JPWO2010013288A1 - 走査装置 - Google Patents

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Abstract

試料(S)上の測定領域内に設定された複数の測定点上に順次、探針(2)を移動させてz変位量を測定する際に、加振制御部(4)は変位検出部(8)による検出出力に基づいてカンチレバー(1)の振動振幅が一定になるように圧電素子(3)をフィードバック制御する。また、垂直位置制御部(11)は周波数検出部(9)による周波数シフトに基づいて、探針(2)と試料(S)との間の距離を一定にするように垂直位置走査部(6)をフィードバック制御する。主制御部(12)は、或る測定点において2つのフィードバックループの出力の変化がいずれも所定範囲に収まったならば、速やかに次の測定点に移動するように水平位置制御部(11)に指令を出す。その結果、各測定点で2つのフィードバック制御の両方が静定するような測定時間が適応的に決定され、無駄な測定時間がなくなる。それにより、1枚の凹凸画像を作成するために必要な時間が従来よりも短くなり、スループットが向上する。

Description

本発明は、試料上に設定された複数の測定点を順次走査しながら各測定点において試料に関する物理量の測定・検出を行う測定装置、或いは、周波数、波長、質量電荷比m/zなどの様々な物理条件の上で設定された測定点を順次走査しながら物理量の測定・検出を行う測定装置において、複数の測定点を走査する走査装置に関する。
測定装置には、測定対象物上の測定位置を順に走査しながら各位置において測定を実行するものや、物理的なパラメータを順に走査(変更)しながら測定を実行するものが多い。例えば測定対象である試料上の測定位置を走査しながら測定を実行する測定装置としては、原子間力顕微鏡、走査型電子顕微鏡、イメージング質量分析装置、などが挙げられる。また、物理的なパラメータとして周波数を走査しつつ測定を行う測定装置としては、スペクトルアナライザやネットワークアナライザなどが挙げられる。また、物理的なパラメータとして光の波長を走査しつつ測定を行う測定装置としては、紫外可視分光光度計、赤外分光光度計、蛍光分光光度計などなどが挙げられる。また、物理的なパラメータとしてm/zを走査しつつ測定を行う測定装置としては、質量分析装置が挙げられる。
以下、主として試料表面の形状測定を行う原子力間顕微鏡や走査型電子顕微鏡などの表面分析装置を例に挙げて説明を進める。こうした分析装置では、試料上の所定の範囲を2次元的に走査し、試料上の微小領域の測定を繰り返すことで、所定範囲内の測定結果の分布などを求める。例えば原子間力顕微鏡(AFM)では、先鋭な探針と試料表面との間の距離に依存する信号を一定に維持するように、上記距離をフィードバック制御しつつ試料表面を1次元的又は2次元的に走査し、試料表面の凹凸観察像を取得する。
このAFMの一種である周波数変調方式の原子間力顕微鏡(FM−AFM)では、試料表面に原子レベルの距離まで近づけた探針を保持するカンチレバーをその機械的共振周波数で以て振動させ、探針と試料表面との間に働く相互作用力によって生じる共振周波数の変化(周波数シフト)を検出する。この周波数シフトは探針と試料表面との間の距離に依存するため、周波数シフトを一定に維持しながら、試料表面を試料上の法線方向に直交する面内で2次元走査(例えばラスタースキャン)することにより、試料表面の凹凸観察像を得る。この場合、試料と探針との間の距離を一定に維持するようにフィードバック制御が行われるとともに、探針の振動振幅を一定に維持するようなフィードバック制御も同時に行われる。
上記原子間力顕微鏡では、一般的に、試料上の各測定点での測定時間(滞在時間)は一定に決められており、或る測定点から次の測定点への移動に要する時間は各測定点での測定時間よりも十分に短いので、全体の測定時間、つまり試料表面の凹凸像を描出するのに要する時間は測定点の数に依存する。上述のように探針と試料との間の離間距離を一定とするフィードバック制御では、測定点の移動直後に離間距離が一定値に収束するまでに、フィードバック制御ループの応答特性などに依存して或る程度の時間が掛かる。そのため、各測定点に設定された測定時間が短すぎると、離間距離が一定値に収束する前に測定値が収集され、結果的に不正確な表面形状画像しか得られなくなる。或いは、最悪の場合には、探針が試料表面に接触し、その一方又は両方が破壊されて測定の継続が不可能になる。そこで、こうした不具合を回避するためには、凹凸の変化が最大である状態を想定した上で、該状態の下でも離間距離のフィードバック制御が十分に静定するような時間を算定し、各測定点における測定時間をその算定された時間よりも長く定めておくようにするとよい。
しかしながら、そうすると、一般的には各測定点における測定時間は長くなり、全ての測定点での測定を終了するのに要する時間は非常に長くなる。その結果、測定効率は悪く、スループットは低くなってしまう。さらにFM−AFMの応用の一種で、さらに電位差補償測定を行うケルビンフォース顕微鏡(KFM)では、通常のFM−AFMにおける上記2つのフィードバック制御ループに加えて、探針に生じる電位差を補償するフィードバック制御ループが存在する。この第3のフィードバック制御ループは電位差を計測するためのロックインアンプを含み、他のフィードバック制御ループに比べて静定するまでに掛かる時間が長い。そのため、表面が比較的平坦な試料を測定する場合であって、電位差変化が局所的でしかない場合であっても、全体の測定にはかなり長い時間が掛かることが避けられない。
従来、走査型トンネル顕微鏡では、特許文献1に記載のように、測定点の走査に伴って探針と試料との離間距離を一定に維持するべくフィードバック制御を行う際に、測定時間を試料表面の凹凸状態に応じて調整する、というものが知られている。しかしながら、FM−AFMやKFMなどでは、走査時に生じる変動要因を制御するフィードバック制御ループが複数存在するため、上記従来技術では適切な走査制御が行えないという問題がある。
また、走査型電子顕微鏡など、一般にフィードバック制御を伴わない走査を実行する装置に対しても、上記従来技術による制御を適用することができないという問題がある。
特開平5−164511号公報
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、複数のフィードバック制御を伴う走査を行う測定装置やフィードバック制御を伴わない走査を行う測定装置において、測定精度を犠牲にすることなく、測定時間を短縮して測定のスループットを向上させることができる走査装置を提供することにある。
上記課題を解決するためになされた第1発明は、試料上に設定された複数の測定点を順次走査しつつ各測定点における測定を実行する測定装置、又は測定の物理条件の上で設定された複数の測定点を順次走査しつつ各測定点における測定を実行する測定装置のための走査装置であって、
a)各測定点において予め定めた条件が満たされたか否かをそれぞれ判定するn個(nは2以上の任意の整数)の条件判定手段と、
b)各測定点で前記n個の条件判定手段により全ての条件が満たされたと判断した場合に、次の測定点に移行するべく試料若しくは測定系の空間的な移動又は物理条件の変更を行う走査制御手段と、
を備えることを特徴としている。
第1発明に係る走査装置では、或る測定点から次の測定点に移行した後に、例えば或る決められた時間が経過する前であっても、n個の条件が全て満たされたならば、速やかに次の測定点に移行するような走査が実施される。したがって、各測定点における測定時間は全ての条件がともに満たされるまでの時間で決まる。一般にこの測定時間は各測定点で同一ではなく、測定時間が長くなる場合もあれば短くて済む場合もある。従来行われているように全ての測定点において測定時間を一定にする場合、最も条件の悪い測定点に合わせて測定時間を決める必要があったため、多くの測定点においては測定時間が無用に長くなっている。これに対し、第1発明に係る走査装置では、各測定点毎に適応的に測定時間が決められ、無用に長い測定時間は存在しなくなるため、全ての測定点における測定を遂行するために必要な時間は従来に比べて大幅に短縮される。
また第1発明に係る走査装置では、n個の条件のうちの一部のみが満たされただけでは、次の測定点に移行する走査は実施されない。したがって、当該測定点で正確な測定が可能な状態となり正確な測定値が得られた後に、次の測定点に移行することになるため、全体として測定時間は短縮されるが測定の正確性は損なわれず、高い精度での測定を保証することができる。
第1発明に係る走査装置の一態様として、1つの測定点から次の測定点への移行に際して試料若しくは測定系の空間的な移動又は物理条件の変更を行うために少なくとも2つのフィードバック制御を行うものであり、前記n個の条件判定手段は、それぞれのフィードバック制御のためのフィードバック制御ループの出力が一定となる又はその出力の変化がそれぞれの許容範囲内に収まるか否かを判定するものである構成とすることができる。
また第1発明に係る走査装置の別の態様として、1つの測定点から次の測定点への移行に際して試料若しくは測定系の空間的な移動又は物理条件の変更を行うために少なくとも2つのフィードバック制御を行うものであり、前記n個の条件判定手段は、それぞれのフィードバック制御のためのフィードバック制御ループの入力値と目標値との誤差がゼロとなる又は該誤差がそれぞれの許容範囲内に収まるか否かを判定するものである構成とすることができる。
これら態様に係る走査装置の典型的な一例は、試料と探針との相対距離を保持しながら走査する周波数変調方式の原子間力顕微鏡(FM−AFM)に用いられる走査装置であり、この場合、前記フィードバック制御は、探針と試料との間の離間距離の制御と、探針(カンチレバー)の振幅制御との2つである。
さらに上記態様に係る走査装置の別の例は、試料と探針との相対距離を保持しながら走査を行うケルビンフォース顕微鏡に用いられる走査装置である。この場合、上述の探針と試料との間の離間距離の制御、探針の振動振幅制御のほかに、探針と試料との間の電位差を補償するためのフィードバック制御が存在する。つまり、3つのフィードバック制御ループが存在する。したがって、この場合の走査装置は、3つ全ての条件が満たされたときに、或る測定点から次の測定点に移行することになる。
また、上記n個の条件判定手段がそれぞれ、出力変化又は誤差がそれぞれの許容範囲内に収まるか否かを判定するものである場合に、その許容範囲をユーザが指定する指定手段を備える構成とすると好ましい。この構成によれば、測定目的や測定対象の試料の種類などによって、ユーザが自由に許容範囲を設定することができる。それにより、例えば、測定精度よりもスループットを重視する場合には許容範囲を相対的に大きく設定し、逆にスループットよりも測定精度を重視する場合には許容範囲を相対的に小さく設定することができる。
また、上記n個の条件判定手段がそれぞれ、出力変化又は誤差がそれぞれの許容範囲内に収まるか否かを判定するものである場合には、既に走査が行われた異なる2つ以上の測定点におけるフィードバック制御ループの出力値に基づいて許容範囲を自動的に算出して決定する範囲決定手段を備える構成としてもよい。
例えば範囲決定手段は、既に走査が行われた異なる2つの測定点におけるフィードバック制御ループの出力の相違(変化)や平均値の逆数に比例して許容範囲を決めることができる。これによれば、例えば試料表面の凹凸の大きな箇所では許容範囲を小さくして精度の高い測定を実行することができ、試料表面が平坦である箇所では自動的に許容範囲を大きくしてノイズ耐性を上げることができる。さらにまた、こうして自動的に決められた許容範囲に対し、さらにユーザが上限と下限を設定できるようにしてもよい。これにより、異常に大きな又は小さな許容範囲が設定されることを回避できる。
また第1発明に係る走査装置では、基本的には、全ての条件が満たされたときに次の測定点に移行するが、場合によっては全ての条件が満たされるまでに非常に長い時間が掛かる、或いは、何らかの不具合等によっていつまで待っても全ての条件が満たされる状態にならない、ということがあり得る。
そこで、こうした場合の対処として、第1発明に係る走査装置の好ましい一態様として、前記走査制御手段は、1つの測定点において所定時間内に全ての条件が満たされた状態とならない場合に、強制的に、次の測定点に移行するべく試料若しくは測定系の空間的な移動又は物理条件の変更を行う構成とするとよい。
これにより、何らかの不具合や異常により全ての条件が満たされない測定点が一部に存在した場合でも、全体の測定所要時間が大幅に延びることを回避することができる。また、その一部の測定点のみ測定精度が低下するだけで、他の殆どの測定点は高い精度でもって測定を行うことができる。
また第1発明に係る走査装置の好ましい別の態様として、前記走査制御手段は、1つの測定点において所定時間内に全ての条件が満たされた状態とならない場合に、それ以降の走査を中止する構成としてもよい。
これによれば、何らかの不具合や異常があって走査に支障をきたしたり装置自体の破損や故障に繋がるおそれがある場合に、速やかに走査・測定を中止することができる。これは、例えばFM−AFMなどの表面分析装置において、探針と試料とが衝突して探針や試料の破損を回避するのに有効である。この場合、走査・測定を中止すると同時に、探針と試料との離間距離を大きくするようなフェールセーフの制御を行うことがさらに望ましい。
また上記第1発明に係る走査装置であって、走査に伴うフィードバック制御がない場合には、各測定点において測定により取得された2種類以上の信号をそれぞれ積算する信号積算手段を備え、前記n個の条件判定手段は、各測定点で前記信号積算手段により積算された2種類以上の値がそれぞれに設定された所定値を超えるか否かを判定するものである構成とすることができる。
例えば電子線マイクロアナライザは、各測定点において、試料から発せられるX線と試料から放出される2次電子や反射電子を含む電子とをそれぞれ独立に検出する。そこで、X線強度信号と電子強度信号とを上記2種類の信号として、両者の積算値がそれぞれ規定の所定値を超えたときに速やかに次の測定点に移動するようにすればよい。
これによれば、信号強度が相対的に大きな測定点では測定時間が短くなり、逆に信号強度が相対的に小さな測定点では測定時間が長くなる。従来、信号強度が低い箇所でも十分なS/Nを確保する必要があるために全ての測定点で測定時間を長く設定していたが、上記構成によれば、十分なS/Nを確保できれば直ぐに次の測定点へ移行するので、無用に長い測定時間を確保することがなくなる。その結果、測定のスループットが向上する。また、信号レベルの低い測定点においては十分な積算が行われるので、十分なS/Nを確保して精度の高い測定が可能である。
走査に伴うフィードバック制御がない測定装置であって、各測定点において測定により1種類の信号のみが取得される測定装置でも、上述のように信号の積算値を利用して適応的に測定時間を決めることができる。
即ち、上記課題を解決するためになされた第2発明に係る走査装置は、試料上に設定された複数の測定点を順次走査しつつ各測定点における測定を実行する測定装置又は測定の物理条件の上で設定された複数の測定点を順次走査しつつ各測定点における試料に対する測定を実行する測定装置のための走査装置であって、
a)各測定点において測定により取得された信号を積算する信号積算手段と、
b)前記信号積算手段により積算された値が所定値を超えたか否かを判定する条件判定手段と、
c)前記条件判定手段により積算値が所定値を超えたと判断された場合に、次の測定点に移行するべく試料若しくは測定系の空間的な移動又は物理条件の変更を行う走査制御手段と、
を備えることを特徴としている。
なお、第1発明及び第2発明に係る走査装置において、複数の測定点を順次走査する際の走査の「次元」は特に限定されない。即ち、試料上に設定された測定点を走査する際には、1次元、2次元、又は3次元のいずれかの走査が考えられる。一方、測定の物理条件の上で設定された測定点を走査する際には、さらに多くのディメンジョンを採り得るから、4次元以上の走査も考えられる。
第1発明及び第2発明に係る走査装置によれば、複数の測定点を順に走査する際に各測定点において測定時間が適応的に決められるので、測定時間が一律に決められている場合とは異なり、測定時間の無駄がなくなる。その結果、所定の範囲に含まれる多数の測定点の全てで測定を実行するのに要する時間を従来よりも大幅に短縮することができ、測定のスループット向上に有用である。また、2以上のフィードバック制御を伴う走査を行う場合でも、その2つのフィードバック制御ループが十分に静定した状態で測定を実行することができる。したがって、高い測定精度を確保しながらスループットの向上が図れる。
本発明に係る走査装置を用いた測定装置の一実施例であるFM−AFMの概略ブロック構成図。 本実施例のFM−AFMにおける試料上の走査の概念図。 フィードバック制御の基本的な構成を示すブロック図。 本実施例のFM−AFMにおいて凹凸観察像を取得する際の特徴的な制御・処理動作を説明するためのフローチャート。 本実施例のFM−AFMにおいて凹凸観察像を取得する際の特徴的な制御・処理動作を説明するためのフローチャート。 本実施例のFM−AFMにおいて凹凸観察像を取得する際の特徴的な制御・処理動作を説明するためのフローチャート。 本実施例のFM−AFMにおいて凹凸観察像を取得する際の特徴的な制御・処理動作を説明するためのフローチャート。 本実施例のFM−AFMにおいて凹凸観察像を取得する際の特徴的な制御・処理動作を説明するためのフローチャート。 本実施例のFM−AFMにおいて凹凸観察像を取得する際の特徴的な制御・処理動作を説明するためのフローチャート。 本実施例のFM−AFMにおいて凹凸観察像を取得する際の特徴的な制御・処理動作を説明するためのフローチャート。 本実施例のFM−AFMにおいて凹凸観察像を取得する際の特徴的な制御・処理動作を説明するためのフローチャート。 本発明に係る走査装置を用いた測定装置の他の実施例であるKFMの概略構成図。 本発明に係る走査装置を用いた測定装置の他の実施例である電子線マイクロアナライザの要部の概略構成図。 他の実施例のKFMにおいて凹凸観察像を取得する際の特徴的な制御・処理動作を説明するためのフローチャート。 他の実施例のKFMにおいて凹凸観察像を取得する際の特徴的な制御・処理動作を説明するためのフローチャート。 他の実施例のKFMにおいて凹凸観察像を取得する際の特徴的な制御・処理動作を説明するためのフローチャート。 他の実施例のKFMにおいて凹凸観察像を取得する際の特徴的な制御・処理動作を説明するためのフローチャート。 従来のFM−AFMによる凹凸観察画像の一例であり、(a)は順方向走査を行った場合の画像、(b)は逆方向走査を行った場合の画像。 従来のFM−AFMにおいて線Qの位置における試料高さzの値を示すグラフ。 従来のFM−AFMにおいて順方向走査の際の線Qの位置における周波数シフトの誤差を示すグラフ。 従来のFM−AFMにおいて逆方向走査の際の線Qの位置における周波数シフトの誤差を示すグラフ。 本実施例のFM−AFMにおいて順方向走査の際の線Qの位置における周波数シフトの誤差及び試料高さの値を示すグラフ。 本実施例のFM−AFMにおいて逆方向走査の際の線Qの位置における周波数シフトの誤差及び試料高さの値を示すグラフ。 本実施例のFM−AFMにおいて順方向走査の際の線Qの位置における各測定点での測定時間の計測結果を示すグラフ。 本実施例のFM−AFMにおいて逆方向走査の際の線Qの位置における各測定点での測定時間の計測結果を示すグラフ。 本実施例のFM−AFMにおいて順方向走査の際の各測定点の測定時間と発生頻度との関係を示すグラフ。
符号の説明
1…カンチレバー
2…探針
3…圧電素子
4…加振制御部
5…試料支持台
6…垂直位置走査部
7…水平位置走査部
8…変位検出部
9…周波数検出部
10…垂直位置制御部
11…水平位置制御部
12…主制御部
12a…走査条件判定部
13…操作部
14…表示部
15…画像処理部
S…試料
A、B、C…フィードバック制御ループ
100…2次元領域
101…測定点
101a…測定点始点
101b…測定点終点
20…制御対象
21…検出部
22…誤差演算部
23…補償制御部
30…ロックインアンプ
31…交流電圧源
32…加算器
33…電位制御部
34…直流電圧源
41…電子銃
42…偏向コイル
43…対物レンズ
44…試料ステージ
46…ステージ駆動機構
47…試料ステージ制御部
49…X線検出器
50…X線分析部
51…増幅器
52、57…A/D変換器
53…X線データ処理部
55…電子検出器
56…撮像部
58…画像データ処理部
59…加速源
60…中央制御・処理部
60a…走査条件判定部
61…操作部
62…表示部
本発明に係る走査装置を用いた測定装置の一実施例であるFM−AFMを、添付の図面を参照して説明する。図1は本実施例によるFM−AFMの概略ブロック構成図である。
その長さが例えば100〜200[μm]程度である微小板ばね状のカンチレバー1の一端には探針2が設けられ、カンチレバー1の他端には加振部としての圧電素子3が取り付けられている。圧電素子3は加振制御部4から印加される電圧により微小変位し、これによりカンチレバー1をその共振周波数で以て振動させる。カンチレバー1は、ばね定数や探針2の質量などに依存する固有の共振周波数frを持つ。
測定対象である試料Sは試料支持台5上に配置され、試料支持台5は垂直位置走査部6により垂直方向(z軸方向)に移動自在であり、また水平位置走査部7により水平面内の2次元方向(x軸方向及びy軸方向)に移動自在である。共振周波数fr及び所定振幅で探針2を振動させながら該探針2を試料Sの表面に近づけると、探針2と試料S表面との間に力学的な相互作用が働く。この相互作用力によってカンチレバー1の共振周波数frが変化する。この変化量つまり周波数シフトΔfは、探針2と試料S表面との間に引力が作用した場合には負の値となり、斥力が作用した場合には正の値となる。
変位検出部8は探針2の機械的な変位を検出するものであり、例えば、発光源と、2分割又は4分割の検出面を備える光検出器と、該光検出器の複数の検出信号を演算処理する演算回路と、から成る。変位検出部8による変位検出信号は周波数検出部9に入力され、周波数検出部9は変位検出信号に対しFM復調を行って共振周波数の変化量、つまり周波数シフトΔfを検出する。周波数検出部9は、例えば位相同期ループ(PLL)、インダクタ及びキャパシタを用いた共振回路、各種フィルタなどにより構成することができる。
加振制御部4は、変位検出部8からの変位検出信号に基づいてカンチレバー1が上記共振周波数frで且つ一定の振動振幅で振動するように圧電素子3に電圧を印加する。つまり、図1中の点線で示すフィードバック制御ループAより、カンチレバー1の振動振幅は一定に、厳密には主制御部12から設定される制御目標値になるように制御される。
この状態で垂直位置走査部6により試料Sをz軸方向に移動させることで探針2の先端に試料Sを近づけると、前述のように探針2と試料Sとの間に働く力学的な相互作用によりカンチレバー1の実効的なばね定数が変化し、共振周波数frが変化する。この変化は探針2(カンチレバー1の一端)の変位量に現れるから、周波数検出部9は変位検出部8による変位検出信号に基づいて共振周波数の変化量(周波数シフトΔf)を検出し、この検出信号を垂直位置制御部10にフィードバックする。
垂直位置制御部10は垂直位置走査部6を制御することにより、探針2と試料Sとの間の距離(z軸方向の高さ)を変化させるものである。一方、水平位置制御部11は水平位置走査部7を制御することにより、x軸及びy軸の2軸方向に試料Sを移動させることで、試料S上で探針2による測定位置を走査するものである。垂直位置制御部10及び水平位置制御部11はいずれも主制御部12により統括的に制御される。主制御部12には、ユーザーにより操作される操作部13と、2次元画像を表示可能な表示部14とが接続されている。
例えば試料S上の所定の2次元領域の凹凸観察像を得る場合、垂直位置制御部10は周波数検出部9から与えられる周波数シフトΔfが一定となるように垂直位置走査部6を駆動して試料支持台5をz軸方向に変位させる。つまり、図1中の点線で示すフィードバック制御ループBにより、試料Sと探針2先端との間の離間距離が一定になるように、厳密には主制御部12から設定される制御目標値になるように制御される。
水平位置制御部11は、探針2による測定位置が上記所定の2次元領域内で移動するように水平位置走査部7を駆動する。このときz軸方向の変位量Δzは試料Sの表面の凹凸や形状に応じた値となるから、画像処理部15は水平位置制御部11により設定される試料S上のx軸及びy軸方向の位置を示すアドレスと変位量Δzとから、凹凸観察像を作成する。具体的には、図2に示すように、試料S上の2次元領域100内に格子状に設定される複数の測定点101を順次走査しながら、その各測定点の信号(変位量Δz)を得るものとする。これにより、表示部14の画面上に試料S上の2次元領域内の凹凸観察像を描出することができる。
図3は上記フィードバック制御ループA、Bなどによるフィードバック制御の基本的な構成を示すブロック図である。
制御対象20の変位量を検出する検出部21の出力信号が入力値として誤差演算部22に入力される一方、目標値も誤差演算部22に入力される。誤差演算部22は入力値と目標値との誤差を算出し、誤差量を補償制御部23に入力する。補償制御部23は誤差量がゼロになるように制御対象20に与える出力値を調整する。これによって制御対象20は所定の変位を生じる。例えば上記フィードバック制御ループAでは、変位検出部8が検出部21、加振制御部4が誤差演算部22及び補償制御部23、圧電素子3が制御対象20に相当する。フィードバック制御ループBでは、変位検出部8及び周波数検出部9が検出部21、垂直位置制御部10が誤差演算部22及び補償制御部23、垂直位置走査部6が制御対象20に相当する。
次に、本実施例によるFM−AFMにおいて凹凸観察像を取得する際の特徴的な制御・処理動作について、図4〜図11のフローチャートを参照して説明する。図4は測定点の走査制御・処理のメインルーチンのフローチャートである。
まずオペレータは、例えば図示しない光学カメラによる撮影画像に基づいて、凹凸像を取得する2次元範囲を操作部13により設定する。さらに、走査条件として、例えばx軸方向、y軸方向それぞれの測定点101の間隔、などを設定する(ステップS1)。このとき、後述する条件判断処理で利用される判断基準の許容範囲も設定することができる。また、ここでは一例として、図2に示すような順序で走査を実行するものとするが、この走査順序もオペレータが選択できるようにしてもよい。例えば、x軸方向、y軸方向に順に走査するほか、始めに指定された2次元領域100全体を疎らに、つまり空間的に隣接するいくつかの測定点をスキップするように走査を行い、その後にスキップした測定点を埋めるように密な走査を実行する、など、様々な走査アルゴリズムを採用することができる。
オペレータの測定開始の指示により、主制御部12は測定を開始する。まず、主制御部12は設定された2次元領域100内で走査の開始点である測定点始点101aを決定し、その測定点始点101a上に探針2が来るように水平位置制御部11を制御する(ステップS2)。次に、主制御部12はその測定点において条件判断処理を実行する(ステップS3)。条件判断処理の詳細な内容は後で説明する。条件判断処理が終了すると、その測定点が走査の終了点である測定点終点101bであるか否かを判定する(ステップS4)。測定点終点101bでなければ次の測定点上に探針2が来るように水平位置制御部11を制御し(ステップS5)、ステップS2へと戻る。一方、ステップS4において測定点終点であると判断されれば、測定を終了する。
図5及び図6はそれぞれ、上記ステップS3の条件判断処理の具体的な手順の一例を示すサブルーチンのフローチャートである。まず図5の例について説明する。
主制御部12の走査条件判定部12aは、まず繰り返し回数計数用の変数Nをリセットし(ステップS10)、条件判断用変数Zもリセットする(ステップS11)。次に、第1フィードバック制御ループの出力制御を実行し(ステップS12)、その第1フィードバック制御ループのチェックを実行する(ステップS13)。ここでは、第1フィードバック制御ループは上述したフィードバック制御ループA、つまりカンチレバー1の振動振幅を一定に維持するためのフィードバック制御である。続いて、第2フィードバック制御ループの出力制御を実行し(ステップS14)、その第2フィードバック制御ループのチェックも実行する(ステップS15)。ここでは、第2フィードバック制御ループは上述したフィードバック制御ループB、つまり探針2と試料S表面との間の離間距離を一定に維持するためのフィードバック制御である。これら各フィードバック制御ループの出力制御及びフィードバック制御ループのチェックの詳細な内容は後で説明するが、ステップS13、S15のフィードバック制御ループのチェックにおいて何らかの問題があった場合には変数Zに1が加算され、少なくともZ=0ではなくなる。
次に、繰り返し回数計数用変数Nを1だけカウントアップし(ステップS16)、この変数Nが予め定められた上限値Nth未満であるか否かを判定する(ステップS17)。この上限値Nthは、フィードバック制御ループの応答特性や測定可能範囲(試料表面の最大凹凸量など)、或いは使用されるカンチレバー1のばね定数の範囲、などに応じて決められているが、ユーザ(オペレータ)が変更又は設定できるようにしてもよい。
ステップS17で変数Nが上限値Nth未満であれば、条件判断用変数Zが0であるか否かを判定する(ステップS18)。上述したようにステップS13、S15のフィードバック制御ループのチェックにおいて何らかの問題があった場合には変数Zは0ではなくなるため、ステップS18からS11へと戻り、変数Zをリセットして再びステップS12〜S17の処理を実行する。したがって、ステップS18で仮に条件判断用変数Zが0でなくても、繰り返し回数計数用変数Nが上限値Nthに達するまではステップS12〜S15を繰り返す。その間に、ステップS18で条件判断用変数Zが0であれば、つまりステップS13、S15のフィードバック制御ループのチェックでいずれも問題がなければステップS18でYesと判定され、この条件判断処理を終了して上述したメインのルーチンに戻る。
一方、ステップS17で繰り返し回数計数用変数Nが上限値Nthに達したと判断されると、主制御部12はその時点で走査を中止し、探針2と試料Sとの接触を回避するために探針2を試料Sから遠ざけるように垂直位置走査部6を制御する(ステップS19)。そして、測定を中断したことをオペレータに知らせるべく、例えば表示部14によりエラーを報知する(ステップS20)。したがって、繰り返し回数計数用変数Nが上限値Nthに達するまでステップS12〜S15の処理を繰り返しても条件判断用変数Zが0とならない、つまり、2つのフィードバック制御ループのチェックでOKとならない場合には、測定が途中で打ち切られることになる。
条件判断処理の別の例を図6により説明する。図6に示した条件判断処理において、ステップS10〜S18の制御・処理は上記図5の例と全く同じであり、ステップS17でNoと判断された場合の処理のみが相違する。即ち、図5の例では、繰り返し回数計数用変数Nが上限値Nthに達したと判断されると、走査・測定が中止されていたが、この例では、繰り返し回数計数用変数Nが上限値Nthに達したと判断されると、この条件判断処理を強制的に終了し(ステップS21)、上述したメインのルーチンに戻る。つまり、このときの測定点については2つのフィードバック制御ループの少なくともいずれか1つはチェックOKとならない状態で変位量Δzの値が取得され、次の測定点への移動が実施されることになる。2つのフィードバック制御ループの少なくともいずれか1つがチェックOKとならない状態で取得された変位量Δzは相対的に精度が低いものの、他の測定点において正常な測定が実行されれば、2次元領域100全体に対しては十分に高い精度の測定結果を得ることができる。
次に、図5、図6中のステップS12、S14のフィードバック制御ループの出力制御の具体的な手順の一例を、図7により説明する。この出力制御は、図3に示したようなフィードバック制御ループにおいて、誤差演算部22及び補償制御部23で実行される制御である。図7中でnは1又は2であり、n=1の場合がステップS12、n=2の場合がステップS14である。この出力制御の手順はごく一般的なフィードバック制御の手順であり、本発明に特徴的なものではない。
まず、フィードバック制御ループの入力値を取得し(ステップS30)、その入力値と目標値との誤差を算出する(ステップS31)。この誤差の有無を判定し(ステップS32)、誤差がなければ出力値を現状維持としたまま(ステップS33)、このサブルーチンを終了して図4又は図5に示すルーチンに戻る。誤差がある場合には、その誤差量に応じて、通常、誤差量が大きいほど出力値の変化も大きくなるように出力値を変化させる(ステップS34)。このような処理により、入力値が目標値に近づくように制御対象20、つまり圧電素子3や垂直位置走査部6が駆動されることになり、カンチレバー1の振動振幅は一定値に収束し、探針2と試料Sとの間の離間距離も一定値に収束する。
次に、図5及び図6中のステップS13、S15のフィードバック制御ループのチェックの具体的な手順のいくつかの例を、図8〜図11により説明する。
まず図8の例について説明する。走査条件判定部12aは、フィードバック制御ループの所定時間内の出力値の変化を検出し(ステップS40)、その出力値の変化が実質的にゼロであるか否かを判定する(ステップS41)。出力値に変化がなければこのサブルーチンを終了し、図5又は図6に示すルーチンに戻る。一方、出力値に変化がある場合には条件判断用変数Zをカウントアップした上で(ステップS42)、このサブルーチンを終了する。即ち、この例では、フィードバック制御ループの出力値が或る値に収束して変動がなくなった場合に、条件判断用変数Zを0にする、つまり、次の測定点への移動が可能な走査条件が満たされたと判断する。
次に図9の例について説明する。走査条件判定部12aは、フィードバック制御ループの所定時間内の出力値の変化を検出し(ステップS40)、その出力値の変化が予め設定された所定の許容範囲内であるか否かを判定する(ステップS43)。出力値の変化が許容範囲内に収まっていればこのサブルーチンを終了し、図5又は図6に示すルーチンに戻る。一方、出力値の変化が許容範囲を外れている場合には、条件判断用変数Zをカウントアップした上で(ステップS42)このサブルーチンを終了する。即ち、この例では、フィードバック制御ループの出力値が或る許容範囲に収束した場合に、条件判断用に変数Zを0にする、つまり、次の測定点への移動が可能な走査条件が満たされたと判断する。図7の例よりも条件が緩いので、測定精度の点では劣る可能性があるが、各測定点での測定時間を短くすることができる。
次に図10の例について説明する。走査条件判定部12aは、フィードバック制御ループの現時点での入力値を検出し(ステップS44)、その入力値と目標値との誤差を算出する(ステップS45)。そして、この誤差が実質的にゼロであるか否かを判定する(ステップS46)。誤差がゼロであればこのサブルーチンを終了して図4又は図5に示すルーチンに戻る。一方、誤差がゼロでない場合には、条件判断用変数Zをカウントアップした上で(ステップS42)このサブルーチンを終了する。即ち、この例では、図8の例と同様に、フィードバック制御ループの出力値が或る値に収束して変動がなくなった場合に(完全に静定した場合に)条件判断用変数Zを0にする、つまり、次の測定点への移動が可能な走査条件が満たされたと判断する。
次に図11の例について説明する。走査条件判定部12aは、フィードバック制御ループの現時点での入力値を検出し(ステップS44)、その入力値と目標値との誤差を算出する(ステップS45)。そして、この誤差が予め設定された所定の許容範囲内であるか否かを判定する(ステップS43)。誤差が許容範囲内に収まっていればこのサブルーチンを終了して図4又は図5に示すルーチンに戻る。一方、誤差が許容範囲を外れている場合には、条件判断用変数Zをカウントアップした上で(ステップS42)このサブルーチンを終了する。即ち、この例では、図9の例と同様に、フィードバック制御ループの出力値が或る許容範囲に収束した場合に、条件判断用変数Zを0にする、つまり、次の測定点への移動が可能な走査条件が満たされたと判断する。図10の例よりも条件が緩いので、測定精度の点では劣る可能性があるが、各測定点での測定時間を短くすることができる。
各フィードバック制御ループのチェックとしては上記いずれの例を用いてもよいが、上記ステップS17で変数Nが上限値Nthに達して時間切れとなることをできるだけ回避するには、図9又は図11に示した例を用いるとよい。
いずれにしても、フィードバック制御ループA、Bの両方でチェックの条件が満たされれば、つまりステップS41、S43、S46又はS49でYesと判定されれば、条件判断用変数Zはカウントアップされないので、ステップS18でこの変数Zはゼロであると判定される。その結果、その測定点での測定が終了し、次の測定点への移動が実行される。簡単に言うと、或る測定点の上方に探針2が来た状態でカンチレバー1の振動振幅が所定の状態に収束し、且つ探針2と試料Sとの間の離間距離が所定の状態に収束すると、速やかに次の測定点に移動するように水平位置走査部7が駆動される。したがって、上記2つの条件が満たされるまでの時間が短いほど、その測定点での測定時間は短くて済む。
一般的に、或る測定点から次の測定点に移動する際に、試料Sの表面高さの変化が大きいほど、つまり凹凸が激しいほど、上記フィードバック制御で十分に収束するまでに時間が掛かる。したがって、試料表面が比較的平坦な箇所では1つの測定点における測定時間が短く、つまり走査速度が上がり、試料表面の凹凸が大きな箇所では1つの測定点における測定時間が長く、つまり走査速度が下がる。従来の測定時間一定のFM−AFMではこの長い測定時間に合わせて測定時間を定めておく必要があったが、本実施例のFM−AFMでは多くの測定点においてより短い測定時間で次の測定点に移行するため、目的とする2次元領域全体を走査するのに要する時間を大幅に短縮することができる。これによって、測定のスループットを向上させることができる。
また、試料表面の凹凸が大きな箇所では1つの測定点に対して十分に長い測定時間が確保されるので、振動振幅制御や距離制御が十分に機能した状態でその測定点に対する測定結果(Δz)を取得することができ、高精度の測定結果を得ることができる。
また図5の例のようにすることで、測定系に何らかの不具合があって正常なフィードバック制御が不可能である場合には走査・測定を中断し、探針2と試料Sとが接触して破損などのより深刻な不具合を引き起こすことを回避することができる。
上記実施例は走査に伴うフィードバック制御ループが2つ存在する場合であるが、これは3以上であってもよい。図12は本発明に係る走査装置を用いた測定装置の他の例であるKFMの概略構成図である。図1に示したFM−AFMの構成と同一の構成要素には同一符号を付した。KFMでは、上記の離間距離の制御と振動振幅の制御のほか、探針2と試料Sとの間の電位差の制御を行うためのフィードバック制御ループCが追加されている。
即ち、探針2と試料支持台5との間には、直流電圧源34による直流オフセット電圧VDCと所定周波数fACをもつ交流電圧源31による交流バイアス電圧とを加算器32で加算した電圧が印加される。それによって、探針2と試料Sとの間には静電引力が発生する。変位検出部8はこの静電引力によるカンチレバー1の変位を検出し、その検出信号がロックインアンプ30に入力される。ロックインアンプ30はこの検出信号について交流バイアス電圧の周波数fAC成分の信号を抽出し、電位制御部33に送る。電位制御部33は周波数fAC成分の信号がゼロになるように直流電圧源34を制御し、直流オフセット電圧VDCを変化させる。周波数fAC成分の信号がゼロになったときの直流オフセット電圧VDCがポテンシャル値であり、各測定点においてポテンシャル値を求めることで試料Sのポテンシャル像を作成することができる。
このようにフィードバック制御ループが増加した場合でも、走査に関する基本的な制御・処理動作は上記実施例と同じであり、図5又は図6でS12〜S15の処理の後に第3フィードバック制御ループの出力制御及び第3フィードバック制御ループのチェックが追加されるだけである。一般的には、KFMの電位制御のフィードバック制御ループの応答特性は他の2つのフィードバック制御ループの応答特性よりも遅い。したがって、各測定点において測定時間は長くなり、目的とする2次元領域全体の測定所要時間も長くなる。
上記実施例では、フィードバック制御ループのチェックの際に出力値変化や誤差を判定する許容範囲を操作部13によりユーザが設定できるようにしていたが、自動的に適切な許容範囲を計算して設定する機能を付加することもできる。図17は、主制御部12が範囲設定処理を実行するための手順の一例を示すフローチャートである。
即ち、各フィードバック制御ループにおいて、1つ前の測定点におけるフィードバック制御ループ出力値(次の測定点へ移行する直前の値)と2つの前の測定点におけるフィードバック制御ループ出力値との差を変化量として求め、この逆数に定数Aを乗じて値Bを算出する(ステップS80)。つまり、値Bは出力値の変化量の逆数に比例する値である。この値を基本的には許容範囲とするが、例えば出力値の変化量が0であればその逆数は無限大となることからも分かるように、値Bが極端に大き過ぎたり小さ過ぎたりして許容範囲として適当でない場合がある。そこで、値Bが予め設定された上限値Bupperを超えたときには(ステップS81でNo)値Bを上限値Bupperに定め(ステップS82)、逆に値Bが予め設定された下限値Blowerを下回ったときには(ステップS83でNo)値Bを下限値Blowerに定める(ステップS84)。値Bが上限値Bupperと下限値Blowerの間の範囲にあるときには、値Bをそのまま許容範囲とする(ステップS85)。
なお、1つ前の測定点におけるフィードバック制御ループ出力値と2つの前の測定点におけるフィードバック制御ループ出力値との差を変化量として求める以外に、1つ以上前の測定点におけるフィードバック制御ループ出力値と2つ以上前の測定点におけるフィードバックループ出力値との差を変化量として求めてもよく、3以上の測定点におけるフィードバック制御ループ出力値を用いて変化量を求めてもよく、或いは、それらの平均値や分散などを利用して変化量を求めてもよい。
上記のようにして条件判断に用いる許容範囲を定めることにより、直前の測定点におけるフィードバック制御ループの出力値の変化が小さい場合には許容範囲を相対的に大きくしてノイズなどの外乱によって走査が中断することを回避し、直前の測定点におけるフィードバック制御ループの出力値の変化が大きい場合には許容範囲を相対的に狭くして厳密な条件判断を行うようにすることができる。
上記実施例は走査に伴うフィードバック制御が存在する場合の例であるが、次にフィードバック制御を伴わない走査を行う測定装置に本発明を適用する場合の例を説明する。こうした装置の一例として電子線マイクロアナライザを挙げて、図面を参照して説明する。図13は本実施例による電子線マイクロアナライザの要部の概略構成図である。
加速源59により駆動される電子銃41から放出された電子線Eは偏向コイル42を介し、対物レンズ43によって集束されて試料ステージ44上に載置された試料Sの表面に照射される。試料ステージ44は試料ステージ制御部47の制御の下に、モータ等を含むステージ駆動機構46によりx軸方向、y軸方向に移動可能である。これにより試料S上での電子線Eの照射位置、つまり測定点が移動する。電子線Eの照射により試料Sから放出された特性X線はエネルギー分散型のX線検出器49に入力され、X線検出器49は入射したX線のエネルギーに比例した波高値を有するパルス信号を発生する。このパルス信号は増幅器51で増幅され、A/D変換器52でデジタルデータに変換されてX線データ処理部53に入力される。X線データ処理部53では、パルス高さ毎に弁別されてカウントされたX線パルスの数がX線データとして記憶される。
一方、電子線Eの照射により試料Sからは2次電子や反射電子も放出され、シンチレータと光電子増倍管とから成る電子検出器55により検出される。電子検出器55による検出信号はA/D変換器57によりデジタルデータに変換され、画像データ処理部58に入力される。画像データ処理部58では電子線Eの照射位置の走査に応じた範囲の試料表面の2次電子画像(又は反射電子画像)が作成される。
増幅器51、A/D変換器52、X線データ処理部53を含むX線分析部50の動作、A/D変換器57、画像データ処理部58を含む撮像部56の動作、試料ステージ制御部47、加速源59はいずれも中央制御・処理部60により制御される。この中央制御・処理部60は上記実施例における走査条件判定部12aに相当する走査条件判定部60aを含む。
この電子線マイクロアナライザでは、次のようにして2次電子画像とX線画像(マッピング画像)の同時取得が実行される。オペレータが試料S上の測定範囲及び測定条件(走査条件を含む)を操作部61により設定した上で測定開始を指示すると、中央制御・処理部60は試料ステージ制御部47と加速源59に所定の制御信号を送る。これにより、試料S上の測定点始点に電子線Eが当たるように試料ステージ44が移動され、電子銃41から所定のエネルギーの電子線Eが出射され、電子線Eの照射位置の走査が開始される。即ち、ステージ駆動機構46による2次元的な試料ステージ44の移動により、電子線Eの照射位置は図2中に示すように走査される。
中央制御・処理部60は電子線Eの照射位置の走査開始とともに、X線分析部50の動作を開始させ、撮像部56の動作を開始させる。これにより、X線分析部50においては、X線検出器49に入射したX線フォトンが持つエネルギーに対応したデータが取得され始める。一方、撮像部56においては、各測定点で順次電子強度信号が得られる。そうして各測定点でX線データと電子強度データとを順次取得し、電子線Eの照射位置が測定点終点に到達し、試料ステージ制御部47から走査終了信号が中央制御・処理部60に送られると、加速源59により電子線Eの照射を停止させる。これにより、目的とする測定範囲に対する2次電子画像とX線マッピング画像とが得られ、こうした画像が表示部62に表示される。
この電子線マイクロアナライザでは、上記実施例と同様に、図4に示した手順に従って各測定点の走査を実行する。但し、ステップS3の条件判断処理については、図5又は図6に代えて図14又は図15の処理を実行する。即ち、第1及び第2フィードバック制御ループの出力制御(ステップS12、S14)に代えて第1及び第2信号の積算(ステップS52、S54)を実行し、第1及び第2フィードバック制御ループのチェック(ステップS13、S15)に代えて第1及び第2信号の積算チェック(ステップS53、S55)を実行する。ここで、第1信号はX線データ、第2信号は電子強度データである。
例えばステップS3の条件判断処理として図14に示したサブルーチンを実行する場合、走査条件判定部60aは、繰り返し回数計数用変数N、条件判断用変数Zをリセットした(ステップS10、S11)後に、その測定点により得られた第1信号としてのX線データの積算を行う(ステップS52)。もちろん、或る測定点において初めてこの処理を実行する直前に積算値は0にリセットされる。引き続き、走査条件判定部60aは、その第1信号の積算チェックを実行する(ステップS53)。
図16に示すように、第n信号(この例ではn=1、2)の積算チェックのサブルーチンでは、積算値が予め設定された所定値以上であるか否かを判定し(ステップS70)、所定値以上になっていなければ条件判断用変数Zをカウントアップし(ステップS71)、このサブルーチンを終了して条件判断処理のルーチンへ戻る。一方、積算値が所定値以上であればそのままこのサブルーチンを終了して条件判断処理のルーチンへ戻る。その測定点により得られた第2信号としての2次電子強度データの積算(ステップS54)及び第2信号の積算チェック(ステップS55)も同様である。
したがって、第1信号の積算値と第2信号の積算値とが共にそれぞれ所定値以上となると、ステップS18で条件判断用変数Zが0であると判定されて、条件判断処理サブルーチンを終了してメインルーチンに戻る。つまり、その測定点での測定を終了し、次の測定点へ移動するように試料ステージ制御部47へと指令が出され、ステージ駆動機構46が試料ステージ44を移動させる。このため、得られる信号のレベルが大きな測定点では相対的に短い測定時間で、得られる信号のレベルが小さな測定点では相対的に長い測定時間で測定が行われ、次の測定点への移動がなされる。これにより、或る測定点において必要以上に長い時間測定を実行することがなくなるので測定のスループットを向上させることができる。また同時に、信号レベルが低い測定点では信号の積算回数を増えるので、従来よりもS/Nを改善することができる。
このように測定点の走査に伴うフィードバック制御がない場合でも、測定により得られる信号を利用して走査速度を適応的に調整し、測定のスループット向上を達成することができる。もちろん、得られる信号の種類が3以上である場合でも同様の手法を適用できることは明らかである。
なお、上記実施例はいずれも、試料上に空間的に互いに離れた測定点を設定し、その測定点においてそれぞれ測定を実行する測定装置を例に挙げて説明を行ったが、測定点は空間的に設定されるものではなく、測定結果を左右する物理的な測定条件(測定パラメータ)が測定点であってもよい。
例えば、スペクトルアナライザやネットワークアナライザなどでは周波数を測定条件とし、周波数を複数段階に変化させながら各周波数における測定を実行する。この場合、各周波数がそれぞれ測定点であるとみなすことができる。また例えば紫外可視分光光度計や赤外分光光度計、蛍光分光光度計などにおいては、光の波長を測定条件とし、波長を複数段階に変化させながら各波長における測定を実行する。この場合、各波長がそれぞれ測定点であるとみなすことができる。
次に、実験結果に基づき、上記実施例のFM−AFMと従来のFM−AFMとを比較して、本実施例のFM−AFMの効果及び利点を明らかにする。図18は従来のFM−AFMによる凹凸観察画像の一例であり、(a)は順方向(図で左から右方向)走査を行った場合の画像、(b)は逆方向(図で右から左方向)走査を行った場合の画像である。大きな凹凸がある箇所で規定の測定時間内に十分なフィードバック制御(距離制御)が十分に静定しておらず、それが尾を引くような画像として現れているのが分かる。
図19は従来のFM−AFMにおいて線Qの位置における試料高さzの実測値を示すグラフである。順方向走査と逆方向走査とで試料高さの実測値に大きな差が生じている箇所があることが分かる。この差が大きな箇所が、フィードバック制御(離間距離制御)の静定が十分に行えない測定点が存在する位置である。
図20及び図21は、同じく従来のFM−AFMにおける順方向走査及び逆方向走査の際の線Qの位置における周波数シフト誤差を示すグラフである。これら図により、周波数シフトの誤差が極端に大きくなっていることから、フィードバック制御の静定が十分に行われていないことが理解できる。
図22及び図23は、本実施例のFM−AFMにおいて、順方向走査及び逆方向走査の際の、線Qの位置における周波数シフトの誤差及び試料高さの実測値を示すグラフである。周波数シフトの誤差が非常に狭い範囲収まっており、フィードバック制御が十分に機能していることが理解できる。これによって、順方向走査及び逆方向走査の試料高さの実測値はほぼ一致しており、試料表面の凹凸が高い精度で測定できていることが分かる。
図24及び図25は、本実施例のFM−AFMにおいて、順方向走査及び逆方向走査の際の各測定点での測定時間の計測結果を示すグラフである。試料表面の凹凸が大きな箇所では測定時間が長くなり、それ以外の平坦な箇所では短い測定時間であることが分かる。
図26は順方向走査の際の各測定点の測定時間と発生頻度との関係を示すグラフである。実際に、最も長い測定時間となったのは、つまりフィードバック制御の静定に時間を要したのは、12.3m秒である。仮に、この最大の測定時間に合わせて各測定点の測定時間を一定に維持する走査を行った場合、1枚の凹凸像を作成するために3936秒、つまり1時間以上掛かることになってしまう。全ての測定点でフィードバック制御が完全に静定しなくても、大部分の測定点でフィードバック制御が静定すれば実用上十分であると考えると、測定時間を例えば3.5m秒程度とすることができる。この測定時間に合わせて各測定点の測定時間を一定に維持する走査を行った場合には、1枚の凹凸像を作成するために要する時間は1120秒である。この場合でも、約20分程度の時間が掛かることになる。もちろん、この場合には、3.5m秒の測定時間内にフィードバック制御が十分に静定しない測定点においては、十分な測定精度が確保できないことになる。
これに対し、本実施例のFM−AFMでは、1枚の凹凸像を作成するために要する時間は261.3秒で済むことが確認できた。即ち、従来のFM−AFMにおいて、上述のように実用上十分である程度に各測定点での測定時間を設定した場合と比較しても、1枚の凹凸像を作成するために要する時間は1/4で済み、大幅な時間短縮が達成できることが分かる。また、このときには、全ての測定点でフィードバック制御が十分に静定した状態で測定結果が得られることが保証されるから、測定精度の点でも優れていると言うことができる。
なお、上記実施例は本発明の一例にすぎず、本発明の趣旨の範囲で適宜、変形、修正、追加を行っても本願特許請求の範囲に包含されることは明らかである。

Claims (11)

  1. 試料上に設定された複数の測定点を順次走査しつつ各測定点における測定を実行する測定装置、又は測定の物理条件の上で設定された複数の測定点を順次走査しつつ各測定点における測定を実行する測定装置のための走査装置であって、
    a)各測定点において予め定めた条件が満たされたか否かをそれぞれ判定するn個(nは2以上の任意の整数)の条件判定手段と、
    b)各測定点で前記n個の条件判定手段により全ての条件が満たされたと判断した場合に、次の測定点に移行するべく試料若しくは測定系の空間的な移動又は物理条件の変更を行う走査制御手段と、
    を備えることを特徴とする走査装置。
  2. 請求項1に記載の走査装置であって、
    1つの測定点から次の測定点への移行に際して試料若しくは測定系の空間的な移動又は物理条件の変更を行うために少なくとも2つのフィードバック制御を行うものであり、
    前記n個の条件判定手段は、それぞれのフィードバック制御のためのフィードバック制御ループの出力が一定となる又はその出力の変化がそれぞれの許容範囲内に収まるか否かを判定するものであることを特徴とする走査装置。
  3. 請求項1に記載の走査装置であって、
    1つの測定点から次の測定点への移行に際して試料若しくは測定系の空間的な移動又は物理条件の変更を行うために少なくとも2つのフィードバック制御を行うものであり、
    前記n個の条件判定手段は、それぞれのフィードバック制御のためのフィードバック制御ループの入力値と目標値との誤差がゼロとなる又は該誤差がそれぞれの許容範囲内に収まるか否かを判定するものであることを特徴とする走査装置。
  4. 請求項2又は3に記載の走査装置であって、
    前記n個の条件判定手段が、出力変化又は誤差がそれぞれの許容範囲内に収まるか否かを判定するものである場合に、その許容範囲をユーザが指定する指定手段を備えることを特徴とする走査装置。
  5. 請求項2又は3に記載の走査装置であって、
    前記n個の条件判定手段が、出力変化又は誤差がそれぞれの許容範囲内に収まるか否かを判定するものである場合に、既に走査が行われた異なる2つ以上の測定点におけるフィードバック制御ループの出力値に基づいて許容範囲を自動的に算出して決定する範囲決定手段を備えることを特徴とする走査装置。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の走査装置であって、
    前記走査制御手段は、1つの測定点において所定時間内に全ての条件が満たされた状態とならない場合に、強制的に、次の測定点に移行するべく試料若しくは測定系の空間的な移動又は物理条件の変更を行うことを特徴とする走査装置。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の走査装置であって、
    前記走査制御手段は、1つの測定点において所定時間内に全ての条件が満たされた状態とならない場合に、それ以降の走査を中止することを特徴とする走査装置。
  8. 請求項2〜5のいずれかに記載の走査装置であって、
    試料と探針との相対距離を保持しながら走査を行う周波数変調方式の原子間力顕微鏡に用いられる走査装置であり、
    前記フィードバック制御は、探針と試料との間の離間距離の制御と、探針の振動振幅の制御との2つであることを特徴とする走査装置。
  9. 請求項8に記載の走査装置であって、
    試料と探針との相対距離を保持しながら走査を行うケルビンフォース顕微鏡に用いられる走査装置であり、前記2つのフィードバック制御に加えて、探針と試料との間の電位差の補償を行うフィードバックループ制御が行われることを特徴とする走査装置。
  10. 請求項1に記載の走査装置であって、
    各測定点において測定により取得された2種類以上の信号をそれぞれ積算する信号積算手段を備え、
    前記n個の条件判定手段は、各測定点で前記信号積算手段により積算された2種類以上の値がそれぞれに設定された所定値を超えるか否かを判定するものであることを特徴とする走査装置。
  11. 試料上に設定された複数の測定点を順次走査しつつ各測定点における測定を実行する測定装置又は測定の物理条件の上で設定された複数の測定点を順次走査しつつ各測定点における試料に対する測定を実行する測定装置のための走査装置であって、
    a)各測定点において測定により取得された信号を積算する信号積算手段と、
    b)前記信号積算手段により積算された値が所定値を超えたか否かを判定する条件判定手段と、
    c)前記条件判定手段により積算値が所定値を超えたと判断された場合に、次の測定点に移行するべく試料若しくは測定系の空間的な移動又は物理条件の変更を行う走査制御手段と、
    を備えることを特徴とする走査装置。
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