JPH11168014A - 変圧器 - Google Patents

変圧器

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JPH11168014A
JPH11168014A JP33384897A JP33384897A JPH11168014A JP H11168014 A JPH11168014 A JP H11168014A JP 33384897 A JP33384897 A JP 33384897A JP 33384897 A JP33384897 A JP 33384897A JP H11168014 A JPH11168014 A JP H11168014A
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JP
Japan
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winding
flow
plate
duct
windings
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Application number
JP33384897A
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English (en)
Inventor
Yasunori Ono
康則 大野
Noriyuki Hayashi
則行 林
Toshimitsu Obata
俊光 小幡
Kiyoto Hiraishi
清登 平石
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】軸方向に折流板を挿入し、複数の折流区域を形
成した円板巻線あるいはヘリカル巻線からなるSF6ガ
ス絶縁変圧器の巻線において、所定の折流区の中央付近
に分流板および復流板を挿入し、折流区内での温度のば
らつきを減らし、巻線の最高温度を低減する。 【解決手段】円板巻線、あるいはヘリカル巻線の軸方向
に、折流板51を挿入し形成される複数の折流区域にお
いて、巻線上部から所定の数(本実施例では4)の折流
区域は、分流板・復流板付きの単位巻線群40(斜線
部)で形成し、それより下方の折流区域では分流板・復
流板なしの単位巻線群50(白抜き)で形成することに
より、ガス温度が高くなる上方の折流区域での巻線温度
上昇のばらつきを小さくできるため、巻線全体での最高
温度を低く抑えられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は変圧器の改良に係わ
り、特に巻線を冷却する絶縁冷却媒体が、巻線の周辺に
配置されている折流板に案内されて千鳥状に流通し巻線
部を冷却するようになした変圧器の改良に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】都市に設置される変圧器には、防災の関
係から強い不燃化の要請があり、また変圧器自体大容量
化かつ小型化の要望も強い。従来一般に、不燃性の絶縁
冷却媒体を用いた変圧器として、SF6ガスを用いたS
6ガス絶縁変圧器が知られている。このSF6ガスは、
不燃性の点では優れているが、密度,比熱および熱伝導
率などの冷却性能に関する物性値が液状冷却媒体に比べ
て小さいことから、冷却性能は低く、また絶縁耐力も小
さい嫌いがある。
【0003】このため、一般には絶縁冷却媒体であるS
6ガスの体積流量を多く流す一方、変圧器巻線内の絶
縁距離、すなわち垂直ダクトや水平ダクトなどの絶縁冷
却媒体を流す寸法を大きくするようにしている。
【0004】特に、変圧器巻線として鉄心の周りに素線
を円板状に巻いた円板巻線、あるいは、ら旋状に巻いた
ヘリカル巻線の場合には、巻線の半径方向の内側、およ
び外側に絶縁筒に沿って垂直スペーサを配置して垂直ダ
クトを設け、また、円板状の巻線の軸方向には、巻線各
段間に水平スペーサを挿入して折流区域を形成し、折流
板の開口部が巻線の半径方向の内外に交互に設けられ、
絶縁冷却媒体は軸方向に流れるに従い、巻線内の半径方
向の流れの向きが、折流区域ごとに交互に変わる所謂千
鳥状の流れとなるようにしている。
【0005】このように冷却媒体の体積流量が多く、ま
た絶縁冷却媒体の流れる水平ダクトの数が多いと、折流
区域の上方(下流側)の水平ダクトへ冷却媒体が多く流
れ、下方部の水平ダクトには少なく流れる傾向になる。
このため、巻線の温度上昇分布に大きな差が生じ、巻線
の平均温度上昇に比べて巻線の最高温度上昇が高くなる
傾向がある。
【0006】このようなことから、巻線内のガスの流れ
を改善するために、絶縁筒に沿った垂直ダクトの半径方
向の幅を大きくしたり(特開平4−168707号公報
参照)、また垂直ダクトの他に巻線の半径方向の中央付
近に、軸方向に貫通する垂直ダクト(ガスダクト)を設
けたり(特開昭52−43937号公報参照)、このダ
クトの半径方向の寸法や位置を巻線の段ごとに異ならせ
たりしている(例えば、特開昭53−40820号公
報、特開昭54−34025号公報参照)。
【0007】さらには、水平ダクトから垂直ダクトに張
り出させた、流れ制御板(分流板、復流板)を用いて、
流れを均一にするようにしたもの(例えば、「熱流体解
析によるSF6ガス絶縁変圧器巻線部冷却の均一化の検
討」、平成8年電力・エネルギー部門大会予稿集No.
594、778−779頁参照)などもある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このように形成されて
いる変圧器,すなわち、ガスダクトを用いる構成の変圧
器では、流通抵抗の少ない絶縁筒に沿った垂直ダクト内
を多く流れ、次には巻線の半径方向の中央付近の垂直ダ
クトを多く流れがちであり、水平ダクトを流れるガス流
量はかなり少なくなる。このため、巻線温度上昇低減の
効果は小さく、また巻線の温度上昇を抑制するために垂
直ダクトの半径方向の幅を大きくしたり、前記ガスダク
トを設けたりすると、巻線の半径方向の幅が増大し、全
体として変圧器の体積が大きくなる嫌いがある。
【0009】また、ガスダクトの半径方向の位置を巻線
の段ごとに異ならせると、冷却媒体の流れに分岐合流箇
所が多くなり、冷却媒体の圧力損失が増大し、冷却媒体
の流通が鈍くなってしまう。この場合、冷却媒体の十分
な流量を確保するためにはヘッドの大きいブロワが必要
となる。
【0010】一方、流れ制御板(分流板、復流板)を用
いるものは、巻線温度上昇低減の効果は大きいが、製作
コストが増加する問題があり、また文献では1折流区に
ついて検討されているのみで、10前後の折流区からな
る巻線全体の温度上昇については検討されていなかっ
た。
【0011】本発明はこれに鑑みなされたもので、その
目的とするところは、流れ制御板(分流板、復流板)を
用いることによる製作コストの増加を極力抑えるととも
に、折流区内での温度のばらつきを減らし巻線の最高温
度を低減することが可能なこの種の変圧器を提供するに
ある。
【0012】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、鉄心
脚の周りに絶縁筒を隔壁として円板状あるいはヘリカル
状に巻回された巻線と、この巻線の積層間に水平ダクト
を形成する水平スペーサと、巻線の側部に垂直方向のダ
クトを形成する垂直スペーサと、前記垂直方向のダクト
部に交互に開口部を有して配置され、巻線の内外に複数
の折流区域を形成する折流板とを備え、前記折流板の案
内により巻線を冷却する絶縁冷却媒体が折流区域を巻線
の積層方向に千鳥状に流通するように形成されている変
圧器において、前記複数の折流区域のうち巻線上方部近
傍の折流区域に、折流区域の入口側から流入する絶縁冷
却媒体のうち前記垂直ダクトを流れる冷却媒体の量を制
限するとともに、前記水平ダクトに絶縁冷却媒体を流通
させる第1の媒体流通構造物を設け、かつ前記折流区域
内で、前記第1の媒体流通構造物より折流区域の出口に
近い位置に、出口側の垂直ダクトを流れる絶縁冷却媒体
の一部を前記水平ダクトを通り入口側の垂直ダクトに流
通させる第2の媒体流通構造物を設けるようにし所期の
目的を達成するようにしたものである。
【0013】またこの場合、前記第1および第2の媒体
流通構造物を、前記水平ダクトより前記垂直ダクト内に
その一部が張り出すように形成された案内板(分流板,
復流板)で形成するようにしたものである。また、前記
第1および第2の媒体流通構造物を、全折流区域のうち
半分以下の上方部折流区域に設けるようにしたものであ
る。
【0014】また本発明は、鉄心脚の周りに絶縁筒を隔
壁として円板状あるいはヘリカル状に巻回された複数の
巻線を備え、かつこのそれぞれの巻線が、巻線の積層間
に水平ダクトを形成する水平スペーサと、巻線の側部に
垂直方向のダクトを形成する垂直スペーサと、前記垂直
方向のダクト部に交互に開口部を有して配置され、巻線
の内外に複数の折流区域を形成する折流板とを有し、こ
の折流板の案内により巻線を冷却する絶縁冷却媒体が巻
線の積層方向に千鳥状に流通するように形成されている
変圧器において、前記複数の巻線のうち一部の巻線に、
折流区域の入口側から流入する絶縁冷却媒体のうち前記
垂直ダクトを流れる冷却媒体の量を制限するとともに、
前記水平ダクトに絶縁冷却媒体を流通させる第1の媒体
流通構造物を設け、かつ前記折流区域内で、前記第1の
媒体流通構造物より折流区域の出口に近い位置に、出口
側の垂直ダクトを流れる絶縁冷却媒体の一部を前記水平
ダクトを通り入口側の垂直ダクトに流通させる第2の媒
体流通構造物を設けるようにしたものである。
【0015】またこの場合、前記複数の巻線が高圧巻線
と低圧巻線で、このうち低圧巻線側に前記第1および第
2の媒体流通構造物を設けるようにしたものである。
【0016】すなわちこのように形成された変圧器であ
ると、複数の折流区域のうち、巻線上方部の折流区域
に、垂直ダクトを流れる冷却媒体の量を制限するととも
に、水平ダクトに絶縁冷却媒体を流通させる第1の媒体
流通構造物および折流区域の出口に近い位置に、出口側
の前記垂直ダクトを流れる絶縁冷却媒体の一部を水平ダ
クトを通り入口側の前記垂直ダクトに流通させる第2の
媒体流通構造物が設けられていることから、先ず媒体流
通構造物(分流板あるいは案内板)の付近で、この分流
板の案内により垂直ダクトに沿って流れる冷却媒体の一
部は停滞している水平ダクト側に流れ込み、この流れに
より分流板より入口に近い位置にある水平ダクトの冷却
に必要な流量が確保でき、さらに、分流板により、垂直
ダクトに沿って流れる冷却媒体の流れの一部がせき止め
られ、それより下流側では、冷却に必要な量以上流れて
いた流量を小さくすることができ、分流板よりも下流側
の各水平の冷却媒体の流量分布は、全体的に均一化され
る。
【0017】また、復流板は出口側垂直ダクトを流れる
冷却媒体を入口側垂直ダクトに強制的に流す働きがある
ため、分流板を単独で用いた場合に発生する分流板の背
後近傍(下流側近傍、2ないし3本)の水平ダクトでの
流れの停滞を回避でき、したがって全ての水平ダクトで
冷却媒体の流量を比較的均一にでき、折流区域内の巻線
温度上昇のばらつきを小さく抑えることができる。
【0018】すなわち、1つの巻線は一般には10前後
の折流区で構成されるが、巻線各部の温度は折流区域入
口のガス温度に、折流区域入口からの当該折流区域での
局部的な温度上昇を足したものとなる。折流区域入口の
ガス温度は巻線の上部の折流区域ほど高くなるので、巻
線での発熱の状態に応じて、巻線上部から所定の数の折
流区域については分流板と復流板を設け、それより下の
折流区域については折流板のみで構成すると、分流板と
復流板を設けた折流区域については、巻線温度上昇のば
らつきが小さくなるため、それらを設けない場合に比
べ、ガス温度を含めた巻線の温度は低く抑えられる。
【0019】また、折流板のみで構成された折流区域に
ついては、当該折流区域における巻線温度上昇のばらつ
きは大きくなるが、折流区域入口でのガス温度が上方の
折流区域に比べて低いため、この折流区域での巻線の最
高温度は、分流板と復流板を設けた折流区域における巻
線の最高温度を越えることはない。すなはち、絶縁物の
信頼性や寿命に係わる巻線の最高温度については全ての
折流区域に分流板と復流板を設けたのと同様の冷却効果
がある。
【0020】一方、分流板と復流板を設けることによる
の製作コストの上昇は、全ての巻線に分流板と復流板を
設ける場合に比べ、大幅に縮小できる。
【0021】なお、複数の巻線の中で、発熱密度に差が
ある時は、発熱密度が大きい巻線に分流板および復流板
を設け、発熱密度が小さい巻線は折流板のみで構成して
も、複数の巻線全体での最高温度を低く抑ることがで
き、分流板と復流板を設けることによるの製作コストの
上昇は、全ての巻線に分流板と復流板を設ける場合に比
べ、大幅に縮小することができるのである。
【0022】
【発明の実施の形態】以下図示した実施例に基づいて本
発明を詳細に説明する。図1にはその変圧器が断面で示
されている。なおこの図は、変圧器がほぼ軸対称形であ
ることから、その片側のみが示されている。1がタンク
であり、2が鉄心脚、3が上部絶縁リング、4が下部絶
縁リングである。20は鉄心脚2に巻回されている低圧
側巻線、30は高圧側巻線で、これら巻線は、最内周絶
縁筒6、中間絶縁筒7、最外周絶縁筒8で隔てられてい
る。
【0023】また、各巻線には、内外交互に開口を有す
るように配置された折流板51により、複数の折流区域
57が形成されている。いずれの巻線においても、巻線
上部から4番目までの折流区は、分流板・復流板を有す
る単位巻線群40(図1では斜線を付した。詳細は後述
する)で形成され、それより下方の折流区域では分流板
・復流板が設けられていない単位巻線群50(白抜きで
示されている)で形成されている。
【0024】なお、図では省略されているが、タンク1
内には絶縁冷却媒体(SF6ガス)が満たされ、かつタ
ンクの外部には、このSF6ガスを冷却するために、配
管を介してブロワと冷却器が接続されている。SF6ガ
スの流れは、タンク下部の開口部から流入してタンク1
とガス封止構造物9で形成される空間,すなわちガス溜
5に入り、低圧側巻線20および高圧側巻線30の部分
を流れ、絶縁筒6、7、8の上方へ流通する経路を辿
る。
【0025】図2は、分流板・復流板を有する単位巻線
群40の詳細を示す断面図(高圧側巻線の例)で、折流
板51aが最外周絶縁筒8に、折流板51bが中間絶縁
筒7に接して配置され、内外(この図では左右)交互に
開口部52a、52bが設けられて折流区域57が形成
されている。
【0026】この図の場合、1つの折流区域には、10
段の単位巻線56が水平ダクト55を隔てて配置されて
いる。単位巻線の間に形成されている水平ダクトの内、
下から5番目の水平ダクトには、このダクトから内周側
垂直ダクト53に張り出して分流板45が設けられ、ま
た、下から7番目の水平ダクトにも、外周側垂直ダクト
54へ張り出して復流板46が設けられている。内周
側、外周側垂直ダクトの半径方向の幅は25mm,分流
板45と中間絶縁筒7のギャップは約6mm,復流板4
6と最外周絶縁筒のギャップは約8mmである。単位巻
線における発熱密度は、低圧側巻線、高圧側巻線とも3
50kW/m3であり、ガス圧力は0.6MPaであ
る。
【0027】このような構成の巻線において、絶縁冷却
媒体は流入出部52aから折流区域57に入り、内周側
垂直ダクト53を上昇し、分流板45のところをそのま
ま流れるものと、折流板51aと分流板45までの間の
水平ダクト55を流れるものに分岐する。
【0028】水平ダクト55を通過した絶縁冷却媒体は
外周垂直ダクト54を上昇するが、復流板46のところ
で、そのまま外周側垂直ダクト54を流れるものと、水
平ダクト55を内周側垂直ダクト53に向かって(近隣
の水平ダクト55での流れと逆方向に)流れるものに分
岐する。分流板45のところで、内周側垂直ダクト53
をそのまま流れた絶縁冷却媒体は、水平ダクトを流れて
外周側垂直ダクト54を経て、次段の折流区域の流入出
部52bに至る。
【0029】その結果、各水平ダクトとも流れの滞留は
起こらず、どの単位巻線に注目しても、巻線の冷却に十
分な流速(上下平均で約1m/s以上)が得られる。こ
の図では、折流区域への流入口が左にあるが、流入口が
右の場合には、左右が反対の構造になることは勿論であ
り、このものでも同様の効果が得られる。
【0030】図3は、分流板および復流板がない単位巻
線群50の詳細を示す断面図(高圧側巻線の例)で、折
流板51aが最外周絶縁筒8に、折流板51bが中間絶
縁筒7に接して配置され、交互に開口部52a、52b
を生じ、折流区域57が形成されている。
【0031】1つの折流区域には、10段の単位巻線5
6(点線枠を付した)が水平ダクト55を隔てて配置さ
れている。単位巻線における発熱密度は、低圧側巻線、
高圧側巻線とも350kW/m3であり、ガス圧力は0.
6MPaである。このような構成の巻線において、絶縁冷
却媒体は、流入出部52aから折流区域57に入り、主
流は内周側垂直ダクト53を上昇し、徐々に水平ダクト
55を経て、外周側垂直ダクト54を上昇し、流入出部
52bに至る。
【0032】しかしこの場合、折流板51aから3番目
の単位巻線56の付近では2次的な流れが生じ、この2
次的な流れによりその中心付近では流れの滞留が起こ
る。冷却媒体の滞留は、巻線の冷却を鈍くし巻線の温度
上昇はも大きくなる。この図では、折流区域への流入口
が左にあるが、右の場合は、左右が反対になるものの、
同様の現象が起こる。
【0033】10段の折流区域からなる巻線の局部的な
温度は折流区域入口のガス温度に、折流区域入口ガス温
度からのそれぞれの折流区域での局部的な温度上昇を足
したものとなる。折流区入口のガス温度は巻線の上部の
折流区域ほど高くなる。本実施例では、巻線上部から4
段目まで折流区域については分流板と復流板を設け、そ
れより下の折流区域については折流板のみで構成されて
いる。
【0034】分流板と復流板を設けた折流区域について
は、巻線温度上昇のばらつきが小さくなるため、それら
を設けない場合に比べ、ガス温度を含めた巻線の温度を
低く抑えられる。折流板のみで構成された折流区域につ
いては、それぞれの折流区域における巻線温度上昇のば
らつきは大きくなるが折流区域入口でのガス温度が上方
の折流区域に比べて低いため、この折流区域での巻線の
最高温度は、分流板と復流板を設けた折流区域における
巻線の最高温度を越えることはない。すなはち、絶縁物
の信頼性や寿命に係わる巻線の最高温度については全て
の折流区域に分流板と復流板を設けたのと同様の冷却効
果がある。
【0035】このことを試験データより見てみると、図
4は、その試験結果の一例を示す温度上昇特性図で、横
軸はガス溜のガス温度からの温度の上昇を示している。
縦軸は単位巻線の高さ方向の番号である。なお、×印は
全ての折流板域を折流板のみで構成した場合、△印は巻
線上部から4段目まで折流区については分流板と復流板
を設け、それより下の折流区域については折流板のみで
構成した場合である。
【0036】折流区域内で単位巻線の温度は場所により
上下するが、巻線の上方の折流区域ほど平均的なガス温
度は高くなる。折流板のみで構成した場合の単位巻線温
度上昇の最高値は66℃程度である。上から4段目まで
折流区まで分流板と復流板を設けた場合は、約53℃に
なる。上から5段目の折流区域では、折流区域内の温度
のばらつきは大きくなるが、流入ガス温度が低いため、
単位巻線温度上昇の最高値は約51℃にとどまってい
る。
【0037】したがって、本巻線構造は、巻線温度の最
高値に関して、全ての折流区域に分流板と復流板を設る
のと同様の冷却効果が実現できる。一方、分流板と復流
板を設けることによるの製作コストの上昇は、全ての巻
線に分流板と復流板を設ける場合に比べ、約60%縮小
できる。このように本実施例によれば、製作コストを抑
えながら、最高巻線温度を約13℃低減でき、絶縁物の
信頼性向上や寿命の延長を図ることができる。
【0038】なお、本実施例では、低圧側巻線も高圧側
巻線も円板巻線で構成されたが、例えば、低圧側巻線が
シート状の巻線で高圧側巻線が円板巻線で構成される場
合、円板巻線に本実施例の巻線構造を適用することもで
きる。また、2巻線の変圧器について説明してきたが、
3巻線以上の変圧器についても本実施例の巻線構造を適
用できる。また、巻線全体の折流区域の段数、一つの折
流区域に含まれる単位巻線の段数はともに10段の場合
を説明してきが、巻線により、また巻線の部位により段
数を変えても良い。
【0039】図5は、本発明のその他の実施例を示す断
面図である。ほぼ軸対称形であるため、片側のみを示し
ている。なお、符号は図1の実施例と同じである。この
実施例では、高圧側巻線を分流板・復流板付き単位巻線
群40で構成し、高圧側巻線を分流板・復流板なし単位
巻線群50(折流板のみ)で構成している。
【0040】単位巻線における発熱密度は、低圧側巻線
20は350kW/m3、高圧側巻線30は280kW
/m3である。ガス圧力は0.6MPaであった。この実施
例は、低圧側巻線20の発熱が、高圧側巻線30に比べ
てかなり大きいため、低圧側巻線20に分流板45、復
流板46を設け、折流区域内の巻線温度のばらつきを小
さくし、最高巻線温度を下げ、高圧側巻線温度とのバラ
ンスをとっている。
【0041】このことを試験データにより示す。図6、
図7は、試験結果の一例を示す温度上昇特性図である。
図6は従来の巻線構造における温度上昇を示している。
横軸、縦軸は図4のグラフと同じである。なお、×印は
高圧側巻線を、菱形の印は低圧側巻線を示している。高
圧側巻線の巻線温度上昇の最高値が約53℃、低圧側巻
線では約66℃であり、かなりの差異があることが分か
る。
【0042】図7は本実施例の巻線構造における温度上
昇を示している。横軸、縦軸は図4のグラフと同じであ
る。×印は高圧側巻線を、△印は低圧側巻線が示されて
いる。高圧側巻線、低圧側巻線とも、巻線温度上昇の最
高値が約53℃であり、両巻線の温度上昇をバランスさ
せることができる。
【0043】なお、分流板と復流板を設けることによる
の製作コストの上昇を抑える観点からは、巻線の下から
4〜5番目までの折流区を分流板、復流板なし単位巻線
群(折流板のみ)で構成することも可能である。ただ
し、この場合は、平均巻線温度については低圧側巻線の
ほうが高くなる。
【0044】なお以上の説明では、ガス絶縁変圧器を例
に説明してきたが、本発明は発熱の多い油入変圧器に適
用しても同様な効果があることは勿論である。
【0045】以上説明してきたように本発明の変圧器で
あると、複数の折流区域のうち、巻線上方部の折流区域
に、垂直ダクトを流れる冷却媒体の量を制限するととも
に、水平ダクトに絶縁冷却媒体を流通させる第1の媒体
流通構造物および折流区域の出口に近い位置に、出口側
の前記垂直ダクトを流れる絶縁冷却媒体の一部を水平ダ
クトを通り入口側の前記垂直ダクトに流通させる第2の
媒体流通構造物が設けられていることから、分流板と復
流板を設けた折流区域については、巻線温度上昇のばら
つきが小さくなるため、それらを設けない場合に比べ、
ガス温度を含めた巻線の温度を低く抑えられ、折流板の
みで構成された折流区域については、その折流区域にお
ける巻線温度上昇のばらつきは大きくなるが折流区域入
口でのガス温度が上方の折流区域に比べて低いため、巻
線の最高温度は、分流板と復流板を設けた折流区域にお
ける最高温度を越えることはなく、巻線全体の温度上昇
を低く抑えることができる。また、分流板と復流板を設
けることによるの製作コストの上昇は、全ての巻線に分
流板と復流板を設ける場合に比べ、大幅に縮小できる効
果がある。
【0046】
【発明の効果】以上説明してきたように本発明によれ
ば、流れ制御板(分流板、復流板)を用いることによる
製作コストの増加を極力抑えるとともに、折流区内での
温度のばらつきを減らし巻線の最高温度を低減すること
が可能なこの種の変圧器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の変圧器の一実施例を示す縦断側面図で
ある。
【図2】本発明の一実施例の細部を説明するための断面
図である。
【図3】本発明の一実施例の細部を説明するための断面
図である。
【図4】本発明の一実施例の効果を示すためのグラフで
ある。
【図5】本発明の一実施例を示す断面図である。
【図6】本発明の一実施例の効果を示すためのグラフで
ある。
【図7】本発明の一実施例の効果を示すためのグラフで
ある。
【符号の説明】
1…タンク、2…鉄心脚、3…上部絶縁リング、4…下
部絶縁リング、5…ガス溜、6…最内周絶縁筒、7…中
間絶縁筒、8…最外周絶縁筒、9…ガス封止構造物、2
0…低圧側巻線、30…高圧側巻線、40…分流板・復
流板付き単位巻線群、45…分流板、46…復流板、5
0…分流板・復流板なし単位巻線群、51…折流板、5
2…流入出部、53,54…垂直ダクト、55…水平ダ
クト、56…単位巻線、57…折流区域。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平石 清登 茨城県日立市国分町一丁目1番1号 株式 会社日立製作所国分工場内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉄心脚の周りに絶縁筒を隔壁として円板
    状あるいはヘリカル状に巻回された巻線と、この巻線の
    積層間に水平ダクトを形成する水平スペーサと、巻線の
    側部に垂直方向のダクトを形成する垂直スペーサと、前
    記垂直方向のダクト部に交互に開口部を有して配置さ
    れ、巻線の内外に複数の折流区域を形成する折流板とを
    備え、前記折流板の案内により巻線を冷却する絶縁冷却
    媒体が折流区域を巻線の積層方向に千鳥状に流通するよ
    うに形成されている変圧器において、 前記複数の折流区域のうち巻線上方部近傍の折流区域
    に、折流区域の入口側から流入する絶縁冷却媒体のうち
    前記垂直ダクトを流れる冷却媒体の量を制限するととも
    に、前記水平ダクトに絶縁冷却媒体を流通させる第1の
    媒体流通構造物を設け、かつ前記折流区域内で、前記第
    1の媒体流通構造物より折流区域の出口に近い位置に、
    出口側の垂直ダクトを流れる絶縁冷却媒体の一部を水平
    ダクトを通り入口側の垂直ダクトに流通させる第2の媒
    体流通構造物を設けるようにしたことを特徴とする変圧
    器。
  2. 【請求項2】 前記第1および第2の媒体流通構造物
    は、前記水平ダクトより前記垂直ダクト内にその一部が
    張り出すように形成された案内板(分流板,復流板)で
    ある請求項1記載の変圧器。
  3. 【請求項3】 前記第1および第2の媒体流通構造物
    が、全折流区域数のうち半数以下の上方部折流区域に設
    けられてなる請求項1記載の変圧器。
  4. 【請求項4】 鉄心脚の周りに絶縁筒を隔壁として円板
    状あるいはヘリカル状に巻回された複数の巻線を備え、
    かつこのそれぞれの巻線が、巻線の積層間に水平ダクト
    を形成する水平スペーサと、巻線の側部に垂直方向のダ
    クトを形成する垂直スペーサと、前記垂直方向のダクト
    部に交互に開口部を有して配置され、巻線の内外に複数
    の折流区域を形成する折流板とを有し、この折流板の案
    内により巻線を冷却する絶縁冷却媒体が巻線の積層方向
    に千鳥状に流通するように形成されている変圧器におい
    て、 前記複数の巻線のうち一部の巻線に、折流区域の入口側
    から流入する絶縁冷却媒体のうち前記垂直ダクトを流れ
    る冷却媒体の量を制限するとともに、前記水平ダクトに
    絶縁冷却媒体を流通させる第1の媒体流通構造物を設
    け、かつ前記折流区域内で、前記第1の媒体流通構造物
    より折流区域の出口に近い位置に、出口側の垂直ダクト
    を流れる絶縁冷却媒体の一部を前記水平ダクトを通り入
    口側の垂直ダクトに流通させる第2の媒体流通構造物を
    設けるようにしたことを特徴とする変圧器。
  5. 【請求項5】 前記複数の巻線は高圧巻線と低圧巻線で
    あり、低圧巻線側に前記第1および第2の媒体流通構造
    物を設けてなる請求項4記載の変圧器。
JP33384897A 1997-12-04 1997-12-04 変圧器 Pending JPH11168014A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012114307A (ja) * 2010-11-26 2012-06-14 Japan Ae Power Systems Corp 整流器用変圧器

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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