JPWO2010044491A1 - 水晶振動子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

水晶振動子に余分な外力を加えることなく高精度な微細調整を実現し、且つ、複数の水晶振動子を一括して調整できる水晶振動子の製造方法を提供する。所定の外形形状を形成する第1エッチング工程と、前記外形形状の表面の少なくとも一部に電極を形成する電極形成工程と、前記外形形状の漏れ振動による漏れ量を測定する漏れ量測定工程と、バランスを調整する為に前記漏れ量測定工程の測定結果に基づいた量のエッチングを前記外形形状に対して行う第2のエッチング工程を有することを特徴とする水晶振動子の製造方法。

Description

本発明は、振動型ジャイロセンサなどに利用される水晶振動子の製造方法に関し、特に面外振動である漏れ振動発生を抑制する製造方法に関する。
振動型ジャイロセンサなどに利用される音叉型の水晶振動子は、水晶ウェハから所定の形状の水晶振動子を切り出す工程、水晶振動子を発振させるための電極を形成する工程、電極が形成された水晶振動子を容器に実装する工程などによって製造される。特に、水晶振動子の形状が振動を決定し水晶振動子の性能に大きく影響するため、水晶ウェハから水晶振動子を切り出す外形形成工程は重要な工程である。
図1は従来の水晶振動子を模式的に示した斜視図である。
ここで、水晶振動子200の外形は、水晶ウェハからエッチング加工等による外形形成工程によって切り出される。この水晶振動子200は、振動型ジャイロセンサとして用いられる振動子であり、振動脚として2本の駆動脚201、202と1本の検出脚203とを有する三脚音叉型振動子である。
水晶振動子200を例えば振動型ジャイロセンサとして用いる場合、図1に示すX軸方向の屈曲振動を駆動振動、Z´軸方向の屈曲振動を角速度が印加された場合の検出振動として用いている。そのため、角速度が印加されていない状態ではZ´軸方向の振動は発生しない。
図2は、図1の従来の水晶振動子200のA−A´断面図であり、駆動脚201、202の断面が示されている。図2において、説明に必要のない部分は省略してある。図2(a)は、水晶振動子200の駆動脚の駆動振動を説明するための図であり、図2(b)は、水晶振動子200の駆動脚の斜めの駆動振動及び水晶の残渣形状を説明するための図である。
図2(a)は、水晶振動子200に角速度が印加されていない状態での理想的な駆動振動を示しており、その振動方向S1はX軸方向である。しかし、従来の製造方法で製作した水晶振動子においては、実際には角速度が印加されていない場合にも図2(b)に示すように、Z´軸方向の振動成分を有する斜め振動(振動方向S2)が観測される。
これは、水晶振動子の加工精度や水晶の異方性等に起因して、駆動振動(X軸方向の振動)のほかに、水晶振動子200に角速度が印加されていない状態において発生してはならない面外振動(Z´軸方向の振動)が発生するからである。
駆動脚201、202が斜め振動をすると、検出脚203の先端の軌跡は、Z´軸方向への直線的な振動、または、X−Z´面内における楕円振動となる。このZ´軸方向の振動成分は漏れ振動と呼ばれ、この漏れ振動によって検出脚203の検出電極からはコリオリ出力と無関係な漏れ信号が発生し、ジャイロセンサのS/N比を悪化させたり、温度特性を悪化させたりするという問題があった。
また、基準周波数発生用などの通常用途の音叉型水晶振動子の場合も、振動はX軸方向の屈曲振動を利用しており、Z´方向成分の漏れ振動はクリスタルインピーダンス(CI値)の上昇をもたらし、特性の悪化を招くという問題があった。
漏れ振動は、水晶振動脚断面形状の製造によるばらつきが影響を与えていると考えられる。特に、図2(b)に示したように、水晶振動子をエッチングで製造する際に形成される水晶の残渣形状のばらつきが影響を与えていると考えられる。即ち、水晶にはエッチング異方性があり、結晶の方向によってエッチング速度が異なるという特性を有する。そのために、エッチング後の水晶振動子における振動脚の側面は均一にエッチングされずに残渣が残る。
残渣の影響による漏れ振動の発生について考察する。
一般に、梁などの曲げについて考える場合、断面の主軸が考慮される。断面の主軸は、直交する2本の軸からなり、梁に主軸と同方向に曲げ力をかけると、梁は力と同方向に曲がる。一方、主軸と異なる方向に曲げ力をかけた場合には、梁は力がかけられた方向とは異なった方向に曲がる。
水晶振動子の場合、圧電効果によって曲げ力がかかるのは、X軸方向である。よって、主軸の一方がX軸と同じであれば、振動はX軸方向に起こり、漏れ振動は発生しない。一方、主軸がX軸から外れてZ´方向に傾くと、曲げ力のかかる方向と主軸の方向が一致しないため、振動はZ´軸成分を含んだ斜め振動となり、漏れ振動が発生する。
主軸は、その梁(振動脚)の断面形状によって決まる。単純な例では、対称軸を持つ断面に関しては、その対称軸およびそれと垂直な軸がその断面の主軸である。例えば、長方形の断面ならば、各辺の2等分線がそれぞれ主軸である。
漏れ振動のない水晶振動子を得ようとする場合、主軸の一方がX軸に平行である必要がある。主軸は直交する2本の軸なので、X軸かZ´軸に平行な対称軸が断面にあれば、X軸に平行な主軸が存在することになる。つまり、断面形状が上下対称か、左右対称であれば漏れ振動は発生しない。
すでに説明した例のように水晶振動子を製造した場合に、そうした対称軸を持った振動子が得られるのかどうかを考えてみる。水晶振動子をウェットエッチングで製造すると、振動脚側面には必ず残渣が残る。そのため、この残渣のでき方によって断面の主軸が決定される。水晶振動子の断面の主軸を考えるには、まず残渣がどのようにできるかを考える必要がある。残渣の形状は、エッチングの時間や条件によって異なるため、一概に言うことはできないが、概ね同じような傾向をたどるので、ここでは発明者の行った実験条件から観察できた結果に基づき残渣のでき方を説明する。
図3は、図1で示した水晶振動子200の振動脚のA−A´断面を、模式的に示した拡大断面図であり、振動脚における残渣の形成状態の一例を示すものである。ここでは、説明を簡単にするために一本の駆動脚201のみを記し、水晶の結晶軸の−X側の側面を第1側面、+X側の側面を第2側面とする。
図3(a)は、比較的短時間のエッチングの場合を示している。この場合、第2側面には、振動子の主平面、即ち表面201a及び裏面201bからZ´軸に対して約2°の角度をなす部分(浅い部分)と、約22°の角度をなす部分(深い部分)から構成される残渣が形成される。
この表面201a及び裏面201bからの深さはエッチングの時間によって異なるが、表面201a側及び裏面201b側とも同じ傾向を有している。
図3(b)は、比較的長時間のエッチングの場合を示している。この場合、約22°の角度をなす部分はなくなり、約2°の角度を成した部分から構成される残渣のみが残る。
また、第1側面に形成される残渣は、ごく小さいが、図3(a)、図3(b)に示したように、詳細に観察すると残渣は形成されている。この場合、残渣は、Z´軸に対して約1°の角度を成す部分から構成される。この第1側面の残渣形状は、時間による差はあまりない。即ち、エッチングは、エッチングマスク250a、250bの端部からスタートし、貫通するまでは表面側、裏面側で互いに影響を及ぼさず、独立して進行する。
このように、エッチングによって残渣ができるため、水晶ウェハの表裏両面からエッチングをする方法で水晶振動子を製造した場合、次のようなことが言える。まず、図3(a)、図3(b)は、水晶ウェハに形成された表面のエッチングマスク250a、裏面のエッチングマスク250bの位置が正確に合っている場合を示している。この場合、図示したように、短時間エッチングであっても、長時間エッチングであっても、エッチング後の駆動脚201の断面は、X軸に略平行な対称軸をもった上下対称形となり、X軸に略平行な主軸210を持つ。この場合、曲げ力のかかる方向と主軸210の方向とが共にX軸であって、ほぼ一致しているので漏れ振動はほとんど起こらない。
図4は、エッチングマスク250a、250bの位置がX軸方向にずれて形成されてしまった場合に形成された駆動脚201の断面図の一例を示している。
図示したように、駆動脚201の断面は、上下非対称となり、X軸に平行な対称軸も、Z´軸に平行な対称軸も持たない。
この場合、主軸211はX軸に対して平行ではなく、ズレ角θ1を有する。従って、曲げ力のかかる方向と主軸211の方向とが異なるので斜め振動となり、漏れ振動を発生してしまう。こうした断面の主軸と斜め振動の関係について、解析した文献が存在する(例えば、非特許文献1参照)。
図4に示すように、エッチングマスク250aと250bとの位置ずれ量eと、主軸211のX軸に対するズレ角θ1とは、相関関係にある。位置ずれ量eが増加すると、ズレ角θ1も大きくなり、漏れ振動は増大する。
ところで、水晶振動子の外形形成の製造方法としては、エッチングマスクを水晶ウェハの片面のみにパターニングし、もう一方の面は全面を金属耐食膜で覆っておき、片面からエッチングする方法、及びエッチングマスクの裏面パターンを表面パターンよりも幅広くし、表面パターンを基準パターンとしてエッチングする方法も知られている。
図5は表面パターンを基準パターンとしてエッチングする場合の一例を示した駆動脚の断面図である。
駆動脚221は、表面221aのエッチングマスク251aを基準パターンとして、表面より幅広く形成された裏面221bのエッチングマスク251bを利用して形成された。これにより、エッチングマスク251aと251bとが多少位置ずれしても、断面形状への影響は少ない。しかし、前述したように、水晶のエッチング異方性によって、第1側面にはZ´軸に対して約1°の角度を成した残渣が形成され、第2側面にはZ´軸に対して約2°の角度を成した残渣が形成される。したがって、駆動脚221の断面は図示するように上下非対称となり、主軸212はX軸と平行にならずに、ズレ角θ2を有し、漏れ振動が発生してしまう。
以上のように、振動型ジャイロセンサ等に用いられる水晶振動子は、エッチングマスクの精度に起因して漏れ振動が発生し、センサの検出精度等を悪化させるという不具合があった。
上記の不具合を解消するために、エッチングマスクを高精度に形成して、ある程度の漏れ振動を抑制することも可能であるが、高精度化には限界があり、またコスト高となる。また、残渣は無くすことができないので、漏れ振動の抑制は困難であった。
そこで、水晶振動子の外形形成後に振動脚をさらに加工する方法が提案されている。例えば、水晶振動子の振動脚の稜線を摺動させたテープによって研削して、振動脚のバランス調整によって漏れ振動を抑制する水晶振動子の特性調整方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
図6は特許文献1に示した水晶振動子の特性調整方法を説明するために模式的に示した構成図である。
テンションローラ300による重量によってテープ301に一定の負荷をかけ、その様なテープ301を基台311上の水晶振動子の振動脚310の稜線に当接させる。なお、水晶振動子は、図2に示したような振動脚の断面を示しているものとする。この状態で、駆動ローラ302を往復回転させることにより、振動脚310に研削部310aを形成して、振動脚310の重量バランスを調整する。
特許文献1に示した従来技術は、テンションローラ300を有することで振動脚310の稜線にテープ301を一定の力で押圧させながら摺動できる。最後に、テープ巻取りリール303を所定の量だけ回転させてテープ301を巻き取るとともに、テープ送り出しリール304を所定の量だけ回転させて、テープ301を送り出す。このような動作によって、振動脚と当接するテープ301の部分を新しい部分に変更することが可能となる。このテープを用いた特性調整方法は、重量バランスを厳密に調整できるので正確な角速度の検出が可能となり、またテンションローラ300によって振動子に過大な外力が加わらないので、振動子の破損を防止することができる可能性がある。
また、水晶振動子の振動脚の研削は、テープを振動脚に当接させて行うこと以外に、エッチングにより行うこともできる(例えば、特許文献2参照。)。
特許文献2には、圧電振動子の外形形成後に、電極膜等の金属膜をマスクにしてエッチングを行い、板厚を変更することによって、振動子の周波数−温度特性を調整する振動子の温度特性調整方法が開示されている。特許文献2に示した従来技術によれば、振動子形成後に再エッチングを行って、温度特性を調整できるので、周波数温度特性に優れた振動子を効率よく製造できる可能性がある。
特開2002−243451号公報(第7頁、第9図) 特開昭54−53889号公報(第3頁、第5図) 藤吉基弘、他5名、「水晶振動式角速度センサのモデル化と振動解析」、電気情報通信学会論文誌C、Vol.J87−C、No.9、p.712−719
しかしながら、特許文献1に示した水晶振動子の特性調整方法では、個々の振動子に対してひとつずつ脚を削るので、加工手番が多くなる。加工手番が多くなると、加工中の作業ミスや不良の発生の機会も増えるため、コストアップの要因ともなる。
また、バランス調整量が微細化すると、テープやリュータ等では振動脚に正確に接触できないので、微細な調整を実施することが困難である。
さらに、テンションローラを用いた研磨でも、振動子に対する外力は、ある程度加わるので、特に小型の振動子の調整作業においては、外力により振動子にクラックなどが入りやすく、歩留まり低下するという問題があった。
特許文献2に示した振動子の温度特性調整方法では、振動子形成後に再びエッチングを行って板厚を変更するが、その目的は振動子の周波数−温度特性の改善であり、振動子の漏れ振動の調整や補正を目的としておらず、漏れ振動調整に関しては、開示も示唆もされていない。
本発明の目的は、上記の問題を解決することを可能とした水晶振動子の製造方法を提供することである。
また、本発明の目的は、水晶振動子の漏れ振動調整において、水晶振動子に外力を加えることなく高精度な微細調整を実現することを可能とした水晶振動子の製造方法を提供することである。
さらに、本発明の目的は、複数の水晶振動子を一括して調整することが可能な水晶振動子の製造方法を提供することである。
さらに、本発明の目的は、水晶振動子の漏れ振動調整において、水晶振動子に外力を加えることなく高精度な微細調整を実現すると共に、複数の水晶振動子を一括して調整することが可能な水晶振動子の製造方法を提供することである。
本発明に係る水晶振動子の製造方法は、所定の外形形状を形成する第1エッチング工程と、前記外形形状の表面の少なくとも一部に電極を形成する電極形成工程と、前記外形形状の漏れ振動による漏れ量を測定する漏れ量測定工程と、バランスを調整する為に、前記漏れ量測定工程の測定結果に基づいた量のエッチングを前記外形形状に対して行う第2のエッチング工程を有することを特徴とする。
さらに、本発明に係る水晶振動子の製造方法では、前記第2のエッチング工程は、前記電極をマスクとして行われることが好ましい。
さらに、本発明に係る水晶振動子の製造方法では、前記漏れ量測定工程の測定結果に基づいて、前記電極を所定形状に加工する電極加工工程を更に有し、前記第2のエッチング工程は、前記電極加工工程において加工された前記電極をマスクとして行われることが好ましい。
さらに、本発明に係る水晶振動子の製造方法では、前記外形形状は、基部及び前記基部から延設された振動脚を有し、前記電極形成工程は、前記振動脚上に前記電極を形成することが好ましい。
さらに、本発明に係る水晶振動子の製造方法では、前記電極加工工程は、加工された前記電極の除去部分の前記電極の幅方向の略中心が、前記振動脚の幅方向の略中心より前記振動脚の幅方向にずれるように加工することが好ましい。
さらに、本発明に係る水晶振動子の製造方法では、前記電極形成工程と前記漏れ量測定工程との間に、前記電極形成工程により形成された前記電極をマスクとして前記振動脚をエッチングする粗調整工程を有することが好ましい。
さらに、本発明に係る水晶振動子の製造方法では、前記電極形成工程において、前記電極の幅方向の略中心と、前記電極が設けてある前記振動脚の幅の略中心とが、前記電極の幅方向に所定量ずらして形成されることが好ましい。
さらに、本発明に係る水晶振動子の製造方法では、前記電極加工工程は、前記漏れ量測定工程の測定結果に基づいて、前記電極において、前記振動脚の前記基部に近い領域である第1の領域と、前記振動脚の先端に近い領域である第2の領域とのどちらかの幅を狭くするように加工することが好ましい。
さらに、本発明に係る水晶振動子の製造方法では、前記電極加工工程は、前記漏れ量測定工程の測定結果により、多くの調整が必要なときは、前記第1の領域の前記電極の幅を狭くするように加工し、少ない調整が必要なとき、前記第2の領域の前記電極の幅を狭くするように加工することが好ましい。
さらに、本発明に係る水晶振動子の製造方法では、前記第2のエッチング工程と前記電極加工工程とを複数回行うとき、前記電極加工工程により最初に加工される前記電極は、前記第1の領域の前記電極であることが好ましい。
さらに、本発明に係る水晶振動子の製造方法では、前記第2のエッチング工程は、前記漏れ量測定工程の測定結果から得られた漏れ量の情報からエッチング量を加工時間に換算して、前記振動脚のエッチング除去量を決定することが好ましい。
さらに、本発明に係る水晶振動子の製造方法では、第2のエッチング工程によるエッチング除去部分は、1つの振動脚に複数個あり、前記エッチング除去部分は、前記振動脚の断面の振動軸中心を原点としたとき、前記原点を通り直交する2つの軸で定義される第1象限、第2象限、第3象限、第4象限のうち、前記原点を挟み対称となる象限に設けられる、ことが好ましい。
さらに、本発明に係る水晶振動子の製造方法では、第2のエッチング工程によるエッチング除去量は、前記振動脚の断面の振動軸中心を原点としたとき、前記原点を通り直交する2つの軸で定義される第1象限、第2象限、第3象限、第4象限のうち、前記原点を挟み対象となる象限において等しく、隣り合う象限の前記エッチング除去量が異なる、ことが好ましい。
さらに、本発明に係る水晶振動子の製造方法では、前記第1のエッチング工程において、単一の水晶板上に複数の前記外形形状を形成し、前記第2のエッチング工程において、複数の前記外形形状を同時にエッチングすることが好ましい。
さらに、本発明に係る水晶振動子の製造方法では、前記漏れ量測定工程は、複数の前記外形形状ごとに前記漏れ量を測定し、測定した前記漏れ量と前記外形形状との位置関係情報を記憶することが好ましい。
さらに、本発明に係る水晶振動子の製造方法では、前記電極加工工程は、前記電極にレーザ光を照射することにより行うことが好ましい。
さらに、本発明に係る水晶振動子の製造方法では、前記第1のエッチング工程において、漏れ振動の方向が見積もれる前記外形形状を形成し、前記電極形成工程において、前記第1のエッチング工程で形成した前記外形形状に応じてバランスを調整するための切欠部を有する前記電極を形成することが好ましい。
さらに、本発明に係る水晶振動子の製造方法では、前記外形形成工程は、平板形状の水晶板の両面にマスク部材を設け、両面の前記マスク部材同士の大きさを幅方向で異ならせることで、形成される前記外形形状の漏れ振動の方向が予め見積もれるように形成することが好ましい。
さらに、本発明に係る水晶振動子の製造方法では、前記外形形成工程は、平板形状の水晶板の両面にマスク部材を設け、両面の前記マスク部材同士は、互いに所定量ずれて配設されることで、形成される前記外形形状の漏れ振動の方向が予め見積もれるように形成することが好ましい。
さらに、本発明に係る水晶振動子の製造方法では、前記両面の前記マスク部材の幅方向の第1の側面のオフセット量をk1、第2の側面のオフセット量をk2、マスクの位置合わせ精度を±p、第1の側面のエッチング角度をα、第2の側面のエッチング角度をβ、前記平板形状の水晶板の厚みをt、とするとき、第1突出部の長さcと第2突出部の長さdは、
c=t×tan(α−90°)+k1
d=t×tan(β−90°)+k2
k1、k2>p
の関係を満たすことが好ましい。
本発明の水晶振動子の製造方法は、基部から延設する振動脚を備える外形形状を有し、該振動脚の主平面と側面との少なくとも一方に電極を備える水晶振動子の製造方法であって、平板形状の水晶板に所定の形状の耐エッチング用マスク部材を形成し、該マスク部材を用いて該水晶板を所定の形状にエッチングして外形形状を形成する外形形成工程と、振動脚を構成する主平面または側面のいずれかに電極を形成する電極形成工程と、水晶振動子の漏れ量を測定する漏れ量測定工程と、漏れ量測定工程の測定結果に基づいて電極を所定形状に加工する電極加工工程と、電極加工工程で所定形状に加工された電極をマスクにして振動脚をエッチングするバランス調整工程と、を有することを特徴とする。
また、基部から延設する振動脚を備える外形形状を有し、該振動脚の主平面と側面との少なくとも一方に電極を備える水晶振動子の製造方法であって、平板形状の単一の水晶板に所定の形状の耐エッチング用マスク部材を形成し、該マスク部材を用いて該水晶板を所定の形状にエッチングして複数の水晶振動子の外形形状を形成する外形形成工程と、振動脚を構成する主平面または側面のいずれかに電極を形成する電極形成工程と、各々の水晶振動子の漏れ量を測定する漏れ量測定工程と、漏れ量測定工程の測定結果に基づいて各々の水晶振動子の電極を所定形状に加工する電極加工工程と、電極加工工程で所定形状に加工された電極をマスクにして水晶板を一括エッチングするバランス調整工程と、を有することを特徴とする。
また、電極加工工程は、加工された電極の除去部分の電極の幅方向の略中心が、振動脚の幅方向の略中心より振動脚の幅方向にずれるように加工することができる。
また、漏れ量測定工程は、各々の水晶振動子ごとに漏れ量を測定すると共に、測定した各々の漏れ量と各々の水晶振動子との位置関係情報を計測し、電極加工工程は、位置関係情報に基づいて、各々の水晶振動子ごとに電極加工を行うことができる。
また、電極形成工程と漏れ量測定工程との間に、電極形成工程により形成された電極をマスクとして振動脚をエッチングする粗調整工程を有することができる。
また、電極形成工程の加工部位は、電極の幅方向の略中心と、電極が設けてある主平面の幅の略中心と、が電極の幅方向に所定量ずらして形成することができる。
また、電極加工工程は、電極にレーザ光を照射することでその一部を除去するようにしてもよい。
また、電極が設けてある主平面を平面からみたとき、振動脚の基部に近い領域を第1の領域とし、それよりも振動脚の先端方向の領域を第2の領域として定義し、電極加工工程は、漏れ量測定工程の測定結果に基づいて、それら2つの領域のどちらかの電極の幅を狭くするように加工することができる。
また、電極加工工程は、漏れ量測定工程の測定結果により、多くの調整が必要なときは、第1の領域の電極の幅を狭くするように加工し、少ない調整で済むときは、第2の領域の電極の幅を狭くするように加工することができる。
また、バランス調整工程と電極加工工程とを複数回行うとき、電極加工工程により最初に加工される電極は、第1の領域の電極とすることができる。
また、バランス調整工程は、漏れ量測定工程の測定結果から得られた漏れ量の情報からエッチング量を加工時間に換算して、振動脚のエッチング除去量を決定することができる。
また、調整工程または粗調整工程による主平面に有するエッチング除去部分は、1つの振動脚に複数個設けてあり、振動脚の断面の振動軸中心を原点としたとき、原点を通り直交する2つの軸で定義される第1象限、第2象限、第3象限、第4象限のうち、原点を挟み対称となる象限に設けるように加工されるようにしてもよい。
また、調整工程または粗調整工程による主平面に有するエッチング除去量は、振動脚の断面の振動軸中心を原点としたとき、原点を通り直交する2つの軸で定義される第1象限、第2象限、第3象限、第4象限のうち、原点を挟み対象となる象限のエッチング除去量が等しく、隣り合う象限のエッチング除去量が異なるように加工されるようにしてもよい。
本発明の水晶振動子の製造方法によれば、振動子の外形形成後に再エッチングによって振動脚を加工して漏れ振動を調整するので、テープやリュータ等による研磨とは異なり、振動子に余分な外力を加える必要がない。したがって、振動子の歩留まり低下、信頼性低下等を来すことなく、安定して正確に漏れ振動を調整することができる。
また、本発明の水晶振動子の製造方法によれば、漏れ量の測定結果に基づいて電極が加工され、その電極をマスクにして再エッチングが行われるので、高精度で微細な漏れ振動の調整が可能であり、漏れ振動が無視できる程度に抑制された高性能な水晶振動子を製造することができる。
さらに、本発明の水晶振動子の製造方法によれば、単一の水晶ウェハに形成された複数の水晶振動子に対して一括してエッチングで調整できるので、調整工程が簡素化され、工数を削減できると共に、ばらつきが少なく性能が均一で安定した特性の水晶振動子を効率よく大量に製造することができる。
本発明によって製造された水晶振動子をジャイロセンサとして用いるならば、漏れ振動に影響されない高精度な振動型ジャイロセンサを実現することができる。また、本発明によって製造された水晶振動子を周波数基準用の水晶振動子として用いるならば、CI値を低く抑えられるので、低消費電力の高性能な周波数基準用水晶振動子を実現することができる。
本発明の水晶振動子の製造方法は、基部から延設する振動脚を備える外形形状を有し、該振動脚の主平面と側面に電極を備える水晶振動子の製造方法であって、平板形状の水晶板に所定の形状の耐エッチング用マスク部材を形成し、該マスク部材を用いて該水晶板を水晶振動子の漏れ振動の方向が予め見積もれるような形状にエッチングして外形形状を形成する外形形成工程と、振動脚を構成する主平面に、見積もった漏れ振動の方向に基づいてバランス調整をするための切欠部を備える電極を形成する電極形成工程と、電極形成工程で形成された電極をマスクにして振動脚をエッチングするバランス調整工程と、を有することを特徴とする。
また、外形形成工程は、単一の水晶板に複数の外形形状を形成し、バランス調整工程は、複数の水晶板を一括エッチングすることもできる。
また、切欠部を有する電極の幅方向の略中心は、振動脚の幅方向の略中心に対して振動脚の幅方向にずれている形状であってもよい。
また、外形形成工程は、平板形状の水晶板の両面にマスク部材を設け、両面のマスク部材同士は、その大きさを振動脚の幅方向で異ならせることで、形成される水晶振動子の漏れ振動の方向が予め見積もれるようにしてもよい。
また、両面のマスク部材の幅方向の第1の側面のオフセット量をk1、第2の側面のオフセット量をk2、マスクの位置合わせ精度を±p、第1の側面のエッチング角度をα、第2の側面のエッチング角度をβ、平板形状の水晶板の厚みをt、とするとき、第1突出部の長さcと第2突出部の長さdは、
c=t×tan(α−90°)+k1
d=t×tan(β−90°)+k2
k1、k2>p
の関係を満たすようにしてもよい。
また、外形形成工程は、平板形状の水晶板の両面にマスク部材を設け、両面のマスク部材同士は、互いに所定量ずれて配設されることで、形成される水晶振動子の漏れ振動の方向が予め見積もれるようにしてもよい。
また、バランス調整工程の前に、水晶振動子の漏れ量を測定する漏れ量測定工程を有するようにしてもよい。
また、漏れ量測定工程は、単一の水晶板に複数の外形形状を形成してある場合、各々の水晶振動子ごとに漏れ量を測定すると共に、測定した各々の漏れ量と各々の水晶振動子との位置関係情報を計測し、バランス調整工程は、各々の水晶振動子のうち、最も少ない漏れ量をバランス調整の目標値としてエッチング量を決定するようにしてもよい。
また、漏れ量測定工程は、単一の水晶板に複数の外形形状を形成してある場合、各々の水晶振動子ごとに漏れ量を測定すると共に、測定した各々の漏れ量と各々の水晶振動子との位置関係情報を計測し、バランス調整工程は、各々の水晶振動子の漏れ量の平均値をバランス調整の目標値としてエッチング量を決定することを特徴とする。
また、漏れ量測定工程は、単一の水晶板に複数の外形形状を形成してある場合、各々の水晶振動子ごとに漏れ量を測定すると共に、測定した各々の漏れ量と各々の水晶振動子との位置関係情報を計測し、バランス調整工程は、各々の水晶振動子の漏れ量の代表値をバランス調整の目標値としてエッチング量を決定するようにしてもよい。
また、バランス調整工程は、漏れ量測定工程の測定結果から得られた漏れ量の情報からエッチング量を加工時間に換算して、振動脚のエッチング除去量を決定するようにしてもよい。
また、バランス調整工程による主平面に有するエッチング除去部分は、1つの振動脚に複数個あり、振動脚の断面の振動軸中心を原点としたとき、原点を通り直交する2つの軸で定義される第1象限、第2象限、第3象限、第4象限のうち、原点を挟み対称となる象限に設けるように加工されるようにしてもよい。
また、バランス調整工程による主平面に有するエッチング除去量は、振動脚の断面の振動軸中心を原点としたとき、原点を通り直交する2つの軸で定義される第1象限、第2象限、第3象限、第4象限のうち、原点を挟み対称となる象限のエッチング除去量が等しく、隣り合う象限のエッチング除去量が異なるように加工されるようにしてもよい。
本発明の水晶振動子の製造方法によれば、振動子の外形形成後に再エッチングによって振動脚を加工して漏れ振動を調整するので、テープやリュータ等による研削とは異なり、振動子に余分な外力を加えることなく加工でき、振動子の歩留まり低下、信頼性低下等を来すことなく、安定して正確に漏れ振動を調整することができる。
また、外形形成工程によって水晶振動子の外形に特徴付けをすることで、水晶振動子の漏れ振動の方向が予め見積もれるので、この漏れ振動の方向に基づいた切欠部を備える電極を駆動脚に形成する。これにより、漏れ振動のバランス調整は、この切欠部を備える電極をマスクとしたエッチング加工で行うことができ、切欠部の大きさや位置、また、エッチング加工時間を調整することで、正確で微細な漏れ振動の調整が可能となり、漏れ振動が高精度に抑制された水晶振動子を製造することができる。
また、単一の水晶ウェハに形成された複数の水晶振動子に対して一括エッチング加工でバランス調整ができるので、調整工程が簡素化されて工数が削減できると共に、ばらつきが少なく性能が均一で安定した特性の水晶振動子を効率よく大量に製造することができる。
また、本発明によって製造された水晶振動子をジャイロセンサとして用いるならば、漏れ振動に影響されない高精度な振動型ジャイロセンサを実現できる。また、周波数基準用の水晶振動子として用いるならば、CI値を低く抑えられるので、低消費電力の高性能な周波数基準用水晶振動子を実現できる。
図1は、従来の水晶振動子の一例を示す斜視図である。
図2(a)及び図2(b)は、図1で示す従来の水晶振動子の振動脚のA−A´断面図である。
図3(a)及び図3(b)は、従来の水晶振動子の振動脚の残渣を説明する拡大断面図である。
図4は、従来の水晶振動子の振動脚の一例を示す拡大断面図である。
図5は、片面マスクによって製造された従来の水晶振動子の振動脚の一例を示す拡大断面図である。
図6は、従来の水晶振動子の特性調整方法を説明する構成図である。
図7は、本発明の製造方法によって製造された水晶振動子の一例を示す斜視図である。
図8は、本発明の第1の製造方法の工程を説明するフローチャートである。
図9(a)〜図9(e)は、本発明の第1の製造方法の外形形成工程を説明する断面図である。
図10は、本発明の第1の製造方法の外形形成工程によって水晶ウェハに形成された複数の水晶振動子片の斜視図である。
図11(a)〜図11(d)は、本発明の第1の製造方法の電極形成工程を説明する断面図である。
図12は、本発明の第1の製造方法の電極形成工程によって形成された振動脚の電極を示す拡大断面図である。
図13は、本発明の第1の製造方法の漏れ量測定工程を実施する漏れ量測定システムの一例を示す説明図である。
図14は、本発明の第1の製造方法の電極加工工程によって水晶振動子片にレーザ光が照射され駆動電極の一部が除去された一例を示す上面図である。
図15(a)〜図15(d)は、本発明の第1の製造方法の電極加工工程によって漏れ量に応じて電極がどのように加工されるかの一例を示す説明図である。
図16は、本発明の第1の製造方法のバランス調整工程において、水晶振動子片の駆動脚の第2象限と第4象限がエッチング除去されることを説明する拡大断面図である。
図17は、本発明の第1の製造方法のバランス調整工程において、水晶振動子片の駆動脚の第1象限と第3象限がエッチング除去されることを説明する拡大断面図である。
図18は、本発明の第1の製造方法のバランス調整工程において、エッチング量を加工時間に換算して行う調整方法を説明する拡大断面図である。
図19(a)〜図19(c)は、本発明の第1の製造方法によって製造された溝付き水晶振動子の漏れ調整を説明する断面図である。
図20(a)〜図20(c)は、溝付き水晶振動子の他の漏れ調整を説明するための断面図である。
図21は、図8に示すステップST3〜ST7を他の工程により置き換えた水晶振動子の製造方法を示すフローチャートである。
図22は、図21に示すフローチャートの実施経過を説明するための一例を示す図である。
図23は、図21に示すフローチャートの実施経過を説明するための他の例を示す図である。
図24は、調整の具体例を示す図である。
図25は、水晶振動子片のトリミング位置を説明するための図である。
図26は、漏れ量単位当たりの効き量(mV/μm)と根元位置からの距離(μm)の関係を示す図である。
図27は、図8に示すステップST3〜ST7を他の工程により置き換えた水晶振動子の他の製造方法を示すフローチャートである。
図28は、図27に示すフローチャートの実施経過を説明するための一例を示す図である。
図29は、本発明の第2の水晶振動子の製造方法の工程順を説明するフローチャートである。
図30は、本発明の第2の水晶振動子の製造方法の電極形成工程によって形成された振動脚の電極を示す上面図である。
図31は、本発明の第2の水晶振動子の製造方法の粗調整工程によって水晶振動子片の駆動脚の一部がエッチング除去されることを説明する拡大断面図である。
図32は、本発明の第3の製造方法によって製造された水晶振動子の一例を示す斜視図である。
図33は、本発明の第3の製造方法の工程順を説明するフローチャートである。
図34(a)〜図34(e)は、本発明の第3の製造方法の外形形成工程を説明する断面図である。
図35(a)及び図35(b)は、本発明の第3の製造方法の表面エッチングマスクより裏面エッチングマスクが所定量だけ大きく配設されて外形形成される水晶振動子の駆動脚の拡大断面図である。
図36は、本発明の第3の製造方法の外形形成工程によって水晶ウェハに形成された複数の水晶振動子片の斜視図である。
図37(a)〜図37(d)は、本発明の第3の製造方法の電極形成工程を説明する断面図である。
図38は、本発明の第3の製造方法の電極形成工程によって形成された振動脚の電極の接続の一例を示す拡大断面図である。
図39は、本発明の第3の製造方法の電極形成工程によって形成された電極の一例を示す上面図である。
図40(a)及び図40(b)は、本発明の第3の製造方法の電極形成工程によって形成された電極の他の例を示す上面図である。
図41は、本発明の第3の製造方法のバランス調整工程において、水晶振動子片の駆動脚の第2象限と第4象限がエッチング除去されることを説明する拡大断面図である。
図42は、本発明の第4の製造方法の工程順を説明するフローチャートである。
図43は、本発明の第4の製造方法の漏れ量測定工程を実施する漏れ量測定システムの一例を示す説明図である。
図44は、本発明の第5の製造方法の工程順を説明するフローチャートである。
図45は、本発明の第5の製造方法のバランス調整工程において、バランス調整のために再エッチングを複数回実施することを説明する拡大断面図である。
図46(a)及び図46(b)は、本発明の製造方法によって製造された溝付き水晶振動子の漏れ調整を説明する断面図である。
図47(a)〜図47(e)は、本発明の第6の製造方法の外形形成工程を説明する断面図である。
図48は、本発明の第6の製造方法のバランス調整工程において、水晶振動子片の駆動脚の第2象限と第4象限がエッチング除去されることを説明する拡大断面図である。
図49は、本発明の第6の製造方法のバランス調整工程において、水晶振動子片の駆動脚の第1象限と第3象限がエッチング除去されることを説明する拡大断面図である。
以下図面に基づいて本発明に係る製造方法を詳述する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
図7は、本発明の製造方法で製造される水晶振動子の一例を示す図である。
図7は水晶振動子10を模式的に示した斜視図であり、説明に関係のない部分、例えば、水晶振動子をパッケージなどの封止部材に封止する際に導電性接着剤等を付着させる固定部分などは省略してある。
水晶振動子10は、すでに説明した例と同様に水晶ウェハからエッチング加工によって切り出されて形成されるものである。水晶振動子10は、振動型ジャイロセンサとして用いられる振動子であり、振動脚として2本の駆動脚11、12と1本の検出脚13とを有する三脚音叉型振動子である。なお、水晶振動子10は、三脚音叉型に限定されず、例えば、二脚音叉型やT型音叉、H型音叉などでもよい。また、水晶振動子10は、振動型ジャイロセンサ以外にも利用することが可能である。
駆動脚11、12と検出脚13とは、基部14から延設するように形成されている。駆動電極20、21は駆動脚11、12の主平面と側面に形成されており、検出電極22は検出脚13の主平面と側面とに形成されている。調整エリア30は水晶振動子10の漏れ振動を調整する領域である。調整エリア30において、駆動電極20、21がレーザ加工によってその一部が除去され、バランス調整工程では、加工された駆動電極をマスクにして駆動脚11、12が再エッチングされる。
本発明の大きな特徴は、駆動電極20、21の調整エリア30において、水晶を再エッチング加工し、この箇所の駆動脚11、12の厚みを調整することによって漏れ振動を抑制することである。なお、この水晶振動子10は、X軸が幅方向に、Y´軸が長手方向に、Z´軸が厚み方向になるように形成されている。この水晶振動子10は、後述する第1及び第2の製造方法で製造されるすべての水晶振動子に共通である。
図8は、本発明の水晶振動子の第1の製造方法の各工程順を示したフローチャートである。
以下では、単一の水晶ウェハに複数の水晶振動子を形成し、水晶振動子の集合体として一括して製造する製造方法について説明する。しかしながら、本発明の水晶振動子の第1の製造方法は、水晶振動子の集合体による一括製造に限定されるものではなく、1つの水晶ウェハや水晶板に対して1つの水晶振動子を形成する製造方法に適用することも可能である。
最初に、単一の水晶板である水晶ウェハに耐エッチング用マスク部材を形成し、複数の水晶振動子片の外形形状を形成する外形形成工程が実施される(ステップST1)。耐エッチング用マスク部材は、例えば、金(Au)を用いることができる。なお、この場合、金の下地にクロム(Cr)を形成してもよい。即ち、耐エッチング用マスク部材は、積層膜構造であってもよい。このように下地にクロム(Cr)を用いることで、水晶と金(Au)との密着性が向上する。耐エッチング用マスク部材を形成した後、これをマスクとして、所定のエッチング液を用いて水晶ウェハをエッチングし、水晶振動子片の外形を形成する。
次に、形成された水晶振動子片の振動脚を構成する主平面または側面に電極を形成する電極形成工程が実施される(ステップST2)。この工程で形成される電極は、図7に示す例では、駆動電極20、21および検出電極22である。
次に、水晶ウェハに形成された各々の水晶振動子片を駆動して、漏れ振動の漏れ量を測定する漏れ量測定工程が実施される(ステップST3)。漏れ量測定工程は、水晶ウェハに形成される全ての水晶振動子片の漏れ量を測定するが、漏れ量のばらつきが少ない場合などは、抜き取りで一部の水晶振動子片のみについて漏れ量の測定を行ってもよい。
次に、漏れ量測定工程で得た測定結果に基づいて、各々の水晶振動子片の電極を所定形状に加工する電極加工工程が実施される(ステップST4)。この工程で加工された電極の形状とは、調整エリア30の部分に電極を有さない駆動電極20、21の形状である(図7参照)。
次に、電極加工工程で所定形状に加工された電極をマスクにして水晶ウェハを一括エッチングするバランス調整工程が実施される(ステップST5)。図7に示す例では、調整エリア30の駆動脚11、12の水晶がエッチングされることとなる。
次に、バランス調整工程が実施された水晶ウェハ上の各々の水晶振動子片を駆動して、漏れ振動の漏れ量を再び測定する漏れ量測定工程が実施される(ステップST6)。
次に、ステップST6の漏れ量測定工程で得た測定結果に基づいて、漏れ量が規定値以内であるかを判定する(ステップST7)。ここで、肯定判定(漏れ量が規定値以内)であれば、水晶振動子の漏れ振動が無視できる程度に抑制されたので、漏れ振動調整を終了する。また、否定判定(漏れ量が規定値以上)であれば、ステップST4へ戻り(図中、実線F1)、漏れ量が規定値以内になるまでステップST4からステップST7を繰り返し実行する。
漏れ振動調整が終了したならば、各々の水晶振動子は水晶ウェハから切り離され、封止部材に封止されて製品として完成する。なお、漏れ振動調整後の工程は本発明に直接係わらないので、説明は省略する。
なお、1枚の水晶ウェハに形成される複数の水晶振動子片の中で、ある水晶振動子片の漏れ量が規定値以内となり、他の水晶振動子片の漏れ量が規定値以上である場合は、漏れ量が規定値以内となった時点で、その水晶振動子片を水晶ウェハから切り離して次の封止工程へ送り、規定値以上の水晶振動子片だけが付いた水晶ウェハをステップST4へ戻すようにしても良い。このようにすれば、ステップST6の漏れ量測定工程での測定回数を減らすことができるので、作業効率を向上させることができる。
また、上述の説明では、漏れ量が規定値以内になるまでステップST4からステップST7を繰り返し実行する例を説明したが、ステップST5からステップST7を繰り返し実行してもよい。つまり、ステップST5のバランス調整工程におけるエッチングを、少しずつ複数回に分けてエッチングするのである。
即ち、ステップST5のバランス調整工程での1回目のエッチングを行い、ステップST6の漏れ量測定工程とステップST7の判定とを行い、ステップST5のバランス調整工程に戻り(図中、破線F2)、第2回目のエッチングを行うのである。もちろん、これらのループをさらに繰り返してもよい。そして、最終的に漏れ量が規定値以内になるようにするのである。このようにすれば、ステップST5のバランス調整工程において、駆動脚11、12へのエッチングのし過ぎを防止することができる。
次に、各工程の詳細を説明する。
まず、図9を用いて水晶振動子の外形形成工程(ステップST1)の詳細を説明する。
図9は、水晶ウェハ上に形成される水晶振動子片の振動脚の断面を模式的に示す断面図である。図9は、図7に示す水晶振動子10が2つ並んだ状態を示すものであって、駆動脚11、12と検出脚13との先端方向から基部14の方向に向かって見た図である。
図9(a)に示す、所定の板厚に調整された平板形状の単一の水晶板である水晶ウェハ1の両面に、図9(b)に示すように、水晶用のエッチング液に耐性のある金属耐食膜2a、2bと、その上にフォトレジスト3a、3bと、を形成する。図9(a)に示す例では、図面を見やすくするために、金属耐食膜2a、2bは、単層膜として記載しているが、前述のとおり、金(Au)とクロム(Cr)との積層膜を用いることができる。これらの金属膜は、公知の蒸着技術やスパッタ技術を用いて形成することができる。また、フォトレジスト3a、3bは、公知のスピンコート技術を用いて形成することができる。
次に、図9(c)に示すように、互いに向かい合わせたときに誤差を除いては正確に重なる振動子パターンがそれぞれ描画された2枚のフォトマスク4a、4bを水晶ウェハ1の上下に配置し、フォトマスク4a、4bの上から光(矢印B)を照射してフォトレジスト3a、3bを露光する。
次に、図9(d)に示すように、フォトレジスト3a、3bの現像を行い、形成したレジストパターンをマスクとして金属耐食膜2a、2bをパターニングし、耐エッチング用マスク部材であるエッチングマスク5a、5bを形成する。金属耐食膜2a、2bを金(Au)とクロム(Cr)との積層膜を用いたときは、これら2つの金属膜それぞれをエッチングする。例えば、ヨウ素とヨウ化カリウムとの混合溶液を用いて、金(Au)をエッチングする。水洗後、硝酸第2セリウムアンモニウム溶液を用いて、クロム(Cr)をエッチングする。
次に、フォトレジスト3a、3bを剥離し、表裏両面にエッチングマスク5a、5bの形成された水晶ウェハ1を水晶用エッチング液であるフッ酸系のエッチング液に浸漬する。すると、図9(e)に示すように、エッチングマスク5a、5bに覆われていない部分の水晶が表裏両側から溶解する。その後、エッチングマスク5a、5bを除去することによって、水晶振動子片の振動脚である駆動脚11、12と検出脚13とが得られる。水晶用エッチング液は、例えば、フッ酸とフッ化アンモニウムとの混合溶液を用いることができる。図9に示す例では、振動脚の断面のみを示しているが、実際にはこの外形形成工程(ステップST1)によって、図7に示す水晶振動子10の外形の全体が形成される。
図10は、この外形形成工程によって水晶ウェハ1に形成された複数の水晶振動子片7の様子を説明するために模式的に示す斜視図である。
この水晶振動子片7は、エッチングによって溶解された溶解部8から切り出されたように形成され、個々の水晶振動子片7は、水晶ウェハ1と連結部71によって結合されている。連結部71は、バランス調整が終了した後に切断される部分であって、いわゆる折り取り部と呼ばれる部分である。連結部71の部分を切断すると、水晶振動子片7は水晶ウェハ1から分離して図7に示す水晶振動子10として完成する。
なお、図10では、1枚の水晶ウェハ1に6個の水晶振動子片7を形成する例を示しているが、この個数は図10の例に限定されるものではない。水晶振動子片7は、得たい水晶振動子の性能や特性によりそのサイズや形状が選択され、それに伴って水晶ウェハ1のサイズが決まるためである。もちろん、1枚の水晶ウェハ1に形成する水晶振動子片7の数が多ければ、多数の水晶振動子を一括して製造できるため、製造コストを低減することができる。
次に、図11を用いて電極形成工程(ステップST2)の詳細を説明する。
図11は、図10に示すC−C´断面を模式的に示した断面図であって、駆動脚11、12と検出脚13との断面を示している。
図11(a)に示す、駆動脚11、12と検出脚13との表面に、図11(b)に示すように、金属膜200と、その上にフォトレジスト300と、を形成する。
図11(b)に示す例では、図面を見やすくするために、金属膜90は、単層膜として記載しているが、クロム(Cr)を下地にしてその上に金(Au)を設ける積層膜とすることができる。金属膜90は、公知の蒸着技術やスパッタ技術を用いて形成することができる。また、フォトレジスト91は、公知のスプレー法や電着法などを用いて形成することができる。
次に、図11(c)に示すように、駆動脚11、12と検出脚13とに設ける電極の形状がそれぞれ描画された2枚のフォトマスク92a、92bを水晶ウェハ1の上下に配置し、フォトマスク92a、92bの上から光(矢印B)を照射してフォトレジスト91を露光する。なお、図11(c)では、光を斜めから照射する、いわゆる斜め露光を行う例を示している。
次に、図11(d)に示すように、フォトレジスト91の現像を行い、形成したレジストパターンをマスクとして金属膜90をパターニングし、駆動電極20a、20b、20c、20d、21a、21b、21c、21dと検出電極22a、22b、GND電極22cとを形成する。
次に各電極の接続例を説明する。
図12は、電極形成工程によって振動脚である駆動脚11、12と検出脚13とに形成される電極の接続の一例を示す図である。駆動脚11の主平面である対向する2面に駆動電極20a、20bが形成され、駆動脚12の主平面である対向する2面に駆動電極21c、21dが形成されている。また、駆動脚11の側面である対向する2面に駆動電極21a、21bが形成され、駆動脚12の側面である対向する2面に駆動電極20c、20dが形成されている。
これらの駆動電極20a、20b、20c、20dは、それぞれ電気的に接続されて駆動電極端子20として外部に出力している。また、駆動電極21a、21b、21c、21dも、それぞれ電気的に接続されて駆動電極端子21として外部に出力している。
また、検出脚13には、その角の部分に対となる検出電極22a、22bが形成され、それぞれ検出電極端子22、23として外部に出力している。また、検出電極22a、22bに対向する面のGND電極22cは、GND電極端子24として外部に出力しており、図示しない回路のGND(0V)に接続している。もちろん、図12に示す電極構造または電極同士の接続構造は、これに限定されず、水晶振動子の仕様に応じて任意に決定することができる。
なお、以上の説明に用いた図9、図10、図11、図12に示す例では、駆動脚11、12と検出脚13とのそれぞれの側面は、前述した如く、残渣によって平面ではないが、図示しやすいように残渣の形状を省略している。
次に、図13を用いて漏れ量測定工程(ステップST3)を説明する。
図13は、漏れ量測定工程を実施するための漏れ量測定システムの一例を示している。図13において、7a〜7fは水晶振動子片である。
水晶振動子片7a〜7fが形成された水晶ウェハ1は、XYステージ60に載せられ固定されている。61は複数の電極端子62を有するプローブであり、XYステージ60の上部に配設されている。このプローブ61の電極端子62は、水晶ウェハ1の水晶振動子片7a〜7fに形成される駆動電極端子20、21と検出電極端子22、23(図12参照)、GND電極端子24に電気的に接触する。
また、制御部63は漏れ量測定を制御し、プローブ61と接続ケーブル64とを介して接続されている。駆動部65は、制御部63からの制御信号に基づいてXYステージ60を駆動し、水晶ウェハ1をX方向、又はY方向に移動して、プローブ61が全ての水晶振動子片のそれぞれの電極に接触できるように動作する。また、制御部63と接続されたメモリ66には、制御部63によって、水晶ウェハ1のすべての水晶振動子片7の漏れ量情報が、それぞれの水晶振動子片の位置情報と共に記憶される。
次に、漏れ量測定システムの動作を説明する。図13において、制御部63は駆動部65に制御信号を送ってXYステージ60を駆動し、水晶ウェハ1に形成される所定の水晶振動子片7a〜7fの電極がプローブ61の直下に位置するように水晶ウェハ1を移動させる。図13に示す例では、水晶振動子片7fがプローブ61の真下に位置している。
次に、プローブ61は図示しない昇降手段によって降下し、電極端子62が水晶振動子片7fの電極に接触する。
次に、制御部63は、水晶振動子片7fを振動させる駆動信号を接続ケーブル64を介してプローブ61に送り、水晶振動子片7fの駆動電極端子20、21に駆動信号が供給されて水晶振動子片7fは振動を開始する。
次に、制御部63は、水晶振動子片7fの検出電極端子22、23から検出信号をプローブ61を介して入力し、この検出信号から漏れ信号成分を検出して、その漏れ量を水晶振動子片7fの位置関係情報と共にメモリ66に記憶する。即ち、この漏れ量測定工程の測定結果は、測定した水晶振動子片の漏れ量と、その水晶振動子片の位置関係情報と、で構成されている。なお、水晶振動子片の位置関係情報は、XYステージ60の所定の原点からのX軸位置、Y軸位置として計測される位置情報である。また、漏れ量測定は当然であるが角速度を印加しない状態で行われる。
次に、制御部63は、ひとつの水晶振動子片の漏れ量測定が終わったならば、駆動部65に制御信号を送ってXYステージ60を駆動し、隣に位置する水晶振動子片の電極がプローブ61の直下に位置するように水晶ウェハ1を移動させる。例えば、水晶振動子片7fの測定が終了したならば、隣の水晶振動子片7eがプローブ61の真下に位置するようにXYステージ60を駆動する。
以降、水晶ウェハ1に形成される水晶振動子片を順次駆動して漏れ量を測定し、水晶振動子片7a〜7fの個々の漏れ量と位置関係情報とをメモリ66に記憶する。この場合、メモリ66には、6つの水晶振動子片の漏れ量と、それに対応した6つの水晶振動子片の位置関係情報と、が記憶される。
なお、水晶ウェハ1に設けてある水晶振動子片の全ての漏れ量を測定しなくてもよい。例えば、水晶振動子片7aを測定し、その漏れ量が、水晶振動子片7b〜7fの漏れ量だと仮定することも可能である。このような仮定は、過去に測定した水晶ウェハや他の水晶ウェハの情報、例えば、水晶ウェハ1の膜厚や外形形成工程(ステップST1)のエッチング条件などを用いることでなすことができる。この場合、メモリ66には、1つの水晶振動子片の漏れ量と、6つそれぞれの水晶振動子片の位置関係情報と、が記憶される。
また、水晶ウェハ1に設けてある水晶振動子片をグループに分けて漏れ量を測定してもよい。例えば、隣り合う水晶振動子片7a、7b、7cを測定し、これらが同じ漏れ量だったならば、水晶振動子片7d、7e、7fも同じ漏れ量だと予測し、水晶振動片7dを測定した時点で水晶振動片7e、7fも同じ漏れ量だと仮定することも可能性である。つまり、水晶振動子片を、水晶振動子片7a、7b、7cと水晶振動子片7d、7e、7fとの2つのグループに分けるのである。このような仮定やグループ分けは、上述の例と同じく、過去に測定した水晶ウェハや他の水晶ウェハの情報を用いて傾向を分析するなどしてなすことができる。この場合、メモリ66には、グループ分けされた水晶振動子片の情報と、そのグループごとの水晶振動子片の漏れ量と、水晶振動子片の位置関係情報と、が記憶される。
さらにまた、水晶ウェハ1に設けてある水晶振動子片を選択する、いわゆる抜き取り測定を行ってもよい。例えば、水晶ウェハ1に設けてあるいずれかの水晶振動子片1つまたは、予め決められた個数の水晶振動子片をランダムに選んで測定し、その平均値を水晶ウェハ1の漏れ量として記憶してもよいのである。この場合、メモリ66には、選択して測定した個数の水晶振動子片の漏れ量と、6つの水晶振動子片の位置関係情報と、が記憶される。
次に、電極加工工程(ステップST4)を説明する。
この電極加工工程は、前述の漏れ量測定工程で取得した水晶ウェハ1の各々の水晶振動子片7a〜7fの漏れ量と位置関係情報に基づき、レーザ光を照射して電極の一部を除去する電極加工システムによって実施される。
この電極加工システムは、一例として基本的には図13で示した漏れ量測定システムのプローブ61の替わりにレーザ照射器が配置される構成であるので、図13を参照して説明する。この電極加工システムでは、制御部63によって駆動部65を制御してXYステージ60を駆動し、XYステージ60上の各々の水晶振動子片7の駆動脚の電極をレーザ照射器(図示せず)からのレーザ光によって加工する。レーザは、例えば、YAGレーザを用いることができる。
図14は、水晶振動子片7の上面図であり、図13に示す水晶振動子片7a〜7fのいずれかを示すものである。なお、以後の説明で水晶振動片を説明するときは、簡略化して水晶振動子片7と称する。そして、上述のレーザ照射器から駆動電極にレーザ光が照射され、駆動電極の一部が除去された一例を示している。図14に示す例では、レーザ光をスポット状の円形状にして照射している。
駆動脚11の主平面に形成される駆動電極20aと、同じく駆動脚12の主平面に形成される駆動電極21cとの先端付近に、スポット状のレーザ光を連続して照射し、電極の幅方向の一方の端部が、電極の長手方向に連続して除去される。この電極が除去された部分は、水晶振動子片7の水晶表面が露出し、略長方形状の調整エリア30が形成される(図14にて破線で示すエリア)。この調整エリア30が形成されることによって、その部分で残された電極幅W2は、図示するように調整エリア30が形成されていない電極幅W1より狭くなる。
そして、水晶の表面が露出した調整エリア30は、後の工程であるバランス調整工程による再エッチングによって表面が溶解し、駆動脚11、12の断面形状が調整されて漏れ振動が抑制される。
なお、図14に示す例では、レーザ光を照射して除去する電極の部分(調整エリア30)は、図面向かって左側の端部に設ける例を示したが、これは一例である。しかしながら、このレーザ光を照射して除去する電極の部分は、駆動脚11、12の幅方向にずれていなければならない。例えば、レーザ光を照射して除去する電極の部分の平面からみた幅方向の略中心は、駆動脚11、12の幅方向の略中心より、この駆動脚の幅方向にずれて設けるのである。また、レーザ光を照射して除去する電極の部分の形状が平面で見たときに長方形状であったとしたならば、その部分は、図14に示す例のように、駆動脚11、12の幅方向の略中央と幅方向の端部との間に入るように設けてもよい。
即ち、この電極加工工程により形成された電極をマスクとして、ステップST5のバランス調整工程にて水晶をエッチングしてバランス調整するのであるから、調整エリア30は、駆動脚11、12がエッチングにより水晶振動子のバランスが変わるような部分に設けなくてはならない。
図15は、調整エリア30が電極加工工程によってどのように形成されるかを説明するための説明図である。
ここで、水晶振動子片7の基部14に近い領域を第1領域及び第1領域よりも振動脚の先端方向を第2領域として定義した。調整エリア30が第1領域に形成されると、その領域は基部14に近いので駆動脚11、12の振動に対する影響が大きい。また、調整エリア30が第2領域に形成されると、その領域は駆動脚11、12の先端付近であるので、駆動脚11、12の振動に対する影響は比較的小さい。なお、図15における調整エリア30は簡略化して長方形状として示しているが、図14に示す例のように、電極に対してレーザ光をスポット状の円形状にして連続して照射したときは、連続した円形状に電極が除去されたエリアとなる。
図15(a)は、水晶振動子片7の漏れ量が少ない場合に加工される調整エリア30を示している。即ち、水晶振動子片7の漏れ量が少ない場合は、水晶振動子片7は少しだけ調整されればよいので、調整エリア30は図示するように駆動脚11、12の主平面の第2領域の一部に形成されて、その部分の駆動電極20a、21cの電極幅が狭くなる。このように、影響が比較的小さい第2領域に調整エリア30を形成することで、少ない漏れ量に対応して微細な電極加工が行えるので、高精度に漏れ量を調整することができる。
図15(b)は、水晶振動子片7の漏れ量が中程度である場合に加工される調整エリア30を示している。ここで、水晶振動子片7は中程度に調整される必要があるので、調整エリア30は図示するように駆動脚11、12の主平面の第2領域のほぼすべてに形成されて駆動電極20a、21cの電極幅が狭くなる。これにより、中程度の漏れ量が調整されるので、漏れ振動を抑制することができる。
図15(c)は、水晶振動子片7の漏れ量がやや大きい場合に加工される調整エリア30を示している。ここで、水晶振動子片7は、大きく調整される必要があるので、調整エリア30は図示するように駆動脚11、12の主平面の第1領域の一部に形成されて駆動電極20a、21cの電極幅が狭くなる。これにより、やや大きい漏れ量が調整されるので、漏れ振動を抑制することができる。
図15(d)は、水晶振動子片7の漏れ量がかなり大きい場合に加工される調整エリア30を示している。ここで、水晶振動子片7は、かなり大きく調整される必要があるので、調整エリア30は図示するように駆動脚11、12の主平面の第1領域と第2領域との両方に形成されて駆動電極20a、21cの電極幅が狭くなる。これにより、かなり大きい漏れ量が調整されるので、漏れ振動を抑制することができる。
このように、電極加工工程は、漏れ量測定工程で得た各々の水晶振動子片7の漏れ量情報と位置関係情報とに基づいて、調整エリア30の加工領域とその加工量とを決定し、レーザ光によって駆動脚11、12の電極を加工する工程である。
なお、調整エリア30は、図15の図面上で検出脚13に近い側の偏った領域に形成されているが、水晶振動子片7の裏面の駆動電極20b、21d(図12参照)では、反対に検出脚13から遠い側の偏った領域に形成される。この調整エリア30の偏り方向は、主軸の傾き方向に応じて決定されるが、その詳細な説明は後述する。また、図15において調整エリア30は、水晶振動子片7の主平面から側面にまたがるように、駆動脚の角部に形成する例を示したが、調整エリア30は主平面にのみ形成されてもよい。
また、水晶ウェハ1の裏面にレーザ光を照射して加工する場合は、水晶ウェハ1を電極加工システムのXYステージ60に裏返しにして載せるか、または、XYステージ60をレーザ光の妨げにならない構造にして、XYステージ60の裏側から水晶ウェハ1にレーザ光を照射すればよい。
次に、図16に基づいてバランス調整工程(ステップST5)を説明する。
このバランス調整工程は、電極加工工程で駆動脚11、12の駆動電極が所定形状に加工された後、この加工された駆動電極をマスクにして水晶ウェハ1を再び一括エッチングして水晶振動子片7の駆動脚11、12の断面形状を修正して振動のバランス調整を行い、漏れ量を調整して水晶振動子片7の漏れ振動を抑制する工程である。
図16は水晶ウェハ1に形成された水晶振動子片7の一方の駆動脚11の断面の一例であり、図12に示す方向と同一の方向から見た図である。
水晶ウェハ1をエッチング加工してできた水晶振動子片7の振動脚には残渣があり、且つ、水晶ウェハ1から水晶振動子片7を切り出すためのエッチングマスクが上下で位置ずれ量eだけずれた(裏面マスクが図面上右側にずれた)と仮定すると、駆動脚11の断面は図示するように上下非対称となり、駆動脚11の主軸35(破線で示す)はX軸に平行にならずズレ角θ1を持つ。(このような駆動脚の形状については、図4を用いて説明した従来技術の水晶振動子の駆動脚201の断面と類似する。)これにより、駆動脚11は斜め振動となって漏れ振動が発生する。
前述した漏れ量測定工程は、この漏れ振動を検出して漏れ量を測定し、電極加工工程は駆動脚11の主平面の表面と裏面に形成されている駆動電極20a、20bの一部を加工して調整エリア30a、30bが形成される。このバランス調整工程では、水晶ウェハ1を再びエッチング液に浸漬して一括エッチングを行い、調整エリア30a、30bで露出した水晶振動子片7の表面および裏面がエッチング除去されて(図16に示す破線部分)、その部分の駆動脚11の厚みが僅かに減少する。調整エリア30a、30bの水晶がエッチング除去されることによって、上下非対称となった断面形状が補正され、主軸35は主軸35´(実線)のように修正されて漏れ振動が抑制される。
また、駆動脚11の主平面の表面である駆動電極20a側の調整エリア30aは、駆動電極20aの図面上左側に偏って形成され、駆動脚11の主平面の裏面である駆動電極20b側の調整エリア30bは、駆動電極20bの図面上右側に偏って形成される。
ここで、調整エリア30a、30bを、駆動脚11の主平面の表面と裏面とに形成する理由は、水晶振動子片7がZ´方向に特異的に速い速度でエッチングされる水晶の特性を利用する為である。この特性により、主平面に形成された調整エリア30a、30bは、バランス調整工程の再エッチングによって短時間でZ´方向にエッチングが進行し、断面形状が修正される。
また図16では、調整エリア30a、30bを駆動脚11の主面から側面にまたがるように、駆動脚の角部に形成する例を示したが、もちろん、調整エリア30a、30bを主面のみに設けてもよい。
ここで、調整エリアによるエッチング除去部分の位置関係をまとめて述べると、図16において調整エリア30a、30bは、駆動脚11の振動軸中心を原点Pとし、この原点Pを通り直交する2つの軸x、yで定義される第1象限、第2象限、第3象限、第4象限のうち、原点Pを挟み対象となる象限に設けるように加工され形成される。これにより、調整エリア30a、30bによるエッチング除去量は、原点Pを挟み対象となる象限のエッチング除去量が等しく、隣り合う象限のエッチング除去量が異なるように加工される。
図16に示す調整エリア30a、30bは、一例として第2象限と第4象限とに形成されるが、表面マスクが裏面マスクに対して左方向にずれて形成されていたためであり、ずれて偏って形成された水晶部分を打ち消すように、調整エリア30a、30bを第2象限と第4象限に形成することで、その主軸35の傾きを修正することができるからである。
図17はエッチングマスクが図16とは逆方向に、即ち、裏面側のマスクが図面上左側に位置ずれ量eだけずれた場合を示す水晶振動子片7の駆動脚11の断面図である。
この場合は、図示するようにずれて偏って形成された水晶部分を打ち消すように、調整エリア30a、30bを第1象限と第3象限とに形成すればよい。即ち、第1象限と第3象限とに形成された調整エリア30a、30bの水晶がエッチング除去されることによって、上下非対称となった断面形状が補正され、依然として断面形状は上下非対称であるが、主軸35は主軸35´(実線)のように修正されて漏れ振動が抑制される。
すでに説明した例では、漏れ量の大きさに基づいて調整エリアの領域と範囲とを変えて漏れ振動の調整を行ったが、この調整方法に限定されるものではなく、例えば、調整エリアの領域と範囲とを限定し、漏れ量の大きさに基づいてエッチング量を加工時間に換算して、振動脚のエッチング除去量を決定するようにしてもよい。
図18はエッチング量を加工時間に換算して行う調整方法の一例を説明するための図である。
図18において、調整エリア30a、30bの破線で示すエッチング深さK1、K2は、エッチングでの加工時間の違いによる調整エリア30a、30bの深さの違いを示している。ここで、エッチング深さK1は再エッチングの加工時間が短い場合であり、エッチング深さK2は再エッチングの加工時間が長い場合である。
即ち、漏れ量測定工程での測定の結果、漏れ量が小さければ、再エッチングの加工時間を短く設定してエッチング深さK1まで加工し、漏れ量が大きければ、再エッチングの加工時間を長く設定してエッチング深さK2まで加工する。これにより、漏れ量に応じてエッチング除去量を調整でき、主軸35の傾きは主軸35´(実線)のように修正されて漏れ振動を抑制することができる。なお、漏れ量に基づいた調整を、調整エリアの領域と範囲とを変える方法と、エッチング量を加工時間に換算する方法の両方を取り入れて漏れ振動の調整を行ってもよい。
以下、駆動脚に溝が形成されている水晶振動子片へ、上記の第1の製造方法を適用する場合について説明する。
図19は、水晶ウェハ1に形成された水晶振動子片7の一方の駆動脚11の他の例であり、主平面の表と裏に水晶振動子片7の長手方向に沿って複数の溝15が形成された駆動脚11の断面図である。
溝15が形成された水晶振動子は公知であるが、この溝15の内側に形成される電極15aと側面の駆動電極21a、21bの一部が対向することによって水晶振動子に加わる電界が増加し、水晶振動子の駆動力を向上させることができる。図19では複数の溝15を設けた例を示したが、単一の溝でもよい。
まず、図19(a)に示す溝15を有する駆動脚11の主平面の表面と裏面に、図19(b)に示すように、電極加工工程によって駆動電極20a、20bの一部を加工して電極を除去し、調整エリア30a、30bを形成する。
次に、図19(c)に示すように、バランス調整工程によって水晶ウェハ1を再びエッチング液に浸漬して一括エッチングを行い、調整エリア30a、30bで露出した駆動脚11の表面および裏面をエッチング除去して(破線部分)、その部分の駆動脚11の厚みを僅かに減少させる。この調整エリア30a、30bの水晶がエッチング除去されることによって、上下非対称となった断面形状が補正され、漏れ振動が抑制される。
調整エリア30a、30bは、図示するように、溝15から駆動脚11の端部(角部)に至る領域に形成されることが好ましいが、幅方向に制限のある場合には、中央部分まで調整エリアとして利用することもできる。また、調整エリア30a、30bの位置は、図16及び図17に示すように、ずれて偏って形成された水晶部分を打ち消すように主軸の傾きに応じて形成する。
図20は、複数の溝15が形成された駆動脚11の他の部分を調整エリアとした場合を示した図である。
まず、図20(a)に示す溝15を有する駆動脚11の主平面の表面と裏面に、図20(b)に示すように、電極加工工程によって溝15の内側の駆動電極20a、20bの一部を加工して電極を除去し、調整エリア30a、30bを形成する。
次に、図20(c)に示すように、バランス調整工程によって水晶ウェハ1を再びエッチング液に浸漬して一括エッチングを行い、調整エリア30a、30bで露出した駆動脚11の表面および裏面をエッチング除去して(破線部分)、その部分の駆動脚11の厚みを僅かに減少させる。この調整エリア30a、30bの水晶がエッチング除去されることによって、上下非対称となった断面形状が補正され、漏れ振動が抑制される。
図20に示すように、溝15の内側の駆動電極20a、20bの一部を加工して電極を除去し、調整エリア30a、30bを形成した場合には、効き量が小さいので微調整を行うのに適している。なお、図19に示すように、溝15の外側に調整エリアを形成するのと併用して、図20に示すように、溝15の内側に調整エリアを形成するようにしても良い。
図8に示す水晶振動子の製造方法では、ステップST6において測定した漏れ量がステップST7で規定値以内ではない場合には、常に、所定の手順を繰り返すこととなる。そこで、図8のステップST3〜ST7を予め定められた手順で行う製造方法について以下に説明する。
図21は、図8に示すステップST3〜ST7を他の工程により置き換えた水晶振動子の製造方法を示すフローチャートである。
図8のステップST2の後、水晶ウェハに形成された各々の水晶振動子片を駆動して、漏れ振動の初期漏れ量を測定する初期漏れ量測定工程が実施される(ステップST10)。漏れ量測定工程は、図8のステップST3と同様に、図13に示す漏れ測定システムを利用して実施される。
次に、初期漏れ量測定工程で得た測定結果に基づいて、第1バランス調整工程、第2バランス調整工程共に完了したときに、測定された漏れ量がゼロとなることを目標として、調整エリア30に対して、各々の水晶振動子片の電極を所定形状に加工する第1電極加工工程が実施される(ステップST11)。第1バランス調整工程と第2バランス調整工程のエッチング時間が同じ場合は、第1バランス調整工程終了時の漏れ量目標値は、初期漏れ測定量の1/2である。第1電極加工工程は、目標値が異なるだけで、図8のステップST4と同様の方法によって実施される。
次に、第1電極加工工程で所定形状に加工された電極をマスクにして水晶ウェハを一括エッチングする第1バランス調整工程が実施される(ステップST12)。第1バランス調整工程は、図8のステップST4と同様の方法によって実施される。
次に、水晶ウェハに形成された各々の水晶振動子片を駆動して、漏れ振動の2次漏れ量を測定する2次漏れ量測定工程が実施される(ステップST13)。漏れ量測定工程は、図8のステップST3と同様に、図13に示す漏れ測定システムを利用して実施される。
次に、2次漏れ量測定工程で得た測定結果に基づいて、漏れ量をゼロとすることを目標として、調整エリア30に対して、各々の水晶振動子片の電極を所定形状に加工する第2電極加工工程が実施される(ステップST14)。第2電極加工工程は、目標値が異なるだけで、図8のステップST4と同様の方法によって実施される。
次に、第2電極加工工程で所定形状に加工された電極をマスクにして水晶ウェハを一括エッチングする第2バランス調整工程が実施される(ステップST15)。第2バランス調整工程は、図8のステップST4と同様の方法によって実施される。
次に、第2バランス調整工程が実施された水晶ウェハ上の各々の水晶振動子片を駆動して、漏れ振動の漏れ量を測定する最終漏れ量測定工程が実施される(ステップST16)。
次に、ステップST16の最終漏れ量測定工程で得た測定結果に基づいて、漏れ量が規定値以内であるかを判定し(ステップST17)。肯定判定(漏れ量が規定値以内)であれば、水晶振動子の漏れ振動が無視できる程度に抑制されたので、漏れ振動調整を終了する。また、否定判定(漏れ量が規定値以上)であれば、個別処理やその振動子を利用しないようにする廃棄処理等を行う。
図22は、図21に示すフローチャートの実施経過を説明するための一例を示す図である。
ステップST10における初期漏れ量がV(mV)であった場合、第1バランス調整工程によって目標とする漏れ量をV/2に設定して、時刻T0〜時刻T1の間エッチング処理を行う。図22の場合、時刻T0〜時刻T1間の間隔と時刻T1〜時刻T2間の間隔を、1:1に設定したため目標とする漏れ量はV/2となるためである。次に、ステップST13において(時刻T1)、2次漏れ量を測定する。
図22において、折れ線40(点線)は、時刻T1における2次漏れ量が誤差によりV/2より大きくなってしまった場合である。この場合、漏れ量調整速度が遅いので、第2バランス調整工程においてより漏れ量調整の効き量が多くなるように第2電極加工工程(ST14)で第1電極加工と同方向に加工する調整を行い、最終的に漏れ量がゼロになるように調整を進める。逆に、図22において、折れ線41(一点鎖線)は、時刻T1における2次漏れ量が誤差によりV/2より小さくなってしまった場合である。この場合、漏れ量調整速度が速いので、第2バランス調整工程において漏れ量調整の効き量が少なくなるように第2電極加工工程(ST14)で第1電極加工と逆方向に加工する調整を行い、最終的に漏れ量がゼロになるように調整を進める。
次に、ステップST16において(時刻T2)、最終漏れ量測定を行って、最終的な漏れ量の誤差が、規定値以内か否かの判断を行うこととなる。
このように、図21及び図22に示した製造方法では、2段階で、漏れ量の調整を行うので、簡易且つ容易に、最終的な漏れ量を、規定値以内に調整し易い。なお、図21及び図22に示した例では、第1のバランス調整工程と第2のバランス調整工程におけるエッチング時間を同じに設定したが(時刻T0〜T1と時刻T1〜T2の間隔を同じに設定)、そのような条件以外に設定するようにしても良い。
図23は、図21に示すフローチャートの実施経過を説明するための他の例を示す図である。
ステップST10における初期漏れ量がV(mV)であった場合、第1バランス調整工程によって目標とする漏れ量をV/4に設定して第1電極加工工程を行い、時刻T0〜時刻T1の間第1バランス調整工程のエッチング処理を行う。図23の場合、時刻T0〜時刻T1間の間隔と時刻T1〜時刻T2間の間隔を、3:1に設定した。次に、ステップST13において(時刻T1)、2次漏れ量を測定する。
図23において、折れ線40(点線)は、誤差により時刻T1における2次漏れ量がV/4より大きくなってしまった場合である。この場合、漏れ量調整速度が遅いので、第2バランス調整工程においてより漏れ量調整効き量が多くなるように第2電極加工工程で第1電極加工と同方向に電極加工する調整を行い、最終的に漏れ量がゼロになるように調整を進める。逆に、図23において、折れ線41(一点鎖線)は、時刻T1における2次漏れ量が誤差によりV/4より小さくなってしまった場合である。この場合、漏れ量調整速度が速いので、第2バランス調整工程において漏れ量調整効き量が少なくなるように第2電極加工で第1電極加工と逆方向に電極加工する調整を行い、最終的に漏れ量がゼロになるように調整を進める。
次に、ステップST16において(時刻T3)、最終漏れ量測定を行って、最終的な漏れ量の誤差が、規定値以内か否かの判断を行うこととなる。
図23の場合では、第1電極加工工程及び第1バランス調整工程において、全体の調整の内の3/4を終了させており、第2電極加工工程及び第2バランス調整工程で、残りの1/4の調整を完了させるように設定した。既に、多くの経験的データが蓄積され、第1バランス調整後の誤差(点線40や点線41)が大きくない場合には、全体の調整の内の3/4の終了時点(時刻T1)後において、大きな再調整が必要ないため、図23のように設定を行った方が、より正確に最終的な漏れ量を、規定値以内に調整し易い。第2バランス調整工程による誤差は第2バランス調整工程の長さに従い大きくなるためである。T1における誤差がさらに小さいと見積もられる場合には、全体の調整の3/4にとどまらず、よりT2に近いところにT1を設定してもよい。
図24は、調整の具体例を示す図である。
具体的な調整例を、図25に示す水晶振動子片7を用いて以下に説明する。なお、図24に示す6つの例は、全て、第1バランス調整工程と第2バランス調整工程におけるエッチング時間を1:1に設定した場合(図22参照)を示している。
例えば、素子番号3の水晶振動子片では、初期漏れ量測定工程(ST10)における初期漏れ量が1500mVであった。そこで、第1電極加工工程において、各振動脚11及び12の左側の調整領域(図25の31a参照)の、根元位置(図25の31参照)から260μm〜591μmの部分をトリミングして(ST11)、エッチング処理を行った(ST12)。
次の2次漏れ量測定工程(ST14)における2次漏れ量が1200mVであった。第1バランス調整工程と第2バランス調整工程におけるエッチング時間を1:1に設定していることを考慮すると、このままエッチング処理を進めると、最終漏れ量が900mV(図22のE40参照)となると予想される(1/2目標値は750mV)。そこで、第2バランス調整における誤差分の漏れ調整量が900mV(漏れ調整量は1200mV)となるように、第2電極加工工程(ST14)において、各振動脚11及び12の左側の調整領域(図25の31a参照)の、根元位置(図25の31参照)から618〜1200μmの部分をトリミングして(ST14)、エッチング処理を行った(ST15)。
この結果、最終漏れ量は、85mVとなり、規定値内となった。ここで、例えば規定値は±150mVとし、ジャイロの特性に影響を与えない範囲である。
図26は、単位長さ当たりの効き量(mV/μm)と根元位置からの距離(μm)の関係を示す図である。
図26において、例えば、左側の調整位置(図25の31a参照)において、根元位置から600μmにおける単位長さ当たりの効き量は3.4(mV/μm)である。この意味は、この例において、根元位置から600μmの位置に直径1μmビームスポットによってトリミングを行い、所定のエッチング処理(図22や23ではT0〜T2までのエッチング)を実施すると、+3.4mV分だけ、漏れ量が改善されるという意味である。図26の関係グラフは、図25に示す水晶振動子片について実験により求めたものである。
第1電極加工工程(ST11)におけるトリミング位置は、図26に示す関係グラフの定積分値が、初期漏れ量と一致するように設定する。上述した素子番号3の水晶振動子片の例では、図26の斜線42の部分が初期漏れ量1500mVに対応する。また、第2バランス調整工程で調整される誤差分900mVは、T1〜T2の間に調整されるわけなので、T0〜T2に換算すると1800mV分の電極加工が第2電極加工工程では必要である。斜線43の部分が調整誤差1800mVに対応する。
このようにして、第1電極加工工程(ST11)におけるトリミング位置及び第2電極加工工程(ST14)におけるトリミング位置を決定することが可能となる。
図27は、図8に示すステップST3〜ST7を他の工程により置き換えた水晶振動子の他の製造方法を示すフローチャートである。
図8のステップST2の後、水晶ウェハに形成された各々の水晶振動子片を駆動して、漏れ振動の初期漏れ量を測定する初期漏れ量測定工程が実施される(ステップST10)。漏れ量測定工程は、図8のステップST3と同様に、図13に示す漏れ測定システムを利用して実施される。
図27におけるST11〜ST15、ST16及びST17は、図21のフローチャートと同じであるので、その説明を省略する。図21のフローチャートでは、時刻T2の時点で最終漏れ量を測定して(ST16)、規定値以内か否かの判断を行った(ST17)。
しかしながら、図27に示す製造方法では、更に、水晶ウェハに形成された各々の水晶振動子片を駆動して、漏れ振動の3次漏れ量を測定する3次漏れ量測定工程が実施される(ステップST20)。漏れ量測定工程は、図8のステップST3と同様に、図13に示す漏れ測定システムを利用して実施される。
第1電極加工工程のトリミング量、第1バランス調整工程のエッチング時間、第2電極加工工程のトリミング量は同じであるが、第2バランス調整工程のエッチング時間は図21のフローチャートに示す例に比べて図27に示す例では短い時間にして3次漏れ量測定工程を行う(ST20)。
次に、3次漏れ量測定工程で得た測定結果に基づいて、第3バランス調整工程のエッチング時間が決定される(ST21)。ここでは、あとどのくらいエッチング処理を行えば、漏れ量がなくなるかのエッチング時間が決定されることとなる。ウェハ処理の場合、あとどのくらいエッチング処理を行えば漏れ量の少ない素子が数多く得られるかのエッチング時間を決定することとなる。これは、第2バランス調整工程における誤差の影響を低減するために行われる。
次に、第1電極加工工程(ST11)及び第2電極加工工程(ST14)の様なトリミングは行わずに、それ以前に加工された電極をマスクにして水晶ウェハを一括エッチングする第3バランス調整工程が実施される(ステップST22)。
図28は、図27に示すフローチャートの実施経過を説明するための一例を示す図である。
ステップST10における初期漏れ量がV(mV)であった場合、図28の場合、時刻T0〜時刻T1間の間隔と時刻T1〜時刻T2間の間隔を、1:1に設定したので、第1電極加工工程及び第1バランス調整工程によって目標とする漏れ量をV/2に設定して、時刻T0〜時刻T1の間エッチング処理を行う。
次に、ステップST13において(時刻T1)、2次漏れ量を測定し、T2における最終漏れ量(E1)を予測して調整誤差を算出し、それに基づいて第2電極加工工程(ST14)及び第2バランス調整工程(ST15)を実施する。ここで、第2バランス調整工程は、T1〜T2’(T2’<T2)まで行う。
次に、ステップ20において(時刻T2’),3次漏れ量(E2)を測定し、そのままエッチング処理が進んだ場合に、漏れ量がゼロとなるようなエッチング時間(T3−T2’)を決定する(ST21)。
次に、ステップST16において(時刻T3)、最終漏れ量測定を行って、最終的な漏れ量の誤差が、規定値以内か否かの判断を行うこととなる。なお、ウェハ処理の場合には、より漏れ量の小さな素子の数が多くなるようなT3を求めて第3バランス調整を行う。
このように、図27及び図28に示した製造方法では、3段階で、漏れ量の調整を行うので、簡易且つ容易に、最終的な漏れ量を、規定値以内に調整し易い。なお、図27及び図28に示した例では、第1のバランス調整工程と第2のバランス調整工程におけるエッチング時間を同じに設定したが(時刻T0〜T1と時刻T1〜T2の間隔を同じに設定)、そのような条件以外に設定するようにしても良い。
本発明の第1の製造方法において、調整エリアによるエッチング除去部分を主軸の傾きに応じて駆動脚の断面に対して偏らせて形成することで、駆動脚の主軸の傾きを修正して漏れ振動を抑制することができる。また、上記の説明は、駆動脚11について説明したが、駆動脚12についても同様である。
本発明の第1の製造方法において、バランス調整工程(ステップST5)は、図8のフローチャートで示すように、漏れ量が大きい場合などにおいては、規定値以内に収まるまで繰り返し実行されるが、最初の漏れ量測定工程(ステップST3)で、大きな漏れ量が測定されたならば、最初の電極加工工程(ステップST4)では、駆動脚の振動に対する影響が大きい第1領域の電極を加工して調整エリアを形成するとよい。これにより、最初のバランス調整工程での調整量を大きくできるので、バランス調整工程の繰り返し回数を減らして、製造工数の削減を実現できる。
本発明の第1の製造方法において、調整エリアは、駆動脚11の表面の調整エリア30aと、裏面の調整エリア30bと、の両面に形成されているが、これに限定されず、漏れ量が少ない場合は、表面または裏面のどちらか一方に調整エリア30を形成してもよい。これにより、さらに微細な漏れ量の調整を実現することができる。
本発明の第1の製造方法において、漏れ量測定工程(ステップST3)に基づいて電極加工工程(ステップST4)とバランス調整工程(ステップST5)とが実行されるが、測定された漏れ量に対して少なめの調整エリアの加工と少なめのバランス調整(エッチング加工)を行って、電極加工工程とバランス調整工程をある程度繰り返すようにしてもよい。これは、測定された漏れ量に対してバランス調整量がオーバーすると、オーバーした調整量を調整前に戻すことができないからである。
以上より、本発明の第1の製造方法によれば、水晶振動子の外形形成後に、再エッチングによって振動脚を加工して漏れ量を調整し、漏れ振動を抑制することができる。これにより、水晶振動子に余分な外力を加えることなく漏れ振動の調整ができるので、水晶振動子の歩留まり低下、信頼性低下等を招くことが無く、安定して正確に漏れ振動を調整する水晶振動子の製造方法を提供できる。
また、本発明の第1の製造方法によれば、漏れ量の測定結果に基づいて電極が加工されて調整エリアによるエッチング除去部分が形成され、その電極をマスクにして再エッチングが行われるので、高精度で微細な漏れ振動の調整が可能であり、高性能な水晶振動子の製造に大きなメリットがある。
さらに、本発明の第1の製造方法によれば、水晶ウェハに形成された複数の水晶振動子に対して、再エッチングによって一括して漏れ振動調整するので、調整工数を大幅に削減できると共に、ばらつきが少なく性能が均一で安定した特性の水晶振動子を効率よく製造することができる。
図29は、本発明に係る水晶振動子の第2の製造方法の工程を説明するためのフローチャートである。
図29に示す第2の製造方法の特徴は、水晶振動子の漏れ振動を予め見積もって、振動脚に形成する電極に予め特徴付けを行い、再エッチングによって漏れ振動の粗調整を行うことである。なお、図29に示す第2の製造方法は、前述した製造方法に対して一部が異なるだけであるので、同一要素には同一番号を付し、重複する説明は省略する。
図29に示すステップST3〜ステップST7は、図8に示すステップと同一であるので、ここでの説明は省略する。図29に示す第2の製造方法では、外形形成工程(ステップST1´)、電極形成工程(ステップST2´)、粗調整工程(ステップST30)、漏れ量測定工程(ステップST3)の順で工程が進み、漏れ量測定工程(ステップST3)以降は、図8に示すステップと同様である。
図29に示す外形形成工程(ステップST1´)は、基本的に図8に示す外形形成工程(ステップST1)と同様であるが、水晶ウェハ1から複数の水晶振動子片7を形成するために用いられる耐エッチング用マスク部材が、前述した図5のように、片側のみのマスクであるか、又は、一方のマスクを基準パターンとして他方のマスクを幅広く形成した点が異なっている。この外形形成工程では、基準パターンとなるマスク側からのみ、水晶ウェハの溶解が進むので、上下のマスクの位置ずれに影響されない水晶振動子片の外形を形成できる。
図5で前述したごとく、水晶のエッチング異方性によって、振動脚の第1側面はZ´軸に対して約1°の角度を成して形成され、第2側面はZ´軸に対して約2°の角度を成して形成されるので、その断面は上下非対称となり、主軸112はX軸と平行にならず、漏れ振動が発生してしまう。
しかしながら、この方法による外形形成では、エッチングマスクの位置ずれの影響がないので、主軸112の傾きをエッチング異方性による残渣から予め見積ることができ、これによって漏れ振動の方向も見積ることができる。このように、図29に示す第2の製造方法は、エッチング異方性などから主軸の傾きが見積ることができる場合に好適な製造方法である。
図30は、電極形成工程(ステップST2´)を説明するための説明図である。
前述した如く、外形形成工程(ステップST1´)で形成された水晶振動子片7は水晶のエッチング異方性によって主軸が傾き、漏れ振動の方向が予め見積ることができる。そこで、図30に示すように、駆動脚11、12に形成する駆動電極20a、21cを、駆動脚11、12の幅の中心と、駆動電極20a、21cの振動脚内における幅の中心を所定量ずらして形成する。
即ち、駆動電極20a、21cを予めずらして形成することで、駆動電極20a、21cが駆動脚11、12に対して幅方向の一方に偏って形成される。これにより、駆動脚11、12の表面には、駆動電極20a、21cに沿った細長い水晶振動子片7の表面が露出するエリアができる。このエリアが、漏れ振動を粗調整する粗調整エリア31である。
図31は、図29における粗調整工程(ステップST30)を説明するための説明図である。
粗調整工程では、先の電極形成工程(ステップST2´)で駆動脚11、12に駆動電極20、21の偏りによって粗調整エリア31が形成された後、この駆動電極20、21をマスクにして水晶ウェハ1を再び一括エッチングし、水晶振動子片7のバランスの粗調整を行う。
図31は、図30に示す水晶振動子片7のD−D´断面を模式的に示した断面図であって、駆動脚11の部分のみ示すである。この断面形状は従来例として前述した図5の水晶振動子の駆動脚101の断面と類似する。即ち、駆動脚11の断面は水晶のエッチング異方性によって上下非対称であり、主軸36(破線)はX軸に対してズレ角θ2の傾きを持つので、漏れ振動が発生する。
図31に示す例では、駆動脚11の主平面に駆動電極20a、20bが形成され、この駆動電極20a、20bの略中心が駆動脚11の主平面の略中心とずれて形成されている。これにより、駆動脚11の表面は図面上左側に偏った位置に粗調整エリア32aが形成され、また、駆動脚11の裏面は図面上右側に偏った位置に粗調整エリア32bが形成される。
そして、この粗調整エリア32a、32bで露出した水晶振動子片表面が、粗調整工程によって一括して再エッチングされてエッチング除去されるので、その部分の駆動脚11の厚みが僅かに減少する(図31に示す破線部分)。この粗調整エリア32a、32bがエッチング除去されることによって、上下非対称である駆動脚11の断面形状が修正され、依然として上下非対称ではあるが、主軸36は主軸36´(実線)のように傾きが修正されて漏れ振動が抑制される。
ここで、粗調整エリア32a、32bによるエッチング除去部分は、図31に示す様に、駆動脚11の振動軸中心を原点Pとし、この原点Pを通り直交する2つの軸x、yで定義される第1象限、第2象限、第3象限、第4象限のうち、原点Pを挟み対称となる象限に設けるように加工される。これにより、粗調整エリア32a、32bによるエッチング除去量は、原点Pを挟み対象となる象限のエッチング除去量が等しく、隣り合う象限のエッチング除去量が異なるように加工される。
また、図31に示す粗調整エリア32a、32bは、一例として第2象限と第4象限とに形成されるが、これは、図面右下の残渣が図面左下の残渣よりも大きく形成されており、この第4象限部分の水晶およびそれと同等な効果のある第2象限部分の水晶を削ればバランスの調整ができるような形状をしているためである。またもし、左右が逆になるような場合は、図示しないが粗調整エリア32a、32bを、第1象限と第3象限とに形成すれば駆動脚11の主軸の傾きを修正することができる。
なお、図31において、粗調整エリア32a、32bは、駆動脚11の主平面から側面にまたがるように、駆動脚の角部がエッチング除去されるように設けている例を示したが、エッチング除去部分は主平面にのみ設けるようにしてもよい。
また、図31においては電極形成工程(ステップST2´)の後に粗調整工程(ステップST30)を行う工程になっているが、電極形成工程(ステップST2´)と粗調整工程(ステップST30)との間に漏れ量測定工程を導入し、この漏れ量測定工程で得られた漏れ量に合わせて粗調整工程(ステップST30)のエッチング量を調整してもよい。
バランス調整工程におけるエッチング量は、エッチング時間、エッチング液の温度や濃度が重要であるので、これらを適切に管理することが必要である。また、バランス調整工程は、エッチング量を加工時間に換算するだけでなく、エッチング量をエッチング液の温度に換算させて温度を変化させてもよく、または、エッチング量をエッチング液の濃度に換算させてエッチング液の濃度を変化させるなどの方法でもよい。
粗調整工程が終了したならば、図29に示すように漏れ量測定工程(ステップST3)へ進み、前述した第1の製造方法と同様に、漏れ量測定で得た漏れ量情報に基づいて調整エリア30を形成し、バランス調整工程(ステップST5)で、再びエッチングを行って更に漏れ量の調整を行う。ここで、第2の実施形態においては、ステップST3〜ステップST7の工程は、漏れ量の微調整工程として実施される。
漏れ量測定工程(ステップST3)で漏れ量を測定した結果、漏れ量が規定値以内であるならば、次の電極加工工程(ステップST4)に進まず、漏れ量調整を終了する判定ステップを加えてもよい。これにより、粗調整工程だけで漏れ量が十分少なくなった場合に余分な調整をせずに済むので、製造工数を減らすことができる。また、粗調整だけで安定して漏れ量を調整できることがわかっているならば、漏れ量測定工程(ステップST3)を省略してもよい。
以上のように本発明に係る第2の製造方法によれば、水晶振動子の漏れ振動がある程度見積もれる場合、予め電極パターンの中心をずらして特徴付けを行い、その電極をマスクとして再エッチングによって漏れ振動の粗調整を行うことできる。これにより、漏れ量を測定することなく漏れ振動の大部分を水晶ウェハとして一括して調整できるので、後工程の微調整工程を簡略化でき、調整工数の少ない水晶振動子の製造方法を実現することができる。この結果、コストが安く、高精度に漏れ振動が調整された水晶振動子を提供することができる。
図32は、本発明の第3の製造方法で製造される水晶振動子の一例を示す図である。
図32は水晶振動子110を模式的に示した斜視図であり、説明に関係のない部分、例えば、水晶振動子をパッケージなどの封止部材に封止する際に導電性接着剤等を付着させる固定部分などは省略してある。
水晶振動子110は、すでに説明した例と同様に水晶ウェハからエッチング加工によって切り出されて形成されるものである。水晶振動子110は、振動型ジャイロセンサとして用いられる振動子であり、振動脚として2本の駆動脚111、112と1本の検出脚113とを有する三脚音叉型振動子である。なお、水晶振動子110は、三脚音叉型に限定されず、例えば、二脚音叉型やT型音叉、H型音叉などでもよい。また、水晶振動子110は、振動型ジャイロセンサ以外にも利用することが可能である。
駆動脚111、112と検出脚113とは、基部114から延設するように形成されている。駆動電極120、121は駆動脚111、112の主平面と側面に形成されており、検出電極122は検出脚113の主平面と側面とに形成されている。調整エリア116は水晶振動子110の漏れ振動を調整する領域である。調整エリア116において、駆動電極120、121がレーザ加工によってその一部が除去され、バランス調整工程では、加工された駆動電極をマスクにして駆動脚111、112が再エッチングされる。
本発明の第3の製造方法における大きな特徴は、駆動電極120、121の調整エリア116において、水晶を再エッチング加工し、この箇所の駆動脚111、112の厚みを調整することによって漏れ振動を抑制することである。なお、この水晶振動子110は、X軸が幅方向に、Y´軸が長手方向に、Z´軸が厚み方向になるように形成されている。この水晶振動子110は、後述する第3〜第6の製造方法で製造されるすべての水晶振動子に共通である。
図33は、本発明の第3の製造工程の概略を説明するフローチャートである。
説明の前提として水晶振動子の製造方法は、単一の水晶ウェハに複数の水晶振動子を形成し、水晶振動子の集合体として一括して製造する製造方法を例示する。もちろん、この集合体による一括製造に限定されるものではなく、1つの水晶ウェハや水晶板に対して1つの水晶振動子を形成する製造方法でも、本発明は適応可能である。
第3の製造方法の特徴は、水晶振動子の外形に特徴付けを行い、水晶振動子の漏れ振動の方向が予め見積もれることに基づいて形成した切欠部を備えた電極をマスクにして、漏れは測定無しで再エッチングを行い、漏れ振動を抑制することである。
水晶振動子の外形への特徴付けとは、水晶振動子の漏れ振動の方向を知ることができるような外形形状に水晶振動子の駆動脚の形状を作りこむということである。例えば、事前に行った実験や、水晶のエッチング異方性を鑑みて、所定の形状に駆動脚を加工するのである。ウェットエッチングで水晶を加工すると、水晶は結晶の方向によってエッチング速度が異なるから、必ず残渣が残る。残渣が生じたとしてもその形状が正しく知りえていれば、水晶振動子の漏れ振動の方向を知ることができるのである。
図33において、まず製造工程の最初に単一の水晶板である水晶ウェハに耐エッチング用マスク部材を形成し、複数の水晶振動子片の外形形状が形成される外形形成工程が実施される(ステップST41)。耐エッチング用マスク部材は、例えば、金(Au)を用いることができる。なお、この場合、金の下地にクロム(Cr)を形成してもよい。つまり、耐エッチング用マスク部材は、積層膜構造であってもよい。このように下地にクロム(Cr)を用いることで、水晶と金(Au)との密着性が向上する。このような耐エッチング用マスク部材を形成した後、これをマスクとして、所定のエッチング液を用いて水晶ウェハをエッチングし、水晶振動子片の外形を形成する。
次に、形成された水晶振動子片の振動脚を構成する主平面または側面に電極を形成する電極形成工程が実施される(ステップST42)。この工程で形成される電極は、図32に示す例では、駆動電極120、121および検出電極122である。そして、駆動電極120、121には切欠部130がそれぞれ形成される。
次に、電極形成工程で形成された電極をマスクにして水晶ウェハを所定量だけ一括エッチングするバランス調整工程が実施される(ステップST43)。図32に示す例では、駆動脚111、112の調整エリア116にある水晶がエッチングされる。ここで、バランス調整工程でのエッチング量は、前述のように、発明者の行った実験や外形形状等から残渣のでき方を見積もり、漏れ振動の方向と共に、漏れ量の大きさを見積もり、加工時間に換算してエッチング除去量を決定する。これにより、漏れ量測定等をすることなく、切欠部のエッチング除去量を決定できるので、製造工程が少なく簡素化された水晶振動子の製造方法を実現できる。
次に、漏れ振動調整が終了したならば、各々の水晶振動子は水晶ウェハから切り離され、封止部材に封止されて製品として完成するが、漏れ振動調整後の工程は本発明に直接係わらないので、説明は省略する。
図34は、水晶振動子の外形形成工程(ステップST41)の詳細を説明するための説明図である。
図34は、水晶ウェハ上に形成される水晶振動子片の振動脚の断面を模式的に示す断面図である。図34は、図32に示した水晶振動子110が2つ並んだ状態を示すものであって、駆動脚111、112と検出脚113(図34(e)参照)との先端方向から基部114の方向に向かって見た図である。
図34(a)に示す、所定の板厚に調整された平板形状の単一の水晶板である水晶ウェハ101の両面に、図34(b)に示すように、水晶用のエッチング液に耐性のある金属耐食膜102a、102bと、その上にフォトレジスト103a、103bと、を形成する。図34(b)に示す例では、図面を見やすくするために、金属耐食膜102a、102bは、単層膜として記載しているが、前述のとおり、金(Au)とクロム(Cr)との積層膜を用いることができる。これらの金属膜は、知られている蒸着技術やスパッタ技術を用いて形成することができる。また、フォトレジスト103a、103bは、知られているスピンコート技術を用いて形成することができる。
次に、図34(c)に示すように、振動子パターンがそれぞれ描画された2枚のフォトマスク104a、104bを水晶ウェハ101の上下に配置し、フォトマスク104a、104bの上から光(矢印B)を照射してフォトレジスト103a、103bを露光する。ここで、一方のフォトマスク104aは、振動子パターンが正確に描画されたフォトマスクであり、他方のフォトマスク104bは、一方のフォトマスク104aの描画より振動脚の幅方向で所定量だけ大きな振動子パターンが描画される。
次に、図34(d)に示すように、フォトレジスト103a、103bの現像を行い、形成したレジストパターンをマスクとして金属耐食膜102a、102bをパターニングし、耐エッチング用マスク部材であるエッチングマスク105a、105bを形成する。
金属耐食膜102a、102bを金(Au)とクロム(Cr)との積層膜を用いたときは、これら2つの金属膜それぞれをエッチングする。例えば、ヨウ素とヨウ化カリウムとの混合溶液を用いて、金(Au)をエッチングする。水洗後、硝酸第2セリウムアンモニウム溶液を用いて、クロム(Cr)をエッチングする。
前述したように、フォトマスク104bは、フォトマスク104aの描画より所定量だけ大きな(図34では幅が広く)振動子パターンが描画されているので、水晶ウェハ101の表面のエッチングマスク105aは、基準パターンとして振動子パターンのマスクが正確に形成されるが、裏面のエッチングマスク105bは、図示するようにエッチングマスク105aよりも振動脚の幅方向で所定量だけ大きなマスクが形成される。なお、基準パターンを裏面のエッチングマスク105bとして、大きなマスクを表面のエッチングマスク105aとしてもよい。
次に、図34(e)に示すように、フォトレジスト103a、103bを剥離後、表裏両面にエッチングマスク105a、105bの形成された水晶ウェハ101を水晶用エッチング液であるフッ酸系のエッチング液に浸漬すると、エッチングマスク105a、105bに覆われていない部分の水晶が表裏両側から溶解する。その後、エッチングマスク105a、105bを除去することによって、水晶振動子片の振動脚である駆動脚111、112と検出脚113とが得られる。水晶用エッチング液は、例えば、フッ酸とフッ化アンモニウムとの混合溶液を用いることができる。
水晶ウェハ101は、エッチングマスク105a、105bによって表裏両面からエッチングが進行するが、前述したようにエッチングマスク105bは、エッチングマスク105aよりも大きなマスクが形成されているので、水晶振動子片の外形はエッチングマスク105aに沿って形成され、外形はエッチングマスク105bにほとんど影響されない。これにより、エッチングマスク105aと105bの位置関係が製造上の誤差で多少ずれていたとしても、水晶振動子片の外形は、ほとんど影響を受けない。
上記の製造方法により形成された水晶振動子片は、片面のエッチングマスクで外形形成されたことと等価になる。ここで、裏面のエッチングマスク105bは水晶ウェハ101の裏面を全て覆うようなベタマスクでもよいが、エッチングマスク105bにエッチングマスク105aより大きな振動子パターンを描画し、表裏両面からエッチングする理由は、エッチング液の淀みを防いで、エッチング加工を正確に、且つ、速やかで行うためである。
図34では、図面を見やすくするために、駆動脚111、112や検出脚113には、残渣を設けないように図示している。しかし、実際には、残渣が形成される。つまり、この片面マスクによるエッチングと等価な外形形成工程で形成した水晶振動子片の断面は、従来例の図3で示した駆動脚の断面と同様に水晶のエッチング異方性によって上下左右非対称となり、漏れ振動が発生する。しかし、この漏れ振動は、エッチングマスクずれによるものではなく、水晶のエッチング異方性(結晶の方向によってエッチング速度が異なるという特性)によるものであるから、エッチング後の振動脚の断面の形状を見積もることができる。なお、図34に示す例では、振動脚の断面のみを示しているが、実際にはこの外形形成工程(ステップST41)によって、図32に示す水晶振動子110の外形の全体が形成される。
次に、水晶ウェハ101の両面に配設されるエッチングマスク105a、105bの大きさの違いの関係を説明する。
図35は表面のエッチングマスク105aより、裏面のエッチングマスク105bが所定量だけ大きなマスクが配設されて外形形成される水晶振動子の駆動脚の一例を示す拡大断面図である。
図35(a)と図35(b)との違いは、第2側面に形成される残渣の形状である。図35(a)に示す例は、第2側面の残渣による斜面が1つの場合、図35(b)に示す例では、斜面が2つの場合である。
エッチングマスク105aに対するエッチングマスク105bの第1突出部の長さcと第2突出部の長さdとは、エッチングマスク105aとエッチングマスク105bとの位置合わせ精度を±p、第1側面のオフセット量k1、第2側面のオフセット量k2、第1側面のエッチング角度をα、第2側面のエッチング角度をβ、水晶ウェハ101の厚みをt、とするとき、次式の関係を満たすことが好ましい。
c=t×tan(α−90°)+k1
d=t×tan(β−90°)+k2
k1>p、且つ、k2>p
上記の構成によれば、側面のオフセット量k1、k2をマスクの位置合わせ精度pより大きい値に設定しておくので、装置のアライメント誤差により表面のエッチングマスク105aと裏面のエッチングマスク105bとに位置ずれが起きた場合にも、第1側面には表面からエッチングされた1つの斜面が形成され、常に一定の残渣が形成される。また同様に、第2側面にも表面からエッチングされた1つの斜面が形成され常に一定の残渣が形成される。そのため外形形状は常に一定になりマスクずれの影響を受けることが無い。
このように、エッチングマスクの設定によって、水晶振動子の駆動脚の断面を所定の形状にすることができる。しかしながら、図35(b)に示すように、第2側面の残渣を2つの斜面を有するような形状にすることもできる。例えば、そのエッチング時間を変更することで、このような形状にすることができる。エッチング時間の変更とは、エッチング時間を短くすることである。一例ではあるが、図35(a)に示すような形状に加工するエッチング時間よりも、20%〜30%程度短くする。
知られているように、水晶の第2の側面は、Z´軸に対して約2°および22°の2段階で残渣が形成される。22°の残渣はエッチングを長く行うとやがて消失していく。よって、エッチング時間が長い場合は図35(a)のようになるが、エッチング時間が短い場合は、図35(b)に示すような形状になるのである。
このように、水晶振動子の駆動脚の断面を所定の形状にすることは、いくつかの手法があるが、大切なことは、振動脚の断面の形状が見積もれるように加工するということである。残渣の形状を正しく知りえていれば(正しく管理していれば)、水晶振動子の漏れ振動の方向を知ることができるのである。
図36は、外形形成工程によって水晶ウェハ101に形成された複数の水晶振動子片107の様子を説明するために模式的に示す斜視図である。
水晶振動子片107は、エッチングによって溶解された溶解部8から切り出されたように形成され、個々の水晶振動子片107は、水晶ウェハ101と連結部171によって結合されている。また、連結部171は、バランス調整が終了した後に切断される部分であって、いわゆる折り取り部と呼ばれる部分である。そして、後工程で連結部171の部分を切断すると、水晶振動子片107は水晶ウェハ101から分離して図32に示す水晶振動子110として完成する。
図36では、1枚の水晶ウェハ101に6個の水晶振動子片107を形成する例を示しているが、この個数は図36の例に限定されるものではない。水晶振動子片107は、得たい水晶振動子の性能や特性によりそのサイズや形状が選択され、それに伴って水晶ウェハ101のサイズが決まるためである。もちろん、1枚の水晶ウェハ101に形成する水晶振動子片107の数が多ければ、多数の水晶振動子を一括して製造できるため、製造コストを低減することができる。
図37は、電極形成工程(ステップST42)の詳細を説明するための図である。
図37は、図36に示すC−C´断面を模式的に示した断面図であって、駆動脚111、112と検出脚113との断面を示している。なお、図37〜図39については、図面を見やすくするために残渣を省略している。
駆動脚111、112の断面形状は、図5を用いて説明したとおり、片面のエッチングマスクが大きいことによって、水晶のエッチング異方性によって上下左右非対称となる。このエッチング異方性による上下左右非対称は、+X側の側面がZ´軸に対して約2°の角度を成し、−X側の側面がZ´軸に対して約1°の角度を成すので、形成される水晶振動子の外形に特徴付けを行い、漏れ振動の方向を予め見積もることができる。つまり、駆動脚111、112の形状からくる漏れ振動の方向を予測できるため、それに基づいて切欠部を設けるのである。以下、順に製造工程を詳述する。
図37(a)に示す、駆動脚111、112と検出脚113との表面に、図37(b)に示すように、金属膜180と、その上にフォトレジスト181と、を形成する。
図37(b)に示す例では、図面を見やすくするために、金属膜180は、単層膜として記載しているが、クロム(Cr)を下地にしてその上に金(Au)を設ける積層膜とすることができる。金属膜180は、公知の蒸着技術やスパッタ技術を用いて形成することができる。また、フォトレジスト181は、公知のスプレー法や電着法などを用いて形成することができる。
次に図37(c)に示すように、駆動脚111、112と検出脚113とに設ける電極の形状がそれぞれ描画された2枚のフォトマスク190a、190bを水晶ウェハ101の上下に配置し、フォトマスク190a、190bの上から光(矢印B)を照射してフォトレジスト181を露光する。なお、図37(c)では、光を斜めから照射する、いわゆる斜め露光を行う例を示している。
次に、図37(d)に示すように、フォトレジスト181の現像を行い、形成したレジストパターンをマスクとして金属膜180をパターニングし、駆動電極120a、120b、120c、120d、121a、121b、121c、121dと検出電極122a、122b、GND電極122cとを形成する。
図38は、電極形成工程によって振動脚である駆動脚111、112と検出脚113とに形成される電極の接続の一例を示す図である。
駆動脚111の主平面である対向する2面に駆動電極120a、120bが形成され、駆動脚112の主平面である対向する2面に駆動電極121c、121dが形成されている。また、駆動脚111の側面である対向する2面に駆動電極121a、121bが形成され、駆動脚112の側面である対向する2面に駆動電極120c、120dが形成されている。
これらの駆動電極120a、120b、120c、120dは、それぞれ電気的に接続されて駆動電極端子23として外部に出力している。また、駆動電極121a、121b、121c、121dも、それぞれ電気的に接続されて駆動電極端子124として外部に出力している。
また、検出脚113には、その角の部分に対となる検出電極122a、122bが形成され、それぞれ検出電極端子125、126として外部に出力している。また、検出電極122a、122bに対向する面のGND電極122cは、GND電極端子127として外部に出力しており、図示しない回路のGND(0V)に接続している。もちろん、図38に示す電極構造または電極同士の接続構造は、これに限定されず、水晶振動子の仕様に応じて任意に決定することができる。
図39は、図36で示した水晶ウェハ101に形成される水晶振動子片107のひとつの上面図であり、切欠部130の一例を示している。
図39において、水晶振動子片107の駆動脚111、112の主平面の表面側には駆動電極120a、121cが形成され、この駆動電極120a、121cはバランス調整を行う調整エリア116を形成するための切欠部130を備えている。この切欠部130は、図39に示す例では、駆動電極120a、121cの片辺全部に駆動電極120a、121cの長手方向に沿って細長く形成される。すなわち、この切欠部130は、その幅方向の略中心C2が駆動脚111、112の幅方向の略中心C1に対して駆動脚111、112の幅方向にずれて形成される。なお、この調整エリア116には、電極120a、121cが無く水晶面が露出している。
この水晶面が露出した調整エリア116は、後工程であるバランス調整工程による再エッチングによってその水晶表面が溶解し、駆動脚111、112の断面形状が調整されて漏れ振動が抑制される。なお、図39に示す例では、切欠部130は漏れ振動の方向に基づいて駆動脚111、112の−X軸方向の端部(図面上、駆動脚111、112の左端部)に設ける例を示したが、これは一例であり、切欠部130は漏れ振動の方向に基づいて反対側の+X軸方向の端部に設けることもある。
いずれにしても、切欠部130の略中心C2は、駆動脚111、112の幅方向の略中心C1からずれていなければならない。
これは、この電極形成工程により形成された電極をマスクとして、ステップST4のバランス調整工程にて水晶をエッチングしてバランス調整するのであるが、切欠部130は、駆動脚111、112がエッチングにより水晶振動子のバランスが変わるような部分に設けなくてはならないからである。なお、図39で示す切欠部130は、駆動電極120a、121cの片辺全部に形成されるので、駆動脚111、112のエッチング除去量を大きくでき、漏れ量が比較的大きな水晶振動子の調整が可能である。
また、図39で示す切欠部130は、駆動電極120a、121cの片側一辺の端側に形成される例を示したが、その形状は、さらに図面に向かって右側方向に広げるようにしてもかまわない。このような広い面積の切欠部を設けることで、漏れ量の調整範囲を更に拡大することができる。ただし、切欠部130が、振動脚の中心線C1よりも右側に及ぶと、バランス調整に関して逆側の効果が生じ、調整範囲が狭くなってしまうことを考慮する必要がある。
図40は、水晶振動子片107の上面図の一部であり、電極に備えられる切欠部130の他の例を示している。
図40(a)では、駆動電極120a、121cの一部に切欠部130が形成され、図40(b)では、駆動電極120a、121cの一部をくり抜くように切欠部130が形成されている。これらの切欠部130は、図39と同様に、その幅方向の略中心C2が駆動脚111、112の幅方向の略中心C1に対して駆動脚111、112の幅方向にずれて形成される。
なお、図40に示す切欠部130の形状は略矩形であるが、この形状に限定されず、切欠部130の形状は円形や楕円などでもよいし、複数あってもよい。また、図40(a)、図40(b)の切欠部130は、電極の一部だけに形成されるので、駆動脚111、112のエッチング除去量は少なく、漏れ量が比較的小さい水晶振動子の調整に有利である。
図40に示すような駆動電極120a、121cの一部に切欠部130が形成される場合、面積が同じ切欠部130であれば、水晶振動子片107の駆動脚111、112の先端付近に設ける切欠部130は調整量が小さく、駆動脚111、112の根本付近に設ける切欠部130は調整量が大きくなる。このように、切欠部130を設ける位置を変えることにより、調整量を変更することが可能となる。
図41は、バランス調整工程(ステップST43)を説明するための図である。
バランス調整工程は、前工程である電極形成工程で駆動脚111、112の駆動電極が所定形状に形成された後、この駆動電極をマスクにして水晶ウェハ101を再び一括エッチングし、水晶振動子片107の駆動脚111、112の断面形状を修正して振動のバランス調整を行い、漏れ量を調整して水晶振動子片107の漏れ振動を抑制する工程である。
図41は、水晶ウェハ101に形成された水晶振動子片107の一方の駆動脚111の断面を模式的に示す断面図であり、図39のD−D´断面での断面から駆動脚111の部分を拡大した図である。この断面形状は前述したとおり、片面のエッチングマスクが大きいことによってマスクずれの影響は受けないが水晶のエッチング異方性によって上下左右非対称となる。
このように特徴付けされた形状によって、駆動脚111の主軸35(破線)は図示するようにX軸に対してズレ角θ3の傾きを持ち、予め見積もれる方向の漏れ振動が発生する。
この漏れ振動の方向に基づいて図39や図40に示すように、駆動脚111、112の駆動電極120a、121cに切欠部130を設けるのである。図41に示す駆動脚111は、その主平面の駆動電極120a、120bの端部に切欠部130a、130bが形成される。ここで、表面側の切欠部130aは、その幅方向の略中心が駆動脚111の幅方向の略中心に対して−X軸の幅方向にずれて形成される。また、裏面側の切欠部130bは、その幅方向の略中心が駆動脚111の幅方向の略中心に対して+X軸の幅方向にずれて形成される。
この切欠部130aによって露出した駆動脚の水晶部分が調整エリア116aであり、切欠部130bによって露出した部分が調整エリア116bである。
切欠部130a、130bで露出した水晶振動子片の表面が、バランス調整工程によって一括して再エッチングされてエッチング除去され、除去部分117a、117bが形成される(図中破線部分)。図41に示す例では、表面側が117aであり、裏面側が117bである。これら除去部分により駆動脚111の厚みが減少する。
切欠部130a、130bのエッチング量(除去部分117a、117b)は、前述のように、発明者の行った実験や水晶振動子の外形形状から残渣のでき方を考慮して、漏れ振動の方向と共に、漏れ量の大きさを見積もり、エッチングの加工時間に換算してエッチング除去量を決定する。
例えば、実験で用いた水晶加工のエッチング液と同一のエッチング液を使い、そのエッチング液の温度なども同一にしておく。そうすると、漏れ量の大きさの見積もりができていれば、これから加工すべき水晶振動子は、エッチングの加工時間の管理だけで、エッチング除去量を管理することができるのである。
除去部分117a、117bは、図41において、駆動脚111の断面の図心を原点Pとし、この原点Pを通り直交する2つの軸x、yで定義される第1象限、第2象限、第3象限、第4象限のうち、原点Pを挟み対称となる象限に形成される。
切欠部130a、130bによるエッチング除去量は、原点Pを挟み対称となる象限のエッチング除去量が等しいこともあり、隣り合う象限のエッチング除去量が異なるように加工されることもある。
図41に示す除去部分117a、117bは、一例として第2象限と第4象限とに形成されるが、これは、図面右下の残渣が図面左下の残渣よりも大きく形成されており、この第4象限部分の水晶およびそれと同等な効果のある第2象限部分の水晶を削ればバランスの調整ができるような形状をしているためである。またもし、残渣の形成が左右逆になるような場合は、図示しないが切欠部130a、30bを、第1象限と第3象限とに形成すれば駆動脚111の主軸の傾きを修正することができる。
図41において、除去部分117a、117bは、駆動脚111の主平面から側面にまたがるように、駆動脚の角部がエッチング除去されるように設けている例を示したが、エッチング除去部分は主平面にのみ設けるようにしてもよい。例えば、図40(b)に示した電極120a、121cの切欠部130の場合は、主平面のみがエッチング除去される。
このように本発明は、切欠部によるエッチング除去部分を主軸の傾きに応じて駆動脚の断面中心に対して偏らせて形成することで、駆動脚の主軸の傾きを修正して漏れ振動を抑制することができる。また、以上の説明は、駆動脚111について説明したが、駆動脚112についても同様である。
また、すでに説明した例による切欠部130は、駆動脚111の表面の切欠部130aと、裏面の切欠部130bと、の両面に形成されているが、これに限定されず、漏れ量が少ない場合は、表面または裏面のどちらか一方に切欠部130を形成してもよい。これにより、さらに微細な漏れ量の調整を実現することができる。
以上のように第3の製造方法によれば、水晶振動子の外形形成後、電極形成後に、再エッチングによって振動脚を加工して漏れ量を調整し、漏れ振動を抑制することができる。これにより、水晶振動子に余分な外力を加えることなく漏れ振動の調整ができるので、水晶振動子の歩留まり低下や信頼性低下等を招くことが無く、安定して正確に漏れ振動を調整する水晶振動子の製造方法を提供することができる。
また、水晶ウェハの表裏両面に配設するエッチングマスク同士の大きさを異ならせることで、片面マスクで幅が規定されるエッチングによって水晶振動子の外形に特徴付けして漏れ振動の方向を予め見積もれるので、この漏れ振動の方向に基づいた切欠部を備える電極を駆動脚に形成することができる。
また、残渣の実験結果や外形形状から特徴付けによる残渣のでき方を見積もれるので、漏れ振動の方向と共に、漏れ量の大きさを見積もることができる。この結果、漏れ量測定等をすることなく、見積もった漏れ量の大きさを直接加工時間に換算して切欠部のエッチング除去量を決定できるので、所定値内に漏れ量を調整した水晶振動子を簡素化された製造工程によって極めて短時間に効率よく製造することができる。
また、水晶ウェハに形成された複数の水晶振動子に対して、再エッチングによって一括して漏れ振動調整するので、調整工数を大幅に削減でき、漏れ振動の少ない水晶振動子を効率よく大量に製造することができる。
なお、この第3の製造方法では、水晶ウェハごとの漏れ量のばらつきが少ない場合に、製造工程を簡素化できるので、効率よく多くの水晶振動子を製造する場合に好適である。
次に本発明の水晶振動子の第4の製造方法を説明する。
第4の製造方法の特徴は、水晶振動子に特徴付けをして外形形成を行った後、水晶振動子の漏れ量を測定し、その漏れ量に基づいてバランス調整のためのエッチング量を決定することである。なお、第4の製造方法は、第3の製造方法に対して一部が異なるだけであるので、同一要素には同一番号を付し、重複する説明は一部省略する。
図42は、本発明の第4の製造工程の概略を説明するフローチャートである。
説明の前提として本水晶振動子の製造方法は、単一の水晶ウェハに複数の水晶振動子を形成し、水晶振動子の集合体として一括して製造する製造方法を例示する。
図42において、外形形成工程(ステップST51)と電極形成工程(ステップST52)は、第3の外形形成工程(ステップST41)と電極形成工程(ステップST42)と同様であるので、説明は省略する。
次に、水晶ウェハに形成された各々の水晶振動子片を駆動して、漏れ振動の漏れ量を測定する漏れ量測定工程が実施される(ステップST53)。なお、漏れ量測定工程は、水晶ウェハに形成される全ての水晶振動子片の漏れ量を測定するとよいが、漏れ量のばらつきが少ない場合などは、抜き取りなどで漏れ量の測定を行ってもよい。
次に、電極形成工程で形成された電極をマスクにして水晶ウェハを漏れ量に応じて所定量だけ一括エッチングするバランス調整工程が実施される(ステップST54)。図32に示す例では、切欠部130の駆動脚111、112の調整エリア116にある水晶がエッチングされる。なお、バランス調整工程における一括エッチングは、第4の製造方法では、1回のみ行うものである。
次に、漏れ振動調整が終了したならば、各々の水晶振動子は水晶ウェハから切り離され、封止部材に封止されて製品として完成するが、漏れ振動調整後の工程は本発明に直接係わらないので、説明は省略する。
次に、各工程の詳細説明を行うが、外形形成工程(ステップST51)と電極形成工程(ステップST52)とは、第3の製造方法と同様であるので、説明は省略する。
図43は、第4の製造方法の特徴である漏れ量測定工程(ステップST53)の詳細を説明するための図である。
図43では、漏れ量測定工程を実施するための漏れ量測定システムの一例を示している。図43において、水晶振動子片107a〜107fが形成された水晶ウェハ101は、XYステージ160に載せられ固定されている。XYステージ160の上部に配設されているプローブ161の電極端子162は、水晶ウェハ101の水晶振動子片107a〜107fに形成される駆動電極端子123、124と検出電極端子125、126、及びGND電極端子127(図38参照)に電気的に接触する。
また、制御部163は漏れ量測定を制御し、プローブ161と接続ケーブル164とを介して接続している。駆動部165は、制御部163からの制御信号に基づいてXYステージ160を駆動し、水晶ウェハ101をX方向、又はY方向に移動して、プローブ161が全ての水晶振動子片のそれぞれの電極に接触できるように動作する。また、制御部163と接続されたメモリ166には、制御部163によって、水晶ウェハ101のすべての水晶振動子片107の漏れ量情報が、それぞれの水晶振動子片の位置情報と共に記憶される。
次に、漏れ量測定システムの動作を説明する。図43において、制御部163は駆動部165に制御信号を送ってXYステージ160を駆動し、水晶ウェハ101に形成される所定の水晶振動子片107a〜107fの電極がプローブ161の直下に位置するように水晶ウェハ101を移動させる。図41に示す例では、水晶振動子片107fがプローブ161の真下に位置している。
次に、プローブ161は図示しない昇降手段によって降下し、電極端子162が水晶振動子片107fの電極に接触する。次に、制御部163は、水晶振動子片107fを振動させる駆動信号を接続ケーブル164を介してプローブ161に送り、水晶振動子片107fの駆動電極端子123、124に駆動信号が供給されて水晶振動子片107fは振動を開始する。
次に、制御部163は、水晶振動子片107fの検出電極端子125、126から検出信号をプローブ161を介して入力し、この検出信号から漏れ信号成分を検出して、その漏れ量を水晶振動子片107fの位置関係情報と共にメモリ166に記憶する。すなわち、この漏れ量測定工程の測定結果は、測定した水晶振動子片の漏れ量と、その水晶振動子片の位置関係情報と、で構成されている。水晶振動子片の位置関係情報は、XYステージ160の所定の原点からのX軸位置、Y軸位置として計測される位置情報である。また、漏れ量測定は当然であるが角速度を印加しない状態で行われる。
次に、制御部163は、ひとつの水晶振動子片の漏れ量測定が終わったならば、駆動部165に制御信号を送ってXYステージ160を駆動し、隣に位置する水晶振動子片の電極がプローブ161の直下に位置するように水晶ウェハ101を移動させる。例えば、水晶振動子片107fの測定が終了したならば、隣の水晶振動子片107eがプローブ161の真下に位置するようにXYステージ160を駆動する。
以降、水晶ウェハ101に形成される水晶振動子片を順次駆動して漏れ量を測定し、水晶振動子片107a〜107fの個々の漏れ量と位置関係情報とをメモリ166に記憶する。この場合、メモリ166には、6つの水晶振動子片の漏れ量と、それに対応した6つの水晶振動子片の位置関係情報と、が記憶される。
水晶ウェハ101に設けてある水晶振動子片の全ての漏れ量を測定しなくてもよい。例えば、水晶ウェハ101の漏れ量のばらつきが少ないと予測できる場合は、水晶振動子片107aを測定し、その漏れ量が水晶振動子片107b〜107fの漏れの代表値だと仮定することもできるのである。このような仮定は、過去に測定した水晶ウェハや他の水晶ウェハの情報、例えば、水晶ウェハ101の膜厚や外形形成工程(ステップST51)のエッチング条件などを用いることでなすことができる。この場合、メモリ66には、1つの水晶振動子片の漏れ量と、6つそれぞれの水晶振動子片の位置関係情報と、が記憶される。
この漏れ量測定工程で得た各々の水晶振動子片の漏れ量情報と位置関係情報とを基にして、後工程であるバランス調整工程で再エッチングを行い漏れ量を調整する。そして、バランス調整工程でのエッチング量の目標値は、水晶ウェハの中で最も少ない値の漏れ量とする方法や、水晶ウェハの中のすべての水晶振動子片の漏れ量の平均値とする方法や、水晶ウェハの中の特定の水晶振動子片の漏れ量を代表値とするなどの方法がある。
ここで、最も少ない値の漏れ量をバランス調整の目標値とするならば、エッチングし過ぎて不良品を出すという問題を防ぐことができる。また、水晶ウェハの中の水晶振動子片の平均値をバランス調整の目標値とするならば、水晶ウェハの個々の水晶振動子片の漏れ振動を平均的に調整することができる。また、特定の水晶振動子片の漏れ量を代表値としてバランス調整の目標値とすることは、水晶ウェハ内の漏れ量のばらつきが少ないときに、漏れ量測定を簡素化できるので、有効である。
第4のバランス調整工程(ステップST54)は、基本的に第3のバランス調整工程(ステップST43、図41)と同様である。
このバランス調整工程(ステップST54)における切欠部130a、30b(図41参照)のエッチング量は、前述のように、前工程である漏れ量測定工程(ステップST53)で得た各々の水晶振動子片の漏れ量情報に基づいてエッチング量を加工時間に換算して、振動脚のエッチング除去量を決定する。そして、エッチング除去量が決定したならば、その換算された加工時間を1回のバランス調整工程によって実施する。
以上のように、本発明の第4の製造方法によれば、水晶振動子に特徴付けをして外形形成を行った後、水晶振動子の漏れ量を測定し、その漏れ量に基づいてエッチング除去量を決定してバランス調整を行うので、1枚1枚の水晶ウェハに対して適切なバランス調整を行うことが可能となり、正確に漏れ量が調整された高性能の水晶振動子の製造方法を提供することができる。また、漏れ量測定工程とバランス調整工程は、共に1回ずつ行うだけであるので、製造工程が簡素化されて水晶振動子を短時間に製造することができる。
この第4の製造方法は、水晶ウェハの組成や加工状況等によって、水晶ウェハごとに漏れ量のばらつきが生じる場合、その水晶ウェハごとにばらつきを吸収する上で好適である。また、第3の製造方法で示したように、予め漏れ量が予見できる場合でも、ウェハ板厚のばらつきや、電界形成用の溝を形成した場合のばらつきからくる漏れが僅かに生じる場合があり、漏れ量に応じてバランス調整を行うことができるので、さらに精度よく調整できる。
次に本発明の第5の製造方法を説明する。
なお、第5の製造方法の特徴は、水晶振動子に特徴付けをして外形形成を行った後、水晶振動子の漏れ量を測定し、その漏れ量に基づいてバランス調整のためのエッチングと漏れ量測定を複数回繰り返して行い、高精度に調整された水晶振動子を製造することである。なお、第5の製造方法は、第3及び第4の製造方法に対して一部が異なるだけであるので、同一要素には同一番号を付し、重複する説明は一部省略する。
図44は、本発明の水晶振動子の第5の製造方法の製造工程の概略を説明するフローチャートである。
説明の前提として本実施形態の水晶振動子の製造方法は、単一の水晶ウェハに複数の水晶振動子を形成し、水晶振動子の集合体として一括して製造する製造方法を例示する。
図44において、外形形成工程(ステップST61)と電極形成工程(ステップST62)と漏れ量測定工程(ステップST63)とは、第4の外形形成工程(ステップST51)と電極形成工程(ステップST52)と漏れ量測定工程(ステップST53)と、同様であるので説明は省略する。
次に、電極形成工程で形成された電極をマスクにして水晶ウェハを漏れ量に応じて一括エッチングするバランス調整工程が実施される(ステップST64)。ここで、バランス調整工程でのエッチング量は、第4の製造方法と同様に、前工程である漏れ量測定工程(ステップST63)で得た水晶振動子片の漏れ量情報と位置関係情報に基づいて、水晶ウェハの中で最も少ない値の漏れ量、又は水晶ウェハの中の水晶振動子片の漏れ量の平均値、又は水晶ウェハの中の特定の水晶振動子片の漏れ量を代表値とするなどの方法で目標値を決定する。
そして、このバランス調整工程では、目標値とするエッチング量より少ない量を加工時間に換算してエッチングを行う。例えば、目標値とするエッチング量の50%程度とする。
次に、バランス調整工程が実施された水晶ウェハ上の各々の水晶振動子片を駆動して、漏れ振動の漏れ量を再び測定する漏れ量測定工程が実施される(ステップST65)。このステップST65の漏れ量測定工程によって、前工程であるバランス調整工程による漏れ量の調整結果を確認することができる。
次に、ステップST65の漏れ量測定工程で得た測定結果に基づいて、漏れ量が規定値以内であるかを判定する規定値判定工程を実施する(ステップST66)。ここで、肯定判定(漏れ量が規定値以内)であれば、水晶振動子の漏れ振動が無視できる程度に抑制されたので、漏れ振動調整を終了する。また、否定判定(漏れ量が規定値以上)であれば、ステップST64へ戻り、漏れ量が規定値以内になるまでステップST64からステップST66を繰り返し実行する。
このように、漏れ量が規定値以内になるまで複数回繰り返してバランス調整工程(ステップST64)を行うのであるが、バランス調整工程でのエッチング量は、漏れ量測定項(ステップST65)で知りえた目標値の50%などとする。バランス調整工程を複数回繰り返す工程では、まず目標値の50%をエッチングし、次にはさらに残りの50%をエッチングし、次にはまたさらに残りの50%をエッチングし、というように少しずつエッチング加工するのである。なお、50%ずつエッチングすることは一例であって、最初に80%をエッチングし、次回以降は残りの20%に対して少しずつエッチングするなど、自由に変更することができる。いずれにしても、このようにすれば、エッチングのし過ぎを防止することができるとともに、調整精度を向上させることができるのである。
次に、漏れ振動調整が終了したならば、各々の水晶振動子は水晶ウェハから切り離され、封止部材に封止されて製品として完成するが、漏れ振動調整後の工程は本発明に直接係わらないので、説明は省略する。
1枚の水晶ウェハに形成される複数の水晶振動子片の中で、ある水晶振動子片の漏れ量が規定値以内となり、他の水晶振動子片の漏れ量が規定値以上である場合は、漏れ量が規定値以内となった時点で、その水晶振動子片を水晶ウェハから切り離して次の封止工程へ送り、規定値以上の水晶振動子片だけが付いた水晶ウェハをステップST64へ戻すようにすることもできる。このようにすれば、ウェハ内での漏れ量ばらつきが生じた場合にも、漏れ振動を低減させることができる。
第5の製造方法において、外形形成工程(ステップST61)と電極形成工程(ステップST62)と漏れ量測定工程(ステップST63)は、第4の製造方法と同様であるので、説明は省略する。
図45は、バランス調整工程(ステップST64)から規定値判定工程(ステップST66)までの詳細を説明するための説明図である。
図45は、水晶ウェハ101に形成された水晶振動子片107の一方の駆動脚111の断面を模式的に示す断面図であり、図39のD−D´断面から駆動脚111の部分を拡大した図である。この断面形状は前述したとおり、片面のエッチングマスクが大きいことによってマスクずれの影響は受けないが水晶のエッチング異方性によって上下左右非対称となる。
このエッチング異方性による上下左右非対称、及び、切欠部130a、130b、調整エリア116a、116bの説明は、第3と第4の製造方法と同様であるので説明は省略する。
切欠部130a、130bのエッチング量は、漏れ量測定工程で得た漏れ量情報に基づいて決定した目標値より少ない量、例えば、目標値の50%位のエッチング量を加工時間に換算して、最初のバランス調整工程(ステップST64)を実施し、図示するように一例としてエッチング深さK1までエッチングを行う。
図45に示すように、表面側のエッチング除去部分を除去部分17a、裏面側のエッチング除去部分を除去部分17bとすると、エッチング深さK1までエッチングされたときの水晶の除去部分は、除去部分117a1及び117b1である。
次に、漏れ量測定工程(ステップST65)で再測定を行う。ステップST66の判定で規定値以内に達していなければ、新に得た漏れ量情報からエッチング量の目標値を新に設定して加工時間に換算して、再度バランス調整工程(ステップST64)を実施し、図示するように一例としてエッチング深さK2までエッチングを行う。つまり、エッチング深さK2までエッチングされたときの水晶の除去部分は、除去部分117a2及び117b2である。
次に、漏れ量測定工程(ステップST65)で再測定を行う。ステップST66の判定で規定値以内に達していなければ、新に得た漏れ量情報からエッチング量の目標値を新に設定して加工時間に換算して、再度バランス調整工程(ステップST64)を実施し、図示するように一例としてエッチング深さK3までエッチングを行う。つまり、エッチング深さK3までエッチングされたときの水晶の除去部分は、除去部分117a3及び117b3である。
除去部分117a1、117a2、117a3の合計と、除去部分117b1、117b2、117b3の合計とが、エッチング量の規定値(規定量)となる。このように、ステップST64からステップST66を複数回繰り返し、漏れ量が規定値以内に達するまでバランス調整を実施する。
なお、電極120a、121cの調整領域130a、130bの開口幅が振動脚111、112の幅の1/2の場合、1/4の場合等について、エッチング時間と効き量との関係を予め実験等によって定めることができる。例えば、調整領域130a、130bの開口幅が振動脚111、112の幅の1/2の場合、エッチング時間120(s)の場合の効き量は3000mV、60(s)の場合の効き量は1500mV。また、調整領域130a、130bの開口幅が振動脚111、112の幅の1/4の場合、エッチング時間120(s)の場合の効き量は1500mV、60(s)の場合の効き量は750mVである。効き量とは、測定による漏れ量を調整可能な量である。
以上のように、本発明の第5の製造方法によれば、水晶振動子に特徴付けをして外形形成を行った後、水晶振動子の漏れ量を測定し、その漏れ量に基づいてバランス調整のためのエッチング加工を少しずつ複数回繰り返して行うことで、極めて高精度に調整された水晶振動子を製造することができる。
また、バランス調整と漏れ量測定を繰り返し実施すことで、漏れ量が規定値に入った水晶振動子片を水晶ウェハから取り外し、規定値外の水晶振動子片を規定値以内に収まるまで、何度でも漏れ量調整を実施することができる。これにより、個々の水晶振動子片の微細な漏れ量調整が可能となるので、漏れ量のばらつきが極めて少ない水晶振動子を製造することができる。
この第5の製造方法は、水晶ウェハの中の水晶振動子片が組成や加工状況等によって、漏れ量が個々にばらついている場合や、個々の水晶振動子片を特に高精度に調整する場合に好適である。
以下、溝が形成されている水晶振動子について説明する。
図46は、前述の水晶ウェハ101に形成された水晶振動子片107の一方の駆動脚111の他の例であり、主平面の表と裏とに水晶振動子片107の長手方向に沿って複数の溝115が形成された駆動脚111の断面図である。溝115が形成された水晶振動子は公知であるが、この溝115の内側に形成される溝電極115aと側面の駆動電極121a、121bの一部が対向することによって水晶振動子に加わる電界が増加し、水晶振動子の駆動力を向上させることができる。なお、図46では複数の溝115を設けた例を示したが、単一の溝でもよい。
図46(a)に示す溝115を有する駆動脚111の主平面の表面と裏面とに、前述の電極形成工程によって駆動電極120a、120bが形成され、この駆動電極120a、120bのそれぞれの端部に切欠部130a、130bが形成されて、水晶面が露出する。すでに説明した例と同様に、この切欠部130aによって露出した駆動脚の水晶部分が調整エリア116aであり、切欠部130bによって露出した部分が調整エリア116bである。
図46(b)に示すように、バランス調整工程によって水晶ウェハ101を再びエッチング液に浸漬して一括エッチングを行い、切欠部130a、130bで露出した駆動脚111の表面および裏面がエッチング除去され、除去部分117a、117bが形成される(図中破線部分)。これら除去部分により駆動脚111の厚みが一部僅かに減少する。この切欠部130a、130bの水晶がエッチング除去されることによって、上下左右非対称となった断面形状が補正され、漏れ振動が抑制される。
切欠部130a、130bは、図示するように、溝115から駆動脚111の端部(角部)に至る領域に形成されることが好ましいが、幅方向に制限のある場合には、中央部分まで切欠部として利用することもできる。また、切欠部130a、130bの位置は、上下左右非対称に偏って形成された水晶部分を打ち消すように主軸の傾きに応じて形成する。
この溝付き駆動脚を有する水晶振動子のバランス調整は、前述の第3〜第5の製造方法における、いずれの製造工程でも実施することができる。
次に本発明の第6の製造方法を説明する。
第6の製造方法の特徴は、水晶振動子の漏れ振動の方向が予め見積もれるように、水晶板の表裏両面に配設されるエッチング用マスク部材同士が、互いに所定量ずれて配設されることである。また、第6の製造方法は、第3〜第5の製造方法に対して一部が異なるだけであるので、同一要素には同一番号を付し、重複する説明は一部省略する。
第6の製造工程の順序は、本発明の第3〜第5の製造工程(図33、図42、図44)のいずれにも適応できるので説明は省略する。以降、各製造工程について詳述する。
図47は、第6の製造方法における、水晶振動子の外形形成工程の詳細を説明するための図である。
図47は、第3の製造方法で示した図34と同様な水晶ウェハ上に形成される水晶振動子片の振動脚の断面を模式的に示す断面図である。図47は、図32に示した水晶振動子110が2つ並んだ状態と同じ状態を示すものであって、駆動脚111、112と検出脚113との先端方向から基部114の方向に向かって見た図である。
図47(a)に示す、所定の板厚に調整された平板形状の単一の水晶板である水晶ウェハ101の両面に、図47(b)に示すように、水晶用のエッチング液に耐性のある金属耐食膜102a、102bと、その上にフォトレジスト103a、103bと、を形成する。
図47(b)に示す例では、図面を見やすくするために、金属耐食膜102a、102bは、単層膜として記載しているが、前述のとおり、金(Au)とクロム(Cr)との積層膜を用いることができる。これらの金属膜は、知られている蒸着技術やスパッタ技術を用いて形成することができる。
次に、図47(c)に示すように、振動子パターンがそれぞれ描画された2枚のフォトマスク104a、104bを水晶ウェハ101の上下に配置し、フォトマスク104a、104bの上から光(矢印B)を照射してフォトレジスト103a、103bを露光する。ここで、フォトマスク104aと104bは共に、振動子パターンが正確に描画されたフォトマスクであるが、このフォトマスク104aと104bは、位置関係が互いにX軸方向に所定量だけずれて配置される。ここで、フォトマスク104aと104bのずれ量を図示するように位置ずれ量eとして定義する。
次に、図47(d)に示すように、フォトレジスト103a、103bの現像を行い、形成したレジストパターンをマスクとして金属耐食膜102a、102bをパターニングし、耐エッチング用マスク部材であるエッチングマスク105a、105bを形成する。金属耐食膜102a、102bを金(Au)とクロム(Cr)との積層膜を用いたときは、これら2つの金属膜それぞれをエッチングする。
ここで、前述したように、フォトマスク104aと104bはX軸方向に位置ずれ量eだけずれて配置されるので、耐エッチング用マスク部材であるエッチングマスク105aと105bは、その位置関係が互いに位置ずれ量eだけずれて形成される。
次に、図47(e)に示すように、フォトレジスト103a、103bを剥離後、表裏両面にエッチングマスク105a、105bの形成された水晶ウェハ101を水晶用エッチング液であるフッ酸系のエッチング液に浸漬すると、エッチングマスク105a、105bに覆われていない部分の水晶が表裏両側から溶解する。その後、エッチングマスク105a、105bを除去することによって、水晶振動子片の振動脚である駆動脚111、112と検出脚113とが得られる。
水晶ウェハ101は、エッチングマスク105a、105bによって表裏両面からエッチングが進行するが、前述したようにエッチングマスク105aと105bは位置ずれ量eだけずれて形成されているので、水晶振動子片の断面は、図示するように、ずれているエッチングマスク105aと105bに沿って略平行四辺形に形成される。このエッチングマスクの位置ずれ量eが、従来例で述べた製造上の誤差である位置ずれ量e(図47参照)より十分大きければ、製造上の誤差にほとんど影響されずに水晶振動子片の断面は略平行四辺形となる。ここでは、残渣は省略している。
これにより、水晶振動子の外形に特徴付けを行い、水晶振動子の漏れ振動の方向を予め見積もることができる。すなわち、誤差によるマスクずれは漏れ振動の方向を特定できないが、故意にエッチングマスクをずらすことで漏れ振動の方向を予め見積もることができるのである。
第6の電極形成工程は、前述の第3の電極形成工程(図37〜図40)と同様である。すなわち、図39で示すように水晶振動子片107の駆動脚111、112の主平面には駆動電極120a、121cが形成され、この駆動電極120a、121cはバランス調整のための切欠部130を備える。この切欠部130は、駆動電極20a、121cの片辺全部に駆動電極120a、121cの長手方向に沿って細長く形成される。そして、この切欠部130は、その幅方向の略中心C2が駆動脚111、112の幅方向の略中心C1に対して駆動脚111、112の幅方向にずれて形成される。なお、すでに説明した例と同様に、駆動脚の上面側を切欠部130a、調整エリア116aとし、裏面側を切欠部130b、調整エリア116bとする。
水晶面が露出した調整エリア116a、116bは、後工程であるバランス調整工程による再エッチングによって表面が溶解し、駆動脚111、112の断面形状が調整されて漏れ振動が抑制される。すなわち、水晶振動子は、外形形成工程で特徴付けされることで漏れ振動の方向を予め見積もることができるので、この見積もりに基づいて電極形成工程で電極に切欠部130を形成する。なお、切欠部130は、第3の製造方法における図40(a)、図40(b)のように、電極の一部でもよい。
図48及び図49は、第6のバランス調整工程を説明するための図である。
バランス調整工程は第3の製造方法と同様であり、前工程である電極形成工程で駆動脚111、112の駆動電極が所定形状に形成された後、この駆動電極をマスクにして水晶ウェハ101を再び一括エッチングして水晶振動子片107の駆動脚111、112の断面形状を修正して振動のバランス調整を行い、漏れ量を調整して水晶振動子片107の漏れ振動を抑制する工程である。
図48は、水晶ウェハ101に形成された水晶振動子片107の一方の駆動脚111の断面を模式的に示す断面図であり、第3の製造方法で示した図39のD−D´断面から駆動脚111の部分を拡大した図である。この断面形状は、裏面側のエッチングマスクを+X軸方向に位置ずれ量eだけずらしたことで略平行四辺形となっており、水晶振動子片が特徴付けされ、漏れ振動の方向を予め見積もることができる。すなわち、駆動脚111の断面は特徴付けによって上下左右非対称であり、主軸136(破線)はX軸に対してズレ角θ4の傾きを持つので、漏れ振動が発生する。そして、この特徴付けによる上下左右非対称の断面を打ち消すように切欠部を形成し、それにより生じた調整エリアの水晶をエッチング除去することで漏れ振動を抑制する。
図48において、駆動脚111の主平面に駆動電極120a、120bが形成され、この駆動電極120a、120bの切欠部130a、130bに対応して、駆動脚111に除去部分117a、117bが形成される。ここで、駆動脚111の切欠部130a、130bは、第3の製造方法と同様に、駆動脚111の振動軸中心を原点Pとし、この原点Pを通り直交する2つの軸x、yで定義される第1象限、第2象限、第3象限、第4象限のうち、原点Pを挟み対称となる象限に形成される。
切欠部130a、130bによるエッチング除去量は、原点Pを挟み対称となる象限のエッチング除去量が等しくなることもあり、そうでないこともある。同様に、隣り合う象限のエッチング除去量が異なることもあり、そうでないこともある。
また、図48に示す切欠部130a、130bは、一例として第2象限と第4象限とに形成されるが、これは、裏面側のエッチングマスクを+X軸方向にずらしたことによる上下左右非対称の断面形状を打ち消すには、第2象限部分と第4象限部分の水晶を削ればバランスが調整できるからである。
すなわち、第2象限と第4象限とに形成された切欠部130a、130bの水晶がエッチング除去されることによって、上下左右非対称となった断面形状が補正され、依然として断面形状は上下左右非対称であるが、主軸136は主軸136´(実線)のように修正されて漏れ振動が抑制される。
第6の切欠部130a、130bのエッチング量は、第3の製造方法のように、水晶振動子の残渣のでき方を想定し、漏れ振動の方向と共に、漏れ量の大きさを見積もり、加工時間に換算してエッチング除去量を決定することができる。また、第4の製造方法のように、水晶振動子片の漏れ量情報に基づいてエッチング量を加工時間に換算してエッチング除去量を決定することができる。また、第5の製造方法のように、水晶振動子片の漏れ量情報に基づいてバランス調整のためのエッチング加工を少しずつ複数回繰り返すようにエッチング除去量を決定してもよい。
図49はエッチングマスクが図48とは逆方向に、裏面側のエッチングマスクを−X軸方向に位置ずれ量eだけずらしたことで略平行四辺形となった断面図である。この場合、水晶振動子片は逆方向に特徴付けされ、漏れ振動の方向を予め見積もることができる。この場合は、図示するようにずれて偏って形成された水晶部分を打ち消すように、駆動脚111に切欠部130a、130bを第1象限と第3象限とに形成すればよい。すなわち、第1象限と第3象限とに形成された切欠部130a、130bの水晶がエッチング除去されることによって、上下左右非対称となった断面形状が補正され、依然として断面形状は上下左右非対称であるが、主軸136は主軸136´(実線)のように修正されて漏れ振動が抑制される。
以上のように本発明の第6の製造方法によれば、水晶ウェハの表裏両面に配設されるエッチングマスク同士が互いに所定量ずれて配設されることで、形成される水晶振動子の外形に特徴付けして水晶振動子の漏れ振動の方向が予め見積もれるので、この漏れ振動の方向に基づいた切欠部を備える電極を駆動脚に形成することができる。この結果、製造上のばらつきであるマスクの位置ずれ等に影響されずに再エッチング工程によって漏れ振動を調整できるので、高精度に漏れ振動が調整された水晶振動子を提供することができる。
以上説明した第3〜第6の製造方法では、電極形成工程において、駆動脚の電極に予め切欠部を形成し、この切欠部による調整エリアを再エッチングすることで、水晶振動子の漏れ振動を調整するが、ウェハ内で漏れ量のばらつきが大きいなどの場合は、予め形成される切欠部以外に、レーザ加工等によって電極を加工し、水晶面が露出した切欠部を更に追加して形成してもよい。この電極を追加加工する工程は、例えば、第4の製造方法の場合では、漏れ量測定工程(ステップST53)の後に追加することができる。この電極加工工程を追加することで、漏れ量の調整範囲を個々の素子ごとに拡大できるので、ウェハ内の漏れ量のばらつきが大きな場合であっても、不良品とせずに漏れ量を調整して良品にできる可能を広げることができる。
なお、漏れ振動の方向を見積もるための外形形成の特徴付けは、片面マスクやマスクずらしに限定されず、他の方法でも本発明は適応される。また、本発明の実施形態で示したフローチャートや外形図等は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を満たすものであれば、任意に変更してよい。
なお、上述した本発明の第1〜第6の製造方法に関係するフローチャートや外形図等は、一例であって、これらに限定されるものではなく、本発明の要旨を満たすものであれば、任意に変更してよい。
本発明の第1〜第6の水晶振動子の製造方法は、小型で高精度に漏れ振動が調整された水晶振動子を低コストで提供することができるため、小型で高精度なジャイロセンサ用水晶振動子の製造方法として好適である。

Claims (20)

  1. 水晶振動子の製造方法において、
    所定の外形形状を形成する第1エッチング工程と、
    前記外形形状の表面の少なくとも一部に電極を形成する電極形成工程と、
    前記外形形状の漏れ振動による漏れ量を測定する漏れ量測定工程と、
    バランスを調整する為に、前記漏れ量測定工程の測定結果に基づいた量のエッチングを前記外形形状に対して行う第2のエッチング工程と、
    を有することを特徴とする水晶振動子の製造方法。
  2. 前記第2のエッチング工程は、前記電極をマスクとして行われる、請求項1に記載の水晶振動子の製造方法。
  3. 前記漏れ量測定工程の測定結果に基づいて、前記電極を所定形状に加工する電極加工工程を更に有し、
    前記第2のエッチング工程は、前記電極加工工程において加工された前記電極をマスクとして行われる、請求項2に記載の水晶振動子の製造方法。
  4. 前記外形形状は、基部及び前記基部から延設された振動脚を有し、
    前記電極形成工程は、前記振動脚上に前記電極を形成する、請求項1〜3の何れか一項に記載の水晶振動子の製造方法。
  5. 前記電極加工工程は、加工された前記電極の除去部分の前記電極の幅方向の略中心が、前記振動脚の幅方向の略中心より前記振動脚の幅方向にずれるように加工する、請求項4に記載の水晶振動子の製造方法。
  6. 前記電極形成工程と前記漏れ量測定工程との間に、前記電極形成工程により形成された前記電極をマスクとして前記振動脚をエッチングする粗調整工程を有する、請求項4に記載の水晶振動子の製造方法。
  7. 前記電極形成工程において、前記電極の幅方向の略中心と、前記電極が設けてある前記振動脚の幅の略中心とが、前記電極の幅方向に所定量ずらして形成される、請求項6に記載の水晶振動子の製造方法。
  8. 前記電極加工工程は、前記漏れ量測定工程の測定結果に基づいて、前記電極において、前記振動脚の前記基部に近い領域である第1の領域と、前記振動脚の先端に近い領域である第2の領域とのどちらかの幅を狭くするように加工する、請求項4に記載の水晶振動子の製造方法。
  9. 前記電極加工工程は、前記漏れ量測定工程の測定結果により、多くの調整が必要なときは、前記第1の領域の前記電極の幅を狭くするように加工し、少ない調整が必要なとき、前記第2の領域の前記電極の幅を狭くするように加工する、請求項8に記載の水晶振動子の製造方法。
  10. 前記第2のエッチング工程と前記電極加工工程とを複数回行うとき、
    前記電極加工工程により最初に加工される前記電極は、前記第1の領域の前記電極である、請求項8に記載の水晶振動子の製造方法。
  11. 前記第2のエッチング工程は、前記漏れ量測定工程の測定結果から得られた漏れ量の情報からエッチング量を加工時間に換算して、前記振動脚のエッチング除去量を決定する、請求項1に記載の水晶振動子の製造方法。
  12. 第2のエッチング工程によるエッチング除去部分は、1つの振動脚に複数個あり、
    前記エッチング除去部分は、前記振動脚の断面の振動軸中心を原点としたとき、前記原点を通り直交する2つの軸で定義される第1象限、第2象限、第3象限、第4象限のうち、前記原点を挟み対称となる象限に設けられる、請求項1〜11の何れか一項に記載の水晶振動子の製造方法。
  13. 第2のエッチング工程によるエッチング除去量は、
    前記振動脚の断面の振動軸中心を原点としたとき、前記原点を通り直交する2つの軸で定義される第1象限、第2象限、第3象限、第4象限のうち、前記原点を挟み対象となる象限において等しく、隣り合う象限の前記エッチング除去量が異なる、請求項1〜11の何れか一項に記載の水晶振動子の製造方法。
  14. 前記第1のエッチング工程において、単一の水晶板上に複数の前記外形形状を形成し、
    前記第2のエッチング工程において、複数の前記外形形状を同時にエッチングする、請求項1〜13の何れか一項に記載の水晶振動子の製造方法。
  15. 前記漏れ量測定工程は、複数の前記外形形状ごとに前記漏れ量を測定し、測定した前記漏れ量と前記外形形状との位置関係情報を記憶する、請求項14に記載の水晶振動子の製造方法。
  16. 前記電極加工工程は、前記電極にレーザ光を照射することにより行う、請求項3〜15の何れか一項に記載の水晶振動子の製造方法。
  17. 前記第1のエッチング工程において、漏れ振動の方向が見積もれる前記外形形状を形成し、
    前記電極形成工程において、前記第1のエッチング工程で形成した前記外形形状に応じてバランスを調整するための切欠部を有する前記電極を形成する、請求項2に記載の水晶振動子の製造方法。
  18. 前記外形形成工程は、平板形状の水晶板の両面にマスク部材を設け、両面の前記マスク部材同士の大きさを幅方向で異ならせることで、形成される前記外形形状の漏れ振動の方向が予め見積もれるように形成する、請求項17に記載の水晶振動子の製造方法。
  19. 前記外形形成工程は、平板形状の水晶板の両面にマスク部材を設け、両面の前記マスク部材同士は、互いに所定量ずれて配設されることで、形成される前記外形形状の漏れ振動の方向が予め見積もれるように形成する、請求項17に記載の水晶振動子の製造方法。
  20. 前記両面の前記マスク部材の幅方向の第1の側面のオフセット量をk1、第2の側面のオフセット量をk2、マスクの位置合わせ精度を±p、第1の側面のエッチング角度をα、第2の側面のエッチング角度をβ、前記平板形状の水晶板の厚みをt、とするとき、第1突出部の長さcと第2突出部の長さdは、
    c=t×tan(α−90°)+k1
    d=t×tan(β−90°)+k2
    k1、k2>p
    の関係を満たす、請求項18又は19に記載の水晶振動子の製造方法。
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