JPWO2011001891A1 - (メタ)アクリル酸の製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、晶析器における加熱から冷却の切り替えを効率的に行うことにより製造効率が改善された(メタ)アクリル酸の製造方法を提供することを目的とする。本発明に係る(メタ)アクリル酸の製造方法は、回分式の晶析器を用いて、粗(メタ)アクリル酸溶液を結晶化する工程と、得られた(メタ)アクリル酸結晶を融解する工程を含み;(メタ)アクリル酸融解液を晶析器から移送している間に、次の結晶化工程のために晶析器の事前冷却を開始することを特徴とする。

Description

本発明は、(メタ)アクリル酸を製造するための方法に関するものである。
(メタ)アクリル酸は、一般的に、接触気相酸化反応により得られる(メタ)アクリル酸含有ガスを凝縮塔または捕集塔に導いて粗(メタ)アクリル酸溶液とし、さらに精製することにより製造される。かかる精製方法としては、蒸留や放散、抽出などの他に晶析が用いられる。
接触気相酸化反応により得られた(メタ)アクリル酸含有ガスには、(メタ)アクリル酸に加え、原料化合物の他、酢酸や二量体などの副成分が混入している。よって、単回の精製では十分に純度の高い(メタ)アクリル酸を得ることは困難であり、様々な手段による精製を組合わせたり、或いは同一の精製手段を繰り返す必要がある。
例えば特許文献1〜2に開示されている技術では、アクリル酸などを複数回晶析精製している。これら技術では、各晶析精製ステージに応じたタンクを設け、各タンクに貯留した化合物を次段階の晶析の原料に用いている。この様に、晶析精製を複数回繰り返す場合には、各ステージで得られた化合物が前ステージの化合物、即ち不純物をより多く含むものと混合されないようにしている。それに対して、晶析器はタンクより構造が複雑で高価であることから、その数は晶析回数と同じである場合はあるものの、通常、各晶析精製ステージごとに晶析器が設けられているわけではない。例えば特許文献1〜2の図では、タンクは晶析回数に応じて複数存在するのに対して、晶析器は一つのみである。
よって、晶析器の運転はできる限り効率的にする必要がある。しかしながら特許文献1〜2には、晶析精製を効率的に行うための晶析器の具体的な運転条件が全く記載されていない。
また、晶析精製においては、(メタ)アクリル酸を単に結晶化するのみならず、移送の簡便性から得られた結晶を融解するのが一般的である。つまり晶析器においては、(メタ)アクリル酸を粗(メタ)アクリル酸溶液から結晶化するための冷熱と、(メタ)アクリル酸結晶を融解するための温熱の両方が必要となる。
特開昭53−41637号公報 特開平9−155101号公報
上述したように、(メタ)アクリル酸の製造では、接触気相酸化反応により得られる(メタ)アクリル酸含有ガスには多くの不純物が含まれるため、晶析精製などを複数回繰り返す必要があった。それにもかかわらず、晶析器の加熱と冷却を効率的に行うための工夫は、これまで十分に検討されていたとはいえない。
その一方で、近年の高齢化などを反映してか、オムツなどに利用される吸水性樹脂の原料である(メタ)アクリル酸の需要は益々増大している。よって、(メタ)アクリル酸をより一層効率的に製造するための技術が求められている。
そこで本発明は、晶析器における加熱から冷却の切り替えを効率的に行うことにより製造効率が改善された(メタ)アクリル酸の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を進めた。その結果、晶析器において、(メタ)アクリル酸結晶を融解するために必要な温熱媒から、(メタ)アクリル酸を結晶化するために必要な冷熱媒への切り替えを、晶析器から融解液を移送している間に開始することにより融解工程から結晶化工程への移行を速やかにできることを見出して、本発明を完成した。
本発明に係る(メタ)アクリル酸の製造方法は、回分式の晶析器を用いて、粗(メタ)アクリル酸溶液を結晶化する工程と、得られた(メタ)アクリル酸結晶を融解する工程を含み;(メタ)アクリル酸融解液を晶析器から移送している間に、次の結晶化工程のために晶析器の事前冷却を開始することを特徴とする。
図1は、本発明に係る(メタ)アクリル酸の製造方法を実施するための晶析器、およびその周辺設備を模式的に示す図である。図1中、1は晶析器を示し、2は晶析管を示し、3は粗(メタ)アクリル酸供給口を示し、4は熱媒供給口を示し、5は熱媒排出口を示し、6は循環供給ポンプを示し、7はバルブを示し、8は中間貯留タンクを示し、9は移送ポンプを示し、10はバルブを示し、11は各晶析精製ステージの母液タンクへのラインを示し、12はバルブを示し、13は各晶析精製ステージの(メタ)アクリル酸タンクへのラインを示す。
以下、本発明方法を実施の順番に従って説明する。
本発明方法は、回分式の晶析器を用いて、粗(メタ)アクリル酸溶液を結晶化する工程を含む。
粗(メタ)アクリル酸溶液は、目的化合物である(メタ)アクリル酸に加えて不純物を含むものであれば、特に制限されない。例えば、接触気相酸化反応により得られた(メタ)アクリル酸含有ガスを、捕集液に接触させるか或いは凝縮することにより得られる粗(メタ)アクリル酸溶液を挙げることができる。(メタ)アクリル酸含有ガスを捕集液に接触させるか或いは凝縮することにより得られる粗(メタ)アクリル酸溶液には、(メタ)アクリル酸や未反応原料の他、水、酢酸、プロピオン酸、マレイン酸、アセトン、アクロレイン、フルフラール、ホルムアルデヒドなどの副生不純物が含まれている。
また、より高純度の(メタ)アクリル酸を得るために、いったん晶析精製を経て得られた(メタ)アクリル酸の融解液を晶析器へ供給し、さらに晶析精製を繰り返してもよい。即ち、本発明においては、晶析精製を2回以上繰り返し実施してもよい。なお、本発明では、晶析精製を1回以上経た(メタ)アクリル酸であっても、さらなる晶析精製のための晶析器へ供給される場合には、便宜上、粗(メタ)アクリル酸というものとする。
本発明方法では、晶析器を使って(メタ)アクリル酸を晶析精製するが、晶析器の種類は特に制限されない。但し、本発明では同一の晶析器において融解工程から結晶化工程への移行を効率的に行うことを目的としていることから、(メタ)アクリル酸の結晶化と当該結晶の融解の両方を行える晶析器を用いる。例えば、伝熱面を有しており、伝熱面での熱交換によって、(メタ)アクリル酸を結晶化したり融解できる晶析器を挙げることができる。この場合、晶析器の内部は、伝熱面によって、冷熱媒または温熱媒が供給される部分(熱媒存在部)と、粗(メタ)アクリル酸溶液および/または(メタ)アクリル酸結晶が存在する部分(結晶化物存在部)とに区分されていることが好ましい。かかる晶析器では、粗(メタ)アクリル酸溶液は伝熱面上を流下しながら結晶化される、いわゆる動的結晶化を行うことができる。
晶析器が伝熱面を有するものである場合、伝熱面上での熱交換によって、結晶化工程では粗(メタ)アクリル酸溶液から(メタ)アクリル酸が結晶化し、融解工程では結晶化した(メタ)アクリル酸が融解される。詳細には、結晶化工程では、晶析器に冷熱媒が供給されると共に、晶析器に(メタ)アクリル酸含有溶液が供給され、伝熱面を介して冷熱媒により粗(メタ)アクリル酸溶液が冷却され、(メタ)アクリル酸が結晶化する。融解工程では、晶析器に温熱媒が供給され、結晶化した(メタ)アクリル酸それ自体が伝熱面を介して温熱媒により加温されるか、或いは循環供給された(メタ)アクリル酸融解液の熱で加温されることにより融解する。
伝熱面を有する晶析器としては、一般に熱交換器として用いられる装置を採用することができ、特に液体同士で熱交換を行う熱交換器として用いられる装置を採用することが好ましい。例えば、一枚のプレートが配置され、または複数枚のプレートが間隔を隔てて積層され、熱媒存在部と結晶化物存在部とがプレートを介して交互に配置されたプレート式熱交換器;複数本の管が容器内に配列され、管の内外で熱交換を行う多管式(シェル・アンド・チューブ式)熱交換器;外管の中に内管が配置され、内管の内外で熱交換を行う二重管式熱交換器などを採用することができる。なお、多管式熱交換器や二重管式熱交換器で用いられる管の断面形状は特に限定されない。
より具体的には、例えばBEFSPROKEM社(フランス)の静的晶析器や、SulzerChemtech社(スイス)の動的晶析器を用いることができる。好適には、結晶と母液を容易に分離できることから、動的晶析器を用いる。また、本発明方法は、晶析器に粗(メタ)アクリル酸溶液を回分式に循環供給し、落下被膜状に流下させながら結晶化を行う方法(FallingFilm形式)へ好適に適用できる。
アクリル酸の融点は13.5℃であり、メタクリル酸の融点は16℃である。結晶化工程においては、粗(メタ)アクリル酸溶液は不純物を含むことから(メタ)アクリル酸の凝固点はこれら融点よりも低くなるものの、十分に冷却することにより、(メタ)アクリル酸を結晶化させる。この冷却は、段階的に行ってもよい。即ち、化合物の結晶の純度は、比較的低い温度で短時間で得られたものよりも、比較的高い温度で時間をかけて得られたものの方が高いといえる。また、結晶化初期の結晶純度を高めれば、その後に成長する結晶の純度も高められることが知られている。そこで、結晶化初期における粗(メタ)アクリル酸溶液の冷却温度は比較的高くし、純度の高い結晶を得た後、冷却温度を低くして結晶を十分に成長させることも可能である。
結晶化工程後においては、(メタ)アクリル酸結晶と溶液(母液)を分離する。動的晶析器を用いた場合、伝熱面上で動的結晶化が起こり、結晶は伝熱面上で成長するのに対して溶液(母液)は伝熱面から排出される。
結晶化工程により得られた(メタ)アクリル酸は、融解工程に付す。この融解工程は、(メタ)アクリル酸を液状にして移送を容易にしたり、結晶を晶析器から排出するためのものであるが、純度を高めるための発汗操作を任意に実施してもよいものとする。
結晶化工程においては、(メタ)アクリル酸の結晶化が進行するにつれて溶液中に存在する不純物の量が相対的に増えるため、(メタ)アクリル酸結晶の表面には不純物が付着する場合がある。そこで、(メタ)アクリル酸結晶の表面を部分的に融解し、融解部分を排出することにより、結晶の純度を高めることが可能になる。かかる部分的な融解処理を発汗操作という。
発汗操作を実施するには、晶析器へ導入する熱媒を冷熱媒から温熱媒に切り替えて晶析した(メタ)アクリル酸結晶を部分融解すればよい。例えばアクリル酸結晶を発汗操作に付す場合には、温熱媒の温度を(メタ)アクリル酸の融点以上とし、結晶の1質量%以上、10質量%以下程度を融解させ、融解液を排出すればよい。この際、(メタ)アクリル酸結晶に不純物がさらに付着しないよう、母液の循環は止めるようにする。なお、結晶の融解程度は、例えば晶析器の貯留部における液体の増分より推定することができる。
発汗操作で得られた部分融解液は、結晶化工程の母液と合わせ、別途同段階(同回数目)以前の晶析精製を行う場合に粗(メタ)アクリル酸と混合して結晶化工程に付すことができ、好ましくは同段階よりも1回少ない段階の晶析精製を行う場合に粗(メタ)アクリル酸と混合して結晶化工程に付す。
図1を参照しつつ説明すれば、結晶化工程の母液は、晶析器1の下部の貯留部へ溜まる。発汗操作を行った場合には、部分融解液も当該貯留部へ溜まる。これら母液と部分融解液の混合物は、バルブ7を開けることにより中間貯留タンク8へ移送される。さらに、バルブ10を開け、ポンプ9を作動させることにより、当該混合物を各晶析精製ステージの母液タンクへ移送する。当該混合物には(メタ)アクリル酸が含まれているため、粗(メタ)アクリル酸と混合し、別途晶析精製を行うことにより収率を向上させることができる。
結晶化工程後、または任意に発汗操作を実施した後には、晶析器より母液および/または部分融解液を完全に排出してから熱媒の温度を上げ、(メタ)アクリル酸結晶を完全に融解する。かかる融解は、(メタ)アクリル酸結晶を融点以上に温めることにより実施すればよい。結晶化工程と同様に、それぞれ温度の異なる温熱媒を複数用い、融解工程を段階的に実施することも可能である。また、融解工程においては、(メタ)アクリル酸の融解液を循環供給してもよい。当該融解液を晶析管へ供給することにより、その熱で結晶の融解を促進することが可能になる。
図1において、融解工程終了後は、晶析管2に存在する(メタ)アクリル酸結晶は完全に融解され、融解液が晶析器1下部の貯留部へ溜まる。当該融解液は、バルブ7を開けることにより中間貯留タンク8へ移送される。さらに、バルブ12を開け、ポンプ9を作動させることにより、当該混合物を各晶析精製ステージの(メタ)アクリル酸タンクへ移送する。当該(メタ)アクリル酸は、その純度が十分でなければ、さらなる晶析精製ステージの粗(メタ)アクリル酸として用いてもよい。純度が十分であれば、そのまま製品としてもよい。
以上で説明した晶析精製は、より高純度の(メタ)アクリル酸を得るために、2回以上繰り返してもよい。好適には、晶析精製を1回以上、6回以下、より好ましくは2回以上、5回以下、さらに好ましくは3回以上、5回以下行うことができる。
晶析精製を2回以上繰り返す場合には、通常、各晶析精製段階で精製された(メタ)アクリル酸を貯留しておくためのタンクをそれぞれ設け、次段階の晶析精製原料として用いるに十分溜まるまで貯留する。
特に晶析精製を複数回繰り返す場合には、(メタ)アクリル酸の純度は向上し、また、(メタ)アクリル酸含有ガスから捕集または凝縮により溶液とする際に添加した重合防止剤の濃度は晶析精製により低下するので、その分重合し易くなる。その上、融解工程では加熱により重合の可能性が高まる。そこで融解工程では、重合防止剤を用いることが好ましい。
重合防止剤としては、2,2,6,6−テトラメチルピペリジノ−1−オキシルなどのN−オキシル化合物;p−メトキシフェノールなどのフェノール化合物;酢酸マンガンなどのマンガン塩化合物;ジブチルジチオカルバミン酸銅などのジアルキルジチオカルバミン酸塩化合物;ニトロソ化合物;アミン化合物;フェノチアジン化合物などを挙げることができる。上記のうち、N−オキシル化合物、フェノール化合物およびマンガン塩化合物よりなる群から選択される一種以上の重合防止剤を用いた場合には、色調がより優れた十分に高品質の(メタ)アクリル酸を得ることができる。なお、重合防止剤は、一種のみ用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
重合防止剤は、そのまま(メタ)アクリル酸融解液などへ投入してもよいし、その溶液を添加してもよい。当該溶液の溶媒としては、(メタ)アクリル酸溶解液、水、酢酸などを用いることができ、これらの中でも(メタ)アクリル酸溶解液が好適である。
本発明で用いる晶析器は回分式のものであるので、各晶析精製ステージで精製された(メタ)アクリル酸は、別の晶析精製を行う前に、ステージに応じたタンクへ晶析器から移送しなければならない。しかし、特に工業的な大量生産においては、かかる移送には時間がかかる。また、晶析器では晶析精製が繰り返し実施される。より詳しくは、同じステージの晶析精製が繰り返し行われることもあるし、異なるステージの晶析精製が行われることもある。いずれにせよ、一つの晶析器において結晶化工程と融解工程が交互に実施されることになる。そのため、晶析器の冷却と加熱を交互に行う必要がある。しかし、従来、かかる冷却と加熱の切り替えを効率的に行うための工夫はされてこなかった。
本発明においては、融解工程において(メタ)アクリル酸結晶を加熱することにより得られた融解液を、晶析装置から貯留タンクへ移送している間に、次の結晶化工程のために晶析装置の事前冷却を開始する。即ち、(メタ)アクリル酸結晶の融解が完全に終了した後であっても、その直後の晶析器には加温のための温熱媒が残存している。よって、次の結晶化工程のために温熱媒を冷熱媒に切り替えて晶析器への冷熱媒の供給を開始しても、晶析器は直ぐに冷却されるわけではない。より具体的には、結晶の融解後に晶析器へ冷熱媒の供給を開始しても、残存温熱媒や残熱のために、晶析器の熱媒供給口における熱媒温度と熱媒排出口における熱媒温度は大きく異なる。熱媒排出口の熱媒温度は、冷熱媒の供給により下がり続けるが、安定化するまでには時間がかかる。本発明では、晶析器からの(メタ)アクリル酸融解液の移送と晶析器の冷却を並行して行う時間を設けることで、製造効率を向上させる。
本発明において、事前冷却とは、結晶化工程のために粗(メタ)アクリル酸を晶析器へ導入する前に晶析器の冷却を開始し、その温度を、次の結晶化開始時の熱媒温度程度まで下げておくことをいう。より具体的には、融解工程の終了後、次の結晶化工程のために晶析器へ供給する熱媒を温熱媒から冷熱媒へ切り替え、晶析器へ導入される冷熱媒の温度が結晶化工程用の供給冷熱媒温度程度、好ましくは結晶化工程用の供給冷熱媒温度の±5℃以内となるようにしておくことをいう。なお、融解工程から結晶化工程の間においては、晶析管内には(メタ)アクリル酸溶液や結晶は存在しないため、熱媒供給口の熱媒温度は、晶析器の温度とほぼ同等とみなすことができる。
より好適には、事前冷却が完了するまでに、(メタ)アクリル酸融解液の晶析器からの移送を完了させる。即ち、(メタ)アクリル酸融解液を晶析器から移送している間に次の結晶化工程のために晶析器の事前冷却を開始し、事前冷却が完了するまでに、(メタ)アクリル酸融解液の晶析器からの移送を完了させ、さらに晶析器の貯留部へ次の結晶化工程の原料となる粗(メタ)アクリル酸の供給を開始する。その結果、事前冷却が完了した直後から、晶析器貯留部の粗(メタ)アクリル酸の循環供給を開始することにより、効率的に次の結晶化工程の開始が可能となる。なお、晶析器の貯留部へ循環供給するに十分な粗(メタ)アクリル酸が存在していれば、所定量の粗(メタ)アクリル酸を晶析器貯留部へ導入する途中であっても、循環供給、即ち結晶化工程を開始してもよい。
好適には、融解工程後、晶析器の貯留部に貯留された(メタ)アクリル酸融解液の50%以上、90%以下が晶析器から移送された時点で、晶析器の事前冷却を開始する。(メタ)アクリル酸融解液の90%以下が晶析器から移送された時点で事前冷却を開始すれば、融解工程から結晶化工程への移行を十分効率的に行うことができる。一方、当該割合が50%未満の時点で事前冷却を開始すると、晶析器からの(メタ)アクリル酸融解液の移送が完了した直後に晶析器への粗(メタ)アクリル酸溶液の導入を開始しても、事前晶析が完了した時点において、晶析器貯留部には循環供給するに十分な粗(メタ)アクリル酸溶液が導入されておらず、融解工程から結晶化工程への移行が効率的に行えないおそれがあり得る。
以上のとおり、本発明方法では、融解液の移送と晶析器の事前冷却を並行して行う時間を設け、晶析器における融解工程から結晶化工程に移行する際における空白時間をできるだけ短縮することにより、(メタ)アクリル酸の製造効率を高めることが可能になる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例により制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
実施例1
(1) 粗アクリル酸溶液の製造
反応器内でプロピレンを接触気相酸化反応に付し、得られた反応ガスを捕集塔に導入して捕集液と接触させ、捕集塔の塔底より粗アクリル酸溶液を得た。得られた粗アクリル酸溶液を分析したところ、アクリル酸90.0質量%、水3.2質量%、酢酸1.9質量%、マレイン酸0.6質量%、アクリル酸二量体1.5質量%、フルフラール0.07質量%、ベンズアルデヒド0.27質量%、ホルムアルデヒド0.06質量%、ハイドロキノン0.1質量%、その他の不純物2.3質量%を含んでいた。また、このときの捕集塔塔底温度、即ち捕集塔より取り出された直後における粗アクリル酸溶液の温度は、91℃であった。
粗アクリル酸溶液の温度を熱交換器により約25℃に調節した後、図1に模式的に示す晶析器1の貯留部へ供給した。晶析器1は、より具体的には、粗アクリル酸溶液を循環供給ポンプ6により貯留部から上部へ循環供給できるようになっている。循環供給するための管は、長さ6m、内径70mmの金属管である。上部に供給された粗アクリル酸溶液は、晶析管2の内壁を被膜状に落下する。晶析管2の表面は二重ジャケットから構成され、熱媒供給口4から供給され熱媒排出口5から排出される熱媒により温度制御される。晶析管2を経た粗アクリル酸は、貯留部でいったん貯留されてから連続的に上部へ循環供給される。
(2) 第1晶析精製
上記晶析器へ、冷熱媒を供給し、晶析器1の熱媒供給口4付近における冷熱媒の温度が結晶化工程の開始温度の±5℃以内となった後、貯留部の粗アクリル酸溶液の循環供給を開始した。貯留部における粗アクリル酸溶液量から晶析管2の内壁に晶析した結晶の量を推定し、原料粗アクリル酸溶液に含まれる粗アクリル酸の約60〜90質量%が結晶化するまで循環を継続した。
次いで、循環供給ポンプ6を停止させ、熱媒を温熱媒に切り替え、結晶の約2〜5質量%を発汗させた。発汗量は、貯留部における粗アクリル酸溶液の増分から推定した。その後、バルブ7を開け、貯留部の発汗液と結晶化時の母液とを中間貯留タンク8に移送し、さらにバルブ12を開け、第1母液タンクへ移送した。
次に、晶析管2の内壁表面の結晶の融解を開始した。融解の開始から、ポンプ6により融解液を晶析器1の上部に循環供給し、晶析管内のアクリル酸結晶上を流下させることにより結晶の融解を促進した。結晶が完全に融解した後、バルブ7を開け、貯留部に存在する融解液の中間貯留タンク8への移送を開始した。全融解液の約70%が移送された時点で、晶析器1へ供給する温熱媒を冷熱媒に切り替え、融解液の移送と晶析管2の冷却を並行して行った。晶析器1の熱媒供給口4付近における冷熱媒の温度が結晶化工程の開始温度の±5℃以内になるまでに、全ての融解液の移送を完了させた。その後、バルブ10を開け、第1アクリル酸タンクへ移送した。
(3) 第2晶析精製
晶析器1から全ての融解液の移送を完了させてから直ぐに、第1アクリル酸タンクのアクリル酸の全量を上記晶析器1へ供給し、上記第1晶析精製と同様に晶析精製を行った後、アクリル酸を第2アクリル酸タンクへ移送した。なお、熱媒供給口4付近における冷熱媒の温度が結晶化工程の開始温度の±5℃以内になった時点において、晶析器1の貯留部には十分量の粗アクリル酸がたまっており、速やかに粗アクリル酸の循環供給を開始することができ、第2晶析精製へ効率的に移行することが可能であった。
(4) 第3晶析精製
晶析器1から全ての融解液の移送を完了させてから直ぐに、第2アクリル酸タンクのアクリル酸の全量を上記晶析器1へ供給し、上記第1晶析精製と同様に晶析精製を行った。但し、融解工程においては、重合防止剤であるp−メトキシフェノールの5質量%アクリル酸溶液を晶析器1の貯留部へ投入し、晶析管中のアクリル酸結晶上を流下させた。得られたアクリル酸を第3アクリル酸タンクへ移送した。
(5) 第4晶析精製
晶析器1から全ての融解液の移送を完了させてから直ぐに、第3アクリル酸タンクのアクリル酸の全量を上記晶析器1へ供給し、上記第3晶析精製と同様の条件で晶析精製を行った後、アクリル酸を第4アクリル酸タンクへ移送した。
得られた精製アクリル酸を分析したところ、アクリル酸の純度は99.94質量%であり、その他に、水94質量ppm、酢酸440質量ppm、マレイン酸2質量ppm、アクリル酸二量体47質量ppm、フルフラール0.2質量ppm、ベンズアルデヒド0.1質量ppmを含み、ホルムアルデヒドは検出されなかった。また、第1晶析精製から第4晶析精製を通じての製造効率は3.68kg/時であった。
比較例1
第1晶析精製後、晶析器1内のアクリル酸の全量を中間貯留タンク8へ移送してから、晶析器1へ供給する温熱媒を冷熱媒に切り替えて晶析管2の冷却を開始した以外は上記実施例1と同様にして、アクリル酸を精製した。
得られた精製アクリル酸を分析したところ、アクリル酸の純度は99.94質量%であり、その他に、水92質量ppm、酢酸460質量ppm、マレイン酸2質量ppm、アクリル酸二量体51質量ppm、フルフラール0.3質量ppm、ベンズアルデヒド0.2質量ppmを含み、ホルムアルデヒドは検出されなかった。また、第1晶析精製から第4晶析精製を通じての製造効率は3.32kg/時であった。
以上のとおり、融解工程により融解したアクリル酸の全量を晶析器から移送してから次の結晶化工程の準備、即ち晶析器の冷却を開始した場合では、製造効率は劣ったものとなる。それに対して、アクリル酸融解液の晶析器からの移送中に晶析器の冷却を開始すれば、得られる精製アクリル酸の純度はほとんど変わらないものの、製造効率は明らかに向上していた。
よって、本発明方法によれば、(メタ)アクリル酸をより一層効率良く製造できることが実証された。
本発明方法によれば、晶析により(メタ)アクリル酸を精製するに当たり、融解工程から結晶化工程への移行を速やかにすることができる。また、本発明の実施に当たっては、特に設備を追加する必要は無い。よって本発明方法は、(メタ)アクリル酸の製造効率を改善できるものとして、産業上極めて有用である。

Claims (3)

  1. (メタ)アクリル酸を製造するための方法であって;
    回分式の晶析器を用いて、粗(メタ)アクリル酸溶液を結晶化する工程と、得られた(メタ)アクリル酸結晶を融解する工程を含み;
    (メタ)アクリル酸融解液を晶析器から移送している間に、次の結晶化工程のために晶析器の事前冷却を開始することを特徴とする(メタ)アクリル酸の製造方法。
  2. 事前冷却が完了するまでに、(メタ)アクリル酸融解液の晶析器からの移送を完了させる請求項1に記載の製造方法。
  3. 融解工程後、得られた(メタ)アクリル酸融解液の50%以上、90%以下が晶析器から移送された時点で晶析器の事前冷却を開始する請求項1または2に記載の製造方法。
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