JPWO2010008014A1 - カーボンナノ前駆体、その製造方法、カーボンナノ複合体およびその製造方法 - Google Patents

カーボンナノ前駆体、その製造方法、カーボンナノ複合体およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

カーボンナノ前駆体11は、単分散状態のカーボンナノチューブ12と、カーボンナノチューブ12の表面に付着する一次粒子状態のカーボンブラック13とを含む。このようなカーボンナノ前駆体11によると、一次粒子状態のカーボンブラック13が、単分散状態のカーボンナノチューブ12の表面に付着しているため、その粒度が比較的大きく、取扱い性が良好である。また、単分散状態のカーボンナノチューブ12の表面に付着する一次粒子状態のカーボンブラック13により、基材に混合した場合に、基材に対して高導電性および高強度を付与することができる。

Description

この発明は、カーボンナノ前駆体、その製造方法、カーボンナノ複合体およびその製造方法に関するものである。
ナノメートルサイズの高機能材料として、カーボンナノチューブのようなナノカーボン材料が知られている。カーボンナノチューブに代表されるナノカーボン材料は、高機能が要求される種々の材料に添加され、利用されている。
ここで、カーボンナノチューブを含む組成物に関する技術が、特表2007−507562号公報(特許文献1)、および特開2006−83249号公報(特許文献2)に開示されている。特許文献1には、有機ポリマー前駆体、単層ナノチューブ組成物、および任意のナノサイズ導電性充填材を含む導電性前駆体組成物が開示されている。また、特許文献2によると、ナノカーボン配合ゴム組成物の製造方法として、ゴムに補強剤および/または充填材配合剤を混練配合した後、ナノカーボンを混練配合することとしている。
また、カーボンナノチューブと他のカーボン材料とによって構成するカーボンナノチューブの複合材料とその製造方法に関する技術が、特開2006−45034号公報(特許文献3)に開示されている。特許文献3によると、凝集して塊になったカーボンナノチューブを解して分散させてカーボンナノチューブの複合材料を生成するために、カーボンナノチューブと燃焼温度がカーボンナノチューブより低く、吸着性があるカーボン材料とを、溶媒中で混合・分散して混合物を生成し、その混合物を乾燥して、所望の混合物を得ることとしている。
また、微小カーボン分散物に関する技術が、WO2005/110594号公報(特許文献4)に開示されている。
特表2007−507562号公報 特開2006−83249号公報 特開2006−45034号公報 WO2005/110594号公報
特許文献1や特許文献2に示す従来の技術では、ナノカーボンを単なる機械的な混練等によりゴムやプラスチック等の基材に配合しているため、基材中におけるナノカーボンの分散度合いが不十分となるおそれがある。すなわち、基材中において、ナノカーボンが部分的に凝集した状態となっている場合がある。このような状態では、ナノカーボンの特性を十分に活かしきれず、その結果、得られる物性としては不十分なものとなってしまう。具体的には、ナノカーボンを配合した基材について、高い導電性や高い強度を付与することが困難である。また、ナノカーボン、特にナノカーボン単体としてのサイズは非常に小さく、その取扱いが困難であり、基材に混合する際の作業性を向上する必要がある。
また、特許文献3によると、カーボンナノチューブと活性炭との混合物においてカーボンナノチューブを分散させた状態としているが、活性炭の粒子はカーボンナノチューブに比べて大きく、かつ、混合物中におけるカーボンナノチューブの分散度合いも不十分であり、得られた混合物において、依然として物性的に満足を得ることができなかった。
この発明の目的は、取扱い性が良好であり、基材に対して高導電性および高強度を付与することができるカーボンナノ前駆体を提供することである。
この発明の他の目的は、高導電性および高強度を有するカーボンナノ複合体を提供することである。
この発明のさらに他の目的は、基材に対して高導電性および高強度を付与することができるカーボンナノ前駆体を容易に製造することができるカーボンナノ前駆体の製造方法を提供することである。
この発明のさらに他の目的は、高導電性および高強度を有するカーボンナノ複合体を容易に製造することができるカーボンナノ複合体の製造方法を提供することである。
この発明に係るカーボンナノ前駆体は、単分散状態のカーボンナノチューブと、カーボンナノチューブの表面に付着する一次粒子状態のカーボンブラックとを含む。このようなカーボンナノ前駆体は、一次粒子状態のカーボンブラックが、単分散状態のカーボンナノチューブの表面に付着しているため、その形状が比較的大きく、取扱い性が良好である。また、単分散状態のカーボンナノチューブの表面に付着する一次粒子状態のカーボンブラックにより、基材に混合した場合に、基材に対して高導電性および高強度を付与することができる。ここで、単分散状態とは、カーボンナノチューブがそれぞれ単独の状態で存在していることを意味し、ネットワーク状に分散している状態も含むものである。また、一次粒子状態とは、カーボンブラックにおいて、数マイクロメートル程度の二次凝集体のレベルから、さらに分散された一次粒子の状態をいう。なお、ここでいう付着とは、カーボンナノチューブの表面全面を覆う被覆のような状態や、カーボンナノチューブの表面の一部を露出したように覆う状態、また、カーボンナノチューブとカーボンブラックとが絡みついているような状態をも含むものである。
また、一次粒子状態のカーボンブラックは、親水性および疎水性を有する界面活性剤を用いて、カーボンナノチューブの表面に付着する。
この発明に係るカーボンナノ前駆体は、親水性および疎水性を有する界面活性剤を含む溶液中にカーボンナノチューブを予め添加して単分散状態とした後、カーボンブラックの凝集体を溶液中に添加して一次粒子状態のカーボンブラックとし、一次粒子状態のカーボンブラックをカーボンナノチューブの表面に付着させることにより製造される。なお、上記した親水性および疎水性を有する界面活性剤を含む溶液については、特許文献4に詳細に記載されている。
好ましくは、カーボンナノ前駆体のうち、界面活性剤の溶液成分は、除去されている。ここで、除去は、例えば、加熱や凍結乾燥、ろ過等により行われる。
また、カーボンナノチューブは、マルチウォールカーボンナノチューブを含む。
この発明の他の局面において、カーボンナノ複合体は、基材と、基材中にネットワーク状に含まれるカーボンナノ前駆体とを備える。ここで、カーボンナノ前駆体は、単分散状態のカーボンナノチューブと、カーボンナノチューブの表面に付着する一次粒子状態のカーボンブラックとを含む。このようなカーボンナノ複合体は、単分散状態のカーボンナノチューブおよびこの表面に付着する一次粒子状態のカーボンブラックから構成されるカーボンナノ前駆体をネットワーク状に含むため、高導電性および高強度を有する。
好ましい一実施形態として、基材は、ゴムを含む。
この発明のさらに他の局面において、カーボンナノ前駆体の製造方法は、親水性および疎水性を有する界面活性剤を含む溶液を準備する工程と、溶液中にカーボンナノチューブを添加し、カーボンナノチューブを溶液中で単分散状態とする工程と、カーボンナノチューブを単分散状態とした溶液中に凝集体のカーボンブラックを添加して一次粒子状態とし、カーボンナノチューブの表面に一次粒子状態のカーボンブラックを付着させる工程とを含む。このようなカーボンナノ前駆体の製造方法によると、溶液状態で製造することができるため、容易に製造することができる。
好ましくは、カーボンナノチューブの表面に一次粒子状態のカーボンブラックを付着させた後に、溶液成分を除去する工程をさらに含む。
この発明のさらに他の局面において、カーボンナノ複合体の製造方法は、親水性および疎水性を有する界面活性剤を含む溶液を準備する工程と、溶液中にカーボンナノチューブを添加し、カーボンナノチューブを溶液中で単分散状態とする工程と、カーボンナノチューブを単分散状態とした溶液中に凝集体のカーボンブラックを添加して一次粒子状態とし、カーボンナノチューブの表面に一次粒子状態のカーボンブラックを付着させる工程と、カーボンナノチューブの表面に一次粒子状態のカーボンブラックを付着させた後に、溶液成分を除去してカーボンナノ前駆体を得る工程と、得られたカーボンナノ前駆体と基材とを混合する工程とを含む。このようなカーボンナノ複合体の製造方法によると、溶液状態で製造されたカーボンナノ前駆体を用いるため、容易に製造することができる。
この発明に係るカーボンナノ前駆体によると、一次粒子状態のカーボンブラックが、単分散状態のカーボンナノチューブの表面に付着しているため、その形状が比較的大きく、取扱い性が良好である。また、単分散状態のカーボンナノチューブの表面に付着する一次粒子状態のカーボンブラックにより、基材に混合した場合に、基材に対して高導電性および高強度を付与することができる。
また、このようなカーボンナノ複合体は、単分散状態のカーボンナノチューブおよびこの表面に付着する一次粒子状態のカーボンブラックから構成されるカーボンナノ前駆体をネットワーク状に含むため、高導電性および高強度を有する。
また、このようなカーボンナノ前駆体の製造方法によると、溶液状態で製造することができるため、容易に製造することができる。
また、このようなカーボンナノ複合体の製造方法によると、溶液状態で製造されたカーボンナノ前駆体を用いるため、容易に製造することができる。
この発明の一実施形態に係るカーボンナノ前駆体の製造方法の代表的な工程を示すフローチャートである。 この発明の一実施形態に係るカーボンナノ前駆体の一部を示す電子顕微鏡写真であり、5000倍に拡大した写真である。 この発明の一実施形態に係るカーボンナノ前駆体の一部を示す電子顕微鏡写真であり、10000倍に拡大した写真である。 図3に示す電子顕微鏡写真を基に、この発明の一実施形態に係るカーボンナノ前駆体を模式的に示した模式図である。 この発明の一実施形態に係るカーボンナノ前駆体の他の部分を示す電子顕微鏡写真であり、5000倍に拡大した写真である。 この発明の一実施形態に係るカーボンナノ前駆体の他の部分を示す電子顕微鏡写真であり、10000倍に拡大した写真である。 この発明の一実施形態に係るカーボンナノ前駆体の他の部分を示す電子顕微鏡写真であり、10000倍に拡大した写真である。 この発明の一実施形態に係るカーボンナノ前駆体の他の部分を示す電子顕微鏡写真であり、30000倍に拡大した写真である。 従来におけるカーボンナノチューブの複合材料の一部を示す電子顕微鏡写真であり、10000倍に拡大した写真である。 カーボンナノ前駆体を含む溶液のろ過の状態を示す写真である。 カーボンナノ前駆体を含む溶液のろ過の状態を示す写真である。 カーボンナノ前駆体を含む溶液のろ過の状態を示す写真である。 タルクを含むCNT分散液のろ過の状態を示す写真である。 CNT粉末に水を加えたもののろ過前の状態を示す写真である。 CNT粉末に水を加えたもののろ過した後のろ液を示す写真である。 CNT粉末に水を加えたもののろ過した後のろ紙を示す写真である。 CBに水を加えたもののろ過前の状態を示す写真である。 CBに水を加えたもののろ過した後のろ液を示す写真である。 CBに水を加えたもののろ過した後のろ紙を示す写真である。 CNT分散液のろ過前の状態を示す写真である。 CNT分散液のろ過した後のろ液を示す写真である。 CNT分散液のろ過した後のろ紙を示す写真である。 実施例2に示す配合のテストピースの外観図である。 比較例4に示す配合のテストピースの外観図である。 体積抵抗率を測定する際のテストピースにおける測定点を示す図である。
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。まず、この発明の一実施形態に係るカーボンナノ前駆体の製造方法について説明する。図1は、この発明の一実施形態に係るカーボンナノ前駆体の製造方法の代表的な工程を示すフローチャートである。
図1を参照して、まず、親水性および疎水性を有する界面活性剤、すなわち、両性イオン界面活性剤を含む溶液を準備する(図1(A))。その後、溶液中にカーボンナノチューブを添加し、カーボンナノチューブを溶液中に分散させ、カーボンナノチューブを単分散状態とする(図1(B))。次に、カーボンナノチューブが単分散状態とした溶液中に凝集体のカーボンブラックを添加して一次粒子状態とし、カーボンナノチューブの表面に一次粒子状態のカーボンブラックに付着させる(図1(C))。この場合、カーボンナノチューブの表面全体を被覆するように一次粒子状態のカーボンブラックを付着させる。その後、溶液成分を除去する(図1(D))。このようにして、単分散状態のカーボンナノチューブの表面に一次粒子状態のカーボンブラックに付着したカーボンナノ前駆体を製造する。なお、以後の工程において、溶液成分を利用等する場合には、溶液を除去しなくともよい。すなわち、溶液成分を除去する工程を省略してもよい。
上記した製造工程の具体例としては、まず、両性イオン界面活性剤を質量濃度0.01〜0.4%の範囲で添加した水溶液中にカーボンナノチューブ(CNT)を3質量%添加し、CNT分散液を作製する。この場合、例えば、振動やpH、電解質の濃度等を制御することにより、カーボンナノチューブを単分散状態とする。次に、70gのカーボンブラックを、60mlのこの3質量%CNT分散液に添加し、一次粒子状態のカーボンブラックの移動、洗浄、乾燥プロセスを経て、ナノカーボン前駆体を作製する。
なお、上記した両性イオン界面活性剤を含む溶液は、具体的には、例えば、「3−(N,N−dimethylmyristylammonio)−propanesulfonate」(両性イオン界面活性剤、Fluka製)2.0g、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル(花王製)2.0g、アルキル(14−18)ジメチルベタイン(花王製)1.0g、および脱イオン水400mlを混合することにより得られる。
また、CNT分散液の作製については、例えば、以下のようにして行われる。上記した方法で得られた両性イオン界面活性剤を含む溶液に20.2〜20.5gのカーボンナノチューブ(直径20nm、長さ2〜10μm)を添加して、脱イオン水で溶液全体が500mlになるように調整した後、ボールミル胴体(円筒形、内容積=1800ml、ジルコニウムビーズの直径=50〜150mm、ビーズの充填量=1200g)に入れ、ボールミル胴体を回転架台(アサヒ理化研究所製「AS ONE」)に載せて約8時間緩やかに攪拌し、カーボンナノチューブを含む一次分散液(粗分散液)を作製する。その後、このようにして得られたカーボンナノチューブを含む一次分散液の全量をボールミル胴体から取り出して、ビーズミル(WAB社製「ダイノーミル」、筒形状、内容積=2000ml、直径1.0mmのジルコニアビーズを1800g充填)を用い、1000ml/分の流量で、30〜60分間、分散処理を行い、カーボンナノチューブの二次分散液(カーボンナノチューブは96%以上が一本一本に分散されている、すなわち、孤立単分散状態である)を調製することにより得られる。
また、カーボンナノチューブとしては、具体的には、例えば、ナノシール社製のNanocyl−7000やバイエルマテリアルサイエンス社製のBaytubes等が用いられる。
次に、上記したカーボンナノ前駆体の製造方法により製造したカーボンナノ前駆体の構造について説明する。図2および図3は、この発明の一実施形態に係るカーボンナノ前駆体の一部を示す電子顕微鏡写真である。図2は、5000倍に拡大した写真であり、図3は、10000倍に拡大した写真である。また、図4は、図3に示す電子顕微鏡写真を基に、この発明の一実施形態に係るカーボンナノ前駆体を模式的に示した模式図である。
図2〜図4を参照して、カーボンナノ前駆体11は、単分散状態のカーボンナノチューブ12と、カーボンナノチューブ12の表面に付着する一次粒子状態のカーボンブラック13とを含む。カーボンナノチューブ12は、マルチウォールカーボンナノチューブである。なお、カーボンナノチューブ13としては、例えば、その直径が60ナノメートルであって、長さが数十マイクロメートルのものが用いられる。その他、直径が数ナノメートルのものや数十ナノメートルの直径のカーボンナノチューブを用いることもできる。
ここで、カーボンブラックが二次凝集体のまま存在しているとすると、5000倍や10000倍に拡大した場合、図2および図3に示すような写真の形態とはならず、非常に大きな二次凝集体のカーボンブラックと単分散状態のカーボンナノチューブが見られるはずである。しかし、そのような形態のカーボンブラックおよびカーボンナノチューブは見られず、図2および図3に示す形態のカーボンナノチューブおよびカーボンブラックが見られた。このような形態のカーボンナノチューブおよびカーボンブラックは、単分散状態のカーボンナノチューブの表面を、一次粒子状態のカーボンブラックが被覆するように付着している状態であると考えられる。なお、この場合、一次粒子状態のカーボンブラックは、何層にも亘って被覆するように付着している状態であると考えられる。
さらに詳細に説明する。図5、図6、図7、および図8は、この発明の一実施形態に係るカーボンナノ前駆体の他の部分を示す電子顕微鏡写真である。図5は、5000倍に拡大した写真であり、図6および図7は、10000倍に拡大した写真であり、図8は、30000倍に拡大した写真である。図6は、図5に示す写真の一部の領域を拡大した写真に相当し、図8は、図7に示す写真の一部の領域を拡大した写真に相当する。また、図5〜図8内において、スケール、すなわち、長さの基準を示している。ここで、比較対象として、特許文献3の図5(b−3)に示すカーボンナノチューブの複合材料の電子顕微鏡写真を図9に示す。図9は、10000倍に拡大した写真であり、電子顕微鏡写真の枠外に長さの基準を示している。
図5〜図8を参照して、多少の空隙を有するものの、カーボンナノチューブの表面に一次粒子状態のカーボンブラックが層状に付着していることが把握できる。また、図5〜図8と図9とを対比すると、図9においては、活性炭の大きな塊の周りにカーボンナノチューブが数本付着するようにして分散している。活性炭の大きさについては、その直径が大きいもので数マイクロメートル程である。すなわち、数本のカーボンナノチューブが、その表面を露出するようにして、数マイクロメートル程度の大きさの活性炭の粒子に付着する状態で分散している。これに対し、図5〜図8においては、単分散状態である一本一本のカーボンナノチューブの周囲に、一次粒子状態、少なくとも1マイクロメートルよりも小さな粒子状態でカーボンブラックが付着し、層状となっているものである。ここでいう、一次粒子状態のカーボンブラックは、せいぜい100ナノメートルまで、おおよそ20ナノメートルから40ナノメートル程度のものである。
このようなカーボンナノ前駆体11は、上記したように単分散状態のカーボンナノチューブの表面に一次粒子状態のカーボンブラックが付着した状態であるため、その形状が単分散状態のカーボンナノチューブ単体よりも大きい。これは、以下に示す実験によって裏付けられる。
図10、図11および図12は、上記したカーボンナノ前駆体を含む溶液のろ過の状態を示す写真である。図10は、カーボンナノチューブ(以下、「CNT」と略す)分散液30mlに対し、カーボンブラック(以下、「CB」と略す)(FEF(Fast Extrusion Furnace))を10g添加した場合、図11は、CNT分散液30mlに対し、CB(HAF(High Abrasion Furnace))を10g添加した場合、図12は、CNT分散液60mlに対し、CB(HAF)を10g添加した場合を示す。なお、分散液とは、親水性および疎水性を有する界面活性剤を含む溶液をいう。
図10〜図12を参照して、それぞれの図に示すビーカーの中には、上記したカーボンナノ前駆体の溶液をろ過したろ液がそれぞれ溜まっている。ろ液の色はいずれも、無色透明である。これは、上記した構成のカーボンナノ前駆体、すなわち、単分散状態のCNTと、CNTの表面に付着される一次粒子状態のCBとを含むカーボンナノ前駆体がCNT単体よりも大きいためにろ紙によってろ過され、ろ液中にCNTおよびCBが存在しないことを示していると考えられる。なお、ろ過については、ろ紙の材質をパルプ、厚みを0.15mm、嵩密度を0.03g/cmとし、透気抵抗度(ガーレー式、4枚重ね)を1.4秒としている。
なお、参考として、CNT分散液30mlに対し、タルク(Talc:蝋石)を10g添加した場合を図13に示す。図13を参照して、ビーカー中のろ液は、黒色である。これは、単分散状態のCNT単体がろ過されず、ろ液中に存在していることを示していると考えられる。
また、CNT粉末に水を加えたものをろ過した場合を、図14、図15、および図16に示す。図14は、CNT粉末に水を加えたもののろ過前の状態を示し、図15は、ろ過した後のろ液を示し、図16は、ろ過した後のろ紙を示している。図14〜図16を参照して、CNT粉末に水を加えた場合、CNTは水上に浮いた状態であり、CNTは液中に分散せず、凝集したままである。すなわち、CNTは、液中に単分散状態として存在していない。この場合、ろ液は、無色透明であり、ろ紙上にはCNTが存在するが、これは、単にCNTを分散していない水成分がろ紙を通過しただけであると考えられる。なお、このようなCNT粉末は、いわゆるふわふわの状態であるため、ゴム成分へ混練する際においても、混練が非常に困難な状態である。
次に、CB単体に水を加えたものをろ過した場合を、図17、図18および図19に示す。図17は、CB単体に水を加えたもののろ過前の状態を示し、図18は、ろ過した後のろ液を示し、図19は、ろ過した後のろ紙を示している。図17〜図19を参照して、CB単体に水を加えた場合、CBは水中に分散するが、いわゆる二次凝集体として分散する。この場合、ろ液は、無色透明であり、ろ紙上にはCBが存在するが、これは、二次凝集体としてのCBの粒径が大きく、二次凝集体のCBがろ過されたと考えられる。
次に、CNT分散液をろ過した場合を、図20、図21および図22に示す。図20は、CNT分散液のろ過前の状態を示し、図21は、ろ過した後のろ液を示し、図22は、ろ過した後のろ紙を示している。ここで、CNT分散液とは、両性イオン界面活性剤を含む溶液にCNT単体を添加させただけのものである。図20〜図22を参照して、CNT分散液中では、CNTは単分散状態である。この場合、ろ液は、黒色であり、ろ紙上にはCNTが存在する。これは、単分散状態で液中に存在するCNTが、ろ過されずにろ紙を通過し、ろ液中に存在すると考えられる。また、CNTの一部は、ろ過されて、ろ紙上に存在していると考えられる。
すなわち、分散液中では、CNTは単分散状態であるため、一つ一つが小さいまま存在し、ろ過されない。しかし、一次粒子状態のCBが付着した状態となると、その形状が大きくなるため、ろ過され、分散液と分離される。このろ紙上の残渣物が、いわゆるこの発明に係るカーボンナノ前駆体である。
次に、上記したカーボンナノ前駆体を含むカーボンナノ複合体について説明する。ここでは、カーボンナノ複合体の基材として、ゴムを用いた場合について説明する。まず、この発明に係るカーボンナノ複合体の製造方法について説明すると、上記した工程により、カーボンナノ前駆体を製造する。そして、製造したカーボンナノ前駆体とゴムとを混合し、カーボンナノ複合体を製造する。この場合、熱ロール等により、ゴム成分とカーボンナノ前駆体とを混練することにより製造される。ここで、得られたカーボンナノ前駆体は、溶液成分が除去されているため、材料がロールへ巻き付きやすくなり、容易に混練を行うことができる。
具体的には、例えば、得られたナノカーボン前駆体をゴムの原料と200:20の割合で混練した後、加硫処理等の一連のプロセスを経て、カーボンナノ複合体であるゴム組成物を作製する。
このようにして製造されたカーボンナノ複合体は、ゴムと、ゴム中にネットワーク状に含まれるカーボンナノ前駆体とを備える。このようなカーボンナノ複合体は、上記したカーボンナノ前駆体がネットワーク状にゴム中に含まれているため、高導電性および高強度を有する。
なお、対照実験として、未分散のナノカーボン、CBおよびゴムの原料を用いて、同条件でゴム試料を作製した。導電性を測定したところ、本技術で作製したナノカーボン前駆体を含むゴム組成物は、高い導電性を示した。これに対し、未分散ナノカーボン、CBおよびゴムのゴム組成物は、ほとんど導電性を示さなかった。
ここで、上記したカーボンナノ複合体の特性について具体的な評価を行なった。評価については、比較例1として、CNTを加えないゴム組成物を用いた。なお、配合例については、表1に示す。
表1を参照して、比較例1は、EPDM(Ethylene Propylene Diene Monomer)を基材として、EPDM200重量部に対し、CB(HAF)80重量部、およびステアリン酸1重量部、酸化亜鉛5重量部等を添加している。この配合については、EPDMを基材とするゴム組成物として、一般的なものである。一方、実施例1については、比較例1のCB80重量部に対し、CB73.4重量部、CNT6.6重量部を配合しており、その他の配合物およびその比率については、比較例1と同じである。ここで、実施例1のCBおよびCNTについては、上記した製造方法で得られたカーボンナノ前駆体として配合されている。
表2は、上記した比較例1および実施例1の特性を示す表である。表2を参照して、引張強さについては、比較例1が20.2MPaに対して、実施例1の方が、21.3MPaであり、比較例1に対して5%高くなっている。また、伸びについても、比較例1が570%であるのに対し、実施例1は、640%であり、10%程度高くなっている。硬さについては、比較例1が54Hであるのに対し、実施例1が56Hであり、若干高くなっている。このように、実施例1は、比較例1に対して、引張り強さ、伸び、硬さといった機械的特性が向上し、高強度となっている。また、電気的特性についても、比較例1は、1×10Ω・cm以上であるのに対し、実施例1は、1×10オーダーである。すなわち、実施例1は、高導電性を有する。
次に、実施例1と、比較例3として粉末のCNTを添加したものとを比較した。実施例1と比較例3とは、添加するCNTの添加方法が異なるのみである。実施例1については、上記したように、CNT分散液を用いた添加方法である。一方、比較例3については、実施例1とCNTの総配合量は同じであるものの、CNTを機械的な分散のみで、ある程度凝集された粉末状態でEPDMに他の添加剤と共に練りこんだものである。
表3は、比較例3および実施例1の配合例を示す表であり、表1に対応する。表4は、比較例3および実施例1の特性を示す表であり、表2に対応する。表3および表4を参照して、引張強さについては、比較例3が18.1MPaに対して、実施例1の方が、21.3MPaであり、比較例1に対して17.7%高くなっている。また、伸びについても、比較例3が600%であるのに対し、実施例1は、640%であり、7%程度高くなっている。硬さについては、比較例3が55Hであるのに対し、実施例1が56Hであり、若干高くなっている。このように、実施例1は、比較例3に対して、引張り強さ、伸び、硬さといった機械的特性が向上し、比較例3との比較においても高強度となっている。また、電気的特性についても、比較例1は、1×10Ω・cm以上であるのに対し、実施例1は、1×10オーダーである。すなわち、実施例1は、比較例3との比較においても高導電性を有する。
また、他のゴムを用いて、カーボンナノ複合体の特性について具体的な評価を行なった。表5は、比較例2および実施例2の配合例を示す表であり、表1に対応する。ここでは、基材としてSBR(Stylene Butadiene Rubber)を用い、カーボンの配合比率を変えている。表6は、比較例2および実施例2の特性を示す表であり、表2に対応する。
表5および表6を参照して、この場合も実施例2の方が比較例2に対して、引張強さや伸びが高くなっている。硬さは同じであるが、機械的特性が向上しており、高強度となっているといえる。また、電気的特性についても、比較例1および実施例1の関係と同様であり、実施例2は、高導電性を有する。
次に、実施例2と、比較例4として粉末のCNTを添加したものとを比較した。実施例2と比較例4とは、上記した実施例1および比較例3の場合と同様、添加するCNTの添加方法が異なるのみである。実施例2については、上記したように、CNT分散液を用いた添加方法である。一方、比較例4については、実施例2とCNTの総配合量は同じであるものの、CNTを機械的な分散のみで、ある程度凝集された粉末状態でSBRに他の添加剤と共に練りこんだものである。
表7は、比較例4および実施例2の配合例を示す表であり、表1に対応する。比較例4に示す配合においては、成形不良が生じ、いわゆる正常な成形体のテストピースが得られなかった。図23は、上記した実施例2に示す配合のテストピースの外観図である。図24は、比較例4に示す配合のテストピースの外観図である。各テストピースは、縦方向の長さが12cm、横方向の長さが12cmである。図23および図24を参照して、図23に示すテストピースについては、外観において、CNTの凝集体は全く見られない。これに対し、図24に示すテストピースについては、外観において、図24中の白丸で囲んだ46箇所において、CNTの凝集体が見られた。また、実施例2における引張り強さについては、8個のテストピースの平均値を算出して得ているが、その標準偏差は1.52である。これに対し、比較例4における引張り強さを測定してみると、8個のテストピースの標準偏差が2.25もある。これらの結果より、比較例4における配合については、正常な成形が行えない。
なお、上記した電気的特性については、具体的には、以下に示す体積抵抗率を測定し、これを評価している。図25は、体積抵抗率を測定する際のテストピースにおける測定点を示す図である。図25を参照して、図25中のテストピースの番号で示された24箇所を測定した。測定は、低抵抗率計を用いて行なった。なお、テストピースは、矩形の薄板状のものを作成し、これを評価した。評価結果を表8〜表11に示す。表8および表9は、比較例としてCBのみを用いて作製したテストピースである。表8は、テストピースの表側の面を測定した場合であり、表9は、テストピースの裏側の面を測定した場合である。また、表10および表11は、実施例として上記したカーボンナノ前駆体を用いて作製したテストピースである。同様に、表10は、テストピースの表側の面を測定した場合であり、表11は、テストピースの裏側の面を測定した場合である。なお、表8〜表11中の「−」は、測定不可を示し、数値の単位は、Ω・cmである。ここで、測定不可とは、体積抵抗値が1×10Ω・cm以上のものである。
表8〜表11を参照して、比較例のテストピースは、ほとんどの測定点で測定不可となっている。これに対し、実施例のテストピースは、ほとんどの測定点で測定可能であり、抵抗値が1×10〜1×10、1×10Ω・cmレベルである。したがって、実施例に係るテストピースは、高い導電性を有する。
次に、他の実施例について説明する。表12は、比較例5および実施例3の配合例を示す表であり、表1に対応する。ここでは、基材としてSBRを用い、カーボンの配合比率を変えている。表13は、比較例5および実施例3の特性を示す表であり、表2に対応する。
表12および表13を参照して、引張強さについては、比較例5が3.1MPaに対して、実施例3の方が、3.6MPaであり、比較例5に対して16%高くなっている。また、伸びについても、比較例5が530%であるのに対し、実施例3は、540%であり、1.9%程度高くなっている。硬さについては、比較例5が31Hであるのに対し、実施例3が35Hであり、13%高くなっている。このように、実施例1は、比較例1に対して、引張り強さ、伸び、硬さといった機械的特性が向上し、高強度となっている。一方、電気的特性については、比較例5および実施例3共に、1×10Ω・cm以上であり、変わりはない。
次に、さらなる他の実施例について説明する。表14は、実施例4および実施例5の配合例を示す表であり、表1に対応する。ここでも、基材としてSBRを用いている。表15は、実施例4および実施例5の特性を示す表であり、表2に対応する。
表14および表15を参照して、引張強さについては、実施例4が19.1MPaであり、実施例5が、18MPaである。伸びについては、実施例4が390%であり、実施例5は、370%である。硬さについては、実施例4が71Hであり、実施例5が73Hである。ここで、上記した比較例1、すなわち、CNTを添加しない配合と比較すると、機械的特性において、引張り強さ、伸びは劣るが、硬さは向上している。一方、電気的特性については、実施例4および実施例5共に大きく向上し、1×10Ω・cmオーダーである。すなわち、体積導電性の大幅な向上が要求される場合には、実施例4および実施例5のような配合とするのが良い。
さらに、他の実施例について説明する。表16は、実施例6および実施例7の特性を示す表である。実施例6は、実施例4における配合からさらにワックスを1.5部追加し、再び練ったものである。実施例5における配合からさらにワックスを1.5部追加し、再び練ったものである。
表16を参照して、引張強さについては、実施例6が21.7MPaであり、実施例7が、21.8MPaである。伸びについては、実施例6が480%であり、実施例7は、480%である。硬さについては、実施例6が69Hであり、実施例7が70Hである。ここで、引張り強さにおいては、比較例1と比較して、大きくその値が向上している。したがって、引張り強さの特性が要求される場合には、このような配合例とするのがよい。
ここで、表16に示す実施例6および実施例7において、オゾン劣化試験を行った。オゾン劣化試験は、温度40℃、オゾン濃度50pphm(parts per hundred million)の環境において、20%伸長した状態でテストピースを曝し、その劣化度を評価した。実施例6においては、72時間経過した後においても、亀裂が生じなかった。実施例7においては、336時間経過した後においても、亀裂が生じなかった。したがって、このような配合例は、良好なオゾン劣化特性が要求される場合に有効に利用される。
以上より、このようなカーボンナノ複合体は、単分散状態のカーボンナノチューブおよびこの表面に付着する一次粒子状態のカーボンブラックから構成されるカーボンナノ前駆体をネットワーク状に含むため、高導電性および高強度を有する。
なお、上記の実施の形態においては、基材としてゴムを用いることとしたが、これに限らず、基材としてプラスチックを用いることとしてもよいし、基材としてセラミックスを用いることとしてもよい。
また、上記の実施の形態においては、カーボンナノチューブは、マルチウォールカーボンナノチューブを用いることとしたが、これに限らず、シングルウォールカーボンナノチューブを用いることにしてもよいし、双方を用いることにしてもよい。
なお、上記の実施の形態においては、両性イオン界面活性剤を含む溶液を用いて、この発明の一実施形態に係るカーボンナノ前駆体を製造することとしたが、これに限らず、他の方法によって上記構成のカーボンナノ前駆体を製造することにしてもよい。
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
このようなカーボンナノ前駆体は、基材に混合した際に、高導電性および高強度が要求される場合に、有効に利用される。
このようなカーボンナノ複合体は、高導電性および高強度が要求される場合に、有効に利用される。
このようなカーボンナノ前駆体の製造方法は、基材に混合した際に高導電性および高強度を付与するカーボンナノ前駆体を容易に製造することが要求される場合に、有効に利用される。
このようなカーボンナノ複合体の製造方法は、高導電性および高強度を有するカーボンナノ複合体を容易に製造することが要求される場合に、有効に利用される。
11 カーボンナノ前駆体、12 カーボンナノチューブ、13 カーボンブラック。

Claims (10)

  1. 単分散状態のカーボンナノチューブと、
    前記カーボンナノチューブの表面に付着する一次粒子状態のカーボンブラックとを含む、カーボンナノ前駆体。
  2. 前記一次粒子状態のカーボンブラックは、親水性および疎水性を有する界面活性剤を用いて、前記カーボンナノチューブの表面に付着する、請求項1に記載のカーボンナノ前駆体。
  3. 親水性および疎水性を有する界面活性剤を含む溶液中に前記カーボンナノチューブを予め添加して単分散状態とした後、カーボンブラックの凝集体を前記溶液中に添加して一次粒子状態のカーボンブラックとし、前記一次粒子状態のカーボンブラックを前記カーボンナノチューブの表面に付着させることにより製造される、請求項1に記載のカーボンナノ前駆体。
  4. 前記カーボンナノ前駆体のうち、前記界面活性剤の溶液成分は、除去されている、請求項2に記載のカーボンナノ前駆体。
  5. 前記カーボンナノチューブは、マルチウォールカーボンナノチューブを含む、請求項1に記載のカーボンナノ前駆体。
  6. 基材と、前記基材中にネットワーク状に含まれるカーボンナノ前駆体とを備えるカーボンナノ複合体であって、
    前記カーボンナノ前駆体は、単分散状態のカーボンナノチューブと、前記カーボンナノチューブの表面に付着する一次粒子状態のカーボンブラックとを含む、カーボンナノ複合体。
  7. 前記基材は、ゴムを含む、請求項6に記載のカーボンナノ複合体。
  8. 親水性および疎水性を有する界面活性剤を含む溶液を準備する工程と、
    前記溶液中にカーボンナノチューブを添加し、前記カーボンナノチューブを前記溶液中で単分散状態とする工程と、
    前記カーボンナノチューブを単分散状態とした前記溶液中に凝集体のカーボンブラックを添加して一次粒子状態とし、前記カーボンナノチューブの表面に前記一次粒子状態のカーボンブラックを付着させる工程とを含む、カーボンナノ前駆体の製造方法。
  9. 前記カーボンナノチューブの表面に前記一次粒子状態のカーボンブラックを被覆させた後に、前記溶液成分を除去する工程をさらに含む、請求項8に記載のカーボンナノ前駆体の製造方法。
  10. 親水性および疎水性を有する界面活性剤を含む溶液を準備する工程と、
    前記溶液中にカーボンナノチューブを添加し、前記カーボンナノチューブを前記溶液中で単分散状態とする工程と、
    前記カーボンナノチューブを単分散状態とした前記溶液中に凝集体のカーボンブラックを添加して一次粒子状態とし、前記カーボンナノチューブの表面に前記一次粒子状態のカーボンブラックを付着させる工程と、
    前記カーボンナノチューブの表面に前記一次粒子状態のカーボンブラックを付着させた後に、前記溶液成分を除去してカーボンナノ前駆体を得る工程と、
    得られた前記カーボンナノ前駆体と基材とを混合する工程とを含む、カーボンナノ複合体の製造方法。
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