JP4279747B2 - 核磁気共鳴装置 - Google Patents

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Description

本発明は、核磁気共鳴装置(以下、NMR装置と表記する)に係わり、所定の均一磁場(B)中に置かれた試料に対して、所定の共鳴周波数で高周波信号を送信、および/または自由誘導減衰(FID)信号を受信するためのプローブコイルの形状と実装のための構造に特徴を有するNMR装置に関する。
核磁気共鳴(NMR)計測は、物質を構成する原子スピンからの応答信号の測定が可能である。NMR計測は物質の微視的な情報を得ることを可能とする究極の計測手法である。計測の基本原理は均一な磁場中に置かれた試料に、高周波の磁場を印加し、これによって励起されるスピンの応答信号を受信、解析することでさまざまな物質の特性の計測を可能とする。従来、NMR計測は固体物性を研究するために用いられてきた。
近年、均一な強磁場を発生する磁石を用いたNMR計測の高分解能化が図られている。これにより、他の計測手法では非常に困難なタンパク質の立体構造を明らかにすることが可能となった。通常10テスラ(T)以上の磁場を得るためには超電導磁石が用いられる。現在、タンパク質の立体構造解析を目的とする21.6T(920MHz)のNMR装置が作製され稼動している。
高分解能のNMR計測を達成するためには、磁場の均一度が非常に重要な因子となる。上述したタンパク質の構造解析では、測定対象である試料が存在する空間において、通常10−9以下の均一度が求められる。
タンパク質の構造解析において、試料からの応答信号(自由誘導減衰信号、FID信号)は非常に微弱である。この信号を効率的に受信するためには、高感度な受信システムが必要となる。特に、信号を受信するプローブコイル(アンテナ素子)の高感度化はNMR計測装置にとって必要不可欠な技術課題である。この課題を解決するためには、高周波電流に対する抵抗が極めて低い、超電導材料を用いたプローブコイルを適用することが有効である。超電導材料は通常の常伝導材料(例えば銅、金などの金属材料)よりも高周波電流に対する抵抗が2桁以上低い。したがって、受信コイルにおける抵抗損失が著しく低減でき、高感度化が図られる。
一方、超電導材料を使用して高感度化を実現するためには、超電導体で作製されるプローブコイルを低温環境下に置く必要があり、低温環境を実現するためには、装置に冷却機構を設ける必要がある。この冷却機構を用いて、プローブコイルの後段に接続する半導体増幅器を冷却することにより、さらに、受信システム全体の高感度化が達成可能となる。
以上の観点から、高分解能、高感度である特徴を備えたNMR計測装置の実現には試料空間における均一磁場の確保と、超電導材料によるプローブコイルの採用が重要である。冷却機構および超電導プローブコイルを備えたNMR計測装置に関しては特許文献1に記載されている。また超電導コイルの適用に関しては特許文献2および特許文献3に記載されている。
以上の従来技術においては、上述した強磁場の均一度を確保するために、一体型の超電導ソレノイドコイルを設定(設置)している。このため、プローブコイルの形状はバードケージ型もしくは鞍型の形状を取っている。これは超電導体の完全反磁性により磁場の均一度が乱されることを抑制するためである。プローブコイルのノイズを減らすために超電導体、特に、高温超電導体で鞍型やバードケージ型のプローブコイルを作製しようとする場合、平面の酸化物単結晶基板上に形成した超電導膜を利用するため、自由な形状を選ぶことはできず、効率的に試料を覆うことが難しい。そのため、抵抗に起因したコイルのノイズは低下するが、形状に関係する充填率(filling factor)の低下により、高周波信号の印加効率は下がる。
NMR計測のさらなる高感度化には、ソレノイド型のプローブコイルの採用が有望である。ソレノイド型プローブコイルは従来のバードケージ形状のコイルと比較して充填率を向上させることが可能であり、これに伴って感度向上を実現できる。一方、ソレノイド型プローブコイルは中心軸の方向を静磁場と直交させて設置する必要がある。したがって従来用いられている均一磁場を生成する一体型の超電導ソレノイドコイルにソレノイド型のプローブコイルを挿入した場合には、測定試料を設置する空間を確保することができない。そこで、ソレノイド型のプローブコイルを採用するためには、均一磁場を生成する超電導マグネットを分割した構成にする必要がある。
米国特許5、247、256号明細書 米国特許5、585、723号明細書 特開平11−133127号公報
本発明は核磁気共鳴(NMR)分光における自由誘導減衰(FID)信号を受信するプローブコイルの高感度化を実現したNMR装置を提供することを目的とする。高感度のNMR計測装置実現のためには、均一磁場を生成するための2つの独立した超電導ソレノイドコイル(スプリット型超電導磁石)と超電導材料を加工して得られるソレノイド型のプローブコイルが必要となる。この構成において、スプリット型超電導磁石においてより高い均一度の磁場空間の生成するには、2つの超電導ソレノイドコイルを極めて近距離に近接させて構成する必要がある。一方、2つの超電導ソレノイドコイル間の距離は、プローブコイルに試料管を挿入するためのスペースのみならず、プローブコイルを設けるためのスペースが必要である。
プローブコイルを2つの超電導ソレノイドコイル間に設ける場合に二つの方法がある。一つは、試料管と同じ方向(静磁場と鉛直方向)から挿入する方法であり、他の一つは、静磁場に平行な方向、すなわち超電導ソレノイドコイルのボアから挿入する方法である。いずれの場合も、試料管はプローブコイルの中に挿入されるものであるから、2つの超電導ソレノイドコイル間の距離は、試料管が挿入されるプローブコイルの大きさを考慮したものとする必要がある。
プローブコイルを超電導材料によって形成した場合には、さらに、冷却機構が必要となる。本発明のより詳細な目的は、冷却機構、高周波磁場の印加およびFID信号の受信を含んだプローブを横方向から挿入するための、伝熱冷却、電気的接続、および組み立て性を考慮したプローブの構成を備えたNMR装置の構成を提供することである。
本発明では高感度NMR装置を実現するために以下の構成を適用する。まず、均一な強磁場(B)を発生させるために、2つに分割されたスプリット型超電導マグネットを採用する。
分割された超電導マグネット間の均一な強磁場の領域に共鳴周波数の高周波信号を印加するプローブコイル(送信プローブコイル)を設ける。さらに、印加した高周波信号に対する試料からの核磁気共鳴信号を受信するプローブコイル(受信プローブコイル)を設ける。高感度NMR計測実現のため、受信プローブコイルは、サファイア基板上に超電導薄膜を加工したソレノイド型コイルを要素コイルとし、これを複数層積層するとともに要素コイル間を電気的に接続して必要なコイルを構成する。各要素コイルを形成した基板間にはサファイアのスペーサ基板を設ける。要素コイル間の電気的接続は例えば金、銀もしくは銅などの金属箔部材を、適当な昇温で容易に溶着が可能である金属(例えばインジウム)で行う。
なお、送信プローブコイルと受信プローブコイル両者の機能を1つのソレノイド型超電導プローブコイルで実行させる場合もある。また、スペーサ基板をサファイアに代えて、窒化アルミ(Aln)とすることもできる。
冷却機構は、無酸素銅もしくはサファイアを、もしくは、これらの組み合わせによる部材を、熱交換器に接続もしくは液体ヘリウムに侵漬して冷却し、前記部材にサファイアで構成するコールドヘッドを接続した構成とする。コールドヘッドに上記プローブコイルを結合させてプローブコイルの冷却を行う。
プローブコイルを試料管と同じ方向(静磁場と垂直方向)から挿入する方法で配置するときは、上記各要素コイルを形成した基板間のスペーサ基板に結合したサファイアの固定伝熱用基板を上記コールドヘッドに結合して冷却する。プローブコイルをスプリット型超電導マグネットのボアから挿入する方法で配置するときは、上記各要素コイルを形成した基板間のスペーサ基板を上記コールドヘッドに直接結合して冷却する。
本発明により、スプリット型磁石に適用可能なソレノイド型超電導プローブコイルを静磁場に垂直もしくは平行な方向から挿入可能なNMR計測装置が実現できる。本装置では、プローブコイルの超電導化とソレノイド化が両立している。その結果、超電導薄膜の適用により、熱雑音および表面抵抗の低減が図られ、感度の向上が実現できる。また、ソレノイド型コイルの形状により、試料の充填率があがり結果として感度が向上する。
本発明は、核磁気共鳴(NMR)装置に係わり、均一磁場中に設置された試料に対して、所定の共鳴周波数で高周波信号を送信、および自由誘導減衰(FID)信号を受信するためのプローブにおける超電導薄膜コイルおよび実装の構成に関する。
本発明のNMR装置の代表的な構成を図1を参照して説明する。図1(A)は、本発明の対象であるNMR装置の主要構成部の概略を、プローブコイルを試料管と同じ方向(静磁場と垂直方向)から挿入する方法で配置したものとした例を示す斜視図、図1(B)は、本発明の対象であるNMR装置の主要構成部の概略を、プローブコイルをスプリット型超電導マグネットのボアから挿入する方法で配置したものとした例を示す斜視図である。2つに分割された超電導マグネット30、30により、一点鎖線で示す中心線に沿って、14.1テスラ(T)の均一磁場(静磁場)を発生させる。試料管32は静磁場に対して垂直な方向(図中x軸方向)から挿入される。試料からの信号を検出するソレノイド型超電導プローブコイル(アンテナコイル)40を実装した低温プローブ31は、試料管32と同じ方向(図1(A))もしくは静磁場と同じ方向(図1(B))から挿入されている。
低温プローブ31は、超電導の1ターンコイル41(要素コイル)を形成した基板(基板は図示しない)を4層備えて、2ターン、2パラレルのコイルとされた超電導ソレノイドコイル40と、これに冷熱を伝えるサファイアのコールドヘッド50およびコールドヘッド50と冷熱源となる冷凍機先端部とを接続する無酸素銅のコールドリード55とより構成される。本発明では、プローブコイル40と、これに冷熱を伝えるサファイアのコールドヘッド50およびコールドヘッド50と冷熱源となる冷凍機先端部とを接続する無酸素銅のコールドリード55の先端部を含めた部分を低温プローブと呼ぶことにする。
ここで、図1(A)および図1(B)に示す構造をNMR計測および装置作製、実装上の観点から比較すると、それぞれ、長所、短所がある。
まず、均一磁場の乱れを抑えるという観点から見ると、図1(A)に示す静磁場に垂直な方向に低温プローブ31を設置する構造の方が円筒軸の対称性により、図1(B)に示す静磁場と同じ方向から挿入する構造より有利である。しかし、低温プローブ31を実装するために要する超電導マグネット30、30間のギャップ(図中d)は図1(A)の方が図1(B)よりも大きくなる。
次に、プローブコイル40を形成する超電導薄膜の冷却の観点で見る。図1(A)の構造では、要素コイル41の各層とコールドヘッド50との距離が同じでないため、要素コイル41の各層にコールドヘッド50の冷熱を出来るだけ均一に伝送するため、各要素コイル41を形成した基板間のスペーサ基板に結合したサファイアの固定伝熱用基板を設け、これを上記コールドヘッドに結合して冷却するなどの工夫が必要である。一方、図1(B)の構造では、要素コイルを形成した基板間のスペーサ基板を上記コールドヘッドに直接結合して冷却することができるので、構造を簡易化できる。
図2(A)は、超電導薄膜による要素コイル(受信コイル)の上面図、(B)はA−Aの位置で矢印方向に見た断面図である。本発明では超電導薄膜コイルに適用する超電導材料として、酸化物高温超電導材料(YBaCuδ、以下YBCOと記す)もしくは二硼化マグネシウム(MgB)を用いた。以下にそれぞれの薄膜形成法および薄膜コイル作製法を述べる。
2はサファイア基板であり、41はサファイア基板2上に成膜された要素コイルであり、酸化物高温超電導材料であるイットリウムバリウム銅酸化物(YBCO)である。サファイア基板2は低温においても誘電率が10程度であり、高周波素子応用に適しているが、格子間隔の不整合により結晶配向性に優れたYBCO薄膜を基板上に直接成膜することは困難である。そこで、図示しないが、基板2上にセリウム酸化物(CeO)をバッファ層としてレーザー蒸着法により50nm堆積した後、同様にレーザー蒸着法によりYBCO薄膜を200nm堆積した。得られた超電導薄膜は結晶配向性に優れ、超電導臨界温度は90Kを示した。
次にホトリソグラフィーと電子サイクロトロン共鳴エッチングにより図2に示すようなワッシャ形状に超電導薄膜をパターン加工して1ターンコイルとした後、メタルマスクを用いて1ターンコイルの端部の領域のみにスパッタリング法により絶縁層であるCeO薄膜61を堆積する。その後同様にメタルマスクを用いてCeO薄膜61の上面に金薄膜をスパッタリング法により堆積する。その後ホトリソグラフィーと電子サイクロトロン共鳴エッチングにより1ターンコイルの端部の領域と対応する部分の金薄膜71のみを残すようにパターン加工を施し、所望の形状に加工する。
以上の作製工程により、端部にAu/CeO/YBCOの積層構造で形成される薄膜キャパシタが作製された1ターンコイルが基板2の面に形成できる。最後に試料管32を通すための穴100を形成するように、基板2に穴あけ加工を施す。基板の穴あけはレーザ光の照射によって加工した。ソレノイドコイルを形成するためには要素コイル41(1ターンコイル)を必要数積層するとともに、各コイル間を電気的に接続する必要がある。本発明における超電導薄膜を用いたソレノイドコイルは各1ターンコイルの端部に形成したキャパシタを介して接続する。破線で示す91は各1ターンコイルの端部に形成したキャパシタを介して接続する接続線を示す金厚膜である。
超電導材料として二硼化マグネシウム(MgB)を用いる場合も上述した作製工程と同様にして1ターンコイルを作製できる。ただし、この場合には絶縁材料はCeOに代えて、窒化アルミAlNを用いる。
図3は要素コイル41(1ターンコイル)を4層積層して2ターン、2パラレルのソレノイドコイルを構成するときの概念図である。サファイア基板2の上面に形成された1ターンコイル41の端部に示す黒丸は、1ターンコイルの端部に形成されたキャパシタを意味し、91−91はキャパシタ間を電気的に接続する接続線を示す金厚膜である。接続線91および91で接続された2つの1ターンコイル41はそれぞれ直列接続された2ターンコイルであり、これらの両端が接続線91および91で接続されて2ターン、2パラレルのソレノイドコイルとなっている。
ここでは、2ターン、2パラレルのソレノイドコイルを説明したが、4ターン、1パラレルあるいは1ターン、4パラレルとすることは接続線91の接続位置を変えることで容易に実現できる。
(実施例1−静磁場に垂直な方向に低温プローブ31を設置する構成例)
300MHzから1GHzを超える高周波帯域におけるNMR計測をおこなうために、直径3〜10mm、長さ5〜10mmの試料を測定対象とし、試料管32に入れた試料に磁場を印加し、自由誘導減衰(FID)信号を受信する超電導薄膜を用いたソレノイド型コイルの構成と実装について検討した。
図4は静磁場に垂直な方向に低温プローブ31を設置する構造の低温プローブ31のサファイアの固定伝熱用基板72の側面の一つを除去した形で示す側面図、図5は、図4のB−B位置(試料管32を通すための穴100の中心位置)で矢印方向に見た断面図である。
冷凍機先端部と接続される無酸素銅のコールドリード55の先端部55を基板2と同じサイズに形成し、上面にサファイアのコールドヘッド50を形成する。コールドヘッド50の上面に要素コイル41を成膜したサファイアの基板2を配置する。基板2の上面にサファイアのスペーサ基板73を介在させて、サファイアの基板2を配置する。同様に、基板2の上面にサファイアのスペーサ基板73を介在させて、サファイアの基板2を配置し、基板2の上面にサファイアのスペーサ基板73を介在させて、サファイアの基板2を配置する。基板2を積層する過程で、基板2上の要素コイル41間を接続する配線91−91とこれを外部に引き出すための配線の電気的接続を行う。各スペーサ基板73の図2に示す配線91に対応する位置では、スペーサ基板73とサファイアの基板2とを積層したときに、両者が平行に配置できるように、切り欠きを設ける。これは、他の実施例でも同様である。なお、スペーサ基板73にも、基板2と同様に、試料管32を通すための穴100を形成するように、穴あけ加工を施す。
ここでは、図3で説明したように、プローブコイル40は2ターン、2パラレルとされているので、配線91と91に接続された配線が、コールドリード55の先端部55およびコールドヘッド50の中心部に設けられた引き出し穴101に連なる切り欠き105及び106から引き出された配線と接続される。基板2上の要素コイル41間の接続と基板2を積層が完了すると、コールドリード55の先端部55、コールドヘッド50および基板2およびスペーサ基板73の積層部を取り囲む固定伝熱用基板72を設ける。
図4では、図が煩雑となるので、基板2とスペーサ基板73との積層部の表示を省略したが、図5では、この部分と基板2およびスペーサ基板73と固定伝熱用基板72との関係を分かりやすく断面図で示した。
基板2をコールドヘッド50の先端面に積層するときは、両者が密着し、かつ、インジウムにより溶着できるようにする。基板2の上面にサファイアのスペーサ基板73を積層するときは、基板2の配線91の設けられる面以外の周囲にインジウム43を置いて基板2とサファイアのスペーサ基板73との接着のほか基板2とサファイアのスペーサ基板73の上面に基板2を積層するときは、基板2をコールドヘッド50の先端面に積層するときと同様に、両者が密着し、かつ、インジウムにより溶着できるようにする。このようにして順次積層した後、基板2とスペーサ基板73の積層された部分とコールドヘッド50およびコールドリード55の先端部55を固定伝熱用基板72で取り囲み、組み立てられた低温プローブ31をオーブンにおいて200℃〜300℃で10分〜30分加熱し、圧着したインジウムを溶着させる。
図5から分かるように、固定伝熱用基板72はコールドリード55の先端部55およびコールドヘッド50と接触しているため固定伝熱用基板72は5Kまで冷却できる。さらに、要素コイル41を設けた基板2間にスペーサ基板73を挿入し、各基板2間および基板2とスペーサ基板73と固定伝熱用基板72間をインジウムで溶着した。これにより基板2およびスペーサ基板73の外周部と固定伝熱用基板72の接触面積が大きくなり効率的な冷却が可能となった。結果としてソレノイドコイル全体が約5Kに冷却され安定なプローブコイル40の動作が実現できた。
なお、スペーサ基板73の挿入は、ソレノイドコイルの全体寸法をソレノイドコイルが試料を充分覆う形状にするのに効果的であるとともに、構造を強固なものにする効果がある。
作製したプローブコイル40を600MHzにて評価した結果、超電導薄膜を適用することで、感度は常伝導金属を用いた場合の3.5倍に向上した。
上述の実施例では超電導薄膜材料としてYBCOを用いた。同様の構成において超電導薄膜材料としてMgBを用いた場合でも同様の結果が得られた。超電導薄膜材料としてNb、Pb、NbTiおよびこれらの合金を用いた場合でも同様の結果が得られることは明らかである。
また、固定伝熱用基板72、スペーサ基板73はサファイア基板を加工して用いた。これら固定伝熱用基板72およびスペーサ基板73を窒化アルミAlNを用いて作製した場合でも同様の結果が得られた。
(実施例2−静磁場に垂直な方向に低温プローブ31を設置する構成例)
図6(A)は、無酸素銅薄膜による送信コイルの上面図、(B)はC−Cの位置で矢印方向に見た断面図である。2はサファイア基板であり、95、95’は無酸素銅薄膜である。サファイア基板2上に、送信コイルと同様に無酸素銅薄膜95を形成する。無酸素銅薄膜95を形成後、試料管32を通すための穴100を形成するように、基板2に穴あけ加工を施す。基板の穴あけはレーザ光の照射によって加工した。92、92は後述する配線を示す。
図7は送信コイルと受信コイルとを組み合わせて構成するプローブコイル40の構成の概要を示す図である。サファイア基板2に成膜された無酸素銅薄膜95、95’は、図4,5で説明した積層された基板2により形成された受信コイルを上下面で挟み付ける形に配置するとともに必要な配線をして1ターンの鞍型コイルで受信コイルを取り囲む形に構成する。すなわち、上段の基板2の無酸素銅薄膜95、95’の一端は図の背面側で配線92,92’により下段の基板2の無酸素銅薄膜95、95’の一端と接続される。また、上段の基板2の無酸素銅薄膜95、95’の他の一端は図の前面側で配線92,92’により、受信コイルの最下段の基板2の位置まで真っ直ぐ配線され、配線93で接続される。さらに、下段の基板2の無酸素銅薄膜95、95’ の他の一端は配線94で接続される。配線93と配線94との間に送信信号が印加される。ここでは、受信コイルは図3で説明したものと同じ物とした。
図8は静磁場に垂直な方向に低温プローブ31を設置する構造の送信コイルと受信コイルとを組み合わせて構成する低温プローブ31のサファイアの固定伝熱用基板72の側面の一つを除去した形で示す側面図、図9は、図8のD−D位置(試料管32を通すための穴100の中心位置)で矢印方向に見た断面図である。
冷凍機先端部と接続される無酸素銅のコールドリード55の先端部55を基板2と同じサイズに形成し、上面にサファイアのコールドヘッド50を形成する。コールドヘッド50の上面に送信コイル95を成膜したサファイアの基板2を配置する。基板2の上面に要素コイル41を成膜したサファイアの基板2を配置する。基板2の上面にサファイアのスペーサ基板73を介在させて、サファイアの基板2を配置する。同様に、基板2の上面にサファイアのスペーサ基板73を介在させて、サファイアの基板2を配置し、基板2の上面にサファイアのスペーサ基板73を介在させて、サファイアの基板2を配置する。基板2の上面に送信コイル95を成膜したサファイアの基板2を配置する。
基板2を積層する過程で、基板2上の送信コイル65間を接続する配線92−92’とこれを外部に引き出すための配線および受信コイルの要素コイル41間を接続する配線91−91とこれを外部に引き出すための配線の電気的接続を行う。
送信コイルでは、配線92と92’とを接続する配線93およびサファイアの基板2の面上に形成された送信コイル95の図の前面側の端部間を接続する配線94が、コールドリード55の先端部55およびコールドヘッド50の中心部に設けられた引き出し穴101に連なる切り欠き107及び108から引き出された配線と接続される。受信コイルでは配線91と91に接続された配線が、コールドリード55の先端部55およびコールドヘッド50の中心部に設けられた引き出し穴101に連なる切り欠き105及び106から引き出された配線と接続される。基板2上の要素コイル41間の接続と基板2を積層が完了すると、コールドリード55の先端部55、コールドヘッド50および基板2およびスペーサ基板73の積層部を取り囲む固定伝熱用基板72を設ける。
図8では、図が煩雑となるので、基板2とスペーサ基板73との積層部の表示を省略したが、図9では、この部分と基板2およびスペーサ基板73と固定伝熱用基板72との関係を分かりやすく断面図で示した。
実施例2は、実施例1と比較して、送信コイルが上下に追加されただけであるので、図5で説明したのと同様にして、順次積層し、その後、基板2とスペーサ基板73の積層された部分とコールドヘッド50およびコールドリード55の先端部55を固定伝熱用基板72で取り囲み、組み立てられた低温プローブ31をオーブンにおいて200℃〜300℃で10分〜30分加熱し、圧着したインジウムを溶着させる。
図8の構成でも、図5と同様に、固定伝熱用基板72はコールドリード55の先端部55およびコールドヘッド50と接触しているため固定伝熱用基板72は5Kまで冷却できる。さらに、要素コイル41を設けた基板2間にスペーサ基板73を挿入し、各基板2間および基板2とスペーサ基板73と固定伝熱用基板72間をインジウムで溶着した。これにより基板2およびスペーサ基板73の外周部と固定伝熱用基板72の接触面積が大きくなり効率的な冷却が可能となった。結果としてソレノイドコイル全体が約5Kに冷却され安定なプローブコイル40の動作が実現できた。
作製したプローブコイル40を600MHzにて評価した結果、実施例1と同様、超電導薄膜を適用することで、常伝導金属を用いた場合と比較して3.5倍の感度を実現した。また、実施例2の構成において超電導材料としてYBCOを用いた場合も同様の結果が得られた。
(実施例3−静磁場に平行な方向に低温プローブ31を設置する構成例)
図10(A)は静磁場に平行な方向に低温プローブ31を設置する場合のプローブコイル40の斜視図、(B)はD−D位置(スペーサ基板73がコールドヘッド50に挿入されている部分の中心位置)で矢印方向に見た断面図である。
図10に示す低温プローブ31の構成は、スペーサ基板73と基板2の積層構造に関する部分では、図4に示すプローブコイル40と本質的に同じである。ただし、基板2がコールドヘッド50の上面に積層される構造にならないので、基板2に冷熱を伝送するためのスペーサ基板73が基板2の下面に付加される。そして、基板2の上面にサファイアのスペーサ基板73を介在させて、サファイアの基板2を配置する。同様に、基板2の上面にサファイアのスペーサ基板73を介在させて、サファイアの基板2を配置し、基板2の上面にサファイアのスペーサ基板73を介在させて、サファイアの基板2を配置する。基板2を積層する過程で、基板2上の要素コイル41間を接続する配線91−91とこれを外部に引き出すための配線の電気的接続を行う。基板間に示す参照符号43は溶着されたインジウムである。
図10に示す低温プローブ31は、スペーサ基板73が基板2上の要素コイル41間を接続する配線91−91の部分を避けて延伸されてコールドヘッド50の中に挿入されて固定されている点に置いて、図4に示す低温プローブ31と異なる。すなわち、静磁場に平行な方向に低温プローブ31を設置するため、プローブコイル40がコールドヘッド50およびコールドリード55の横に配置される構成となり、冷凍機から供給される冷熱は、コールドヘッド50からスペーサ基板73に伝えられて、これが基板2に伝えられることになる。スペーサ基板73はコールドヘッド50に溝を形成し、その部分に挿入するとともに、固定を強化し、冷却効率を向上させるためにインジウム溶着した。基板2上の要素コイル41間を接続する配線91−91を外部に引き出すための配線はコールドヘッド50、コールドリーダ55の先端部55の中心部に設けられた引き出し穴101を介して導出される。
図10から分かるように、スペーサ基板73の延伸部はコールドヘッド50に溝を形成し、その部分に挿入するとともに、固定を強化し、冷却効率を向上させるためにインジウム溶着されているので、スペーサ基板73は5Kまで冷却でき、結果としてソレノイドコイル全体が約5Kに冷却され安定なプローブコイル40の動作が実現できた。
作製したプローブコイル40を600MHzにて評価した結果、実施例1と同様、超電導薄膜を適用することで、常伝導金属を用いた場合と比較して3.5倍の感度を実現した。また、実施例2の構成において超電導材料としてYBCOを用いた場合も同様の結果が得られた。
(実施例4−静磁場に平行な方向に低温プローブ31を設置する構成例)
図11は、図9に示す静磁場に垂直な方向に低温プローブ31を設置する構造の送信コイルと受信コイルとを組み合わせて構成する低温プローブ31を説明する断面図である。ここでは、図10(A)に対応する斜視図は省略した。
図11に示す低温プローブ31は、図10(B)と対比して明らかなように、上面の送信コイルのパターン95を形成した基板2が受信コイルのサファイア基板2の上面に、下面の送信コイルのパターン95を形成した基板26が受信コイルのサファイア基板2の下面に、それぞれ、設けられる点を除けば、送信コイルを持たないプローブコイル40を持つ低温プローブ31と同じである。ここで、上面の送信コイルのパターン95を形成した基板2が受信コイルのサファイア基板2の上面との間には、スペーサ基板73が設けられる。下面の送信コイルのパターン95を形成した基板26が受信コイルのサファイア基板2の下面との間には、スペーサ基板73が設けられる。さらに、下面の送信コイルのパターン95を形成した基板26の下面にはスペーサ基板73が設けられる。受信コイルの基板2上の要素コイル41間を接続する配線91−91を外部に引き出すための配線および送信コイルの配線93および94を外部に引き出すための配線はコールドヘッド50、コールドリーダ55の先端部55の中心部に設けられた引き出し穴101を介して導出される。基板間に示す参照符号43は溶着されたインジウムである。
図11から分かるように、スペーサ基板73の延伸部はコールドヘッド50に溝を形成し、その部分に挿入するとともに、固定を強化し、冷却効率を向上させるためにインジウム溶着されているので、スペーサ基板73は5Kまで冷却でき、結果としてソレノイドコイル全体が約5Kに冷却され安定なプローブコイル40の動作が実現できた。
作製したプローブコイル40を600MHzにて評価した結果、超電導薄膜を適用することで、感度は常伝導金属を用いた場合の3.5倍に向上した。
実施例4では超電導薄膜材料としてYBCOを用いた。同様の構成において超電導薄膜材料としてMgBを用いた場合でも同様の結果が得られた。
(実施例5−静磁場に平行な方向に低温プローブ31を設置する構成例)
図12(A)は静磁場に平行な方向に低温プローブ31を設置する場合のプローブコイル40の斜視図、(B)はD−D位置(スペーサ基板73がコールドヘッド50に挿入されている部分)で矢印方向に見た断面図である。
図12に示すスペーサ基板73と基板2の積層構造に関する部分の構成は図10に示すプローブコイル40と本質的に同じである。ただし、基板2の上面にも、サファイアのスペーサ基板73が積層されているのみならず、スペーサ基板73がコールドヘッド50の反対側でも延伸されているとともに、基板2の両側にサファイアの基板2と同等の厚さを持つサファイアのスペーサ76および77が設けられている。スペーサ76の端面は、スペーサ基板73の端面と一致するものとされる。スペーサ77は基板2の端面とコールドヘッド50の端面の間に挿入される形とされる。これらのスペーサ76および77は、スペーサ基板73を積層するときに合わせて、その両側に積層される。78、79はスペーサ基板73−スペーサ基板73間とその間のスペーサ76の積層部に設けられたポリテトラフルオロチレン製のボルト、ナットを示す。83、84はスペーサ基板73−スペーサ基板73間と基板2の積層部に設けられたポリテトラフルオロチレン製のボルト、ナットを示す。85はボルト83の貫通穴である。このボルト、ナット78、79によりスペーサ基板73−スペーサ基板73間とスペーサ76の積層部を強固に締め付け、さらに、ボルト、ナット83、84によりスペーサ基板73−スペーサ基板73間と基板2の積層部を強固に締め付けることで、プローブコイル40の機械的な強度を大きくできる。なお、ポリテトラフルオロチレン材料で形成するボルト、ナットをサファイア材料、もしくは、窒化アルミニウム材料としても良い。ボルト、ナットをこれらのポリテトラフルオロチレン材料、サファイア材料、もしくは、窒化アルミニウム材料とする場合には、外部回路との電気的配線をこれらのボルト、ナットで固定する構成が可能となる。基板間に溶着されたインジウムが示されるが、図が煩雑になるので、参照符号43の表記は一つに留めた。さらに組み立てられたソレノイドコイルをオーブンにおいて200℃〜300℃で10分〜30分加熱し、圧着したインジウムを溶着させる。最後に冷凍機先端部にインジウムで溶着し低温プローブ31とする。
なお、この実施例では、スペーサ基板73、基板2、スペーサ76およびスペーサ77には、試料管を通すための穴100の穴あけ加工の際に、それぞれボルトの貫通穴85を形成する穴あけ加工を施す。
実施例5によるプローブコイル40の性能は、本質的には、実施例4と同じであるが、サファイアのスペーサ76および77による伝熱効果により、各基板2の単位コイル41の冷却のバランスが向上するので、より性能が向上する。
作製したプローブコイル40を600MHzにて評価した結果、実施例4と同様、超電導薄膜を適用することで、常伝導金属を用いた場合と比較して3.5倍の感度を実現した。また、実施例5の構成において超電導材料としてYBCOを用いた場合も同様の結果が得られた。
実施例5においては、超電導薄膜41としてYBCO、基板2およびスペーサ基板73にはサファイアを用いたが、超電導薄膜としてMgBを用いる場合には基板2の材料として窒化アルミAlNを用いることができる。この場合には基板2およびスペーサ基板73をすべてAlNで構成することが可能となる。
(実施例6−静磁場に平行な方向に低温プローブ31を設置する構成例)
図13は静磁場に平行な方向に低温プローブ31を設置する構造の送信コイルと受信コイルとを組み合わせて構成する低温プローブ31を説明する断面図である。ここでは、図12(A)に対応する斜視図は省略した。
図13に示すスペーサ基板73と基板2の積層構造に関する部分の構成は図11に示すプローブコイル40と本質的に同じである。ただし、基板2の上面にサファイアのスペーサ基板73が積層されているのみならず、基板2の下面にサファイアのスペーサ基板73が積層されている。さらに、スペーサ基板73がコールドヘッド50の反対側でも延伸されているとともに、基板2の両側にサファイアの基板2と同等の厚さを持つサファイアのスペーサ76および77が設けられている。スペーサ76の端面は、スペーサ基板73の端面と一致するものとされる。スペーサ77は基板2の端面とコールドヘッド50の端面の間に挿入される形とされる。組み立て手順についても、図12で説明した実施例5と同様である。78、79はスペーサ基板73−スペーサ基板73間とその間のスペーサ76の積層部に設けられたポリテトラフルオロチレン製のボルト、ナットを示す。83、84はスペーサ基板73−スペーサ基板73間と基板2の積層部に設けられたポリテトラフルオロチレン製のボルト、ナットを示す。85はボルト83の貫通穴である。このボルト、ナット78、79によりスペーサ基板73−スペーサ基板73間とスペーサ76の積層部を強固に締め付け、さらに、ボルト、ナット83、84によりスペーサ基板73−スペーサ基板73間と基板2の積層部を強固に締め付けることで、プローブコイル40の機械的な強度を大きくできる。基板間に溶着されたインジウムが示されるが、図が煩雑になるので、参照符号43の表記は一つに留めた。さらに組み立てられたソレノイドコイルをオーブンにおいて200℃〜300℃で10分〜30分加熱し、圧着したインジウムを溶着させる。最後に冷凍機先端部にインジウムで溶着し低温プローブ31とする。
実施例6によるプローブコイル40の性能は、本質的には、実施例4と同じであるが、サファイアのスペーサ76および77による伝熱効果により、各基板2の単位コイル41の冷却のバランスが向上するので、より性能が向上する。
作製したプローブコイル40を600MHzにて評価した結果、実施例5と同様、超電導薄膜を適用することで、常伝導金属を用いた場合と比較して3.5倍の感度を実現した。また、実施例6の構成において超電導材料としてYBCOを用いた場合も同様の結果が得られた。
本発明により、高感度、高分解能NMR計測が可能となり、タンパク質の構造解析をより高精度に行うことが出来る。
(A)は、本発明の対象であるNMR装置の主要構成部の概略を、プローブコイルを試料管と同じ方向(静磁場と垂直方向)から挿入する方法で配置したものとした例を示す斜視図、(B)は、本発明の対象であるNMR装置の主要構成部の概略を、プローブコイルをスプリット型超電導マグネットのボアから挿入する方法で配置したものとした例を示す斜視図。 (A)は、超電導薄膜による要素コイル(受信コイル)の上面図、(B)はA−Aの位置で矢印方向に見た断面図。 要素コイル41(1ターンコイル)を4層積層して2ターン、2パラレルのソレノイドコイルを構成するときの概念図。 静磁場に垂直な方向に低温プローブ31を設置する構造の低温プローブ31のサファイアの固定伝熱用基板72の側面の一つを除去した形で示す側面図。 図4のB−B位置で矢印方向に見た断面図。 (A)は、無酸素銅薄膜による送信コイルの上面図、(B)はC−Cの位置で矢印方向に見た断面図。 送信コイルと受信コイルとを組み合わせて構成するプローブコイル40の構成の概要を示す図。 静磁場に垂直な方向に低温プローブ31を設置する構造の送信コイルと受信コイルとを組み合わせて構成する低温プローブ31のサファイアの固定伝熱用基板72の側面の一つを除去した形で示す側面図。 図8のD−D位置で矢印方向に見た断面図。 (A)は静磁場に平行な方向に低温プローブ31を設置する場合の低温プローブ31コイル40の斜視図、(B)はD−D位置(スペーサ基板73がコールドヘッド50に挿入されている部分)で矢印方向に見た断面図。 図9に示す静磁場に垂直な方向に低温プローブ31を設置する構造の送信コイルと受信コイルとを組み合わせて構成する低温プローブ31を説明する断面図。 (A)は静磁場に平行な方向に低温プローブ31を設置する場合のプローブコイル40の斜視図、(B)はD−D位置(スペーサ基板73がコールドヘッド50に挿入されている部分)で矢印方向に見た断面図。 静磁場に平行な方向に低温プローブ31を設置する構造の送信コイルと受信コイルとを組み合わせて構成する低温プローブ31を説明する断面図。
符号の説明
2…基板、30,30…超電導マグネット、31…低温プローブ、32…ガラス試料管、40…超電導ソレノイドコイル、41…超電導1ターンコイル、43…インジウム、50…サファイアのコールドヘッド、55…無酸素銅によるコールドリード、61…絶縁層、71…金薄膜電極、72…固定伝熱用基板、73…スペーサ基板、76,77…サファイアのスペーサ、78,83…ポリテトラフルオロチレン製のボルト、79,84…ポリテトラフルオロチレン製のナット、81…キャパシタ形成部、85…ボルト83の貫通穴、91…常伝導導線、92…インジウム溶着部、93,94…配線、95,95’…送信用コイル(無酸素銅薄膜)、100…試料管32を通すための穴、101…配線引き出し穴、105,106,107,108…切り欠き。

Claims (1)

  1. 所定の均一磁場を発生する手段と、前記磁場中に配置されてその内部に計測対象の試料を収納した試料管が挿脱可能なプローブとで構成する装置であって、前記磁場発生手段は2つに分割した超電導磁石であり、前記超電導磁石が発生する磁場の方向に垂直もしくは平行の方向から前記プローブを挿入する構成であるとともに、
    前記プローブは表面に1ターンの超電導薄膜を加工したコイルを形成した複数の基板とこれらの基板間に設けられたスペーサ基板との積層構造と前記複数の基板の超電導薄膜を加工した各コイルが直列、並列、または、直並列に接続されてソレノイド型に構成されたプローブコイルを備え、さらに、該プローブコイルの上下面に送信コイルを形成した基板を備えるとともに、該送信コイルを形成した基板のコイル間を鞍型に接続してソレノイド型に構成され、前記スペーサ基板が冷熱源に結合したコールドヘッドから直接または間接に冷却されることを特徴とする核磁気共鳴装置。
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