JPWO2010026852A1 - 樹脂フィルム及びその製造方法並びに有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

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Abstract

本発明は、高いバリア性能を達成できる樹脂フィルムを、ロール状の形態で生産し、かつ該樹脂フィルムを有機エレクトロルミネッセンス用樹脂フィルムとして用い、さらに、該有機エレクトロルミネッセンス用樹脂フィルムを用いて有機エレクトロルミネッセンス素子を提供する。この樹脂フィルムは、両面に平滑層を有し、両側の平滑層表面の、JIS K5600−5−4 引っかき硬度(鉛筆法)で定義される鉛筆硬度の差が2段階以上、4段階以下であり、かつ硬度の高い面の鉛筆硬度がH以上5H以下であることを特徴とする。

Description

本発明は、主に食品や医薬品等の包装材料や電子デバイス等のパッケージ、または有機EL素子や液晶等のプラスチック基板といったディスプレイ材料に用いられる透明ガスバリアフィルム及びガスバリアフィルムを用いた有機エレクトロルミネッセンス用の樹脂フィルム、及び有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
従来より、プラスチック基板やフィルムの表面に酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化珪素等の金属酸化物の薄膜を形成したガスバリアフィルムは、水蒸気や酸素等の各種ガスの遮断を必要とする物品の包装、食品や工業用品及び医薬品等の変質を防止するための包装用途に広く用いられている。また、包装用途以外にも液晶表示素子、太陽電池、有機エレクトロルミネッセンス(EL)基板等で使用されている。
このような分野での包装材料としてアルミ箔等が広く用いられているが、使用後の廃棄処理が問題となっているほか、基本的には不透明であり、外から内容物を確認することができないという課題を抱えており、さらに、ディスプレイ材料では透明性が求められており、全く適用することができない。
特に、液晶表示素子、有機EL素子等への応用が進んでいる透明フィルムには、近年、軽量化、大型化という要求に加え、ロールtoロールでの生産が可能であること、長期信頼性や形状の自由度が高いこと、曲面表示が可能であること等の高度な要求が加わり、重く割れやすく大面積化が困難なガラス基板に代わって透明プラスチック等のフィルムが採用され始めている。例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子の基板として、高分子フィルムを用いた例が開示されている(例えば、特許文献1、2参照)。
しかしながら、透明プラスチック等のフィルムはガラスに対しガスバリア性が劣るという問題がある。例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子の基板として用いた場合、ガスバリア性が劣るフィルムを用いると、水蒸気や空気が浸透して有機膜が劣化し、発光特性あるいは耐久性等を損なう要因となる。また、電子デバイス用基板として高分子基板を用いた場合には、酸素が高分子基板を透過して電子デバイス内に浸透、拡散し、デバイスを劣化させてしまうことや、電子デバイス内で求められる真空度を維持できないといった問題を引き起こす。
このような問題を解決するために、フィルム基板上に金属酸化物薄膜を形成してガスバリアフィルムとすることが知られている。包装材や液晶表示素子に使用されるガスバリアフィルムとしては、プラスチックフィルム上に酸化珪素を蒸着したもの(例えば、特許文献1参照)や酸化アルミニウムを蒸着したもの(例えば、特許文献2参照)が知られている。
このような、フィルム基板上に金属酸化物薄膜を形成したガスバリアフィルムをロール状に巻き取る場合、裏面との摩擦での傷の発生により、ダークスポットと呼ばれる、点状の発光不良等デバイス欠陥の発生や素子の発光寿命を著しく低下させることが問題となっていた。
フィルムをロールtoロールで巻取技術としてバリア層側に保護層、応力緩和層を設けた例があるが(例えば、特許文献3参照)、裏面側が硬く、ロール巻き取り時にバリア層または保護層上の傷が完全には防止できない。また、裏面に易滑層を設け、ロールtoロールでスムースに巻き取る技術が公開されているが(例えば、特許文献4参照)、特許文献4と同様に裏面側が硬く、クリーン度の高い工程内での傷の発生は軽減されるが、硬度の高い微粒子の混入等の際に、表裏面が滑ることで、ロール巻き取り時に逆に、傷が助長される場合があった。さらに、バリア層作製後にフィルム貼合する技術は(例えば、特許文献5参照)、ガスバリア性層に直接粘着フィルムを貼合するので、長期保存時に粘着フィルムの粘着剤がバリア層表面に移行して、その後の工程において、均一な膜形成を阻害する場合があった。
このように、フィルムをロールtoロールで巻取技術として満足な技術は未だ知られていない。
特開平2−251429号公報 特開平6−124785号公報 特開2002−50469号公報 特開2004−158320号公報 WO2007−138837号パンフレット
従って、本発明の目的は、高いバリア性能を達成できる樹脂フィルムを、ロール状の形態で生産し得ることにあり、また該樹脂フィルムを有機エレクトロルミネッセンス用樹脂フィルムとして用いることにあり、また、該有機エレクトロルミネッセンス用樹脂フィルムを用いて有機エレクトロルミネッセンス素子を得ることにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成することができる。
1.両面に平滑層を有し、両側の平滑層表面の、JIS K5600−5−4 引っかき硬度(鉛筆法)で定義される鉛筆硬度の差が2段階以上、4段階以下であり、かつ硬度の高い面の鉛筆硬度がH以上5H以下であることを特徴とする樹脂フィルム。
2.硬度の高い面側に、ガスバリア性層を積層したことを特徴とする前記1記載の樹脂フィルム。
3.前記ガスバリア性層の上に、さらに、透明導電性層を積層したことを特徴とする前記2記載の樹脂フィルム。
4.前記透明導電性層の上に、有機発光媒体層、陰極層、封止層を積層したことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
5.前記1の樹脂フィルムをロール状に巻き取った後、該樹脂フィルムを繰り出しながらガスバリア性層を積層することを特徴とするガスバリア性層を有する樹脂フィルムの製造方法。
6.前記1の樹脂フィルムをロール状に巻き取った後、該樹脂フィルムを繰り出しながらガスバリア性層、透明導電性層を積層することを特徴とするガスバリア性層と透明導電性層を有する樹脂フィルムの製造方法。
7.前記1の樹脂フィルムをロール状に巻き取った後、該樹脂フィルムを繰り出しながらガスバリア性層、透明導電性層、有機発光媒体層、陰極層、封止層を積層することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
本発明により、高いバリア性能を達成できる樹脂フィルムを得ることができ、高いガスバリア性に優れた有機エレクトロルミネッセンス用樹脂フィルム用として有用な樹脂フィルム、及びその製造方法、該フィルムを用いて有機エレクトロルミネッセンス素子を得ることができる。
本発明の製造方法に関わる樹脂フィルムの巻き取り方法の一例を示す模式図である。
本発明をさらに詳しく説明する。
(平滑層を有するフィルム)
まず、本発明の樹脂フィルムで用いられる平滑層を有するフィルムについて説明する。
平滑層を有するフィルムの支持体は、後述のバリア性を有するガスバリア層を保持することができる有機材料で形成されたものであれば特に限定されるものではない。
例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ナイロン(Ny)、芳香族ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド等の各樹脂フィルム、さらには前記樹脂を2層以上積層して成る樹脂フィルム等を挙げることができる。支持体の厚みは5〜500μm程度が好ましく、さらに好ましくは25〜250μmである。
また、本発明に係る樹脂フィルム支持体は透明であることが好ましい。支持体が透明であり、支持体上に形成する層も透明であることにより、透明なガスバリアフィルムとすることが可能となるため、有機EL素子等の透明基板とすることも可能となるからである。
また、上記に挙げた樹脂等を用いた樹脂フィルム支持体は、未延伸フィルムでもよく、延伸フィルムでもよい。
本発明に用いられる樹脂フィルム支持体は、従来公知の一般的な方法により製造することが可能である。例えば、材料となる樹脂を押し出し機により溶融し、環状ダイやTダイにより押し出して急冷することにより、実質的に無定形で配向していない未延伸の支持体を製造することができる。また、未延伸の支持体を一軸延伸、テンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸等の公知の方法により、支持体の流れ(縦軸)方向、または支持体の流れ方向と直角(横軸)方向に延伸することにより延伸支持体を製造することができる。この場合の延伸倍率は、支持体の原料となる樹脂に合わせて適宜選択することできるが、縦軸方向及び横軸方向にそれぞれ2〜10倍が好ましい。
また、本発明に係る樹脂フィルム支持体においては、蒸着膜を形成する前にコロナ処理を行ってもよい。
さらに、本発明に係る支持体表面には、蒸着膜との密着性の向上を目的としてアンカーコート剤層を形成してもよい。このアンカーコート剤層に用いられるアンカーコート剤としては、ポリエステル樹脂、イソシアネート樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ビニル変性樹脂、エポキシ樹脂、変性スチレン樹脂、変性シリコーン樹脂、及びアルキルチタネート等を、1または2種以上併せて使用することができる。これらのアンカーコート剤には、従来公知の添加剤を加えることもできる。そして、上記のアンカーコート剤は、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、ディップコート、スプレーコート等の公知の方法により支持体上にコーティングし、溶剤、希釈剤等を乾燥除去することによりアンカーコーティングすることができる。上記のアンカーコート剤の塗布量としては、0.1〜5g/m(乾燥状態)程度が好ましい。
(平滑層)
本発明の平滑層は、突起等が存在する透明樹脂フィルム支持体の粗面を平坦化し、あるいは、透明樹脂フィルム支持体に存在する突起により透明無機化合物層に生じた凹凸やピンホールを埋めて平坦化するために設けられる。このような平滑層は、基本的には感光性樹脂を硬化させて形成される。
平滑層の感光性樹脂としては、例えば、ラジカル反応性不飽和化合物を有するアクリレート化合物を含有する樹脂組成物、アクリレート化合物とチオール基を有するメルカプト化合物を含有する樹脂組成物、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、グリセロールメタクリレート等の多官能アクリレートモノマーを溶解させた樹脂組成物等が挙げられる。また、上記のような樹脂組成物の任意の混合物を使用することも可能であり、光重合性不飽和結合を分子内に1個以上有する反応性のモノマーを含有している感光性樹脂であれば特に制限はない。
光重合性不飽和結合を分子内に1個以上有する反応性モノマーとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−デシルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、アリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシエチレングリコールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、グリセロールアクリレート、グリシジルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、イソボニルアクリレート、イソデキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−メトリキエチルアクリレート、メトキシエチレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ステアリルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサジオールジアクリレート、1,3−プロパンジオールアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、2,2−ジメチロールプロパンジアクリレート、グリセロールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、グリセロールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ポリオキシエチルトリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリアクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート、プロピオンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリアクリレート、プロピオンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパントリアクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、1,2,4−ブタンジオールトリアクリレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオールジアクリレート、ジアリルフマレート、1,10−デカンジオールジメチルアクリレート、ペンタエリスリトールヘキサアクリレート、及び、上記のアクリレートをメタクリレートに換えたもの、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、1−ビニル−2−ピロリドン等が挙げられる。上記の反応性モノマーは、1種または2種以上の混合物として、あるいは、その他の化合物との混合物として使用することができる。
感光性樹脂の組成物は光重合開始剤を含有する。光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミン)ベンゾフェノン、α−アミノ・アセトフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、ベンジルメトキシエチルアセタール、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンズスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンジルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシ−プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ミヒラーケトン、2−メチル[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モノフォリノ−1−プロパン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モノフォリノフェニル)−ブタノン−1、ナフタレンスルホニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、n−フェニルチオアクリドン、4,4−アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルジスルフィド、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホスフィン、カンファーキノン、四臭素化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾイン、エオシン、メチレンブルー等の光還元性の色素とアスコルビン酸、トリエタノールアミン等の還元剤の組合せ等が挙げられ、これらの光重合開始剤を1種または2種以上の組合せで使用することができる。
平滑層の形成方法は特に制限はないが、スピンコーティング法、スプレー法、ブレードコーティング法、ディップ法等のウエットコーティング法、あるいは、蒸着法等のドライコーティング法により形成することが好ましい。
平滑層の形成では、上述の感光性樹脂に、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤等の添加剤を加えることができる。また、平滑層の積層位置に関係なく、いずれの平滑層においても、成膜性向上及び膜のピンホール発生防止等のために適切な樹脂や添加剤を使用してもよい。
平滑層を形成するために用いられるその他の樹脂材料としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等の樹脂を主成分とすることが好ましい。これらのうち特に、塗膜形成後の表面平滑性に優れ、酸素や水蒸気に対するガス透過性が低く、基材樹脂や無機バリア層との密着性に優れたものが望ましい。
平滑層形成用樹脂の具体例としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、フェノキシエーテル樹脂、フェノキシエステル樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、シリコーン樹脂及びこれらの混合物、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフロロエチレン、テトラフロロエチレン、テトラフロロエチレン・エチレン共重合体、テトラフロロエチレン・ヘキサフロロプロピレン共重合体、テトラフロロエチレン・パーフロロアルコキシエチレン共重合体等を挙げることができる。これらの樹脂は、一種または二種以上を組み合せて使用できる。これらの樹脂のモノマー、溶液、エマルション等を、単独での既存の塗膜形成法によって塗布後、乾燥または硬化することによって平滑層が形成される。
また、平滑層にテトラメトキシシラン、テトラエチキシシラン等のアルコキシシランの加水分解・縮合物や、シランカップリング材を含有させることにより、基材フィルムもしくは無機薄膜層と平滑層を形成する高分子の密着性を高める事ができる。これら樹脂の溶液状または懸濁液状の混合物を、既存の塗膜形成法によって塗布後、乾燥及び/または硬化することによって平滑層が形成される。
平滑層の平滑性をさらに向上させるために、平滑層形成用の樹脂材料中にレベリング剤を添加してもよい。使用できるレベリング剤としては、特に限定されないが、例えば、フッ素系ノニオン界面活性剤、特殊アクリル樹脂系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤等の塗料用レベリング剤を用いることができる。レベリング剤の添加量としては、通常5〜50,000ppm、好ましくは10〜20,000ppmがよい。
また、平滑層の厚みは、特に制限されないが、0.02〜50μmであり、より好ましくは0.1〜10μm程度である。また、透明性としては基材と同様、550nmの光線透過率が80%以上であるのがよい。
感光性樹脂を溶媒に溶解または分散させた塗布液を用いて平滑層を形成する際に使用する溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類、α−もしくはβ−テルピネオール等のテルペン類等、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、N−メチル−2−ピロリドン、ジエチルケトン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン等のケトン類、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、セロソルブ、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、2−メトキシエチルアセテート、シクロヘキシルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート等の酢酸エステル類、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、ジプロピレングリコールジアルキルエーテル、3−エトキシプロピオン酸エチル、安息香酸メチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等を挙げることができる。
平滑性の高い平滑層を形成するためには、前述のウエットコーティング法の場合、塗布液の粘度が低くなるように塗布液固形分濃度を調整することが好ましい。通常は25℃での塗布液粘度が1〜100cP(1〜100mPa・s)であり、より好ましくは、2〜30cP(2〜30mPa・s)である。また、乾燥温度も高温で乾燥した場合、乾燥途中の膜中で対流が発生し十分な平滑性を得ることが困難になる。逆に、必要以上に低温で乾燥した場合には、乾燥速度の遅延により、乾燥途中の膜の流動が起こり、厚みムラが生じやすくなり、安定した平滑性が得られない。高い平滑性を得るための乾燥温度は通常20〜120℃であり、好ましくは30〜100℃である。
蒸着法等のドライコーティング法を用いる場合は、支持体上への平滑層組成物の堆積速度を低く抑えることで平滑性を得ることができる。好ましい堆積速度は通常、5〜200nm/秒であり、好ましくは、10〜100nm/秒である。堆積速度がこれよりも低い場合には、製造に要する時間がかかるため、生産効率が低下する。
本発明の樹脂フィルムは両面に平滑層を有し、少なくとも片面にガスバリア性層が積層されるが、その両面の平滑層の鉛筆硬度に特定の差を持たせることにより、樹脂フィルムをロール状に巻き取った際の接触面の摩擦や圧力で生じる傷の発生を片面に偏在させることにより、後工程で行われるガスバリア性層の積層が均一に行われることを目的としている。
本発明の樹脂フィルムの両側の平滑層は、表面の鉛筆硬度差が2段階以上であり、かつ硬度の高い面の鉛筆硬度がH以上5H以下であることを特徴とする。これよりも低い場合には、ロール巻き取り時の微小異物の巻き込み等により発生する表面傷を抑制することが困難になり、逆に硬度がこれよりも高い場合には、ロール巻き取り時の屈曲等によりひび割れ等の懸念が生じる。
いずれの場合もその後のガスバリア性層を積層した際のガスバリア性が十分得られない欠陥を生じる恐れがある。また、本発明において、樹脂フィルムの両面の平滑層表面の鉛筆硬度の差が2段階以上であることが重要で、これ以下である場合には、ロール巻き取り時の微小異物の巻き込み等により発生する表面傷を十分抑制することができない。
鉛筆硬度は、JIS K5600−5−4 引っかき硬度(鉛筆法)で定義される6Bから9Hまでの17段階で、どの硬度の鉛筆で引っかいた時に傷がつくかを表す規格である。具体的な測定方法としては、測定環境として摂氏21〜25度、湿度は45〜55%の条件下で行う。
用いる鉛筆は、芯は削らずに先が平らのまま、芯先を5〜6ミリほど突出させ、鉛筆は45度の角度で750グラムの荷重をかけて秒速0.5〜1ミリで7ミリ以上動かす。測定は、2回行って2回とも3ミリ以上の傷が残った場合は不可として、1回のみならやり直しを行い、硬度を決定する。
測定機器は、例えばコーテック社製、鉛筆引っかき試験器が挙げられる。
平滑層の平滑性は、表面粗さで表現される値で、平均粗さRaとして通常20nm以下であることが好ましく、特に硬度の高い側のRaは5nm以下であることが好ましい。
表面粗さは、AFM(原子間力顕微鏡)で、極小の先端半径の触針を持つ検出器で連続測定した凹凸の断面曲線から算出され、極小の先端半径の触針により測定方向が数十μmの区間内を多数回測定し、微細な凹凸の振幅に関する平均の粗さである。
(平滑層への添加剤)
好ましい態様の一つは、前述の感光性樹脂中に表面に光重合反応性を有する感光性基が導入された反応性シリカ粒子(以下、単に「反応性シリカ粒子」ともいう)を含むものである。ここで光重合性を有する感光性基としては、(メタ)アクリロイルオキシ基に代表される重合性不飽和基等を挙げることができる。また感光性樹脂は、この反応性シリカ粒子の表面に導入された光重合反応性を有する感光性基と光重合反応可能な化合物、例えば、重合性不飽和基を有する不飽和有機化合物を含むものであってもよい。また感光性樹脂としては、このような反応性シリカ粒子や重合性不飽和基を有する不飽和有機化合物に適宜汎用の希釈溶剤を混合することによって固形分を調整したものを用いることができる。
ここで反応性シリカ粒子の平均粒子径としては、0.001〜0.1μmの平均粒子径であることが好ましい。平均粒子径をこのような範囲にすることにより、後述する平均粒子径1〜10μmの無機粒子からなるマット剤と組合せて用いることによって、本発明の効果である防眩性と解像性とをバランス良く満たす光学特性と、ハードコート性とを兼ね備えた平滑層を形成し易くなる。なお、このような効果をより得易くする観点からは、さらに平均粒子径として0.001〜0.01μmのものを用いることがより好ましい。
本発明では、重合性不飽和基修飾加水分解性シランが、加水分解性シリル基の加水分解反応によって、シリカ粒子との間に、シリルオキシ基を生成して化学的に結合しているようなものを、反応性シリカ粒子として用いることができる。
加水分解性シリル基としては、例えば、アルコキシリル基、アセトキシリル基等のカルボキシリレートシリル基、クロシリル基等のハロゲン化シリル基、アミノシリル基、オキシムシリル基、ヒドリドシリル基等が挙げられる。
重合性不飽和基としては、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基、プロペニル基、ブタジエニル基、スチリル基、エチニイル基、シンナモイル基、マレート基、アクリルアミド基等が挙げられる。
その他の添加剤として、マット剤を含有してもよい。マット剤としては、平均粒子径が0.1〜5μm程度の無機粒子が好ましい。
このような無機粒子としては、シリカ、アルミナ、タルク、クレイ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、二酸化チタン、酸化ジルコニウム等の1種または2種以上を併せて使用することができる。
ここで無機粒子からなるマット剤は、ハードコート剤の固形分100質量部に対して2質量部以上、好ましくは4質量部以上、より好ましくは6質量部以上、20質量部以下、好ましくは18質量部以下、より好ましくは16質量部以下の割合で混合されていることが望ましい。
また本発明の平滑層には、ハードコート剤及びマット剤の他の成分として熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂、光重合開始剤等を含有させてもよい。
このような熱可塑性樹脂としては、アセチルセルロース、ニトロセルロース、アセチルブチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体、酢酸ビニル及びその共重合体、塩化ビニル及びその共重合体、塩化ビニリデン及びその共重合体等のビニル系樹脂、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール等のアセタール系樹脂、アクリル樹脂及びその共重合体、メタクリル樹脂及びその共重合体等のアクリル系樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、線状ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
また熱硬化性樹脂としては、アクリルポリオールとイソシアネートプレポリマーとからなる熱硬化性ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。
また電離放射線硬化性樹脂としては、光重合性プレポリマーもしくは光重合性モノマー等の1種または2種以上を混合した電離放射線硬化塗料に電離放射線(紫外線または電子線)を照射することで硬化するものを使用することができる。ここで光重合性プレポリマーとしては、1分子中に2個以上のアクリロイル基を有し、架橋硬化することにより3次元網目構造となるアクリル系プレポリマーが特に好ましく使用される。このアクリル系プレポリマーとしては、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、メラミンアクリレート等が使用できる。また光重合性モノマーとしては、上記に記載した多価不飽和有機化合物等が使用できる。
また光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルメチルケタール、ベンゾインベンゾエート、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−(4−モルフォリニル)−1−プロパン、α−アシロキシムエステル、チオキサンソン類等が挙げられる。
本発明における平滑層の厚みとしては、1〜10μm、好ましくは2〜7μmであることが望ましい。1μm以上にすることにより、平滑層を有するフィルムとしての平滑性を十分なものにし易くなり、10μm以下にすることにより、平滑フィルムの光学特性のバランスを調整し易くなると共に、平滑層を透明高分子フィルムの一方の面にのみ設けた場合における平滑フィルムのカールを抑え易くすることができるようになる。
以上のような平滑層は、ハードコート剤、マット剤、及び必要に応じて他の成分を配合して、適宜必要に応じて用いる希釈溶剤によって塗布液として調製し、当該塗布液を支持体フィルム表面に従来公知の塗布方法によって塗布した後、電離放射線を照射して硬化させることにより形成することができる。なお、電離放射線を照射する方法としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、メタルハライドランプ等から発せられる100〜400nm、好ましくは200〜400nmの波長領域の紫外線を照射する、または走査型やカーテン型の電子線加速器から発せられる100nm以下の波長領域の電子線を照射することにより行うことができる。
(樹脂フィルムの巻き取り)
本発明の製造方法に関わる樹脂フィルムの巻き取り方法の一例を図を用いて説明する。図1において、両面に易接着処理を施した樹脂フィルム(PETフィルム)5を、元巻きローラー1から送り出し搬送しながら、平滑層用の紫外線硬化性樹脂を含有した塗布液をコーター2で塗布し、乾燥工程3で乾燥した後、紫外線照射機4を照射する工程を経た後、次に同様に樹脂フィルム5の反対面に同じ工程を施す。その後両面に平滑層が形成された樹脂フィルム5をロール状に巻き取りローラー6に巻き取る。この際、上面の平滑層と下面の平滑層が対面して巻き取られるが、巻き取りの張力や、製造環境に依存するクリーン度によっては、ロール内に塵埃等が混入することによって、平滑層表面に不規則な圧力が部分的にかかる場合がある。
なお、工程Aは上面の平滑層、工程Bは下面の平滑層を形成する工程である。また、途中の搬送ローラー、ガイドローラーは図示してない。
本発明の製造方法におけるロール巻き取り時の張力は、樹脂フィルム支持体の厚みや材質によって適性値が異なるが、通常は0.01N/cm以上、10N/cm以下である。これよりも低い場合は巻き取り乱れが生じ、逆に高い場合には、ロール自体の変形が生じたり、平滑層面同士の張り付き、いわゆるブロッキングが生じたりする場合がある。
(ガスバリア性を有する層(以下ガスバリア層))
本発明におけるガスバリア層は、樹脂フィルム上にセラミック膜を少なくとも1層以上有し、このセラミック膜としては、残留(内部)応力が圧縮応力で0.01MPa以上、20MPa以下である。このような緻密な膜を形成することで、耐久性の高い、ガスバリア性に優れたガスバリアフィルムが得られる。
このような、残留応力の小さい緻密なセラミック膜と前記のガスバリア性能を有する樹脂フィルム支持体との組合せにより、特開2005−283561に記載の方法に従って測定した水蒸気透過率が、10−5g/m/day以下、好ましくは10−6g/m/day以下であり、酸素透過率が0.01ml/m/day以下、好ましくは0.001ml/m/day以下であるガスバリア性に優れた樹脂フィルムを支持体とするフィルムが得られる。
本発明のガスバリアフィルムの特に、水蒸気透過度としては、有機ELディスプレイや高精彩カラー液晶ディスプレイ等の高度の水蒸気バリア性を必要とする用途に用いる場合は、特に有機ELディスプレイ用途の場合、極わずかであっても、成長するダークスポットが発生し、ディスプレイの表示寿命が極端に短くなる場合があるため、特開2005−283561に記載の方法に従って測定した水蒸気透過度は前記の値以下であることが好ましい。
本発明におけるセラミック膜は、前記の残留応力を有し、酸素及び水蒸気の透過を阻止する膜であれば、その組成等は特に限定されるものではないが、本発明のセラミック膜(層)を構成する材料として具体的には、無機酸化物が好ましく、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化窒化珪素、酸化窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ等のセラミック膜を挙げることができる。
本発明においてガスバリア層となるセラミック膜の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えばゾルゲル法等を用いるスプレー法やスピンコート法等の湿式法を用いて形成されたものは、前記のような残留応力の調整や、分子レベル(nmレベル)の平滑性を得ることが難しく、また溶剤を使用するため、後述する支持体が有機材料であることから、使用可能な支持体または溶剤が限定されるという欠点がある。そこで、本発明においては、スパッタリング法、イオンアシスト法、後述するプラズマCVD法、後述する大気圧または大気圧近傍の圧力下でのプラズマCVD法等を適用して形成されたものであることが好ましく、特に大気圧プラズマCVDによる方法は、減圧チャンバー等が不要で、高速製膜ができ生産性の高い製膜方法であり好ましい。上記ガスバリア層をプラズマCVDにより形成することで、均一かつ表面の平滑性を有し、さらに内部応力も非常に少ない(前記0.01〜20MPa)膜を比較的容易に形成することが可能となるからである。
本発明におけるこれらのセラミック膜の厚さは、用いられる材料の種類、構成により最適条件が異なり、適宜選択されるが、1〜2000nmの範囲内であることが好ましい。ガスバリア膜の厚さが、上記の範囲より薄い場合には、均一な膜が得られず、ガスに対するバリア性を得ることが困難であるからである。また、ガスバリア膜の厚さが上記の範囲より厚い場合には、ガスバリアフィルムにフレキシビリティを保持させることが困難であり、成膜後に折り曲げ、引っ張り等の外的要因により、ガスバリアフィルムに亀裂が生じる等の恐れがあるからである。
厚みがこれ以下であると膜欠陥が多く、充分な防湿性が得られない。また、厚みが大きい方が理論的には防湿性は高いが、あまり大きいと内部応力が不必要に大きくなり、割れやすく好ましい防湿性が得られない。
また、本発明においては、上記ガスバリア層となるセラミック膜が、透明であることが好ましい。上記ガスバリア層が透明であることにより、ガスバリアフィルムを透明なものとすることが可能となり、EL素子の透明基板等の用途にも使用することが可能となるからである。ガスバリアフィルムの光透過率としては、例えば試験光の波長を550nmとしたとき透過率が80%以上のものが好ましく、90%以上がさらに好ましい。
プラズマCVD法、大気圧または大気圧近傍の圧力下でのプラズマCVD法により得られるガスバリア層は、原材料(原料ともいう)である有機金属化合物、分解ガス、分解温度、投入電力等の条件を選ぶことで、金属炭化物、金属窒化物、金属酸化物、金属硫化物等のセラミック膜を、またこれらの混合物(金属酸窒化物、金属窒化炭化物等)も作り分けることができるため好ましい。
例えば、珪素化合物を原料化合物として用い、分解ガスに酸素を用いれば、珪素酸化物が生成する。また、亜鉛化合物を原料化合物として用い、分解ガスにニ硫化炭素を用いれば、硫化亜鉛が生成する。これはプラズマ空間内では非常に活性な荷電粒子・活性ラジカルが高密度で存在するため、プラズマ空間内では多段階の化学反応が非常に高速に促進され、プラズマ空間内に存在する元素は熱力学的に安定な化合物へと非常な短時間で変換されるためである。
このような無機物の原料としては、典型または遷移金属元素を有していれば、常温常圧下で気体、液体、固体いずれの状態であっても構わない。気体の場合にはそのまま放電空間に導入できるが、液体、固体の場合は、加熱、バブリング、減圧、超音波照射等の手段により気化させて使用する。また、溶媒によって希釈して使用してもよく、溶媒は、メタノール、エタノール、n−ヘキサン等の有機溶媒及びこれらの混合溶媒が使用できる。なお、これらの希釈溶媒は、プラズマ放電処理中において、分子状、原子状に分解されるため、影響は殆ど無視することができる。
また、これらの金属を含む原料ガスを分解して無機化合物を得るための分解ガスとしては、水素ガス、メタンガス、アセチレンガス、一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガス、窒素ガス、アンモニアガス、亜酸化窒素ガス、酸化窒素ガス、二酸化窒素ガス、酸素ガス、水蒸気、フッ素ガス、フッ化水素、トリフルオロアルコール、トリフルオロトルエン、硫化水素、二酸化硫黄、二硫化炭素、塩素ガス等が挙げられる。
金属元素を含む原料ガスと、分解ガスを適宜選択することで、各種の金属炭化物、金属窒化物、金属酸化物、金属ハロゲン化物、金属硫化物を得ることができる。
これらの反応性ガスに対して、主にプラズマ状態になりやすい放電ガスを混合し、プラズマ放電発生装置にガスを送りこむ。
このような放電ガスとしては、窒素ガス及び/または周期表の第18属原子、具体的には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等が用いられる。これらの中でも窒素、ヘリウム、アルゴンが好ましく用いられ、特に窒素がコストも安く好ましい。
上記放電ガスと反応性ガスを混合し、混合ガスとしてプラズマ放電発生装置(プラズマ発生装置)に供給することで膜形成を行う。放電ガスと反応性ガスの割合は、得ようとする膜の性質によって異なるが、混合ガス全体に対し、放電ガスの割合を50体積%以上として反応性ガスを供給する。
本発明に係るガスバリア層として用いるセラミック膜においては、セラミック膜が含有する無機化合物が、SiOxCy(x=1.5〜2.0、y=0〜0.5)または、SiOx、SiNyまたはSiOxNy(x=1〜2、y=0.1〜1)であることが好ましく、特にガスバリア性、水分の透過性、光線透過性及び後述する大気圧プラズマCVD適性の観点から、SiOxであることが好ましい。
本発明に係るセラミック膜が含有する無機化合物は、例えば、上記有機珪素化合物に、さらに酸素ガスや窒素ガスを所定割合で組合せて、O原子とN原子の少なくともいずれかと、Si原子とを含む膜を得ることができる。
以上のように、上記のような原料ガスを放電ガスと共に使用することにより様々な無機薄膜を形成することができる。
本発明に用いられるその他の層として、密着層及び保護層を好ましく用いられる。
本発明のガスバリアフィルムは、平滑層上に密着層、セラミック膜及び保護層を順次形成した構成が好ましい。該密着層及び該保護層は、本発明においては同一組成物から構成されているものが好ましい。
即ち、同じ金属(珪素含む)を有する薄膜形成原料を用いて、同じ製造方法により製造されることにより、不純物粒子の混入がなく、非常に安定した製造が可能であり、かつ過酷な環境下で保存されても各層間、また基材との密着性に優れ、良好な透明性、ガスバリア耐性等が損なわれないガスバリア性樹脂基材を製造できるものである。
前記密着層は応力緩和の役割を持つと同時に基材との密着、接着を向上させる層であり、密着層の膜厚は1〜500nmが好ましく、さらに好ましいのは20〜200nmである。また、保護層は、セラミック膜の保護のため保護層の膜厚としては1〜1000nm、さらには100〜800nmが好ましい。
本発明において、密着層、保護層は、セラミック膜と同一組成物を含有しており、それぞれの膜が同一組成物を含有している。本発明でいう同一組成物を含有するとは、各膜を構成している物質の50質量%以上が同一の化合物により構成されていることを意味し、好ましくは70質量%以上である。
これらの密着層、保護層を、基材上に順次形成する方法としては、ゾル− ゲル法によるスプレー法、スピンコート法、また、金属化合物を用いたスパッタリング法、真空蒸着法、プラズマCVD法、後述する大気圧または大気圧近傍でのプラズマCVD法等が挙げられ、特に限定されない。
次いで、本発明のガスバリアフィルムの製造方法において、本発明に係るガスバリア層あるいはセラミック膜の形成に好適に用いることのできる大気圧プラズマCVD法について、さらに詳細に説明する。
CVD法(化学的気相成長法)は、揮発・昇華した有機金属化合物が高温の支持体表面に付着し、熱により分解反応が起き、熱的に安定な無機物の薄膜が生成されるというものであり、このような通常のCVD法(熱CVD法とも称する)では、通常500℃以上の基板温度が必要であるため、プラスチック支持体への製膜には使用することが難しいが、一方、プラズマCVD法は、支持体近傍の空間に電界を印加し、プラズマ状態となった気体が存在する空間(プラズマ空間)を発生させ、揮発・昇華した有機金属化合物がこのプラズマ空間に導入されて分解反応が起きた後に支持体上に吹きつけられることにより、無機物の薄膜を形成するというものである。プラズマ空間内では、数%の高い割合の気体がイオンと電子に電離しており、ガスの温度は低く保たれるものの、電子温度は非常な高温のため、この高温の電子、あるいは低温ではあるがイオン・ラジカル等の励起状態のガスと接するために無機膜の原料である有機金属化合物は低温でも分解することができる。従って、無機物を製膜する支持体についても低温化することができ、樹脂フィルム支持体上へも十分製膜することが可能な製膜方法である。
またこの方法によれば、樹脂フィルム上に前記セラミック膜を形成させたときの膜密度が緻密であり、安定した性能を有する薄膜が得られる。また残留応力が圧縮応力で、0.01MPa以上、20MPa以下という範囲のセラミック膜が安定に得られることが特徴である。
次いで、大気圧あるいは大気圧近傍でのプラズマCVD法を用いた前記ガスバリア層の製造方法の一例について述べる。
プラズマ放電処理装置においては、ガス供給手段から、前記金属を含む原料ガス、分解ガスを適宜選択して、またこれらの反応性ガスに対して、主にプラズマ状態になりやすい放電ガスを混合してプラズマ放電発生装置にガスを送りこむことで前記セラミック膜を得ることができる。
放電ガスとしては、前記のように窒素ガス及び/または周期表の第18属原子、具体的には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等が用いられる。これらの中でも窒素、ヘリウム、アルゴンが好ましく用いられ、特に窒素がコストも安く好ましい。
本発明に適用できる大気圧プラズマ放電処理装置としては、例えば、特開2004−68143号公報、同2003−49272号公報、国際特許第02/48428号パンフレット等に記載されている大気圧プラズマ放電処理装置を挙げることができる。
次いで本発明に係わるガスバリアフィルムについて説明する。
ガスバリアフィルムは、樹脂フィルム支持体、例えばポリエチレンテレフタレート上に一層のセラミック膜を有している。また、本発明のガスバリアフィルムは、セラミック層を二つ以上積層されていてもよく、ガスバリアフィルムは、樹脂フィルム支持体と、少なくとも2層のセラミック膜と二つのセラミック膜間に位置するセラミック膜より弾性率の低いポリマーを含む応力緩和層を有している。本発明に係わるセラミック膜は緻密な構造を有し、硬度が高いため積層する場合、このような応力緩和層を間に配し、複数の層に分けることが好ましい。応力緩和層は、セラミック層に発生する応力を緩和し無機セラミック膜の割れや欠陥の発生を防止する作用を有する。
次いで、ここで応力緩和層に用いられるポリマー層について説明する。
本発明に係るポリマー層とは、無機ポリマー、有機ポリマー、有機無機ハイブリッドポリマー等を主成分とする薄膜で、その膜厚は、概ね5〜500nmで、前述のガスバリア層に対し相対的な硬度が低い層で、層中の平均炭素含有量が5%以上のものであり、応力緩和層とも呼ばれる。
本発明で適用できる無機ポリマーは、無機骨格を主構造とし、かつ有機成分を含有する膜であり、有機金属化合物を重合したものも含む。
これら無機ポリマーとしては、特に限定はないが、例えば、シリコーンやポリシラザン等のケイ素化合物や、チタン化合物、アルミニウム化合物、硼素化合物、燐化合物、錫化合物を用いることができる。
本発明で用いることのできるケイ素化合物としては、特に限定はないが、好ましいものとして、テトラメチルシラン、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラメトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシラザン、1,1−ジメチル−1−シラシクロブタン、トリメチルビニルシラン、メトキシジメチルビニルシラン、トリメトキシビニルシラン、エチルトリメトキシシラン、ジメチルジビニルシラン、ジメチルエトキシエチニルシラン、ジアセトキシジメチルシラン、ジメトキシメチル−3,3,3−トリフルオロプロピルシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、アリールトリメトキシシラン、エトキシジメチルビニルシラン、アリールアミノトリメトキシシラン、N−メチル−N−トリメチルシリルアセトアミド、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、メチルトリビニルシラン、ジアセトキシメチルビニルシラン、メチルトリアセトキシシラン、アリールオキシジメチルビニルシラン、ジエチルビニルシラン、ブチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、テトラビニルシラン、トリアセトキシビニルシラン、テトラアセトキシシラン、3−トリフルオロアセトキシプロピルトリメトキシシラン、ジアリールジメトキシシラン、ブチルジメトキシビニルシラン、トリメチル−3−ビニルチオプロピルシラン、フェニルトリメチルシラン、ジメトキシメチルフェニルシラン、フェニルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ジメチルイソペンチロキシビニルシラン、2−アリールオキシエチルチオメトキシトリメチルシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−アリールアミノプロピルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、ジメチルエチキシフェニルシラン、ベンゾイロキシトリメチルシラン、3−メタクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、ジメチルエトキシ−3−グリシドキシプロピルシラン、ジブトキシジメチルシラン、3−ブチルアミノプロピルトリメチルシラン、3−ジメチルアミノプロピルジエトキシメチルシラン、2−(2−アミノエチルチオエチル)トリエトキシシラン、ビス(ブチルアミノ)ジメチルシラン、ジビニルメチルフェニルシラン、ジアセトキシメチルフェニルシラン、ジメチル−p−トリルビニルシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、ジエチルメチルフェニルシラン、ベンジルジメチルエトキシシラン、ジエトキシメチルフェニルシラン、デシルメチルジメトキシシラン、ジエトキシ−3−グリシドキシプロピルメチルシラン、オクチロキシトリメチルシラン、フェニルトリビニルシラン、テトラアリールオキシシラン、ドデシルトリメチルシラン、ジアリールメチルフェニルシラン、ジフェニルメチルビニルシラン、ジフェニルエトキシメチルシラン、ジアセトキシジフェニルシラン、ジベンジルジメチルシラン、ジアリールジフェニルシラン、オクタデシルトリメチルシラン、メチルオクタデシルジメチルシラン、ドコシルメチルジメチルシラン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、1,4−ビス(ジメチルビニルシリル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アセトキシプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリビニルシクロトリシロキサン、1,3,5−トリス(3,3,3−トリフルオロプロピル)−1,3,5−トリメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラエトキシ−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等を挙げることができる。
また、有機ポリマーとしては、公知の重合性有機化合物を用いることができるが、その中でも、分子内にエチレン性不飽和結合を有する重合可能なエチレン性不飽和結合含有化合物が好ましく、また、一般的なラジカル重合性のモノマー類、光、熱、紫外線等により硬化する樹脂に一般的に用いられる分子内に付加重合可能なエチレン性二重結合を複数有する多官能モノマー類や多官能オリゴマー類を用いることができる。
これらの重合可能なエチレン性二重結合含有化合物に特に限定は無いが、好ましいものとして、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、グリセロールアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルオキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルオキシヘキサノリドアクリレート、1,3−ジオキサンアルコールのε−カプロラクトン付加物のアクリレート、1,3−ジオキソランアクリレート等の単官能アクリル酸エステル類、あるいはこれらのアクリレートをメタクリレート、イタコネート、クロトネート、マレエートに代えたメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸エステル、例えば、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングルコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ハイドロキノンジアクリレート、レゾルシンジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのジアクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートのジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのε−カプロラクトン付加物のジアクリレート、2−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−5−ヒドロキシメチル−5−エチル−1,3−ジオキサンジアクリレート、トリシクロデカンジメチロールアクリレート、トリシクロデカンジメチロールアクリレートのε−カプロラクトン付加物、1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテルのジアクリレート等の2官能アクリル酸エステル類、あるいはこれらのアクリレートをメタクリレート、イタコネート、クロトネート、マレエートに代えたメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸エステル、例えばトリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートのε−カプロラクトン付加物、ピロガロールトリアクリレート、プロピオン酸・ジペンタエリスリトールトリアクリレート、プロピオン酸・ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ヒドロキシピバリルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリアクリレート等の多官能アクリル酸エステル酸、あるいはこれらのアクリレートをメタクリレート、イタコネート、クロトネート、マレエートに代えたメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸エステル等を挙げることができる。
また、プレポリマーも上記同様に使用することができる。プレポリマーは、1種または2種以上を併用してもよいし、上述の単量体及び/またはオリゴマーと混合して用いてもよい。
プレポリマーとしては、例えばアジピン酸、トリメリット酸、マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、ハイミック酸、マロン酸、こはく酸、グルタール酸、イタコン酸、ピロメリット酸、フマル酸、グルタール酸、ピメリン酸、セバシン酸、ドデカン酸、テトラヒドロフタル酸等の多塩基酸と、エチレングリコール、プロピレングルコール、ジエチレングリコール、プロピレンオキサイド、1,4−ブタンジオール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、1,6−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール等の多価のアルコールの結合で得られるポリエステルに(メタ)アクリル酸を導入したポリエステルアクリレート類、例えば、ビスフェノールA・エピクロルヒドリン・(メタ)アクリル酸、フェノールノボラック・エピクロルヒドリン・(メタ)アクリル酸のようにエポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を導入したエポキシアクリレート類、例えば、エチレングリコール・アジピン酸・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレート、ポリエチレングリコール・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルフタリルメタクリレート・キシレンジイソシアネート、1,2−ポリブタジエングリコール・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレート、トリメチロールプロパン・プロピレングリコール・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレートのように、ウレタン樹脂に(メタ)アクリル酸を導入したウレタンアクリレート、例えば、ポリシロキサンアクリレート、ポリシロキサン・ジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレート等のシリコーン樹脂アクリレート類、その他、油変性アルキッド樹脂に(メタ)アクリロイル基を導入したアルキッド変性アクリレート類、スピラン樹脂アクリレート類等のプレポリマーが挙げられる。
また、本発明に係るポリマー層に適用可能な有機ポリマーとしては、薄膜形成性ガスとしてプラズマ重合可能な有機物を用いることでも容易に形成できる。プラズマ重合可能な有機物としては、炭化水素、ビニル化合物、含ハロゲン化合物、含窒素化合物を挙げることができる。
炭化水素としては、例えば、エタン、エチレン、メタン、アセチレン、シクロヘキサン、ベンゼン、キシレン、フェニルアセチレン、ナフタレン、プロピレン、カンフォー、メントール、トルエン、イソブチレン等を挙げることができる。
ビニル化合物としては、例えば、アクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、アリルメタクリレート、アクリルアミド、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルピリジン、酢酸ビニル、ビニルメチルエーテル等を挙げることができる。
含ハロゲン化合物としては、四フッ化メタン、四フッ化エチレン、六フッ化プロピレン、フロロアルキルメタクリレート等を挙げることができる。
含窒素化合物としては、例えば、ピリジン、アリルアミン、ブチルアミン、アクリロニトリル、アセトニトリル、ベンゾニトリル、メタクリロニトリル、アミノベンゼン等を挙げることができる。
本発明に係る有機無機ハイブリッドポリマーとしては、有機(無機)ポリマーに無機(有機)物を分散させた膜や、無機骨格と有機骨格を共に主構造とする膜を挙げることができる。本発明に適用できる有機無機ハイブリッドポリマーは、特に限定はないが、好ましくは、前述した無機ポリマーと有機ポリマーを適宜組合せたものを用いることができる。
本発明のこれらガスバリアフィルムは、種々の封止用材料、フィルムとして用いることができる。
本発明のこれらガスバリアフィルムは、また表示素子、例えば有機EL素子に用いることができる。有機EL素子に用いる際に、本発明のガスバリアフィルムは透明であるため、このガスバリアフィルムを支持体として用いてこの側から光取り出しを行うように構成できる。即ち、このガスバリアフィルム上に、例えば、ITO等の透明導電性薄膜を透明電極として設け、有機エレクトロルミネッセンス素子用樹脂支持体を構成することができる。そして、支持体上に設けられたITO透明導電膜を陽極としてこの上に発光層を含む有機EL材料層を設け、さらに金属膜からなる陰極を形成して有機EL素子を形成し、この上に別の封止材料を(同じでもよいが)重ねて前記ガスバリアフィルム支持体と周囲を接着、素子を封じ込めることで有機EL素子層を封止することができ、これにより外気の湿気や酸素等のガスによる素子への影響を封じることができる。
有機エレクトロルミネッセンス用樹脂支持体はこの様にして形成されたガスバリアフィルムのセラミック膜上に、透明導電性膜を形成することによって得られる。透明導電膜は有機EL素子を形成したとき陽極となる導電膜である。
透明導電膜の形成は、真空蒸着法やスパッタリング法等を用いることにより、また、インジウム、スズ等の金属アルコキシド等を用いたゾルゲル法等塗布法によっても製造できる。
透明導電膜の膜厚としては、0.1nm〜1000nmの範囲の透明導電膜が好ましい。
次いでこれらガスバリアフィルム、またこれに透明導電膜が形成された有機エレクトロルミネッセンス素子用樹脂支持体を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子について説明する。
〔封止フィルムとその製造方法〕
本発明は、前記セラミック膜を有するガスバリアフィルムを基板として用いることが特徴の一つである。
前記セラミック膜を有するガスバリアフィルムにおいてセラミック膜上に、さらに透明導電膜を形成し、これを陽極としてこの上に、有機EL素子を校正する有機EL材料層、陰極となる金属層と積層し、この上にさらにもう一つのガスバリアフィルムを封止フィルムとして、重ね接着することで封止する。
用いられるもう一つの封止材料(封止フィルム)としては、本発明に係わる前記緻密な構造を有するセラミック膜を有するガスバリアフィルムを用いることができる。また、例えば、包装材等に使用される公知のガスバリアフィルム、例えばプラスチックフィルム上に酸化珪素や、酸化アルミニウムを蒸着したもの、緻密なセラミック層と、柔軟性を有する衝撃緩和ポリマー層を交互に積層した構成のガスバリアフィルム等を封止フィルムとして用いることができる。また特に、樹脂ラミネート(ポリマー膜)された金属箔は、光取りだし側のガスバリアフィルムとして用いることはできないが、低コストでさらに透湿性の低い封止材料であり光取り出しを意図しない(透明性を要求されない)場合封止フィルムとして好ましい。
本発明において金属箔とはスパッタや蒸着等で形成された金属薄膜や、導電性ペースト等の流動性電極材料から形成された導電膜と異なり、圧延等で形成された金属の箔またはフィルムを指す。
金属箔としては、金属の種類に特に限定はなく、例えば銅(Cu)箔、アルミニウム(Al)箔、金(Au)箔、黄銅箔、ニッケル(Ni)箔、チタン(Ti)箔、銅合金箔、ステンレス箔、スズ(Sn)箔、高ニッケル合金箔等が挙げられる。これらの各種の金属箔の中で特に好ましい金属箔としてはAl箔が挙げられる。
金属箔の厚さは6〜50μmが好ましい。6μm未満の場合は、金属箔に用いる材料によっては使用時にピンホールが空き、必要とするバリアー性(透湿度、酸素透過率)が得られなくなる場合がある。50μmを越えた場合は、金属箔に用いる材料によってはコストが高くなったり、有機EL素子が厚くなりフィルムのメリットが少なくなる場合がある。
樹脂フィルム(ポリマー膜)がラミネートされた金属箔において樹脂フィルムとしては、機能性包装材料の新展開(株式会社 東レリサーチセンター)に記載の各種材料を使用することが可能であり、例えばポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体系樹脂、セロハン系樹脂、ビニロン系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂等が挙げられる。ポリプロピレン系樹脂、ナイロン系樹脂等の樹脂は、延伸されていてもよく、さらに塩化ビニリデン系樹脂をコートされていてもよい。また、ポリエチレン系樹脂は、低密度あるいは高密度のものも用いることができる。
後述するが、二つのフィルムの封止方法としては、例えば、一般に使用されるインパルスシーラー熱融着性の樹脂層をラミネートして、インパルスシーラーで融着させ、封止する方法が好ましく、この場合、ガスバリアフィルム同士の封止は、フィルム膜厚が300μmを超えると封止作業時のフィルムの取り扱い性が悪化するのとインパルスシーラー等による熱融着が困難となるため膜厚としては300μm以下が望ましい。
〔有機EL素子の封止〕
本発明では、本発明に係わる前記セラミック膜を有する樹脂フィルム(ガスバリアフィルム)上に透明導電膜を形成し、作製した有機エレクトロルミネッセンス用樹脂支持体上に、有機EL素子各層を形成した後、上記封止フィルムを用いて、不活性ガスによりパージされた環境下で、上記封止フィルムで陰極面を覆うようにして、有機エレクトロルミネッセンス素子を封止することができる。
不活性ガスとしては、Nの他、He、Ar等の希ガスが好ましく用いられるが、HeとArを混合した希ガスも好ましく、気体中に占める不活性ガスの割合は、90〜99.9体積%であることが好ましい。不活性ガスによりパージされた環境下で封止することにより、保存性が改良される。
また、前記の樹脂フィルム(ポリマー膜)がラミネートされた金属箔を用いて、有機EL素子を封止するにあたっては、ラミネートされた樹脂フィルム面ではなく、金属箔上にセラミック膜を形成し、このセラミック膜面を有機EL素子の陰極に貼り合わせることが好ましい。封止フィルムのポリマー膜面を有機EL素子の陰極に貼り合わせると、部分的に導通が発生したり、それに伴う電飾が発生し、これによってダークスポットが発生することがある。
封止フィルムを有機EL素子の陰極に貼り合わせる封止方法としては、一般に使用されるインパルスシーラーで融着可能な樹脂フィルム、例えばエチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)やポリプロピレン(PP)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム等の熱融着性フィルムを積層して、インパルスシーラーで融着させ封止する方法がある。
接着方法としてはドライラミネート方式が作業性の面で優れている。この方法は一般には1.0〜2.5μm程度の硬化性の接着剤層を使用する。ただし接着剤の塗設量が多すぎる場合には、トンネル、浸み出し、縮緬皺等が発生することがあるため、好ましくは接着剤量を乾燥膜厚で3〜5μmになるように調節することが好ましい。
ホットメルトラミネーションとはホットメルト接着剤を溶融し支持体に接着層を塗設する方法であるが、接着剤層の厚さは一般に1〜50μmと広い範囲で設定可能な方法である。一般に使用されるホットメルト接着剤のベースレジンとしては、EVA、EEA、ポリエチレン、ブチルラバー等が使用され、ロジン、キシレン樹脂、テルペン系樹脂、スチレン系樹脂等が粘着付与剤として、ワックス等が可塑剤として添加される。
エクストルージョンラミネート法とは高温で溶融した樹脂をダイスにより支持体上に塗設する方法であり、樹脂層の厚さは一般に10〜50μmと広い範囲で設定可能である。
エクストルージョンラミネートに使用される樹脂としては一般に、LDPE、EVA、PP等が使用される。
次いで、有機EL素子を構成する有機EL材料各層(構成層)について説明する。
また、有機EL素子層の詳細についても後述するが、本発明において、有機EL素子としては発光層にリン光性ドーパントを含有するリン光発光タイプの発光層を有する素子が発光効率が高く好ましい。
〔有機EL素子〕
次に、本発明に係わる有機EL素子の構成層について詳細に説明する。本発明において、有機EL素子の層構成の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
(1)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
(2)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(3)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極
(4)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
(5)陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
(陽極)
有機EL素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としてはAu等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また、IDIXO(In−ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。陽極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により、薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。さらに膜厚は材料にもよるが、通常10〜1000nm、好ましくは10〜200nmの範囲で選ばれる。
(陰極)
一方、陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。陰極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。なお、発光した光を透過させるため、有機EL素子の陽極または陰極のいずれか一方が、透明または半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。
また、陰極に上記金属を1〜20nmの膜厚で作製した後に、陽極の説明で挙げた導電性透明材料をその上に作製することで、透明または半透明の陰極を作製することができ、これを応用することで陽極と陰極の両方が透過性を有する素子を作製することができる。
次に、本発明の有機EL素子の構成層として用いられる、注入層、阻止層、電子輸送層等について説明する。
(注入層:電子注入層、正孔注入層)
注入層は必要に応じて設け、電子注入層と正孔注入層があり、上記の如く陽極と発光層または正孔輸送層の間、及び陰極と発光層または電子輸送層との間に存在させてもよい。
注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されており、正孔注入層(陽極バッファー層)と電子注入層(陰極バッファー層)とがある。
陽極バッファー層(正孔注入層)は、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニンバッファー層、酸化バナジウムに代表される酸化物バッファー層、アモルファスカーボンバッファー層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子バッファー層等が挙げられる。
陰極バッファー層(電子注入層)は、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、フッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。上記バッファー層(注入層)はごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるがその膜厚は0.1nm〜5μmの範囲が好ましい。
阻止層は、上記の如く、有機化合物薄膜の基本構成層の他に必要に応じて設けられるものである。例えば、特開平11−204258号公報、同11−204359号公報、及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層がある。
正孔阻止層とは広い意味では電子輸送層の機能を有し、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい正孔阻止材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、後述する電子輸送層の構成を必要に応じて、本発明に係わる正孔阻止層として用いることができる。
一方、電子阻止層とは広い意味では正孔輸送層の機能を有し、正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、後述する正孔輸送層の構成を必要に応じて電子阻止層として用いることができる。
(発光層)
本発明に係る発光層は、電極または電子輸送層、正孔輸送層から注入されてくる電子及び正孔が再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接層との界面であってもよい。
本発明の有機EL素子の発光層には、以下に示すホスト化合物とドーパント化合物が含有されることが好ましい。これにより、より一層発光効率を高くすることができる。
発光ドーパントは、大きく分けて、蛍光を発光する蛍光性ドーパントとリン光を発光するリン光性ドーパントの2種類がある。
前者(蛍光性ドーパント)の代表例としては、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素、または希土類錯体系蛍光体等が挙げられる。
後者(リン光性ドーパント)の代表例としては、好ましくは元素の周期表で8属、9属、10属の金属を含有する錯体系化合物であり、さらに好ましくは、イリジウム化合物、オスミウム化合物であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。
発光ドーパントは複数種の化合物を混合して用いてもよい。
〈発光ホスト〉
発光ホスト(単にホストともいう)とは、2種以上の化合物で構成される発光層中にて混合比(質量)の最も多い化合物のことを意味し、それ以外の化合物については「ドーパント化合物(単に、ドーパントともいう)」という。例えば、発光層を化合物A、化合物Bという2種で構成し、その混合比がA:B=10:90であれば化合物Aがドーパント化合物であり、化合物Bがホスト化合物である。さらに、発光層を化合物A、化合物B、化合物Cの3種から構成し、その混合比がA:B:C=5:10:85であれば、化合物A、化合物Bがドーパント化合物であり、化合物Cがホスト化合物である。
本発明に用いられる発光ホストとしては、構造的には特に制限はないが、代表的にはカルバゾール誘導体、トリアリールアミン誘導体、芳香族ボラン誘導体、含窒素複素環化合物、チオフェン誘導体、フラン誘導体、オリゴアリーレン化合物等の基本骨格を有するもの、または、カルボリン誘導体やジアザカルバゾール誘導体(ここで、ジアザカルバゾール誘導体とは、カルボリン誘導体のカルボリン環を構成する炭化水素環の少なくとも一つの炭素原子が窒素原子で置換されているものを表す。)等が挙げられる。
中でもカルボリン誘導体、ジアザカルバゾール誘導体等が好ましく用いられる。
発光層は上記化合物を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法、インクジェット法等の公知の薄膜化法により成膜して形成することができる。発光層としての膜厚は特に制限はないが、通常は5nm〜5μm、好ましくは5〜200nmの範囲で選ばれる。この発光層はこれらのリン光性化合物やホスト化合物が1種または2種以上からなる一層構造であってもよいし、あるいは同一組成または異種組成の複数層からなる積層構造であってもよい。
(正孔輸送層)
正孔輸送層とは正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層は単層または複数層設けることができる。
正孔輸送材料としては、正孔の注入または輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。
正孔輸送材料としては上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。
さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。また、p型−Si、p型−SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。
正孔輸送層は上記正孔輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。正孔輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。この正孔輸送層は上記材料の1種または2種以上からなる一層構造であってもよい。
(電子輸送層)
電子輸送層とは電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は単層または複数層設けることができる。
電子輸送層は上記電子輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。電子輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。電子輸送層は上記材料の1種または2種以上からなる一層構造であってもよい。
本発明に係わる有機EL素子に用いることのできるガスバリアフィルムを構成する樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート(TAC)、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類またはそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリスルホン類、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリルあるいはポリアリレート類、アートン(商品名JSR社製)あるいはアペル(商品名三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等を挙げられる。
(有機EL素子の作製方法)
有機EL素子の作製方法について以下に詳しく説明する。
有機EL素子の一例として、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極からなる有機EL素子の作製法について説明する。
まず基体(本発明のガスバリアフィルム)上に所望の電極物質、例えば、陽極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは10〜200nmの膜厚になるように、蒸着やスパッタリング、また前記プラズマCVD等の方法により形成させ、陽極を作製する。次に、この上に有機EL素子材料である正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層、正孔阻止層の有機化合物薄膜を形成させる。
この有機化合物薄膜の薄膜化の方法としては、前記の如く蒸着法、ウェットプロセス(スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、印刷法)等があるが、均質な膜が得られやすく、かつピンホールが生成しにくい等の点から、真空蒸着法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法が特に好ましい。さらに層毎に異なる成膜法を適用してもよい。成膜に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は使用する化合物の種類等により異なるが、一般にボート加熱温度50〜450℃、真空度10−6〜10−2Pa、蒸着速度0.01〜50nm/秒、基板温度−50〜300℃、膜厚0.1nm〜5μm、好ましくは5〜200nmの範囲で適宜選ぶことが望ましい。
これらの層を形成後、その上に陰極用物質からなる薄膜を、1μm以下好ましくは50〜200nmの範囲の膜厚になるように、例えば、蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ、陰極を設けることにより所望の有機EL素子が得られる。この有機EL素子の作製は、一回の真空引きで一貫して正孔注入層から陰極まで作製するのが好ましいが、途中で取り出して異なる成膜法を施しても構わない。その際、作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行う等の配慮が必要となる。
また作製順序を逆にして、陰極、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の順に作製することも可能である。このようにして得られた多色の表示装置に、直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を−の極性として電圧2〜40V程度を印加すると、発光が観測できる。また交流電圧を印加してもよい。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
(支持体)
熱可塑性樹脂支持体として、両面に易接着加工された125μm厚みの、ポリエステル系(帝人デュポンフィルム株式会社製、テトロンO3)の基板を、170℃で30分アニール加熱処理したものを用いた。
(平滑層を有する樹脂フィルムの作製)
樹脂フィルムの作製は、上記支持体を10m/分の速度で搬送しながら、以下の形成方法により、両面に組成の異なる平滑層塗布液を塗布することにより、平滑層を形成後に巻き取り、ロール状の樹脂フィルムを得た。
(平滑層1(上面)及び平滑層2(下面)の形成)
上記支持体の両面に、表1に記載の平滑層液を表2の組合せで塗布、乾燥後の膜厚が4μmになるようにワイヤーバーで塗布した後、硬化条件;1.0J/cm空気下、高圧水銀ランプ使用、乾燥条件;80℃、3分で硬化を行い、平滑層を形成し、樹脂フィルム試料No.1〜10を作製した。
両面に平滑層が形成された樹脂フィルムを続けて、6インチの内径の芯に、ロール状に巻き取った。このときの巻き取り張力は、1.5N/cmであった。
(鉛筆硬度の測定)
各平滑層形成後の表面の鉛筆硬度は、JIS K5600−5−4 引っかき硬度(鉛筆法)で測定した。測定環境は、摂氏21〜25度、湿度45〜55%の条件下で行った。結果を表2に示す。
(バリア層の形成)
次に、上記両面に平滑層を設けた樹脂フィルム試料No.1〜10を、ロールから水平に引き出しながら、平滑層2の上に密着層/セラミック層/プロテクト層の順に、以下に示す条件で、それぞれ形成した。各膜厚は、密着層が50nmでセラミック層が30nmプロテクト層が400nmである。また製膜時の支持体保持温度は、120℃とした。
ロール電極型放電処理装置を用いて処理を実施。ロール電極に対向する棒状電極を複数個フィルムの搬送方向に対し平行に設置し、各電極部に原料及び電力を投入し以下のように薄膜を形成した。
ここで誘電体は対向する電極共に、セラミック溶射加工のものに片肉で1mm被覆した。また、被覆後の電極間隙は、1mmに設定した。また誘電体を被覆した金属母材は、冷却水による冷却機能を有するステンレス製ジャケット仕様であり、放電中は冷却水による電極温度コントロールを行いながら実施した。ここで使用する電源は、応用電機製高周波電源(80kHz)、パール工業製高周波電源(13.56MHz)を使用した。
〈セラミック層〉
放電ガス:Nガス
反応ガス1:酸素ガスを全ガスに対し5体積%
反応ガス2:TEOSを全ガスに対し0.1体積%
低周波側電源電力:80kHzを10W/cm
高周波側電源電力:13.56MHzを0.8〜10W/cmで変化。
〈密着層〉
放電ガス:Nガス
反応ガス1:水素ガスを全ガスに対し1体積%
反応ガス2:TEOS(テトラエトキシシラン)を全ガスに対し0.5体積%
低周波側電源電力:80kHzを10W/cm
高周波側電源電力:13.56MHzを5W/cm
〈プロテクト層〉
放電ガス:Nガス
反応ガス1:水素ガスを全ガスに対し1体積%
反応ガス2:TEOSを全ガスに対し0.5体積%
低周波側電源電力:80kHzを10W/cm
高周波側電源電力:13.56MHzを5W/cm
作製した樹脂フィルム試料No.1〜10のセラミック膜上に、以下の方法により透明導電膜を作製した。
〈透明導電膜の形成〉
プラズマ放電装置としては、電極が平行平板型のものを用い、この電極間に上記透明フィルムを載置し、かつ、混合ガスを導入して薄膜形成を行った。
なお、アース(接地)電極としては、200mm×200mm×2mmのステンレス板に高密度、高密着性のアルミナ溶射膜を被覆し、その後、テトラメトキシシランを酢酸エチルで希釈した溶液を塗布乾燥後、紫外線照射により硬化させ封孔処理を行い、このようにして被覆した誘電体表面を研磨し、平滑にして、Rmax 5μmとなるように加工した電極を用いた。また、印加電極としては、中空の角型の純チタンパイプに対し、アース電極と同様の条件にて誘電体を被覆した電極を用いた。印加電極は複数作製し、アース電極に対向して設け放電空間を形成した。
また、プラズマ発生に用いる電源としては、パール工業(株)製高周波電源CF−5000−13Mを用い、周波数13.56MHzで、5W/cmの電力を供給した。
電極間に以下の組成の混合ガスを流し、プラズマ状態とし、上記のガスバリアフィルムを大気圧プラズマ処理し、ガスバリア層(セラミック膜)上に、錫ドープ酸化インジウム(ITO)膜を100nmの厚さで成膜し、透明導電膜付の樹脂フィルム試料No.1〜10を得た。
放電ガス:ヘリウム 98.5体積%
反応性ガス1:酸素 0.25体積%
反応性ガス2:インジウムアセチルアセトナート 1.2体積%
反応性ガス3:ジブチル錫ジアセテート 0.05体積%
(有機EL素子の作製)
得られた透明導電膜付の樹脂フィルム試料No.1〜10の100mm×100mmを基板とし、これにパターニングを行った後、このITO透明電極を設けたガスバリアフィルム基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥した。この透明支持基板を市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、一方、モリブデン製抵抗加熱ボートにα−NPDを200mg入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートにホスト化合物としてCBPを200mg入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートにバソキュプロイン(BCP)を200mg入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートにIr−1を100mg入れ、さらに別のモリブデン製抵抗加熱ボートにAlqを200mg入れ、真空蒸着装置に取付けた。
次いで真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、α−NPDの入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で透明支持基板に蒸着し、正孔輸送層を設けた。さらにCBPとIr−1の入った前記加熱ボートに通電して加熱し、それぞれ蒸着速度0.2nm/秒、0.012nm/秒で前記正孔輸送層上に共蒸着して発光層を設けた。なお、蒸着時の基板温度は室温であった。さらにBCPの入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で前記発光層の上に蒸着して膜厚10nmの正孔阻止層を設けた。その上に、さらにAlqの入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で前記正孔阻止層の上に蒸着して、さらに膜厚40nmの電子輸送層を設けた。なお、蒸着時の基板温度は室温であった。
引き続き、フッ化リチウム0.5nm及びアルミニウム110nmを蒸着して陰極を形成し、それぞれ透明導電膜付の樹脂フィルム試料No.1〜10を用いた有機EL素子試料No.1〜10を作製した。
(封止フィルムの作製)
膜厚30μmのアルミ箔の片方の面に、ポリプロピレンを膜厚30μmでラミネートし、さらにその反対側の面に、ジェットロール電極型放電処理装置を用いてプラズマ放電処理を実施し、以下の条件でセラミック(SiO)膜を30nmの厚みで形成し封止フィルムを作製した。
〈セラミック層〉
放電ガス:Nガス
反応ガス1:酸素ガスを全ガスに対し5体積%
反応ガス2:テトラエトキシシラン(TEOS)を全ガスに対し0.1体積%
低周波側電源電力:80kHzを10W/cm
高周波側電源電力:13.56MHzを10W/cm
窒素ガス(不活性ガス)によりパージされた環境下で、エポキシ系接着剤を用いて、この封止フィルムのSiO膜を設けた面を内側にして得られた有機EL素子試料No.1〜10の両面を封止した有機エレクトロルミネッセンス素子試料No.1〜10を作製した。
(評価)
<水蒸気透過率の評価>
以下の測定方法により評価した。
装置
蒸着装置:日本電子(株)製真空蒸着装置JEE−400
恒温恒湿度オーブン:Yamato Humidic ChamberIG47M
原材料
水分と反応して腐食する金属:カルシウム(粒状)
水蒸気不透過性の金属:アルミニウム(φ3〜5mm、粒状)

蒸気バリア性評価用セルの作製
あらかじめ、半径10mmの曲率になるように、180度の角度で100回屈曲を繰り返したバリアフィルム1〜10の無機化合物を有する層面に、真空蒸着装置(日本電子製真空蒸着装置 JEE−400)を用い、透明導電膜を付ける前のバリアフィルム試料の蒸着させたい部分(12mm×12mmを9箇所)以外をマスクし、金属カルシウムを蒸着させた。その後、真空状態のままマスクを取り去り、シート片側全面にアルミニウムをもう一つの金属蒸着源から蒸着させた。アルミニウム封止後、真空状態を解除し、速やかに乾燥窒素ガス雰囲気下で、厚さ0.2mmの石英ガラスに封止用紫外線硬化樹脂(ナガセケムテックス社製)を介してアルミニウム封止側と対面させ、紫外線を照射することで、評価用セルを作製した。
得られた両面を封止した試料を60℃、90%RHの高温高湿下で保存し、特開2005−283561に記載の方法に基づき、金属カルシウムの腐蝕量からセル内に透過した水分量を計算した。
なお、バリアフィルム面から以外の水蒸気の透過がないことを確認するために、比較試料としてバリアフィルム試料の代わりに、厚さ0.2mmの石英ガラス板を用いて金属カルシウムを蒸着した試料を、同様な60℃、90%RHの高温高湿下保存を行い、1000時間経過後でも金属カルシウム腐蝕が発生しないことを確認した。
水蒸気バリア性試験及び評価
《水蒸気透過率》
作製した各試料について、特開2005−283561に記載の方法により測定し、下記基準で評価した。
5:1×10−6g/m/day未満
4:1×10−6g/m/day以上、1×10−5g/m/day未満
3:1×10−5g/m/day以上、1×10−4g/m/day未満
2:1×10−4g/m/day以上、1×10−3g/m/day未満
1:1×10−3g/m/day以上。
<ダークスポット>
得られた両面を封止した有機EL素子試料No.1〜10を60℃、95%RHの高温高湿下で通電を行い、ダークスポットの発生状況を観察した。
5:60℃、90%RH環境下3日保存で発生なし
4:23℃、50%RH環境下3日保存で発生なし
3:23℃、1%RH以下環境下3日保存で発生なし
2:23℃、1%RH以下環境下3日保存で発生
1:23℃、1%RH以下環境下0日保存で発生。
上述したそれぞれの評価結果を表2に示す。
表2から明らかなように、本発明の複合フィルムは、水蒸気透過率が低く、さらに、本発明の複合フィルムを用いて作製した有機ELデバイスは、ダークスポットが発生し難い。
1 元巻きローラー
2 コーター
3 乾燥工程
4 紫外線照射機
5 樹脂フィルム
6 巻き取りローラー

Claims (7)

  1. 両面に平滑層を有し、両側の平滑層表面の、JIS K5600−5−4 引っかき硬度(鉛筆法)で定義される鉛筆硬度の差が2段階以上、4段階以下であり、かつ硬度の高い面の鉛筆硬度がH以上5H以下であることを特徴とする樹脂フィルム。
  2. 硬度の高い面側に、ガスバリア性層を積層したことを特徴とする請求項1記載の樹脂フィルム。
  3. 前記ガスバリア性層の上に、さらに、透明導電性層を積層したことを特徴とする請求項2記載の樹脂フィルム。
  4. 前記透明導電性層の上に、有機発光媒体層、陰極層、封止層を積層したことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 請求項1の樹脂フィルムをロール状に巻き取った後、該樹脂フィルムを繰り出しながらガスバリア性層を積層することを特徴とするガスバリア性層を有する樹脂フィルムの製造方法。
  6. 請求項1の樹脂フィルムをロール状に巻き取った後、該樹脂フィルムを繰り出しながらガスバリア性層、透明導電性層を積層することを特徴とするガスバリア性層と透明導電性層を有する樹脂フィルムの製造方法。
  7. 請求項1の樹脂フィルムをロール状に巻き取った後、該樹脂フィルムを繰り出しながらガスバリア性層、透明導電性層、有機発光媒体層、陰極層、封止層を積層することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
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