JP2010283425A - 水晶振動子及びその水晶振動子の製造方法 - Google Patents

水晶振動子及びその水晶振動子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】水晶振動子の漏れ振動が確実に、且つ、高精度に微細調整された水晶振動子及びその水晶振動子の製造方法を提供することである。
【解決手段】基部から延設する振動脚を備える外形形状を有し、該振動脚の主平面と側面との少なくとも一方に電極を備える水晶振動子であって、電極は振動脚の漏れ振動成分を減少するように電極の厚みが薄く削られた電極薄層部分を有する構成とした。振動脚に設ける電極は、電極薄層部分を有しているだけでトリミング(除去)してはいないから、振動片への駆動力が低下することはない。したがって、CI値の増加は発生せず、振動の安定性の悪化や角速度の検出精度の低下も発生しない。
【選択図】図1

Description

本発明は、振動型ジャイロセンサなどに利用される水晶振動子及びその水晶振動子の製造方法に関し、特に面外振動である漏れ振動発生を抑制する水晶振動子に関する。
振動型ジャイロセンサなどに利用される音叉型の水晶振動子は、水晶ウェハから所定の形状の水晶振動子を切り出す工程、水晶振動子を発振させるための電極を形成する工程、電極が形成された水晶振動子を容器に実装する工程などによって製造される。特に、水晶振動子の形状が振動を決定し水晶振動子の性能に大きく影響するため、水晶ウェハから水晶振動子を切り出す外形形成工程は重要な工程である。
ここで、図16は従来の水晶振動子を模式的に示した斜視図であり、水晶振動子100の外形は、水晶ウェハからエッチング加工等による外形形成工程によって切り出される。この水晶振動子100は、振動型ジャイロセンサとして用いられる振動子であり、振動脚として2本の駆動脚101、102と1本の検出脚103とを有する三脚音叉型振動子である。
この水晶振動子100を例えば振動型ジャイロセンサとして用いる場合、図16に示すX軸方向の屈曲振動を駆動振動、Z´軸方向の屈曲振動を角速度が印加された場合の検出振動として用いている。そのため、角速度が印加されていない状態ではZ´軸方向の振動は発生しない。
図17は、図16の従来の水晶振動子100を切断線A−A´での断面を模式的に示した断面図であって、駆動脚101、102の断面を示した図である。なお、説明に必要のない部分は省略してある。図17において、図17(a)は、水晶振動子100の駆動脚の駆動振動を説明するための図であり、図17(b)は、水晶振動子100の駆動脚の斜めの駆動振動を説明するとともに水晶の残渣形状を説明する図である。
図17(a)は、水晶振動子100に角速度が印加されていない状態での理想的な駆動振動を示しており、その振動方向S1はX軸方向である。しかし、従来の製造方法で製作した水晶振動子においては、実際には角速度が印加されていない場合にも図17(b)に示すように、Z´軸方向の振動成分を有する斜め振動(振動方向S2)が観測される。
これは、水晶振動子の加工精度や水晶の異方性等に起因して、駆動振動(X軸方向の振動)のほかに、水晶振動子100に角速度が印加されていない状態において発生してはならない面外振動(Z´軸方向の振動)が発生するからである。
このように、駆動脚101、102が斜め振動をすると、検出脚103の先端の軌跡は、Z´軸方向への直線的な振動、または、X−Z´面内における楕円振動となる。このZ´軸方向の振動成分は漏れ振動と呼ばれ、この漏れ振動によって検出脚103の検出電極からはコリオリ出力と無関係な漏れ信号が発生し、ジャイロセンサのS/N比を悪化させたり、温度特性を悪化させたりするという問題があった。
また、周波数基準などの通常用途の音叉型水晶振動子の場合も、振動はX軸方向の屈曲振動を利用しており、Z´方向成分の漏れ振動はクリスタルインピーダンス(CI値)の上昇をもたらし、特性の悪化を招くという問題があった。
この漏れ振動は、水晶振動脚断面形状の製造によるばらつきが影響を与えていると考えられる。特に、図17(b)に示したように、水晶振動子をエッチングで製造する際に形成される水晶の残渣形状のばらつきが影響を与えていると考えられる。すなわち、水晶にはエッチング異方性があり、結晶の方向によってエッチング速度が異なるという特性を有する。そのために、エッチング後の水晶振動子における振動脚の側面は均一にエッチングされずに残渣が残る。
ここで、残渣の影響による漏れ振動の発生について考察する。一般に梁などの曲げについて考える場合、断面の主軸がよく考慮される。断面の主軸は、直交する2本の軸からなり、梁に主軸と同方向に曲げ力をかけると、梁は力と同方向に曲がる。一方、主軸と異なる方向に曲げ力をかけた場合には、梁は力がかけられた方向とは異なった方向に曲がる。
水晶振動子の場合、圧電効果によって曲げ力がかかるのは、X軸方向である。よって、主軸の一方がX軸と同じであれば、振動はX軸方向に起こり、漏れ振動は発生しない。一方、主軸がX軸から外れてZ´方向に傾くと、曲げ力のかかる方向と主軸の方向が一致しないため、振動はZ´軸成分を含んだ斜め振動となり、漏れ振動が発生する。
主軸は、その梁(振動脚)の断面形状によって決まる。単純な例では、対称軸を持つ断面に関しては、その対称軸及びそれと垂直な軸がその断面の主軸である。例えば、長方形の断面ならば、各辺の2等分線がそれぞれ主軸である。
漏れ振動のない水晶振動子を得ようとする場合、主軸の一方がX軸に平行である必要がある。主軸は直交する2本の軸なので、X軸かZ´軸に平行な対称軸が断面にあれば、X軸に平行な主軸が存在することになる。つまり、断面形状が上下対称か、左右対称であれば漏れ振動は発生しない。
ここで、すでに説明した例のように水晶振動子を製造した場合に、そうした対称軸を持った振動子が得られるのかどうかを考えてみる。水晶振動子をウェットエッチングで製造すると、振動脚側面には必ず残渣が残る。そのため、この残渣のでき方によって断面の主軸が決定される。水晶振動子の断面の主軸を考えるには、まず残渣がどのようにできるかを考える必要がある。残渣の形状は、エッチングの時間や条件によって異なるため、一概に言うことはできないが、概ね同じような傾向をたどるので、ここでは発明者の行った実験条件から観察できた結果に基づき残渣のでき方を説明する。
図18は、図16で示した水晶振動子100の振動脚を切断線A−A´での断面を模式的に示した拡大断面図であり、振動脚における残渣の形成状態の一例を示すものである。ここでは、説明を簡単にするために一本の駆動脚101のみを記し、水晶の結晶軸の−X側の側面を第1側面、+X側の側面を第2側面とする。ここで、図18(a)に示したように、比較的短時間のエッチングの場合の第2側面は、振動子の主平面、即ち表面101a、裏面101bから浅い部分ではZ´軸に対して約2°、深い部分では約22°の角度を成して残渣が形成される。
この表面101a、裏面101bからの深さはエッチングの時間によって異なるが、表面101a側、裏面101b側とも同じ傾向をたどる。また、図18(b)に示したように、比較的長時間エッチングを続けると、22°の部分はなくなり、2°の角度を成した残渣のみが残る。
また、第1側面に形成される残渣は、ごく小さいので言及された例は少ないのだが、図18(a)、図18(b)に示したように、詳細に観察すると残渣は形成されており、Z´軸に対して約1°の角度を成して形成される。この第1側面の残渣形状は、時間による
差はあまりない。すなわち、エッチングはエッチングマスク200a、200bの端部からスタートし、貫通するまでは表面側、裏面側で互いに影響を及ぼさず、独立して進行する。
このように、エッチングによって残渣ができるため、水晶ウェハの表裏両面からエッチングをする方法で水晶振動子を製造した場合、次のようなことが言える。
まず、図18(a)、図18(b)は、水晶ウェハに形成された表面のエッチングマスク200a、裏面のエッチングマスク200bの位置が正確に合っている場合を示している。この場合は図示したように、短時間エッチングであっても、長時間エッチングであっても、エッチング後の駆動脚101の断面は、X軸に略平行な対称軸をもった上下対称形となり、従ってX軸に略平行な主軸110を持つ。この場合、曲げ力のかかる方向と主軸110の方向とが共にX軸であり、ほぼ一致しているので漏れ振動はほとんど起こらない。
一方、図19で示す駆動脚101の断面図は、エッチングマスク200a、200bの位置が製造上の誤差で位置ずれ量eだけX軸方向にずれて形成されてしまった場合の一例を示している。この場合は図示したように、駆動脚101の断面は、上下左右非対称となり、X軸に平行な対称軸も、Z´軸に平行な対称軸も何れも持たない。
そしてこの場合の主軸111はX軸に対して平行ではなく、ズレ角θ1を有する。従って、曲げ力のかかる方向と主軸111の方向とが異なるので斜め振動となり、漏れ振動を発生してしまう。こうした断面の主軸と斜め振動の関係については、解析した例も開示されている(例えば、非特許文献1参照。)。ここで図示するように、エッチングマスク200aと200bとの位置ずれ量eと、主軸111のX軸に対するズレ角θ1と、は相関関係にあり、位置ずれ量eが増加すると、ズレ角θ1も大きくなり、漏れ振動は増大する。
また、水晶振動子の外形形成の製造方法としては、エッチングマスクを水晶ウェハの片面のみにパターニングし、もう一方の面は全面を金属耐食膜で覆っておき、片面からエッチングする方法や、エッチングマスクの裏面パターンを表面パターンよりも大きくし、表面パターンを基準パターンとしてエッチングする方法が知られている。
ここで、図20は表面パターンを基準パターンとしてエッチングする場合の一例を示した駆動脚の断面図である。図20において、駆動脚121は表面121aのエッチングマスク201aを基準パターンとして、裏面121bのエッチングマスク201bを幅広く形成している。これにより、エッチングマスク201aと201bとが多少位置ずれしても、断面形状への影響は少ない。しかし、前述したように、水晶のエッチング異方性によって、第1側面はZ´軸に対して約1°の角度を成して形成され、第2側面はZ´軸に対して約2°の角度を成して形成されるので、駆動脚121の断面は図示するように上下左右非対称となり、主軸112はX軸と平行にならずにズレ角θ2を有し、漏れ振動が発生してしまう。
以上のように、振動型ジャイロセンサ等に用いられる水晶振動子は、エッチングマスクの精度に起因して漏れ振動が発生し、センサの検出精度等を悪化させる重大な問題がある。 この解決には、エッチングマスクを高精度に形成できれば、ある程度の漏れ振動を抑制できるが、高精度化には限界があり、またコスト高となる。また、残渣は無くすことができないので、漏れ振動の抑制は困難であった。
このような背景から、水晶振動子の外形形成後に振動脚をさらに加工する方法が提案されている。例えば、水晶振動子の振動脚の稜線を摺動させたテープによって研削して、振
動脚のバランス調整によって漏れ振動を抑制する水晶振動子の特性調整方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかし、この特許文献1のテープによる研磨では、振動脚に正確に接触できないので、微細なバランス調整を実施することが困難である。また、テープによる研磨では振動子に外力が加わるので、特に小型の振動子の調整作業においては、外力により振動子にクラックなどが入りやすく、歩留まり低下、信頼性低下等の課題がある。
また、断面の主軸調整とは別の方法で漏れ振動抑制をする方法もある。振動部分の電極の一部をもれ振動成分が減少するようにトリミングを実施する角速度検出装置が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
ここで、特許文献2に示した従来技術の概略を図面に基づいて説明する。図21は特許文献2に示される角速度を検出する水晶片の断面図である。図21において、水晶片300の4辺にそれぞれ電極301、302、303、304が形成されている。そして、XZ平面内における重心Oを通るZ軸及びX軸によって4分割される水晶片300の領域をそれぞれ領域R1、R2、R3及びR4とする。ここでトリミングが行われる前の領域R4の伸長量が、領域R1の伸長量よりも大きいと仮定すると、水晶片300は領域R4から領域R2に向かう方向の応力に従って屈曲しようする。これにより、この屈曲による水晶片300の振動は、X軸方向の振動成分のみならず、Z軸方向の漏れ振動成分を有することになる。
そこで、領域R2上に設けられた電極301の一部分301aをレーザ光LBで除去すると、電極301及び302によって形成される電界の大きさが小さくなるので、この電界によって規定される領域R2の収縮量が小さくなる。領域R2の収縮量が小さくなると、上記領域R4から領域R2方向に働く応力に抗うことになるので、水晶片300のZ軸方向の振動成分を除去できることが示されている。
特開2002―243451号公報(第7頁、第9図) 特開平10−206165号公報(第5頁、第3図)
藤吉基弘、他5名、「水晶振動式角速度センサのモデル化と振動解析」、電気情報通信学会論文誌C、Vol.J87−C、No.9、p.712−719
しかしながら、特許文献2に示した従来技術は、電極のトリミングで水晶片への電界の大きさを可変して、漏れ振動を除去することが述べられているが、電極をトリミングすると、振動片への駆動力が低下してCI値が増加するので、振動の安定性が悪化し、角速度の検出精度が低下する問題がある。また、漏れ振動に対してのトリミングは、水晶片の片面の電極のみで実施されているが、片面電極だけのトリミングでは、振動方向を調整する効き量は更に小さくなり、このような調整方法によって、漏れ振動を抑制することは不確実であり、現実的ではない。
本発明の目的は上記課題を解決し、水晶振動子の漏れ振動が確実に、且つ、高精度に微細調整された水晶振動子及びその水晶振動子の製造方法を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明の水晶振動子は、下記記載の構成を採用する。
本発明の水晶振動子は、基部から延設する振動脚を備える外形形状を有し、この振動脚の主平面と側面との少なくとも一方に電極を備える水晶振動子であって、この電極は振動脚の漏れ振動成分を減少するように電極の厚みが薄く削られた電極薄層部分を有することを特徴とする。
また、電極薄層部分は振動脚の長手方向に沿って形成され、且つ、電極薄層部分の幅方向の略中心が、振動脚の幅方向の略中心より振動脚の幅方向にずれているようにしてもよい。
また、電極薄層部分は1つの振動脚に複数箇所あり、振動脚の断面の振動軸中心を原点としたとき、原点を通り直交する2つの軸で定義される第1象限、第2象限、第3象限、第4象限のうち、原点を挟み対称となる象限に設けられるようにしてもよい。
上記課題を解決するために、本発明の水晶振動子は、下記記載の製造方法を採用する。
本発明の水晶振動子の製造方法は、基部から延設する振動脚を備える外形形状を有し、この振動脚の主平面と側面との少なくとも一方に電極を備える水晶振動子の製造方法であって、平板形状の水晶板に所定の形状の耐エッチング用マスク部材を形成し、このマスク部材を用いてこの水晶板を所定の形状にエッチングして外形形状を形成する外形形成工程と、振動脚を構成する主平面または側面のいずれかに電極を形成する電極形成工程と、水晶振動子の漏れ量を測定する漏れ量測定工程と、漏れ量測定工程の測定結果に基づいて電極に電極薄層部分を形成する電極加工工程と、を有することを特徴とする。
また、基部から延設する振動脚を備える外形形状を有し、この振動脚の主平面と側面との少なくとも一方に電極を備える水晶振動子の製造方法であって、平板形状の単一の水晶板に所定の形状の耐エッチング用マスク部材を形成し、このマスク部材を用いてこの水晶板を所定の形状にエッチングして複数の水晶振動子の外形形状を形成する外形形成工程と、振動脚を構成する主平面または側面のいずれかに電極を形成する電極形成工程と、各々の水晶振動子の漏れ量を測定する漏れ量測定工程と、漏れ量測定工程の測定結果に基づいて各々の水晶振動子の電極に電極薄層部分を形成する電極加工工程と、を有することを特徴とする。
また、漏れ量測定工程は、各々の水晶振動子ごとに漏れ量を測定すると共に、測定した各々の漏れ量と各々の水晶振動子との位置関係情報を計測し、電極加工工程は、位置関係情報に基づいて、各々の水晶振動子ごとに電極の削り加工を行うようにしてもよい。
また、電極加工工程は、電極薄層部分の幅方向の略中心が、振動脚の幅方向の略中心より振動脚の幅方向にずれるように電極を削り加工するようにしてもよい。
また、電極が設けてある主平面を平面からみたとき、振動脚の基部に近い領域を第1の領域とし、それよりも振動脚の先端方向の領域を第2の領域として定義し、電極加工工程は、漏れ量測定工程の測定結果に基づいて、それら2つの領域のどちらかの電極に電極薄層部分を形成するようにしてもよい。
また、電極加工工程は、漏れ量測定工程の測定結果により、多くの調整が必要なときは、第1の領域の電極に電極薄層部分を形成し、少ない調整で済むときは、第2の領域の電
極に電極薄層部分を形成するようにしてもよい。
また、電極加工工程を複数回行うとき、電極加工工程により最初に削り加工される電極は、第1の領域の電極であるようにしてもよい。
また、電極加工工程は、漏れ量測定工程の測定結果から得られた漏れ量の情報から、電極の削り量を決定するようにしてもよい。
また、電極加工工程による主平面に有する電極薄層部分は、1つの振動脚に複数箇所あり、振動脚の断面の振動軸中心を原点としたとき、原点を通り直交する2つの軸で定義される第1象限、第2象限、第3象限、第4象限のうち、原点を挟み対称となる象限に設けるように加工されるようにしてもよい。
また、電極加工工程による主平面に有する電極削り量は、振動脚の断面の振動軸中心を原点としたとき、原点を通り直交する2つの軸で定義される第1象限、第2象限、第3象限、第4象限のうち、原点を挟み対象となる象限の電極削り量が等しく、隣り合う象限の電極削り量が異なるように加工されるようにしてもよい。
また、電極加工工程は、電極にイオンビームを照射することでその一部の表面を削るようにしてもよい。
本発明の水晶振動子は、その振動脚に設ける電極に電極薄層部分を有しており、この電極薄層部分により、振動脚の質量バランスを変えて振動方向を調整して、振動脚の漏れ振動成分を減少することができる。
振動脚に設ける電極は電極薄層部分を有しているだけでトリミング(除去)してはいないから、振動片への駆動力が低下することはない。したがって、CI値の増加は発生せず、振動の安定性の悪化や角速度の検出精度の低下も発生しない。すなわち、水晶振動子としての優れた振動安定性を維持することができる。
本発明の水晶振動子の製造方法によれば、電極薄層部分は、振動脚の表面に形成される電極の一部分を削り厚みを薄くすることでなされる。そうすると、その電極の質量が部分的に変化するため、振動脚の質量バランスを変えることができる。
また、電極の削り加工は、振動脚の両面の電極に対して原点を挟み対称に削るようにした場合は、削り量がわずかであっても振動脚に対して影響を与えて確実に振動方向を調整することができる。また、漏れ量の測定結果を確認しながら電極の削り加工を実施するので、高精度で微細な漏れ振動の調整が可能であり、漏れ量が十分に抑制された高性能な水晶振動子を提供することができる。
また、単一の水晶ウェハに形成された複数の水晶振動子に対して漏れ量測定と電極削り加工を一括して実施できるので、調整工程が簡素化されて工数が削減できると共に、ばらつきが少なく性能が均一で安定した特性の水晶振動子を効率よく大量に製造することができる。
また、本発明によって製造された水晶振動子をジャイロセンサとして用いるならば、漏れ振動に影響されない高精度な振動型ジャイロセンサを実現できる。また、周波数基準用の水晶振動子として用いるならば、CI値を低く抑えられるので、低消費電力の高性能な周波数基準用水晶振動子を実現できる。
本発明の実施形態の水晶振動子の一例を示す斜視図である。 本発明の実施形態の製造方法の工程順を説明するフローチャートである。 本発明の実施形態の製造方法の外形形成工程を説明する断面図である。 本発明の実施形態の製造方法の外形形成工程によって水晶ウェハに形成された複数の水晶振動子片の斜視図である。 本発明の実施形態の製造方法の電極形成工程を説明する断面図である。 本発明の実施形態の製造方法の電極形成工程によって形成された振動脚の電極配線を示す拡大断面図である。 本発明の実施形態の製造方法の漏れ量測定工程と電極加工工程を実施する漏れ量測定及び電極加工システムの一例を示す説明図である。 本発明の実施形態の製造方法の電極加工工程によって水晶振動子片にイオンビームが照射され電極の一部が削られた一例を示す平面図である。 本発明の実施形態の製造方法の電極加工工程によって電極薄層部分がどのような形状及び場所に形成されるかの一例を示す平面図である。 本発明の実施形態の製造方法の電極加工工程において水晶振動子片の駆動脚の第2象限と第4象限の電極の一部の表面が削られることを説明する断面図である。 本発明の実施形態の製造方法の電極加工工程においてイオンビームの照射を制御することで電極薄層部分の電極厚みを調整することを説明する拡大断面図である。 本発明の実施形態の製造方法の電極加工工程において水晶振動子片の駆動脚の第1象限と第3象限の電極の一部が削られることを説明する断面図である。 本発明の実施形態の製造方法による溝付き水晶振動子の漏れ振動調整を説明する断面図である。 本発明の実施形態の製造方法による2つの溝付き水晶振動子の漏れ振動調整を説明する断面図である。 本発明の実施形態の製造方法による片面マスクエッチングによって製造された水晶振動子の漏れ振動調整を説明する断面図である。 従来の水晶振動子の一例を示す斜視図である。 図16で示す従来の水晶振動子を切断線A−A´での駆動脚の断面図である。 従来の水晶振動子の振動脚の残渣を説明する拡大断面図である。 従来の水晶振動子の振動脚の一例を示す拡大断面図である。 従来の水晶振動子の片面マスクによって製造された振動脚の一例を示す拡大断面図である。 従来の角速度検出装置の調整方法を説明する断面図である。
以下図面に基づいて本発明の実施の形態を詳述する。
[水晶振動子の形状の説明:図1]
まず、図1を用いて本発明の水晶振動子の実施形態の一例を説明する。図1は水晶振動子を模式的に示した斜視図である。なお、説明に関係のない部分、例えば、水晶振動子をパッケージなどの封止部材に封止する際に導電性接着剤等を付着させる固定部分などは省略してある。
図1において、10は本発明の水晶振動子である。この水晶振動子10は、すでに説明した例と同様に水晶ウェハからエッチング加工によって切り出されて形成されるものである。一例として、振動型ジャイロセンサとして用いられる振動子であり、振動脚として2本の駆動脚11、12と1本の検出脚13とを有する三脚音叉型振動子である。なお、水晶振動子10は、三脚音叉型に限定されず、例えば、二脚音叉型やT型音叉、H型音叉など、どのような形状の振動子でもよい。
また、14は基部であり、駆動脚11、12と検出脚13とは、この基部14から延設する構造である。20、21は駆動脚11、12の主平面と側面とに形成される駆動電極であり、22は検出脚13の主平面と側面とに形成される検出電極である。30は水晶振動子10の漏れ振動を調整し抑制するための電極薄層部分である。この電極薄層部分30は、集束イオンビーム(FIB)装置などで照射されるイオンビーム(ここでは図示せず)によって駆動電極20、21の表面の原子がはじき飛ばされて、電極の厚みが薄く削られたエリアである。
このように、駆動電極20、21の一部分を削り加工して電極薄層部分30を形成し、駆動脚11、12の質量バランスを変えて振動方向を調整することによって漏れ振動を抑制することが、本発明の大きな特徴である。なお、この水晶振動子10は、X軸を幅方向に、Y´軸を長手方向に、Z´軸を厚み方向に構成される。
図1に示すように、駆動電極20、21には、その膜厚が薄い電極薄層部分30を有しているだけで、駆動電極そのものをトリミング(除去)してはいないため、例えば、駆動脚11、12の主平面の駆動電極と側面の駆動電極との距離が変わることはない。このため、駆動電極間にかかる電界も変わることがないため、駆動脚11、12への駆動力が低下することもない。したがって、CI値の増加など、電気特性の変化もないのである。
ところで、図1に示す例では、駆動電極20、21は、駆動脚11、12の主平面と側面とに形成されている例を示しているが、もちろんこれに限定するものではない。駆動電極20、21は、駆動脚11、12の主平面のみに設けても、側面のみに設けてもかまわない。駆動電極20、21をどのように設けるかは、駆動脚11、12のサイズ(幅方向、厚み方向、長手方向の長さ)や駆動脚の形状によって自由に選択することができる。
[本発明の製造工程の全体説明:図1、図2]
次に、図2のフローチャートを用いて、本発明の水晶振動子の製造方法の各工程順の実施形態を説明する。なお、各工程の詳細は後述する。また、説明の前提として本実施形態の水晶振動子の製造方法は、単一の水晶ウェハに複数の水晶振動子を形成し、水晶振動子の集合体として一括して製造する製造方法を例示する。もちろん、この集合体による一括製造に限定されるものではなく、1つの水晶ウェハや水晶板に対して1つの水晶振動子を形成する製造方法でも、本発明は適応される。
図2において、まず製造工程の最初に単一の水晶板である水晶ウェハに耐エッチング用マスク部材を形成し、複数の水晶振動子片の外形形状が形成される外形形成工程が実施される(ステップST1)。ここで、耐エッチング用マスク部材は、例えば、金(Au)を用いることができる。なお、この場合、金の下地にクロム(Cr)を形成してもよい。つまり、耐エッチング用マスク部材は、積層膜構造であってもよい。このように下地にクロム(Cr)を用いることで、水晶と金(Au)との密着性が向上する。このような耐エッチング用マスク部材を形成した後、これをマスクとして、所定のエッチング液を用いて水晶ウェハをエッチングし、水晶振動子片の外形を形成する。
次に、形成された水晶振動子片の振動脚を構成する主平面または側面に電極を形成する電極形成工程が実施される(ステップST2)。この工程で形成される電極は、図1に示す例では、駆動電極20、21及び検出電極22である。
次に、水晶ウェハに形成された各々の水晶振動子片を駆動して、漏れ振動の漏れ量を測定する漏れ量測定工程が実施される(ステップST3)。なお、漏れ量測定工程は、水晶ウェハに形成される全ての水晶振動子片の漏れ量を測定するが、漏れ量のばらつきが少な
い場合などは、抜き取り等で漏れ量の測定を行ってもよい。
次に、漏れ量測定工程で得た測定結果に基づいて電極の削り量を決定し、各々の水晶振動子片の電極の一部分の厚みを薄く削る電極加工工程が実施される(ステップST4)。この工程で加工された電極の形状とは、図1に示す例では、電極薄層部分30として示す形状である。
次に、電極加工工程が実施された水晶ウェハ上の各々の水晶振動子片を駆動して、漏れ振動の漏れ量を再び測定する漏れ量測定工程が実施される(ステップST5)。
次に、ステップST5の漏れ量測定工程で得た測定結果に基づいて、漏れ量が規定値以内であるかを判定する(ステップST6)。ここで、肯定判定(漏れ量が規定値以内)であれば、水晶振動子の漏れ振動が無視できる程度に抑制されたので、漏れ振動調整を終了する。また、否定判定(漏れ量が規定値以上)であれば、ステップST4へ戻り、漏れ量が規定値以内になるまでステップST4からステップST6を繰り返し実行する。
例えば、ステップST3の漏れ量測定工程の結果から電極削り量(削り面積や領域等)が算出されるが、電極の加工オーバーを避けるために一例として、電極削り量の算出値の半分程度の量をステップST4の電極加工工程で削り加工する。そして次の漏れ量測定工程(ステップST5)で漏れ量を再測定後、ステップST6の判定を行う。このように、少しずつ電極の削り加工を実施してステップST4〜ステップST6を繰り返すならば、漏れ量を確認しながら加工できるので、電極加工オーバーを防ぎ、高精度に漏れ量の調整を行うことができる。
ここで、ステップST6の判定結果で漏れ振動調整が終了したならば、各々の水晶振動子は水晶ウェハから切り離され、封止部材によって封止されて製品として完成するが、漏れ振動調整後の工程は本発明に直接係わらないので、説明は省略する。
なお、1枚の水晶ウェハに形成される複数の水晶振動子片の中で、ある水晶振動子片の漏れ量が規定値以内となり、他の水晶振動子片の漏れ量が規定値以上である場合は、漏れ量が規定値以内となった時点で、その水晶振動子片を水晶ウェハから切り離して次の封止工程へ送り、規定値以上の水晶振動子片だけが付いた水晶ウェハをステップST4へ戻すようにすることもできる。このようにすれば作業工程を減らして作業効率を向上させることができる。
[製造工程の詳細説明1:外形形成工程:図1、図2、図3、図4]
次に、各工程の詳細を説明する。まず、図3を用いて水晶振動子の外形形成工程(ステップST1)の詳細を説明する。図3は、水晶ウェハ上に形成される水晶振動子片の振動脚の断面を模式的に示す断面図である。図3は、図1に示す水晶振動子10が2つ並んだ状態を示すものであって、駆動脚11、12と検出脚13との先端方向から基部14の方向に向かって見た図である。
図3(a)に示す、所定の板厚に調整された平板形状の単一の水晶板である水晶ウェハ1の両面に、図3(b)に示すように、水晶用のエッチング液に耐性のある金属耐食膜2a、2bと、その上にフォトレジスト3a、3bと、を形成する。図3(b)に示す例では、図面を見やすくするために、金属耐食膜2a、2bは、単層膜として記載しているが、前述のとおり、金(Au)とクロム(Cr)との積層膜を用いることができる。
これらの金属膜は、知られている蒸着技術やスパッタ技術を用いて形成することができる。また、フォトレジスト3a、3bは、知られているスピンコート技術を用いて形成することができる。
次に、図3(c)に示すように、互いに向かい合わせたときに誤差を除いては正確に重なる振動子パターンがそれぞれ描画された2枚のフォトマスク4a、4bを水晶ウェハ1の上下に配置し、フォトマスク4a、4bの上から光(矢印B)を照射してフォトレジスト3a、3bを露光する。
次に、図3(d)に示すように、フォトレジスト3a、3bの現像を行い、形成したレジストパターンをマスクとして金属耐食膜2a、2bをパターニングし、耐エッチング用マスク部材であるエッチングマスク5a、5bを形成する。金属耐食膜2a、2bを金(Au)とクロム(Cr)との積層膜を用いたときは、これら2つの金属膜それぞれをエッチングする。例えば、ヨウ素とヨウ化カリウムとの混合溶液を用いて、金(Au)をエッチングする。水洗後、硝酸第2セリウムアンモニウム溶液を用いて、クロム(Cr)をエッチングする。
次に、図3(e)に示すように、フォトレジスト3a、3bを剥離後、表裏両面にエッチングマスク5a、5bの形成された水晶ウェハ1を水晶用エッチング液であるフッ酸系のエッチング液に浸漬すると、エッチングマスク5a、5bに覆われていない部分の水晶が表裏両側から溶解する。その後、エッチングマスク5a、5bを除去することによって、水晶振動子片の振動脚である駆動脚11、12と検出脚13とが得られる。水晶用エッチング液は、例えば、フッ酸とフッ化アンモニウムとの混合溶液を用いることができる。
なお、図3に示す例では、振動脚の断面のみを示しているが、実際にはこの外形形成工程(ステップST1)によって、図1に示す水晶振動子10の外形の全体が形成される。
図4は、この外形形成工程によって水晶ウェハ1に形成された複数の水晶振動子片7の様子を説明するために模式的に示す斜視図である。切断線B−B´については後述する。
この水晶振動子片7は、エッチングによって溶解された溶解部8から切り出されたように形成され、個々の水晶振動子片7は、水晶ウェハ1と連結部9によって結合されている。尚、連結部9は、バランス調整が終了した後に切断される部分であって、いわゆる折り取り部と呼ばれる部分である。そして、連結部9の部分を切断すると、水晶振動子片7は水晶ウェハ1から分離して図1に示す水晶振動子10として完成する。
なお、図4では、1枚の水晶ウェハ1に6個の水晶振動子片7を形成する例を示しているが、この個数は図4の例に限定されるものではない。水晶振動子片7は、得たい水晶振動子の性能や特性によりそのサイズや形状が選択され、それに伴って水晶ウェハ1のサイズが決まるためである。もちろん、1枚の水晶ウェハ1に形成する水晶振動子片7の数が多ければ、多数の水晶振動子を一括して製造できるため、製造コストを低減することができる。
[製造工程の詳細説明2:電極成形工程:図2、図4、図5、図6]
次に、図5を用いて電極形成工程(ステップST2)の詳細を説明する。図5は、図4に示す切断線B−B´での断面を模式的に示した断面図であって、駆動脚11、12と検出脚13との断面を示した図である。
図5(a)に示す、駆動脚11、12と検出脚13との表面に、図5(b)に示すように、金属膜200と、その上にフォトレジスト300と、を形成する。図5(b)に示す例では、図面を見やすくするために、金属膜200は、単層膜として記載しているが、クロム(Cr)を下地にしてその上に金(Au)を設ける積層膜とすることができる。尚、金属膜200の厚みは、一例として下地を含んで1500Å程度であるが、これより薄くても厚くてもよい。
この金属膜200は、知られている蒸着技術やスパッタ技術を用いて形成することができる。また、フォトレジスト300は、知られているスプレー法や電着法などを用いて形成することができる。
次に、図5(c)に示すように、駆動脚11、12と検出脚13とに設ける電極の形状がそれぞれ描画された2枚のフォトマスク400a、400bを水晶ウェハ1の上下に配置し、フォトマスク400a、400bの上から光(矢印B)を照射してフォトレジスト300を露光する。なお、図5(c)では、光を斜めから照射する、いわゆる斜め露光を行う例を示している。
次に、図5(d)に示すように、フォトレジスト300の現像を行い、形成したレジストパターンをマスクとして金属膜200をパターニングし、駆動電極20a、20b、20c、20d、21a、21b、21c、21dと検出電極22a、22b、GND電極22cとを形成する。
次に各電極の接続例を説明する。図6は、電極形成工程によって振動脚である駆動脚11、12と検出脚13とに形成される電極の接続の一例を示す図である。
駆動脚11の主平面である対向する2面に駆動電極20a、20bが形成され、駆動脚12の主平面である対向する2面に駆動電極21c、21dが形成されている。また、駆動脚11の側面である対向する2面に駆動電極21a、21bが形成され、駆動脚12の側面である対向する2面に駆動電極20c、20dが形成されている。
これらの駆動電極20a、20b、20c、20dは、それぞれ電気的に接続されて駆動電極端子20として外部に出力している。また、駆動電極21a、21b、21c、21dも、それぞれ電気的に接続されて駆動電極端子21として外部に出力している。
また、検出脚13には、その角の部分に対となる検出電極22a、22bが形成され、それぞれ検出電極端子22、23として外部に出力している。また、検出電極22a、22bに対向する面のGND電極22cは、GND電極端子24として外部に出力しており、図示しない回路のGND(0V)に接続している。もちろん、図6に示す電極構造または電極同士の接続構造は、これに限定されず、水晶振動子の仕様に応じて任意に決定することができる。
なお、以上の説明に用いた図3、図4、図5、図6に示す例では、駆動脚11、12と検出脚13とのそれぞれの側面は、前述したように残渣によって平面ではないが、図示しやすいように残渣の形状を省略している。
[製造工程の詳細説明3:漏れ量測定工程:図2、図7]
次に、図7を用いて漏れ量測定工程(ステップST3)を説明する。
図7は、漏れ量測定工程と電極加工工程を実施するための漏れ量測定及び電極加工システムの一例を示している。図7において、7a〜7fは水晶振動子片である。この水晶振動子片7a〜7fが形成された水晶ウェハ1は、XYステージ60に載せられ固定されている。61は複数の電極端子62を有するプローブであり、XYステージ60の上部に配設されている。このプローブ61の電極端子62は、水晶ウェハ1の水晶振動子片7a〜7fに形成される駆動電極端子20、21と検出電極端子22、23及びGND電極端子24(図6参照)に電気的に接触する。
また、63は漏れ量測定を制御する制御部であり、プローブ61と接続ケーブル64を介して接続している。65はXYステージ60を駆動する駆動部であり、制御部63からの制御信号に基づいてXYステージ60を駆動し、水晶ウェハ1をX方向、またはY方向
に移動して、プローブ61が全ての水晶振動子片のそれぞれの電極に接触できるように動作する。また、66は情報を記憶するメモリであり、制御部63に接続されて、水晶ウェハ1のすべての水晶振動子片7a〜7fの漏れ量情報をそれぞれの水晶振動子片の位置情報と共に記憶する。
次に、漏れ量測定システムの動作を説明する。図7において、制御部63は駆動部65に制御信号を送ってXYステージ60を駆動し、水晶ウェハ1に形成される所定の水晶振動子片7a〜7fの電極がプローブ61の直下に位置するように水晶ウェハ1を移動させる。図7に示す例では、水晶振動子片7fがプローブ61の真下に位置している。
次に、プローブ61は図示しない昇降手段によって降下し、電極端子62が水晶振動子片7fの電極に接触する。
次に、制御部63は、水晶振動子片7fを振動させる駆動信号を接続ケーブル64を介してプローブ61に送り、水晶振動子片7fの駆動電極端子20、21に駆動信号が供給されて水晶振動子片7fは振動を開始する。
次に、制御部63は、水晶振動子片7fの検出電極端子22、23から検出信号をプローブ61を介して入力し、この検出信号から漏れ信号成分を検出して、その漏れ量を水晶振動子片7fの位置関係情報と共にメモリ66に記憶する。
すなわち、この漏れ量測定工程の測定結果は、測定した水晶振動子片の漏れ量と、その水晶振動子片の位置関係情報と、で構成している。なお、水晶振動子片の位置関係情報は、XYステージ60の所定の原点からのX軸位置、Y軸位置として計測される位置情報である。また、漏れ量測定は当然であるが角速度を印加しない状態で行われる。
次に、制御部63は、ひとつの水晶振動子片の漏れ量測定が終わったならば、駆動部65に制御信号を送ってXYステージ60を駆動し、隣に位置する水晶振動子片の電極がプローブ61の直下に位置するように水晶ウェハ1を移動させる。例えば、水晶振動子片7fの測定が終了したならば、隣の水晶振動子片7eがプローブ61の真下に位置するようにXYステージ60を駆動する。
以降、水晶ウェハ1に形成される水晶振動子片を順次駆動して漏れ量を測定し、水晶振動子片7a〜7fの個々の漏れ量と位置関係情報とをメモリ66に記憶する。この場合、メモリ66には、6つの水晶振動子片の漏れ量と、それに対応した6つの水晶振動子片の位置関係情報と、が記憶される。
なお、水晶ウェハ1に設けてある水晶振動子片の全ての漏れ量を測定しなくてもよい。
例えば、水晶振動子片7aを測定し、その漏れ量が水晶振動子片7b〜7fの漏れ量だと仮定することもできるのである。このような仮定は、過去に測定した水晶ウェハや他の水晶ウェハの情報、例えば、水晶ウェハ1の膜厚や外形形成工程(ステップST1)のエッチング条件などを用いることでなすことができる。この場合、メモリ66には、1つの水晶振動子片の漏れ量と、6つそれぞれの水晶振動子片の位置関係情報と、が記憶される。
また、水晶ウェハ1に設けてある水晶振動子片を選択する、いわゆる抜き取り測定を行ってもよい。例えば、水晶ウェハ1に設けてあるいずれかの水晶振動子片1つまたは、予め決められた個数の水晶振動子片をランダムに選んで測定し、その平均値を水晶ウェハ1の漏れ量として記憶してもよいのである。この場合、メモリ66には、選択して測定した個数の水晶振動子片の漏れ量と、6つの水晶振動子片の位置関係情報と、が記憶される。
[製造工程の詳細説明4:電極加工工程:図2、図7、図8]
次に、電極加工工程(ステップST4)を説明する。この電極加工工程は、前述の漏れ量測定及び電極加工システム(図7)によって、水晶ウェハ1の各々の水晶振動子片7a
〜7fの電極にイオンビームIBを照射して実施する。
図7において、一例として水晶振動子片7fにプローブ61を接触させて漏れ量測定をしながら、水晶振動子片7fの電極部分に図示しないFIB装置によってイオンビームIBを照射し、測定した漏れ量に応じて電極の一部分の表面を削り加工する。これにより、図2のフローチャートで示したように、ステップST4〜ステップST6を水晶振動子片7fに対して繰り返し実行し、水晶振動子片7fの漏れ量を調整することができる。
すなわち、この一例では、漏れ量測定しながら漏れ量調整である電極の削り加工を実施するので、漏れ量がほぼ零になるまで電極加工を継続でき、且つ、漏れ量がほぼ零になったことを確認して電極加工を停止できるので、水晶振動子の漏れ量を高精度に微細調整することが可能である。なおこの場合は、漏れ量測定工程と電極加工工程が結合された工程となる。
ところで、水晶振動子片の駆動電極へイオンビームIBを照射して電極薄層部分を設けるが、この部分の電極が削り取られてしまっては意味がない。駆動電極の形状が変わってしまうため、水晶振動子の電気特性が変化してCI値が増加することになるからである。したがって、電極加工は、電極薄層部分にわずかでも電極が残った状態で停止しなければならない。
また、電極加工工程は漏れ量測定工程と分離してもよい。すなわち、漏れ量測定工程で1枚の水晶ウェハ1上のすべての水晶振動子片7a〜7fの漏れ量を測定して位置関係情報と共に記憶し、その後、電極加工工程に移行して、記憶情報に基づいてイオンビームIBをすべての水晶振動子片7a〜7fに次々と照射し、一括して電極の削り加工を行う方法である。この方法は、水晶ウェハ1上の水晶振動子片の数量が多い場合や、漏れ量測定を抜き取り測定などで実施した場合に、作業効率が向上する。従って、図2で示したフローチャートは、水晶ウェハ1上の水晶振動子片の数量や、漏れ量のばらつき等に応じて柔軟に変更することができる。
次に図8は、水晶ウェハ1に形成される水晶振動子片の平面図であり、図7に示す水晶振動子片7a〜7fのいずれかを示すものである。なお、以後の説明で水晶振動片を説明するときは、簡略化して水晶振動子片7と称する。そして、上述の電極加工工程によって駆動電極にイオンビームIBが照射され、駆動電極の一部分が薄く削られた一例を示している。
この電極加工工程において、図8で示すように駆動脚11の主平面に形成される駆動電極20aと、同じく駆動脚12の主平面に形成される駆動電極21cとの所定の箇所に、イオンビームIBが連続して照射され、各電極の幅方向の一方の端部が、漏れ量に応じて電極の長手方向に削られる。この電極の表面が削られた部分は、加工されていない他の電極部分より電極層が薄い略長方形状の電極薄層部分30が形成される。
この電極薄層部分30は、図示するように、その電極薄層部分30の幅方向の略中心D2が駆動脚11、12の幅方向の略中心D1に対して駆動脚11、12の幅方向にずれて形成される。
すなわち、電極加工工程によって駆動電極の一部分の質量を変化させ、駆動脚11、12の質量バランスを変えて振動方向を調整して漏れ振動を抑制するのであるから、電極薄層部分30は、駆動脚11、12の質量バランスが変わるような部分に設けなくてはならないからである。
なお、図8に示す例では、イオンビームIBを照射して削られる電極薄層部分30は、図面に向かって駆動電極20a、21cの左側の端部に設ける例を示したが、もちろんこれは一例である。しかしながら、このイオンビームIBを照射して削られる電極薄層部分30は、駆動脚11、12の幅方向にずれていなければならない。
[電極薄層部分の形状及び位置の説明:図9]
次に電極薄層部分30が、電極加工工程によってどのような形状及び駆動脚11、12の長手方向の位置に形成されるかを図9の平面図によって説明する。ここで電極薄層部分30は、水晶振動子片7の基部14に近い領域を第1領域とし、この第1領域よりも振動脚の先端方向を第2領域として定義された領域に形成される。
ここで、電極薄層部分30が第1領域に形成されると、その領域は基部14に近いので駆動脚11、12の振動に対する影響が比較的大きい。また、電極薄層部分30が第2領域に形成されると、その領域は駆動脚11、12の先端付近であるので、駆動脚11、12の振動に対する影響は比較的小さい。なお、図9における電極薄層部分30は長方形状として示しているが、この形状は限定されず、例えば、小さな円形状が連続したものでもよい。
ここで、図9(a)は、水晶振動子片7の漏れ量が少ない場合に加工される電極薄層部分30を示している。すなわち、水晶振動子片7の漏れ量が少ない場合は、水晶振動子片7は少しだけ調整されればよいので、電極薄層部分30は図示するように駆動脚11、12の主平面の第2領域の一部に形成される。このように、影響が比較的小さい第2領域に電極薄層部分30を形成することで、少ない漏れ量に対応して微細な調整が行えるので、より高精度に漏れ量を調整することができる。
また、図9(b)は、水晶振動子片7の漏れ量が中程度である場合に加工される電極薄層部分30を示している。ここで、水晶振動子片7は中程度に調整される必要があるので、電極薄層部分30は図示するように駆動脚11、12の主平面の第2領域のほぼすべてに形成される。これにより、中程度の漏れ量が調整されるので、漏れ振動を抑制することができる。すなわち、漏れ量の大きさに応じて、電極薄層部分30の形状(長手方向の長さ)を変えることで、駆動電極の質量を変化させ、駆動脚11、12の振動方向の調整量を変えることができる。
また、図9(c)は、水晶振動子片7の漏れ量がやや大きい場合に加工される電極薄層部分30を示している。ここで、水晶振動子片7は、大きく調整される必要があるので、電極薄層部分30は図示するように駆動脚11、12の主平面の第1領域の一部に形成される。これにより、やや大きい漏れ量が調整されるので、漏れ振動を抑制することができる。
また、図9(d)は、水晶振動子片7の漏れ量がかなり大きい場合に加工される電極薄層部分30を示している。ここで、水晶振動子片7は、かなり大きく調整される必要があるので、電極薄層部分30は図示するように駆動脚11、12の主平面の第1領域と第2領域との両方に形成される。これにより、かなり大きい漏れ量にも対応でき、漏れ振動を抑制することができる。
なお、電極加工工程は、図2のフローチャートで示すように、漏れ量が大きい場合などにおいては、規定値以内に収まるまで繰り返し実行されるが、最初の漏れ量測定工程(ステップST3)で、大きな漏れ量が測定されたならば、最初の電極加工工程(ステップST4)では、駆動脚の振動に対する影響が大きい第1領域の電極に電極薄層部分30を形成するとよい。これにより、最初の電極加工工程での削り量を大きくできるので、電極加
工工程の繰り返し回数を減らして、製造工数の削減を実現できる。
このように電極加工工程は、漏れ量測定工程で得た各々の水晶振動子片7の漏れ量情報と位置関係情報とに基づいて、電極薄層部分30の加工位置(第1、第2領域)を選択し、その削り量(長手方向の長さまたは幅)を調整することで、漏れ振動成分が減少するように漏れ量調整を実施することができる。また、振動子の漏れ量の調整は、電極を削る深さを変えることによっても実施できるが、削る深さを変えることによって削り量を調整する方法は後述する。
なお、電極薄層部分30は、図9の図面上で検出脚13に近い側の偏った領域に形成されているが、水晶振動子片7の裏面の駆動電極20b、21d(図6参照)では、反対に検出脚13から遠い側の偏った領域に形成される。この電極薄層部分30の偏り方向は、主軸の傾き方向に応じて決定されるが、その詳細な説明は後述する。
また、水晶ウェハ1の裏面にイオンビームIBを照射して加工する場合は、水晶ウェハ1を電極加工システムのXYステージ60に裏返しにして載せるか、または、XYステージ60をイオンビームIBの妨げにならない構造にして、XYステージ60の裏側から水晶ウェハ1にイオンビームIBを照射すればよい。
[エッチングマスクずれでの漏れ振動調整方法の説明:図10〜図14]
次に、エッチングのマスクずれを原因とする漏れ振動調整の具体例を説明する。図10は水晶ウェハ1に形成された水晶振動子片7の一方の駆動脚11の断面の一例であり、図4の切断線B−B´での断面を模式的に示した断面図である。
ここで、水晶ウェハ1をエッチング加工してできた水晶振動子片7の振動脚には残渣があり、且つ、水晶ウェハ1から水晶振動子片7を切り出すためのエッチングマスクが上下で位置ずれ量eだけずれた(裏面マスクが図面上右側にずれた)と仮定すると、駆動脚11の断面は図示するように上下左右非対称となり、駆動脚11の主軸35(破線で示す)はX軸に平行にならずズレ角θ1を持つ。(このような駆動脚の形状については、図19を用いて説明した従来技術の水晶振動子の駆動脚101の断面と同様である。)これにより、駆動脚11は斜め振動となって漏れ振動が発生する。
ここで、前述した漏れ量測定工程は、この漏れ振動を検出して漏れ量を測定し、電極加工工程は駆動脚11の主平面の表面と裏面とに形成されている駆動電極20a、20bの一部分を加工して電極の表面が削られた電極薄層部分30a、30bを形成する(破線部分)。この電極薄層部分30a、30bによって、駆動脚11の表面と裏面に形成される駆動電極20a、20bの質量が部分的に変化するので、駆動脚11の上下左右非対称が補正され、主軸35が主軸35´(実線)のように修正されることで振動方向が調整されて漏れ振動が抑制される。
また、この電極薄層部分30a、30bの駆動脚11に対する位置関係は、駆動脚11の表面の駆動電極20a側の電極薄層部分30aは、駆動電極20aの図面上左側に偏って形成され、駆動脚11の裏面の駆動電極20b側の電極薄層部分30bは、駆動電極20bの図面上右側に偏って形成される。
また図10では、電極薄層部分30a、30bを駆動脚11の主面から側面に至る角部まで形成する例を示したが、もちろん、電極薄層部分30a、30bを主面のみに設けてもよい。
ここで、駆動脚11の表面と裏面との駆動電極20a、20bで加工される電極薄層部
分30a、30bの位置関係をまとめて述べると、図10において電極薄層部分30a、30bは、駆動脚11の振動軸中心を原点Pとし、この原点Pを通り直交する2つの軸x、yで定義される第1象限、第2象限、第3象限、第4象限のうち、原点Pを挟み対象となる象限に設けるように加工され形成される。このとき、駆動電極20a、20bの電極削り量は、原点Pを挟み対象となる象限の電極削り量が等しく、隣り合う象限の電極削り量が異なるように加工すると、効率よく調整ができて、なおよい。
また、図10に示す電極薄層部分30a、30bは、一例として第2象限と第4象限とに形成されるが、これはエッチングにおいて、裏面マスクが表面マスクに対して図面上右方向にずれていたためであり、ずれて偏って形成された駆動脚11の水晶片を打ち消すように、電極薄層部分30a、30bを第2象限と第4象限に形成することで、その主軸35の傾きを修正することができるからである。
このように、電極薄層部分30a、30bが、駆動脚11の表裏両面の電極に対して対角に形成されることで、電極の除去量がわずかであっても駆動脚に対して影響を与えて確実に振動方向を調整することができる。
なお、駆動電極20a、20bの厚みは、前述の通り一例として1500Å程度であるが、電極の厚みを更に厚くすれば、電極薄層部分30a、30bの駆動脚への影響が大きくなるので、漏れ量調整の範囲を拡大することができる。
次に、電極を削る深さによって電極の削り量を変化させて漏れ振動の調整を行う例を図11によって説明する。図11は図10で示した電極薄層部分30a周辺を模式的に示した拡大断面図であり、電極加工工程において駆動電極20aにイオンビームIBを照射する照射量を制御することで、電極表面の削り量を変化させて電極薄層部分30aの電極厚みを調整することを示している。
図11において、電極薄層部分30aの表面32は当初、駆動電極20aの表面と等しい位置であるが、所定量のイオンビームIBが照射されることで電極表面の原子がはじき飛ばされて削られ、削り面32aとなる。そして、ここから更にイオンビームIBを照射することで電極薄層部分30aの表面は、削り面32bとなり、更に照射すれば電極薄層部分30aの表面は削り面32cとなる。このように、イオンビームIBの照射量を制御することで、電極薄層部分30aの表面は削られて電極の厚みを調整することができる。
このため、図2のフローチャートで前述したように、一例として、ステップST3の漏れ量測定工程の結果から電極削り量を算出し、次の電極加工工程(ステップST4)で電極の加工オーバーを避けるために、イオンビームIBの照射量を制御して電極削り量の算出値の半分程度の深さまで削り、次の漏れ量測定工程(ステップST5)で漏れ量を再測定後、ステップST6の判定を行う。そして、ステップST4〜ステップST6を繰り返して少しずつ電極を深く削ることによって電極加工オーバーを防ぎつつ、高精度に漏れ量の調整を行うことができる。
このように、本発明における漏れ振動調整は、電極の面積や領域だけを調整して加工するのではなく、電極を削る深さによっても削り量を調整して漏れ振動を抑制することができる。なお、電極薄層部分30aにイオンビームIBを照射し続けるならば、その箇所の電極はすべて削られて駆動脚11、12の水晶片が露出するが、駆動電極が削り取られてしまっては、水晶振動子の電気特性が変化してCI値が増加することになるので、電極薄層部分の電極加工は、わずかでも電極が残った状態で停止する。また、図11は駆動脚11の第2象限の電極薄層部分30aについて削り量調整を説明したが、対称となる第4象限の電極薄層部分30bについても同様である。
次に図12は、エッチングマスクが図10とは逆方向に、すなわち、裏面側のマスクが図面上左側に位置ずれ量eだけずれた場合を示す水晶振動子片7の駆動脚11の断面図である。この場合は、図示するようにずれて偏って形成された水晶部分を打ち消すように、電極薄層部分30a、30bを第1象限と第3象限とに形成すればよい。すなわち、第1象限と第3象限とに形成された電極薄層部分30a、30bによって、振動脚11の上下左右非対称による断面主軸の傾きが補正され、依然として断面形状は上下左右非対称であるが、主軸35は主軸35´(実線)のように修正されて漏れ振動が抑制される。なお、第1象限と第3象限との電極薄層部分30a、30bについても、図11で示したように電極の削り深さを調整することによって漏れ振動を調整することができる。
[溝付きの駆動脚の漏れ振動調整方法の説明:図13、図14]
次に、駆動脚に溝を設けた構成の漏れ振動の調整の様子を説明する。
図13は、前述の水晶ウェハ1に形成された水晶振動子片7の一方の駆動脚11の他の例であり、断面形状がマスクずれで上下左右非対称であると共に、主平面の表と裏に水晶振動子片7の長手方向に沿って溝15が形成された駆動脚11の断面図である。この溝15が形成された水晶振動子は公知であるが、この溝15の内側に形成される電極15a、15b、15c、15dと側面の駆動電極21a、21bの一部とが対向することによって水晶振動子に加わる電界が増加し、水晶振動子の駆動力を向上させることができる。
ここで図13に示す溝15を有する駆動脚11の主平面の表面と裏面に、電極加工工程によって駆動電極20a、20bの表面の一部分をイオンビームIBで加工して電極厚を薄くした電極薄層部分30a、30bが形成される。この電極薄層部分30a、30bの位置関係は、図10または図12と同様であり、振動脚11の上下左右非対称が電極薄層部分30a、30bによって補正されて漏れ振動が抑制される。なお、図13の例では、電極薄層部分30a、30bは、駆動脚11の角部11aから溝15の端部に至る領域に広く形成されているが、これに限定されず、電極薄層部分30a、30bは、例えば、駆動脚11の角部11aから溝15への途中の位置30cまでの領域として、調整範囲を狭めて微調整ができるようにしてもよい。
また、図14は前述の水晶ウェハ1に形成された水晶振動子片7の一方の駆動脚11の他の例であり、断面形状がマスクずれで上下左右非対称であると共に、主平面の表と裏に水晶振動子片7の長手方向に沿って2つの溝16が形成された駆動脚11の断面図である。この2つの溝16が形成された水晶振動子は、この溝16の内側に形成される電極16a、16b、16c、16dと側面の駆動電極21a、21bの一部とが対向することによって水晶振動子に加わる電界が更に増加し、水晶振動子の駆動力を向上させることができる。
ここで図14(a)は、駆動電極20a、20bに形成される電極薄層部分30a、30bが、図示するように、溝16から駆動脚11の角部11aに至る領域に形成さている。通常は、この領域だけの電極薄層部分30a、30bで十分であるが、更に、振動方向の調整が必要である場合は、図14(b)に示すように、2つの溝16を挟む中央部分まで電極薄層部分30a、30bを拡大してもよい。これによって、駆動電極20a、20bの部分的な質量の変化が大きくなるので、振動方向の調整範囲を広くすることが可能となる。
また、以上の説明は、駆動脚11について説明したが、駆動脚12についても同様である。なお、すでに説明した例による電極薄層部分30は、駆動脚11の表面と裏面との両面に形成されているが、これに限定されず、漏れ量が少ない場合は、表面または裏面のどちらか一方に電極薄層部分30を形成してもよい。これにより、さらに微細な漏れ量の調
整を実現することができる。
[片側マスクによる水晶振動子の漏れ振動調整の説明:図15]
次に、片側エッチングマスクによる水晶振動子の漏れ振動調整の具体例を説明する。
図15は水晶ウェハ1に形成された水晶振動子片7の一方の駆動脚11の断面の一例であり、図4の切断線B−B´での断面を模式的に示した拡大断面図である。この断面形状は図20を用いて説明した従来技術の水晶振動子の駆動脚121の断面と同様であり、片面のエッチングマスクが大きいことによってマスクずれの影響は受けないが、水晶のエッチング異方性によって、その断面形状は上下左右非対称となり、主軸36(破線)はX軸に対してズレ角θ2の傾きを持つので、漏れ振動が発生する。
そして、前述した漏れ量測定工程によって、この漏れ振動を検出して漏れ量を測定し、電極加工工程によって駆動脚11の主平面の表面と裏面に形成されている駆動電極20a、20bの表面の一部分をイオンビームIBで加工して電極厚を薄くした電極薄層部分31a、31bが形成される。この電極薄層部分31a、31bによって、駆動脚11の表面と裏面との駆動電極20a、20bの質量が部分的に変化するので、駆動脚11の上下左右非対称が補正され、主軸36は主軸36´(実線)のように修正されて漏れ振動が抑制される。
また、この電極薄層部分31a、31bの駆動脚11に対する位置関係は、駆動脚11の表面の駆動電極20a側の電極薄層部分31aは、駆動電極20aの図面上左側に偏って形成され、駆動脚11の裏面の駆動電極20b側の電極薄層部分31bは、駆動電極20bの図面上右側に偏って形成される。
ここで、図15の駆動脚11の表面と裏面との駆動電極20a、20bで加工される電極薄層部分31a、31bの位置関係をまとめると、図10と同様に、電極薄層部分31a、31bは、駆動脚11の振動軸中心を原点Pとし、この原点Pを通り直交する2つの軸x、yで定義される第1象限、第2象限、第3象限、第4象限のうち、原点Pを挟み対象となる象限に設けるように加工され形成される。これにより、駆動電極20a、20bの電極削り量は、原点Pを挟み対象となる象限の電極削り量が等しく、隣り合う象限の電極削り量が異なるように加工される。なお、図示しないが、図15の電極薄層部分31a、31bについても、図11で示したように電極の削り深さを調整することによって漏れ振動を調整することができる。
以上のように本発明によれば、振動脚に形成される電極表面の一部分を削り電極厚みを薄くすることによって、水晶振動子の外形を形成するためのエッチングマスクが上下でずれた場合に断面形状が上下左右非対称になることで生じる漏れ振動や、水晶のエッチング異方性によって断面形状が上下左右非対称になることで生じる漏れ振動を調整し、漏れ振動が十分に抑制された水晶振動子とその水晶振動子の製造方法を提供することができる。
すなわち、漏れ量を測定し、その漏れ量に応じて振動脚に形成される電極の表面の一部分をイオンビームなどによって削ることで、その電極の質量を部分的に変えて、振動脚の振動方向を調整して漏れ振動を抑制することができる。また、電極削り加工は振動脚の表裏両面の電極に対して原点を挟み対称に電極を削ることで、削り量がわずかであっても振動脚に対して影響を与えて確実に振動方向を調整することができる。また、漏れ量を測定しながら電極の削り加工を実施できるので、高精度で微細な漏れ振動の調整が可能であり、高性能な水晶振動子の製造に大きなメリットがある。
また、水晶ウェハに形成された複数の水晶振動子に対して、漏れ量測定と電極加工とを一括して実施できるので、漏れ量調整工数を大幅に削減できると共に、ばらつきが少なく
性能が均一で安定した特性の水晶振動子を効率よく製造することができる。
なお、本発明の実施例で示したフローチャートや外形図等は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を満たすものであれば、任意に変更してよい。
本発明の水晶振動子及びその水晶振動子の製造方法は、小型で高精度に漏れ振動が調整された水晶振動子を低コストで提供することができるため、小型で高精度なジャイロセンサ用水晶振動子とその製造方法として好適である。
1 水晶ウェハ
2a、2b 金属耐食膜
3a、3b、300 フォトレジスト
4a、4b、400a、400b フォトマスク
5a、5b エッチングマスク
7 水晶振動子片
8 溶解部
9 連結部
10 水晶振動子
11、12 駆動脚
11a 角部
13 検出脚
14 基部
15、16 溝
15a、15b、15c、15d、16a、16b、16c、16d 電極
20a、20b、20c、20d、21a、21b、21c、21d 駆動電極
20、21 駆動電極端子
22a、22b 検出電極
22、23 検出電極端子
22c GND電極
24 GND電極端子
30、31 電極薄層部分
32 表面
32a〜32c 削り面
35、36 主軸
60 XYステージ
61 プローブ
62 電極端子
63 制御部
64 接続ケーブル
65 駆動部
66 メモリ
200 金属膜
IB イオンビーム
P 原点
θ1、θ2 ズレ角

Claims (14)

  1. 基部から延設する振動脚を備える外形形状を有し、該振動脚の主平面と側面との少なくとも一方に電極を備える水晶振動子であって、
    前記電極は前記振動脚の漏れ振動成分を減少するように電極の厚みが薄く削られた電極薄層部分を有することを特徴とする水晶振動子。
  2. 前記電極薄層部分は前記振動脚の長手方向に沿って形成され、
    且つ、前記電極薄層部分の幅方向の略中心が、前記振動脚の幅方向の略中心より前記振動脚の幅方向にずれていることを特徴とする請求項1に記載の水晶振動子。
  3. 前記電極薄層部分は1つの振動脚に複数箇所あり、
    前記振動脚の断面の振動軸中心を原点としたとき、前記原点を通り直交する2つの軸で定義される第1象限、第2象限、第3象限、第4象限のうち、前記原点を挟み対称となる象限に設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の水晶振動子。
  4. 基部から延設する振動脚を備える外形形状を有し、該振動脚の主平面と側面との少なくとも一方に電極を備える水晶振動子の製造方法であって、
    平板形状の水晶板に所定の形状の耐エッチング用マスク部材を形成し、該マスク部材を用いて該水晶板を所定の形状にエッチングして前記外形形状を形成する外形形成工程と、
    前記振動脚を構成する主平面または側面のいずれかに電極を形成する電極形成工程と、
    前記水晶振動子の漏れ量を測定する漏れ量測定工程と、
    前記漏れ量測定工程の測定結果に基づいて前記電極に電極薄層部分を形成する電極加工工程と、
    を有することを特徴とする水晶振動子の製造方法。
  5. 基部から延設する振動脚を備える外形形状を有し、該振動脚の主平面と側面との少なくとも一方に電極を備える水晶振動子の製造方法であって、
    平板形状の単一の水晶板に所定の形状の耐エッチング用マスク部材を形成し、該マスク部材を用いて該水晶板を所定の形状にエッチングして複数の前記水晶振動子の前記外形形状を形成する外形形成工程と、
    前記振動脚を構成する主平面または側面のいずれかに電極を形成する電極形成工程と、
    各々の前記水晶振動子の漏れ量を測定する漏れ量測定工程と、
    前記漏れ量測定工程の測定結果に基づいて各々の前記水晶振動子の前記電極に電極薄層部分を形成する電極加工工程と、
    を有することを特徴とする水晶振動子の製造方法。
  6. 前記漏れ量測定工程は、各々の前記水晶振動子ごとに前記漏れ量を測定すると共に、測定した各々の前記漏れ量と各々の水晶振動子との位置関係情報を計測し、
    前記電極加工工程は、前記位置関係情報に基づいて、各々の前記水晶振動子ごとに電極の削り加工を行うことを特徴とする請求項5に記載の水晶振動子の製造方法。
  7. 前記電極加工工程は、前記電極薄層部分の幅方向の略中心が、前記振動脚の幅方向の略中心より前記振動脚の幅方向にずれるように電極を削り加工することを特徴とする請求項4から6のいずれかに記載の水晶振動子の製造方法。
  8. 前記電極が設けてある前記主平面を平面からみたとき、前記振動脚の前記基部に近い領域を第1の領域とし、それよりも前記振動脚の先端方向の領域を第2の領域として定義し、
    前記電極加工工程は、前記漏れ量測定工程の測定結果に基づいて、それら2つの領域の
    どちらかの前記電極に前記電極薄層部分を形成することを特徴とする請求項4から7のいずれか1つに記載の水晶振動子の製造方法。
  9. 前記電極加工工程は、前記漏れ量測定工程の測定結果により、多くの調整が必要なときは、前記第1の領域の前記電極に前記電極薄層部分を形成し、少ない調整で済むときは、前記第2の領域の前記電極に前記電極薄層部分を形成することを特徴とする請求項8に記載の水晶振動子の製造方法。
  10. 前記電極加工工程を複数回行うとき、
    前記電極加工工程により最初に削り加工される前記電極は、前記第1の領域の前記電極であることを特徴とする請求項8に記載の水晶振動子の製造方法。
  11. 前記電極加工工程は、前記漏れ量測定工程の測定結果から得られた漏れ量の情報から、前記電極の削り量を決定することを特徴とする請求項4から10のいずれか1つに記載の水晶振動子の製造方法。
  12. 前記電極加工工程による前記主平面に有する電極薄層部分は、1つの振動脚に複数箇所あり、
    前記振動脚の断面の振動軸中心を原点としたとき、前記原点を通り直交する2つの軸で定義される第1象限、第2象限、第3象限、第4象限のうち、前記原点を挟み対称となる象限に設けるように加工されることを特徴とする請求項4から11のいずれか1つに記載の水晶振動子の製造方法。
  13. 前記電極加工工程による前記主平面に有する電極削り量は、
    前記振動脚の断面の振動軸中心を原点としたとき、前記原点を通り直交する2つの軸で定義される第1象限、第2象限、第3象限、第4象限のうち、前記原点を挟み対象となる象限の前記電極削り量が等しく、隣り合う象限の前記電極削り量が異なるように加工されることを特徴とする請求項4から11のいずれか1つに記載の水晶振動子の製造方法。
  14. 前記電極加工工程は、前記電極にイオンビームを照射することでその一部の表面を削ることを特徴とする請求項4から13のいずれか1つに記載の水晶振動子の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015185724A (ja) * 2014-03-25 2015-10-22 株式会社サーマプレシジョン 立体ワークの露光方法

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