材の両面または非ステム面側の面を、不織布、織物または編物でラミネート補強する。
【0024】
次に、ラミネート補強したもしくは補強していない基材にステム部となるモノフィラメントを打ち込む。打込みにはタフティングマシーンを用いる。かかるタフティングマシーンは、従来、人工芝やタフトカーペットを製造するのに用いられていたものであるが、面ファスナーのステム部を基材に打ち込むのに好適に用いることができる。打ち込んだ状態を図2に模式的に示す。
【0025】
打ち込んだ後、モノフィラメントにより形成されたループ(9)を切断することなく、そのループの非基材側先端を400〜700℃で加熱する。加熱により、先端部が溶融して肥大化し、同一モノフィラメントに由来する2本のステムの先端が一体化したものになる。特願平7−154612号の面ファスナーは各ステムの肥大化した先端部が各々独立しており、かかる点で本発明とは異なる。
【0026】
なお、必要に応じて、加熱前、または加熱後に非ステム面をウレタン系、アクリル系等の合成樹脂溶液でコーティングすることもできる。
【0027】
このような本発明の発泡層付雄型面ファスナーの製法は、大量生産に適しており、コストを大巾に低減化させることができる。
【0028】
かくして得られる本発明の雄型面ファスナーは、タフタ毛房の雌面、パイル型雌面、起毛布などの雌面と組み合わせて用いることができる。
【0029】
また、ことに、本発明の雄型面ファスナーは、発泡体成型品の表面に、接着、ウェルディングなどによって付着ないしは一体化して用いることができる。例えば、発泡体ポリウレタンを成型するに際し、型の底部に雄型面ファスナーをステム面(係合面)を下面として置き、その上に液状ウレタンを流し込んで、発泡させつつ成型することによって、面ファスナー付きの発泡体材料を得ることができる。
【0030】
かかる面ファスナー付きの発泡体材料も本発明の範囲内のものであり、自動車のシート、家庭用シートなど、クッション性が要求される用途に好適に用いることができる。
【0031】
【実施例】
以下に比較例および実施例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明する。
比較例1(特願平7−154612号の製法)
基材としての、厚み10mmの発泡ウレタンシートに目付25gのNyスパンボンド不織布を片面にフレームラミネート法にてラミネートした。この基材の不織布ラミネート面を非ステム面となるように人工芝用に一般的に使用されているタフティングマシーンを用い、100デニールのポリプロピレンフラットヤーンを3本束ねて打ち込んだ。打込み密度は150本/インチ2(3本×50ケ所)であった。ポリプロピレンフラットヤーンの基材上の長さは、切断により、4.0mmになるように調整した。
【0032】
次いで、温度約500℃で該先端部を加熱して溶融させ、マシュルーム形状を付与した後、非ステム面を溶剤系ポリウレタン樹脂でバックコーティングして比較用の雄型面ファスナーを得た。
【0033】
通常のパイル型雌面との係合力を測定すると500g/2.5cm巾であった。また、テンシロンによりステム部の引抜強度を測定すると240g/本であった。 実施例1
基材としての、厚み10mmの発泡ウレタンシートに目付25gのNyスパンボンド不織布を片面にフレームラミネート法にてラミネートした。この基材の不織布ラミネート面を非ステム面となるように人工芝用に一般的に使用されているタフティングマシーンを用い、100デニールのポリプロピレンモノフィラメントを 本ずつ束ねて打ち込んだ。打込み密度は150本/インチ2(3本×50ケ所)であった。ポリプロピレンモノフィラメントは切断せずループ状で基材上の長さは4.0mmになるように調整した。
【0034】
次いで、温度約500℃で該ループの非基材側先端部を加熱して溶融させ、2本の連続するステム部を連結肥大させた後、非ステム面を溶剤系ポリウレタン樹脂でバックコーティングして本発明の雄型面ファスナーを得た。
【0035】
通常のパイル型雌面との係合力を測定すると320g/2.5cm巾であった。また、テンシロンによりステム部の引抜強度を測定すると370g/本であった。また、通常パイル型雌面と係合させた後、再び雌面から強制的に剥離した時、ステム部先端が連結しているため、ステムの基材からの脱落は認められなかった。
【0036】
実施例2
実施例1で得られた雄型面ファスナーを、係合面を下側として型の底部に置き、その上に液状ウレタンを流し込み、発泡させつつ成型して、面ファスナーが発泡ウレタン表面に一体化された本発明の面ファスナー付き発泡体材料を得た。
この面ファスナー部分を通常のパイル型雌面との係合力を測定すると、350g/2.5cm巾であった。
【0037】
【発明の効果】
本発明により、適度の係合力を有し、クッション性が要求される箇所に好適に使用でき、かつステムの脱落が少ない雄型面ファスナーおよびその製法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の雄型面ファスナーの一具体例を模式的に示す概略図である。
【図2】基材にステム材料が打ち込まれたところを模式的に示す概略図である。
【図3】ステム部を部分拡大した概略図である。
【符号の説明】1:雄型面ファスナー、2:基材、3:ステム部、4:ラミネート補強材層、5:ステム面、6:非ステム面、7:ステム接続部、8:ステム部先端、9:モノフィラメントにより形成されたループ
【発明の属する技術分野】
本発明は、適度の係合力を有し、クッション性が要求される箇所に好適に使用でき、かつステム部の基材からの脱落が少ない雄型面ファスナーおよびその製法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
従来、マシュルーム型ないしはキノコ型と呼ばれる雄型の面ファスナーの製法はいくつか知られている。例えば、樹脂を成型する方法(射出成型方法)がある。
【0003】
また、接結二重織法により2枚の基材に熱可塑性樹脂モノフィラメントを織り込み、基材間でモノフィラメントを切断し、次いでモノフィラメントの先端を加熱溶融させて肥大させる方法(実開平04−019888号参照)、あるいはダブルラッセル編機を用いて基布間を熱可塑性樹脂モノフィラメントで連結し、連結部のモノフィラメントを切断し、切断部を加熱溶融して肥大させる方法(特開平04−338402号参照)などが知られている。
【0004】
しかしながら、これまでに、クッション性が要求される部分に好適に使用できる雄型面ファスナーの製法は見当たらなかった。かかる事情に鑑み、出願人は、鋭意研究を重ねた結果、タフティングマシーンを用い、基材としてある程度の厚みを有する発泡体樹脂シートにステム材料を打ち込むことにより、かかる課題を解決できることを見い出し、それにより完成された発明を既に出願した(特願平7−154612号)。
【0005】
かかる特願平7−154612号の発明は、タフティングマシーンを用いて、ステム部となる熱可塑性フラットヤーンを、1本毎にまたは複数本束ねて、発泡体樹脂シートの基材に打ち込み、次いで、打ち込まれた該フラットヤーンの非基材側先端を加熱溶融して肥大させることよりなる雄型面ファスナーの製法、および厚み2mm〜20mmの発泡体樹脂シートの基材、および該基材に1本毎にまたは複数本束ねてほぼ直立状に打ち込まれた熱可塑性フラットヤーンのステム部からなり、該ステム部の非基材側先端が肥大されている雄型面ファスナーを提供するものである。
【0006】
出願人は、特願平7−154612号の面ファスナーよりも、ステム部が基材から抜けにくい(脱落しにくい)面ファスナーを得ようと、研究を続行した。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明はかかる研究の結果完成されたものであり、フラットヤーンの代わりに、束ねた複数のモノフィラメントを基材に打ち込むことにより目的が達成されるという知見に基づくものである。
【0008】
すなわち、本発明は、タフティングマシーンを用いて、ステム部となる150d以下の熱可塑性モノフィラメントの複数本を束ねて発泡体樹脂シートの基材に打ち込み、次いで、同じ穴に打ち込まれた該モノフィラメントにより形成されたループを切断することなく該ループの非基材側先端部を加熱溶融して、2本連続したステムの先端部が融着一体化した肥大部を形成させることを特徴とする雄型面ファスナーの製法を提供するものである。
【0009】
また、本発明は、厚み2mm〜20mmの発泡体樹脂シートの基材、および該基材に複数本束ねてほぼ直立状に打ち込まれた150d以下の熱可塑性モノフィラメントのステム部からなり、同じ穴に打ち込まれているステム部のうち連続した2本の非基材側先端が一体化させ、かつ肥大されている雄型面ファスナーを提供するものである。
【0010】
さらに、本発明は、かかる雄型面ファスナーを発泡体樹脂表面に一体化させてなる面ファスナー付き発泡体材料を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の雄型面ファスナーおよびその製法を説明する。
【0012】
図1は、本発明の雄型面ファスナーの一具体例を模式的に示す概略図である。図2は、基材にステム材料が打ち込まれたところを模式的に示す概略図である。図3は、ステム部を部分拡大した概略図である。
【0013】
図1を参照し、本発明の雄型面ファスナー(1)は、基材(2)、およびそれに打ち込まれたステム部(3)よりなる(図1は、さらに、基材の非ステム側の片面にラミネート補強材層(4)を設けた態様を示す)。
【0014】
まず、基材(2)から説明する。基材は発泡ポリウレタン、発泡ポリエチレン、発泡ポリスチレン、発泡ポリプロピレン、発泡ポリエステルなどの発泡体樹脂シートからなる。かかる発泡体樹脂シートを基材に用いることにより、クッション性が要求される箇所に好適に使用できる面ファスナーが得られる。
【0015】
基材(2)の厚みは2mm〜20mmとする。このように基材を厚くすることにより、面ファスナー自体にクッション性が付与されると共に、後記するステム部(3)がほぼ直立状に打ち込まれることが可能となる。ここに、「ほぼ直立状」とは、ステム面(5)から伸びるステム部が垂直方向から30°位までは傾いていてもよいことを意味する。
【0016】
次に、基材に打ち込まれたステム部はモノフィラメントからなる。このモノフィラメントは150d以下の太さのものを用いる。この太さのものであれば、非ステム面(6)側での、隣接するステム間のステム接続部(7)の基材に対する密着性が良好となる。また、一カ所(一穴)に打ち込まれたステム部は4〜10本である(後記するごとくタフティングマシーンで打ち込む段階での本数はモノフィラメントで2〜5本である)。
【0017】
ステム部の先端部(8)は肥大させる。肥大には加熱溶融させなければならないので、フラットヤーンは熱可塑性でなければならない。かかる材質としてはポリプロピレン、ポリエチレン、PET、ナイロンが挙げられる。
【0018】
肥大した先端部は、2本のステム部の先端部が一体化したものである。これを部分拡大したものを図3に示す。
【0019】
打込み密度は1平方インチ当たり1〜150カ所とする。打込み密度がこれを超えて余り密になると、発泡体基材の損傷が激しく不都合が生じる。他方、打込み密度が前記範囲を下回って疎になると、所望の係合が達成できない。なお、前記したごとく、ステム換算で、1カ所に2〜5本ずつ打ち込む。
【0020】
なお、ステムが発泡体樹脂シート基材を破壊して抜けるのを防止するために、基材の両面または非ステム面側の面を、不織布、織物または編物でラミネート補強したものとすることもできる。
【0021】
また、ステムが基材から抜けるのを防止するために、基材の非ステム面にウレタン系、アクリル系等の合成樹脂でコーティングしたものとすることもできる。
【0022】
本発明の雄型面ファスナーは、以下のごとくに製造される。
【0023】
まず、必要に応じ、予め基材の両面または非ステム面側の面を、不織布、織物または編物でラミネート補強する。
【0024】
次に、ラミネート補強したもしくは補強していない基材にステム部となるモノフィラメントを打ち込む。打込みにはタフティングマシーンを用いる。かかるタフティングマシーンは、従来、人工芝やタフトカーペットを製造するのに用いられていたものであるが、面ファスナーのステム部を基材に打ち込むのに好適に用いることができる。打ち込んだ状態を図2に模式的に示す。
【0025】
打ち込んだ後、モノフィラメントにより形成されたループ(9)を切断することなく、そのループの非基材側先端を400〜700℃で加熱する。加熱により、先端部が溶融して肥大化し、同一モノフィラメントに由来する2本のステムの先端が一体化したものになる。特願平7−154612号の面ファスナーは各ステムの肥大化した先端部が各々独立しており、かかる点で本発明とは異なる。
【0026】
なお、必要に応じて、加熱前、または加熱後に非ステム面をウレタン系、アクリル系等の合成樹脂溶液でコーティングすることもできる。
【0027】
このような本発明の発泡層付雄型面ファスナーの製法は、大量生産に適しており、コストを大巾に低減化させることができる。
【0028】
かくして得られる本発明の雄型面ファスナーは、タフタ毛房の雌面、パイル型雌面、起毛布などの雌面と組み合わせて用いることができる。
【0029】
また、ことに、本発明の雄型面ファスナーは、発泡体成型品の表面に、接着、ウェルディングなどによって付着ないしは一体化して用いることができる。例えば、発泡体ポリウレタンを成型するに際し、型の底部に雄型面ファスナーをステム面(係合面)を下面として置き、その上に液状ウレタンを流し込んで、発泡させつつ成型することによって、面ファスナー付きの発泡体材料を得ることができる。
【0030】
かかる面ファスナー付きの発泡体材料も本発明の範囲内のものであり、自動車のシート、家庭用シートなど、クッション性が要求される用途に好適に用いることができる。
【0031】
【実施例】
以下に比較例および実施例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明する。
比較例1(特願平7−154612号の製法)
基材としての、厚み10mmの発泡ウレタンシートに目付25gのNyスパンボンド不織布を片面にフレームラミネート法にてラミネートした。この基材の不織布ラミネート面を非ステム面となるように人工芝用に一般的に使用されているタフティングマシーンを用い、100デニールのポリプロピレンフラットヤーンを3本束ねて打ち込んだ。打込み密度は150本/インチ2(3本×50ケ所)であった。ポリプロピレンフラットヤーンの基材上の長さは、切断により、4.0mmになるように調整した。
【0032】
次いで、温度約500℃で該先端部を加熱して溶融させ、マシュルーム形状を付与した後、非ステム面を溶剤系ポリウレタン樹脂でバックコーティングして比較用の雄型面ファスナーを得た。
【0033】
通常のパイル型雌面との係合力を測定すると500g/2.5cm巾であった。また、テンシロンによりステム部の引抜強度を測定すると240g/本であった。 実施例1
基材としての、厚み10mmの発泡ウレタンシートに目付25gのNyスパンボンド不織布を片面にフレームラミネート法にてラミネートした。この基材の不織布ラミネート面を非ステム面となるように人工芝用に一般的に使用されているタフティングマシーンを用い、100デニールのポリプロピレンモノフィラメントを 本ずつ束ねて打ち込んだ。打込み密度は150本/インチ2(3本×50ケ所)であった。ポリプロピレンモノフィラメントは切断せずループ状で基材上の長さは4.0mmになるように調整した。
【0034】
次いで、温度約500℃で該ループの非基材側先端部を加熱して溶融させ、2本の連続するステム部を連結肥大させた後、非ステム面を溶剤系ポリウレタン樹脂でバックコーティングして本発明の雄型面ファスナーを得た。
【0035】
通常のパイル型雌面との係合力を測定すると320g/2.5cm巾であった。また、テンシロンによりステム部の引抜強度を測定すると370g/本であった。また、通常パイル型雌面と係合させた後、再び雌面から強制的に剥離した時、ステム部先端が連結しているため、ステムの基材からの脱落は認められなかった。
【0036】
実施例2
実施例1で得られた雄型面ファスナーを、係合面を下側として型の底部に置き、その上に液状ウレタンを流し込み、発泡させつつ成型して、面ファスナーが発泡ウレタン表面に一体化された本発明の面ファスナー付き発泡体材料を得た。
この面ファスナー部分を通常のパイル型雌面との係合力を測定すると、350g/2.5cm巾であった。
【0037】
【発明の効果】
本発明により、適度の係合力を有し、クッション性が要求される箇所に好適に使用でき、かつステムの脱落が少ない雄型面ファスナーおよびその製法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の雄型面ファスナーの一具体例を模式的に示す概略図である。
【図2】基材にステム材料が打ち込まれたところを模式的に示す概略図である。
【図3】ステム部を部分拡大した概略図である。
【符号の説明】1:雄型面ファスナー、2:基材、3:ステム部、4:ラミネート補強材層、5:ステム面、6:非ステム面、7:ステム接続部、8:ステム部先端、9:モノフィラメントにより形成されたループ
Claims (7)
- タフティングマシーンを用いて、ステム部となる150d以下の熱可塑性モノフィラメントの複数本を束ねて発泡体樹脂シートの基材に打ち込み、次いで、同じ穴に打ち込まれた該モノフィラメントにより形成されたループを切断することなく該ループの非基材側先端部を加熱溶融して、2本連続したステムの先端部が融着一体化した肥大部を形成させることを特徴とする雄型面ファスナーの製法。
- 基材の両面または非ステム面側となる片面を、不織布、織物または編物で予めラミネート補強した後、打込みを行う請求項1記載の製法。
- 打込み後に非ステム面を合成樹脂でコーティングする請求項1記載の製法。
- 厚み2mm〜20mmの発泡体樹脂シートの基材、および該基材に複数本束ねてほぼ直立状に打ち込まれた150d以下の熱可塑性モノフィラメントのステム部からなり、同じ穴に打ち込まれているステム部のうち連続した2本の非基材側先端が一体化され、かつ肥大されている雄型面ファスナー。
- 基材の両面または非ステム面側の片面が不織布、織物または編物でラミネート補強された請求項4記載の雄型面ファスナー。
- 面ファスナーの非ステム面が合成樹脂でコーティングされた請求項4記載の雄型面ファスナー。
- 請求項4記載の雄型面ファスナーを発泡体樹脂表面に一体化させてなる雄型面ファスナー付き発泡体材料。
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JP19026795A JP3541089B2 (ja) | 1995-07-26 | 1995-07-26 | 雄型面ファスナーおよびその製法 |
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JP19026795A JP3541089B2 (ja) | 1995-07-26 | 1995-07-26 | 雄型面ファスナーおよびその製法 |
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JPH0937814A JPH0937814A (ja) | 1997-02-10 |
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JP19026795A Expired - Fee Related JP3541089B2 (ja) | 1995-07-26 | 1995-07-26 | 雄型面ファスナーおよびその製法 |
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- 1995-07-26 JP JP19026795A patent/JP3541089B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH0937814A (ja) | 1997-02-10 |
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