JPWO2010095642A1 - 有用物質の製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、有用物質を生産する能力を有する微生物を、高濃度酸素要求性の微生物の低濃度酸素での生育を向上させる活性を有する蛋白質をコードするDNAで形質転換して得られる形質転換体を培地に培養し、培養物中に有用物質を生成、蓄積させ、該培養物から該有用物質を採取することを特徴とする有用物質の製造法を提供する。

Description

本発明は、高濃度酸素要求性の微生物の低濃度酸素での生育を向上させる活性を有する蛋白質をコードするDNAで形質転換された微生物を用いた有用物質の製造法に関する。
アミノ酸やヌクレオチド等、有用物質の好気的発酵では多量の酸素が必要とされる。酸素が不足すると、目的物の代わりに有害な有機酸が蓄積してしまうという問題点がある。このため、培養中の培地中における溶存酸素を一定レベル以上に維持することが重要である。このような課題に対して、酸素供給効率の高い発酵槽や酸素富化膜が開発されているが、これらの装置を導入するためには多額のコストがかかる。そこで、培養中に高レベルの溶存酸素量を必要としない微生物が求められている。
コリネバクテリウム・グルタミカムのゲノム上には、酸素利用や酸素ストレス抵抗性に関わると類推される遺伝子が多種、見出されている。たとえば、呼吸鎖に関わる遺伝子が明らかにされている(非特許文献1参照)。また、RNAポリメラーゼのシグマ因子であるsigB遺伝子(非特許文献2参照)やsigD遺伝子(特許文献1参照)、あるいはヘモグロビン様のglbO遺伝子(特許文献2参照)が見出されている。さらに、リボヌクオチドレダクターゼに関わる遺伝子群(nrdHIEおよびnrdF)が同定されている(非特許文献3参照)。これらの遺伝子情報は、公開特許公報(特許文献3参照)に開示されている。
しかし、これらの遺伝子の発現強化が微生物の要求する溶存酸素レベルに与える影響やアミノ酸生産性に与える影響は明らかにされていない。
米国特許第6890744号 米国特許第6759218号 特開2002-191370
J. Biotechnol., 104, 129(2003) BMC Genomics, 8, 4(2007) Microbiology, 145, 1595(1999)
本発明の目的は、微生物の高濃度酸素要求性を相補する活性を有する蛋白質をコードするDNAを含有する組換え体DNAで形質転換された微生物を用いた有用物質の製造方法を提供することにある。
本発明は以下の(1)〜(3)に関する。
(1) 有用物質を生産する能力を有する微生物を、高濃度酸素要求性の微生物の低濃度酸素での生育を向上させる活性を有する蛋白質をコードするDNAで形質転換して得られる形質転換体を培地に培養し、培養物中に有用物質を生成、蓄積させ、該培養物から該有用物質を採取することを特徴とする有用物質の製造法。
(2) 高濃度酸素要求性の微生物の低濃度酸素での生育を向上させる活性を有する蛋白質が、以下の[1]〜[6]のいずれかに記載の蛋白質である、(1)記載の製造法。
[1]配列番号1、3、5、7、9および11のいずれかで表されるアミノ酸配列を有する蛋白質
[2]配列番号1、3、5、7、9および11のいずれかで表されるアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が欠失、置換または付加したアミノ酸配列からなり、かつ高濃度酸素要求性の微生物の低濃度酸素での生育を向上させる活性を有する蛋白質
[3]配列番号1、3、5、7、9および11のいずれかで表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性ないし同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ高濃度酸素要求性の微生物の低濃度酸素での生育を向上させる活性を有する蛋白質
[4]配列番号13、15、17および19のいずれかで表されるアミノ酸配列からなる蛋白質より選ばれる蛋白質
[5]配列番号13、15、17および19のいずれかで表されるアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が欠失、置換または付加したアミノ酸配列からなる蛋白質より選ばれ、かつ高濃度酸素要求性の微生物の低濃度酸素での生育を向上させる活性を有する蛋白質
[6]配列番号13、15、17および19のいずれかで表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性ないし同一性を有するアミノ酸配列からなる蛋白質より選ばれ、かつ高濃度酸素要求性の微生物の低濃度酸素での生育を向上させる活性を有する蛋白質
(3) 高濃度酸素要求性の微生物の低濃度酸素での生育を向上させる活性を有する蛋白質をコードするDNAが、以下の[1]〜[6]のいずれかに記載のDNAである、(1)または(2)記載の製造法。
[1]配列番号1、3、5、7、9および11のいずれかで表されるアミノ酸配列からなる蛋白質をコードするDNA
[2]配列番号2、4、6、8、10および12のいずれかで表される塩基配列からなるDNA
[3]配列番号2、4、6、8、10および12のいずれかで表される塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ高濃度酸素要求性の微生物の低濃度酸素での生育を向上させる活性を有する蛋白質をコードするDNA
[4]配列番号13、15、17および19のいずれかで表されるアミノ酸配列からなる蛋白質より選ばれる蛋白質をコードするDNA
[5]配列番号14、16、18および20のいずれかで表される塩基配列からなるDNAより選ばれるDNA
[6]配列番号14、16、18および20のいずれかで表される塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAより選ばれ、かつ高濃度酸素要求性の微生物の低濃度酸素での生育を向上させる活性を有する蛋白質をコードするDNA
本発明によれば、高濃度酸素要求性の微生物の低濃度酸素での生育を向上させる活性を有する蛋白質をコードするDNAで形質転換された形質転換体を用いた有用物質の製造方法を提供することができる。
本発明の製造方法に用いられる形質転換体としては、有用物質を生産する能力を有する微生物を、高濃度酸素要求性の微生物の低濃度酸素での生育を向上させる活性を有する蛋白質をコードするDNAで形質転換して得られる形質転換体であれば、いずれの微生物であってもよい。
そのような微生物としては具体的には、コリネバクテリウム属、ブレビバクテリウム属、ミクロバクテリウム属、エシェリヒア属、セラチア属、バチルス属、シュードモナス属又はストレプトマイセス属等に属する細菌をあげることができ、好ましくはコリネバクテリウム(Corynebacterium)属、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属、ミクロバクテリウム(Microbacterium)属に属する微生物、特に好ましくはコリネバクテリウム属に属する微生物をあげることができる。
コリネバクテリウム属に属する微生物としては、コリネバクテリウム・アセトアシドフィラム(Corynebacterium acetoacidophilum)ATCC13870等のコリネバクテリウム・アセトアシドフィラム、コリネバクテリウム・アセトグルタミカム(Corynebacterium acetoglutamicum)ATCC15806等のコリネバクテリウム・アセトグルタミカム、コリネバクテリウム・カルナエ(Corynebacterium callunae)ATCC15991等のコリネバクテリウム・カルナエ、コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum) ATCC13032、コリネバクテリウム・グルタミカム ATCC13060、コリネバクテリウム・グルタミカム ATCC13826、コリネバクテリウム・グルタミカム ATCC14020、コリネバクテリウム・グルタミカム ATCC13869等のコリネバクテリウム・グルタミカム、コリネバクテリウム・ハーキュリス(Corynebacterium herculis) ATCC13868等のコリネバクテリウム・ハーキュリス、コリネバクテリウム・リリアム(Corynebacterium lilium) ATCC15990等のコリネバクテリウム・リリアム、コリネバクテリウム・メラセコラ(Corynebacterium melassecola) ATCC17965等のコリネバクテリウム・メラセコラ、コリネバクテリウム・サーモアミノゲネス(Corynebacterium thermoaminogenes)ATCC9244等のコリネバクテリウム・サーモアミノゲネス等に属する微生物があげられる。
ブレビバクテリウム属に属する微生物としては、ブレビバクテリウム・サッカロリティカム(Brevibacterium saccharolyticum)ATCC14066等のブレビバクテリウム・サッカロリティカム、ブレビバクテリウム・イマリオフィラム(Brevibacterium immariophilum)ATCC14068等のブレビバクテリウム・イマリオフィラム、ブレビバクテリウム・ローゼアム(Brevibacterium roseum) ATCC13825等のブレビバクテリウム・ローゼアム、ブレビバクテリウム・チオゲニタリス(Brevibacterium thiogenitalis) ATCC19240等のブレビバクテリウム・チオゲニタリス等に属する微生物があげられる。
ミクロバクテリウム属に属する微生物としては、ミクロバクテリウム・アンモニアフィラム(Microbacterium ammoniaphilum)ATCC15354等のミクロバクテリウム・アンモニアフィラム等をあげることができる。
本発明により製造することができる有用物質としては、コリネ型細菌に属する微生物が生産することができる工業上有用とされている物質であればいずれでもよく、アミノ酸、核酸、ビタミン、各種酵素等のタンパク質、グルタチオン等のペプチド、キシロース等の糖、キシリトール等の糖アルコール、エタノール等のアルコール、乳酸、コハク酸等の有機酸および脂質等をあげることができ、好ましくはアミノ酸、核酸およびビタミン、特に好ましくはアミノ酸があげられる。
アミノ酸としては、L−アラニン、グリシン、L−グルタミン、L−グルタミン酸、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−リジン、L−メチオニン、L−スレオニン、L−ロイシン、L−バリン、L−イソロイシン、L−プロリン、L−ヒスチジン、L−アルギニン、L−チロシン、L−トリプトファン、L−フェニルアラニン、L−セリン、L−システイン、L−3−ヒドロキシプロリン、L−4−ヒドロキシプロリン等があげられ、核酸としては、イノシン、グアノシン、イノシン酸、グアニル酸等があげられ、ビタミンとしては、リボフラビン、チアミン、アスコルビン酸等があげられる。
本発明において微生物が「高濃度酸素要求性である」とは、野生型の微生物が生育可能な低濃度酸素条件[0.5%〜大気条件(約21%)、たとえば0.5%、1%、3%、6%、9%など]において該微生物は生育できないか、または生育できたとしても生育速度が野生型株の通常50%以下、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下に低下していることをいう。
上記の低濃度酸素条件は、例えば、嫌気性菌や微好気性菌の簡易培養用に販売されている酸素吸収剤および専用密閉容器を用いて設定することができる。この方法では、密閉容器の中に酸素吸収剤(三菱ガス化学株式会社製「アネロパックシリーズ」)、プレート培地、および嫌気指示薬を入れて培養する。メーカーのマニュアルに従い、酸素吸収剤の量を調節することにより、数段階の低濃度酸素条件を構築することができる。
微生物が高濃度酸素要求性であるか否かを判定する培地において、炭素源としては、グルコース、果糖、シュークロース、マルトース、でんぷん加水分解物等の糖類、エタノールなどのアルコール類、酢酸、乳酸、コハク酸等の有機酸類があげられる。
窒素源としては、アンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、酢酸アンモニウム等の各種無機および有機アンモニウム塩類、尿素、その他窒素含有化合物、ならびに肉エキス、酵母エキス、コーン・スティープ・リカー、大豆加水分解物等の窒素含有有機物があげられる。
無機塩としてはリン酸第一水素カリウム、リン酸第二水素カリウム、硫酸アンモニウム、塩化ナトリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム等があげられる。
その他、必要に応じて、ビオチン、チアミン等の微量栄養源を含有してもよい。これら微量栄養源は、肉エキス、酵母エキス、コーン・スティープ・リカー、大豆加水分解物、カザミノ酸等の培地添加物で代用することもできる。
上記の低濃度酸素条件で、微生物を20〜42℃、好ましくは30℃〜40℃で1〜6日間培養し、生育速度を野生株と比較することで、該微生物の高濃度酸素要求性の有無を調べることができる。
高濃度酸素要求性の微生物としては、例えば、コリネバクテリウム・グルタミカムOX-3株、OX-96株、OX-109株、OX-112株、OX-119株およびOX-150株をあげることができる。
本発明において、高濃度酸素要求性の微生物の低濃度酸素での生育を向上させる活性を有する蛋白質とは、該蛋白質をコードするDNAで高濃度酸素要求性の微生物を形質転換した場合に、該微生物の低濃度酸素条件での生育が可能ないし向上するような蛋白質をいう。
このような蛋白質としては、例えば以下の蛋白質があげられる。
[1]配列番号1、3、5、7、9および11のいずれかで表されるアミノ酸配列を有する蛋白質
[2]配列番号1、3、5、7、9および11のいずれかで表されるアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が欠失、置換または付加したアミノ酸配列からなり、かつ高濃度酸素要求性の微生物の低濃度酸素での生育を向上させる活性を有する蛋白質
[3]配列番号1、3、5、7、9および11のいずれかで表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性ないし同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ高濃度酸素要求性の微生物の低濃度酸素での生育を向上させる活性を有する蛋白質
[4]配列番号13、15、17および19のいずれかで表されるアミノ酸配列からなる蛋白質より選ばれる蛋白質
[5]配列番号13、15、17および19のいずれかで表されるアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が欠失、置換または付加したアミノ酸配列からなる蛋白質より選ばれ、かつ高濃度酸素要求性の微生物の低濃度酸素での生育を向上させる活性を有する蛋白質
[6]配列番号13、15、17および19のいずれかで表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性ないし同一性を有するアミノ酸配列からなる蛋白質より選ばれ、かつ高濃度酸素要求性の微生物の低濃度酸素での生育を向上させる活性を有する蛋白質
なお、[1]〜[6]の蛋白質は、各々1種のみの蛋白質を発現させてもよく、2種以上のタンパク質を同時に発現させて低濃度酸素での生育を向上させてもよい。例えば[1]〜[3]のタンパク質は、配列番号1,3,5,7,9で表されるタンパク質或いはこれらの変異体(1以上のアミノ酸が欠失・置換・付加したタンパク質、或いは80%以上の相同性/同一性を有するタンパク質)を単独で発現させてもよく、2種以上のタンパク質を組み合わせて発現させてもよい。同様に、[4]〜[6]のタンパク質は、配列番号13,15,17,19で表されるタンパク質或いはこれらの変異体を単独で発現させてもよく、2種以上(例えば3種以上または4種)のタンパク質を組み合わせて発現させて、低濃度酸素での生育を向上させてもよい。
また、[1]〜[6]のDNAは、各々1種のみのDNAを発現させてもよく、2種以上のタンパク質をコードするDNAを同時に発現させて低濃度酸素での生育を向上させてもよい。例えば[1]〜[3]のDNAは、配列番号2,4,6,8,10で表されるDNA或いはこれらとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、低濃度酸素での生育向上活性を有するタンパク質をコードするDNAを単独で発現させてもよく、2種以上(例えば3種以上または4種)のタンパク質をコードするDNAを組み合わせて発現させてもよい。同様に、[4]〜[6]のDNAは、配列番号14,16,18,20で表されるDNA或いはこれらとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、低濃度酸素での生育向上活性を有するタンパク質をコードするDNAを単独で発現させてもよく、2種以上(例えば3種以上または4種)のタンパク質を組み合わせて発現させて、低濃度酸素での生育を向上させてもよい。
上記において、1以上のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列からなり、かつ高濃度酸素要求性の微生物、例えばコリネ型細菌の低濃度酸素での生育を向上させる活性を有する蛋白質は、Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)(以下、モレキュラー・クローニング第2版と略す)、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons (1987-1997)(以下、カレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジーと略す)、Nucleic Acids Research, 10, 6487 (1982)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 79, 6409(1982)、Gene, 34, 315 (1985)、Nucleic Acids Research, 13, 4431 (1985)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82, 488 (1985)等に記載の部位特異的変異導入法を用いて、例えば配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17または19で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質をコードするDNA(例えば、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18または20で表される塩基配列を有するDNA)に部位特異的変異を導入することにより、取得することができる。
欠失、置換または付加されるアミノ酸の数は特に限定されないが、上記の部位特異的変異法等の周知の方法により欠失、置換または付加できる程度の数であり、1個から数十個、好ましくは1〜20個、より好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1,2,3,4または5個である。
配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17または19で表されるアミノ酸配列において1以上のアミノ酸が欠失、置換または付加されたとは、同一配列中の任意の位置において、1または複数のアミノ酸が欠失、置換または付加されていてもよい。
アミノ酸の欠失または付加が可能なアミノ酸の位置としては、例えば配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17または19で表されるアミノ酸配列のN末端側およびC末端側の1〜数個のアミノ酸をあげることができる。
欠失、置換または付加は同時に生じてもよく、置換または付加されるアミノ酸は天然型と非天然型とを問わない。天然型アミノ酸としては、L−アラニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン、L−グルタミン酸、グリシン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リジン、L−アルギニン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、L−セリン、L−スレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、L−システインなどがあげられる。
以下に、相互に置換可能なアミノ酸の例を示す。同一群に含まれるアミノ酸は相互に置換可能である。
A群:ロイシン、イソロイシン、ノルロイシン、バリン、ノルバリン、アラニン、2-アミノブタン酸、メチオニン、O-メチルセリン、t-ブチルグリシン、t-ブチルアラニン、シクロヘキシルアラニン
B群:アスパラギン酸、グルタミン酸、イソアスパラギン酸、イソグルタミン酸、2-アミノアジピン酸、2-アミノスベリン酸
C群:アスパラギン、グルタミン
D群:リジン、アルギニン、オルニチン、2,4-ジアミノブタン酸、2,3-ジアミノプロピオン酸
E群:プロリン、3-ヒドロキシプロリン、4-ヒドロキシプロリン
F群:セリン、スレオニン、ホモセリン
G群:フェニルアラニン、チロシン
また、本発明の製造法において、蛋白質が高濃度酸素要求性の微生物の低濃度酸素での生育を向上させる活性を有するためには、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17または19で表されるアミノ酸配列との相同性ないし同一性が80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上、特に好ましくは99%以上の相同性ないし同一性を有していることが望ましい。
アミノ酸配列や塩基配列の相同性ないし同一性は、Karlin and AltschulによるアルゴリズムBLAST[Pro. Natl. Acad. Sci. USA, 90, 5873(1993)]やFASTA[Methods Enzymol., 183, 63 (1990)]を用いて決定することができる。このアルゴリズムBLASTに基づいて、BLASTNやBLASTXとよばれるプログラムが開発されている[J. Mol. Biol., 215, 403(1990)]。BLASTに基づいてBLASTNによって塩基配列を解析する場合には、パラメータは例えばScore=100、wordlength=12とする。また、BLASTに基づいてBLASTXによってアミノ酸配列を解析する場合には、パラメータは例えばscore=50、wordlength=3とする。gapped alignmentを得るために、Altschulら(1997, Nucleic Acids Res. 25:3389-3402)に記載されるようにGapped BLASTを利用することができる。あるいは、PSI-BlastまたはPHI-Blastを用いて、分子間の位置関係(Id.)および共通パターンを共有する分子間の関係を検出する繰返し検索を行うことができる。BLAST、Gapped BLAST、PSI-Blast、およびPHI-Blastプログラムを利用する場合、それぞれのプログラムのデフォルトパラメータを用いることができる。http://www.ncbi.nlm.nih.gov.を参照されたい。
微生物の低濃度酸素での生育を向上させる活性を有する蛋白質であることは、該蛋白質を発現させた高濃度酸素要求性のコリネ型細菌の上記低濃度酸素条件における生育速度が野生型株の80%以上、好ましくは90%以上となるまで回復することで確認できる。
また、上記[4]〜[6]の蛋白質が、低濃度酸素での生育を向上させる活性を有する蛋白質であることは、[4]〜[6]の蛋白質をコードするDNAで形質転換して得られる微生物の、リボヌクレオチドレダクターゼ活性をMicrobiology, 145, 1595 (1999)記載の方法により該微生物の野生型株と比較し、該微生物が野生型株に比べてリボヌクレオチドレダクターゼ活性が向上していることによっても確認することができる。
本発明の製造方法に用いる微生物を形質転換するDNAとしては、以下の[7]〜[12]のDNAがあげられる。
[7]配列番号1、3、5、7、9および11のいずれかで表されるアミノ酸配列からなる蛋白質をコードするDNA
[8]配列番号2、4、6、8、10および12のいずれかで表される塩基配列からなるDNA
[9]配列番号2、4、6、8、10および12のいずれかで表される塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ高濃度酸素要求性の微生物の低濃度酸素での生育を向上させる活性を有する蛋白質をコードするDNA
[10]配列番号13、15、17および19のいずれかで表されるアミノ酸配列からなる蛋白質より選ばれる蛋白質をコードするDNA
[11]配列番号14、16、18および20のいずれかで表される塩基配列からなるDNAより選ばれるDNA
[12]配列番号14、16、18および20のいずれかで表される塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAより選ばれ、かつ高濃度酸素要求性の微生物の低濃度酸素での生育を向上させる活性を有する蛋白質をコードするDNA。
ここでいう「ハイブリダイズする」とは、特定の条件下で特定の塩基配列を有するDNAまたは該DNAの一部にDNAがハイブリダイズすることをいう。したがって、該特定の塩基配列を有するDNAまたは該DNAの一部の塩基配列は、ノーザンまたはサザンブロット解析のプローブとして有用であるか、またはPCR解析のオリゴヌクレオチドプライマーとして使用できる長さのDNAであってもよい。プローブとして用いるDNAとしては、少なくとも100塩基以上、好ましくは200塩基以上、より好ましくは500塩基以上のDNAをあげることができるが、少なくとも10塩基以上、好ましくは15塩基以上のDNAであってもよい。
DNAのハイブリダイゼーション実験の方法はよく知られており、例えばモレキュラー・クローニング第2版、第3版(2001年)、Methods for General and Molecular Bacteriology, ASM Press(1994)、Immunology methods manual, Academic press (Molecular)に記載の他、多数の他の標準的な教科書に従ってハイブリダイゼーションの条件を決定し、実験を行うことができる。
上記のストリンジェントな条件とは、例えばDNAを固定化したフィルターとプローブDNAとを50%ホルムアミド、5×SSC(750mMの塩化ナトリウム、75mMのクエン酸ナトリウム)、50mMのリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハルト溶液、10%の硫酸デキストラン、および20μg/lの変性させたサケ精子DNAを含む溶液中で42℃で一晩、インキュベートした後、例えば約65℃の0.2×SSC溶液中で該フィルターを洗浄する条件をあげることができるが、より低いストリンジェント条件を用いることもできる。ストリンジェントな条件の変更は、ホルムアミドの濃度調整(ホルムアミドの濃度を下げるほど低ストリンジェントになる)、塩濃度および温度条件の変更により可能である。低ストリンジェント条件としては、例えば6×SSCE(20×SSCEは、3mol/lの塩化ナトリウム、0.2mol/lのリン酸二水素ナトリウム、0.02mol/lのEDTA、pH7.4)、0.5%のSDS、30%のホルムアミド、100μg/lの変性させたサケ精子DNAを含む溶液中で、37℃で一晩インキュベートした後、50℃の1×SSC、0.1%SDS溶液を用いて洗浄する条件をあげることができる。また、さらに低いストリンジェントな条件としては、上記した低ストリンジェント条件において、高塩濃度(例えば5×SSC)の溶液を用いてハイブリダイゼーションを行った後、洗浄する条件をあげることができる。
上記した様々な条件は、ハイブリダイゼーション実験のバックグラウンドを抑えるために用いるブロッキング試薬を添加、または変更することにより設定することもできる。上記したブロッキング試薬の添加は、条件を適合させるために、ハイブリダイゼーション条件の変更を伴ってもよい。
上記したストリンジェントな条件下でハイブリダイズ可能なDNAとしては、例えば上記したBLASTおよびFASTA等のプログラムを用いて、上記パラメータに基づいて計算したときに、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18または20で表される塩基配列と少なくとも80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上、特に好ましくは99%以上の相同性ないし同一性を有する塩基配列からなるDNAをあげることができる。
上記したDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAが、微生物の低濃度酸素での生育を向上させる活性を有する蛋白質をコードするDNAであることは、高濃度酸素要求性の微生物を宿主とし、該DNAを導入して得られる形質転換体の上記低濃度酸素条件における生育速度が野生型株の80%以上、好ましくは90%以上となることで確認できる。
本発明の製造方法で用いる微生物を形質転換するDNAは、例えばコリネ型細菌に属する微生物から斎藤らの方法〔Biochim. Biophys. Acta, 72, 619 (1963)〕に従い調製した染色体DNAを鋳型として、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18または20で表される塩基配列に基づき設計、合成したプライマーDNAを用いてPCRにより取得することができる。
例えば、コリネバクテリウム・グルタミカム ATCC13032株またはATCC31833株から染色体DNAを調製し、該DNAを鋳型として、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18または20で表されるそれぞれの塩基配列の5’末端および3’末端領域の配列を有するDNAをプライマーセットとして用いたPCRにより本発明のDNAを取得することができる。
取得できる具体的なDNAとしては、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18または20で表される塩基配列を有するDNAをあげることができる。
配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18および20で表される塩基配列は、NCBI GenBank accession No. BA000036に示される塩基配列中でそれぞれCgl0807、Cgl0600、Cgl1427、Cgl1102、Cgl2859、Cgl2857、Cgl2525、Cgl2530、Cgl2531、およびCgl2532として公開されている。
またCgl0807、Cgl0600、Cgl1427、Cgl1102、Cgl2859、Cgl2857、Cgl2525、Cgl2530、Cgl2531、およびCgl2532はそれぞれ、GenBank accession No. NC_003450で示される塩基配列中のNCgl0773、NCgl0575、NCgl1372、NCgl1057、NCgl2761、NCgl2760、NCgl2438、NCgl2443、NCgl2444、およびNCgl2445と対応している。
また、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18または20で表される塩基配列からなるDNAの一部、または全部をプローブとしたハイブリダイゼーション法、または配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18または20で表される塩基配列に基づき、公知の方法で該塩基配列を有するDNAを化学合成する方法等によっても取得することができる。
また、各種の遺伝子配列データベースに対して配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17または19で表されるアミノ酸配列をコードするDNAの塩基配列と85%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上、特に好ましくは99%以上の相同性ないし同一性を有する配列を検索し、該検索によって得られた塩基配列に基づき、該塩基配列を有する生物の染色体DNA、cDNAライブラリー等から上記した方法により本発明のDNA、または本発明の製造法に用いられるDNAを取得することもできる。
DNAの塩基配列は、通常用いられる塩基配列解析方法、例えばジデオキシ法 [Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 74, 5463 (1977)]、373A・DNAシークエンサー(パーキン・エルマー社製)等の塩基配列分析装置を用いて分析することにより決定することができる。
塩基配列を決定した結果、取得されたDNAが部分長であった場合は、該部分長DNAをプローブに用いた、染色体DNAライブラリーに対するサザンハイブリダイゼーション法等により、全長DNAを取得することができる。
取得したDNAをそのまま、または必要に応じてコリネ型細菌の発現に最適なコドンとなるように塩基を置換したDNAを調製し、さらに必要に応じて該蛋白質をコードする部分を含む適当な長さのDNA断片とし、コリネ型細菌に適した発現ベクターのプロモーターの下流に挿入して組換え体DNAを調製する。
ベクターとしては、微生物において自律複製可能または染色体中への組み込みが可能で、形質転換するDNAを転写できる位置にプロモーターを含有しているものが好ましく用いられる。
細菌等の原核生物を宿主細胞として用いる場合は、本発明のDNAを有する組換え体DNAは、原核生物中で自律複製可能であると同時に、プロモーター、リボソーム結合配列、本発明のDNA、転写終結配列より構成された組換え体DNAであることが好ましい。プロモーターを制御する遺伝子が含まれていてもよい。
例えば、コリネ型細菌を宿主細胞として用いる場合は、pCG1(特開昭57-134500)、pCG2(特開昭58-35197)、pCG4(特開昭57-183799)、pCG11(特開昭57-134500)、pCG116、pCE54、pCB101(いずれも特開昭58-105999)、pCE51、pCE52、pCE53〔いずれもMolecular and General Genetics, 196, 175 (1984)〕等が好適に用いられる。
ベクターに本発明のDNAを組み込んで得られる組換え体DNAは、プロモーター、リボソーム結合配列、本発明のDNA、転写終結配列、より構成されることが好ましい。プロモーターを制御する遺伝子が含まれていてもよい。
プロモーターとしては、宿主細胞(コリネ型細菌)中で機能するものであればいかなるものでもよい。例えば、trpプロモーター(P trp )、lacプロモーター、PLプロモーター、PRプロモーター、T7プロモーター等の、大腸菌やファージ等に由来するプロモーターをあげることができる。またPtrpを2つ直列させたプロモーター(Ptrp×2)、tacプロモーター、lacT7プロモーター、let Iプロモーターやコリネバクテリウム(Corynebacterium)属に属する微生物中で発現させるためのP54-6プロモーター[Appl. Microbiol. Biotechnol., 53, 674-679 (2000)]のように人為的に設計改変されたプロモーター等も用いることができる。
リボソーム結合配列であるシャイン−ダルガノ(Shine-Dalgarno)配列と開始コドンとの間は適当な距離(例えば6〜18塩基)に調節されていることが好ましい。転写終結配列は必ずしも必要ではないが、構造遺伝子の直下に転写終結配列が配置されていることが好ましい。
組換え体DNAの導入方法としては、微生物へDNAを導入できる方法であればいずれも用いることができ、例えば、カルシウムイオンを用いる方法[Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 69, 2110 (1972)]、プロトプラスト法(特開昭63-248394)、エレクトロポレーション法[Nucleic Acids Res., 16, 6127 (1988)]等をあげることができる。
高濃度酸素要求性の微生物の低濃度酸素での生育を向上させる活性を有する蛋白質をコードするDNAは、コリネ型細菌の染色体に組み込んでもよく、プラスミドとしてコリネ型細菌に導入して形質転換体としてもよい。また、高濃度酸素要求性の微生物の低濃度酸素での生育を向上させる活性を有する蛋白質をコードするDNAは、コリネ型細菌由来のDNAが好ましく使用される。
なお、宿主として用いる微生物として、アミノ酸、核酸等の有用物質の生産能を有しているものを用いた場合、得られる形質転換体は、そのまま有用物質の製造に用いることができるが、有用物質の生産能を有していないものを用いた場合においては、公知の方法により野生株を育種することによっても取得することができる。該公知の方法としては、
(a)有用物質の生合成を制御する機構の少なくとも1つを緩和または解除する方法、
(b)有用物質の生合成に関与する酵素の少なくとも1つを発現強化する方法、
(c)有用物質の生合成に関与する酵素遺伝子の少なくとも1つのコピー数を増加させる方法、
(d)有用物質の生合成経路から該有用物質以外の代謝産物へ分岐する代謝経路の少なくとも1つを弱化または遮断する方法、および
(e)野生型株に比べ、有用物質のアナログに対する耐性度が高い細胞株を選択する方法、
などをあげることができ、上記公知の方法は単独または組み合わせて用いることができる。
上記(a)〜(e)の具体的な方法は、例えば、有用物質がアミノ酸である場合には、上記(a)の方法に関してはAgric. Biol. Chem., 43, 105-111(1979)、J. Bacteriol.遺伝子、110, 761-763(1972)およびAppl. Microbiol. Biotechnol., 39, 318-323(1993)などに記載されている。上記(b)の方法に関しては、Agric. Biol. Chem., 43, 105-111(1979)およびJ. Bacteriol., 110, 761-763(1972)などに記載されている。上記(c)の方法に関しては、Appl. Microbiol. Biotechnol., 39, 318-323(1993)およびAgric. Biol. Chem., 39, 371-377(1987)などに記載されている。上記(d)の方法に関しては、Appl. Environ. Micribiol., 38, 181-190(1979)およびAgric. Biol. Chem., 42, 1773-1778(1978)などに記載されている。上記(e)の方法に関しては、Agric. Biol. Chem., 36, 1675-1684(1972)、Agric. Biol. Chem., 41, 109-116(1977)、Agric. Biol. Chem. , 37, 2013-2023(1973)およびAgric. Biol. Chem., 51, 2089-2094(1987)などに記載されている。上記文献等を参考に各種アミノ酸を生成、蓄積する能力を有する微生物を育種し、取得することができる。
さらに上記(a)〜(e)のいずれかまたは組み合わせた方法によるアミノ酸を生成する能力を有する微生物の育種方法については、Biotechnology 2nd ed., Vol.6, Products of Primary Metabolism (VCH Verlagsgesellschaft mbH, Weinheim, 1996) section 14a, 14bやAdvances in Biochemical Engineering/ Biotechnology 79, 1-35 (2003)、アミノ酸発酵、学会出版センター、相田 浩ら(1986)に多くの例が記載されており、また上記以外にも具体的なアミノ酸を生成、蓄積する能力を有する微生物の育種方法は、特開2003-164297、Agric. Biol. Chem., 39, 153-160 (1975)、Agric. Biol. Chem., 39, 1149-1153(1975)、特開昭58-13599、J. Gen. Appl. Microbiol., 4, 272-283(1958)、特開昭63-94985、Agric. Biol. Chem., 37, 2013-2023(1973)、WO97/15673、特開昭56-18596、特開昭56-144092および特表2003-511086など数多くの報告があり、上記文献等を参照することによりアミノ酸を生産する能力を有する微生物を育種することができる。
有用物質の製造は、本発明の製造法で用いる形質転換体を培地に培養して得られる培養物中に生成蓄積した有用物質を採取することにより行う。
本発明の製造法で用いる形質転換体の培養は、微生物を培養するための通常の培養法によって行うが、製造する有用物質により最適な条件とすることが好ましい。
形質転換体の培養のための培地の炭素源、窒素源、無機塩、その他の添加剤は、高濃度酸素要求性を判定するための培地と同じものを使用できる。
形質転換体の培養は、振とう培養、深部通気撹拌培養等の好気的条件下で行う。培養温度は通常20℃〜42℃であり、30℃〜40℃が好ましい。培地中のpHは、5〜9に維持することが好ましい。pHの調整は、無機あるいは有機の酸、アルカリ溶液、尿素、炭酸カルシウム、アンモニアなどを用いて行う。
培養期間は通常1〜6日間である。また、培養中必要に応じて、アンピシリンやテトラサイクリン等の抗生物質を培地に添加してもよい。
プロモーターとして誘導性のプロモーターを用いた組換え体DNAで形質転換した微生物を培養するときには、必要に応じてインデューサーを培地に添加してもよい。例えば、lacプロモーターを用いた組換えベクターで形質転換した微生物を培養するときにはイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド等を、trpプロモーターを用いた組換えベクターで形質転換した微生物を培養するときにはインドールアクリル酸等を培地に添加してもよい。
培養物中に生成、蓄積した有用物質は、菌体などの沈殿物を除去し、活性炭処理、イオン交換樹脂処理などの公知の方法を併用することにより回収することができる。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(1)コリネバクテリウム・グルタミカムATCC31833株(以下、単にATCC31833株ともいう)を常法によりニトロソグアニジンで変異処理した。処理後のATCC31833株をBY寒天培地(普通ブイヨン 20 g、酵母エキス 5 g、伊那寒天S-7 12 gを水1リットルに含み、水酸化ナトリウム水溶液によりpHを7.2に調整した培地)に塗布し、大気条件(濃度酸素21%)と酸素濃度0.5%条件で培養した。酸素濃度はアネロパック・ケンキ(三菱ガス化学株式会社製)を用い、マニュアルに従い設定した。レプリカ法により、酸素濃度0.5%条件では大気条件に比べて生育が悪化する株、あるいは生育できない株を高濃度酸素要求性株として選択した。これらの選択株の中から、6種の変異株を代表株として選抜し、それぞれOX-3株、OX-96株、OX-109株、OX-112株、OX-119株、OX-150株と命名した。第1表に示す種々の酸素濃度条件で、BY寒天培地を用いて30℃で2日間培養した。これら6株の各濃度酸素での生育を第1表に示す。なお、第1表中、++は生育良好なもの、+は生育不良なもの、-は生育しないものをそれぞれ示している。
Figure 2010095642
第1表に示すとおり、OX-3株、OX-96株、OX-109株、OX-112株、OX-119株およびOX-150株は、親株であるATCC31833株に比べて高濃度酸素要求性を示した。
(2)ATCC31833株の染色体DNAを、特開平6-169785記載の方法に準じて調製した。
ATCC31833株の染色体DNAとプラスミドpCSEK20(WO01/021774)を各々EcoRIで切断し、両切断物をライゲーションキットにより連結した。一方、ATCC31833株の染色体DNAとプラスミドpCS299P[Appl. Microbiol. Biotech., 63, 592 (2004)]を各々BamHIで切断し、両切断物をライゲーションキットにより連結した。
このようにして構築した2種類のゲノムライブラリを用いて、(1)で得た高濃度酸素要求性株、すなわち、OX-3株、OX-96株、OX-109株、OX-112株、OX-119株およびOX-150株を、特開平6-169785記載の方法に従って形質転換した。
得られた形質転換体の中から、カナマイシン20μg/mlを含有するBY寒天培地において酸素濃度0.5%条件で生育可能な株を、高濃度酸素要求性が回復した形質転換株として選択した。選択した形質転換株から、特開平6-169785記載のベクターの調製方法に従ってプラスミドDNAを単離した。
得られた各種プラスミドDNAを各制限酵素で切断し、解析した。その結果、OX-3株の高濃度酸素要求性を回復させるDNA断片として1.9KbのEcoRI切断断片を、OX-96株の高濃度酸素要求性を回復させるDNA断片として2.1KbのBamHI切断断片を、OX-109株の高濃度酸素要求性を回復させるDNA断片として3.2KbのEcoRI切断断片を、OX-112株の高濃度酸素要求性を回復させるDNA断片として1.1KbのEcoRI切断断片を、OX-119株の高濃度酸素要求性を回復させるDNA断片として1.8KbのBamHI切断断片と3.2KbのBamHI切断断片を、そしてOX-150株の高濃度酸素要求性を回復させるDNA断片として4.4KbのEcoRI切断断片をそれぞれ取得した。このようにして得られた1.9KbのEcoRI断片を含有するプラスミドをpEco1.9、2.1KbのBamHI断片を含有するプラスミドをpBam2.1、3.2KbのEcoRI断片を含有するプラスミドをpEco3.2、1.1KbのEcoRI断片を含有するプラスミドをpEco1.1、1.8KbのBamHI断片を含有するプラスミドをpBam1.8、3.2KbのBamHI断片を含有するプラスミドをpBam3.2、そして4.4KbのEcoRI断片を含有するプラスミドをpEco4.4と命名した。
pEco1.9、pBam2.1、pEco3.2、pEco1.1、pBam1.8、pBam3.2およびpEco4.4に挿入された各DNA断片の塩基配列を常法により決定した。
決定した塩基配列を、コリネバクテリウム・グルタミカムの全ゲノム情報(NCBI GenBank Accession No. BA000036)に基づいて解析した結果、pEco1.9が含有する1.9KbのEcoRI断片にはCgl0807が存在していた。pBam2.1が含有する2.1KbのBamHI断片にはCgl1101およびCgl1102が存在していた。pEco3.2が含有する3.2KbのEcoRI断片にはCgl2859およびCgl2861が存在していた。pEco1.1が含有する1.1KbのEcoRI断片にはCgl0600が存在していた。pBam1.8が含有する1.8KbのBamHI断片にはCgl1427が存在していた。pBam3.2が含有する3.2KbのBamHI断片にはCgl2857およびCgl2858が存在していた。pEco4.4が含有する4.4KbのEcoRI断片にはCgl2530、Cgl2531、Cgl2532およびCgl2533の4つの遺伝子が存在していた。
OX-3株の高濃度酸素要求性を相補するCgl0807遺伝子の塩基配列から推測されるアミノ酸配列を配列番号1に、塩基配列を配列番号2に示す。
OX-112株の高濃度酸素要求性を相補するCgl0600遺伝子の塩基配列から推測されるアミノ酸配列を配列番号3に、塩基配列を配列番号4に示す。
OX-119株の高濃度酸素要求性を相補するCgl1427遺伝子の塩基配列から推測されるアミノ酸配列を配列番号5に、塩基配列を配列番号6に示す。
一方、pBam2.1から種々のDNA断片を常法によりサブクローニングしてOX-96株の高濃度酸素要求性の回復能を調べた結果、Cgl1102遺伝子のみを含有するプラスミドpCgl1102がOX-96株の高濃度酸素要求性を回復させた。なお、プラスミドpCgl1102は、プラスミドpBam2.1を鋳型とし、配列番号21および22で表される塩基配列を有するDNAをプライマーとして用いてPCRを行って得られた0.5KbのDNA断片およびベクターpCS299PをBamHIで制限酵素処理し、両者を連結して得られたプラスミドである。Cgl1102遺伝子の塩基配列から推測されるアミノ酸配列を配列番号7に、塩基配列を配列番号8に示す。
同様に、pEco3.2から種々のDNA断片を常法によりサブクローニングしてOX-109株の高濃度酸素要求性の回復能を調べた結果、Cgl2859遺伝子のみを含有するプラスミドpCgl2859がOX-109株の高濃度酸素要求性を回復させた。なお、プラスミドpCgl2859は、プラスミドpEco3.2からBamHIによりCgl2861を切り出して除去し、再び連結して得られたプラスミドである。Cgl2859遺伝子の塩基配列から推測されるアミノ酸配列を配列番号9に、塩基配列を配列番号10に示す。
また、pBam3.2から種々のDNA断片を常法によりサブクローニングしてOX-119株の高濃度酸素要求性の回復能を調べた結果、Cgl2857遺伝子のみを含有するプラスミドpCgl2857がOX-119株の高濃度酸素要求性を回復させた。なお、プラスミドpCgl2857は、プラスミドpBam3.2を鋳型とし、配列番号23および24で表される塩基配列を有するDNAをプライマーとして用いてPCRを行って得られた1.4KbのDNA断片およびベクターpCS299PをBamHIで制限酵素処理し、両者を連結して得られたプラスミドである。Cgl2857遺伝子の塩基配列から推測されるアミノ酸配列を配列番号11に、塩基配列を配列番号12に示す。
さらに、pEco4.4から種々のDNA断片を常法によりサブクローニングしてOX-150株の高濃度酸素要求性の回復能を調べた結果、Cgl2530、Cgl2531およびCgl2532遺伝子を含有するプラスミドpHIEがOX-150株の高濃度酸素要求性を回復させた。なお、プラスミドpHIEは、ATCC31833株の染色体DNAを鋳型とし、配列番号25および26で表される塩基配列を有するDNAをプライマーとして用いてPCRを行って得られた3.8KbのDNA断片およびベクターpCS299PをKpnIで制限酵素処理し、両者を連結して得られたプラスミドである。
これら3遺伝子はリボヌクレオチドレダクターゼ関連タンパク質でCgl2525も同酵素の構成因子であることが報告されている[Microbiology, 145, 1595 (1999)]。それら4遺伝子を含むプラスミドpHIEFを構築してOX-150株の高濃度酸素要求性の回復能を調べた結果、4種全てを含むプラスミドpHIEFの方が3種のみ含むプラスミドpHIEよりも高い相補能を示した。なお、pHIEFはプラスミドATCC31833株の染色体DNAを鋳型とし、配列番号27および28で表される塩基配列を有するDNAをプライマーとして用いてPCRを行って得られた1.6KbのDNA断片およびプラスミドpHIEをBamHIで制限酵素処理し、両者を連結して得られたプラスミドである。
Cgl2525遺伝子の塩基配列から推測されるアミノ酸配列を配列番号13に、塩基配列を配列番号14に示す。Cgl2530遺伝子の塩基配列から推測されるアミノ酸配列を配列番号15に、塩基配列を配列番号16に示す。Cgl2531遺伝子の塩基配列から推測されるアミノ酸配列を配列番号17に、塩基配列を配列番号18に示す。Cgl2532遺伝子の塩基配列から推測されるアミノ酸配列を配列番号19に、塩基配列を配列番号20に示す。
(3)OX-3株、OX-3株にプラスミドpEco1.9を導入して得られたOX-3/pEco1.9株、OX-96株、OX-96株にプラスミドpCgl1102を導入して得られたOX-96/pCgl1102株、OX-109株、OX-109株にプラスミドpCgl2859を導入して得られたOX-109/pCgl2859株、OX-112株、OX-112株にプラスミドpEco1.1を導入して得られたOX-112/pEco1.1株、OX-119株、OX-119株にプラスミドpBam1.8を導入して得られたOX-119/pBam1.8株、OX-119株にプラスミドpCgl2857を導入して得られたOX-119/pCgl2857株、OX-150株、OX-150株にプラスミドpHIEFを導入して得られたOX-150/pHIEF株を、第2表に示す種々の酸素濃度条件で、BY寒天培地を用いて30℃で2日間培養した。結果を第2表に示す。なお、第2表中、++は生育良好なもの、+は生育不良なもの、-は生育しないものをそれぞれ示している。
Figure 2010095642
第2表に示すとおり、OX-3/pEco1.9株、OX-96/pCgl1102株、OX-109/pCgl2859株、OX-112/pEco1.1株、OX-119/pBam1.8株、OX-119/pCgl2857株およびOX-150/pHIEF株では、それぞれの宿主株と比較して高濃度酸素要求性が回復していた。
実施例1で取得したプラスミドpEco1.9、pCgl1102、pCgl2859、pEco1.1、pBam1.8、pCgl2857およびpHIEFを用い、特開平6-169785記載の方法に従ってL-リジン生産菌を形質転換した。L-リジン生産菌としては、遺伝形質が明らかなコリネバクテリウム グルタミカムAHP-3株(FERM BP-7382)を用いた。コリネバクテリウム グルタミカムAHP-3株は、コリネバクテリウム グルタミカムの野生株ATCC13032の染色体上のホモセリンデヒドロゲナーゼ遺伝子(hom)にアミノ酸置換変異Val59Ala、アスパルトキナーゼ遺伝子(lysC)にアミノ酸置換変異Thr331Ile、およびピルビン酸カルボキシラーゼ遺伝子(pyc)にアミノ酸置換変異Pro458Serを有する菌株である。カナマイシンに耐性となった各形質転換株から特開平6-169785記載のベクターの調製方法に従ってプラスミドDNAを単離した。これらのプラスミドの各種制限酵素での切断解析により、各形質転換株が各々のプラスミドを保有することを確認した。
これら各形質転換株と親株のL-リジン生産試験を試験管培養により次のように行った。BY寒天培地(肉エキス 7g、ペプトン 10g、塩化ナトリウム3g、酵母エキス 5g、バクトアガー 15gを水1Lに含み、pH7.2に調整した培地)で30℃、24時間培養した培養菌体1白金を、種培地(グルコース 20g、肉エキス 7g、ペプトン 10g、塩化ナトリウム3g、酵母エキス 5gを水1Lに含みpH7.2に調整後、炭酸カルシウムを10g加えた培地)5mlを含む太型試験管に植菌して30℃で13時間培養した。この種培養液 0.5mlを本培養培地(グルコース 50g、コーン・スティープ・リカー 10g、硫酸アンモニウム 45g、尿素2g、リン酸二水素カリウム 0.5g、硫酸マグネシウム7水和物 0.5g、ビオチン 0.3mgを水1Lに含みpH7.0に調整後、炭酸カルシウムを30g加えた培地) 7mlを含む太型試験管に接種し、30℃で72時間振とう培養した。遠心分離により培養物から菌体を除去し、上清中のL-リジン塩酸塩の蓄積量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により定量した。結果を第3表に示す。
Figure 2010095642
第3表から明らかなように、本発明の遺伝子を含むプラスミドを導入したAHP-3株では、L-リジンの生産効率は親株AHP-3に比べ有意に向上していた。
本発明によれば、高濃度酸素要求性の微生物の高濃度酸素要求性を回復させる活性を有する蛋白質をコードするDNAで形質転換された形質転換体を用いた有用物質の製造方法を提供することができる。
配列番号21−人工配列の説明:合成DNA
配列番号22−人工配列の説明:合成DNA
配列番号23−人工配列の説明:合成DNA
配列番号24−人工配列の説明:合成DNA
配列番号25−人工配列の説明:合成DNA
配列番号26−人工配列の説明:合成DNA
配列番号27−人工配列の説明:合成DNA
配列番号28−人工配列の説明:合成DNA

Claims (3)

  1. 有用物質を生産する能力を有する微生物を、高濃度酸素要求性の微生物の低濃度酸素での生育を向上させる活性を有する蛋白質をコードするDNAで形質転換して得られる形質転換体を培地に培養し、培養物中に有用物質を生成、蓄積させ、該培養物から該有用物質を採取することを特徴とする有用物質の製造法。
  2. 高濃度酸素要求性の微生物の低濃度酸素での生育を向上させる活性を有する蛋白質が、以下の[1]〜[6]のいずれかに記載の蛋白質である、請求項1記載の製造法。
    [1]配列番号1、3、5、7、9および11のいずれかで表されるアミノ酸配列を有する蛋白質
    [2]配列番号1、3、5、7、9および11のいずれかで表されるアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が欠失、置換または付加したアミノ酸配列からなり、かつ高濃度酸素要求性の微生物の低濃度酸素での生育を向上させる活性を有する蛋白質
    [3]配列番号1、3、5、7、9および11のいずれかで表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性ないし同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ高濃度酸素要求性の微生物の低濃度酸素での生育を向上させる活性を有する蛋白質
    [4]配列番号13、15、17および19のいずれかで表されるアミノ酸配列からなる蛋白質より選ばれる蛋白質
    [5]配列番号13、15、17および19のいずれかで表されるアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が欠失、置換または付加したアミノ酸配列からなる蛋白質より選ばれ、かつ高濃度酸素要求性の微生物の低濃度酸素での生育を向上させる活性を有する蛋白質
    [6]配列番号13、15、17および19のいずれかで表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性ないし同一性を有するアミノ酸配列からなる蛋白質より選ばれ、かつ高濃度酸素要求性の微生物の低濃度酸素での生育を向上させる活性を有する蛋白質。
  3. 高濃度酸素要求性の微生物の低濃度酸素での生育を向上させる活性を有する蛋白質をコードするDNAが、以下の[1]〜[6]のいずれかに記載のDNAである、請求項1または2記載の製造法。
    [1]配列番号1、3、5、7、9および11のいずれかで表されるアミノ酸配列からなる蛋白質をコードするDNA
    [2]配列番号2、4、6、8、10および12のいずれかで表される塩基配列からなるDNA
    [3]配列番号2、4、6、8、10および12のいずれかで表される塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ高濃度酸素要求性の微生物の低濃度酸素での生育を向上させる活性を有する蛋白質をコードするDNA
    [4]配列番号13、15、17および19のいずれかで表されるアミノ酸配列からなる蛋白質より選ばれる蛋白質をコードするDNA
    [5]配列番号14、16、18および20のいずれかで表される塩基配列からなるDNAより選ばれるDNA
    [6]配列番号14、16、18および20のいずれかで表される塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAより選ばれ、かつ高濃度酸素要求性の微生物の低濃度酸素での生育を向上させる活性を有する蛋白質をコードするDNA。
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