JPWO2010053077A1 - メナキノン−4の製造法 - Google Patents

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Abstract

本発明によれば、デヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼ活性が、野生株に比べて強化された微生物を培地に培養し、培養物中にメナキノン-4を生成蓄積させ、該培養物から該メナキノン-4を採取することを特徴とする、メナキノン-4の製造法を提供することができる。

Description

本発明は、メナキノン‐4の効率的な製造方法、該製造方法に用いられる微生物、および該微生物の育種方法に関する。
ビタミンKの1種であるメナキノンは、2−メチル−3−ポリプレニル1,4−ナフタレンジオンの総称で、細菌の原形質膜の構成要素であり、電子伝達及び酸化的リン酸化系における酸化還元剤として機能する(非特許文献1)。中でもメナキノン−4はヒト生体内での活性型メナキノンと考えられており、より長鎖のメナキノンに比べて高い血液凝固活性を有することが明らかになっている(非特許文献2)。
メナキノン−4の製造法としては、微生物からの抽出法と化学合成法が知られている。
メナキノン−4を優先的に生産する微生物は天然には知られていないが、変異剤を用いた育種方法により、メナキノン−4を優先的に生産するようになったフラボバクテリウム属に属する微生物(特許文献1)およびアースロバクター属に属する微生物(特許文献2)が知られている。
しかしこれらの株によるメナキノン−4の生産では副生成物である長鎖メナキノンが著量蓄積するという問題点がある。また、さらなる生産性の向上も求められている。
メナキノンと同様プレニル基の付加するキノンであるユビキノンでは1−デオキシ−D−キシルロース5−リン酸合成酵素、2−C−メチル−D−エリスリトール4−リン酸合成酵素、デカプレニル2リン酸合成酵素およびp−ヒドロキシ安息香酸−デカプレニルトランスフェラーゼなどの活性を強化することによりユビキノン−10の生産量が増大することや(特許文献3および4)、ポリプレニルトランスフェラーゼに変異を導入することにより生成するユビキノンのイソプレン側鎖の鎖長が変化することなどが知られている(非特許文献3および特許文献5)。
大腸菌や枯草菌の細胞内におけるメナキノンの生合成経路は明らかにされており、大腸菌において1−デオキシ−D−キシルロース5−リン酸合成酵素の発現強化によってメナキノン−8の生産量が増加することが知られている(特許文献6)。しかし、特定の遺伝子の発現強化によってメナキノン−4を生産するようになることや、メナキノン−4特異的に生産性が向上することは知られていない。
また、menA遺伝子にコードされるデヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼは、その機能が明らかになっているが、menA遺伝子の発現量を増加させた微生物によるメナキノンの製造方法は知られていない。
特開昭61-216696 特開昭61-265097 特開2000-300256 WO01/027286 特開平09-173076 特開2000-300256
J Infect Dis. 1984 Aug;150(2):213-8. Y. Akiyama et al, (1995) Biochem. Phermacol., 49 : 1801-1807 K. Wang et al., 1999, Trends Biochem. Sci., 24:445-451
メナキノン-4の効率的な製造方法、該製造方法に用いられる微生物、および該微生物の育種方法を提供する。
本発明は、以下の[1]〜[8]に関する。
[1]デヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼ活性が、野生株に比べて強化された微生物を培地に培養し、培養物中にメナキノン-4を生成蓄積させ、該培養物から該メナキノン-4を採取することを特徴とする、メナキノン-4の製造法。
[2]デヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼ活性の強化が、デヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNAを含む遺伝子のコピー数を高めることによる、上記[1]の製造法。
[3]デヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼ活性の強化が、デヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNAを含む遺伝子の発現調節配列を改変することによる、上記[1]の製造法。
[4]デヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNAが、アースロバクター・ニコティアナエ由来のデヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼをコードするDNAである、上記[2]または[3]の製造法。
[5]デヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNAが、以下の(a)〜(c)から選ばれるポリペプチドをコードするDNAである、上記[2]〜[4]のいずれかの製造法。
(a)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド
(b)配列番号2で表されるアミノ酸配列において1以上のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつデヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチド
(c)配列番号2で表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、かつデヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチド
[6]デヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNAが、以下の(a)または(b)のDNAである、上記[2]〜[4]のいずれかの製造法。
(a)配列番号1で表される塩基配列からなるDNA
(b)配列番号1で表される塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつデヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNA
[7]微生物がアースロバクター属、またはコリネバクテリウム属に属する微生物である、上記[1]〜[6]のいずれかの製造法。
[8]微生物が、アースロバクター・ニコティアナエまたはコリネバクテリウム・グルタミカムに属する微生物である、上記[1]〜[7]のいずれかの製造法。
本発明の微生物を用いることにより、メナキノン‐4を効率的に生産する微生物を得ることができ、また、該微生物を用いてメナキノン‐4を効率的に製造することができる。
1.本発明の製造法で用いる微生物の調製
本発明の製造法で用いるデヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼ活性の強化された微生物とは、具体的には、(i)デヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNAを含む遺伝子のコピー数を高めることにより、デヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼ活性の強化された微生物、または(ii)デヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNAを含む遺伝子の発現調節配列を改変することにより、デヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼ活性が野生株に比べて強化された微生物をいう。
本明細書において、遺伝子とは、該遺伝子がコードする蛋白質のアミノ酸配列をコードする領域(ORF)に加え、プロモーター、オペレーターなどの遺伝子の発現に関する制御機能を有する領域を含む。
野生株とは、野生集団中で最も高頻度に観察される表現型をもつ株をいう。
このような野生株としては、例えば、アースロバクター・ニコティアナエ(Arthrobacter nicotianae)の野生株としてはArthrobacter nicotianae ATCC15236、コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)の野生型株としてはCorynebacterium glutamicum ATCC13032をあげることができる。
デヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質としては、デヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質であれば特に限定されない。
デヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質としては、具体的には、
(a)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(b)配列番号2で表されるアミノ酸配列において1以上のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつデヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチド、または
(c)配列番号2で表されるアミノ酸配列と80%以上、好ましくは90%、より好ましくは95%、さらに好ましくは98%、最も好ましくは99%の相同性を有するアミノ酸配列からなり、かつデヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチド、
をあげることができる。
上記において、1以上のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列からなり、かつデヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質は、Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)(以下、モレキュラー・クローニング第2版と略す)、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons (1987-1997)(以下、カレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジーと略す)、Nucleic Acids Research, 10, 6487 (1982)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 79, 6409(1982) 、Gene, 34, 315 (1985) 、Nucleic Acids Research, 13, 4431 (1985) 、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82, 488 (1985) 等に記載の部位特異的変異導入法を用いて、例えば配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質をコードするDNAに部位特異的変異を導入することにより、取得することができる。
欠失、置換または付加されるアミノ酸の数は特に限定されないが、上記の部位特異的変異法等の周知の方法により欠失、置換または付加できる程度の数であり、1個から数十個、好ましくは1〜20個、より好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜5個である。
配列番号2で表されるアミノ酸配列において1以上のアミノ酸が欠失、置換または付加されたとは、同一配列中の任意の位置において、1または複数のアミノ酸が欠失、置換または付加されていてもよい。
アミノ酸の欠失または付加が可能なアミノ酸の位置としては、例えば配列番号2で表されるアミノ酸配列のN末端側およびC末端側の1〜数個のアミノ酸をあげることができる。
欠失、置換または付加は同時に生じてもよく、置換または付加されるアミノ酸は天然型と非天然型とを問わない。天然型アミノ酸としては、L−アラニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン、L−グルタミン酸、グリシン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リジン、L−アルギニン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、L−セリン、L−スレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、L−システインなどがあげられる。
以下に、相互に置換可能なアミノ酸の例を示す。同一群に含まれるアミノ酸は相互に置換可能である。
A群:ロイシン、イソロイシン、ノルロイシン、バリン、ノルバリン、アラニン、2-アミノブタン酸、メチオニン、O-メチルセリン、t-ブチルグリシン、t-ブチルアラニン、シクロヘキシルアラニン
B群:アスパラギン酸、グルタミン酸、イソアスパラギン酸、イソグルタミン酸、2-アミノアジピン酸、2-アミノスベリン酸
C群:アスパラギン、グルタミン
D群:リジン、アルギニン、オルニチン、2,4-ジアミノブタン酸、2,3-ジアミノプロピオン酸
E群:プロリン、3-ヒドロキシプロリン、4-ヒドロキシプロリン
F群:セリン、スレオニン、ホモセリン
G群:フェニルアラニン、チロシン
また、本発明で用いる微生物が有する蛋白質が、デヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼ活性を有するためには、配列番号2で表されるアミノ酸配列との相同性が80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上、特に好ましくは99%以上の相同性を有していることが望ましい。
アミノ酸配列や塩基配列の相同性は、Karlin and AltschulによるアルゴリズムBLAST[Pro. Natl. Acad. Sci. USA, 90, 5873(1993)]やFASTA[Methods Enzymol., 183, 63 (1990)]を用いて決定することができる。このアルゴリズムBLASTに基づいて、BLASTNやBLASTXとよばれるプログラムが開発されている[J. Mol. Biol., 215, 403(1990)]。BLASTに基づいてBLASTNによって塩基配列を解析する場合には、パラメータは例えばScore=100、wordlength=12とする。また、BLASTに基づいてBLASTXによってアミノ酸配列を解析する場合には、パラメータは例えばscore=50、wordlength=3とする。BLASTとGapped BLASTプログラムを用いる場合には、各プログラムのデフォルトパラメーターを用いる。これらの解析方法の具体的な手法は公知である(http://www.ncbi.nlm.nih.gov)。
また、デヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質の具体例としては、配列番号2で表されるアミノ酸配列を有する蛋白質の他、配列番号4で表されるアミノ酸配列を有するCorynebacterium glutamicum ATCC13032株由来の蛋白質、配列番号6で表されるアミノ酸配列を有するバチルス・サチルス・サブスピーシーズ・サチルス (Bacillus subtilis subsp. subtilis) str. 168由来の蛋白質、配列番号8で表されるアミノ酸配列を有するアースロバクター・アウレッセンス(Arthrobacter aurescens)TC-1株由来の蛋白質、配列番号10で表されるアミノ酸配列を有するフラボバクテリウム・シクロフィラム(Flavobacterium psychrophilim)JIP02/86株由来の蛋白質、配列番号12で表されるアミノ酸配列を有するエシェリヒア・コリ(Escherichia coli)K12株由来の蛋白質等をあげることができる。
デヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNAとしては、デヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNAであれば特に限定されない。
デヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNAとしては、具体的には、
(a)配列番号1で表される塩基配列からなるDNA 、または
(b)配列番号1で表される塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつデヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNA、
をあげることができる。
ここでいう「ハイブリダイズする」とは、特定の塩基配列を有するDNAまたは該DNAの一部にDNAがハイブリダイズする工程である。したがって、該特定の塩基配列を有するDNAまたは該DNAの一部の塩基配列は、ノーザンまたはサザンブロット解析のプローブとして有用であるか、またはPCR解析のオリゴヌクレオチドプライマーとして使用できる長さのDNAであってもよい。プローブとして用いるDNAとしては、少なくとも100塩基以上、好ましくは200塩基以上、より好ましくは500塩基以上のDNAをあげることができるが、少なくとも10塩基以上、好ましくは15塩基以上のDNAであってもよい。
DNAのハイブリダイゼーション実験の方法はよく知られており、例えばモレキュラー・クローニング第2版、第3版(2001年)、Methods for General and Molecular Bacteriology, ASM Press(1994)、Immunology methods manual, Academic press(Molecular)に記載の他、多数の他の標準的な教科書に従ってハイブリダイゼーションの条件を決定し、実験を行うことができる。
上記のストリンジェントな条件とは、例えばDNAを固定化したフィルターとプローブDNAとを50%ホルムアミド、5×SSC(750mMの塩化ナトリウム、75mMのクエン酸ナトリウム)、50mMのリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハルト溶液、10%の硫酸デキストラン、および20μg/lの変性させたサケ精子DNAを含む溶液中で42℃で一晩、インキュベートした後、例えば約65℃の0.2×SSC溶液中で該フィルターを洗浄する条件をあげることができるが、より低いストリンジェント条件を用いることもできる。ストリンジェンな条件の変更は、ホルムアミドの濃度調整(ホルムアミドの濃度を下げるほど低ストリンジェントになる)、塩濃度および温度条件の変更により可能である。低ストリンジェント条件としては、例えば6×SSCE(20×SSCEは、3mol/lの塩化ナトリウム、0.2mol/lのリン酸二水素ナトリウム、0.02mol/lのEDTA、pH7.4)、0.5%のSDS、30%のホルムアミド、100μg/lの変性させたサケ精子DNAを含む溶液中で、37℃で一晩インキュベートした後、50℃の1×SSC、0.1%SDS溶液を用いて洗浄する条件をあげることができる。また、さらに低いストリンジェントな条件としては、上記した低ストリンジェント条件において、高塩濃度(例えば5×SSC)の溶液を用いてハイブリダイゼーションを行った後、洗浄する条件をあげることができる。
上記した様々な条件は、ハイブリダイゼーション実験のバックグラウンドを抑えるために用いるブロッキング試薬を添加、または変更することにより設定することもできる。上記したブロッキング試薬の添加は、条件を適合させるために、ハイブリダイゼーション条件の変更を伴ってもよい。
上記したストリンジェントな条件下でハイブリダイズ可能なDNAとしては、例えば上記したBLASTおよびFASTA等のプログラムを用いて、上記パラメータに基づいて計算したときに、配列番号1で表される塩基配列と少なくとも80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上、特に好ましくは99%以上の相同性を有する塩基配列からなるDNAをあげることができる。
上記したDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAが、デヒドロキシナフトエ酸トランスフェラーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNAであることは、該DNAを発現する組換え体DNAを作製し、該組換え体DNAをデヒドロキシナフトエ酸トランスフェラーゼ活性を欠損させた宿主細胞に導入して得られる微生物を培養し、得られる培養物から該蛋白質を含む細胞抽出液もしくは膜画分を調整し、該画分を基質であるデヒドロキシナフトエ酸およびイソプレニル二リン酸と混合し、結果として生成するデメチルメナキノンを検出するSuvarnaらの方法(Suvarna, K et.al., Journal of Bacteriology, 180, 2782-2787(1998))によって確認できる。
デヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNAとしては、配列番号1で表される塩基配列からなるDNAのほか、コリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032株由来の配列番号3で表される塩基配列からなるDNA、バチルス・サチルス・サブスピーシーズ・サチルスstr.168由来の配列番号5で表される塩基配列からなるDNA、アースロバクター・アウレッセンスTC-1 株由来の配列番号7で表される塩基配列からなるDNA、フラボバクテリウム・シクロフィラムJIP02/86 株由来の配列番号9で表される塩基配列からなるDNA、エシェリヒア・コリK12株由来の配列番号11で表される塩基配列からなるDNAをあげることができる。さらに、デヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼをコードするDNAとして は、上記のDNAとの相同性に基づいて、コリネバクテリウム・アンモニアゲネス(Corynebacterium ammoniagenes)、ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム(Brevibacterium lactofermentum)等のコリネ型細菌、マイコバクテリウム・ツベルクロシス(Mycobacterium tuberuculosis)等のマイコバクテリウム属細菌等からクローニングできるDNAをあげることができる。
デヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNAのコピー数を高めることにより、デヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼ活性の強化された微生物は、その染色体DNA上に1以上のデヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNAを導入すること、または微生物に、デヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNAを含む自律複製型の組換え体DNAを導入することにより得ることができる。
微生物の染色体DNA上にデヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNAを導入する方法としては、相同組換えを利用した方法をあげることができる。一般的な相同組換えを利用した方法としては、デヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNA断片を、当該DNA断片を導入したい宿主細胞内では自律複製できない薬剤耐性遺伝子を有するプラスミドDNAと連結して作製できる相同組換え用プラスミドを用いる方法をあげることができる。
相同組換えを利用した方法としては、(i)該相同組換え用プラスミドを常法により微生物細胞に導入した後、薬剤耐性を指標にして相同組換えによって染色体DNA上に相同組換え用プラスミドが組込まれた形質転換株を選択し、(ii)得られた形質転換株を該薬剤を含有しない培地で数時間〜1日培養した後、該薬剤含有寒天培地、および該薬剤非含有寒天培地に塗布し、(iii)前者の培地で生育せず、後者の培地で生育できる株を選択する、ことで染色体DNA上において2回目の相同組換えが生じた株を取得する方法をあげることができる。
微生物の細胞内で自律複製できない薬剤耐性遺伝子を有するプラスミドとして、薬剤耐性遺伝子および枯草菌のレバンシュークラーゼ遺伝子sacB(Mol. Microbiol., 6, 1195(1992)) を有するプラスミドを用いて、レバンシュークラーゼが宿主細胞に有害な物質を生産することを利用した選択法 (J.Bacteriol., 174, 5462(1992))を利用して上記2回目の相同組換えが生じた株を取得することもできる。
相同組換え用プラスミドを微生物の細胞に導入する方法としては、微生物の細胞へDNAを導入できる方法であればいずれも用いることができ、例えば、電気穿孔法(Appl. Microbiol. Biotech., 52,541(1999))やプロトプラスト法(J. Bacteriol., 159,306(1984))等をあげることができる。
微生物の染色体DNA上への、デヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNA導入は、例えば、染色体DNA上に多コピー存在する配列を標的として利用して行うことができる。染色体DNA上に多コピー存在する配列としては、レペティティブDNA、転移因子の端部に存在するインバーテッド・リピートが利用できる。
微生物としては、デヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼを発現する微生物であればいずれの微生物でもよいが、好ましくは原核生物、より好ましくはアースロバクター属、コリネバクテリウム属、バチルス属、スタフィロコッカス属、エシェリヒア属またはサルモネラ属に属する微生物、さらに好ましくはアースロバクター属またはコリネバクテリウム属に属する微生物、最も好ましくはアースロバクター・ニコティアナエまたはコリネバクテリウム・グルタミカムをあげることができる。
また、デヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNAを微生物の染色体DNA上に挿入することは、デヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNAをトランスポゾンに連結してこれを転移させて染色体DNA上に挿入することによっても得ることができる(特開平2-109985号公報)。
染色体DNA上の、デヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNA断片を導入した周辺の領域の塩基配列を決定することや、該DNA断片の一部をプローブとしたサザンハイブリダイゼーション等により、染色体DNA上の目的の位置に当該DNA断片が導入されたことを確認することができる。
デヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNAを含む組換え体DNAを導入した微生物は、例えば、デヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNA断片を、宿主となる微生物細胞内で自律複製可能で、デヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNAを転写できる位置にプロモーターを有するベクターに連結して作製した組換え体DNAを、宿主微生物細胞内に導入することにより取得することができる。
該ベクターとしては、pCG1, pCG2, pCG4, pCG11, pCE52, pCE53, pCE54(特開昭57−134500号公報、特開昭57−183799号公報、特開昭58−105999号公報)などのコリネ型細菌で自律複製できるプラスミドを例示することができ、また、pCG1系の複製開始点を有しているプラスミドはそのままアースロバクター属に属する微生物でも用いることができる。このようなプラスミドとしては、pCS299P(国際公開第00/63388号パンフレット)をあげることができる。
上記のように調製した組換えDNAの微生物への導入は、これまでに報告されている形質転換法に従って行うことができる。そのような方法としては例えば、エシェリヒア・コリK-12について報告されているような、受容菌細胞を塩化カルシウムで処理してDNAの透過性を増す方法(Mandel,M.and Higa,A.,J. Mol. Biol., 53, 159 (1970))や、バチルス・ズブチリスについて報告されているような、増殖段階の細胞からコンピテントセルを調製してDNAを導入する方法( Duncan,C.H.,Wilson,G.A.and Young,F.E., Gene, 1, 153(1977))がある。あるいは、バチルス・ズブチリス、放線菌類及び酵母について知られているような、DNA受容菌の細胞を、組換えDNAを容易に取り込むプロトプラストまたはスフェロプラストの状態にして組換えDNAをDNA受容菌に導入する方法(Chang,S.and Choen,S.N.,Molec. Gen. Genet., 168, 111 (1979); Bibb, M.J., Ward,J.M.and Hopwood,O.A.,Nature, 274, 398 (1978); Hinnen, A., Hicks, J. B. and Fink, G. R., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 75 1929 (1978))も応用できる。また、コリネ型細菌の形質転換は、電気パルス法(杉本ら、特開平2-207791号公報)によっても行うことができる。 アースロバクター属細菌の形質転換についても電気パルス法によるものが知られている (P.C. Shaw ら (1988) J. Gen. Microbiol. 134:903-911、M. Morikawaら(1994) Appl. Microbiol. Biotechnol. 42: 300-303)。
また、本発明のメナキノン‐4の製造法には、デヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質をコードする遺伝子の発現調節配列を改変することにより、デヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼ活性の強化された微生物を用いることもできる。
このような微生物は、国際公開00/18935号パンフレットに記載の方法に従い、染色体DNA上またはプラスミド上のデヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼ遺伝子 のプロモーター等の発現調節配列を強力なものに置換することや、デヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼの発現を上昇させるようなレギュレーターを増幅、デヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼの発現を低下させるようなレギュレーターを欠失または弱化させることによっても取得することができる。
例えばエシェリヒア属細菌由来のlacプロモーター、trpプロモーター、trcプロモーター等が強力なプロモーターとして知られているので、上記プロモーターとデヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼ遺伝子のプロモーターを置換することができる。また、デヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼ遺伝子のプロモーター領域に塩基置換等を導入し、より強力なものに改変することも可能である。プロモーターの強度の評価法および強力なプロモーターの例は、Prokaryotic promoters in biotechnology. Biotechnol. Annu. Rev., 1995, 1, 105-128等に記載されている。
さらに、リボソーム結合部位(RBS)と開始コドンとの間のスペーサ、特に開始コドンのすぐ上流の配列における数個のヌクレオチドの置換がmRNAの翻訳効率に非常に影響を及ぼすことが知られており、これらを改変することも可能である。デヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼのプロモーター等の発現調節領域は、プロモーター検索ベクターやGENETYX(ソフトウェア開発株式会社)等の遺伝子 解析ソフトを用いて決定することができる。
これらのプロモーター置換または改変によりデヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼ遺伝子の発現を強化することができる。
プロモーターなどの発現調節配列の置換は、例えば温度感受性プラスミドを用いて行うことができる。コリネ型細菌の温度感受性プラスミドとしては、p48K及びpSFKT2(特開2000-262288号公報)、pHSC4(特開平5-7491号公報)等が挙げられる。これらのプラスミドは、コリネ型細菌中で少なくとも25℃では自律複製することができるが、37℃では自律複製できない。
なお、発現調節配列の改変は、デヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼ遺伝子 のコピー数を高めることと組み合わせてもよい。
デヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼの活性が宿主細胞と比べて向上していることは、例えばデヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼのmRNAの量を、デヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼ活性を強化していない宿主細胞と比較することによって確認することができる。mRNA発現量の確認方法としては、ノーザンハイブリダイゼーション、RT-PCRが挙げられる(Molecular cloning(Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor(USA),2001))。ここで、宿主細胞は、野生株であってもよいし、野性株から育種された株であってもよい。
デヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼ活性の向上は、野生株と比較して上昇していればその程度は問わないが、例えばデヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼの発現量が野生株と比べて1.5倍以上、より好ましくは2倍以上、さらに好ましくは3倍以上上昇していることが望ましい。
2.本発明のメナキノン-4の製造法
本発明のメナキノン-4の製造法 は、上記1記載の方法で調製される微生物を培地で培養して、メナキノン-4を培養物中に生成蓄積させ、該培養物からメナキノン-4を採取することを特徴とする製造法 である。
使用する培地は、微生物を用いたメナキノンの発酵生産において従来より用いられてきた培地を用いることができる(特公平7−51070、特開昭61−265097)。すなわち、炭素源、窒素源、無機イオン及び必要に応じその他の有機成分を含有する通常の培地を用いることができる。
炭素源としては、グルコース、シュクロース、ラクトース、ガラクトース、フラクトースやでんぷんの加水分解物などの糖類、グリセロールやソルビトールなどのアルコール類、フマール酸、クエン酸、コハク酸等の有機酸類を用いることができる。
窒素源としては、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機アンモニウム塩、大豆加水分解物などの有機窒素、アンモニアガス、アンモニア水等を用いることができる。
有機微量栄養源としては、ビタミンB1、L−ホモセリンなどの要求物質または酵母エキス等を適量含有させることが望ましい。これらの他に、必要に応じて、リン酸カリウム、硫酸マグネシウム、鉄イオン、マンガンイオン等が少量添加される。
なお、本発明で用いる培地は、炭素源、窒素源、無機イオン及び必要に応じてその他の有機微量成分を含む培地であれば、天然培地、合成培地のいずれでもよい。
培養は好気的条件下で1〜10日間実施するのが好ましく、培養温度は24℃〜37℃、培養中のpHは5〜9とするのが好ましい。
尚、pH調整には無機あるいは有機の酸性あるいはアルカリ性物質、更にアンモニアガス等を使用することができる。
培養物からのメナキノンの採取は通常イオン交換樹脂法、沈殿法その他の公知の方法を組み合わせることにより実施できる。なお、菌体内にメナキノンが蓄積する場合には、例えば菌体を超音波などにより破砕し、遠心分離によって菌体を除去して得られる上清からイオン交換樹脂法などによって、メナキノンを採取することができる。
以下に、本願発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
MK-4生産性向上遺伝子発現株の探索
(1)コリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032株由来メナキノン-4合成関連遺伝子を発現するアースロバクター・ニコティアナエKS-8-18株の取得
以下の方法により、コリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032株由来のmenA、menB、menC、menD、menEおよびmenF遺伝子を含むDNA断片をPCRにより取得した。
menA遺伝子を含むDNA断片の取得には配列番号13および14で表される塩基配列を有する合成DNA断片を、menB遺伝子を含むDNA断片の取得には配列番号15および16で表される塩基配列を有する合成DNA断片を、menC遺伝子を含むDNA断片の取得には配列番号17および18で表される塩基配列を有する合成DNA断片を、menD遺伝子を含むDNA断片の取得には配列番号19および20で表される塩基配列を有する合成DNA断片を、menE遺伝子を含むDNA断片の取得には配列番号21および22で表される塩基配列を有する合成DNAを、menF遺伝子を含むDNA断片の取得には配列番号23および24で表される塩基配列を有する合成DNA断片を、それぞれプライマーセットとして用いた。
PCRはコリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032株の染色体DNAを鋳型とし、Pyrobest DNA polymeraseと添付のバッファーを用いて各々行った。得られた各増幅DNA断片を、QIAquick PCR Purification Kit(QIAGEN社製)を用いて各々精製した。
上記で得られた精製DNA断片について、menAを含むDNA断片はKpnIおよびSse8387I、menBを含むDNA断片はBglIIおよびSse8387I、menCを含むDNA断片およびmenEを含むDNA断片はFbaIおよびSse8387I、menDを含むDNA断片はSalIおよびSse8387I、menFを含むDNA断片はKpnIおよびSalIの各2種類の制限酵素で切断処理した。
menA、menB、menFを含む切断断片はそれぞれ同じ2種類の制限酵素で処理した大腸菌・コリネバクテリウムシャトルベクターpCS299P(特願平11-110437、Mitsuhashi et al.(2004) Appl. Microbiol. Biotechnol., 63, 592-601)と混合し、Ligation kit ver.1(タカラバイオ社製)を用いて連結した。
また、プラスミドpKK223-3(ファルマシア社製)を鋳型とし、配列番号25および27で表される塩基配列を有する合成DNA断片をプライマーセットとして、Pyrobest DNA polymeraseと添付のバッファーを用いてPCR反応を行い、pKK223-3のTacプロモーター部分を増幅した。増幅DNA断片をBamHIおよびKpnI切断処理した。
Tacプロモーターを含むDNA断片、menCまたはmenEを含むDNA断片およびKpnIおよびSse8387Iで切断処理したpCS299Pを混合し、Ligation kit ver.1で連結した。
同様に、pKK223-3を鋳型とし、配列番号25および26で表される塩基配列を有する合成DNA断片をプライマーセットとして、Pyrobest DNA polymeraseと添付のバッファーを用いてPCR反応を行い、pKK233-3のTacプロモーター部分を増幅した。増幅DNA断片をSalIおよびKpnIで切断処理した。
Tacプロモーターを含むDNA断片、menDを含むDNA断片およびKpnIおよびSse8387Iで切断処理したpCS299Pを混合し、Ligation kit ver.1で連結した。
上記で得られた6種の結合産物を用い、常法に従って大腸菌DH5αを各々形質転換した。該形質転換体を、20μg/mlのカナマイシンを含むLB寒天培地に塗布後、30℃で一晩培養した。
生育した形質転換体を20μg/mlのカナマイシンを含むLB液体培地に植菌して30℃で一晩培養し、得られた培養液からアルカリSDS法によりmenA、menB、menC、menD、menEまたはmenF遺伝子をそれぞれ含むプラスミドを抽出した。
抽出した各プラスミドをアースロバクター・ニコティアナエ KS-8-18株((FERM BP-8232, 特開昭61-265097号広報))に、Sanduらの方法に準拠したエレクトロポレーション法(Appl. Environ. Microbiol., 71, 8920-4(2005))によりそれぞれ導入し、各遺伝子を発現するアースロバクター・ニコティアナエKS-8-18株を取得した。
(2)アースロバクター・ニコティアナエKS-8-18株由来DXP synthase発現株の取得
常法により抽出したアースロバクター・ニコティアナエATCC14929株の染色体DNAを鋳型として、アースロバクター・ニコティアナエのDXP synthaseをコードするDNA断片を取得した。PCRは、配列番号28および29で表される塩基配列を有する合成DNAをプライマーセットとし、TAKARA LA PCR cloning kit (タカラバイオ社製)を用いて添付のプロトコルに従い、DXP synthaseをコードするDNA断片を得た。
上記で得られたDXP synthaseをコードするDNA断片を鋳型とし、配列番号30または31で表される合成DNAをプライマーとして、PCRによりDXP synthaseをコードするDNA断片を増幅し、制限酵素BamHIおよびKpnIで消化した。
同様にBamHIおよびKpnIで消化したシャトルベクターpCS299Pと、上記で増幅したDNA断片をLigation kit ver.2で連結した。連結して得られたプラスミドをアースロバクター・ニコティアナエKS-8-18株に形質転換し、カナマイシン耐性を有する株選択し、DXP synthase発現株を取得した。
(3)Arthrobacter nicotianae KS-8-18株由来menA発現株の取得
アースロバクター・ニコティアナエATCC14929株の染色体DNAを鋳型とし、配列番号32および33で表される塩基配列を有する合成DNAをプライマーセットとして、TAKARA LA PCR cloning kitを用いてmenA遺伝子の全長を含むDNA断片を取得した。
上記で得られたmenA遺伝子を含むDNA断片を鋳型とし、配列番号34および35で表される塩基配列を有する合成DNAをプライマーセットとして、menA遺伝子を含むDNA断片をPCRにより増幅した。増幅した断片を制限酵素BamHIおよびSse8387Iで消化し、Ligation kit ver.2を用いてBamHIおよびSse8387Iで消化したシャトルベクターpCS299Pと連結した。
連結して得られたプラスミドをアースロバクター・ニコティアナエKS-8-18株に形質転換し、カナマイシン耐性株を選択することにより、menA発現株を取得した。
(1)メナキノン-4生産性の評価1
実施例1の(1)で得られた、コリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032株由来メナキノン-4合成関連遺伝子を発現するアースロバクター・ニコティアナエKS-8-18株および(2)で得られたDXP synthaseを発現するアースロバクター・ニコティアナエKS-8-18株についてメナキノン−4生産能の評価を行った。コントロールとして、発現ベクターpCS299Pを導入した株を用いた。
アースロバクター・ニコティアナエのグリセロールストックを種培地プレート[寒天15g/L、ペプトン (極東社製) 10 g/L、肉エキス (極東社製) 10 g/L、NaCl 3 g/L、pH 7.2]に塗布し24時間30℃で培養した。
プレート上に生育した菌の一部をエーゼでかきとり、150mg/Lのカナマイシンを含む5mlの種培地[ペプトン (極東社製) 10 g/L、肉エキス (極東社製) 10 g/L、NaCl 3 g/L、pH 7.2]を張り込んだ試験管に植菌し30℃で24時間、振とう培養した。培養液を3ml分取し、30mlの生産培地を張り込んだ300mlバッフル付フラスコに植菌し、30℃、で96時間振とう培養した。
回収した培養液に、等量の2−ブタノールとガラスビーズを加えて振等して細胞を破砕し、メナキノンを抽出した。得られた抽出液を用い、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により、培養液中に生成したメナキノン-4、メナキノン-7、メナキノン-8およびメナキノン-9を定量した。
HPLCは、野村化学社製develosil ODS-8カラムを使用し、ヘキサン:メタノール=2:8の溶液を移動層として用いた。メナキノンの検出は波長270nmの吸光により行った。
定量の結果を表1に示す。
Figure 2010053077
表1に示すとおり、menA遺伝子を発現する株では、その他の遺伝子を発現する株に比べ、メナキノン-4の生成量およびメナキノンの総量に対するメナキノン-4の比率が向上していることがわかった。
(2)メナキノン生産性の評価2
実施例1の(3)で取得したKS-8-18/pAnmenAを培養し、メナキノン生産性を評価した。
培養および定量は上記(1)と同様の方法で行った。
結果を表2に示す。
Figure 2010053077
表2に示すとおり、menA遺伝子を発現する株では、メナキノン-4の生成量およびメナキノンの総量に対するメナキノン-4の比率が向上していることがわかった。
メナキノン生産性の評価3
コリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032株にpCS299Pおよび実施例1の(1)で作製したプラスミドpCgmenAをそれぞれ導入し、コリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032/pCS299P株およびコリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032/pCgmenA株を取得した。
コリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032/pCS299P株をおよびコリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032/pCgmenA株を実施例2と同様の培地および方法で培養し、メナキノン生産性を評価した。メナキノンの定量も実施例2と同様の方法で行った。
結果を表3に示す。
Figure 2010053077
表3に示すとおり、コリネバクテリウム・グルタミカムにおいても、menA遺伝子の発現により、MK-4の生成量および生成比率が特異的に増加することがわかった。
本発明の微生物を用いることにより、メナキノン‐4を効率的に生産する微生物を得ることができ、また、該微生物を用いてメナキノン‐4を効率的に製造することができる。
配列番号13−人工配列の説明:合成DNA
配列番号14−人工配列の説明:合成DNA
配列番号15−人工配列の説明:合成DNA
配列番号16−人工配列の説明:合成DNA
配列番号17−人工配列の説明:合成DNA
配列番号18−人工配列の説明:合成DNA
配列番号19−人工配列の説明:合成DNA
配列番号20−人工配列の説明:合成DNA
配列番号21−人工配列の説明:合成DNA
配列番号22−人工配列の説明:合成DNA
配列番号23−人工配列の説明:合成DNA
配列番号24−人工配列の説明:合成DNA
配列番号25−人工配列の説明:合成DNA
配列番号26−人工配列の説明:合成DNA
配列番号27−人工配列の説明:合成DNA
配列番号28−人工配列の説明:合成DNA
配列番号29−人工配列の説明:合成DNA
配列番号30−人工配列の説明:合成DNA
配列番号31−人工配列の説明:合成DNA
配列番号32−人工配列の説明:合成DNA
配列番号33−人工配列の説明:合成DNA
配列番号34−人工配列の説明:合成DNA
配列番号35−人工配列の説明:合成DNA

Claims (8)

  1. デヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼ活性が、野生株に比べて強化された微生物を培地に培養し、培養物中にメナキノン-4を生成蓄積させ、該培養物から該メナキノン-4を採取することを特徴とする、メナキノン-4の製造法。
  2. デヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼ活性の強化が、デヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNAを含む遺伝子のコピー数を高めることによる、請求項1記載の製造法。
  3. デヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼ活性の強化が、デヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNAを含む遺伝子の発現調節配列を改変することによる、請求項1記載の製造法。
  4. デヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNAが、アースロバクター・ニコティアナエ由来のデヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼをコードするDNAである、請求項2または3記載の製造法。
  5. デヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNAが、以下の(a)〜(c)から選ばれるポリペプチドをコードするDNAである、請求項2乃至4のいずれかに記載の製造法。
    (a)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド
    (b)配列番号2で表されるアミノ酸配列において1以上のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつデヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチド
    (c)配列番号2で表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、かつデヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチド
  6. デヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNAが、以下の(a)または(b)のDNAである、請求項2乃至4のいずれかに記載の製造法。
    (a)配列番号1で表される塩基配列からなるDNA
    (b)配列番号1で表される塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつデヒドロキシナフトエ酸プレニルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNA
  7. 微生物がアースロバクター属、またはコリネバクテリウム属に属する微生物である、請求項1乃至6のいずれかに記載の製造法。
  8. 微生物が、アースロバクター・ニコティアナエまたはコリネバクテリウム・グルタミカムに属する微生物である、請求項1乃至7のいずれかに記載の製造法。
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