JPWO2010082424A1 - 薄型テレビの解体方法 - Google Patents

薄型テレビの解体方法 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2010082424A1
JPWO2010082424A1 JP2010546557A JP2010546557A JPWO2010082424A1 JP WO2010082424 A1 JPWO2010082424 A1 JP WO2010082424A1 JP 2010546557 A JP2010546557 A JP 2010546557A JP 2010546557 A JP2010546557 A JP 2010546557A JP WO2010082424 A1 JPWO2010082424 A1 JP WO2010082424A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
television
flat
liquid crystal
thin
screen
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2010546557A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4932943B2 (ja
Inventor
雅人 辻口
雅人 辻口
康彦 内海
康彦 内海
英一郎 西尾
英一郎 西尾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sharp Corp filed Critical Sharp Corp
Priority to JP2010546557A priority Critical patent/JP4932943B2/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4932943B2 publication Critical patent/JP4932943B2/ja
Publication of JPWO2010082424A1 publication Critical patent/JPWO2010082424A1/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B08CLEANING
    • B08BCLEANING IN GENERAL; PREVENTION OF FOULING IN GENERAL
    • B08B15/00Preventing escape of dirt or fumes from the area where they are produced; Collecting or removing dirt or fumes from that area
    • B08B15/02Preventing escape of dirt or fumes from the area where they are produced; Collecting or removing dirt or fumes from that area using chambers or hoods covering the area
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B09DISPOSAL OF SOLID WASTE; RECLAMATION OF CONTAMINATED SOIL
    • B09BDISPOSAL OF SOLID WASTE
    • B09B5/00Operations not covered by a single other subclass or by a single other group in this subclass
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J9/00Apparatus or processes specially adapted for the manufacture, installation, removal, maintenance of electric discharge tubes, discharge lamps, or parts thereof; Recovery of material from discharge tubes or lamps
    • H01J9/52Recovery of material from discharge tubes or lamps
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02WCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
    • Y02W30/00Technologies for solid waste management
    • Y02W30/50Reuse, recycling or recovery technologies
    • Y02W30/82Recycling of waste of electrical or electronic equipment [WEEE]

Abstract

薄型テレビを載置するための傾斜可能な載置面(11)を有する傾斜作業台(2)と、水平の載置面(21)を有する水平作業台(3)とを備える薄型テレビの解体装置(1)、ならびに、薄型テレビを傾斜させた状態でキャビネットおよび制御基板を取り外す工程と、薄型テレビを水平にした状態で薄型パネルモジュールを解体する工程とを含む薄型テレビの解体方法、薄型テレビを水平にした状態でキャビネットおよび制御基板を取り外す工程と、排気下で薄型パネルモジュールを解体する工程とを含む薄型テレビの解体方法によって、リサイクルプラントにおいて解体作業が効率的で安全に行われる薄型テレビの解体装置および薄型テレビの解体方法が提供される。

Description

この発明は、一般的には、薄型テレビの解体装置および薄型テレビの解体方法に関し、より特定的には、リサイクルプラントに設置され、薄型テレビを解体するための薄型テレビの解体装置および薄型テレビの解体方法に関する。
従来の薄型テレビの解体方法に関して、たとえば、特開2004−342550号公報(特許文献1)には、ランプ交換を簡単かつコストを抑えて実施し、かつ交換時の異物の付着による表示品位の低下を抑制することを目的とした液晶表示装置の交換方法が開示されている。特許文献1に開示された液晶表示装置の交換方法においては、ランプ、インバータ基板、リターン基板およびリターンケーブル等をランプ支持枠により支持することによって、最小単位で交換可能なランプセットを構成する。
また、特開2001−305502号公報(特許文献2)には、ほとんど廃棄物を出さない理想的なリサイクルを可能とすることを目的とした廃液晶パネルの処理方法が開示されている。特許文献2に開示された廃液晶パネルの処理方法は、偏光板を有する状態で液晶パネルを切断するパネル切断工程と、液晶を回収する液晶回収工程とを含む。
また、特開平6−168253号公報(特許文献3)には、産業廃棄物の解体手順および部品の処理を適切に実施することを目的とした製品解体管理方法が開示されている。特許文献3に開示された製品解体管理方法においては、製品本体に、製品の名称、メーカー名等の製品コードを表示するとともに、製品を構成する部品にその構成を示す記号、材料名称を示すコードを表示する。
また、特開平10−263518号公報(特許文献4)には、廃棄テレビの解体を自動化し、分別回収する部材のリサイクル率を向上させることを目的とした電気機器の解体装置が開示されている。特許文献4に開示された電気機器の解体装置においては、搬送パレットを搬送する第1の搬送コンベヤの近傍に、傾斜可能な作業台が配置される。
特開2004−342550号公報 特開2001−305502号公報 特開平6−168253号公報 特開平10−263518号公報
液晶パネル、プラズマディスプレイパネル(PDP)、有機ELパネル、電解放出型ディスプレイパネルなどの薄型パネルのユニット(薄型パネルユニット)を搭載する薄型テレビが表示装置として知られている。近年の地球環境問題への関心の高まり、ならびにテレビ放送のデジタル化と相俟って、省電力、省スペース、軽量であるといった特性、さらにはデジタル放送の受像に適することから、この薄型テレビの需要が急激に増加している。特に、大型の薄型パネルユニットを搭載した大画面の薄型テレビの需要が劇的に増加している。これに伴い、薄型テレビの廃棄量も今後急激に増加することが予想され、リサイクル活動などの環境活動において、廃棄後の薄型テレビのリサイクル性向上などの要求が高まっている。
このような要求の高まりにもかかわらず、薄型テレビは比較的新しい製品であること、また、現状は比較的廃棄物の量が少ないこともあり、従来のブラウン管テレビのような適切なリサイクル方法は提案されていない。廃棄された薄型テレビは、廃棄物の処理施設で破砕され、シュレッダーダストなどとともに埋立処理もしくは焼却処理されているのが現状である。
また、液晶パネルやプラズマディスプレイパネルなどを搭載した薄型テレビにおいては、近い将来、家電リサイクル法の適用品目に追加される。このような背景から、薄型テレビのリサイクル技術の開発は急務となっている。
しかしながら、薄型テレビは、その表示原理のため、画像処理回路などに電子部品を多数搭載しており、プリント基板(制御基板)の数が増大傾向にある。また、放熱用ファン、電磁波シールド、補強用の部品などが多数使用されているため、従来のブラウン管テレビと比較して、締結用のビスの数量が劇的に多くなっている。このため、薄型テレビの解体に際しては、効率的なビスの取り外しが課題となる。
また、昨今のテレビの大画面化への要望に伴い、薄型テレビの画面寸法および重量も劇的に大きくなっており、解体作業時の薄型テレビの取り回しが課題となる。加えて、薄型テレビは、その複雑な構造および搭載されている部品の増大から、解体時の取り回しの機会が多くなっている。
また、薄型テレビのディスプレイ部に使用されているガラスは、従来のブラウン管テレビに使用されているガラスに比べて、非常に薄く、割れやすい。ガラスの再利用、作業の安全性の観点から、解体作業時の衝撃などによりガラスを割らない解体装置および解体方法が必要とされている。
また、薄型テレビのうち液晶テレビには、光源の蛍光管に有害物質である水銀を使用しているものがある。したがって、蛍光管の破損に伴う水銀の大気中への漏洩を防ぐため、解体時に薄型テレビに加わる衝撃を小さく抑え、蛍光管の取り外しなどの解体に際しては、安全に処理することが望まれている。
また、現在広く普及している薄型テレビは、液晶テレビとPDPテレビ(プラズマテレビ)であるが、両者の構造は異なる部分があるため、近い将来のリサイクルプラントにおける運用を考慮した場合、液晶テレビとプラズマテレビのいずれにも適用可能な効率的な解体装置及び解体方法が必要とされている。
そこで本発明の目的は、上記の課題を解決することであり、リサイクルプラントにおいて解体作業が効率的で安全に行われる薄型テレビの解体装置および薄型テレビの解体方法を提供することである。
本発明の薄型テレビの解体装置は、薄型テレビを載置するための傾斜可能な載置面を有する傾斜作業台と、水平の載置面を有する水平作業台とを備えることを特徴とする。
本発明の薄型テレビの解体装置は、排気設備をさらに備えることが好ましい。
本発明の薄型テレビの解体装置は、薄型テレビの搬送装置をさらに備えることが好ましい。
本発明の薄型テレビの解体装置は、水平作業台の載置面が水平面内で回転可能であることが好ましい。
本発明の薄型テレビの解体装置における排気設備が、水銀除去手段と、送風機と、配管とを備えることが好ましい。
本発明の薄型テレビの解体装置における傾斜作業台は、薄型テレビの反転機能を備えることが好ましい。
本発明の薄型テレビの解体方法は、薄型テレビを傾斜させた状態でキャビネットおよび制御基板を取り外す工程と、薄型テレビを水平にした状態で薄型パネルモジュールを解体する工程とを含むことを特徴とする。
本発明の薄型テレビの解体方法は、蛍光管を搭載した薄型パネルモジュールのバックライトシャーシ組品を解体する工程をさらに含むことが好ましい。
本発明はまた、薄型テレビを水平にした状態でキャビネットおよび制御基板を取り外す工程と、排気設備の下で薄型パネルモジュールを解体する工程とを含む、薄型テレビの解体方法についても提供する。
本発明における薄型テレビは、液晶テレビまたはプラズマテレビであることが、好ましい。
本発明によれば、リサイクルプラントにおいて解体作業が効率的で安全に行われる薄型テレビの解体装置および薄型テレビの解体方法を提供することができる。
本発明の好ましい一例の薄型テレビの解体装置1を模式的に示す図である。 本発明の薄型テレビの解体装置1に搭載される傾斜作業台2の一例を模式的に示す図である。 本発明の薄型テレビの解体装置1に搭載される水平作業台3の一例を示す模式図である。 本発明の薄型テレビの解体装置1に搭載される排気設備4の一例を示す模式図である。 図4に示した排気設備4の一例を部分的に示す図である。 本発明の薄型テレビの解体装置1に搭載される排気設備4’の一例を示す模式図である。 本発明の解体方法に好適に供し得る薄型テレビの好ましい一例として、直下型バックライトの液晶テレビ51を模式的に示す図である。 本発明の解体方法に好適に供し得る薄型テレビの好ましい一例として、エッジライト型液晶テレビ71を模式的に示す図である。 本発明の解体方法に好適に供し得る薄型テレビの好ましい一例として、プラズマテレビ91を模式的に示す図である。 薄型テレビが直下型バックライトの液晶テレビ51などの画面サイズがたとえば26インチ以上の大型液晶テレビである場合の本発明の薄型テレビの解体方法を段階的に示すフローチャートである。 本発明の薄型テレビの解体方法におけるスタンドを取り外す工程(ステップS1−1)を図1に示した解体装置1を用いて行う一例を模式的に示す図である。 本発明の薄型テレビの解体方法における後キャビネット、制御基板、前キャビネットを取り外す工程(ステップS1−2)を図1に示した解体装置1を用いて行う一例を模式的に示す図である。 本発明の薄型テレビの解体方法の薄型パネルモジュールを解体する工程(ステップS1−3)に供される薄型パネルモジュール56の例を示す断面図である。 本発明の薄型テレビの解体方法における薄型パネルモジュールを解体する工程(ステップS1−3)を図1に示した解体装置1を用いて行う一例を模式的に示す図である。 バックライトシャーシ組品を解体する工程に供されるバックライトシャーシ組品63を示す断面図である。 本発明の薄型テレビの解体方法におけるバックライトシャーシ組品を解体する工程(ステップS1−4)を図1に示した解体装置1を用いて行う一例を模式的に示す図である。 薄型テレビがエッジライト型液晶テレビ71などの画面サイズがたとえば26インチ未満の中小型液晶テレビである場合の本発明の薄型テレビの解体方法を段階的に示すフローチャートである。 本発明の薄型テレビの解体方法における後キャビネット、制御基板、前キャビネットを取り外す工程(ステップS2−1)を図1に示した解体装置1を用いて行う一例を模式的に示す図である。 本発明の薄型テレビの解体方法の薄型パネルモジュールを解体する工程(ステップS2−2)に供されるバックライトシャーシ組品の例を示す断面図である。 本発明の薄型テレビの解体方法の薄型パネルモジュールを解体する工程(ステップS2−2)で分離される、蛍光管、反射ミラーおよび反射シートカバーで構成される構成物の例を示す断面図である。 薄型テレビがプラズマテレビ91である場合の本発明の薄型テレビの解体方法を段階的に示すフローチャートである。 本発明の薄型テレビの解体方法の実験例における水銀濃度の測定結果を示す説明図である。
<薄型テレビの解体装置>
図1は、本発明の好ましい一例の薄型テレビの解体装置1を模式的に示す図である。本発明の薄型テレビの解体装置1は、図1に模式的に示すように、薄型テレビを載置するための傾斜可能な載置面を有する傾斜作業台2と、水平の載置面を有する水平作業台3とを基本的に備える。
本発明において、解体装置1によって解体される薄型テレビの種類は、特に限定されず、液晶パネル、プラズマディスプレイパネル(PDP)、有機ELパネル、電解放出型ディスプレイパネルなどの薄型パネルのユニットを搭載した薄型テレビであればよい。以下の説明では、現在広く普及している主要な2種類の薄型テレビである液晶パネルを搭載した液晶テレビとPDPを搭載したプラズマテレビを解体する場合について説明する。
図2は、本発明の薄型テレビの解体装置1に搭載される傾斜作業台2の一例を模式的に示す図である。本発明における傾斜作業台2は薄型テレビを載置するための載置面(ステージ)11を備える。ステージは、基本的には、図2に示すように、解体作業従事者(作業者)側が低くなるように傾斜している。また、作業者側には、突起12が設けられており薄型テレビを傾斜したステージに載置した場合に、滑落することを防止する。図2に示したように、取り外す目的部品が作業者の方を向くように傾斜させた状態で解体することにより、取り外すビスの視認性が向上し、効率的な解体が可能となる。また、大型のテレビを解体する際も、作業者が前傾姿勢になる必要がなく、作業者の体への負担が低減し、効率的な作業が可能となる。
薄型テレビは、その表示原理のため、駆動用IC、インバータ回路、画像処理回路などの電子部品を多数搭載しており、プリント基板(制御基板)の数が増大傾向にある。また、放熱用ファン、電磁波シールド、補強用の部品などが多数使用されているため、従来のブラウン管テレビと比較して、締結用のビスの数量が非常に多くなっている。そのため、薄型テレビの解体においては、ビスの取り外しを如何に効率的に行うかが課題である。解体しようとする部材が搭載されている側が作業者の方を向くように薄型テレビを傾斜させることにより、作業者は前傾姿勢にならずとも、直立姿勢で部材のビスを視認することが可能となる。これにより、作業者は体への負担が少ない直立姿勢でビスを取り外すことが可能となる。長時間の解体作業を継続した場合でも、疲労による作業効率の低下がなくなり、効率的な作業が可能となる。
また、本発明における傾斜作業台2は、載置面11が可動であるように構成してもよい。たとえば図2に示す例のように、載置面11の一方の辺に沿って可動シャフト13などを設け、載置面11を水平状態から傾斜状態へ移行可能に構成することにより、水平状態の載置面11に薄型テレビを載置した後、載置面11を傾斜状態へ移行させることで、薄型テレビを傾斜させることが可能となる。これにより、傾斜させた載置面11上に、作業者が薄型テレビを持ち上げて移載する必要がなくなり、搬送装置5(詳細は後述)からそのまま水平状態の載置面11へと容易に移載することが可能となる。
上述のように載置面11が可動であるように構成されていない場合、水平状態の搬送装置5から傾斜させた載置面11上に薄型テレビを移載するためには薄型テレビを持ち上げる必要があるが、薄型テレビは重量が大きく、寸法も大きいため、作業者が一人で薄型テレビを持ち上げるのは困難である。また、作業者が重量物を無理に持ち上げると作業の危険性も生じる。
本発明では、上述のように、載置面11を傾斜状態と水平状態との間で可動であるように傾斜作業台2を構成することにより、作業者が重量の大きい薄型テレビを持ち上げる必要がなくなり、移載が容易となり、疲労による作業効率の低下および重量の大きい薄型テレビを取り扱う際の危険を防ぐことができる。傾斜作業台2から搬送装置5へ移載する場合も、載置面11を傾斜状態から水平状態へ移行させることにより、作業効率の向上と安全な作業が可能となる。また、薄型テレビを移動せることなく、傾斜させた状態での解体作業と、水平にさせた状態での解体作業が可能となり、場合に応じて作業に適した状態を選択することが可能となる。
さらに、傾斜作業台2は、薄型テレビを反転する機能を備えていてもよい。薄型テレビの部材締結用のビスは、薄型テレビの前面と背面の両面からビス止めされている場合が多い。たとえば、液晶テレビの場合、後キャビネット、制御基板および前キャビネットはディスプレイの画面と反対側から、すなわち背面からビス止めされている。液晶パネルモジュールは、ディスプレイ画面の側から、すなわち表面からビス止めされている。したがって、前キャビネットを取り外した後、液晶モジュールを解体する際は、背面が上を向いた状態から前面が上を向いた状態へと反転する必要がある。大型の薄型テレビは、重量及び寸法が大きく、解体に従事する作業者が1名で持ち上げ、反転するには、体への負担が大きい。また、疲労による作業効率低下につながるおそれがある。反転機能を備えることにより、持ち上げずに裏表反転が可能となり作業者の体への負担を軽減し、疲労による作業効率の低下を防ぐことが可能となる。
図3は、本発明の薄型テレビの解体装置1に搭載される水平作業台3の一例を模式的に示す図である。本発明における水平作業台3は、図3に示すように、薄型テレビを載置する載置面21と回転軸22とを基本的に備え、回転軸22を中心として載置面21が回転し得るように構成されることが好ましい。これにより、薄型テレビが側面にビスを備え、傾斜させた状態ではビスを取り外すのが困難である場合には、寸法、重量の大きな薄型テレビであっても、水平作業台3の載置面21に薄型テレビを載置した状態で作業に適した側へ載置面21ごと回転軸22を中心にして回転させることができ、取り回しが容易となる。
また、解体により回収したスタンドユニットは、プラスチックカバー、金属ヒンジ、金属部材などから構成されており、素材としてリサイクルするためには、スタンドユニットをさらに解体し、素材ごとに回収する必要がある。また、スピーカーユニットは金属またはプラスチックのスピーカーカバー、フェライトからなるスピーカーなどから構成されており、素材としてリサイクルするためには、スピーカーユニットをさらに解体し素材ごとに回収する必要がある。これらの部材(ユニット部材)を解体する際には、形状が薄型テレビの機種により異なるため、安定しやすい水平作業台3で解体することが望ましい。
また、ユニット化された基板(基板ユニット)などは、プラスチックあるいは金属などのフレームがついており、素材としてリサイクルするためには、基板ユニットをさらに解体し、素材ごとに回収する必要がある。またキャビネットなどが回収された場合には、素材としてリサイクルするためにさらに解体する必要が生じる場合がある。その場合の解体作業についても、水平作業台3で行うのが望ましい。
また、画面サイズが、たとえば、26インチ未満の薄型テレビ(中小型薄型テレビ)は、重量が小さく、寸法も大型テレビと比較し小さいため、取り回しやすい。また、寸法が小さく、薄型テレビ全体を容易に見渡せるため、ビスの視認性は高い。寸法の小さな薄型テレビの解体作業時の安定性を考慮した場合、水平状態で載置するのが好ましい。そのため、作業者が部材のビスを取り外す際に複雑な構造のなかにあるビスを視認するために極度に前傾姿勢になることもないので、水平作業台で解体することが望ましい。
本発明における水平作業台は、載置面が水平面内で回転可能であることが好ましい。図3には、たとえば、水平作業台3の回転軸22を中心として載置面21を回転する機構とすることで、載置面21を水平面内で回転可能なように実現した例が示されている。これにより、作業目的のビスなどをすばやく手元に移動することができ、さらに作業効率が向上する。
このように本発明の薄型テレビの解体装置1は、水平作業台3を備えることにより、ユニット部材の解体および中小型薄型テレビの解体を効率的に行うことが可能となる。
図4は、本発明の薄型テレビの解体装置1に用いられる好ましい一例の排気設備4を模式的に示す図である。本発明の薄型テレビの解体装置1は、作業者が水銀を吸引することを防ぐことが可能となり、安全性が向上した薄型テレビの解体が可能となることから、排気設備4をさらに備えることが好ましい。
薄型テレビのうち、非発光性である液晶テレビに搭載されているバックライトは、省エネルギー・高効率の観点から、直径3mm程度の細いガラス管を用いた蛍光管が使用されている。その結果、蛍光管は薄型テレビの解体作業中に力が加わった場合などに割れやすくなっている。その上、蛍光管には水銀が封入されているが、解体作業中に蛍光管が破損した場合には、解体に従事する作業者が水銀を吸引してしまう虞がある。水銀は、一度人体に取り込まれると、体外に排出されず、蓄積し、吐き気、下痢、不眠症、神経異常などの障害を起こすことが確認されている。排気手段のもとで薄型テレビのバックライト解体工程を行うことで、作業者が水銀を吸引することを防止し、水銀による作業者の被害を低く抑えることができ、安全性が向上された薄型テレビの解体が可能となる。
本発明の薄型テレビの解体装置1は、水銀を排気するための手段として、たとえば図4に示すような、薄型テレビの上方の空気を下方へと吸引し、吸引した空気を水銀除去手段31を通過させて排気する排気機構を備える。これにより、空気と比較し比重の大きい水銀が、上方、すなわち作業者の顔の方向へと拡散することがなく、作業者の健康被害を防ぐことができる。さらに、図4に示す例の排気設備は、薄型テレビ(図示せず)を覆うように設けられたフード32および吸引部33を備え、この吸引部33で薄型テレビの上方の空気を下方へと吸引して配管に送り込んで排気するように構成されている。また、排気機構は、作業者の手前から奥へと吸引する構成とすることもできる。これにより、作業者の顔の方向へと水銀が拡散することを防ぐことができ、作業者の健康被害を防ぐことができる。
吸引部33には、配管34により従来公知の適宜の送風機35などを連結しておき、吸引部33から薄型テレビの上方の空気を吸い込ませるようにする。また配管の中途には、水銀蒸気を吸着して空気を浄化し得る水銀除去手段31が設けられる。水銀除去手段31としては、たとえば活性炭フィルタを用いることができる。これにより、解体作業中に破損したバックライトから水銀蒸気は除去される。
このような排気設備を備えることによって、解体作業中にバックライトが破損し水銀蒸気が漏れ出た場合であっても、吸引部でこの水銀蒸気を含む空気を吸引して、水銀除去手段31を通過させた上で強制的に排気することで、水銀蒸気が作業エリアに滞留せず、作業者に著しい健康被害を及ぼすことを防ぐことができる。
排気設備は、図4に示したように、水平な作業台36と一体となっているのが好ましい。また、上述のように下方へ吸引する構成のため、作業台の載置面は、通気口を備えているのが好ましい。ここで、図5は、図4に示した排気設備4の一例を部分的に示す図である。たとえば、図5に示したように、直径10mmから20mmの円形の通気穴37が間隔を保って開いた載置面とすることにより穴を通して下方への吸引が可能となるとともに、薄型テレビから取り外したビスを穴から落下させ、載置面上に散乱することを防ぐことができる。これにより、作業性が向上する。
また、図5に示したように、取り外した蛍光管を保管するためのポケット38を備えるのが好ましい。ポケット38は、メッシュ構造などの通気口を備えており、ポケット38内のガスは下方へ吸引される構成とする。これにより、万が一蛍光管が破損しても、すばやくポケット38内に保管することにより、作業者が吸引するのを防ぐことができ、安全性を確保することができる。
また、本発明の解体装置は破損した蛍光管を保管するための密閉容器を備えることが、好ましい。密閉容器としては、たとえば従来公知のドラム缶などを用いることができる。これにより、破損した蛍光管に含まれる水銀が夜間などに蛍光管ガラス表面から拡散し、作業環境を汚染する危険性を低減することが可能となる。
また図6は、本発明の薄型テレビの解体装置1に用いられる好ましい他の例の排気設備4’を模式的に示す図である。本発明の薄型テレビの解体装置1における排気設備4’は、密閉容器46の下部付近から吸引するように容器排気設備41を備えることがより好ましい。容器排気設備41は、吸引口42、配管43、水銀除去手段44、送風機45を備える。これにより、密閉容器46の開閉時、容器内に保管された破損した蛍光管から、密閉容器外部へ水銀が拡散した場合に、下方の吸引口42へと水銀が吸引され、作業者のいる環境中へ水銀が拡散漏洩することを防ぐことができる。吸引口42は、水銀除去手段44および送風機45を接続されており、吸引口から吸引された水銀を含んだガスは、水銀が取り除かれた正常なガスとして排出される。水銀除去手段および送風機は、上述の排気設備4のものと共用することができる。また、密閉容器を覆うフード47を備えることがより好ましい。
このように構成された、本発明の薄型テレビの解体装置によれば、薄型テレビの傾斜と反転を簡単な作業によって行うことができるため、解体工程の内容に合わせて、薄型テレビを作業者側に傾斜させることでビスの視認性を向上させ、効率的な薄型テレビの解体作業を行うことができる。また、簡単な作業によって薄型テレビの前面もしくは背面を作業者に向けることができ、薄型テレビの解体作業を効率的に行うことができる。また、反転時に薄型テレビに大きな衝撃が加わることがないため、薄型テレビの表示ディスプレイに使用されているガラスが割れることを防止できる。また、薄型テレビが水銀を使用した蛍光管を備える場合に万が一蛍光管が破損しても、作業環境中への水銀の漏洩を防ぐことができる。
本発明の薄型テレビの解体装置は、薄型テレビの搬送装置をさらに備えることが、好ましい。図1には、薄型テレビを上述した傾斜作業台2に供するまでの間、傾斜作業台2から水平作業台3に供するまでの間、水平作業台3から排気設備4に供するまでの間に、それぞれ、薄型テレビを搬送するための搬送装置5が設けられた例が示されている。搬送装置5は、たとえば、ベルトコンベア、ローラコンベアなど、従来公知の適宜の手段で実現することが可能である。
<薄型テレビの解体方法>
本発明は、薄型テレビを解体する方法についても提供する。本発明の薄型テレビの解体方法は、上述した本発明の薄型テレビの解体装置を用いて好適に行うことができる。本発明の薄型テレビの解体方法は、薄型テレビを傾斜させた状態でキャビネットおよび制御基板を取り外す工程と、薄型テレビを水平にした状態で薄型パネルモジュールを解体する工程とを含むことを特徴とする。この場合、蛍光管を搭載した薄型パネルモジュールのバックライトシャーシ組品を解体する工程をさらに含むことが、好ましい。また、本発明は、薄型テレビを水平にした状態でキャビネットおよび制御基板を取り外す工程と、排気下で薄型パネルモジュールを解体する工程とを含む、薄型テレビの解体方法についても提供する。これらの本発明の薄型テレビの解体方法は、以下に詳細に説明するように、液晶テレビまたはプラズマテレビの解体に好適に適用することができる。
ここで、図7は、本発明の解体方法に好適に供し得る薄型テレビの好ましい一例として、直下型バックライトの液晶テレビ51を模式的に示す図である。薄型テレビが直下型バックライトの液晶テレビ51である場合、通常、図7に示すように、後キャビネット52、スタンド53、前キャビネット54、制御基板55および薄型パネルモジュール56を有する。後キャビネット52、スタンド53および制御基板55は、薄型パネルモジュール56に対して薄型テレビの背面側に配置され、前キャビネット54は、薄型パネルモジュール56に対して薄型テレビの表面側に配置されている。
薄型パネルモジュール56は、バックライトシャーシ組品63および薄型パネルユニット62(液晶ドライバー基板62a、プラスチックケース62b、ベゼル62c、パネルガラス62dなどから構成)を含んで構成されている。さらに、バックライトシャーシ組品63は、バックライトシャーシ57、クリップ58、反射シート59、蛍光管60および光学系シート61(プリズムシート、拡散シートなどから構成)を含んで構成されている。このような構成の液晶テレビは、「直下型バックライトの液晶テレビ」と呼ばれ、画面サイズの大きな液晶テレビによく見られる構造である。
また、図8は、本発明の解体方法に好適に供し得る薄型テレビの好ましい一例として、エッジライト型液晶テレビ71を模式的に示す図である。薄型テレビがエッジライト型液晶テレビ71である場合、通常、図8に示すように、後キャビネット72、スタンド73、前キャビネット74、ならびに、後キャビネットと前キャビネットとの間に配置された制御基板75および薄型パネルモジュール76を基本的に備える。このうち、薄型パネルモジュール76は、バックライトシャーシ77、反射シート78、反射シートカバー79、蛍光管80、光学系シート(プリズムシート、拡散シートなどから構成)81、液晶パネルユニット82、反射ミラー83、導光板84から構成されている。このような構成の液晶テレビは、「エッジライト型の液晶テレビ」と呼ばれ、画面サイズの小さな液晶テレビによく見られる。
本発明において、「前キャビネット」とは、薄型テレビの表面側に配置される外箱を意味する。また、液晶テレビにおける「薄型パネルモジュール」とは、少なくとも、薄型パネルユニットと、薄型パネルユニットと一体に組み合わされたバックライトシャーシ組品とを含む部品群を意味する。また、液晶テレビにおける「薄型パネルユニット」とは、少なくとも、液晶材料や透明電極などが封入されたパネルガラスと、このパネルガラスと一体に組み合わされた部品とを含む部品群を意味する。また、「バックライトシャーシ組品」とは、液晶テレビにおいて、少なくとも、薄型パネルユニットの背面に配置される光源である蛍光管と、この蛍光管と一体に組み合わされた部品とを含む部品群を意味する。
また図9は、本発明の解体方法に好適に供し得る薄型テレビの好ましい一例として、プラズマテレビ91を模式的に示す図である。薄型テレビがプラズマテレビ91である場合、通常、図9に示すように、後キャビネット92、スタンド93、前キャビネット94、制御基板95および薄型パネルモジュール96を有する。後キャビネット92、スタンド93および制御基板95は、薄型パネルモジュール96に対して薄型テレビの背面側に配置され、前キャビネット94は、薄型パネルモジュール96に対して薄型テレビの表面側に配置されている。
プラズマテレビにおける「薄型パネルモジュール」とは、薄型パネルユニット97およびモジュールシャーシ98を含む部品群を意味する。また、プラズマテレビにおける「薄型パネルユニット」とは、少なくとも、蛍光体や電極が封入されたパネルガラスと、このパネルガラスと一体に組み合わされた部品とを含む部品群を意味する。さらに、プラズマテレビは、前面フィルタ99、スピーカー100を備える。プラズマテレビは、バックライトシャーシ組品は搭載していない。
〔1〕大型液晶テレビの解体方法
図10は、薄型テレビが、図7に示したような直下型バックライトの液晶テレビ51などの画面サイズが、たとえば、26インチ以上の大型液晶テレビである場合の本発明の薄型テレビの解体方法を段階的に示すフローチャートである。以下、図7および図10を参照しながら、薄型テレビの解体を順を追って説明する。大型液晶テレビの構造は、図7に示した構成の直下型バックライトの液晶テレビの構造のものがほとんどである。大型液晶テレビの解体フローは、後キャビネット、制御基板、前キャビネットを取り外す工程(ステップS1−2)と、薄型パネルモジュールを、バックライトシャーシ組品と薄型パネルユニットとに分離する工程(ステップS1−3)と、バックライトシャーシ組品を解体する工程(ステップS1−4)とを基本的に含む。さらに、スタンドを取り外す工程(ステップS1−1)とユニット部材を解体する工程(ステップS1−5)をさらに含むことができる。以下、直下型バックライトの液晶テレビの構造を持つ大型液晶テレビの解体方法について説明する。
〔1−1〕スタンドを取り外す工程
まず、大型液晶テレビからスタンドを取り外す(ステップS1−1)。ここで、図11は、本発明の薄型テレビの解体方法におけるスタンドを取り外す工程(ステップS1−1)を図1に示した解体装置1を用いて行う一例を模式的に示す図である。図1に示した解体装置1を用いる場合、図11に示すように、搬送装置5上に大型液晶テレビ500を置いた状態でスタンドを取り外す。
スタンドの具体的な取り外し方法としては、大型液晶テレビの本体とスタンドとを締結するビスを、電動ドライバーなどを用いて手作業で外して、スタンドを取り外す。取り外されたスタンドユニットは後述の工程で解体され、含有されている金属およびプラスチックなどが回収され、再生利用される。なお、スタンドを備えていない大型液晶テレビを本発明における解体方法に適用する場合には、この工程は省略される。
〔1−2〕後キャビネット、制御基板、前キャビネットを取り外す工程
次に、大型液晶テレビの本体から、後キャビネット、制御基板、前キャビネットを取り外す(ステップS1−2)。ここで、図12は、本発明の薄型テレビの解体方法における後キャビネット、制御基板、前キャビネットを取り外す工程(ステップS1−2)を図1に示した解体装置1を用いて行う一例を模式的に示す図である。当該工程は、基本的に、傾斜作業台2を用いて行う。傾斜作業台2を用いて、載置面11上に載置した大型液晶テレビ500を、図12に示すように、ディスプレイ表示面と反対側の面(背面)が作業者側を向くように傾斜させ、その状態の大型液晶テレビから後キャビネットおよび制御基板を取り外す。
後キャビネットの具体的な取り外し方法としては、後キャビネットと前キャビネットとを留めているビスやスナップフィットを電動ドライバーなどを用いて、手作業で外して、後キャビネットを取り外す。後キャビネットは、背面側から前キャビネットにビスにより固定されている。このため、大型液晶テレビの背面が作業者を向くように大型液晶テレビを傾斜させることにより、ビスの視認性が向上し、電動ドライバーなどを用いた解体時の作業効率を良好にできる。取り外された後キャビネットは、素材ごとに分別され、元の素材へと再生利用される。
本発明の薄型テレビの解体方法においては、後キャビネットを取り外した後、制御基板および薄型パネルモジュールが露出した状態の大型液晶テレビから、内部に蓄積した埃や塵などを除去する除塵工程をさらに含んでいてもよい。
次に、大型液晶テレビの本体から、制御基板を取り外す。制御基板の具体的な取り外し方法としては、まず、電極間を結んでいるコネクタを外す、もしくはワイヤーハーネスを切断することによってワイヤーハーネスを外す。制御基板を固定している締結部品を手作業で外し、制御基板を取り外す。たとえば、ビスにより固定されている場合は、電動ドライバーなどを用いて、手作業でビスを取り外し、制御基板を取り外す。制御基板は、大型液晶テレビの背面側から、薄型パネルモジュールにビスにより固定されている。このため、背面が作業者を向くように大型液晶テレビを傾斜させることにより、ビスの視認性が向上し、電動ドライバーなどを用いた解体時の作業効率を良好にできる。回収されたワイヤーハーネスに被覆を剥がすなどの処理を施すことよって、銅などの金属が再生利用される。また、取り外された制御基板からは、銅などの金属が再生利用される。また、制御基板が、フレームなどとユニット化され、基板ユニットとして回収される場合は、後述の工程でさらに解体された後素材ごとに再生利用される。
スピーカーを搭載している大型液晶テレビの場合、スピーカーを取り外す。具体的な取り外し方法としては、スピーカーを本体のキャビネットなどと締結しているビスを取り外す。回収したスピーカーは素材ごとに分別され、再生利用される。また、スピーカーがスピーカーボックス内などに組み込まれユニット化されている場合には、スピーカーユニットごと取り外す。取り外されたスピーカーユニットは、後述の工程で解体され、素材ごとに再生利用される。スピーカーの取り外しは、制御基板の取り外し後に示したが、薄型テレビの構造に応じて、スタンドの取り外し後、後キャビネットの取り外し後などに行ってもよい。
次に、前キャビネットを取り外す。この際、まず、図12に示したのと同様に、傾斜作業台を用い、背面が作業者側を向くように大型液晶テレビを傾斜させ、その状態の大型液晶テレビから前キャビネットと薄型パネルモジュールとを固定する締結部材を取り外す。具体的な方法としては、前キャビネットと薄型パネルモジュールとを固定しているビスやスナップフィットなどを手作業で外す。前キャビネットは、背面側から薄型パネルモジュールにビスやスナップフィットにより固定されている。このため、背面が作業者を向くように大型液晶テレビを傾斜させることにより、ビスの視認性が向上し、電動ドライバーなどを用いた解体時の作業効率が良好にできる。また、大型液晶テレビの構造によっては、傾斜させず水平状態のほうが作業性がよい場合は、傾斜作業台の傾斜機能を用いずに水平状態に移行して、締結部材の取り外しを行ってもよい。
その後、傾斜作業台2の反転機能を用い、大型液晶テレビを反転させ、ディスプレイ表示面(表面)が上方を向いた状態で大型液晶テレビが載置面に載置される状態を得る。この状態で、薄型パネルモジュールを載置面に残したまま、前キャビネットを薄型パネルモジュールから分離する。分離された前キャビネットは、素材ごとに分別され、元の素材へ再生利用される。また、前キャビネットが、スピーカーネットなどとユニット化されている場合は、後述の工程でさらに前キャビネットを解体する。この段階で、薄型パネルモジュールの外側の各部材の取り外しが完了し、薄型パネルモジュールのみの状態となる。また、薄型パネルモジュールが軽量の場合は、大型液晶テレビを反転させる前に、薄型パネルモジュールを載置面から持ち上げ、載置面に残った前キャビネットを回収し、前キャビネットと薄型パネルモジュールを分離した後、薄型パネルモジュールを反転させてもよい。
〔1−3〕薄型パネルモジュールを解体する工程
次に、薄型パネルモジュールを解体する(ステップS1−3)。この工程は基本的に水平作業台を用いて行う。ここで、図13は、図10中のステップS1−3に示す工程に供される薄型パネルモジュール56を示す断面図である。図13を参照して、薄型パネルモジュール56の構造についてまず説明する。薄型パネルモジュール56のバックライトシャーシ組品は、薄型パネルユニット62に対して大型液晶テレビの背面側から組み合わされている。バックライトシャーシ組品および薄型パネルユニット62の側方を取り囲むように、枠型のベゼル64が配置されている。ベゼルは、大型液晶テレビの表面側あるいは側面からビス65やスナップフィットにより薄型パネルユニット62に固定されている。
また、図14は、本発明の薄型テレビの解体方法における薄型パネルモジュールを解体する工程(ステップS1−3)を図1に示した解体装置1を用いて行う一例を模式的に示す図である。当該工程においては、薄型パネルモジュール56を解体する。具体的には、薄型パネルモジュール56をバックライトシャーシ組品63と薄型パネルユニット62とに分離する。この際、まず、図14に示すように、表面側が上を向くように大型液晶テレビ500を水平作業台3の載置面上に置き、その状態の大型液晶テレビ500からベゼルを取り外す。上述の通り、ベゼルは、表面側あるいは側面側からビスやスナップフィットにより固定されている。このため、表面側が上を向くように大型液晶テレビ500を置くことで、ビスやスナップフィットの位置をすばやく認識でき、解体時間を短縮させることができる。また、このとき回転機構を用いて取り外し目的の締結部品を作業者の手前に移動することによりさらに作業効率が向上する。前工程までのように傾斜させた状態では、側面側のビスが取り外し困難となる。また、部材ごとに分離するため傾斜させた状態では分離された部材がステージ上を滑り落ち、作業性が悪化する。
また、作業者の姿勢を保つことができ、作業効率が向上させることができる。その後、バックライトシャーシ組品を載置面に残したまま、薄型パネルユニットをバックライトシャーシ組品から分離する。分離された薄型パネルユニットは、液晶ドライバー基板、プラスチックケースおよびパネルガラスにさらに分解される。解体装置の使用により、パネルガラスを破損させることなく分離できる。このため、パネルガラスを切断して液晶を回収した後、薄膜を除去し、金属粉から金属を回収し、さらにガラスを破砕して、ガラス材料としてリサイクルすることも可能である。
〔1−4〕バックライトシャーシ組品を解体する工程
次に、バックライトシャーシ組品を解体する(ステップS1−4)。この工程は、基本的に排気機構の下で行う。ここで、図15は、バックライトシャーシ組品を解体する工程に供されるバックライトシャーシ組品63を示す断面図である。図15を参照して、まずバックライトシャーシ組品63の構造について説明する。バックライトシャーシは、蛍光管から発せられた光を薄型パネルユニットに向けて取り出すため、大型液晶テレビの表面側に開口する箱形状を有する。反射シート、蛍光管および光学系シートが、バックライトシャーシの内側に配置されている。大型液晶テレビの背面側からバックライトシャーシに、蛍光管保持部材としてのクリップが挿入されている。このクリップによって、蛍光管がバックライトシャーシ内部で保持されている。
また、図16は、本発明の薄型テレビの解体方法におけるバックライトシャーシ組品を解体する工程(ステップS1−4)を図1に示した解体装置1を用いて行う一例を模式的に示す図である。当該工程では、バックライトシャーシ組品63を解体するが、この際、図16に示すように、水銀による健康被害を考慮し、排気設備の下に大型液晶テレビ500を設置して、当該工程を実施する。バックライトシャーシ組品63を解体する具体的な方法としては、たとえばニッパ、カッターなどの刃物などの切断手段を用いて、クリップの係止部分(バックライトシャーシの外側に露出する部分)を背面から切断し、クリップを取り外す。また、グラインダー、ブラストなどの研磨手段を用いてクリップの係止部分を研磨除去するようにしてもよい。これにより、蛍光管の固定が取り外され、載置面上に落下する。バックライトシャーシから取り出された蛍光管から、クリップを取り外し、容器に回収する。クリップは取り外さず、そのまま容器に回収してもよい。また、背面からクリップを切断することができない構造の大型液晶テレビの場合は、表面から蛍光管を手で掴んでクリップから取り外す。
万が一、蛍光管が破損した場合は、密閉容器に封入する。このとき、図6に示した容器排気設備41の下で蛍光管の封入を行うのが好ましい。これにより、作業者が密閉容器の開閉時に破損した蛍光管から拡散する水銀を吸引することを防ぐことができる。回収した蛍光管に適切な処理を施すことによって、蛍光管内部に封入された水銀と、ガラスとを回収することができる。
〔1−5〕ユニット部材を解体する工程
また、回収されたスタンドユニット、基板ユニット、スピーカーユニット、前キャビネットなどの部材(ユニット部材)をさらに解体する(ステップS1−5)。この工程は、基本的に水平作業台3を用いて行う。スタンドユニット、基板ユニット、スピーカーユニット、前キャビネットなどが搭載されていない大型液晶テレビの場合は、この工程は省略できる。また、解体せずともそのまま再生利用可能なユニット部材を搭載している場合も、この工程は省略することができる。
スタンドユニット、スピーカーユニットなどのユニット部材を解体する具体的な方法としては、部材を締結しているビス、かしめなどを電動ドライバーなどを用いて手作業で外して、ユニット部材を解体する方法が挙げられる。回収された各部材は素材ごとに分別され、金属およびプラスチックなどとして、再生利用される。
当該工程は、図10に示した例ではバックライトシャーシ組品を解体する工程の後に示したが、工程の順序はこれに限定されるものではなく、ユニット部材が取り外された後であれば、ステップS1−2の後、ステップS1−3の後のいずれに行ってもよく、また、ステップS1−2と同時、ステップS1−3と同時、ステップS1−4と同時に行ってもよい。
〔2〕中小型液晶テレビの解体方法
次に、画面サイズが、たとえば、26インチ未満の中小型液晶テレビの解体方法について説明する。ここで、図17は、薄型テレビが、図8に示したようなエッジライト型液晶テレビ71などの、画面サイズがたとえば26インチ未満の中小型液晶テレビである場合の本発明の薄型テレビの解体方法を段階的に示すフローチャートである。中小型液晶テレビは、直下型バックライトの液晶テレビとエッジライト型液晶テレビの方式が混在している。中小型液晶テレビの解体方法は、後キャビネット、制御基板および前キャビネットを取り外す工程(ステップS2−2)と、薄型パネルモジュールを解体する工程(ステップS2−3)とを基本的に含む。また、スタンドを取り外す工程(ステップS2−1)と、ユニット部材を解体する工程(ステップS2−4)とをさらに含むことができる。以下、図8および図17を参照しながら、中小型液晶テレビの解体方法について詳細に説明する。
〔2−1〕スタンドを取り外す工程
まず、中小型液晶テレビからスタンドを取り外す(ステップS2−1)。ここで、図18は、本発明の薄型テレビの解体方法における後キャビネット、制御基板、前キャビネットを取り外す工程(ステップS2−1)を図1に示した解体装置1を用いて行う一例を模式的に示す図である。当該工程では、たとえば図18に示すように、水平作業台3上の載置面上に中小型液晶テレビ501を置いた状態で作業を行う。これにより、締結部品の視認性を落とさず、寸法の小さな中小型液晶テレビ501を安定した状態で解体を行うことができ、電動ドライバーなどによる締結部品取り外し作業効率が良好となる。また、このとき回転機構を用いて取り外し目的の締結部品を作業者の手前に移動することによりさらに作業効率が向上する。
スタンドの具体的な取り外し方法としては、中小型液晶テレビの本体とスタンドとを締結するビスを、電動ドライバーなどを用いて手作業で外して、スタンドを取り外す。取り外されたスタンドユニットは後述の工程で解体され、含有されている金属およびプラスチックなどが回収され、再生利用される。なお、スタンドを備えていない中小型液晶テレビを本発明における解体方法に適用する場合には、スタンドの取り外しは省略される。
〔2−2〕後キャビネット、制御基板および前キャビネットを取り外す工程
次に、後キャビネット、制御基板および前キャビネットを取り外す(ステップS2−2)。この際、上述したステップS2−1と同様に、水平作業台上の載置面上に中小型液晶テレビを置いた状態で作業を行う。これにより、締結部品の視認性を落とさず、寸法の小さな中小型液晶テレビを安定した状態で解体を行うことができ、電動ドライバーなどによる締結部品の取り外し作業の効率が良好となる。また、このとき回転機構を用いて取り外し目的の締結部品を作業者の手前に移動することによりさらに作業効率が向上する。
後キャビネットおよび制御基板の具体的な取り外し方法としては、後キャビネットと前キャビネットとを留めているビスやスナップフィットを手作業で外して、後キャビネットを取り外す。取り外された後キャビネットは、素材ごとに分別され、元の素材へと再生利用される。
本発明の薄型テレビの解体方法においては、後キャビネットを取り外した後、制御基板および薄型パネルモジュールが露出した状態の中小型液晶テレビから、内部に蓄積した埃や塵などを除去する除塵工程をさらに含んでいてもよい。
次に、中小型液晶テレビの本体から、制御基板を取り外す。制御基板の具体的な取り外し方法としては、まず、電極間を結んでいるコネクタを外す、もしくはワイヤーハーネスを切断することによってワイヤーハーネスを外す。制御基板を固定している締結部品を手作業で外し、制御基板を取り外す。たとえば、ビスにより固定されている場合は、電動ドライバーなどを用いて、手作業でビスを取り外し、制御基板を取り外す。回収されたワイヤーハーネスに被覆を剥がすなどの処理を施すことよって、銅などの金属が再生利用される。また、取り外された制御基板からは、銅などの金属が再生利用される。また、制御基板が、フレームなどとユニット化され、基板ユニットとして回収される場合は、後述の工程でさらに解体された後素材ごとに再生利用される。
スピーカーを搭載している中小型液晶テレビの場合、スピーカーを取り外す。具体的な取り外し方法としては、スピーカーを本体のキャビネットなどと締結しているビスを取り外す。回収したスピーカーは素材ごとに分別され、再生利用される。また、スピーカーがスピーカーボックス内などに組み込まれユニット化されている場合は、スピーカーユニットごと取り外す。取り外されたスピーカーユニットは、後述の工程で解体され、素材ごとに再生利用される。
次に、前キャビネットを取り外す。具体的な方法としては、前キャビネットと薄型パネルモジュールとを固定しているビスやスナップフィットなどを手作業で外す。前キャビネットは、背面側から薄型パネルモジュールにビスやスナップフィットにより固定されている。分離された前キャビネットは、素材ごとに分別され、元の素材へ再生利用される。
〔2−3〕薄型パネルモジュールを解体する工程
当該工程では、まず、薄型パネルモジュールを、バックライトシャーシ組品と薄型パネルユニットとに分離する。この際、まず、表面が上を向くように中小型液晶テレビを水平作業台の載置面上におき、その状態の中小型液晶テレビからベゼルを取り外す。上述の通り、ベゼルは、表面側あるいは側面側からビスやスナップフィットにより固定されている。このため、表面側が上を向くように中小型液晶テレビを置くことで、ビスやスナップフィットの位置をすばやく認識でき、解体時間を短縮させることができる。また、図16に示したのと同様に、排気設備の下で、薄型パネルモジュールを解体する工程を行うことがより好ましい。サイズが小さなテレビの解体は、小さな部品を取り外す細かい作業が多い。また、薄型パネルモジュールのサイズが小さいため、解体が進み部品が取り外されていくうちに蛍光管が露出し、蛍光管を破損する可能性が生じる。さらに、薄型パネルモジュールが小さいために工具などで蛍光管に触れやすく、破損しやすい。排気設備の下で作業を行うことにより、万が一蛍光管が破損した場合、作業者の健康被害を防止することが可能となる。
その後、バックライトシャーシ組品を載置面に残したまま、薄型パネルユニットをバックライトシャーシ組品から分離する。分離された薄型パネルユニットは、液晶ドライバー基板、プラスチックケースおよびパネルガラスにさらに分解される。解体装置の使用により、パネルガラスを破損させることなく分離できる。このため、パネルガラスを切断して液晶を回収した後、薄膜を除去し、金属粉から金属を回収し、さらにガラスを破砕して、硅石代替として非鉄精錬でリサイクルすることも可能である。
続けて、バックライトシャーシ組品を解体する。この際、水銀による健康被害を考慮し、排気設備の下で工程を実施する。
なお、上述した大型液晶テレビの例の説明では、図7に示した例の直下型バックライトの液晶テレビについて解体する場合を主に例に挙げて説明してきたが、本発明の薄型テレビの解体方法および解体装置は、図8に示した例のエッジライト型の液晶テレビの解体にも勿論好適に適用することができる。直下型バックライトの中小型液晶テレビのバックライトシャーシ組品の解体方法については上述したステップS1−4と同様である。ここでは、エッジライト型の液晶テレビの解体方法について説明する。図19は、本発明の液晶テレビの解体方法における蛍光管の取り外し工程を、図8に示した例のエッジライト型の液晶表示装置について適用する場合を模式的に示す図である。
図8に示したエッジライト型の液晶テレビの場合、バックライトシャーシ組品は、たとえば、バックライトシャーシ77、反射シート78、反射シートカバー79、蛍光管80、反射ミラー83および導光板84から構成される。図8に示したようなエッジライト型の液晶テレビを解体して得られたバックライトシャーシ組品の場合、蛍光管は、蛍光管のコネクタ部を反射シートカバー、反射ミラーおよびバックライトシャーシの隙間に挟み込まれた状態となっているため、解体作業時にバックライトが破損する可能性は、図7に示した直下型バックライトの液晶テレビの場合と比較して低い。
したがって、エッジライト型の液晶テレビを解体して得られたバックライトシャーシ組品から蛍光管を取り外す場合には、バックライトシャーシ組品の開口部を上述したようにシート材料、光学系シートまたは反射シート(図19に示す例ではシート材料81)で封止した後、バックライトシャーシ組品の開口部が下方に配置されるようにして載置面に載置し、ハーネスを切断後、コネクタの挟み込みを外し、粘着テープを剥がすことで、導光板と、バックライトシャーシと、蛍光管、反射ミラーおよび反射シートカバーで構成される構成物(図20を参照)とに分離できる。この蛍光管、反射ミラーおよび反射シートカバーで構成される構成物を、たとえばそのまま容器に投入することで、十分な水銀対策を講じつつ、蛍光管を回収することが可能となる。なお、上記構成物を蛍光管、反射ミラーおよび反射シートカバーの各部品に分離した後に、蛍光管のみを上述した容器に投入して回収するようにしても勿論よい。
〔2−4〕ユニット部材を解体する工程
また、回収されたスタンドユニット、基板ユニット、スピーカーユニット、前キャビネットなどのユニット部材をさらに解体する(ステップS2−4)。この工程は、基本的に水平作業台を用いて行う。スタンドユニット、基板ユニット、スピーカーユニット、前キャビネットなどが搭載されていない大型液晶テレビの場合は、この工程は省略することができる。また、解体せずともそのまま再生利用可能なユニット部材を搭載している場合も、この工程は省略することができる。
スタンドユニット、スピーカーユニットなどのユニット部材を解体する具体的な方法としては、部材を締結しているビス、かしめなどを電動ドライバーなどを用いて手作業で外して、ユニット部材を解体する。回収された各部材は素材ごとに分別され、金属およびプラスチックなどとして、再生利用される。
当該工程は、図17に示した例では薄型パネルモジュールを解体する工程の後に示したが、工程の順序はこれに限定されるものではなく、ユニット部材が取り外された後であれば、ステップS2−2の後に行ってもよく、また、ステップS2−2と同時、ステップS2−3と同時に行ってもよい。
〔3〕プラズマテレビの解体方法
次に、プラズマテレビの解体方法について詳細に説明する。ここで、図21は、薄型テレビが、図9に示したようなプラズマテレビ91である場合の本発明の薄型テレビの解体方法を段階的に示すフローチャートである。プラズマテレビは、自発光型であり、蛍光管を搭載していないため、排気設備は必要としない。また、プラズマテレビの画面サイズは、30インチ以上のものがほとんどである。プラズマテレビの解体方法は、後キャビネット、制御基板、前キャビネットを取り外す工程(ステップS3−2)と、薄型パネルモジュールを解体する工程(ステップS3−3)とを基本的に含む。スタンドを取り外す工程(ステップS3−1)と、ユニット部材を解体する工程(ステップS3−4)をさらに含むことができる。以下、プラズマテレビの解体方法について詳細に説明する。
〔3−1〕スタンドを取り外す工程
プラズマテレビからスタンドを取り外す(ステップS3−1)。この際、図7と同様に、搬送装置上にプラズマテレビを置いた状態でスタンドを取り外す。
スタンドの具体的な取り外し方法としては、プラズマテレビの本体とスタンドとを締結するビスを、電動ドライバーなどを用いて手作業で外して、スタンドを取り外す。取り外されたスタンドユニットは後述の工程で解体され、含有されている金属およびプラスチックなどが回収され、再生利用される。なお、スタンドを備えていないプラズマテレビを本発明における解体方法に適用する場合には、この工程は省略される。
〔3−2〕後キャビネット、制御基板、前キャビネットを取り外す工程
次に、プラズマテレビの本体から、後キャビネット、制御基板、前キャビネットを取り外す(ステップS3−2)。この際、図12に示したように、大型液晶テレビの場合と同様に、傾斜作業台の載置面にプラズマテレビを載置し、背面が作業者側を向くようにプラズマテレビを傾斜させ、その状態のプラズマテレビから後キャビネットおよび制御基板を取り外す。
後キャビネットの具体的な取り外し方法としては、後キャビネットと前キャビネットとを留めているビスやスナップフィットを手作業で外して、後キャビネットを取り外す。後キャビネットは、背面側から前キャビネットにビスにより固定されている。このため、プラズマテレビの背面が作業者を向くようにプラズマテレビを傾斜させることにより、ビスの視認性が向上し、電動ドライバーなどを用いた解体時の作業効率を良好にできる。取り外された後キャビネットは、素材ごとに分別され、元の素材へと再生利用される。
本発明の薄型テレビの解体方法においては、後キャビネットを取り外した後、制御基板および薄型パネルモジュールが露出した状態のプラズマテレビから、内部に蓄積した埃や塵などを除去する除塵工程をさらに含んでいてもよい。
次に、プラズマテレビの本体から、制御基板を取り外す。制御基板の具体的な取り外し方法としては、まず、電極間を結んでいるコネクタを外す、もしくはワイヤーハーネスを切断することによってワイヤーハーネスを外す。制御基板を固定している締結部品を手作業で外し、制御基板を取り外す。たとえば、ビスにより固定されている場合は、電動ドライバーなどを用いて、手作業でビスを取り外し、制御基板を取り外す。制御基板は、プラズマテレビの背面側から、薄型パネルモジュールにビスにより固定されている。このため、背面が作業者を向くようにプラズマテレビを傾斜させることにより、ビスの視認性が向上し、電動ドライバーなどを用いた解体時の作業効率を良好にできる。回収されたワイヤーハーネスに被覆を剥がすなどの処理を施すことよって、銅などの金属が再生利用される。また、取り外された制御基板からは、銅などの金属が再生利用される。また、制御基板が、フレームなどとユニット化され、基板ユニットとして回収される場合は、後述の工程でさらに解体された後素材ごとに再生利用される。
スピーカーを搭載しているプラズマテレビの場合、スピーカーを取り外す。具体的な取り外し方法としては、スピーカーを本体のキャビネットなどと締結しているビスを取り外す。回収したスピーカーは素材ごとに分別され、再生利用される。また、スピーカーがスピーカーボックス内などに組み込まれユニット化されている場合は、スピーカーユニットごと取り外す。取り外されたスピーカーユニットは、後述の工程で解体され、素材ごとに再生利用される。スピーカーの取り外しは、制御基板の取り外し後に示したが、薄型テレビの構造に応じて、スタンドの取り外し後、後キャビネットの取り外し後などに行ってもよい。
次に、前キャビネットを取り外す。この際、まず、図12に示したのと同様に、背面が作業者側を向くようにプラズマテレビを傾斜させ、その状態のプラズマテレビから前キャビネットと薄型パネルモジュールとを固定する締結部材を取り外す。具体的な方法としては、前キャビネットと薄型パネルモジュールとを固定しているビスやスナップフィットなどを手作業で外す。前キャビネットは、背面側から薄型パネルモジュールにビスやスナップフィットにより固定されている。このため、背面側が作業者を向くようにプラズマテレビを傾斜させることにより、ビスの視認性が向上し、電動ドライバーなどを用いた解体時の作業効率が良好にできる。締結部品の視認性がよい場合は、傾斜させずに水平状態で締結部品を取り外してもよい。
その後、プラズマテレビを反転させ、表面側が上方を向いた状態でプラズマテレビが載置面に載置される状態とする。この状態で、薄型パネルモジュールを載置面に残したまま、前キャビネットを薄型パネルモジュールから分離する。また、薄型パネルモジュールを持ち上げ、載置面に残った前キャビネットを回収してもよい。分離された前キャビネットは、素材ごとに分別され、元の素材へ再生利用される。また、前キャビネットが、スピーカーネットなどとユニット化されている場合は、後述の工程でさらに前キャビネットを解体する。
〔3−3〕薄型パネルモジュールを解体する工程
次に、薄型パネルモジュールを解体する(ステップS3−3)。この際、まず、図14に示したのと同様に表面側が上方を向くように薄型パネルモジュールを水平作業台3の載置面21上に置き、その状態の薄型パネルモジュールから、側面側に取り付けられているICチップおよびアルミニウムの放熱板を取り外す。ICチップおよび放熱板は側面側からビスにより固定されている。このため、表面側が上方を向くようにプラズマテレビを置き、回転機構を利用することで、取り外し対象のビスを作業者の手前へすばやく移動し、効率的な解体が可能となる。回収された放熱板は、元の素材へと再生利用される。残った薄型パネルユニットとモジュールシャーシが一体となった回収物は、通常、薄型パネルユニットのガラスとモジュールシャーシのアルミとが粘着シートにより貼り付けられているため、加熱、機械的な処理などによりガラスとアルミとを分離する。ガラスは表面の電極材料などの付着物を除去し、ガラス材料としてリサイクルすることができる。モジュールシャーシのアルミは、素材として再生利用することができる。
〔3−4〕ユニット部材を解体する工程
また、回収されたスタンドユニット、基板ユニット、スピーカーユニット、前キャビネットなどのユニット部材をさらに解体する(ステップS3−4)。この工程は、基本的に水平作業台を用いて行う。スタンドユニット、基板ユニット、スピーカーユニット、前キャビネットなどが搭載されていない大型液晶テレビの場合は、この工程は省略することができる。また、解体せずともそのまま再生利用可能なユニット部材を搭載している場合も、この工程は省略することができる。
スタンドユニット、スピーカーユニットなどのユニット部材を解体する具体的な方法としては、部材を締結しているビス、かしめなどを電動ドライバーなどを用いて手作業で外して、ユニット部材を解体する。回収された各部材は素材ごとに分別され、金属およびプラスチックなどとして、再生利用される。
当該工程は、図21に示した例では薄型パネルモジュールを解体する工程の後に示したが、工程の順序はこれに限定されるものではなく、ユニット部材が取り外された後であれば、ステップS3−2の後に行ってもよく、ステップS3−2やステップS3−3と同時に行ってもよい。
このような本発明の薄型テレビの解体方法によれば、上述した本発明の薄型テレビの解体装置と同様の効果を得ることができる。
上述のように、本発明の薄型テレビの解体装置および薄型テレビの解体方法によれば、大型液晶テレビ、中小型液晶テレビ、プラズマテレビを専用の設備などを用いることなく、同じ設備で効率的かつ安全に解体することが可能となる。
以下に実施例および実験例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例および実験例に限定されるものではない。
<実施例1>
図1に模式的に示した、傾斜作業台2と、水平作業台3と、排気設備4と、搬送装置5とを備えた本発明の薄型テレビの解体装置1を用いて、図10に模式的に示したフローチャートに従った手順による本発明の薄型テレビの解体方法によって、37インチの大型液晶テレビの解体を行った。作業者は男性の作業者1名、傾斜作業台の最大傾斜角度は30°であり、水平状態との間で可動式のものを用いた。また、水平作業台は載置面の回転機能を備えたものを用い、排気設備は、水平作業台を備えたものを用いた。用いた工具は、電動ドライバーとエアニッパーである。解体した薄型テレビは、2005年製造の画面サイズ37インチの大型液晶テレビである。解体時間の測定結果を表1に示す。
Figure 2010082424
<比較例1>
本発明の薄型テレビの解体装置および解体方法の効果を比較するため、従来公知の一般作業台(水平な作業台)を用いて、37インチの大型液晶テレビの解体を行った。作業者は男性の作業者1名、用いた装置は一般作業台のみで、傾斜機能、排気設備は備えていない。全工程を同じ一般作業台の下で行った。用いた工具は、電動ドライバーとニッパー(完全手動式)である。解体した薄型テレビは、実施例1の薄型テレビと同機種、同サイズのものである。解体時間の測定結果を表2に示す。
Figure 2010082424
実施例1と比較例1の解体時間を比べると、ステップS1−1は同等であり、その他の工程は実施例1の方が解体時間が短く、効率的な作業となっている。本発明の薄型テレビの解体装置および解体方法の効果が確認できる。
<実施例2>
図1に模式的に示した本発明の薄型テレビの解体装置を用いて、上述した本発明の薄型テレビの解体方法(大型液晶テレビについては図10に模式的に示したフローチャート、中小型液晶テレビについては図17に模式的に示したフローチャート、プラズマテレビについては図21に模式的に示したフローチャート)に従って、大型液晶テレビ、中小型液晶テレビ、プラズマテレビの解体を4時間行った。
解体した薄型テレビの機種の内訳は、大型液晶テレビ3種類の機種、中小型液晶テレビ2種類の機種、プラズマテレビ1種類の機種である。それぞれの薄型テレビの実施の形態2に示した各工程の解体時間を表3〜5に示す。表3は大型液晶テレビ、表4は中小型液晶テレビ、表5はプラズマテレビの解体時間である。
Figure 2010082424
Figure 2010082424
Figure 2010082424
上述の6種類の機種が無作為にリサイクルプラントへ入荷した場合、薄型テレビの解体を行った。それぞれの機種の入荷台数を表6に示す。
Figure 2010082424
解体は、作業者3名で行い、1名は搬送装置上での工程(ステップS1−1、ステップS3−1)と傾斜作業台における工程(ステップS1−2、ステップS3−2)を担当、1名は水平作業台での工程(ステップS1−3、ステップS1−5、ステップS2−2、ステップS2−4、ステップS3−3、ステップS3−4)を担当、もう1名は水平作業台での工程と排気設備の下での工程(ステップS1−4、ステップS2−3)を担当した。作業時間4時間経過時点で、解体が完了した解体完了台数を表7に示す。8台は解体途中であった。
Figure 2010082424
本発明の薄型テレビの解体装置および解体方法を用いることにより、4時間で55台の薄型テレビが解体可能であった。
<実験例>
バックライトシャーシを解体する工程において、蛍光管が破損した場合の安全性を検証するため、工具を蛍光管上に落下させ、意図的に蛍光管を破損させ、水銀濃度測定することにより安全性を検証した。具体的には、本発明の薄型テレビの解体装置の構成を持つ排気設備の下で、32インチの液晶テレビから取り出したバックライトシャーシ組品に搭載されている内径2.4mm、管長704mmの蛍光管3本を、バックライトシャーシ組品に搭載されたまま、工具を落下させることにより、意図的に破損した。破損した蛍光管の上方100mm離れた位置の水銀濃度を経過時間とともに測定した。水銀の測定は、日本インスツルメンツ社製の水銀ガスモニタEM5を使用し、原子吸光法による直接測定法により行った。測定結果を図22に示した。水銀濃度は常に検出限界(0.001mg/m3)以下であった。労働安全衛生法の管理濃度(0.025mg/m3)の20分の1以下であり、破損した場合でも安全であることが確認された。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 薄型テレビの解体装置、2 傾斜作業台、3 水平作業台、4 排気設備、5 搬送装置、11 載置面、12 突起、13 可動シャフト、21 載置面、22 回転軸、31 水銀除去手段、32 フード、33 吸引部、34 配管、35 送風機、36 水平な作業台、37 通気穴、38 ポケット、40 容器排気設備、41 吸引口、42 配管、43 水銀除去手段、44 送風機、45 フード、51 直下型バックライトの液晶テレビ、52 後キャビネット、53 スタンド、54 前キャビネット、55 制御基板、56 薄型パネルモジュール、57 バックライトシャーシ、58 クリップ、59 反射シート、60 蛍光管、61 光学系シート、62 薄型パネルユニット、62a 液晶ドライバー基板、62b プラスチックケース、62c ベゼル、62d パネルガラス、63 バックライトシャーシ組品、64 ベゼル、65 ビス、71 エッジライト型液晶テレビ、72 後キャビネット、73 スタンド、74 前キャビネット、75 制御基板、76 薄型パネルモジュール、77 バックライトシャーシ、78 反射シート、79 反射シートカバー、80 蛍光管、81 光学系シート、82 液晶パネルユニット、83 反射ミラー、84 導光板、91 プラズマテレビ、92 後キャビネット、93 スタンド、94 前キャビネット、95 制御基板、96 薄型パネルモジュール、97 薄型パネルユニット、98 モジュールシャーシ、99 前面フィルタ、100 スピーカー。
この発明は、一般的には、薄型テレビの解体装置および薄型テレビの解体方法に関し、より特定的には、リサイクルプラントに設置され、薄型テレビを解体するための薄型テレビの解体装置および薄型テレビの解体方法に関する。
従来の薄型テレビの解体方法に関して、たとえば、特開2004−342550号公報(特許文献1)には、ランプ交換を簡単かつコストを抑えて実施し、かつ交換時の異物の付着による表示品位の低下を抑制することを目的とした液晶表示装置の交換方法が開示されている。特許文献1に開示された液晶表示装置の交換方法においては、ランプ、インバータ基板、リターン基板およびリターンケーブル等をランプ支持枠により支持することによって、最小単位で交換可能なランプセットを構成する。
また、特開2001−305502号公報(特許文献2)には、ほとんど廃棄物を出さない理想的なリサイクルを可能とすることを目的とした廃液晶パネルの処理方法が開示されている。特許文献2に開示された廃液晶パネルの処理方法は、偏光板を有する状態で液晶パネルを切断するパネル切断工程と、液晶を回収する液晶回収工程とを含む。
また、特開平6−168253号公報(特許文献3)には、産業廃棄物の解体手順および部品の処理を適切に実施することを目的とした製品解体管理方法が開示されている。特許文献3に開示された製品解体管理方法においては、製品本体に、製品の名称、メーカー名等の製品コードを表示するとともに、製品を構成する部品にその構成を示す記号、材料名称を示すコードを表示する。
また、特開平10−263518号公報(特許文献4)には、廃棄テレビの解体を自動化し、分別回収する部材のリサイクル率を向上させることを目的とした電気機器の解体装置が開示されている。特許文献4に開示された電気機器の解体装置においては、搬送パレットを搬送する第1の搬送コンベヤの近傍に、傾斜可能な作業台が配置される。
特開2004−342550号公報 特開2001−305502号公報 特開平6−168253号公報 特開平10−263518号公報
液晶パネル、プラズマディスプレイパネル(PDP)、有機ELパネル、電界放出型ディスプレイパネルなどの薄型パネルのユニット(薄型パネルユニット)を搭載する薄型テレビが表示装置として知られている。近年の地球環境問題への関心の高まり、ならびにテレビ放送のデジタル化と相俟って、省電力、省スペース、軽量であるといった特性、さらにはデジタル放送の受像に適することから、この薄型テレビの需要が急激に増加している。特に、大型の薄型パネルユニットを搭載した大画面の薄型テレビの需要が劇的に増加している。これに伴い、薄型テレビの廃棄量も今後急激に増加することが予想され、リサイクル活動などの環境活動において、廃棄後の薄型テレビのリサイクル性向上などの要求が高まっている。
このような要求の高まりにもかかわらず、薄型テレビは比較的新しい製品であること、また、現状は比較的廃棄物の量が少ないこともあり、従来のブラウン管テレビのような適切なリサイクル方法は提案されていない。廃棄された薄型テレビは、廃棄物の処理施設で破砕され、シュレッダーダストなどとともに埋立処理もしくは焼却処理されているのが現状である。
また、液晶パネルやプラズマディスプレイパネルなどを搭載した薄型テレビにおいては、近い将来、家電リサイクル法の適用品目に追加される。このような背景から、薄型テレビのリサイクル技術の開発は急務となっている。
しかしながら、薄型テレビは、その表示原理のため、画像処理回路などに電子部品を多数搭載しており、プリント基板(制御基板)の数が増大傾向にある。また、放熱用ファン、電磁波シールド、補強用の部品などが多数使用されているため、従来のブラウン管テレビと比較して、締結用のビスの数量が劇的に多くなっている。このため、薄型テレビの解体に際しては、効率的なビスの取り外しが課題となる。
また、昨今のテレビの大画面化への要望に伴い、薄型テレビの画面寸法および重量も劇的に大きくなっており、解体作業時の薄型テレビの取り回しが課題となる。加えて、薄型テレビは、その複雑な構造および搭載されている部品の増大から、解体時の取り回しの機会が多くなっている。
また、薄型テレビのディスプレイ部に使用されているガラスは、従来のブラウン管テレビに使用されているガラスに比べて、非常に薄く、割れやすい。ガラスの再利用、作業の安全性の観点から、解体作業時の衝撃などによりガラスを割らない解体装置および解体方法が必要とされている。
また、薄型テレビのうち液晶テレビには、光源の蛍光管に有害物質である水銀を使用しているものがある。したがって、蛍光管の破損に伴う水銀の大気中への漏洩を防ぐため、解体時に薄型テレビに加わる衝撃を小さく抑え、蛍光管の取り外しなどの解体に際しては、安全に処理することが望まれている。
また、現在広く普及している薄型テレビは、液晶テレビとPDPテレビ(プラズマテレビ)であるが、両者の構造は異なる部分があるため、近い将来のリサイクルプラントにおける運用を考慮した場合、液晶テレビとプラズマテレビのいずれにも適用可能な効率的な解体装置及び解体方法が必要とされている。
そこで本発明の目的は、上記の課題を解決することであり、リサイクルプラントにおいて解体作業が効率的で安全に行われる薄型テレビの解体装置および薄型テレビの解体方法を提供することである。
本発明は、テレビを載置するための傾斜可能な載置面を有する傾斜作業台と、水平の載置面を有する水平作業台と、排気設備を備える装置を用いて、複数の大型液晶テレビ、中小型液晶テレビおよびプラズマテレビを並行して解体する方法であって、大型液晶テレビについては、傾斜作業台によって大型液晶テレビを傾斜させた状態でキャビネットおよび制御基板を取り外した後、排気設備において排気下で、水平作業台によって大型液晶テレビを水平にした状態で、薄型パネルモジュールを解体し、中小型液晶テレビについては、水平作業台によって中小型液晶テレビを水平にした状態でキャビネットおよび制御基板を取り外した後、排気設備において排気下で、水平作業台によって中小型液晶テレビを水平にした状態で、薄型パネルモジュールを解体し、プラズマテレビについては、傾斜作業台によってプラズマテレビを傾斜させた状態でキャビネットおよび制御基板を取り外した後、排気設備を用いず、水平作業台によってプラズマ液晶テレビを水平にした状態で、薄型パネルモジュールを解体する方法に関する
本発明によれば、リサイクルプラントにおいて解体作業が効率的で安全に行われる薄型テレビの解体装置および薄型テレビの解体方法を提供することができる。
本発明の好ましい一例の薄型テレビの解体装置1を模式的に示す図である。 本発明の薄型テレビの解体装置1に搭載される傾斜作業台2の一例を模式的に示す図である。 本発明の薄型テレビの解体装置1に搭載される水平作業台3の一例を示す模式図である。 本発明の薄型テレビの解体装置1に搭載される排気設備4の一例を示す模式図である。 図4に示した排気設備4の一例を部分的に示す図である。 本発明の薄型テレビの解体装置1に搭載される排気設備4’の一例を示す模式図である。 本発明の解体方法に好適に供し得る薄型テレビの好ましい一例として、直下型バックライトの液晶テレビ51を模式的に示す図である。 本発明の解体方法に好適に供し得る薄型テレビの好ましい一例として、エッジライト型液晶テレビ71を模式的に示す図である。 本発明の解体方法に好適に供し得る薄型テレビの好ましい一例として、プラズマテレビ91を模式的に示す図である。 薄型テレビが直下型バックライトの液晶テレビ51などの画面サイズがたとえば26インチ以上の大型液晶テレビである場合の本発明の薄型テレビの解体方法を段階的に示すフローチャートである。 本発明の薄型テレビの解体方法におけるスタンドを取り外す工程(ステップS1−1)を図1に示した解体装置1を用いて行う一例を模式的に示す図である。 本発明の薄型テレビの解体方法における後キャビネット、制御基板、前キャビネットを取り外す工程(ステップS1−2)を図1に示した解体装置1を用いて行う一例を模式的に示す図である。 本発明の薄型テレビの解体方法の薄型パネルモジュールを解体する工程(ステップS1−3)に供される薄型パネルモジュール56の例を示す断面図である。 本発明の薄型テレビの解体方法における薄型パネルモジュールを解体する工程(ステップS1−3)を図1に示した解体装置1を用いて行う一例を模式的に示す図である。 バックライトシャーシ組品を解体する工程に供されるバックライトシャーシ組品63を示す断面図である。 本発明の薄型テレビの解体方法におけるバックライトシャーシ組品を解体する工程(ステップS1−4)を図1に示した解体装置1を用いて行う一例を模式的に示す図である。 薄型テレビがエッジライト型液晶テレビ71などの画面サイズがたとえば26インチ未満の中小型液晶テレビである場合の本発明の薄型テレビの解体方法を段階的に示すフローチャートである。 本発明の薄型テレビの解体方法における後キャビネット、制御基板、前キャビネットを取り外す工程(ステップS2−1)を図1に示した解体装置1を用いて行う一例を模式的に示す図である。 本発明の薄型テレビの解体方法の薄型パネルモジュールを解体する工程(ステップS2−2)に供されるバックライトシャーシ組品の例を示す断面図である。 本発明の薄型テレビの解体方法の薄型パネルモジュールを解体する工程(ステップS2−2)で分離される、蛍光管、反射ミラーおよび反射シートカバーで構成される構成物の例を示す断面図である。 薄型テレビがプラズマテレビ91である場合の本発明の薄型テレビの解体方法を段階的に示すフローチャートである。 本発明の薄型テレビの解体方法の実験例における水銀濃度の測定結果を示す説明図である。
<薄型テレビの解体装置>
図1は、本発明の好ましい一例の薄型テレビの解体装置1を模式的に示す図である。本発明の薄型テレビの解体装置1は、図1に模式的に示すように、薄型テレビを載置するための傾斜可能な載置面を有する傾斜作業台2と、水平の載置面を有する水平作業台3とを基本的に備える。
本発明において、解体装置1によって解体される薄型テレビの種類は、特に限定されず、液晶パネル、プラズマディスプレイパネル(PDP)、有機ELパネル、電界放出型ディスプレイパネルなどの薄型パネルのユニットを搭載した薄型テレビであればよい。以下の説明では、現在広く普及している主要な2種類の薄型テレビである液晶パネルを搭載した液晶テレビとPDPを搭載したプラズマテレビを解体する場合について説明する。
本発明において、解体装置1によって解体される薄型テレビの種類は、特に限定されず、液晶パネル、プラズマディスプレイパネル(PDP)、有機ELパネル、電解放出型ディスプレイパネルなどの薄型パネルのユニットを搭載した薄型テレビであればよい。以下の説明では、現在広く普及している主要な2種類の薄型テレビである液晶パネルを搭載した液晶テレビとPDPを搭載したプラズマテレビを解体する場合について説明する。
図2は、本発明の薄型テレビの解体装置1に搭載される傾斜作業台2の一例を模式的に示す図である。本発明における傾斜作業台2は薄型テレビを載置するための載置面(ステージ)11を備える。ステージは、基本的には、図2に示すように、解体作業従事者(作業者)側が低くなるように傾斜している。また、作業者側には、突起12が設けられており薄型テレビを傾斜したステージに載置した場合に、滑落することを防止する。図2に示したように、取り外す目的部品が作業者の方を向くように傾斜させた状態で解体することにより、取り外すビスの視認性が向上し、効率的な解体が可能となる。また、大型のテレビを解体する際も、作業者が前傾姿勢になる必要がなく、作業者の体への負担が低減し、効率的な作業が可能となる。
薄型テレビは、その表示原理のため、駆動用IC、インバータ回路、画像処理回路などの電子部品を多数搭載しており、プリント基板(制御基板)の数が増大傾向にある。また、放熱用ファン、電磁波シールド、補強用の部品などが多数使用されているため、従来のブラウン管テレビと比較して、締結用のビスの数量が非常に多くなっている。そのため、薄型テレビの解体においては、ビスの取り外しを如何に効率的に行うかが課題である。解体しようとする部材が搭載されている側が作業者の方を向くように薄型テレビを傾斜させることにより、作業者は前傾姿勢にならずとも、直立姿勢で部材のビスを視認することが可能となる。これにより、作業者は体への負担が少ない直立姿勢でビスを取り外すことが可能となる。長時間の解体作業を継続した場合でも、疲労による作業効率の低下がなくなり、効率的な作業が可能となる。
また、本発明における傾斜作業台2は、載置面11が可動であるように構成してもよい。たとえば図2に示す例のように、載置面11の一方の辺に沿って可動シャフト13などを設け、載置面11を水平状態から傾斜状態へ移行可能に構成することにより、水平状態の載置面11に薄型テレビを載置した後、載置面11を傾斜状態へ移行させることで、薄型テレビを傾斜させることが可能となる。これにより、傾斜させた載置面11上に、作業者が薄型テレビを持ち上げて移載する必要がなくなり、搬送装置5(詳細は後述)からそのまま水平状態の載置面11へと容易に移載することが可能となる。
上述のように載置面11が可動であるように構成されていない場合、水平状態の搬送装置5から傾斜させた載置面11上に薄型テレビを移載するためには薄型テレビを持ち上げる必要があるが、薄型テレビは重量が大きく、寸法も大きいため、作業者が一人で薄型テレビを持ち上げるのは困難である。また、作業者が重量物を無理に持ち上げると作業の危険性も生じる。
本発明では、上述のように、載置面11を傾斜状態と水平状態との間で可動であるように傾斜作業台2を構成することにより、作業者が重量の大きい薄型テレビを持ち上げる必要がなくなり、移載が容易となり、疲労による作業効率の低下および重量の大きい薄型テレビを取り扱う際の危険を防ぐことができる。傾斜作業台2から搬送装置5へ移載する場合も、載置面11を傾斜状態から水平状態へ移行させることにより、作業効率の向上と安全な作業が可能となる。また、薄型テレビを移動せることなく、傾斜させた状態での解体作業と、水平にさせた状態での解体作業が可能となり、場合に応じて作業に適した状態を選択することが可能となる。
さらに、傾斜作業台2は、薄型テレビを反転する機能を備えていてもよい。薄型テレビの部材締結用のビスは、薄型テレビの前面と背面の両面からビス止めされている場合が多い。たとえば、液晶テレビの場合、後キャビネット、制御基板および前キャビネットはディスプレイの画面と反対側から、すなわち背面からビス止めされている。液晶パネルモジュールは、ディスプレイ画面の側から、すなわち表面からビス止めされている。したがって、前キャビネットを取り外した後、液晶モジュールを解体する際は、背面が上を向いた状態から前面が上を向いた状態へと反転する必要がある。大型の薄型テレビは、重量及び寸法が大きく、解体に従事する作業者が1名で持ち上げ、反転するには、体への負担が大きい。また、疲労による作業効率低下につながるおそれがある。反転機能を備えることにより、持ち上げずに裏表反転が可能となり作業者の体への負担を軽減し、疲労による作業効率の低下を防ぐことが可能となる。
図3は、本発明の薄型テレビの解体装置1に搭載される水平作業台3の一例を模式的に示す図である。本発明における水平作業台3は、図3に示すように、薄型テレビを載置する載置面21と回転軸22とを基本的に備え、回転軸22を中心として載置面21が回転し得るように構成されることが好ましい。これにより、薄型テレビが側面にビスを備え、傾斜させた状態ではビスを取り外すのが困難である場合には、寸法、重量の大きな薄型テレビであっても、水平作業台3の載置面21に薄型テレビを載置した状態で作業に適した側へ載置面21ごと回転軸22を中心にして回転させることができ、取り回しが容易となる。
また、解体により回収したスタンドユニットは、プラスチックカバー、金属ヒンジ、金属部材などから構成されており、素材としてリサイクルするためには、スタンドユニットをさらに解体し、素材ごとに回収する必要がある。また、スピーカーユニットは金属またはプラスチックのスピーカーカバー、フェライトからなるスピーカーなどから構成されており、素材としてリサイクルするためには、スピーカーユニットをさらに解体し素材ごとに回収する必要がある。これらの部材(ユニット部材)を解体する際には、形状が薄型テレビの機種により異なるため、安定しやすい水平作業台3で解体することが望ましい。
また、ユニット化された基板(基板ユニット)などは、プラスチックあるいは金属などのフレームがついており、素材としてリサイクルするためには、基板ユニットをさらに解体し、素材ごとに回収する必要がある。またキャビネットなどが回収された場合には、素材としてリサイクルするためにさらに解体する必要が生じる場合がある。その場合の解体作業についても、水平作業台3で行うのが望ましい。
また、画面サイズが、たとえば、26インチ未満の薄型テレビ(中小型薄型テレビ)は、重量が小さく、寸法も大型テレビと比較し小さいため、取り回しやすい。また、寸法が小さく、薄型テレビ全体を容易に見渡せるため、ビスの視認性は高い。寸法の小さな薄型テレビの解体作業時の安定性を考慮した場合、水平状態で載置するのが好ましい。そのため、作業者が部材のビスを取り外す際に複雑な構造のなかにあるビスを視認するために極度に前傾姿勢になることもないので、水平作業台で解体することが望ましい。
本発明における水平作業台は、載置面が水平面内で回転可能であることが好ましい。図3には、たとえば、水平作業台3の回転軸22を中心として載置面21を回転する機構とすることで、載置面21を水平面内で回転可能なように実現した例が示されている。これにより、作業目的のビスなどをすばやく手元に移動することができ、さらに作業効率が向上する。
このように本発明の薄型テレビの解体装置1は、水平作業台3を備えることにより、ユニット部材の解体および中小型薄型テレビの解体を効率的に行うことが可能となる。
図4は、本発明の薄型テレビの解体装置1に用いられる好ましい一例の排気設備4を模式的に示す図である。本発明の薄型テレビの解体装置1は、作業者が水銀を吸引することを防ぐことが可能となり、安全性が向上した薄型テレビの解体が可能となることから、排気設備4をさらに備えることが好ましい。
薄型テレビのうち、非発光性である液晶テレビに搭載されているバックライトは、省エネルギー・高効率の観点から、直径3mm程度の細いガラス管を用いた蛍光管が使用されている。その結果、蛍光管は薄型テレビの解体作業中に力が加わった場合などに割れやすくなっている。その上、蛍光管には水銀が封入されているが、解体作業中に蛍光管が破損した場合には、解体に従事する作業者が水銀を吸引してしまう虞がある。水銀は、一度人体に取り込まれると、体外に排出されず、蓄積し、吐き気、下痢、不眠症、神経異常などの障害を起こすことが確認されている。排気手段のもとで薄型テレビのバックライト解体工程を行うことで、作業者が水銀を吸引することを防止し、水銀による作業者の被害を低く抑えることができ、安全性が向上された薄型テレビの解体が可能となる。
本発明の薄型テレビの解体装置1は、水銀を排気するための手段として、たとえば図4に示すような、薄型テレビの上方の空気を下方へと吸引し、吸引した空気を水銀除去手段31を通過させて排気する排気機構を備える。これにより、空気と比較し比重の大きい水銀が、上方、すなわち作業者の顔の方向へと拡散することがなく、作業者の健康被害を防ぐことができる。さらに、図4に示す例の排気設備は、薄型テレビ(図示せず)を覆うように設けられたフード32および吸引部33を備え、この吸引部33で薄型テレビの上方の空気を下方へと吸引して配管に送り込んで排気するように構成されている。また、排気機構は、作業者の手前から奥へと吸引する構成とすることもできる。これにより、作業者の顔の方向へと水銀が拡散することを防ぐことができ、作業者の健康被害を防ぐことができる。
吸引部33には、配管34により従来公知の適宜の送風機35などを連結しておき、吸引部33から薄型テレビの上方の空気を吸い込ませるようにする。また配管の中途には、水銀蒸気を吸着して空気を浄化し得る水銀除去手段31が設けられる。水銀除去手段31としては、たとえば活性炭フィルタを用いることができる。これにより、解体作業中に破損したバックライトから水銀蒸気は除去される。
このような排気設備を備えることによって、解体作業中にバックライトが破損し水銀蒸気が漏れ出た場合であっても、吸引部でこの水銀蒸気を含む空気を吸引して、水銀除去手段31を通過させた上で強制的に排気することで、水銀蒸気が作業エリアに滞留せず、作業者に著しい健康被害を及ぼすことを防ぐことができる。
排気設備は、図4に示したように、水平な作業台36と一体となっているのが好ましい。また、上述のように下方へ吸引する構成のため、作業台の載置面は、通気口を備えているのが好ましい。ここで、図5は、図4に示した排気設備4の一例を部分的に示す図である。たとえば、図5に示したように、直径10mmから20mmの円形の通気穴37が間隔を保って開いた載置面とすることにより穴を通して下方への吸引が可能となるとともに、薄型テレビから取り外したビスを穴から落下させ、載置面上に散乱することを防ぐことができる。これにより、作業性が向上する。
また、図5に示したように、取り外した蛍光管を保管するためのポケット38を備えるのが好ましい。ポケット38は、メッシュ構造などの通気口を備えており、ポケット38内のガスは下方へ吸引される構成とする。これにより、万が一蛍光管が破損しても、すばやくポケット38内に保管することにより、作業者が吸引するのを防ぐことができ、安全性を確保することができる。
また、本発明の解体装置は破損した蛍光管を保管するための密閉容器を備えることが、好ましい。密閉容器としては、たとえば従来公知のドラム缶などを用いることができる。これにより、破損した蛍光管に含まれる水銀が夜間などに蛍光管ガラス表面から拡散し、作業環境を汚染する危険性を低減することが可能となる。
また図6は、本発明の薄型テレビの解体装置1に用いられる好ましい他の例の排気設備4’を模式的に示す図である。本発明の薄型テレビの解体装置1における排気設備4’は、密閉容器46の下部付近から吸引するように容器排気設備41を備えることがより好ましい。容器排気設備41は、吸引口42、配管43、水銀除去手段44、送風機45を備える。これにより、密閉容器46の開閉時、容器内に保管された破損した蛍光管から、密閉容器外部へ水銀が拡散した場合に、下方の吸引口42へと水銀が吸引され、作業者のいる環境中へ水銀が拡散漏洩することを防ぐことができる。吸引口42は、水銀除去手段44および送風機45を接続されており、吸引口から吸引された水銀を含んだガスは、水銀が取り除かれた正常なガスとして排出される。水銀除去手段および送風機は、上述の排気設備4のものと共用することができる。また、密閉容器を覆うフード47を備えることがより好ましい。
このように構成された、本発明の薄型テレビの解体装置によれば、薄型テレビの傾斜と反転を簡単な作業によって行うことができるため、解体工程の内容に合わせて、薄型テレビを作業者側に傾斜させることでビスの視認性を向上させ、効率的な薄型テレビの解体作業を行うことができる。また、簡単な作業によって薄型テレビの前面もしくは背面を作業者に向けることができ、薄型テレビの解体作業を効率的に行うことができる。また、反転時に薄型テレビに大きな衝撃が加わることがないため、薄型テレビの表示ディスプレイに使用されているガラスが割れることを防止できる。また、薄型テレビが水銀を使用した蛍光管を備える場合に万が一蛍光管が破損しても、作業環境中への水銀の漏洩を防ぐことができる。
本発明の薄型テレビの解体装置は、薄型テレビの搬送装置をさらに備えることが、好ましい。図1には、薄型テレビを上述した傾斜作業台2に供するまでの間、傾斜作業台2から水平作業台3に供するまでの間、水平作業台3から排気設備4に供するまでの間に、それぞれ、薄型テレビを搬送するための搬送装置5が設けられた例が示されている。搬送装置5は、たとえば、ベルトコンベア、ローラコンベアなど、従来公知の適宜の手段で実現することが可能である。
<薄型テレビの解体方法>
本発明は、薄型テレビを解体する方法についても提供する。本発明の薄型テレビの解体方法は、上述した本発明の薄型テレビの解体装置を用いて好適に行うことができる。本発明の薄型テレビの解体方法は、薄型テレビを傾斜させた状態でキャビネットおよび制御基板を取り外す工程と、薄型テレビを水平にした状態で薄型パネルモジュールを解体する工程とを含むことを特徴とする。この場合、蛍光管を搭載した薄型パネルモジュールのバックライトシャーシ組品を解体する工程をさらに含むことが、好ましい。また、本発明は、薄型テレビを水平にした状態でキャビネットおよび制御基板を取り外す工程と、排気下で薄型パネルモジュールを解体する工程とを含む、薄型テレビの解体方法についても提供する。これらの本発明の薄型テレビの解体方法は、以下に詳細に説明するように、液晶テレビまたはプラズマテレビの解体に好適に適用することができる。
ここで、図7は、本発明の解体方法に好適に供し得る薄型テレビの好ましい一例として、直下型バックライトの液晶テレビ51を模式的に示す図である。薄型テレビが直下型バックライトの液晶テレビ51である場合、通常、図7に示すように、後キャビネット52、スタンド53、前キャビネット54、制御基板55および薄型パネルモジュール56を有する。後キャビネット52、スタンド53および制御基板55は、薄型パネルモジュール56に対して薄型テレビの背面側に配置され、前キャビネット54は、薄型パネルモジュール56に対して薄型テレビの表面側に配置されている。
薄型パネルモジュール56は、バックライトシャーシ組品63および薄型パネルユニット62(液晶ドライバー基板62a、プラスチックケース62b、ベゼル62c、パネルガラス62dなどから構成)を含んで構成されている。さらに、バックライトシャーシ組品63は、バックライトシャーシ57、クリップ58、反射シート59、蛍光管60および光学系シート61(プリズムシート、拡散シートなどから構成)を含んで構成されている。このような構成の液晶テレビは、「直下型バックライトの液晶テレビ」と呼ばれ、画面サイズの大きな液晶テレビによく見られる構造である。
また、図8は、本発明の解体方法に好適に供し得る薄型テレビの好ましい一例として、エッジライト型液晶テレビ71を模式的に示す図である。薄型テレビがエッジライト型液晶テレビ71である場合、通常、図8に示すように、後キャビネット72、スタンド73、前キャビネット74、ならびに、後キャビネットと前キャビネットとの間に配置された制御基板75および薄型パネルモジュール76を基本的に備える。このうち、薄型パネルモジュール76は、バックライトシャーシ77、反射シート78、反射シートカバー79、蛍光管80、光学系シート(プリズムシート、拡散シートなどから構成)81、液晶パネルユニット82、反射ミラー83、導光板84から構成されている。このような構成の液晶テレビは、「エッジライト型の液晶テレビ」と呼ばれ、画面サイズの小さな液晶テレビによく見られる。
本発明において、「前キャビネット」とは、薄型テレビの表面側に配置される外箱を意味する。また、液晶テレビにおける「薄型パネルモジュール」とは、少なくとも、薄型パネルユニットと、薄型パネルユニットと一体に組み合わされたバックライトシャーシ組品とを含む部品群を意味する。また、液晶テレビにおける「薄型パネルユニット」とは、少なくとも、液晶材料や透明電極などが封入されたパネルガラスと、このパネルガラスと一体に組み合わされた部品とを含む部品群を意味する。また、「バックライトシャーシ組品」とは、液晶テレビにおいて、少なくとも、薄型パネルユニットの背面に配置される光源である蛍光管と、この蛍光管と一体に組み合わされた部品とを含む部品群を意味する。
また図9は、本発明の解体方法に好適に供し得る薄型テレビの好ましい一例として、プラズマテレビ91を模式的に示す図である。薄型テレビがプラズマテレビ91である場合、通常、図9に示すように、後キャビネット92、スタンド93、前キャビネット94、制御基板95および薄型パネルモジュール96を有する。後キャビネット92、スタンド93および制御基板95は、薄型パネルモジュール96に対して薄型テレビの背面側に配置され、前キャビネット94は、薄型パネルモジュール96に対して薄型テレビの表面側に配置されている。
プラズマテレビにおける「薄型パネルモジュール」とは、薄型パネルユニット97およびモジュールシャーシ98を含む部品群を意味する。また、プラズマテレビにおける「薄型パネルユニット」とは、少なくとも、蛍光体や電極が封入されたパネルガラスと、このパネルガラスと一体に組み合わされた部品とを含む部品群を意味する。さらに、プラズマテレビは、前面フィルタ99、スピーカー100を備える。プラズマテレビは、バックライトシャーシ組品は搭載していない。
〔1〕大型液晶テレビの解体方法
図10は、薄型テレビが、図7に示したような直下型バックライトの液晶テレビ51などの画面サイズが、たとえば、26インチ以上の大型液晶テレビである場合の本発明の薄型テレビの解体方法を段階的に示すフローチャートである。以下、図7および図10を参照しながら、薄型テレビの解体を順を追って説明する。大型液晶テレビの構造は、図7に示した構成の直下型バックライトの液晶テレビの構造のものがほとんどである。大型液晶テレビの解体フローは、後キャビネット、制御基板、前キャビネットを取り外す工程(ステップS1−2)と、薄型パネルモジュールを、バックライトシャーシ組品と薄型パネルユニットとに分離する工程(ステップS1−3)と、バックライトシャーシ組品を解体する工程(ステップS1−4)とを基本的に含む。さらに、スタンドを取り外す工程(ステップS1−1)とユニット部材を解体する工程(ステップS1−5)をさらに含むことができる。以下、直下型バックライトの液晶テレビの構造を持つ大型液晶テレビの解体方法について説明する。
〔1−1〕スタンドを取り外す工程
まず、大型液晶テレビからスタンドを取り外す(ステップS1−1)。ここで、図11は、本発明の薄型テレビの解体方法におけるスタンドを取り外す工程(ステップS1−1)を図1に示した解体装置1を用いて行う一例を模式的に示す図である。図1に示した解体装置1を用いる場合、図11に示すように、搬送装置5上に大型液晶テレビ500を置いた状態でスタンドを取り外す。
スタンドの具体的な取り外し方法としては、大型液晶テレビの本体とスタンドとを締結するビスを、電動ドライバーなどを用いて手作業で外して、スタンドを取り外す。取り外されたスタンドユニットは後述の工程で解体され、含有されている金属およびプラスチックなどが回収され、再生利用される。なお、スタンドを備えていない大型液晶テレビを本発明における解体方法に適用する場合には、この工程は省略される。
〔1−2〕後キャビネット、制御基板、前キャビネットを取り外す工程
次に、大型液晶テレビの本体から、後キャビネット、制御基板、前キャビネットを取り外す(ステップS1−2)。ここで、図12は、本発明の薄型テレビの解体方法における後キャビネット、制御基板、前キャビネットを取り外す工程(ステップS1−2)を図1に示した解体装置1を用いて行う一例を模式的に示す図である。当該工程は、基本的に、傾斜作業台2を用いて行う。傾斜作業台2を用いて、載置面11上に載置した大型液晶テレビ500を、図12に示すように、ディスプレイ表示面と反対側の面(背面)が作業者側を向くように傾斜させ、その状態の大型液晶テレビから後キャビネットおよび制御基板を取り外す。
後キャビネットの具体的な取り外し方法としては、後キャビネットと前キャビネットとを留めているビスやスナップフィットを電動ドライバーなどを用いて、手作業で外して、後キャビネットを取り外す。後キャビネットは、背面側から前キャビネットにビスにより固定されている。このため、大型液晶テレビの背面が作業者を向くように大型液晶テレビを傾斜させることにより、ビスの視認性が向上し、電動ドライバーなどを用いた解体時の作業効率を良好にできる。取り外された後キャビネットは、素材ごとに分別され、元の素材へと再生利用される。
本発明の薄型テレビの解体方法においては、後キャビネットを取り外した後、制御基板および薄型パネルモジュールが露出した状態の大型液晶テレビから、内部に蓄積した埃や塵などを除去する除塵工程をさらに含んでいてもよい。
次に、大型液晶テレビの本体から、制御基板を取り外す。制御基板の具体的な取り外し方法としては、まず、電極間を結んでいるコネクタを外す、もしくはワイヤーハーネスを切断することによってワイヤーハーネスを外す。制御基板を固定している締結部品を手作業で外し、制御基板を取り外す。たとえば、ビスにより固定されている場合は、電動ドライバーなどを用いて、手作業でビスを取り外し、制御基板を取り外す。制御基板は、大型液晶テレビの背面側から、薄型パネルモジュールにビスにより固定されている。このため、背面が作業者を向くように大型液晶テレビを傾斜させることにより、ビスの視認性が向上し、電動ドライバーなどを用いた解体時の作業効率を良好にできる。回収されたワイヤーハーネスに被覆を剥がすなどの処理を施すことよって、銅などの金属が再生利用される。また、取り外された制御基板からは、銅などの金属が再生利用される。また、制御基板が、フレームなどとユニット化され、基板ユニットとして回収される場合は、後述の工程でさらに解体された後素材ごとに再生利用される。
スピーカーを搭載している大型液晶テレビの場合、スピーカーを取り外す。具体的な取り外し方法としては、スピーカーを本体のキャビネットなどと締結しているビスを取り外す。回収したスピーカーは素材ごとに分別され、再生利用される。また、スピーカーがスピーカーボックス内などに組み込まれユニット化されている場合には、スピーカーユニットごと取り外す。取り外されたスピーカーユニットは、後述の工程で解体され、素材ごとに再生利用される。スピーカーの取り外しは、制御基板の取り外し後に示したが、薄型テレビの構造に応じて、スタンドの取り外し後、後キャビネットの取り外し後などに行ってもよい。
次に、前キャビネットを取り外す。この際、まず、図12に示したのと同様に、傾斜作業台を用い、背面が作業者側を向くように大型液晶テレビを傾斜させ、その状態の大型液晶テレビから前キャビネットと薄型パネルモジュールとを固定する締結部材を取り外す。具体的な方法としては、前キャビネットと薄型パネルモジュールとを固定しているビスやスナップフィットなどを手作業で外す。前キャビネットは、背面側から薄型パネルモジュールにビスやスナップフィットにより固定されている。このため、背面が作業者を向くように大型液晶テレビを傾斜させることにより、ビスの視認性が向上し、電動ドライバーなどを用いた解体時の作業効率が良好にできる。また、大型液晶テレビの構造によっては、傾斜させず水平状態のほうが作業性がよい場合は、傾斜作業台の傾斜機能を用いずに水平状態に移行して、締結部材の取り外しを行ってもよい。
その後、傾斜作業台2の反転機能を用い、大型液晶テレビを反転させ、ディスプレイ表示面(表面)が上方を向いた状態で大型液晶テレビが載置面に載置される状態を得る。この状態で、薄型パネルモジュールを載置面に残したまま、前キャビネットを薄型パネルモジュールから分離する。分離された前キャビネットは、素材ごとに分別され、元の素材へ再生利用される。また、前キャビネットが、スピーカーネットなどとユニット化されている場合は、後述の工程でさらに前キャビネットを解体する。この段階で、薄型パネルモジュールの外側の各部材の取り外しが完了し、薄型パネルモジュールのみの状態となる。また、薄型パネルモジュールが軽量の場合は、大型液晶テレビを反転させる前に、薄型パネルモジュールを載置面から持ち上げ、載置面に残った前キャビネットを回収し、前キャビネットと薄型パネルモジュールを分離した後、薄型パネルモジュールを反転させてもよい。
〔1−3〕薄型パネルモジュールを解体する工程
次に、薄型パネルモジュールを解体する(ステップS1−3)。この工程は基本的に水平作業台を用いて行う。ここで、図13は、図10中のステップS1−3に示す工程に供される薄型パネルモジュール56を示す断面図である。図13を参照して、薄型パネルモジュール56の構造についてまず説明する。薄型パネルモジュール56のバックライトシャーシ組品は、薄型パネルユニット62に対して大型液晶テレビの背面側から組み合わされている。バックライトシャーシ組品および薄型パネルユニット62の側方を取り囲むように、枠型のベゼル64が配置されている。ベゼルは、大型液晶テレビの表面側あるいは側面からビス65やスナップフィットにより薄型パネルユニット62に固定されている。
また、図14は、本発明の薄型テレビの解体方法における薄型パネルモジュールを解体する工程(ステップS1−3)を図1に示した解体装置1を用いて行う一例を模式的に示す図である。当該工程においては、薄型パネルモジュール56を解体する。具体的には、薄型パネルモジュール56をバックライトシャーシ組品63と薄型パネルユニット62とに分離する。この際、まず、図14に示すように、表面側が上を向くように大型液晶テレビ500を水平作業台3の載置面上に置き、その状態の大型液晶テレビ500からベゼルを取り外す。上述の通り、ベゼルは、表面側あるいは側面側からビスやスナップフィットにより固定されている。このため、表面側が上を向くように大型液晶テレビ500を置くことで、ビスやスナップフィットの位置をすばやく認識でき、解体時間を短縮させることができる。また、このとき回転機構を用いて取り外し目的の締結部品を作業者の手前に移動することによりさらに作業効率が向上する。前工程までのように傾斜させた状態では、側面側のビスが取り外し困難となる。また、部材ごとに分離するため傾斜させた状態では分離された部材がステージ上を滑り落ち、作業性が悪化する。
また、作業者の姿勢を保つことができ、作業効率が向上させることができる。その後、バックライトシャーシ組品を載置面に残したまま、薄型パネルユニットをバックライトシャーシ組品から分離する。分離された薄型パネルユニットは、液晶ドライバー基板、プラスチックケースおよびパネルガラスにさらに分解される。解体装置の使用により、パネルガラスを破損させることなく分離できる。このため、パネルガラスを切断して液晶を回収した後、薄膜を除去し、金属粉から金属を回収し、さらにガラスを破砕して、ガラス材料としてリサイクルすることも可能である。
〔1−4〕バックライトシャーシ組品を解体する工程
次に、バックライトシャーシ組品を解体する(ステップS1−4)。この工程は、基本的に排気機構の下で行う。ここで、図15は、バックライトシャーシ組品を解体する工程に供されるバックライトシャーシ組品63を示す断面図である。図15を参照して、まずバックライトシャーシ組品63の構造について説明する。バックライトシャーシは、蛍光管から発せられた光を薄型パネルユニットに向けて取り出すため、大型液晶テレビの表面側に開口する箱形状を有する。反射シート、蛍光管および光学系シートが、バックライトシャーシの内側に配置されている。大型液晶テレビの背面側からバックライトシャーシに、蛍光管保持部材としてのクリップが挿入されている。このクリップによって、蛍光管がバックライトシャーシ内部で保持されている。
また、図16は、本発明の薄型テレビの解体方法におけるバックライトシャーシ組品を解体する工程(ステップS1−4)を図1に示した解体装置1を用いて行う一例を模式的に示す図である。当該工程では、バックライトシャーシ組品63を解体するが、この際、図16に示すように、水銀による健康被害を考慮し、排気設備の下に大型液晶テレビ500を設置して、当該工程を実施する。バックライトシャーシ組品63を解体する具体的な方法としては、たとえばニッパ、カッターなどの刃物などの切断手段を用いて、クリップの係止部分(バックライトシャーシの外側に露出する部分)を背面から切断し、クリップを取り外す。また、グラインダー、ブラストなどの研磨手段を用いてクリップの係止部分を研磨除去するようにしてもよい。これにより、蛍光管の固定が取り外され、載置面上に落下する。バックライトシャーシから取り出された蛍光管から、クリップを取り外し、容器に回収する。クリップは取り外さず、そのまま容器に回収してもよい。また、背面からクリップを切断することができない構造の大型液晶テレビの場合は、表面から蛍光管を手で掴んでクリップから取り外す。
万が一、蛍光管が破損した場合は、密閉容器に封入する。このとき、図6に示した容器排気設備41の下で蛍光管の封入を行うのが好ましい。これにより、作業者が密閉容器の開閉時に破損した蛍光管から拡散する水銀を吸引することを防ぐことができる。回収した蛍光管に適切な処理を施すことによって、蛍光管内部に封入された水銀と、ガラスとを回収することができる。
〔1−5〕ユニット部材を解体する工程
また、回収されたスタンドユニット、基板ユニット、スピーカーユニット、前キャビネットなどの部材(ユニット部材)をさらに解体する(ステップS1−5)。この工程は、基本的に水平作業台3を用いて行う。スタンドユニット、基板ユニット、スピーカーユニット、前キャビネットなどが搭載されていない大型液晶テレビの場合は、この工程は省略できる。また、解体せずともそのまま再生利用可能なユニット部材を搭載している場合も、この工程は省略することができる。
スタンドユニット、スピーカーユニットなどのユニット部材を解体する具体的な方法としては、部材を締結しているビス、かしめなどを電動ドライバーなどを用いて手作業で外して、ユニット部材を解体する方法が挙げられる。回収された各部材は素材ごとに分別され、金属およびプラスチックなどとして、再生利用される。
当該工程は、図10に示した例ではバックライトシャーシ組品を解体する工程の後に示したが、工程の順序はこれに限定されるものではなく、ユニット部材が取り外された後であれば、ステップS1−2の後、ステップS1−3の後のいずれに行ってもよく、また、ステップS1−2と同時、ステップS1−3と同時、ステップS1−4と同時に行ってもよい。
〔2〕中小型液晶テレビの解体方法
次に、画面サイズが、たとえば、26インチ未満の中小型液晶テレビの解体方法について説明する。ここで、図17は、薄型テレビが、図8に示したようなエッジライト型液晶テレビ71などの、画面サイズがたとえば26インチ未満の中小型液晶テレビである場合の本発明の薄型テレビの解体方法を段階的に示すフローチャートである。中小型液晶テレビは、直下型バックライトの液晶テレビとエッジライト型液晶テレビの方式が混在している。中小型液晶テレビの解体方法は、後キャビネット、制御基板および前キャビネットを取り外す工程(ステップS2−2)と、薄型パネルモジュールを解体する工程(ステップS2−3)とを基本的に含む。また、スタンドを取り外す工程(ステップS2−1)と、ユニット部材を解体する工程(ステップS2−4)とをさらに含むことができる。以下、図8および図17を参照しながら、中小型液晶テレビの解体方法について詳細に説明する。
〔2−1〕スタンドを取り外す工程
まず、中小型液晶テレビからスタンドを取り外す(ステップS2−1)。ここで、図18は、本発明の薄型テレビの解体方法における後キャビネット、制御基板、前キャビネットを取り外す工程(ステップS2−1)を図1に示した解体装置1を用いて行う一例を模式的に示す図である。当該工程では、たとえば図18に示すように、水平作業台3上の載置面上に中小型液晶テレビ501を置いた状態で作業を行う。これにより、締結部品の視認性を落とさず、寸法の小さな中小型液晶テレビ501を安定した状態で解体を行うことができ、電動ドライバーなどによる締結部品取り外し作業効率が良好となる。また、このとき回転機構を用いて取り外し目的の締結部品を作業者の手前に移動することによりさらに作業効率が向上する。
スタンドの具体的な取り外し方法としては、中小型液晶テレビの本体とスタンドとを締結するビスを、電動ドライバーなどを用いて手作業で外して、スタンドを取り外す。取り外されたスタンドユニットは後述の工程で解体され、含有されている金属およびプラスチックなどが回収され、再生利用される。なお、スタンドを備えていない中小型液晶テレビを本発明における解体方法に適用する場合には、スタンドの取り外しは省略される。
〔2−2〕後キャビネット、制御基板および前キャビネットを取り外す工程
次に、後キャビネット、制御基板および前キャビネットを取り外す(ステップS2−2)。この際、上述したステップS2−1と同様に、水平作業台上の載置面上に中小型液晶テレビを置いた状態で作業を行う。これにより、締結部品の視認性を落とさず、寸法の小さな中小型液晶テレビを安定した状態で解体を行うことができ、電動ドライバーなどによる締結部品の取り外し作業の効率が良好となる。また、このとき回転機構を用いて取り外し目的の締結部品を作業者の手前に移動することによりさらに作業効率が向上する。
後キャビネットおよび制御基板の具体的な取り外し方法としては、後キャビネットと前キャビネットとを留めているビスやスナップフィットを手作業で外して、後キャビネットを取り外す。取り外された後キャビネットは、素材ごとに分別され、元の素材へと再生利用される。
本発明の薄型テレビの解体方法においては、後キャビネットを取り外した後、制御基板および薄型パネルモジュールが露出した状態の中小型液晶テレビから、内部に蓄積した埃や塵などを除去する除塵工程をさらに含んでいてもよい。
次に、中小型液晶テレビの本体から、制御基板を取り外す。制御基板の具体的な取り外し方法としては、まず、電極間を結んでいるコネクタを外す、もしくはワイヤーハーネスを切断することによってワイヤーハーネスを外す。制御基板を固定している締結部品を手作業で外し、制御基板を取り外す。たとえば、ビスにより固定されている場合は、電動ドライバーなどを用いて、手作業でビスを取り外し、制御基板を取り外す。回収されたワイヤーハーネスに被覆を剥がすなどの処理を施すことよって、銅などの金属が再生利用される。また、取り外された制御基板からは、銅などの金属が再生利用される。また、制御基板が、フレームなどとユニット化され、基板ユニットとして回収される場合は、後述の工程でさらに解体された後素材ごとに再生利用される。
スピーカーを搭載している中小型液晶テレビの場合、スピーカーを取り外す。具体的な取り外し方法としては、スピーカーを本体のキャビネットなどと締結しているビスを取り外す。回収したスピーカーは素材ごとに分別され、再生利用される。また、スピーカーがスピーカーボックス内などに組み込まれユニット化されている場合は、スピーカーユニットごと取り外す。取り外されたスピーカーユニットは、後述の工程で解体され、素材ごとに再生利用される。
次に、前キャビネットを取り外す。具体的な方法としては、前キャビネットと薄型パネルモジュールとを固定しているビスやスナップフィットなどを手作業で外す。前キャビネットは、背面側から薄型パネルモジュールにビスやスナップフィットにより固定されている。分離された前キャビネットは、素材ごとに分別され、元の素材へ再生利用される。
〔2−3〕薄型パネルモジュールを解体する工程
当該工程では、まず、薄型パネルモジュールを、バックライトシャーシ組品と薄型パネルユニットとに分離する。この際、まず、表面が上を向くように中小型液晶テレビを水平作業台の載置面上におき、その状態の中小型液晶テレビからベゼルを取り外す。上述の通り、ベゼルは、表面側あるいは側面側からビスやスナップフィットにより固定されている。このため、表面側が上を向くように中小型液晶テレビを置くことで、ビスやスナップフィットの位置をすばやく認識でき、解体時間を短縮させることができる。また、図16に示したのと同様に、排気設備の下で、薄型パネルモジュールを解体する工程を行うことがより好ましい。サイズが小さなテレビの解体は、小さな部品を取り外す細かい作業が多い。また、薄型パネルモジュールのサイズが小さいため、解体が進み部品が取り外されていくうちに蛍光管が露出し、蛍光管を破損する可能性が生じる。さらに、薄型パネルモジュールが小さいために工具などで蛍光管に触れやすく、破損しやすい。排気設備の下で作業を行うことにより、万が一蛍光管が破損した場合、作業者の健康被害を防止することが可能となる。
その後、バックライトシャーシ組品を載置面に残したまま、薄型パネルユニットをバックライトシャーシ組品から分離する。分離された薄型パネルユニットは、液晶ドライバー基板、プラスチックケースおよびパネルガラスにさらに分解される。解体装置の使用により、パネルガラスを破損させることなく分離できる。このため、パネルガラスを切断して液晶を回収した後、薄膜を除去し、金属粉から金属を回収し、さらにガラスを破砕して、硅石代替として非鉄精錬でリサイクルすることも可能である。
続けて、バックライトシャーシ組品を解体する。この際、水銀による健康被害を考慮し、排気設備の下で工程を実施する。
なお、上述した大型液晶テレビの例の説明では、図7に示した例の直下型バックライトの液晶テレビについて解体する場合を主に例に挙げて説明してきたが、本発明の薄型テレビの解体方法および解体装置は、図8に示した例のエッジライト型の液晶テレビの解体にも勿論好適に適用することができる。直下型バックライトの中小型液晶テレビのバックライトシャーシ組品の解体方法については上述したステップS1−4と同様である。ここでは、エッジライト型の液晶テレビの解体方法について説明する。図19は、本発明の液晶テレビの解体方法における蛍光管の取り外し工程を、図8に示した例のエッジライト型の液晶表示装置について適用する場合を模式的に示す図である。
図8に示したエッジライト型の液晶テレビの場合、バックライトシャーシ組品は、たとえば、バックライトシャーシ77、反射シート78、反射シートカバー79、蛍光管80、反射ミラー83および導光板84から構成される。図8に示したようなエッジライト型の液晶テレビを解体して得られたバックライトシャーシ組品の場合、蛍光管は、蛍光管のコネクタ部を反射シートカバー、反射ミラーおよびバックライトシャーシの隙間に挟み込まれた状態となっているため、解体作業時にバックライトが破損する可能性は、図7に示した直下型バックライトの液晶テレビの場合と比較して低い。
したがって、エッジライト型の液晶テレビを解体して得られたバックライトシャーシ組品から蛍光管を取り外す場合には、バックライトシャーシ組品の開口部を上述したようにシート材料、光学系シートまたは反射シート(図19に示す例ではシート材料81)で封止した後、バックライトシャーシ組品の開口部が下方に配置されるようにして載置面に載置し、ハーネスを切断後、コネクタの挟み込みを外し、粘着テープを剥がすことで、導光板と、バックライトシャーシと、蛍光管、反射ミラーおよび反射シートカバーで構成される構成物(図20を参照)とに分離できる。この蛍光管、反射ミラーおよび反射シートカバーで構成される構成物を、たとえばそのまま容器に投入することで、十分な水銀対策を講じつつ、蛍光管を回収することが可能となる。なお、上記構成物を蛍光管、反射ミラーおよび反射シートカバーの各部品に分離した後に、蛍光管のみを上述した容器に投入して回収するようにしても勿論よい。
〔2−4〕ユニット部材を解体する工程
また、回収されたスタンドユニット、基板ユニット、スピーカーユニット、前キャビネットなどのユニット部材をさらに解体する(ステップS2−4)。この工程は、基本的に水平作業台を用いて行う。スタンドユニット、基板ユニット、スピーカーユニット、前キャビネットなどが搭載されていない大型液晶テレビの場合は、この工程は省略することができる。また、解体せずともそのまま再生利用可能なユニット部材を搭載している場合も、この工程は省略することができる。
スタンドユニット、スピーカーユニットなどのユニット部材を解体する具体的な方法としては、部材を締結しているビス、かしめなどを電動ドライバーなどを用いて手作業で外して、ユニット部材を解体する。回収された各部材は素材ごとに分別され、金属およびプラスチックなどとして、再生利用される。
当該工程は、図17に示した例では薄型パネルモジュールを解体する工程の後に示したが、工程の順序はこれに限定されるものではなく、ユニット部材が取り外された後であれば、ステップS2−2の後に行ってもよく、また、ステップS2−2と同時、ステップS2−3と同時に行ってもよい。
〔3〕プラズマテレビの解体方法
次に、プラズマテレビの解体方法について詳細に説明する。ここで、図21は、薄型テレビが、図9に示したようなプラズマテレビ91である場合の本発明の薄型テレビの解体方法を段階的に示すフローチャートである。プラズマテレビは、自発光型であり、蛍光管を搭載していないため、排気設備は必要としない。また、プラズマテレビの画面サイズは、30インチ以上のものがほとんどである。プラズマテレビの解体方法は、後キャビネット、制御基板、前キャビネットを取り外す工程(ステップS3−2)と、薄型パネルモジュールを解体する工程(ステップS3−3)とを基本的に含む。スタンドを取り外す工程(ステップS3−1)と、ユニット部材を解体する工程(ステップS3−4)をさらに含むことができる。以下、プラズマテレビの解体方法について詳細に説明する。
〔3−1〕スタンドを取り外す工程
プラズマテレビからスタンドを取り外す(ステップS3−1)。この際、図7と同様に、搬送装置上にプラズマテレビを置いた状態でスタンドを取り外す。
スタンドの具体的な取り外し方法としては、プラズマテレビの本体とスタンドとを締結するビスを、電動ドライバーなどを用いて手作業で外して、スタンドを取り外す。取り外されたスタンドユニットは後述の工程で解体され、含有されている金属およびプラスチックなどが回収され、再生利用される。なお、スタンドを備えていないプラズマテレビを本発明における解体方法に適用する場合には、この工程は省略される。
〔3−2〕後キャビネット、制御基板、前キャビネットを取り外す工程
次に、プラズマテレビの本体から、後キャビネット、制御基板、前キャビネットを取り外す(ステップS3−2)。この際、図12に示したように、大型液晶テレビの場合と同様に、傾斜作業台の載置面にプラズマテレビを載置し、背面が作業者側を向くようにプラズマテレビを傾斜させ、その状態のプラズマテレビから後キャビネットおよび制御基板を取り外す。
後キャビネットの具体的な取り外し方法としては、後キャビネットと前キャビネットとを留めているビスやスナップフィットを手作業で外して、後キャビネットを取り外す。後キャビネットは、背面側から前キャビネットにビスにより固定されている。このため、プラズマテレビの背面が作業者を向くようにプラズマテレビを傾斜させることにより、ビスの視認性が向上し、電動ドライバーなどを用いた解体時の作業効率を良好にできる。取り外された後キャビネットは、素材ごとに分別され、元の素材へと再生利用される。
本発明の薄型テレビの解体方法においては、後キャビネットを取り外した後、制御基板および薄型パネルモジュールが露出した状態のプラズマテレビから、内部に蓄積した埃や塵などを除去する除塵工程をさらに含んでいてもよい。
次に、プラズマテレビの本体から、制御基板を取り外す。制御基板の具体的な取り外し方法としては、まず、電極間を結んでいるコネクタを外す、もしくはワイヤーハーネスを切断することによってワイヤーハーネスを外す。制御基板を固定している締結部品を手作業で外し、制御基板を取り外す。たとえば、ビスにより固定されている場合は、電動ドライバーなどを用いて、手作業でビスを取り外し、制御基板を取り外す。制御基板は、プラズマテレビの背面側から、薄型パネルモジュールにビスにより固定されている。このため、背面が作業者を向くようにプラズマテレビを傾斜させることにより、ビスの視認性が向上し、電動ドライバーなどを用いた解体時の作業効率を良好にできる。回収されたワイヤーハーネスに被覆を剥がすなどの処理を施すことよって、銅などの金属が再生利用される。また、取り外された制御基板からは、銅などの金属が再生利用される。また、制御基板が、フレームなどとユニット化され、基板ユニットとして回収される場合は、後述の工程でさらに解体された後素材ごとに再生利用される。
スピーカーを搭載しているプラズマテレビの場合、スピーカーを取り外す。具体的な取り外し方法としては、スピーカーを本体のキャビネットなどと締結しているビスを取り外す。回収したスピーカーは素材ごとに分別され、再生利用される。また、スピーカーがスピーカーボックス内などに組み込まれユニット化されている場合は、スピーカーユニットごと取り外す。取り外されたスピーカーユニットは、後述の工程で解体され、素材ごとに再生利用される。スピーカーの取り外しは、制御基板の取り外し後に示したが、薄型テレビの構造に応じて、スタンドの取り外し後、後キャビネットの取り外し後などに行ってもよい。
次に、前キャビネットを取り外す。この際、まず、図12に示したのと同様に、背面が作業者側を向くようにプラズマテレビを傾斜させ、その状態のプラズマテレビから前キャビネットと薄型パネルモジュールとを固定する締結部材を取り外す。具体的な方法としては、前キャビネットと薄型パネルモジュールとを固定しているビスやスナップフィットなどを手作業で外す。前キャビネットは、背面側から薄型パネルモジュールにビスやスナップフィットにより固定されている。このため、背面側が作業者を向くようにプラズマテレビを傾斜させることにより、ビスの視認性が向上し、電動ドライバーなどを用いた解体時の作業効率が良好にできる。締結部品の視認性がよい場合は、傾斜させずに水平状態で締結部品を取り外してもよい。
その後、プラズマテレビを反転させ、表面側が上方を向いた状態でプラズマテレビが載置面に載置される状態とする。この状態で、薄型パネルモジュールを載置面に残したまま、前キャビネットを薄型パネルモジュールから分離する。また、薄型パネルモジュールを持ち上げ、載置面に残った前キャビネットを回収してもよい。分離された前キャビネットは、素材ごとに分別され、元の素材へ再生利用される。また、前キャビネットが、スピーカーネットなどとユニット化されている場合は、後述の工程でさらに前キャビネットを解体する。
〔3−3〕薄型パネルモジュールを解体する工程
次に、薄型パネルモジュールを解体する(ステップS3−3)。この際、まず、図14に示したのと同様に表面側が上方を向くように薄型パネルモジュールを水平作業台3の載置面21上に置き、その状態の薄型パネルモジュールから、側面側に取り付けられているICチップおよびアルミニウムの放熱板を取り外す。ICチップおよび放熱板は側面側からビスにより固定されている。このため、表面側が上方を向くようにプラズマテレビを置き、回転機構を利用することで、取り外し対象のビスを作業者の手前へすばやく移動し、効率的な解体が可能となる。回収された放熱板は、元の素材へと再生利用される。残った薄型パネルユニットとモジュールシャーシが一体となった回収物は、通常、薄型パネルユニットのガラスとモジュールシャーシのアルミとが粘着シートにより貼り付けられているため、加熱、機械的な処理などによりガラスとアルミとを分離する。ガラスは表面の電極材料などの付着物を除去し、ガラス材料としてリサイクルすることができる。モジュールシャーシのアルミは、素材として再生利用することができる。
〔3−4〕ユニット部材を解体する工程
また、回収されたスタンドユニット、基板ユニット、スピーカーユニット、前キャビネットなどのユニット部材をさらに解体する(ステップS3−4)。この工程は、基本的に水平作業台を用いて行う。スタンドユニット、基板ユニット、スピーカーユニット、前キャビネットなどが搭載されていない大型液晶テレビの場合は、この工程は省略することができる。また、解体せずともそのまま再生利用可能なユニット部材を搭載している場合も、この工程は省略することができる。
スタンドユニット、スピーカーユニットなどのユニット部材を解体する具体的な方法としては、部材を締結しているビス、かしめなどを電動ドライバーなどを用いて手作業で外して、ユニット部材を解体する。回収された各部材は素材ごとに分別され、金属およびプラスチックなどとして、再生利用される。
当該工程は、図21に示した例では薄型パネルモジュールを解体する工程の後に示したが、工程の順序はこれに限定されるものではなく、ユニット部材が取り外された後であれば、ステップS3−2の後に行ってもよく、ステップS3−2やステップS3−3と同時に行ってもよい。
このような本発明の薄型テレビの解体方法によれば、上述した本発明の薄型テレビの解体装置と同様の効果を得ることができる。
上述のように、本発明の薄型テレビの解体装置および薄型テレビの解体方法によれば、大型液晶テレビ、中小型液晶テレビ、プラズマテレビを専用の設備などを用いることなく、同じ設備で効率的かつ安全に解体することが可能となる。
以下に実施例および実験例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例および実験例に限定されるものではない。
<実施例1>
図1に模式的に示した、傾斜作業台2と、水平作業台3と、排気設備4と、搬送装置5とを備えた本発明の薄型テレビの解体装置1を用いて、図10に模式的に示したフローチャートに従った手順による本発明の薄型テレビの解体方法によって、37インチの大型液晶テレビの解体を行った。作業者は男性の作業者1名、傾斜作業台の最大傾斜角度は30°であり、水平状態との間で可動式のものを用いた。また、水平作業台は載置面の回転機能を備えたものを用い、排気設備は、水平作業台を備えたものを用いた。用いた工具は、電動ドライバーとエアニッパーである。解体した薄型テレビは、2005年製造の画面サイズ37インチの大型液晶テレビである。解体時間の測定結果を表1に示す。
Figure 2010082424
<比較例1>
本発明の薄型テレビの解体装置および解体方法の効果を比較するため、従来公知の一般作業台(水平な作業台)を用いて、37インチの大型液晶テレビの解体を行った。作業者は男性の作業者1名、用いた装置は一般作業台のみで、傾斜機能、排気設備は備えていない。全工程を同じ一般作業台の下で行った。用いた工具は、電動ドライバーとニッパー(完全手動式)である。解体した薄型テレビは、実施例1の薄型テレビと同機種、同サイズのものである。解体時間の測定結果を表2に示す。
Figure 2010082424
実施例1と比較例1の解体時間を比べると、ステップS1−1は同等であり、その他の工程は実施例1の方が解体時間が短く、効率的な作業となっている。本発明の薄型テレビの解体装置および解体方法の効果が確認できる。
<実施例2>
図1に模式的に示した本発明の薄型テレビの解体装置を用いて、上述した本発明の薄型テレビの解体方法(大型液晶テレビについては図10に模式的に示したフローチャート、中小型液晶テレビについては図17に模式的に示したフローチャート、プラズマテレビについては図21に模式的に示したフローチャート)に従って、大型液晶テレビ、中小型液晶テレビ、プラズマテレビの解体を4時間行った。
解体した薄型テレビの機種の内訳は、大型液晶テレビ3種類の機種、中小型液晶テレビ2種類の機種、プラズマテレビ1種類の機種である。それぞれの薄型テレビの実施の形態2に示した各工程の解体時間を表3〜5に示す。表3は大型液晶テレビ、表4は中小型液晶テレビ、表5はプラズマテレビの解体時間である。
Figure 2010082424
Figure 2010082424
Figure 2010082424
上述の6種類の機種が無作為にリサイクルプラントへ入荷した場合、薄型テレビの解体を行った。それぞれの機種の入荷台数を表6に示す。
Figure 2010082424
解体は、作業者3名で行い、1名は搬送装置上での工程(ステップS1−1、ステップS3−1)と傾斜作業台における工程(ステップS1−2、ステップS3−2)を担当、1名は水平作業台での工程(ステップS1−3、ステップS1−5、ステップS2−2、ステップS2−4、ステップS3−3、ステップS3−4)を担当、もう1名は水平作業台での工程と排気設備の下での工程(ステップS1−4、ステップS2−3)を担当した。作業時間4時間経過時点で、解体が完了した解体完了台数を表7に示す。8台は解体途中であった。
Figure 2010082424
本発明の薄型テレビの解体装置および解体方法を用いることにより、4時間で55台の薄型テレビが解体可能であった。
<実験例>
バックライトシャーシを解体する工程において、蛍光管が破損した場合の安全性を検証するため、工具を蛍光管上に落下させ、意図的に蛍光管を破損させ、水銀濃度測定することにより安全性を検証した。具体的には、本発明の薄型テレビの解体装置の構成を持つ排気設備の下で、32インチの液晶テレビから取り出したバックライトシャーシ組品に搭載されている内径2.4mm、管長704mmの蛍光管3本を、バックライトシャーシ組品に搭載されたまま、工具を落下させることにより、意図的に破損した。破損した蛍光管の上方100mm離れた位置の水銀濃度を経過時間とともに測定した。水銀の測定は、日本インスツルメンツ社製の水銀ガスモニタEM5を使用し、原子吸光法による直接測定法により行った。測定結果を図22に示した。水銀濃度は常に検出限界(0.001mg/m3)以下であった。労働安全衛生法の管理濃度(0.025mg/m3)の20分の1以下であり、破損した場合でも安全であることが確認された。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 薄型テレビの解体装置、2 傾斜作業台、3 水平作業台、4 排気設備、5 搬送装置、11 載置面、12 突起、13 可動シャフト、21 載置面、22 回転軸、31 水銀除去手段、32 フード、33 吸引部、34 配管、35 送風機、36 水平な作業台、37 通気穴、38 ポケット、40 容器排気設備、41 吸引口、42 配管、43 水銀除去手段、44 送風機、45 フード、51 直下型バックライトの液晶テレビ、52 後キャビネット、53 スタンド、54 前キャビネット、55 制御基板、56 薄型パネルモジュール、57 バックライトシャーシ、58 クリップ、59 反射シート、60 蛍光管、61 光学系シート、62 薄型パネルユニット、62a 液晶ドライバー基板、62b プラスチックケース、62c ベゼル、62d パネルガラス、63 バックライトシャーシ組品、64 ベゼル、65 ビス、71 エッジライト型液晶テレビ、72 後キャビネット、73 スタンド、74 前キャビネット、75 制御基板、76 薄型パネルモジュール、77 バックライトシャーシ、78 反射シート、79 反射シートカバー、80 蛍光管、81 光学系シート、82 液晶パネルユニット、83 反射ミラー、84 導光板、91 プラズマテレビ、92 後キャビネット、93 スタンド、94 前キャビネット、95 制御基板、96 薄型パネルモジュール、97 薄型パネルユニット、98 モジュールシャーシ、99 前面フィルタ、100 スピーカー。
本発明は、テレビを載置するための傾斜可能な載置面を有する傾斜作業台と、水平の載置面を有する水平作業台と、排気設備を備える装置を用いて、複数の大型液晶テレビ、中小型液晶テレビおよびプラズマテレビを並行して解体する方法であって、大型液晶テレビについては、傾斜作業台によって大型液晶テレビを傾斜させた状態でキャビネットおよび制御基板を取り外した後、排気設備において排気下で、水平作業台によって大型液晶テレビを水平にした状態で、薄型パネルモジュールを解体し、中小型液晶テレビについては、水平作業台によって中小型液晶テレビを水平にした状態でキャビネットおよび制御基板を取り外した後、排気設備において排気下で、水平作業台によって中小型液晶テレビを水平にした状態で、薄型パネルモジュールを解体し、プラズマテレビについては、傾斜作業台によってプラズマテレビを傾斜させた状態でキャビネットおよび制御基板を取り外した後、排気設備を用いず、水平作業台によってプラズマテレビを水平にした状態で、薄型パネルモジュールを解体する方法に関する。

Claims (11)

  1. 薄型テレビを載置するための傾斜可能な載置面(11)を有する傾斜作業台(2)と、水平の載置面(21)を有する水平作業台(3)とを備える、薄型テレビの解体装置(1)。
  2. 排気設備(4)をさらに備える、請求の範囲第1項に記載の解体装置(1)。
  3. 薄型テレビの搬送装置(5)をさらに備える、請求の範囲第1項に記載の解体装置(1)。
  4. 前記水平作業台(3)の載置面(21)が水平面内で回転可能である、請求の範囲第1項に記載の解体装置(1)。
  5. 前記排気設備(4)が、水銀除去手段(31)と、送風機(35)と、配管(42)とを備える、請求の範囲第1項に記載の解体装置(1)。
  6. 前記傾斜作業台(2)が薄型テレビの反転機能を備える、請求の範囲第1項に記載の解体装置(1)。
  7. 薄型テレビを傾斜させた状態でキャビネットおよび制御基板を取り外す工程と、
    薄型テレビを水平にした状態で薄型パネルモジュールを解体する工程とを含む、薄型テレビの解体方法。
  8. 蛍光管を搭載した薄型パネルモジュールのバックライトシャーシ組品を解体する工程をさらに含む、請求の範囲第7項に記載の解体方法。
  9. 薄型テレビが液晶テレビまたはプラズマテレビである、請求の範囲第7項に記載の解体方法。
  10. 薄型テレビを水平にした状態でキャビネットおよび制御基板を取り外す工程と、
    排気下で薄型パネルモジュールを解体する工程とを含む、薄型テレビの解体方法。
  11. 薄型テレビが液晶テレビまたはプラズマテレビである、請求の範囲第10項に記載の解体方法。
JP2010546557A 2009-01-15 2009-12-16 薄型テレビの解体方法 Expired - Fee Related JP4932943B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010546557A JP4932943B2 (ja) 2009-01-15 2009-12-16 薄型テレビの解体方法

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009006910 2009-01-15
JP2009006910 2009-01-15
PCT/JP2009/070952 WO2010082424A1 (ja) 2009-01-15 2009-12-16 薄型テレビの解体装置および薄型テレビの解体方法
JP2010546557A JP4932943B2 (ja) 2009-01-15 2009-12-16 薄型テレビの解体方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP4932943B2 JP4932943B2 (ja) 2012-05-16
JPWO2010082424A1 true JPWO2010082424A1 (ja) 2012-07-05

Family

ID=42339680

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010546557A Expired - Fee Related JP4932943B2 (ja) 2009-01-15 2009-12-16 薄型テレビの解体方法

Country Status (5)

Country Link
US (1) US8613638B2 (ja)
EP (1) EP2378504A4 (ja)
JP (1) JP4932943B2 (ja)
CN (1) CN102265322A (ja)
WO (1) WO2010082424A1 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2013031053A1 (ja) 2011-09-01 2013-03-07 パナソニック株式会社 プラズマディスプレイ装置の解体方法
DE102012104756A1 (de) * 2012-06-01 2013-12-05 ENE EcologyNet Eurpe GmbH Verfahren und Vorrichtung zum Zerlegen von LCD-Bildschirmen
CN103464442A (zh) * 2013-08-22 2013-12-25 湖南朝晖环境科技有限公司 一种报废平板电视机拆解处理成套环保设备
JP6548589B2 (ja) * 2016-02-15 2019-07-24 東芝環境ソリューション株式会社 廃棄冷蔵庫のコンプレッサーの取り外し方法
GB201913406D0 (en) * 2019-09-17 2019-10-30 Peregrine Tech Holdings Limited Recycling of flat panel displays

Family Cites Families (19)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3155637B2 (ja) 1992-11-30 2001-04-16 株式会社日立製作所 製品解体管理方法およびシステム
JP3239692B2 (ja) 1995-07-10 2001-12-17 松下電器産業株式会社 電子部品圧着装置及び電子部品圧着方法
US5890940A (en) * 1996-01-19 1999-04-06 Rozema, Jr.; Gerald Lamp recycling apparatus and method for doing the same
JP3097589B2 (ja) 1997-03-21 2000-10-10 松下電器産業株式会社 電子機器の解体装置と処理方法
CN1189254C (zh) * 1996-07-30 2005-02-16 松下电器产业株式会社 电子机器的拆卸方法及其拆卸装置
JPH10167467A (ja) 1996-12-09 1998-06-23 Sony Corp 搬送方法及び搬送装置
JP2000099729A (ja) * 1998-09-21 2000-04-07 Mitsubishi Electric Corp 表示装置の分解情報採取装置および表示装置の分解システム
JP3589937B2 (ja) 2000-04-21 2004-11-17 シャープ株式会社 廃液晶パネルの処理方法
AU2002309275A1 (en) 2002-05-22 2003-12-02 Refri S.R.L. Cutting machine for picture tubes to recover and/or dispose of polluting materials
JP4282371B2 (ja) 2003-05-19 2009-06-17 Nec液晶テクノロジー株式会社 バックライトユニット及び液晶表示装置並びにランプの交換方法
JP2006320783A (ja) * 2005-05-17 2006-11-30 Matsushita Electric Ind Co Ltd プラズマディスプレイ装置の解体方法
JP2007216131A (ja) * 2006-02-16 2007-08-30 Kyokuhei Glass Kako Kk フラットパネルディスプレイ基板の再利用のためのガラスカレット供給システム
JP2008090225A (ja) * 2006-10-05 2008-04-17 Sharp Corp 廃液晶表示装置の解体方法および解体装置
JP5013420B2 (ja) 2007-09-03 2012-08-29 シャープ株式会社 薄型テレビの解体方法および解体装置
JP2009112900A (ja) 2007-11-02 2009-05-28 Sharp Corp 廃液晶表示装置の解体方法
JP4789217B2 (ja) 2008-03-21 2011-10-12 シャープ株式会社 液晶表示装置の処理方法
JP2009254922A (ja) 2008-04-11 2009-11-05 Sharp Corp 薄型テレビの解体装置および解体方法
JP4771556B2 (ja) 2008-05-13 2011-09-14 シャープ株式会社 薄型テレビの解体装置および薄型テレビの解体方法
JP2009276469A (ja) 2008-05-13 2009-11-26 Sharp Corp 廃液晶表示装置の解体方法

Also Published As

Publication number Publication date
WO2010082424A1 (ja) 2010-07-22
EP2378504A1 (en) 2011-10-19
EP2378504A4 (en) 2012-07-11
US8613638B2 (en) 2013-12-24
CN102265322A (zh) 2011-11-30
JP4932943B2 (ja) 2012-05-16
US20110263175A1 (en) 2011-10-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4932943B2 (ja) 薄型テレビの解体方法
JP2008090225A (ja) 廃液晶表示装置の解体方法および解体装置
JP2009254922A (ja) 薄型テレビの解体装置および解体方法
JP4789214B2 (ja) 蛍光管の回収方法および蛍光管分離装置、ならびにそれらを用いた液晶表示装置の再資源化方法
JP5013420B2 (ja) 薄型テレビの解体方法および解体装置
JP4771556B2 (ja) 薄型テレビの解体装置および薄型テレビの解体方法
JP2009112900A (ja) 廃液晶表示装置の解体方法
CN101640990A (zh) 显示装置
JP2009113871A (ja) 蛍光管回収容器およびそれを用いた蛍光管の回収方法、液晶表示装置の再資源化方法
CN1990125A (zh) 除尘装置及除尘方法
CN109616437A (zh) 待切割柔性oled面板及其切割方法
CN101733268B (zh) 一种液晶显示器无害化拆解方法
EP4338860A2 (en) Recycling of flat panel displays
JP3516864B2 (ja) 廃液晶パネルの処理方法
KR100680758B1 (ko) 광학시트 보호지 제거장치 및 제거방법
CN207628832U (zh) 一种灯箱清洁装置
JP2010193967A (ja) 蛍光管の保持部品の切断装置およびそれを用いた蛍光管の保持部品の切断方法、蛍光管回収方法
KR101969545B1 (ko) 가스 정화 장치
CN104062787A (zh) 一种液晶显示器的拆卸工艺
CN218388470U (zh) 旋转直喷型大气低温等离子处理设备
KR20170133796A (ko) 폐디스플레이 재활용을 위한 작업대
KR20060028283A (ko) 기판의 보호필름 제거장치 및 이를 이용한 필름 제거방법
JP2012104271A (ja) 蛍光管保持部品および蛍光管の回収方法
JP2010202245A (ja) 蛍光管収納容器
US20110032673A1 (en) Display Apparatus

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120124

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120215

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150224

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees