JPH05234776A - ガス絶縁変圧器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 巻線内部の局部的な温度上昇の発生を抑制
し、冷却効率がよく、縮小化されたガス絶縁変圧器を提
供する。 【構成】 タンク内に変圧器本体を絶縁ガスとともに収
納し、巻線は各単位コイルと対応する内外側の垂直冷却
ダクトの円周上の数箇所に細分化したバッフル板を円周
方向と軸方向に順次ずらして配置し不燃絶縁冷却液が螺
旋状に流動しながら巻線の内外側にジグザグに移動して
上昇するように配置し、巻線を収納した巻線収納容器７
とタンクの外部の冷却器と連通して不燃絶縁冷却液１０
により巻線を冷却するようにし、巻線収納容器７の上下
部に不燃絶縁冷却液の流出入口８，９を設け、巻線の上
部と下部に配設したコイル押え４，５に周方向の不燃絶
縁冷却液１０の流路１９，２０を設けたガス絶縁変圧
器。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ガス絶縁変圧器の巻線
の冷却構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、都市部の過密化による電力需要の
増加や防災の面から、都市部に設置する電力用変圧器に
対して、不燃化及び縮小化の要請が高まり、不燃でかつ
絶縁性能と冷却性能に優れている不燃絶縁冷却液（例え
ばパーフロロカーボン液）を用いたガス絶縁変圧器が使
用されている。

【０００３】変圧器の巻線部分を巻線収納器の内部に配
置し、不燃絶縁冷却液を強制循環方式によって絶縁冷却
し、前記巻線収納容器や鉄心などを収納する変圧器タン
クの内部は絶縁ガス（例えばＳＦ₆ガス）によって絶縁
冷却するガス絶縁変圧器が開発されている。

【０００４】このようなガス絶縁変圧器の巻線において
は、巻線の下部では図６に示すように、高圧巻線１の下
部には断面長方形のコイル押え２９が、低圧巻線３の下
部には断面長方形のコイル押え３０が配設されている。
図中の点線矢印は不燃絶縁冷却液１０の流れを示す。

【０００５】巻線の上部では図７に示すように、高圧巻
線１の上部には断面長方形のコイル押え２９が、低圧巻
線３の上部には断面長方形のコイル押え３０が配設され
ている。図中の点線矢印は不燃絶縁冷却液１０の流れを
示す。

【０００６】高圧巻線１と低圧巻線３は巻線収納容器７
の内部に収納され、この巻線収納容器７の下部側面に流
入口８が、上部側面に流出口９が設けられ、不燃絶縁冷
却液１０を強制循環方式で循環させて前記高圧巻線１と
低圧巻線３を冷却している。

【０００７】下部の流入口８から巻線収納容器７の内部
に流入した不燃絶縁冷却液１０は、前記垂直冷却ダクト
１５，１６と水平方向冷却ダクトを通って高圧巻線１と
低圧巻線３を冷却しながら上昇し、上部の流出口９から
冷却器（図示しない）に流れ、冷却器で冷却された不燃
絶縁冷却液１０は下部の流入口８から巻線収納容器７に
流入する。前記巻線収納容器７の外周にはタップ巻線１
１が巻装されている。なお、前記巻線収納容器７は鉄心
１２の外周に配設されており、鉄心１２および絶縁ガス
とともに変圧器タンク（図示しない）の内部に収納され
ている。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記技
術においては、巻線下部では流入口８から送り込まれた
不燃絶縁冷却液１０は、図６の点線矢印で示すように、
高圧巻線１と低圧巻線３の内部に流入するが、下部のコ
イル押え２９と３０によって流路を阻まれ、周方向への
分流が困難となっている。

【０００９】巻線下部では下から上昇してきた不燃絶縁
冷却液１０は、図７に示すように、上部のコイル押え２
９と３０によって流路を阻まれ、周方向からの分流が困
難となっている。

【００１０】以上の結果、巻線内部の不燃絶縁冷却液の
流量分布が不均一となり、巻線の局部的な温度上昇が生
じる。この状況を回避するために巻線の等配に適した不
燃絶縁冷却液の冷媒出入口を複数個備える必要がある
が、その数が多くなると巻線収納容器の構造が複雑化す
る。また、鉄心脚付近等は出入口の設置が困難であり、
取り付けを容易にするには鉄心窓幅を広げる等の方法が
あるが、鉄心寸法の増大をともない巻線や変圧器全体が
大形になる、などの問題点があった。

【００１１】本発明は以上のような点に鑑みてなされた
もので、巻線内部の局部的な温度上昇の発生を抑制し、
冷却効果がよく、縮小化されたガス絶縁変圧器を提供す
ることを目的とする。

【００１２】

【課題を解決するための手段】本発明のガス絶縁変圧器
の巻線冷却構造においては、巻線収納容器の上部と下部
に不燃絶縁冷却液の流出入口を設け、巻線の上部と下部
に設けたコイル押えに巻線の周方向の流路を設けること
により前記不燃絶縁冷却液の周方向への分流を図り、巻
線内部の流量を均一化することを特徴としている。

【００１３】

【作用】上述のごとく構成されているから、流入口では
巻線収納容器に流入する不燃絶縁冷却液はコイル押えの
周方向の流路から巻線の周方向に分散し、流出口では不
燃絶縁冷却液は巻線の周方向からコイル押えの周方向の
流路を通って流出口に集まるようになり、したがって、
巻線内部の流量を均一化ができる。

【００１４】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。本発明のガス絶縁変圧器巻線は図１に示すよう
に、高圧巻線１の内側に絶縁筒２を介して低圧巻線３が
配置され、また、前記高圧巻線１の上下にはコイル押え
４、前記低圧巻線３の上下にはコイル押え５が配設さ
れ、上部のコイル押え４，５の上にはクランプリング６
が配設されている。前記高圧巻線１および低圧巻線３は
巻線収納容器７の内部に収納され、この巻線収納容器７
の下部側面に流入口８、上部側面に流出口９が設けら
れ、不燃絶縁冷却液１０を強制循環方式で循環させて前
記両巻線１，３を冷却する。前記巻線収納容器７の外周
にはタップ巻線１１が巻装されている。なお、前記巻線
収納容器７は鉄心１２の外周に配設されて鉄心１２及び
絶縁ガスとともに変圧器タンク（図示しない）の内部に
収納されている。

【００１５】巻線中間部は図１のＡ−Ａ断面である図２
に示すように、高圧巻線１の内側と外側、低圧巻線３の
内側と外側にはそれぞれ縦ダクトピース１３，１４が配
設されて垂直冷却ダクト１５，１６が形成されており、
各巻線の単位コイルの間にはダクトピース１７，１８が
配設されて単位コイル間の水平方向冷却ダクトが形成さ
れている。

【００１６】巻線下部は図１のＢ−Ｂ断面である図３に
示すように、高圧巻線１の下部にはコイル押え４が、低
圧巻線３の下部にはコイル押え５が配設されている。図
中の点線矢印は不燃絶縁冷却液１０の流れを示す。下部
の流入口８から巻線収納容器７の内部に流入した不燃絶
縁冷却液１０は、前記コイル押え４の周方向の流路１９
を通って高圧巻線１の周方向に分散し、前記コイル押え
５の周方向の流路２０を通って低圧巻線３の周方向に分
散する。

【００１７】巻線上部は図１のＣ−Ｃ断面である図４に
示すように、高圧巻線１の上部にコイル押え４が、低圧
巻線３の上部にはコイル押え５が配設されている。図中
の点線矢印は不燃絶縁冷却液１０の流れを示す。不燃絶
縁冷却液１０は、高圧巻線１の周方向から前記コイル押
え４の周方向の流路１９を通って流出口９に集まり、低
圧巻線３の周方向から前記コイル押え５の周方向の流路
２０を通って流出口９に集まり、前記上部の流出口９か
らタンクの外部の冷却器へ流れる。

【００１８】不燃絶縁冷却液１０は垂直冷却ダクト１
５，１６と水平方向冷却ダクトを通って高圧巻線１と低
圧巻線３を冷却しながら上昇し、上部の流出口９から冷
却器（図示しない）に流れ、冷却器で冷却された不燃絶
縁冷却液１０は下部の流出口８から巻線収納容器７に流
入する。

【００１９】巻線下部の流入口８では絶縁容器７に流入
する不燃絶縁冷却液１０はコイル押え４および５の周方
向の流路１９および２０から巻線の周方向に分散する
が、上部の流出口９では不燃絶縁冷却液１０は巻線の周
方向からコイル押えの周方向の流路１９および２０を通
って流出口９に集まるようになり、したがって、巻線内
部の流量を均一化することができる。

【００２０】図５（ａ），（ｂ），（ｃ），（ｄ），
（ｅ），（ｆ）および（ｇ）は本発明のガス絶縁変圧器
巻線のコイル押えの構造を示す断面図である。

【００２１】図５（ａ）および（ｂ）は分割構造のもの
で、ベース２１にピース２２を接着してその中間を周方
向の流路１９または２０としたものである。

【００２２】図５（ｃ）および（ｄ）は切り欠き構造の
もので、ベース２１に、中間部に切り欠き部２３をもつ
ピース２４を接着して周方向の流路１９または２０とし
たものである。

【００２３】図５（ｅ）および（ｆ）は貫通孔構造のも
ので、ベース２１は、貫通孔２５をもつピース２６を接
着してその貫通孔を周方向の流路１９または２０とした
ものである。

【００２４】図５（ｇ）は斜め貫通孔構造のもので、ベ
ース２１に、斜め貫通孔２７をもつピース２８を接着し
てその斜め貫通孔２７を周方向の流路１９または２０と
したものである。

【００２５】巻線内部は図示を省略したが、鉄心の外周
に設けた内外側絶縁筒間に円板状巻線またはヘリカル巻
線を収納すると共にこの巻線の単位コイル間に複数の径
方向ダクトピースを介装して複数の水平冷却ダクトを放
射状に形成し、前記巻線の内外周と内外側絶縁筒との間
に複数の軸方向ダクト棒を挿入して前記各水平冷却ダク
トと連通する複数の内外側垂直冷却ダクトを形成してな
り、前記各内外側垂直冷却ダクトを交互に閉塞する第１
バッフル板および第２バッフル板を軸方向に適宜に離隔
して設け、前記各第１、第２バッフル板に隣接する内外
側垂直冷却ダクトにおける取付位置を順次軸方向にずら
して設けてなる。すなわち、本発明の変圧器巻線は各単
位コイルと対応する内外側の垂直冷却ダクトの円周上の
数箇所に細分化したバッフル板の位置を円周方向と軸方
向に順次ずらして配置してあり、不燃絶縁冷却液が螺旋
状に流動しながら、かつ巻線の内外側にジグザグに移動
して上昇するものである。

【００２６】

【発明の効果】本発明は以上述べたように構成したの
で、 （１）コイル押えに周方向の流路を設けたので、不燃絶
縁冷却液が巻線の周方向へ分流し易くなり、各単位コイ
ルと対応する内外側の垂直冷却ダクトの円周上の数箇所
に細分化したバッフル板の位置を円周方向と軸方向に順
次ずらして配置してあり、不燃絶縁冷却液が螺旋状に流
動しながら、かつ巻線の内外側にジグザグに移動して上
昇する構造としてあるので、巻線内の流量分布のより均
一化ができる。

【００２７】（２）したがって、巻線内の局部温度上昇
の発生を抑制することができる。

【００２８】（３）巻線の等配数によって流出入口の数
を変える必要がなく、巻線収納容器の形状を簡易化でき
る。

【００２９】等の優れた効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のガス絶縁変圧器巻線の一実施例を示す
巻線の要部縦断面図。

【図２】本発明のガス絶縁変圧器巻線の一実施例の巻線
中間部の要部横断面図（図１のＡ−Ａ断面）。

【図３】本発明のガス絶縁変圧器巻線の一実施例の下部
のコイル押え部分の要部横断面図（図１のＢ−Ｂ断
面）。

【図４】本発明のガス絶縁変圧器巻線の一実施例の上部
のコイル押え部分の要部横断面図（図１のＣ−Ｃ断
面）。

【図５】本発明のガス絶縁変圧器巻線のコイル押えの断
面図。

【図６】従来のガス絶縁変圧器巻線の下部のコイル押え
部分の断面の要部横断面図。

【図７】従来のガス絶縁変圧器巻線の上部のコイル押え
部分の要部横断面図。

【符号の説明】

１…高圧巻線、２…絶縁筒、３…低圧巻線、４，５…コ
イル押え、６…クランプリング、７…巻線収納容器、８
…流入口、９…流出口、１０…不燃絶縁冷却液、１１…
タップ巻線、１２…鉄心、１３，１４…縦ダクトピー
ス、１５，１６…垂直冷却ダクト、１７，１８…ダクト
ピース、１９，２０…周方向の流路、２１…ベース、２
２，２４，２６，２８…ピース、２３…切り欠き部、２
５…貫通孔、２７…斜め貫通孔。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 タンク内に変圧器本体を絶縁ガスととも
   に収納し、巻線は各単位コイルと対応する内外側の垂直
   冷却ダクトの円周上の数箇所に細分化したバッフル板の
   位置を円周方向と軸方向に順次ずらして配置して不燃絶
   縁冷却液が螺旋状に流動しながら前記巻線の内外側にジ
   グザグに移動して上昇するように配置し、この巻線を収
   納した巻線収納容器と前記タンクの外部に設けた冷却器
   と連通して前記不燃絶縁冷却液により前記巻線を冷却す
   るようにしたガス前記絶縁変圧器において、前記巻線収
   納容器の上下部に前記不燃絶縁冷却液の流出入口を設
   け、前記巻線の上部と下部に配設したコイル押えに周方
   向の前記不燃絶縁冷却液の流路を設けたことを特徴とす
   るガス絶縁変圧器。