JPWO2010073337A1 - 変圧装置 - Google Patents

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Abstract

変圧装置は、鉄心と、鉄心に巻回され、積層された複数のコイル(9B,10A,10B)と、積層方向に隣り合う複数のコイル(9B,10A,10B)間に配置された複数のベース部材(BE)と、コイル(9B,10A,10B)ごとに設けられ、各々が、対応のベース部材(BE)に設けられ、対応のベース部材(BE)と対応のコイル(9B,10A,10B)との間に絶縁液体を流すための流路を形成している複数の流路部材群(BG)と、複数の流路部材群(BG)によって形成される各流路のうちの少なくともいずれか1つが、他の流路における絶縁液体の流量と異なるように絶縁液体の流れを阻害し、かつ流路のうち、絶縁液体の流れ方向において鉄心と重ならない領域における絶縁液体の流れを阻害するように配置されている阻害部材(12)とを備える。

Description

本発明は、変圧装置に関し、特に、コイルを冷却するための絶縁液体の流路を形成するための部材を備えた変圧装置に関する。
一般に、車両用変圧器のコイルが発する熱の冷却には、絶縁液を循環させるポンプと、冷却器とが用いられる。また、変圧器のコイル間には、複数の絶縁部材(スペーサ)が設けられる。このスペーサは、コイルを冷却するために流れる絶縁液の流路を確保し、かつ短絡による機械力が発生したときにコイルを保持する役割を有する。
コイルを冷却する能力は、コイルの表面積からコイルがスペーサと接する面積を除いた、コイルが絶縁液と接する面積であるコイル濡れ面積と、コイルの表面を流れる絶縁液の流速とに比例する。このため、コイル濡れ面積をより多く確保すれば冷却効率が向上する。
しかしながら、スペーサの間隔をより広くしてコイル濡れ面積をより多く確保しても、短絡による機械力が発生した場合に耐えられるような間隔でなければ、コイルが座屈して変圧器が故障することになる。
変圧器のコイルを冷却するための技術として、たとえば、特開平9−134823号公報(特許文献1)には、以下のような車両用変圧器が開示されている。すなわち、冷却方式を送油風冷式としたものにおいて、鉄心の脚部の外周に低圧巻線を、低圧巻線の外周に高圧巻線をそれぞれ巻回すると共に、その各巻回間に冷却油道を形成することによって中身を構成する。この中身を、上記冷却油道がタンクの底面と平行になるようにタンク内に配置している。そして、低圧巻線及び高圧巻線の各巻回間にダクトピースを間隔を違えて挟設することにより上記冷却油道を形成している。
また、実開平6−17215号公報(特許文献2)には、以下のような変圧器巻線が開示されている。すなわち、内側および外側絶縁筒間に円板巻線を複数段巻き回して積層すると共に、各段の円板巻線間に油道を形成する矩形状の間隔片を放射状に複数個配置している変圧器巻線である。この変圧器巻線の軸方向中央部における上記間隔片の幅寸法をAとし、巻線の少なくとも軸方向上部側に位置する端部側寄りにおける間隔片の幅寸法をBとした場合に、A>Bの関係を満足するように上端部側に位置する間隔片の幅寸法を順次小さくしている。
特開平9−134823号公報 実開平6−17215号公報
ところで、架線等から交流電圧が供給される交流区間および架線等から直流電圧が供給される直流区間の両方において走行可能な交流/直流電車が開発されている。このような交流/直流電車において、低圧側である負荷側のコイルを交流区間および直流区間において共用する場合、すなわち交流区間においては低圧側コイルとコンバータとを接続し、直流区間においては架線等から直流電力を受けるリアクトルとして低圧側コイルを用いる場合には、低圧側コイルの使用条件および負荷条件が直流区間および交流区間で異なるため、低圧側コイルの温度上昇が均等にならない。たとえば、直流区間においてリアクトルとして使用する低圧側コイルの温度が極端に上昇する。そうすると、変圧器全体の冷却設計が、変圧器における一部のコイルで規定されてしまい、その結果、冷却能力の高い大型の冷却器を使用する必要があるために変圧器が大型化し、製造コストが増大してしまう。
しかしながら、特許文献1記載の車両用変圧器では、上記冷却油道が絶縁油の流れる方向に沿って直線的に形成されている、すなわち各巻線の両端部間をダクトピースが延伸しているため、コイル濡れ面積が小さくなる。そうすると、冷却効率が低下するため、冷却能力の高い大型の冷却器を使用する必要が生じてしまう。また、ダクトピースを低圧巻線及び高圧巻線の各巻回間に取り付ける作業は困難を伴う。
また、特許文献2記載の変圧器巻線では、油の流入する変圧器巻線の軸方向下端部において油が澱むため、軸方向下端部における巻線温度が高くなり、また、変圧器巻線の軸方向上端部においては逆に油の流量が増えるため、巻線温度が低くなりすぎてしまう。すなわち、冷却効率が低下するため、冷却能力の高い大型の冷却器を使用する必要が生じてしまう。
それゆえに、本発明の目的は、コイルに対する冷却効率を向上し、かつ小型化および製造コストの低減を図ることが可能な変圧装置を提供することである。
この発明のある局面に係わる変圧装置は、鉄心と、鉄心に巻回され、積層された複数のコイルと、積層方向に隣り合う複数のコイル間に配置された複数のベース部材と、コイルごとに設けられ、各々が、対応のベース部材に設けられ、対応のベース部材と対応のコイルとの間に絶縁液体を流すための流路を形成している複数の流路部材群と、複数の流路部材群によって形成される各流路のうちの少なくともいずれか1つが、他の流路における絶縁液体の流量と異なるように絶縁液体の流れを阻害し、かつ流路のうち、絶縁液体の流れ方向において鉄心と重ならない領域における絶縁液体の流れを阻害するように配置されている阻害部材とを備える。
またこの発明の別の局面に係わる変圧装置は、少なくとも2つの開口部を有する鉄心と、各開口部間の鉄心の部分に貫通されるように各開口部を通して巻回され、貫通方向に積層されている複数のコイルと、積層方向に隣り合う複数のコイル間に配置された複数のベース部材と、コイルごとに設けられ、各々が、対応のベース部材に設けられ、対応のベース部材と対応のコイルとの間に絶縁液体を流すための流路を形成している複数の流路部材群と、複数の流路部材群によって形成される各流路のうちの少なくともいずれか1つが、他の流路における絶縁液体の流量と異なるように絶縁液体の流れを阻害するように配置されている阻害部材とを備える。
本発明によれば、コイルに対する冷却効率を向上し、かつ小型化および製造コストの低減を図ることができる。
本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置の概略構成および絶縁液の流れを示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置におけるコイル部および鉄心の概略構成を示す斜視図である。 コイル部および鉄心の図2におけるIII−III断面を示す断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置におけるコイル部の構成を詳細に示す斜視図である。 本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置におけるコイル部の構成を詳細に示す断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置における低圧側コイルグループ10に対応するベース部材上の流路部材の配置を示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置における低圧側コイルグループ9に対応するベース部材上の流路部材および阻害部材の配置を示す図である。 変圧装置が阻害部材を備えないと仮定した場合の各運転モードにおける各コイルの温度上昇を示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置の各運転モードにおける各コイルの温度上昇を示す図である。 本発明の第2の実施の形態に係る変圧装置における低圧側コイルグループ9に対応するベース部材上の流路部材および阻害部材の配置を示す図である。 本発明の第3の実施の形態に係る変圧装置における低圧側コイルグループ10に対応するベース部材上の流路部材の配置を示す図である。 本発明の第3の実施の形態に係る変圧装置における低圧側コイルグループ9に対応するベース部材上の流路部材および阻害部材の配置を示す図である。 本発明の第4の実施の形態に係る変圧装置におけるコイル部の構成を詳細に示す斜視図である。 本発明の第4の実施の形態に係る変圧装置におけるコイル部の構成を詳細に示す断面図である。 本発明の第5の実施の形態に係る変圧装置における低圧側コイルグループ9に対応するベース部材における流路部材および阻害部材の配置を示す図である。
符号の説明
1 コイル部、2 絶縁油、3 鉄心、4 ポンプ、5 冷却器、6 ブロワー、7 タンク、8 高圧側コイルグループ、9,10 低圧側コイルグループ、8A,8B 高圧側コイル、9A,9B 低圧側コイル、10A,10B 低圧側コイル、12,22,32,42 阻害部材、18A,18B,19A,19B,20A,20B,28,30A,30B,BE ベース部材、101 変圧装置、W1,W2 窓部、BG 流路部材群、S1,S2 流路部材。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置の概略構成および絶縁液の流れを示す図である。
図1を参照して、変圧装置101は、コイル部1と、絶縁油2と、鉄心3と、ポンプ4と、冷却器5と、ブロワー6と、タンク7とを備える。
タンク7は、絶縁油2によって満たされており、コイル部1および鉄心3を収容することにより、コイル部1および鉄心3を絶縁油2で浸す。絶縁油2により、コイル部1および鉄心3の絶縁および冷却が行なわれる。
ポンプ4は、図中の矢印で示すように、ポンプ4と冷却器5との間の配管、冷却器5、冷却器5とタンク7との間の配管、タンク7、タンク7とポンプ4との間の配管の順番で絶縁油2を循環させる。
すなわち、ポンプ4は、タンク7の出口部から絶縁油2を吸い出して冷却器5へ送り出す。冷却器5は、ブロワー6から受けた風により、ポンプ4からの絶縁油2を冷却しながら通過させる。冷却器5によって冷却された絶縁油2は、タンク7の入口部へ流れ込み、コイル部1を通過することにより、コイル部1を冷却する。
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置におけるコイル部および鉄心の概略構成を示す斜視図である。図3は、コイル部および鉄心の図2におけるIII−III断面を示す断面図である。
図2および図3を参照して、変圧装置101は、たとえば外鉄型(Shell-Type)の変圧器である。コイル部1は、高圧側コイルグループ8と、低圧側コイルグループ9,10とを含む。高圧側コイルグループ8は、高圧側コイル8A,8Bを含む。低圧側コイルグループ9は、低圧側コイル9A,9Bを含む。低圧側コイルグループ10は、低圧側コイル10A,10Bを含む。
鉄心3は、互いに対向する第1側面および第2側面と、第1側面から第2側面へ貫通する開口部である窓部W1およびW2とを有する。高圧側コイル8Aおよび8B、低圧側コイル9Aおよび9Bならびに低圧側コイル10Aおよび10Bは、窓部W1,W2間の鉄心3の部分に貫通されるように窓部W1,W2を通して巻回され、鉄心3の貫通方向に積層されている。
高圧側コイル8Aおよび8B、低圧側コイル9Aおよび9Bならびに低圧側コイル10Aおよび10Bは、窓部W1およびW2を通るように巻き回されている。
高圧側コイル8Aは、低圧側コイル10Aと低圧側コイル10Bとの間であって低圧側コイル10Aに対向する位置に設けられ、低圧側コイル10Aと磁気結合されている。
高圧側コイル8Bは、高圧側コイル8Aと並列に接続され、低圧側コイル10Aと低圧側コイル10Bとの間であって低圧側コイル10Bに対向する位置に設けられ、低圧側コイル10Bと磁気結合されている。
低圧側コイル9Aは、低圧側コイル10Aに対して高圧側コイル8Aと反対側に設けられ、高圧側コイル8Aと磁気結合されている。
低圧側コイル9Bは、低圧側コイル10Bに対して高圧側コイル8Bと反対側に設けられ、高圧側コイル8Bと磁気結合されている。
図4は、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置におけるコイル部の構成を詳細に示す斜視図である。図5は、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置におけるコイル部の構成を詳細に示す断面図である。図5は、コイル部1の図6または図7におけるV−V断面を示している。
図4および図5を参照して、コイル部1は、コイルごとに設けられた複数のベース部材BEすなわちベース部材18A,18B,19A,19B,20A,20Bを備える。ベース部材BEは絶縁部材である。図4では、ベース部材BEとして、低圧側コイル9Aおよび9Bならびに低圧側コイル10Aおよび10Bにそれぞれ対応するベース部材19A,19B,20A,20Bを代表的に示している。
ベース部材BEは、積層方向に隣り合うコイル間に配置されており、流路部材群BGが設けられた主表面と反対側の主表面においてコイルに密着されている。ベース部材BEは、各コイルを支える。
より詳細には、ベース部材19Aは、低圧側コイル9Aと低圧側コイル10Aとの間に設けられ、低圧側コイル10Aに密着されている。ベース部材20Aは、低圧側コイル10Aと高圧側コイル8Aとの間に設けられ、高圧側コイル8Aに密着されている。ベース部材18Aは、高圧側コイル8Aと高圧側コイル8Bとの間に設けられ、高圧側コイル8Bに密着されている。ベース部材18Bは、高圧側コイル8Bと低圧側コイル10Bとの間に設けられ、低圧側コイル10Bに密着されている。ベース部材20Bは、低圧側コイル10Bと低圧側コイル9Bとの間に設けられ、低圧側コイル9Bに密着されている。
流路部材群BGは、コイルごとに設けられ、各々が、絶縁部材である複数の流路部材を含み、対応のベース部材BEに設けられ、対応のベース部材BEと対応のコイルとの間に絶縁油2を流すための流路を形成している。すなわち、ベース部材18A,18B,19A,19B,20A,20Bに設けられた流路部材群BGは、それぞれ高圧側コイル8A,高圧側コイル8B,低圧側コイル9A,低圧側コイル9B,低圧側コイル10A,低圧側コイル10Bを冷却するための流路を形成している。また、各コイルを支えるため、各層の流路部材すなわち各ベース部材BEにおける流路部材は、コイルの積層方向において略同じ位置に配置されている。
図6は、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置における低圧側コイルグループ10に対応するベース部材上の流路部材の配置を示す図である。
図6を参照して、流路部材群BGは、流路部材S1および流路部材S2を含む。流路部材S1は、矩形状であり、流路の入口側および出口側に縦横に複数設けられ、絶縁油2の流れ方向に沿った2長辺と、絶縁油2の流れ方向と略直角な2短辺とを有する。流路部材S2は、矩形状であり、流路の入口側と出口側との間に縦横に複数設けられ、絶縁油2の流れ方向と略直角な2長辺と、絶縁油2の流れ方向に沿った2短辺とを有する。
ここで、矢印F1は、流路の入口側の領域において、絶縁油2の流れ方向において鉄心3と重なる領域を流れる絶縁油2を示す。また、矢印F2は、流路の入口側の領域において、絶縁油2の流れ方向において鉄心3と重ならない領域を流れる絶縁油2を示す。
低圧側コイルグループ10では、矢印F1で示す絶縁油2が、鉄心3にぶつかって点線の丸印で囲まれた領域において澱む。このため、矢印F1で示す絶縁油2の流量は、矢印F2で示す絶縁油2の流量と比べて小さい。
図7は、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置における低圧側コイルグループ9に対応するベース部材上の流路部材および阻害部材の配置を示す図である。
図7を参照して、低圧側コイルグループ9を冷却するための流路が形成されるベース部材BEでは、低圧側コイルグループ10を冷却するための流路が形成されるベース部材BEと異なり、流路部材S1および流路部材S2に加えて阻害部材12が設けられている。阻害部材12はT字状であり、絶縁油2の流れ方向と略直角な方向の長さが流路部材S1の2短辺と比べて長い部分を有する。阻害部材12は、流路部材群BGによって形成される流路の入口側の領域のうち、絶縁油2の流れ方向において鉄心3と重ならない領域における絶縁油2の流れを阻害するように配置されている。
以下、架線等から高圧側コイルに交流電圧が供給され、これによって低圧側コイルに交流電圧が誘起される交流モードと、架線等から低圧側コイルに直流電圧が供給される直流モードとを変圧装置101が有する場合について説明する。
図8は、変圧装置が阻害部材を備えないと仮定した場合の各運転モードにおける各コイルの温度上昇を示す図である。
交流モードである運転モードAでは、架線等から高圧側コイルグループ8にたとえば振幅が15kVの交流電圧が供給され、これにより、低圧側コイルグループ10に交流電圧が誘起される。
また、同じく交流モードである運転モードBでは、架線等から高圧側コイルグループ8にたとえば振幅が25kVの交流電圧が供給され、これにより、低圧側コイルグループ9に交流電圧が誘起される。
また、直流モードである運転モードCでは、架線等から低圧側コイルグループ9および10に直流電圧が供給される。
図8を参照して、運転モードA,B,Cのうち、運転モードAにおける低圧側コイルグループ10の温度上昇が最も大きくなる。このとき、低圧側コイルグループ10の温度上昇値は基準値TGを超えてしまう。
したがって、変圧装置101が阻害部材12を備えない場合には、その冷却設計が、変圧装置101における一部のコイルである低圧側コイルグループ10で規定されてしまい、その結果、冷却能力の高い大型の冷却器を使用する必要があるために変圧装置が大型化し、製造コストが増大してしまう。
図9は、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置の各運転モードにおける各コイルの温度上昇を示す図である。
前述のように、変圧装置101では、低圧側コイルグループ9に対応する流路すなわち低圧側コイルグループ9を冷却するための流路が形成されるベース部材BEにおいて阻害部材12が設けられている。
これにより、低圧側コイルグループ9の圧力損失が増加し、低圧側コイルグループ9を冷却するための流路における絶縁油2の流量が少なくなるため、低圧側コイルグループ9の隣に位置する低圧側コイルグループ10を冷却するための流路における絶縁油2の流量すなわち流速が大きくなる。そうすると、低圧側コイルグループ9の温度上昇が大きくなり、低圧側コイルグループ10の温度上昇が小さくなる。
したがって、図9に示すように、低圧側コイルグループ9および10の温度上昇が均等化される。すなわち、運転モードAにおいて低圧側コイルグループ10の温度上昇値が基準値TGを超えることを防ぐことができる。なお、変圧装置101では、阻害部材12を備えない場合と比べて、運転モードBにおいて低圧側コイルグループ9の温度上昇が大きくなっているが、基準値TG未満に抑えられており、交流モードおよび直流モードにおける各コイルの温度が所定値以下に抑えられている。
すなわち、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置では、各コイルグループの圧力損失を調整し、温度が高いコイルグループへの絶縁油の流量を増やしてその温度上昇を抑え、かつ温度が低いコイルグループへの絶縁油の流量を減らしてその温度上昇を高めることにより、各コイルグループの温度上昇を均等化して、冷却効率を向上させることができる。
ここで、コイルの冷却能力は、コイルに接する絶縁油の流速、およびコイルと絶縁油とが接する濡れ面積に比例する。本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置では、コイルの濡れ面積を確保しながら、各コイルグループ間の流量バランスをとることができる。
また、コイルの温度は、外気温と絶縁油温度と絶縁油によるコイル温度上昇値との足し算により求まる。コイルの温度は、規格により上限値が定められているため、各コイルグループ間でこのコイル温度上昇値に不均等があると、コイル温度上昇値の最大値に合わせて冷却器を選定することになり、冷却能力を高めるために大型の冷却器を使用する必要が生じてしまう。
本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置では、各コイルグループ間でコイル温度上昇を均等化することができるため、冷却能力の高い冷却器を使用する必要がなくなることから、変圧装置全体を小形かつ軽量化して製造コストを低減することができる。また、変圧装置における機能設計を変えることなく、コイルグループ間の温度上昇を効率的に均等化することができる。
また、低圧側コイルグループ9では、絶縁油の流れ方向において鉄心3と重ならない領域における絶縁油2の流量が減少し、絶縁油の流れ方向において鉄心3と重なる領域における絶縁油2の流量が増加する。そうすると、図7に示すように、矢印F1で示す絶縁油2の流量が大きくなり、矢印F2で示す絶縁油2の流量が小さくなる。これにより、絶縁油2が鉄心3にぶつかって澱む領域への絶縁油の流量を増加させることができ、この澱み領域を減少させることができる。すなわち、各コイルグループ間でコイル温度上昇を均等化するだけでなく、低圧側コイルグループ9内における温度上昇のばらつきも防ぐことで冷却効率をさらに高めることができる。
また、車両用変圧器において、たとえば2次巻線および3次巻線と対応の各電圧変換部とが接続される場合には、各電圧変換部によって駆動される各モータの動作を揃えることが要求される。このため、1次巻線および2次巻線間の短絡インピーダンスと1次巻線および3次巻線間の短絡インピーダンスとをできるだけ等しくする必要がある。
しかしながら、特許文献1記載の車両用変圧器は、内鉄型であり、2次巻線および3次巻線を高圧巻線(1次巻線)の内側に配置する同心円構造を有する。特許文献1記載の車両用変圧器では2次巻線および3次巻線の半径距離が異なり、短絡インピーダンスの値は、巻線の同心円の中心から半径方向の距離に比例することから、短絡インピーダンスを等しくすることが困難である。
ここで、ダクトピースの間隔は、磁気により発生する機械力に各コイルが耐えることが可能な間隔に設定される。特許文献1記載の車両用変圧器において2次巻線および3次巻線の短絡インピーダンスを等しくするために、一方の巻線に対応するダクトピースを高く設定すると、その巻線に接する絶縁油の流量が多くなる。このため、その巻線に対応するダクトピースの配置間隔を狭くする必要があるが、巻線と絶縁油との接する濡れ面積が小さくなることから、熱伝達率が低下してしまう。
そして、内鉄型である特許文献2記載の変圧器巻線も、特許文献1記載の車両用変圧器と同様の問題点を有している。
しかしながら、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置は、外鉄型であり、高圧側コイル(1次巻線)が各低圧側コイル(2次巻線および3次巻線)に挟まれる構造を有する。このため、高圧側コイルと各低圧側コイルとの位置関係を等しくすることができ、短絡インピーダンスを容易に等しくすることができる。
なお、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置は外鉄型であるとしたが、これに限定するものではなく、内鉄型(Core-Type)であってもよい。この場合、高圧側コイルおよび低圧側コイルは、鉄心3に同心円状に巻回され、この巻回円の径方向に積層される。ベース部材BEは、径方向すなわち積層方向に隣り合う複数のコイル間に配置される。
また、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置では、阻害部材12は、低圧側コイルグループ9を冷却するための流路における絶縁油2の流量が、低圧側コイルグループ10を冷却するための流路における絶縁油2の流量より少なくなるように絶縁油2の流れを阻害する位置に配置されている構成であるとしたが、これに限定するものではない。変圧装置の要求仕様に応じて、阻害部材12が、複数の流路部材群BGによって形成される各流路のうちの少なくともいずれか1つが、他の流路における絶縁油2の流量と異なるように絶縁油2の流れを阻害する位置に配置されている構成であればよい。
また、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置は、低圧側コイルグループ9および10の組を2つ備える構成であるとしたが、これに限定するものではなく、コイルの組み合わせがさらに増えた場合でも、阻害部材12を配置することによって同様の効果を得ることができる。
また、変圧装置101を備えた車両が、交流区間および直流区間を走行する場合に限らず、たとえば異なる振幅の交流電圧がそれぞれ供給される複数の区間を走行する場合であっても、各コイルグループの温度上昇を均等化して、冷却効率を向上させることが可能である。
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
<第2の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る変圧装置と比べて阻害部材の形状を変更した変圧装置に関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る変圧装置と同様である。
図10は、本発明の第2の実施の形態に係る変圧装置における低圧側コイルグループ9に対応するベース部材上の流路部材および阻害部材の配置を示す図である。
図10を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る変圧装置は、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置と比べて、阻害部材12の代わりに阻害部材22を備える。
低圧側コイルグループ9を冷却するための流路が形成されるベース部材BEでは、低圧側コイルグループ10を冷却するための流路が形成されるベース部材BEと異なり、流路部材S1および流路部材S2に加えて阻害部材22が設けられている。阻害部材22はL字状であり、絶縁油2の流れ方向と略直角な方向の長さが流路部材S1の2短辺と比べて長い部分を有する。阻害部材22は、流路部材群BGによって形成される流路の入口側の領域のうち、絶縁油2の流れ方向において鉄心3と重ならない領域における絶縁油2の流れを阻害するように配置されている。
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る変圧装置と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
したがって、本発明の第2の実施の形態に係る変圧装置では、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置と同様に、各コイルグループにおける温度上昇を均等化することができるため、冷却器の小型化を図ることができ、変圧装置全体を小形かつ軽量化して製造コストの低減を図ることができる。
なお、阻害部材は、T字状およびL字状に限らず、絶縁油2の流れ方向と略直角な方向の長さが流路部材S1の2短辺と比べて長い部分を有する形状であれば、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置と同様の効果を得ることが可能である。
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
<第3の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る変圧装置と比べて阻害部材の配置を変更した変圧装置に関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る変圧装置と同様である。
図11は、本発明の第3の実施の形態に係る変圧装置における低圧側コイルグループ10に対応するベース部材上の流路部材の配置を示す図である。
図11を参照して、矢印F3は、流路の出口側の領域において、絶縁油2の流れ方向において鉄心3と重なる領域を流れる絶縁油2を示す。また、矢印F4は、流路の出口側の領域において、絶縁油2の流れ方向において鉄心3と重ならない領域を流れる絶縁油2を示す。
低圧側コイルグループ10では、矢印F3で示す絶縁油2が、鉄心3により、点線の丸印で囲まれた領域において澱む。このため、矢印F3で示す絶縁油2の流量は、矢印F4で示す絶縁油2の流量と比べて小さい。
図12は、本発明の第3の実施の形態に係る変圧装置における低圧側コイルグループ9に対応するベース部材上の流路部材および阻害部材の配置を示す図である。
図12を参照して、本発明の第3の実施の形態に係る変圧装置は、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置と比べて、阻害部材12の代わりに阻害部材32を備える。
低圧側コイルグループ9を冷却するための流路が形成されるベース部材BEでは、低圧側コイルグループ10を冷却するための流路が形成されるベース部材BEと異なり、流路部材S1および流路部材S2に加えて阻害部材32が設けられている。阻害部材32はT字状であり、絶縁油2の流れ方向と略直角な方向の長さが流路部材S1の2短辺と比べて長い部分を有する。阻害部材32は、流路部材群BGによって形成される流路の出口側の領域のうち、絶縁油2の流れ方向において鉄心3と重ならない領域における絶縁油2の流れを阻害するように配置されている。
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る変圧装置と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
したがって、本発明の第3の実施の形態に係る変圧装置では、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置と同様に、各コイルグループにおける温度上昇を均等化することができるため、冷却器の小型化を図ることができ、変圧装置全体を小形かつ軽量化して製造コストの低減を図ることができる。
また、本発明の第3の実施の形態に係る変圧装置では、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置と同様に、低圧側コイルグループ9では、絶縁油の流れ方向において鉄心3と重ならない領域における絶縁油2の流量が減少し、絶縁油の流れ方向において鉄心3と重なる領域における絶縁油2の流量が増加する。そうすると、図12に示すように、矢印F3で示す絶縁油2の流量が大きくなり、矢印F4で示す絶縁油2の流量が小さくなる。これにより、絶縁油2が鉄心3にぶつかって澱む領域への絶縁油の流量を増加させることができ、この澱み領域を減少させることができるため、低圧側コイルグループ9内における温度上昇のばらつきも防ぐことができる。
なお、阻害部材は、流路の入口側および出口側の両方に設けられてもよい。このような構成により、本発明の第1の実施の形態および第3の実施の形態に係る変圧装置と比べて、さらに、コイル単体での冷却効率を向上することができる。
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
<第4の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る変圧装置と比べて阻害部材の配置を変更した変圧装置に関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る変圧装置と同様である。
図13は、本発明の第4の実施の形態に係る変圧装置におけるコイル部の構成を詳細に示す斜視図である。図14は、本発明の第4の実施の形態に係る変圧装置におけるコイル部の構成を詳細に示す断面図である。図14は、コイル部1の図6または図7におけるXIV−XIV断面を示している。
図13および図14を参照して、コイル部1は、ベース部材28,30A,30Bを備える。図13では、低圧側コイル9Aおよび10Aに対応するベース部材30Aと、低圧側コイル9Bおよび10Bに対応するベース部材30Bとを代表的に示している。
ベース部材BEは、積層方向に隣り合うコイル間に配置されている。ベース部材BEは、流路部材群BGを介して各コイルを支える。
より詳細には、ベース部材30Aは、低圧側コイル9Aと低圧側コイル10Aとの間に設けられている。ベース部材28は、高圧側コイル8Aと高圧側コイル8Bとの間に設けられている。ベース部材20Bは、低圧側コイル10Bと低圧側コイル9Bとの間に設けられている。
流路部材群BGは、コイルごとに設けられ、各々が、絶縁部材である複数の流路部材を含み、対応のベース部材BEに設けられ、対応のベース部材BEと対応のコイルとの間に絶縁油2を流すための流路を形成している。すなわち、ベース部材30Aの低圧側コイル9A側の主表面および低圧側コイル10A側の主表面にそれぞれ設けられた流路部材群BGは、それぞれ低圧側コイル9Aおよび低圧側コイル10Aを冷却するための流路を形成している。ベース部材28の高圧側コイル8A側の主表面および高圧側コイル8B側の主表面にそれぞれ設けられた流路部材群BGは、それぞれ高圧側コイル8Aおよび高圧側コイル8Bを冷却するための流路を形成している。ベース部材30Bの低圧側コイル9B側の主表面および低圧側コイル10B側の主表面にそれぞれ設けられた流路部材群BGは、それぞれ低圧側コイル9Bおよび低圧側コイル10Bを冷却するための流路を形成している。また、各コイルを支えるため、各層の流路部材すなわち各ベース部材BEの流路部材は、コイルの積層方向において略同じ位置に配置されている。
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る変圧装置と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
したがって、本発明の第4の実施の形態に係る変圧装置では、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置と同様に、各コイルグループにおける温度上昇を均等化することができるため、冷却器の小型化を図ることができ、変圧装置全体を小形かつ軽量化して製造コストの低減を図ることができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置と比べて、ベース部材を削減することができるため、さらに小型化および製造コストの低減を図ることができる。
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
<第5の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る変圧装置と比べて阻害部材の配置を変更した変圧装置に関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る変圧装置と同様である。
本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置では、阻害部材がベース部材の主表面上に配置されていたが、これに限定するものではなく、阻害部材がベース部材の外部に配置されてもよいし、下記のようにベース部材の端部に取り付けられてもよい。
図15は、本発明の第5の実施の形態に係る変圧装置における低圧側コイルグループ9に対応するベース部材における流路部材および阻害部材の配置を示す図である。
図15を参照して、本発明の第5の実施の形態に係る変圧装置は、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置と比べて、阻害部材12の代わりに阻害部材42を備える。
低圧側コイルグループ9を冷却するための流路が形成されるベース部材BEの端部には、低圧側コイルグループ10を冷却するための流路が形成されるベース部材BEと異なり、阻害部材42が取り付けられている。阻害部材42は、流路部材群BGによって形成される流路の入口側の領域のうち、絶縁油2の流れ方向において鉄心3と重ならない領域における絶縁油2の流れを阻害するように配置されている。すなわち、阻害部材42は、絶縁油2の流れ方向と略直角な方向の長さが流路部材S1の2短辺と比べて長い部分を有する。
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る変圧装置と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
このような構成であっても、低圧側コイルグループ9の圧力損失が増加し、低圧側コイルグループ9を冷却するための流路における絶縁油2の流量が少なくなるため、低圧側コイルグループ9の隣に位置する低圧側コイルグループ10を冷却するための流路における絶縁油2の流量すなわち流速が大きくなる。そうすると、低圧側コイルグループ9の温度上昇が大きくなり、低圧側コイルグループ10の温度上昇が小さくなる。したがって、低圧側コイルグループ9および10の温度上昇が均等化される。
したがって、本発明の第5の実施の形態に係る変圧装置では、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置と同様に、各コイルグループにおける温度上昇を均等化することができるため、冷却器の小型化を図ることができ、変圧装置全体を小形かつ軽量化して製造コストの低減を図ることができる。
また、本発明の第5の実施の形態に係る変圧装置では、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置と同様に、低圧側コイルグループ9では、絶縁油の流れ方向において鉄心3と重ならない領域における絶縁油2の流量が減少し、絶縁油の流れ方向において鉄心3と重なる領域における絶縁油2の流量が増加する。そうすると、図15に示すように、矢印F1で示す絶縁油2の流量が大きくなり、矢印F2で示す絶縁油2の流量が小さくなる。これにより、絶縁油2が鉄心3にぶつかって澱む領域への絶縁油の流量を増加させることができ、この澱み領域を減少させることができるため、低圧側コイルグループ9内における温度上昇のばらつきも防ぐことができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明は、変圧装置に関し、特に、コイルを冷却するための絶縁液体の流路を形成するための部材を備えた変圧装置に関する。
一般に、車両用変圧器のコイルが発する熱の冷却には、絶縁液を循環させるポンプと、冷却器とが用いられる。また、変圧器のコイル間には、複数の絶縁部材(スペーサ)が設けられる。このスペーサは、コイルを冷却するために流れる絶縁液の流路を確保し、かつ短絡による機械力が発生したときにコイルを保持する役割を有する。
コイルを冷却する能力は、コイルの表面積からコイルがスペーサと接する面積を除いた、コイルが絶縁液と接する面積であるコイル濡れ面積と、コイルの表面を流れる絶縁液の流速とに比例する。このため、コイル濡れ面積をより多く確保すれば冷却効率が向上する。
しかしながら、スペーサの間隔をより広くしてコイル濡れ面積をより多く確保しても、短絡による機械力が発生した場合に耐えられるような間隔でなければ、コイルが座屈して変圧器が故障することになる。
変圧器のコイルを冷却するための技術として、たとえば、特開平9−134823号公報(特許文献1)には、以下のような車両用変圧器が開示されている。すなわち、冷却方式を送油風冷式としたものにおいて、鉄心の脚部の外周に低圧巻線を、低圧巻線の外周に高圧巻線をそれぞれ巻回すると共に、その各巻回間に冷却油道を形成することによって中身を構成する。この中身を、上記冷却油道がタンクの底面と平行になるようにタンク内に配置している。そして、低圧巻線及び高圧巻線の各巻回間にダクトピースを間隔を違えて挟設することにより上記冷却油道を形成している。
また、実開平6−17215号公報(特許文献2)には、以下のような変圧器巻線が開示されている。すなわち、内側および外側絶縁筒間に円板巻線を複数段巻き回して積層すると共に、各段の円板巻線間に油道を形成する矩形状の間隔片を放射状に複数個配置している変圧器巻線である。この変圧器巻線の軸方向中央部における上記間隔片の幅寸法をAとし、巻線の少なくとも軸方向上部側に位置する端部側寄りにおける間隔片の幅寸法をBとした場合に、A>Bの関係を満足するように上端部側に位置する間隔片の幅寸法を順次小さくしている。
特開平9−134823号公報 実開平6−17215号公報
ところで、架線等から交流電圧が供給される交流区間および架線等から直流電圧が供給される直流区間の両方において走行可能な交流/直流電車が開発されている。このような交流/直流電車において、低圧側である負荷側のコイルを交流区間および直流区間において共用する場合、すなわち交流区間においては低圧側コイルとコンバータとを接続し、直流区間においては架線等から直流電力を受けるリアクトルとして低圧側コイルを用いる場合には、低圧側コイルの使用条件および負荷条件が直流区間および交流区間で異なるため、低圧側コイルの温度上昇が均等にならない。たとえば、直流区間においてリアクトルとして使用する低圧側コイルの温度が極端に上昇する。そうすると、変圧器全体の冷却設計が、変圧器における一部のコイルで規定されてしまい、その結果、冷却能力の高い大型の冷却器を使用する必要があるために変圧器が大型化し、製造コストが増大してしまう。
しかしながら、特許文献1記載の車両用変圧器では、上記冷却油道が絶縁油の流れる方向に沿って直線的に形成されている、すなわち各巻線の両端部間をダクトピースが延伸しているため、コイル濡れ面積が小さくなる。そうすると、冷却効率が低下するため、冷却能力の高い大型の冷却器を使用する必要が生じてしまう。また、ダクトピースを低圧巻線及び高圧巻線の各巻回間に取り付ける作業は困難を伴う。
また、特許文献2記載の変圧器巻線では、油の流入する変圧器巻線の軸方向下端部において油が澱むため、軸方向下端部における巻線温度が高くなり、また、変圧器巻線の軸方向上端部においては逆に油の流量が増えるため、巻線温度が低くなりすぎてしまう。すなわち、冷却効率が低下するため、冷却能力の高い大型の冷却器を使用する必要が生じてしまう。
それゆえに、本発明の目的は、コイルに対する冷却効率を向上し、かつ小型化および製造コストの低減を図ることが可能な変圧装置を提供することである。
この発明のある局面に係わる変圧装置は、鉄心と、鉄心に巻回され、積層された複数のコイルと、積層方向に隣り合う複数のコイル間に配置された複数のベース部材と、コイルごとに設けられ、各々が、対応のベース部材に設けられ、対応のベース部材と対応のコイルとの間に絶縁液体を流すための流路を形成している複数の流路部材群と、路部材群ごとに形成される各流路のうちの少なくともいずれか1つである調整流路における絶縁液体の流量が、各流路のうちの調整流路以外の流路における絶縁液体の流量と異なるように絶縁液体の流れを阻害し、かつ調整流路の領域のうち、絶縁液体の流れ方向において鉄心と重ならない領域における絶縁液体の流れを阻害するように配置されている阻害部材とを備える。
またこの発明の別の局面に係わる変圧装置は、少なくとも2つの開口部を有する鉄心と、各開口部間の鉄心の部分に貫通されるように各開口部を通して巻回され、貫通方向に積層されている複数のコイルと、積層方向に隣り合う複数のコイル間に配置された複数のベース部材と、コイルごとに設けられ、各々が、対応のベース部材に設けられ、対応のベース部材と対応のコイルとの間に絶縁液体を流すための流路を形成している複数の流路部材群と、路部材群ごとに形成される各流路のうちの少なくともいずれか1つである調整流路における絶縁液体の流量が、各流路のうちの調整流路以外の流路における絶縁液体の流量と異なるように絶縁液体の流れを阻害するように配置されている阻害部材とを備える。
本発明によれば、コイルに対する冷却効率を向上し、かつ小型化および製造コストの低減を図ることができる。
本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置の概略構成および絶縁液の流れを示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置におけるコイル部および鉄心の概略構成を示す斜視図である。 コイル部および鉄心の図2におけるIII−III断面を示す断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置におけるコイル部の構成を詳細に示す斜視図である。 本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置におけるコイル部の構成を詳細に示す断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置における低圧側コイルグループ10に対応するベース部材上の流路部材の配置を示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置における低圧側コイルグループ9に対応するベース部材上の流路部材および阻害部材の配置を示す図である。 変圧装置が阻害部材を備えないと仮定した場合の各運転モードにおける各コイルの温度上昇を示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置の各運転モードにおける各コイルの温度上昇を示す図である。 本発明の第2の実施の形態に係る変圧装置における低圧側コイルグループ9に対応するベース部材上の流路部材および阻害部材の配置を示す図である。 本発明の第3の実施の形態に係る変圧装置における低圧側コイルグループ10に対応するベース部材上の流路部材の配置を示す図である。 本発明の第3の実施の形態に係る変圧装置における低圧側コイルグループ9に対応するベース部材上の流路部材および阻害部材の配置を示す図である。 本発明の第4の実施の形態に係る変圧装置におけるコイル部の構成を詳細に示す斜視図である。 本発明の第4の実施の形態に係る変圧装置におけるコイル部の構成を詳細に示す断面図である。 本発明の第5の実施の形態に係る変圧装置における低圧側コイルグループ9に対応するベース部材における流路部材および阻害部材の配置を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置の概略構成および絶縁液の流れを示す図である。
図1を参照して、変圧装置101は、コイル部1と、絶縁油2と、鉄心3と、ポンプ4と、冷却器5と、ブロワー6と、タンク7とを備える。
タンク7は、絶縁油2によって満たされており、コイル部1および鉄心3を収容することにより、コイル部1および鉄心3を絶縁油2で浸す。絶縁油2により、コイル部1および鉄心3の絶縁および冷却が行なわれる。
ポンプ4は、図中の矢印で示すように、ポンプ4と冷却器5との間の配管、冷却器5、冷却器5とタンク7との間の配管、タンク7、タンク7とポンプ4との間の配管の順番で絶縁油2を循環させる。
すなわち、ポンプ4は、タンク7の出口部から絶縁油2を吸い出して冷却器5へ送り出す。冷却器5は、ブロワー6から受けた風により、ポンプ4からの絶縁油2を冷却しながら通過させる。冷却器5によって冷却された絶縁油2は、タンク7の入口部へ流れ込み、コイル部1を通過することにより、コイル部1を冷却する。
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置におけるコイル部および鉄心の概略構成を示す斜視図である。図3は、コイル部および鉄心の図2におけるIII−III断面を示す断面図である。
図2および図3を参照して、変圧装置101は、たとえば外鉄型(Shell-Type)の変圧器である。コイル部1は、高圧側コイルグループ8と、低圧側コイルグループ9,10とを含む。高圧側コイルグループ8は、高圧側コイル8A,8Bを含む。低圧側コイルグループ9は、低圧側コイル9A,9Bを含む。低圧側コイルグループ10は、低圧側コイル10A,10Bを含む。
鉄心3は、互いに対向する第1側面および第2側面と、第1側面から第2側面へ貫通する開口部である窓部W1およびW2とを有する。高圧側コイル8Aおよび8B、低圧側コイル9Aおよび9Bならびに低圧側コイル10Aおよび10Bは、窓部W1,W2間の鉄心3の部分に貫通されるように窓部W1,W2を通して巻回され、鉄心3の貫通方向に積層されている。
高圧側コイル8Aおよび8B、低圧側コイル9Aおよび9Bならびに低圧側コイル10Aおよび10Bは、窓部W1およびW2を通るように巻き回されている。
高圧側コイル8Aは、低圧側コイル10Aと低圧側コイル10Bとの間であって低圧側コイル10Aに対向する位置に設けられ、低圧側コイル10Aと磁気結合されている。
高圧側コイル8Bは、高圧側コイル8Aと並列に接続され、低圧側コイル10Aと低圧側コイル10Bとの間であって低圧側コイル10Bに対向する位置に設けられ、低圧側コイル10Bと磁気結合されている。
低圧側コイル9Aは、低圧側コイル10Aに対して高圧側コイル8Aと反対側に設けられ、高圧側コイル8Aと磁気結合されている。
低圧側コイル9Bは、低圧側コイル10Bに対して高圧側コイル8Bと反対側に設けられ、高圧側コイル8Bと磁気結合されている。
図4は、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置におけるコイル部の構成を詳細に示す斜視図である。図5は、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置におけるコイル部の構成を詳細に示す断面図である。図5は、コイル部1の図6または図7におけるV−V断面を示している。
図4および図5を参照して、コイル部1は、コイルごとに設けられた複数のベース部材BEすなわちベース部材18A,18B,19A,19B,20A,20Bを備える。ベース部材BEは絶縁部材である。図4では、ベース部材BEとして、低圧側コイル9Aおよび9Bならびに低圧側コイル10Aおよび10Bにそれぞれ対応するベース部材19A,19B,20A,20Bを代表的に示している。
ベース部材BEは、積層方向に隣り合うコイル間に配置されており、流路部材群BGが設けられた主表面と反対側の主表面においてコイルに密着されている。ベース部材BEは、各コイルを支える。
より詳細には、ベース部材19Aは、低圧側コイル9Aと低圧側コイル10Aとの間に設けられ、低圧側コイル10Aに密着されている。ベース部材20Aは、低圧側コイル10Aと高圧側コイル8Aとの間に設けられ、高圧側コイル8Aに密着されている。ベース部材18Aは、高圧側コイル8Aと高圧側コイル8Bとの間に設けられ、高圧側コイル8Bに密着されている。ベース部材18Bは、高圧側コイル8Bと低圧側コイル10Bとの間に設けられ、低圧側コイル10Bに密着されている。ベース部材20Bは、低圧側コイル10Bと低圧側コイル9Bとの間に設けられ、低圧側コイル9Bに密着されている。
流路部材群BGは、コイルごとに設けられ、各々が、絶縁部材である複数の流路部材を含み、対応のベース部材BEに設けられ、対応のベース部材BEと対応のコイルとの間に絶縁油2を流すための流路を形成している。すなわち、ベース部材18A,18B,19A,19B,20A,20Bに設けられた流路部材群BGは、それぞれ高圧側コイル8A,高圧側コイル8B,低圧側コイル9A,低圧側コイル9B,低圧側コイル10A,低圧側コイル10Bを冷却するための流路を形成している。また、各コイルを支えるため、各層の流路部材すなわち各ベース部材BEにおける流路部材は、コイルの積層方向において略同じ位置に配置されている。
図6は、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置における低圧側コイルグループ10に対応するベース部材上の流路部材の配置を示す図である。
図6を参照して、流路部材群BGは、流路部材S1および流路部材S2を含む。流路部材S1は、矩形状であり、流路の入口側および出口側に縦横に複数設けられ、絶縁油2の流れ方向に沿った2長辺と、絶縁油2の流れ方向と略直角な2短辺とを有する。流路部材S2は、矩形状であり、流路の入口側と出口側との間に縦横に複数設けられ、絶縁油2の流れ方向と略直角な2長辺と、絶縁油2の流れ方向に沿った2短辺とを有する。
ここで、矢印F1は、流路の入口側の領域において、絶縁油2の流れ方向において鉄心3と重なる領域を流れる絶縁油2を示す。また、矢印F2は、流路の入口側の領域において、絶縁油2の流れ方向において鉄心3と重ならない領域を流れる絶縁油2を示す。
低圧側コイルグループ10では、矢印F1で示す絶縁油2が、鉄心3にぶつかって点線の丸印で囲まれた領域において澱む。このため、矢印F1で示す絶縁油2の流量は、矢印F2で示す絶縁油2の流量と比べて小さい。
図7は、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置における低圧側コイルグループ9に対応するベース部材上の流路部材および阻害部材の配置を示す図である。
図7を参照して、低圧側コイルグループ9を冷却するための流路が形成されるベース部材BEでは、低圧側コイルグループ10を冷却するための流路が形成されるベース部材BEと異なり、流路部材S1および流路部材S2に加えて阻害部材12が設けられている。阻害部材12はT字状であり、絶縁油2の流れ方向と略直角な方向の長さが流路部材S1の2短辺と比べて長い部分を有する。阻害部材12は、流路部材群BGによって形成される流路の入口側の領域のうち、絶縁油2の流れ方向において鉄心3と重ならない領域における絶縁油2の流れを阻害するように配置されている。
以下、架線等から高圧側コイルに交流電圧が供給され、これによって低圧側コイルに交流電圧が誘起される交流モードと、架線等から低圧側コイルに直流電圧が供給される直流モードとを変圧装置101が有する場合について説明する。
図8は、変圧装置が阻害部材を備えないと仮定した場合の各運転モードにおける各コイルの温度上昇を示す図である。
交流モードである運転モードAでは、架線等から高圧側コイルグループ8にたとえば振幅が15kVの交流電圧が供給され、これにより、低圧側コイルグループ10に交流電圧が誘起される。
また、同じく交流モードである運転モードBでは、架線等から高圧側コイルグループ8にたとえば振幅が25kVの交流電圧が供給され、これにより、低圧側コイルグループ9に交流電圧が誘起される。
また、直流モードである運転モードCでは、架線等から低圧側コイルグループ9および10に直流電圧が供給される。
図8を参照して、運転モードA,B,Cのうち、運転モードAにおける低圧側コイルグループ10の温度上昇が最も大きくなる。このとき、低圧側コイルグループ10の温度上昇値は基準値TGを超えてしまう。
したがって、変圧装置101が阻害部材12を備えない場合には、その冷却設計が、変圧装置101における一部のコイルである低圧側コイルグループ10で規定されてしまい、その結果、冷却能力の高い大型の冷却器を使用する必要があるために変圧装置が大型化し、製造コストが増大してしまう。
図9は、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置の各運転モードにおける各コイルの温度上昇を示す図である。
前述のように、変圧装置101では、低圧側コイルグループ9に対応する流路すなわち低圧側コイルグループ9を冷却するための流路が形成されるベース部材BEにおいて阻害部材12が設けられている。
これにより、低圧側コイルグループ9の圧力損失が増加し、低圧側コイルグループ9を冷却するための流路における絶縁油2の流量が少なくなるため、低圧側コイルグループ9の隣に位置する低圧側コイルグループ10を冷却するための流路における絶縁油2の流量すなわち流速が大きくなる。そうすると、低圧側コイルグループ9の温度上昇が大きくなり、低圧側コイルグループ10の温度上昇が小さくなる。
したがって、図9に示すように、低圧側コイルグループ9および10の温度上昇が均等化される。すなわち、運転モードAにおいて低圧側コイルグループ10の温度上昇値が基準値TGを超えることを防ぐことができる。なお、変圧装置101では、阻害部材12を備えない場合と比べて、運転モードBにおいて低圧側コイルグループ9の温度上昇が大きくなっているが、基準値TG未満に抑えられており、交流モードおよび直流モードにおける各コイルの温度が所定値以下に抑えられている。
すなわち、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置では、各コイルグループの圧力損失を調整し、温度が高いコイルグループへの絶縁油の流量を増やしてその温度上昇を抑え、かつ温度が低いコイルグループへの絶縁油の流量を減らしてその温度上昇を高めることにより、各コイルグループの温度上昇を均等化して、冷却効率を向上させることができる。
ここで、コイルの冷却能力は、コイルに接する絶縁油の流速、およびコイルと絶縁油とが接する濡れ面積に比例する。本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置では、コイルの濡れ面積を確保しながら、各コイルグループ間の流量バランスをとることができる。
また、コイルの温度は、外気温と絶縁油温度と絶縁油によるコイル温度上昇値との足し算により求まる。コイルの温度は、規格により上限値が定められているため、各コイルグループ間でこのコイル温度上昇値に不均等があると、コイル温度上昇値の最大値に合わせて冷却器を選定することになり、冷却能力を高めるために大型の冷却器を使用する必要が生じてしまう。
本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置では、各コイルグループ間でコイル温度上昇を均等化することができるため、冷却能力の高い冷却器を使用する必要がなくなることから、変圧装置全体を小形かつ軽量化して製造コストを低減することができる。また、変圧装置における機能設計を変えることなく、コイルグループ間の温度上昇を効率的に均等化することができる。
また、低圧側コイルグループ9では、絶縁油の流れ方向において鉄心3と重ならない領域における絶縁油2の流量が減少し、絶縁油の流れ方向において鉄心3と重なる領域における絶縁油2の流量が増加する。そうすると、図7に示すように、矢印F1で示す絶縁油2の流量が大きくなり、矢印F2で示す絶縁油2の流量が小さくなる。これにより、絶縁油2が鉄心3にぶつかって澱む領域への絶縁油の流量を増加させることができ、この澱み領域を減少させることができる。すなわち、各コイルグループ間でコイル温度上昇を均等化するだけでなく、低圧側コイルグループ9内における温度上昇のばらつきも防ぐことで冷却効率をさらに高めることができる。
また、車両用変圧器において、たとえば2次巻線および3次巻線と対応の各電圧変換部とが接続される場合には、各電圧変換部によって駆動される各モータの動作を揃えることが要求される。このため、1次巻線および2次巻線間の短絡インピーダンスと1次巻線および3次巻線間の短絡インピーダンスとをできるだけ等しくする必要がある。
しかしながら、特許文献1記載の車両用変圧器は、内鉄型であり、2次巻線および3次巻線を高圧巻線(1次巻線)の内側に配置する同心円構造を有する。特許文献1記載の車両用変圧器では2次巻線および3次巻線の半径距離が異なり、短絡インピーダンスの値は、巻線の同心円の中心から半径方向の距離に比例することから、短絡インピーダンスを等しくすることが困難である。
ここで、ダクトピースの間隔は、磁気により発生する機械力に各コイルが耐えることが可能な間隔に設定される。特許文献1記載の車両用変圧器において2次巻線および3次巻線の短絡インピーダンスを等しくするために、一方の巻線に対応するダクトピースを高く設定すると、その巻線に接する絶縁油の流量が多くなる。このため、その巻線に対応するダクトピースの配置間隔を狭くする必要があるが、巻線と絶縁油との接する濡れ面積が小さくなることから、熱伝達率が低下してしまう。
そして、内鉄型である特許文献2記載の変圧器巻線も、特許文献1記載の車両用変圧器と同様の問題点を有している。
しかしながら、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置は、外鉄型であり、高圧側コイル(1次巻線)が各低圧側コイル(2次巻線および3次巻線)に挟まれる構造を有する。このため、高圧側コイルと各低圧側コイルとの位置関係を等しくすることができ、短絡インピーダンスを容易に等しくすることができる。
なお、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置は外鉄型であるとしたが、これに限定するものではなく、内鉄型(Core-Type)であってもよい。この場合、高圧側コイルおよび低圧側コイルは、鉄心3に同心円状に巻回され、この巻回円の径方向に積層される。ベース部材BEは、径方向すなわち積層方向に隣り合う複数のコイル間に配置される。
また、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置では、阻害部材12は、低圧側コイルグループ9を冷却するための流路における絶縁油2の流量が、低圧側コイルグループ10を冷却するための流路における絶縁油2の流量より少なくなるように絶縁油2の流れを阻害する位置に配置されている構成であるとしたが、これに限定するものではない。変圧装置の要求仕様に応じて、阻害部材12が、複数の流路部材群BGによって形成される各流路のうちの少なくともいずれか1つが、他の流路における絶縁油2の流量と異なるように絶縁油2の流れを阻害する位置に配置されている構成であればよい。
また、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置は、低圧側コイルグループ9および10の組を2つ備える構成であるとしたが、これに限定するものではなく、コイルの組み合わせがさらに増えた場合でも、阻害部材12を配置することによって同様の効果を得ることができる。
また、変圧装置101を備えた車両が、交流区間および直流区間を走行する場合に限らず、たとえば異なる振幅の交流電圧がそれぞれ供給される複数の区間を走行する場合であっても、各コイルグループの温度上昇を均等化して、冷却効率を向上させることが可能である。
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
<第2の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る変圧装置と比べて阻害部材の形状を変更した変圧装置に関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る変圧装置と同様である。
図10は、本発明の第2の実施の形態に係る変圧装置における低圧側コイルグループ9に対応するベース部材上の流路部材および阻害部材の配置を示す図である。
図10を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る変圧装置は、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置と比べて、阻害部材12の代わりに阻害部材22を備える。
低圧側コイルグループ9を冷却するための流路が形成されるベース部材BEでは、低圧側コイルグループ10を冷却するための流路が形成されるベース部材BEと異なり、流路部材S1および流路部材S2に加えて阻害部材22が設けられている。阻害部材22はL字状であり、絶縁油2の流れ方向と略直角な方向の長さが流路部材S1の2短辺と比べて長い部分を有する。阻害部材22は、流路部材群BGによって形成される流路の入口側の領域のうち、絶縁油2の流れ方向において鉄心3と重ならない領域における絶縁油2の流れを阻害するように配置されている。
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る変圧装置と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
したがって、本発明の第2の実施の形態に係る変圧装置では、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置と同様に、各コイルグループにおける温度上昇を均等化することができるため、冷却器の小型化を図ることができ、変圧装置全体を小形かつ軽量化して製造コストの低減を図ることができる。
なお、阻害部材は、T字状およびL字状に限らず、絶縁油2の流れ方向と略直角な方向の長さが流路部材S1の2短辺と比べて長い部分を有する形状であれば、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置と同様の効果を得ることが可能である。
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
<第3の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る変圧装置と比べて阻害部材の配置を変更した変圧装置に関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る変圧装置と同様である。
図11は、本発明の第3の実施の形態に係る変圧装置における低圧側コイルグループ10に対応するベース部材上の流路部材の配置を示す図である。
図11を参照して、矢印F3は、流路の出口側の領域において、絶縁油2の流れ方向において鉄心3と重なる領域を流れる絶縁油2を示す。また、矢印F4は、流路の出口側の領域において、絶縁油2の流れ方向において鉄心3と重ならない領域を流れる絶縁油2を示す。
低圧側コイルグループ10では、矢印F3で示す絶縁油2が、鉄心3により、点線の丸印で囲まれた領域において澱む。このため、矢印F3で示す絶縁油2の流量は、矢印F4で示す絶縁油2の流量と比べて小さい。
図12は、本発明の第3の実施の形態に係る変圧装置における低圧側コイルグループ9に対応するベース部材上の流路部材および阻害部材の配置を示す図である。
図12を参照して、本発明の第3の実施の形態に係る変圧装置は、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置と比べて、阻害部材12の代わりに阻害部材32を備える。
低圧側コイルグループ9を冷却するための流路が形成されるベース部材BEでは、低圧側コイルグループ10を冷却するための流路が形成されるベース部材BEと異なり、流路部材S1および流路部材S2に加えて阻害部材32が設けられている。阻害部材32はT字状であり、絶縁油2の流れ方向と略直角な方向の長さが流路部材S1の2短辺と比べて長い部分を有する。阻害部材32は、流路部材群BGによって形成される流路の出口側の領域のうち、絶縁油2の流れ方向において鉄心3と重ならない領域における絶縁油2の流れを阻害するように配置されている。
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る変圧装置と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
したがって、本発明の第3の実施の形態に係る変圧装置では、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置と同様に、各コイルグループにおける温度上昇を均等化することができるため、冷却器の小型化を図ることができ、変圧装置全体を小形かつ軽量化して製造コストの低減を図ることができる。
また、本発明の第3の実施の形態に係る変圧装置では、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置と同様に、低圧側コイルグループ9では、絶縁油の流れ方向において鉄心3と重ならない領域における絶縁油2の流量が減少し、絶縁油の流れ方向において鉄心3と重なる領域における絶縁油2の流量が増加する。そうすると、図12に示すように、矢印F3で示す絶縁油2の流量が大きくなり、矢印F4で示す絶縁油2の流量が小さくなる。これにより、絶縁油2が鉄心3にぶつかって澱む領域への絶縁油の流量を増加させることができ、この澱み領域を減少させることができるため、低圧側コイルグループ9内における温度上昇のばらつきも防ぐことができる。
なお、阻害部材は、流路の入口側および出口側の両方に設けられてもよい。このような構成により、本発明の第1の実施の形態および第3の実施の形態に係る変圧装置と比べて、さらに、コイル単体での冷却効率を向上することができる。
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
<第4の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る変圧装置と比べて阻害部材の配置を変更した変圧装置に関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る変圧装置と同様である。
図13は、本発明の第4の実施の形態に係る変圧装置におけるコイル部の構成を詳細に示す斜視図である。図14は、本発明の第4の実施の形態に係る変圧装置におけるコイル部の構成を詳細に示す断面図である。図14は、コイル部1の図6または図7におけるXIV−XIV断面を示している。
図13および図14を参照して、コイル部1は、ベース部材28,30A,30Bを備える。図13では、低圧側コイル9Aおよび10Aに対応するベース部材30Aと、低圧側コイル9Bおよび10Bに対応するベース部材30Bとを代表的に示している。
ベース部材BEは、積層方向に隣り合うコイル間に配置されている。ベース部材BEは、流路部材群BGを介して各コイルを支える。
より詳細には、ベース部材30Aは、低圧側コイル9Aと低圧側コイル10Aとの間に設けられている。ベース部材28は、高圧側コイル8Aと高圧側コイル8Bとの間に設けられている。ベース部材20Bは、低圧側コイル10Bと低圧側コイル9Bとの間に設けられている。
流路部材群BGは、コイルごとに設けられ、各々が、絶縁部材である複数の流路部材を含み、対応のベース部材BEに設けられ、対応のベース部材BEと対応のコイルとの間に絶縁油2を流すための流路を形成している。すなわち、ベース部材30Aの低圧側コイル9A側の主表面および低圧側コイル10A側の主表面にそれぞれ設けられた流路部材群BGは、それぞれ低圧側コイル9Aおよび低圧側コイル10Aを冷却するための流路を形成している。ベース部材28の高圧側コイル8A側の主表面および高圧側コイル8B側の主表面にそれぞれ設けられた流路部材群BGは、それぞれ高圧側コイル8Aおよび高圧側コイル8Bを冷却するための流路を形成している。ベース部材30Bの低圧側コイル9B側の主表面および低圧側コイル10B側の主表面にそれぞれ設けられた流路部材群BGは、それぞれ低圧側コイル9Bおよび低圧側コイル10Bを冷却するための流路を形成している。また、各コイルを支えるため、各層の流路部材すなわち各ベース部材BEの流路部材は、コイルの積層方向において略同じ位置に配置されている。
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る変圧装置と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
したがって、本発明の第4の実施の形態に係る変圧装置では、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置と同様に、各コイルグループにおける温度上昇を均等化することができるため、冷却器の小型化を図ることができ、変圧装置全体を小形かつ軽量化して製造コストの低減を図ることができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置と比べて、ベース部材を削減することができるため、さらに小型化および製造コストの低減を図ることができる。
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
<第5の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る変圧装置と比べて阻害部材の配置を変更した変圧装置に関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る変圧装置と同様である。
本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置では、阻害部材がベース部材の主表面上に配置されていたが、これに限定するものではなく、阻害部材がベース部材の外部に配置されてもよいし、下記のようにベース部材の端部に取り付けられてもよい。
図15は、本発明の第5の実施の形態に係る変圧装置における低圧側コイルグループ9に対応するベース部材における流路部材および阻害部材の配置を示す図である。
図15を参照して、本発明の第5の実施の形態に係る変圧装置は、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置と比べて、阻害部材12の代わりに阻害部材42を備える。
低圧側コイルグループ9を冷却するための流路が形成されるベース部材BEの端部には、低圧側コイルグループ10を冷却するための流路が形成されるベース部材BEと異なり、阻害部材42が取り付けられている。阻害部材42は、流路部材群BGによって形成される流路の入口側の領域のうち、絶縁油2の流れ方向において鉄心3と重ならない領域における絶縁油2の流れを阻害するように配置されている。すなわち、阻害部材42は、絶縁油2の流れ方向と略直角な方向の長さが流路部材S1の2短辺と比べて長い部分を有する。
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る変圧装置と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
このような構成であっても、低圧側コイルグループ9の圧力損失が増加し、低圧側コイルグループ9を冷却するための流路における絶縁油2の流量が少なくなるため、低圧側コイルグループ9の隣に位置する低圧側コイルグループ10を冷却するための流路における絶縁油2の流量すなわち流速が大きくなる。そうすると、低圧側コイルグループ9の温度上昇が大きくなり、低圧側コイルグループ10の温度上昇が小さくなる。したがって、低圧側コイルグループ9および10の温度上昇が均等化される。
したがって、本発明の第5の実施の形態に係る変圧装置では、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置と同様に、各コイルグループにおける温度上昇を均等化することができるため、冷却器の小型化を図ることができ、変圧装置全体を小形かつ軽量化して製造コストの低減を図ることができる。
また、本発明の第5の実施の形態に係る変圧装置では、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置と同様に、低圧側コイルグループ9では、絶縁油の流れ方向において鉄心3と重ならない領域における絶縁油2の流量が減少し、絶縁油の流れ方向において鉄心3と重なる領域における絶縁油2の流量が増加する。そうすると、図15に示すように、矢印F1で示す絶縁油2の流量が大きくなり、矢印F2で示す絶縁油2の流量が小さくなる。これにより、絶縁油2が鉄心3にぶつかって澱む領域への絶縁油の流量を増加させることができ、この澱み領域を減少させることができるため、低圧側コイルグループ9内における温度上昇のばらつきも防ぐことができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 コイル部、2 絶縁油、3 鉄心、4 ポンプ、5 冷却器、6 ブロワー、7 タンク、8 高圧側コイルグループ、9,10 低圧側コイルグループ、8A,8B 高圧側コイル、9A,9B 低圧側コイル、10A,10B 低圧側コイル、12,22,32,42 阻害部材、18A,18B,19A,19B,20A,20B,28,30A,30B,BE ベース部材、101 変圧装置、W1,W2 窓部、BG 流路部材群、S1,S2 流路部材。
【書類名】 明細書
【発明の名称】 変圧装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、変圧装置に関し、特に、コイルを冷却するための絶縁液体の流路を形成するための部材を備えた変圧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両用変圧器のコイルが発する熱の冷却には、絶縁液を循環させるポンプと、冷却器とが用いられる。また、変圧器のコイル間には、複数の絶縁部材(スペーサ)が設けられる。このスペーサは、コイルを冷却するために流れる絶縁液の流路を確保し、かつ短絡による機械力が発生したときにコイルを保持する役割を有する。
【0003】
コイルを冷却する能力は、コイルの表面積からコイルがスペーサと接する面積を除いた、コイルが絶縁液と接する面積であるコイル濡れ面積と、コイルの表面を流れる絶縁液の流速とに比例する。このため、コイル濡れ面積をより多く確保すれば冷却効率が向上する。
【0004】
しかしながら、スペーサの間隔をより広くしてコイル濡れ面積をより多く確保しても、短絡による機械力が発生した場合に耐えられるような間隔でなければ、コイルが座屈して変圧器が故障することになる。
【0005】
変圧器のコイルを冷却するための技術として、たとえば、特開平9−134823号公報(特許文献1)には、以下のような車両用変圧器が開示されている。すなわち、冷却方式を送油風冷式としたものにおいて、鉄心の脚部の外周に低圧巻線を、低圧巻線の外周に高圧巻線をそれぞれ巻回すると共に、その各巻回間に冷却油道を形成することによって中身を構成する。この中身を、上記冷却油道がタンクの底面と平行になるようにタンク内に配置している。そして、低圧巻線及び高圧巻線の各巻回間にダクトピースを間隔を違えて挟設することにより上記冷却油道を形成している。
【0006】
また、実開平6−17215号公報(特許文献2)には、以下のような変圧器巻線が開示されている。すなわち、内側および外側絶縁筒間に円板巻線を複数段巻き回して積層すると共に、各段の円板巻線間に油道を形成する矩形状の間隔片を放射状に複数個配置している変圧器巻線である。この変圧器巻線の軸方向中央部における上記間隔片の幅寸法をAとし、巻線の少なくとも軸方向上部側に位置する端部側寄りにおける間隔片の幅寸法をBとした場合に、A>Bの関係を満足するように上端部側に位置する間隔片の幅寸法を順次小さくしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【特許文献1】 特開平9−134823号公報
【特許文献2】 実開平6−17215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、架線等から交流電圧が供給される交流区間および架線等から直流電圧が供給される直流区間の両方において走行可能な交流/直流電車が開発されている。このような交流/直流電車において、低圧側である負荷側のコイルを交流区間および直流区間において共用する場合、すなわち交流区間においては低圧側コイルとコンバータとを接続し、直流区間においては架線等から直流電力を受けるリアクトルとして低圧側コイルを用いる場合には、低圧側コイルの使用条件および負荷条件が直流区間および交流区間で異なるため、低圧側コイルの温度上昇が均等にならない。たとえば、直流区間においてリアクトルとして使用する低圧側コイルの温度が極端に上昇する。そうすると、変圧器全体の冷却設計が、変圧器における一部のコイルで規定されてしまい、その結果、冷却能力の高い大型の冷却器を使用する必要があるために変圧器が大型化し、製造コストが増大してしまう。
【0008】
しかしながら、特許文献1記載の車両用変圧器では、上記冷却油道が絶縁油の流れる方向に沿って直線的に形成されている、すなわち各巻線の両端部間をダクトピースが延伸しているため、コイル濡れ面積が小さくなる。そうすると、冷却効率が低下するため、冷却能力の高い大型の冷却器を使用する必要が生じてしまう。また、ダクトピースを低圧巻線及び高圧巻線の各巻回間に取り付ける作業は困難を伴う。
【0009】
また、特許文献2記載の変圧器巻線では、油の流入する変圧器巻線の軸方向下端部において油が澱むため、軸方向下端部における巻線温度が高くなり、また、変圧器巻線の軸方向上端部においては逆に油の流量が増えるため、巻線温度が低くなりすぎてしまう。すなわち、冷却効率が低下するため、冷却能力の高い大型の冷却器を使用する必要が生じてしまう。
【0010】
それゆえに、本発明の目的は、コイルに対する冷却効率を向上し、かつ小型化および製造コストの低減を図ることが可能な変圧装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明のある局面に係わる変圧装置は、鉄心と、鉄心に巻回され、積層された複数のコイルと、積層方向に隣り合う複数のコイル間に配置された複数のベース部材と、コイルごとに設けられ、各々が、対応のベース部材に設けられ、対応のベース部材と対応のコイルとの間に絶縁液体を流すための流路を形成している複数の流路部材群と、流路部材群ごとに形成される各流路のうちの少なくともいずれか1つ流路における絶縁液体の流量が、各流路のうちの上記少なくともいずれか1つの流路以外の流路における絶縁液体の流量と異なるように絶縁液体の流れを阻害し、かつ上記少なくともいずれか1つの流路の領域のうち、絶縁液体の流れ方向において鉄心と重ならない領域における絶縁液体の流れを阻害するように配置されている阻害部材とを備え、流路部材群は、流路の入口側および出口側に縦横に複数設けられ、絶縁液体の流れ方向に沿った2長辺と、絶縁液体の流れ方向と略直角な2短辺とを有する複数の矩形状の第1の流路部材と、流路の入口側と出口側との間に縦横に複数設けられ、絶縁液体の流れ方向と略直角な2長辺と、絶縁液体の流れ方向に沿った2短辺とを有する複数の矩形状の第2の流路部材とを含み、阻害部材は、上記少なくともいずれか1つの流路の入口側および出口側の少なくとも一方に設けられ、絶縁液体の流れ方向と略直角な方向の長さが第1の流路部材の2短辺と比べて長い部分を有する。
【0012】
またこの発明の別の局面に係わる変圧装置は、少なくとも2つの開口部を有する鉄心と、各開口部間の鉄心の部分に貫通されるように各開口部を通して巻回され、貫通方向に積層されている複数のコイルと、積層方向に隣り合う複数のコイル間に配置された複数のベース部材と、コイルごとに設けられ、各々が、対応のベース部材に設けられ、対応のベース部材と対応のコイルとの間に絶縁液体を流すための流路を形成している複数の流路部材群と、流路部材群ごとに形成される各流路のうちの少なくともいずれか1つ流路における絶縁液体の流量が、各流路のうちの上記少なくともいずれか1つの流路以外の流路における絶縁液体の流量と異なるように絶縁液体の流れを阻害するように配置されている阻害部材とを備え、流路部材群は、流路の入口側および出口側に縦横に複数設けられ、絶縁液体の流れ方向に沿った2長辺と、絶縁液体の流れ方向と略直角な2短辺とを有する複数の矩形状の第1の流路部材と、流路の入口側と出口側との間に縦横に複数設けられ、絶縁液体の流れ方向と略直角な2長辺と、絶縁液体の流れ方向に沿った2短辺とを有する複数の矩形状の第2の流路部材とを含み、阻害部材は、上記少なくともいずれか1つの流路の入口側および出口側の少なくとも一方に設けられ、絶縁液体の流れ方向と略直角な方向の長さが第1の流路部材の2短辺と比べて長い部分を有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、コイルに対する冷却効率を向上し、かつ小型化および製造コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】 本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置の概略構成および絶縁液の流れを示す図である。
【図2】 本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置におけるコイル部および鉄心の概略構成を示す斜視図である。
【図3】 コイル部および鉄心の図2におけるIII−III断面を示す断面図である。
【図4】 本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置におけるコイル部の構成を詳細に示す斜視図である。
【図5】 本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置におけるコイル部の構成を詳細に示す断面図である。
【図6】 本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置における低圧側コイルグループ10に対応するベース部材上の流路部材の配置を示す図である。
【図7】 本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置における低圧側コイルグループ9に対応するベース部材上の流路部材および阻害部材の配置を示す図である。
【図8】 変圧装置が阻害部材を備えないと仮定した場合の各運転モードにおける各コイルの温度上昇を示す図である。
【図9】 本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置の各運転モードにおける各コイルの温度上昇を示す図である。
【図10】 本発明の第2の実施の形態に係る変圧装置における低圧側コイルグループ9に対応するベース部材上の流路部材および阻害部材の配置を示す図である。
【図11】 本発明の第3の実施の形態に係る変圧装置における低圧側コイルグループ10に対応するベース部材上の流路部材の配置を示す図である。
【図12】 本発明の第3の実施の形態に係る変圧装置における低圧側コイルグループ9に対応するベース部材上の流路部材および阻害部材の配置を示す図である。
【図13】 本発明の第4の実施の形態に係る変圧装置におけるコイル部の構成を詳細に示す斜視図である。
【図14】 本発明の第4の実施の形態に係る変圧装置におけるコイル部の構成を詳細に示す断面図である。
【図15】 本発明の第5の実施の形態に係る変圧装置における低圧側コイルグループ9に対応するベース部材における流路部材および阻害部材の配置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0017】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置の概略構成および絶縁液の流れを示す図である。
【0018】
図1を参照して、変圧装置101は、コイル部1と、絶縁油2と、鉄心3と、ポンプ4と、冷却器5と、ブロワー6と、タンク7とを備える。
【0019】
タンク7は、絶縁油2によって満たされており、コイル部1および鉄心3を収容することにより、コイル部1および鉄心3を絶縁油2で浸す。絶縁油2により、コイル部1および鉄心3の絶縁および冷却が行なわれる。
【0020】
ポンプ4は、図中の矢印で示すように、ポンプ4と冷却器5との間の配管、冷却器5、冷却器5とタンク7との間の配管、タンク7、タンク7とポンプ4との間の配管の順番で絶縁油2を循環させる。
【0021】
すなわち、ポンプ4は、タンク7の出口部から絶縁油2を吸い出して冷却器5へ送り出す。冷却器5は、ブロワー6から受けた風により、ポンプ4からの絶縁油2を冷却しながら通過させる。冷却器5によって冷却された絶縁油2は、タンク7の入口部へ流れ込み、コイル部1を通過することにより、コイル部1を冷却する。
【0022】
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置におけるコイル部および鉄心の概略構成を示す斜視図である。図3は、コイル部および鉄心の図2におけるIII−III断面を示す断面図である。
【0023】
図2および図3を参照して、変圧装置101は、たとえば外鉄型(Shell-Type)の変圧器である。コイル部1は、高圧側コイルグループ8と、低圧側コイルグループ9,10とを含む。高圧側コイルグループ8は、高圧側コイル8A,8Bを含む。低圧側コイルグループ9は、低圧側コイル9A,9Bを含む。低圧側コイルグループ10は、低圧側コイル10A,10Bを含む。
【0024】
鉄心3は、互いに対向する第1側面および第2側面と、第1側面から第2側面へ貫通する開口部である窓部W1およびW2とを有する。高圧側コイル8Aおよび8B、低圧側コイル9Aおよび9Bならびに低圧側コイル10Aおよび10Bは、窓部W1,W2間の鉄心3の部分に貫通されるように窓部W1,W2を通して巻回され、鉄心3の貫通方向に積層されている。
【0025】
高圧側コイル8Aおよび8B、低圧側コイル9Aおよび9Bならびに低圧側コイル10Aおよび10Bは、窓部W1およびW2を通るように巻き回されている。
【0026】
高圧側コイル8Aは、低圧側コイル10Aと低圧側コイル10Bとの間であって低圧側コイル10Aに対向する位置に設けられ、低圧側コイル10Aと磁気結合されている。
【0027】
高圧側コイル8Bは、高圧側コイル8Aと並列に接続され、低圧側コイル10Aと低圧側コイル10Bとの間であって低圧側コイル10Bに対向する位置に設けられ、低圧側コイル10Bと磁気結合されている。
【0028】
低圧側コイル9Aは、低圧側コイル10Aに対して高圧側コイル8Aと反対側に設けられ、高圧側コイル8Aと磁気結合されている。
【0029】
低圧側コイル9Bは、低圧側コイル10Bに対して高圧側コイル8Bと反対側に設けられ、高圧側コイル8Bと磁気結合されている。
【0030】
図4は、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置におけるコイル部の構成を詳細に示す斜視図である。図5は、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置におけるコイル部の構成を詳細に示す断面図である。図5は、コイル部1の図6または図7におけるV−V断面を示している。
【0031】
図4および図5を参照して、コイル部1は、コイルごとに設けられた複数のベース部材BEすなわちベース部材18A,18B,19A,19B,20A,20Bを備える。ベース部材BEは絶縁部材である。図4では、ベース部材BEとして、低圧側コイル9Aおよび9Bならびに低圧側コイル10Aおよび10Bにそれぞれ対応するベース部材19A,19B,20A,20Bを代表的に示している。
【0032】
ベース部材BEは、積層方向に隣り合うコイル間に配置されており、流路部材群BGが設けられた主表面と反対側の主表面においてコイルに密着されている。ベース部材BEは、各コイルを支える。
【0033】
より詳細には、ベース部材19Aは、低圧側コイル9Aと低圧側コイル10Aとの間に設けられ、低圧側コイル10Aに密着されている。ベース部材20Aは、低圧側コイル10Aと高圧側コイル8Aとの間に設けられ、高圧側コイル8Aに密着されている。ベース部材18Aは、高圧側コイル8Aと高圧側コイル8Bとの間に設けられ、高圧側コイル8Bに密着されている。ベース部材18Bは、高圧側コイル8Bと低圧側コイル10Bとの間に設けられ、低圧側コイル10Bに密着されている。ベース部材20Bは、低圧側コイル10Bと低圧側コイル9Bとの間に設けられ、低圧側コイル9Bに密着されている。
【0034】
流路部材群BGは、コイルごとに設けられ、各々が、絶縁部材である複数の流路部材を含み、対応のベース部材BEに設けられ、対応のベース部材BEと対応のコイルとの間に絶縁油2を流すための流路を形成している。すなわち、ベース部材18A,18B,19A,19B,20A,20Bに設けられた流路部材群BGは、それぞれ高圧側コイル8A,高圧側コイル8B,低圧側コイル9A,低圧側コイル9B,低圧側コイル10A,低圧側コイル10Bを冷却するための流路を形成している。また、各コイルを支えるため、各層の流路部材すなわち各ベース部材BEにおける流路部材は、コイルの積層方向において略同じ位置に配置されている。
【0035】
図6は、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置における低圧側コイルグループ10に対応するベース部材上の流路部材の配置を示す図である。
【0036】
図6を参照して、流路部材群BGは、流路部材S1および流路部材S2を含む。流路部材S1は、矩形状であり、流路の入口側および出口側に縦横に複数設けられ、絶縁油2の流れ方向に沿った2長辺と、絶縁油2の流れ方向と略直角な2短辺とを有する。流路部材S2は、矩形状であり、流路の入口側と出口側との間に縦横に複数設けられ、絶縁油2の流れ方向と略直角な2長辺と、絶縁油2の流れ方向に沿った2短辺とを有する。
【0037】
ここで、矢印F1は、流路の入口側の領域において、絶縁油2の流れ方向において鉄心3と重なる領域を流れる絶縁油2を示す。また、矢印F2は、流路の入口側の領域において、絶縁油2の流れ方向において鉄心3と重ならない領域を流れる絶縁油2を示す。
【0038】
低圧側コイルグループ10では、矢印F1で示す絶縁油2が、鉄心3にぶつかって点線の丸印で囲まれた領域において澱む。このため、矢印F1で示す絶縁油2の流量は、矢印F2で示す絶縁油2の流量と比べて小さい。
【0039】
図7は、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置における低圧側コイルグループ9に対応するベース部材上の流路部材および阻害部材の配置を示す図である。
【0040】
図7を参照して、低圧側コイルグループ9を冷却するための流路が形成されるベース部材BEでは、低圧側コイルグループ10を冷却するための流路が形成されるベース部材BEと異なり、流路部材S1および流路部材S2に加えて阻害部材12が設けられている。阻害部材12はT字状であり、絶縁油2の流れ方向と略直角な方向の長さが流路部材S1の2短辺と比べて長い部分を有する。阻害部材12は、流路部材群BGによって形成される流路の入口側の領域のうち、絶縁油2の流れ方向において鉄心3と重ならない領域における絶縁油2の流れを阻害するように配置されている。
【0041】
以下、架線等から高圧側コイルに交流電圧が供給され、これによって低圧側コイルに交流電圧が誘起される交流モードと、架線等から低圧側コイルに直流電圧が供給される直流モードとを変圧装置101が有する場合について説明する。
【0042】
図8は、変圧装置が阻害部材を備えないと仮定した場合の各運転モードにおける各コイルの温度上昇を示す図である。
【0043】
交流モードである運転モードAでは、架線等から高圧側コイルグループ8にたとえば振幅が15kVの交流電圧が供給され、これにより、低圧側コイルグループ10に交流電圧が誘起される。
【0044】
また、同じく交流モードである運転モードBでは、架線等から高圧側コイルグループ8にたとえば振幅が25kVの交流電圧が供給され、これにより、低圧側コイルグループ9に交流電圧が誘起される。
【0045】
また、直流モードである運転モードCでは、架線等から低圧側コイルグループ9および10に直流電圧が供給される。
【0046】
図8を参照して、運転モードA,B,Cのうち、運転モードAにおける低圧側コイルグループ10の温度上昇が最も大きくなる。このとき、低圧側コイルグループ10の温度上昇値は基準値TGを超えてしまう。
【0047】
したがって、変圧装置101が阻害部材12を備えない場合には、その冷却設計が、変圧装置101における一部のコイルである低圧側コイルグループ10で規定されてしまい、その結果、冷却能力の高い大型の冷却器を使用する必要があるために変圧装置が大型化し、製造コストが増大してしまう。
【0048】
図9は、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置の各運転モードにおける各コイルの温度上昇を示す図である。
【0049】
前述のように、変圧装置101では、低圧側コイルグループ9に対応する流路すなわち低圧側コイルグループ9を冷却するための流路が形成されるベース部材BEにおいて阻害部材12が設けられている。
【0050】
これにより、低圧側コイルグループ9の圧力損失が増加し、低圧側コイルグループ9を冷却するための流路における絶縁油2の流量が少なくなるため、低圧側コイルグループ9の隣に位置する低圧側コイルグループ10を冷却するための流路における絶縁油2の流量すなわち流速が大きくなる。そうすると、低圧側コイルグループ9の温度上昇が大きくなり、低圧側コイルグループ10の温度上昇が小さくなる。
【0051】
したがって、図9に示すように、低圧側コイルグループ9および10の温度上昇が均等化される。すなわち、運転モードAにおいて低圧側コイルグループ10の温度上昇値が基準値TGを超えることを防ぐことができる。なお、変圧装置101では、阻害部材12を備えない場合と比べて、運転モードBにおいて低圧側コイルグループ9の温度上昇が大きくなっているが、基準値TG未満に抑えられており、交流モードおよび直流モードにおける各コイルの温度が所定値以下に抑えられている。
【0052】
すなわち、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置では、各コイルグループの圧力損失を調整し、温度が高いコイルグループへの絶縁油の流量を増やしてその温度上昇を抑え、かつ温度が低いコイルグループへの絶縁油の流量を減らしてその温度上昇を高めることにより、各コイルグループの温度上昇を均等化して、冷却効率を向上させることができる。
【0053】
ここで、コイルの冷却能力は、コイルに接する絶縁油の流速、およびコイルと絶縁油とが接する濡れ面積に比例する。本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置では、コイルの濡れ面積を確保しながら、各コイルグループ間の流量バランスをとることができる。
【0054】
また、コイルの温度は、外気温と絶縁油温度と絶縁油によるコイル温度上昇値との足し算により求まる。コイルの温度は、規格により上限値が定められているため、各コイルグループ間でこのコイル温度上昇値に不均等があると、コイル温度上昇値の最大値に合わせて冷却器を選定することになり、冷却能力を高めるために大型の冷却器を使用する必要が生じてしまう。
【0055】
本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置では、各コイルグループ間でコイル温度上昇を均等化することができるため、冷却能力の高い冷却器を使用する必要がなくなることから、変圧装置全体を小形かつ軽量化して製造コストを低減することができる。また、変圧装置における機能設計を変えることなく、コイルグループ間の温度上昇を効率的に均等化することができる。
【0056】
また、低圧側コイルグループ9では、絶縁油の流れ方向において鉄心3と重ならない領域における絶縁油2の流量が減少し、絶縁油の流れ方向において鉄心3と重なる領域における絶縁油2の流量が増加する。そうすると、図7に示すように、矢印F1で示す絶縁油2の流量が大きくなり、矢印F2で示す絶縁油2の流量が小さくなる。これにより、絶縁油2が鉄心3にぶつかって澱む領域への絶縁油の流量を増加させることができ、この澱み領域を減少させることができる。すなわち、各コイルグループ間でコイル温度上昇を均等化するだけでなく、低圧側コイルグループ9内における温度上昇のばらつきも防ぐことで冷却効率をさらに高めることができる。
【0057】
また、車両用変圧器において、たとえば2次巻線および3次巻線と対応の各電圧変換部とが接続される場合には、各電圧変換部によって駆動される各モータの動作を揃えることが要求される。このため、1次巻線および2次巻線間の短絡インピーダンスと1次巻線および3次巻線間の短絡インピーダンスとをできるだけ等しくする必要がある。
【0058】
しかしながら、特許文献1記載の車両用変圧器は、内鉄型であり、2次巻線および3次巻線を高圧巻線(1次巻線)の内側に配置する同心円構造を有する。特許文献1記載の車両用変圧器では2次巻線および3次巻線の半径距離が異なり、短絡インピーダンスの値は、巻線の同心円の中心から半径方向の距離に比例することから、短絡インピーダンスを等しくすることが困難である。
【0059】
ここで、ダクトピースの間隔は、磁気により発生する機械力に各コイルが耐えることが可能な間隔に設定される。特許文献1記載の車両用変圧器において2次巻線および3次巻線の短絡インピーダンスを等しくするために、一方の巻線に対応するダクトピースを高く設定すると、その巻線に接する絶縁油の流量が多くなる。このため、その巻線に対応するダクトピースの配置間隔を狭くする必要があるが、巻線と絶縁油との接する濡れ面積が小さくなることから、熱伝達率が低下してしまう。
【0060】
そして、内鉄型である特許文献2記載の変圧器巻線も、特許文献1記載の車両用変圧器と同様の問題点を有している。
【0061】
しかしながら、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置は、外鉄型であり、高圧側コイル(1次巻線)が各低圧側コイル(2次巻線および3次巻線)に挟まれる構造を有する。このため、高圧側コイルと各低圧側コイルとの位置関係を等しくすることができ、短絡インピーダンスを容易に等しくすることができる。
【0062】
なお、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置は外鉄型であるとしたが、これに限定するものではなく、内鉄型(Core-Type)であってもよい。この場合、高圧側コイルおよび低圧側コイルは、鉄心3に同心円状に巻回され、この巻回円の径方向に積層される。ベース部材BEは、径方向すなわち積層方向に隣り合う複数のコイル間に配置される。
【0063】
また、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置では、阻害部材12は、低圧側コイルグループ9を冷却するための流路における絶縁油2の流量が、低圧側コイルグループ10を冷却するための流路における絶縁油2の流量より少なくなるように絶縁油2の流れを阻害する位置に配置されている構成であるとしたが、これに限定するものではない。変圧装置の要求仕様に応じて、阻害部材12が、複数の流路部材群BGによって形成される各流路のうちの少なくともいずれか1つが、他の流路における絶縁油2の流量と異なるように絶縁油2の流れを阻害する位置に配置されている構成であればよい。
【0064】
また、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置は、低圧側コイルグループ9および10の組を2つ備える構成であるとしたが、これに限定するものではなく、コイルの組み合わせがさらに増えた場合でも、阻害部材12を配置することによって同様の効果を得ることができる。
【0065】
また、変圧装置101を備えた車両が、交流区間および直流区間を走行する場合に限らず、たとえば異なる振幅の交流電圧がそれぞれ供給される複数の区間を走行する場合であっても、各コイルグループの温度上昇を均等化して、冷却効率を向上させることが可能である。
【0066】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0067】
<第2の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る変圧装置と比べて阻害部材の形状を変更した変圧装置に関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る変圧装置と同様である。
【0068】
図10は、本発明の第2の実施の形態に係る変圧装置における低圧側コイルグループ9に対応するベース部材上の流路部材および阻害部材の配置を示す図である。
【0069】
図10を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る変圧装置は、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置と比べて、阻害部材12の代わりに阻害部材22を備える。
【0070】
低圧側コイルグループ9を冷却するための流路が形成されるベース部材BEでは、低圧側コイルグループ10を冷却するための流路が形成されるベース部材BEと異なり、流路部材S1および流路部材S2に加えて阻害部材22が設けられている。阻害部材22はL字状であり、絶縁油2の流れ方向と略直角な方向の長さが流路部材S1の2短辺と比べて長い部分を有する。阻害部材22は、流路部材群BGによって形成される流路の入口側の領域のうち、絶縁油2の流れ方向において鉄心3と重ならない領域における絶縁油2の流れを阻害するように配置されている。
【0071】
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る変圧装置と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0072】
したがって、本発明の第2の実施の形態に係る変圧装置では、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置と同様に、各コイルグループにおける温度上昇を均等化することができるため、冷却器の小型化を図ることができ、変圧装置全体を小形かつ軽量化して製造コストの低減を図ることができる。
【0073】
なお、阻害部材は、T字状およびL字状に限らず、絶縁油2の流れ方向と略直角な方向の長さが流路部材S1の2短辺と比べて長い部分を有する形状であれば、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置と同様の効果を得ることが可能である。
【0074】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0075】
<第3の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る変圧装置と比べて阻害部材の配置を変更した変圧装置に関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る変圧装置と同様である。
【0076】
図11は、本発明の第3の実施の形態に係る変圧装置における低圧側コイルグループ10に対応するベース部材上の流路部材の配置を示す図である。
【0077】
図11を参照して、矢印F3は、流路の出口側の領域において、絶縁油2の流れ方向において鉄心3と重なる領域を流れる絶縁油2を示す。また、矢印F4は、流路の出口側の領域において、絶縁油2の流れ方向において鉄心3と重ならない領域を流れる絶縁油2を示す。
【0078】
低圧側コイルグループ10では、矢印F3で示す絶縁油2が、鉄心3により、点線の丸印で囲まれた領域において澱む。このため、矢印F3で示す絶縁油2の流量は、矢印F4で示す絶縁油2の流量と比べて小さい。
【0079】
図12は、本発明の第3の実施の形態に係る変圧装置における低圧側コイルグループ9に対応するベース部材上の流路部材および阻害部材の配置を示す図である。
【0080】
図12を参照して、本発明の第3の実施の形態に係る変圧装置は、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置と比べて、阻害部材12の代わりに阻害部材32を備える。
【0081】
低圧側コイルグループ9を冷却するための流路が形成されるベース部材BEでは、低圧側コイルグループ10を冷却するための流路が形成されるベース部材BEと異なり、流路部材S1および流路部材S2に加えて阻害部材32が設けられている。阻害部材32はT字状であり、絶縁油2の流れ方向と略直角な方向の長さが流路部材S1の2短辺と比べて長い部分を有する。阻害部材32は、流路部材群BGによって形成される流路の出口側の領域のうち、絶縁油2の流れ方向において鉄心3と重ならない領域における絶縁油2の流れを阻害するように配置されている。
【0082】
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る変圧装置と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0083】
したがって、本発明の第3の実施の形態に係る変圧装置では、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置と同様に、各コイルグループにおける温度上昇を均等化することができるため、冷却器の小型化を図ることができ、変圧装置全体を小形かつ軽量化して製造コストの低減を図ることができる。
【0084】
また、本発明の第3の実施の形態に係る変圧装置では、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置と同様に、低圧側コイルグループ9では、絶縁油の流れ方向において鉄心3と重ならない領域における絶縁油2の流量が減少し、絶縁油の流れ方向において鉄心3と重なる領域における絶縁油2の流量が増加する。そうすると、図12に示すように、矢印F3で示す絶縁油2の流量が大きくなり、矢印F4で示す絶縁油2の流量が小さくなる。これにより、絶縁油2が鉄心3にぶつかって澱む領域への絶縁油の流量を増加させることができ、この澱み領域を減少させることができるため、低圧側コイルグループ9内における温度上昇のばらつきも防ぐことができる。
【0085】
なお、阻害部材は、流路の入口側および出口側の両方に設けられてもよい。このような構成により、本発明の第1の実施の形態および第3の実施の形態に係る変圧装置と比べて、さらに、コイル単体での冷却効率を向上することができる。
【0086】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0087】
<第4の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る変圧装置と比べて阻害部材の配置を変更した変圧装置に関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る変圧装置と同様である。
【0088】
図13は、本発明の第4の実施の形態に係る変圧装置におけるコイル部の構成を詳細に示す斜視図である。図14は、本発明の第4の実施の形態に係る変圧装置におけるコイル部の構成を詳細に示す断面図である。図14は、コイル部1の図6または図7におけるXIV−XIV断面を示している。
【0089】
図13および図14を参照して、コイル部1は、ベース部材28,30A,30Bを備える。図13では、低圧側コイル9Aおよび10Aに対応するベース部材30Aと、低圧側コイル9Bおよび10Bに対応するベース部材30Bとを代表的に示している。
【0090】
ベース部材BEは、積層方向に隣り合うコイル間に配置されている。ベース部材BEは、流路部材群BGを介して各コイルを支える。
【0091】
より詳細には、ベース部材30Aは、低圧側コイル9Aと低圧側コイル10Aとの間に設けられている。ベース部材28は、高圧側コイル8Aと高圧側コイル8Bとの間に設けられている。ベース部材20Bは、低圧側コイル10Bと低圧側コイル9Bとの間に設けられている。
【0092】
流路部材群BGは、コイルごとに設けられ、各々が、絶縁部材である複数の流路部材を含み、対応のベース部材BEに設けられ、対応のベース部材BEと対応のコイルとの間に絶縁油2を流すための流路を形成している。すなわち、ベース部材30Aの低圧側コイル9A側の主表面および低圧側コイル10A側の主表面にそれぞれ設けられた流路部材群BGは、それぞれ低圧側コイル9Aおよび低圧側コイル10Aを冷却するための流路を形成している。ベース部材28の高圧側コイル8A側の主表面および高圧側コイル8B側の主表面にそれぞれ設けられた流路部材群BGは、それぞれ高圧側コイル8Aおよび高圧側コイル8Bを冷却するための流路を形成している。ベース部材30Bの低圧側コイル9B側の主表面および低圧側コイル10B側の主表面にそれぞれ設けられた流路部材群BGは、それぞれ低圧側コイル9Bおよび低圧側コイル10Bを冷却するための流路を形成している。また、各コイルを支えるため、各層の流路部材すなわち各ベース部材BEの流路部材は、コイルの積層方向において略同じ位置に配置されている。
【0093】
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る変圧装置と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0094】
したがって、本発明の第4の実施の形態に係る変圧装置では、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置と同様に、各コイルグループにおける温度上昇を均等化することができるため、冷却器の小型化を図ることができ、変圧装置全体を小形かつ軽量化して製造コストの低減を図ることができる。
【0095】
また、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置と比べて、ベース部材を削減することができるため、さらに小型化および製造コストの低減を図ることができる。
【0096】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0097】
<第5の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る変圧装置と比べて阻害部材の配置を変更した変圧装置に関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る変圧装置と同様である。
【0098】
本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置では、阻害部材がベース部材の主表面上に配置されていたが、これに限定するものではなく、阻害部材がベース部材の外部に配置されてもよいし、下記のようにベース部材の端部に取り付けられてもよい。
【0099】
図15は、本発明の第5の実施の形態に係る変圧装置における低圧側コイルグループ9に対応するベース部材における流路部材および阻害部材の配置を示す図である。
【0100】
図15を参照して、本発明の第5の実施の形態に係る変圧装置は、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置と比べて、阻害部材12の代わりに阻害部材42を備える。
【0101】
低圧側コイルグループ9を冷却するための流路が形成されるベース部材BEの端部には、低圧側コイルグループ10を冷却するための流路が形成されるベース部材BEと異なり、阻害部材42が取り付けられている。阻害部材42は、流路部材群BGによって形成される流路の入口側の領域のうち、絶縁油2の流れ方向において鉄心3と重ならない領域における絶縁油2の流れを阻害するように配置されている。すなわち、阻害部材42は、絶縁油2の流れ方向と略直角な方向の長さが流路部材S1の2短辺と比べて長い部分を有する。
【0102】
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る変圧装置と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0103】
このような構成であっても、低圧側コイルグループ9の圧力損失が増加し、低圧側コイルグループ9を冷却するための流路における絶縁油2の流量が少なくなるため、低圧側コイルグループ9の隣に位置する低圧側コイルグループ10を冷却するための流路における絶縁油2の流量すなわち流速が大きくなる。そうすると、低圧側コイルグループ9の温度上昇が大きくなり、低圧側コイルグループ10の温度上昇が小さくなる。したがって、低圧側コイルグループ9および10の温度上昇が均等化される。
【0104】
したがって、本発明の第5の実施の形態に係る変圧装置では、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置と同様に、各コイルグループにおける温度上昇を均等化することができるため、冷却器の小型化を図ることができ、変圧装置全体を小形かつ軽量化して製造コストの低減を図ることができる。
【0105】
また、本発明の第5の実施の形態に係る変圧装置では、本発明の第1の実施の形態に係る変圧装置と同様に、低圧側コイルグループ9では、絶縁油の流れ方向において鉄心3と重ならない領域における絶縁油2の流量が減少し、絶縁油の流れ方向において鉄心3と重なる領域における絶縁油2の流量が増加する。そうすると、図15に示すように、矢印F1で示す絶縁油2の流量が大きくなり、矢印F2で示す絶縁油2の流量が小さくなる。これにより、絶縁油2が鉄心3にぶつかって澱む領域への絶縁油の流量を増加させることができ、この澱み領域を減少させることができるため、低圧側コイルグループ9内における温度上昇のばらつきも防ぐことができる。
【0106】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
1 コイル部、2 絶縁油、3 鉄心、4 ポンプ、5 冷却器、6 ブロワー、7 タンク、8 高圧側コイルグループ、9,10 低圧側コイルグループ、8A,8B 高圧側コイル、9A,9B 低圧側コイル、10A,10B 低圧側コイル、12,22,32,42 阻害部材、18A,18B,19A,19B,20A,20B,28,30A,30B,BE ベース部材、101 変圧装置、W1,W2 窓部、BG 流路部材群、S1,S2 流路部材。

Claims (11)

  1. 鉄心(3)と、
    前記鉄心(3)に巻回され、積層された複数のコイル(8A,8B,9A,9B,10A,10B)と、
    積層方向に隣り合う前記複数のコイル(8A,8B,9A,9B,10A,10B)間に配置された複数のベース部材(BE)と、
    前記コイル(8A,8B,9A,9B,10A,10B)ごとに設けられ、各々が、対応の前記ベース部材(BE)に設けられ、対応の前記ベース部材(BE)と対応のコイル(8A,8B,9A,9B,10A,10B)との間に絶縁液体(2)を流すための流路を形成している複数の流路部材群(BG)と、
    前記複数の流路部材群(BG)によって形成される各前記流路のうちの少なくともいずれか1つが、他の前記流路における前記絶縁液体(2)の流量と異なるように前記絶縁液体(2)の流れを阻害し、かつ前記流路のうち、前記絶縁液体(2)の流れ方向において前記鉄心(3)と重ならない領域における前記絶縁液体(2)の流れを阻害するように配置されている阻害部材(12,22,32,42)とを備える変圧装置。
  2. 前記阻害部材(12,22,42)は、前記流路の入口側の領域のうち、前記絶縁液体(2)の流れ方向において前記鉄心(3)と重ならない領域における前記絶縁液体(2)の流れを阻害するように配置されている請求の範囲第1項に記載の変圧装置。
  3. 前記阻害部材(32)は、前記流路の出口側の領域のうち、前記絶縁液体(2)の流れ方向において前記鉄心(3)と重ならない領域における前記絶縁液体(2)の流れを阻害するように配置されている請求の範囲第1項に記載の変圧装置。
  4. 前記流路部材群(BG)は、
    前記流路の入口側および出口側に縦横に複数設けられ、前記絶縁液体(2)の流れ方向に沿った2長辺と、前記絶縁液体(2)の流れ方向と略直角な2短辺とを有する複数の矩形状の第1の流路部材(S1)と、
    前記流路の入口側と出口側との間に縦横に複数設けられ、前記絶縁液体(2)の流れ方向と略直角な2長辺と、前記絶縁液体(2)の流れ方向に沿った2短辺とを有する複数の矩形状の第2の流路部材(S2)とを含み、
    前記阻害部材(12,22,32,42)は、前記流路の入口側および出口側の少なくとも一方に設けられ、前記絶縁液体(2)の流れ方向と略直角な方向の長さが前記第1の流路部材(S1)の2短辺と比べて長い部分を有する請求の範囲第1項に記載の変圧装置。
  5. 前記阻害部材(12,22,32)は、T字状またはL字状である請求の範囲第4項に記載の変圧装置。
  6. 前記複数のコイル(8A,8B,9A,9B,10A,10B)は、低圧側コイル(9A,9B,10A,10B)および高圧側コイル(8A,8B)であり、
    前記阻害部材(12,22,32,42)によって前記絶縁液体(2)の流れが阻害される流路は前記低圧側コイル(9A,9B,10A,10B)に対応する請求の範囲第1項に記載の変圧装置。
  7. 前記複数のコイル(8A,8B,9A,9B,10A,10B)は、低圧側コイル(9A,9B,10A,10B)および高圧側コイル(8A,8B)であり、
    前記変圧装置は、
    外部から前記高圧側コイル(8A,8B)に交流電圧が供給され、前記高圧側コイル(8A,8B)に供給された交流電圧によって前記低圧側コイル(9A,9B,10A,10B)に交流電圧が誘起される交流モードと、
    外部から前記低圧側コイル(9A,9B,10A,10B)に直流電圧が供給される直流モードとを有し、
    前記阻害部材(12,22,32,42)は、前記交流モードおよび前記直流モードにおける前記高圧側コイル(8A,8B)および前記低圧側コイル(9A,9B,10A,10B)の温度が所定値以下になるように前記絶縁液体(2)の流れを阻害する位置に設けられている請求の範囲第1項に記載の変圧装置。
  8. 前記変圧装置は、さらに、
    前記絶縁液体(2)により満たされ、前記鉄心(3)、前記複数のコイル(8A,8B,9A,9B,10A,10B)、前記複数のベース部材(BE)、前記複数の流路部材群(BG)および前記阻害部材(12,22,32,42)を収容することにより、前記複数のコイル(8A,8B,9A,9B,10A,10B)、前記鉄心(3)、前記ベース部材(BE)、前記複数の流路部材群(BG)および前記阻害部材(12,22,32,42)を前記絶縁液体(2)で浸すためのタンク(7)と、
    前記絶縁液体(2)を冷却する冷却器と、
    前記絶縁液体(2)を前記タンク(7)と前記冷却器との間で循環させるポンプ(4)とを備える請求の範囲第1項に記載の変圧装置。
  9. 前記鉄心(3)は、少なくとも2つの開口部(W1,W2)を有し、
    前記複数のコイル(8A,8B,9A,9B,10A,10B)は、各前記開口部(W1,W2)間の前記鉄心(3)の部分に貫通されるように各前記開口部(W1,W2)を通して巻回され、前記貫通方向に積層されている請求の範囲第1項に記載の変圧装置。
  10. 前記阻害部材(12,22,32)は、前記複数のベース部材(BE)のうちの少なくとも1つに設けられている請求の範囲第1項に記載の変圧装置。
  11. 少なくとも2つの開口部(W1,W2)を有する鉄心(3)と、
    各前記開口部(W1,W2)間の前記鉄心(3)の部分に貫通されるように各前記開口部(W1,W2)を通して巻回され、前記貫通方向に積層されている複数のコイル(8A,8B,9A,9B,10A,10B)と、
    積層方向に隣り合う前記複数のコイル(8A,8B,9A,9B,10A,10B)間に配置された複数のベース部材(BE)と、
    前記コイル(8A,8B,9A,9B,10A,10B)ごとに設けられ、各々が、対応の前記ベース部材(BE)に設けられ、対応の前記ベース部材(BE)と対応のコイル(8A,8B,9A,9B,10A,10B)との間に絶縁液体(2)を流すための流路を形成している複数の流路部材群(BG)と、
    前記複数の流路部材群(BG)によって形成される各前記流路のうちの少なくともいずれか1つが、他の前記流路における前記絶縁液体(2)の流量と異なるように前記絶縁液体(2)の流れを阻害するように配置されている阻害部材(12,22,32,42)とを備える変圧装置。
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