本発明は、片面積層型光ディスクの記録再生装置に関する。特に16層や20層などの多重層光ディスクを0.85以上の高NAで405nmの青紫色のレーザ光源で記録、再生できる光ディスク装置および多層光ディスクにおける層間ジャンプ方法に関している。
本明細書では、積層されたN層(2以上の整数)の情報層を備える光ディスクを「N層ディスク」と称する。また、複数の情報層を備える光ディスクを包括的に「多層光ディスク」と称する。「片面積層型光ディスク」とは、各情報層を照射する光が光ディスクの片側の表面から入射される光ディスクである。
多層光ディスクにおいて、光が入射するディスク表面100aから各情報層までの距離を、その情報層の「深さ」と称する場合がある。多層光ディスクにおいて、深さが最も近い情報層とディスク表面100aとの間は、「光透過層」と呼ばれる透明なカバー層が存在する。情報層と情報層との間にも光を透過する層が存在するが、着目する情報層とディスク表面100aとの距離、すなわち、その情報層の深さを「光透過層の厚さ」と称する場合がある。
本明細書では、N層ディスクにおいて、ディスク表面100aから最も奥に位置する情報層を「L1層」と称する。N層の情報層を、ディスク表面100aに近づく順序で、L1層、L2層、・・・LN層と称する。この場合、例えば4層ディスクでは、ディスク表面100aに最も近い情報層は、L4層である。
光ディスクに記録されているデータは、比較的弱い一定の光量の光ビームを回転する光ディスクに照射し、光ディスクによって変調された反射光を検出することによって再生される。再生専用の光ディスクには、光ディスクの製造段階でピットによる情報が予めスパイラル状に記録されている。これに対して、書き換え可能な光ディスクでは、スパイラル状のランドまたはグルーブを有するトラックが形成された基材表面に、光学的にデータの記録/再生が可能な記録材料膜が蒸着等の方法によって堆積されている。書き換え可能な光ディスクにデータを記録する場合は、記録すべきデータに応じて光量を変調した光ビームを光ディスクに照射し、それによって記録材料膜の特性を局所的に変化させることによってデータの書き込みを行う。
多層光ディスクでは、積層された複数の情報層のうちの或る情報層(「層A」と称する)からデータを読み出すとき、あるいは、層Aにデータを書き込むとき、層Aに光ビームのフォーカスが合わせられる。そして、層A以外の情報層(「層B」と称する)からデータを読み出すとき、あるいは、層Bにデータを書き込むときは、層Bに光ビームのフォーカスが合わせられる。このように光ビームのフォーカス位置を、或る情報層(現在層)から他の情報層(目的層)に移動させることを、「層間移動」または「フォーカスジャンプ」と称することとする。
光ビームのフォーカス位置を情報層の深さ方向(光ディスクの厚さ方向)に移動させることは、光ピックアップ内のフォーカスアクチュエータによって行うことができる。光ピックアップは、光ビームを放射するレーザ光源と、その光ビームを集束させる対物レンズと、対物レンズの位置を移動させるアクチュエータとを備えている。アクチュエータは、対物レンズを光ディスクの半径方向に移動させるトラッキングアクチュエータと、対物レンズを光ディスクの厚さ方向に移動させるフォーカスアクチュエータとに分けることができる。
フォーカスジャンプ(層間ジャンプ)を行うためには、フォーカスアクチュエータによって光ビームのフォーカス位置を目標位置に速やかに移動させることが必須である。例えば特許文献1には、DVDの2層ディスク、あるいはブルーレイディスク(BD)の2層ディスクにおけるフォーカスジャンプを行うための従来技術が開示されている。
特許文献1に開示されているBDの2層ディスクにおけるフォーカスジャンプの一方法では、まず球面収差補正機構の移動を開始し、所定時間経過後にフォーカスアクチュエータによる対物レンズの移動を開始する。その所定時間は、球面収差補正機構を第1の記録層に対応する位置から第2の記録層に対応する位置まで移動させるのに要する時間の略1/2に相当する。これに球面収差補正機構が第2の記録層に対応する位置に近づこうとしているときにフォーカスアクチュエータによる対物レンズの移動を開始するので、フォーカス位置が第2の記録層に移動した頃には球面収差補正機構も第2の記録層に対応する位置に近づいており、第2の記録層上でフォーカスサーボを正しく行うことができる。またフォーカスジャンプの他の方法では、球面収差補正機構が第1の記録層に対応する位置と第2の記録層に対応する位置との略中間位置まで移動したときに、フォーカス位置の移動を開始するので、フォーカス位置が第2の記録層へ移動した後、正しくフォーカスサーボを実行することができる。
特許文献1の技術では、3層以上の多層光ディスクにおいて、一度に2層以上の記録層にわたってフォーカス位置を移動させるフォーカスジャンプを行う場合に、現在の記録層から隣接記録層へと球面収差補正機構とフォーカスアクチュエータを移動するとともに隣接記録層上でフォーカス位置を一旦合焦状態とする。そして次の隣接記録層へのフォーカスジャンプを実行し、隣接記録層への一層毎のフォーカスジャンプを所定の回数繰り返すことにより、2層以上の記録層の移動においてもフォーカスサーボが不安定になることなく多層にわたる層間移動を実現していた。
従来の層間ジャンプ技術は、2層ディスクを想定して開発されたものである。このような従来の層間ジャンプ方法によれば、フォーカスジャンプを実行する前に球面収差を目的層のカバー厚(目的層の深さ)に合わせることが行われる。他の従来技術では、球面収差補正を目的層と現在層の中間値に合わせておき、フォーカスを外して目的層に向けて移動を開始する。
フォーカスジャンプ時に目的層で球面収差を最小化するように球面収差補正を行った場合の2層ディスク、4層ディスクにおける光ビームとFE信号、駆動信号の波形の様子を図1、図2に示す。
図1(a)には、2層BDの断面構成が示されている。図1(a)の右側では、L1層にフォーカスが合っている状態が模式的に示され、左側ではL2層にフォーカスが合っている状態が模式的に示されている。対物レンズを光ディスクの厚さ方向に移動させることにより、フォーカス位置を移動させている。図1(b)にはL1層からL2層へ移動したときのS字信号の波形とフォーカス駆動信号上の加速パルスP1、減速パルスP2が示されている。図1(c)には、L2層からL1層に移動したときのS字波形とフォーカス駆動信号上の加速パルスP1、減速パルスP2)が示されている。
ここで、「S字信号」とは、フォーカス位置が情報層に接近し、やがて情報層を通過して遠ざかる過程でFE信号に現れる波形部分である。S字信号は、光ビームのフォーカス位置が情報層の近傍に位置するとき、ゼロではない大きさの振幅を有する。1つのS字信号は、通常、FE信号に現れる極性の異なる2つの山部分から構成される。2つの山部分の間には、ゼロクロスポイントが存在する。S字信号のゼロクロスポイントは、フォーカス位置が情報層上にあること(合焦していること)を意味する。FE信号を観察しながら、フォーカス位置を移動させるとき、フォーカス位置が情報層に十分に近づくと、FE信号のレベルがゼロの状態から正または負のレベルに変位する。S字信号の山部分の幅を「検出範囲」と称する場合がある。
なお、本明細書において、加速パルスP1および減速パルスP2の極性は、対物レンズが光ディスクに近づく方向に力が付与されるときに、「正」となり、図で上向きに記載される。一方、対物レンズが光ディスクから遠ざかる方向に力が付与されるときに、加速パルスP1および減速パルスP2の極性は、「負」となり、図で下向きに記載される。図で上向きのパルスは、対物レンズが光ディスクに近づく場合に印加されると「加速」に寄与するが、対物レンズが光ディスクから遠ざかる場合に印加されると「減速」に寄与することになる。
従来は、2層ディスク、4層ディスクにかかわらず、目的層に接近したときに現れる目的層のS字片側の出力を検出して減速パルスP2を出力している。他の従来技術では、図1(b)に示すL2層のS字信号の極性が負の部分(右側振幅)や、図1(c)に示すL1層のS字信号の極性が正の部分(左側振幅)を検出して減速パルスP2を出力している。
2層ディスクの場合は、層間ピッチが十分に大きいため、目的層に接近したときに現れる目的層のS字信号の片側の振幅(極性が正又は負の変化)を検出した時点で減速パルスP2を出力することにより、目的層の十分手前でフォーカス位置の移動にブレーキがかかる。しかし、多層ディスクである4層ディスクの場合には、図2(a)に示すように層間ピッチが小さくなっている。このため、フォーカス位置が目的層に接近したときに現れる目的層のS字片側の出力を検出した時点で減速パルスP2を出力しても、ブレーキのタイミングがおそく、目的層でのフォーカス制御を引き込み失敗することがあった。
図3、図4は、球面収差補正を目的層と現在層の中間値に合わせた例を示す。図3(a)には、2層BDの断面構成が示されている。図3(b)にはL1層からL2層へ移動したときのS字波形とフォーカス駆動信号上の加速パルスP1、減速パルスP2が示されている。図3(c)には、L2層からL1層に移動したときのS字波形とフォーカス駆動信号上の加速パルスP1、減速パルスP2が示されている。同様に、図4(a)には、4層BDの断面構成が示されている。図4(b)にはL1層からL4層へ移動したときのS字波形とフォーカス駆動信号上の加速パルスP1、減速パルスP2が示されている。図4(c)には、L4層からL1層に移動したときのS字波形とフォーカス駆動信号上の加速パルスP1、減速パルスP2が示されている。
図3、図4に示すように、特許文献1に開示されているような従来技術を用いても、S字信号の振幅が各層でほぼ等しくなるだけである。しかも、フォーカス位置が目的層に近づけば近づくほど、S字信号振幅は、球面収差が合っている場合の大きさよりも小さくなっている。そのため、フォーカス制御の引き込みに失敗する確率が上昇してしまう。
本発明は上記課題に鑑み、2層ディスクよりも層数の多い多層光ディスクにおいても、安定かつ高速な層間移動を実現する光ディスク装置、および多層光ディスクにおける層間ジャンプ方法を提供することを目的とする。
本発明の光ディスク装置は、積層された複数の情報層を有する多層光ディスクにおけるフォーカス位置の層間ジャンプを制御する層間ジャンプ制御部と、前記光ディスクにおける前記複数の情報層の各々に応じた球面収差補正を行うことができる球面収差補正部と、前記フォーカス位置の層間ジャンプを開始した後、前記複数の情報層に含まれる情報層からのS字信号を検出するS字信号検出部とを備え、前記球面収差補正部は、前記フォーカス位置の層間ジャンプの開始前または開始後に、前記層間ジャンプにおけるフォーカス位置移動の減速を開始する情報層に応じた球面収差補正を行い、前記層間ジャンプ制御部は、前記球面収差補正が行われた情報層からのS字信号の検出に応答して前記層間ジャンプにおけるフォーカス位置移動の減速を開始する。
好ましい実施形態において、前記層間ジャンプにおけるフォーカス位置移動の減速を開始する前記情報層は、前記層間ジャンプの開始時に前記フォーカス位置が存在した情報層と前記層間ジャンプの目的情報層との間に位置する情報層である。
好ましい実施形態において、前記層間ジャンプにおけるフォーカス位置移動の減速を開始する前記情報層は、前記層間ジャンプの目的情報層に隣接する情報層である。
好ましい実施形態において、前記球面収差補正部は、前記層間ジャンプの開始前、前記層間ジャンプの目的情報層の手前に位置する情報層に応じた球面収差補正を完了する。
好ましい実施形態において、前記球面収差補正部は、前記層間ジャンプの開始後、前記フォーカス位置の移動に応じて前記球面収差の補正量を切り替える。
好ましい実施形態において、前記球面収差補正部は、前記複数の情報層のうち、前記層間ジャンプ中に移動しているフォーカス位置に最も近い情報層で球面収差補正を最小化する。
好ましい実施形態において、前記層間ジャンプ制御部は、前記層間ジャンプの開始後、前記フォーカス位置が前記複数の情報層の各々を横切る時に得られるS字信号の検出間隔に基づいてフォーカス位置移動の加速および減速を調整する。
本発明の多層光ディスクにおける層間ジャンプ方法は、積層された複数の情報層を有する多層光ディスクにおけるフォーカス位置の層間ジャンプを制御する層間ジャンプ方法であって、フォーカス位置の層間ジャンプの開始前または開始後に、前記層間ジャンプにおけるフォーカス位置移動の減速を開始する情報層に応じた球面収差補正を行うステップと、前記層間ジャンプを開始した後、前記球面収差補正が行われた情報層からS字信号を検出するステップと、前記球面収差が行われた情報層からの前記S字信号の検出に応答して前記層間ジャンプにおけるフォーカス位置移動の減速を開始するステップとを含む。
好ましい実施形態において、前記層間ジャンプにおけるフォーカス位置移動の減速を開始する情報層は、前記層間ジャンプの目的情報層に隣接する情報層およびその近傍に位置する情報層を含む複数の情報層から選択された特定層である。
好ましい実施形態において、前記層間ジャンプにおけるフォーカス位置移動の減速を開始する情報層は、前記層間ジャンプの目的情報層に隣接する情報層である。
好ましい実施形態において、前記減速を行った後、前記層間ジャンプの目的情報層に適した球面収差補正を行うステップを有する。
好ましい実施形態において、前記多層光ディスクのトータル層数情報と、層間ジャンプ元と層間ジャンプ先を含む層間ジャンプ情報を用いて、層間ジャンプのパターンを決定するステップを有する。
好ましい実施形態において、前記層間ジャンプのパターンには、層間ジャンプ前に球面収差補正を行う層、減速信号を発生させる層、および、一度にジャンプできる最大層数の少なくとも1つを含む。
好ましい実施形態において、前記層間ジャンプのパターンには、複数回に分けて層間ジャンプ元から層間ジャンプ先に移動するパターンを含む。
好ましい実施形態において、前記多層光ディスクにおける各情報層から得られるS字信号は、それぞれ重複していない。
好ましい実施形態において、対物レンズが前記多層光ディスクに近づく方向の層間ジャンプと、前記多層光ディスクから遠ざかる方向の層間ジャンプとに応じて、前記層間ジャンプの仕方を変える。
好ましい実施形態において、前記対物レンズが前記多層光ディスクに近づく方向の層間ジャンプは、前記多層光ディスクから遠ざかる方向の層間ジャンプに比べて、前記層間ジャンプ時にフォーカス位置が横切る情報層の数が小さい。
本発明の他の光ディスク装置は、積層された複数の情報層を有する多層光ディスクにおけるフォーカス位置の層間ジャンプを制御する層間ジャンプ制御部と、前記層間ジャンプを開始した後、前記層間ジャンプの目的情報層の手前側に隣接する情報層からのS字信号を検出するS字信号検出部とを備え、前記層間ジャンプ制御部は、前記S字信号の検出に応答して前記層間ジャンプにおけるフォーカス位置移動の減速を開始し、前記目的情報層の手前側に隣接する情報層で最大の減速を行う。
本発明の他の多層光ディスクにおける層間ジャンプ方法は、積層された複数の情報層を有する多層光ディスクにおけるフォーカス位置の層間ジャンプを制御する層間ジャンプ方法であって、前記層間ジャンプを開始した後、前記層間ジャンプの目的情報層の手前側に隣接する情報層からのS字信号を検出するステップと、前記S字信号の検出に応答して前記層間ジャンプにおけるフォーカス位置移動の減速を開始し、前記目的情報層の手前側に隣接する情報層で最大の減速を行うステップと、を含む。
本発明の光ディスク装置および層間ジャンプ方法は、多層光ディスクにおける層間ジャンプを開始した後、球面収差が行われた情報層において減速制御を行うので、装填された多層光ディスクの層間距離や層数に依存せず、最適なタイミングでフォーカス位置を減速できる。このため、情報層の数が多い多層光ディスクにおいても安定な層間ジャンプを実現できる。
また本発明の光ディスク装置および層間ジャンプ方法は、所望の情報層に一気に移動するため、隣接層に一旦フォーカス制御をかけて安定した後、次の隣接層へ移動する動作を繰り返すような従来の方法より移動時間を大幅に短縮することができる。これにより、長時間記録だけでなく、3D記録やランダムアクセス性を確保できるため、ハードディスクの代用など多層の大容量のメリットを生かしたアプリケーションや装置の提供が可能となる。
また、本発明の他の態様によれば、層間ジャンプの目的情報層の手前側に隣接する情報層からのS字信号の検出に応答して最大の減速を行う。これにより、目的情報層からのS字信号の検出に応答する場合に比べて、確実に目的情報層で層間ジャンプを停止することが可能になる。この発明の態様では、球面収差は目的情報層の手前側に隣接する情報層で最小化している必要はない。
(a)は、2層BDの断面構成図、(b)は、2層BDのL2層(深さ75μm)で球面収差を最小化するように球面収差補正を行った場合おける、L1層およびL2層の各々から得られるフォーカスエラー(FE)信号の波形図、(c)は、2層BDのL1層(深さ100μm)で球面収差を最小化するように球面収差補正を行った場合における、L1層およびL2層の各々から得られるフォーカスエラー(FE)信号の波形図
(a)は、4層BDの断面構成図、(b)は、4層BDのL4層(深さ75μm)で球面収差を最小化するように球面収差補正を行った場合おける、L1〜L4層の各々から得られるフォーカスエラー(FE)信号の波形図、(c)は、4層BDのL1層(深さ100μm)で球面収差を最小化するように球面収差補正を行った場合における、L1〜L4層の各々から得られるフォーカスエラー(FE)信号の波形図
(a)は、2層BDの断面構成図、(b)は、L1層からL2層へ移動したときのS字波形とフォーカス駆動信号上の加速、減速パルスの波形図、(c)は、L2層からL1層に移動したときのS字波形とフォーカス駆動信号上の加速、減速パルスの波形図
(a)は、4層BDの断面構成図、(b)は、L1層からL4層へ移動したときのS字波形とフォーカス駆動信号上の加速、減速パルスの波形図、(c)は、L4層からL1層に移動したときのS字波形とフォーカス駆動信号上の加速、減速パルスの波形図
(a)は、2層BDの断面構成図、(b)は、2層BDのL2層(深さ75μm)で球面収差を最小化するように球面収差補正を行った場合における、L1層、L2層の各々から得られるFE信号の波形図
(a)は、2層BDの断面構成図、(b)は、2層BDのL1層(深さ5100μm)で球面収差を最小化するように球面収差補正を行った場合における、L1層、L2層の各々から得られるFE信号の波形図
本発明の実施形態に係る光ディスク装置のブロック図
単層、2層〜16層までの多層BDディスク群の第1構成の表を示した図
単層、2層〜16層までの多層BDディスク群の第2構成の表を示した図
単層、2層〜16層までの多層BDディスク群の第3構成の表を示した図
単層、2層〜16層までの多層BDディスク群の第4構成の表を示した図
図7の光ピックアップ、サーボ制御回路とその周辺部分の詳細なブロック図
(a)および(b)は、図7の球面収差補正部128の内部構成の一例を示す図
最近層(L4層)から最遠層(L1層)までフォーカスジャンプ動作をしたときの対物レンズと、フォーカス位置が多層BDディスクの各層を通過したときのS字信号を表した模式図
フォーカスジャンプ動作のフローチャート
ブレーキ層であるL7層部分を中心に拡大したS字信号と減速パルスP2の波形図
2層BD、4層BD、8層BDの各移動パターンに於けるブレーキ層と最大横断層数及びジャンプ回数をテーブル形式で示した図
16層BDの各移動パターンに於けるブレーキ層と最大横断層数及びジャンプ回数をテーブル形式で示した図
1回目の移動(L1層からL5層)と、2回目の移動(L5層からL8層)におけるFE上に現れるS字信号と、加速パルスP1並びに減速パルスP2のタイミングを示す波形図
(a)および(b)は、図7の球面収差補正部128の内部構成の他の例を示す図
最近層(L4層)から最遠層(L1層)までフォーカスジャンプ動作をしたときにフォーカス位置が多層BDディスクの各層を通過したときのS字信号、駆動信号(加速パルス、中間パルス、減速パルス)を示す図
フォーカスジャンプ中にS字とS字の時間間隔を測定し、その時間から速度を求めて、その速度に応じた信号をアクチュエータへフィードバックする動作を示す波形図
従来はDVD2層の層間ピッチ40μmや、BD2層の層間ピッチ25μmに対してフォーカスエラーFE信号上に現れるS字状の波形を有するS字信号の検出ができればよかった。このため2層ディスクでは、図1に示すようにS字信号の片側の幅(検出範囲)が10μmでも、フォーカスジャンプが可能なS字信号となる。
3層以上の情報層を備える多層BDでは、2層BDよりも層間ピッチを詰めて積層する必要があるため、各層の独立したS字信号を検出し、また層間クロストークを低減するためにこのS字信号の検出範囲を狭くする必要がある。S字信号の検出範囲を狭くしないと、隣接する情報層によるS字信号が重なりあい、層間クロストークが発生するため、S字信号によって個々の情報層を識別することが困難になる。例えば層間5μmまで層間ピッチを詰めた4層BDでは、図2に示すように、それぞれの層でのS字信号が検出できるようにS字信号の片側の幅(検出範囲)は例えば2μmまで狭くする必要がある。よって図示するように、層間ジャンプ時には、目的層の間際でなければ、その各々の層でのS字信号が発生しない。
次に、図5および図6を参照しながら、多層対応のピックアップで、2層のジャンプを行う方法を説明する。この例では、L1層からL2層に層間ジャンプを行う。
図5(a)および図6(a)は、いずれも、2層BDの断面構成と、L1層、L2層のそれぞれにフォーカスが合っている状態を模式的に示している。
図5(b)は、2層BDのL2層(深さ75μm)で球面収差を最小化するように球面収差補正を行った場合における、L1層、L2層の各々から得られるFE信号の波形を示している。これに対して、図6(b)は、2層BDのL1層(深さ100μm)で球面収差を最小化するように球面収差補正を行った場合における、L1層、L2層の各々から得られるFE信号の波形を示している。
上記のような多層対応の光ディスク装置において、従来の2層ディスクでのS字信号を観察すると、図示するように、不感帯の範囲が大きくなり、フォーカスジャンプ時には現在層の近傍あるいは目的層の近傍でしかS字信号が発生しない。
したがって、図5(b)に示すように目的層(L2層)のS字信号の振幅が最も大きくなる極値付近を検出して、減速パルスP2を出力していたのではブレーキのタイミングがおそくて十分減速できず、引き込みを失敗する。逆に、図6(b)に示すように現在層(L1層)のS字信号の振幅が最も大きくなる極値付近を検出して減速パルスP2を出力していたのでは、ブレーキのタイミングが早すぎる。そのため、面振れなどの影響を受け、元の層に戻ってしまう。
このような場合は、目的層(L2層)のS字信号でタイミングを生成するのであれば、より早いタイミングを検出するために、目的層(L2層)に球面収差を合わせて、S字信号の出力を安定させ、不感帯の0レベルからからS字信号の出力を検出した直後に減速パルスP2を出してブレーキをかけるように構成する。
また現在の層(L1層)のS字信号でタイミングを生成するのであれば、ブレーキのタイミングを正確に遅延させるために、球面収差は現在の層に合わせたままにしておき、S字信号の波形の勾配を検出しながら、その勾配値が0になってから、所定の遅延時間経過後に減速パルスを出してブレーキをかけるように構成すればよい。
しかしながら、情報層が3層以上になると、このような方法では、正確な層間ジャンプは実現困難になる。
本発明では、ブレーキをかけるタイミングを生成するための情報層(ブレーキ層)に球面収差補正を合わせて、その情報層で球面収差補正を最小化する。これにより、その情報層から得られるS字信号を大きくかつ安定化させる。そして、その情報層から得られるS字信号基づいて減速パルスを出力する。
本発明の他の態様によれば、層間ジャンプの目的情報層の手前側に隣接する情報層からのS字信号の検出に応答して最大の減速を行う。これにより、目的情報層からのS字信号の検出に応答する場合に比べて、確実に目的情報層で層間ジャンプを停止することが可能になる。
(実施形態1)
以下、本発明による光ディスク装置および層間ジャンプ方法の実施形態を説明する。
図7は、本実施形態に係る光ディスク装置のブロック図である。図8〜図11は、実施形態1でサポートする単層、2層〜16層までの多層BDディスク群の構成例を示す表である。
まず、本実施形態の光ディスク装置に装填され得る多層光ディスクの構成例について説明する。
多層光ディスクの構成としては、種々の組み合わせが考えられる。すでに商品化されている単層、2層のBDとの互換性を考慮すると、ディスク表面100aから最も離れた位置に存在する基準層(L1層)の深さは100μmで統一しておくことが好ましい。
各層が極端に接近すると、層間のクロストークが発生するために、層間距離は3μm以上が好ましい。本明細書では、層間距離を層間ピッチ(LP:Layer Pitch)と称する場合がある。
光ディスクの表面に形成され得る傷や塵の影響を考えると、光透過層の厚さ(ディスク表面100aに最も近い層とディスク表面100aとの距離)を薄くすることもできない。BDの記録再生に使用する光学系は、高いNA(0.85)を有している。NAが高くなると、対物レンズの焦点距離が短くなる。これらのことを考えると、光透過層の厚さは25μm以上を確保することが好ましい。
以上のことから、2層、4層、6層、8層、10層、12層、14層、16層の光ディスクには、図8〜図11に示す4つパターン(構成例)が考えられる。
図8、図9のパターン1、2は、層間の距離をできるだけ確保した例である。パターン1の例では、層間が等間隔あり、16層の光ディスクでは層間が5μm、光透過層の厚さは25μmになる。パターン2の例では、クロストークをキャンセルするため層間距離を交互に変えている。16層の光ディスクでは、奇数番目の層と偶数番目の層との間の距離が5μmになる。また、偶数番目の層と奇数番目の層との間の距離が4μmで、光透過層の厚さは32μmになる。
図10、図11のパターン3、4は、表面と表面から最も近い層までの距離(光透過層の厚さ)を優先して確保した例である。パターン3の例では、層間が等間隔あり、16層の光ディスクでは、層間が3.125μm、光透過層の厚さは53.125μmになる。パターン4では、クロストークをキャンセルするために層間距離を交互に変えている。16層の光ディスクでは、奇数番目の層と偶数番目の層との間の距離が3.125μmになる。また、偶数番目の層と奇数番目の層との間の距離が3μmであり、光透過層の厚さは54μmになる。
実際の多層光ディスクでは、製造ばらつきにより、層間距離や光透過層厚さは、上述の数値例から多少増減する。しかし、典型的な多層光ディスクの構成例は、大凡、上記の4つのパターンに集約される。本実施形態におけるフォーカスジャンプは、上述の全てのパターンに共通に適用することができる。このため、以下、パターン1について説明し、パターン2,3,4については必要な部分のみを補足的に説明する。
図7を参照しながら、本実施形態における多層光ディスク装置の構成および基本動作について説明する。
本光ディスク装置は、ピックアップ103と、光ピックアップ103の動作を制御するサーボ制御回路106と、光ピックアップ103で検出した光ディスク100上の情報信号を再生する再生回路110と、記録する情報を光ディスク100に書き込む記録回路123とを備えている。光ピックアップ103は、光ビームを光ディスク100上に集束させる光学系、光ディスク100からの反射光を検出する光検出器、および光源としてレーザダイオードを有している。記録回路123は、レーザ駆動回路107により、記録する情報に基づく所定の変調方式でレーザダイオードをパルス状に発光させることにより、前記情報を光ディスク100に書き込む。
光ピックアップ103は、光ディスクモータ101上に装填された光ディスク100に対し、集束されたレーザ光を照射する。RFサーボアンプ104は、光ディスク100から反射された光に基づいて電気信号を生成する。サーボ制御回路106は、モータ駆動回路102及び光ピックアップ103を制御することにより、光ディスクモータ101に装填された光ディスク100にフォーカスおよびトラッキング制御を実施する。また、サーボ制御回路106は、光ディスク100に対して光源およびレンズを用いて光ビームを照射することによって光ディスク100がBDディスクであるかのディスク判別、単層もしくは2層か、あるいは2層より多い情報記録層をもつ多層判別を行うディスク判別部109を含む。
再生回路110は、RFサーボアンプ104から出力された電気信号を波形等価回路などでイコライジングしてアナログ再生信号を生成する。生成された再生信号はデジタル化された後、PLLによってリードクロック(基準クロック)と同期し、データ抽出がなされる。その後、所定の復調、エラー訂正をなされた後、システムコントローラ111に入力される。システムコントローラ111は、I/F回路112を介してホスト113へと転送される。
記録回路123は、ヘッダやエラー訂正のための冗長ビットなどが付加されて、所定の変調パターン(変調方式)に変調した後、レーザ駆動回路107によって、ホスト140からI/F回路131を介して送られてくる情報を光ディスク100に記録するため、光ピックアップ103の中のレーザダイオードをパルス状に発光させる。光ディスク100に入射するレーザ光の強度変調に応じて、光ディスク100の記録材料(たとえば有機材料や相変化材料)の反射率を変えることで、「1」または「0」の情報の記録を行う。
図12は、本実施形態の多層光ディスクのフォーカスジャンプに関係する図7の光ピックアップ、サーボ制御回路とその周辺部分をより詳細に記載したブロック図である。図12を用いてさらに説明する。
まず光ピックアップの構成を説明する。図示されている光ピックアップ103は、光源122と、カップリングレンズ124と、偏光ビームスプリッタ126と、球面収差補正装置128、対物レンズ130と、アクチュエータ131、132と、集光レンズ134と、光検出部136とを有している。
光源122は、光ビームを放射する半導体レーザダイオードから構成される。簡単のため、図12には単一の光源122が示されているが、実際の光源は、異なる波長の光ビームを放射する例えば3つの半導体レーザから構成される。具体的には、1つの光ピックアップがCD、DVD、およびBD用に異なる波長の光ビームを放射する複数の半導体レーザを備えるが、図12では、簡単のため、1つの光源122として記載している。
カップリングレンズ124は、光源122から放射された光ビームを平行光にする。偏光ビームスプリッタ126は、カップリングレンズ124からの平行光を反射する。光ディスクの種類に応じて光源122における半導体レーザの位置や、放射される光ビームの波長が異なるため、光ディスク100の種類に応じて最適な光学系の構成は異なる。このため、実際の光ピックアップ103の構成は、図示されているものに比べて複雑である。
対物レンズ130は、偏光ビームスプリッタ126で反射された光ビームを集束する。対物レンズ130の位置は、アクチュエータ132がFE信号およびTE信号に基づいて所定の位置に制御する。光ディスク100の情報記録層からデータを読み出し、あるいは情報記録層にデータを書き込むとき、対物レンズ130によって集束された光ビームの焦点は、情報記録層上に位置し、情報記録層上に光ビームのスポットが形成される。図12には、1つの対物レンズ130が記載されているが、現実には複数の対物レンズ130が備えられており、光ディスク100の種類に応じて異なる対物レンズ130が用いられることになる。データの記録/再生時は、光ビームの焦点が情報記録層における所望のトラックを追従するようにフォーカスサーボおよびトラッキングサーボが動作し、対物レンズ130の位置が高精度に制御される。
本実施形態では、光ディスク100が特に青紫色のレーザダイオード122と高NAの対物レンズ130で記録再生を行う光ディスクである。説明をわかりやすくするため、光ピックアップ103は、図12に示すような簡易な構成を有している。現実の光ピックアップ103は、CDおよび/またはDVDのための光源および対物レンズを備えていても良い。
光ディスク100が装填された後、光ディスク100が有する複数の情報層に含まれる任意の層に対して、データの記録/再生の動作を行なうために、フォーカスジャンプを行う。具体的には、対物レンズ130をアクチュエータ132の働きにより光軸方向に沿って層間を移動させる。
球面収差補正素子128は、例えば光軸方向に位置を変化させることのできる収差補正用レンズ228(図13)を備え、収差補正用レンズ228の位置を調節することにより、球面収差の状態(補正量)を変化させることができる(ビームエキスパンダ方式)構成を備えている。球面収差補正部128の構成は、このようなビームエキスパンダ方式の構成を備えている必要は無く、液晶素子やヒンジなどによって収差を補正する構成を備えていても良い。
光ディスク100の情報記録層で反射された光ビームは、対物レンズ130、球面収差補正部128、および偏光ビームスプリッタ126を通過し、集光レンズ134に入射する。集光レンズ134は、対物レンズ130および偏光ビームスプリッタ126を通過してきた、光ディスク100からの反射光を光検出部136上に集束させる。光検出部136は、集光レンズ134を通過した光を受け、その光信号を各種の電気信号(電流信号)に変換する。光検出部136は、例えば4分割の受光領域を有している。
図12のサーボ制御回路106は、フォーカス制御部140、トラッキング制御部141、球面収差制御部142を備えており、これらを介してCPU146が光ピックアップ130の各種動作を制御する。サーボ制御回路106は、更に、FE信号生成部150、TE信号生成部151、S字信号検出部160、およびディスク判別部109を備えている。
フォーカス制御部140は、CPU146の指示に従ってフォーカシングアクチュエータ132を駆動し、対物レンズ130を光軸方向に沿って任意の位置に移動させることができる。
またトラッキング制御部141は、トラッキングアクチュエータ131を駆動し、対物レンズ130を光ディスク100の半径方向に沿って任意の位置に移動させることができ、TE信号生成部151から出力されたTE信号によって、光ディスク100上の光スポットがトラックを走査するようにトラッキング制御を行う。
球面収差制御部142は、CPU146の指示に従って球面収差補正部128を所定の設定状態に制御する。図13は球面収差補正部128の内部構成図である。具体的には、図13に示すステッピングモータ8が球面収差制御部142からの制御信号に基づいて動作し、例えば2層ディスクの場合には、収差補正レンズ228を1層目、2層目のカバー層厚に対応した所定の位置に移動させる。収差補正レンズ228の位置(光軸方向の位置)を変えることにより、光ビームの球面収差状態を調節することができる。これは4層〜16層、20層まで全て同じような動作、機能を有するものである。
FE信号生成部150は、光検出部136に含まれる複数の受光領域から出力される電気信号に基づいてFE信号を生成する。FE信号の生成法は、特に限定されず、非点収差法を用いたものでもよいし、ナイフエッジ法を用いたものであってもよい。また、SSD(スポット・サイズド・ディテクション)法を用いたものであってもよい。FE信号生成部150から出力されるFE信号は、CPU146からの指令で所定の検出閾値が設定されるS字信号検出部160に入力される。
TE信号生成部151は、光検出部136に含まれる複数の受光領域から出力される電気信号に基づいてTE信号を生成する。TE信号の生成法は、一般的にはBD−RやBD−REに代表される記録メディアのように凸凹のトラックを有するものはプッシュプル検出法、BD−ROMに代表される再生専用メディアのようにエンボス形状の情報プリピットを有するものは位相差検出法が主に用いられるが、特にトラッキングの方式で限定はされない。
S字信号検出部160は、フォーカスサーチによって対物レンズ130が光軸方向に移動している間におけるFE信号が所定の閾値を越えたかどうかでS字信号の検出を行う。本実施形態では、サポートする多層光ディスクのうち、減速パルスP2を出力する層、すなわち層間ジャンプの目的情報層と層間ジャンプを開始する情報層との間に位置するブレーキ層の深さに対応した球面収差値を設定する。ここでは、目的情報層の手前側に隣接する情報層をブレーキ層として選択する。
以下、本明細書では、層間ジャンプを開始する情報層(ジャンプ開始層)と目的情報層との間において、目的情報層に隣接する情報層を、目的情報層の「手前」の情報層と称することにする。ブレーキ層は、典型的には、目的情報層の手前に位置する情報層であるが、本発明は、この例に限定されない。層間移動中にフォーカス位置の速度や対物レンズの重さなどを考慮し、目的情報層よりも1層を超えて離れた情報層をブレーキ層として選択することも可能である。
ブレーキ層に応じた球面収差補正を行った後、トラッキング制御、フォーカス制御をOFFして、アクチュエータ132に加速パルスP1を印加する。こうして、目的の層に向けて対物レンズを駆動した後、前記ブレーキ層を検出したときに減速パルスP2を出力する。減速パルスP2が目的層の手前に位置する層(ブレーキ層)でアクチュエータ132に印加されるため、フォーカス位置の移動速度を低下させることができる。さらに本実施形態では、フォーカスジャンプ中に検出されるS字信号をカウントして目的層に到達したときにフォーカス制御をONする。このため、フォーカス位置を正確に目的層に移動させることができる。
図14は、4層ディスクを例にとり、最近層(L4層)から最遠層(L1層)までフォーカスジャンプ動作をしたときの対物レンズと、フォーカス位置が多層BDディスクの各層を通過したときのS字信号を表した模式図である。また図15はその時のフォーカスジャンプ動作のフローチャートを示す。
なお、対物レンズを光ディスクの厚さ方向に移動させるとき、対物レンズの移動に伴って移動するフォーカス位置は、「光スポット位置」と称される場合がある。対物レンズによって収束される光ビームの断面は、フォーカス位置で最も小さな光スポットを形成するからである。或る情報層にフォーカスがあっているとき、フォーカス位置は情報層上にあり、その情報層上に光スポットが形成される。フォーカスジャンプまたは層間ジャンプとは、フォーカス位置を、ある情報層から他の情報層に移動させることであり、対物レンズを光ディスクの厚さ方向に移動させることによって実現される。
図14、図15を参照して本実施形態のフォーカスジャンプ動作を説明する。
図15に示すステップST1では、最初にフォーカス位置が最近層(L4層)にフォーカスして待機状態である場合に、ホスト113からのシークコマンドを受ける。そして、その目的アドレスが最遠層(L1層)のトラックアドレスの場合に、L4層からL1層への移動という条件からブレーキを出す層(ブレーキ層)を層間ジャンプ先の層(L1層)の手前のL2層とする。すなわち、減速パルスP2を出すタイミングをL2層の手前から検出されるS字信号に決定する。その後、ステップST2では、球面収差制御部142に指令し、補正値をL2層のカバー層厚さ(L2層の深さ)に合致するように図13の収差補正レンズ228を駆動する。
この例では、ブレーキ層となるL2層で球面収差が最も小さくなるように球面収差補正が行われている。このため、フォーカス位置がL2層上またはその近傍にあるとき、L2層から得られる各種の信号(RF信号、FE信号、TE信号)の振幅が最大化される。その結果として、S字信号の振幅も最大化され、またシャープになる。
図14には、L1〜L4層から得られるFE信号(S字信号)が模式的に示されている。この例では、L2層で球面収差が最も小さくなるように(理想的にはゼロになるように)球面収差が行われた状態でフォーカス位置を移動させているため、L2層で得られるS字信号の振幅が最も大きくなっている。逆に、L2層以外のL1、L3、L4層では、球面収差が最小化されていないため、それらの層から得られるS字信号の振幅は小さくなる。また、そのようなS字信号の波形は、球面収差によって横方向に広がり(鈍り)、検出幅が大きくなる。球面収差が補正されていない層から得られる鈍ったS字波形によれば、情報層の位置を精度良く検出することは困難になる。
球面収差補正レンズの駆動完了後、ステップST3では、まずS字の検出レベルを下げる(0に近づける)。これにより、球面収差補正の合致していない情報層からのS字信号でも確実に検出し、その情報層の数をカウントできるS字カウントモードM1(S字信号粗検出モードM1とも称す)に設定する。その後、トラッキングをオフして、フォーカスアクチュエータ132に加速パルスP1を印加する(ステップST4)。加速パルスP1が印加されたフォーカスアクチュエータ132は、対物レンズ130を光軸方向に加速駆動する。こうして、フォーカス位置は層間ジャンプ先に向けて情報層を横切る方向に移動する。
ステップST5では、L3層、L2層を通過する毎にS字信号が出力されるので、そのカウントにより、移動している間の現在のフォーカス位置の位置が把握できる。ステップST6では、S字信号のカウント値に基づいて、ブレーキ層(L2層)の1層手前の層であるL3層を通過した時点で、減速パルスP2を出力するため、L2層でのS字信号の検出をS字信号詳細検出モードM2で行う。
ステップST7では、S字信号レベルの判定を行う。ブレーキの出力タイミングであるL2層の手前がS字信号の片側によって検出できたとき、ステップST8では、それまでの所要時間に応じた減速パルスP2の波高値を決定して出力する。ブレーキの出力を終了するタイミングは、さらにS字信号をカウントして、層間ジャンプ先の層に到達したときである。ステップST9では、層間ジャンプ先の層に到達したと判定された場合、ステップST10では、具体的にはL1層の手前片側のS字信号が検出できたときにブレーキの出力を完了する。そして、その後速やかにフォーカス制御をONする。フォーカス位置の移動は、十分に減速されているため、目的層におけるフォーカス引き込みを極めて安定して実現できる。
このときの、層の移動に対するS字信号の出力と、それに対応したモード切り換えの動作を図14に示す。
本実施形態では、ブレーキ層で球面収差が0になるようにフォーカスジャンプ開始前に球面収差補正を実行している。その結果、ブレーキ層でのS字信号の振幅は最大となり、SN比も増加するため、高い分解能のS字信号を得ることができる。よって、より詳細なS字信号の振幅レベルの検出が可能となり、細かいブレーキの開始設定ができるため、多層にわたるジャンプの速度制御を安定に実現することができる。
図16は、図15のS字信号カウントモードM1(S字信号粗検出モードM1)と、S字信号詳細検出モードM2の動作を説明する図である。図16の例ではL5層からL6層まではS字信号カウントモードM1が設定され、L7層からL8層まではS字信号詳細検出モードM2が設定されている。図16のL7層のS字信号近傍に示すように、S字信号詳細検出モードM2ではL7層のニア側(対物レンズがディスク表面100aに近づく方向)L7N、あるいはL7層の中心近傍L7Z、あるいはL7層ファア側(対物レンズがディスク表面100aから遠ざかる方向)L7Fでタイミングを自由に(任意に)設定することができ、S字信号の変化を詳細に検出することができる。
最初にS字信号カウントモードM1に設定すると、S字波形の検出レベルは0レベルに近いM1レベルとなる。L5、L6層は球面収差補正がずれている(比較的大きな球面収差が存在する)ため、十分に大きなS字振幅レベルを確実に得ることが難しい。しかし、低い振幅レベルでもS字信号の出力はあるので、検出レベルを下げて確実にS字信号をカウントできるようにしている。
そのS字カウントモードM1で、L5層、L6層のS字信号をカウントしてフォーカス位置がL7層に接近する近い位置まで移動したとき、S字の検出モードを詳細検出モードM2に切り換える。このS字検出詳細モードM2では、球面収差補正をこのS字の対応したL7層に合わせているので、L7層での球面収差は最小化される。このため、大きな振幅のS字信号の振幅を得ることが容易である。また、S字信号の検出レベルを細かなレベルに設定できる。このため、特にタイミングが重要な減速パルスP2の開始点や終了点を細かく調整することができる。
例えば図16中に示すように1つのS字出力範囲に対して、3つの領域L7N、L7Z、L7Nに分割し、それぞれの分割範囲領域の各々でタイミング信号が生成できるよう、具体的には、S字信号の検出レベルに対し、適当なレベル値を設定し、タイミング信号を生成する。そして、そのタイミングで加速・減速を開始するように構成すればよい。これにより、面ぶれが生じたり、層間ピッチのばらつきがあっても、最適なタイミングで減速パルスP2をフォーカスアクチュエータに印加することが可能となる。
次にブレーキ層の決定の方法について説明する。
減速パルスP2は、実際にはレンズの重量とアクチュエータの推力、レンズの速度などでその開始タイミングや出力値(波高値)などを適当に調整するのが好ましいが、従来のBDあるいはDVDで使用されているピックアップでは、基本的には減速パルスの開始タイミングは100μm以下の短い距離であれば移動距離の中間位置近傍がよく、100μ以上の長い距離を移動する場合は、目的層手前50μm近傍の位置でブレーキを開始するのが好ましい。例えば、図8に示すような多層光ディスク群(多層光ディスクグループ)のフォーカスジャンプをサポートする場合には、装填しているディスクの種別がわかれば、各グループ0〜3の層間距離(LP)が一意にわかる。このため、シークのパターンで移動距離及び何層横切りかの情報も取得することができるので、この組み合わせで、プログラムでテーブル、あるいは計算式をもって、それを引用してブレーキ層と1回にフォーカス位置が横切る情報層数の最大値の決定を行う。
この決定をするためのブレーキ層のテーブルと最大移動層数及び1回当たりの移動層数のテーブルを、2層BD、4層BD、8層BD、16層BDを例として図17、図18に示す。
図17、図18において、例えば、L2N、L2Z、L2Fなどと表記されているが、ブレーキ層が、L2Nの場合はL2層のニア側(対物レンズがディスク表面100aに近づく方向)、L2Zの場合はL2層の中心近傍、L2Fの場合はL2層ファア側(対物レンズがディスク表面100aから遠ざかる方向)を示している。
図17に示すように、グループ0の2層BDにおいてL1層からL2層にジャンプする場合は、ブレーキ層はL2N(中間)と示されており、この場合は、減速パルスP2はL1層のS字信号が立ち下がって0レベルになるとき、あるいはL2層のS字信号が0レベルであるL2Zから立ち上がるときを検出して減速パルスP2を出力する。
グループ1の4層BDにおいて、L1層からL2層にジャンプする場合は2層BDと同じである。L1層からL3層にジャンプする場合は、ブレーキ層はL2Zと示されており、この場合は、L2層をブレーキ層に設定し、L2層のS字信号の手前あるいは奥側の振幅が0レベル近傍のレベルに下がったとき(L2Z)を検出して減速パルスP2を出力する。L1層からL4層にジャンプする場合は、ブレーキ層はL3Nと示されており、この場合は、L3層をブレーキ層に設定し、L3層の手前側のS字信号が0レベル(L3Z)から近傍の所定レベルまで立ち上がったときを検出して減速パルスP2を出力する。
グループ2の8層BDにおいて、L1層からL2層、L1層からL3層、L1層からL4層までは、4層BDと同じである。L1層からL5層にジャンプする場合は、ブレーキ層はL3Zと示されており、この場合は、L3層をブレーキ層に設定し、L3層のS字信号の手前あるいは奥側の振幅が0レベル近傍のレベル(L3Z)に下がったときを検出して減速パルスP2を出力する。
さらにL1層からL8層にジャンプする場合は、移動パターンはL1→L5→L8と示されており、この場合は、まずは、L1層からL5層の1回目のジャンプとL5層からL8層までを2回目のジャンプとして設定する。1回目L1層からL5層のジャンプでは、1回目のブレーキ層はL3Zと示されており、この場合は、L3層をブレーキ層として決定し、L3層のS字信号の手前あるいは奥側の振幅が0レベル近傍のレベル(L3Z)に下がったときを検出して減速パルスP2を出力し、L5層に到達したとき一度フォーカスを引き込む。次にL5層からL8層までの2回目のジャンプでは、2回目のブレーキ層はL7Zと示されており、この場合は、L7層をブレーキ層として決定し、L7層のS字信号の手前あるいは奥側の振幅が0レベル近傍のレベル(L7Z)に下がったときを検出して減速パルスP2を出力し、L8層に到達したときフォーカスを引き込んで移動を完了する。
このL1層からL8層の移動について、図16と図19を参照して、より詳細に説明する。
図19は、1回目の移動(L1層からL5層)と、2回目の移動(L5層からL8層)の各ディスクの記録層の断面と、FE上に現れるS字信号、および加速パルスP1並びにブレーキ層のS字信号を検出して出力される減速パルスP2のタイミングを示す波形とを示す図である。 前述したように、1回目のジャンプがL1層からL5層と決まると、ブレーキ層であるL3層に球面収差を合わせる。すなわち、L3層で球面収差が最も小さくなるように球面収差補正を行う。
その後、加速パルスP1を印加し、L5層に向けて対物レンズの移動を開始する。L3層で球面収差を合わせているので、S字信号の振幅は、L3層で最も大きく、そこから離れるほど小さくなる。ただし、S字信号の振幅は、上記S字カウントモードM1(S字信号粗検出モードM1)では、L3層以外の情報層でも0にはならないので、L1層、L2層のS字信号を検出することは可能である。よって、フォーカス位置がL1層を通過し、L2層に到達したことを検知することができる。さらにフォーカス位置のL2層の通過は、0レベル近傍にS字信号粗検出レベルM1を設けることで検出が可能である。フォーカス位置がL2層を通過したら、S字信号粗検出モードM1からS字信号詳細検出モードM2に切り換える。このモードはS字信号の振幅レベルを細やかに設定したモードである。S字信号詳細検出モードM2は、後述するように、フォーカス位置がL6層を通過した後にも実行する。
図16は、S字信号詳細検出モードM2の動作を説明する図である。図16のL7層のS字信号近傍に示すように、S字信号詳細検出モードM2ではL7層のニア側(対物レンズがディスク表面100aに近づく方向)L7N、あるいはL7層の中心近傍L7Z、あるいはL7層のファア側(対物レンズがディスク表面100aから遠ざかる方向)L7FでS字信号の変化を詳細に検出することができる。それに合わせて減速パルスP2の開始点を細かく調整することができる。これにより、面ぶれや層間のばらつきがあっても、最適なタイミングで減速パルスP2をフォーカスアクチュエータに印加することが可能となる。
再び、図19を参照する。
減速パルスP2を印加した後は、S字信号粗検出モードM1に戻してL4層の通過を検出し、再度S字信号詳細検出モードM2に戻してL5層での引き込みレベルを設定して、その引き込みレベルに到達したらフォーカス制御をONする。2回目のジャンプ(L5層からL8層)も同様にして、球面収差をブレーキ層のL7層に合わせた後、S字信号粗検出モードM1でL5層、L6層の通過を検出し、S字信号詳細検出モードM2でL7層のディスクに近い側のS字信号を検出したら減速パルスP2を発行する。その後L8層に向けて慣性力で移動してL8層でのS字信号が引き込みレベルに達したときフォーカスをONする。この2回目の移動の場合はブレーキ層と目的層が隣接層で球面収差量も近いため、S字信号の振幅は同程度である。よってブレーキ層から目的層までS字信号詳細検出モードM2を継続する。ところで、1回目、2回目で到達した目的層L5層、L8層でのFEの振幅を少しでも大きくして引き込みをよくするために、L3層、L7層で減速パルスP2層を印加後に球面収差を目的層であるL5層、L8層に合わせるように駆動を開始しておいてもよい。
また8層、16層、20層で一気に8層、16層あるいは20層のジャンプを行う場合はブレーキを出してからの残りの移動距離も長くなるため、減速しすぎるという場合がある。この場合は、1回でジャンプできる最大層数を予め決定しておく。例えば5層と決めた場合は、16層のアクセスの場合は3回、20層アクセスの場合は4回で目的層にいくようなシーケンスに切り換えればよい。
図18に16層BDの一部の例も示している。このように16層、あるいは20層になっても、それぞれの層間距離や移動層数などで設定値は変わるが、同様の方法で減速パルスP2を出すブレーキ層、1回の最大移動層数とジャンプ回数を決定することは可能である。
以上のように図17および図18によって、多層光ディスクは、複数の多層グループ(0〜3)に分かれており、層間ジャンプの移動パターンは、多層光ディスクのトータル層数情報と、層間ジャンプ元と層間ジャンプ先を含む層間ジャンプ情報を用いて決定されていることが示された。またこの移動パターンには、層間ジャンプ前に球面収差補正を行う層、減速信号を発生させるブレーキ層、および、一度にジャンプできる最大横断層数を含むことを示したが、少なくとも何れか1つの項目を含むとしてもよい。さらにこの移動パターンには、複数回に分けて層間ジャンプ元から層間ジャンプ先に移動するパターンを含むことが示された。ここで多層光ディスクにおける各層から得られるS字信号は、それぞれ重複していないことが望ましい。
本実施形態では、S字信号の検出範囲が2μm以下である。多層光ディスクにおける情報層の数が更に増加していくと、層間距離が短くなる。したがって、各層の確実な検出と層間クロストークを防止するためには、S字信号の検出範囲をさらに狭くする必要がある。よって、フォーカスジャンプでフォーカス位置が移動している間に検出されるS字信号の幅(極大値と極小値の時間)は、非常に狭くなる。今後製造されるであろう多層光ディスクでも、15μm〜5μm程度の層間距離は確保されるため、S字信号の検出範囲が狭くなると、S字信号とS字信号との間隔はより鮮明になる。このため、S字信号に基づいて情報層を検知しやすくなる。
このように、多層光ディスクでは、フォーカスジャンプ中にフォーカス位置が情報層を通過するタイミングを、S字信号に基づいて高精度で検知することが可能である。フォーカスジャンプ中の検出されるS字信号をカウントし、検出の間隔を測定すれば、フォーカス位置の移動速度(ディスクの厚さ方向の移動速度)を求めることが可能になる。
例えば図19(a)におけるフォーカスジャンプ中に現れるL1層のS字信号の極大値T1とL2層のS字信号の極大値T2の時間間隔T12、L2層のS字信号の極小値B1とL3層のS字信号の極小値B2の時間間隔T23を計測することができる。その時間間隔T12、T23が所定値(移動速度の設計値から算出した標準値)よりも長ければ、フォーカス位置の移動速度が低いと判定し、減速を小さく設定することが好ましい。この場合、減速パルスP2の波高値Vbrを小さく、あるいは減速パルス幅Tbrを短くすればよい。
逆に、時間間隔T12、T23が上記所定値のよりも短ければ、フォーカス位置の移動速度が高いと判定し、減速を大きくすることが好ましい。この場合は、減速パルスP2の波高値Vbrを大きく、あるいは減速パルス幅Tbrを長くすればよい。このように、S字信号の検出時間の間隔を測定することによってフォーカス位置の移動速度を求め、この移動速度に基づいて、フォーカスの引き込み時における加減速に調整することが可能である。
上記の例では、最初の2つの層のS字信号の時間間隔を測定しているが、本発明は、そのような例に限定されない。例えば、10層ディスク、16層ディスクなどの多層光ディスクでは、途中で停止することなく一度に10層のジャンプをすることがある。このような場合には、1層おき、あるいは2層おきのS字信号の間隔を測定して、その測定値において都度波高値を調整しながら減速(あるいは加速)パルスを印加してもよい。こうすることにより、10層、16層などの多くの層を通過する、移動距離の長いフォーカスジャンプにおいても、移動速度を所定範囲に調整することが容易になる。その結果、安定にフォーカス位置の層間移動を達成し、到達した目標層でフォーカスを安定に引き込むことが可能である。
図19に示す例では、1回のフォーカスジャンプは、1つの加速パルスP1によって移動を開始し、1つの減速パルスによって移動を停止している。しかし、本発明におけるフォーカスジャンプは、このような例に限定されない。上述したように、フォーカスジャンプ中におけるフォーカス位置の速度を検出しながら、フォーカス位置の移動速度を調整するため、加速パルスP1と減速パルスP2との間に速度調整のための少なくとも1つの加速パルスまたは減速パルスを印加してもよい。
次にレンズとディスクの衝突を防止して信頼性を高めるための、多層のフォーカスジャンプの設定切換について説明する。
PCドライブ、レコーダ/プレ−ヤ等々の光ディスク装置の多くは水平に設置されることが多い。このため、多層光ディスクの奥側の層から手前の層へフォーカスジャンプする場合と手前の層から奥側の層へフォーカスジャンプする場合では、対物レンズの移動方向に印加される重力に2G(Gは重力加速度)の差が生じる。したがって下向き(奥から手前)では過加速に、上向き(手前から奥)では過減速になることが多い。このことは、対物レンズと光ディスクの衝突に関しては有利な方向に働く。しかし、さらに衝突の信頼性を向上させ、縦置きのBDプレイヤやPCドライブも想定すると、絶対的ではないといえる。
したがって衝突しない確率を向上させるため、上向き(多層光ディスクの手前から奥)のフォーカスジャンプの場合は、一旦目的層の1つ手前の層まで移動し、最後に1層のみのフォーカスジャンプで移動させる。逆に下向き(奥から手前)のフォーカスジャンプは、衝突のリスクが少ないため、直接目的層まで移動させるようにしてもよい。
この場合、同じ層数を横切るジャンプであっても、上向き(手前から奥)と下向き(奥から手前)とでブレーキ層を切り換えれば、安定なジャンプ性能を確保することができる。
以上の理由から、対物レンズが多層光ディスクに近づく方向の層間ジャンプと、多層光ディスクから遠ざかる方向の層間ジャンプとに応じて、層間ジャンプの仕方を変えてもよい。また対物レンズが多層光ディスクに近づく方向の層間ジャンプは、多層光ディスクから遠ざかる方向の層間ジャンプに比べて、層間ジャンプ時にフォーカス位置が横切る情報層の数を小さくしても良い。
以上、説明した本発明の実施形態では、ブレーキ層で、球面収差が0になるようにフォーカスジャンプ開始前に球面収差補正を完了している。その結果、ブレーキ層でのS字信号の振幅は最大となり、SN比も増加するため、高い分解能のS字信号を得ることができる。それによって、より詳細なS字信号の振幅レベルの検出が可能となるので、減速パルスP2のタイミングを正確に決定することができる。しかし、球面収差がブレーキ層で最適化されるように球面収差補正を行うには、球面収差を完了してからフォーカス移動を行う必要はない。すなわち、フォーカス移動を行いながら、球面収差補正を行っても良い。
球面収差補正を変化させながら、フォーカスジャンプを行うように構成すれば、各情報層で特性のよいS字信号を得ることができる。その結果、フォーカス位置が情報層を通過する毎になめらかな速度の制御が可能になる。具体的には、フォーカスジャンプをするときに、図12に示すフォーカス制御部140が備えるフォーカスアクチュエータ駆動回路からアクチュエータ132に出力される、図21に示すような駆動信号(加速パルス、中間パルス、減速パルス)に対して演算を行う。その演算後の信号を、球面収差補正部128(図12)に印加する。図13に示す球面収差補正部128は、球面収差補正レンズ228をステッピングモータ8によって移動させているが、球面収差補正レンズ228とステッピングモータ8との間に球面収差補正のためのアクチュエータを設けることが好ましい。
図20は、このようなアクチュエータ229を備える球面収差補正部128の他の構成例を示す図である。図20において、フォーカス制御部140が備えるフォーカスアクチュエータ駆動回路から球面収差補正部230に駆動信号が出力される。球面収差補正部230はこの出力された駆動信号に対して演算を行う。その演算後の信号を、ステッピングモータ8とアクチュエータ229にそれぞれ印加する。アクチュエータ229は、ステッピングモータ8に比べると、稼動範囲は狭いが、高い応答性を有する。このため、フォーカス位置(フォーカス位置)が複数の情報層を通過していくタイミングに応じて迅速に球面収差補正を変化させるには、応答速度の高いアクチュエータ229により、球面収差補正レンズ228の位置を高速に微調整できることが好ましい。
図21に示すように、例えば、4層ディスクにおいてL4層からL1層にジャンプした場合、第1のS字信号で加速パルス、第2のS字信号で中間パルス、第3のS字信号で減速パルスを出すように構成する。この場合に、目的層へ向かう正極性パルス分を抽出して、積分演算することにより、フォーカス方向の移動量に相当する値(信号)を求めることが可能である。この求めた信号に帯域分離をかけ、球面収差を補正する素子であるステッピングモータ8とアクチュエータ229にそれぞれ印加する。
このような構成を採用することにより、フォーカス位置が多層光ディスク内のどの情報層の近傍に位置しているかの情報を得て、その情報に基づいて球面収差補正を迅速に最適化できる。したがって、フォーカスジャンプを開始した後、フォーカス位置が情報層を横切るタイミングと同期して、球面収差の補正量を切り換えることが可能である。
また、上述したS字信号とS字信号との時間間隔を計測し、それによって求められるフォーカス位置の移動速度から、光ビームの到達している層、すなわち球面収差の位置を推定してもよい。
図22は、CPU146がフォーカスジャンプ中にS字とS字の時間間隔を測定し、その時間から速度を求めて、その速度に応じた信号を球面収差補正部128内のアクチュエータへフィードバックする動作を示す波形図である。
この場合、層間距離とS字の検出範囲は既知であるので、フォーカス位置の移動速度を推定できる。よって、フォーカスジャンプ中の光ビームのフォーカス位置の到達距離が容易に算出できる。こうして、フォーカス位置がどの情報層に近づいているか、あるいはどの情報層上にあるかがわかる。このため、移動しつつあるフォーカス位置に近い情報層に、順次、球面収差補正を合せることが可能になる。
このように、S字信号の検出間隔は、フォーカス位置の移動速度に比例しているため、フォーカス位置が情報層を横切るタイミングと、フォーカス位置が横切る情報層に合うように球面収差を補正するタイミングとの同期をとることが可能になる。
上記の構成を採用した光ディスク装置において、図14に示す層間ジャンプを行うと、L1〜L4層のいずれの層から得られるS字信号も、振幅は十分に大きく、同程度になる。
なお、図14の例では、加速パルスP1および減速パルスを、それぞれ、1回だけ出力しているが、図22に示すように、本発明はこのような場合に限定されない。
なお、上記の各実施形態では、ブレーキ層で球面収差補正を最小化しているが、目的情報層で球面収差が最小化するように球面収差補正が行われる場合でも、ブレーキ層が目的情報層に隣接するならば、ブレーキ層からのS字信号を高精度で検出することが可能になる。
このため、本発明の他の態様による光ディスク装置は、以下の構成を備えていてもよい。すなわち、積層された複数の情報層を有する多層光ディスクにおけるフォーカス位置の層間ジャンプを制御する層間ジャンプ制御部と、層間ジャンプを開始した後、層間ジャンプの目的情報層の手前側に隣接する情報層からのS字信号を検出するS字信号検出部とを備えている。そして、層間ジャンプ制御部は、S字信号の検出に応答して層間ジャンプにおけるフォーカス位置移動の減速を開始し、目的情報層の手前側に隣接する情報層で最大の減速を行う。
この光ディスク装置によれば、積層された複数の情報層を有する多層光ディスクにおけるフォーカス位置の層間ジャンプを制御する層間ジャンプ方法を実行することができる。すなわち、層間ジャンプを開始した後、層間ジャンプの目的情報層の手前側に隣接する情報層からのS字信号を検出するステップと、S字信号の検出に応答して層間ジャンプにおけるフォーカス位置移動の減速を開始し、目的情報層の手前側に隣接する情報層で最大の減速を行うステップとを実行することができる。
上記の光ディスク装置または層間ジャンプ方法によれば、目的情報層からのS字信号の検出に応答する場合に比べて、確実に目的情報層で層間ジャンプを停止することが可能になる。
以上のように、本発明に係る光ディスク装置、および本発明に係る多層光ディスクにおける層間ジャンプ方法は、安定かつ高速な層間移動を実現できるので、3層以上の情報層を備える多層光ディスクに好適に適用される。
本発明は、多数の情報層が積層される光ディスクであれば、BDに限定されず、他の光ディスク(例えばCH−DVD)にも適用可能である。また、本発明の光ディスク装置は、録画機能を有しないプレイヤはもちろん、データ記録機能を有するレコーダやPCドライブにも好適に適用され得る。
100 光ディスク
103 光ピックアップ
106 サーボ制御回路
146 層間ジャンプ制御部(CPU)
160 S字信号検出部
本発明は、片面積層型光ディスクの記録再生装置に関する。特に16層や20層などの多重層光ディスクを0.85以上の高NAで405nmの青紫色のレーザ光源で記録、再生できる光ディスク装置および多層光ディスクにおける層間ジャンプ方法に関している。
本明細書では、積層されたN層(2以上の整数)の情報層を備える光ディスクを「N層ディスク」と称する。また、複数の情報層を備える光ディスクを包括的に「多層光ディスク」と称する。「片面積層型光ディスク」とは、各情報層を照射する光が光ディスクの片側の表面から入射される光ディスクである。
多層光ディスクにおいて、光が入射するディスク表面100aから各情報層までの距離を、その情報層の「深さ」と称する場合がある。多層光ディスクにおいて、深さが最も近い情報層とディスク表面100aとの間は、「光透過層」と呼ばれる透明なカバー層が存在する。情報層と情報層との間にも光を透過する層が存在するが、着目する情報層とディスク表面100aとの距離、すなわち、その情報層の深さを「光透過層の厚さ」と称する場合がある。
本明細書では、N層ディスクにおいて、ディスク表面100aから最も奥に位置する情報層を「L1層」と称する。N層の情報層を、ディスク表面100aに近づく順序で、L1層、L2層、・・・LN層と称する。この場合、例えば4層ディスクでは、ディスク表面100aに最も近い情報層は、L4層である。
光ディスクに記録されているデータは、比較的弱い一定の光量の光ビームを回転する光ディスクに照射し、光ディスクによって変調された反射光を検出することによって再生される。再生専用の光ディスクには、光ディスクの製造段階でピットによる情報が予めスパイラル状に記録されている。これに対して、書き換え可能な光ディスクでは、スパイラル状のランドまたはグルーブを有するトラックが形成された基材表面に、光学的にデータの記録/再生が可能な記録材料膜が蒸着等の方法によって堆積されている。書き換え可能な光ディスクにデータを記録する場合は、記録すべきデータに応じて光量を変調した光ビームを光ディスクに照射し、それによって記録材料膜の特性を局所的に変化させることによってデータの書き込みを行う。
多層光ディスクでは、積層された複数の情報層のうちの或る情報層(「層A」と称する)からデータを読み出すとき、あるいは、層Aにデータを書き込むとき、層Aに光ビームのフォーカスが合わせられる。そして、層A以外の情報層(「層B」と称する)からデータを読み出すとき、あるいは、層Bにデータを書き込むときは、層Bに光ビームのフォーカスが合わせられる。このように光ビームのフォーカス位置を、或る情報層(現在層)から他の情報層(目的層)に移動させることを、「層間移動」または「フォーカスジャンプ」と称することとする。
光ビームのフォーカス位置を情報層の深さ方向(光ディスクの厚さ方向)に移動させることは、光ピックアップ内のフォーカスアクチュエータによって行うことができる。光ピックアップは、光ビームを放射するレーザ光源と、その光ビームを集束させる対物レンズと、対物レンズの位置を移動させるアクチュエータとを備えている。アクチュエータは、対物レンズを光ディスクの半径方向に移動させるトラッキングアクチュエータと、対物レンズを光ディスクの厚さ方向に移動させるフォーカスアクチュエータとに分けることができる。
フォーカスジャンプ(層間ジャンプ)を行うためには、フォーカスアクチュエータによって光ビームのフォーカス位置を目標位置に速やかに移動させることが必須である。例えば特許文献1には、DVDの2層ディスク、あるいはブルーレイディスク(BD)の2層ディスクにおけるフォーカスジャンプを行うための従来技術が開示されている。
特許文献1に開示されているBDの2層ディスクにおけるフォーカスジャンプの一方法では、まず球面収差補正機構の移動を開始し、所定時間経過後にフォーカスアクチュエータによる対物レンズの移動を開始する。その所定時間は、球面収差補正機構を第1の記録層に対応する位置から第2の記録層に対応する位置まで移動させるのに要する時間の略1/2に相当する。これに球面収差補正機構が第2の記録層に対応する位置に近づこうとしているときにフォーカスアクチュエータによる対物レンズの移動を開始するので、フォーカス位置が第2の記録層に移動した頃には球面収差補正機構も第2の記録層に対応する位置に近づいており、第2の記録層上でフォーカスサーボを正しく行うことができる。またフォーカスジャンプの他の方法では、球面収差補正機構が第1の記録層に対応する位置と第2の記録層に対応する位置との略中間位置まで移動したときに、フォーカス位置の移動を開始するので、フォーカス位置が第2の記録層へ移動した後、正しくフォーカスサーボを実行することができる。
特許文献1の技術では、3層以上の多層光ディスクにおいて、一度に2層以上の記録層にわたってフォーカス位置を移動させるフォーカスジャンプを行う場合に、現在の記録層から隣接記録層へと球面収差補正機構とフォーカスアクチュエータを移動するとともに隣接記録層上でフォーカス位置を一旦合焦状態とする。そして次の隣接記録層へのフォーカスジャンプを実行し、隣接記録層への一層毎のフォーカスジャンプを所定の回数繰り返すことにより、2層以上の記録層の移動においてもフォーカスサーボが不安定になることなく多層にわたる層間移動を実現していた。
従来の層間ジャンプ技術は、2層ディスクを想定して開発されたものである。このような従来の層間ジャンプ方法によれば、フォーカスジャンプを実行する前に球面収差を目的層のカバー厚(目的層の深さ)に合わせることが行われる。他の従来技術では、球面収差補正を目的層と現在層の中間値に合わせておき、フォーカスを外して目的層に向けて移動を開始する。
フォーカスジャンプ時に目的層で球面収差を最小化するように球面収差補正を行った場合の2層ディスク、4層ディスクにおける光ビームとFE信号、駆動信号の波形の様子を図1、図2に示す。
図1(a)には、2層BDの断面構成が示されている。図1(a)の右側では、L1層にフォーカスが合っている状態が模式的に示され、左側ではL2層にフォーカスが合っている状態が模式的に示されている。対物レンズを光ディスクの厚さ方向に移動させることにより、フォーカス位置を移動させている。図1(b)にはL1層からL2層へ移動したときのS字信号の波形とフォーカス駆動信号上の加速パルスP1、減速パルスP2が示されている。図1(c)には、L2層からL1層に移動したときのS字波形とフォーカス駆動信号上の加速パルスP1、減速パルスP2)が示されている。
ここで、「S字信号」とは、フォーカス位置が情報層に接近し、やがて情報層を通過して遠ざかる過程でFE信号に現れる波形部分である。S字信号は、光ビームのフォーカス位置が情報層の近傍に位置するとき、ゼロではない大きさの振幅を有する。1つのS字信号は、通常、FE信号に現れる極性の異なる2つの山部分から構成される。2つの山部分の間には、ゼロクロスポイントが存在する。S字信号のゼロクロスポイントは、フォーカス位置が情報層上にあること(合焦していること)を意味する。FE信号を観察しながら、フォーカス位置を移動させるとき、フォーカス位置が情報層に十分に近づくと、FE信号のレベルがゼロの状態から正または負のレベルに変位する。S字信号の山部分の幅を「検出範囲」と称する場合がある。
なお、本明細書において、加速パルスP1および減速パルスP2の極性は、対物レンズが光ディスクに近づく方向に力が付与されるときに、「正」となり、図で上向きに記載される。一方、対物レンズが光ディスクから遠ざかる方向に力が付与されるときに、加速パルスP1および減速パルスP2の極性は、「負」となり、図で下向きに記載される。図で上向きのパルスは、対物レンズが光ディスクに近づく場合に印加されると「加速」に寄与するが、対物レンズが光ディスクから遠ざかる場合に印加されると「減速」に寄与することになる。
従来は、2層ディスク、4層ディスクにかかわらず、目的層に接近したときに現れる目的層のS字片側の出力を検出して減速パルスP2を出力している。他の従来技術では、図1(b)に示すL2層のS字信号の極性が負の部分(右側振幅)や、図1(c)に示すL1層のS字信号の極性が正の部分(左側振幅)を検出して減速パルスP2を出力している。
2層ディスクの場合は、層間ピッチが十分に大きいため、目的層に接近したときに現れる目的層のS字信号の片側の振幅(極性が正又は負の変化)を検出した時点で減速パルスP2を出力することにより、目的層の十分手前でフォーカス位置の移動にブレーキがかかる。しかし、多層ディスクである4層ディスクの場合には、図2(a)に示すように層間ピッチが小さくなっている。このため、フォーカス位置が目的層に接近したときに現れる目的層のS字片側の出力を検出した時点で減速パルスP2を出力しても、ブレーキのタイミングがおそく、目的層でのフォーカス制御を引き込み失敗することがあった。
図3、図4は、球面収差補正を目的層と現在層の中間値に合わせた例を示す。図3(a)には、2層BDの断面構成が示されている。図3(b)にはL1層からL2層へ移動したときのS字波形とフォーカス駆動信号上の加速パルスP1、減速パルスP2が示されている。図3(c)には、L2層からL1層に移動したときのS字波形とフォーカス駆動信号上の加速パルスP1、減速パルスP2が示されている。同様に、図4(a)には、4層BDの断面構成が示されている。図4(b)にはL1層からL4層へ移動したときのS字波形とフォーカス駆動信号上の加速パルスP1、減速パルスP2が示されている。図4(c)には、L4層からL1層に移動したときのS字波形とフォーカス駆動信号上の加速パルスP1、減速パルスP2が示されている。
図3、図4に示すように、特許文献1に開示されているような従来技術を用いても、S字信号の振幅が各層でほぼ等しくなるだけである。しかも、フォーカス位置が目的層に近づけば近づくほど、S字信号振幅は、球面収差が合っている場合の大きさよりも小さくなっている。そのため、フォーカス制御の引き込みに失敗する確率が上昇してしまう。
本発明は上記課題に鑑み、2層ディスクよりも層数の多い多層光ディスクにおいても、安定かつ高速な層間移動を実現する光ディスク装置、および多層光ディスクにおける層間ジャンプ方法を提供することを目的とする。
本発明の光ディスク装置は、積層された複数の情報層を有する多層光ディスクにおけるフォーカス位置の層間ジャンプを制御する層間ジャンプ制御部と、前記光ディスクにおける前記複数の情報層の各々に応じた球面収差補正を行うことができる球面収差補正部と、前記フォーカス位置の層間ジャンプを開始した後、前記複数の情報層に含まれる情報層からのS字信号を検出するS字信号検出部とを備え、前記球面収差補正部は、前記フォーカス位置の層間ジャンプの開始前または開始後に、前記層間ジャンプにおけるフォーカス位置移動の減速を開始する情報層に応じた球面収差補正を行い、前記層間ジャンプ制御部は、前記球面収差補正が行われた情報層からのS字信号の検出に応答して前記層間ジャンプにおけるフォーカス位置移動の減速を開始する。
好ましい実施形態において、前記層間ジャンプにおけるフォーカス位置移動の減速を開始する前記情報層は、前記層間ジャンプの開始時に前記フォーカス位置が存在した情報層と前記層間ジャンプの目的情報層との間に位置する情報層である。
好ましい実施形態において、前記層間ジャンプにおけるフォーカス位置移動の減速を開始する前記情報層は、前記層間ジャンプの目的情報層に隣接する情報層である。
好ましい実施形態において、前記球面収差補正部は、前記層間ジャンプの開始前、前記層間ジャンプの目的情報層の手前に位置する情報層に応じた球面収差補正を完了する。
好ましい実施形態において、前記球面収差補正部は、前記層間ジャンプの開始後、前記フォーカス位置の移動に応じて前記球面収差の補正量を切り替える。
好ましい実施形態において、前記球面収差補正部は、前記複数の情報層のうち、前記層間ジャンプ中に移動しているフォーカス位置に最も近い情報層で球面収差補正を最小化する。
好ましい実施形態において、前記層間ジャンプ制御部は、前記層間ジャンプの開始後、前記フォーカス位置が前記複数の情報層の各々を横切る時に得られるS字信号の検出間隔に基づいてフォーカス位置移動の加速および減速を調整する。
本発明の多層光ディスクにおける層間ジャンプ方法は、積層された複数の情報層を有する多層光ディスクにおけるフォーカス位置の層間ジャンプを制御する層間ジャンプ方法であって、フォーカス位置の層間ジャンプの開始前または開始後に、前記層間ジャンプにおけるフォーカス位置移動の減速を開始する情報層に応じた球面収差補正を行うステップと、前記層間ジャンプを開始した後、前記球面収差補正が行われた情報層からS字信号を検出するステップと、前記球面収差が行われた情報層からの前記S字信号の検出に応答して前記層間ジャンプにおけるフォーカス位置移動の減速を開始するステップとを含む。
好ましい実施形態において、前記層間ジャンプにおけるフォーカス位置移動の減速を開始する情報層は、前記層間ジャンプの目的情報層に隣接する情報層およびその近傍に位置する情報層を含む複数の情報層から選択された特定層である。
好ましい実施形態において、前記層間ジャンプにおけるフォーカス位置移動の減速を開始する情報層は、前記層間ジャンプの目的情報層に隣接する情報層である。
好ましい実施形態において、前記減速を行った後、前記層間ジャンプの目的情報層に適した球面収差補正を行うステップを有する。
好ましい実施形態において、前記多層光ディスクのトータル層数情報と、層間ジャンプ元と層間ジャンプ先を含む層間ジャンプ情報を用いて、層間ジャンプのパターンを決定するステップを有する。
好ましい実施形態において、前記層間ジャンプのパターンには、層間ジャンプ前に球面収差補正を行う層、減速信号を発生させる層、および、一度にジャンプできる最大層数の少なくとも1つを含む。
好ましい実施形態において、前記層間ジャンプのパターンには、複数回に分けて層間ジャンプ元から層間ジャンプ先に移動するパターンを含む。
好ましい実施形態において、前記多層光ディスクにおける各情報層から得られるS字信号は、それぞれ重複していない。
好ましい実施形態において、対物レンズが前記多層光ディスクに近づく方向の層間ジャンプと、前記多層光ディスクから遠ざかる方向の層間ジャンプとに応じて、前記層間ジャンプの仕方を変える。
好ましい実施形態において、前記対物レンズが前記多層光ディスクに近づく方向の層間ジャンプは、前記多層光ディスクから遠ざかる方向の層間ジャンプに比べて、前記層間ジャンプ時にフォーカス位置が横切る情報層の数が小さい。
本発明の他の光ディスク装置は、積層された複数の情報層を有する多層光ディスクにおけるフォーカス位置の層間ジャンプを制御する層間ジャンプ制御部と、前記層間ジャンプを開始した後、前記層間ジャンプの目的情報層の手前側に隣接する情報層からのS字信号を検出するS字信号検出部とを備え、前記層間ジャンプ制御部は、前記S字信号の検出に応答して前記層間ジャンプにおけるフォーカス位置移動の減速を開始し、前記目的情報層の手前側に隣接する情報層で最大の減速を行う。
本発明の他の多層光ディスクにおける層間ジャンプ方法は、積層された複数の情報層を有する多層光ディスクにおけるフォーカス位置の層間ジャンプを制御する層間ジャンプ方法であって、前記層間ジャンプを開始した後、前記層間ジャンプの目的情報層の手前側に隣接する情報層からのS字信号を検出するステップと、前記S字信号の検出に応答して前記層間ジャンプにおけるフォーカス位置移動の減速を開始し、前記目的情報層の手前側に隣接する情報層で最大の減速を行うステップと、を含む。
本発明の光ディスク装置および層間ジャンプ方法は、多層光ディスクにおける層間ジャンプを開始した後、球面収差が行われた情報層において減速制御を行うので、装填された多層光ディスクの層間距離や層数に依存せず、最適なタイミングでフォーカス位置を減速できる。このため、情報層の数が多い多層光ディスクにおいても安定な層間ジャンプを実現できる。
また本発明の光ディスク装置および層間ジャンプ方法は、所望の情報層に一気に移動するため、隣接層に一旦フォーカス制御をかけて安定した後、次の隣接層へ移動する動作を繰り返すような従来の方法より移動時間を大幅に短縮することができる。これにより、長時間記録だけでなく、3D記録やランダムアクセス性を確保できるため、ハードディスクの代用など多層の大容量のメリットを生かしたアプリケーションや装置の提供が可能となる。
また、本発明の他の態様によれば、層間ジャンプの目的情報層の手前側に隣接する情報層からのS字信号の検出に応答して最大の減速を行う。これにより、目的情報層からのS字信号の検出に応答する場合に比べて、確実に目的情報層で層間ジャンプを停止することが可能になる。この発明の態様では、球面収差は目的情報層の手前側に隣接する情報層で最小化している必要はない。
(a)は、2層BDの断面構成図、(b)は、2層BDのL2層(深さ75μm)で球面収差を最小化するように球面収差補正を行った場合おける、L1層およびL2層の各々から得られるフォーカスエラー(FE)信号の波形図、(c)は、2層BDのL1層(深さ100μm)で球面収差を最小化するように球面収差補正を行った場合における、L1層およびL2層の各々から得られるフォーカスエラー(FE)信号の波形図
(a)は、4層BDの断面構成図、(b)は、4層BDのL4層(深さ75μm)で球面収差を最小化するように球面収差補正を行った場合おける、L1〜L4層の各々から得られるフォーカスエラー(FE)信号の波形図、(c)は、4層BDのL1層(深さ100μm)で球面収差を最小化するように球面収差補正を行った場合における、L1〜L4層の各々から得られるフォーカスエラー(FE)信号の波形図
(a)は、2層BDの断面構成図、(b)は、L1層からL2層へ移動したときのS字波形とフォーカス駆動信号上の加速、減速パルスの波形図、(c)は、L2層からL1層に移動したときのS字波形とフォーカス駆動信号上の加速、減速パルスの波形図
(a)は、4層BDの断面構成図、(b)は、L1層からL4層へ移動したときのS字波形とフォーカス駆動信号上の加速、減速パルスの波形図、(c)は、L4層からL1層に移動したときのS字波形とフォーカス駆動信号上の加速、減速パルスの波形図
(a)は、2層BDの断面構成図、(b)は、2層BDのL2層(深さ75μm)で球面収差を最小化するように球面収差補正を行った場合における、L1層、L2層の各々から得られるFE信号の波形図
(a)は、2層BDの断面構成図、(b)は、2層BDのL1層(深さ5100μm)で球面収差を最小化するように球面収差補正を行った場合における、L1層、L2層の各々から得られるFE信号の波形図
本発明の実施形態に係る光ディスク装置のブロック図
単層、2層〜16層までの多層BDディスク群の第1構成の表を示した図
単層、2層〜16層までの多層BDディスク群の第2構成の表を示した図
単層、2層〜16層までの多層BDディスク群の第3構成の表を示した図
単層、2層〜16層までの多層BDディスク群の第4構成の表を示した図
図7の光ピックアップ、サーボ制御回路とその周辺部分の詳細なブロック図
(a)および(b)は、図7の球面収差補正部128の内部構成の一例を示す図
最近層(L4層)から最遠層(L1層)までフォーカスジャンプ動作をしたときの対物レンズと、フォーカス位置が多層BDディスクの各層を通過したときのS字信号を表した模式図
フォーカスジャンプ動作のフローチャート
ブレーキ層であるL7層部分を中心に拡大したS字信号と減速パルスP2の波形図
2層BD、4層BD、8層BDの各移動パターンに於けるブレーキ層と最大横断層数及びジャンプ回数をテーブル形式で示した図
16層BDの各移動パターンに於けるブレーキ層と最大横断層数及びジャンプ回数をテーブル形式で示した図
1回目の移動(L1層からL5層)と、2回目の移動(L5層からL8層)におけるFE上に現れるS字信号と、加速パルスP1並びに減速パルスP2のタイミングを示す波形図
(a)および(b)は、図7の球面収差補正部128の内部構成の他の例を示す図
最近層(L4層)から最遠層(L1層)までフォーカスジャンプ動作をしたときにフォーカス位置が多層BDディスクの各層を通過したときのS字信号、駆動信号(加速パルス、中間パルス、減速パルス)を示す図
フォーカスジャンプ中にS字とS字の時間間隔を測定し、その時間から速度を求めて、その速度に応じた信号をアクチュエータへフィードバックする動作を示す波形図
従来はDVD2層の層間ピッチ40μmや、BD2層の層間ピッチ25μmに対してフォーカスエラーFE信号上に現れるS字状の波形を有するS字信号の検出ができればよかった。このため2層ディスクでは、図1に示すようにS字信号の片側の幅(検出範囲)が10μmでも、フォーカスジャンプが可能なS字信号となる。
3層以上の情報層を備える多層BDでは、2層BDよりも層間ピッチを詰めて積層する必要があるため、各層の独立したS字信号を検出し、また層間クロストークを低減するためにこのS字信号の検出範囲を狭くする必要がある。S字信号の検出範囲を狭くしないと、隣接する情報層によるS字信号が重なりあい、層間クロストークが発生するため、S字信号によって個々の情報層を識別することが困難になる。例えば層間5μmまで層間ピッチを詰めた4層BDでは、図2に示すように、それぞれの層でのS字信号が検出できるようにS字信号の片側の幅(検出範囲)は例えば2μmまで狭くする必要がある。よって図示するように、層間ジャンプ時には、目的層の間際でなければ、その各々の層でのS字信号が発生しない。
次に、図5および図6を参照しながら、多層対応のピックアップで、2層のジャンプを行う方法を説明する。この例では、L1層からL2層に層間ジャンプを行う。
図5(a)および図6(a)は、いずれも、2層BDの断面構成と、L1層、L2層のそれぞれにフォーカスが合っている状態を模式的に示している。
図5(b)は、2層BDのL2層(深さ75μm)で球面収差を最小化するように球面収差補正を行った場合における、L1層、L2層の各々から得られるFE信号の波形を示している。これに対して、図6(b)は、2層BDのL1層(深さ100μm)で球面収差を最小化するように球面収差補正を行った場合における、L1層、L2層の各々から得られるFE信号の波形を示している。
上記のような多層対応の光ディスク装置において、従来の2層ディスクでのS字信号を観察すると、図示するように、不感帯の範囲が大きくなり、フォーカスジャンプ時には現在層の近傍あるいは目的層の近傍でしかS字信号が発生しない。
したがって、図5(b)に示すように目的層(L2層)のS字信号の振幅が最も大きくなる極値付近を検出して、減速パルスP2を出力していたのではブレーキのタイミングがおそくて十分減速できず、引き込みを失敗する。逆に、図6(b)に示すように現在層(L1層)のS字信号の振幅が最も大きくなる極値付近を検出して減速パルスP2を出力していたのでは、ブレーキのタイミングが早すぎる。そのため、面振れなどの影響を受け、元の層に戻ってしまう。
このような場合は、目的層(L2層)のS字信号でタイミングを生成するのであれば、より早いタイミングを検出するために、目的層(L2層)に球面収差を合わせて、S字信号の出力を安定させ、不感帯の0レベルからからS字信号の出力を検出した直後に減速パルスP2を出してブレーキをかけるように構成する。
また現在の層(L1層)のS字信号でタイミングを生成するのであれば、ブレーキのタイミングを正確に遅延させるために、球面収差は現在の層に合わせたままにしておき、S字信号の波形の勾配を検出しながら、その勾配値が0になってから、所定の遅延時間経過後に減速パルスを出してブレーキをかけるように構成すればよい。
しかしながら、情報層が3層以上になると、このような方法では、正確な層間ジャンプは実現困難になる。
本発明では、ブレーキをかけるタイミングを生成するための情報層(ブレーキ層)に球面収差補正を合わせて、その情報層で球面収差補正を最小化する。これにより、その情報層から得られるS字信号を大きくかつ安定化させる。そして、その情報層から得られるS字信号基づいて減速パルスを出力する。
本発明の他の態様によれば、層間ジャンプの目的情報層の手前側に隣接する情報層からのS字信号の検出に応答して最大の減速を行う。これにより、目的情報層からのS字信号の検出に応答する場合に比べて、確実に目的情報層で層間ジャンプを停止することが可能になる。
(実施形態1)
以下、本発明による光ディスク装置および層間ジャンプ方法の実施形態を説明する。
図7は、本実施形態に係る光ディスク装置のブロック図である。図8〜図11は、実施形態1でサポートする単層、2層〜16層までの多層BDディスク群の構成例を示す表である。
まず、本実施形態の光ディスク装置に装填され得る多層光ディスクの構成例について説明する。
多層光ディスクの構成としては、種々の組み合わせが考えられる。すでに商品化されている単層、2層のBDとの互換性を考慮すると、ディスク表面100aから最も離れた位置に存在する基準層(L1層)の深さは100μmで統一しておくことが好ましい。
各層が極端に接近すると、層間のクロストークが発生するために、層間距離は3μm以上が好ましい。本明細書では、層間距離を層間ピッチ(LP:Layer Pitch)と称する場合がある。
光ディスクの表面に形成され得る傷や塵の影響を考えると、光透過層の厚さ(ディスク表面100aに最も近い層とディスク表面100aとの距離)を薄くすることもできない。BDの記録再生に使用する光学系は、高いNA(0.85)を有している。NAが高くなると、対物レンズの焦点距離が短くなる。これらのことを考えると、光透過層の厚さは25μm以上を確保することが好ましい。
以上のことから、2層、4層、6層、8層、10層、12層、14層、16層の光ディスクには、図8〜図11に示す4つパターン(構成例)が考えられる。
図8、図9のパターン1、2は、層間の距離をできるだけ確保した例である。パターン1の例では、層間が等間隔あり、16層の光ディスクでは層間が5μm、光透過層の厚さは25μmになる。パターン2の例では、クロストークをキャンセルするため層間距離を交互に変えている。16層の光ディスクでは、奇数番目の層と偶数番目の層との間の距離が5μmになる。また、偶数番目の層と奇数番目の層との間の距離が4μmで、光透過層の厚さは32μmになる。
図10、図11のパターン3、4は、表面と表面から最も近い層までの距離(光透過層の厚さ)を優先して確保した例である。パターン3の例では、層間が等間隔あり、16層の光ディスクでは、層間が3.125μm、光透過層の厚さは53.125μmになる。パターン4では、クロストークをキャンセルするために層間距離を交互に変えている。16層の光ディスクでは、奇数番目の層と偶数番目の層との間の距離が3.125μmになる。また、偶数番目の層と奇数番目の層との間の距離が3μmであり、光透過層の厚さは54μmになる。
実際の多層光ディスクでは、製造ばらつきにより、層間距離や光透過層厚さは、上述の数値例から多少増減する。しかし、典型的な多層光ディスクの構成例は、大凡、上記の4つのパターンに集約される。本実施形態におけるフォーカスジャンプは、上述の全てのパターンに共通に適用することができる。このため、以下、パターン1について説明し、パターン2,3,4については必要な部分のみを補足的に説明する。
図7を参照しながら、本実施形態における多層光ディスク装置の構成および基本動作について説明する。
本光ディスク装置は、ピックアップ103と、光ピックアップ103の動作を制御するサーボ制御回路106と、光ピックアップ103で検出した光ディスク100上の情報信号を再生する再生回路110と、記録する情報を光ディスク100に書き込む記録回路123とを備えている。光ピックアップ103は、光ビームを光ディスク100上に集束させる光学系、光ディスク100からの反射光を検出する光検出器、および光源としてレーザダイオードを有している。記録回路123は、レーザ駆動回路107により、記録する情報に基づく所定の変調方式でレーザダイオードをパルス状に発光させることにより、前記情報を光ディスク100に書き込む。
光ピックアップ103は、光ディスクモータ101上に装填された光ディスク100に対し、集束されたレーザ光を照射する。RFサーボアンプ104は、光ディスク100から反射された光に基づいて電気信号を生成する。サーボ制御回路106は、モータ駆動回路102及び光ピックアップ103を制御することにより、光ディスクモータ101に装填された光ディスク100にフォーカスおよびトラッキング制御を実施する。また、サーボ制御回路106は、光ディスク100に対して光源およびレンズを用いて光ビームを照射することによって光ディスク100がBDディスクであるかのディスク判別、単層もしくは2層か、あるいは2層より多い情報記録層をもつ多層判別を行うディスク判別部109を含む。
再生回路110は、RFサーボアンプ104から出力された電気信号を波形等価回路などでイコライジングしてアナログ再生信号を生成する。生成された再生信号はデジタル化された後、PLLによってリードクロック(基準クロック)と同期し、データ抽出がなされる。その後、所定の復調、エラー訂正をなされた後、システムコントローラ111に入力される。システムコントローラ111は、I/F回路112を介してホスト113へと転送される。
記録回路123は、ヘッダやエラー訂正のための冗長ビットなどが付加されて、所定の変調パターン(変調方式)に変調した後、レーザ駆動回路107によって、ホスト140からI/F回路131を介して送られてくる情報を光ディスク100に記録するため、光ピックアップ103の中のレーザダイオードをパルス状に発光させる。光ディスク100に入射するレーザ光の強度変調に応じて、光ディスク100の記録材料(たとえば有機材料や相変化材料)の反射率を変えることで、「1」または「0」の情報の記録を行う。
図12は、本実施形態の多層光ディスクのフォーカスジャンプに関係する図7の光ピックアップ、サーボ制御回路とその周辺部分をより詳細に記載したブロック図である。図12を用いてさらに説明する。
まず光ピックアップの構成を説明する。図示されている光ピックアップ103は、光源122と、カップリングレンズ124と、偏光ビームスプリッタ126と、球面収差補正装置128、対物レンズ130と、アクチュエータ131、132と、集光レンズ134と、光検出部136とを有している。
光源122は、光ビームを放射する半導体レーザダイオードから構成される。簡単のため、図12には単一の光源122が示されているが、実際の光源は、異なる波長の光ビームを放射する例えば3つの半導体レーザから構成される。具体的には、1つの光ピックアップがCD、DVD、およびBD用に異なる波長の光ビームを放射する複数の半導体レーザを備えるが、図12では、簡単のため、1つの光源122として記載している。
カップリングレンズ124は、光源122から放射された光ビームを平行光にする。偏光ビームスプリッタ126は、カップリングレンズ124からの平行光を反射する。光ディスクの種類に応じて光源122における半導体レーザの位置や、放射される光ビームの波長が異なるため、光ディスク100の種類に応じて最適な光学系の構成は異なる。このため、実際の光ピックアップ103の構成は、図示されているものに比べて複雑である。
対物レンズ130は、偏光ビームスプリッタ126で反射された光ビームを集束する。対物レンズ130の位置は、アクチュエータ132がFE信号およびTE信号に基づいて所定の位置に制御する。光ディスク100の情報記録層からデータを読み出し、あるいは情報記録層にデータを書き込むとき、対物レンズ130によって集束された光ビームの焦点は、情報記録層上に位置し、情報記録層上に光ビームのスポットが形成される。図12には、1つの対物レンズ130が記載されているが、現実には複数の対物レンズ130が備えられており、光ディスク100の種類に応じて異なる対物レンズ130が用いられることになる。データの記録/再生時は、光ビームの焦点が情報記録層における所望のトラックを追従するようにフォーカスサーボおよびトラッキングサーボが動作し、対物レンズ130の位置が高精度に制御される。
本実施形態では、光ディスク100が特に青紫色のレーザダイオード122と高NAの対物レンズ130で記録再生を行う光ディスクである。説明をわかりやすくするため、光ピックアップ103は、図12に示すような簡易な構成を有している。現実の光ピックアップ103は、CDおよび/またはDVDのための光源および対物レンズを備えていても良い。
光ディスク100が装填された後、光ディスク100が有する複数の情報層に含まれる任意の層に対して、データの記録/再生の動作を行なうために、フォーカスジャンプを行う。具体的には、対物レンズ130をアクチュエータ132の働きにより光軸方向に沿って層間を移動させる。
球面収差補正素子128は、例えば光軸方向に位置を変化させることのできる収差補正用レンズ228(図13)を備え、収差補正用レンズ228の位置を調節することにより、球面収差の状態(補正量)を変化させることができる(ビームエキスパンダ方式)構成を備えている。球面収差補正部128の構成は、このようなビームエキスパンダ方式の構成を備えている必要は無く、液晶素子やヒンジなどによって収差を補正する構成を備えていても良い。
光ディスク100の情報記録層で反射された光ビームは、対物レンズ130、球面収差補正部128、および偏光ビームスプリッタ126を通過し、集光レンズ134に入射する。集光レンズ134は、対物レンズ130および偏光ビームスプリッタ126を通過してきた、光ディスク100からの反射光を光検出部136上に集束させる。光検出部136は、集光レンズ134を通過した光を受け、その光信号を各種の電気信号(電流信号)に変換する。光検出部136は、例えば4分割の受光領域を有している。
図12のサーボ制御回路106は、フォーカス制御部140、トラッキング制御部141、球面収差制御部142を備えており、これらを介してCPU146が光ピックアップ130の各種動作を制御する。サーボ制御回路106は、更に、FE信号生成部150、TE信号生成部151、S字信号検出部160、およびディスク判別部109を備えている。
フォーカス制御部140は、CPU146の指示に従ってフォーカシングアクチュエータ132を駆動し、対物レンズ130を光軸方向に沿って任意の位置に移動させることができる。
またトラッキング制御部141は、トラッキングアクチュエータ131を駆動し、対物レンズ130を光ディスク100の半径方向に沿って任意の位置に移動させることができ、TE信号生成部151から出力されたTE信号によって、光ディスク100上の光スポットがトラックを走査するようにトラッキング制御を行う。
球面収差制御部142は、CPU146の指示に従って球面収差補正部128を所定の設定状態に制御する。図13は球面収差補正部128の内部構成図である。具体的には、図13に示すステッピングモータ8が球面収差制御部142からの制御信号に基づいて動作し、例えば2層ディスクの場合には、収差補正レンズ228を1層目、2層目のカバー層厚に対応した所定の位置に移動させる。収差補正レンズ228の位置(光軸方向の位置)を変えることにより、光ビームの球面収差状態を調節することができる。これは4層〜16層、20層まで全て同じような動作、機能を有するものである。
FE信号生成部150は、光検出部136に含まれる複数の受光領域から出力される電気信号に基づいてFE信号を生成する。FE信号の生成法は、特に限定されず、非点収差法を用いたものでもよいし、ナイフエッジ法を用いたものであってもよい。また、SSD(スポット・サイズド・ディテクション)法を用いたものであってもよい。FE信号生成部150から出力されるFE信号は、CPU146からの指令で所定の検出閾値が設定されるS字信号検出部160に入力される。
TE信号生成部151は、光検出部136に含まれる複数の受光領域から出力される電気信号に基づいてTE信号を生成する。TE信号の生成法は、一般的にはBD−RやBD−REに代表される記録メディアのように凸凹のトラックを有するものはプッシュプル検出法、BD−ROMに代表される再生専用メディアのようにエンボス形状の情報プリピットを有するものは位相差検出法が主に用いられるが、特にトラッキングの方式で限定はされない。
S字信号検出部160は、フォーカスサーチによって対物レンズ130が光軸方向に移動している間におけるFE信号が所定の閾値を越えたかどうかでS字信号の検出を行う。本実施形態では、サポートする多層光ディスクのうち、減速パルスP2を出力する層、すなわち層間ジャンプの目的情報層と層間ジャンプを開始する情報層との間に位置するブレーキ層の深さに対応した球面収差値を設定する。ここでは、目的情報層の手前側に隣接する情報層をブレーキ層として選択する。
以下、本明細書では、層間ジャンプを開始する情報層(ジャンプ開始層)と目的情報層との間において、目的情報層に隣接する情報層を、目的情報層の「手前」の情報層と称することにする。ブレーキ層は、典型的には、目的情報層の手前に位置する情報層であるが、本発明は、この例に限定されない。層間移動中にフォーカス位置の速度や対物レンズの重さなどを考慮し、目的情報層よりも1層を超えて離れた情報層をブレーキ層として選択することも可能である。
ブレーキ層に応じた球面収差補正を行った後、トラッキング制御、フォーカス制御をOFFして、アクチュエータ132に加速パルスP1を印加する。こうして、目的の層に向けて対物レンズを駆動した後、前記ブレーキ層を検出したときに減速パルスP2を出力する。減速パルスP2が目的層の手前に位置する層(ブレーキ層)でアクチュエータ132に印加されるため、フォーカス位置の移動速度を低下させることができる。さらに本実施形態では、フォーカスジャンプ中に検出されるS字信号をカウントして目的層に到達したときにフォーカス制御をONする。このため、フォーカス位置を正確に目的層に移動させることができる。
図14は、4層ディスクを例にとり、最近層(L4層)から最遠層(L1層)までフォーカスジャンプ動作をしたときの対物レンズと、フォーカス位置が多層BDディスクの各層を通過したときのS字信号を表した模式図である。また図15はその時のフォーカスジャンプ動作のフローチャートを示す。
なお、対物レンズを光ディスクの厚さ方向に移動させるとき、対物レンズの移動に伴って移動するフォーカス位置は、「光スポット位置」と称される場合がある。対物レンズによって収束される光ビームの断面は、フォーカス位置で最も小さな光スポットを形成するからである。或る情報層にフォーカスがあっているとき、フォーカス位置は情報層上にあり、その情報層上に光スポットが形成される。フォーカスジャンプまたは層間ジャンプとは、フォーカス位置を、ある情報層から他の情報層に移動させることであり、対物レンズを光ディスクの厚さ方向に移動させることによって実現される。
図14、図15を参照して本実施形態のフォーカスジャンプ動作を説明する。
図15に示すステップST1では、最初にフォーカス位置が最近層(L4層)にフォーカスして待機状態である場合に、ホスト113からのシークコマンドを受ける。そして、その目的アドレスが最遠層(L1層)のトラックアドレスの場合に、L4層からL1層への移動という条件からブレーキを出す層(ブレーキ層)を層間ジャンプ先の層(L1層)の手前のL2層とする。すなわち、減速パルスP2を出すタイミングをL2層の手前から検出されるS字信号に決定する。その後、ステップST2では、球面収差制御部142に指令し、補正値をL2層のカバー層厚さ(L2層の深さ)に合致するように図13の収差補正レンズ228を駆動する。
この例では、ブレーキ層となるL2層で球面収差が最も小さくなるように球面収差補正が行われている。このため、フォーカス位置がL2層上またはその近傍にあるとき、L2層から得られる各種の信号(RF信号、FE信号、TE信号)の振幅が最大化される。その結果として、S字信号の振幅も最大化され、またシャープになる。
図14には、L1〜L4層から得られるFE信号(S字信号)が模式的に示されている。この例では、L2層で球面収差が最も小さくなるように(理想的にはゼロになるように)球面収差が行われた状態でフォーカス位置を移動させているため、L2層で得られるS字信号の振幅が最も大きくなっている。逆に、L2層以外のL1、L3、L4層では、球面収差が最小化されていないため、それらの層から得られるS字信号の振幅は小さくなる。また、そのようなS字信号の波形は、球面収差によって横方向に広がり(鈍り)、検出幅が大きくなる。球面収差が補正されていない層から得られる鈍ったS字波形によれば、情報層の位置を精度良く検出することは困難になる。
球面収差補正レンズの駆動完了後、ステップST3では、まずS字の検出レベルを下げる(0に近づける)。これにより、球面収差補正の合致していない情報層からのS字信号でも確実に検出し、その情報層の数をカウントできるS字カウントモードM1(S字信号粗検出モードM1とも称す)に設定する。その後、トラッキングをオフして、フォーカスアクチュエータ132に加速パルスP1を印加する(ステップST4)。加速パルスP1が印加されたフォーカスアクチュエータ132は、対物レンズ130を光軸方向に加速駆動する。こうして、フォーカス位置は層間ジャンプ先に向けて情報層を横切る方向に移動する。
ステップST5では、L3層、L2層を通過する毎にS字信号が出力されるので、そのカウントにより、移動している間の現在のフォーカス位置の位置が把握できる。ステップST6では、S字信号のカウント値に基づいて、ブレーキ層(L2層)の1層手前の層であるL3層を通過した時点で、減速パルスP2を出力するため、L2層でのS字信号の検出をS字信号詳細検出モードM2で行う。
ステップST7では、S字信号レベルの判定を行う。ブレーキの出力タイミングであるL2層の手前がS字信号の片側によって検出できたとき、ステップST8では、それまでの所要時間に応じた減速パルスP2の波高値を決定して出力する。ブレーキの出力を終了するタイミングは、さらにS字信号をカウントして、層間ジャンプ先の層に到達したときである。ステップST9では、層間ジャンプ先の層に到達したと判定された場合、ステップST10では、具体的にはL1層の手前片側のS字信号が検出できたときにブレーキの出力を完了する。そして、その後速やかにフォーカス制御をONする。フォーカス位置の移動は、十分に減速されているため、目的層におけるフォーカス引き込みを極めて安定して実現できる。
このときの、層の移動に対するS字信号の出力と、それに対応したモード切り換えの動作を図14に示す。
本実施形態では、ブレーキ層で球面収差が0になるようにフォーカスジャンプ開始前に球面収差補正を実行している。その結果、ブレーキ層でのS字信号の振幅は最大となり、SN比も増加するため、高い分解能のS字信号を得ることができる。よって、より詳細なS字信号の振幅レベルの検出が可能となり、細かいブレーキの開始設定ができるため、多層にわたるジャンプの速度制御を安定に実現することができる。
図16は、図15のS字信号カウントモードM1(S字信号粗検出モードM1)と、S字信号詳細検出モードM2の動作を説明する図である。図16の例ではL5層からL6層まではS字信号カウントモードM1が設定され、L7層からL8層まではS字信号詳細検出モードM2が設定されている。図16のL7層のS字信号近傍に示すように、S字信号詳細検出モードM2ではL7層のニア側(対物レンズがディスク表面100aに近づく方向)L7N、あるいはL7層の中心近傍L7Z、あるいはL7層ファア側(対物レンズがディスク表面100aから遠ざかる方向)L7Fでタイミングを自由に(任意に)設定することができ、S字信号の変化を詳細に検出することができる。
最初にS字信号カウントモードM1に設定すると、S字波形の検出レベルは0レベルに近いM1レベルとなる。L5、L6層は球面収差補正がずれている(比較的大きな球面収差が存在する)ため、十分に大きなS字振幅レベルを確実に得ることが難しい。しかし、低い振幅レベルでもS字信号の出力はあるので、検出レベルを下げて確実にS字信号をカウントできるようにしている。
そのS字カウントモードM1で、L5層、L6層のS字信号をカウントしてフォーカス位置がL7層に接近する近い位置まで移動したとき、S字の検出モードを詳細検出モードM2に切り換える。このS字検出詳細モードM2では、球面収差補正をこのS字の対応したL7層に合わせているので、L7層での球面収差は最小化される。このため、大きな振幅のS字信号の振幅を得ることが容易である。また、S字信号の検出レベルを細かなレベルに設定できる。このため、特にタイミングが重要な減速パルスP2の開始点や終了点を細かく調整することができる。
例えば図16中に示すように1つのS字出力範囲に対して、3つの領域L7N、L7Z、L7Nに分割し、それぞれの分割範囲領域の各々でタイミング信号が生成できるよう、具体的には、S字信号の検出レベルに対し、適当なレベル値を設定し、タイミング信号を生成する。そして、そのタイミングで加速・減速を開始するように構成すればよい。これにより、面ぶれが生じたり、層間ピッチのばらつきがあっても、最適なタイミングで減速パルスP2をフォーカスアクチュエータに印加することが可能となる。
次にブレーキ層の決定の方法について説明する。
減速パルスP2は、実際にはレンズの重量とアクチュエータの推力、レンズの速度などでその開始タイミングや出力値(波高値)などを適当に調整するのが好ましいが、従来のBDあるいはDVDで使用されているピックアップでは、基本的には減速パルスの開始タイミングは100μm以下の短い距離であれば移動距離の中間位置近傍がよく、100μ以上の長い距離を移動する場合は、目的層手前50μm近傍の位置でブレーキを開始するのが好ましい。例えば、図8に示すような多層光ディスク群(多層光ディスクグループ)のフォーカスジャンプをサポートする場合には、装填しているディスクの種別がわかれば、各グループ0〜3の層間距離(LP)が一意にわかる。このため、シークのパターンで移動距離及び何層横切りかの情報も取得することができるので、この組み合わせで、プログラムでテーブル、あるいは計算式をもって、それを引用してブレーキ層と1回にフォーカス位置が横切る情報層数の最大値の決定を行う。
この決定をするためのブレーキ層のテーブルと最大移動層数及び1回当たりの移動層数のテーブルを、2層BD、4層BD、8層BD、16層BDを例として図17、図18に示す。
図17、図18において、例えば、L2N、L2Z、L2Fなどと表記されているが、ブレーキ層が、L2Nの場合はL2層のニア側(対物レンズがディスク表面100aに近づく方向)、L2Zの場合はL2層の中心近傍、L2Fの場合はL2層ファア側(対物レンズがディスク表面100aから遠ざかる方向)を示している。
図17に示すように、グループ0の2層BDにおいてL1層からL2層にジャンプする場合は、ブレーキ層はL2N(中間)と示されており、この場合は、減速パルスP2はL1層のS字信号が立ち下がって0レベルになるとき、あるいはL2層のS字信号が0レベルであるL2Zから立ち上がるときを検出して減速パルスP2を出力する。
グループ1の4層BDにおいて、L1層からL2層にジャンプする場合は2層BDと同じである。L1層からL3層にジャンプする場合は、ブレーキ層はL2Zと示されており、この場合は、L2層をブレーキ層に設定し、L2層のS字信号の手前あるいは奥側の振幅が0レベル近傍のレベルに下がったとき(L2Z)を検出して減速パルスP2を出力する。L1層からL4層にジャンプする場合は、ブレーキ層はL3Nと示されており、この場合は、L3層をブレーキ層に設定し、L3層の手前側のS字信号が0レベル(L3Z)から近傍の所定レベルまで立ち上がったときを検出して減速パルスP2を出力する。
グループ2の8層BDにおいて、L1層からL2層、L1層からL3層、L1層からL4層までは、4層BDと同じである。L1層からL5層にジャンプする場合は、ブレーキ層はL3Zと示されており、この場合は、L3層をブレーキ層に設定し、L3層のS字信号の手前あるいは奥側の振幅が0レベル近傍のレベル(L3Z)に下がったときを検出して減速パルスP2を出力する。
さらにL1層からL8層にジャンプする場合は、移動パターンはL1→L5→L8と示されており、この場合は、まずは、L1層からL5層の1回目のジャンプとL5層からL8層までを2回目のジャンプとして設定する。1回目L1層からL5層のジャンプでは、1回目のブレーキ層はL3Zと示されており、この場合は、L3層をブレーキ層として決定し、L3層のS字信号の手前あるいは奥側の振幅が0レベル近傍のレベル(L3Z)に下がったときを検出して減速パルスP2を出力し、L5層に到達したとき一度フォーカスを引き込む。次にL5層からL8層までの2回目のジャンプでは、2回目のブレーキ層はL7Zと示されており、この場合は、L7層をブレーキ層として決定し、L7層のS字信号の手前あるいは奥側の振幅が0レベル近傍のレベル(L7Z)に下がったときを検出して減速パルスP2を出力し、L8層に到達したときフォーカスを引き込んで移動を完了する。
このL1層からL8層の移動について、図16と図19を参照して、より詳細に説明する。
図19は、1回目の移動(L1層からL5層)と、2回目の移動(L5層からL8層)の各ディスクの記録層の断面と、FE上に現れるS字信号、および加速パルスP1並びにブレーキ層のS字信号を検出して出力される減速パルスP2のタイミングを示す波形とを示す図である。 前述したように、1回目のジャンプがL1層からL5層と決まると、ブレーキ層であるL3層に球面収差を合わせる。すなわち、L3層で球面収差が最も小さくなるように球面収差補正を行う。
その後、加速パルスP1を印加し、L5層に向けて対物レンズの移動を開始する。L3層で球面収差を合わせているので、S字信号の振幅は、L3層で最も大きく、そこから離れるほど小さくなる。ただし、S字信号の振幅は、上記S字カウントモードM1(S字信号粗検出モードM1)では、L3層以外の情報層でも0にはならないので、L1層、L2層のS字信号を検出することは可能である。よって、フォーカス位置がL1層を通過し、L2層に到達したことを検知することができる。さらにフォーカス位置のL2層の通過は、0レベル近傍にS字信号粗検出レベルM1を設けることで検出が可能である。フォーカス位置がL2層を通過したら、S字信号粗検出モードM1からS字信号詳細検出モードM2に切り換える。このモードはS字信号の振幅レベルを細やかに設定したモードである。S字信号詳細検出モードM2は、後述するように、フォーカス位置がL6層を通過した後にも実行する。
図16は、S字信号詳細検出モードM2の動作を説明する図である。図16のL7層のS字信号近傍に示すように、S字信号詳細検出モードM2ではL7層のニア側(対物レンズがディスク表面100aに近づく方向)L7N、あるいはL7層の中心近傍L7Z、あるいはL7層のファア側(対物レンズがディスク表面100aから遠ざかる方向)L7FでS字信号の変化を詳細に検出することができる。それに合わせて減速パルスP2の開始点を細かく調整することができる。これにより、面ぶれや層間のばらつきがあっても、最適なタイミングで減速パルスP2をフォーカスアクチュエータに印加することが可能となる。
再び、図19を参照する。
減速パルスP2を印加した後は、S字信号粗検出モードM1に戻してL4層の通過を検出し、再度S字信号詳細検出モードM2に戻してL5層での引き込みレベルを設定して、その引き込みレベルに到達したらフォーカス制御をONする。2回目のジャンプ(L5層からL8層)も同様にして、球面収差をブレーキ層のL7層に合わせた後、S字信号粗検出モードM1でL5層、L6層の通過を検出し、S字信号詳細検出モードM2でL7層のディスクに近い側のS字信号を検出したら減速パルスP2を発行する。その後L8層に向けて慣性力で移動してL8層でのS字信号が引き込みレベルに達したときフォーカスをONする。この2回目の移動の場合はブレーキ層と目的層が隣接層で球面収差量も近いため、S字信号の振幅は同程度である。よってブレーキ層から目的層までS字信号詳細検出モードM2を継続する。ところで、1回目、2回目で到達した目的層L5層、L8層でのFEの振幅を少しでも大きくして引き込みをよくするために、L3層、L7層で減速パルスP2層を印加後に球面収差を目的層であるL5層、L8層に合わせるように駆動を開始しておいてもよい。
また8層、16層、20層で一気に8層、16層あるいは20層のジャンプを行う場合はブレーキを出してからの残りの移動距離も長くなるため、減速しすぎるという場合がある。この場合は、1回でジャンプできる最大層数を予め決定しておく。例えば5層と決めた場合は、16層のアクセスの場合は3回、20層アクセスの場合は4回で目的層にいくようなシーケンスに切り換えればよい。
図18に16層BDの一部の例も示している。このように16層、あるいは20層になっても、それぞれの層間距離や移動層数などで設定値は変わるが、同様の方法で減速パルスP2を出すブレーキ層、1回の最大移動層数とジャンプ回数を決定することは可能である。
以上のように図17および図18によって、多層光ディスクは、複数の多層グループ(0〜3)に分かれており、層間ジャンプの移動パターンは、多層光ディスクのトータル層数情報と、層間ジャンプ元と層間ジャンプ先を含む層間ジャンプ情報を用いて決定されていることが示された。またこの移動パターンには、層間ジャンプ前に球面収差補正を行う層、減速信号を発生させるブレーキ層、および、一度にジャンプできる最大横断層数を含むことを示したが、少なくとも何れか1つの項目を含むとしてもよい。さらにこの移動パターンには、複数回に分けて層間ジャンプ元から層間ジャンプ先に移動するパターンを含むことが示された。ここで多層光ディスクにおける各層から得られるS字信号は、それぞれ重複していないことが望ましい。
本実施形態では、S字信号の検出範囲が2μm以下である。多層光ディスクにおける情報層の数が更に増加していくと、層間距離が短くなる。したがって、各層の確実な検出と層間クロストークを防止するためには、S字信号の検出範囲をさらに狭くする必要がある。よって、フォーカスジャンプでフォーカス位置が移動している間に検出されるS字信号の幅(極大値と極小値の時間)は、非常に狭くなる。今後製造されるであろう多層光ディスクでも、15μm〜5μm程度の層間距離は確保されるため、S字信号の検出範囲が狭くなると、S字信号とS字信号との間隔はより鮮明になる。このため、S字信号に基づいて情報層を検知しやすくなる。
このように、多層光ディスクでは、フォーカスジャンプ中にフォーカス位置が情報層を通過するタイミングを、S字信号に基づいて高精度で検知することが可能である。フォーカスジャンプ中の検出されるS字信号をカウントし、検出の間隔を測定すれば、フォーカス位置の移動速度(ディスクの厚さ方向の移動速度)を求めることが可能になる。
例えば図19(a)におけるフォーカスジャンプ中に現れるL1層のS字信号の極大値T1とL2層のS字信号の極大値T2の時間間隔T12、L2層のS字信号の極小値B1とL3層のS字信号の極小値B2の時間間隔T23を計測することができる。その時間間隔T12、T23が所定値(移動速度の設計値から算出した標準値)よりも長ければ、フォーカス位置の移動速度が低いと判定し、減速を小さく設定することが好ましい。この場合、減速パルスP2の波高値Vbrを小さく、あるいは減速パルス幅Tbrを短くすればよい。
逆に、時間間隔T12、T23が上記所定値のよりも短ければ、フォーカス位置の移動速度が高いと判定し、減速を大きくすることが好ましい。この場合は、減速パルスP2の波高値Vbrを大きく、あるいは減速パルス幅Tbrを長くすればよい。このように、S字信号の検出時間の間隔を測定することによってフォーカス位置の移動速度を求め、この移動速度に基づいて、フォーカスの引き込み時における加減速に調整することが可能である。
上記の例では、最初の2つの層のS字信号の時間間隔を測定しているが、本発明は、そのような例に限定されない。例えば、10層ディスク、16層ディスクなどの多層光ディスクでは、途中で停止することなく一度に10層のジャンプをすることがある。このような場合には、1層おき、あるいは2層おきのS字信号の間隔を測定して、その測定値において都度波高値を調整しながら減速(あるいは加速)パルスを印加してもよい。こうすることにより、10層、16層などの多くの層を通過する、移動距離の長いフォーカスジャンプにおいても、移動速度を所定範囲に調整することが容易になる。その結果、安定にフォーカス位置の層間移動を達成し、到達した目標層でフォーカスを安定に引き込むことが可能である。
図19に示す例では、1回のフォーカスジャンプは、1つの加速パルスP1によって移動を開始し、1つの減速パルスによって移動を停止している。しかし、本発明におけるフォーカスジャンプは、このような例に限定されない。上述したように、フォーカスジャンプ中におけるフォーカス位置の速度を検出しながら、フォーカス位置の移動速度を調整するため、加速パルスP1と減速パルスP2との間に速度調整のための少なくとも1つの加速パルスまたは減速パルスを印加してもよい。
次にレンズとディスクの衝突を防止して信頼性を高めるための、多層のフォーカスジャンプの設定切換について説明する。
PCドライブ、レコーダ/プレ−ヤ等々の光ディスク装置の多くは水平に設置されることが多い。このため、多層光ディスクの奥側の層から手前の層へフォーカスジャンプする場合と手前の層から奥側の層へフォーカスジャンプする場合では、対物レンズの移動方向に印加される重力に2G(Gは重力加速度)の差が生じる。したがって下向き(奥から手前)では過加速に、上向き(手前から奥)では過減速になることが多い。このことは、対物レンズと光ディスクの衝突に関しては有利な方向に働く。しかし、さらに衝突の信頼性を向上させ、縦置きのBDプレイヤやPCドライブも想定すると、絶対的ではないといえる。
したがって衝突しない確率を向上させるため、上向き(多層光ディスクの手前から奥)のフォーカスジャンプの場合は、一旦目的層の1つ手前の層まで移動し、最後に1層のみのフォーカスジャンプで移動させる。逆に下向き(奥から手前)のフォーカスジャンプは、衝突のリスクが少ないため、直接目的層まで移動させるようにしてもよい。
この場合、同じ層数を横切るジャンプであっても、上向き(手前から奥)と下向き(奥から手前)とでブレーキ層を切り換えれば、安定なジャンプ性能を確保することができる。
以上の理由から、対物レンズが多層光ディスクに近づく方向の層間ジャンプと、多層光ディスクから遠ざかる方向の層間ジャンプとに応じて、層間ジャンプの仕方を変えてもよい。また対物レンズが多層光ディスクに近づく方向の層間ジャンプは、多層光ディスクから遠ざかる方向の層間ジャンプに比べて、層間ジャンプ時にフォーカス位置が横切る情報層の数を小さくしても良い。
以上、説明した本発明の実施形態では、ブレーキ層で、球面収差が0になるようにフォーカスジャンプ開始前に球面収差補正を完了している。その結果、ブレーキ層でのS字信号の振幅は最大となり、SN比も増加するため、高い分解能のS字信号を得ることができる。それによって、より詳細なS字信号の振幅レベルの検出が可能となるので、減速パルスP2のタイミングを正確に決定することができる。しかし、球面収差がブレーキ層で最適化されるように球面収差補正を行うには、球面収差を完了してからフォーカス移動を行う必要はない。すなわち、フォーカス移動を行いながら、球面収差補正を行っても良い。
球面収差補正を変化させながら、フォーカスジャンプを行うように構成すれば、各情報層で特性のよいS字信号を得ることができる。その結果、フォーカス位置が情報層を通過する毎になめらかな速度の制御が可能になる。具体的には、フォーカスジャンプをするときに、図12に示すフォーカス制御部140が備えるフォーカスアクチュエータ駆動回路からアクチュエータ132に出力される、図21に示すような駆動信号(加速パルス、中間パルス、減速パルス)に対して演算を行う。その演算後の信号を、球面収差補正部128(図12)に印加する。図13に示す球面収差補正部128は、球面収差補正レンズ228をステッピングモータ8によって移動させているが、球面収差補正レンズ228とステッピングモータ8との間に球面収差補正のためのアクチュエータを設けることが好ましい。
図20は、このようなアクチュエータ229を備える球面収差補正部128の他の構成例を示す図である。図20において、フォーカス制御部140が備えるフォーカスアクチュエータ駆動回路から球面収差補正部230に駆動信号が出力される。球面収差補正部230はこの出力された駆動信号に対して演算を行う。その演算後の信号を、ステッピングモータ8とアクチュエータ229にそれぞれ印加する。アクチュエータ229は、ステッピングモータ8に比べると、稼動範囲は狭いが、高い応答性を有する。このため、フォーカス位置(フォーカス位置)が複数の情報層を通過していくタイミングに応じて迅速に球面収差補正を変化させるには、応答速度の高いアクチュエータ229により、球面収差補正レンズ228の位置を高速に微調整できることが好ましい。
図21に示すように、例えば、4層ディスクにおいてL4層からL1層にジャンプした場合、第1のS字信号で加速パルス、第2のS字信号で中間パルス、第3のS字信号で減速パルスを出すように構成する。この場合に、目的層へ向かう正極性パルス分を抽出して、積分演算することにより、フォーカス方向の移動量に相当する値(信号)を求めることが可能である。この求めた信号に帯域分離をかけ、球面収差を補正する素子であるステッピングモータ8とアクチュエータ229にそれぞれ印加する。
このような構成を採用することにより、フォーカス位置が多層光ディスク内のどの情報層の近傍に位置しているかの情報を得て、その情報に基づいて球面収差補正を迅速に最適化できる。したがって、フォーカスジャンプを開始した後、フォーカス位置が情報層を横切るタイミングと同期して、球面収差の補正量を切り換えることが可能である。
また、上述したS字信号とS字信号との時間間隔を計測し、それによって求められるフォーカス位置の移動速度から、光ビームの到達している層、すなわち球面収差の位置を推定してもよい。
図22は、CPU146がフォーカスジャンプ中にS字とS字の時間間隔を測定し、その時間から速度を求めて、その速度に応じた信号を球面収差補正部128内のアクチュエータへフィードバックする動作を示す波形図である。
この場合、層間距離とS字の検出範囲は既知であるので、フォーカス位置の移動速度を推定できる。よって、フォーカスジャンプ中の光ビームのフォーカス位置の到達距離が容易に算出できる。こうして、フォーカス位置がどの情報層に近づいているか、あるいはどの情報層上にあるかがわかる。このため、移動しつつあるフォーカス位置に近い情報層に、順次、球面収差補正を合せることが可能になる。
このように、S字信号の検出間隔は、フォーカス位置の移動速度に比例しているため、フォーカス位置が情報層を横切るタイミングと、フォーカス位置が横切る情報層に合うように球面収差を補正するタイミングとの同期をとることが可能になる。
上記の構成を採用した光ディスク装置において、図14に示す層間ジャンプを行うと、L1〜L4層のいずれの層から得られるS字信号も、振幅は十分に大きく、同程度になる。
なお、図14の例では、加速パルスP1および減速パルスを、それぞれ、1回だけ出力しているが、図22に示すように、本発明はこのような場合に限定されない。
なお、上記の各実施形態では、ブレーキ層で球面収差補正を最小化しているが、目的情報層で球面収差が最小化するように球面収差補正が行われる場合でも、ブレーキ層が目的情報層に隣接するならば、ブレーキ層からのS字信号を高精度で検出することが可能になる。
このため、本発明の他の態様による光ディスク装置は、以下の構成を備えていてもよい。すなわち、積層された複数の情報層を有する多層光ディスクにおけるフォーカス位置の層間ジャンプを制御する層間ジャンプ制御部と、層間ジャンプを開始した後、層間ジャンプの目的情報層の手前側に隣接する情報層からのS字信号を検出するS字信号検出部とを備えている。そして、層間ジャンプ制御部は、S字信号の検出に応答して層間ジャンプにおけるフォーカス位置移動の減速を開始し、目的情報層の手前側に隣接する情報層で最大の減速を行う。
この光ディスク装置によれば、積層された複数の情報層を有する多層光ディスクにおけるフォーカス位置の層間ジャンプを制御する層間ジャンプ方法を実行することができる。すなわち、層間ジャンプを開始した後、層間ジャンプの目的情報層の手前側に隣接する情報層からのS字信号を検出するステップと、S字信号の検出に応答して層間ジャンプにおけるフォーカス位置移動の減速を開始し、目的情報層の手前側に隣接する情報層で最大の減速を行うステップとを実行することができる。
上記の光ディスク装置または層間ジャンプ方法によれば、目的情報層からのS字信号の検出に応答する場合に比べて、確実に目的情報層で層間ジャンプを停止することが可能になる。
以上のように、本発明に係る光ディスク装置、および本発明に係る多層光ディスクにおける層間ジャンプ方法は、安定かつ高速な層間移動を実現できるので、3層以上の情報層を備える多層光ディスクに好適に適用される。
本発明は、多数の情報層が積層される光ディスクであれば、BDに限定されず、他の光ディスク(例えばCH−DVD)にも適用可能である。また、本発明の光ディスク装置は、録画機能を有しないプレイヤはもちろん、データ記録機能を有するレコーダやPCドライブにも好適に適用され得る。
100 光ディスク
103 光ピックアップ
106 サーボ制御回路
146 層間ジャンプ制御部(CPU)
160 S字信号検出部