JP2008026066A - 核磁気共鳴装置及びnmrプローブコイル - Google Patents
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Abstract
【課題】超電導ソレノイドコイルの感度を向上させたNMRプローブコイルを提供する。
【解決手段】超電導ソレノイドコイルと超電導1ターンコイルをそれぞれ単体で、実際に使用する周波数よりも高い周波数に共振させる。ソレノイドコイル51−2,51−3の軸方向に、1ターンコイル51−1,51−4を超電導薄膜面が平行となるように配置する。超電導1ターンコイルは、ソレノイドコイルと電気的に接続せず、給電もしない。入力インピーダンスの周波数特性に現れる2つの共振ピークのうち、低い周波数のピークが実際に使用する周波数と一致するように、それぞれのコイルに装荷したキャパシタの容量を調整する。
【選択図】図5
【解決手段】超電導ソレノイドコイルと超電導1ターンコイルをそれぞれ単体で、実際に使用する周波数よりも高い周波数に共振させる。ソレノイドコイル51−2,51−3の軸方向に、1ターンコイル51−1,51−4を超電導薄膜面が平行となるように配置する。超電導1ターンコイルは、ソレノイドコイルと電気的に接続せず、給電もしない。入力インピーダンスの周波数特性に現れる2つの共振ピークのうち、低い周波数のピークが実際に使用する周波数と一致するように、それぞれのコイルに装荷したキャパシタの容量を調整する。
【選択図】図5
Description
本発明は、核磁気共鳴装置、及び核磁気共鳴装置の均一磁場中に置かれた試料に対して、所定の共鳴周波数で高周波信号を送信、及び自由誘導減衰(FID)信号を受信するためのNMRプローブコイルに関する。
核磁気共鳴(NMR)分光における分解能を高める目的で、均一な高磁場(B0)下で、高い共鳴周波数の高周波信号を印加できるNMR装置が開発されている。10テスラ(T)以上の高磁場を発生するために、超電導マグネットが一般的に使われる。現在では、タンパク質の構造解析を主要な目的とした高磁場NMR装置が開発されており、21.6T(水素原子核の核磁気共鳴周波数920MHz)のNMR装置が作られている。高精度に分析するためには、磁場強度の均一度は高くする必要があり、NMR計測の対象となる測定試料の存在する領域におけるばらつきは10-9以下が望まれる。
一方、印加した高周波パルスに対応して発生する自由誘導減衰(FID)信号を受信するプローブには、高い感度が求められる。これはタンパク質のように、試料の量が少ない場合は、FID信号強度がとくに低く、測定に長時間を要してしまうためである。プローブの主要なノイズは、共鳴器を構成するプローブの電気抵抗に起因して発生し、温度と材料の高周波損失抵抗に依存する。このノイズを下げるために、米国特許第5247256号に記載されているように、低温下にプローブコイルやプリアンプを設置する他に、最近では、高周波損失抵抗が銅などの通常金属に比較して2桁以上低い高温超電導体が使われている。高温超電導体をプローブコイルに用いた例は、米国特許5585723号に示されている。超電導体としては薄膜が用いられ、膜面は静磁場の方向と水平に配置する必要がある。これは静磁場と直交する方向に超電導体の膜面があると、超電導体の完全反磁性の特性により静磁場強度の均一度を劣化させるためである。また、プローブコイルに給電したときに、コイル中心に発生する高周波磁場は静磁場と直交するように、プローブコイルを配置する必要がある。また、測定試料の入ったサンプル管は鉛直方向に挿入される。鉛直方向に静磁場を発生する超電導マグネットを用いたNMR装置は「鉛直型NMR装置」と呼ばれる。一方、水平方向に静磁場を発生する超電導マグネットを用いるNMR装置は「水平型NMR装置」と呼ばれ、「水平型NMR装置」でプローブコイルとして用いられる超電導ソレノイド型コイルの具体的構造が、特開2005−3435号公報に示されている。
図1は、特開2005−3435号公報に示された水平型NMR装置でプローブコイルとして用いられる超電導ソレノイド型コイルの一例の配置を示す斜視図である。静磁場の方向3が水平方向である水平型NMR装置では、プローブコイルとしては、図1に示すようなソレノイドコイル11が用いられる。ソレノイドコイル11は、4つの超電導薄膜11−1〜11−4から構成される。超電導薄膜11−1〜11−4は、平面基板上に形成した膜で作成した平板ドーナッツ状超電導薄膜の面が均一磁場の方向3に平行になるように配置されている。膜面を静磁場に平行にするのは、反磁性である超電導体をコイルに用いてもNMR装置の均一磁場が乱れないようにするためである。平板ドーナッツ状超電導薄膜は円周上の一部が切り離されており、その両端にはキャパシタが形成されている。超電導薄膜はこれらキャパシタを介して金属リードと容量性結合しており、複数の平板ドーナッツ状超電導薄膜を金属リードにより接続、ソレノイドコイルとして機能する。超電導薄膜と金属リードは、超音波ボンディング技術などを用いて、キャパシタを介さずに直接接続される場合もある。コイルに給電したときにコイル中心に発生する高周波磁場はy方向であり、静磁場の方向3と直交する。図1に示したソレノイドコイルでは、金属リード15により4つの超電導薄膜が直列に接続されている。金属リードの導体材料としては、導電率の高い常伝導体である銅や金や銀などを用いる。
図2は、図1と同様に4つの超電導薄膜11−1〜11−4から構成されるソレノイドコイルであるが、金属リードの配線が図1に示したものと異なり、金属リード15により4つの超電導薄膜が並列に接続されている。図3は、同様に4つの超電導薄膜11−1〜11−4から構成されるソレノイドコイルであるが、金属リード15により超電導薄膜11−1と11−2、並びに、11−3と11−4は直列に接続されており、さらにそれらが並列に接続されている。図2、図3に示したソレノイドコイルも、図1に示したものと同様に、4つの超電導薄膜を接続する金属リードとしては常伝導材料を用いている。
NMR装置で、主に用いられているマグネットの磁場強度は7T〜21Tであり、水素原子核の核磁気共鳴周波数は約300MHz〜900MHzである。300〜900MHzの周波数で、低温下における常伝導体の導電率は超電導体のそれより2桁以上低い。4つの超電導薄膜を接続する金属リードの材料の材料として超電導材料を使用することができれば、ソレノイドコイルの感度をさらに向上させることができるが、金属リードの材料として超電導材料を用いることは困難である。これは、4つの超電導薄膜を接続するリードを、全て薄膜で形成し、かつ、薄膜表面が均一磁場の方向に平行になるように配置することは実装上困難なためである。すなわち、リードの材料として超電導材料を用いると、必ず、超電導体表面が均一磁場の方向と直交する部分が存在する。超電導体表面が均一磁場の方向と直交すると、マイスナー効果により、静磁場を大きく乱し、NMR信号計測が困難となる。300〜900MHzの周波数において、常伝導体(金属リード)の導電率は超電導体のそれより2桁以上低い。このため、水平型NMR装置用の超電導ソレノイド型コイルにおいては、超電導薄膜を接続する金属リード(常伝導体)部分の抵抗の損失によって感度が低下するという問題点があった。
本発明は、均一磁場中に置かれた試料に対して、所定の共鳴周波数で高周波信号を送信、及び自由誘導減衰(FID)信号を受信するために用いられるソレノイドコイルの感度の向上を図ることを目的とする。
本発明のNMRプローブコイルでは、超電導ソレノイドコイルと超電導1ターンコイルをそれぞれ単体で、実際に使用する周波数よりも高い周波数に共振させる。ソレノイドコイルの軸方向に、1ターンコイルを超電導薄膜面が平行となるように配置する。このとき、超電導1ターンコイルには給電しない。また、ソレノイドコイルと電気的に接続しない。このとき、入力インピーダンスの周波数特性を観察すると、2つの共振ピークが現れる。そして、2つの共振ピークのうち、低い周波数のピークが実際に使用する周波数と一致するように、ソレノイドコイルと1ターンコイルの単体の時の共振周波数をそれぞれのコイルに装荷したキャパシタの容量を調整し、NMRプローブコイルとして使用する。
本発明の核磁気共鳴装置は、前記NMRプローブコイルを、コイル薄膜の膜面が静磁場の方向に平行になるように配置して用いる。
本発明によれば、均一磁場中に置かれた試料に対して、所定の共鳴周波数で高周波信号を送信、及び自由誘導減衰(FID)信号を受信するために用いられるソレノイドコイルの感度を向上させることができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
[第1の実施例]
図4は、本発明の第1の実施例のNMR装置(水平型NMR装置)の概略構成を示す図である。NMR装置は、2つに分割された超電導マグネット30−1,30−2により、14.1テスラ(水素原子核の核磁気共鳴周波数600MHz)の均一磁場B0を水平方向に発生する。静磁場の向きをz方向とする。この静磁場内にプローブコイル34を10Kまで冷却できる低温プローブ33を設置して、低温プローブの断熱された内側に試料を入れた内径5mmのガラス管32を挿入する。測定試料の入ったサンプル管は鉛直方向に挿入される。
[第1の実施例]
図4は、本発明の第1の実施例のNMR装置(水平型NMR装置)の概略構成を示す図である。NMR装置は、2つに分割された超電導マグネット30−1,30−2により、14.1テスラ(水素原子核の核磁気共鳴周波数600MHz)の均一磁場B0を水平方向に発生する。静磁場の向きをz方向とする。この静磁場内にプローブコイル34を10Kまで冷却できる低温プローブ33を設置して、低温プローブの断熱された内側に試料を入れた内径5mmのガラス管32を挿入する。測定試料の入ったサンプル管は鉛直方向に挿入される。
プローブコイルとしては、図5に示すように、4つの超電導薄膜51−1〜51−4から構成されるソレノイドコイル51を用いた。図5(a)は、ソレノイドコイル51の斜視図である。超電導薄膜51−1〜51−4は平面基板上に形成した膜で作成した平板ドーナッツ状超電導薄膜の面が均一磁場の方向(z方向)に平行になるように配置されている。膜面を静磁場に平行にするのは、反磁性である超電導体をコイルに用いてもNMR装置の均一磁場が乱れないようにするためである。平板ドーナッツ状超電導薄膜51−2,51−3は円周上の一部が切り離されており、その両端には、図15に示すようにキャパシタ151が形成されている。超電導薄膜はこれらキャパシタを介して金属リード15と容量性結合しており、2つの平板ドーナッツ状超電導薄膜51−2,51−3を金属リードにより並列に接続している。なお、容量性結合は必ずしも必須ではなく、直接、超電導薄膜に常伝導の金属リードをボンディングすることも可能である。しかし、ボンディングの場合、そのボンディングの状態によって接触抵抗にバラツキが生じることが多いため、ここでは容量性結合を用いた。平板ドーナッツ状超電導薄膜51−1,51−4は円周上の2箇所にキャパシタが形成されている。このソレノイドコイル51の入力インピーダンスの周波数特性を図5(b)に示す。ソレノイドコイル51の入力インピーダンスには2つの共振ピーク52−1,52−2があり、低い周波数の共振ピーク52−1が水素原子核の核磁気共鳴周波数600MHzに一致している。
以下、低い周波数の共振ピーク52−1を水素原子核の核磁気共鳴周波数に一致させる手順を示す。図6(a)は、ソレノイドコイル51のうちの、2つの平板ドーナッツ状超電導薄膜51−2,51−3とそれらを接続する金属リードを取り出したものである。このソレノイドコイルの入力インピーダンスの周波数特性を図6(b)に示す。このソレノイドコイルは740MHzに共振ピークを持つ。図7(a)は、ソレノイドコイル51のうちの、平板ドーナッツ状超電導薄膜51−1を取り出したものである。この1ターンコイルの上の1つのキャパシタの両端から見た入力インピーダンスの周波数特性を図7(b)に示す。この1ターンコイルも、740MHzに共振ピークを持つ。もう一つの1ターンコイルである平板ドーナッツ状超電導薄膜51−4も、同様の特性を有する。これら740MHzに共振ピークを持つコイル群を用いて、図5(a)に示した構成に組み立てると、図5(b)に示したように2つの共振ピークを有するソレノイドコイルができる。2つの共振ピークのうちの低い周波数の共振ピークが計測に使用する核磁気共鳴周波数に一致するように、図6(a)、図7(a)に示したコイルを構成するキャパシタの容量を調節する。1ターンコイルは、図5に示すように2個を上下両端に配置するのが有利である。
図8(a)に、ソレノイドコイル51の共振ピーク52−1における超電導薄膜上の高周波電流分布の模式図を示す。4つの超電導薄膜で高周波電流の向きはほぼ一致している。図8(c)は図2に示したソレノイドコイルの共振周波数における超電導薄膜上の高周波電流分布の模式図である。図8(a)に示したソレノイドコイル51の共振ピーク52−1における4つの超電導薄膜上の高周波電流の向きは、図2に示したソレノイドコイルの共振周波数における超電導薄膜上の高周波電流の向き(図8(c))とほぼ同じである。
一方、ソレノイドコイル51の共振ピークのうちの高い周波数の共振ピーク52−2における超電導薄膜上の高周波電流分布は、図2に示したソレノイドコイルの共振周波数における超電導薄膜上の高周波電流の向き(図8(c))と異なる。図8(b)にソレノイドコイル51の共振ピーク52−2における超電導薄膜上の高周波電流分布の模式図を示す。超電導薄膜51−1と51−4の上の高周波電流の向きは、超電導薄膜51−2と51−3の上の高周波電流の向きと逆向きである。
図9に、図8(a)(b)(c)に示した共振モードにおける、それぞれのソレノイドコイルのy軸上の感度分布を示す。ソレノイドコイル51の2つの共振ピークのうちの低い周波数の共振ピークにおける感度分布を実線で、高い周波数ピークにおける感度分布を一点鎖線で示している。また、図2に示したソレノイドコイルの共振周波数における感度分布を破線で示している。ソレノイドコイル51の高い周波数ピークにおける感度は、図2に示したソレノイドコイルの共振周波数における感度よりも低いことが分かる。一方、ソレノイドコイル51の低い周波数ピークにおける感度は、図2に示したソレノイドコイルの共振周波数における感度と比較して約20%向上する。これは、ソレノイドコイル51は、図2に示したソレノイドコイルと比較して、常伝導体部分(金属リード)がおよそ1/3に減ることから、その部分での抵抗損失が減るためである。また、超電導体部分と常伝導体部分(金属リード)の接続箇所が減るため、実装も簡素化される。
図10に、平板ドーナッツ状超電導薄膜51−1,51−4の円周上の2箇所にキャパシタを形成する方法を示す。まず、図10(a)に示すように、基板101の上にドーナツ状の超電導薄膜102−1をスパッタリング法により形成した。基板101の材料としては、サファイヤ(Al2O3)を用い、超電導薄膜材料としては二硼化マグネシウム(MgB2)を用いた。二硼化マグネシウムからなるドーナツ状の超電導薄膜102−1は、内径10mm、外径12mm、膜厚250nmに形成した。その後、キャパシタを形成する2箇所の位置で超電導薄膜をエッチングで除去し、切り離した。エッチングで除去する幅は0.6mmとした。次に、図10(b)に示すように、その切り離し部を覆うように絶縁膜103をスパッタリング法により形成した。絶縁膜材料としては窒化アルミニウム(AlN)を用い、膜厚は250nmとした。さらに、図10(c)に示すように、絶縁膜103の上に超電導薄膜102−2をスパッタリング法により形成することにより、平板ドーナッツ状超電導薄膜の円周上の2箇所にキャパシタを形成した。キャパシタは特定の周波数に共振させるための調整部材として必要である。キャパシタは必ずしも2箇所に形成する必要はないが、2か所に形成する場合には、円周上で対称な位置に形成するのが好ましい。
図11に、平板ドーナッツ状超電導薄膜の円周上の2箇所にキャパシタを形成する別の方法を示す。図11(a)に示すように、基板101−1の上にドーナツ状の超電導薄膜102−1をレーザー蒸着法により形成した。基板の材料としては、La−Sr−Al−Ta酸化物を用い、超電導薄膜材料としては酸化物超電導体の一つであるYBa2Cu3Oy(YBCO)を用いた。YBCOからなるドーナツ状の超電導薄膜102−1は、内径10mm、外径12mm、膜厚250nmに形成した。その後、キャパシタを形成する2箇所の位置で超電導薄膜をエッチングで除去し、切り離した。エッチングで除去する幅は0.6mmとした。その後、その切り離し部を覆うように絶縁膜103をレーザー蒸着法により形成した。絶縁膜材料としてはセリウム酸化物(CeO2)を用い、膜厚は250nmとした。次に、図11(b)に示すように、別の基板101−2の上の2箇所に超電導薄膜102−2をレーザー蒸着法により形成する。その後、図11(c)に示すように、基板101−1と101−2の薄膜を形成した面を互いに向かい合せて重ねることにより、平板ドーナッツ状超電導薄膜の円周上の2箇所にキャパシタを形成することができる。
図12に、平板ドーナッツ状超電導薄膜の円周上の2箇所にキャパシタを形成する別の方法を示す。図12(a)に示すように、基板101−1の上にドーナツ状の超電導薄膜102−1を形成する。次に、キャパシタを形成する2箇所の超電導薄膜をエッチングで除去する。次に、図12(b)に示すように、別の基板101−2の上の2箇所に超電導薄膜102−2を形成する。次に、図12(c)に示すように、基板101−1と101−2の薄膜を形成した面を互いに向かい合せ、キャパシタを形成する2箇所に絶縁膜103を挟んで重ねることにより、平板ドーナッツ状超電導薄膜の円周上の2箇所にキャパシタを形成することができる。
[第2の実施例]
図13は、本発明によるソレノイドコイルの第2の実施例を示す斜視図である。本実施例のソレノイドコイル61は、4つの超電導薄膜61−1〜61−4から構成されている。超電導薄膜61−1〜61−4は平面基板上に形成した膜で作成した平板ドーナッツ状超電導薄膜の面が均一磁場の方向(z方向)に平行になるように配置されている。平板ドーナッツ状超電導薄膜61−2,61−3は円周上の一部が切り離されており、その両端にはキャパシタが形成されている。超電導薄膜はこれらキャパシタを介して金属リード15と容量性結合しており、2つの平板ドーナッツ状超電導薄膜61−2,61−3を金属リードにより接続している。金属リードの配線が第1の実施例に示したものと異なり、2つの平板ドーナッツ状超電導薄膜61−2,61−3が直列に接続されている。平板ドーナッツ状超電導薄膜を直列に接続する事により、より感度を向上できるという効果がある。平板ドーナッツ状超電導薄膜61−1,61−4は円周上の2箇所にキャパシタが形成されている。
図13は、本発明によるソレノイドコイルの第2の実施例を示す斜視図である。本実施例のソレノイドコイル61は、4つの超電導薄膜61−1〜61−4から構成されている。超電導薄膜61−1〜61−4は平面基板上に形成した膜で作成した平板ドーナッツ状超電導薄膜の面が均一磁場の方向(z方向)に平行になるように配置されている。平板ドーナッツ状超電導薄膜61−2,61−3は円周上の一部が切り離されており、その両端にはキャパシタが形成されている。超電導薄膜はこれらキャパシタを介して金属リード15と容量性結合しており、2つの平板ドーナッツ状超電導薄膜61−2,61−3を金属リードにより接続している。金属リードの配線が第1の実施例に示したものと異なり、2つの平板ドーナッツ状超電導薄膜61−2,61−3が直列に接続されている。平板ドーナッツ状超電導薄膜を直列に接続する事により、より感度を向上できるという効果がある。平板ドーナッツ状超電導薄膜61−1,61−4は円周上の2箇所にキャパシタが形成されている。
超電導ソレノイドコイルと超電導1ターンコイルをそれぞれ単体で、実際に使用する周波数よりも高い周波数に共振させる。図13に示す配置で実装した時、入力インピーダンスの周波数特性を観察すると、2つの共振ピークが現れる。そして、2つの共振ピークのうち、低い周波数のピークを実際に使用する周波数と一致させる。このように、給電しない超電導1ターンコイル(無給電超電導素子)を含んで構成されたソレノイドコイルを、NMRプローブコイルとして使用することにより、常伝導体部分(金属リード)での抵抗損失が減るため高感度計測が可能となる。
[第3の実施例]
図14は、本発明によるソレノイドコイルの第3の実施例を示す斜視図である。本実施例のソレノイドコイル71は、5つの超電導薄膜71−1〜71−5から構成されている。超電導薄膜71−1〜71−5は平面基板上に形成した膜で作成した平板ドーナッツ状超電導薄膜の面が均一磁場の方向(z方向)に平行になるように配置されている。平板ドーナッツ状超電導薄膜71−2,71−3,71−4は円周上の一部が切り離されており、その両端にはキャパシタが形成されている。超電導薄膜はこれらキャパシタを介して金属リード15と容量性結合しており、3つの平板ドーナッツ状超電導薄膜71−2,71−3,71−4を金属リードにより直列に接続している。平板ドーナッツ状超電導薄膜の枚数を増やす事により、より感度を向上できるという効果がある。平板ドーナッツ状超電導薄膜71−1,71−5は円周上の2箇所にキャパシタが形成されている。
図14は、本発明によるソレノイドコイルの第3の実施例を示す斜視図である。本実施例のソレノイドコイル71は、5つの超電導薄膜71−1〜71−5から構成されている。超電導薄膜71−1〜71−5は平面基板上に形成した膜で作成した平板ドーナッツ状超電導薄膜の面が均一磁場の方向(z方向)に平行になるように配置されている。平板ドーナッツ状超電導薄膜71−2,71−3,71−4は円周上の一部が切り離されており、その両端にはキャパシタが形成されている。超電導薄膜はこれらキャパシタを介して金属リード15と容量性結合しており、3つの平板ドーナッツ状超電導薄膜71−2,71−3,71−4を金属リードにより直列に接続している。平板ドーナッツ状超電導薄膜の枚数を増やす事により、より感度を向上できるという効果がある。平板ドーナッツ状超電導薄膜71−1,71−5は円周上の2箇所にキャパシタが形成されている。
超電導ソレノイドコイルと超電導1ターンコイルをそれぞれ単体で、実際に使用する周波数よりも高い周波数に共振させる。図14に示す配置で実装した時、入力インピーダンスの周波数特性を観察すると、2つの共振ピークが現れる。そして、2つの共振ピークのうち、低い周波数のピークを実際に使用する周波数と一致させる。超電導ソレノイドコイルのターン数を増やす事により、軸方向(y方向)に長いサンプルの計測に有利となる。
このように、給電しない超電導1ターンコイル(無給電超電導素子)を含んで構成されたソレノイドコイルを、NMRプローブコイルとして使用することにより、常伝導体部分(金属リード)での抵抗損失が減るため高感度計測が可能となる。
以上、本発明を特定の形態について説明したが、上記以外の形態についても同様に、給電しない超電導1ターンコイル(無給電超電導素子)を含んで構成されたソレノイドコイルを、NMRプローブコイルとして使用することにより、感度を向上させることができる。例えば、平板ドーナッツ状超電導薄膜の個数は6以上であっても良い。また、マグネットとして、14.1テスラと異なる静磁場強度のマグネットを使用できることや、水素原子核以外の核種を計測対象とすることができることはいうまでもない。
超電導ソレノイドコイルの感度を向上させたNMRプローブコイルを提供できる。
3…均一磁場B0、11…従来型超電導ソレノイドコイル、11−1,11−2,11−3,11−4…超電導薄膜、15…金属リード、30−1,30−2…超電導マグネット、32…ガラス管、33…低温プローブ、34…プローブコイル、51…超電導ソレノイドコイル、51−1,51−2,51−3,51−4…超電導薄膜、61…改良型超電導ソレノイドコイル、61−1,61−2,61−3,61−4…超電導薄膜、71…超電導ソレノイドコイル、71−1,71−2,71−3,71−4,71−5…超電導薄膜
Claims (5)
- 核磁気共鳴装置の発生する静磁場中に置かれた試料に対して、所定の共鳴周波数で高周波信号の送信と自由誘導減衰(FID)信号の受信を行うNMRプローブコイルにおいて、
超電導薄膜から構成されるソレノイドコイルと超電導薄膜から構成される無給電の1ターンコイルとが積層された構造を有することを特徴とするNMRプローブコイル。 - 請求項1記載のNMRプローブコイルにおいて、前記ソレノイドコイル及び前記1ターンコイルにはキャパシタが装荷され、入力インピーダンスの周波数特性において現れる2つの共振ピークのうち低い周波数のピークが使用周波数に一致することを特徴とするNMRプローブコイル。
- 請求項1記載のNMRプローブコイルにおいて、2個の前記1ターンコイルが前記ソレノイドコイルを挟んで積層されていることを特徴とするNMRプローブコイル。
- 静磁場を発生させるための超電導マグネットと、
前記静磁場中に置かれた試料に対して前記静磁場と直交する方向に所定の共鳴周波数で高周波信号を送信、及び自由誘導減衰(FID)信号を受信するためのNMRプローブコイルとを備え、
前記NMRプローブコイルは、超電導薄膜から構成されるソレノイドコイルと超電導薄膜から構成される無給電の1ターンコイルとが積層された構造を有し、前記薄膜の膜面が前記静磁場の方向に平行になるように配置されていることを特徴とする核磁気共鳴装置。 - 請求項4記載の核磁気共鳴装置において、前記NMRプローブコイルは、入力インピーダンスの周波数特性において現れる2つの共振ピークのうち低い周波数のピークが使用周波数に一致することを特徴とする核磁気共鳴装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2006197011A JP2008026066A (ja) | 2006-07-19 | 2006-07-19 | 核磁気共鳴装置及びnmrプローブコイル |
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KR101336003B1 (ko) * | 2012-05-15 | 2013-12-03 | 자동차부품연구원 | 적층식 솔레노이드를 구비하는 디젤엔진용 직접분사식 인젝터 |
CN112147554A (zh) * | 2020-09-05 | 2020-12-29 | 武汉联影生命科学仪器有限公司 | 接收线圈的频率和匹配调谐装置、低温探头及磁共振装置 |
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2006
- 2006-07-19 JP JP2006197011A patent/JP2008026066A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR101336003B1 (ko) * | 2012-05-15 | 2013-12-03 | 자동차부품연구원 | 적층식 솔레노이드를 구비하는 디젤엔진용 직접분사식 인젝터 |
CN112147554A (zh) * | 2020-09-05 | 2020-12-29 | 武汉联影生命科学仪器有限公司 | 接收线圈的频率和匹配调谐装置、低温探头及磁共振装置 |
CN112147554B (zh) * | 2020-09-05 | 2023-08-15 | 武汉联影生命科学仪器有限公司 | 接收线圈的频率和匹配调谐装置、低温探头及磁共振装置 |
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