JPWO2010125696A1 - 火花点火式内燃機関 - Google Patents

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Abstract

本発明の火花点火式内燃機関は、機械圧縮比を変更可能な可変圧縮比機構(A)と、吸気弁の閉弁時期を制御可能な可変バルブタイミング機構(B)と、EGR通路を介して排気ガスの一部をEGRガスとして再び燃焼室内に供給するEGR機構(23、24、25)とを具備する。火花点火式内燃機関では、機関低負荷運転時には機関高負荷運転時に比べて機械圧縮比が高くされると共に、EGR率が高くなるほど実圧縮比が高められる。

Description

本発明は、火花点火式内燃機関に関する。
機械圧縮比を変更可能な可変圧縮比機構と、吸気弁の閉弁時期を制御可能な可変バルブタイミング機構とを具備し、燃焼室内に供給される吸入空気量が主に吸気弁の閉弁時期を変えることによって制御され、機関低負荷運転時には機関高負荷運転時に比べて機械圧縮比が高くされる火花点火式内燃機関が知られている(例えば、特許文献1)。
特に、理論熱効率には実圧縮比よりも膨張比の方が熱効率に与える影響が大きいことから、特許文献1に記載された火花点火式内燃機関では、機関低負荷運転時において実圧縮比を低く維持しつつ、機械圧縮比を例えば20以上の高い値としている。これにより、特許文献1に記載された火花点火式内燃機関では、理論熱効率が極めて高いものとされ、これに伴って燃費が大きく改善されている。
特開2007−303423号公報
ところで、特許文献1に記載された火花点火式内燃機関には、EGR通路を介して排気ガスの一部をEGRガスとして再び燃焼室内に供給するEGR機構が設けられていない。したがって、特許文献1の記載からは、機関低負荷運転時において実圧縮比を低く維持しつつ機械圧縮比を高めるようにした火花点火式内燃機関にEGR機構を用いた場合に理論熱効率を高められるか否かは不明である。
そこで、上記問題に鑑みて、本発明の目的は、可変圧縮比機構と可変バルブタイミング機構とを具備し、機関低負荷運転時には機関高負荷運転時に比べて機械圧縮比が高くされる火花点火式内燃機関において、EGR機構、可変圧縮比機構及び可変バルブタイミング機構を適切に制御することで理論熱効率を高め、燃費を改善することにある。
本発明は、上記課題を解決するための手段として、請求の範囲の各請求項に記載された内燃機関の制御装置を提供する。
本発明の1番目の態様では、機械圧縮比を変更可能な可変圧縮比機構と、吸気弁の閉弁時期を制御可能な可変バルブタイミング機構と、EGR通路を介して排気ガスの一部をEGRガスとして再び燃焼室内に供給するEGR機構とを具備し、機関低負荷運転時には機関高負荷運転時に比べて機械圧縮比が高くされる、火花点火式内燃機関において、EGR率が高くなるほど実圧縮比を高めるようにした。
一般に、EGR率が高くなるほどノック耐性(ノッキングしにくさ)が高くなる。このため、EGR率が高い場合には実圧縮比を高くしてもノッキングが発生しにくい。1番目の態様によれば、EGR率が高くなるほど実圧縮比が高められており、これにより理論熱効率が高められる。
本発明の2番目の態様では、機関低負荷運転時には機械圧縮比を高めることによって実圧縮比が高められる。
本発明の3番目の態様では、機関中負荷運転時には吸気弁の閉弁時期を進角させることによって実圧縮比が高められる。
本発明の4番目の態様では、機関中負荷運転時には吸気弁の閉弁時期を進角させることに加えて機械圧縮比を高めることによって実圧縮比が高められる。
本発明の5番目の態様では、機関低中負荷運転時には上記EGR機構によりEGRガスが燃焼室内に供給せしめられる。
本発明の6番目の態様では、機関中高負荷運転時において、吸気弁の閉弁時期は、機関負荷が高くなるにつれて、進角側限界閉弁時期まで進角せしめられる。
本発明の7番目の態様では、機関中高負荷運転時において、吸気弁の閉弁時期が進角側限界閉弁時期に達したときの機関負荷よりも負荷の低い領域では燃焼室内に供給される吸入空気量が吸気弁の閉弁時期を変えることによって制御される。
本発明の8番目の態様では、機関中高負荷運転時において、吸気弁の閉弁時期が進角側限界閉弁時期に達したときの機関負荷よりも負荷の低い領域では、機関負荷が高くなるほどEGR率が高くせしめられる。
本発明の9番目の態様では、機関中高負荷運転時において、吸気弁の閉弁時期が進角側限界閉弁時期に達したときの機関負荷よりも負荷の低い領域では、機関負荷が高くなるほどスロットル弁の開度が小さくせしめられる。
本発明の10番目の態様では、機関中高負荷運転時において、吸気弁の閉弁時期が進角側限界閉弁時期に達したときの危難負荷よりも負荷の低い領域では、機関負荷にかかわらずにEGR率がほぼ一定に保持される。
本発明の11番目の態様では、機関中高負荷運転時において、吸気弁の閉弁時期が進角側限界閉弁時期に達したときの機関負荷よりも負荷の低い領域では機関負荷にかかわらずにスロットル弁の開度が全開よりも閉じられたほぼ一定の開度に保持される。
本発明の12番目の態様では、吸気弁の閉弁時期が進角側限界閉弁時期に達したときの機関負荷よりも負荷の高い領域では、吸気弁の閉弁時期が進角側限界閉弁時期に保持される。
本発明の13番目の態様では、吸気弁の閉弁時期が進角側限界閉弁時期に達したときの機関負荷よりも負荷の高い領域では、機関負荷が高くなるにつれてスロットル弁の開度が大きくされる。
本発明の14番目の態様では、吸気弁の閉弁時期が進角側限界閉弁時期に達したときの機関負荷よりも負荷の高い領域では、燃焼室内に供給される吸入空気量がスロットル弁の開度を変えることによって制御される。
本発明の15番目の態様では、機関低負荷運転時において、吸気弁の閉弁時期は、機関負荷が低くなるにつれて、燃焼室内に供給される吸入空気量を制御しうる遅角側限界閉弁時期まで遅角せしめられる。
本発明の16番目の態様では、吸気弁の閉弁時期が遅角側限界閉弁時期に達したときの機関負荷よりも負荷の低い領域では、燃焼室内に供給される吸入空気量がスロットル弁の開度を変えることによって制御される。
本発明の17番目の態様では、機関低負荷運転時には機械圧縮比が最大機械圧縮比とされる。
本発明の18番目の態様では、機関低負荷運転時には膨張比が20以上とされる。
図1は、火花点火式内燃機関の全体図である。
図2は、可変圧縮比機構の分解斜視図である。
図3A及び図3Bは、図解的に表した内燃機関の側面断面図である。
図4は、可変バルブタイミング機構を示す図である。
図5A及び図5Bは、吸気弁および排気弁のリフト量を示す図である。
図6A〜図6Cは、機械圧縮比、実圧縮比および膨張比を説明するための図である。
図7は、理論熱効率と膨張比との関係を示す図である。
図8A及び図8Bは、通常のサイクルおよび超高膨張比サイクルを説明するための図である。
図9は、機関負荷に応じた機械圧縮比等の変化を示す図である。
図10は、EGR率と実圧縮比との関係を示す図である。
図11は、機関負荷に応じた機械圧縮比等の変化を示す図である。
図12は、火花点火式内燃機関の運転制御の制御ルーチンを示すフローチャートである。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同様な構成要素には同一の参照番号を付す。
図1に火花点火式内燃機関の側面断面図を示す。
図1を参照すると、1はクランクケース、2はシリンダブロック、3はシリンダヘッド、4はピストン、5は燃焼室、6は燃焼室5の頂面中央部に配置された点火プラグ、7は吸気弁、8は吸気ポート、9は排気弁、10は排気ポートをそれぞれ示す。吸気ポート8は吸気枝管11を介してサージタンク12に連結され、各吸気枝管11にはそれぞれ対応する吸気ポート8内に向けて燃料を噴射するための燃料噴射弁13が配置される。なお、燃料噴射弁13は各吸気枝管11に取付ける代りに各燃焼室5内に配置してもよい。
サージタンク12は吸気ダクト14を介してエアクリーナ15に連結され、吸気ダクト14内にはアクチュエータ16によって駆動されるスロットル弁17と例えば熱線を用いた吸入空気量検出器18とが配置される。一方、排気ポート10は排気マニホルド19を介して例えば三元触媒を内蔵した触媒コンバータ20に連結され、排気マニホルド19内には空燃比センサ21が配置される。なお、以下の説明では、スロットル弁17下流の吸気ダクト14、サージタンク12、吸気枝管11、吸気ポート8をまとめて吸気管と称する。
排気マニホルド19と吸気枝管11(または、サージタンク12、吸気ポート8)とは再循環排気ガス(以下、EGRガスという)用のEGR通路23を介して互いに連結され、このEGR通路23内にはEGR制御弁24が配置される。またEGR通路23周りにはEGR通路23内を流れるEGRガスを冷却するためのEGR冷却装置25が配置される。図1に示した内燃機関ではEGR冷却装置25内に機関冷却水が導かれ、この機関冷却水によりEGRガスが冷却される。なお、以下の説明では、EGR通路23、EGR制御弁24、EGR冷却装置25をまとめてEGR機構と称する。
一方、図1に示される実施形態ではクランクケース1とシリンダブロック2との連結部にクランクケース1とシリンダブロック2のシリンダ軸線方向の相対位置を変化させることによりピストン4が圧縮上死点に位置するときの燃焼室5の容積を変更可能な可変圧縮比機構Aが設けられており、さらに吸気弁7の閉弁時期を制御可能な可変バルブタイミング機構Bが設けられている。
電子制御ユニット30はデジタルコンピュータからなり、双方向性バス31によって互いに接続されたROM(リードオンリメモリ)32、RAM(ランダムアクセスメモリ)33、CPU(マイクロプロセッサ)34、入力ポート35および出力ポート36を具備する。吸入空気量検出器18の出力信号、空燃比センサ21の出力信号はそれぞれ対応するAD変換器37を介して入力ポート35に入力される。また、アクセルペダル40にはアクセルペダル40の踏込み量に比例した出力電圧を発生する負荷センサ41が接続され、負荷センサ41の出力電圧は対応するAD変換器37を介して入力ポート35に入力される。さらに入力ポート35にはクランクシャフトが例えば10°回転する毎に出力パルスを発生するクランク角センサ42が接続される。一方、出力ポート36は対応する駆動回路38を介して点火プラグ6、燃料噴射弁13、スロットル弁駆動用アクチュエータ16、EGR制御弁24、可変圧縮比機構Aおよび可変バルブタイミング機構Bに接続される。
図2は図1に示す可変圧縮比機構Aの分解斜視図を示しており、図3A及び図3Bは図解的に表した内燃機関の側面断面図を示している。図2を参照すると、シリンダブロック2の両側壁の下方には互いに間隔を隔てた複数個の突出部50が形成されており、各突出部50内にはそれぞれ断面円形のカム挿入孔51が形成されている。一方、クランクケース1の上壁面上には互いに間隔を隔ててそれぞれ対応する突出部50の間に嵌合せしめられる複数個の突出部52が形成されており、これらの各突出部52内にもそれぞれ断面円形のカム挿入孔53が形成されている。
図2に示されるように一対のカムシャフト54、55が設けられており、各カムシャフト54、55上には一つおきに各カム挿入孔51内に回転可能に挿入される円形カム56が固定されている。これらの円形カム56は各カムシャフト54、55の回転軸線と共軸をなす。一方、各円形カム56間には図3A及び図3Bにおいてハッチングで示すように各カムシャフト54、55の回転軸線に対して偏心配置された偏心軸57が延びており、この偏心軸57上に別の円形カム58が偏心して回転可能に取付けられている。図2に示されるようにこれら円形カム58は各円形カム56間に配置されており、これら円形カム58は対応する各カム挿入孔53内に回転可能に挿入されている。
図3Aに示すような状態から各カムシャフト54、55上に固定された円形カム56を図3Aにおいて実線の矢印で示されるように互いに反対方向に回転させると偏心軸57が下方中央に向けて移動するために円形カム58がカム挿入孔53内において図3Aの破線の矢印に示すように円形カム56とは反対方向に回転し、図3Bに示されるように偏心軸57が下方中央まで移動すると円形カム58の中心が偏心軸57の下方へ移動する。
図3Aと図3Bとを比較するとわかるようにクランクケース1とシリンダブロック2の相対位置は円形カム56の中心と円形カム58の中心との距離によって定まり、円形カム56の中心と円形カム58の中心との距離が大きくなるほどシリンダブロック2はクランクケース1から離れる。シリンダブロック2がクランクケース1から離れるとピストン4が圧縮上死点に位置するときの燃焼室5の容積は増大し、したがって各カムシャフト54、55を回転させることによってピストン4が圧縮上死点に位置するときの燃焼室5の容積を変更することができる。
図2に示されるように各カムシャフト54、55をそれぞれ反対方向に回転させるために駆動モータ59の回転軸にはそれぞれ螺旋方向が逆向きの一対のウォームギア61、62が取付けられており、これらウォームギア61、62と噛合する歯車63、64がそれぞれ各カムシャフト54、55の端部に固定されている。本実施形態では駆動モータ59を駆動することによってピストン4が圧縮上死点に位置するときの燃焼室5の容積を広い範囲に亘って変更することができる。なお、図1から図3Bに示される可変圧縮比機構Aは一例を示すものであっていかなる形式の可変圧縮比機構でも用いることができる。
一方、図4は図1において吸気弁7を駆動するためのカムシャフト70に対して設けられている可変バルブタイミング機構Bを示している。図4に示したように可変バルブタイミング機構Bはカムシャフト70の一端に取付けられてカムシャフト70のカムの位相を変更するためのカム位相変更部B1と、カムシャフト70と吸気弁7のバルブリフタ26との間に配置されてカムシャフト70のカムの作用角を異なる作用角に変更して吸気弁7に伝達するカム作用角変更部B2から構成されている。なお、カム作用角変更部B2については図4に側面断面図と平面図とが示されている。
まず初めに可変バルブタイミング機構Bのカム位相変更部B1について説明すると、このカム位相変更部B1は機関のクランク軸によりタイミングベルトを介して矢印方向に回転せしめられるタイミングプーリ71と、タイミングプーリ71と一緒に回転する円筒状ハウジング72と、カムシャフト70と一緒に回転し且つ円筒状ハウジング72に対して相対回転可能な回転軸73と、円筒状ハウジング72の内周面から回転軸73の外周面まで延びる複数の仕切壁74と、各仕切壁74の間で回転軸73の外周面から円筒状ハウジング72の内周面まで延びるベーン75とを具備しており、各ベーン75の両側にはそれぞれ進角用油圧室76と遅角用油圧室77とが形成されている。
各油圧室76、77への作動油の供給制御は作動油供給制御弁78によって行われる。この作動油供給制御弁78は各油圧室76、77にそれぞれ連結された油圧ポート79、80と、油圧ポンプ81から吐出された作動油の供給ポート82と、一対のドレインポート83、84と、各ポート79、80、82、83、84間の連通遮断制御を行うスプール弁85とを具備している。
カムシャフト70のカムの位相を進角すべきときは図4においてスプール弁85が下方に移動せしめられ、供給ポート82から供給された作動油が油圧ポート79を介して進角用油圧室76に供給されると共に遅角用油圧室77内の作動油がドレインポート84から排出される。このとき回転軸73は円筒状ハウジング72に対して矢印X方向に相対回転せしめられる。
これに対し、カムシャフト70のカムの位相を遅角すべきときは図4においてスプール弁85が上方に移動せしめられ、供給ポート82から供給された作動油が油圧ポート80を介して遅角用油圧室77に供給されると共に進角用油圧室76内の作動油がドレインポート83から排出される。このとき回転軸73は円筒状ハウジング72に対して矢印Xと反対方向に相対回転せしめられる。
回転軸73が円筒状ハウジング72に対して相対回転せしめられているときにスプール弁85が図4に示した中立位置に戻されると回転軸73の相対回転動作は停止せしめられ、回転軸73はそのときの相対回転位置に保持される。したがってカム位相変更部B1によって図5Aに示したようにカムシャフト70のカムの位相を所望の量だけ進角又は遅角させることができる。すなわち、カム位相変更部B1によって吸気弁7の開弁時期を任意に進角又は遅角させることができることになる。
次に可変バルブタイミング機構Bのカム作用角変更部B2について説明すると、このカム作用角変更部B2はカムシャフト70と平行に並列配置され且つアクチュエータ91によって軸線方向に移動せしめられる制御ロッド90と、カムシャフト70のカム92と係合し且つ制御ロッド90上に形成された軸線方向に延びるスプライン93に摺動可能に嵌合せしめられている中間カム94と、吸気弁7を駆動するためにバルブリフタ26と係合し且つ制御ロッド90上に形成された螺旋状に延びるスプライン95に摺動可能に嵌合する揺動カム96とを具備しており、揺動カム96上にはカム97が形成されている。
カムシャフト70が回転するとカム92によって中間カム94が常に一定の角度だけ揺動せしめられ、このとき揺動カム96も一定の角度だけ揺動せしめられる。一方、中間カム94及び揺動カム96は制御ロッド90の軸線方向には移動不能に支持されており、したがって制御ロッド90がアクチュエータ91によって軸線方向に移動せしめられたときに揺動カム96は中間カム94に対して相対回転せしめられることになる。
中間カム94と揺動カム96との相対回転位置関係によりカムシャフト70のカム92が中間カム94と係合し始めたときに揺動カム96のカム97がバルブリフタ26と係合し始める場合には図5Bにおいてaで示したように吸気弁7の開弁期間及びリフトは最も大きくなる。これに対し、アクチュエータ91によって揺動カム96が中間カム94に対して図4の矢印Y方向に相対回転せしめられると、カムシャフト70のカム92が中間カム94に係合した後、暫らくしてから揺動カム96のカム97がバルブリフタ26と係合する。この場合には図5Bにおいてbで示したように吸気弁7の開弁期間及びリフト量はaに比べて小さくなる。
揺動カム96が中間カム94に対して図4の矢印Y方向にさらに相対回転せしめられると図5Bにおいてcで示したように吸気弁7の開弁期間及びリフト量はさらに小さくなる。すなわち、アクチュエータ91により中間カム94と揺動カム96の相対回転位置を変更することによって吸気弁7の開弁期間(作用角)を任意に変えることができる。ただし、この場合、吸気弁7のリフト量は吸気弁7の開弁期間が短くなるほど小さくなる。
このようにカム位相変更部B1によって吸気弁7の開弁時期を任意に変更することができ、カム作用角変更部B2によって吸気弁7の開弁期間を任意に変更することができるのでカム位相変更部B1とカム作用角変更部B2との双方によって、すなわち可変バルブタイミング機構Bによって吸気弁7の開弁時期と開弁期間とを、すなわち吸気弁7の開弁時期と閉弁時期とを任意に変更することができることになる。
なお、図1および図4に示した可変バルブタイミング機構Bは一例を示すものであって、図1および図4に示した例以外の種々の形式の可変バルブタイミング機構を用いることができる。特に、本発明の実施形態では、吸気弁7の閉弁時期を変更可能な可変閉弁時期機構であれば、如何なる形式の機構を用いてもよい。また、排気弁9に対しても吸気弁7の可変バルブタイミング機構Bと同様な可変バルブタイミング機構を設けてもよい。
次に図6A〜図6Cを参照しつつ本願において使用されている用語の意味について説明する。なお、図6A〜図6Cには説明のために燃焼室容積が50mlでピストンの行程容積が500mlであるエンジンが示されており、これら図6A〜図6Cにおいて燃焼室容積とはピストンが圧縮上死点に位置するときの燃焼室の容積を表している。
図6Aは機械圧縮比について説明している。機械圧縮比は圧縮行程時のピストンの行程容積と燃焼室容積のみから機械的に定まる値であってこの機械圧縮比は(燃焼室容積+行程容積)/燃焼室容積で表される。図6Aに示される例ではこの機械圧縮比は(50ml+500ml)/50ml=11となる。
図6Bは実圧縮比について説明している。この実圧縮比は実際に圧縮作用が開始されたときからピストンが上死点に達するまでの実際のピストン行程容積と燃焼室容積から定まる値であってこの実圧縮比は(燃焼室容積+実際の行程容積)/燃焼室容積で表される。すなわち、図6Bに示されるように圧縮行程においてピストンが上昇を開始しても吸気弁が開弁している間は圧縮作用は行われず、吸気弁が閉弁したときから実際の圧縮作用が開始される。したがって実圧縮比は実際の行程容積を用いて上記のように表される。図6Bに示される例では実圧縮比は(50ml+450ml)/50ml=10となる。
図6Cは膨張比について説明している。膨張比は膨張行程時のピストンの行程容積と燃焼室容積から定まる値であってこの膨張比は(燃焼室容積+行程容積)/燃焼室容積で表される。図6Cに示される例ではこの膨張比は(50ml+500ml)/50ml=11となる。
次に図7、図8A及び図8Bを参照しつつ本発明において最も基本となっている特徴について説明する。なお、図7は理論熱効率と膨張比との関係を示しており、図8A及び図8Bは本発明において負荷に応じ使い分けられている通常のサイクルと超高膨張比サイクルとの比較を示している。
図8Aは吸気弁が下死点近傍で閉弁し、ほぼ圧縮下死点付近からピストンによる圧縮作用が開始される場合の通常のサイクルを示している。この図8Aに示す例でも図6A〜図6Cに示す例と同様に燃焼室容積が50mlとされ、ピストンの行程容積が500mlとされている。図8Aからわかるように通常のサイクルでは機械圧縮比は(50ml+500ml)/50ml=11であり、実圧縮比もほぼ11であり、膨張比も(50ml+500ml)/50ml=11となる。すなわち、通常の内燃機関では機械圧縮比と実圧縮比と膨張比とがほぼ等しくなる。
図7における実線は実圧縮比と膨張比とがほぼ等しい場合の、すなわち通常のサイクルにおける理論熱効率の変化を示している。この場合には膨張比が大きくなるほど、すなわち実圧縮比が高くなるほど理論熱効率が高くなることがわかる。したがって通常のサイクルにおいて理論熱効率を高めるには実圧縮比を高くすればよいことになる。しかしながら機関高負荷運転時におけるノッキングの発生の制約により実圧縮比は最大でも12程度までしか高くすることができず、斯くして通常のサイクルにおいては理論熱効率を十分に高くすることはできない。
一方、機械圧縮比と実圧縮比とを厳密に区分して理論熱効率を高めることについて検討すると、理論熱効率は膨張比が支配し、理論熱効率に対して実圧縮比はほとんど影響を与えない。すなわち、実圧縮比を高くすると爆発力は高まるが圧縮するために大きなエネルギーが必要となり、斯くして実圧縮比を高めても理論熱効率はほとんど高くならない。
これに対し、膨張比を大きくすると膨張行程時にピストンに対して押下げ力が作用する期間が長くなり、斯くしてピストンがクランクシャフトに回転力を与えている期間が長くなる。したがって膨張比は大きくすれば大きくするほど理論熱効率が高くなる。図7の破線ε=10は実圧縮比を10に固定した状態で膨張比を高くしていった場合の理論熱効率を示している。このように実圧縮比を低い値に維持した状態で膨張比を高くしたときの理論熱効率の上昇量と、図7の実線で示したように実圧縮比も膨張比と共に増大せしめられる場合の理論熱効率の上昇量とは大きな差がないことがわかる。
このように実圧縮比が低い値に維持されているとノッキングが発生することがなく、したがって実圧縮比を低い値に維持した状態で膨張比を高くするとノッキングの発生を阻止しつつ理論熱効率を大幅に高めることができる。図8Bは可変圧縮比機構Aおよび可変バルブタイミング機構Bを用いて、実圧縮比を低い値に維持しつつ膨張比を高めるようにした場合の一例を示している。
図8Bを参照すると、この例では可変圧縮比機構Aにより燃焼室容積が50mlから20mlまで減少せしめられる。一方、可変バルブタイミング機構Bによって実際のピストン行程容積が500mlから200mlになるまで吸気弁の閉弁時期が遅らされる。その結果、この例では実圧縮比は(20ml+200ml)/20ml=11となり、膨張比は(20ml+500ml)/20ml=26となる。図8Aに示される通常のサイクルでは前述したように実圧縮比がほぼ11で膨張比が11であり、この場合に比べると図8Bに示される場合には膨張比のみが26まで高められていることがわかる。このため、図8Bに示したサイクルを超高膨張比サイクルと称する。
前述したように一般的に言って内燃機関では機関負荷が低いほど熱効率が悪くなり、したがって車両走行時における熱効率を向上させるためには、すなわち燃費を向上させるには機関低負荷運転時における熱効率を向上させることが必要となる。一方、図8Bに示される超高膨張比サイクルでは圧縮行程時の実際のピストン行程容積が小さくされるために燃焼室5内に吸入しうる吸入空気量は少なくなり、したがってこの超高膨張比サイクルは機関負荷が比較的低いときにしか採用できないことになる。したがって本発明では機関低負荷運転時には図8Bに示す超高膨張比サイクルとし、機関高負荷運転時には図8Aに示す通常のサイクルとするようにしている。
次に、図9を参照しつつ運転制御全般について説明する。
図9には或る機関回転数における機関負荷に応じた機械圧縮比、実圧縮比、吸気弁7の閉弁時期、吸気管内の圧力、スロットル弁17の開度、EGR率の各変化を示している。特に、図9中の実線は、EGR機構によってEGRガスを燃焼室5内へ供給した場合(すなわち、EGR率が高い場合)における各パラメータの変化を示しており、図9中の破線は、EGR機構によってEGRガスを燃焼室5内へ供給しない場合(すなわち、EGR率が極めて低い場合)における各パラメータの変化を示している。
なお、図示した例では触媒コンバータ20内の三元触媒によって排気ガス中の未燃炭化水素(未燃HC)、一酸化炭素(CO)及び窒素酸化物(NO)を同時に低減しうるように通常燃焼室5内における平均空燃比は空燃比センサ27の出力信号に基づいて理論空燃比にフィードバック制御されている。
まず、図9中に破線で示した、EGRガスを燃焼室5内へ供給しない場合(すなわち、EGR率が極めて低い場合)の運転制御について説明する。
本発明の実施形態では、上述したように機関高負荷運転時には図8Aに示した通常のサイクルが実行される。したがって、図9に破線で示したように、このときには機械圧縮比は低くされるため、膨張比は低く、吸気弁7の閉弁時期は早められている。また、このときには吸入空気量は多く、このときスロットル弁20の開度は全開又はほぼ全開に保持されている。
一方、図9に破線で示したように機関負荷が低くなるとそれに伴って吸入空気量を減少すべく吸気弁7の閉弁時期が遅くされる。また、このときには実圧縮比がほぼ一定に保持されるように図9に破線で示した如く機関負荷が低くなるにつれて機械圧縮比が増大され、したがって機関負荷が低くなるにつれて機械圧縮比が増大される。なお、このときにもスロットル弁27は全開又はほぼ全開状態に保持されており、したがって燃焼室5内に供給される吸入空気量はスロットル弁17によらずに吸気弁7の閉弁時期を変えることによって制御されている。
このように機関高負荷運転状態から機関負荷が低くなるときには実圧縮比がほぼ一定のもとで吸入空気量が減少するにつれて機械圧縮比が増大せしめられる。すなわち、吸入空気量の減少に比例してピストン4が圧縮上死点に達したときの燃焼室5の容積が減少せしめられる。したがって、ピストン4が圧縮上死点に達したときの燃焼室5の容積は吸入空気量に比例して変化していることになる。なお、このとき燃焼室5内の空燃比は理論空燃比となっているので、ピストンが圧縮上死点に達したときの燃焼室5の容積は燃料量に比例して変化していることになる。
機関負荷がさらに低くなると、吸気弁7の閉弁時期はさらに遅らされ、機関負荷がLまで低下すると吸気弁7の閉弁時期が遅角側限界閉弁時期となる。この遅角側限界閉弁時期は、それ以上吸気弁7の閉弁時期を遅らせると吸気弁7の閉弁時期を変化させることによっては燃焼室5内に供給される吸気ガス量を制御することができなくなる閉弁時期とされる。吸気弁7の閉弁時期が遅角側限界閉弁時期に達すると、吸気弁7の閉弁時期が遅角側限界閉弁時期に達したときの機関負荷Lよりも負荷の低い領域では吸気弁7の閉弁時期が遅角側限界閉弁時期に保持される。
また、図9に破線で示した例では、機関高負荷運転状態から機関負荷が低くなるにつれて機械圧縮比が増大せしめられ、吸気弁7の閉弁時期が遅角側限界閉弁時期に達したときの機関負荷Lまで機関負荷が低下すると、機械圧縮比は或る特定の機械圧縮比(以下、「特定機械圧縮比」という)に達する。吸気弁7の閉弁時期が遅角側限界閉弁時期に達したときの機関負荷Lよりも負荷の低い領域では機械圧縮比が特定機械圧縮比に保持される。この特定機械圧縮比は、吸気弁7の閉弁時期が遅角側限界閉弁時期に達したときの機関負荷Lよりも負荷の低い領域における実圧縮比が、吸気弁7の閉弁時期が遅角側限界閉弁時期に達したときの機関負荷Lよりも負荷の高い領域における実圧縮比とほぼ同一となるように設定される。例えば、機関負荷Lよりも負荷の低い領域における実圧縮比は、機関負荷Lよりも負荷の高い領域における実圧縮比に対してほぼ±10パーセントの範囲内とされ、好ましくは±5パーセントの範囲内とされる。
一方、吸気弁7の閉弁時期が遅角側限界閉弁時期に保持されるともはや吸気弁7の閉弁時期の変化によっては吸入空気量を制御することができない。図9に破線で示した例ではこのとき、すなわち吸気弁7の閉弁時期が限界閉弁時期に達したときの機関負荷Lよりも負荷の低い領域では、スロットル弁17によって燃焼室5内に供給される吸入空気量が制御される。ただし、スロットル弁17による吸入空気量の制御が行われると図9に破線で示したようにポンピング損失が増大する。
なお、スロットル弁17による吸入空気量の制御が行われるとポンピング損失が増大することから、このようなポンピング損失が発生しないように吸気弁7の閉弁時期が限界閉弁時期に達したときの機関負荷Lよりも負荷の低い領域ではスロットル弁17を全開又はほぼ全開に保持した状態で機関負荷が低くなるほど空燃比を大きくすることもできる。このときには燃料噴射弁13を燃焼室5内に配置して成層燃焼させることが好ましい。
また、図9に破線で示したように、実圧縮比は機関負荷にかかわらずにほぼ一定に保持される。具体的には、機関低負荷運転時の実圧縮比は機関中高負荷運転時の実圧縮比に対してほぼ±10パーセントの範囲内とされ、好ましくは±5パーセントの範囲内とされる。ただし、機関回転数が高くなると燃焼室5内の混合気に乱れが発生するため、ノッキングが発生しにくくなることから、本発明の実施形態では機関回転数が高くなるほど実圧縮比が高くされる。
さらに、上述したように図8Bに示す超高膨張比サイクルでは膨張比が26とされる。この膨張比は高いほど好ましい。しかしながら、実用上使用可能な実圧縮比の範囲(ε=5程度〜13程度)において最大理論熱効率が得られる膨張比は20以上であるため、本発明では膨張比が20以上となるように可変圧縮比機構Aが形成されている。
さらに、図9に破線で示した例では機械圧縮比は機関負荷に応じて連続的に変化せしめられている。しかしながら、機械圧縮比は機関負荷に応じて段階的に変化させることもできる。
また、吸気弁7の閉弁時期を吸気下死点よりも進角側の時期とした場合、機関負荷が低くなるにつれて吸気弁7の閉弁時期を早めることによって吸入空気量を制御することができる。したがって、吸気弁7の閉弁時期についてまとめて表現すると、吸気弁7の閉弁時期は、機関負荷が低くなるにつれて、燃焼室5内に供給される吸入空気量を制御しうる限界閉弁時期まで圧縮下死点から離れる方向に移動せしめられることになる。
次に、図9中に実線で示した、EGRガスを燃焼室5内へ供給した場合(すなわち、EGR率が高い場合)の運転制御について説明する。
図9に実線で示したように、EGRガスを燃焼室5内へ供給した場合においても、機関高負荷運転時には図8Aに示した通常のサイクルが実行される。したがって、図9に実線で示したように、機関負荷が最も高いときには、機械圧縮比は低くされるため、膨張比は低い。また、吸気弁7の閉弁時期は、可変バルブタイミング機構Bの機構上それ以上閉弁時期を進角することができない進角側限界閉弁時期(例えば、吸気下死点)にまで早められている。また、機関負荷が最も高いときには、吸入空気量は多く、このときスロットル弁17の開度は全開又はほぼ全開とされる。
一方、図9に実線で示したように、機関負荷が最も高いときから機関負荷が低くなると、それに伴って吸入空気量を減少すべくスロットル弁17の開度が小さくされる。また、機関負荷が最も高いときから機関負荷が低くなると、スロットル弁17の開度が小さくなるのに伴って、EGR制御弁24の開度が大きくされ、燃焼室5内に供給される混合気中にEGRガスの占める割合(以下、「EGR率」という)が或る特定のEGR率(以下、「設定EGR率」という)XEGRになるまで高くされる。見方を変えると、EGRガスを燃焼室5内(すなわち吸気管内)に供給するためには吸気管内に負圧を発生する必要があることから、スロットル弁17の開度はこの負圧を発生させるために小さくされるといえる。
このように、スロットル弁17の開度が小さくなるのに伴ってEGR率が高くされることから、吸気管内の圧力は最大圧力(すなわち、ほぼ大気圧)のまま維持される。したがって、スロットル弁17の開度を小さくすることに伴うポンピング損失はほぼゼロとされる。
また、EGR率が設定EGR率に達したときの機関負荷Lよりも負荷の高い高負荷運転領域では、吸気弁7の閉弁時期がほぼ進角側限界閉弁時期に保持される。したがって、この領域では、スロットル弁17の開度を変化させることのみによって燃焼室5内へ供給される吸入空気量が制御させることになる。
さらに、EGR率が設定EGR率に達したときの機関負荷Lよりも負荷の高い高負荷運転領域では、機関負荷が低くなるのに伴って、すなわちEGR率が高くなるのに伴って実圧縮比が高くされる。これは、EGR率が高くなることによりノック耐性(ノッキングしにくさ)が高くなるため、実圧縮比を高めてもノッキングが発生しないことによるものである。ここで、EGR率が設定EGR率に達したときの機関負荷Lよりも負荷の高い高負荷運転領域では、吸気弁7の閉弁時期がほぼ進角側限界閉弁時期に保持されることから、実圧縮比は機械圧縮比を高めることによって高められる。したがって、機械圧縮比は、図9に実線で示したように、機関負荷が低くなるにつれて高くされる。
一方、EGR率が設定EGR率に達したときの機関負荷Lよりも負荷の低い中高負荷運転領域では、EGR率は設定EGR率に保持される。また、EGR率が一定に保持されることから、ノッキングが発生しないように、実圧縮比も一定に保持される。
また、EGR率が設定EGR率に達したときの機関負荷Lよりも負荷の低い中高負荷運転領域では、EGR率が設定EGR率に保持される。このため、それ以上スロットル弁17の開度を小さくしてもEGRガスの供給量を増やすことで吸気管内の圧力を大気圧に保持することはできず、その結果、ポンピング損失が発生してしまう。そこで、EGR率が設定EGR率に達したときの機関負荷Lよりも負荷の低い中高負荷運転領域では、スロットル弁17の開度が全開よりも閉じられたほぼ一定の開度に保持される。これにより、この領域においても、吸気管内の圧力はほぼ大気圧に保持され、ポンピング損失はほぼゼロとされる。
一方、EGR率が設定EGR率に達したときの機関負荷Lよりも負荷の低い中高負荷運転領域では、機関負荷が低くなるとそれに伴って吸入空気量を減少すべく吸気弁7の閉弁時期が遅くされる。上述したように、EGR率が設定EGR率に達したときの機関負荷Lよりも負荷の低い中高負荷運転領域では、スロットル弁17の開度及びEGR率が一定に維持されることから、燃焼室5内に供給される吸入空気量はスロットル弁17及びEGR制御弁24によらずに吸気弁7の閉弁時期を変えることによって制御されている。
さらに、EGR率が設定EGR率に達したときの機関負荷Lよりも負荷の低い中高負荷運転領域では、実圧縮比がほぼ一定となるように、機関負荷が低くなるにつれて、すなわち吸気弁7の閉弁時期が遅くなるにつれて機械圧縮比が増大せしめられる。
なお、吸気弁7の閉弁時期は、機関負荷Lよりも負荷の低い中高負荷運転領域において機関負荷が高くなるにつれて早められ、機関負荷Lにおいて進角側限界閉弁時期に達することから、機関負荷Lは、吸気弁7の閉弁時期が進角側限界閉弁時期に達したときの機関負荷ということもできる。
機関負荷がさらに低くなると、吸気弁7の閉弁時期はさらに遅らされ、機関負荷がLまで低下すると吸気弁7の閉弁時期が遅角側限界閉弁時期となる。ここで、EGRガスを燃焼室5内に供給している場合(図中の実線)における吸気弁7の閉弁時期が遅角側限界閉弁時期に達する機関負荷Lは、EGRガスを燃焼室5内に供給していない場合(図中の破線)における吸気弁7の閉弁時期が遅角側限界閉弁時期に達する機関負荷Lよりも低い。この理由は以下の通りである。
EGRガス導入の有無にかかわらず吸気弁7の閉弁時期によって制御可能な吸気ガス(空気とEGRガスの両者を含むガス)の総量の限界値は一定である。EGRガスを導入していない場合には、吸気ガスは全て空気(新気)であるため、吸気弁7の閉弁時期によって制御可能な空気は総吸気ガス量の限界値に一致する。一方、EGRガスを導入している場合には吸気ガスの一部はEGRガスであるため、吸気弁7の閉弁時期によって制御可能な空気(新気)は総吸気ガス量の限界値よりも少ない量となる。このため、吸気弁7の閉弁時期が遅角側限界時期に達する機関負荷は、EGRガスを燃焼室5内に供給している場合の方が、EGRガスを燃焼室5内に供給していない場合よりも低くなる。
図9の実線から分かるように、吸気弁7の閉弁時期が遅角側限界閉弁時期に達したときの機関負荷Lよりも負荷の高い低中負荷運転領域では、吸気管内の圧力はほぼ大気圧に維持されていることから、斯かる領域ではポンピング損失がほぼゼロとされる。したがって、EGRガスを燃焼室5内に供給していない場合に比べて、供給している場合の方がポンピング損失の発生しない領域が広く、よって燃費を改善することができる。
吸気弁7の閉弁時期が遅角側限界閉弁時期に達すると、このときの機関負荷Lよりも負荷の低い低負荷運転領域では、吸気弁7の閉弁時期は遅角側限界閉弁時期に保持される。
また、図9に実線で示した例では、機関高負荷運転状態から機関負荷が低くなるにつれて機械圧縮比が増大せしめられ、機関負荷がLまで低下すると、機械圧縮比は最大機械圧縮比に達する。機械圧縮比が最大機械圧縮比に達したときの機関負荷Lよりも負荷の低い低負荷運転領域では機械圧縮比が最大機械圧縮比に保持される。この最大機械圧縮比は、吸気弁7の閉弁時期が遅角側限界閉弁時期に達したときの機関負荷Lよりも負荷の低い低負荷運転領域における実圧縮比が、機関負荷Lよりも負荷の高い低中負荷運転領域における実圧縮比とほぼ同一となるように設定される。例えば、機関負荷Lよりも負荷の低い低負荷運転領域における実圧縮比は、機関負荷Lよりも負荷の高い低中負荷運転領域における実圧縮比に対してほぼ±10パーセントの範囲内とされ、好ましくは±5パーセントの範囲内とされる。
一方、吸気弁7の閉弁時期が遅角側限界閉弁時期に保持されるともはや吸気弁7の閉弁時期の変化によっては吸入空気量を制御することができない。図9に実線で示した例では、このとき、すなわち吸気弁7の閉弁時期が遅角側限界閉弁時期に達したときの機関負荷Lよりも負荷の低い低負荷運転領域では、スロットル弁17によって燃焼室5内に供給される吸入空気量が制御される。ただし、スロットル弁17による吸入空気量の制御が行われると図9に実線で示したようにポンピング損失が増大する。
また、本発明の実施形態では、吸気弁7の閉弁時期が遅角側限界閉弁時期に達したときの機関負荷Lよりも負荷の低い低負荷運転領域においてもEGR率がほぼ一定に保持されると共に、保持されるEGR率は機関負荷Lよりも負荷の高い低中負荷運転領域におけるEGR率とほぼ同一とされる。例えば、機関負荷Lよりも負荷の低い低負荷運転領域におけるEGR率は、機関負荷Lよりも負荷の高い低中負荷運転領域におけるEGR率に対してほぼ±10パーセントの範囲内とされ、好ましくは±5パーセントの範囲内とされる。
以上で説明したように、本発明の実施形態では、ほぼ全ての機関負荷領域に亘って、EGRガスを燃焼室5内へ供給した場合(図9中の実線)に、EGRガスを燃焼室5内へ供給しない場合(図9中の破線)に比べて、実圧縮比が高められ、この結果、理論熱効率が高められる。
すなわち、EGRガスを燃焼室5内へ供給すると、燃焼室5内の混合気が自着火しにくくなるため、ノッキングの発生が抑制される(ノック耐性が高くなる)。このため、EGRガスを燃焼室5内へ供給した場合には、EGRガスを燃焼室5内へ供給しない場合に比べて、実圧縮比を高めてもノッキングが発生しない。そこで、本発明の実施形態では、EGRガスを燃焼室5内へ供給した場合には、EGRガスを燃焼室5内へ供給しない場合に比べて実圧縮比を高めるようにしている。また、図7から分かるように、実圧縮比を高めると、理論熱効率が高められることになる。
特に、吸気弁7の閉弁時期が遅角側限界閉弁時期に達したときの機関負荷Lよりも負荷の低い低負荷運転領域では、それ以上吸気弁7の閉弁時期を遅くすることができない。このため、本発明の実施形態では、EGRガスを燃焼室5内へ供給したときには、EGRガスを燃焼室5内へ供給しない場合に比べて、機械圧縮比を高めることによって実圧縮比を高めるようにしている。
ここで、図7から分かるように、実圧縮比を高めることによっても熱効率を高めることができるが、機械圧縮比(すなわち膨張比)を高めることによっても熱効率を高めることができる。したがって、本発明の実施形態によれば、吸気弁7の閉弁時期が遅角側閉弁時期に達したときの機関負荷Lよりも負荷の低い低負荷運転領域では、実圧縮比を高めることに加えて、機械圧縮比(すなわち膨張比)を高めているため、熱効率を極めて高いものとすることができる。
また、吸気弁7の閉弁時期が遅角側限界閉弁時期に達したときの機関負荷Lよりも負荷が高く且つ吸気弁7の閉弁時期が進角側限界閉弁時期に達したときの機関負荷Lよりも負荷が低い領域(L〜L)では、EGRガスを燃焼室5内へ供給した場合(図9中の実線)に、EGRガスを燃焼室5内へ供給しない場合(図9中の破線)に比べて、吸気弁7の閉弁時期を進角すること及び機械圧縮比を高めることによって実圧縮比を高めるようにしている。これにより、斯かる領域においても、実圧縮比を高めることに加えて、機械圧縮比を高めているため、熱効率を高いものとすることができる。
なお、図9に実線で示した例では、吸気弁7の閉弁時期が進角側限界閉弁時期に達したときの機関負荷Lよりも負荷が低い中高負荷運転領域において、EGR率をほぼ一定に保持している。しかしながら、吸気弁7の閉弁時期を早くすると、燃焼室5内に発生する気流が大きくなることから、燃焼室5内の混合気が燃焼し易くなる。このため、燃焼室5内に供給されるEGRガスの量が多くなっても、トルク変動が増大してしまうことが抑制される。このため、吸気弁7の閉弁時期が遅角側限界閉弁時期に達したときの機関負荷Lよりも負荷が高く且つ吸気弁の閉弁時期が進角側限界閉弁時期に達したときの機関負荷Lよりも負荷が低い領域(L〜L)では、すなわち機関負荷が大きくなるにつれて吸気弁7の閉弁時期が早められる領域では、機関負荷の増大に伴って(すなわち、吸気弁7の閉弁時期の進角に伴って)EGR率を高めるようにしてもよい。この場合、実圧縮比は、EGR率が高くなるのに伴って高くされる。
また、設定EGR率は、機関負荷以外の運転パラメータに応じて変化せしめられる。換言すると、機関負荷が同一であっても機関負荷以外の運転パラメータに応じて設定EGR率は変化せしめられる。例えば、機関回転数が高いときには吸気ガスの流速が早く、燃焼室5内の混合気に乱れが生じやすく、燃焼し易いことから設定EGR率は高くせしめられる。また、機関冷却水が低いとき、すなわち内燃機関の冷間始動時には混合気が燃焼しにくく、EGR率が高いと失火を招くことから、設定EGR率は低くせしめられる。
このように、機関負荷以外のパラメータに応じて設定EGR率が変化した場合には、設定EGR率の変化に応じて実圧縮比も変化せしめられる。
図10は、EGR率と実圧縮比との関係を示す図である。図10に示したように、実圧縮比は、EGR率が高くなるほど実圧縮比が高められる。これは、EGR率が高くなるほど、実圧縮比を高めてもノッキングが発生しなくなるためである。ただし、EGR率が高くなり過ぎると燃焼室5内での混合気の燃焼が不安定になり、トルク変動等を招いてしまう。このため、設定EGR率は、機関負荷や機関回転数等に基づいて定まる或る一定のEGR率X以下の範囲内で設定される。
なお、図9中の一点鎖線は、設定EGR率が比較的低い場合における各パラメータの変化を表している。図から分かるように、設定EGR率が比較的低い場合には、設定EGR率が高い場合(図中の実線)に比べて、実圧縮比が低くされる。また、設定EGR率が低い場合にEGR率が設定EGR率に達する機関負荷は、設定EGR率が高い場合にEGR率が設定EGR率に達する機関負荷Lよりも高く、また、設定EGR率が低い場合に吸気弁7の閉弁時期が遅角側限界閉弁時期に達する機関負荷は、設定EGR率が高い場合に吸気弁7の閉弁時期が遅角側限界閉弁時期に達する機関負荷Lよりも高い。
さらに、図9で示した例では、吸気弁7の閉弁時期が遅角側限界閉弁時期に達したときの機関負荷Lよりも負荷が高く且つEGR率が設定EGR率に達したときの機関負荷Lよりも負荷が低い領域(L〜L)において、機関運転状態に基づいてEGR率を設定し、この設定EGR率に基づいて実圧縮比を算出し、この実圧縮比となるように機械圧縮比が制御されている。すなわち、図9に示した例では、機械圧縮比は機関運転状態に応じて変化せしめられる。
これに対して、斯かる領域において、機械圧縮比を機関負荷のみに基づいて制御するようにしてもよい。この様子を図11に示す。
図11は、或る機関回転数における機関負荷に応じた機械圧縮比、実圧縮比、吸気弁7の閉弁時期、吸気管内の圧力、スロットル弁17の開度、EGR率の各変化を示す、図9と同様な図である。図11に実線で示した例では、機関負荷がLからLの領域において、EGRガスを燃焼室5内へ供給した場合(図中の実線)にも供給しない場合(図中の破線)にも機関負荷に応じて機械圧縮比が同様に制御される。すなわち、図11に実線で示した例では、機械圧縮比が機関負荷のみに基づいて制御されている。機械圧縮比をこのように制御することによって、図9に示した場合に比べて機械圧縮比の制御を容易なものとすることができる。
なお、この場合、機関負荷がLからLの領域において、EGRガスを燃焼室5内へ供給した場合(図11中の実線)には、EGRガスを燃焼室5内へ供給しない場合(図11中の破線)に比べて、機械圧縮比を高めることによらずに吸気弁7の閉弁時期を進角することのみによって実圧縮比が高められる。
図12は、本発明の実施形態の火花点火式内燃機関の運転制御の制御ルーチンを示すフローチャートである。図12を参照すると、まず、ステップ11において負荷センサ41の出力に基づいて機関負荷Lが検出される。次いで、ステップS12において、ステップS11で検出された機関負荷Lが吸気弁7の閉弁時期が遅角側限界閉弁時期に達する負荷L以下であるか否かが判定される。
ステップS12において、機関負荷Lが負荷L以下であると判定された場合にはステップS13へと進む。ステップS13では、内燃機関の運転パラメータ(機関回転数、機関冷却水温等)に基づいて目標EGR率が算出される。目標EGR率を算出する際の運転パラメータとして機関負荷を用いてもよい。
次いで、ステップS14では、ステップS13で算出された目標EGR率に基づいて図10に示したようなマップを用いて目標実圧縮比が算出される。次いで、ステップS15では、吸気弁7の目標閉弁時期が遅角側限界閉弁時期に設定される。ステップS16では、吸気弁7の閉弁時期が遅角側限界閉弁時期にあるときに実圧縮比がステップS14で算出された目標実圧縮比となるように目標機械圧縮比が算出される。次いで、ステップS17では、燃焼室5内へ供給される吸入空気量が機関負荷に応じた吸入空気量となるように目標スロットル開度が算出される。
一方、ステップS12において、機関負荷Lが吸気弁7の閉弁時期が遅角側限界閉弁時期に達する負荷Lよりも高いと判定された場合には、ステップS18へと進む。ステップS18では、ステップS13と同様に目標EGR率が算出される。次いで、ステップS19では、ステップS18で算出された目標EGR率に基づいて図10に示したようなマップを用いて目標実圧縮比が算出される。次いで、ステップS20では、機関負荷、目標EGR率に基づいて、燃焼室5内へ供給される吸入空気量(新気量)が機関負荷に応じた吸入空気量となるように吸気弁7の目標閉弁時期が算出される。ステップS21では、吸気弁7の閉弁時期がステップS20で算出された吸気弁7の目標閉弁時期にあるときに、実圧縮比がステップS19で算出された目標実圧縮比となるように目標機械圧縮比が算出される。次いで、ステップS22では、ステップS18で算出された目標EGR率に基づいて、吸気管内の圧力が大気圧となるように目標スロットル弁開度が算出される。
ステップS23では、機械圧縮比がステップS16又はS21で算出された目標機械圧縮比となるように可変圧縮比機構Aが制御され、吸気弁7の閉弁時期がステップS15又はS20で算出された目標閉弁時期となるように可変バルブタイミング機構が制御される。また、スロットル弁17の開度がステップS17又はS22で算出された目標スロットル開度となるようにスロットル弁17が制御され、EGR率がステップS13又はS18で算出された目標EGR率となるようにEGR制御弁24が制御され、制御ルーチンが終了せしめられる。
なお、本発明について特定の実施形態に基づいて詳述しているが、当業者であれば本発明の請求の範囲及び思想から逸脱することなく、様々な変更、修正等が可能である。
1…クランクケース
2…シリンダブロック
3…シリンダヘッド
4…ピストン
5…燃焼室
7…吸気弁
23…EGR通路
24…EGR制御弁
25…EGR冷却装置
A…可変圧縮比機構
B…可変バルブタイミング機構
本発明は、火花点火式内燃機関に関する。
機械圧縮比を変更可能な可変圧縮比機構と、吸気弁の閉弁時期を制御可能な可変バルブタイミング機構とを具備し、燃焼室内に供給される吸入空気量が主に吸気弁の閉弁時期を変えることによって制御され、機関低負荷運転時には機関高負荷運転時に比べて機械圧縮比が高くされる火花点火式内燃機関が知られている(例えば、特許文献1)。
特に、理論熱効率には実圧縮比よりも膨張比の方が熱効率に与える影響が大きいことから、特許文献1に記載された火花点火式内燃機関では、機関低負荷運転時において実圧縮比を低く維持しつつ、機械圧縮比を例えば20以上の高い値としている。これにより、特許文献1に記載された火花点火式内燃機関では、理論熱効率が極めて高いものとされ、これに伴って燃費が大きく改善されている。
特開2007−303423号公報
ところで、特許文献1に記載された火花点火式内燃機関には、EGR通路を介して排気ガスの一部をEGRガスとして再び燃焼室内に供給するEGR機構が設けられていない。したがって、特許文献1の記載からは、機関低負荷運転時において実圧縮比を低く維持しつつ機械圧縮比を高めるようにした火花点火式内燃機関にEGR機構を用いた場合に理論熱効率を高められるか否かは不明である。
そこで、上記問題に鑑みて、本発明の目的は、可変圧縮比機構と可変バルブタイミング機構とを具備し、機関低負荷運転時には機関高負荷運転時に比べて機械圧縮比が高くされる火花点火式内燃機関において、EGR機構、可変圧縮比機構及び可変バルブタイミング機構を適切に制御することで理論熱効率を高め、燃費を改善することにある。
本発明は、上記課題を解決するための手段として、請求の範囲の各請求項に記載された内燃機関の制御装置を提供する。
本発明の1番目の態様では、機械圧縮比を変更可能な可変圧縮比機構と、吸気弁の閉弁時期を制御可能な可変バルブタイミング機構と、EGR通路を介して排気ガスの一部をEGRガスとして再び燃焼室内に供給するEGR機構とを具備し、機関低負荷運転時には機関高負荷運転時に比べて機械圧縮比が高くされる、火花点火式内燃機関において、EGR率が高くなるほど実圧縮比を高めるようにしし、機関中高負荷運転時において、吸気弁の閉弁時期は、機関負荷が高くなるにつれて、進角側限界閉弁時期まで進角せしめられる。
一般に、EGR率が高くなるほどノック耐性(ノッキングしにくさ)が高くなる。このため、EGR率が高い場合には実圧縮比を高くしてもノッキングが発生しにくい。1番目の態様によれば、EGR率が高くなるほど実圧縮比が高められており、これにより理論熱効率が高められる。
本発明の2番目の態様では、機関低負荷運転時には機械圧縮比を高めることによって実圧縮比が高められる。
本発明の3番目の態様では、機関中負荷運転時には吸気弁の閉弁時期を進角させることによって実圧縮比が高められる。
本発明の4番目の態様では、機関中負荷運転時には吸気弁の閉弁時期を進角させることに加えて機械圧縮比を高めることによって実圧縮比が高められる。
本発明の5番目の態様では、機関低中負荷運転時には上記EGR機構によりEGRガスが燃焼室内に供給せしめられる。
本発明の番目の態様では、機関中高負荷運転時において、吸気弁の閉弁時期が進角側限界閉弁時期に達したときの機関負荷よりも負荷の低い領域では燃焼室内に供給される吸入空気量が吸気弁の閉弁時期を変えることによって制御される。
本発明の番目の態様では、機関中高負荷運転時において、吸気弁の閉弁時期が進角側限界閉弁時期に達したときの機関負荷よりも負荷の低い領域では、機関負荷が高くなるほどEGR率が高くせしめられる。
本発明の番目の態様では、機関中高負荷運転時において、吸気弁の閉弁時期が進角側限界閉弁時期に達したときの機関負荷よりも負荷の低い領域では、機関負荷が高くなるほどスロットル弁の開度が小さくせしめられる。
本発明の番目の態様では、機関中高負荷運転時において、吸気弁の閉弁時期が進角側限界閉弁時期に達したときの危難負荷よりも負荷の低い領域では、機関負荷にかかわらずにEGR率がほぼ一定に保持される。
本発明の1番目の態様では、機関中高負荷運転時において、吸気弁の閉弁時期が進角側限界閉弁時期に達したときの機関負荷よりも負荷の低い領域では機関負荷にかかわらずにスロットル弁の開度が全開よりも閉じられたほぼ一定の開度に保持される。
本発明の1番目の態様では、吸気弁の閉弁時期が進角側限界閉弁時期に達したときの機関負荷よりも負荷の高い領域では、吸気弁の閉弁時期が進角側限界閉弁時期に保持される。
本発明の1番目の態様では、吸気弁の閉弁時期が進角側限界閉弁時期に達したときの機関負荷よりも負荷の高い領域では、機関負荷が高くなるにつれてスロットル弁の開度が大きくされる。
本発明の1番目の態様では、吸気弁の閉弁時期が進角側限界閉弁時期に達したときの機関負荷よりも負荷の高い領域では、燃焼室内に供給される吸入空気量がスロットル弁の開度を変えることによって制御される。
本発明の1番目の態様では、機関低負荷運転時において、吸気弁の閉弁時期は、機関負荷が低くなるにつれて、燃焼室内に供給される吸入空気量を制御しうる遅角側限界閉弁時期まで遅角せしめられる。
本発明の1番目の態様では、吸気弁の閉弁時期が遅角側限界閉弁時期に達したときの機関負荷よりも負荷の低い領域では、燃焼室内に供給される吸入空気量がスロットル弁の開度を変えることによって制御される。
本発明の1番目の態様では、機関低負荷運転時には機械圧縮比が最大機械圧縮比とされる。
本発明の1番目の態様では、機関低負荷運転時には膨張比が20以上とされる。
図1は、火花点火式内燃機関の全体図である。 図2は、可変圧縮比機構の分解斜視図である。 図3Aは、図解的に表した内燃機関の側面断面図である。 図3Bは、図解的に表した内燃機関の側面断面図である。 図4は、可変バルブタイミング機構を示す図である。 図5Aは、吸気弁および排気弁のリフト量を示す図である。 図5Bは、吸気弁および排気弁のリフト量を示す図である。 図6Aは、機械圧縮比、実圧縮比および膨張比を説明するための図である。 図6Bは、機械圧縮比、実圧縮比および膨張比を説明するための図である。 図6Cは、機械圧縮比、実圧縮比および膨張比を説明するための図である。 図7は、理論熱効率と膨張比との関係を示す図である。 図8Aは、通常のサイクルおよび超高膨張比サイクルを説明するための図である。 図8Bは、通常のサイクルおよび超高膨張比サイクルを説明するための図である。 図9は、機関負荷に応じた機械圧縮比等の変化を示す図である。 図10は、EGR率と実圧縮比との関係を示す図である。 図11は、機関負荷に応じた機械圧縮比等の変化を示す図である。 図12は、火花点火式内燃機関の運転制御の制御ルーチンを示すフローチャートである。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同様な構成要素には同一の参照番号を付す。
図1に火花点火式内燃機関の側面断面図を示す。
図1を参照すると、1はクランクケース、2はシリンダブロック、3はシリンダヘッド、4はピストン、5は燃焼室、6は燃焼室5の頂面中央部に配置された点火プラグ、7は吸気弁、8は吸気ポート、9は排気弁、10は排気ポートをそれぞれ示す。吸気ポート8は吸気枝管11を介してサージタンク12に連結され、各吸気枝管11にはそれぞれ対応する吸気ポート8内に向けて燃料を噴射するための燃料噴射弁13が配置される。なお、燃料噴射弁13は各吸気枝管11に取付ける代りに各燃焼室5内に配置してもよい。
サージタンク12は吸気ダクト14を介してエアクリーナ15に連結され、吸気ダクト14内にはアクチュエータ16によって駆動されるスロットル弁17と例えば熱線を用いた吸入空気量検出器18とが配置される。一方、排気ポート10は排気マニホルド19を介して例えば三元触媒を内蔵した触媒コンバータ20に連結され、排気マニホルド19内には空燃比センサ21が配置される。なお、以下の説明では、スロットル弁17下流の吸気ダクト14、サージタンク12、吸気枝管11、吸気ポート8をまとめて吸気管と称する。
排気マニホルド19と吸気枝管11(または、サージタンク12、吸気ポート8)とは再循環排気ガス(以下、EGRガスという)用のEGR通路23を介して互いに連結され、このEGR通路23内にはEGR制御弁24が配置される。またEGR通路23周りにはEGR通路23内を流れるEGRガスを冷却するためのEGR冷却装置25が配置される。図1に示した内燃機関ではEGR冷却装置25内に機関冷却水が導かれ、この機関冷却水によりEGRガスが冷却される。なお、以下の説明では、EGR通路23、EGR制御弁24、EGR冷却装置25をまとめてEGR機構と称する。
一方、図1に示される実施形態ではクランクケース1とシリンダブロック2との連結部にクランクケース1とシリンダブロック2のシリンダ軸線方向の相対位置を変化させることによりピストン4が圧縮上死点に位置するときの燃焼室5の容積を変更可能な可変圧縮比機構Aが設けられており、さらに吸気弁7の閉弁時期を制御可能な可変バルブタイミング機構Bが設けられている。
電子制御ユニット30はデジタルコンピュータからなり、双方向性バス31によって互いに接続されたROM(リードオンリメモリ)32、RAM(ランダムアクセスメモリ)33、CPU(マイクロプロセッサ)34、入力ポート35および出力ポート36を具備する。吸入空気量検出器18の出力信号、空燃比センサ21の出力信号はそれぞれ対応するAD変換器37を介して入力ポート35に入力される。また、アクセルペダル40にはアクセルペダル40の踏込み量に比例した出力電圧を発生する負荷センサ41が接続され、負荷センサ41の出力電圧は対応するAD変換器37を介して入力ポート35に入力される。さらに入力ポート35にはクランクシャフトが例えば10°回転する毎に出力パルスを発生するクランク角センサ42が接続される。一方、出力ポート36は対応する駆動回路38を介して点火プラグ6、燃料噴射弁13、スロットル弁駆動用アクチュエータ16、EGR制御弁24、可変圧縮比機構Aおよび可変バルブタイミング機構Bに接続される。
図2は図1に示す可変圧縮比機構Aの分解斜視図を示しており、図3A及び図3Bは図解的に表した内燃機関の側面断面図を示している。図2を参照すると、シリンダブロック2の両側壁の下方には互いに間隔を隔てた複数個の突出部50が形成されており、各突出部50内にはそれぞれ断面円形のカム挿入孔51が形成されている。一方、クランクケース1の上壁面上には互いに間隔を隔ててそれぞれ対応する突出部50の間に嵌合せしめられる複数個の突出部52が形成されており、これらの各突出部52内にもそれぞれ断面円形のカム挿入孔53が形成されている。
図2に示されるように一対のカムシャフト54、55が設けられており、各カムシャフト54、55上には一つおきに各カム挿入孔51内に回転可能に挿入される円形カム56が固定されている。これらの円形カム56は各カムシャフト54、55の回転軸線と共軸をなす。一方、各円形カム56間には図3A及び図3Bにおいてハッチングで示すように各カムシャフト54、55の回転軸線に対して偏心配置された偏心軸57が延びており、この偏心軸57上に別の円形カム58が偏心して回転可能に取付けられている。図2に示されるようにこれら円形カム58は各円形カム56間に配置されており、これら円形カム58は対応する各カム挿入孔53内に回転可能に挿入されている。
図3Aに示すような状態から各カムシャフト54、55上に固定された円形カム56を図3Aにおいて実線の矢印で示されるように互いに反対方向に回転させると偏心軸57が下方中央に向けて移動するために円形カム58がカム挿入孔53内において図3Aの破線の矢印に示すように円形カム56とは反対方向に回転し、図3Bに示されるように偏心軸57が下方中央まで移動すると円形カム58の中心が偏心軸57の下方へ移動する。
図3Aと図3Bとを比較するとわかるようにクランクケース1とシリンダブロック2の相対位置は円形カム56の中心と円形カム58の中心との距離によって定まり、円形カム56の中心と円形カム58の中心との距離が大きくなるほどシリンダブロック2はクランクケース1から離れる。シリンダブロック2がクランクケース1から離れるとピストン4が圧縮上死点に位置するときの燃焼室5の容積は増大し、したがって各カムシャフト54、55を回転させることによってピストン4が圧縮上死点に位置するときの燃焼室5の容積を変更することができる。
図2に示されるように各カムシャフト54、55をそれぞれ反対方向に回転させるために駆動モータ59の回転軸にはそれぞれ螺旋方向が逆向きの一対のウォームギア61、62が取付けられており、これらウォームギア61、62と噛合する歯車63、64がそれぞれ各カムシャフト54、55の端部に固定されている。本実施形態では駆動モータ59を駆動することによってピストン4が圧縮上死点に位置するときの燃焼室5の容積を広い範囲に亘って変更することができる。なお、図1から図3Bに示される可変圧縮比機構Aは一例を示すものであっていかなる形式の可変圧縮比機構でも用いることができる。
一方、図4は図1において吸気弁7を駆動するためのカムシャフト70に対して設けられている可変バルブタイミング機構Bを示している。図4に示したように可変バルブタイミング機構Bはカムシャフト70の一端に取付けられてカムシャフト70のカムの位相を変更するためのカム位相変更部B1と、カムシャフト70と吸気弁7のバルブリフタ26との間に配置されてカムシャフト70のカムの作用角を異なる作用角に変更して吸気弁7に伝達するカム作用角変更部B2から構成されている。なお、カム作用角変更部B2については図4に側面断面図と平面図とが示されている。
まず初めに可変バルブタイミング機構Bのカム位相変更部B1について説明すると、このカム位相変更部B1は機関のクランク軸によりタイミングベルトを介して矢印方向に回転せしめられるタイミングプーリ71と、タイミングプーリ71と一緒に回転する円筒状ハウジング72と、カムシャフト70と一緒に回転し且つ円筒状ハウジング72に対して相対回転可能な回転軸73と、円筒状ハウジング72の内周面から回転軸73の外周面まで延びる複数の仕切壁74と、各仕切壁74の間で回転軸73の外周面から円筒状ハウジング72の内周面まで延びるベーン75とを具備しており、各ベーン75の両側にはそれぞれ進角用油圧室76と遅角用油圧室77とが形成されている。
各油圧室76、77への作動油の供給制御は作動油供給制御弁78によって行われる。この作動油供給制御弁78は各油圧室76、77にそれぞれ連結された油圧ポート79、80と、油圧ポンプ81から吐出された作動油の供給ポート82と、一対のドレインポート83、84と、各ポート79、80、82、83、84間の連通遮断制御を行うスプール弁85とを具備している。
カムシャフト70のカムの位相を進角すべきときは図4においてスプール弁85が下方に移動せしめられ、供給ポート82から供給された作動油が油圧ポート79を介して進角用油圧室76に供給されると共に遅角用油圧室77内の作動油がドレインポート84から排出される。このとき回転軸73は円筒状ハウジング72に対して矢印X方向に相対回転せしめられる。
これに対し、カムシャフト70のカムの位相を遅角すべきときは図4においてスプール弁85が上方に移動せしめられ、供給ポート82から供給された作動油が油圧ポート80を介して遅角用油圧室77に供給されると共に進角用油圧室76内の作動油がドレインポート83から排出される。このとき回転軸73は円筒状ハウジング72に対して矢印Xと反対方向に相対回転せしめられる。
回転軸73が円筒状ハウジング72に対して相対回転せしめられているときにスプール弁85が図4に示した中立位置に戻されると回転軸73の相対回転動作は停止せしめられ、回転軸73はそのときの相対回転位置に保持される。したがってカム位相変更部B1によって図5Aに示したようにカムシャフト70のカムの位相を所望の量だけ進角又は遅角させることができる。すなわち、カム位相変更部B1によって吸気弁7の開弁時期を任意に進角又は遅角させることができることになる。
次に可変バルブタイミング機構Bのカム作用角変更部B2について説明すると、このカム作用角変更部B2はカムシャフト70と平行に並列配置され且つアクチュエータ91によって軸線方向に移動せしめられる制御ロッド90と、カムシャフト70のカム92と係合し且つ制御ロッド90上に形成された軸線方向に延びるスプライン93に摺動可能に嵌合せしめられている中間カム94と、吸気弁7を駆動するためにバルブリフタ26と係合し且つ制御ロッド90上に形成された螺旋状に延びるスプライン95に摺動可能に嵌合する揺動カム96とを具備しており、揺動カム96上にはカム97が形成されている。
カムシャフト70が回転するとカム92によって中間カム94が常に一定の角度だけ揺動せしめられ、このとき揺動カム96も一定の角度だけ揺動せしめられる。一方、中間カム94及び揺動カム96は制御ロッド90の軸線方向には移動不能に支持されており、したがって制御ロッド90がアクチュエータ91によって軸線方向に移動せしめられたときに揺動カム96は中間カム94に対して相対回転せしめられることになる。
中間カム94と揺動カム96との相対回転位置関係によりカムシャフト70のカム92が中間カム94と係合し始めたときに揺動カム96のカム97がバルブリフタ26と係合し始める場合には図5Bにおいてaで示したように吸気弁7の開弁期間及びリフトは最も大きくなる。これに対し、アクチュエータ91によって揺動カム96が中間カム94に対して図4の矢印Y方向に相対回転せしめられると、カムシャフト70のカム92が中間カム94に係合した後、暫らくしてから揺動カム96のカム97がバルブリフタ26と係合する。この場合には図5Bにおいてbで示したように吸気弁7の開弁期間及びリフト量はaに比べて小さくなる。
揺動カム96が中間カム94に対して図4の矢印Y方向にさらに相対回転せしめられると図5Bにおいてcで示したように吸気弁7の開弁期間及びリフト量はさらに小さくなる。すなわち、アクチュエータ91により中間カム94と揺動カム96の相対回転位置を変更することによって吸気弁7の開弁期間(作用角)を任意に変えることができる。ただし、この場合、吸気弁7のリフト量は吸気弁7の開弁期間が短くなるほど小さくなる。
このようにカム位相変更部B1によって吸気弁7の開弁時期を任意に変更することができ、カム作用角変更部B2によって吸気弁7の開弁期間を任意に変更することができるのでカム位相変更部B1とカム作用角変更部B2との双方によって、すなわち可変バルブタイミング機構Bによって吸気弁7の開弁時期と開弁期間とを、すなわち吸気弁7の開弁時期と閉弁時期とを任意に変更することができることになる。
なお、図1および図4に示した可変バルブタイミング機構Bは一例を示すものであって、図1および図4に示した例以外の種々の形式の可変バルブタイミング機構を用いることができる。特に、本発明の実施形態では、吸気弁7の閉弁時期を変更可能な可変閉弁時期機構であれば、如何なる形式の機構を用いてもよい。また、排気弁9に対しても吸気弁7の可変バルブタイミング機構Bと同様な可変バルブタイミング機構を設けてもよい。
次に図6A〜図6Cを参照しつつ本願において使用されている用語の意味について説明する。なお、図6A〜図6Cには説明のために燃焼室容積が50mlでピストンの行程容積が500mlであるエンジンが示されており、これら図6A〜図6Cにおいて燃焼室容積とはピストンが圧縮上死点に位置するときの燃焼室の容積を表している。
図6Aは機械圧縮比について説明している。機械圧縮比は圧縮行程時のピストンの行程容積と燃焼室容積のみから機械的に定まる値であってこの機械圧縮比は(燃焼室容積+行程容積)/燃焼室容積で表される。図6Aに示される例ではこの機械圧縮比は(50ml+500ml)/50ml=11となる。
図6Bは実圧縮比について説明している。この実圧縮比は実際に圧縮作用が開始されたときからピストンが上死点に達するまでの実際のピストン行程容積と燃焼室容積から定まる値であってこの実圧縮比は(燃焼室容積+実際の行程容積)/燃焼室容積で表される。すなわち、図6Bに示されるように圧縮行程においてピストンが上昇を開始しても吸気弁が開弁している間は圧縮作用は行われず、吸気弁が閉弁したときから実際の圧縮作用が開始される。したがって実圧縮比は実際の行程容積を用いて上記のように表される。図6Bに示される例では実圧縮比は(50ml+450ml)/50ml=10となる。
図6Cは膨張比について説明している。膨張比は膨張行程時のピストンの行程容積と燃焼室容積から定まる値であってこの膨張比は(燃焼室容積+行程容積)/燃焼室容積で表される。図6Cに示される例ではこの膨張比は(50ml+500ml)/50ml=11となる。
次に図7、図8A及び図8Bを参照しつつ本発明において最も基本となっている特徴について説明する。なお、図7は理論熱効率と膨張比との関係を示しており、図8A及び図8Bは本発明において負荷に応じ使い分けられている通常のサイクルと超高膨張比サイクルとの比較を示している。
図8Aは吸気弁が下死点近傍で閉弁し、ほぼ圧縮下死点付近からピストンによる圧縮作用が開始される場合の通常のサイクルを示している。この図8Aに示す例でも図6A〜図6Cに示す例と同様に燃焼室容積が50mlとされ、ピストンの行程容積が500mlとされている。図8Aからわかるように通常のサイクルでは機械圧縮比は(50ml+500ml)/50ml=11であり、実圧縮比もほぼ11であり、膨張比も(50ml+500ml)/50ml=11となる。すなわち、通常の内燃機関では機械圧縮比と実圧縮比と膨張比とがほぼ等しくなる。
図7における実線は実圧縮比と膨張比とがほぼ等しい場合の、すなわち通常のサイクルにおける理論熱効率の変化を示している。この場合には膨張比が大きくなるほど、すなわち実圧縮比が高くなるほど理論熱効率が高くなることがわかる。したがって通常のサイクルにおいて理論熱効率を高めるには実圧縮比を高くすればよいことになる。しかしながら機関高負荷運転時におけるノッキングの発生の制約により実圧縮比は最大でも12程度までしか高くすることができず、斯くして通常のサイクルにおいては理論熱効率を十分に高くすることはできない。
一方、機械圧縮比と実圧縮比とを厳密に区分して理論熱効率を高めることについて検討すると、理論熱効率は膨張比が支配し、理論熱効率に対して実圧縮比はほとんど影響を与えない。すなわち、実圧縮比を高くすると爆発力は高まるが圧縮するために大きなエネルギーが必要となり、斯くして実圧縮比を高めても理論熱効率はほとんど高くならない。
これに対し、膨張比を大きくすると膨張行程時にピストンに対して押下げ力が作用する期間が長くなり、斯くしてピストンがクランクシャフトに回転力を与えている期間が長くなる。したがって膨張比は大きくすれば大きくするほど理論熱効率が高くなる。図7の破線ε=10は実圧縮比を10に固定した状態で膨張比を高くしていった場合の理論熱効率を示している。このように実圧縮比を低い値に維持した状態で膨張比を高くしたときの理論熱効率の上昇量と、図7の実線で示したように実圧縮比も膨張比と共に増大せしめられる場合の理論熱効率の上昇量とは大きな差がないことがわかる。
このように実圧縮比が低い値に維持されているとノッキングが発生することがなく、したがって実圧縮比を低い値に維持した状態で膨張比を高くするとノッキングの発生を阻止しつつ理論熱効率を大幅に高めることができる。図8Bは可変圧縮比機構Aおよび可変バルブタイミング機構Bを用いて、実圧縮比を低い値に維持しつつ膨張比を高めるようにした場合の一例を示している。
図8Bを参照すると、この例では可変圧縮比機構Aにより燃焼室容積が50mlから20mlまで減少せしめられる。一方、可変バルブタイミング機構Bによって実際のピストン行程容積が500mlから200mlになるまで吸気弁の閉弁時期が遅らされる。その結果、この例では実圧縮比は(20ml+200ml)/20ml=11となり、膨張比は(20ml+500ml)/20ml=26となる。図8Aに示される通常のサイクルでは前述したように実圧縮比がほぼ11で膨張比が11であり、この場合に比べると図8Bに示される場合には膨張比のみが26まで高められていることがわかる。このため、図8Bに示したサイクルを超高膨張比サイクルと称する。
前述したように一般的に言って内燃機関では機関負荷が低いほど熱効率が悪くなり、したがって車両走行時における熱効率を向上させるためには、すなわち燃費を向上させるには機関低負荷運転時における熱効率を向上させることが必要となる。一方、図8Bに示される超高膨張比サイクルでは圧縮行程時の実際のピストン行程容積が小さくされるために燃焼室5内に吸入しうる吸入空気量は少なくなり、したがってこの超高膨張比サイクルは機関負荷が比較的低いときにしか採用できないことになる。したがって本発明では機関低負荷運転時には図8Bに示す超高膨張比サイクルとし、機関高負荷運転時には図8Aに示す通常のサイクルとするようにしている。
次に、図9を参照しつつ運転制御全般について説明する。
図9には或る機関回転数における機関負荷に応じた機械圧縮比、実圧縮比、吸気弁7の閉弁時期、吸気管内の圧力、スロットル弁17の開度、EGR率の各変化を示している。特に、図9中の実線は、EGR機構によってEGRガスを燃焼室5内へ供給した場合(すなわち、EGR率が高い場合)における各パラメータの変化を示しており、図9中の破線は、EGR機構によってEGRガスを燃焼室5内へ供給しない場合(すなわち、EGR率が極めて低い場合)における各パラメータの変化を示している。
なお、図示した例では触媒コンバータ20内の三元触媒によって排気ガス中の未燃炭化水素(未燃HC)、一酸化炭素(CO)及び窒素酸化物(NOX)を同時に低減しうるように通常燃焼室5内における平均空燃比は空燃比センサ27の出力信号に基づいて理論空燃比にフィードバック制御されている。
まず、図9中に破線で示した、EGRガスを燃焼室5内へ供給しない場合(すなわち、EGR率が極めて低い場合)の運転制御について説明する。
本発明の実施形態では、上述したように機関高負荷運転時には図8Aに示した通常のサイクルが実行される。したがって、図9に破線で示したように、このときには機械圧縮比は低くされるため、膨張比は低く、吸気弁7の閉弁時期は早められている。また、このときには吸入空気量は多く、このときスロットル弁20の開度は全開又はほぼ全開に保持されている。
一方、図9に破線で示したように機関負荷が低くなるとそれに伴って吸入空気量を減少すべく吸気弁7の閉弁時期が遅くされる。また、このときには実圧縮比がほぼ一定に保持されるように図9に破線で示した如く機関負荷が低くなるにつれて機械圧縮比が増大され、したがって機関負荷が低くなるにつれて機械圧縮比が増大される。なお、このときにもスロットル弁27は全開又はほぼ全開状態に保持されており、したがって燃焼室5内に供給される吸入空気量はスロットル弁17によらずに吸気弁7の閉弁時期を変えることによって制御されている。
このように機関高負荷運転状態から機関負荷が低くなるときには実圧縮比がほぼ一定のもとで吸入空気量が減少するにつれて機械圧縮比が増大せしめられる。すなわち、吸入空気量の減少に比例してピストン4が圧縮上死点に達したときの燃焼室5の容積が減少せしめられる。したがって、ピストン4が圧縮上死点に達したときの燃焼室5の容積は吸入空気量に比例して変化していることになる。なお、このとき燃焼室5内の空燃比は理論空燃比となっているので、ピストンが圧縮上死点に達したときの燃焼室5の容積は燃料量に比例して変化していることになる。
機関負荷がさらに低くなると、吸気弁7の閉弁時期はさらに遅らされ、機関負荷がL1まで低下すると吸気弁7の閉弁時期が遅角側限界閉弁時期となる。この遅角側限界閉弁時期は、それ以上吸気弁7の閉弁時期を遅らせると吸気弁7の閉弁時期を変化させることによっては燃焼室5内に供給される吸気ガス量を制御することができなくなる閉弁時期とされる。吸気弁7の閉弁時期が遅角側限界閉弁時期に達すると、吸気弁7の閉弁時期が遅角側限界閉弁時期に達したときの機関負荷L1よりも負荷の低い領域では吸気弁7の閉弁時期が遅角側限界閉弁時期に保持される。
また、図9に破線で示した例では、機関高負荷運転状態から機関負荷が低くなるにつれて機械圧縮比が増大せしめられ、吸気弁7の閉弁時期が遅角側限界閉弁時期に達したときの機関負荷L1まで機関負荷が低下すると、機械圧縮比は或る特定の機械圧縮比(以下、「特定機械圧縮比」という)に達する。吸気弁7の閉弁時期が遅角側限界閉弁時期に達したときの機関負荷L1よりも負荷の低い領域では機械圧縮比が特定機械圧縮比に保持される。この特定機械圧縮比は、吸気弁7の閉弁時期が遅角側限界閉弁時期に達したときの機関負荷L1よりも負荷の低い領域における実圧縮比が、吸気弁7の閉弁時期が遅角側限界閉弁時期に達したときの機関負荷L1よりも負荷の高い領域における実圧縮比とほぼ同一となるように設定される。例えば、機関負荷L1よりも負荷の低い領域における実圧縮比は、機関負荷L1よりも負荷の高い領域における実圧縮比に対してほぼ±10パーセントの範囲内とされ、好ましくは±5パーセントの範囲内とされる。
一方、吸気弁7の閉弁時期が遅角側限界閉弁時期に保持されるともはや吸気弁7の閉弁時期の変化によっては吸入空気量を制御することができない。図9に破線で示した例ではこのとき、すなわち吸気弁7の閉弁時期が限界閉弁時期に達したときの機関負荷L1よりも負荷の低い領域では、スロットル弁17によって燃焼室5内に供給される吸入空気量が制御される。ただし、スロットル弁17による吸入空気量の制御が行われると図9に破線で示したようにポンピング損失が増大する。
なお、スロットル弁17による吸入空気量の制御が行われるとポンピング損失が増大することから、このようなポンピング損失が発生しないように吸気弁7の閉弁時期が限界閉弁時期に達したときの機関負荷L1よりも負荷の低い領域ではスロットル弁17を全開又はほぼ全開に保持した状態で機関負荷が低くなるほど空燃比を大きくすることもできる。このときには燃料噴射弁13を燃焼室5内に配置して成層燃焼させることが好ましい。
また、図9に破線で示したように、実圧縮比は機関負荷にかかわらずにほぼ一定に保持される。具体的には、機関低負荷運転時の実圧縮比は機関中高負荷運転時の実圧縮比に対してほぼ±10パーセントの範囲内とされ、好ましくは±5パーセントの範囲内とされる。ただし、機関回転数が高くなると燃焼室5内の混合気に乱れが発生するため、ノッキングが発生しにくくなることから、本発明の実施形態では機関回転数が高くなるほど実圧縮比が高くされる。
さらに、上述したように図8Bに示す超高膨張比サイクルでは膨張比が26とされる。この膨張比は高いほど好ましい。しかしながら、実用上使用可能な実圧縮比の範囲(ε=5程度〜13程度)において最大理論熱効率が得られる膨張比は20以上であるため、本発明では膨張比が20以上となるように可変圧縮比機構Aが形成されている。
さらに、図9に破線で示した例では機械圧縮比は機関負荷に応じて連続的に変化せしめられている。しかしながら、機械圧縮比は機関負荷に応じて段階的に変化させることもできる。
また、吸気弁7の閉弁時期を吸気下死点よりも進角側の時期とした場合、機関負荷が低くなるにつれて吸気弁7の閉弁時期を早めることによって吸入空気量を制御することができる。したがって、吸気弁7の閉弁時期についてまとめて表現すると、吸気弁7の閉弁時期は、機関負荷が低くなるにつれて、燃焼室5内に供給される吸入空気量を制御しうる限界閉弁時期まで圧縮下死点から離れる方向に移動せしめられることになる。
次に、図9中に実線で示した、EGRガスを燃焼室5内へ供給した場合(すなわち、EGR率が高い場合)の運転制御について説明する。
図9に実線で示したように、EGRガスを燃焼室5内へ供給した場合においても、機関高負荷運転時には図8Aに示した通常のサイクルが実行される。したがって、図9に実線で示したように、機関負荷が最も高いときには、機械圧縮比は低くされるため、膨張比は低い。また、吸気弁7の閉弁時期は、可変バルブタイミング機構Bの機構上それ以上閉弁時期を進角することができない進角側限界閉弁時期(例えば、吸気下死点)にまで早められている。また、機関負荷が最も高いときには、吸入空気量は多く、このときスロットル弁17の開度は全開又はほぼ全開とされる。
一方、図9に実線で示したように、機関負荷が最も高いときから機関負荷が低くなると、それに伴って吸入空気量を減少すべくスロットル弁17の開度が小さくされる。また、機関負荷が最も高いときから機関負荷が低くなると、スロットル弁17の開度が小さくなるのに伴って、EGR制御弁24の開度が大きくされ、燃焼室5内に供給される混合気中にEGRガスの占める割合(以下、「EGR率」という)が或る特定のEGR率(以下、「設定EGR率」という)XEGRになるまで高くされる。見方を変えると、EGRガスを燃焼室5内(すなわち吸気管内)に供給するためには吸気管内に負圧を発生する必要があることから、スロットル弁17の開度はこの負圧を発生させるために小さくされるといえる。
このように、スロットル弁17の開度が小さくなるのに伴ってEGR率が高くされることから、吸気管内の圧力は最大圧力(すなわち、ほぼ大気圧)のまま維持される。したがって、スロットル弁17の開度を小さくすることに伴うポンピング損失はほぼゼロとされる。
また、EGR率が設定EGR率に達したときの機関負荷L2よりも負荷の高い高負荷運転領域では、吸気弁7の閉弁時期がほぼ進角側限界閉弁時期に保持される。したがって、この領域では、スロットル弁17の開度を変化させることのみによって燃焼室5内へ供給される吸入空気量が制御させることになる。
さらに、EGR率が設定EGR率に達したときの機関負荷L2よりも負荷の高い高負荷運転領域では、機関負荷が低くなるのに伴って、すなわちEGR率が高くなるのに伴って実圧縮比が高くされる。これは、EGR率が高くなることによりノック耐性(ノッキングしにくさ)が高くなるため、実圧縮比を高めてもノッキングが発生しないことによるものである。ここで、EGR率が設定EGR率に達したときの機関負荷L2よりも負荷の高い高負荷運転領域では、吸気弁7の閉弁時期がほぼ進角側限界閉弁時期に保持されることから、実圧縮比は機械圧縮比を高めることによって高められる。したがって、機械圧縮比は、図9に実線で示したように、機関負荷が低くなるにつれて高くされる。
一方、EGR率が設定EGR率に達したときの機関負荷L2よりも負荷の低い中高負荷運転領域では、EGR率は設定EGR率に保持される。また、EGR率が一定に保持されることから、ノッキングが発生しないように、実圧縮比も一定に保持される。
また、EGR率が設定EGR率に達したときの機関負荷L2よりも負荷の低い中高負荷運転領域では、EGR率が設定EGR率に保持される。このため、それ以上スロットル弁17の開度を小さくしてもEGRガスの供給量を増やすことで吸気管内の圧力を大気圧に保持することはできず、その結果、ポンピング損失が発生してしまう。そこで、EGR率が設定EGR率に達したときの機関負荷L2よりも負荷の低い中高負荷運転領域では、スロットル弁17の開度が全開よりも閉じられたほぼ一定の開度に保持される。これにより、この領域においても、吸気管内の圧力はほぼ大気圧に保持され、ポンピング損失はほぼゼロとされる。
一方、EGR率が設定EGR率に達したときの機関負荷L2よりも負荷の低い中高負荷運転領域では、機関負荷が低くなるとそれに伴って吸入空気量を減少すべく吸気弁7の閉弁時期が遅くされる。上述したように、EGR率が設定EGR率に達したときの機関負荷L2よりも負荷の低い中高負荷運転領域では、スロットル弁17の開度及びEGR率が一定に維持されることから、燃焼室5内に供給される吸入空気量はスロットル弁17及びEGR制御弁24によらずに吸気弁7の閉弁時期を変えることによって制御されている。
さらに、EGR率が設定EGR率に達したときの機関負荷L2よりも負荷の低い中高負荷運転領域では、実圧縮比がほぼ一定となるように、機関負荷が低くなるにつれて、すなわち吸気弁7の閉弁時期が遅くなるにつれて機械圧縮比が増大せしめられる。
なお、吸気弁7の閉弁時期は、機関負荷L2よりも負荷の低い中高負荷運転領域において機関負荷が高くなるにつれて早められ、機関負荷L2において進角側限界閉弁時期に達することから、機関負荷L2は、吸気弁7の閉弁時期が進角側限界閉弁時期に達したときの機関負荷ということもできる。
機関負荷がさらに低くなると、吸気弁7の閉弁時期はさらに遅らされ、機関負荷がL3まで低下すると吸気弁7の閉弁時期が遅角側限界閉弁時期となる。ここで、EGRガスを燃焼室5内に供給している場合(図中の実線)における吸気弁7の閉弁時期が遅角側限界閉弁時期に達する機関負荷L3は、EGRガスを燃焼室5内に供給していない場合(図中の破線)における吸気弁7の閉弁時期が遅角側限界閉弁時期に達する機関負荷L2よりも低い。この理由は以下の通りである。
EGRガス導入の有無にかかわらず吸気弁7の閉弁時期によって制御可能な吸気ガス(空気とEGRガスの両者を含むガス)の総量の限界値は一定である。EGRガスを導入していない場合には、吸気ガスは全て空気(新気)であるため、吸気弁7の閉弁時期によって制御可能な空気は総吸気ガス量の限界値に一致する。一方、EGRガスを導入している場合には吸気ガスの一部はEGRガスであるため、吸気弁7の閉弁時期によって制御可能な空気(新気)は総吸気ガス量の限界値よりも少ない量となる。このため、吸気弁7の閉弁時期が遅角側限界時期に達する機関負荷は、EGRガスを燃焼室5内に供給している場合の方が、EGRガスを燃焼室5内に供給していない場合よりも低くなる。
図9の実線から分かるように、吸気弁7の閉弁時期が遅角側限界閉弁時期に達したときの機関負荷L3よりも負荷の高い低中負荷運転領域では、吸気管内の圧力はほぼ大気圧に維持されていることから、斯かる領域ではポンピング損失がほぼゼロとされる。したがって、EGRガスを燃焼室5内に供給していない場合に比べて、供給している場合の方がポンピング損失の発生しない領域が広く、よって燃費を改善することができる。
吸気弁7の閉弁時期が遅角側限界閉弁時期に達すると、このときの機関負荷L3よりも負荷の低い低負荷運転領域では、吸気弁7の閉弁時期は遅角側限界閉弁時期に保持される。
また、図9に実線で示した例では、機関高負荷運転状態から機関負荷が低くなるにつれて機械圧縮比が増大せしめられ、機関負荷がL3まで低下すると、機械圧縮比は最大機械圧縮比に達する。機械圧縮比が最大機械圧縮比に達したときの機関負荷L3よりも負荷の低い低負荷運転領域では機械圧縮比が最大機械圧縮比に保持される。この最大機械圧縮比は、吸気弁7の閉弁時期が遅角側限界閉弁時期に達したときの機関負荷L3よりも負荷の低い低負荷運転領域における実圧縮比が、機関負荷L3よりも負荷の高い低中負荷運転領域における実圧縮比とほぼ同一となるように設定される。例えば、機関負荷L3よりも負荷の低い低負荷運転領域における実圧縮比は、機関負荷L3よりも負荷の高い低中負荷運転領域における実圧縮比に対してほぼ±10パーセントの範囲内とされ、好ましくは±5パーセントの範囲内とされる。
一方、吸気弁7の閉弁時期が遅角側限界閉弁時期に保持されるともはや吸気弁7の閉弁時期の変化によっては吸入空気量を制御することができない。図9に実線で示した例では、このとき、すなわち吸気弁7の閉弁時期が遅角側限界閉弁時期に達したときの機関負荷L3よりも負荷の低い低負荷運転領域では、スロットル弁17によって燃焼室5内に供給される吸入空気量が制御される。ただし、スロットル弁17による吸入空気量の制御が行われると図9に実線で示したようにポンピング損失が増大する。
また、本発明の実施形態では、吸気弁7の閉弁時期が遅角側限界閉弁時期に達したときの機関負荷L3よりも負荷の低い低負荷運転領域においてもEGR率がほぼ一定に保持されると共に、保持されるEGR率は機関負荷L3よりも負荷の高い低中負荷運転領域におけるEGR率とほぼ同一とされる。例えば、機関負荷L3よりも負荷の低い低負荷運転領域におけるEGR率は、機関負荷L3よりも負荷の高い低中負荷運転領域におけるEGR率に対してほぼ±10パーセントの範囲内とされ、好ましくは±5パーセントの範囲内とされる。
以上で説明したように、本発明の実施形態では、ほぼ全ての機関負荷領域に亘って、EGRガスを燃焼室5内へ供給した場合(図9中の実線)に、EGRガスを燃焼室5内へ供給しない場合(図9中の破線)に比べて、実圧縮比が高められ、この結果、理論熱効率が高められる。
すなわち、EGRガスを燃焼室5内へ供給すると、燃焼室5内の混合気が自着火しにくくなるため、ノッキングの発生が抑制される(ノック耐性が高くなる)。このため、EGRガスを燃焼室5内へ供給した場合には、EGRガスを燃焼室5内へ供給しない場合に比べて、実圧縮比を高めてもノッキングが発生しない。そこで、本発明の実施形態では、EGRガスを燃焼室5内へ供給した場合には、EGRガスを燃焼室5内へ供給しない場合に比べて実圧縮比を高めるようにしている。また、図7から分かるように、実圧縮比を高めると、理論熱効率が高められることになる。
特に、吸気弁7の閉弁時期が遅角側限界閉弁時期に達したときの機関負荷L3よりも負荷の低い低負荷運転領域では、それ以上吸気弁7の閉弁時期を遅くすることができない。このため、本発明の実施形態では、EGRガスを燃焼室5内へ供給したときには、EGRガスを燃焼室5内へ供給しない場合に比べて、機械圧縮比を高めることによって実圧縮比を高めるようにしている。
ここで、図7から分かるように、実圧縮比を高めることによっても熱効率を高めることができるが、機械圧縮比(すなわち膨張比)を高めることによっても熱効率を高めることができる。したがって、本発明の実施形態によれば、吸気弁7の閉弁時期が遅角側閉弁時期に達したときの機関負荷L3よりも負荷の低い低負荷運転領域では、実圧縮比を高めることに加えて、機械圧縮比(すなわち膨張比)を高めているため、熱効率を極めて高いものとすることができる。
また、吸気弁7の閉弁時期が遅角側限界閉弁時期に達したときの機関負荷L3よりも負荷が高く且つ吸気弁7の閉弁時期が進角側限界閉弁時期に達したときの機関負荷L2よりも負荷が低い領域(L3〜L2)では、EGRガスを燃焼室5内へ供給した場合(図9中の実線)に、EGRガスを燃焼室5内へ供給しない場合(図9中の破線)に比べて、吸気弁7の閉弁時期を進角すること及び機械圧縮比を高めることによって実圧縮比を高めるようにしている。これにより、斯かる領域においても、実圧縮比を高めることに加えて、機械圧縮比を高めているため、熱効率を高いものとすることができる。
なお、図9に実線で示した例では、吸気弁7の閉弁時期が進角側限界閉弁時期に達したときの機関負荷L2よりも負荷が低い中高負荷運転領域において、EGR率をほぼ一定に保持している。しかしながら、吸気弁7の閉弁時期を早くすると、燃焼室5内に発生する気流が大きくなることから、燃焼室5内の混合気が燃焼し易くなる。このため、燃焼室5内に供給されるEGRガスの量が多くなっても、トルク変動が増大してしまうことが抑制される。このため、吸気弁7の閉弁時期が遅角側限界閉弁時期に達したときの機関負荷L3よりも負荷が高く且つ吸気弁の閉弁時期が進角側限界閉弁時期に達したときの機関負荷L2よりも負荷が低い領域(L3〜L2)では、すなわち機関負荷が大きくなるにつれて吸気弁7の閉弁時期が早められる領域では、機関負荷の増大に伴って(すなわち、吸気弁7の閉弁時期の進角に伴って)EGR率を高めるようにしてもよい。この場合、実圧縮比は、EGR率が高くなるのに伴って高くされる。
また、設定EGR率は、機関負荷以外の運転パラメータに応じて変化せしめられる。換言すると、機関負荷が同一であっても機関負荷以外の運転パラメータに応じて設定EGR率は変化せしめられる。例えば、機関回転数が高いときには吸気ガスの流速が早く、燃焼室5内の混合気に乱れが生じやすく、燃焼し易いことから設定EGR率は高くせしめられる。また、機関冷却水が低いとき、すなわち内燃機関の冷間始動時には混合気が燃焼しにくく、EGR率が高いと失火を招くことから、設定EGR率は低くせしめられる。
このように、機関負荷以外のパラメータに応じて設定EGR率が変化した場合には、設定EGR率の変化に応じて実圧縮比も変化せしめられる。
図10は、EGR率と実圧縮比との関係を示す図である。図10に示したように、実圧縮比は、EGR率が高くなるほど実圧縮比が高められる。これは、EGR率が高くなるほど、実圧縮比を高めてもノッキングが発生しなくなるためである。ただし、EGR率が高くなり過ぎると燃焼室5内での混合気の燃焼が不安定になり、トルク変動等を招いてしまう。このため、設定EGR率は、機関負荷や機関回転数等に基づいて定まる或る一定のEGR率X以下の範囲内で設定される。
なお、図9中の一点鎖線は、設定EGR率が比較的低い場合における各パラメータの変化を表している。図から分かるように、設定EGR率が比較的低い場合には、設定EGR率が高い場合(図中の実線)に比べて、実圧縮比が低くされる。また、設定EGR率が低い場合にEGR率が設定EGR率に達する機関負荷は、設定EGR率が高い場合にEGR率が設定EGR率に達する機関負荷L2よりも高く、また、設定EGR率が低い場合に吸気弁7の閉弁時期が遅角側限界閉弁時期に達する機関負荷は、設定EGR率が高い場合に吸気弁7の閉弁時期が遅角側限界閉弁時期に達する機関負荷L3よりも高い。
さらに、図9で示した例では、吸気弁7の閉弁時期が遅角側限界閉弁時期に達したときの機関負荷L3よりも負荷が高く且つEGR率が設定EGR率に達したときの機関負荷L2よりも負荷が低い領域(L3〜L2)において、機関運転状態に基づいてEGR率を設定し、この設定EGR率に基づいて実圧縮比を算出し、この実圧縮比となるように機械圧縮比が制御されている。すなわち、図9に示した例では、機械圧縮比は機関運転状態に応じて変化せしめられる。
これに対して、斯かる領域において、機械圧縮比を機関負荷のみに基づいて制御するようにしてもよい。この様子を図11に示す。
図11は、或る機関回転数における機関負荷に応じた機械圧縮比、実圧縮比、吸気弁7の閉弁時期、吸気管内の圧力、スロットル弁17の開度、EGR率の各変化を示す、図9と同様な図である。図11に実線で示した例では、機関負荷がL1からL2の領域において、EGRガスを燃焼室5内へ供給した場合(図中の実線)にも供給しない場合(図中の破線)にも機関負荷に応じて機械圧縮比が同様に制御される。すなわち、図11に実線で示した例では、機械圧縮比が機関負荷のみに基づいて制御されている。機械圧縮比をこのように制御することによって、図9に示した場合に比べて機械圧縮比の制御を容易なものとすることができる。
なお、この場合、機関負荷がL1からL2の領域において、EGRガスを燃焼室5内へ供給した場合(図11中の実線)には、EGRガスを燃焼室5内へ供給しない場合(図11中の破線)に比べて、機械圧縮比を高めることによらずに吸気弁7の閉弁時期を進角することのみによって実圧縮比が高められる。
図12は、本発明の実施形態の火花点火式内燃機関の運転制御の制御ルーチンを示すフローチャートである。図12を参照すると、まず、ステップ11において負荷センサ41の出力に基づいて機関負荷Lが検出される。次いで、ステップS12において、ステップS11で検出された機関負荷Lが吸気弁7の閉弁時期が遅角側限界閉弁時期に達する負荷L3以下であるか否かが判定される。
ステップS12において、機関負荷Lが負荷L3以下であると判定された場合にはステップS13へと進む。ステップS13では、内燃機関の運転パラメータ(機関回転数、機関冷却水温等)に基づいて目標EGR率が算出される。目標EGR率を算出する際の運転パラメータとして機関負荷を用いてもよい。
次いで、ステップS14では、ステップS13で算出された目標EGR率に基づいて図10に示したようなマップを用いて目標実圧縮比が算出される。次いで、ステップS15では、吸気弁7の目標閉弁時期が遅角側限界閉弁時期に設定される。ステップS16では、吸気弁7の閉弁時期が遅角側限界閉弁時期にあるときに実圧縮比がステップS14で算出された目標実圧縮比となるように目標機械圧縮比が算出される。次いで、ステップS17では、燃焼室5内へ供給される吸入空気量が機関負荷に応じた吸入空気量となるように目標スロットル開度が算出される。
一方、ステップS12において、機関負荷Lが吸気弁7の閉弁時期が遅角側限界閉弁時期に達する負荷L3よりも高いと判定された場合には、ステップS18へと進む。ステップS18では、ステップS13と同様に目標EGR率が算出される。次いで、ステップS19では、ステップS18で算出された目標EGR率に基づいて図10に示したようなマップを用いて目標実圧縮比が算出される。次いで、ステップS20では、機関負荷、目標EGR率に基づいて、燃焼室5内へ供給される吸入空気量(新気量)が機関負荷に応じた吸入空気量となるように吸気弁7の目標閉弁時期が算出される。ステップS21では、吸気弁7の閉弁時期がステップS20で算出された吸気弁7の目標閉弁時期にあるときに、実圧縮比がステップS19で算出された目標実圧縮比となるように目標機械圧縮比が算出される。次いで、ステップS22では、ステップS18で算出された目標EGR率に基づいて、吸気管内の圧力が大気圧となるように目標スロットル弁開度が算出される。
ステップS23では、機械圧縮比がステップS16又はS21で算出された目標機械圧縮比となるように可変圧縮比機構Aが制御され、吸気弁7の閉弁時期がステップS15又はS20で算出された目標閉弁時期となるように可変バルブタイミング機構が制御される。また、スロットル弁17の開度がステップS17又はS22で算出された目標スロットル開度となるようにスロットル弁17が制御され、EGR率がステップS13又はS18で算出された目標EGR率となるようにEGR制御弁24が制御され、制御ルーチンが終了せしめられる。
なお、本発明について特定の実施形態に基づいて詳述しているが、当業者であれば本発明の請求の範囲及び思想から逸脱することなく、様々な変更、修正等が可能である。
1 クランクケース
2 シリンダブロック
3 シリンダヘッド
4 ピストン
5 燃焼室
7 吸気弁
23 EGR通路
24 EGR制御弁
25 EGR冷却装置
A 可変圧縮比機構
B 可変バルブタイミング機構

Claims (18)

  1. 機械圧縮比を変更可能な可変圧縮比機構と、吸気弁の閉弁時期を制御可能な可変バルブタイミング機構と、EGR通路を介して排気ガスの一部をEGRガスとして再び燃焼室内に供給するEGR機構とを具備し、機関低負荷運転時には機関高負荷運転時に比べて機械圧縮比が高くされる、火花点火式内燃機関において、
    EGR率が高くなるほど実圧縮比を高めるようにした、火花点火式内燃機関。
  2. 機関低負荷運転時には機械圧縮比を高めることによって実圧縮比が高められる、請求項1に記載の火花点火式内燃機関。
  3. 機関中負荷運転時には吸気弁の閉弁時期を進角させることによって実圧縮比が高められる、請求項1又は2に記載の火花点火式内燃機関。
  4. 機関中負荷運転時には吸気弁の閉弁時期を進角させることに加えて機械圧縮比を高めることによって実圧縮比が高められる、請求項3に記載の火花点火式内燃機関。
  5. 機関低中負荷運転時には上記EGR機構によりEGRガスが燃焼室内に供給せしめられる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の火花点火式内燃機関。
  6. 機関中高負荷運転時において、吸気弁の閉弁時期は、機関負荷が高くなるにつれて、進角側限界閉弁時期まで進角せしめられる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の火花点火式内燃機関。
  7. 機関中高負荷運転時において、吸気弁の閉弁時期が進角側限界閉弁時期に達したときの機関負荷よりも負荷の低い領域では燃焼室内に供給される吸入空気量が吸気弁の閉弁時期を変えることによって制御される、請求項6に記載の火花点火式内燃機関。
  8. 機関中高負荷運転時において、吸気弁の閉弁時期が進角側限界閉弁時期に達したときの機関負荷よりも負荷の低い領域では、機関負荷が高くなるほどEGR率が高くせしめられる、請求項6又は7に記載の火花点火式内燃機関。
  9. 機関中高負荷運転時において、吸気弁の閉弁時期が進角側限界閉弁時期に達したときの機関負荷よりも負荷の低い領域では、機関負荷が高くなるほどスロットル弁の開度が小さくせしめられる、請求項8に記載の火花点火式内燃機関。
  10. 機関中高負荷運転時において、吸気弁の閉弁時期が進角側限界閉弁時期に達したときの危難負荷よりも負荷の低い領域では、機関負荷にかかわらずにEGR率がほぼ一定に保持される、請求項6又は7に記載の火花点火式内燃機関。
  11. 機関中高負荷運転時において、吸気弁の閉弁時期が進角側限界閉弁時期に達したときの機関負荷よりも負荷の低い領域では機関負荷にかかわらずにスロットル弁の開度が全開よりも閉じられたほぼ一定の開度に保持される、請求項10に記載の火花点火式内燃機関。
  12. 吸気弁の閉弁時期が進角側限界閉弁時期に達したときの機関負荷よりも負荷の高い領域では、吸気弁の閉弁時期が進角側限界閉弁時期に保持される、請求項6〜11のいずれか1項に記載の火花点火式内燃機関。
  13. 吸気弁の閉弁時期が進角側限界閉弁時期に達したときの機関負荷よりも負荷の高い領域では、機関負荷が高くなるにつれてスロットル弁の開度が大きくされる、請求項12に記載の火花点火式内燃機関。
  14. 吸気弁の閉弁時期が進角側限界閉弁時期に達したときの機関負荷よりも負荷の高い領域では、燃焼室内に供給される吸入空気量がスロットル弁の開度を変えることによって制御される、請求項10に記載の火花点火式内燃機関。
  15. 機関低負荷運転時において、吸気弁の閉弁時期は、機関負荷が低くなるにつれて、燃焼室内に供給される吸入空気量を制御しうる遅角側限界閉弁時期まで遅角せしめられる、請求項1〜14のいずれか1項に記載の火花点火式内燃機関。
  16. 吸気弁の閉弁時期が遅角側限界閉弁時期に達したときの機関負荷よりも負荷の低い領域では、燃焼室内に供給される吸入空気量がスロットル弁の開度を変えることによって制御される、請求項15に記載の火花点火式内燃機関。
  17. 機関低負荷運転時には機械圧縮比が最大機械圧縮比とされる、請求項1〜16のいずれか1項に記載の火花点火式内燃機関。
  18. 機関低負荷運転時には膨張比が20以上とされる、請求項1〜17のいずれか1項に記載の火花点火式内燃機関。
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