JPWO2009136558A1 - シリコンエッチング液およびエッチング方法 - Google Patents

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Abstract

シリコンのエッチング加工、特にMEMS部品の製造工程におけるシリコンの異方性エッチング加工において、ヒドロキシルアミンを含有するエッチング液に特有な加温時のエッチング速度の低下を抑制することによって、エッチング液寿命の長いエッチング液およびエッチング方法を提供する。アルカリ金属水酸化物とヒドロキシルアミンと無機炭酸化合物を含有したpH12以上のアルカリ性水溶液であって、単結晶シリコンを異方性に溶解することを特徴としたシリコンエッチング液、かつ該エッチング液を用いるシリコンのエッチング方法である。

Description

本発明はシリコンのエッチング加工に関し、特にMEMS(Micro−Electro−Mechanical System)、いわゆるマイクロマシンに用いられる部品や半導体デバイスの製造に用いるシリコンエッチング液並びにシリコンエッチング方法に関する。
一般にシリコン単結晶基板を化学薬液にてエッチングする場合には、フッ酸と硝酸などの成分を加えた混合水溶液である酸系エッチング液にてエッチングする方法、または水酸化カリウム(KOH)、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)などの水溶液であるアルカリ系エッチング液にてエッチングする方法が行われている(非特許文献1、2参照)。
酸系エッチング液を用いた場合、硝酸などの酸化作用をもった成分によってシリコン表面が酸化されて酸化ケイ素が生成し、この酸化ケイ素はフッ酸などによってフッ化シリコンとして溶解されることによってエッチングが進行する。酸系エッチング液でエッチングを行った際の特徴は、エッチング対象のシリコンが単結晶、多結晶、非晶質のいずれであっても、エッチングが等方的に進行することにある。このため、パターンマスクなどを用いてパターンエッチングを行う際、エッチングを深くすればするほど、その深さと同程度の横方向へのエッチング、即ち、パターンマスク下のアンダーカット(侵食)が進行し、不都合を起こす場合がある。
一方、アルカリ系エッチング液を用いた場合、液中のヒドロキシアニオンによってシリコンはケイ酸イオンとして溶解し、この際、水が還元されて水素を発生する。アルカリ系エッチング液でエッチングを行うと、酸系エッチング液とは異なり、単結晶シリコンでのエッチングは異方性を有しながら進行する。これはシリコンの結晶面方位ごとにシリコンの溶解速度に差があることに基づいており、結晶異方性エッチングとも呼ばれる。多結晶でも微視的に見れば異方性を保持しつつエッチングが進行するが、結晶粒の面方位はランダムに分布していることから、巨視的には等方性のエッチングが進行するように見える。非晶質では微視的にも巨視的にも等方性にエッチングが進行する。
アルカリ系エッチング液としては、KOH、TMAHの水溶液以外にも水酸化ナトリウム(NaOH)、アンモニア、ヒドラジンなどの水溶液が使用される。これらの水溶液を用いた単結晶シリコン基板のエッチング加工においては、目的とする加工形状や処理を行う温度条件などにもよるが、数時間から数十時間という長い加工時間を要する場合が多い。
この加工時間を少しでも短縮することを目的に、高いエッチング速度を示す薬液が開発されている。例えば、特許文献1にはTMAHにヒドロキシルアミン類を添加した水溶液をエッチング液として使用する技術が開示されている。また特許文献2にはTMAHに鉄、塩化鉄(III)、水酸化鉄(II)などの特定の化合物を添加した水溶液をエッチング液として使用する技術が開示されており、エッチング速度を速くする効果の高さでは、鉄とヒドロキシルアミンを併用する組み合わせが特に好適であることが開示されている。また特許文献3にはKOHにヒドロキシルアミン類を添加した水溶液をエッチング液として使用する技術が開示されている。
特開2006−054363 特開2006−186329 特開2006−351813 佐藤、「シリコンエッチング技術」、表面技術、社団法人表面技術協会、平成12年8月1日、Vol.51、No.8、2000、p754〜759 江刺、「2003マイクロマシン/MEMS技術大全」、株式会社電子ジャーナル、2003年7月25日、p.109〜114、
しかしながら、上記特許文献1、2および3に記載の技術においてエッチング速度を促進させるために添加されているヒドロキシルアミンは自己分解性のある化合物であることから、室温での保存中に変質による濃度低下が発生しやすく、エッチング液自体を加温状態に維持する場合に、その濃度低下はいっそう顕著になる。このヒドロキシルアミンの濃度低下はエッチング速度の低下を引き起こすため、加温状態に維持している際には、時間の経過とともにエッチング速度は低下してしまう。そのため、ヒドロキシルアミンを含んだエッチング液を用いて深い孔を形成するようなエッチング加工を行う場合、エッチング加工がどの程度の深さまで進行しているか加工中に何度も確認するという煩雑な操作が必要であった。
そこで、本発明の目的は、ヒドロキシルアミンを含んだアルカリ性水溶液の持つエッチング速度が高いという特長を損なうことなく、ヒドロキシルアミンの分解を抑制することで時間の経過にともなうエッチング速度の低下を抑制した、単結晶シリコンを異方性に溶解するシリコンエッチング液並びにシリコンエッチング方法を提供することにある。
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、アルカリ金属水酸化物とヒドロキシルアミンおよび無機炭酸化合物を含有したpH12以上のアルカリ水溶液でエッチングを行うことによって、シリコンに対するエッチング速度が高いという特長を損なうことなく、ヒドロキシルアミンの分解によるエッチング速度の低下を抑制できることを見出し、本発明を完成するに到った。
すなわち本発明は、シリコンエッチング液およびエッチング方法に関するものであり、以下のとおりである。
1.単結晶シリコンを異方性に溶解するシリコンエッチング液であって、(A)アルカリ金属水酸化物、(B)ヒドロキシルアミン、および(C)無機炭酸化合物、を含有したpH12以上のアルカリ性水溶液であることを特徴とするシリコンエッチング液。
2.(A)アルカリ金属水酸化物が、水酸化カリウムおよび/または水酸化ナトリウムである上記第1項記載のシリコンエッチング液。
3.(C)無機炭酸化合物がアルカリ性水溶液中で解離して炭酸イオン(CO3 2-)を生じる化合物である上記第1項記載のシリコンエッチング液。
4.(A)アルカリ金属水酸化物および(C)無機炭酸化合物の解離で水溶液中に生成するアルカリ金属イオンの濃度が、3.0mol/kgから4.5mol/kgであり、(C)無機炭酸化合物の解離で水溶液中に生じる炭酸イオン(CO3 2-)の濃度が、アルカリ金属イオンの濃度に対するモル比として0.28から0.42である上記第1項記載のシリコンエッチング液。
5.(C)無機炭酸化合物が、二酸化炭素(CO2)、炭酸カリウム(K2CO3)、炭酸水素カリウム(KHCO3)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、および炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)から選ばれる1種以上である上記第1項記載のシリコンエッチング液。
6.アルカリ金属イオンが、カリウムイオン(K+)および/またはナトリウムイオン(Na+)である上記第4項記載のシリコンエッチング液。
7.pH13以上である上記第1〜6項のいずれかに記載のシリコンエッチング液。
8.エッチング対象物をシリコンエッチング液に接触させる工程を有し、該シリコンエッチング液が、単結晶シリコンを異方性に溶解するものであり、(A)アルカリ金属水酸化物、(B)ヒドロキシルアミン、および(C)無機炭酸化合物、を含有したpH12以上のアルカリ性水溶液であるシリコンエッチング方法。
9.(A)アルカリ金属水酸化物が水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムであり、(C)無機炭酸化合物が二酸化炭素(CO2)、炭酸カリウム(K2CO3)、炭酸水素カリウム(KHCO3)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、および炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)から選ばれる1種以上である上記第8項記載のシリコンエッチング方法。
本願発明により、ヒドロキシルアミンを含んだアルカリ性水溶液の特長である高いエッチング速度を維持した上で、ヒドロキシルアミンの分解を抑制し、エッチング速度の低下を抑制できる、単結晶シリコンを異方性に溶解するシリコンエッチング液並びにシリコンエッチング方法を提供することができる。よって、ヒドロキシルアミンを含んだシリコンエッチング液の長寿命化およびエッチング処理を行う際の頻繁な加工形状確認などの煩雑な操作を大幅に簡略化できる。
[シリコンエッチング液]
本発明のシリコンエッチング液は、(A)アルカリ金属水酸化物、(B)ヒドロキシルアミン、および(C)無機炭酸化合物、を含有したpH12以上のアルカリ性水溶液であり、単結晶シリコンを異方性に溶解するシリコンエッチング液である。まず、本発明のシリコンエッチング液の各組成について説明する。
《(A)アルカリ金属水酸化物》
本発明に用いるアルカリ金属水酸化物は、水酸化カリウムおよび/または水酸化ナトリウムが好ましく、特に水酸化カリウムが好ましい。本発明のアルカリ化合物は、単独で用いても、組み合わせて用いてもよい。
本発明に用いるアルカリ金属水酸化物は、水中ではアルカリ金属イオンと水酸化物イオンに解離する。解離して生成するアルカリ金属イオンは、具体的にはカリウムイオン(K+)またはナトリウムイオン(Na+)である。
《(C)無機炭酸化合物》
本発明に用いる無機炭酸化合物は、水中で解離して炭酸イオン(CO3 2-)を生じる化合物であり、二酸化炭素(CO2)、炭酸カリウム(K2CO3)、炭酸水素カリウム(KHCO3)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、および炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)が好ましい。本発明の無機炭酸化合物は、単独で用いても、組み合わせて用いてもよい。
本発明で用いる無機炭酸化合物のうち、炭酸カリウム(K2CO3)、炭酸水素カリウム(KHCO3)については、水中で解離して炭酸イオン(CO3 2-)を生成すると同時にカリウムイオン(K+)を生成する。炭酸ナトリウム(Na2CO3)、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)については、水中で解離して炭酸イオン(CO3 2-)を生成すると同時にナトリウムイオン(Na+)を生成する。
《エッチング液のpH》
本発明のエッチング液はpH12以上であることを要する。pHが12未満になると、エッチング液中の炭酸イオンの一部が重炭酸イオンへと急激に変化するため、該重炭酸イオンが存在する状態でのエッチング速度は極端に低下するからである。このため、本発明のエッチング液では重炭酸イオンが生成しないようにpH12以上に調整することを要し、pH13以上とすることが好ましい。本発明のエッチング液のpHが12以上であれば、該エッチング液中の炭酸イオンの重炭酸イオンへの変化がほとんど生じることがなく、炭酸イオンはエッチング液中に安定して存在することになるので、エッチング速度の低下を抑制することが可能となる。
《アルカリ金属イオン濃度および炭酸イオン濃度》
本発明のシリコンエッチング液は、液中のアルカリ金属イオン濃度の合計が3.0〜4.5mol/kgとなる範囲で好ましく用いられる。さらに、炭酸イオン濃度がこのアルカリ金属イオン濃度の合計に対するモル比で0.28〜0.42となる範囲で好ましく用いられる。ここで、本発明における金属イオン濃度とは、シリコンエッチング液に対する金属イオンの濃度のことをいう。
特に炭酸イオンを生成させる化合物として炭酸水素カリウム(KHCO3)や炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)を用いる場合には、pHを12以上にするためにこれらの無機炭酸化合物のモル数を越えるアルカリ金属水酸化物を添加して、エッチング液の調製途中で生成した重炭酸イオンは全て炭酸イオンへと変化させた上で、炭酸イオンの濃度をアルカリ金属イオンに対するモル比として0.28から0.42の範囲にすることが好ましい。
アルカリ金属イオン濃度の合計が3.0mol/kg以上であれば、ヒドロキシルアミンによるエッチング速度の向上効果が十分に得られる。また4.5mol/kg以下であれば、ヒドロキシルアミンの分解抑制に必要な無機炭酸化合物の濃度が低くなり、エッチング液中の溶解成分の総濃度が低くなるため、比較的少量のシリコンの溶解でケイ酸塩が析出することなく、取り扱いが容易である。
また、炭酸イオン濃度がアルカリ金属イオン濃度に対するモル比で0.28以上であれば、ヒドロキシルアミンの分解抑制効果が十分に得られるので、エッチング速度の低下を抑制することが容易になる。またモル比で0.42以下であれば、pHの低下に伴うエッチング速度の低下が発生しにくくなるので好ましい。また、同様の理由により、当該モル比は0.35から0.42の範囲内であることがより好ましい。
本発明におけるアルカリ金属イオン濃度および炭酸イオン濃度は、水溶液中に添加したアルカリ金属水酸化物および無機炭酸化合物が水溶液中では完全に解離して存在しているという前提のもと、これらアルカリ金属水酸化物および無機炭酸化合物の液中への添加量から計算によって求めた計算値である。この前提は、上記したように、シリコンエッチング液がpH12以上のアルカリ性水溶液であれば、アルカリ金属水酸化物および無機炭酸化合物は該エッチング液中で完全に解離して、アルカリ金属イオンおよび炭酸イオンとなっていることによるものである。すなわち、シリコンエッチング液のpHが12以上であれば、該エッチング液中の実際のアルカリ金属イオン濃度および炭酸イオン濃度と上記計算値とは同じとみなすことができる。
《(B)ヒドロキシルアミン》
本発明に用いるヒドロキシルアミンの濃度は、所望のシリコンエッチング速度に応じて適宜決定することが可能であり、好ましくはシリコンエッチング液に対して1〜11重量%の範囲で用いられる。1重量%より低い濃度では、ヒドロキシルアミンの添加によるシリコンエッチング速度の向上効果が明確に得られない場合がある。1重量%以上であれば、ヒドロキシルアミンの添加によるエッチング速度の向上効果が明確に得られるようになる。ヒドロキシルアミン濃度を増加させた際には、これに伴いエッチング速度も単調に増加する傾向が見られる。ただし、濃度が11重量%を超えてヒドロキシルアミンの濃度を増加させても、エッチング速度の更なる向上効果があまり見られない。所望のエッチング速度を考慮した上で、ヒドロキシルアミン濃度を適宜決定すればよい。
[シリコンエッチング方法]
本発明のシリコンエッチング方法は、エッチング対象物に本発明のシリコンエッチング液を接触させる工程を有するものである。エッチング対象物にシリコンエッチング液を接触させる方法には特に制限はなく、例えばシリコンエッチング液を滴下(枚葉スピン処理)やスプレーなどの形式により対象物に接触させる方法や、対象物をシリコンエッチング液に浸漬させる方法などを採用することができる。本発明においては、シリコンエッチング液を対象物に滴下(枚葉スピン処理)して接触させる方法、対象物をシリコンエッチング液に浸漬して接触させる方法が好ましく採用される。
本発明のシリコンエッチング方法としては、より具体的には、加温されたエッチング液中に対象物を浸漬、あるいは該エッチング液を対象物に接触させる接触工程、所定時間経過後に取り出し、対象物に付着しているエッチング液を水などで洗い流す洗浄工程、その後、付着している水を乾燥する乾燥工程を有する方法が好ましく採られている。
エッチング液の使用温度としては、40℃以上沸点未満の温度が好ましく、さらに好ましくは50℃から90℃、特に70℃から90℃が好ましい。エッチング液の温度が40℃以上であれば、エッチング速度が低くなりすぎないので、生産効率が著しく低下することがない。一方、沸点未満の温度であれば、液組成変化を抑制し、エッチング条件を一定に保つことができる。エッチング液の温度を高くすることで、エッチング速度は上昇するが、エッチング液の組成変化を小さく抑えることなども考慮した上で、適宜最適な処理温度を決定すればよい。
本発明におけるエッチング処理の対象物は、単結晶シリコンを含んだ基板または多面体ブロックであり、基板やブロックの全域または一部領域に単結晶シリコンが存在しているものである。なお、単結晶シリコンは単層でも多層に積層された状態でも構わない。これらの基板やブロックの全域または一部領域にイオンドープしたものもエッチング処理の対象物となる。またシリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコン有機膜など材料やアルミニウム膜、クロム膜、金膜などの金属膜が上記のエッチング対象物の表面や対象物内部に存在しているものについても、本発明におけるエッチング処理の対象物に含まれる。
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。評価に用いたエッチング対象物は単結晶シリコン(100)(単にシリコン(100)という場合がある)ウェハである。このシリコン(100)ウェハの片側の面は、その全面がシリコン熱酸化膜からなる保護膜によって覆われた状態となっており、もう片側の面ではシリコン熱酸化膜の一部をドライエッチングにより除去し、シリコン面が露出したパターン形状を有している。このシリコン(100)ウェハはエッチング処理をする直前に23℃の1%フッ化水素酸水溶液に7分間浸漬し、その後、超純水によるリンスを施し、乾燥を行った。このフッ化水素酸水溶液処理によって、パターン形状のシリコン面が露出した部分の表面に生成しているシリコン自然酸化膜を除去した後エッチング処理を行った。
単結晶シリコン(100)ウェハのエッチング処理方法およびエッチング速度の算出方法
以下の実施例および比較例に示したエッチング液をPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)製の容器に入れ、この容器を湯浴中に浸してエッチング液の温度を80℃に加温した。エッチング液の温度が80℃に達した後、単結晶シリコン(100)ウェハをエッチング液の中に10分間浸してエッチング処理を行い、その後、ウェハを取り出して超純水によるリンスおよび乾燥を行った。エッチング処理を行ったウェハは、シリコンのエッチングに伴いパターン部分が周囲よりも窪んだ状態になり、エッチングされた部分とエッチングされていない部分との高低差を測定することによって、10分間でのシリコン(100)面のエッチング深さを求めた。このエッチング深さを10で割った値をシリコン(100)面のエッチング速度(単位はμm/分)として算出した。
加熱老化試験方法およびエッチング速度低下率
過熱老化試験は、以下の方法に従って実施した。すなわち、エッチング温度80℃でシリコン(100)面のエッチング速度(V1)を測定した後、このエッチング液の温度を85℃に上げ、85℃加温状態を24時間継続し、その後、液温を80℃に戻し、再度80℃におけるシリコン(100)面のエッチング速度(V2)を測定した。この加熱老化処理前後でのエッチング速度の比較を行い、加熱老化処理前後のエッチング速度の差(V1−V2)を加熱老化処理前のエッチング速度(V1)で割って、100をかけた値をエッチング速度低下率として算出した(式1)。
エッチング速度低下率(%)=[(V1−V2)/(V1)]×100 ・・・(1)
実施例1〜15および比較例1〜6で行っている加熱老化処理は、エッチング液の安定性を評価するために行った処理の一例に過ぎない。加熱する温度を高くするほど、また加熱する時間を長くするほどヒドロキシルアミンの分解が進行してエッチング速度の低下が顕著となり、加熱温度を低くするほど、また加熱時間を短くするほどエッチング速度の低下が軽減することも言うまでもない。この試験は、各液組成間でのシリコン(100)面のエッチング速度の低下度合いを相対的に比較することが目的であり、エッチング速度低下率そのものがエッチング液の絶対的な安定性を示すものではない。
pH測定
pH測定は、堀場製作所製pHメータ(型式:F−12)を用い23℃で測定した。実施例1〜15、比較例1〜4および比較例6はpH値14以上を示した。
実施例1
48%水酸化カリウム(KOH)水溶液149.3g(この中には1.28molに相当するKOHが含まれている)、炭酸カリウム(K2CO3)粉末132.5g(これは0.96molのK2CO3に相当する)、20重量%ヒドロキシルアミン(HA)水溶液500.0gおよび水218.2gを混合し、1000gのエッチング液を調製した。このエッチング液中のカリウムイオン濃度は3.2mol/kg、炭酸イオン濃度は0.96mol/kgと計算され、カリウムイオン濃度に対する炭酸イオン濃度のモル比は0.30である。このエッチング液中のHA濃度は10重量%であり、このエッチング液のpHは14以上である。
このエッチング液を用いて加熱老化試験を行った結果、V1は4.0μm/分、V2は3.4μm/分、エッチング速度低下率は15.0%であった。
実施例2
48%KOH水溶液168.0g(この中には1.44molに相当するKOHが含まれている)、K2CO3粉末149.0g(これは1.08molのK2CO3に相当する)、20重量%HA水溶液500.0gおよび水183.0gを混合し、1000gのエッチング液を調製した。このエッチング液中のカリウムイオン濃度は3.6mol/kg、炭酸イオン濃度は1.08mol/kgと計算され、カリウムイオン濃度に対する炭酸イオン濃度のモル比は0.30である。このエッチング液中のHA濃度は10重量%であり、このエッチング液のpHは14以上である。
このエッチング液を用いて加熱老化試験を行った結果、V1は4.1μm/分、V2は3.5μm/分、エッチング速度低下率は14.6%であった。
実施例3
48%KOH水溶液182.0g(この中には1.56molに相当するKOHが含まれている)、K2CO3粉末161.5g(これは1.17molのK2CO3に相当する)、20重量%HA水溶液500.0gおよび水156.5gを混合し、1000gのエッチング液を調製した。このエッチング液中のカリウムイオン濃度は3.9mol/kg、炭酸イオン濃度は1.17mol/kgと計算され、カリウムイオン濃度に対する炭酸イオン濃度のモル比は0.30である。このエッチング液中のHA濃度は10重量%であり、このエッチング液のpHは14以上である。
このエッチング液を用いて加熱老化試験を行った結果、V1は4.5μm/分、V2は3.7μm/分、エッチング速度低下率は17.8%であった。
実施例4
48%KOH水溶液200.7g(この中には1.72molに相当するKOHが含まれている)、K2CO3粉末178.0g(これは1.29molのK2CO3に相当する)、20重量%HA水溶液500.0gおよび水121.3gを混合し、1000gのエッチング液を調製した。このエッチング液中のカリウムイオン濃度は4.3mol/kg、炭酸イオン濃度は1.29mol/kgと計算され、カリウムイオン濃度に対する炭酸イオン濃度のモル比は0.30である。このエッチング液中のHA濃度は10重量%であり、このエッチング液のpHは14以上である。
このエッチング液を用いて加熱老化試験を行った結果、V1は4.8μm/分、V2は3.9μm/分、エッチング速度低下率は18.8%であった。
比較例1
48%KOH水溶液373.3g(この中には3.2molに相当するKOHが含まれている)、20重量%HA水溶液500.0gおよび水126.7gを混合し、1000gのエッチング液を調製した。このエッチング液中のカリウムイオン濃度は3.2mol/kgと計算され、炭酸イオンは含まず、よってカリウムイオン濃度に対する炭酸イオン濃度のモル比は0.0である。このエッチング液中のHA濃度は10重量%であり、このエッチング液のpHは14以上である。
このエッチング液を用いて加熱老化試験を行った結果、V1は3.6μm/分、V2は2.8μm/分、エッチング速度低下率は22.2%であった。
比較例2
48%KOH水溶液420.0g(この中には3.6molに相当するKOHが含まれている)、20重量%HA水溶液500.0gおよび水80.0gを混合し、1000gのエッチング液を調製した。このエッチング液中のカリウムイオン濃度は3.6mol/kgと計算され、炭酸イオンは含まず、よってカリウムイオン濃度に対する炭酸イオン濃度のモル比は0.0である。このエッチング液中のHA濃度は10重量%であり、このエッチング液のpHは14以上である。
このエッチング液を用いて加熱老化試験を行った結果、V1は3.9μm/分、V2は3.0μm/分、エッチング速度低下率は23.1%であった。
比較例3
48%KOH水溶液455.0g(この中には3.9molに相当するKOHが含まれている)、20重量%HA水溶液500.0gおよび水45.0gを混合し、1000gのエッチング液を調製した。このエッチング液中のカリウムイオン濃度は3.9mol/kgと計算され、炭酸イオンは含まず、よってカリウムイオン濃度に対する炭酸イオン濃度のモル比は0.0である。このエッチング液中のHA濃度は10重量%であり、このエッチング液のpHは14以上である。
このエッチング液を用いて加熱老化試験を行った結果、V1は4.3μm/分、V2は3.1μm/分、エッチング速度低下率は27.9%であった。
比較例4
48%KOH水溶液501.7g(この中には4.3molに相当するKOHが含まれている)、25重量%HA水溶液400.0gおよび水98.3gを混合し、1000gのエッチング液を調製した。このエッチング液中のカリウムイオン濃度は4.3mol/kgと計算され、炭酸イオンは含まず、よってカリウムイオン濃度に対する炭酸イオン濃度のモル比は0.0である。このエッチング液中のHA濃度は10重量%であり、このエッチング液のpHは14以上である。
このエッチング液を用いて加熱老化試験を行った結果、V1は4.4μm/分、V2は3.2μm/分、エッチング速度低下率は27.3%であった。
実施例5
48%KOH水溶液74.7g(この中には0.64molに相当するKOHが含まれている)、K2CO3粉末176.6g(これは1.28molのK2CO3に相当する)、20重量%HA水溶液500.0gおよび水248.7gを混合し、1000gのエッチング液を調製した。このエッチング液中のカリウムイオン濃度は3.2mol/kg、炭酸イオン濃度は1.28mol/kgと計算され、カリウムイオン濃度に対する炭酸イオン濃度のモル比は0.40である。このエッチング液中のHA濃度は10重量%であり、このエッチング液のpHは14以上である。
このエッチング液を用いて加熱老化試験を行った結果、V1は3.3μm/分、V2は3.2μm/分、エッチング速度低下率は3.0%であった。
実施例6
48%KOH水溶液84.0g(この中には0.72molに相当するKOHが含まれている)、K2CO3粉末198.7g(これは1.44molのK2CO3に相当する)、20重量%HA水溶液500.0gおよび水217.3gを混合し、1000gのエッチング液を調製した。このエッチング液中のカリウムイオン濃度は3.6mol/kg、炭酸イオン濃度は1.44mol/kgと計算され、カリウムイオン濃度に対する炭酸イオン濃度のモル比は0.40である。このエッチング液中のHA濃度は10重量%であり、このエッチング液のpHは14以上である。
このエッチング液を用いて加熱老化試験を行った結果、V1は3.5μm/分、V2は3.4μm/分、エッチング速度低下率は2.9%であった。
実施例7
48%KOH水溶液91.0g(この中には0.78molに相当するKOHが含まれている)、K2CO3粉末215.3g(これは1.56molのK2CO3に相当する)、20重量%HA水溶液500.0gおよび水193.7gを混合し、1000gのエッチング液を調製した。このエッチング液中のカリウムイオン濃度は3.9mol/kg、炭酸イオン濃度は1.56mol/kgと計算され、カリウムイオン濃度に対する炭酸イオン濃度のモル比は0.40である。このエッチング液中のHA濃度は10重量%であり、このエッチング液のpHは14以上である。
このエッチング液を用いて加熱老化試験を行った結果、V1は3.7μm/分、V2は3.5μm/分、エッチング速度低下率は5.4%であった。
実施例8
48%KOH水溶液100.3g(この中には0.86molに相当するKOHが含まれている)、K2CO3粉末237.4g(これは1.72molのK2CO3に相当する)、20重量%HA水溶液500.0gおよび水162.3gを混合し、1000gのエッチング液を調製した。このエッチング液中のカリウムイオン濃度は4.3mol/kg、炭酸イオン濃度は1.72mol/kgと計算され、カリウムイオン濃度に対する炭酸イオン濃度のモル比は0.40である。このエッチング液中のHA濃度は10重量%であり、このエッチング液のpHは14以上である。
このエッチング液を用いて加熱老化試験を行った結果、V1は3.9μm/分、V2は3.7μm/分、エッチング速度低下率は5.1%であった。
実施例9
48%KOH水溶液294.0g(この中には2.52molに相当するKOHが含まれている)、炭酸水素カリウム(KHCO3)粉末108.0g(これは1.08molのKHCO3に相当する)、20重量%HA水溶液500.0gおよび水98.0gを混合し、1000gのエッチング液を調製した。このエッチング液中のカリウムイオン濃度は3.6mol/kg、炭酸イオン濃度は1.08mol/kgと計算され、カリウムイオン濃度に対する炭酸イオン濃度のモル比は0.30である。このエッチング液中のHA濃度は10重量%であり、このエッチング液のpHは14以上である。
このエッチング液を用いて加熱老化試験を行った結果、V1は4.1μm/分、V2は3.5μm/分、エッチング速度低下率は14.6%であった。
実施例10
48%KOH水溶液252.0g(この中には2.16molに相当するKOHが含まれている)、KHCO3粉末144.0g(これは1.44molのKHCO3に相当する)、20重量%HA水溶液500.0gおよび水104.0gを混合し、1000gのエッチング液を調製した。このエッチング液中のカリウムイオン濃度は3.6mol/kg、炭酸イオン濃度は1.44mol/kgと計算され、カリウムイオン濃度に対する炭酸イオン濃度のモル比は0.40である。このエッチング液中のHA濃度は10重量%であり、このエッチング液のpHは14以上である。
このエッチング液を用いて加熱老化試験を行った結果、V1は3.5μm/分、V2は3.4μm/分、エッチング速度低下率は2.9%であった。
実施例11
48%KOH水溶液420.0g(この中には3.6molに相当するKOHが含まれている)および20重量%HA水溶液500.0gを混合した。この水溶液に密閉系で26.2L(23℃、1気圧)のCO2ガス(これは1.08molのCO2に相当する)を吸収させた。さらに水32.5gを加えることによって1000gのエッチング液を調製した。このエッチング液中のカリウムイオン濃度は3.6mol/kg、炭酸イオン濃度は1.08mol/kgと計算され、カリウムイオン濃度に対する炭酸イオン濃度のモル比は0.30である。このエッチング液中のHA濃度は10重量%であり、このエッチング液のpHは14以上である。
このエッチング液を用いて加熱老化試験を行った結果、V1は4.1μm/分、V2は3.5μm/分、エッチング速度低下率は14.6%であった。
実施例12
48%KOH水溶液420.0g(この中には3.6molに相当するKOHが含まれている)および20重量%HA水溶液500.0gを混合した。この水溶液に密閉系で35.0L(23℃、1気圧)のCO2ガス(これは1.44molのCO2に相当する)を吸収させた。さらに水16.6gを加えることによって1000gのエッチング液を調製した。このエッチング液中のカリウムイオン濃度は3.6mol/kg、炭酸イオン濃度は1.44mol/kgと計算され、カリウムイオン濃度に対する炭酸イオン濃度のモル比は0.40である。このエッチング液中のHA濃度は10重量%であり、このエッチング液のpHは14以上である。
このエッチング液を用いて加熱老化試験を行った結果、V1は3.5μm/分、V2は3.4μm/分、エッチング速度低下率は2.9%であった。
比較例5
48%KOH水溶液420.0g(この中には3.6molに相当するKOHが含まれている)および20重量%HA水溶液500.0gを混合した。この水溶液に密閉系で43.7L(23℃、1気圧)のCO2ガス(これは1.80molのCO2に相当する)を吸収させた。さらに水0.8gを加えることによって1000gのエッチング液を調製した。このエッチング液中のカリウムイオン濃度は3.6mol/kg、炭酸イオン濃度は1.8mol/kgと計算され、カリウムイオン濃度に対する炭酸イオン濃度のモル比は0.50である。このエッチング液中のHA濃度は10重量%であり、このエッチング液のpHは11.9である。
このエッチング液を用いてシリコンのエッチング処理を行ったが、シリコンは溶解せず、エッチングできなかった。
実施例13
20%水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液288.0g(この中には1.44molに相当するNaOHが含まれている)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)粉末114.5g(これは1.08molのNa2CO3に相当する)、20重量%HA水溶液500.0gおよび水97.5gを混合し、1000gのエッチング液を調製した。このエッチング液中のナトリウムイオン濃度は3.6mol/kg、炭酸イオン濃度は1.08mol/kgと計算され、ナトリウムイオン濃度に対する炭酸イオン濃度のモル比は0.30である。このエッチング液中のHA濃度は10重量%であり、このエッチング液のpHは14以上である。
このエッチング液を用いて加熱老化試験を行った結果、V1は3.7μm/分、V2は3.2μm/分、エッチング速度低下率は13.5%であった。
実施例14
20%NaOH水溶液504.0g(この中には2.52molに相当するNaOHが含まれている)、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)粉末90.7g(これは1.08molのNaHCO3に相当する)、40重量%HA水溶液250.0gおよび水155.3gを混合し、1000gのエッチング液を調製した。このエッチング液中のナトリウムイオン濃度は3.6mol/kg、炭酸イオン濃度は1.08mol/kgと計算され、ナトリウムイオン濃度に対する炭酸イオン濃度のモル比は0.30である。このエッチング液中のHA濃度は10重量%であり、このエッチング液のpHは14以上である。
このエッチング液を用いて加熱老化試験を行った結果、V1は3.7μm/分、V2は3.2μm/分、エッチング速度低下率は13.5%であった。
実施例15
20%NaOH水溶液720.0g(この中には3.60molに相当するNaOHが含まれている)および50重量%HA水溶液200.0gを混合した。この水溶液に密閉系で26.2L(23℃、1気圧)のCO2ガス(これは1.08molのCO2に相当する)を吸収させた。さらに水32.5gを加えることによって1000gのエッチング液を調製した。このエッチング液中のナトリウムイオン濃度は3.6mol/kg、炭酸イオン濃度は1.08mol/kgと計算され、ナトリウムイオン濃度に対する炭酸イオン濃度のモル比は0.30である。このエッチング液中のHA濃度は10重量%であり、このエッチング液のpHは14以上である。
このエッチング液を用いて加熱老化試験を行った結果、V1は3.7μm/分、V2は3.2μm/分、エッチング速度低下率は13.5%であった。
比較例6
20%NaOH水溶液720.0g(この中には3.60molに相当するNaOHが含まれている)、50重量%HA水溶液200.0gおよび水80.0gを混合して1000gのエッチング液を調製した。このエッチング液中のナトリウムイオン濃度は3.6mol/kgと計算され、HA濃度は10重量%であり、このエッチング液のpHは14以上である。
このエッチング液を用いて加熱老化試験を行った結果、V1は3.5μm/分、V2は2.7μm/分、エッチング速度低下率は22.9%であった。
実施例1〜15および比較例1〜6より、シリコンエッチング液が、アルカリ金属水酸化物とヒドロキシルアミンを含んだ水溶液中に無機炭酸化合物を添加して得られる、該エッチング液が、アルカリ金属水酸化物、ヒドロキシルアミンおよび無機炭酸化合物を含有し、かつpHが12以上であることで、加熱老化試験によるシリコンエッチング速度の低下が抑制されることがわかる。
また、本発明にかかるシリコンエッチング液は、ヒドロキシルアミンを含有することによりいずれの実施例においても、3.3(μm/分)以上という非常に優れたエッチング速度が得られているが、本発明においては、エッチング速度の低下を多少の犠牲にしてもエッチング速度を重視するか、エッチング速度の低下率の小ささを重視するかは、用途に応じて適宜選択することができる。
実施例および比較例の結果を表1に示した。
Figure 2009136558
浸漬温度;80℃、浸漬時間;10分
KOH:水酸化カリウム、K2CO3:炭酸カリウム、KHCO3:炭酸水素カリウム
CO2:二酸化炭素、NaOH:水酸化ナトリウム、Na2CO3:炭酸ナトリウム
NaHCO3:炭酸水素ナトリウム
※1,加熱老化処理前のエッチング速度(V1)が検出限界(0.1μm/分)以下のため、エッチング速度低下率を算出することが不能
本発明のシリコンエッチング液およびシリコンエッチング方法は、ヒドロキシルアミンを含んだシリコンエッチング液の長寿命化およびエッチング処理を行う際の頻繁な加工形状確認などの煩雑な操作を大幅に簡略化できる。この効果をいかし、本発明のシリコンエッチング液およびシリコンエッチング方法は、マイクロマシンに用いられる部品や半導体デバイスの製造に好適に用いることができる。

Claims (9)

  1. 単結晶シリコンを異方性に溶解するシリコンエッチング液であって、(A)アルカリ金属水酸化物、(B)ヒドロキシルアミン、および(C)無機炭酸化合物、を含有したpH12以上のアルカリ性水溶液であることを特徴とするシリコンエッチング液。
  2. (A)アルカリ金属水酸化物が、水酸化カリウムおよび/または水酸化ナトリウムである請求項1に記載のシリコンエッチング液。
  3. (C)無機炭酸化合物がアルカリ性水溶液中で解離して炭酸イオン(CO3 2-)を生じる化合物である請求項1に記載のシリコンエッチング液。
  4. (A)アルカリ金属水酸化物および(C)無機炭酸化合物の解離で水溶液中に生成するアルカリ金属イオンの濃度が、3.0mol/kgから4.5mol/kgであり、(C)無機炭酸化合物の解離で水溶液中に生じる炭酸イオン(CO3 2-)の濃度が、アルカリ金属イオンの濃度に対するモル比として0.28から0.42である請求項1に記載のシリコンエッチング液。
  5. (C)無機炭酸化合物が、二酸化炭素(CO2)、炭酸カリウム(K2CO3)、炭酸水素カリウム(KHCO3)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、および炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)から選ばれる1種以上である請求項1に記載のシリコンエッチング液。
  6. アルカリ金属イオンが、カリウムイオン(K+)および/またはナトリウムイオン(Na+)である請求項4に記載のシリコンエッチング液。
  7. pH13以上である請求項1〜6のいずれかに記載のシリコンエッチング液。
  8. エッチング対象物をシリコンエッチング液に接触させる工程を有し、該シリコンエッチング液が、単結晶シリコンを異方性に溶解するものであり、(A)アルカリ金属水酸化物、(B)ヒドロキシルアミン、および(C)無機炭酸化合物を含有したpH12以上のアルカリ性水溶液であるシリコンエッチング方法。
  9. (A)アルカリ金属水酸化物が水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムであり、(C)無機炭酸化合物が二酸化炭素(CO2)、炭酸カリウム(K2CO3)、炭酸水素カリウム(KHCO3)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、および炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)から選ばれる1種以上である請求項8に記載のシリコンエッチング方法。
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