JP3589937B2 - 廃液晶パネルの処理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、液晶パネルの製造工場において廃棄される廃液晶パネル、液晶表示装置の組立工場にて廃棄された液晶表示装置を分解処理して排出される廃液晶パネル、液晶を応用した製品の製造工場にて廃棄された製品を分解処理して排出される廃液晶パネル、および、市場にて廃棄された情報表示装置や映像表示装置等を解体処理して排出される廃液晶パネルを、再利用可能となるように処理する廃液晶パネルの処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、一般廃棄物や産業廃棄物の量が増加して埋立地の残余年数が心配される状況となっている。また、環境意識の高まりから、より環境に配慮した産業活動が求められている。このような状況から、工場から排出される産業廃棄物、および、不要になった家電製品や情報機器等の廃棄物等に関して、排出量の削減やリサイクルの促進を要望する声が行政側からも上がっている。このような要望は、液晶表示装置や液晶パネルについても同様である。
【0003】
現在、液晶パネルの製造工場から排出される不良の廃液晶パネルは、大半が処分場に埋め立てられている。また、家電製品や情報機器等の廃棄物に含まれる液晶表示装置や液晶パネルは、廃棄物の量としては少ないこともあって、廃棄物の処理施設にて製品ごと破砕された後、プラスチックを多量に含むシュレッダーダストと共に、埋め立て処理或いは焼却処理されている。
【0004】
一方、同じ表示装置である廃CRTについては、適切なリサイクル技術が既に提案されており(例えば、特開平8−267455号公報参照)、一部で実施されている。これは、CRTのガラスを切断して電子銃や蛍光体を除去した後、得られたガラスをカレット化、即ち粉砕し、CRT用ガラスとして再使用する技術である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したCRT、およびその他の家電製品や部品については、リサイクルのための適切な処理方法が確立されているのに対し、液晶パネルについては、このような技術が未だ確立されていない。
【0006】
液晶パネルは、省電力駆動および省資源が可能である特性から、高度情報化社会の進展に伴い、今後、急速に生産量が増大し、かつ、表示面積の大きなものも増加することが予測される。従って、廃液晶パネルの量も急速に増大すると考えられるが、現在、CRTと比較して液晶パネルの体積が小さく、生産量が少ないことで可能となっている埋め立て処理および焼却処理では、今後、対応できなくなることが、ほぼ確実視されている。このため、液晶パネルのリサイクル技術の開発は急務となっている。
【0007】
また、液晶は非常に高価な材料であることから、何らかの方法で回収して再使用することが望ましいと考えられる。
【0008】
また、一部の液晶パネルには、反射を防止する目的でカラーフィルタ基板に金属クロムが使用されている。それゆえ、この液晶パネルをそのまま埋め立て処理した場合には、上記クロムが酸性雨との反応により六価クロムになって環境に悪影響を及ぼすことを心配する声もある。さらに、液晶パネルの透明電極には、稀少金属であるインジウムが使用されている。従って、このような液晶パネルについては、クロムやインジウムの回収処理を行うことが望ましい。
【0009】
さらに、液晶パネルの重量の大半を占めるガラスについては、資源を大切にする点から再生使用することが望ましい。
【0010】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、液晶を回収して再使用することによって、殆ど廃棄物を出さない理想的な(ほぼクローズドな)リサイクル(再利用)が可能である廃液晶パネルの処理方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の廃液晶パネルの処理方法は、上記の課題を解決するために、偏光板を有する状態で液晶パネルを切断することにより、該液晶パネルに含まれる液晶を回収することを特徴としている。上記の構成によれば、液晶を加熱処理しないで回収するので、その変質を防止することができる。それゆえ、高価な材料である液晶を、高品質な状態で、簡単かつ安価に回収することができる。
【0012】
本発明の廃液晶パネルの処理方法は、上記の課題を解決するために、液晶パネルから偏光板を除去した後、該液晶パネルを切断することにより、液晶パネルに含まれる液晶を回収することを特徴としている。上記の構成によれば、液晶を加熱処理しないで回収するので、その変質を防止することができる。また、回収した液晶に、偏光板の切断屑が混入することを防止することができる。それゆえ、高価な材料である液晶を、高品質な状態で、簡単かつ安価に回収することができる。
【0013】
本発明の廃液晶パネルの処理方法は、上記の課題を解決するために、液晶を封入しているシール材を切断することなく液晶パネルのガラス基板を切断することを特徴としている。上記の構成によれば、回収した液晶に、シール材の切断屑が混入することを防止することができるので、該液晶を純度の高い状態で回収することができる。
【0014】
本発明の廃液晶パネルの処理方法は、上記の課題を解決するために、液晶を溶解する溶剤を用いて液晶を回収することを特徴としている。上記の構成によれば、液晶を簡単かつ確実に回収することができる。
【0015】
本発明の廃液晶パネルの処理方法は、上記の課題を解決するために、液晶を掻き取って回収することを特徴としている。上記の構成によれば、液晶を簡単かつ確実に回収することができる。
【0016】
本発明の廃液晶パネルの処理方法は、上記の課題を解決するために、切断されたガラス基板上に形成されている膜を機械的に剥離して回収することを特徴としている。上記の構成によれば、膜を簡単かつ安価に、確実に回収することができ、しかも、膜を回収して得られる金属粉の金属含有率を高くすることができるので、金属粉からクロムやインジウム等の金属を経済的にかつ高純度で回収、再生することができる。
【0017】
本発明の廃液晶パネルの処理方法は、上記の課題を解決するために、切断されたガラス基板を濃硫酸に浸漬することを特徴としている。上記の構成によれば、ガラス基板上に形成されている例えばカラーフィルタや配向膜等の有機物を、効率的にかつ完全に除去することができる。
【0018】
本発明の廃液晶パネルの処理方法は、上記の課題を解決するために、さらに、蛍光X線を用いてガラスの種類を選別することを特徴としている。上記の構成によれば、ガラスの選別を短時間で、確実に、かつ経済的に行うことができる。
【0019】
本発明の廃液晶パネルの処理方法は、上記の課題を解決するために、種類別に選別されたガラス基板を破砕することを特徴としている。上記の構成によれば、得られるガラス片は、単一の品種のガラスであるので、該ガラス片をガラス材料として再使用することが容易となる。また、ガラス基板の保管、運搬および再処理に必要なスペースを小さくすることができ、かつ、保管作業および運搬作業を容易に行うことができる。
【0020】
そして、本発明の廃液晶パネルの処理方法によれば、高価な材料である液晶を再使用することができると共に、ガラス片や金属を再生、使用することができる。また、ガラス基板を切断した後の液晶パネルも、珪石代替材料やタイル材料として再利用することができる。従って、殆ど廃棄物を出さない理想的な(ほぼクローズドな)リサイクル(再利用)が可能であり、経済的な廃液晶パネルの処理方法を提供することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
〔実施の形態1〕
本発明の実施の一形態について図1ないし図10に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0022】
廃液晶パネルとなる液晶パネルの縦断面図の一例を、図2に示す。この液晶パネルは、例えば、液晶パネルの製造工場において廃棄される廃液晶パネル、液晶表示装置の組立工場にて廃棄された液晶表示装置を分解処理して排出される廃液晶パネル、液晶を応用した製品の製造工場にて廃棄された製品を分解処理して排出される廃液晶パネル、および、市場にて廃棄された情報表示装置や映像表示装置等を解体処理して排出される廃液晶パネルである。また、図2に示す液晶パネルは、TFT液晶パネル等のアクティブ液晶パネルである。尚、同図中においては、アクティブ素子は省略されている。また、本実施の形態にかかる処理方法は、デューティ液晶パネルに対しても同様に適用可能である。
【0023】
液晶パネルは、図2に示すように、対向配置された0.7〜1.1mm程度の厚さの2枚のガラス基板1・1を有している。これらガラス基板1・1は、これらの内面間に、これらの周縁部に沿って設けられたシール樹脂体(シール材)2により貼合されている。ガラス基板1・1とシール樹脂体2とによって密封された領域には、液晶が充填(封入)されることにより、4〜6μm程度の厚さの液晶層3が形成されている。各ガラス基板1の外面には、0.2〜0.4mm程度の厚さの偏光板4が粘着剤により貼着されている。偏光板4は有機物からなる。
【0024】
一方のガラス基板1の内面には、カラーフィルタ5、反射防止膜6、透明電極7、および配向膜8が形成されている。カラーフィルタ5は有機物を主体とした材料からなる。反射防止膜6は金属クロム等の薄膜からなる。透明電極7はインジウム等を含む薄膜からなる。配向膜8は有機物からなる。また、他方のガラス基板1の内面には、画素電極9、バス電極10、および配向膜8が形成されている。画素電極9はインジウム等を含む透明な薄膜からなる。バス電極10はタンタル、アルミニウム或いはチタン等の何れかの金属の薄膜からなる。上記カラーフィルタ5、反射防止膜6、透明電極7、配向膜8、画素電極9、およびバス電極10の膜厚は、ガラス基板1の厚さと比較して、充分に薄い。
【0025】
本実施の形態にかかる液晶パネルの処理方法は、偏光板を有する状態で液晶パネルを切断するパネル切断工程と、該液晶パネルに含まれる液晶を回収する液晶回収工程とを備えている。また、本実施の形態にかかる液晶パネルの処理方法は、必要に応じて、液晶パネルを切断して得られるガラス基板に含まれる有機物を除去する残留有機物除去工程と、上記ガラス基板上に形成されている薄膜を除去する薄膜除去工程と、ガラス基板をガラスの種類別に選別するガラス選別工程と、ガラス基板を破砕するガラス破砕工程とを備えている。次に、上記偏光板4を有する液晶パネルを廃液晶パネルとした場合の、リサイクルのための廃液晶パネルの処理方法(工程)を、以下に説明する。
【0026】
図1に示すように、本実施の形態にかかる液晶パネル(偏光板付き液晶パネル)の処理方法においては、先ず、偏光板4を有する状態で液晶パネルを切断する(S1、パネル切断工程)。これにより、液晶パネルに封入されていた液晶が露出するので、次に、該液晶を回収する(S2、液晶回収工程)。従って、高価な材料である液晶を、簡単かつ安価に回収することができる。尚、上記パネル切断および液晶回収の、より具体的な方法については後述する。
【0027】
次いで、上記S1において液晶パネルを切断して得られるガラス基板1を濃硫酸に浸漬することにより、該ガラス基板1に含まれる偏光板4やカラーフィルタ5、配向膜8等の有機物を除去する(S3、残留有機物除去工程)。その後、ガラス基板1上に残っている金属膜や金属酸化物膜、即ち、反射防止膜6や透明電極7、画素電極9、バス電極10等の薄膜を該ガラス基板1から機械的な(物理的な)方法で以て剥離(除去)する。次いで、薄膜を分離除去することにより、該薄膜とガラス(ガラス基板1)とを各々別個に回収する(S4、薄膜除去工程)。尚、S3の残留有機物除去工程およびS4の薄膜除去工程の順序は、特に限定されるものではなく、薄膜除去工程を行った後、残留有機物除去工程を行うこともできる。残留有機物除去工程を行う前に薄膜除去工程を行うと、薄膜を回収して得られる金属粉に有機物が混入することになるが、該有機物の混入は、金属粉から金属を再生する際に、悪影響を殆ど及ぼさない。上記残留有機物除去および薄膜除去の、より具体的な方法については後述する。
【0028】
続いて、ガラス基板1に向かって軟X線を照射し、そのガラスから発せられる蛍光X線を、例えば蛍光X線分析機を使用して分析する。つまり、蛍光X線分析法を用いてガラス基板1のガラスを品種(種類)別に選別する(S5、ガラス選別工程)。その後、ガラス基板1を破砕する(S6、ガラス破砕工程)。尚、S5のガラス選別工程を行う前にS6のガラス破砕工程を行うと、蛍光X線分析機を使用したガラスの選別作業が非常に困難となるので好ましくない。上記ガラス選別およびガラス破砕の、より具体的な方法については後述する。
【0029】
上記S1のパネル切断工程においては、例えば、ガラス基板1・1の周縁部に沿って設けられることにより液晶を封入しているシール樹脂体2を切断することなく、液晶パネルのガラス基板1・1を切断する。より具体的には、図3に示すように、一方のガラス基板1におけるシール樹脂体2よりも内側の四辺を、該シール樹脂体2に沿って(例えば図中矢印Cの箇所)、例えば、ダイヤモンドソーやガラスカッター等の切断工具15を用いて矩形状に切る(いわゆる、ダイシングやスクライブ)。他方のガラス基板1におけるシール樹脂体2よりも内側の四辺も、同様にして、該シール樹脂体2に沿って矩形状に切る。その後、必要に応じて外力を加えることにより、元の大きさよりも一回り小さい大きさのガラス基板1・1(以下、説明の便宜上、元のガラス基板と同一の符号を付す)を、液晶パネルから切断して取り外す。ガラス基板1・1が取り外されると、封入されていた液晶層3が開封され、液晶は、ガラス基板1に付着した状態で露出する。尚、ダイヤモンドソーは、偏平な円盤の周縁部にダイヤモンドの微粒子を焼結させたものであり、装置化された状態で市販されており、一般にウエハのダイシングに用いられる。
【0030】
シール樹脂体2を切断することなくガラス基板1を切断しているので、液晶回収工程にて回収される液晶に、シール樹脂体2の切断屑が混入することを防止することができる。また、液晶層3におけるシール樹脂体2や注入口封止樹脂体(図示せず)との接触部分(樹脂体の近傍)では、上記樹脂体の未硬化物(残留モノマー)が液晶に溶出している場合があるが、ガラス基板1におけるシール樹脂体2よりも内側を切断しているので、液晶回収工程にて回収される液晶に、樹脂体の未硬化物が混入することを防止することができる。従って、液晶を純度の高い状態で回収することができる。
【0031】
一方、上記パネル切断工程においてガラス基板1・1が切断された後の液晶パネル、つまり、液晶パネルにおける枠状に残ったガラス切断片(シール樹脂体2を含む周辺部分)は、多量のSiOを含んでいるので、適当な大きさに破砕若しくは粉砕した後、図1に示すように、例えば非鉄製錬炉に投入して珪石代替材料として、或いは、タイル材料として、好適に再利用することができる。ガラス切断片を珪石代替材料として用いた場合には、非鉄製錬炉内における化学反応によってSiOが鉄等と結合するので、該非鉄製錬炉内に存在する鉄等の不純物をスラグとして取り除くことができる。尚、ガラス切断片にはシール樹脂体2や液晶等の有機物が混入しているが、有機物は燃焼材となるので、非鉄製錬炉を加熱する際の省エネルギー化に寄与することができる。また、1000℃を超える非鉄製錬炉内で有機物を燃焼させるので、該有機物を安全に処理することができる。さらに、一部の液晶パネルに使用されているクロムも酸化クロムとなって無害化されるので、安全に処理することができる。
【0032】
上記S2の液晶回収工程においては、ガラス基板1に付着している液晶を、例えば、液晶を溶解する溶剤を用いて溶解させることによって回収するか、若しくは、掻き取ることによって回収する。これにより、液晶を簡単かつ確実に回収することができる。
【0033】
上記の溶剤としては、具体的には、例えば、アセトンやイソプロピルアルコール(IPA)等が挙げられるが、特に限定されるものではない。液晶を溶解させて回収する具体的な方法としては、例えば、溶剤をガラス基板1にかけて液晶を洗い流し、液晶を含む溶剤を回収容器に集めた後、溶剤を減圧下で留去する等して除去して液晶を得る方法が挙げられる。
【0034】
液晶を掻き取って回収する具体的な方法としては、例えば、図4に示すように、ヘラ等の板状物16を用いて、ガラス基板1表面を図中矢印D方向にこそぎ、付着している液晶層3を掻き取って集める方法が挙げられる。板状物16は、ガラス基板1上に形成されている薄膜よりも柔らかく、かつ、摩耗し難い材質で形成されていることが望ましく、該材質としては、具体的には、例えば、フッ素樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のプラスチックが好適である。上記材質を用いた板状物16を使用すれば、回収される液晶に薄膜等の異物が混入することを防止することができる。
【0035】
液晶回収工程においては、回収した液晶に異物として混入しているガラス基板1や偏光板4等の切断屑を除去するために、該液晶の濾過を行う。これにより、液晶から切断屑が容易に分離・除去される。上記のパネル切断工程および液晶回収工程においては、液晶を加熱処理しないので、その変質を防止することができる。それゆえ、液晶を高品質な状態で回収することができるので、図1に示すように、再使用するのに好適である。尚、回収した液晶は、必要に応じて、不純物の除去や精製をさらに行ってもよい。
【0036】
上記S3の残留有機物除去工程においては、液晶を回収した後のガラス基板1を濃硫酸に浸漬することにより、該ガラス基板1に含まれる偏光板4やカラーフィルタ5、配向膜8、並びに僅かに残っている液晶等の有機物を効率的に除去する。より具体的には、図5に示すように、容器17に例えば130〜180℃に加熱した濃硫酸18を満たし、この中に、バスケット(網籠)19に入れたガラス基板1…を所定時間、浸漬する(いわゆる、硫酸ボイル)。その後、ガラス基板1…をバスケット19ごと引き上げ、ガラス基板1上に形成されている薄膜がエッチングされないように速やかに、該ガラス基板1に付着している濃硫酸を、例えば水道水や蒸留水、純水等の流水を用いて洗浄する。これにより、有機物を効率的にかつ完全に除去することができる。
【0037】
上記の容器17は、濃硫酸に対する耐久性に優れた材質で形成されていることが望ましく、該材質としては、具体的には、例えば、ガラスやフッ素樹脂、或いは、フッ素樹脂でコーティングされたものが好適である。上記のバスケット19は、濃硫酸に対する耐久性に優れた材質で形成されていることが望ましく、該材質としては、具体的には、例えば、ステンレス、或いは、フッ素樹脂でコーティングされたものが好適である。
【0038】
濃硫酸18の加熱温度は、高いほど有機物の除去速度が速くなり、短時間での処理が可能となる反面、取り扱い時における危険性が増すと共に、発生する硫酸蒸気による各種装置の腐蝕や作業環境の悪化等の問題もより大きくなる。一方、加熱温度が低いと、有機物の除去速度が遅くなり、処理に長時間を要することとなる。従って、濃硫酸18の加熱温度は、130〜180℃の範囲内が最適である。尚、濃硫酸18は、電熱器等で加熱すればよい。また、使用後の濃硫酸18(硫酸廃液)は、図1に示すように、既に確立されている適切な処理方法で以て処理し、再生使用するか、または、他の用途(例えば塩基の中和等)に再利用すればよい。
【0039】
S4の薄膜除去工程においては、ガラス基板1上に残っている反射防止膜6や透明電極7、画素電極9、バス電極10等の薄膜を該ガラス基板1から機械的な(物理的な)方法で以て剥離(除去)する。
【0040】
尚、従来公知のエッチングの手法を用いた化学的な方法で以て薄膜を除去することも可能ではあるが、この場合には処理設備が大型化すると共に、エッチング液からの薄膜の回収作業や廃液の処理作業が必要となる。従って、化学的な方法よりも機械的な方法の方が、処理設備を小型化することができると共に、より安価に薄膜を除去することができる。さらに、薄膜を回収して得られる金属粉の金属含有率を高くすることができるので、金属粉からクロムやインジウム等の金属を経済的にかつ高純度で回収、再生することができる等の利点も有している。
【0041】
ガラス基板1から金属膜や金属酸化物膜の薄膜を剥離するのに好適な市販の装置としては、具体的には、例えば、バリ取り装置、回転式研磨装置、ガラス掘込み装置、サンドブラスト装置等が挙げられる。以下、これら装置について、図6ないし図9を参照しながら説明する。
【0042】
図6に示すように、バリ取り装置21は、一対の円筒形のローラ22・22、該ローラ22・22に巻回された無端帯状のサンドペーパー23、および、ローラ22・22間に設けられた支持台24を備えている。一方のローラ22はモータ(図示せず)により回転駆動されるようになっており、他方のローラ22は自由に回転(従動)するようになっている。従って、サンドペーパー23は図中矢印E方向に駆動される。
【0043】
ガラス基板1上の薄膜1aを除去する際には、ガラス基板1を薄膜1aがサンドペーパー23と対向するように配した後、該ガラス基板1を支持台24で支持されたサンドペーパー23に押し付ける(図中矢印F方向)。これにより、薄膜1aは研磨され、ガラス基板1から剥離される。尚、上記薄膜1aとは、反射防止膜6および透明電極7、または、画素電極9およびバス電極10を指す。
【0044】
サンドペーパー23による研磨においては、該サンドペーパー23上に少量の水を供給しながら研磨を行う湿式法と、水を供給しないで研磨を行う乾式法とがあり、何れの方法を採用してもよい。湿式法では、研磨によって生じる研磨屑(金属粉)の飛散量が少なく、かつ、摩擦熱による加熱が抑制されることにより研磨材(砥粒)の摩耗が少なくなるので、サンドペーパー23の寿命が長くなるという利点がある。その反面、湿式法では、研磨屑は水中に沈澱または浮遊(懸濁)した状態となるので、該研磨屑を回収するには、乾燥作業が必要となる。従って、乾燥時間を短縮することができるように、或いは、研磨屑に含まれる水分の除去作業を省略することができるように、サンドペーパー23上への水の供給量は、できるだけ少ない方が望ましい。また、サンドペーパー23の駆動速度は、研磨屑の飛散量をより少なくして該研磨屑の回収率を向上させるために、一般的な研磨作業を行う場合の駆動速度よりも、遅く設定することが好ましい。
【0045】
サンドペーパー23の番定(研磨材の粒子の細かさ)は、薄膜1aの処理時間(研磨時間)と、研磨屑として得られる金属粉のリサイクル(再利用)のし易さとを考慮に入れて選定すればよく、特に限定されるものではないが、400〜1200番程度がより好適である。番定を小さくする(研磨材の粒子を大きくする)と、研磨効率が向上して処理時間が短くなるものの、ガラス基板1も研磨されてしまうので、金属粉へのガラス粒子(粉末)の混入率が高くなる。それゆえ、稀少金属であるクロムやインジウムの回収率、さらにはタンタルやアルミニウム、チタン等のその他の金属の回収率が低下する。一方、番定を大きくする(研磨材の粒子を小さくする)と、処理時間が長くなるものの、薄膜1aの研磨量をコントロールすることにより、研磨屑として得られる金属粉の金属含有率を高くすることができる。
【0046】
図7に示すように、回転式研磨装置31は、円盤状の回転台32と、該回転台32の上面に貼着された比較的目の粗い研磨シート33とを備えている。回転台32はモータ(図示せず)により図中矢印G方向に回転駆動されるようになっている。
【0047】
ガラス基板1上の薄膜1aを除去する際には、ガラス基板1を薄膜1aが研磨シート33と対向するように配した後、該ガラス基板1を研磨シート33に押し付ける(図中矢印H方向)。これにより、薄膜1aは研磨され、ガラス基板1から剥離される。この際、ガラス基板1を研磨シート33と平行な方向(例えば図中矢印I方向)に往復移動させることにより、薄膜1aをより均一に研磨することができる。研磨シート33による研磨においても、前記サンドペーパー23による研磨と同様に、湿式法と乾式法とがあり、何れの方法を採用してもよい。そして、各方法の利点や注意点等も、前記の場合と同様である。
【0048】
図8に示すように、ガラス掘込み装置41は、例えば直径10mm程度のステンレス製の回転棒42と、該回転棒42の外周面に設けられた砥石43とを備えている。回転棒42はモータ(図示せず)により図中矢印J方向に回転駆動されるようになっている。砥石43は、ダイヤモンドの微粒子とセラミックの粉末との混合物を焼結させることにより形成されている。
【0049】
ガラス基板1上の薄膜1aを除去する際には、ガラス基板1を薄膜1aが砥石43と接触するように配した後、該ガラス基板1を回転棒42の接線方向に平行移動させる(図中矢印K方向)。これにより、薄膜1aは研磨され、ガラス基板1から剥離される。砥石43による研磨においても、前記サンドペーパー23による研磨と同様に、湿式法と乾式法とがあり、何れの方法を採用してもよい。そして、各方法の利点や注意点等も、前記の場合と同様である。
【0050】
図9に示すように、サンドブラスト装置51は、微粒子状の砂53を図中矢印L方向に勢い良く発射するブラストガン52を備えている。ガラス基板1上の薄膜1aを除去する際には、ガラス基板1を薄膜1aに砂53が勢い良く衝突する位置に配した後、該ガラス基板1を砂53の発射方向に対して垂直方向に平行移動させる(図中矢印M方向)。これにより、薄膜1aは研磨され、ガラス基板1から剥離される。
【0051】
上記の各装置を用いて薄膜1aを研磨することにより、ガラス基板1上に形成されている薄膜1aを確実に除去することができ、研磨屑である金属粉が回収物として回収される。該金属粉には、稀少金属であるインジウムやクロム等の有用な金属が比較的高い含有率で含まれている。従って、図1に示すように、金属粉から、これら金属を経済的にかつ高純度で回収、再生することができるので、マテリアルリサイクルが可能となり、省資源化に貢献することができ、かつ、環境に悪影響を及ぼすおそれも無くなる。一方、ガラス基板1は、薄膜1aが除去されたので、ガラスだけになっている。
【0052】
上記S5のガラス選別工程においては、蛍光X線分析法を用いてガラス基板1のガラスを品種別に選別する。ガラスは、ガラスメーカーによって、或いはガラス品種や品番等によって組成が異なる。従って、回収したガラスを例えばガラス基板1用の材料として再使用するためには、多種多様なガラスを品種別に選別することが必要となる。また、回収したガラスを例えば一般ガラス用の材料として再使用する場合にも、或る程度、該ガラスを品種別に選別することが要求される場合がある。
【0053】
ここで、液晶パネルのガラス基板1の材料として用いられているガラスの代表的な化学組成を、表1に示す。表中におけるガラス品種「S」はソーダガラスである。このガラスは、ナトリウムやカリウムを含有することから、蛍光X線分析機を用いて容易に判別することができる。ガラス品種「A」〜「E」は、主にTFT液晶パネルに用いられているアルミノホウ珪酸ガラスと呼ばれる無アルカリガラスである。このガラスは、SiO、Al、B、BaOを主成分とするのが特徴である。
【0054】
【表1】
Figure 0003589937
【0055】
一般的なエネルギー分散型蛍光X線分析機の要部の断面図を、図10に示す。蛍光X線分析機には、波長分散型とエネルギー分散型とがあり、どちらも使用可能であるが、ここでは、安価なエネルギー分散型を例に挙げて説明する。
【0056】
図10に示すように、同定・選別装置である蛍光X線分析機61は、テーブル62と、開閉可能なベルジャー63とによって密封された測定室64を有する。テーブル62には被測定物が載置される測定台(図示せず)や、軟X線を照射するX線管球65、蛍光X線センサ66等が設けられている。また、テーブル62には、測定室64内部を減圧して測定精度を高めるために、真空ポンプ67が取り付けられている。
【0057】
上記構成において、被測定物であるガラス基板1を測定台の上に、位置決めして載置する。測定室64内部を減圧した後、X線管球65を点灯させると、図中矢印A方向に進む軟X線がガラス基板1に照射され、ガラス基板1に含まれるそれぞれの元素に特有なエネルギーを持った蛍光X線が、図中矢印B方向に発せられる。
【0058】
この蛍光X線を蛍光X線センサ66にてエネルギー毎にカウントすることで、ガラス基板1にどのような元素がどのような割合で含まれているかを測定(分析)することができる。従って、例えばガラスの化学組成を品種毎に予め調べておき、それらの値と上記ガラス基板1の測定値とを比較することにより、ガラス基板1をガラスの品種別に短時間で、確実に、かつ経済的に選別することができる。本発明において、ガラス基板1用の材料として使用されているガラスは、品種毎のガラスの化学組成が予め判っているので、この同定・選別は比較的容易である。また、この同定・選別は、ガラスの品種毎の特徴から、一部の元素にかかる測定値の比較のみによって行うことも可能である。これにより、同定・選別を、さらに短時間で行うことができる。
【0059】
ところで、一般に、エネルギー分散型蛍光X線分析機では、酸素およびホウ素は測定できないので、これら元素を残成分として指定する。しかしながら、この場合においても、表1から明らかなように、化学組成としてSiO、Al、BaO、CaO、SrO、MgO、As等を測定することにより、ガラス基板1を容易に選別することができることが判る。尚、表1におけるガラス品種「B」と「E」とは化学組成がほぼ同一であり、それゆえ両者の選別は難しい。ところが、逆に、化学組成がほぼ同一であれば、両者を選別できなくても、ガラスを再使用する上では問題とはならないと言える。
【0060】
蛍光X線分析機61を用いたガラスの分析は、一般に、測定誤差が大きくなるものの、本発明においては測定対象となるガラス基板1が平面性に優れているので測定誤差を小さくすることができると共に、ガラス基板1の品種が限られており、かつ、品種毎のガラスの化学組成が予め判っているので、同定・選別を行うのに実用上、問題は無い。また、品種毎のガラスの化学組成が予め判っていることから、上述したように、化学組成の一部を解析することによって、同定・選別を行うことも可能である。
【0061】
さらに、ガラス基板1上に例えば反射防止膜6や透明電極7、画素電極9、バス電極10等の金属膜や金属酸化物膜、或いは、偏光板4やカラーフィルタ5、配向膜8等の有機物が残っていれば、軟X線の照射時に、これら薄膜に起因する蛍光X線がノイズとして発生する。従って、ノイズとして発生する蛍光X線の強度を測定することにより、上記S3の残留有機物除去工程およびS4の薄膜除去工程が確実に行われたか否かを確認することができる。つまり、工程管理を行うことができる。
【0062】
尚、同定・選別装置である市販の蛍光X線分析機は、この蛍光X線分析機に、簡単な構成のロード/アンロード機構(ローダ/アンローダ)と位置決め機構とを追加することにより、容易に自動化が可能である。
【0063】
廃液晶パネルの処理方法においては、残留有機物除去工程および薄膜除去工程を行った後、ガラス選別工程を行うので、ガラスの選別を短時間で、確実に、かつ経済的に行うことができる。つまり、廃液晶パネルの処理方法においては、上記S1〜S5の各工程を通じて、ガラス基板1に撓み変形や意図しない割れ(破砕)等が生じることが最小限に抑えられており、一定の形状(例えば矩形状)が保持されている。従って、蛍光X線分析機61によるガラス基板1の選別を容易に行うことができる。ガラス選別を行う前にガラス基板1が破砕されていると、蛍光X線分析機61による測定回数が多くなってしまうので、測定に長時間を要すると共に、選別作業自体も困難になってしまう。
【0064】
上記S6のガラス破砕工程は、単一の品種のガラス基板1毎に行う。S6のガラス破砕工程においては、市販の各種方式の破砕機を使用することにより、ガラス基板1を破砕して破砕物としてのガラスカレット(ガラス片)を得る。破砕機の種類は特に限定されるものではないが、塵の発生が少なく容易に破砕することができ、環境に悪影響を及ぼさず、かつ、ランニングコストが安価である等の観点から、2軸剪断方式の破砕機がより好ましい。該破砕機は、数cm大のサイズの揃った破砕物が得られ易いこと、微粉末の発生比率が小さく、破砕物をガラスカレットとして再利用し易いこと等の利点も有している。尚、ガラスカレットは、必要に応じて、洗浄してもよい。
【0065】
回収したガラスカレットは、ガラス選別工程において既にガラスの品種別に選別されており、しかもガラスだけになっている。つまり、ガラスカレットは、単一の品種のガラスであり、かつ、ガラス基板用の原料ガラスと変わらない化学組成を有している。それゆえ、図1に示すように、ガラスカレットは、原料ガラスに添加混合することにより、または、原料ガラスに置き換えて、再使用(マテリアルリサイクル)することができる。再使用する際には、例えば、ガラスカレットを原料ガラスと共に溶融炉で溶融させればよい。さらに、回収したガラスカレットは、例えば一般ガラス用の材料として再使用することもできる。尚、廃液晶パネルのガラス基板は、ガラスカレットの状態で回収されるため、その保管、運搬および再処理に必要なスペースを小さくすることができ、かつ、保管作業および運搬作業を容易に行うことができる。
【0066】
本実施の形態にかかる処理方法によれば、高価な材料である液晶を再使用することができると共に、金属粉およびガラスカレットを再生、使用することができる。また、ガラス基板1・1を切断した後の液晶パネル(枠状に残ったガラス切断片)も、珪石代替材料やタイル材料として再利用することができる。つまり、リサイクルし易い状態で、各回収物を得ることができる。従って、殆ど廃棄物を出さない理想的な(ほぼクローズドな)リサイクル(再利用)が可能であり、経済的な廃液晶パネルの処理方法を提供することができる。
【0067】
〔実施の形態2〕
本発明の実施の他の形態について図11ないし図14に基づいて説明すれば、以下の通りである。尚、説明の便宜上、前記実施の形態1の図面に示した部材
(構成)や処理工程と同一の機能を有する部材
(構成)や処理工程には、同一の符号を付記し、その説明を省略する。
【0068】
本実施の形態にかかる液晶パネルの処理方法は、液晶パネルから偏光板を剥離(除去)する偏光板剥離工程と、偏光板を剥離した後の液晶パネルを切断するパネル切断工程と、該液晶パネルに含まれる液晶を回収する液晶回収工程とを備えている。また、本実施の形態にかかる液晶パネルの処理方法は、必要に応じて、液晶パネルを切断して得られるガラス基板に含まれる有機物を除去する残留有機物除去工程と、上記ガラス基板上に形成されている薄膜を除去する薄膜除去工程と、ガラス基板をガラスの種類別に選別するガラス選別工程と、ガラス基板を破砕するガラス破砕工程とを備えている。次に、偏光板4を有する液晶パネルを廃液晶パネルとした場合の、リサイクルのための廃液晶パネルの処理方法(工程)を、以下に説明する。
【0069】
図11に示すように、本実施の形態にかかる液晶パネル(偏光板付き液晶パネル)の処理方法においては、先ず、液晶パネルから偏光板4・4を剥離(除去)する(S11、偏光板剥離工程)。尚、上記偏光板剥離の、より具体的な方法については後述する。
【0070】
続いて、前記実施の形態1の処理工程と同様の処理工程を行う。即ち、偏光板4・4を剥離した後の液晶パネルを切断する(S1)。これにより、液晶パネルに封入されていた液晶が露出するので、次に、該液晶を回収する(S2)。尚、上記S1のパネル切断工程においては、例えば、図13に示すように、ガラス基板1におけるシール樹脂体2よりも内側の四辺を、該シール樹脂体2に沿って(例えば図中矢印Cの箇所)矩形状に切った後、必要に応じて外力を加えることにより、元の大きさよりも一回り小さい大きさのガラス基板1・1を、液晶パネルから切断して取り外せばよい。また、上記S2の液晶回収工程において、例えば、液晶を掻き取って回収する具体的な方法としては、例えば、図14に示すように、ヘラ等の板状物16を用いて、ガラス基板1表面を図中矢印D方向にこそぎ、付着している液晶層3を掻き取って集める方法が挙げられる。
【0071】
次いで、上記S1において液晶パネルを切断して得られるガラス基板1を濃硫酸に浸漬することにより、該ガラス基板1に含まれるカラーフィルタ5や配向膜8等の有機物を除去する(S3)。その後、ガラス基板1上に残っている金属膜や金属酸化物膜、即ち、反射防止膜6や透明電極7、画素電極9、バス電極10等の薄膜を該ガラス基板1から機械的な(物理的な)方法で以て剥離(除去)する。次いで、薄膜を分離除去することにより、該薄膜とガラス(ガラス基板1)とを各々別個に回収する(S4)。続いて、蛍光X線分析法を用いてガラス基板1のガラスを品種(種類)別に選別する(S5)。その後、ガラス基板1を破砕する(S6)。
【0072】
上記S11の偏光板剥離工程においては、ガラス基板1上に形成されている偏光板4を機械的な(物理的な)方法で以て剥離(除去)して回収する。偏光板4を剥離する具体的な方法としては、例えば、偏光板4の一端部(例えば隅)をカッター等の工具を用いて部分的に剥離した後、図12に示すように、その剥離部分を適当な力で引っ張ることによって偏光板4全体を剥離する(剥ぎ取る)方法が挙げられる。或いは、市販の偏光板剥離装置を用いて偏光板4を剥離してもよく、さらには、手作業で以て偏光板4を剥離してもよい。偏光板剥離工程においては液晶を加熱処理しないので、その変質を防止することができ、それゆえ、液晶を高品質な状態で回収することができる。また、偏光板4を剥離した後にガラス基板1を切断するので、液晶回収工程にて回収される液晶に、偏光板4の切断屑が混入することを防止することができる。
【0073】
但し、偏光板4をガラス基板1に貼着する際に用いる粘着剤は、一般に、経時変化に伴ってガラスに対する粘着力が増大する傾向(現象)を示す。従って、偏光板4を剥離する際には、偏光板4が途中で千切れないように、或いは、粘着剤がガラス基板1上に残らないように、偏光板4を引っ張る速度や方向を充分に注意することが肝要である。尚、仮に、ガラス基板1上に偏光板4の一部や粘着剤の一部が残っていても、これら偏光板4や粘着剤は、S1のパネル切断工程やS2の液晶回収工程に、悪影響を殆ど及ぼさない。また、該偏光板4や粘着剤は、S3の残留有機物除去工程において完全に除去されるので、金属粉およびガラスカレットを再生、使用する際に、悪影響を及ぼすことは無い。
【0074】
本実施の形態にかかる処理工程においては、S11の偏光板剥離工程にて有機物である偏光板4・4を除去するので、S3の残留有機物除去工程における濃硫酸の汚れを少なくすることができる。従って、濃硫酸の寿命(交換を行う間隔)を伸ばすことができると共に、その使用量をより少なくすることができる。
【0075】
回収した偏光板4は、さらに粉砕処理することによって、図11に示すように、例えば高炉での微粉炭代替材料として、好適に再利用(マテリアルリサイクル)することができる。或いは、焼却炉で燃焼して燃焼熱を利用することにより、サーマルリサイクルが可能である。
【0076】
本実施の形態にかかる液晶パネルの処理方法における、その他の部材
(構成)や処理工程等は、前記実施の形態1の液晶パネルの処理方法における部材
(構成)や処理工程等と同一である。
【0077】
本実施の形態にかかる処理方法によれば、高価な材料である液晶を再使用することができると共に、金属粉およびガラスカレットを再生、使用することができる。また、偏光板4を微粉炭代替材料や燃料として再利用することができる。さらに、ガラス基板1・1を切断した後の液晶パネル(枠状に残ったガラス切断片)も、珪石代替材料やタイル材料として再利用することができる。つまり、リサイクルし易い状態で、各回収物を得ることができる。従って、殆ど廃棄物を出さない理想的な(ほぼクローズドな)リサイクル(再利用)が可能であり、経済的な廃液晶パネルの処理方法を提供することができる。
【0078】
【発明の効果】
本発明の廃液晶パネルの処理方法は、以上のように、偏光板を有する状態で液晶パネルを切断することにより、液晶を回収する構成である。これにより、高価な材料である液晶を、高品質な状態で、簡単かつ安価に回収することができるという効果を奏する。
【0079】
本発明の廃液晶パネルの処理方法は、以上のように、偏光板を除去した後、液晶パネルを切断することにより、液晶を回収する構成である。これにより、高価な材料である液晶を、高品質な状態で、簡単かつ安価に回収することができるという効果を奏する。
【0080】
本発明の廃液晶パネルの処理方法は、以上のように、液晶を封入しているシール材を切断することなく液晶パネルのガラス基板を切断する構成である。これにより、液晶を純度の高い状態で回収することができるという効果を奏する。
【0081】
本発明の廃液晶パネルの処理方法は、以上のように、溶剤を用いて液晶を回収する構成である。これにより、液晶を簡単かつ確実に回収することができるという効果を奏する。
【0082】
本発明の廃液晶パネルの処理方法は、以上のように、液晶を掻き取って回収する構成である。これにより、液晶を簡単かつ確実に回収することができるという効果を奏する。
【0083】
本発明の廃液晶パネルの処理方法は、以上のように、切断されたガラス基板上に形成されている膜を機械的に剥離して回収する構成である。これにより、膜を回収して得られる金属粉の金属含有率を高くすることができるので、金属粉からクロムやインジウム等の金属を経済的にかつ高純度で回収、再生することができるという効果を奏する。
【0084】
本発明の廃液晶パネルの処理方法は、以上のように、切断されたガラス基板を濃硫酸に浸漬する構成である。これにより、ガラス基板上の有機物を、効率的にかつ完全に除去することができるという効果を奏する。
【0085】
本発明の廃液晶パネルの処理方法は、以上のように、蛍光X線を用いてガラスの種類を選別する構成である。これにより、ガラスの選別を短時間で、確実に、かつ経済的に行うことができるという効果を奏する。
【0086】
本発明の廃液晶パネルの処理方法は、以上のように、種類別に選別されたガラス基板を破砕する構成である。これにより、得られるガラス片をガラス材料として再使用することが容易となるという効果を奏する。
【0087】
そして、上記の構成によれば、高価な材料である液晶を再使用することができると共に、ガラス片や金属を再生、使用することができる。また、ガラス基板を切断した後の液晶パネルも、珪石代替材料やタイル材料として再利用することができる。従って、殆ど廃棄物を出さない理想的な(ほぼクローズドな)リサイクル(再利用)が可能であり、経済的な廃液晶パネルの処理方法を提供することができるという種々の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態における廃液晶パネルの処理方法の概略の工程を示すフローチャートである。
【図2】上記処理方法にて処理される液晶パネルの概略の構成を示す縦断面図である。
【図3】上記処理方法におけるパネル切断工程を行っている状態を示す概略の断面図である。
【図4】上記処理方法における液晶回収工程を行っている状態を示す概略の正面図である。
【図5】上記処理方法における残留有機物除去工程を行っている状態を示す概略の断面図である。
【図6】上記処理方法における薄膜除去工程を、バリ取り装置を用いて行っている状態を示す概略の正面図である。
【図7】上記処理方法における薄膜除去工程を、回転式研磨装置を用いて行っている状態を示す概略の正面図である。
【図8】上記処理方法における薄膜除去工程を、ガラス掘込み装置を用いて行っている状態を示す概略の正面図である。
【図9】上記処理方法における薄膜除去工程を、サンドブラスト装置を用いて行っている状態を示す概略の正面図である。
【図10】上記処理方法におけるガラス選別工程に使用される蛍光X線分析機の概略の構成を示す要部の断面図である。
【図11】本発明の実施の他の形態における廃液晶パネルの処理方法の概略の工程を示すフローチャートである。
【図12】図11の処理方法における偏光板剥離工程を行っている状態を示す概略の断面図である。
【図13】図11の処理方法におけるパネル切断工程を行っている状態を示す概略の断面図である。
【図14】図11の処理方法における液晶回収工程を行っている状態を示す概略の正面図である。
【符号の説明】
1 ガラス基板
2 シール樹脂体(シール材)
3 液晶層
4 偏光板
5 カラーフィルタ
6 反射防止膜
7 透明電極
8 配向膜
9 画素電極
10 バス電極
15 切断工具
16 板状物
18 濃硫酸
21 バリ取り装置
31 回転式研磨装置
41 ガラス掘込み装置
51 サンドブラスト装置
61 蛍光X線分析機

Claims (9)

  1. 2枚のガラス基板とシール材とによって密封された領域に液晶が封入されており、各ガラス基板の外面には偏光板が貼着され、内面には薄膜が形成された廃液晶パネルの処理方法であって、
    偏光板を有する状態で、液晶を封入しているシール材を切断することなく液晶パネルのガラス基板を矩形状に切断し、該ガラス基板を液晶パネルから取り外すことにより液晶パネルに封入されていた液晶を露出させ、各ガラス基板に付着している液晶を、ガラス基板上に形成されている薄膜よりも柔らかい材質で形成された板状物を用いて掻き取って回収することを特徴とする廃液晶パネルの処理方法。
  2. 2枚のガラス基板とシール材とによって密封された領域に液晶が封入されており、各ガラス基板の外面には偏光板が貼着され、内面には薄膜が形成された廃液晶パネルの処理方法であって、
    液晶パネルから偏光板を除去した後、液晶を封入しているシール材を切断することなく液晶パネルのガラス基板を矩形状に切断し、該ガラス基板を液晶パネルから取り外すことにより液晶パネルに封入されていた液晶を露出させ、各ガラス基板に付着している液晶を、ガラス基板上に形成されている薄膜よりも柔らかい材質で形成された板状物を用いて掻き取って回収することを特徴とする廃液晶パネルの処理方法。
  3. ガラス基板の切断および液晶の回収は、液晶を加熱処理しないで行われることを特徴とする請求項1または2記載の廃液晶パネルの処理方法。
  4. ダイヤモンドソーまたはガラスカッターを用いてガラス基板を切断することを特徴とする請求項1、2または3記載の廃液晶パネルの処理方法。
  5. 板状物の材質は、プラスチックであることを特徴とする請求項1、2、3または4記載の廃液晶パネルの処理方法。
  6. 切断されたガラス基板上に形成されている膜を機械的に剥離して回収することを特徴とする請求項1または2記載の廃液晶パネルの処理方法。
  7. 切断されたガラス基板を濃硫酸に浸漬することを特徴とする請求項1または2記載の廃液晶パネルの処理方法。
  8. さらに、蛍光X線を用いてガラスの種類を選別することを特徴とする請求項6または7記載の廃液晶パネルの処理方法。
  9. 種類別に選別されたガラス基板を破砕することを特徴とする請求項8記載の廃液晶パネルの処理方法。
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