JP5013420B2 - 薄型テレビの解体方法および解体装置 - Google Patents

薄型テレビの解体方法および解体装置 Download PDF

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Description

本発明は、薄型テレビの解体方法および解体装置に関し、リサイクルプラントでの廃棄された薄型テレビの解体に特に有効な解体方法および解体装置に関する。
近年、わが国では所得水準の向上に伴い、エアコンディショナ(エアコン)、テレビジョン受信機(テレビ)、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジなどの家電製品、パーソナルコンピュータ(パソコン)、ワードプロセッサなどの情報機器、プリンタ、ファックスなどの事務用機器、その他の各種の家具、文具、玩具などが、一般家庭に高い普及率で備えられるようになっており、家庭生活における利便性は飛躍的に向上しつつある。その結果、これらの家電製品をはじめとする製品の廃棄量も年々増加する傾向にある。
加えて、社会における生産・消費活動全般について一般廃棄物や産業廃棄物が増加し、不法投棄や埋立地逼迫などの地球環境問題が注目を集め、これまでの大量生産、大量消費、大量廃棄型の経済システムから資源循環型経済システムへの転換が社会的に重要な課題となってきている。
上記のような状況を受け、2001年4月より家電リサイクル法が施行された。ここで、エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機の家電4品目(以下、「家電4品目」と略記する)のリサイクルが義務付けられ、また、それぞれの製品の再商品化率については、エアコン60%以上、テレビ55%以上、冷蔵庫50%以上、洗濯機50%以上の法定基準値が定められている。 これら家電4品目においては、関係者の鋭意努力のもと、法律施行当初に比べリサイクルが格段に進んでいる。現在、家電4品目に使用されている鉄、銅、アルミなどの金属はもとより、プラスチックについてもリサイクルが拡大しつつある。また、テレビにおいては、ブラウン管表示装置のブラウン管ガラスを切断して電子銃や蛍光体を除去した後、ガラスカレットとして元のブラウン管用ガラスに再生使用するリサイクル技術が既に実用化されている。
家電製品に含まれる金属、プラスチックおよびガラスなどの素材のリサイクルに際しては、まず、様々な部品・材料から構成されている家電製品の廃棄物を手解体などで解体し、部品・材料ごとに回収し、素材ごとに分別した後、元の素材として再生利用する方法が一般的である。
たとえば、廃ブラウン管テレビの場合には、主に、(1)後キャビネットの取り外し工程、(2)ワイヤーハーネスの取り外し工程、(3)制御基板の取り外し工程、(4)前キャビネットの取り外し工程、(5)電子銃の取り外し工程、(6)ブラウン管前後のガラスの分離工程、(7)ブラウン管ガラスの粉砕工程、という一連の工程により、手解体されている。回収された部品・材料は素材ごとに分別され、それぞれ適した方法で元の素材へ再生される。たとえば、キャビネット用プラスチック、ワイヤーハーネスおよび制御基板に含まれる金属、ブラウン管ガラスなどが再生利用されている。
ところで、近年、表示部品として液晶パネル、プラズマディスプレイパネル(PDP)、有機ELパネル、電解放出型ディスプレイパネルなどの薄型パネルのユニット(薄型パネルユニット)を搭載した薄型テレビの需要が、省電力、省スペース、軽量かつデジタル放送の受像に適するといった特性から、近年の地球環境問題への関心の高まり、ならびにテレビ放送のデジタル化と相俟って、急激に増加している。特に、大型の薄型パネルユニットを搭載した大画面薄型テレビの需要が劇的に増加している。これに伴い、薄型テレビの廃棄量も今後急激に増加していくことが予想され、リサイクル活動などの環境活動において、リサイクル性向上などの要求が高くなってきている。
ところが、薄型テレビは比較的新しい製品であること、また、現状は比較的廃棄物の量が少ないこともあり、上述したブラウン管テレビのような適切なリサイクルは実用化されていない。廃棄された薄型テレビは廃棄物の処理施設で破砕されて、シュレッダーダストなどとともに埋立処理あるいは焼却処理されているのが現状である。
加えて液晶パネルやプラズマディスプレイパネルなどを搭載した薄型テレビにおいては、近い将来、家電リサイクル法の適用品目として追加される動きもある。このような背景から、薄型テレビのリサイクル技術の開発は急務となっている。
資源を有効利用するという観点から、素材を再生利用するためには、上述のように、薄型テレビを部品・材料ごとに分離解体する方法が必要とされている。加えて、ブラウン管テレビには搭載されていなかった部品である薄型パネルユニットの適切なリサイクル方法が望まれている。
薄型パネルのリサイクルにおいて考慮すべき点は、ガラス、金属、有機物などの材料の再生である。薄型パネルの基材は、主にガラス基板が用いられている。ガラスはリサイクル率向上の観点からも再資源化が望ましく、再度同一製品のガラス原料として再生するなど高品位なリサイクルを行うことがより望ましい。また、液晶パネル、プラズマディスプレイパネル、有機ELパネルなどのガラス基板上には、透明導電膜としてITO(Indium Tin Oxide)などのインジウム化合物が形成されている場合が多い。インジウムは希少金属であり、昨今の薄型パネル市場拡大も影響し価格が高騰してきており、回収、リサイクルが模索されている。薄型パネルの電極材料には、アルミニウム、タンタル、チタン、銀などの金属が使用されており、これらについても資源有効利用の観点から、回収して再生利用することが望ましい。また、薄型パネルの中で最も普及している液晶パネルの2枚のガラス基板間に封入された液晶は非常に高価な材料であり再度再利用する声がある。加えて、液晶はその毒性が問題にならないほど小さいことが分かってはいるが、自然には非常に分解しにくい材料であるため、高収率で回収し、環境中への拡散をできるだけ少なくすることが望ましい。
上述の観点から、薄型パネル中のガラス、インジウムおよび液晶の回収、リサイクルは非常に意義深いものであるが課題も多い。たとえばガラスの同一材料への再生においては、ガラス基板上に形成された電極材料や有機物薄膜、また、ガラス基板間に封入された液晶材料など、ガラス以外の成分は完全に除去する必要がある。特に、ガラス基板に直接付着している電極材料は、ガラスとの接着力が強固であり、かつ、薄型パネルとしての信頼性の観点から、タンタル、チタン、銀などの耐腐食性の高い金属を使用している場合もあるため、酸溶解などの手段により除去するのは容易ではない。一方、インジウムについては回収方法が種々検討されてきているが、薄型パネルからのインジウム回収は経済性が伴わず、製造工程で発生する使用済みターゲットや装置、冶具に付着したITO残渣を回収するに留まっている。また薄型パネルに使用されている液晶の量は微量であるため、少ない労力とエネルギーで液晶を高純度で劣化を伴わずに回収し再利用することが好ましい。
また、非発光型の薄型パネルを用いた薄型テレビにはバックライト光源として、水銀を含んだ蛍光管を使用しているものがある。水銀は、人体に有毒な物質であり、リサイクルの際も蛍光管の破損による大気中への漏洩などがないよう適切に回収・処理することが望ましい。
薄型テレビの解体を容易にする方法として、たとえば特開2004−342550号公報(特許文献1)には、バックライト(蛍光灯)、インバータ基板、ランプ支持枠などをユニット化し、容易に組立、解体可能なバックライト構造が開示されている。
また、特開2001−305502号公報(特許文献2)には、薄型テレビの薄型パネルに用いられる液晶、金属材料およびパネルガラスのリサイクルの方法として、薄型パネルを切断して液晶を回収した後、パネルガラスを破砕し、非鉄精錬の珪石代替材料として利用する方法が開示されている。しかしながら、特許文献2には、薄型パネルをリサイクルするための薄型テレビの解体方法および解体装置などについては記載されていない。
また、特開2004−313850号公報(特許文献3)には、薄型パネルの処理方法として、パネルの周縁を切断し、2枚の基板に分離した後、ガラス表面を電着ホイールで切削してガラスを再利用する方法が開示されている。しかしながら、特許文献3には、薄型パネルをリサイクルするための薄型テレビの解体方法および解体装置などについては記載されていない。
さらに、特開平6−168253号公報(特許文献4)には、薄型テレビ製品の一部に解体方法や使用材料情報をバーコードで表示して、リサイクルプラントで解体される際に、解体ライン入口でバーコードなどを読み取り、解体作業を展開する方法およびシステムが開示されている。しかしながら、特許文献4には、具体的な製品の解体方法、装置については記載されていない。
特開2004−342550号公報 特開2001−305502号公報 特開2004−313850号公報 特開平6−168253号公報
薄型テレビは、省電力・省資源に貢献でき、デジタル放送の受像に適したテレビ受像機であるので、地球環境問題への注目が高まり、テレビ放送のデジタル化に伴って、急激に生産量が増大するとともに、その表示面積も大型化することが予測され、これに伴って、今後、廃棄される薄型テレビも、数・量ともに急激に増大すると予想される。
薄型テレビは、プラスチックの他に、ガラス、液晶材料、希少金属であるインジウムなどの金属といった部品・材料から構成されている。薄型テレビを適切に解体し、部品・材料ごとに回収した後、部品・材料を素材ごとに分別することにより元の素材へ再生利用し、資源の有効利用を図ることが可能である。
従来では、薄型テレビのリサイクルのための適切な解体方法が確立されておらず、ブラウン管テレビその他の家電製品や部品と比較して技術確立などが遅れているのが実情である。したがって、今後、廃棄される薄型テレビの増加に備えたリサイクルのための解体方法の確立が早急に要求される。
さらに、バックライトを有する薄型テレビは、有害物質である水銀を使用しているものがあるため、解体に際しては、水銀の大気中への漏洩を防止し、安全に処理することが望まれている。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、解体作業が安全で効率的であり、有害物質である水銀を安全に処理でき、資源の有効利用を図ることができる薄型テレビの解体方法およびそのための解体装置を提供することである。
本発明の薄型テレビの解体方法は、バックライトを備える薄型テレビを解体する方法であって、薄型テレビからキャビネットを分離して、薄型パネルモジュールを得る工程と、薄型パネルモジュールを、バックライトシャーシ組品と薄型パネルユニットとに分離する工程と、バックライトシャーシ組品を解体する工程と、薄型パネルユニットを解体する工程とを含むことを特徴とする。
本発明の解体方法において、前記バックライトシャーシ組品を解体する工程と前記薄型パネルユニットを解体する工程とは、同時に並行して行われることが好ましい。
本発明の解体方法において、前記バックライトシャーシ組品を解体する工程と前記薄型パネルユニットを解体する工程は、それぞれ別の搬送手段を用いて、搬送しながら解体することが、好ましい。
また本発明の解体方法においては、前記薄型テレビからのキャビネットの分離は、薄型テレビの画像表示面を下方に配置した状態で行われることが好ましい。
本発明はまた、上述した本発明の解体方法を行うための装置であって、薄型テレビから分離されたバックライトシャーシ組品を載置して、搬送しながらバックライトシャーシ組品からバックライトを回収するまでの一連の作業を行うための搬送手段と、薄型パネルユニットを載置して、搬送しながら薄型パネルユニットからガラス基板を回収するまでの一連の作業を行うための搬送手段を備える薄型テレビの解体装置についても提供する。
本発明によれば、薄型テレビの外側から順に部品・材料ごとに取り出して解体する手順を採ることにより、効率的に薄型テレビを解体でき、リサイクルプラントでの薄型テレビの解体に特に有効な解体方法が提供される。このような本発明の薄型テレビの解体方法によれば、解体された部品・材料から効率的に資源を回収することができる。
また本発明によれば、薄型テレビに含有される有害物質である水銀を安全に処理することができる薄型テレビの解体方法についても提供することができる。このような薄型テレビの解体方法はまた、少ない労力とエネルギーを用いて、薄型パネルユニットに含まれる液晶を完全に回収することができるとともに、希少金属であるインジウムなどの金属を回収することができ、さらにガラスカレット(ガラス片)も再利用することができる。したがって、ほとんど廃棄物を排出しない経済的な薄型テレビの処理を可能とする。
また本発明は、上述した本発明の薄型テレビの解体方法を好適に行うための薄型テレビの解体装置についても提供することができる。このような本発明の薄型テレビの解体装置によれば、上述した本発明の薄型テレビの解体方法におけるバックライトを取り外す工程を安全に行うことができる。
図1は、本発明の薄型テレビの解体方法の好ましい一例を示すフローチャートである。本発明の解体方法は、薄型テレビからキャビネット(後キャビネットおよび前キャビネット)を分離して薄型パネルモジュールを得る工程(ステップS1−3およびステップS1−7)と、薄型パネルモジュールをバックライトシャーシ組品と薄型パネルユニットとに分離する工程(ステップS1−8)と、バックライトシャーシ組品を解体する工程(ステップS1−9)と、薄型パネルユニットを解体する工程(ステップS1−10)とを基本的に含む。また、本発明の解体方法は、図1に示す例のように、後キャビネットを取り外す工程(ステップS1−3)の前に薄型テレビの廃棄物を解体ラインへ搬入する工程(ステップS1−1)およびスタンドを取り外す工程(ステップS1−2)を含み、また、後キャビネットを取り外す工程(ステップS1−3)と前キャビネットと薄型パネルモジュールとを分離する工程(ステップS1−7)との間に、除塵工程(ステップS1−4)、ワイヤーハーネスを取り外す工程(ステップS1−5)、ならびに、制御基板を取り外す工程(ステップS1−6)をさらに含むことが好ましい。
このような本発明の解体方法によって、薄型テレビの外側から順に部品・材料ごと取り出して解体する手順を採ることにより、効率的に薄型テレビを解体でき、リサイクルプラントでの薄型テレビの解体に特に有効な解体方法が提供される。このような本発明の薄型テレビの解体方法によれば、解体された部品・材料から効率的に資源を回収することができる。
上記各工程の具体的な説明に先立ち、本発明の薄型テレビの解体方法に供される薄型テレビの典型的な構造について、まずは説明する。図2は、本発明に供される典型的な一例の薄型テレビである液晶テレビの構造を模式的に示す分解斜視図であり、また図3は、本発明に供される典型的な他の例の液晶テレビの構造を模式的に示す分解斜視図である。薄型テレビである液晶テレビの構造は、一般に、図2に示すような20インチ以上の大型の液晶テレビの場合と、図3に示すような20インチ未満の小型の液晶テレビとの大きく2つに分類される。
20インチ以上の大型の液晶テレビの場合、図2に示すように、後キャビネット1、スタンド2、前キャビネット3、ならびに、後キャビネット1と前キャビネット3との間に配置された制御基板4および薄型パネルモジュール5を基本的に備える。このうち、薄型パネルモジュール5は、バックライトシャーシ6、反射シート7、バックライトクリップ8、バックライト(蛍光灯)9、光学系シート10(プリズムシート、拡散シートなどから構成)、薄型パネルユニット11(液晶ドライバー基板11a、プラスチックケース11b、ベゼル11cおよびパネルガラス11dから構成)から構成されている。液晶材料や透明電極などは2枚のパネルガラス11dの間に封入されている。
一方、20インチ未満の小型の液晶テレビの場合、図3に示すように、後キャビネット16、スタンド17、前キャビネット18、ならびに、後キャビネット16と前キャビネット18との間に配置された制御基板19および薄型パネルモジュール20を基本的に備える。このうち、薄型パネルモジュール20は、バックライトシャーシ21、反射シート22、反射シートカバー22a、バックライト(蛍光灯)23、光学系シート24(プリズムシート、拡散シートなどから構成)、薄型パネルユニット25、反射ミラー26、導光板27から構成されている。
本発明の薄型テレビの解体方法は、図2、図3に示したいずれの構造の薄型テレビにも好適に適用することができる。図1に示す例の薄型テレビの解体方法は、廃棄された薄型テレビを解体ラインへ搬入する工程(ステップS1−1)と、スタンドを取り外す工程(ステップS1−2)と、後キャビネットを取り外す工程(ステップS1−3)と、除塵工程(ステップS4−1)と、ワイヤーハーネスを取り外す工程(ステップS1−5)と、制御基板を取り外す工程(ステップS1−6)と、前キャビネットと薄型パネルモジュールとを分離する工程(ステップS1−7)と、薄型パネルモジュールをバックライトシャーシ組品と薄型パネルユニットとに分離する工程(ステップS1−8)と、バックライトシャーシ組品を解体する工程(ステップS1−9)と、薄型パネルユニットを解体する工程(ステップS1−10)とを含む。上述したように本発明の解体方法は、薄型テレビからキャビネット(後キャビネットおよび前キャビネット)を分離して薄型パネルモジュールを得る工程(ステップS1−3およびステップS1−7)と、薄型パネルモジュールをバックライトシャーシ組品と薄型パネルユニットとに分離する工程(ステップS1−8)と、バックライトシャーシ組品を解体する工程(ステップS1−9)と、薄型パネルユニットを解体する工程(ステップS1−10)とを基本的に含んでいればよいが、外側の部品から一つ一つ部品ごとに確実に、薄型テレビを解体して部品を回収できることから、図1に示す例にようにステップS1−1からステップS1−10の各工程の全てを含むことが好ましい。以下、図1〜図3を参照しながら本発明の薄型テレビの解体方法について説明する。
〔1−1〕解体ラインへ搬入する工程
まず、薄型テレビを解体ラインへ搬入する(ステップS1−1)。搬入の方法としては、たとえば、廃棄された薄型テレビ31は、図4に示すような標準的なコンテナ32に、整然と収納されて、販売店または廃家電の集積場所から解体ラインに運搬される。搬入は、たとえば、図5に示すような、搬入ストッカ42、搬送手段43、読み取り装置44を備える搬入装置41を用いて行う。
搬入ストッカ42には、パレット45が配置されており、運搬された薄型テレビ31は1台ずつパレット45上に置かれる。このとき、薄型テレビ31は、画像表示面(ディスプレイ)を下方に配置して、パレット45上に載置される。パレット45は、表面は弾性を有する材料で形成された表面を有するものを用いると、薄型テレビ31を載置した際の衝撃をパレット45の表面で吸収し、薄型パネル31の破損を防ぐことができるため、好ましい。
搬入ストッカ42に搬入された薄型テレビ31は、その本体に予め施された標識が検知される。具体的には、図5に示されるように、搬入ストッカ42に載置された薄型テレビ31の本体にそれぞれ添付されたラベル33(好適にはリサイクル券)を、読み取り装置44を用いて読み取ることで実現できる。読み取り装置44としては、バーコードリーダーなどの従来公知の読み取り装置を用いることができる。
読み取り装置44で読み取られた情報は、解体に供される薄型テレビの解体情報として、パーソナルコンピュータに転送される。パーソナルコンピュータには、読み取り装置44から転送された情報に基づいて、薄型テレビの再商品化率などのデータ処理を行うことが可能なプログラムが格納されている。このような処理を施すことで、再資源化処理されるまでの薄型テレビのリサイクルトレースが確認できるとともに、再商品化率などのデータ処理が確実に行える。
搬入ストッカ42に搬入された薄型テレビ31は、パレット45の上に載置された状態でパレット45ごと搬送手段43へ移載される。ここで、搬送手段43としては、たとえば、ローラコンベアまたはベルトコンベアを用いることができる。コンベアのローラおよびベルトは弾性のある材質を用いることが望ましい。予めパレット45を搬送手段43上に載置しておき、このパレット45上に、コンテナ32から薄型テレビ31を直接搬入した場合には、上述した搬送手段43への移載は省略することができる。
当該ステップS1−1以降の薄型パネルモジュールをバックライトシャーシ組品と薄型パネルユニットとを分離する工程(ステップS1−8)までの一連の工程は、上述したように薄型テレビ31を搬送手段43上に載置した状態で、薄型テレビ31を搬送しながら行うことが好ましい。
〔1−2〕スタンドを取り外す工程
薄型テレビがスタンド(図2に示す例ではスタンド2、図3に示す例ではスタンド17)を備える場合には、このスタンドを取り外す(ステップS1−2)。スタンドの取り外しは、搬送手段43上で行ってもよいし、また、薄型テレビ31を搬送手段43から作業台に移載し、作業台上で行ってもよい。いずれの場合も、薄型テレビ31はパレット45に載置した状態でスタンドの取り外し作業を行うことが好ましい。スタンドの取り外し方法としては、具体的には、薄型テレビの本体とスタンドとを締結しているねじを電動ドライバーなどを用い手作業で外して、スタンドを取り外す。このようにして、まず、薄型テレビ31のスタンドが回収される。回収されたスタンドからは、含有されている金属およびプラスチックなどを再生し利用することができる。なお、スタンドを備えていない薄型テレビを本発明の解体方法に供する場合には、当該工程は省略できる。
〔1−3〕後キャビネットを取り外す工程
次に、薄型テレビ31の本体から、後キャビネット(図2に示す例では後キャビネット1、図3に示す例では後キャビネット16)を取り外す(ステップS1−3)。後キャビネットの取り外しは、搬送手段43上で行ってもよいし、また、薄型テレビの本体を搬送手段43から作業台に移載し、作業台上で行ってもよい。また、スタンドの取り外しと連続して、薄型テレビを移動させずに、後キャビネットの取り外しを行うこともできる。いずれの場合も、薄型テレビ31の本体をパレット45に載置した状態で、後キャビネットの取り外し作業を行うことが好ましい。後述の薄型パネルユニットを解体する工程における処理を施せるよう薄型テレビのガラスの破損を防止するため、この薄型テレビ31から後キャビネットを取り外す工程は、薄型テレビの画像表示面を下方に配置した状態で行うことが、好ましい。後キャビネットの取り外し方法としては、具体的には、薄型テレビの本体の後キャビネットと前キャビネットとを留めているねじ、スナップフィットを手作業で外して、後キャビネットを取り外す。このようにして後キャビネットが回収される。回収された後キャビネットは、素材ごとに分別され、元の素材へと再生利用される。
〔1−4〕除塵工程
次に、後キャビネットが取り外され、内部の制御基板および薄型パネルモジュールが露出した薄型テレビの内部に蓄積した、埃、塵などを除去する(ステップS1−4)。除塵作業は、薄型テレビをパレット45上に載置した状態で行うことが好ましい。除塵の方法としては、たとえば図6に示すように、フレキシブルホースを備えるエアブロー装置52を用いて手作業で塵を吹き飛ばす方法が挙げられる。また、吸引装置などを用いて塵を吸引することにより、薄型テレビの本体から埃、塵などを除去するようにしてもよい。除塵作業は、図6に示す例のように、局所排気装置53の下で行い、埃、塵の拡散を防止することが好ましい。このような除塵工程を行うことで、解体に従事する作業者の塵肺などの健康被害を防ぐことが可能となる。
〔1−5〕ワイヤーハーネスを取り外す工程
次に、ワイヤーハーネスを取り外す(ステップS1−5)。ワイヤーハーネスの取り外しは、搬送手段43上で行ってもよいし、また、搬送手段43から作業台に移載し、作業台上で行ってもよい。いずれの場合も、薄型テレビ31の本体をパレット45上に載置した状態でワイヤーハーネスの取り外し作業を行うことが好ましい。ワイヤーハーネスの取り外し方法としては、具体的には、電極間を結んでいるコネクタを外す、あるいは、ワイヤーハーネスを切断することによって、ワイヤーハーネスを取り外す。このようにしてワイヤーハーネスが回収される。回収されたワイヤーハーネスは、適切な処理を施すことにより、銅などの金属を再生して利用することができる。なお、後述する制御基板を取り外す工程(ステップS1−6)において、制御基板にワイヤーハーネスを付けた状態で回収する場合には、当該工程は省略できる。
〔1−6〕制御基板を取り外す工程
次に、制御基板(図2に示す例では制御基板4、図3に示す例では制御基板19)を取り外す(ステップS1−6)。制御基板の取り外しは、搬送手段43上で行ってもよいし、また、搬送手段43から作業台に移載し、作業台上で行ってもよい。いずれの場合も、薄型テレビ31の本体をパレット45上に載置した状態で、制御基板の取り外し作業を行うことが好ましい。制御基板の取り外し方法としては、具体的には、制御基板を固定している締結部品を手作業で外し、制御基板を取り外す。たとえば、ねじにより固定されている場合は、電動ドライバーなどを用いて、手作業でねじを取り外し、制御基板を取り外す。このようにして制御基板が回収される。回収された制御基板からは、銅などの金属を再生し利用することができる。なお、上述したワイヤーハーネスを取り外す工程(ステップS1−5)を省略して、当該工程にて、ワイヤーハーネスが付いたままの状態で制御基板を回収するようにしてもよい。当該工程を経た後の薄型テレビは、前キャビネットと薄型パネルモジュールとから構成されることになる。
〔1−7〕前キャビネットと薄型パネルモジュールとを分離する工程
次に、前キャビネット(図2に示す例では前キャビネット3、図3に示す例では前キャビネット18)と薄型パネルモジュール(図2に示す例では薄型パネルモジュール5、図3に示す例では薄型パネルモジュール20)とを分離する(ステップS1−7)。前キャビネットと薄型パネルモジュールとの分離は、搬送手段43上で行ってもよいし、また、搬送手段43から作業台に移載し、作業台上で行ってもよい。いずれの場合も、薄型テレビの本体はパレット45上に載置した状態で前キャビネットと薄型パネルモジュールとの分離作業を行うことが好ましい。なお、この前キャビネットと薄型パネルモジュールとの分離作業は、後述の薄型パネルユニットを解体する工程における処理を施せるよう薄型テレビのガラスの破損を防止するため、薄型テレビの画像表示面を下方に配置し、パレット上に載置した状態で行うことが好ましい。分離の方法としては、前キャビネットと薄型パネルモジュールとを固定しているねじ、スナップフィットなどを手作業で外し、前キャビネットを取り外す。このようにして前キャビネットと薄型パネルモジュールが回収される。前キャビネットは、素材ごとに分別し、元の素材へ再生利用することができる。薄型パネルモジュールは、後の解体工程で解体される。
〔1−8〕薄型パネルモジュールをバックライトシャーシ組品と薄型パネルユニットとに分離する工程
次に、上記ステップS1−7で前キャビネットと分離された薄型パネルモジュール(図2に示す例では薄型パネルモジュール5、図3に示す例では薄型パネルモジュール20)を、バックライトシャーシ組品と薄型パネルユニット(図2に示す例では薄型パネルユニット11、図3に示す例では薄型パネルユニット25)とに分離する(ステップS1−8)。バックライトシャーシ組品と薄型パネルユニットの分離は、搬送手段43上で行ってもよいし、または、搬送手段43から作業台に移載し、作業台上で行ってもよい。いずれの場合も、薄型テレビの本体をパレット45上に載置した状態で、バックライトシャーシ組品と薄型パネルユニットとの分離作業を行うことが好ましい。分離の方法としては、薄型パネルモジュールのスナップフィットやねじを手作業で外すことで、分離を行う。このとき、同時に、薄型パネルユニットを覆っているベゼル、プラスチックを手作業で取り外す。なお、「バックライトシャーシ組品」とは、バックライト(蛍光灯)、バックライトシャーシなどから構成される部品の組み合わせを指し、バックライトおよびバックライトシャーシ以外の構成部品としては、たとえば図2に示す例では反射シート7、バックライトクリップ8などが含まれ、また図3に示す例では反射シート22、反射シートカバー22a、反射ミラー26、導光板27などが含まれる。このようにして、薄型パネルユニットが回収される。回収されたバックライトシャーシ組品と薄型パネルユニットは、それぞれ専用搬送手段により後工程へと搬送され、それぞれバックライトシャーシ組品解体ラインと薄型パネルユニット解体ラインで同時並行して解体される。
〔1−9〕バックライトシャーシ組品を解体する工程
当該工程では、上記ステップS1−8で得られたバックライトシャーシ組品を解体する(ステップS1−9)。具体的には、バックライトシャーシ組品のねじ、クリップ、コネクタを手作業で外すことによってバックライトを取り外す。このようにして、バックライトおよびバックライトシャーシが回収される。バックライトシャーシ組品を解体する工程は、バックライトシャーシ組品を搬送手段上に載置して、バックライトシャーシ組品解体ライン上で搬送しながら一連の作業を行うことが好ましい。
薄型テレビには、省エネ・高効率の観点から、通常、直径3mm程度の細いガラス管を有するバックライトが用いられている。その結果、バックライトは、薄型テレビの解体作業中に余分な力が加わった場合などに割れやすくなっている。さらに、バックライトには水銀が封入されているが、解体作業中にバックライトが破損した場合には、解体に従事する作業者(解体作業者)が水銀を吸入する虞がある。水銀は、一度人体に取り込まれると、体外に排出されず、蓄積し、吐き気、下痢、不眠症、神経異常などの障害を起こすことが確認されている。
図7は、本発明におけるバックライトシャーシ組品を解体する工程(ステップS1−9)の好ましい例を模式的に示す図である。上述したようにステップS1−8において薄型パネルモジュールを分解して得られたバックライトシャーシ組品Tは、たとえば図2に示した構造の薄型テレビの場合には、図7に示すようにバックライト9、バックライトシャーシ6の他、反射シート7およびバックライトクリップ8の組み合わせから構成される。バックライトシャーシ組品Tは、通常、一方側に開口を有するように形成されたバックライトシャーシ6に、開口側から反射シート7が取り付けられ、さらにバックライトクリップ8によってバックライト9が取り付けられた構造を有する。したがって、バックライトシャーシ組品Tは開口部を有し、この開口部からバックライト9が露出した状態で得られる。
本発明におけるステップS1−9では、バックライトシャーシ組品Tの開口部を下方に配置した状態で、バックライト9をバックライトシャーシ6から取り外すことが好ましい。薄型テレビにおいて、バックライト9は、通常、バックライト保持手段(図7に示した例では、バックライトクリップ8)を介して、バックライトシャーシ6に保持される。そして、バックライト保持手段は、バックライトシャーシ6の外側において、係止部分(図7に示す例では、バックライトクリップ8のつめ8a)で係止されて、抜け落ちないように保持されている。したがって、バックライト保持手段のバックライトシャーシへの係止を外すための冶具をバックライトシャーシの外側から作用させることで、バックライトシャーシ組品の開口部を下方に配置した状態で、バックライトに触れることなく、バックライトをバックライトシャーシから取り外すことが可能となる。
図7に示す例では、たとえば、バックライトシャーシ6の底面と平行な平面を有する平板状の冶具61を用いて、バックライト保持手段のバックライトシャーシへの係止を外す。すなわち、このような冶具61を、開口部を下方に配置した状態(バックライトシャーシ6の底面は上方に配置される)のバックライトシャーシ組品Tに対し、バックライトシャーシ6の上方から(図中、白抜きの矢符で示す方向に)押し付ける(図7(a))。このようにして、バックライト保持手段(バックライトクリップ8)のバックライトシャーシ6の外側に露出している係止部分(バックライトクリップ8のつめ8a)を変形させることで、バックライト保持手段がバックライトシャーシ6から外れ、保持しているバックライト9ごと下方に落下する(図7(b))。
また、本発明におけるステップS1−9では、バックライトシャーシ組品の開口部をシート材料で封止して、バックライトシャーシ組品からバックライトを取り外すこともできる。バックライトシャーシ組品の開口部をシート材料で封止した状態で、バックライトを取り外すようにすることで、解体作業者がバックライトに封入された水銀に直接触ることがなくなり、また解体作業中にバックライトが破損した場合であっても水銀蒸気などが漏れにくい閉空間を簡単な構造で実現できるため水銀による解体作業者の被害を低く抑えることができ、安全性が向上された薄型テレビの解体方法が提供されるという格別の効果が奏される。
また、本発明におけるステップS1−9では、バックライトシャーシ組品の開口部を下方に配置した状態でバックライトシャーシ組品をトレーに載置して、バックライトシャーシ組品からバックライトを取り外すこともできる。トレーは、一方に開口を有し、バックライトシャーシ組品を収容し得る空間を有するものであれば特に制限されるものではなく、公知の適宜のトレーを用いることができる。ステップS1−8まで薄型テレビを載置していたパレット45をトレーとして用いることもできる。本発明におけるステップS1−9では、さらに、バックライトからトレー上に漏れ出た水銀を容器に回収処理するようにすることが、好ましい。また、上述のトレーおよび容器は冷却手段を備えることにより、蛍光管が破損した場合の水銀の蒸発量を抑えることができる。
バックライト保持手段のバックライトシャーシへの係止を外す方法は、図7に示した方法に制限されず、たとえばカッター、ニッパなどの刃物などの切断手段を用いてバックライト保持手段の係止部分を切断するようにしてもよい。また、グラインダー、ブラストなどの研磨手段を用いてバックライトの保持手段の係止部分を研磨除去するようにしてもよい。また、バックライトの保持手段の係止部分を研磨除去することで、バックライトの取り外しを行ってもよい。また、バックライトの取り外しは、バックライト保持手段の取り付けられている形態に応じ、バックライトシャーシの上方、側方などバックライトシャーシの外方において(上述した冶具61や切断手段などにより)外力を作用させることで、バックライトに直接触れることなく行うことができる。取り外されたバックライトは、バックライト保持手段(バックライトクリップ8)と一体となっている。回収したバックライトからは、たとえばバックライト保持手段を取り外し、適切な処理を施すことにより、水銀およびガラスを回収することができる。
上述した本発明の解体方法は、図1のフローチャートに示した手順に限定されるものではなく、図1に示されたうち必須のステップ以外のステップが省略されていてもよいし、順序が一部入れ替わっていてもよいし、また、図1に示されていないステップが必要により付加されていてもよい。なお、上述した説明では、図2に示した例の20インチ以上の大型の薄型テレビ(液晶テレビ)について解体する場合を主に例に挙げて説明してきたが、本発明の薄型テレビの解体方法および解体装置(後述)は、図3に示した例の20インチ未満の小型の薄型テレビ(液晶テレビ)の解体にも勿論好適に適用することができる。
〔1−10〕薄型パネルユニットを解体する工程
当該工程では、上記ステップS1−8で得られた薄型パネルユニットを解体する(ステップS1−10)。本発明の解体方法において、上述したバックライトシャーシ組品を解体する工程(ステップS1−9)と、この薄型パネルユニットを解体する工程(ステップS1−10)とを行う順序は特に制限されないが、解体時間を短縮し、効率的な作業を行うことができることから、これらの工程を同時並行して行うことが、好ましい。また、さらに解体時間を短縮でき、作業の効率性を向上できることから、本発明の解体方法においては、前記バックライトシャーシ組品を解体する工程(ステップS1−9)と前記薄型パネルユニットを解体する工程(ステップS1−10)とは、それぞれ別の搬送手段を用いて、搬送しながら解体することが、好ましい。
ここで、図8は、本発明の薄型テレビの解体方法における薄型パネルユニットの解体工程の一例を示すフローチャートである。薄型パネルユニットの解体工程は、図8に示す例のように、〔1〕亜ヒ酸含有ガラス基板選別工程(ステップS2−1)と、〔2〕偏光板剥離工程(ステップS2−2)と、〔3〕ガラス基板分離工程(ステップS2−3)と、〔4〕ガラス品種選別工程(ステップS2−4)と、〔5〕液晶回収工程(ステップS2−5)、〔6〕電極材料除去工程(ステップS2−6)と、〔7〕金属回収工程(ステップS2−7)と、〔8〕ガラス回収工程(ステップS2−8)とを含むことが、好ましい。これらの工程を含むことで、薄型パネルユニットのガラス基板に亜ヒ酸が含有される場合に、当該亜ヒ酸を含有するガラス基板を安全に処理することができる。また、少ない労力とエネルギーを用いて、かつ、安全に、液晶を完全に回収することができるとともに、透明導電膜に含まれる希少金属であるインジウムおよび電極材料を回収することができ、さらにガラスカレット(ガラス片)も再利用することができる。したがって、殆ど廃棄物を排出することなく、効率的に薄型パネルユニットを解体して材料を回収することができる。
上記各工程の具体的説明に先立ち、薄型パネルユニットの解体工程に供される薄型パネルユニットの典型的な構造について、まずは説明する。図9は、薄型パネルユニットの解体工程に供される典型的な一例の薄型パネルユニット201を模式的に示す断面図である。薄型パネルユニットの解体工程には、従来公知の適宜の構造の薄型パネルユニットを特に制限されることなく供することができる。上述した図2に示した例の薄型パネルユニット11、図3に示した例の薄型パネルユニット25は、たとえば、図9に示すような構造にて実現される。図9には、一例として、TFT(Thin Film Transistor)などのアクティブ素子(図示せず)を備えた薄型パネルユニット(液晶パネルユニット)201を示しているが、本発明には、TN(Twisted Nematic)液晶パネルユニット、STN(Super Twisted Nematic)液晶パネルユニットなどのデューティ液晶パネルユニットも勿論適用可能である。
図9に示す例の薄型パネルユニット201は、たとえば、対向配置された厚さ0.4〜1.1mm程度の2枚のガラス基板(カラーフィルタ側ガラス基板202a、TFT側ガラス基板202b)を備える。これらガラス基板202a,202bは、対向配置された側(内面側)に、周縁部に沿ってシール樹脂体(シール材)203が設けられ、互いに貼り合わされてなる。また、これらガラス基板202a,202bとシール樹脂体203とによって密封された領域には、液晶が封入され、厚さ4〜6μm程度の液晶層204が形成されている。また、各ガラス基板202a,202bの対向配置された側とは反対側(外面側)には、厚さ0.2〜0.4mm程度の偏光板205が粘着剤により貼着されている。さらに、薄型パネルユニットの周縁部には、液晶駆動用のドライバーICが接続されており、周縁部の外側がベゼル・プラスチックで覆われている(図示せず)。
ここで、図10は、図9に示した例の薄型パネルユニット201のカラーフィルタ側ガラス基板202aおよびその周辺を一部拡大して示す断面図である。典型的な薄型パネルユニット201では、図10に示すように、カラーフィルタ側ガラス基板202aの内面側に、カラーフィルタ206、反射防止膜207、透明導電膜208および配向膜209が形成されている。カラーフィルタ206は有機物を主体とした材料からなる。反射防止膜207は炭素を主成分とした薄膜などからなる。透明導電膜208はインジウムなどを含む薄膜からなる。配向膜209はポリイミドなどの有機物からなる。
また図11は、図9に示した例の薄型パネルユニット201のTFT側ガラス基板202bおよびその周辺を一部拡大して示す断面図である。典型的な薄型パネルユニット201では、図11に示すように、TFT側ガラス基板202bの内面側に、画素電極210、バス電極211、絶縁膜212、透明導電膜208および配向膜209が形成されている。透明導電膜208は、インジウムなどを含む薄膜からなる。画素電極210およびバス電極211はタンタル、モリブデン、アルミニウム、チタンなどの金属を主成分とする薄膜からなる。前記カラーフィルタ206、反射防止膜207、透明導電膜208、配向膜209、画素電極210、バス電極211および絶縁膜212の膜厚は、前記2枚のガラス基板202a,202bの厚さと比較して、十分に薄い。
以下、図8に示した例のフローチャートの手順にて、図9に示した例の薄型パネルユニット201を解体する場合を例に挙げて、各工程について詳細に説明する。
〔2−1〕亜ヒ酸含有ガラス基板選別工程
まず、薄型パネルユニットに用いられているガラス基板が、亜ヒ酸を含有するか否かを選別する(ステップS2−1)。なお、図8のフローチャートでは、この亜ヒ酸含有ガラス基板選別工程(ステップS2−1)を最初に行う場合を例示しているが、亜ヒ酸含有ガラス基板選別工程は後述するガラス回収工程(ステップS2−8)の前のいずれかのステップで行えばよく、この順序に限定されるものではない。たとえば、ガラス基板分離工程(ステップS2−3)の前、ガラス品種選別工程(ステップS2−4)の前、液晶回収工程(ステップS2−5)の前、電極材料除去工程(ステップS2−6)の前、金属回収工程(ステップS2−7)の前、ガラス回収工程(ステップS2−8)の前のいずれかに行うようにしてもよいが、後述の亜ヒ酸の安全な処理の観点から、最初に行うのが好ましい。また、後述するように、ガラス品種選別工程(ステップS2−4)より前に行うのが好ましい。
一般的に、薄型パネルユニットに用いられるガラス基板としては、Al23とB23を含む無アルカリガラスが使用され、SiO2、Al23、B23を含有している。また、その他の酸化物として、BaO、CaO、MgO、SrOを含むものがある。また、消泡剤として亜ヒ酸(三酸化二ヒ素:As23)または三酸化アンチモン(Sb23)が使用されているものがある。このうち、特に亜ヒ酸は、人体に対して強い毒性を持ち、飲み込むと生命に危険を及ぼすことが知られている。亜ヒ酸による症状としては、発癌性や消化管、心臓、骨格筋、呼吸器の障害を引き起こすことが知られている。人体に対する毒性の観点から、亜ヒ酸を含有するガラス基板はガラス製品などへ再生利用せずに、安全な処理を施すことが好ましい。そのため、亜ヒ酸を含有するガラス基板は、できるだけ早い段階で選別し、安全な処理を施すことが好ましい。
薄型パネルユニットの中には、貼り合わされた2枚のガラス基板202a,202bのどちらか一方が亜ヒ酸を含有し、もう一方は亜ヒ酸を含有しない場合がある。この場合も、ガラス基板を分離する工程(後述するステップS2−3)などにおいて、亜ヒ酸を含有する方のガラス基板から亜ヒ酸が飛散し、作業に従事する者の健康を害する虞があるため、2枚を1組として、亜ヒ酸含有ガラス基板として選別し、安全な処理を施すことが望ましい。
亜ヒ酸含有ガラス基板の選別方法としては、上述した人体に対する毒性の観点から、まず、亜ヒ酸を含有するガラス基板と亜ヒ酸を含有しないガラス基板とに選別する。選別した亜ヒ酸含有ガラス基板は、分別回収し、亜ヒ酸を安全に処理する。たとえば、そのまま、非鉄精錬所などの脱ヒ素設備を有する施設で、亜ヒ酸成分を取り除きヒ素を安全に回収する。また、たとえば、鉛精錬所などでヒ素製品の製造原料として利用することができる。いずれも、亜ヒ酸の環境中への拡散などを防ぐことができ、安全な処理が可能となる。また、亜ヒ酸を含有しないガラス基板は、後述するガラス品種選別工程に供され、資源としてリサイクルされる。これにより、有害物質である亜ヒ酸を安全に処理しつつ、亜ヒ酸を含有しないガラス基板については、資源として有効に利用することが可能となる。
亜ヒ酸含有ガラス基板を選別する具体的方法としては、たとえば、蛍光X線による組成分析が挙げられる。ガラス基板にX線を照射すると、当該ガラス基板が亜ヒ酸を含有する場合には、ヒ素元素特有の性質を有するX線(特性X線)が発せられる。このX線を検出することで、ガラス基板が亜ヒ酸を含有するか否かを判断することが可能となる。また、ヒ素の特性X線強度から、たとえば検量線法、ファンダメンタルパラメータ法などの公知の方法によりヒ素含有濃度を導出することができる。ガラス基板が亜ヒ酸を含有しているか否かは、たとえば、導出されたヒ素含有濃度がたとえば10ppm以上であれば、当該ガラス基板が亜ヒ酸を含有しているものと判断することができる。
ここで、図12は、ガラス基板の蛍光X線分析結果を示すグラフであり、図12(a)は亜ヒ酸を含有しないガラス基板A、図12(b)は亜ヒ酸を含有しない、ガラス基板Aとは別のガラス基板B、図12(c)は亜ヒ酸を含有するガラス基板Cについての蛍光X線分析の結果をそれぞれ示している。図12(c)から、ガラス基板Cについての蛍光X線分析の結果、ヒ素の特性X線に該当するエネルギーのX線がカウントされており、ガラス基板Cには、亜ヒ酸が含まれていることが分かる。また図12(a)、(b)から、ガラス基板A、Bについての蛍光X線分析の結果では、ヒ素の特性X線に該当するエネルギーのX線はカウントされておらず、ガラス基板A、Bには亜ヒ酸が含まれていないことが分かる。
前記蛍光X線分析は、図9に示した例のように薄型パネルユニット201が偏光板205を有する場合は、表面に偏光板205を有する状態のままで、偏光板205上からガラス基板202a,202b上にX線を照射し、分析するのが望ましい。偏光板205は、通常、厚みが0.2〜0.4mm程度であり、たとえば、30keV以上のエネルギーのX線を照射した場合、X線は偏光板205を透過するため、ガラス基板202a,202bの蛍光X線分析は可能である。また偏光板205は、通常、プラスチック材料からなり、炭素、酸素などが含まれるが、これら軽元素から発生する特性X線のエネルギーは、ヒ素から発生する特性X線のエネルギーと比較し、非常に小さいため、亜ヒ酸の検出の阻害要因とはならない。そのため、亜ヒ酸含有ガラス基板の選別のための蛍光X線分析は、偏光板205を有する状態の薄型パネルユニット201にX線を照射し、分析することが可能である。これによって、偏光板を有する状態で亜ヒ酸の含有を選別し、亜ヒ酸含有ガラス基板については上述のように安全な処理を施すことができるため、亜ヒ酸含有ガラス基板が後述する偏光板剥離工程(ステップS2−2)に供されることはなくなり、偏光板を剥離する際におけるガラス基板の破損により、亜ヒ酸が人体に取り込まれるのを防ぐことが可能となる。
また、当該工程においては、薄型パネルユニット周縁部のガラスの露出した部分、たとえば、ドライバーICの接続部近辺にX線を照射して、蛍光X線分析を行うようにしてもよい。ドライバーICは、通常、ガラス基板上に形成された配線に導電性の接着剤を使用して接続されており、この接続部は、偏光板で覆われずにガラス基板が露出している。したがって、ドライバーIC周辺はガラス基板に直接X線を照射することができ、発せられる特性X線を高感度で検出することが可能である。しかしながら、亜ヒ酸を検出するための通常の蛍光X線分析に対しては、偏光板上からでも分析は可能なため、必ずしもガラス基板に直接X線を照射する必要はない。
前記蛍光X線分析の際、照射するX線エネルギーは30keV以上とすることが望ましい。薄型パネルユニット201は、通常、0.4〜0.7mmの2枚のガラス基板が貼り合わされ、その表面に0.2〜0.4mmの偏光板が貼り付けられた構造をしており、したがって厚みは、1.2〜2.2mmである。30keV以上のX線を照射した場合、X線は薄型パネルユニットを透過する。そのため、蛍光X線の組成分析としては、貼り合わされた2枚のガラス基板を同時に分析することになる。したがって、2枚のガラス基板のうちどちらか一方が亜ヒ酸を含む場合は、ヒ素元素が検出される。上述したように、2枚のガラス基板のうち一方が亜ヒ酸を含む場合も、リサイクルのための処理をすると、作業中にガラス基板の切削屑、研磨屑などのガラス成分が飛散し、人体に取り込まれる虞があるため、リサイクルのための処理を施すことなく安全にヒ素を処理するようにすることが好ましい。30keV以上のエネルギーを有するX線を照射することで、貼り合わされた2枚のガラス基板の両方が亜ヒ酸を含むものと貼り合わされた2枚のガラス基板のうちどちらか一方が亜ヒ酸を含むものとの両者を一度の蛍光X線分析で選別できるため、効率的なリサイクルが可能となる。
なお、X線は薄型パネルユニットを容易に透過するため、蛍光X線分析の際のX線の照射は、カラーフィルタ側ガラス基板202a側、TFT側ガラス基板202b側のどちらからでもよい。
また、亜ヒ酸含有ガラス基板の選別に用いる蛍光X線として、エネルギー分散型の蛍光X線を使用することが好ましい。エネルギー分散型蛍光X線分析では、発せられた特性X線をX線センサにてエネルギーごとにカウントすることで、ガラス基板にどのような元素がどのような割合で含まれているかを測定(分析)することができる。そのため、波長分散型蛍光X線分析と比較して、高速の組成分析が可能となる。これにより、短時間で効率的なガラス基板の選別が可能となる。
また蛍光X線分析は、大気中で行うことが望ましい。蛍光X線分析を大気中で行った場合、低エネルギーのX線は空気により吸収されるため、特性X線のエネルギーが低い軽元素の検出感度は低くなる。しかしながら、ヒ素元素から発生した特性X線は空気による吸収の影響が殆どないため、亜ヒ酸の検出に関しては大気中で行うことが可能である。大気中で蛍光X線分析を行うことで、真空中で行う場合とは異なり排気のための時間が不要なため、分析の効率が向上する。
また、亜ヒ酸含有ガラスの選別のための蛍光X線分析の際の薄型パネルユニット上のX線照射面積は、1cm2以上とすることが望ましい。X線の照射時間は1秒から60秒であることが望ましい。
ここで、図13は、亜ヒ酸含有ガラス基板選別工程に好適に用いられ得る蛍光X線分析装置240,240’を概念的に示す図である。図13には、たとえば、X線発生装置241と、蛍光X線管242と、半導体検出器243と、計数・演算装置244と、記録表示装置245と、搬送手段246(図13(a))または搬送手段246’(図13(b))とを基本的に備える、エネルギー分散型の蛍光X線分析装置240,240’が示されている。なお、図示していないが、本発明における亜ヒ酸含有ガラス基板選別工程には、X線単色化素子、X線保安機構を備えた蛍光X線分析装置がより好適に用いられ得る。
蛍光X線による組成分析は、薄型パネルユニット201を搬送手段246,246’上に載置したままの状態で分析を行うインライン方式を採用することが好ましい。この場合、薄型パネルユニット201を搬送手段246,246’上に搬送し、X線照射ポイントに来た時点で、搬送を停止し、薄型パネルユニット201を静止状態にする。蛍光X線を使用した場合の組成分析は、1秒から60秒で可能であるので、搬送装置246,246’上に薄型パネルユニット201を載置した状態でX線を照射し、組成分析を行うことができる。これにより、バッチ方式で分析する場合と比較して、蛍光X線分析を行うために薄型パネルユニット201を移載する工程を省略できるため、処理効率が向上する。
X線の照射は、図13(a)に示す例のように、搬送装置246上に薄型パネルユニット201を載置した状態でX線を上方から照射するようにしてもよいし、図13(b)に示す例のように、搬送装置246’上に薄型パネルユニット201を載置した状態でX線を下方から照射するようにしてもよい。図13(a)に示す例のように上方からX線を照射する場合、搬送装置246の材料までX線が到達し、当該搬送装置246の材料の形成元素まで検出してしまう場合がある。そのため、搬送装置246を形成するローラ、ベルトなどの材質としては、金属元素を含有しないポリプロピレンなどのプラスチック材料を使用するのが望ましい。搬送装置246に金属元素を含有しない材料を用いることにより、亜ヒ酸検出への影響を防ぐことができる。また、図13(b)に示す例のように、下方からX線を照射する場合、X線が薄型パネルユニット201を透過し、薄型パネルユニット201上の空間に達しても空気以外の影響を受けることがないため、分析精度の向上を図ることができる。
また、図14は、亜ヒ酸含有ガラス基板選別工程に好適に用いられ得る他の例の蛍光X線分析装置240’’を概念的に示す図である。亜ヒ酸含有ガラス基板選別工程では、図14に示すような蛍光X線分析装置240’’を用いて、搬送装置246’’による搬送を停止せず、薄型パネルユニット201、蛍光X線管242、半導体検出器243を同じ速度で移動させることで、分析することもできる。これにより、薄型パネルユニット201、蛍光X線管242、半導体検出器243の相対的な位置は固定されているので、搬送を止めずに分析箇所を固定したまま蛍光X線分析を行うことができ、蛍光X線管、半導体検出器、搬送装置の位置が変わり分析箇所が移動することによる分析精度の低下を防ぐことができる。また、図14に示す例のように搬送しながら蛍光X線分析を行うことで、処理効率の向上が図れる。
また、亜ヒ酸含有ガラス基板選別工程では、携帯型の蛍光X線分析装置を用いて蛍光X線分析を行うようにしてもよい。携帯型蛍光X線分析装置も、図13(a)または図13(b)に示したような、X線発生装置241、蛍光X線管242、半導体検出器243、係数・演算装置244、記録表示装置245、搬送装置246または搬送装置246’を基本的に備える。携帯型蛍光X線分析装置は、作業に従事する者によるハンドキャリーが可能であり、装置を目的試料に移動させ、X線を照射することが可能である。携帯型の蛍光X線分析装置を使用した場合は、搬送装置上にある薄型パネルユニットに対して、特定の位置に限らず、X線を照射することが可能となる。分析の方法としては、薄型パネルユニットのガラス基板に、偏光板上からX線を照射する。携帯型の蛍光X線分析装置を用いて蛍光X線分析を行う場合にも、上述したように、大気中で蛍光X線分析を行うのが好ましい。
なお、ガラスの化学組成を品種ごとに予め調べておき、蛍光X線分析の測定値と比較して全く一致する場合には、2枚のガラス基板が同一品種のガラス基板であることになる。この場合、亜ヒ酸の含有の有無と同時に、ガラス基板のガラス品種を選別することも可能となる。この場合には、亜ヒ酸を含有しないガラス基板について、後述するガラス品種選別工程(ステップS2−4)を省略することも可能である。
また、たとえば、薄型パネルユニット201にガラス基板の亜ヒ酸の有無についての表示を設けることによって、亜ヒ酸含有ガラス基板を選別するようにしてもよい。ここで図15は、亜ヒ酸有無の表示を設ける場合を模式的に示す斜視図である。図15には、図9に示した例の薄型パネルユニット201の斜視図を示している。たとえば図15に示すように、ガラス基板202a,202bの少なくとも一方(図15に示す例では、カラーフィルタ側ガラス基板202a)に、亜ヒ酸有無表示251を設ける。亜ヒ酸有無表示251は、亜ヒ酸の有無に関する情報を印刷したシールなどを貼着したり、または文字・記号・バーコードなどの印刷もしくは刻印、または表面加工によってガラス基板に設けることが可能である。この亜ヒ酸有無表示251を識別することで、ガラス基板の亜ヒ酸の有無を短時間で、確実に、かつ経済的に選別することができる。
〔2−2〕偏光板剥離工程
図9に示したように、各ガラス基板202a,202bの外面側に偏光板205が貼着された薄型パネルユニット201の場合には、偏光板205を剥離する工程を含むことが好ましい(ステップS2−2)。なお、図8のフローチャートでは、この偏光板剥離工程(ステップS2−2)を亜ヒ酸含有ガラス基板選別工程(ステップS2−1)とガラス基板分離工程(ステップS2−3)との間に行う場合を例示しているが、偏光板剥離工程は後述するガラス回収工程(ステップS2−8)の前のいずれかのステップで行えばよく、この順序に限定されるものではない。たとえば、ガラス品種選別工程(ステップS2−4)の前、液晶回収工程(ステップS2−5)の前、電極材料除去工程(ステップS2−6)の前、金属回収工程(ステップS2−7)の前、ガラス回収工程(ステップS2−8)の前のいずれかに行うようにしてもよい。また、偏光板を有しない薄型パネルユニットの場合には、この偏光板剥離工程を省略しても勿論よい。
偏光板205の剥離は、機械的な手法によって行うことができる。機械的な手法によって偏光板205を剥離することで、液晶回収前に当該偏光板剥離工程を行った場合(たとえば、上述のようにガラス品種選別工程(ステップS2−4)の前、液晶回収工程(ステップS2−5)の前に行う場合)であっても、液晶を加熱処理しないため、加熱処理による液晶の変質を防止でき、液晶を高品質な状態で回収することが可能となる。偏光板205の剥離は、たとえば手作業で行ってもよく、また市販の偏光板剥離装置を用いるようにしてもよい。
〔2−3〕ガラス基板分離工程
次に、貼り合わされたガラス基板202a,202bを、2枚に分離する(ステップS2−3)。分離方法としては、たとえばシール樹脂体203を加熱する方法、ガラス基板202a,202bの周縁部を切断する方法などが挙げられる。ガラス基板202a,202bを分離すると、ガラス基板202a,202bの隙間に封入されていた液晶層204が表面に露出する。
シール樹脂体203を加熱して分離する方法では、シール樹脂体203を加熱し、シール樹脂体203の強度を低下させることにより分離する。上述したように、ガラス基板202a,202bは、通常、対向配置された側(内面側)に、周縁部に沿ってシール樹脂体203が設けられ、互いに貼り合わされてなる。シール樹脂体203としては、通常、エポキシ系樹脂などが用いられ、加熱することでシール樹脂体203の強度を低下させることができる。シール樹脂体203の加熱温度としては、シール樹脂体203の形成材料に応じて適宜選択することができ、特に制限されるものではないが、たとえばエポキシ系樹脂のシール樹脂体203の場合には、300℃以上が望ましく、400℃以上がより望ましい。加熱の方法としては、たとえば、ランプ加熱、赤外線加熱、ヒートプレスなどが挙げられる。加熱によりシール樹脂体203の強度を低下させることで、手作業で容易にガラス基板202a,202bを分離することが可能となる。
また、ガラス基板202a,202bの周縁部を切断することによってガラス基板202a,202bを分離する場合には、ガラス基板202a,202bの内側の四辺を切断することで、それぞれ1枚ずつガラスを切り出すようにすればよい。ガラス基板202a,202bの切断には、たとえばガラスカッター、ダイヤモンドソー、スクライバーなどを用いることができる。
また、ガラス基板の分離と同時に、薄型パネルユニットに接続されているドライバーICを取り外す。ドライバーICは、通常、薄型パネルユニットの周縁部に、導電性の接着剤を用いて、接続されている。取り外しの方法としては、手作業で、ドライバーICを引き剥がす。導電性の接着剤の接着力は弱いため、外力を加えることにより接続部を容易に引き剥がすことができる。また、カッターナイフのような刃物で接続部を切断することもできる。取り外したドライバーICは、非鉄精錬所などで適切な処理を施すことで、含有される金属を回収することができる。ドライバーICは、手作業で容易に取り外すことが可能なため、このドライバーICの取り外しは、ガラス回収工程(ステップS8)の前のいずれの工程で行ってもよい。また、ガラス基板202a,202bの周縁部を切断することによってガラス基板202a,202bを分離する場合には、ドライバーICも同時に取り外される。
〔2−4〕ガラス品種選別工程
薄型パネルユニットに用いられるガラス基板202a,202bは、ガラスメーカによって、あるいはガラス品種、品番などによって組成が異なる。したがって、回収したガラス基板202a,202bをたとえばガラス基板用の材料として再利用するためには、多種多様なガラス基板を品種別に選別することが必要となる。また、回収したガラス基板202a,202bをたとえば一般ガラス用の材料として再利用する場合にも、ある程度、ガラス基板202a,202bを品種別に選別することが要求される場合がある。後述のガラス回収工程で、異なった品種のガラス基板が混在したままガラスとして再生利用する場合には、このガラス品種選別工程は省略することができる。
ガラス品種の選別は、貼り合わされた2枚のガラス基板を分離した後、それぞれのガラス基板について行う。これは、カラーフィルタ側ガラス基板202aとTFT側ガラス基板202bのガラス品種が異なる場合があるためである。
なお、図8のフローチャートでは、このガラス品種選別工程(ステップS2−4)をガラス基板分離工程(ステップS2−3)と液晶回収工程(ステップS2−5)との間に行う場合を例示しているが、ガラス品種選別工程はガラス基板分離工程(ステップS2−3)と後述するガラス回収工程(ステップS2−8)との間のいずれかのステップで行えばよく、この順序に限定されるものではない。たとえば、電極材料除去工程(ステップS2−6)の前、金属回収工程(ステップS2−7)の前、ガラス回収工程(ステップS2−8)の前のいずれかに行うようにしてもよい。なお、ガラス品種選別工程は、上述した亜ヒ酸含有ガラス基板選別工程(ステップS2−1)より後に行うことが好ましい。亜ヒ酸含有ガラス基板は、リサイクルに供することができないため、亜ヒ酸を含有しないガラス基板のみについて品種別の選別を行った方が効率がよいためである。なお、上述したように亜ヒ酸含有ガラス基板選別工程で、亜ヒ酸含有の有無と同時にガラスの品種が選別されている場合には、ガラス品種選別工程は省略することができる。
ガラス基板の品種別の選別には、たとえば、上述した亜ヒ酸含有ガラス基板選別工程(ステップS2−1)と同様、蛍光X線による組成分析を用いることができる。上述のように、薄型パネルユニット用のガラス基板は、無アルカリガラスが使用され、SiO2、Al23、B23を含有している。また、その他の酸化物として、BaO、SrO、CaO、MgOを含むものがある。これら含有物の組成を分析することにより、ガラス基板を品種別に選別することが可能である。たとえば、ガラス基板の組成を蛍光X線により分析し、ガラス基板の品種ごとの化学組成を予め調べておき、それらの値とガラス基板の測定値を比較することにより、ガラス基板の品種を同定・選別することができる。またガラス基板の品種の同定・選別は、ガラスの品種ごとの特徴から、一部の元素にかかる測定値のみを比較することによっても可能である。
上述した図12には、ガラス基板の蛍光X線分析結果を示しているが、図12(a)に示されたガラス基板AについてはBaの特性X線に該当するエネルギーのX線がカウントされているのに対し、図12(b)に示されたガラス基板BについてはBaの特性X線に該当するエネルギーのX線は殆ど検出されていない。以上の結果から、ガラス基板の品種の同定・選別は、ガラス基板の品種ごとの特徴から、一部の元素にかかる蛍光X線の測定値を比較することによって可能であることが分かる。
ガラス品種の選別に用いる蛍光X線も、エネルギー分散型の蛍光X線を使用することが好ましい。エネルギー分散型の蛍光X線を用いた蛍光X線分析では、発せられた特性X線をX線センサにてエネルギーごとにカウントすることで、ガラス基板にどのような元素がどのような割合で含まれているかを測定(分析)する。そのため、エネルギー分散型の蛍光X線を用いることにより、一度の多元素の分析が可能となり、短時間で効率的なガラスの選別が可能となる。
なお、ガラス品種選別工程の際の蛍光X線分析は、大気中で行うことが望ましい。上述したように、蛍光X線分析を大気中で行った場合、低エネルギーのX線は空気により吸収されるため、特性X線のエネルギーが低い軽元素の検出感度は低くなる一方で、Ba、Srなどの元素から発せられる特性X線は、空気による吸収の影響が殆どないため、これらの元素に着目すれば、大気中でガラス基板の品種別の選別を行うことが可能であるためである。大気中で蛍光X線分析を行うことで、真空中で蛍光X線分析を行う場合と比較して、排気のための時間が不要であるため、分析の効率が向上する。
また、ガラス基板の品種別の選別のための蛍光X線分析の際の薄型パネル上のX線照射面積は、1cm2以上とすることが望ましい。X線の照射時間は1秒から60秒であることが望ましい。
上述の亜ヒ酸含有ガラス基板選別工程(ステップS2−1)と同様、蛍光X線分析は、搬送装置上でインライン方式で行うことができる。この場合、たとえば図13に示したように薄型パネルユニット201を搬送装置246または搬送装置246’上に載置して搬送し、X線照射ポイントに来た時点で、搬送を停止し、薄型パネルユニット201を静止状態にして蛍光X線分析を行うようにする。また、図14に示した例にように、搬送を停止せず、蛍光X線管242、半導体検出器243、搬送装置246’’を同じ速度で移動することにより、分析することもできる。
またX線の照射は、図13に示したように、搬送装置246,246’上に薄型パネルユニット201を載置した状態で、上方(図13(a))、下方(図13(b))のいずれからであってもよい。上述したように、搬送装置246の上方からX線を照射する場合(図13(a))には、搬送装置246の材料までX線が到達し、当該搬送装置246の材料の形成元素まで検出する場合があるため、搬送装置246を形成するローラ、ベルトなどの材質としてはポリプロピレンなどの金属元素を含有しないプラスチック材料を使用するのが望ましい。これによりガラス基板の組成分析への影響を防ぐことができる。また、図13(b)に示した例のように搬送装置246’の下方からX線を照射した場合には、X線は薄型パネルユニットを透過しても空気以外の影響を受けることがないため、分析精度の向上を図ることができる。
また、ガラス品種選別工程でも、携帯型の蛍光X線分析装置を使用した蛍光X線分析を行ってよい。上述したように、携帯型蛍光X線分析装置も、図13に示したような、X線発生装置241、蛍光X線管242、半導体検出器243、係数・演算装置244、記録表示装置245、搬送装置246または搬送装置246’を基本的に備える。分析の方法としては、薄型パネルユニットのガラス基板に、偏光板上からX線を照射する。この際、上述したように、大気中で蛍光X線分析を行うのが好ましい。
また、薄型パネルユニットのガラス基板を品種別を選別する方法として、上述した亜ヒ酸含有ガラス基板の選別方法と同様に、薄型パネルにガラス品種の表示を設けることによって行うことができる。たとえば、図15における亜ヒ酸有無表示251の代わりにガラス品種表示として、ガラス品種についての情報を印刷したシールなどを貼着したり、または文字・記号・バーコードなどの印刷もしくは刻印、または表面加工によってガラス基板に設けることが可能である。ガラス品種表示は、ガラスメーカ、ガラス品種などの情報が表示されているのが好ましい。このガラス品種表示を識別することで、ガラス基板を種類(品種)別に短時間で、確実に、かつ経済的に選別することができる。
〔2−5〕液晶回収工程
次に、上述のようにして分離されたガラス基板202a,202b上に露出する液晶を回収する(ステップS2−5)。ここで、図16は、液晶回収工程に好適に採用され得る、液晶の回収方法の一例を模式的に示す図である。液晶は、たとえば、ガラス基板202a,202bの表面を液晶回収用のスクレーパ261を用いてスクレーピングすることによって回収することができる(図16には、カラーフィルタ側ガラス基板202a側の液晶を回収する場合を示している。)。液晶回収用のスクレーパ261としては、ガラス基板202a,202b上に形成されている配向膜209よりも柔らかいポリプロピレンゴム、ポリエチレンゴムなどで形成されたスクレーパを好適に用いることができる。また、ゴム製のスキージを用いることにより、配向膜209を削り取らずに液晶のみを回収することができる。また、液晶を有しない薄型パネルユニットの場合には、この液晶回収工程を削除しても勿論よい。
〔2−6〕電極材料除去工程
次に、ガラス基板202a,202bの内面側に形成されたカラーフィルタ206、反射防止膜207、透明導電膜208、配向膜209、画素電極210、バス電極211および絶縁膜212などの電極材料を含む薄膜(カラーフィルタ側ガラス基板202aの側では、カラーフィルタ206、反射防止膜207、透明導電膜208および配向膜209などの薄膜、TFT側ガラス基板202bの側では、透明導電膜208、配向膜209、画素電極210、バス電極211および絶縁膜212などの薄膜)をガラス基板から剥離して除去し、金属およびガラス基板を回収する(ステップS2−6)。
上述した薄膜を剥離する方法としては、たとえば、サンドブラストを用いることができる。サンドブラストを採用する場合、研磨剤粒子をガラス基板202a,202bに勢いよく吹き付けて、上述した電極材料を含む薄膜をそれぞれ除去する。ここで、図17は、電極材料除去工程に好適に採用され得る薄膜の除去方法の一例を模式的に示す図である。なお、図17は、カラーフィルタ側ガラス基板202aの例を示している。図17に示すように、カラーフィルタ側ガラス基板202aに研磨剤粒子をブラストガン271により吹き付けると、カラーフィルタ側ガラス基板202aの内面側に形成されているカラーフィルタ206、反射防止膜207、透明導電膜208および配向膜209を全て除去することができる。また、カラーフィルタ側ガラス基板202aと同様にブラストガン271によりTFT側ガラス基板202bに研磨剤粒子を勢いよく吹き付けることで、TFT側ガラス基板202bの内面側に形成された透明導電膜208、配向膜209、画素電極210、バス電極211および絶縁膜212を除去することができる。研磨剤粒子としては、アルミナ、炭化ケイ素(SiC)などのセラミクスを用いることができる。研磨剤粒子の粒径は、50〜500μmの範囲内であることが好ましいが、この限りではない。
サンドブラストによりカラーフィルタ側ガラス基板202aおよびTFT側ガラス基板202bの内面側から除去された薄膜を含む研磨屑は、ガラス基板材料と、TFTの電極材料に使用されているアルミニウムなどの金属と、カラーフィルタなどに使用されている有機物と、希少金属であるインジウムやスズなどを含む金属酸化物粉末などからなる金属含有粉末と、サンドブラストに用いた研磨剤粒子との混合物として回収される。ブラストした際にガラス表面をガラスごと削り取るため、前記金属含有粉末は、微小なガラス片を含むが、亜ヒ酸含有ガラス基板選別工程(ステップS2−1)で亜ヒ酸を含有するガラス基板は既に除かれているため、作業に従事する者の人体に対する悪影響は、防止されている。この混合物から、まず、分級によって研磨剤粒子を分離する。分離した研磨剤粒子は、サンドブラストに再使用することができる。
研磨剤粒子を分離するための分級には、サイクロン式分離装置を用いることが好ましい。ここで、薄型パネルユニットに用いられるガラス基板の比重は、通常、2.3〜2.6である。それに対し、たとえば研磨剤粒子にアルミナを使用した場合、アルミナの比重は3.97であり、またSiCを使用した場合、SiCの比重は3〜3.2である。上述のように、金属含有粉末は、微小なガラスに金属や有機物、金属酸化物が付着したままの状態であるため、サイクロン式分離装置を用いてガラスと研磨剤粒子とを分離することにより、比重差によって、金属、有機物、金属酸化物はガラスとともに研磨剤粒子と分離される。
図18は、電極材料除去工程に好適に用いられるサイクロン式分離装置280を模式的に示す図であり、図18(a)は上面図、図18(b)は断面図である。図18に示すように、粉末導入口281から導入された粉末を含む気流は、装置内面の側面に沿って旋回しながら下方へと流れ、装置下部の円錐部で加速される。加速された気流は、装置下端に達し反転上昇する。上昇した気流は、中央部を同一方向に旋回し、排出口282から排出される。このとき、比重の大きい研磨剤粒子は、遠心力によって分離され、側面に沿って落下し、沈降する。沈降した研磨剤粒子は、排出口282から排出される。比重の小さい液晶ガラスを主成分とする金属含有粉末は、気流とともに上昇し、排気口283から排出される。また、研磨剤粒子のうち、ブラストの際に破損し、サイズが小さくなったもの(研磨剤微粒子)も気流とともに上昇し、排気口から排出される。
上述したサイクロン式分離装置280の排出口282から排出された、研磨剤粒子を分離した後の研磨屑(金属含有粉末、研磨剤微粒子を含む混合物)を含む気流は、集塵装置により、分離回収されることが好ましい。集塵装置としては、たとえば、スクラバーを用いることができる。図19は、電極材料除去工程の際の金属含有粉末および研磨剤微粒子の分離回収に好適に用いられ得るスクラバー284を模式的に示す断面図である。スクラバー284を用いた金属含有粉末および研磨剤微粒子の分離回収では、まず、金属含有粉末および研磨剤微粒子を含んだ気体を気体導入口285から導入する。液体導入口286からは、塩酸を導入する。塩酸の液滴により、気体中の粉末、粒子は捕集され、液体とともに下降する。金属含有粉末および研磨剤微粒子が除去されたガスは気体排出口287から排出される。このように、研磨剤粒子を分離した後の研磨屑から塩酸を用いてインジウムを回収することが、好ましい。これにより、アルミナなどの研磨剤を溶解せずに、インジウムを溶解できるため、希少金属であるインジウムの選択的回収が可能になるという利点がある。また、後述の金属回収工程においてイオン交換樹脂を使用したインジウムの濃縮が可能になるという利点もある。
図19に示す例のように、スクラバー284は、液体が気体排出口287から排出されるのを防止するためのデミスター288、捕集効率を上げるための充填剤289を備えることが好ましい。金属含有粉末および研磨剤微粒子の捕集と同時に、塩酸の液滴が、金属含有粉末および研磨剤微粒子の混合物に接触した際に、金属含有粉末および研磨剤微粒子からインジウムなどの金属が塩酸中に溶解する。塩酸中に溶解する金属としては、たとえば、透明導電膜に使用されているインジウムおよびスズ、バス電極に使用されているアルミニウムなどが挙げられる。インジウムが溶けた塩酸溶液(インジウム含有塩酸)は、従来公知の濾過、比重差分離などの手法を用いて固液分離される。後述する金属回収工程にて、インジウム含有塩酸から、インジウムなどの金属を回収する。
また、電極材料除去工程に用いられる集塵装置は、バグフィルタであってもよい。図20は、電極材料除去工程の際の金属含有粉末および研磨剤微粒子の分離回収に好適に用いられ得るバグフィルタ290を模式的に示す断面図である。バグフィルタ290を用いた金属含有粉末および研磨剤微粒子の分離回収では、まず、気体導入口291から導入された金属含有粉末および研磨剤微粒子を含んだ気流は、ろ材292を通過する際に、金属含有粉末および研磨剤微粒子がバグに付着し、ろ過される。ろ材292の素材としては、耐湿、耐熱性の合成繊維やガラス繊維を用いることができる。ろ材292に堆積した金属含有粉末および研磨剤微粒子は、振動により、下方へ落下させる。落下した金属含有粉末および研磨剤微粒子は、ホッパー293に堆積する。また、気流の向きを反転するか、気流を停止することにより、下方へ落下させることもできる。金属含有粉末および研磨剤微粒子が除去されたガスは気体排出口294から排出される。
上述したバグフィルタ(図20)などの集塵装置を用いて回収された金属含有粉末および研磨剤微粒子は、ガラス基板材料と、TFTの電極材料に使用されている金属と、カラーフィルタなどに使用されている有機物と、希少金属であるインジウムなどを含む金属酸化物などからなる金属含有粉末と研磨剤粒子が破損した研磨剤微粒子から構成されている。この金属含有粉末から、後述する金属回収工程でインジウムなどの金属を回収する。また、サンドブラストにより、表面に付着した薄膜が除去されたガラス基板202a,202bは、後述のガラス回収工程(ステップS2−8)でガラスへとリサイクルされる。
さらに、電極材料除去工程では、回転研磨を用いて、液晶を除去した後のガラス基板202a,202bの内面側に形成された電極材料を含む薄膜を除去するようにしてもよい。回転研磨では、回転する金属ブラシまたは研磨パッドによりガラス基板202a,202b上の付着物を研磨する。研磨パッドとしては、表面にダイヤモンド砥粒を保持したダイヤモンドパッド、ダイヤモンド砥石などを用いることができる。ここで、図21は、電極材料除去工程に好適に採用され得る回転研磨処理を模式的に示す図である。図21は、カラーフィルタ側ガラス基板202aに回転研磨処理を施す場合を示している。図21に示すように、研磨パッド295によりカラーフィルタ側ガラス基板202aに回転研磨処理を施すと、カラーフィルタ側ガラス基板202aの内面側に形成されているカラーフィルタ206、反射防止膜207、透明導電膜208および配向膜209を全て除去することができる。また、カラーフィルタ側ガラス基板202aと同様に、研磨パッド295による回転研磨によりTFT側ガラス基板202bの内面側に形成された透明導電膜208、配向膜209、画素電極210、バス電極211および絶縁膜212を除去することができる。
回転研磨により、ガラスフィルタ側ガラス基板202aおよびTFT側ガラス基板202bの内面側から除去される電極材料を含む薄膜は、ガラス基板材料と、TFTの電極材料に使用されているアルミニウムなどの金属と、カラーフィルタなどに使用されている有機物と、希少金属であるインジウムやスズなどを含む金属酸化物粉末などを含む研磨屑として回収される。なお、研磨屑は、回転研磨した際にガラス基板表面をガラスごと削り取るため、微小なガラスに金属や有機物、金属酸化物が付着した状態である。このような研磨屑から、後述する金属回収工程にてインジウムなどの金属を回収できる。また、回転研磨により、表面に付着した電極材料を含む薄膜が除去されたガラス基板202a,202bは、後述のガラス回収工程(ステップS2−8)でガラスへとリサイクルされる。
〔2−7〕金属回収工程
上述のように、電極材料除去工程において、インジウム含有塩酸(サンドブラスト処理の後、スクラバー284を用いた処理を施した場合)、金属含有粉末および研磨剤微粒子の混合物(サンドブラスト処理の後、バグフィルタ290を用いた処理を施した場合)、または、ガラスに金属や有機物、金属酸化物が付着した状態の研磨屑(回転研磨処理を施した場合)が得られる。これらはいずれもインジウムを含有するものであり、当該金属回収工程でインジウムが分離・回収される(ステップS2−7)。
インジウム含有塩酸からインジウムを分離回収する方法としては、たとえば、硫化物法、水酸化物法、置換析出法、溶媒抽出法、電解採取法を用いることができるが、イオン交換樹脂を用いて、インジウム含有塩酸からインジウムを分離・回収することが好ましい。インジウムイオンおよびスズイオンは1mol/L以上の塩化物イオンの存在下で塩化物錯イオンを形成し、マイナスの電荷を帯びるため、塩酸酸性水溶液中でイオン交換樹脂、特に陰イオン交換樹脂、さらに好ましくは強塩基性の陰イオン交換樹脂と接触させた場合、イオン交換樹脂に吸着される。このようにイオン交換樹脂を用いることで、エネルギーを使用せず、廃棄物を殆ど排出しないという利点がある。
イオン交換樹脂を用いてインジウム含有塩酸からインジウムを分離・回収する場合、塩酸中の塩化物イオン濃度を1〜6mol/L、より好ましくは2〜4mol/Lに調製することによって特異的に溶液中のインジウムおよびスズを陰イオン交換樹脂に吸着させることが可能である。塩化物イオン濃度が1mol/L未満である場合は、インジウムおよびスズは塩化物イオン錯体を形成しないためイオン交換樹脂に吸着せず、6mol/Lより高い場合は、陰イオン交換樹脂に吸着される塩化物イオンが多くなり、インジウムおよびスズの吸着が阻害される。したがって、塩化物イオン濃度が1〜6mol/Lのとき、インジウムおよびスズが陰イオン交換樹脂に吸着される。
図22は、金属回収工程において、イオン交換樹脂を用いてインジウムを分離・回収するための装置を模式的に示す図である。図22に示されるように、まず、イオン交換樹脂(陰イオン交換樹脂)を充填したカラム297に、送液ポンプ296を用いて、インジウム含有塩酸を通液し、インジウム含有塩酸と陰イオン交換樹脂とを接触させる。これにより、陰イオン交換樹脂にインジウムおよびスズが吸着する。アルミニウムは、塩酸中で錯体を形成せず負の電荷を帯びないため、イオン交換樹脂には吸着されない。カラム297を通過した塩酸は、金属含有粉末および研磨剤微粒子の捕集を行うための上述したスクラバー(図19)に再利用することができる。
続いて、カラム297に水を通液し、インジウムおよびスズを吸着した状態の陰イオン交換樹脂に水を接触させると、イオン交換樹脂表面の塩酸の濃度が低下し、インジウムおよびスズのクロロ錯体が破壊する。こうして、陰イオン交換樹脂とのイオン結合力が低下するため、インジウムおよびスズを陰イオン交換樹脂から離脱することができ、インジウム・スズ濃縮溶液が得られる。
回収されたインジウム・スズ濃縮溶液は、たとえば、まず、スズ沈殿槽298において、pH2〜4程度に調製し、水酸化スズを沈殿させ固液分離し、インジウム濃縮液を得る。次に、インジウム沈殿槽299において、インジウム濃縮液をpH4〜6に調整することにより水酸化インジウムを沈殿させ、固液分離する。このようにして、たとえば遠心分離によって水酸化インジウムを分離後、水素還元により、金属インジウムを分離回収することができる。得られた金属インジウムは、電解精錬などにより精製され、高純度の金属インジウムとして再生利用することができる。また、たとえば、水酸化インジウムをろ過、洗浄後、乾燥、焼成することにより、酸化インジウムを得、この酸化インジウムを酸化スズと混合し、成形、焼成することによって、ITOターゲットとして再利用することもできる。
上述したpHの調整には、たとえば水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなどの水酸化物塩を用いることができる。中でも、中和反応速度が速い、水酸化ナトリウムを用いることが好ましい。なお、pHの調整には、たとえば市販のガラス電極を有するpH計などを用いてモニターしながら行うことが好ましい。
また、金属含有粉末および研磨剤微粒子の混合物(サンドブラスト処理の後、バグフィルタ290を用いた処理を施した場合)、または、ガラスに金属や有機物、金属酸化物が付着した状態の研磨屑(回転研磨処理を施した場合)からインジウムを回収する場合には、たとえば、上述した混合物または研磨屑を酸性の溶液(たとえば、塩酸など)に浸漬し、インジウムを溶解させればよい。この場合、金属含有粉末および研磨剤微粒子の混合物、または、ガラスに金属や有機物、金属酸化物が付着した状態の研磨屑の量は、ガラスの重量に対して、重量が非常に小さい。また、粒径が小さいため、インジウムの溶解速度は速く、インジウムを溶解するための酸は、薄型パネルから直接溶解する場合と比較して少なくてよく、廃液処理などの環境負荷が小さくなる。その後、上述したイオン交換樹脂を用いた方法により、インジウムを回収することができる。
なお、上述したいずれの場合であっても、電極材料が銀を含む場合には、上述したようにインジウムを溶解させて回収した後の残渣を、シアン化アルカリ溶液に浸漬することで銀を溶出させ、亜鉛板あるいは亜鉛粉末などを添加し、置換析出法により銀粉末として回収すればよい。
〔2−8〕ガラス回収工程
次に、表面の付着物が除去されたガラス基板202a,202bからガラスを回収する(ステップS2−8)。回収の方法としては、たとえば、表面の付着物が除去されたガラス基板を薄型パネルの製造工程へ投入する方法、あるいは、ガラス基板202a,202bを破砕し、ガラスメーカで同一用途に再生する方法、珪石代替材料やタイル材料として再資源化する方法などが挙げられる。
ガラス基板202a,202bを破砕し、リサイクルする具体的方法について以下に説明する。まず、ガラス基板202a,202bの破砕を行う。図8に示す手順の場合には、ガラス基板202a,202bは、上述したガラス品種選別工程(ステップS2−4)において既にガラス品種別に選別されているため、単一の品種のガラス基板ごとに破砕すればよい。ガラス基板202a,202bの破砕には、市販の各種方式の破砕機を使用することができ、用いる破砕機の種類は特に限定されるものではないが、塵の発生が少なく容易に破砕することができ、環境に悪影響を及ぼさず、かつ、ランニングコストが安価であるなどの観点から、2軸剪断方式の破砕機が好ましい。2軸剪断方式の破砕機は、サイズの揃った破砕物が得られやすいこと、微粉末の発生比率が小さく、破砕物をガラスカレットとして最終的に再利用しやすいことなどの利点も有している。破砕のサイズは自由であるが、15mm以下が好ましい。
回収されたガラスカレットは、単一の品種のガラスであり、かつ、ガラス基板用の原料ガラスと代わらない化学組成を有している。それ故、ガラスカレットを原料ガラスに添加混合することにより、または、原料ガラスに置き換えて、再使用(マテリアルリサイクル)することができる。再使用する際には、たとえば、ガラスカレットを原料ガラスと共に溶融炉で溶融させればよい。さらに、回収されたガラスカレットは、たとえば、一般ガラス用の材料として再使用することもできる。なお、ガラス基板202a,202bは、ガラスカレットの状態で回収されることで、その保管、運搬および再処理に必要なスペースを小さくすることができ、かつ、保管作業および運搬作業を容易に行うことができるという利点もある。このように、殆ど廃棄物を排出することなく、液晶、および透明導電膜中のインジウムを回収でき、ガラスについても再利用することが可能となる。以上のように回収された液晶、金属およびガラスは、各種材料として再利用することができる。
図23は、本発明の好ましい一例の薄型テレビの解体装置301を模式的に示す図である。本発明はまた、上述した本発明の薄型テレビの解体方法を好適に行うための薄型テレビの解体装置についても提供するものである。上述した本発明の解体方法を好適に行うための解体装置は、薄型テレビから分離されたバックライトシャーシ組品を載置して、搬送しながらバックライトシャーシ組品からバックライトを回収するまでの一連の作業を行うための搬送手段と、薄型パネルユニットを載置して、搬送しながら薄型パネルユニットからガラス基板を回収するまでの一連の作業を行うための搬送手段を備えることを特徴とする。このような搬送手段を備える本発明の解体装置を用いることで、上述した本発明の薄型テレビの解体方法を効率的かつ安全に行うことができる。図23には、このような搬送手段を一体的に実現した、搬送方向の上流から下流に向かって領域A〜Fに分割される搬送手段302を備える場合が示されている。このような搬送手段302は、特に制限されるものではないが、たとえば、公知のローラコンベアなどを用いて実現できる。
〔領域A〕
まず、図23に示す搬入装置303を用いて、薄型テレビを搬入する(領域A)。搬入装置としては、図5に示したような、搬入ストッカ42、搬送手段43(図23に示す場合では、搬送手段302)、読み取り装置44を備える搬入装置303を用いる。この際、上述したように、運搬された薄型テレビを、たとえば、1台ずつ搬入ストッカ42に搬入する。搬入ストッカ42には、たとえば、弾性を有する材料で形成された表面を有するパレット45が設置されており、薄型テレビを1台ずつこのパレット45上に載置して、パレット45により衝撃を吸収させるようにすることで、薄型テレビが破損しないように実現されている。
搬入ストッカ42に搬入された薄型テレビは、本体に施された標識が、読み取り装置44を用いて読み取られる。読み取り装置44としては、従来公知の読み取り機、たとえばバーコードリーダーが挙げられる。
〔領域B〕
次に、搬送手段302により領域Aから搬送されてきた薄型テレビを、領域Bで、スタンドを取り外し、続いて、後キャビネットを取り外す。スタンド、後キャビネットの取り外し作業は、薄型テレビの画像表示面を下方に配置しパレット45に載置して、解体を行うことが、好ましい。
〔領域C〕
次に、領域Bから搬送されてきた、後キャビネットが取り外され、内部の制御基板および薄型パネルモジュールが露出した薄型テレビを、領域Cにおいて、その内部に蓄積した、埃、塵などを除塵装置304を用いて除去する。スタンドの取り外し作業は、薄型ディスプレイの面を下にし、パレット上に薄型テレビを載置した状態で行う。除塵装置304は、図6に示したように、エアブロー装置を備えており、手作業で塵を吹き飛ばし、薄型テレビ本体から埃、塵を除去する。また、除塵装置304は、局所排気装置63を備えており、埃、塵の拡散を防止する。除塵を施すことで解体に従事する作業者の塵肺などの健康被害を防ぐことが可能となる。
〔領域D〕
領域Cにおいて除塵を施され、搬送手段302により領域Dにまで搬送された薄型テレビは、ワイヤーハーネス、制御基板が取り外され、さらに、前キャビネットと薄型パネルモジュールとが分離される。ワイヤーハーネス、制御基板の取り外し、前キャビネットと薄型パネルモジュールとの分離作業は、薄型テレビの画像表示面を下方に配置し、パレット上に載置した状態で行うことが好ましい。領域Dでは、まず、電極間を結んでいるコネクタを外す、あるいは、ワイヤーハーネスを切断することによって、ワイヤーハーネスを取り外す。次に、制御基板を固定している締結部品を手作業で外し、制御基板を取り外す。ワイヤーハーネスは取り外さずに、ワイヤーハーネスが付いたままの状態で制御基板を回収するようにしてもよい。
次に、前キャビネット(図2、3に示す例では前キャビネット3,18)と薄型パネルモジュール(図2、3に示す例では薄型パネルモジュール5,20)とを分離する(ステップS1−7)。具体的には、前キャビネットと薄型パネルモジュールとを固定しているねじ、スナップフィットなどを手作業で外し、前キャビネットを取り外す。このようにして前キャビネットと薄型パネルモジュールが回収される。
次に、前キャビネットと分離された薄型パネルモジュール(図2、3に示す例では薄型パネルモジュール5,20)を、バックライトシャーシ組品と薄型パネルユニット(図2、3に示す例では薄型パネルユニット11,25)とに分離する(ステップS1−8)。具体的には、薄型パネルモジュールのスナップフィットやねじを手作業で外すことで、分離を行う。このようにして、バックライトシャーシ組品と薄型パネルユニットが回収される。同時に、薄型パネルユニットを覆っているベゼル、プラスチックを取り外す。ベゼル、プラスチックは手作業で取り外す。
回収されたバックライトシャーシ組品と薄型パネルユニットは、それぞれ専用搬送手段であるバックライトシャーシ組品用の搬送手段305および薄型パネルユニット用の搬送手段311により後工程へと搬送され、それぞれ、同時並行して、搬送しながら、解体の一連の作業を行う専用の解体ラインであるバックライトシャーシ組品解体ライン306(領域E)と、薄型パネルユニット解体ライン312(領域F)で、解体が進められるように構成される。
〔領域E〕
バックライトシャーシ組品解体ライン306について説明する(領域E)。まず、図23に示す搬送手段305上に、バックライトシャーシ組品Tを載置する。この際、バックライトシャーシ組品Tは、開口部が下方に配置されるようにして載置する。また、好ましくは、搬送手段305上には、トレーを予め載置しておき、このトレー内にバックライトシャーシ組品Tを載置するようにする。
次に、搬送手段305により領域Dから領域Eに搬送されてきたバックライトシャーシ組品Tに、バックライト保持手段のバックライトシャーシへの係止を外すための冶具(たとえば図7に示した例の冶具61)を、バックライトシャーシ6の外方から作用させて、バックライト9を取り外す。取り外されたバックライト9は、バックライトシャーシ6および搬送手段305によって形成された閉空間内に落下する。こうして取り外されたバックライト9を、搬送手段305の搬送方向の最下流で容器307に投入する。このようにして、本発明の解体装置301を用いて、バックライトシャーシ組品Tの解体を全て自動的に搬送しながら効率的に行うことができ、また、解体作業者が直接水銀に触れる可能性も低くなり、解体作業者が水銀蒸気に曝される可能性を低減できる。
ここで、図24は、本発明の薄型テレビの解体装置に用いられ得る他の例のバックライトシャーシ組品解体ライン306’を模式的に示す図である。領域Eにおけるバックライトシャーシ組品解体ライン306’は、図24に示すように、搬送手段305の上方の空気を吸引し、吸引した空気を水銀補足手段326を通過させて排気する排気機構323を備えることが好ましい。図24に示す例の排気機構323は、搬送手段305の搬送方向に関する全長にわたって当該搬送手段305の上方に設けられたフード付きの吸引部324を備え、この吸引部324で搬送手段305の上方の空気を吸引して配管325に送り込んで排気するように構成されている。排気機構323には、従来公知の適宜のポンプなどを連結しておき(図示せず)、吸引部324から搬送手段305の上方の空気を吸い込ませるようにする。また配管325の中途には、水銀蒸気を吸着して空気を浄化し得る水銀捕捉手段326が設けられる。水銀捕捉手段326としては、たとえば活性炭フィルタを用いることができ、具体的には、活性炭量50〜60リットルの、流量20〜30m3/分で浄化し得る活性炭フィルタを好適に用いることができる。この場合には、解体作業中に破損したバックライト9から発生した水銀蒸気は、大気に排気されるときには500分の1程度の水銀濃度に浄化される。
このような排気機構323を備えることによって、解体作業中にバックライト9が破損してしまい水銀蒸気が漏れ出た場合であっても、吸引部324でこの水銀蒸気を含む空気を吸引して、水銀捕捉手段326を通過させた上で強制的に排気することで、水銀蒸気が作業エリアに滞留せず、解体作業者に著しい健康被害を及ぼす虞は少なくできる。
また本発明の解体装置は、好ましくは上述したようにバックライトシャーシ組品を載置するためのトレーおよびバックライトを回収するための容器307を備えるものであるが、このトレー、容器および搬送手段から選ばれる少なくともいずれかに冷却手段が設けられてなることが好ましい。図19に示す例では、搬送手段305に冷却手段308が取り付けられ、さらに容器307にも冷却手段308が取り付けられてなる例を示している。冷却手段は、上述したものと同様のものを用いることができ、特に制限されない。冷却手段が設けられてなることで、水銀の蒸気圧が低下し、水銀に対して非常に安全な解体装置を提供することができる。
〔領域F〕
図25は、図23に示した本発明の解体装置301の領域Fである、薄型パネルユニット解体ライン312を一部拡大して模式的に示す図である。図25に示す例の薄型パネルユニット解体ライン312は、搬送装置311と、インライン方式のエネルギー分散型蛍光X線分析装置333と、偏光板剥離装置334と、ガラス基板分離装置335と、液晶回収装置336と、電極材料除去および金属回収装置337とを基本的に備える。このような薄型パネルユニット解体ライン312によって、上述した薄型パネルユニット解体工程(たとえば図8に示した例のステップS2−1からステップS2−8までの工程)を行うことで、各工程を同時並行して処理することができ、ガラス回収作業の効率化を図ることができる。以下、図25に示す例の薄型パネルユニット解体ライン312によって、図8に示した手順にてガラスの回収を行う場合を例に挙げて詳細に説明する。
まず、偏光板205を有する状態での薄型パネルユニット201(たとえば図9に示した例)を搬送装置311上に設置し、インライン方式のエネルギー分散型蛍光X線分析装置333を用いて、亜ヒ酸含有ガラス基板の選別を行う(ステップS2−1)。この蛍光X線分析装置333は、図13に示したように、X線発生装置241、蛍光X線管242、半導体検出器243、係数・演算装置244、記録表示装置245および搬送装置246,246’を基本的に備えるものが用いられる。図13に示したように、X線は、搬送装置に薄型パネルユニットを載置した状態で上方から照射するようにしてもよく(図13(a))、下方から照射するようにしてもよい(図13(b))。また、図25に示す例のインライン方式のエネルギー分散型蛍光X線分析装置333は、図14に示したように、搬送を停止せず、薄型パネルユニット201、蛍光X線管242、半導体検出器243を同時に同じ速度で移動させる機構を備えていてもよい。この場合には、薄型パネルユニット201、蛍光X線管242、半導体検出器243の相対的な位置は固定されているので、搬送を止めずに分析箇所を固定したまま蛍光X線を分析することができる。
なお、蛍光X線分析装置333として、エネルギー分散型の蛍光X線を用いた蛍光X線分析を行い得る装置を用いる場合には、短時間で亜ヒ酸含有ガラス基板の選別と、亜ヒ酸非含有ガラス基板の品種選別を効率的に行うことができるという利点がある。蛍光X線分析装置333により選別された亜ヒ酸含有ガラス基板は、搬送装置311上から回収される。たとえば、回収した亜ヒ酸含有ガラス基板は、コンテナなどに保管し、ヒ素を安全に処理できる設備を有する施設、たとえば、非鉄精錬所などで安全な処理が施され、ヒ素製品の原料として使用することができる。
次に、亜ヒ酸を含有していないガラス基板を備える薄型パネルユニットは、搬送装置311により偏光板剥離装置334へと搬送される。偏光板剥離装置334は、機械的に偏光板を剥離するもので、たとえば偏光板を巻き取ってガラス基板から除去する(ステップS2−2)。
次に、偏光板が剥離された薄型パネルユニットは、搬送装置311によりガラス基板分離装置335へと搬送される。そこで、貼り合わされた2枚のガラス基板が分離される(ステップS2−3)。ガラス基板分離装置335は、たとえばガラスカッターを備え、薄型パネルユニット周縁部のシール材の内側四辺を切断し、それぞれ1枚ずつガラスを切り出すことで、貼り合わされた2枚のガラス基板を分離し得るように実現される。
また、ガラス基板分離装置335は、薄型パネルユニット周縁部を加熱するヒータ(たとえばハロゲンランプ、赤外線加熱装置など)を備えたものとすることもできる。この場合、ガラス基板分離装置335により薄型パネルユニット周縁部を加熱し、シール樹脂体の強度を低下させ、貼り合わされたガラス基板を手作業で容易に分離することができる。
分離されたガラス基板は、たとえばインライン方式の蛍光X線分析装置によりガラス品種別に選別される(ステップS2−4)。このガラス品種選別のための蛍光X線分析装置は、亜ヒ酸含有ガラス基板の選別に用いたものと同一の構造のものを用いることができる。なお、蛍光X線分析装置は、上述した亜ヒ酸含有ガラス基板選別工程、ガラス品種選別工程でそれぞれ専用の装置を用いずに、図25に示すように1台のインライン方式の蛍光X線分析装置333を両方の工程に使用することができる。
ガラス品種別に選別されたガラス基板は、搬送装置311により液晶回収装置336へ搬送される。液晶回収装置336は、たとえば図16に示した例のようにポリプロピレンゴム、ポリエチレンゴムなどで形成されたスクレーパ261を備えるように実現された装置を用いることが好ましい。このような液晶回収装置336によって、スクレーバ261により液晶を掻きとることで、液晶のみを効率的に回収することができる(ステップS2−5)。
次に、薄型パネルユニットのガラス基板の表面に付着している電極材料を含む薄膜を剥離して除去し(ステップS2−6)、金属を回収する(ステップS2−7)。ここで、図26は、図25に示す例の薄型パネルユニット解体ライン312における電極材料除去および金属回収装置337の好ましい一例を模式的に示す図である。電極材料を除去するための装置(電極材料除去装置)は、圧縮空気供給装置と、サイクロン式分離装置とを備えることが好ましい。これによって、研磨剤を吹き付けることによりガラス基板表面に付着した電極材料を研磨屑として除去した後、サイクロン式分離装置を用いて、比重差によって、研磨屑から研磨剤粒子と電極材料とを分離することが可能になるためである。図26には、サンドブラストのブラストガン271(上述)と、サイクロン式分離装置280(上述)と、スクラバー284(上述)と、圧縮空気供給装置411と、ステージ412と、ファン413と、圧縮空気供給ホース414と、金属含有粉末および研磨剤粒子排出ホース415と、金属含有粉末および研磨剤微粒子排出ホース416と、ガス排出ホース417と、インジウム含有塩酸送液ホース418と、塩酸送液ホース419と、金属分離回収装置420とを備えるように実現された場合の電極材料除去および金属回収装置337を示している。
図26に示したような電極材料除去および金属回収装置337を用い、まず、ステージ412上に、液晶を回収した後のガラス基板を載置し、図17に示したように、ブラストガン271により研磨剤粒子を吹き付ける。この際、ブラストガン271には、サイクロン式分離装置280から研磨剤粒子が供給され、圧縮空気供給装置411から高圧空気が供給され、圧縮空気により研磨剤粒子がガラス基板表面に吹き付けられる。これによって、ガラス基板表面からガラス基板材料、金属、有機物、金属酸化物が研磨される。ガラス基板表面から削り取られたガラス基板材料と、TFTの電極材料に使用されているアルミニウムなどの金属と、カラーフィルタなどに使用されている有機物と、希少金属であるインジウムやスズなどを含む金属酸化物粉末などからなる金属含有粉末と、サンドブラストに用いた研磨剤粒子との混合物は、金属含有粉末および研磨剤排出ホース415を通ってサイクロン式分離装置280へ運ばれる。サイクロン式分離装置280としては、図18に示した構造の装置を好適に用いることができ、当該サイクロン式分離装置280により研磨剤粒子は分離される。分離された研磨剤粒子はサンドブラストに再利用することができる。
ガラス基板表面から削り取られたガラス基板材料と、TFTの電極材料に使用されているアルミニウムなどの金属と、カラーフィルタなどに使用されている有機物と、希少金属であるインジウム、スズなどを含む金属酸化物粉末などからなる金属含有粉末と研磨剤粒子が破損したサイズが小さくなった研磨剤微粒子の混合物は、サイクロン式分離装置280の排気口から排出され、金属含有粉末および研磨剤微粒子排出ホース416を通り、スクラバー284へと運ばれる。図19に示した構造のスクラバー284を用いた場合、金属含有粉末および研磨剤微粒子を含む気体は気体導入口285から導入され、液体導入口286から導入された塩酸の液滴により、気体中の粉末、粒子は捕集され、液体とともに下降する。金属含有粉末および研磨剤微粒子が除去されたガスは気体排出口287から排出される。スクラバー284は、図19に示したように、液体が気体排出口287から排出されるのを防止するためのデミスター288、捕集効率を上げるための充填剤289を備えることが好ましい。金属含有粉末および研磨剤微粒子の捕集と同時に、塩酸の液滴が、金属含有粉末および研磨剤微粒子の混合物に接触した際に、金属含有粉末および研磨剤微粒子からインジウムなどの金属が塩酸中に溶解する。インジウムが溶けた塩酸溶液は、固液分離し、粉末とインジウム含有塩酸に分離する。このようにして、インジウム含有塩酸が得られる。
回収されたインジウム含有塩酸は、インジウム含有塩酸送液ホース418を通して、金属分離回収装置420に送液される。金属分離回収装置420にて、上述した金属回収工程(ステップS2−7)を行うことで、インジウムが回収される。金属分離回収装置420は、たとえば図22に示した例のように、イオン交換樹脂(陰イオン交換樹脂)を充填したカラム297に、送液ポンプ296を用いて、インジウム含有塩酸を通液し、インジウム含有塩酸と陰イオン交換樹脂を接触させ、陰イオン交換樹脂にインジウムおよびスズが吸着させることで、インジウムを回収し得るように実現される。カラムを通過した塩酸は、塩酸送液ホース419を通して、スクラバー284に送られ、スクラバー284で金属含有粉末および研磨剤微粒子の捕集に再利用することができる。
続いて、カラム297に、送液ポンプ296を用いて水を通液し、インジウムおよびスズを吸着した状態の陰イオン交換樹脂に水を接触させると、イオン交換樹脂表面の塩酸の濃度が低下し、インジウムおよびスズのクロロ錯体が破壊する。こうして、陰イオン交換樹脂とのイオン結合力が低下するため、インジウムおよびスズを陰イオン交換樹脂から離脱することができ、インジウム・スズ濃縮溶液が得られる。回収されたインジウム・スズ濃縮溶液は、たとえば、まず、スズ沈殿槽298において、pH2〜4程度に調製し、水酸化スズを沈殿させ固液分離し、インジウム濃縮液を得る。次に、インジウム沈殿槽299において、インジウム濃縮液をpH4〜6に調整することにより水酸化インジウムを沈殿させ、固液分離する。このようにして、希少金属であるインジウムが、水酸化インジウムとして回収される。
また、金属回収装置420は、硫化物法、水酸化物法、置換析出法、溶媒抽出法、電解採取法を利用してインジウムを分離回収するように実現されたものであっても勿論よい。
金属回収装置420で得られた水酸化インジウムなどは、水素還元により、金属インジウムを分離回収することができる。金属インジウムは、上述のように、電解精錬などにより精製され、高純度の金属インジウムとして再生利用することができる。また、ITOターゲットとして再利用することもできる。
金属回収装置420により、表面に付着した電極材料を含む薄膜が除去されたガラス基板202a,202bは、上述したガラス回収工程(ステップS2−8)に供され、リサイクルされる。
本発明の薄型テレビの解体方法の好ましい一例を示すフローチャートである。 本発明に供される典型的な一例の薄型テレビである液晶テレビの構造を模式的に示す分解斜視図である。 本発明に供される典型的な他の例の液晶テレビの構造を模式的に示す分解斜視図である。 廃棄された薄型テレビ31をコンテナ32内に収納した状態を模式的に示す斜視図である。 本発明の薄型テレビの解体方法に好適に用いられ得る搬入装置41を模式的に示す斜視図である。 本発明の薄型テレビの解体方法における除塵工程に好適に用いられ得るエアブロー装置52および局所排気装置53を模式的に示す斜視図である。 本発明におけるバックライトシャーシ組品を解体する工程(ステップS1−9)の好ましい例を模式的に示す図である。 本発明の薄型テレビの解体方法における薄型パネルユニットの解体工程の一例を示すフローチャートである。 薄型パネルユニットの解体工程に供される典型的な一例の薄型パネルユニット201を模式的に示す断面図である。 図9に示した例の薄型パネルユニット201のカラーフィルタ側ガラス基板202aおよびその周辺を一部拡大して示す断面図である。 図9に示した例の薄型パネルユニット201のTFT側ガラス基板202bおよびその周辺を一部拡大して示す断面図である。 ガラス基板の蛍光X線分析結果を示すグラフであり、図12(a)は亜ヒ酸を含有しないガラス基板A、図12(b)は亜ヒ酸を含有しない、ガラス基板Aとは別のガラス基板B、図12(c)は亜ヒ酸を含有するガラス基板Cについての蛍光X線分析の結果をそれぞれ示している。 亜ヒ酸含有ガラス基板選別工程に好適に用いられ得る蛍光X線分析装置240,240’を概念的に示す図である。 亜ヒ酸含有ガラス基板選別工程に好適に用いられ得る他の例の蛍光X線分析装置240’’を概念的に示す図である。 ガラス品種の表示を設ける場合を模式的に示す斜視図である。 液晶回収工程に好適に採用され得る、液晶の回収方法の一例を模式的に示す図である。 電極材料除去工程に好適に採用され得る薄膜の除去方法の一例を模式的に示す図である。 電極材料除去工程に好適に用いられるサイクロン式分離装置280を模式的に示す図であり、図18(a)は上面図、図18(b)は断面図である。 電極材料除去工程の際の金属含有粉末および研磨剤微粒子の分離回収に好適に用いられ得るスクラバー284を模式的に示す断面図である。 電極材料除去工程の際の金属含有粉末および研磨剤微粒子の分離回収に好適に用いられ得るバグフィルタ290を模式的に示す断面図である。 電極材料除去工程に好適に採用され得る回転研磨処理を模式的に示す図である。 金属回収工程において、イオン交換樹脂を用いてインジウムを分離・回収するための装置を模式的に示す図である。 本発明の好ましい一例の薄型テレビの解体装置301を模式的に示す図である。 本発明の薄型テレビの解体装置に用いられ得る他の例のバックライトシャーシ組品解体ライン306’を模式的に示す図である。 本発明の解体装置301の領域Fである薄型パネルユニット解体ライン312を一部拡大して模式的に示す図である。 図25に示す例の薄型パネルユニット解体ライン312における電極材料除去および金属回収装置337の好ましい一例を模式的に示す図である。
符号の説明
1,16 後キャビネット、2,17 スタンド、3,18 前キャビネット、4,19 制御基板、5,20 薄型パネルモジュール、6,21 バックライトシャーシ、7,22 反射シート、8 バックライトクリップ、9,23 バックライト、10,24 光学系シート、11,25 薄型パネルユニット、26 反射ミラー、27 導光板、31 薄型テレビ、32 コンテナ、33 ラベル、42 搬入ストッカ、43 搬送手段、44 読み取り装置、45 パレット、52 エアブロー装置、53 局所排気装置、61 冶具、201 薄型パネルユニット、202a カラーフィルタ側ガラス基板、202b TFT側ガラス基板、203 シール樹脂体、204 液晶層、205 偏光板、206 カラーフィルタ、207 反射防止膜、208 透明導電膜、209 配向膜、210 画素電極、211 バス電極、212 絶縁膜、240 蛍光X線分析装置、241 X線発生装置、242 蛍光X線管、243 半導体検出器、244 係数・演算装置、245 記録表示装置、246 搬送手段、251 ガラス情報表示、261 スクレーパ、271 ブラストガン、295 研磨パッド、301 薄型テレビの解体装置、302 搬送手段、303 搬入装置、304 除塵装置、305 搬送手段、306,306’ バックライトシャーシ組品解体ライン、307 容器、308 冷却手段。

Claims (6)

  1. バックライトを備える薄型テレビを解体する方法であって、
    薄型テレビからキャビネットを分離して、薄型パネルモジュールを得る工程と、
    薄型パネルモジュールを、バックライトシャーシ組品と薄型パネルユニットとに分離する工程と、
    搬送手段の上方の空気を吸引し、吸引した空気を水銀捕捉手段を通過させて排気する排気機構を用いて、周辺の雰囲気を排気しながらバックライトシャーシ組品を解体する工程と、
    薄型パネルユニットを解体する工程とを含み、
    前記バックライトシャーシ組品を解体する工程と前記薄型パネルユニットを解体する工程とが、同時に並行して行われる、薄型テレビの解体方法。
  2. 前記バックライトシャーシ組品を解体する工程と前記薄型パネルユニットを解体する工程とは、それぞれ別の搬送手段を用いて、搬送しながら解体する、請求項1に記載の薄型テレビの解体方法。
  3. 前記薄型テレビからのキャビネットの分離は、薄型テレビの画像表示面を下方に配置した状態で行われる、請求項1または2に記載の薄型テレビの解体方法。
  4. バックライトシャーシ組品を解体する工程において、バックライトシャーシ組品の開口部を封止した状態で、開口部を下方に配置し、バックライト保持手段の外側に露出している係止部分を変形させてバックライト保持手段をバックライトシャーシから外し、バックライトを下方に落下させて取り外すことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の薄型テレビの解体方法
  5. 亜ヒ酸を含有するガラス基板を選別する工程をさらに含む、請求項1〜4のいずれかに記載の薄型テレビの解体方法
  6. 請求項1〜のいずれかに記載の薄型テレビの解体方法を行うための装置であって、
    薄型テレビから分離されたバックライトシャーシ組品を載置して、搬送しながらバックライトシャーシ組品からバックライトを回収するまでの一連の作業を行うための搬送手段と、
    薄型パネルユニットを載置して、搬送しながら薄型パネルユニットからガラス基板を回収するまでの一連の作業を行うための搬送手段と、
    搬送手段の上方の空気を吸引し、吸引した空気を水銀捕捉手段を通過させて排気する排気機構とを備える、薄型テレビの解体装置。
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