JPWO2010064357A1 - エアバッグ装置 - Google Patents

Abstract

本発明は、簡易な構造でありながら、展開したエアバッグによる乗員へのダメージの低減が可能なエアバッグ装置を提供することを目的とする。本発明に係るエアバッグ装置は、膨張ガスによって膨張展開可能なエアバッグと；前記エアバッグ内部に前記膨張ガスを供給するガス発生器と；前記エアバッグを折り畳んだ状態で収容するハウジングと；一端が前記ハウジングに固定され、折り畳まれた前記エアバッグの一部を包囲する布状の展開規制部材とを備えている。そして、前記エアバッグは、前記展開規制部材によって包囲されていない展開非規制部分から展開し、その後前記展開規制部材によって包囲されている展開規制部分が展開することを特徴とする。選択図：図５

Description

本発明は、車両に搭載されるエアバッグ装置に関する。特に、乗員の下腿部の保護を目的とした所謂ニーエアバッグに適したエアバッグ装置に関する。

自動車等の車両には、衝突事故等が発生した際に乗員がハンドルや前面ガラス等の車両内部の硬い部分に激突して負傷又は死亡することを防ぐために、ガスによりバッグを急速に膨張させ、搭乗者の危険な箇所への衝突を防ぐエアバッグシステムが搭載されている。

車両の衝突時に慣性力で乗員が前方へ移動し、インストルメントパネルに膝を突き当てることがある。このような打撃から乗員を保護するために、インストルメントパネルの下面から膨出するエアバッグ装置が提案されている。

エアバッグ装置は、乗員の搭乗姿勢（例えば、インストルメントパネルに接近した姿勢）等が異なる場合であっても、乗員を安全に拘束可能であることが望ましい。しかしながら特許文献１に記載の発明によると、乗員がインストルメントパネルに異常接近しているような状況において、エアバッグによる乗員へのダメージが大きくなってしまう。

特開平１０−３１５８９４号公報

本発明は、上記のような状況に鑑みて成されたものであり、簡易な構造でありながら、展開したエアバッグによる乗員へのダメージの低減が可能なエアバッグ装置を提供することを目的とする。

本発明に係るエアバッグ装置は、膨張展開することにより、乗員の下腿部を保護するエアバッグと；前記エアバッグ内部に膨張ガスを供給するガス発生器と；前記エアバッグを折り畳んだ状態で収容するハウジングと；一端が前記ハウジングに固定され、折り畳まれた前記エアバッグの一部を包囲する布状の展開規制部材とを備えている。そして、前記エアバッグは、前記展開規制部材によって包囲されていない展開非規制部分から上方に向かって展開し、その後前記展開規制部材によって包囲されている展開規制部分が展開する。前記非規制部分は、前記エアバッグが展開した時に乗員の膝頭の下部付近に対応する位置に設けられる。

以上のような構成の本発明によれば、展開規制部材によってエアバッグの展開方向や展開速度を制御することが可能となり、展開したエアバッグによる乗員へのダメージの低減を図ることができる。特に、ニーエアバッグ装置においては、エアバッグの上方部分を先に展開させ、その後、下方部分を遅れて展開させることにより、乗員の膝付近に加わる圧力を分散させることができる。

図１は、従来技術に係るニーエアバッグの動作を示す説明図である。 図２は、本発明の第１実施例に係るニーエアバッグ装置の組立斜視図である。 図３（Ａ）は、第１実施例に係るニーエアバッグ装置の構造を示す上面図であり、図３（Ｂ）は、図３（Ａ）のＡ−Ａ方向の断面図である。 図４（Ａ）及び（Ｂ）は、第１実施例に係るニーエアバッグ装置の組立工程を示す平面図である。 図５は、第１実施例に係るニーエアバッグ装置の配置を示す説明図である。 図６は、本発明に係るニーエアバッグ装置の動作を示す説明である。 図７（Ａ）及び（Ｂ）は、本発明の第２実施例に係るニーエアバッグ装置の構造を示す上面図及び、これに用いる展開規制部材の構造示す平面図である。 図８（Ａ）及び（Ｂ）は、本発明の第３実施例に係るニーエアバッグ装置の構造を示す上面図及び、これに用いる展開規制部材の構造示す平面図である。 図９は、本発明の効果を示すグラフである。

図１は、従来技術に係るニーエアバッグ装置の動作を示す説明図である。図１において、エアバッグ装置１０はインスツルメンツパネル１２の内側に収容されている。エアバッグ１６は、ハウジング１４内部に折り畳まれた状態で収容されており、当該装置の作動時に外側に向かって膨張展開するようになっている。

このような構造のニーエアバッグ装置においては、エアバッグ１６の展開初期において大きな圧力が乗員の脚部（特に膝頭部分）に集中してしまうため、乗員のダメージが大きくなってしまう。特に、乗員がインストルメントパネル１２に対して異常接近しているような状況でこのような問題が顕著となる。

図２は、本発明の第１実施例に係るニーエアバッグ装置１１０の組立斜視図である。図３（Ａ）は、第１実施例に係るニーエアバッグ装置１１０の構造を示す上面図であり、図３（Ｂ）は、図３（Ａ）のＡ−Ａ方向の断面図である。本実施例に係るニーエアバッグ装置１１０は、例えば、グローブボックスの蓋の部分に搭載することができる。

ニーエアバッグ装置１１０は、当該装置の作動時に膨張展開して乗員の下腿部分を保護するエアバッグ１１６と；エアバッグ１１６に対して膨張ガスを供給するインフレータ１１２と；車両に対して固定され、折り畳まれたエアバッグ１１６を収容するハウジング１１４と；ハウジング１１４内部においてエアバッグ１１６の展開を規制する規制部材１１８とを備えている。

ハウジング１１４は四角い箱形に成形され、上面が開放された状態になっている。エアバッグ１１６は、後述するように、上下方向に折り畳まれた後、左右両側から中央に向かってロール状に巻かれた状態でハウジング１１４内に収容される。

規制部材１１８は、例えば、エアバッグ１１６と同様の素材によって成形することができる。規制部材１１８は、図２に示すように、細長い帯状に成形され、インフレータ１１２に設けられた取り付けボルトが貫通する２つの穴が形成されている。本実施形態では、規制部材は、取り付けボルトによってハウジングに固定されるが、ハウジングに固定されるエアバッグに縫製又は接着等で直接取り付けても良い。

図３に示すように、規制部材１１８は、折り畳まれたエアバッグ１１６の前面下側部分と、下側部分の側面と、底面の一部を包囲するようになっている。図３（Ａ）に示された面は、インスツルメンツパネルから車両内側に向いて取り付けられる。

図４（Ａ）及び（Ｂ）は、第１実施例に係るニーエアバッグ装置１１０の組立工程を示す平面図である。本実施例に係るエアバッグ１１６は、（Ａ）に示すように、最初に上下方向（前後方向）の中央に向かって巻かれ又は折り畳まれる。次に、（Ｂ）に示すように、左右端部から中央に向かって巻かれている。ここで、ハウジング１１４の中に収容された状態のエアバッグ１１６は、左右側面から巻かれるときに、中心部分まで巻かれることがなく、中央部分は巻かれていない状態となっている。

その後、規制部材１１８によって折り畳まれたエアバッグ１１６が包囲される。包囲されたエアバッグ１１６の状態は、図３に示す通りである。規制部材１１８によってエアバッグ１１６を包囲する際には、一端がハウジング１１４に固定された状態で、帯状部分をエアバッグ１１６の上面に向かって折り返し、その後、当該エアバッグ１１６の前面下側部分を覆う。

次に、規制部材１１８の帯状部分両端部を、エアバッグ１１６の側面から底面に向かって包み込むように差し込む。この時、図３（Ｂ）に示すように、規制部材１１８の端部同士が接触しないで離間された状態とすることが好ましい。規制部材１１８の周り込みの寸法Ｄは、例えば２０ミリから７０ミリ程度とすることができる。このような構造とすることにより、必要以上にエアバッグ１１６の展開を規制することがない。これにより、速やかな展開を行うことが可能となる。

図５は、第１実施例に係るニーエアバッグ装置１１０の配置を示す説明図である。本実施例においては、規制部材１１８の上端部分が非正規着座状態の成人乗員の膝頭の下部付近に位置するように、車両床面１００Ｆからの高さＨ１を最適に設定する必要がある。図において、エアバッグ１１６の展開非規制領域（上半分）を１１６ａとし、展開規制領域（下半分）を１１６ｂとして示す。

本実施例においては、上述したような規制部材１１８によるエアバッグの展開規制と、図５に示すような配置とにより、乗員への過剰な圧力を低減することができる。

図６（Ａ）は、乗員の脚部Ｌがインストルメントパネル１２に概ね接している状況を示す。車両の正面衝突などによりエアバッグ装置１１０が作動すると、インフレータ１１２から膨張ガスがエアバッグ１１６の内部に供給される。エアバッグ１１６は膨張ガスによって展開を開始するが、規制部材１１８作用により、図６（Ｂ）に示すように、最初にエアバッグ１１６の上方部分（展開非規制領域）１１６ａが上方に向かって展開する。その後、下方部分（展開規制領域）１１６ｂが展開することになる。このため、エアバッグ１１６の展開形状は上下方向に長くなり、乗員に対して局所的に大きな圧力が加わることを回避することが可能となる。

図７（Ａ）及び（Ｂ）は、本発明の第２実施例に係るニーエアバッグ装置の構造を示す上面図及び、これに用いる展開規制部材の構造示す平面図である。本実施例に係るニーエアバッグ装置と上述した第１実施例に係るニーエアバッグ装置１１０とでは、規制部材の形状が異なるが、他の構成要素については同一であるため重複した説明は省略する。

本実施例に係る規制部材２１８は、ハウジング２１４に固定される基部２３４と、エアバッグ２１６の展開非規制領域を形成する凹部２３２と、エアバッグ２１６の側面を覆う左右側部２３６とを備えている。本実施例においては、折り畳まれたエアバッグ２１６の左右に位置するロール部分全体を規制部材２１８で包囲するものである。このような構成を採用することにより、エアバッグ２１６の上部のみが先に展開し、続いて側部及び下部が展開することとなる。このように、本実施例においては中央上部からのエアバッグの展開を優先させるものである。

図８（Ａ）及び（Ｂ）は、本発明の第３実施例に係るニーエアバッグ装置の構造を示す上面図及び、これに用いる展開規制部材の構造示す平面図である。本実施例に係るニーエアバッグ装置と上述した第１及び第２実施例に係るニーエアバッグ装置とでは、規制部材の形状が異なるが、他の構成要素については同一であるため重複した説明は省略する。

本実施例に係る規制部材３１８は、ハウジング３１４に固定される基部３３４と、エアバッグ３１６の展開非規制領域を形成する凹部３３２と、エアバッグ３１６の側面を覆う左右側部３３６とを備えている。規制部材３１８は、さらに、ハウジング３１４のフック３１４ａに係止される延長領域３３８を備えている。本実施例においても、上述した第２実施例と同様に、折り畳まれたエアバッグ３１６の左右に位置するロール部分全体を規制部材３１８（延長領域３３８）で包囲するものである。

規制部材３１８の延長領域３３８の先端には係止孔３４０が形成され、これらの係止孔３４０がハウジング３１４のフック３１４ａと係合するようになっている。係止孔３４０は、エアバッグ３１６が展開する際に容易に破断するようになっている。

本実施例のエアバッグ装置が作動すると、エアバッグ３１６の上部中央のみが先に展開し、その後、係止孔３４０が破断し、規制されていた側部及び下部が展開することとなる。このように、本実施例においては、第２実施例よりもさらに中央上部からのエアバッグの展開を優先させたものと言える。

以上本発明の実施例について説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的思想を逸脱しない範囲で種々の設計変更等が可能である。

１１０，２１０，３１０：ニーエアバッグ装置
１１２：インフレータ、
１１４，２１４，３１４：ハウジング
１１６，２１６，３１６：エアバッグ（クッション）
１１８，２１８，３１８：展開規制部材

Claims (5)

1. 膨張展開することにより、乗員の下腿部を保護するエアバッグと；
   前記エアバッグ内部に膨張ガスを供給するガス発生器と；
   前記エアバッグを折り畳んだ状態で収容するハウジングと；
   一端が前記ハウジングに固定され、折り畳まれた前記エアバッグの一部を包囲する布状の展開規制部材とを備え、
   前記エアバッグは、前記展開規制部材によって包囲されていない展開非規制部分から上方に向かって展開し、その後前記展開規制部材によって包囲されている展開規制部分が展開する構造であり、
   前記非規制部分は、前記エアバッグが展開した時に乗員の膝頭の下部付近に対応する位置に設けられることを特徴とするエアバッグ装置。
2. 前記規制部材によって包囲される前記エアバッグの展開規制部分は、当該エアバッグの下側部分と側面部分とを含むことを特徴とする請求項１に記載のエアバッグ装置。
3. 前記エアバッグは、左右方向から中心に向かって折り畳まれ又は巻かれた状態で前記ハウジング内に収容され、
   前記規制部材は、前記折り畳まれ又は巻かれたエアバッグの左右側部を完全に包囲することを特徴とする請求項２に記載のエアバッグ装置。
4. 前記規制部材は、折り畳まれた前記エアバッグと前記ハウジングとの間に入り込む両端部を有し、
   前記規制部材の前記両端部同士は前記エアバッグの底部において離間していることを特徴とする請求項１，２又は３に記載のエアバッグ装置。
5. 前記規制部材は、上面側の一部に前記ハウジングに対して係止される係止領域を有し、
   前記係止領域は、当該規制部材による前記エアバッグの展開規制が解除される時に破断する構造であることを特徴とする請求項１，２，３又は４に記載のエアバッグ装置。

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