本発明は物体の映像を撮影するために用いられる撮像用光検出装置に関する。
従来の撮像用光検出装置が例えば非特許文献1及び非特許文献2に開示されている。これらに開示された撮像用光検出装置の概略を説明する。
図17Aは、従来の撮像装置の概略構成を示した側面図である。自然光等の光が物体1に入射し、これを反射した光は、レンズ系2によりCCDやCMOS等の光検出装置4上に像3を形成する。レンズ系2は、一般には光学性能を確保するために光軸に沿って並んだ複数のレンズを組み合わせて構成されるが、図17Aでは図面を簡略化して単一のレンズとして描かれている。
図17Bは、光検出装置4の概略構成を示した図であり、図17Aの部分XVIIBの拡大断面図である。複数のフォトディテクター6が形成された検出基板5上に、SiO2等からなる低屈折率の透明バッファー層7、SiN等からなる高屈折率の透明バッファー層8、複数の色フィルター9、複数のマイクロレンズ10がこの順で積層されている。透明バッファー層7の透明バッファー層8と接する表面7aには、各フォトディテクター6の上で透明バッファー層7の膜厚が小さくなるような凹凸構造が形成されている。一方、透明バッファー層8の色フィルター9と接する表面8aは平坦である。
マイクロレンズ10は直交格子の交点位置に配置されており、各マイクロレンズ10の中心軸上に1つの色フィルター9及び1つのフォトディテクター6が配置されている。
マイクロレンズ10は、光線11a’のようにマイクロレンズ10の中心軸に対してシフトして入射する光を屈折させてフォトディテクター6に導く働きをなす。透明バッファー層7の表面7aの凹凸構造もレンズ効果を有し、フォトディテクター6の中心から外れた方向に向かう発散光11b’を屈折させてフォトディテクター6に導く働きをなす。
色フィルター9は赤透過フィルター9R、緑透過フィルター9G、青透過フィルター9Bの3種類から構成され、赤透過フィルター9Rは図18の曲線Rで示されるように赤以外の波長の光をカット(吸収)する光透過特性(分光感度特性)を有し、緑透過フィルター9Gは図18の曲線Gで示されるように緑以外の波長の光をカット(吸収)する光透過特性(分光感度特性)を有し、青透過フィルター9Bは図18の曲線Bで示されるように青以外の波長の光をカット(吸収)する光透過特性(分光感度特性)を有する(非特許文献2参照)。赤透過フィルター9R、緑透過フィルター9G、青透過フィルター9B、及び明るさ検出用の緑透過フィルター9Gからなる4つの色フィルター9と、これらに対応した4つのフォトディテクター6とでカラーの画像情報を検出するカラー画素を構成する。これら4つの色フィルター9に対応するフォトディテクター6の配置を図19に示す。図19において、Rは赤透過フィルター9Rに対応し赤色を検出するフォトディテクター、Gは緑透過フィルター9Gに対応し緑色を検出するフォトディテクター、Bは青透過フィルター9Bに対応し青色を検出するフォトディテクターを示す。一方の対角に2つの緑(基本画素G)が配置され、他方の対角に青(基本画素B)及び赤(基本画素R)が配置された2列×2行の4つの基本画素で1つのカラー画素19が構成される。このような配置はベイヤー配列と呼ばれ、そのメリットは、カラー画素19の半分のサイズ(基本画素のサイズ)だけ垂直方向(X軸方向)又は水平方向(Y軸方向)にシフトした位置にもカラー画素19’を構成できる点にある。これにより、カラー画素19の半分のサイズ(カラー画素19の1/4の面積)、即ち基本画素のサイズにまで解像度が改善される。
図20は、光検出装置4の検出面の拡大平面図である。複数のフォトディテクター6が直交格子の交点位置に互いに離間し且つ絶縁されて配置されている。水平方向に隣り合うフォトディテクター6間には、垂直方向に延びる信号配線である複数の垂直転送CCD17が設けられており、複数の垂直転送CCD17は水平方向に延びる信号配線である水平転送CCD18と接続されている。マイクロレンズ10で集光された光はその真下に位置するフォトディテクター6により受光され光電変換される。フォトディテクター6に蓄積した電荷は垂直転送CCD17に送られ、さらに水平転送CCD18に送られて、画像信号として出力される。
上記図17Bに示した光検出装置4では、各フォトディテクター6に特定の色の光を入射させるために色フィルター9を用いている。これに対して、図21に示すように、マイクロレンズ(図示せず)を透過した被写体からの光30をマイクロプリズム31を用いて分散させ、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色光をフォトディテクター32R、32G、32Bで検出する光検出装置が提案されている(特許文献1参照)。
光技術コンタクト,Vol.40,No.1(2002)、P24
トランジスタ技術,2003年2月号、P128
撮像用光検出装置に対しては、小型且つ高画素化に対する要求が益々高まっている。しかしながら、上記の従来の撮像用光検出装置では、以下の理由によりこの要求を満たすには限界があった。
第1の理由は、図17Bに示した従来の撮像用光検出装置では色フィルター9を用いて色分離を行っていることに起因する。例えば青透過フィルター9Bでは、青以外の波長の光は吸収されるので、図18から明らかなように、青透過フィルター9Bを透過する光は入射した光の僅か2〜3割程度である。これは他の色フィルター9R,9Gについても同様である。高画素化のためにフォトディテクター6の間隔を小さくすると、フォトディテクター6やマイクロレンズ10のサイズが小さくなる。これにより、1つのマイクロレンズ10に入射する光の光量が少なくなり、更に色フィルター9でその多くが吸収されてしまうので、十分な量の光をフォトディテクター6に供給できなくなる。従って、検出信号は光ショットノイズ等のノイズ信号に埋もれてしまう。このため、従来の撮像用光検出装置ではフォトディテクター6の間隔は1.5μm程度が限界とされている。
第2の理由は、図17Bに示した従来の撮像用光検出装置では、フォトディテクター6に一対一に対応してマイクロレンズ10が配置されていることに起因する。高画素化のためにフォトディテクター6の間隔を小さくすると、マイクロレンズ10のサイズが小さくなり、これにともなってマイクロレンズ10を透過する光束のサイズも小さくなる。ピンホールを透過した光の広がり角がピンホール径に反比例するように、光束のサイズ(即ちマイクロレンズ10の直径)が微小になると光が拡散(回折)する特性が大きくなりすぎるので、マイクロレンズ10を使って所望の集光性能を得ることが困難になる。マイクロレンズ10の集光性能を得るためには、マイクロレンズ10の直径は少なくとも波長の2〜3倍以上である必要があり、これが高画素化を妨げていた。
図21に示した従来の光検出装置では、光を吸収する色フィルターを用いないので、光利用効率は向上する。しかしながら、プリズムの分散特性を利用した分光の作用(屈折角の波長による差)は極めて小さく、赤と緑、又は緑と青の光の間の変位は極めて小さい。従って、プリズムを光の分光に用いる場合、プリズムと光検出面との間隔を少なくとも数十〜数百μm以上に設定する必要があり、試作する上で現実的な寸法にはならない。
本発明は上記の従来の問題を解決し、光利用効率を向上させることでフォトディテクターの間隔を大幅に短縮化し、且つ、マイクロレンズに必要なサイズの確保と画素の高密度化とを両立させることを目的とする。また、本発明は、大きな分光作用を利用することで現実的な寸法を有する光検出装置を実現することを目的とする。
本発明の撮像用光検出装置は、基板上に少なくとも第1方向に沿って配列された複数の光検出器と、前記複数の光検出器の上方に形成された低屈折率透明層と、前記第1方向に沿って前記低屈折率透明層内に埋め込まれた柱状又は板状の複数の高屈折率透明部とを備える。前記高屈折率透明部の、前記基板に直交し且つ前記第1方向に沿った断面において、前記高屈折率透明部の中心軸が階段状に折れ曲がっている。前記低屈折率透明層及び前記高屈折率透明部に入射する光は、それらを通過することで、0次回折光と1次回折光と−1次回折光とに分離される。
本発明の撮像用光検出装置によれば、光の吸収ではなく回折によって光の色分離を行うので、光の利用効率が大幅に向上する。また、1個のマイクロレンズ当たり2種類または3種類の色情報の検出が可能になる。従って、マイクロレンズのサイズ確保と画素の高密度化とを両立させることが可能となる。更に、波長による回折角の差を利用して分光するので、高屈折率透明部と光検出器との間隔を狭くすることができ、現実的な寸法を実現できる。
図1は、本発明の撮像用光検出装置を用いた撮像装置の概略構成を示した側面図である。
図2は、本発明の実施形態1に係る撮像用光検出装置の概略構成を示した図であり、図1の部分IIの拡大断面図である。
図3は、本発明の実施形態1に係る撮像用光検出装置において、高屈折率透明部によって回折光が発生する原理を説明する図である。
図4Aは、本発明の実施形態1に係る撮像用光検出装置において、高屈折率透明部によって回折光が発生する原理を波動光学的に説明する図である。
図4Bは、図4Aにおいて、高屈折率透明部によって赤波長の光が1次回折光として分離される原理を波動光学的に説明する図である。
図4Cは、図4Aにおいて、高屈折率透明部によって緑波長の光が0次回折光として分離される原理を波動光学的に説明する図である。
図4Dは、図4Aにおいて、高屈折率透明部によって青波長の光が−1次回折光として分離される原理を波動光学的に説明する図である。
図5Aは、本発明の実施形態1に係る撮像用光検出装置において、高屈折率透明部を介してフォトディテクターに伝搬する青波長の光の強度分布を示した図である。
図5Bは、本発明の実施形態1に係る撮像用光検出装置において、高屈折率透明部を介してフォトディテクター上に投影された青波長の光の強度分布を示した図である。
図6Aは、本発明の実施形態1に係る撮像用光検出装置において、高屈折率透明部を介してフォトディテクターに伝搬する緑波長の光の強度分布を示した図である。
図6Bは、本発明の実施形態1に係る撮像用光検出装置において、高屈折率透明部を介してフォトディテクター上に投影された緑波長の光の強度分布を示した図である。
図7Aは、本発明の実施形態1に係る撮像用光検出装置において、高屈折率透明部を介してフォトディテクターに伝搬する赤波長の光の強度分布を示した図である。
図7Bは、本発明の実施形態1に係る撮像用光検出装置において、高屈折率透明部を介してフォトディテクター上に投影された赤波長の光の強度分布を示した図である。
図8Aはフォトディテクター6R、6G、6Bで検出される光量の分光特性図である。
図8Bはフォトディテクター6G、6Rを結合した場合の分光特性図である。
図8Cはフォトディテクター6B、6Gを結合した場合の分光特性図である。
図9は表面からの深さ条件をパラメータにしたフォトディテクターの分光量子効率を示す図である。
図10Aはフォトディテクターの分光量子効率の効果を加えたフォトディテクター6R、6G、6Bで発生する電流量の分光特性図である。
図10Bはフォトディテクター6G、6Rを結合した場合のフォトディテクターの分光量子効率の効果を加えた電流量の分光特性図である。
図10Cはフォトディテクター6B、6Gを結合した場合のフォトディテクターの分光量子効率の効果を加えた電流量の分光特性図である。
図11は、本発明の実施形態1に係る撮像用光検出装置の構成要素の平面配置を示した光検出面の拡大平面図である。
図12Aは、本発明の実施形態1に係る撮像用光検出装置において、フォトディテクターの配置の一例を示した図である。
図12Bは、本発明の実施形態1に係る撮像用光検出装置において、フォトディテクターの配置の別の例を示した図である。
図12Cは、本発明の実施形態1に係る撮像用光検出装置において、フォトディテクターの配置のさらに別の例を示した図である。
図12Dは、本発明の実施形態1に係る撮像用光検出装置において、フォトディテクターの配置のさらに別の例を示した図である。
図13は、本発明の実施形態2に係る撮像用光検出装置の概略構成を示した図であり、図1の部分XIIIの拡大断面図である。
図14は、本発明の実施形態2に係る撮像用光検出装置の構成要素の平面配置を示した光検出面の拡大平面図である。
図15Aは、本発明の実施形態2に係る撮像用光検出装置において、フォトディテクターの配置の一例を示した図である。
図15Bは、本発明の実施形態2に係る撮像用光検出装置において、フォトディテクターの配置の別の例を示した図である。
図15Cは、本発明の実施形態2に係る撮像用光検出装置において、フォトディテクターの配置のさらに別の例を示した図である。
図15Dは、本発明の実施形態2に係る撮像用光検出装置において、フォトディテクターの配置のさらに別の例を示した図である。
図15Eは、本発明の実施形態2に係る撮像用光検出装置において、フォトディテクターの配置のさらに別の例を示した図である。
図15Fは、本発明の実施形態2に係る撮像用光検出装置において、フォトディテクターの配置のさらに別の例を示した図である。
図16Aは、本発明の撮像用光検出装置において、高屈折率透明部の断面形状の別の例を示した図である。
図16Bは、本発明の撮像用光検出装置において、高屈折率透明部の断面形状のさらに別の例を示した図である。
図16Cは、本発明の撮像用光検出装置において、高屈折率透明部の断面形状のさらに別の例を示した図である。
図16Dは、本発明の撮像用光検出装置において、高屈折率透明部の断面形状のさらに別の例を示した図である。
図16Eは、本発明の撮像用光検出装置において、高屈折率透明部の断面形状のさらに別の例を示した図である。
図17Aは、従来の撮像装置の概略構成を示した側面図である。
図17Bは、従来の撮像用光検出装置の概略構成を示した図であり、図17Aの部分XVIIBの拡大断面図である。
図18は、従来の撮像用光検出装置に用いられる3種の色フィルタの分光感度特性を示した図である。
図19は、従来の撮像用光検出装置において、フォトディテクターの配置の一例を示した図である。
図20は、従来の撮像用光検出装置の構成要素の平面配置を示した光検出面の拡大平面図である。
図21は、マイクロプリズムを用いて色分離を行う従来の撮像用光検出装置の原理を示した図である。
上記の本発明の撮像用光検出装置において、前記高屈折率透明部の前記断面において、前記高屈折率透明部の幅が前記中心軸の折れ曲がりの前後で変化し、前記中心軸の前記折れ曲がりに対して前記基板側での前記高屈折率透明部の幅はこれと反対側での前記高屈折率透明部の幅よりも小さいことが好ましい。これにより、光の分離をより効果的に行うことができる。なお、ここで、「前記高屈折率透明部の幅」とは、中心軸の折れ曲がり近傍での高屈折率透明部の幅を意味すると解釈されることが好ましい。
前記0次回折光が第1光検出器で、前記1次回折光が第2光検出器で、前記−1次回折光が第3光検出器で、それぞれ検出されることが好ましい。これにより、異なる光検出器で波長が異なる光をそれぞれ検出することができる。
上記において、前記低屈折率透明層及び前記高屈折率透明部に入射する光が白色光の場合、前記第1光検出器に入射する光は0.50μm〜0.60μmの緑波長領域で光量ピークをなし、前記第2光検出器に入射する光は0.60μmを越える赤波長領域で光量ピークをなし、前記第3光検出器に入射する光は0.50μm未満下の青波長領域で光量ピークをなすことが好ましい。これにより、三原色を検出することができる。
この場合、前記第1光検出器はその表面を含まない深層領域で光を検出し、前記第2光検出器はその表面を含まない深層領域で光を検出し、前記第3光検出器はその表面を含む表層領域で光を検出することが好ましい。これにより、混色を抑え、分光性能を向上させることができる。
あるいは、前記0次回折光と前記1次回折光とが第1光検出器で、前記−1次回折光が第2光検出器で、それぞれ検出されても良い。これにより、1つの原色と、その補色とを検出することができる。
上記において、前記低屈折率透明層及び前記高屈折率透明部に入射する光が白色光の場合、前記第1光検出器に入射する光は0.50μm以上の青波長領域以外の波長領域で光量ピークをなし、前記第2光検出器に入射する光は0.50μm未満下の青波長領域で光量ピークをなすことが好ましい。これにより、青と、その補色であるイエローとを検出することができる。
この場合、前記第1光検出器はその表面を含まない深層領域で光を検出し、前記第2光検出器はその表面を含む表層領域で光を検出することが好ましい。これにより、混色を抑え、分光性能を向上させることができる。
あるいは、前記1次回折光が第1光検出器で、前記0次回折光と前記−1次回折光とが第2光検出器で、それぞれ検出されても良い。これにより、1つの原色と、その補色とを検出することができる。
上記において、前記低屈折率透明層及び前記高屈折率透明部に入射する光が白色光の場合、前記第1光検出器に入射する光は0.60μmを越える赤波長領域で光量ピークをなし、前記第2光検出器に入射する光は0.60μm以下の赤波長領域以外の波長領域で光量ピークをなすことが好ましい。これにより、赤と、その補色であるシアンとを検出することができる。
この場合、前記第1光検出器はその表面を含まない深層領域で光を検出し、前記第2光検出器はその表面を含む表層領域で光を検出することが好ましい。これにより、混色を抑え、分光性能を向上させることができる。
上記の本発明の撮像用光検出装置において、前記第1方向に沿って配置された前記複数の高屈折率透明部の前記中心軸の折れ曲がりの向きが交互に反転していてもよい。この場合、前記複数の高屈折率透明部のそれぞれに対して前記第1方向に互いに隣り合う3つの前記光検出器が対応し、前記第1方向に沿って配置された前記3つの光検出器のうちの両外側の2つの光検出器は、前記3つの光検出器に対応する高屈折率透明部に対して前記第1方向において互いに隣り合う高屈折率透明部にも対応していることが好ましい。これにより、1つの高屈折率透明部で3つの光を分離することができるので、高解像度化が可能となる。
上記において、前記第1方向と平行な複数の列に沿って前記高屈折率透明部が配置されていても良い。この場合、前記第1方向と平行な前記高屈折率透明部の列を構成する各高屈折率透明部の前記第1方向の位置が、前記第1方向と直交する第2方向において互いに隣り合う2つの列間で前記第1方向の配置ピッチの0倍、0.5倍、1倍、又は1.5倍だけ位置ずれしていることが好ましい。これにより、様々な画素配置に対応することができる。
あるいは、上記の本発明の撮像用光検出装置において、前記第1方向に沿って配置された前記複数の高屈折率透明部の前記中心軸の折れ曲がりの向きが同じであってもよい。この場合、前記複数の高屈折率透明部のそれぞれに対して前記第1方向に互いに隣り合う3つの前記光検出器が対応し、前記複数の光検出器のそれぞれは、前記0次回折光、前記1次回折光、及び前記−1次回折光のうちのいずれか1つを検出することが好ましい。これにより、1つの高屈折率透明部で3つの光を分離することができるので、高解像度化が可能となる。
上記において、前記第1方向と平行な複数の列に沿って前記高屈折率透明部が配置されていても良い。
この場合、前記第1方向と平行な前記高屈折率透明部の列における前記中心軸の折れ曲がりの向きが前記第1方向と直交する第2方向において互いに隣り合う2つの列間で同じであり、前記第1方向と平行な前記高屈折率透明部の列を構成する各高屈折率透明部の前記第1方向の位置が、前記第2方向において互いに隣り合う2つの列間で前記第1方向の配置ピッチの0倍、1/3倍、又は2/3倍だけ位置ずれしていることが好ましい。これにより、様々な画素配置に対応することができる。
あるいは、前記第1方向と平行な前記高屈折率透明部の列における前記中心軸の折れ曲がりの向きが前記第1方向と直交する第2方向において互いに隣り合う2つの列間で反転しており、前記第1方向と平行な前記高屈折率透明部の列を構成する各高屈折率透明部の前記第1方向の位置が、前記第2方向において互いに隣り合う2つの列間で前記第1方向の配置ピッチの0倍、1/3倍、又は2/3倍だけ位置ずれしていることが好ましい。これにより、様々な画素配置に対応することができる。
以下、本発明の好適な実施形態を図面を用いて説明する。これらの図において従来例と共通する要素には、同一の符号を付している。但し、以下の実施形態は一例に過ぎず、本発明はこれらの実施形態に限定されないことは言うまでもない。
図1は、本発明の光検出装置を用いた撮像装置の概略構成を示した側面図である。自然光等の光が物体1に入射し、これを反射した光は、レンズ系2によりCCDやCMOS等の光検出装置4上に像3を形成する。レンズ系2は、一般には光学性能を確保するために光軸に沿って並んだ複数のレンズを組み合わせて構成されるが、図1では図面を簡略化して単一のレンズとして描かれている。以下の説明の便宜のために、光検出装置4の光検出面(または後述する基板5の表面)の法線方向軸をZ軸、光検出面に平行な垂直方向軸をX軸、光検出面に平行な水平方向軸をY軸とするXYZ直交座標系を設定する。
(実施形態1)
図2は、本発明の実施形態1に係る光検出装置4の概略構成を示した図であり、図1の部分IIの拡大断面図である。複数のフォトディテクター6が形成された検出基板5上に、SiO2等からなる低屈折率の透明バッファー層7、SiN等からなる高屈折率の透明バッファー層8、SiO2等からなる低屈折率透明層12、複数のマイクロレンズ10がこの順で積層されている。低屈折率透明層12内には、SiN等からなる複数の高屈折率透明部13が埋め込まれている。透明バッファー層7の透明バッファー層8と接する表面7aには、各マイクロレンズ10の中心軸上で透明バッファー層7の膜厚が小さくなるような凹凸構造が形成され、レンズと同じ作用をする(表面7aの凹凸構造を内部マイクロレンズと呼ぶ)。一方、透明バッファー層8の低屈折率透明層12と接する表面8aは平坦である。
マイクロレンズ10はX軸方向に平行な複数の直線及びY軸方向に平行な複数の直線によって形成される直交格子の各交点位置に配置されている。高屈折率透明部13はマイクロレンズ10と一対一に対応し、各マイクロレンズ10の中心軸上に1つの高屈折率透明部13が配置されている。フォトディテクター6も、X軸方向に平行な複数の直線及びY軸方向に平行な複数の直線によって形成される直交格子の各交点位置に配置されている。X軸方向(図2の紙面の上下方向)に隣り合う各マイクロレンズ10の中心軸はひとつおきにフォトディテクター6のほぼ中心を通過する。Y軸方向(図2の紙面に直交する方向)に隣り合う各マイクロレンズ10の中心軸は、隣り合う各フォトディテクター6のほぼ中心を通過する(後述する図11参照)。
マイクロレンズ10は、光線11a’のようにマイクロレンズ10の中心軸に対してシフトして入射する光を屈折させて高屈折率透明部13に導く働きをなす。透明バッファー層7の表面7aの凹凸構造(内部マイクロレンズ)もレンズ効果を有し、高屈折率透明部13を出射する各回折光D0,D1、D-1が発散するのを抑え、それぞれを小さいスポットのまま対応するフォトディテクター6に導く働きをなす。更に、高屈折率透明部13は導波路の働きをなすので、マイクロレンズ10の中心軸に対して傾いた光が入射すると、その光の伝搬方位を矯正し、フォトディテクター6に導く働きをなす。本明細書では、フォトディテクター6を、これに入射する光の波長によって特に区別する必要がある場合には添字「R」、「G」、「B」のいずれかを付し、区別する必要がない場合には添字を省略して表示する。
図2に示すように、高屈折率透明部13のX軸及びZ軸を含む面(XZ面)に沿った断面において、高屈折率透明部13のX軸方向の中央の点をZ軸方向に順に結んで得られる線を、高屈折率透明部13の「中心軸」と呼ぶ。高屈折率透明部13の中心軸14は階段状に折れ曲がっている。本実施形態1では、高屈折率透明部13のX軸方向寸法(幅)は中心軸14の折れ曲がりの前後で変化しており、折れ曲がりの前側(マイクロレンズ10側)での幅w1と後側(フォトディテクター6側)での幅w2はw1>w2を満たす。幅w1、w2の部分のZ軸方向長さは順にh1,h2である。本実施形態1では、幅w1の部分の中心軸14と幅w2の部分の中心軸14とはいずれもZ軸に平行であり、両者のX軸方向の段差sはs=(w1−w2)/2である。さらに、本実施形態1では、中心軸14の折れ曲がりの向きに基づいて高屈折率透明部13は2種類に分類される。即ち、高屈折率透明部13は、図2の紙面において、幅w1の部分の中心軸14に対して幅w2の部分の中心軸14が上側に位置する高屈折率透明部13aと下側に位置する高屈折率透明部13bとを含む。本明細書では、中心軸14の折れ曲がりの向きの違いによって高屈折率透明部13を特に区別する必要がある場合には添字「a」又は「b」を付し、区別する必要がない場合には添字を省略して表示する。本実施形態1では、X軸方向に隣り合う2つの高屈折率透明部13の中心軸14の折れ曲がりの向きが互いに逆である。即ち、X軸方向において、高屈折率透明部13aと高屈折率透明部13bとが交互に配置されている。
高屈折率透明部13は、Y軸方向(図2の紙面に垂直な方向)に連続する板状、または、Y軸方向のマイクロレンズ10の配置位置に一対一に対応して分離された柱状をなす。高屈折率透明部13が柱状の場合、そのY軸方向寸法はX軸方向に太い部分の幅(本実施形態1では幅w1)の2〜3倍以上である。
高屈折率透明部13に入射する光11は、高屈折率透明部13を出射する際にXZ面内で0次回折光D0、1次回折光D1、−1次回折光D-1に分離し、それぞれフォトディテクター6G、6R、6Bで検出される。高屈折率透明部13aと高屈折率透明部13bとは中心軸14の折れ曲がりの向きが逆であるので、0次回折光D0に対する1次回折光D1及び−1次回折光D-1の出射方向は高屈折率透明部13aと高屈折率透明部13bとで逆となる。0次回折光D0、1次回折光D1、及び−1次回折光D-1の各光分布が互いにはっきりと分離するためには、高屈折率透明部13の先端とフォトディテクター6との間に1μm以上の間隔が設けられることが好ましい。
図3は、本実施形態1の撮像用光検出装置において、高屈折率透明部13によって回折光が発生する原理を説明する図である。高屈折率透明部13は幅(X軸方向寸法)w1,w2、長さ(Z軸方向寸法)h1,h2を有し、紙面に垂直な方向(Y軸方向)に延びた板状とする。中心線14の折れ曲がりの段差をsとする(簡単のためs=(w1−w2)/2の場合を図示している)。高屈折率透明部13の屈折率をn、その周囲の低屈折率透明層12の屈折率をn0とする。マイクロレンズ10を経て高屈折率透明部13に入射する光11の波面を平面波15とすると、この光11が高屈折率透明部13及びその周囲の低屈折率透明層12を透過することで、出射した光の波面16には次式で示す位相シフトδが発生する(真空中での長さに換算)。
(式1) δ=h2(n−n0)
この位相シフトにより出射光は0次回折光D0、1次回折光D1、−1次回折光D-1に回折分離する。光11の波長をλとすると、|δ−kλ|を最もゼロに近づける整数kが必ず存在する。この整数kに対してδ−kλ=0ならば、出射した光の波面16は平面波A0と同じであり、大半のエネルギーが0次回折光D0に配分される。δ−kλ<0ならば、出射した光の波面16は平面波A1とほぼ同じになり、大半のエネルギーが1次回折光D1に配分される。δ−kλ>0ならば、出射した光の波面16は平面波A-1とほぼ同じになり、大半のエネルギーが−1次回折光D-1に配分される。
例えば、δが1.1μmの場合、緑波長の光の場合にはk=2、λ=0.55μmの条件でδ−kλ=0が成り立つが、同じkに対し、赤波長ではδ−kλ<0、青波長ではδ−kλ>0になる。従って、高屈折率透明部13に入射する白色の光11は、0次回折光D0に緑の光、1次回折光D1に赤の光、−1次回折光D-1に青の光がそれぞれ分離して出力される。なお、(式1)に寸法w1、h1等が含まれていないことから、高屈折率透明部13の構造のうち、中心軸14の折れ曲がりより前側(マイクロレンズ10側)の部分は不要の様にも見えるが、そうではない。以上は飽くまで幾何光学的な説明であり、波動光学的には次のように説明できる。
図4A〜図4Dは、本実施形態1の撮像用光検出装置において、高屈折率透明部13によって回折光が発生する原理を波動光学的に説明する図である。図4Aに示すように、マイクロレンズ10を経て高屈折率透明部13に入射する光11は高屈折率透明部13の内部を伝搬する0次の導波モードの光M0を励起する。この導波モード光M0は高屈折率透明部13の中心軸14の折れ曲がり部分を通過することで伝搬モードが乱され、折れ曲がり部分の後側(フォトディテクター6側)の伝搬では0次の導波モードの光m0の他に、1次の導波モードの光m1、及び高次の導波モード光や放射モード光等が発生する。0次の導波モード光m0は光の振幅分布がガウシアン形状をなすが、1次の導波モード光m1は伝搬路の中心軸近傍で振幅の極性が反転する。しかも、等価屈折率は0次の導波モード光m0が1次の導波モード光m1よりも大きくなるので、同一の導波路内に0次の導波モード光m0と1次の導波モード光m1がバランスよく混在すると、これらが伝搬方向に沿って複雑に干渉し、波長に比例した間隔で強めあったり弱めあったりする。1次の導波モード光m1の振幅の極性が中心軸近傍で反転することから、光の干渉も中心軸を境に反転する。例えば、赤波長の光の場合は、図4Bに示すように、複数のポイントPRで2つのモードの光が強め合う。高屈折率透明部13の出射端に最終のポイントPRが位置する場合、1次回折光D1のように伝搬路の中心軸から最終のポイントPR側に向かう側に光が放射される。青波長の光の場合は、図4Dに示すように、複数のポイントPBで2つのモードの光が強め合う。ポイントPBの間隔はポイントPRの間隔よりも短い。高屈折率透明部13の出射端に最終のポイントPBが位置する場合、−1次回折光D-1のように伝搬路の中心軸から最終のポイントPB側に向かう側に光が放射される。一方、緑波長の光の場合は、図4Cに示すように、複数のポイントPGで2つのモードの光が強め合う。ポイントPGの間隔はポイントPRの間隔よりも短く、ポイントPBの間隔よりも長い。高屈折率透明部13の出射端が最終のポイントPGと仮想的な次のポイントPG’との中間に位置する場合、0次回折光D0のように伝搬路の中心軸に沿った方向に光が放射される。従って、高屈折率透明部13に入射する白色の光11は、0次回折光D0に緑の光、1次回折光D1に赤の光、−1次回折光D-1に青の光がそれぞれ分離して出力される。上記の説明は一例であって、高屈折率透明部13の各部の寸法によっては、1次回折光D1が青の光、−1次回折光D-1が赤の光となる場合もある。寸法w2、h2を有する構造部分で2種類のモード光をバランスよく混在させるには、寸法w1、h1を有する構造部分と段差sを有する中心軸14の折れ曲がり構造とが不可欠であり、このことは上述の様な波動光学的な説明で初めて明らかにされる。入射光11を効率よく導波モードに変換するには、幅w1はある程度大きい必要がある。また、折れ曲がり後に発生する導波モードの次数(すなわち導波モード光の総数)をできるだけ少なくするには、幅w2は小さい方が好ましい。従って、中心軸14が折れ曲がった高屈折率透明部13で2種類のモード光をバランスよく混在させるには一般にはw1>w2の関係を満足することが好ましい。
図5A、図6A、図7Aは、本実施形態1の撮像用光検出装置において、高屈折率透明部13を介してフォトディテクター側に伝搬する、それぞれ波長0.45μm、0.55μm、0.65μmの光のXZ断面での強度分布(波動光学に基づく計算結果)を示している。図5B、図6B、図7Bは、フォトディテクターの光検出面上に投影された光のXY断面での強度分布(波動光学に基づく計算結果)を示した図である。計算は以下の条件で行った。マイクロレンズ10を省略し、XY座標で原点を中心にした1.5μm×1.5μmの正方形の領域に一様強度の白色光をZ軸方向に沿って入射させた。高屈折率透明部13の幅w1=0.30μm、w2=0.15μm、長さh1=h2=0.60μm、中心軸14の折れ曲がり段差s=0.10μmとし、高屈折率透明部13を寸法w2、h2を有する構造部分がX軸方向に1.5μmピッチで並ぶように配置し、Y軸方向には連続させた。さらに、内部マイクロレンズ7aはX軸方向、Y軸方向ともに1.5μmピッチで並び、内部マイクロレンズ7aの先端からフォトディテクター6の表面までの距離は1.0μmとした。なお、高屈折率透明部13と高屈折率の透明バッファー層8とはSiNを想定して屈折率2.04、アッベ数20とし、低屈折率の透明バッファー層7と低屈折率透明層12とはSiO2を想定して屈折率1.456、アッベ数65とした。フォトディテクター6R、6G、6Bはこの順に隣接し、X軸方向×Y軸方向のサイズは順に0.75μm×1.0μm、0.65μm×1.0μm、0.85μm×1.0μmとした(均等な分割からフォトディテクター6G、6Bの間の分割線を0.10μmだけX軸の正の向きにシフトさせた)。図5B、図6B、図7Bでは3個のフォトディテクター6R、6G、6Bしか示していないが、実際にはこれらのフォトディテクターがこの順でX軸方向に隙間なく並び、Y軸方向には1.5μmピッチ(すなわち0.5μmの隙間を空けて)で並んでいた。Y軸方向に設けられた隙間はCCD転送路や配線等に用いられる。図5B、図6B、図7Bから分かるように、本実施形態1の高屈折率透明部13により、光が赤、緑、青の色毎に分別され、それぞれ異なったフォトディテクター6R、6G、6Bで検出されることが分かる。
図8Aは光検出面上の独立したフォトディテクター6R、6G、6Bで検出される光量を波長を横軸にしてプロットした分光特性図である。縦軸の光量比とは入射光量を1として規格化した各フォトディテクターでの検出光量である。曲線R、G、Bはそれぞれフォトディテクター6R、6G、6Bで検出される光量分布曲線を示す。フォトディテクター6Gに入射する光の光量分布曲線Gは0.50μm〜0.60μmの緑波長領域で光量ピークをなし、フォトディテクター6Rに入射する光の光量分布曲線Rは0.60μmを越える赤波長領域で光量ピークをなし、フォトディテクター6Bに入射する光の光量分布曲線Bは0.50μm未満下の青波長領域で光量ピークをなしている。図8Aに示した特性は図18で示した従来の光検出装置に於ける色フィルターの分光感度特性に相当し、フォトディテクターのX軸方向の配置ピッチが0.75μmという高解像の条件にも関わらず、良好な分光性能を示している。なお、曲線R、G、Bの総和は入射光量から2〜3割少なくなるが、その減少分のうちの一部は反射成分、一部はフォトディテクター6R、6G、6Bの外に漏れる成分であり、後者は迷光となって他の領域のフォトディテクターに検出されるので実際の分光特性は図8Aより若干劣化する。
図8Bはフォトディテクター6G、6Rを結合した場合、図8Cはフォトディテクター6B、6Gを結合した場合の、図8Aと同様の手法で作成した分光特性図である。図8Bにおいて曲線G+Rはフォトディテクター6G、6Rが結合された結合化フォトディテクターで検出される光量分布曲線を示し、図8Cにおいて曲線B+Gはフォトディテクター6B、6Gが結合された結合化フォトディテクターで検出される光量分布曲線を示す。フォトディテクター6G、6Rを結合すると、図8Bに示すように、結合化フォトディテクターに入射する光の光量分布曲線G+Rは0.50μm以上の青波長領域以外の波長領域で光量ピークをなし、フォトディテクター6Bに入射する光の光量分布曲線Bは0.50μm未満下の青波長領域で光量ピークをなす。従って、青色と、青色の補色であるイエローとを検出することができる。フォトディテクター6B、6Gを結合すると、図8Cに示すように、フォトディテクター6Rに入射する光の光量分布曲線Rは0.60μmを越える赤波長領域で光量ピークをなし、結合化フォトディテクターに入射する光の光量分布曲線B+Gは0.60μm以下の赤波長領域以外の波長領域で光量ピークをなす。従って、赤色と、赤色の補色であるシアンとを検出することができる。このように、0次回折光と1次回折光又は−1次回折光とが同一のフォトディテクターで検出されるようにフォトディテクターを組み合わせることにより、原色とその補色とを検出することができる。
図9はSiの複素屈折率の分散から割り出したフォトディテクターの量子効率の波長依存性(分光量子効率)を示しており、表面からの深さdμmの範囲をパラメータにしている。分光量子効率とは、ある波長の光を一定量だけ照射したときに光電効果により発生する、規格化された電子数を意味する。分光量子特性に図8A〜図8Cのような光量の分光特性を掛け合わせたものがフォトディテクターで発生する電流量になる。曲線a1はd=0.0〜0.2μm、曲線a2はd=0.0〜0.5μm、曲線a3はd=0.0〜0.8μm、曲線a4はd=0.0〜1.2μm、曲線a5はd=0.0〜3.0μm、曲線b1はd=0.2〜3.0μm、曲線b2はd=0.5〜3.0μm、曲線b3はd=0.8〜3.0μm、曲線b4はd=1.2〜3.0μmでの分光量子効率である。短波長の光は表層で吸収されやすく、長波長になるほど深層でも吸収されることが分かる。
フォトディテクターのどの深さの領域に感度を持たせるかは、自由な設定が技術的に可能である。この技術を図8A、図8B、図8Cで示した分光特性に導入すると次のようになる。図10Aは、図8Aの分光特性において、フォトディテクターの光検出領域を、フォトディテクター6Rでd=0.5〜3.0μm、フォトディテクター6Bでd=0.0〜0.2μm、フォトディテクター6Gでd=0.2〜3.0μmで設計した場合の分光特性図である。図10Bは、図8Bの分光特性において、フォトディテクターの光検出領域を、フォトディテクター6G,6Rが結合された結合化フォトディテクターでd=0.5〜3.0μm、フォトディテクター6Bでd=0.0〜0.2μmで設計した場合の分光特性図である。図10Cは、図8Cの分光特性において、フォトディテクターの光検出領域を、フォトディテクター6Rでd=0.5〜3.0μm、フォトディテクター6G,6Bが結合された結合化フォトディテクターでd=0.0〜1.2μmで設計した場合の分光特性図である。図10Aでは図8Aに比べてより混色が少ない赤、緑、青の分光特性が得られており、図10Bでは図8Bに比べて混色が少ない青、イエローの分光特性が得られており、図10Cでは図8Cに比べて混色が少ない赤、シアンの分光特性が得られている。このように、本実施形態1にフォトディテクターの分光量子効率の特性を組み合わせることで、理想的な分光性能に近づけられることが分かる。
図11は、本実施形態1の撮像用光検出装置の光検出面を含む構成要素の拡大平面図である。Y軸方向に隣り合うフォトディテクター6間には、X軸方向に延びる信号配線である複数の垂直転送CCD17が設けられており、複数の垂直転送CCD17はY軸方向に延びる信号配線である水平転送CCD18と接続されている。
撮像用光検出装置に入射する白色の光は、高屈折率透明部13a,13bを通過し、回折することでXZ面内で波長毎に分別され、フォトディテクター6R、6G、6Bにより受光され光電変換される。各フォトディテクターに蓄積した電荷は垂直転送CCD17に送られ、さらに水平転送CCD18に送られて、画像信号として出力される。
X軸方向においては、高屈折率透明部13a,13bが交互に配置されている。このようにしてX軸方向に沿って配置された高屈折率透明部の列は、高屈折率透明部のX軸方向の配置ピッチ(より正確には高屈折率透明部の幅w2を有する部分のX軸方向の配置ピッチ、即ち内部マイクロレンズ7aのX軸方向配置ピッチ)の1倍だけX軸方向に位置ずれしながら、順次Y軸方向に配置されている。その結果、Y軸方向においても、高屈折率透明部13a,13bが交互に配置されている。
フォトディテクター6Gは高屈折率透明部13a,13bの真下(即ち、内部マイクロレンズ7aの中心軸上)にそれぞれ配置されている。さらに、X軸方向に隣り合うフォトディテクター6G,6G間にはフォトディテクター6R,6Gが交互に配置されている。即ち、X軸方向においては、フォトディテクター6R,6G,6B,6Gがこの順に並び、この並びが繰り返して配置されている。このようにしてX軸方向に沿って配置されたフォトディテクターの列は、高屈折率透明部のX軸方向配置ピッチの1倍だけX軸方向に位置ずれしながら、順次Y軸方向に配置されている。フォトディテクター6R,6G,6Bの幅(X軸方向寸法)wR、wG、wBは同一でも異なっていても良い。図5B、図6B、図7Bの例では、wR=0.75μm、wG=0.65μm、wB=0.85μmであり、X軸方向に沿ったフォトディテクター6R,6G,6Bからなる並びのX軸方向の中心が、高屈折率透明部13の幅w2を有する部分の中心軸14に一致していた。
図12Aに、図11に示した光検出装置4におけるフォトディテクター6R,6G,6Bの配置を示す。図面を簡単化するために、符号「6」を省略し、添字R、G、Bのみを記載している。1つのカラー画素19は、2つの緑(基本画素G)と1つの青(基本画素B)と1つの赤(基本画素R)とを含む2列×2行の4つの基本画素で構成される。図12Aの配置は、図19に示した従来の光検出装置におけるベイヤー配列と違って、2つの緑Gは、カラー画素19内においてY軸方向に隣り合って配置されている。しかし、ベイヤー配列と同様に、カラー画素19の半分のサイズ(基本画素のサイズ)だけX軸方向又はY軸方向にシフトした位置にもカラー画素19’を構成できる。従って、解像度がカラー画素19の半分のサイズ(カラー画素19の1/4の面積)、すなわち基本画素のサイズにまで改善されることは図19のベイヤー配列と同じである。
上述したように、図17Bに示した従来の撮像用光検出装置では光の色分離を赤、緑、青の3色のうちの2色を選択的に吸収する色フィルター9により行っていたので、色フィルター9により7〜8割の光が吸収されていた。これに対して、本実施形態1の撮像用光検出装置では、光の色分離を光の吸収ではなく、光の回折を利用して行っているので、光の全エネルギーを活用できる。従って、本実施形態1では、光の利用効率が従来の2〜3倍に向上する。
また、図17Bに示した従来の撮像用光検出装置では、マイクロレンズ1個で1つの色の情報を検出していた。これに対して、本実施形態1の撮像用光検出装置では、マイクロレンズ1個で2種類以上の色情報を検出する。従って、マイクロレンズ10(または内部マイクロレンズ7a)のサイズを一定にして比較すると、本実施形態1では従来に比べ画素密度を2倍以上にすることが可能となる。
更に、図21に示した従来の光検出装置では、光の色分離を行うためにプリズムの分散特性を利用するので分光の作用(屈折角の波長による差)が小さいという問題があった。これに対して、本実施形態1の撮像用光検出装置では、光の波面に発生する位相シフト(更に言い換えれば、中心軸14が折れ曲がった導波路内で発生するモード移行)を利用するので、分光の作用(回折角の波長による差)が大きい。従って、図5A、図6A、及び図7Aに示したように、高屈折率透明部の先端と光検出面との間隔を1〜3μmに設定すれば、0次回折光(緑)、1次回折光(赤)、−1次回折光(青)の3つのスポット間に0.5μm以上の変位を与えることができ、試作する上で十分現実的な寸法といえる。
高屈折率透明部13a,13b及びフォトディテクター6R,6G,6Bの配置は図11及び図12Aに限定されず、種々に変更することができる。図12B、図12C、図12Dは、フォトディテクター6R,6G,6Bの配置の別の例を図12Aと同様に示した図である。図12B、図12C、図12Dでは、図12Aと同様に、X軸方向に沿ったフォトディテクターの列においては、フォトディテクター6R,6G,6B,6Gがこの順に並び、この並びが繰り返して配置されている。このようなY軸方向に沿ったフォトディテクターの列が、高屈折率透明部のX軸方向配置ピッチ(より正確には高屈折率透明部の幅w2を有する部分のX軸方向の配置ピッチ、即ち内部マイクロレンズ7aのX軸方向配置ピッチ)に対して、図12Bでは0倍、図12Cでは0.5倍、図12Dでは1.5倍だけX軸方向に位置ずれしながら、順次Y軸方向に配置されている。
図12B、図12C、図12Dのようなフォトディテクター6R,6G,6Bの配置を実現するための高屈折率透明部13a,13bの配置は、図示を省略するが、図11より容易に推測することができるであろう。即ち、図12B、図12C、図12Dのいずれにおいても、図11と同様に、X軸方向に沿った高屈折率透明部の列においては高屈折率透明部13a,13bが交互に配置される。このような高屈折率透明部の列が、高屈折率透明部のX軸方向の配置ピッチ(より正確には高屈折率透明部の幅w2を有する部分のX軸方向の配置ピッチ、即ち内部マイクロレンズ7aのX軸方向配置ピッチ)に対して、図12Bでは0倍、図12Cでは0.5倍、図12Dでは1.5倍だけX軸方向に位置ずれしながら、順次Y軸方向に配置される。図12A、図12Bでは、高屈折率透明部の列間において高屈折率透明部のX軸方向位置が一致するので、高屈折率透明部をY軸方向に連続する板状に形成することができる。さらに、図12Bでは、高屈折率透明部の列間において高屈折率透明部13a,13bのX軸方向位置が一致するので、高屈折率透明部をXZ断面形状がY軸方向に一定の板状に形成することができる。一方、図12C、図12Dでは、高屈折率透明部の位置に対応してマイクロレンズ10及び内部マイクロレンズ7aのX軸方向の位置が、Y軸方向に隣り合う列間でX軸方向のその配置ピッチの0.5倍だけ位置ずれされる。即ち、Z軸と平行に見たとき、円形であるマイクロレンズ10及び内部マイクロレンズ7aがハニカム状に配置される。従って、マイクロレンズ10、高屈折率透明部13、及び内部マイクロレンズ7aのY軸方向の配置ピッチを小さくして、被写体からの光の利用効率を更に高めることができる。
上述した図12A〜図12Dは三原色を検出することを想定した画素配置の例である。例えば、上述したようにフォトディテクター6Gとフォトディテクター6R又はフォトディテクター6Bとを結合して原色とその補色とを検出する場合には、フォトディテクターの配置は、図12A〜図12Dとは異なる配置となり、所望する画素配置に応じて種々に設定することができる。
(実施形態2)
図13は、本発明の実施形態2に係る光検出装置4の概略構成を示した図であり、図1の部分XIIIの拡大断面図である。図14は、本実施形態2に係る光検出装置4の構成要素の平面配置を示した光検出面の拡大平面図である。図15Aは、図14に示した光検出装置4におけるフォトディテクター6R,6G,6Bの配置を図12Aと同様に示した図である。本実施形態2において、実施形態1と同じ要素には同一の符号を付してそれらについての詳細な説明を省略する。
図13から明らかなように、本実施形態2は、X軸方向に沿って配置された高屈折率透明部13の中心軸14の折れ曲がりの向きが同じである点で、中心軸14の折れ曲がりの向きが交互に反転していた実施形態1と異なる。図13に示したXZ断面には、高屈折率透明部13aのみが存在し、高屈折率透明部13bは存在しない。
本実施形態2は、高屈折率透明部13の配置に関して実施形態1と上記のように異なる結果、高屈折率透明部13とフォトディテクター6との対応関係も実施形態1と異なる。即ち、図13から明らかなように、本実施形態2は、X軸方向に隣り合うフォトディテクター6R,6G,6Bに対して1つの高屈折率透明部13が対応する点で、X軸方向に隣り合うフォトディテクター6R,6G,6Bのうち両外側のフォトディテクター6R,6Bに対してはそれぞれ2つの高屈折率透明部13が対応する実施形態1と異なる。本実施形態2では、X軸方向においては、フォトディテクター6R,6G,6Bがこの順に並び、この並びが繰り返して配置されている。
図14を参照すると、本例では、X軸方向に沿って配置された高屈折率透明部13aの列が、X軸方向に位置ずれすることなくY軸方向に繰り返し配置されている。その結果、Y軸方向に沿って高屈折率透明部13aが連続して配置されている。
さらに、X軸方向においては、フォトディテクター6R,6G,6Bがこの順に並び、この並びが繰り返して配置されている。このようにしてX軸方向に沿って配置されたフォトディテクターの列が、X軸方向に位置ずれすることなくY軸方向に繰り返し配置されている。その結果、フォトディテクター6R,6G,6BのそれぞれがY軸方向に互いに隣り合う。実施形態1と同様に、フォトディテクター6Gは高屈折率透明部13aの真下(即ち、内部マイクロレンズ7aの中心軸上)にそれぞれ配置されている。
図15Aを参照すると、カラー画素を2列×2行の4つの基本画素で構成しようとすると、カラー画素19は2つの緑(基本画素G)と2つの青(基本画素B)とで構成され、カラー画素19の半分のサイズ(基本画素のサイズ)だけX軸方向又はY軸方向にシフトした位置には、2つの緑(基本画素G)と2つの赤(基本画素R)とで構成されるカラー画素19’や、2つの青(基本画素B)と2つの赤(基本画素R)とで構成されるカラー画素19”が形成される。これらのカラー画素19,19’,19”はいずれも緑、青、赤のうちのいずれか1つを欠いており、ベイヤー配列を構成しない。しかし、カラー画素を1列×3行のX軸方向に連続する3つの基本画素で構成すると、カラー画素20や、カラー画素20に対して基本画素のサイズだけシフトしたカラー画素20’は、いずれも緑、青、赤を1つずつ含む。従って、ベイヤー配列と同様に、解像度が基本画素のサイズにまで改善される。
高屈折率透明部13及びフォトディテクター6R,6G,6Bの配置は図14及び図15Aに限定されず、種々に変更することができる。図15B〜図15Fは、フォトディテクター6R,6G,6Bの配置の別の例を図15Aと同様に示した図である。
図15B、図15Cでは、図15Aと同様に、X軸方向に沿ったフォトディテクターの列においては、フォトディテクター6R,6G,6Bがこの順に並び、この並びが繰り返して配置されている。このようなY軸方向に沿ったフォトディテクターの列が、高屈折率透明部のX軸方向配置ピッチ(より正確には高屈折率透明部の幅w2を有する部分のX軸方向の配置ピッチ、即ち内部マイクロレンズ7aのX軸方向配置ピッチ)に対して、図15Bでは1/3倍、図15Cでは2/3倍だけX軸方向に位置ずれしながら、順次Y軸方向に配置されている。図15B、図15Cでは、カラー画素を3列×1行のY軸方向に連続する3つの基本画素で構成しても、図15Aで説明したカラー画素20,20’と同様に、解像度を基本画素のサイズにまで改善することができる。
図15D〜図15Fでは、X軸方向にフォトディテクター6R,6G,6Bがこの順に並び、この並びが繰り返して配置された列と、X軸方向にフォトディテクター6B,6G,6Rがこの順に並び、この並びが繰り返して配置された列とが、Y軸方向に交互に配置されている。さらに、フォトディテクター6GのX軸方向の位置が、高屈折率透明部のX軸方向配置ピッチ(より正確には高屈折率透明部の幅w2を有する部分のX軸方向の配置ピッチ、即ち内部マイクロレンズ7aのX軸方向配置ピッチ)に対して、図15Dでは0倍、図15Eでは1/3倍、図15Fでは2/3倍だけY軸方向に隣り合う列間でX軸方向に位置ずれするように、フォトディテクターの列がX軸方向に位置ずれしながら順次Y軸方向に配置されている。
図15B〜図15Fのようなフォトディテクター6R,6G,6Bの配置を実現するための高屈折率透明部13a,13bの配置は、図示を省略するが、図14より容易に推測することができるであろう。即ち、図15B、図15Cでは、図14と同様に、X軸方向に沿った高屈折率透明部の列は高屈折率透明部13aのみで構成される。このような高屈折率透明部の列が、高屈折率透明部のX軸方向の配置ピッチ(より正確には高屈折率透明部の幅w2を有する部分のX軸方向の配置ピッチ、即ち内部マイクロレンズ7aのX軸方向配置ピッチ)に対して、図15Bでは1/3倍、図15Cでは2/3倍だけX軸方向に位置ずれしながら、順次Y軸方向に配置される。
図15D〜図15Fでは、X軸方向に沿って高屈折率透明部13aのみが配置された列と、X軸方向に沿って高屈折率透明部13bのみが配置された列とが、Y軸方向に交互に配置される。さらに、高屈折率透明部13a,13bの位置が、高屈折率透明部13a,13bのX軸方向配置ピッチ(より正確には高屈折率透明部の幅w2を有する部分のX軸方向の配置ピッチ、即ち内部マイクロレンズ7aのX軸方向配置ピッチ)に対して、図15Dでは0倍、図15Eでは1/3倍、図15Fでは2/3倍だけY軸方向に隣り合う列間でX軸方向に位置ずれするように、高屈折率透明部の列がX軸方向に位置ずれしながら順次Y軸方向に配置される。
図15A、図15Dは、高屈折率透明部の列間において高屈折率透明部のX軸方向位置が一致するので、高屈折率透明部をY軸方向に連続する板状に形成することができる。さらに、図15Aでは、高屈折率透明部の列間において高屈折率透明部の中心軸の折れ曲がりの向きも一致するので、高屈折率透明部をXZ断面形状がY軸方向に一定の板状に形成することができる。一方、図15B、図15C、図15E、図15Fでは、高屈折率透明部の位置に対応してマイクロレンズ10及び内部マイクロレンズ7aのX軸方向の位置が、Y軸方向に隣り合う列間でX軸方向のその配置ピッチの1/3倍又は2/3倍だけ位置ずれされる。即ち、Z軸と平行に見たとき、円形であるマイクロレンズ10及び内部マイクロレンズ7aが略ハニカム状に配置される。従って、マイクロレンズ10、高屈折率透明部13、及び内部マイクロレンズ7aのY軸方向の配置ピッチを小さくして、被写体からの光の利用効率を更に高めることができる。
上述した図15A〜図15Fは三原色を検出することを想定した画素配置の例である。例えば、実施形態1で説明したようにフォトディテクター6Gとフォトディテクター6R又はフォトディテクター6Bとを結合して原色とその補色とを検出する場合には、フォトディテクターの配置は、図15A〜図15Dとは異なる配置となり、所望する画素配置に応じて種々に設定することができる。
本実施形態2は、上記以外は実施形態1と同様であり、実施形態1で説明したのと同様の効果を奏し、また、実施形態1で説明したのと同様の変更が可能である。
上述した実施形態1,2は本発明の好適な具体例に過ぎず、本発明はこれらに限定されず、種々の変更が可能である。
高屈折率透明部13のXZ面に沿った断面形状は、その中心軸14が階段状に折れ曲がっていれば良く、上記の実施形態1,2に示したものに限定されない。例えば、実施形態1,2に示した高屈折率透明部13では、その幅w1,w2を規定する両面のうちの一方の面(図3の上面)は、中心軸14の折れ曲がりの前側部分(幅w1を有する部分)と後側部分(幅w2を有する部分)とが段差のない同一面を構成していた。しかしながら、図16Aのように、高屈折率透明部13の幅w1,w2を規定する両面のうちの一方の面(図16Aの上面)が中心軸14の折れ曲がりの向きと反対の向きに折れ曲がり、他方の面(図16Aの下面)が中心軸14の折れ曲がりの向きと同じ向きに折れ曲がっていても良い。あるいは、図16Bのように、高屈折率透明部13の幅w1,w2を規定する両面(図16Bの上下面)が中心軸14の折れ曲がりの向きと同じ向きに折れ曲がっていても良い。さらに、中心軸14の折れ曲がりよりも前側の部分の幅w1と後側の部分の幅w2との関係が、図16Cのようにw1=w2であっても良く、あるいは、図16Dのようにw1<w2であって良い。また、図16Eのように、中心軸14の折れ曲がり部分がZ軸方向にある領域を占めるように中心軸14が緩やかに折れ曲がっていても良い。さらに、中心軸14の折れ曲がりより前側の部分の幅w1が一定でなく変化していても良く、同様に中心軸14の折れ曲がりよりも後側の部分の幅w2が一定でなく変化していても良い。また、中心軸14の階段状の折れ曲がりの数は1つである必要はなく、2つ以上であっても良い。
Y軸方向に隣り合う高屈折率透明部13は、長さ(Z軸方向の寸法)h1,h2や中心軸14の折れ曲がりの向きを変えながら互いに一部で連続していてもよく、完全に独立していても良い。独立している場合には、隣り合う高屈折率透明部13間には低屈折率透明層12が充填される。
また、上記の実施形態1,2では、Z軸方向において、高屈折率透明部13がマイクロレンズ10の下面と接していたが、高屈折率透明部13とマイクロレンズ10とは離間していてもよい。この場合、両者間には低屈折率透明層12が設けられても良い。
高屈折率透明部13は、入射した光をその広がりを抑えながらフォトディテクター6側に導くという導波路としての機能を有するので、条件によってはこれと類似の機能を有するマイクロレンズ10を省略することも可能である(実際に、図5A、図5B、図6A、図6B、図7A、図7Bでの波動光学計算ではマイクロレンズ10を省略した)。ただし、高屈折率透明部13はY軸方向に延設されているので、Y軸方向には導波路としての効果が少ない。従って、高屈折率透明部13にマイクロレンズ10の代用をさせるには、少なくとも高屈折率透明部13および低屈折率透明層12の入射側表面に、高屈折率透明部の列ごとにX軸方向を中心軸方向とするシリンドリカル面を形成することが好ましい。
上記の実施形態1,2では、フォトディテクター6がX軸方向及びY軸方向に沿って2次元状に配列されていたが、1次元状に配列されていても良い。この場合、高屈折率透明部13も、フォトディテクター6の配列方向に沿って1次元状に配列される。
上記の実施形態1,2では、高屈折率透明部13の材料としてSiNを用いる例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば酸化タンタルや酸化チタン等の高屈折率材料や、低屈折率透明層12に対して0.2以上の屈折率差を確保できるのであればポリイミド樹脂等の樹脂材料やナノコンポジット等を用いることもできる。
上記の実施形態1,2では、0次回折光D0、1次回折光D1、−1次回折光D-1が緑、赤、青の三原色の光である場合を説明したが、0次回折光D0、1次回折光D1、−1次回折光D-1のうちの少なくとも1つが三原色以外の波長の光(例えば赤外光)であっても良い。
図17B及び図19に示した従来の光検出装置の受光領域には、実際にはマイクロレンズとフォトディテクターとの間に金属配線などの遮光部が存在するため、受光領域に入射した光の一部は遮光部によって遮られてしまう。これは、上記の実施形態1,2に示した光検出装置でも同様である。しかしながら、最近、金属配線の影響を受けずに受光領域の全面で受光できる裏面照射型の固体撮像素子が開発されている。光の回折を利用して色分離を行うことで光利用効率を高めることができる本発明の光検出装置を、上記の裏面照射型の固体撮像素子に適用すると、光利用効率を更に向上させることができ、効果的であると考えられる。
以上に説明した実施の形態は、いずれもあくまでも本発明の技術的内容を明らかにする意図のものであって、本発明はこのような具体例にのみ限定して解釈されるものではなく、その発明の精神と請求の範囲に記載する範囲内でいろいろと変更して実施することができ、本発明を広義に解釈すべきである。
本発明の利用分野は特に制限はなく、物体の像を撮影するための、小型且つ高解像度の撮像用光検出装置として広範囲に利用することができる。
1 物体
2 レンズ系
3 像
4 光検出装置
5 検出基板
6、6R、6G、6B フォトディテクター
7 低屈折率の透明バッファー層
7a 内部マイクロレンズ
8 高屈折率の透明バッファー層
10 マイクロレンズ
11 入射光線
12 低屈折率透明層
13、13a,13b 高屈折率透明部
14 高屈折率透明部の中心軸
D0 0次回折光
D1 1次回折光
D-1 −1次回折光
本発明は物体の映像を撮影するために用いられる撮像用光検出装置に関する。
従来の撮像用光検出装置が例えば非特許文献1及び非特許文献2に開示されている。これらに開示された撮像用光検出装置の概略を説明する。
図17Aは、従来の撮像装置の概略構成を示した側面図である。自然光等の光が物体1に入射し、これを反射した光は、レンズ系2によりCCDやCMOS等の光検出装置4上に像3を形成する。レンズ系2は、一般には光学性能を確保するために光軸に沿って並んだ複数のレンズを組み合わせて構成されるが、図17Aでは図面を簡略化して単一のレンズとして描かれている。
図17Bは、光検出装置4の概略構成を示した図であり、図17Aの部分XVIIBの拡大断面図である。複数のフォトディテクター6が形成された検出基板5上に、SiO2等からなる低屈折率の透明バッファー層7、SiN等からなる高屈折率の透明バッファー層8、複数の色フィルター9、複数のマイクロレンズ10がこの順で積層されている。透明バッファー層7の透明バッファー層8と接する表面7aには、各フォトディテクター6の上で透明バッファー層7の膜厚が小さくなるような凹凸構造が形成されている。一方、透明バッファー層8の色フィルター9と接する表面8aは平坦である。
マイクロレンズ10は直交格子の交点位置に配置されており、各マイクロレンズ10の中心軸上に1つの色フィルター9及び1つのフォトディテクター6が配置されている。
マイクロレンズ10は、光線11a’のようにマイクロレンズ10の中心軸に対してシフトして入射する光を屈折させてフォトディテクター6に導く働きをなす。透明バッファー層7の表面7aの凹凸構造もレンズ効果を有し、フォトディテクター6の中心から外れた方向に向かう発散光11b’を屈折させてフォトディテクター6に導く働きをなす。
色フィルター9は赤透過フィルター9R、緑透過フィルター9G、青透過フィルター9Bの3種類から構成され、赤透過フィルター9Rは図18の曲線Rで示されるように赤以外の波長の光をカット(吸収)する光透過特性(分光感度特性)を有し、緑透過フィルター9Gは図18の曲線Gで示されるように緑以外の波長の光をカット(吸収)する光透過特性(分光感度特性)を有し、青透過フィルター9Bは図18の曲線Bで示されるように青以外の波長の光をカット(吸収)する光透過特性(分光感度特性)を有する(非特許文献2参照)。赤透過フィルター9R、緑透過フィルター9G、青透過フィルター9B、及び明るさ検出用の緑透過フィルター9Gからなる4つの色フィルター9と、これらに対応した4つのフォトディテクター6とでカラーの画像情報を検出するカラー画素を構成する。これら4つの色フィルター9に対応するフォトディテクター6の配置を図19に示す。図19において、Rは赤透過フィルター9Rに対応し赤色を検出するフォトディテクター、Gは緑透過フィルター9Gに対応し緑色を検出するフォトディテクター、Bは青透過フィルター9Bに対応し青色を検出するフォトディテクターを示す。一方の対角に2つの緑(基本画素G)が配置され、他方の対角に青(基本画素B)及び赤(基本画素R)が配置された2列×2行の4つの基本画素で1つのカラー画素19が構成される。このような配置はベイヤー配列と呼ばれ、そのメリットは、カラー画素19の半分のサイズ(基本画素のサイズ)だけ垂直方向(X軸方向)又は水平方向(Y軸方向)にシフトした位置にもカラー画素19’を構成できる点にある。これにより、カラー画素19の半分のサイズ(カラー画素19の1/4の面積)、即ち基本画素のサイズにまで解像度が改善される。
図20は、光検出装置4の検出面の拡大平面図である。複数のフォトディテクター6が直交格子の交点位置に互いに離間し且つ絶縁されて配置されている。水平方向に隣り合うフォトディテクター6間には、垂直方向に延びる信号配線である複数の垂直転送CCD17が設けられており、複数の垂直転送CCD17は水平方向に延びる信号配線である水平転送CCD18と接続されている。マイクロレンズ10で集光された光はその真下に位置するフォトディテクター6により受光され光電変換される。フォトディテクター6に蓄積した電荷は垂直転送CCD17に送られ、さらに水平転送CCD18に送られて、画像信号として出力される。
上記図17Bに示した光検出装置4では、各フォトディテクター6に特定の色の光を入射させるために色フィルター9を用いている。これに対して、図21に示すように、マイクロレンズ(図示せず)を透過した被写体からの光30をマイクロプリズム31を用いて分散させ、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色光をフォトディテクター32R、32G、32Bで検出する光検出装置が提案されている(特許文献1参照)。
光技術コンタクト,Vol.40,No.1(2002)、P24
トランジスタ技術,2003年2月号、P128
撮像用光検出装置に対しては、小型且つ高画素化に対する要求が益々高まっている。しかしながら、上記の従来の撮像用光検出装置では、以下の理由によりこの要求を満たすには限界があった。
第1の理由は、図17Bに示した従来の撮像用光検出装置では色フィルター9を用いて色分離を行っていることに起因する。例えば青透過フィルター9Bでは、青以外の波長の光は吸収されるので、図18から明らかなように、青透過フィルター9Bを透過する光は入射した光の僅か2〜3割程度である。これは他の色フィルター9R,9Gについても同様である。高画素化のためにフォトディテクター6の間隔を小さくすると、フォトディテクター6やマイクロレンズ10のサイズが小さくなる。これにより、1つのマイクロレンズ10に入射する光の光量が少なくなり、更に色フィルター9でその多くが吸収されてしまうので、十分な量の光をフォトディテクター6に供給できなくなる。従って、検出信号は光ショットノイズ等のノイズ信号に埋もれてしまう。このため、従来の撮像用光検出装置ではフォトディテクター6の間隔は1.5μm程度が限界とされている。
第2の理由は、図17Bに示した従来の撮像用光検出装置では、フォトディテクター6に一対一に対応してマイクロレンズ10が配置されていることに起因する。高画素化のためにフォトディテクター6の間隔を小さくすると、マイクロレンズ10のサイズが小さくなり、これにともなってマイクロレンズ10を透過する光束のサイズも小さくなる。ピンホールを透過した光の広がり角がピンホール径に反比例するように、光束のサイズ(即ちマイクロレンズ10の直径)が微小になると光が拡散(回折)する特性が大きくなりすぎるので、マイクロレンズ10を使って所望の集光性能を得ることが困難になる。マイクロレンズ10の集光性能を得るためには、マイクロレンズ10の直径は少なくとも波長の2〜3倍以上である必要があり、これが高画素化を妨げていた。
図21に示した従来の光検出装置では、光を吸収する色フィルターを用いないので、光利用効率は向上する。しかしながら、プリズムの分散特性を利用した分光の作用(屈折角の波長による差)は極めて小さく、赤と緑、又は緑と青の光の間の変位は極めて小さい。従って、プリズムを光の分光に用いる場合、プリズムと光検出面との間隔を少なくとも数十〜数百μm以上に設定する必要があり、試作する上で現実的な寸法にはならない。
本発明は上記の従来の問題を解決し、光利用効率を向上させることでフォトディテクターの間隔を大幅に短縮化し、且つ、マイクロレンズに必要なサイズの確保と画素の高密度化とを両立させることを目的とする。また、本発明は、大きな分光作用を利用することで現実的な寸法を有する光検出装置を実現することを目的とする。
本発明の撮像用光検出装置は、基板上に少なくとも第1方向に沿って配列された複数の光検出器と、前記複数の光検出器の上方に形成された低屈折率透明層と、前記第1方向に沿って前記低屈折率透明層内に埋め込まれた柱状又は板状の複数の高屈折率透明部とを備える。前記高屈折率透明部の、前記基板に直交し且つ前記第1方向に沿った断面において、前記高屈折率透明部の中心軸が階段状に折れ曲がっている。前記低屈折率透明層及び前記複数の高屈折率透明部のうちの1つの高屈折率透明部に入射する光は、それらを通過することで、0次回折光と1次回折光と−1次回折光とに分離される。前記低屈折率透明層及び前記1つの高屈折率透明部により分離された前記第0次回折光と前記1次回折光と前記−1次回折光とを、前記1つの高屈折率透明部に対応した、前記第1方向に互いに隣り合う2つ又は3つの前記光検出器で検出する。
本発明の撮像用光検出装置によれば、光の吸収ではなく回折によって光の色分離を行うので、光の利用効率が大幅に向上する。また、1個のマイクロレンズ当たり2種類または3種類の色情報の検出が可能になる。従って、マイクロレンズのサイズ確保と画素の高密度化とを両立させることが可能となる。更に、波長による回折角の差を利用して分光するので、高屈折率透明部と光検出器との間隔を狭くすることができ、現実的な寸法を実現できる。
図1は、本発明の撮像用光検出装置を用いた撮像装置の概略構成を示した側面図である。
図2は、本発明の実施形態1に係る撮像用光検出装置の概略構成を示した図であり、図1の部分IIの拡大断面図である。
図3は、本発明の実施形態1に係る撮像用光検出装置において、高屈折率透明部によって回折光が発生する原理を説明する図である。
図4Aは、本発明の実施形態1に係る撮像用光検出装置において、高屈折率透明部によって回折光が発生する原理を波動光学的に説明する図である。
図4Bは、図4Aにおいて、高屈折率透明部によって赤波長の光が1次回折光として分離される原理を波動光学的に説明する図である。
図4Cは、図4Aにおいて、高屈折率透明部によって緑波長の光が0次回折光として分離される原理を波動光学的に説明する図である。
図4Dは、図4Aにおいて、高屈折率透明部によって青波長の光が−1次回折光として分離される原理を波動光学的に説明する図である。
図5Aは、本発明の実施形態1に係る撮像用光検出装置において、高屈折率透明部を介してフォトディテクターに伝搬する青波長の光の強度分布を示した図である。
図5Bは、本発明の実施形態1に係る撮像用光検出装置において、高屈折率透明部を介してフォトディテクター上に投影された青波長の光の強度分布を示した図である。
図6Aは、本発明の実施形態1に係る撮像用光検出装置において、高屈折率透明部を介してフォトディテクターに伝搬する緑波長の光の強度分布を示した図である。
図6Bは、本発明の実施形態1に係る撮像用光検出装置において、高屈折率透明部を介してフォトディテクター上に投影された緑波長の光の強度分布を示した図である。
図7Aは、本発明の実施形態1に係る撮像用光検出装置において、高屈折率透明部を介してフォトディテクターに伝搬する赤波長の光の強度分布を示した図である。
図7Bは、本発明の実施形態1に係る撮像用光検出装置において、高屈折率透明部を介してフォトディテクター上に投影された赤波長の光の強度分布を示した図である。
図8Aはフォトディテクター6R、6G、6Bで検出される光量の分光特性図である。
図8Bはフォトディテクター6G、6Rを結合した場合の分光特性図である。
図8Cはフォトディテクター6B、6Gを結合した場合の分光特性図である。
図9は表面からの深さ条件をパラメータにしたフォトディテクターの分光量子効率を示す図である。
図10Aはフォトディテクターの分光量子効率の効果を加えたフォトディテクター6R、6G、6Bで発生する電流量の分光特性図である。
図10Bはフォトディテクター6G、6Rを結合した場合のフォトディテクターの分光量子効率の効果を加えた電流量の分光特性図である。
図10Cはフォトディテクター6B、6Gを結合した場合のフォトディテクターの分光量子効率の効果を加えた電流量の分光特性図である。
図11は、本発明の実施形態1に係る撮像用光検出装置の構成要素の平面配置を示した光検出面の拡大平面図である。
図12Aは、本発明の実施形態1に係る撮像用光検出装置において、フォトディテクターの配置の一例を示した図である。
図12Bは、本発明の実施形態1に係る撮像用光検出装置において、フォトディテクターの配置の別の例を示した図である。
図12Cは、本発明の実施形態1に係る撮像用光検出装置において、フォトディテクターの配置のさらに別の例を示した図である。
図12Dは、本発明の実施形態1に係る撮像用光検出装置において、フォトディテクターの配置のさらに別の例を示した図である。
図13は、本発明の実施形態2に係る撮像用光検出装置の概略構成を示した図であり、図1の部分XIIIの拡大断面図である。
図14は、本発明の実施形態2に係る撮像用光検出装置の構成要素の平面配置を示した光検出面の拡大平面図である。
図15Aは、本発明の実施形態2に係る撮像用光検出装置において、フォトディテクターの配置の一例を示した図である。
図15Bは、本発明の実施形態2に係る撮像用光検出装置において、フォトディテクターの配置の別の例を示した図である。
図15Cは、本発明の実施形態2に係る撮像用光検出装置において、フォトディテクターの配置のさらに別の例を示した図である。
図15Dは、本発明の実施形態2に係る撮像用光検出装置において、フォトディテクターの配置のさらに別の例を示した図である。
図15Eは、本発明の実施形態2に係る撮像用光検出装置において、フォトディテクターの配置のさらに別の例を示した図である。
図15Fは、本発明の実施形態2に係る撮像用光検出装置において、フォトディテクターの配置のさらに別の例を示した図である。
図16Aは、本発明の撮像用光検出装置において、高屈折率透明部の断面形状の別の例を示した図である。
図16Bは、本発明の撮像用光検出装置において、高屈折率透明部の断面形状のさらに別の例を示した図である。
図16Cは、本発明の撮像用光検出装置において、高屈折率透明部の断面形状のさらに別の例を示した図である。
図16Dは、本発明の撮像用光検出装置において、高屈折率透明部の断面形状のさらに別の例を示した図である。
図16Eは、本発明の撮像用光検出装置において、高屈折率透明部の断面形状のさらに別の例を示した図である。
図17Aは、従来の撮像装置の概略構成を示した側面図である。
図17Bは、従来の撮像用光検出装置の概略構成を示した図であり、図17Aの部分XVIIBの拡大断面図である。
図18は、従来の撮像用光検出装置に用いられる3種の色フィルタの分光感度特性を示した図である。
図19は、従来の撮像用光検出装置において、フォトディテクターの配置の一例を示した図である。
図20は、従来の撮像用光検出装置の構成要素の平面配置を示した光検出面の拡大平面図である。
図21は、マイクロプリズムを用いて色分離を行う従来の撮像用光検出装置の原理を示した図である。
上記の本発明の撮像用光検出装置において、前記高屈折率透明部の前記断面において、前記高屈折率透明部の幅が前記中心軸の折れ曲がりの前後で変化し、前記中心軸の前記折れ曲がりに対して前記基板側での前記高屈折率透明部の幅はこれと反対側での前記高屈折率透明部の幅よりも小さいことが好ましい。これにより、光の分離をより効果的に行うことができる。なお、ここで、「前記高屈折率透明部の幅」とは、中心軸の折れ曲がり近傍での高屈折率透明部の幅を意味すると解釈されることが好ましい。
前記0次回折光が第1光検出器で、前記1次回折光が第2光検出器で、前記−1次回折光が第3光検出器で、それぞれ検出されることが好ましい。これにより、異なる光検出器で波長が異なる光をそれぞれ検出することができる。
上記において、前記低屈折率透明層及び前記高屈折率透明部に入射する光が白色光の場合、前記第1光検出器に入射する光は0.50μm〜0.60μmの緑波長領域で光量ピークをなし、前記第2光検出器に入射する光は0.60μmを越える赤波長領域で光量ピークをなし、前記第3光検出器に入射する光は0.50μm未満下の青波長領域で光量ピークをなすことが好ましい。これにより、三原色を検出することができる。
この場合、前記第1光検出器はその表面を含まない深層領域で光を検出し、前記第2光検出器はその表面を含まない深層領域で光を検出し、前記第3光検出器はその表面を含む表層領域で光を検出することが好ましい。これにより、混色を抑え、分光性能を向上させることができる。
あるいは、前記0次回折光と前記1次回折光とが第1光検出器で、前記−1次回折光が第2光検出器で、それぞれ検出されても良い。これにより、1つの原色と、その補色とを検出することができる。
上記において、前記低屈折率透明層及び前記高屈折率透明部に入射する光が白色光の場合、前記第1光検出器に入射する光は0.50μm以上の青波長領域以外の波長領域で光量ピークをなし、前記第2光検出器に入射する光は0.50μm未満下の青波長領域で光量ピークをなすことが好ましい。これにより、青と、その補色であるイエローとを検出することができる。
この場合、前記第1光検出器はその表面を含まない深層領域で光を検出し、前記第2光検出器はその表面を含む表層領域で光を検出することが好ましい。これにより、混色を抑え、分光性能を向上させることができる。
あるいは、前記1次回折光が第1光検出器で、前記0次回折光と前記−1次回折光とが第2光検出器で、それぞれ検出されても良い。これにより、1つの原色と、その補色とを検出することができる。
上記において、前記低屈折率透明層及び前記高屈折率透明部に入射する光が白色光の場合、前記第1光検出器に入射する光は0.60μmを越える赤波長領域で光量ピークをなし、前記第2光検出器に入射する光は0.60μm以下の赤波長領域以外の波長領域で光量ピークをなすことが好ましい。これにより、赤と、その補色であるシアンとを検出することができる。
この場合、前記第1光検出器はその表面を含まない深層領域で光を検出し、前記第2光検出器はその表面を含む表層領域で光を検出することが好ましい。これにより、混色を抑え、分光性能を向上させることができる。
上記の本発明の撮像用光検出装置において、前記第1方向に沿って配置された前記複数の高屈折率透明部の前記中心軸の折れ曲がりの向きが交互に反転していてもよい。この場合、前記複数の高屈折率透明部のそれぞれに対して前記第1方向に互いに隣り合う3つの前記光検出器が対応し、前記第1方向に沿って配置された前記3つの光検出器のうちの両外側の2つの光検出器は、前記3つの光検出器に対応する高屈折率透明部に対して前記第1方向において互いに隣り合う高屈折率透明部にも対応していることが好ましい。これにより、1つの高屈折率透明部で3つの光を分離することができるので、高解像度化が可能となる。
上記において、前記第1方向と平行な複数の列に沿って前記高屈折率透明部が配置されていても良い。この場合、前記第1方向と平行な前記高屈折率透明部の列を構成する各高屈折率透明部の前記第1方向の位置が、前記第1方向と直交する第2方向において互いに隣り合う2つの列間で前記第1方向の配置ピッチの0倍、0.5倍、1倍、又は1.5倍だけ位置ずれしていることが好ましい。これにより、様々な画素配置に対応することができる。
あるいは、上記の本発明の撮像用光検出装置において、前記第1方向に沿って配置された前記複数の高屈折率透明部の前記中心軸の折れ曲がりの向きが同じであってもよい。この場合、前記複数の高屈折率透明部のそれぞれに対して前記第1方向に互いに隣り合う3つの前記光検出器が対応し、前記複数の光検出器のそれぞれは、前記0次回折光、前記1次回折光、及び前記−1次回折光のうちのいずれか1つを検出することが好ましい。これにより、1つの高屈折率透明部で3つの光を分離することができるので、高解像度化が可能となる。
上記において、前記第1方向と平行な複数の列に沿って前記高屈折率透明部が配置されていても良い。
この場合、前記第1方向と平行な前記高屈折率透明部の列における前記中心軸の折れ曲がりの向きが前記第1方向と直交する第2方向において互いに隣り合う2つの列間で同じであり、前記第1方向と平行な前記高屈折率透明部の列を構成する各高屈折率透明部の前記第1方向の位置が、前記第2方向において互いに隣り合う2つの列間で前記第1方向の配置ピッチの0倍、1/3倍、又は2/3倍だけ位置ずれしていることが好ましい。これにより、様々な画素配置に対応することができる。
あるいは、前記第1方向と平行な前記高屈折率透明部の列における前記中心軸の折れ曲がりの向きが前記第1方向と直交する第2方向において互いに隣り合う2つの列間で反転しており、前記第1方向と平行な前記高屈折率透明部の列を構成する各高屈折率透明部の前記第1方向の位置が、前記第2方向において互いに隣り合う2つの列間で前記第1方向の配置ピッチの0倍、1/3倍、又は2/3倍だけ位置ずれしていることが好ましい。これにより、様々な画素配置に対応することができる。
以下、本発明の好適な実施形態を図面を用いて説明する。これらの図において従来例と共通する要素には、同一の符号を付している。但し、以下の実施形態は一例に過ぎず、本発明はこれらの実施形態に限定されないことは言うまでもない。
図1は、本発明の光検出装置を用いた撮像装置の概略構成を示した側面図である。自然光等の光が物体1に入射し、これを反射した光は、レンズ系2によりCCDやCMOS等の光検出装置4上に像3を形成する。レンズ系2は、一般には光学性能を確保するために光軸に沿って並んだ複数のレンズを組み合わせて構成されるが、図1では図面を簡略化して単一のレンズとして描かれている。以下の説明の便宜のために、光検出装置4の光検出面(または後述する基板5の表面)の法線方向軸をZ軸、光検出面に平行な垂直方向軸をX軸、光検出面に平行な水平方向軸をY軸とするXYZ直交座標系を設定する。
(実施形態1)
図2は、本発明の実施形態1に係る光検出装置4の概略構成を示した図であり、図1の部分IIの拡大断面図である。複数のフォトディテクター6が形成された検出基板5上に、SiO2等からなる低屈折率の透明バッファー層7、SiN等からなる高屈折率の透明バッファー層8、SiO2等からなる低屈折率透明層12、複数のマイクロレンズ10がこの順で積層されている。低屈折率透明層12内には、SiN等からなる複数の高屈折率透明部13が埋め込まれている。透明バッファー層7の透明バッファー層8と接する表面7aには、各マイクロレンズ10の中心軸上で透明バッファー層7の膜厚が小さくなるような凹凸構造が形成され、レンズと同じ作用をする(表面7aの凹凸構造を内部マイクロレンズと呼ぶ)。一方、透明バッファー層8の低屈折率透明層12と接する表面8aは平坦である。
マイクロレンズ10はX軸方向に平行な複数の直線及びY軸方向に平行な複数の直線によって形成される直交格子の各交点位置に配置されている。高屈折率透明部13はマイクロレンズ10と一対一に対応し、各マイクロレンズ10の中心軸上に1つの高屈折率透明部13が配置されている。フォトディテクター6も、X軸方向に平行な複数の直線及びY軸方向に平行な複数の直線によって形成される直交格子の各交点位置に配置されている。X軸方向(図2の紙面の上下方向)に隣り合う各マイクロレンズ10の中心軸はひとつおきにフォトディテクター6のほぼ中心を通過する。Y軸方向(図2の紙面に直交する方向)に隣り合う各マイクロレンズ10の中心軸は、隣り合う各フォトディテクター6のほぼ中心を通過する(後述する図11参照)。
マイクロレンズ10は、光線11a’のようにマイクロレンズ10の中心軸に対してシフトして入射する光を屈折させて高屈折率透明部13に導く働きをなす。透明バッファー層7の表面7aの凹凸構造(内部マイクロレンズ)もレンズ効果を有し、高屈折率透明部13を出射する各回折光D0,D1、D-1が発散するのを抑え、それぞれを小さいスポットのまま対応するフォトディテクター6に導く働きをなす。更に、高屈折率透明部13は導波路の働きをなすので、マイクロレンズ10の中心軸に対して傾いた光が入射すると、その光の伝搬方位を矯正し、フォトディテクター6に導く働きをなす。本明細書では、フォトディテクター6を、これに入射する光の波長によって特に区別する必要がある場合には添字「R」、「G」、「B」のいずれかを付し、区別する必要がない場合には添字を省略して表示する。
図2に示すように、高屈折率透明部13のX軸及びZ軸を含む面(XZ面)に沿った断面において、高屈折率透明部13のX軸方向の中央の点をZ軸方向に順に結んで得られる線を、高屈折率透明部13の「中心軸」と呼ぶ。高屈折率透明部13の中心軸14は階段状に折れ曲がっている。本実施形態1では、高屈折率透明部13のX軸方向寸法(幅)は中心軸14の折れ曲がりの前後で変化しており、折れ曲がりの前側(マイクロレンズ10側)での幅w1と後側(フォトディテクター6側)での幅w2はw1>w2を満たす。幅w1、w2の部分のZ軸方向長さは順にh1,h2である。本実施形態1では、幅w1の部分の中心軸14と幅w2の部分の中心軸14とはいずれもZ軸に平行であり、両者のX軸方向の段差sはs=(w1−w2)/2である。さらに、本実施形態1では、中心軸14の折れ曲がりの向きに基づいて高屈折率透明部13は2種類に分類される。即ち、高屈折率透明部13は、図2の紙面において、幅w1の部分の中心軸14に対して幅w2の部分の中心軸14が上側に位置する高屈折率透明部13aと下側に位置する高屈折率透明部13bとを含む。本明細書では、中心軸14の折れ曲がりの向きの違いによって高屈折率透明部13を特に区別する必要がある場合には添字「a」又は「b」を付し、区別する必要がない場合には添字を省略して表示する。本実施形態1では、X軸方向に隣り合う2つの高屈折率透明部13の中心軸14の折れ曲がりの向きが互いに逆である。即ち、X軸方向において、高屈折率透明部13aと高屈折率透明部13bとが交互に配置されている。
高屈折率透明部13は、Y軸方向(図2の紙面に垂直な方向)に連続する板状、または、Y軸方向のマイクロレンズ10の配置位置に一対一に対応して分離された柱状をなす。高屈折率透明部13が柱状の場合、そのY軸方向寸法はX軸方向に太い部分の幅(本実施形態1では幅w1)の2〜3倍以上である。
高屈折率透明部13に入射する光11は、高屈折率透明部13を出射する際にXZ面内で0次回折光D0、1次回折光D1、−1次回折光D-1に分離し、それぞれフォトディテクター6G、6R、6Bで検出される。高屈折率透明部13aと高屈折率透明部13bとは中心軸14の折れ曲がりの向きが逆であるので、0次回折光D0に対する1次回折光D1及び−1次回折光D-1の出射方向は高屈折率透明部13aと高屈折率透明部13bとで逆となる。0次回折光D0、1次回折光D1、及び−1次回折光D-1の各光分布が互いにはっきりと分離するためには、高屈折率透明部13の先端とフォトディテクター6との間に1μm以上の間隔が設けられることが好ましい。
図3は、本実施形態1の撮像用光検出装置において、高屈折率透明部13によって回折光が発生する原理を説明する図である。高屈折率透明部13は幅(X軸方向寸法)w1,w2、長さ(Z軸方向寸法)h1,h2を有し、紙面に垂直な方向(Y軸方向)に延びた板状とする。中心線14の折れ曲がりの段差をsとする(簡単のためs=(w1−w2)/2の場合を図示している)。高屈折率透明部13の屈折率をn、その周囲の低屈折率透明層12の屈折率をn0とする。マイクロレンズ10を経て高屈折率透明部13に入射する光11の波面を平面波15とすると、この光11が高屈折率透明部13及びその周囲の低屈折率透明層12を透過することで、出射した光の波面16には次式で示す位相シフトδが発生する(真空中での長さに換算)。
(式1) δ=h2(n−n0)
この位相シフトにより出射光は0次回折光D0、1次回折光D1、−1次回折光D-1に回折分離する。光11の波長をλとすると、|δ−kλ|を最もゼロに近づける整数kが必ず存在する。この整数kに対してδ−kλ=0ならば、出射した光の波面16は平面波A0と同じであり、大半のエネルギーが0次回折光D0に配分される。δ−kλ<0ならば、出射した光の波面16は平面波A1とほぼ同じになり、大半のエネルギーが1次回折光D1に配分される。δ−kλ>0ならば、出射した光の波面16は平面波A-1とほぼ同じになり、大半のエネルギーが−1次回折光D-1に配分される。
例えば、δが1.1μmの場合、緑波長の光の場合にはk=2、λ=0.55μmの条件でδ−kλ=0が成り立つが、同じkに対し、赤波長ではδ−kλ<0、青波長ではδ−kλ>0になる。従って、高屈折率透明部13に入射する白色の光11は、0次回折光D0に緑の光、1次回折光D1に赤の光、−1次回折光D-1に青の光がそれぞれ分離して出力される。なお、(式1)に寸法w1、h1等が含まれていないことから、高屈折率透明部13の構造のうち、中心軸14の折れ曲がりより前側(マイクロレンズ10側)の部分は不要の様にも見えるが、そうではない。以上は飽くまで幾何光学的な説明であり、波動光学的には次のように説明できる。
図4A〜図4Dは、本実施形態1の撮像用光検出装置において、高屈折率透明部13によって回折光が発生する原理を波動光学的に説明する図である。図4Aに示すように、マイクロレンズ10を経て高屈折率透明部13に入射する光11は高屈折率透明部13の内部を伝搬する0次の導波モードの光M0を励起する。この導波モード光M0は高屈折率透明部13の中心軸14の折れ曲がり部分を通過することで伝搬モードが乱され、折れ曲がり部分の後側(フォトディテクター6側)の伝搬では0次の導波モードの光m0の他に、1次の導波モードの光m1、及び高次の導波モード光や放射モード光等が発生する。0次の導波モード光m0は光の振幅分布がガウシアン形状をなすが、1次の導波モード光m1は伝搬路の中心軸近傍で振幅の極性が反転する。しかも、等価屈折率は0次の導波モード光m0が1次の導波モード光m1よりも大きくなるので、同一の導波路内に0次の導波モード光m0と1次の導波モード光m1がバランスよく混在すると、これらが伝搬方向に沿って複雑に干渉し、波長に比例した間隔で強めあったり弱めあったりする。1次の導波モード光m1の振幅の極性が中心軸近傍で反転することから、光の干渉も中心軸を境に反転する。例えば、赤波長の光の場合は、図4Bに示すように、複数のポイントPRで2つのモードの光が強め合う。高屈折率透明部13の出射端に最終のポイントPRが位置する場合、1次回折光D1のように伝搬路の中心軸から最終のポイントPR側に向かう側に光が放射される。青波長の光の場合は、図4Dに示すように、複数のポイントPBで2つのモードの光が強め合う。ポイントPBの間隔はポイントPRの間隔よりも短い。高屈折率透明部13の出射端に最終のポイントPBが位置する場合、−1次回折光D-1のように伝搬路の中心軸から最終のポイントPB側に向かう側に光が放射される。一方、緑波長の光の場合は、図4Cに示すように、複数のポイントPGで2つのモードの光が強め合う。ポイントPGの間隔はポイントPRの間隔よりも短く、ポイントPBの間隔よりも長い。高屈折率透明部13の出射端が最終のポイントPGと仮想的な次のポイントPG’との中間に位置する場合、0次回折光D0のように伝搬路の中心軸に沿った方向に光が放射される。従って、高屈折率透明部13に入射する白色の光11は、0次回折光D0に緑の光、1次回折光D1に赤の光、−1次回折光D-1に青の光がそれぞれ分離して出力される。上記の説明は一例であって、高屈折率透明部13の各部の寸法によっては、1次回折光D1が青の光、−1次回折光D-1が赤の光となる場合もある。寸法w2、h2を有する構造部分で2種類のモード光をバランスよく混在させるには、寸法w1、h1を有する構造部分と段差sを有する中心軸14の折れ曲がり構造とが不可欠であり、このことは上述の様な波動光学的な説明で初めて明らかにされる。入射光11を効率よく導波モードに変換するには、幅w1はある程度大きい必要がある。また、折れ曲がり後に発生する導波モードの次数(すなわち導波モード光の総数)をできるだけ少なくするには、幅w2は小さい方が好ましい。従って、中心軸14が折れ曲がった高屈折率透明部13で2種類のモード光をバランスよく混在させるには一般にはw1>w2の関係を満足することが好ましい。
図5A、図6A、図7Aは、本実施形態1の撮像用光検出装置において、高屈折率透明部13を介してフォトディテクター側に伝搬する、それぞれ波長0.45μm、0.55μm、0.65μmの光のXZ断面での強度分布(波動光学に基づく計算結果)を示している。図5B、図6B、図7Bは、フォトディテクターの光検出面上に投影された光のXY断面での強度分布(波動光学に基づく計算結果)を示した図である。計算は以下の条件で行った。マイクロレンズ10を省略し、XY座標で原点を中心にした1.5μm×1.5μmの正方形の領域に一様強度の白色光をZ軸方向に沿って入射させた。高屈折率透明部13の幅w1=0.30μm、w2=0.15μm、長さh1=h2=0.60μm、中心軸14の折れ曲がり段差s=0.10μmとし、高屈折率透明部13を寸法w2、h2を有する構造部分がX軸方向に1.5μmピッチで並ぶように配置し、Y軸方向には連続させた。さらに、内部マイクロレンズ7aはX軸方向、Y軸方向ともに1.5μmピッチで並び、内部マイクロレンズ7aの先端からフォトディテクター6の表面までの距離は1.0μmとした。なお、高屈折率透明部13と高屈折率の透明バッファー層8とはSiNを想定して屈折率2.04、アッベ数20とし、低屈折率の透明バッファー層7と低屈折率透明層12とはSiO2を想定して屈折率1.456、アッベ数65とした。フォトディテクター6R、6G、6Bはこの順に隣接し、X軸方向×Y軸方向のサイズは順に0.75μm×1.0μm、0.65μm×1.0μm、0.85μm×1.0μmとした(均等な分割からフォトディテクター6G、6Bの間の分割線を0.10μmだけX軸の正の向きにシフトさせた)。図5B、図6B、図7Bでは3個のフォトディテクター6R、6G、6Bしか示していないが、実際にはこれらのフォトディテクターがこの順でX軸方向に隙間なく並び、Y軸方向には1.5μmピッチ(すなわち0.5μmの隙間を空けて)で並んでいた。Y軸方向に設けられた隙間はCCD転送路や配線等に用いられる。図5B、図6B、図7Bから分かるように、本実施形態1の高屈折率透明部13により、光が赤、緑、青の色毎に分別され、それぞれ異なったフォトディテクター6R、6G、6Bで検出されることが分かる。
図8Aは光検出面上の独立したフォトディテクター6R、6G、6Bで検出される光量を波長を横軸にしてプロットした分光特性図である。縦軸の光量比とは入射光量を1として規格化した各フォトディテクターでの検出光量である。曲線R、G、Bはそれぞれフォトディテクター6R、6G、6Bで検出される光量分布曲線を示す。フォトディテクター6Gに入射する光の光量分布曲線Gは0.50μm〜0.60μmの緑波長領域で光量ピークをなし、フォトディテクター6Rに入射する光の光量分布曲線Rは0.60μmを越える赤波長領域で光量ピークをなし、フォトディテクター6Bに入射する光の光量分布曲線Bは0.50μm未満下の青波長領域で光量ピークをなしている。図8Aに示した特性は図18で示した従来の光検出装置に於ける色フィルターの分光感度特性に相当し、フォトディテクターのX軸方向の配置ピッチが0.75μmという高解像の条件にも関わらず、良好な分光性能を示している。なお、曲線R、G、Bの総和は入射光量から2〜3割少なくなるが、その減少分のうちの一部は反射成分、一部はフォトディテクター6R、6G、6Bの外に漏れる成分であり、後者は迷光となって他の領域のフォトディテクターに検出されるので実際の分光特性は図8Aより若干劣化する。
図8Bはフォトディテクター6G、6Rを結合した場合、図8Cはフォトディテクター6B、6Gを結合した場合の、図8Aと同様の手法で作成した分光特性図である。図8Bにおいて曲線G+Rはフォトディテクター6G、6Rが結合された結合化フォトディテクターで検出される光量分布曲線を示し、図8Cにおいて曲線B+Gはフォトディテクター6B、6Gが結合された結合化フォトディテクターで検出される光量分布曲線を示す。フォトディテクター6G、6Rを結合すると、図8Bに示すように、結合化フォトディテクターに入射する光の光量分布曲線G+Rは0.50μm以上の青波長領域以外の波長領域で光量ピークをなし、フォトディテクター6Bに入射する光の光量分布曲線Bは0.50μm未満下の青波長領域で光量ピークをなす。従って、青色と、青色の補色であるイエローとを検出することができる。フォトディテクター6B、6Gを結合すると、図8Cに示すように、フォトディテクター6Rに入射する光の光量分布曲線Rは0.60μmを越える赤波長領域で光量ピークをなし、結合化フォトディテクターに入射する光の光量分布曲線B+Gは0.60μm以下の赤波長領域以外の波長領域で光量ピークをなす。従って、赤色と、赤色の補色であるシアンとを検出することができる。このように、0次回折光と1次回折光又は−1次回折光とが同一のフォトディテクターで検出されるようにフォトディテクターを組み合わせることにより、原色とその補色とを検出することができる。
図9はSiの複素屈折率の分散から割り出したフォトディテクターの量子効率の波長依存性(分光量子効率)を示しており、表面からの深さdμmの範囲をパラメータにしている。分光量子効率とは、ある波長の光を一定量だけ照射したときに光電効果により発生する、規格化された電子数を意味する。分光量子特性に図8A〜図8Cのような光量の分光特性を掛け合わせたものがフォトディテクターで発生する電流量になる。曲線a1はd=0.0〜0.2μm、曲線a2はd=0.0〜0.5μm、曲線a3はd=0.0〜0.8μm、曲線a4はd=0.0〜1.2μm、曲線a5はd=0.0〜3.0μm、曲線b1はd=0.2〜3.0μm、曲線b2はd=0.5〜3.0μm、曲線b3はd=0.8〜3.0μm、曲線b4はd=1.2〜3.0μmでの分光量子効率である。短波長の光は表層で吸収されやすく、長波長になるほど深層でも吸収されることが分かる。
フォトディテクターのどの深さの領域に感度を持たせるかは、自由な設定が技術的に可能である。この技術を図8A、図8B、図8Cで示した分光特性に導入すると次のようになる。図10Aは、図8Aの分光特性において、フォトディテクターの光検出領域を、フォトディテクター6Rでd=0.5〜3.0μm、フォトディテクター6Bでd=0.0〜0.2μm、フォトディテクター6Gでd=0.2〜3.0μmで設計した場合の分光特性図である。図10Bは、図8Bの分光特性において、フォトディテクターの光検出領域を、フォトディテクター6G,6Rが結合された結合化フォトディテクターでd=0.5〜3.0μm、フォトディテクター6Bでd=0.0〜0.2μmで設計した場合の分光特性図である。図10Cは、図8Cの分光特性において、フォトディテクターの光検出領域を、フォトディテクター6Rでd=0.5〜3.0μm、フォトディテクター6G,6Bが結合された結合化フォトディテクターでd=0.0〜1.2μmで設計した場合の分光特性図である。図10Aでは図8Aに比べてより混色が少ない赤、緑、青の分光特性が得られており、図10Bでは図8Bに比べて混色が少ない青、イエローの分光特性が得られており、図10Cでは図8Cに比べて混色が少ない赤、シアンの分光特性が得られている。このように、本実施形態1にフォトディテクターの分光量子効率の特性を組み合わせることで、理想的な分光性能に近づけられることが分かる。
図11は、本実施形態1の撮像用光検出装置の光検出面を含む構成要素の拡大平面図である。Y軸方向に隣り合うフォトディテクター6間には、X軸方向に延びる信号配線である複数の垂直転送CCD17が設けられており、複数の垂直転送CCD17はY軸方向に延びる信号配線である水平転送CCD18と接続されている。
撮像用光検出装置に入射する白色の光は、高屈折率透明部13a,13bを通過し、回折することでXZ面内で波長毎に分別され、フォトディテクター6R、6G、6Bにより受光され光電変換される。各フォトディテクターに蓄積した電荷は垂直転送CCD17に送られ、さらに水平転送CCD18に送られて、画像信号として出力される。
X軸方向においては、高屈折率透明部13a,13bが交互に配置されている。このようにしてX軸方向に沿って配置された高屈折率透明部の列は、高屈折率透明部のX軸方向の配置ピッチ(より正確には高屈折率透明部の幅w2を有する部分のX軸方向の配置ピッチ、即ち内部マイクロレンズ7aのX軸方向配置ピッチ)の1倍だけX軸方向に位置ずれしながら、順次Y軸方向に配置されている。その結果、Y軸方向においても、高屈折率透明部13a,13bが交互に配置されている。
フォトディテクター6Gは高屈折率透明部13a,13bの真下(即ち、内部マイクロレンズ7aの中心軸上)にそれぞれ配置されている。さらに、X軸方向に隣り合うフォトディテクター6G,6G間にはフォトディテクター6R,6Gが交互に配置されている。即ち、X軸方向においては、フォトディテクター6R,6G,6B,6Gがこの順に並び、この並びが繰り返して配置されている。このようにしてX軸方向に沿って配置されたフォトディテクターの列は、高屈折率透明部のX軸方向配置ピッチの1倍だけX軸方向に位置ずれしながら、順次Y軸方向に配置されている。フォトディテクター6R,6G,6Bの幅(X軸方向寸法)wR、wG、wBは同一でも異なっていても良い。図5B、図6B、図7Bの例では、wR=0.75μm、wG=0.65μm、wB=0.85μmであり、X軸方向に沿ったフォトディテクター6R,6G,6Bからなる並びのX軸方向の中心が、高屈折率透明部13の幅w2を有する部分の中心軸14に一致していた。
図12Aに、図11に示した光検出装置4におけるフォトディテクター6R,6G,6Bの配置を示す。図面を簡単化するために、符号「6」を省略し、添字R、G、Bのみを記載している。1つのカラー画素19は、2つの緑(基本画素G)と1つの青(基本画素B)と1つの赤(基本画素R)とを含む2列×2行の4つの基本画素で構成される。図12Aの配置は、図19に示した従来の光検出装置におけるベイヤー配列と違って、2つの緑Gは、カラー画素19内においてY軸方向に隣り合って配置されている。しかし、ベイヤー配列と同様に、カラー画素19の半分のサイズ(基本画素のサイズ)だけX軸方向又はY軸方向にシフトした位置にもカラー画素19’を構成できる。従って、解像度がカラー画素19の半分のサイズ(カラー画素19の1/4の面積)、すなわち基本画素のサイズにまで改善されることは図19のベイヤー配列と同じである。
上述したように、図17Bに示した従来の撮像用光検出装置では光の色分離を赤、緑、青の3色のうちの2色を選択的に吸収する色フィルター9により行っていたので、色フィルター9により7〜8割の光が吸収されていた。これに対して、本実施形態1の撮像用光検出装置では、光の色分離を光の吸収ではなく、光の回折を利用して行っているので、光の全エネルギーを活用できる。従って、本実施形態1では、光の利用効率が従来の2〜3倍に向上する。
また、図17Bに示した従来の撮像用光検出装置では、マイクロレンズ1個で1つの色の情報を検出していた。これに対して、本実施形態1の撮像用光検出装置では、マイクロレンズ1個で2種類以上の色情報を検出する。従って、マイクロレンズ10(または内部マイクロレンズ7a)のサイズを一定にして比較すると、本実施形態1では従来に比べ画素密度を2倍以上にすることが可能となる。
更に、図21に示した従来の光検出装置では、光の色分離を行うためにプリズムの分散特性を利用するので分光の作用(屈折角の波長による差)が小さいという問題があった。これに対して、本実施形態1の撮像用光検出装置では、光の波面に発生する位相シフト(更に言い換えれば、中心軸14が折れ曲がった導波路内で発生するモード移行)を利用するので、分光の作用(回折角の波長による差)が大きい。従って、図5A、図6A、及び図7Aに示したように、高屈折率透明部の先端と光検出面との間隔を1〜3μmに設定すれば、0次回折光(緑)、1次回折光(赤)、−1次回折光(青)の3つのスポット間に0.5μm以上の変位を与えることができ、試作する上で十分現実的な寸法といえる。
高屈折率透明部13a,13b及びフォトディテクター6R,6G,6Bの配置は図11及び図12Aに限定されず、種々に変更することができる。図12B、図12C、図12Dは、フォトディテクター6R,6G,6Bの配置の別の例を図12Aと同様に示した図である。図12B、図12C、図12Dでは、図12Aと同様に、X軸方向に沿ったフォトディテクターの列においては、フォトディテクター6R,6G,6B,6Gがこの順に並び、この並びが繰り返して配置されている。このようなY軸方向に沿ったフォトディテクターの列が、高屈折率透明部のX軸方向配置ピッチ(より正確には高屈折率透明部の幅w2を有する部分のX軸方向の配置ピッチ、即ち内部マイクロレンズ7aのX軸方向配置ピッチ)に対して、図12Bでは0倍、図12Cでは0.5倍、図12Dでは1.5倍だけX軸方向に位置ずれしながら、順次Y軸方向に配置されている。
図12B、図12C、図12Dのようなフォトディテクター6R,6G,6Bの配置を実現するための高屈折率透明部13a,13bの配置は、図示を省略するが、図11より容易に推測することができるであろう。即ち、図12B、図12C、図12Dのいずれにおいても、図11と同様に、X軸方向に沿った高屈折率透明部の列においては高屈折率透明部13a,13bが交互に配置される。このような高屈折率透明部の列が、高屈折率透明部のX軸方向の配置ピッチ(より正確には高屈折率透明部の幅w2を有する部分のX軸方向の配置ピッチ、即ち内部マイクロレンズ7aのX軸方向配置ピッチ)に対して、図12Bでは0倍、図12Cでは0.5倍、図12Dでは1.5倍だけX軸方向に位置ずれしながら、順次Y軸方向に配置される。図12A、図12Bでは、高屈折率透明部の列間において高屈折率透明部のX軸方向位置が一致するので、高屈折率透明部をY軸方向に連続する板状に形成することができる。さらに、図12Bでは、高屈折率透明部の列間において高屈折率透明部13a,13bのX軸方向位置が一致するので、高屈折率透明部をXZ断面形状がY軸方向に一定の板状に形成することができる。一方、図12C、図12Dでは、高屈折率透明部の位置に対応してマイクロレンズ10及び内部マイクロレンズ7aのX軸方向の位置が、Y軸方向に隣り合う列間でX軸方向のその配置ピッチの0.5倍だけ位置ずれされる。即ち、Z軸と平行に見たとき、円形であるマイクロレンズ10及び内部マイクロレンズ7aがハニカム状に配置される。従って、マイクロレンズ10、高屈折率透明部13、及び内部マイクロレンズ7aのY軸方向の配置ピッチを小さくして、被写体からの光の利用効率を更に高めることができる。
上述した図12A〜図12Dは三原色を検出することを想定した画素配置の例である。例えば、上述したようにフォトディテクター6Gとフォトディテクター6R又はフォトディテクター6Bとを結合して原色とその補色とを検出する場合には、フォトディテクターの配置は、図12A〜図12Dとは異なる配置となり、所望する画素配置に応じて種々に設定することができる。
(実施形態2)
図13は、本発明の実施形態2に係る光検出装置4の概略構成を示した図であり、図1の部分XIIIの拡大断面図である。図14は、本実施形態2に係る光検出装置4の構成要素の平面配置を示した光検出面の拡大平面図である。図15Aは、図14に示した光検出装置4におけるフォトディテクター6R,6G,6Bの配置を図12Aと同様に示した図である。本実施形態2において、実施形態1と同じ要素には同一の符号を付してそれらについての詳細な説明を省略する。
図13から明らかなように、本実施形態2は、X軸方向に沿って配置された高屈折率透明部13の中心軸14の折れ曲がりの向きが同じである点で、中心軸14の折れ曲がりの向きが交互に反転していた実施形態1と異なる。図13に示したXZ断面には、高屈折率透明部13aのみが存在し、高屈折率透明部13bは存在しない。
本実施形態2は、高屈折率透明部13の配置に関して実施形態1と上記のように異なる結果、高屈折率透明部13とフォトディテクター6との対応関係も実施形態1と異なる。即ち、図13から明らかなように、本実施形態2は、X軸方向に隣り合うフォトディテクター6R,6G,6Bに対して1つの高屈折率透明部13が対応する点で、X軸方向に隣り合うフォトディテクター6R,6G,6Bのうち両外側のフォトディテクター6R,6Bに対してはそれぞれ2つの高屈折率透明部13が対応する実施形態1と異なる。本実施形態2では、X軸方向においては、フォトディテクター6R,6G,6Bがこの順に並び、この並びが繰り返して配置されている。
図14を参照すると、本例では、X軸方向に沿って配置された高屈折率透明部13aの列が、X軸方向に位置ずれすることなくY軸方向に繰り返し配置されている。その結果、Y軸方向に沿って高屈折率透明部13aが連続して配置されている。
さらに、X軸方向においては、フォトディテクター6R,6G,6Bがこの順に並び、この並びが繰り返して配置されている。このようにしてX軸方向に沿って配置されたフォトディテクターの列が、X軸方向に位置ずれすることなくY軸方向に繰り返し配置されている。その結果、フォトディテクター6R,6G,6BのそれぞれがY軸方向に互いに隣り合う。実施形態1と同様に、フォトディテクター6Gは高屈折率透明部13aの真下(即ち、内部マイクロレンズ7aの中心軸上)にそれぞれ配置されている。
図15Aを参照すると、カラー画素を2列×2行の4つの基本画素で構成しようとすると、カラー画素19は2つの緑(基本画素G)と2つの青(基本画素B)とで構成され、カラー画素19の半分のサイズ(基本画素のサイズ)だけX軸方向又はY軸方向にシフトした位置には、2つの緑(基本画素G)と2つの赤(基本画素R)とで構成されるカラー画素19’や、2つの青(基本画素B)と2つの赤(基本画素R)とで構成されるカラー画素19”が形成される。これらのカラー画素19,19’,19”はいずれも緑、青、赤のうちのいずれか1つを欠いており、ベイヤー配列を構成しない。しかし、カラー画素を1列×3行のX軸方向に連続する3つの基本画素で構成すると、カラー画素20や、カラー画素20に対して基本画素のサイズだけシフトしたカラー画素20’は、いずれも緑、青、赤を1つずつ含む。従って、ベイヤー配列と同様に、解像度が基本画素のサイズにまで改善される。
高屈折率透明部13及びフォトディテクター6R,6G,6Bの配置は図14及び図15Aに限定されず、種々に変更することができる。図15B〜図15Fは、フォトディテクター6R,6G,6Bの配置の別の例を図15Aと同様に示した図である。
図15B、図15Cでは、図15Aと同様に、X軸方向に沿ったフォトディテクターの列においては、フォトディテクター6R,6G,6Bがこの順に並び、この並びが繰り返して配置されている。このようなY軸方向に沿ったフォトディテクターの列が、高屈折率透明部のX軸方向配置ピッチ(より正確には高屈折率透明部の幅w2を有する部分のX軸方向の配置ピッチ、即ち内部マイクロレンズ7aのX軸方向配置ピッチ)に対して、図15Bでは1/3倍、図15Cでは2/3倍だけX軸方向に位置ずれしながら、順次Y軸方向に配置されている。図15B、図15Cでは、カラー画素を3列×1行のY軸方向に連続する3つの基本画素で構成しても、図15Aで説明したカラー画素20,20’と同様に、解像度を基本画素のサイズにまで改善することができる。
図15D〜図15Fでは、X軸方向にフォトディテクター6R,6G,6Bがこの順に並び、この並びが繰り返して配置された列と、X軸方向にフォトディテクター6B,6G,6Rがこの順に並び、この並びが繰り返して配置された列とが、Y軸方向に交互に配置されている。さらに、フォトディテクター6GのX軸方向の位置が、高屈折率透明部のX軸方向配置ピッチ(より正確には高屈折率透明部の幅w2を有する部分のX軸方向の配置ピッチ、即ち内部マイクロレンズ7aのX軸方向配置ピッチ)に対して、図15Dでは0倍、図15Eでは1/3倍、図15Fでは2/3倍だけY軸方向に隣り合う列間でX軸方向に位置ずれするように、フォトディテクターの列がX軸方向に位置ずれしながら順次Y軸方向に配置されている。
図15B〜図15Fのようなフォトディテクター6R,6G,6Bの配置を実現するための高屈折率透明部13a,13bの配置は、図示を省略するが、図14より容易に推測することができるであろう。即ち、図15B、図15Cでは、図14と同様に、X軸方向に沿った高屈折率透明部の列は高屈折率透明部13aのみで構成される。このような高屈折率透明部の列が、高屈折率透明部のX軸方向の配置ピッチ(より正確には高屈折率透明部の幅w2を有する部分のX軸方向の配置ピッチ、即ち内部マイクロレンズ7aのX軸方向配置ピッチ)に対して、図15Bでは1/3倍、図15Cでは2/3倍だけX軸方向に位置ずれしながら、順次Y軸方向に配置される。
図15D〜図15Fでは、X軸方向に沿って高屈折率透明部13aのみが配置された列と、X軸方向に沿って高屈折率透明部13bのみが配置された列とが、Y軸方向に交互に配置される。さらに、高屈折率透明部13a,13bの位置が、高屈折率透明部13a,13bのX軸方向配置ピッチ(より正確には高屈折率透明部の幅w2を有する部分のX軸方向の配置ピッチ、即ち内部マイクロレンズ7aのX軸方向配置ピッチ)に対して、図15Dでは0倍、図15Eでは1/3倍、図15Fでは2/3倍だけY軸方向に隣り合う列間でX軸方向に位置ずれするように、高屈折率透明部の列がX軸方向に位置ずれしながら順次Y軸方向に配置される。
図15A、図15Dは、高屈折率透明部の列間において高屈折率透明部のX軸方向位置が一致するので、高屈折率透明部をY軸方向に連続する板状に形成することができる。さらに、図15Aでは、高屈折率透明部の列間において高屈折率透明部の中心軸の折れ曲がりの向きも一致するので、高屈折率透明部をXZ断面形状がY軸方向に一定の板状に形成することができる。一方、図15B、図15C、図15E、図15Fでは、高屈折率透明部の位置に対応してマイクロレンズ10及び内部マイクロレンズ7aのX軸方向の位置が、Y軸方向に隣り合う列間でX軸方向のその配置ピッチの1/3倍又は2/3倍だけ位置ずれされる。即ち、Z軸と平行に見たとき、円形であるマイクロレンズ10及び内部マイクロレンズ7aが略ハニカム状に配置される。従って、マイクロレンズ10、高屈折率透明部13、及び内部マイクロレンズ7aのY軸方向の配置ピッチを小さくして、被写体からの光の利用効率を更に高めることができる。
上述した図15A〜図15Fは三原色を検出することを想定した画素配置の例である。例えば、実施形態1で説明したようにフォトディテクター6Gとフォトディテクター6R又はフォトディテクター6Bとを結合して原色とその補色とを検出する場合には、フォトディテクターの配置は、図15A〜図15Dとは異なる配置となり、所望する画素配置に応じて種々に設定することができる。
本実施形態2は、上記以外は実施形態1と同様であり、実施形態1で説明したのと同様の効果を奏し、また、実施形態1で説明したのと同様の変更が可能である。
上述した実施形態1,2は本発明の好適な具体例に過ぎず、本発明はこれらに限定されず、種々の変更が可能である。
高屈折率透明部13のXZ面に沿った断面形状は、その中心軸14が階段状に折れ曲がっていれば良く、上記の実施形態1,2に示したものに限定されない。例えば、実施形態1,2に示した高屈折率透明部13では、その幅w1,w2を規定する両面のうちの一方の面(図3の上面)は、中心軸14の折れ曲がりの前側部分(幅w1を有する部分)と後側部分(幅w2を有する部分)とが段差のない同一面を構成していた。しかしながら、図16Aのように、高屈折率透明部13の幅w1,w2を規定する両面のうちの一方の面(図16Aの上面)が中心軸14の折れ曲がりの向きと反対の向きに折れ曲がり、他方の面(図16Aの下面)が中心軸14の折れ曲がりの向きと同じ向きに折れ曲がっていても良い。あるいは、図16Bのように、高屈折率透明部13の幅w1,w2を規定する両面(図16Bの上下面)が中心軸14の折れ曲がりの向きと同じ向きに折れ曲がっていても良い。さらに、中心軸14の折れ曲がりよりも前側の部分の幅w1と後側の部分の幅w2との関係が、図16Cのようにw1=w2であっても良く、あるいは、図16Dのようにw1<w2であって良い。また、図16Eのように、中心軸14の折れ曲がり部分がZ軸方向にある領域を占めるように中心軸14が緩やかに折れ曲がっていても良い。さらに、中心軸14の折れ曲がりより前側の部分の幅w1が一定でなく変化していても良く、同様に中心軸14の折れ曲がりよりも後側の部分の幅w2が一定でなく変化していても良い。また、中心軸14の階段状の折れ曲がりの数は1つである必要はなく、2つ以上であっても良い。
Y軸方向に隣り合う高屈折率透明部13は、長さ(Z軸方向の寸法)h1,h2や中心軸14の折れ曲がりの向きを変えながら互いに一部で連続していてもよく、完全に独立していても良い。独立している場合には、隣り合う高屈折率透明部13間には低屈折率透明層12が充填される。
また、上記の実施形態1,2では、Z軸方向において、高屈折率透明部13がマイクロレンズ10の下面と接していたが、高屈折率透明部13とマイクロレンズ10とは離間していてもよい。この場合、両者間には低屈折率透明層12が設けられても良い。
高屈折率透明部13は、入射した光をその広がりを抑えながらフォトディテクター6側に導くという導波路としての機能を有するので、条件によってはこれと類似の機能を有するマイクロレンズ10を省略することも可能である(実際に、図5A、図5B、図6A、図6B、図7A、図7Bでの波動光学計算ではマイクロレンズ10を省略した)。ただし、高屈折率透明部13はY軸方向に延設されているので、Y軸方向には導波路としての効果が少ない。従って、高屈折率透明部13にマイクロレンズ10の代用をさせるには、少なくとも高屈折率透明部13および低屈折率透明層12の入射側表面に、高屈折率透明部の列ごとにX軸方向を中心軸方向とするシリンドリカル面を形成することが好ましい。
上記の実施形態1,2では、フォトディテクター6がX軸方向及びY軸方向に沿って2次元状に配列されていたが、1次元状に配列されていても良い。この場合、高屈折率透明部13も、フォトディテクター6の配列方向に沿って1次元状に配列される。
上記の実施形態1,2では、高屈折率透明部13の材料としてSiNを用いる例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば酸化タンタルや酸化チタン等の高屈折率材料や、低屈折率透明層12に対して0.2以上の屈折率差を確保できるのであればポリイミド樹脂等の樹脂材料やナノコンポジット等を用いることもできる。
上記の実施形態1,2では、0次回折光D0、1次回折光D1、−1次回折光D-1が緑、赤、青の三原色の光である場合を説明したが、0次回折光D0、1次回折光D1、−1次回折光D-1のうちの少なくとも1つが三原色以外の波長の光(例えば赤外光)であっても良い。
図17B及び図19に示した従来の光検出装置の受光領域には、実際にはマイクロレンズとフォトディテクターとの間に金属配線などの遮光部が存在するため、受光領域に入射した光の一部は遮光部によって遮られてしまう。これは、上記の実施形態1,2に示した光検出装置でも同様である。しかしながら、最近、金属配線の影響を受けずに受光領域の全面で受光できる裏面照射型の固体撮像素子が開発されている。光の回折を利用して色分離を行うことで光利用効率を高めることができる本発明の光検出装置を、上記の裏面照射型の固体撮像素子に適用すると、光利用効率を更に向上させることができ、効果的であると考えられる。
以上に説明した実施の形態は、いずれもあくまでも本発明の技術的内容を明らかにする意図のものであって、本発明はこのような具体例にのみ限定して解釈されるものではなく、その発明の精神と請求の範囲に記載する範囲内でいろいろと変更して実施することができ、本発明を広義に解釈すべきである。
本発明の利用分野は特に制限はなく、物体の像を撮影するための、小型且つ高解像度の撮像用光検出装置として広範囲に利用することができる。
1 物体
2 レンズ系
3 像
4 光検出装置
5 検出基板
6、6R、6G、6B フォトディテクター
7 低屈折率の透明バッファー層
7a 内部マイクロレンズ
8 高屈折率の透明バッファー層
10 マイクロレンズ
11 入射光線
12 低屈折率透明層
13、13a,13b 高屈折率透明部
14 高屈折率透明部の中心軸
D0 0次回折光
D1 1次回折光
D-1 −1次回折光