以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。
図1は本発明の第1実施形態におけるタイヤ状態検出装置を実装したタイヤを示す図、図2は本発明の第1実施形態におけるタイヤ状態検出装置を示す外観斜視図、図3は本発明の第1実施形態におけるタイヤ状態検出装置を示す分解斜視図、図4は本発明の第1実施形態におけるプリント配線基板を示す平面図、図5は本発明の第1実施形態におけるプリント配線基板を示す側面図、図6は本発明の第1実施形態におけるタイヤ状態検出装置の電気系回路を示すブロック図である。
タイヤ状態検出装置10は、タイヤ1の空気室2内部においてリム3の所定位置に固定されており、このタイヤ状態検出装置10内に設けられている後述する圧力検出素子と温度検出素子を備えたセンサ部によってタイヤ1の空気室2内の圧力と温度とを検出し、この検出結果をディジタル値に変換する。また、タイヤ状態検出装置10はこれらのディジタル値を含むディジタル情報を生成して送信する。このディジタル情報には、上記検出結果のディジタル値の他にタイヤ状態検出装置10に固有の識別情報が含まれる。
タイヤ状態検出装置10は、ケース100を備え、このケース100内にプリント配線基板300と電池420が収容されている。プリント配線基板300には図6に示す検出回路400が形成されている。すなわち、検出回路400はセンサ部410、電池420、主制御部430、送信部440、アンテナ450から構成されている。
ケース100は、電波を透過する合成樹脂よりなるケース本体120と上蓋110から構成され、上蓋110の所定位置にはセンサ部410の位置に対向する位置に矩形状の開口部113が形成され、この開口部113は通気孔112を有する蓋体111によって覆われる。
センサ部410は、プリント配線基板300の表面上に搭載され、空気圧検出素子411と、温度検出素子412、アナログ/ディジタル変換回路413とから構成され、タイヤ1の空気室2内の空気圧と温度とを空気圧検出素子411と温度検出素子412によって検出し、この検出結果をアナログ/ディジタル変換回路413によってディジタル値に変換して主制御部430に出力する。
電池420は、接続導体421,422によってプリント配線基板300に連結され、プリント配線基板300に形成されている検出回路400に電力を供給する。一方の接続導体421は電池420の正極とプリント配線基板300の表面とに接続され、他方の接続導体422は電池420の負極とプリント配線基板300の裏面とに接続されている。検出回路400においては電池420の負極の電位が基準電位(=0V)となっている。
主制御部430は周知のCPUとメモリなどから構成され、センサ部410による検出結果をディジタル値で受け取り、このディジタル値を含むディジタル情報を生成して送信部440に出力する。なお、このディジタル情報には、上記検出結果のディジタル値の他にタイヤ状態検出装置10に固有の識別情報、例えば製造番号が含まれる。
送信部440は、主制御部430から入力したディジタル情報を所定周波数、例えば315MHzの電波によって送信する。
アンテナ450は、共振周波数が送信部440の送信周波数に設定されたヘリカルアンテナであり、プリント配線基板300の表面上に実装されている。なお、ヘリカルアンテナの軸がプリント配線基板300の表面と平行になるように、アンテナ450はプリント配線基板300の表面上に実装されている。
また、プリント配線基板300は積層セラミック多層基板からなり、その裏面のほぼ全面に導体パターン310が設けられ、この導体パターン310は電池420の負極に接続されて、その電位が検出回路400の基準電位(=0V)に設定されている。このプリント配線基板300は、その裏面、すなわち導体パターン310がケース本体120の底面に対向するようにケース本体120に固定される。なお、導体パターン310を形成する銅箔厚みには一般的に12,18,35,70ミクロン(μm)等があるが、耐久性(引き剥がしに対する強さ)を考慮すると、導体パターン310の厚みは18μm以上であることが好ましい。
上記構成よりなるタイヤ状態検出装置10がリム3に装着されたときの側面断面図を図7に示す。図に示すように、タイヤ状態検出装置10をリム3に装着するときはケース本体120の底面がリム3の表面に対向するようにケース100がリム3の表面に固定される。このようにケース100がリム3に固定されることにより、プリント配線基板300の表面上に実装されたアンテナ450とリム3の表面との間には基準電位に設定された導体パターン310が配置されるので、タイヤ状態検出装置10をリム3に装着したときには導体パターン(平面導体)310がアンテナ450とリム3との間の境界面となるので、リム3を構成する金属がアンテナ450に与える影響を従来に比べて大幅に低減することができる。さらに、プリント配線基板300の誘電体の厚みによりアンテナ450と導体パターン310との間の距離が一定になるため、リム3の形状が異なってもアンテナ特性を良好な状態に維持することができる。
したがって、リム3の形状毎に最適な特性を備えたアンテナ450を作成する必要がなくなり、どのような形状のリム3であっても同一のアンテナ450を用いることができるので、タイヤ状態検出装置10の1つあたりの製造コストが従来に比べて大幅に低減できると共に、タイヤ状態検出装置10の大量生産が容易に可能になる。
次に、本発明の第2実施形態を説明する。
図8は本発明の第2実施形態におけるタイヤ状態検出装置10Aを示す分解斜視図、図9は本発明の第2実施形態におけるプリント配線基板300Aを示す平面図、図10は本発明の第2実施形態におけるプリント配線基板300Aを示す側面図、図11は本発明の第2実施形態におけるタイヤ状態検出装置10Aのリム3への実装状態を示す側面断面図である。これらの図において、前述した第1実施形態と同一構成部分は同一符号をもって表し、その説明を省略する。また、第2実施形態と第1実施形態との相違点は、第1実施形態におけるアンテナ450に代えてコイル状のアンテナ460を設けるとともに、プリント配線基板300に代えてプリント配線基板300Aを用い、ケース本体120の内部底面に導体膜511と絶縁膜512を設けたことである。
アンテナ460は、共振周波数が315MHzに設定されたスプリングコイル形状をなし、その中央部に給電点が設けられ、この給電点がプリント配線基板300Aに形成されている送信部440に接続されている。また、アンテナ460は、アンテナ450に比べてコイルの直径が大きく形成されているので、アンテナ460のコイル軸が近傍のプリント配線基板300Aの辺及び表面と平行になるように、プリント配線基板300Aの周縁部外側に設けられている。
プリント配線基板300Aは、第1実施形態におけるプリント配線基板300の裏面に設けられていた導体パターン310を除去したもので、導体パターン310が除去されたこと以外はプリント配線基板300と同じである。
ケース本体120の内側底面には、図に示すように、導体膜511が設けられているとともに、導体膜511の表面には電気的な絶縁膜512が設けられている。この絶縁膜512により、導体膜511とプリント配線基板300A及びアンテナ460との導電接続が防止されている。また、導電膜511は電池420の負極に導電接続され、導電膜511の電位は検出回路400の基準電位(=0V)に設定されている。なお、導体膜511の厚みは前述と同様の理由により18μm以上であることが好ましい。
上記構成よりなるタイヤ状態検出装置10Aをリム3に装着するときは、図11に示すように、ケース本体120の底面がリム3の表面に対向するようにケース100がリム3の表面に固定される。このようにケース100がリム3に固定されることにより、アンテナ460とリム3の表面との間には基準電位に設定された導体膜511が配置されるので、タイヤ状態検出装置10をリム3に装着したときには導電膜(平面導体)511がアンテナ460とリム3との間の境界面となるので、リム3を構成する金属がアンテナ460に与える影響を従来に比べて大幅に低減することができる。さらに、プリント配線基板300Aはケース本体120の所定位置に固定されるのでアンテナ460と導電膜511との間の距離が一定になるため、リム3の形状が異なってもアンテナ特性を良好な状態に維持することができる。
したがって、リム3の形状毎に最適な特性を備えたアンテナ460を作成する必要がなくなり、どのような形状のリム3であっても同一のアンテナ460を用いることができるので、タイヤ状態検出装置10Aの1つあたりの製造コストが従来に比べて大幅に低減できると共に、タイヤ状態検出装置10Aの大量生産が容易に可能になる。
次に、本発明の第3実施形態を説明する。
図12は本発明の第3実施形態におけるタイヤ状態検出装置10Bを示す分解斜視図、図13は本発明の第3実施形態におけるプリント配線基板300Bを示す平面図、図14は本発明の第3実施形態におけるプリント配線基板300Bを示す側面図、図15は本発明の第3実施形態におけるアンテナの構成を示す分解斜視図、図16は本発明の第3実施形態におけるタイヤ状態検出装置10Bのリム3への実装状態を示す側面断面図である。これらの図において、前述した第1実施形態と同一構成部分は同一符号をもって表し、その説明を省略する。また、第3実施形態と第1実施形態との相違点は、第1実施形態におけるアンテナ450に代えてアンテナ470を設けるとともに、プリント配線基板300に代えてプリント配線基板300Bを用いたことである。
プリント配線基板300Bは、第1実施形態におけるプリント配線基板300よりもやや形状が大きく、大きく広げられた部分にアンテナ470が形成されている。また、プリント配線基板300Bの裏面にはほぼ全面に第1実施形態と同様の導体パターン320が設けられ、この導体パターン320は電池420の負極に接続され、導体パターン320の電位は検出回路400の基準電位(=0V)に設定されている。なお、導体パターン320の厚みは前述と同様の理由により18μm以上であることが好ましい。
アンテナ470はプリント配線基板300Bに形成されたプリント配線パターン(以下、配線パターンと称する)と、プリント配線基板300Bに対して複数の連結導体によって連結されたプリント配線基板500によって構成されている。
すなわち、アンテナ470は、プリント配線基板300B,500と複数の円柱状の連結導体711〜718,721〜728,731から構成されている。なお、本実施形態におけるアンテナ470は上記と同様に315MHzを共振周波数とするものである。
プリント配線基板500は所定面積の長方形をなすとともに所定の厚みを有する誘電体基板からなり、幅方向の両側辺部には長辺と平行な直線上に所定の等間隔をあけて複数のスルーホール521〜528,531〜538が設けられている。また、図15に示すように、一方の側辺部に設けられたスルーホール521〜528のスルーホール間の間隙のほぼ中央位置と対向する位置にスルーホールが配置されるように他方のスルーホール531〜538が設けられている。
さらに、プリント配線基板500の表面には互いに等間隔をあけて平行に配置された複数の直線状プリント配線パターン(以下、配線パターンと称する)511〜518が設けられている。
また、配線パターン511の一端は一方のスルーホール521〜528の列における端から2番目のスルーホール522に連結され、他端は他方のスルーホール531〜538の列における端に位置するスルーホール531に連結されている。配線パターン512の一端は一方のスルーホール521〜528の列における端から3番目のスルーホール523に連結され、他端は他方のスルーホール531〜538の列における端から2番目に位置するスルーホール532に連結されている。配線パターン513の一端は一方のスルーホール521〜528の列における端から4番目のスルーホール524に連結され、他端は他方のスルーホール531〜538の列における端から3番目に位置するスルーホール533に連結されている。配線パターン514の一端は一方のスルーホール521〜528の列における端から5番目のスルーホール525に連結され、他端は他方のスルーホール531〜538の列における端から4番目に位置するスルーホール534に連結されている。配線パターン515の一端は一方のスルーホール521〜528の列における端から6番目のスルーホール526に連結され、他端は他方のスルーホール531〜538の列における端から5番目に位置するスルーホール535に連結されている。配線パターン516の一端は一方のスルーホール521〜528の列における端から7番目のスルーホール527に連結され、他端は他方のスルーホール531〜538の列における端から6番目に位置するスルーホール536に連結されている。配線パターン517の一端は一方のスルーホール521〜528の列における端から8番目のスルーホール528に連結され、他端は他方のスルーホール531〜538の列における端から7番目に位置するスルーホール537に連結されている。配線パターン518の一端は配線パターン517の一端からスルーホール感の間隔と同じ間隔をあけた位置に配置され、他端は他方のスルーホール531〜538の列における端から8番目に位置するスルーホール538に連結されている。
さらに、端から4番目の配線パターン514の所定位置に給電点514aが設定され、この給電点に給電用配線パターン541の一端が導電接続されている。給電用配線パターン541は、図に示すようにその他端に設けられたスルーホール542がプリント配線基板500の一方の短辺近傍に位置するように設けられている。
プリント配線基板300Bの幅方向の両側辺部には長辺と平行な直線上に所定の等間隔をあけて複数のスルーホール621〜628,631〜638が設けられている。これらのスルーホール621〜628,631〜638の位置は、プリント配線基板500におけるスルーホール521〜528,531〜538の位置に対応する。
さらに、プリント配線基板300Bの表面には互いに等間隔をあけて平行に配置された複数の直線状プリント配線パターン(以下、配線パターンと称する)611〜618が設けられている。なお、各配線パターン611〜618におけるプリント配線基板300Bの長辺方向の幅は、プリント配線基板500の配線パターン511〜518と同じ幅に設定され、短辺方向の長さもプリント配線基板500の配線パターン511〜518と同じに設定されている。
配線パターン611の一端は一方のスルーホール621〜628の列における端から1番目のスルーホール621に連結され、他端は他方のスルーホール631〜638の列における端に位置するスルーホール631に連結されている。配線パターン612の一端は一方のスルーホール621〜628の列における端から2番目のスルーホール622に連結され、他端は他方のスルーホール631〜638の列における端から2番目に位置するスルーホール632に連結されている。配線パターン613の一端は一方のスルーホール621〜628の列における端から3番目のスルーホール623に連結され、他端は他方のスルーホール631〜638の列における端から3番目に位置するスルーホール633に連結されている。配線パターン614の一端は一方のスルーホール621〜628の列における端から4番目のスルーホール624に連結され、他端は他方のスルーホール631〜638の列における端から4番目に位置するスルーホール634に連結されている。配線パターン615の一端は一方のスルーホール621〜628の列における端から5番目のスルーホール625に連結され、他端は他方のスルーホール631〜638の列における端から5番目に位置するスルーホール635に連結されている。配線パターン616の一端は一方のスルーホール621〜628の列における端から6番目のスルーホール626に連結され、他端は他方のスルーホール631〜638の列における端から6番目に位置するスルーホール636に連結されている。配線パターン617の一端は一方のスルーホール621〜628の列における端から7番目のスルーホール627に連結され、他端は他方のスルーホール631〜638の列における端から7番目に位置するスルーホール637に連結されている。配線パターン618の一端は一方のスルーホール621〜628の列における端から8番目のスルーホール628に連結れ、他端は他方のスルーホール631〜638の列における端から8番目に位置するスルーホール638に連結されている。
さらに、端から5番目の配線パターン615の所定位置に給電点615aが設定され、この給電点に給電用配線パターン641の一端が導電接続されている。なお、給電点615aの位置は、プリント配線基板500における配線パターン514の給電点514aに対向する位置に設定されている。
給電用配線パターン641は、図に示すようにその他端642がプリント配線基板300Bに形成されている送信部440に至るように設けられている。
プリント配線基板500の配線パターン511〜518とプリント配線基板300Bの配線パターン611〜618とは複数の連結導体711〜718,721〜728によって全体が螺旋状になるように導電接続されている。本実施形態では、連結導体711〜718,721〜728として、直径0.75mm、長さ8.0mmの円柱状導体を用いている。
すなわち、連結導体711〜718のそれぞれの一端711a〜718aはプリント配線基板500のスルーホール521〜528に挿入されて固定され、連結導体712〜718のそれぞれの一端712a〜718aが配線パターン511〜517の一端に導電接続されている。さらに、連結導体711〜718のそれぞれの他端711b〜718bはプリント配線基板300Bのスルーホール621〜628に挿入されて固定され、連結導体711〜718のそれぞれの他端711b〜718bが配線パターン611〜618の一端に導電接続されている。また、連結導体721〜728のそれぞれの一端721a〜728aはプリント配線基板500のスルーホール531〜538に挿入されて固定され、連結導体721〜728のそれぞれの一端721a〜728aが配線パターン511〜518の他端に導電接続されている。さらに、連結導体721〜728のそれぞれの他端721b〜728bはプリント配線基板300Bのスルーホール631〜638に挿入されて固定され、連結導体721〜728のそれぞれの他端721b〜728bが配線パターン611〜618の他端に導電接続されている。
また、プリント配線基板300Bには配線パターン652に連結されたスルーホール651が設けられている。スルーホール651は、プリント配線基板500に設けられたスルーホール542と連結導体731によって連結され、連結導体731の一端731aが配線パターン541に導電接続され、他端731bが配線パターン652に導電接続されている。さらに、この配線パターン652は送信部440の出力に接続されている。
上記実施形態によれば、2つのプリント配線基板500,300B上に導電性の配線パターン511〜518,611〜618でアンテナエレメントが形成され、これらの配線パターン511〜518,611〜618は連結導体711〜718,721〜728によって順次交互に導電接続されて螺旋状のアンテナエレメントが構成される。これにより、プリント配線パターン511〜518,611〜618の寸法精度及び連結導体711〜718,721〜728の寸法精度(例えば±18μm)によるアンテナ製作が実現でき、且つ高性能なアンテナを容易に製作することができる。さらに、大量生産が容易であると共にプリント配線基板への電気的接続において高い信頼性を達成でき寸法精度に優れたアンテナを容易に製作することができる。
上記構成よりなるタイヤ状態検出装置10Bをリム3に装着するときは、図16に示すように、ケース本体120の底面がリム3の表面に対向するようにケース100がリム3の表面に固定される。このようにケース100がリム3に固定されることにより、アンテナ470とリム3の表面との間には基準電位に設定された導体パターン320が配置されるので、タイヤ状態検出装置10Bをリム3に装着したときには導体パターン(平面導体)320がアンテナ470とリム3との間の境界面となるので、リム3を構成する金属がアンテナ470に与える影響を従来に比べて大幅に低減することができる。
したがって、リム3の形状毎に最適な特性を備えたアンテナ470を作成する必要がなくなり、どのような形状のリム3であっても同一のアンテナ470を用いることができるので、タイヤ状態検出装置10Bの1つあたりの製造コストが従来に比べて大幅に低減できると共に、タイヤ状態検出装置10Bの大量生産が容易に可能になる。
次に、本発明の第4実施形態を説明する。
図17は本発明の第4実施形態におけるタイヤ状態検出装置10Cを示す外観斜視図、図18は本発明の第4実施形態におけるタイヤ状態検出装置10Cを示す平面図、図19は本発明の第4実施形態におけるタイヤ状態検出装置10Cを示す側面断面図、図20及び図21は本発明の第4実施形態におけるプリント配線基板300Cを示す外観斜視図、図22は本発明の第4実施形態におけるプリント配線基板300Cの要部を示す外観斜視図である。これらの図において、前述した第1乃至第3実施形態と同一構成部分は同一符号をもって表し、その説明を省略する。また、第4実施形態と第1乃至第3実施形態との相違点は、第3実施形態におけるプリント配線基板300Bに代えてほぼ同形の2枚の基板351,352を所定間隔を開けて平行に配置したプリント配線基板300Cを用いるとともに、導体パターン320に代えて平面導体板361を備え、これらをケース130に収納したことである。
ケース130は、図17乃至図19に示すように、略直方体形状をなし、その長手方向の両端部にねじ止め用の突起部を有し、本体131と蓋体132とから構成されている。図19に示すように、本体131の内部にはプリント配線基板300Cを収納するための収納空間134が形成され、収納空間134の開口は蓋体132を本体131にねじ141によって固定することにより閉鎖される。また、蓋体132には通気孔133が形成されており、本体131に蓋体132を固定した状態においてもこの通気孔133を介して外部から収納空間134に空気が流通するようになっている。
図20乃至図22に示すように、プリント配線基板300Cは、略長方形をなす2枚のプリント配線基板351,352が所定間隔を開けて平行に配置されてなり、これらの間はアンテナ470を構成する連結導体711〜718,721〜728,731と連結用プリント配線基板353によって互いに固定されている。プリント配線基板300Cの長手方向の一端側には前述したアンテナ470が形成されており、他端側にはセンサ部410及び電池420などを含む電子回路を構成する電子部品が搭載されている。連結用プリント配線基板353は2つのプリント配線基板351,352のそれぞれに半田付けされている。
また、プリント配線基板351には、第3実施形態と同様に、アンテナ470を構成する複数のスルーホール621〜628,631〜638と複数の直線状プリント配線パターン611〜618が設けられている。他方のプリント配線基板352には、第3実施形態と同様に、アンテナ470を構成する複数のスルーホール521〜528,531〜538と互いに等間隔をあけて平行に配置された複数の直線状プリント配線パターン511〜518が設けられている。
さらに、プリント配線基板300Cには長方形をなす平面導体板361が4つの保持材371によって固定されている。プリント配線基板300Cをケース130に収納した時にケース本体131の底面側に位置するプリント配線基板351と平行になるようにアンテナ470の位置に平面導体板361が設けられている。平面導体板361は保持材371によってプリント配線基板351と所定の間隔を維持するように固定されている。この平面導体板361は第3実施形態における導体パターン320に代えて設けたものであり、プリント配線基板351の所定の導体パターン(電池420の負極に接続されている導体パターン)に導電接続されて基準電位に設定されている。また、図23に示すように、保持材371は平面導体板361の四隅に固定されている。保持材371は、図24に示すように円柱形の本体371aの両端に本体371aよりも小さい直径の円柱形状の突起部371bを備えた形状をなしている。
このように基準電位に設定された平面導体板361をプリント配線基板351から所定の間隔を開けて配置しているため、ケース本体131の底面がリム3に当接するようにケース130をリム3に固定することにより、アンテナ470とリム3の表面との間には基準電位に設定されている平面導体板361が配置されるので、タイヤ状態検出装置10Cをリム3に装着したときには平面導体板361がアンテナ470とリム3との間の境界面となるので、リム3を構成する金属がアンテナ470に与える影響を従来に比べて大幅に低減することができる。
プリント配線基板351に平面導体板361を装着した状態においてアンテナ470は315MHzを共振周波数とするものであり、そのスミスチャートを用いた特性曲線は図25に示す曲線Aで表され、315MHzにおけるアンテナインピーダンスは50オームである。このときのプリント配線基板351と平面導体板361との間隔Dは保持材371によって1.5mmに設定されている。
また、図25には実験例としてプリント配線基板351と平面導体板361との間隔Dを変化させたときの特性曲線B,Cを描いてある。図25における特性曲線Bはプリント配線基板351と平面導体板361との間隔Dが1.5mmから0.1mmずれた場合であり、このときのアンテナ470の共振周波数は321MHzであり、アンテナ470のインピーダンスは66オームである。図25における特性曲線Cはプリント配線基板351と平面導体板361との間隔Dが1.5mmから0.15mmずれた場合であり、このときのアンテナ470の共振周波数は310MHzであり、アンテナ470のインピーダンスは70オームである。
このように、アンテナ470は、平面導体板361との距離により、アンテナ特性(周波数及びインピーダンス)が変化し、それ程大きな利得を得られない。つまり、アンテナ470と平面導体板361との距離が設計値に対して、少しでもずれた場合(例えば50μm)、大きく特性が変化してしまう。本実施形態ではそれを克服すべく、アンテナ470と平面導体板361の間に保持材471を配置することにより、間隔Dを一定に保持するようにした。さらに、アンテナ470と平面導体板361との間隔Dは、誘電体の影響を無くすことが重要(誘電正接ロスの無い空気がベスト)であるため、アンテナ470に干渉しないように空間を挟んで平面導体板361を配置することで、アンテナ誘電正接ロス分を無くした。このような構成とすることにより、大量生産が容易であり、どの様な形状の金属が接近した場合でも、安定的なアンテナ特性を得ることができ、かつアンテナ利得を向上させることが可能になる。
なお、図25の特性に示したように、プリント配線基板351と平面導体板361との間隔Dが変化するとアンテナ470の周波数特性が変化してしまうので、保持材371としては温度や湿度による伸縮率の小さい部材を用いることが好ましい。例えば保持材371として温度や湿度による伸縮率の小さいインバーなどを用いることが好ましい。
本発明は、上記の目的を達成するために、タイヤの所定の物理状態を検出するセンサと、所定の共振周波数を有するとともに所定軸の周りを所定径で旋回して前記軸方向に延びるようなコイル形状をなしているアンテナと、前記センサの検出結果の情報を前記アンテナから電波として送信する検出回路と、前記センサとアンテナと検出回路を収納し且つ電波を透過するケースとを備え、前記ケースをタイヤ内のリムに装着して用いるタイヤ状態検出装置において、前記ケースに固定されたプリント配線基板を前記ケース内部に備え、前記アンテナは前記プリント配線基板の一面側に固定されて設けられ、前記ケースを前記リムに装着したときに前記アンテナと前記リムとの間に境界面を形成するように前記アンテナから所定距離の位置に前記アンテナと電気的に絶縁された状態で固定され且つ前記検出回路の基準電位と等しい電位に設定されている平面導体を設けるとともに、前記平面導体は前記プリント配線基板の他面と前記平面導体の一面が所定の間隔を開けて平行になるように且つ前記プリント配線基板の他面と前記平面導体の一面との間に所定の空間を形成するように複数の保持材によって前記プリント配線基板に固定されている。
プリント配線基板500の配線パターン511〜518とプリント配線基板300Bの配線パターン611〜618とは複数の連結導体711〜718,721〜728によって全体が螺旋状になるように導電接続されている。本参考例では、連結導体711〜718,721〜728として、直径0.75mm、長さ8.0mmの円柱状導体を用いている。
さらに、プリント配線基板300Cには長方形をなす平面導体板361が4つの保持材371によって固定されている。プリント配線基板300Cをケース130に収納した時にケース本体131の底面側に位置するプリント配線基板351と平行になるようにアンテナ470の位置に平面導体板361が設けられている。平面導体板361は保持材371によってプリント配線基板351と所定の間隔を維持するように固定されている。この平面導体板361は第3参考例における導体パターン320に代えて設けたものであり、プリント配線基板351の所定の導体パターン(電池420の負極に接続されている導体パターン)に導電接続されて基準電位に設定されている。また、図23に示すように、保持材371は平面導体板361の四隅に固定されている。保持材371は、図24に示すように円柱形の本体371aの両端に本体371aよりも小さい直径の円柱形状の突起部371bを備えた形状をなしている。