JP4574545B2 - タイヤ用無線タグ装着部材、空気入りタイヤならびに空気入りタイヤとリムとの組立体 - Google Patents
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Description
前記無線タグをタイヤ内側面へ貼り付ける場合、貼り付けはタイヤの加硫前あるいは加硫後のいずれかの時点において行われる。
加硫前に無線タグを貼り付けると、無線タグが加硫によるさまざまな影響を受け、無線タグとして機能しなくなるおそれがある。一方、加硫後に無線タグを貼り付けると、タイヤ内側のゴムをバフする必要が生じ、このバフによってタイヤの内側の損傷に発展する可能性があると共に、無線タグが剥がれ落ちやすいといった問題もある。
また、タイヤ内側面に貼り付けられた無線タグは、衝撃や振動などの影響も受けやすく、耐久性の面においても問題がある。
しかし、前記無線式IDタグをタイヤ内部に埋め込むためには、タイヤ内側にタグの収容部を設け、そこに前記タグを埋め込む工程が必要となり、ハンドリング性や生産性において改良の余地が残されていると共に、衝撃や振動に対する課題も残されている。
前記スポンジ材(15)は自由面(15b)の表面に浅底の凹部からなる収容部(15c)が設けられ、該収容部(15c)にタイヤ内部状態検出部あるいは/及び少なくともタイヤ識別情報の記録部を備えた無線タグ(16)が水平方向で挿入されて接着剤で固着され、あるいは、前記自由面(15b)の開口から固着部側へと切り込まれたスリットが収容部(15c)とされ、該収容部(15c)に前記無線タグ(16)が圧入固定され、 かつ、前記無線タグ(16)は前記スポンジ材(15)の自由面(15b)の表面から突出することなく埋め込まれており、
前記スポンジ材(15)は、前記内腔部(13)の全体積V1の0.4〜20%の体積V2を有し、さらに、前記固着面(15a)から自由面(15b)までの厚さTが10mm〜30mm、比重が0.005〜0.06とされていることを特徴とするタイヤ用無線タグ装着部材を提供している。
また、本発明においては、無線タグをタイヤに直接埋め込まず、凹部あるいはスリット状の切込からなる収容部に無線タグが収容固定されたスポンジ材、あるいは無線タグを表面に固着したスポンジ材を、タイヤあるいは/またはリムに固着する構成をとるため、タイヤに損傷を与えることがなくタイヤの耐久性も高めることができると共に、無線タグのタイヤへの取り付け作業性も向上させることができる。
また、スポンジ材が濡れた際にも内部に水分がしみ込まないように、撥水性を持たせることも好ましい。
さらに、前記水分によるカビの発生を防止するために、スポンジ材に防カビ性を持たせることも好適である。
さらにまた、廃タイヤを焼却処分する際の排ガス毒性を下げるために、ハロゲン原子を含まない材料でスポンジ材を形成することが特に好適である。
ただし、リムの空気入りタイヤ取付側面は、タイヤ交換時にビード部が強く押し付けられる場合があるため、スポンジ材はタイヤのリム装着側面に固着されることが特に好ましい。また、前記タイヤのリム装着側面又はリムの空気入りタイヤ取付側面との接着面積が十分に確保されるように、スポンジ材の固着面は、実質的に平滑な面で形成されていることが好ましい。
一方、周方向に継ぎ目のない環状のスポンジ材としたり、長尺な棒状のスポンジ材の両端を両面テープや接着剤などで接続することにより周方向に継ぎ目を有する環状のスポンジ材としてもよい。
一方、前記浅底の凹部からなる収容部に代えて、前記自由面に表面から固着部側へと切り込まれたスリットからなる前記収容部を設け、該収容部に前記無線タグが圧入固定してもよい。これにより、無線タグとスポンジ材との接触面積が十分確保され、外部の衝撃や振動などによる影響をより小さくすることができると共に、無線タグを収容部であるスリットに圧入するだけで、接着剤を用いなくても強固に無線タグを収容部に固定することができる。
なお、前記自由面に切り込まれるスリットは、必ずしもタイヤ周方向に切り込まれる必要はなく、加工しやすい方向に切り込めばよい。
また、前記無線タグをスポンジ材の表面から突出することなく埋め込むと、衝撃や振動などに無線タグが直接的に曝されないため耐久性を高めることができる。
しかしながら、前記したように、スポンジ材の表面に無線タグを接着剤等により固着してもよく、この場合にはスポンジ材に加工を施す必要がなく、かつ、無線タグの取り付け位置の自由度を高めることができる。
一方、スポンジ材の体積V2が内腔部の全体積V1の20%を超える場合、ロードノイズの低減効果が頭打ちとなるばかりかコストを増加させたり、空気入りタイヤとリムとの組立体の重量バランスを悪化させたりするおそれがある。このような観点より、スポンジ材の体積V2は、内腔部の全体積V1の10%以下であることがより好ましい。
また、前記「内腔部の全体積V1」は、組立体に正規内圧を充填した無負荷の正規状態において下記式で近似的に求めるものとする。
V1=A×{(Di−Dr)/2+Dr}×π
ここで、上記式中、" A" は前記正規状態の内腔部をCTスキャニングして得られる内腔部の横断面積、" Di" は正規状態でのタイヤ内腔部の最大外径、"
Dr" はリム径、" π" は円周率である。
"INFLATION PRESSURE" とするが、タイヤが乗用車用の場合には、現実の使用頻度などを考慮して一律に200kPaとする。
より好ましくは、スポンジ材の比重が0.010〜0.05、さらに好ましくは0.016〜0.05、特に好ましくは0.016〜0.035である。
なお、前記スポンジ材の比重はJISの第5項の「見かけ密度」に準拠して測定された見かけ密度を比重に換算することにより得られた値である。
スポンジ材の厚さTが30mmを超えると、高速走行時に横倒れが生じやすく、スポンジ材の亀裂が生じやすくなる。一方、スポンジ材の厚さTが小さすぎても、ロードノイズ低減効果が低下する傾向にあるため、このような観点より、スポンジ材の厚さTは、好ましくは10mm以上、より好ましくは15mm以上である。ここで、スポンジ材の厚さTが一定でない場合、最大の厚さTが前記数値範囲を満たすものとする。
特に好ましくは、前記スポンジ材の硬さは20N以上、より好ましくは50N以上、さらに好ましくは80N以上であり、また上限については、好ましくは240N以下、より好ましくは230N以下、特に好ましくは220N以下である。
前記接着剤としては、例えば、合成ゴムを有機溶剤に溶解した溶液型又は水に分散させたラテックス型などの合成ゴム系の液状接着剤が好適である。
また、前記両面粘着テープとしては、例えば織布等のシート状の基材の両面に粘着層を形成したものや、前記基材を有することなく粘着層のみで形成したものなど種々のものが使用される。このような両面粘着テープは、例えばその一方の粘着層をスポンジ材の固着面に貼り付けられとともに、他方の粘着層を剥離紙で覆っておくことにより、必要なときに剥離紙を剥がして簡単にタイヤのリム装着側面あるいは/およびリムの空気入りタイヤ取付側面に貼り付けできる。従って、取扱いが容易となり、かつ貼着作業効率にも優れる点で接着剤より好ましく用いられる。
なお、これらセンサ部はICチップ等の形態で、タイヤ識別用RFIDタグと別個にスポンジ部材に設けた収容部に収容してもよい。
ここで、トレッド領域とはベルト層で補強されている領域をいう。高速走行時の遠心力はタイヤ半径方向外方に向くため、前記のように、前記タイヤ用無線タグ装着部材をトレッド領域のリム装着側面に固着することによって、前記遠心力を利用して前記タイヤ用無線タグ装着部材をタイヤに効果的に押し付け、その動きを拘束することができる。したがって、ロードノイズが大幅に低減され、かつ、無線タグが衝撃や振動などから適切に保護されつつ安定した状態で固定された空気入りタイヤを得ることができる。
特に、前記タイヤ用無線タグ装着部材の固着面のタイヤ幅方向の幅の中心がタイヤ赤道と実質的に揃えられることが好ましい。
前記のように、タイヤ用無線タグ装着部材が固着されたリムと空気入りタイヤとの組立体とすることにより、タイヤ内部での作業が不要となり、リム組み作業能率を高めることができる。したがって、ロードノイズが低減され、かつ、無線タグが衝撃や振動などから適切に保護されながら安定した状態で固定された空気入りタイヤとリムとの組立体を高い作業能率で得ることができる。
図1は、本発明の第一実施形態である空気入りタイヤ10(以下、単に「タイヤ」ということがある。)とリム11との組立体12(以下、単に「組立体」と称す。)のタイヤ回転軸を含む子午線断面図、図2はタイヤの拡大断面図、図3はタイヤ10に固着された本発明のタイヤ用無線タグ装着部材14の拡大図、図4は無線タグ(RFIDタグ16)の構成図である。
なお、スポンジ材15の固着面15aは、タイヤ10のリム装着側面10aとの接着面積が十分に確保されるように、実質的に平滑な面で形成されている。
さらに、スポンジ材15の固着面から自由面までの厚さTは10mm〜30mmとし、本実施形態では20mmとしている。さらに厚さTと幅Wの比T/Wは0.1〜0.7とし、本実施形態では0.2としている。
また、スポンジ材15の硬さは20N〜240Nとし、本実施形態では120Nとしている。引張強度は80kPa〜160kPaとし、本実施形態では110kPaとしている。
また、タイヤ10は、少なくともラジアル構造のカーカス17と、そのタイヤ半径方向外側かつトレッド部10cの内部に配されたベルト層18とで補強されている。カーカス17は、例えば有機繊維コードを用いた1ないし複数枚、本実施形態では1枚のカーカスプライで構成され、その両端部はビードコア19の周りで折り返されている。また前記ベルト層18は、本実施形態ではタイヤ半径方向で重ねられた内、外2枚のベルトプライ18a、18bにより構成される。各ベルトプライ18a、18bは、スチールコードをタイヤ赤道Cに対して例えば10〜30°程度の角度で傾けて配列され、互いにスチールコードが交差する向きに重ね合わされている。タイヤ半径方向内側のベルトプライ18aは、外側のプライ18bよりも幅広で形成されている。
さらに、RFIDタグ16をタイヤ10に直接埋め込まないため、タイヤ10に損傷を与えることがなく、タイヤ10自体の耐久性も高めることができ、タイヤ10に固着されるスポンジ材15により、ロードノイズを大幅に低減することもできる。
このように、無線タグ16をスポンジ材15の表面に取り付けると、その取り付け位置が特定されず任意な位置に設けることができると共に、スポンジ材に収容部を設ける加工が不要となる利点がある。
即ち、RFIDタグ16が収容固定されたスポンジ材15の固着面15aを、リム11のタイヤ取付側面11cに両面粘着テープで接着している。
前記構成によっても、リム11のタイヤ取付側面11cに固着されるスポンジ材15の収容部15cにRFIDタグ16が収容固定されるため、RFIDタグ16は外部の衝撃や振動などから適切に保護されながら安定した状態で固定され、RFIDタグ16の耐久性を向上させることができる。また、タイヤ用無線タグ装着材14が固着されたリム11をタイヤ10に装着するだけで、RFIDタグ16のタイヤ10への取り付けが完了するため、タイヤ内部での作業は不要となり、リム組み作業能率を高めることができる。
(実施例1〜実施例13、比較例1)
図1の基本構成を有し、かつ表1の仕様に基づいた組立体12を試作し、それぞれについてRFIDタグ16の耐久性およびロードノイズ性能をテストした。共通仕様は次の通りである。
タイヤサイズ:195/65R15
リムサイズ:15×6JJ
タイヤ内腔部13の全体積V1:35900cm3
スポンジ材15の断面形状:左右対称の台形状
スポンジ材15のタイヤ周方向の長さL:1850mm
スポンジ材15両端のテーパ部の角度:表1の仕様の通り
スポンジ材15の固着方法:棒状のスポンジ材15を、タイヤ10のリム装着側面10aのトレッド領域に沿わせて湾曲させ両面粘着テープ(日東電工社製「5000NS」)で貼り付けた。
※1:アキレス株式会社
※2:株式会社イノアックコーポレーション
※3:倉敷紡績株式会社
※4:株式会社丸鈴
<耐久性テスト>
各供試組立体12を、下記の条件でドラム(直径1.7m)上を6000km及び12000km走行させ、それぞれの時点において、RFIDタグ16の状態を目視により確認した。保護状態がよく、脱落や損傷等が無かったものを○、保護状態が悪く、脱落や損傷等が見られたものを×として評価した。
内圧:200kPa
荷重:6.5kN(JATMA規定の最大値の1.2倍)
走行速度:80km/h
各供試組立体を、国産2000ccのFF車の全輪に装着して、ロードノイズ計測路(アスファルト粗面路)を速度60km/hで走行させたときの車内騒音を運転席窓側耳許位置に設置したマイクロホンで採取し、240Hz付近の気柱共鳴音のピーク値の音圧レベルを測定した。
評価は、タイヤ用無線タグ装着部材14を固着せず、タイヤ10のリム装着側面10aにRFIDタグ16を直接貼り付けた比較例1を基準とする増減値で表示している。
0(零)表示は基準と同じであること、+(プラス)表示は、ロードノイズが増加していることを意味する。
両面粘着テープを用いてタイヤ用無線タグ装着材14をタイヤ10のリム装着側面10aに貼り付け作業を行い、その難易度を作業者の官能により以下の基準で評価した。
○:良好
△:普通
×:難しい
10a リム装着側面
10b ビード部
10c トレッド部
10d サイドウォール部
11 リム
11a リム本体
11b ディスク
11c タイヤ取付側面
12 空気入りタイヤとリムとの組立体
13 内腔部
14 タイヤ用無線タグ装着部材
15 スポンジ材
15a 固着面
15b 自由面
15c 収容部
16 RFIDタグ
16a センサ部
16b1、16b2 記録部
16c 信号送信部
17 カーカス
18 ベルト層
19 ビードコア
Claims (5)
- 空気入りタイヤ(10)とリム本体(11a)で囲む内腔部(13)に面する前記空気入りタイヤの内腔側面あるいは前記リム本体の内腔側面が、無線タグ取付用のスポンジ材(15)の固着面とされ、該固着面に一面が固着されるスポンジ材(15)の反対面が内腔部(13)の空間に臨む自由面(15b)とされ、
前記スポンジ材(15)は自由面(15b)の表面に浅底の凹部からなる収容部(15c)が設けられ、該収容部(15c)にタイヤ内部状態検出部あるいは/及び少なくともタイヤ識別情報の記録部を備えた無線タグ(16)が水平方向で挿入されて接着剤で固着され、あるいは、前記自由面(15b)の開口から固着部側へと切り込まれたスリットが収容部(15c)とされ、該収容部(15c)に前記無線タグ(16)が圧入固定され、 かつ、前記無線タグ(16)は前記スポンジ材(15)の自由面(15b)の表面から突出することなく埋め込まれており、
前記スポンジ材(15)は、前記内腔部(13)の全体積V1の0.4〜20%の体積V2を有し、さらに、前記固着面(15a)から自由面(15b)までの厚さTが10mm〜30mm、比重が0.005〜0.06とされていることを特徴とするタイヤ用無線タグ装着部材。 - 前記スポンジ材(15)は、加水分解性を有するエーテル系のポリウレタンスポンジあるいはハロゲン原子を含まないスポンジ材から形成され、かつ、硬さ20〜240N、引張強度は80kPa〜160kPa、前記厚さTと幅Wとの比(T/W)が0.7以下とされている請求項1に記載のタイヤ用無線タグ装着部材。
- 前記無線タグ(16)は、
タイヤ内部温度やタイヤ内圧等の前記タイヤ内部状態を検出するセンサ部、
タイヤの製造メーカー、製造工場、製造年月日等の各タイヤをタイヤ毎に特定できるタイヤ固有識別情報の記録部、あるいは/および該タイヤの走行距離、急制動回数、急発信回数あるいは/および急旋回回数のタイヤ履歴情報を書き換え可能とした記録部を備え、 前記センサ部あるいは/および前記記録部からの信号を、車体側に搭載されるアンテナで受信可に送信する信号送信部を備えているRFIDタグからなる請求項1または請求項2に記載のタイヤ用無線タグ装着部材。 - 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のタイヤ用無線タグ装着部材(14)が、空気入りタイヤ(10)のトレッド部(10c)の内腔側面に固着されていることを特徴とする空気入りタイヤ。
- 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のタイヤ用無線タグ装着部材(14)が、空気入りタイヤ(10)に装着したリム(11)の内腔側面(11c)に固着されていることを特徴とする空気入りタイヤとリムとの組立体。
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