JPWO2009113638A1 - ガラス搬送用ロールおよびその製造方法ならびにそれを用いた板ガラスの製造方法 - Google Patents

ガラス搬送用ロールおよびその製造方法ならびにそれを用いた板ガラスの製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、ロール母材の表面に下地層とセラミックス溶射皮膜が積層されたガラス搬送用ロールにおいて、該セラミックス溶射皮膜からの粒子脱落を抑制するを課題とする。本発明は、ロール母材の表面に、サーメットまたは金属からなる第1の溶射皮膜が設けられ、該第1の溶射皮膜上にセラミックスからなる第2の溶射皮膜が設けられたガラス搬送用ロールであって、該第2の溶射皮膜がシリカ前駆体溶液を用いて封孔処理されているガラス搬送用ロールに関する。

Description

本発明は、板ガラスの製造において高温状態のガラスを搬送するために用いられるガラス搬送用ロール、およびその製造方法、ならびにそのガラス搬送用ロールを用いた板ガラスの製造方法に関する。
従来から、フロート法によって板ガラスを製造する工程では、溶融錫の上面を流れてきたガラスリボンと呼ばれる高温状態のガラスの連続した層を錫浴から引き上げるためのリフトアウトロールや、該ガラスリボンを移動させながら徐々に冷却していくためのレアロールなど多くのガラス搬送用ロールが用いられている。
ガラス搬送用ロールは、冷却固化される前の高温のガラスに直接接触するため、板ガラスの品質に影響を与える。例えば、錫浴から取り出した直後のガラスリボンは充分に高温であり、ロールの表面が鉄基金属であると、両者の間で容易に微視的な接着が生じる。そしてガラスリボンがロール上を移動する際に、接着した部分のガラスはリボンから剥離してロールの表面に残留する。金属ロールは熱伝導に優れるため、金属ロール表面に接着した微小なガラス残留物は容易に熱を奪われて固化し、後から搬送されてくるガラスリボンの表面に傷を発生させる原因となる。
また、錫浴から引き上げられたガラスリボンの下面には、微量の金属錫や酸化錫が付着している。このようなガラスリボンを金属ロールで搬送すると、該付着物の一部が搬送用ロール表面に強固に凝着し、前述のガラス残留物と同様にガラスリボンの表面に傷を発生させるおそれがある。
そこで金属からなるロール母材の表面にセラミックス溶射皮膜を被覆し、ロール母材と該セラミックス溶射皮膜との間に、下地層としてメタル層やサーメット溶射膜を設けたガラス搬送用ロールが提案されている。
例えば下記特許文献1には、鉄基合金のロール母材の表面にセラミックス溶射皮膜を形成するとともに、該セラミックス溶射皮膜と母材との間にサーメットからなる下地膜を設けた搬送用ロールが記載されている。
また、下記特許文献2には、ロール胴部の金属基材の表面にセラミックの溶射皮膜を設けるとともに、該金属基材と該セラミック溶射皮膜との間に、両者の中間の熱膨張係数を有する金属溶射皮膜を設けたフロートガラス製造用ロールが記載されている。
さらに、下記特許文献3には、ガラス搬送用のロールではないが、セラミックス、サーメットなどの溶射皮膜に対して、封孔処理することにより溶射皮膜の改質強化をすることが記載されている。
特開2004−277828号公報 特開平4−260623号公報 特開平6−10112号公報
特許文献1および2のようにロールの表面をセラミックス溶射皮膜とすると、ガラス残留物や錫凝集物の付着が生じ難くなる。また、該セラミックス溶射皮膜とロール母材との間に下地膜を設けることにより熱膨張率の差異に起因するセラミックス溶射皮膜の剥離を抑制できる。
しかしながら、ロール母材の表面上に金属またはサーメットからなる下地層を有し、その上にセラミックス溶射皮膜が積層された従来の搬送用ロールは、板ガラスの製造ラインで使用する際に、高温、少なくともロールの存在雰囲気温度が550℃以上の場合に、セラミックス溶射皮膜の表面の微細な亀裂が不可避であるため、セラミックス溶射皮膜を構成している粒子が脱落して、搬送されているガラスに付着するという不都合が生じやすい。
さらにガラスリボンの搬送工程では、搬送用ロールとリボンの摩擦による傷が発生することを防止するために、高温でしかも腐食性ガスを用いることが多く、この環境において該ロールを長期間使用するとセラミックス溶射皮膜自体が剥離することも少なくない。
特許文献3に記載の封孔処理では、溶射皮膜の気孔に封孔剤が充填され溶射皮膜が緻密化することによって溶射皮膜の強化をしている。
しかしながら、従来、ガラス製造に用いる溶射したロールには封孔処理は適用されてこなかった。これは、ロールが高温で利用されるため、前述のようにセラミックス溶射皮膜の表面の微細な亀裂が不可避であり、目的とする封孔処理により溶射膜が緻密化した結果、封孔後の高温での利用時にむしろ溶射膜表面に亀裂が入りやすくなって、想定した効果を奏することが難しいと考えられていたためである。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、ロール母材の表面に下地層とセラミックス溶射皮膜が積層された、高温で使用されることが多いガラス搬送用ロールにおいて、該セラミックス溶射皮膜からの粒子脱落および溶射被膜自体の剥離を抑制できるようすることを目的とする。
本発明者等は、セラミックス溶射皮膜から粒子が脱落する現象および長期使用後のセラミックス溶射皮膜自体の剥離について鋭意研究した結果、板ガラスの製造ラインでは、これらの問題の発生機構が酸素や腐食性ガスによるセラミックス溶射皮膜の劣化、具体的には下地膜に起因する劣化と本質的に関連していることを知見した。
すなわち、板ガラスの製造ラインの雰囲気中には、酸素や、腐食性ガスである硫黄酸化物(SO)が存在し、ガラス搬送用ロールの表面層を形成しているセラミックス溶射皮膜には貫通気孔が存在するため、酸素や硫黄酸化物が、微量ではあるが、セラミックス溶射皮膜を通り抜けて下地層に接触する。酸素または硫黄酸化物(SO)は、下地層を構成している金属溶射皮膜やサーメット溶射皮膜を酸化または腐食し、これによって下地層の体積が膨張する。膨張した下地層は表面層を押し上げ、表面層をなすセラミックス溶射皮膜に下地層から表面に貫通する亀裂が発生する。次の現象として、下地層の酸化や腐食の状態は、対象となるロールを取り巻く温度や雰囲気、さらには下地層自体の組成によって異なり、セラミックス溶射皮膜の粒子脱落が支配的な様態と、セラミックス溶射皮膜自体の剥離が支配的な様態の2種類に分類できる。第1の様態は、下地層の酸化または腐食が比較的早く進行し、下地層の体積がさらに膨張する結果、セラミックス溶射皮膜表面に微細な亀裂が発生するとともに凹凸が発生し、ガラスとの接触によって表面開放端で微細な粒子の脱落を引き起こすことが支配的な状態である。一方、第2の様態は、種々の環境条件によって下地層の腐食速度が比較的遅く、下地層とセラミックス溶射皮膜との界面に薄い反応層が形成される結果、下地層とセラミックス溶射皮膜の界面近傍からセラミックス溶射皮膜の剥離自体が生じることが支配的な状態である。なお、第1と第2の各様態において、支配的ではない他方の様態も発生しており、これらを併せて抑制する必要がある。このような問題は、前記フロート法による板ガラスの製造方法のみならず、その他の板ガラスの製造方法におけるガラス搬送用ロールでも発生する場合がある。
本発明者等はかかる知見に基づいてさらに検討を重ね、セラミックス溶射皮膜の表面に対して、シリカ前駆体溶液を用いて封孔処理を行うことにより、前述したセラミックス溶射皮膜からの粒子脱落およびセラミックス溶射皮膜自体の剥離を防止できることを見出して本発明を完成するに至った。この封孔処理によって、セラミックス溶射皮膜表面には前述のように使用時の熱によって微細な亀裂は発生するが、本発明は下地層の劣化や下地層とセラミックス溶射皮膜との界面における劣化を抑制することによって上記の第1と第2の様態の問題を解決できる。
加えて、本発明のガラス搬送用ロールにおいては、支配的な様態に対応してシリカ前駆体溶液のセラミックス溶射皮膜への浸透状態をかえることによって本発明の効果が大きくなることもわかった。すなわち、下地層の酸化や腐食の進行の仕方の違いに応じて、第1の様態である粒子脱落が支配的な場合に対しては溶射皮膜表面での皮膜を形成する粒子同士の結合力を高める封孔処理を、第2の様態である剥離が支配的な場合に対しては下地層とセラミックス層の界面まで浸透し、その界面を保護するためにセラミックス溶射皮膜に対する含浸性が向上する封孔処理を、選択することが好ましい。どちらの様態が支配的かは、後述するように高温腐食ガスの環境下に溶射膜を暴露することによって判断できる。
本発明は、ロール母材の表面に、サーメットまたは金属からなる第1の溶射皮膜が設けられ、該第1の溶射皮膜上にセラミックスからなる第2の溶射皮膜が設けられたガラス搬送用ロールであって、該第2の溶射皮膜がシリカ前駆体溶液を用いて封孔処理されているガラス搬送用ロールを提供する。
また、本発明は、ロール母材の表面に、金属またはサーメットからなる第1の溶射皮膜を形成する第1の成膜工程と、該第1の溶射皮膜上にセラミックスからなる第2の溶射皮膜を形成する第2の成膜工程と、該第2の溶射皮膜に、シリカ前駆体溶液を含浸させる含浸工程と、該シリカ前駆体溶液を硬化させて第2の溶射皮膜を封孔処理する硬化工程を有する、ガラス搬送用ロールの製造方法を提供する。
前記第2の成膜工程と、前記含浸工程との間に、前記第2の溶射皮膜の表面を研磨する研磨工程を有することが好ましい。
また、本発明は、本発明のガラス搬送用ロールを用いてガラスを搬送する工程を有する、板ガラスの製造方法を提供する。
さらに、前記板ガラスの製造方法は、板ガラスを加熱した後、または加熱後に成形した後に、急冷してガラス表面に残留応力を付与する物理強化工程を含むことが好ましい。
本発明によれば、ロール母材の表面に下地層とセラミックス溶射皮膜が積層されたガラス搬送用ロールにおける、セラミックス溶射皮膜からの粒子脱落および下地層とセラミックス表面層の界面近傍から生じるセラミックス溶射皮膜の剥離自体を格段に抑制できる。また、本発明のガラス搬送用ロールを用いた板ガラスおよび強化板ガラスの製造方法によって、高品質の板ガラスを提供することができる。
図1はガラス板への粒子の付着性評価に用いられる試験装置を示す概略図である。 図2は実施例1、2および比較例1〜4の評価結果を示すグラフである。 図3(a)〜3(c)はジルコニア-8質量%イットリア溶射皮膜の気孔および粒子境界がポリシラザンから生成したシリカで充填されている様態例(上段がEPMAによる元素マッピング、下段がSEM写真)である。上段で色が白っぽく見えているところがSiの量が多い部分である。 図4は高温腐食ガス環境で暴露後の溶射皮膜断面の腐食生成物の様態(実施例3)を示す図である。 図5は高温腐食ガス環境で暴露後の溶射皮膜断面の腐食生成物の様態(比較例5)を示す図である。 図6は高温腐食ガス環境で暴露後の溶射皮膜断面の腐食生成物の様態(実施例4)を示す図である。 図7は高温腐食ガス環境で暴露後の溶射皮膜断面の腐食生成物の様態(比較例6)を示す図である。
符号の説明
1 試験機、2 ガラス板、3 ロール。
<ロール母材>
ロール母材の材質は特に限定されないが、たとえば、炭素鋼、ステンレス鋼など鉄を主体とする金属が好適に用いられる。
ロール母材の外径は特に限定されないが、一般的なガラス搬送用ロールにおけるロール母材の外径は200〜500mmである。
<第1の溶射皮膜>
本発明のガラス搬送用ロールにおいて、ロール母材の表面上に、下地膜として第1の溶射皮膜が設けられている。第1の溶射皮膜はサーメットまたは金属からなる。ロール母材との密着力が高い点でサーメットが好ましい。
(サーメット)
第1の溶射皮膜をなすサーメットとしては、特に限定されず、ガラス搬送用ロールにおける下地膜として公知のサーメットを適宜用いることができる。
例えば炭化クロム系サーメット、硼化物系サーメット、酸化物分散系サーメット等が好適に用いられる。
炭化クロム系サーメットは炭化クロムが主体であるセラミックス相と、バインダーとなる金属相とからなる。セラミックス相は主としてCrからなるが、不可避不純物としてCr23、Cr等を含有していてもよい。金属相はCo、Ni、およびCrから選ばれる2種以上の金属を含む耐熱合金からなる。
炭化クロム系サーメットにおけるセラミックス相の含有率が45〜95質量%で、金属相の含有率が5〜55質量%であることが好ましい。セラミックス相および金属相の割合は、断面写真に基づき、各相の面積率を求め、質量率に換算することにより求めることができる(以下、同様)。
炭化クロム系サーメット溶射皮膜を形成するための原料としては、炭化クロムセラミックスと、バインダーとなる耐熱合金との混合物を焼結し、粉砕整粒して粒子径を30〜150μm程度に調整した粉末を用いることが好ましい。市販の炭化クロム系サーメット溶射材料を用いてもよい。
硼化物系サーメットは、MoおよびWの少なくとも一方、Co、Cr及びBを含有する複合硼化物が主体であるセラミックス相と、CoおよびCrを主体とする金属相とからなる。
セラミック相を構成する各元素の好ましい含有量は、Mo:60質量%以下、W:74質量%以下、Co:15〜36質量%、Cr:3〜16質量%、B:4〜7質量%であり、MoとWの合計が65質量%以上である。セラミックス相には、これらの各元素のほかに、不可避不純物としてNb、Ta、Vなどが含まれてもよい。
金属相におけるCoとCrの含有量の合計は75質量%以上であることが好ましい。また該金属相における、Cr含有量とCo含有量の質量比(Cr:Co)は1:0.15〜1:0.40であることが好ましい。金属相にはCoおよびCrのほかに、不可避不純物としてTi、Al、Ta、Nbなどが含まれてもよい。
硼化物系サーメットにおけるセラミックス相の好ましい含有率は、40〜80質量%であり、50〜75質量%がより好ましい。金属相の好ましい含有率は、20〜60質量%であり、25〜50質量%がより好ましい。
酸化物分散系サーメットは、酸化物が主体であるセラミックス相と、バインダーとなる金属相とからなる。セラミックス相は主としてAlからなるが、高温でも溶融しないZrO、Cr等を含有していてもよい。金属相はCo、Ni、およびCrから選ばれる2種以上の金属を含む耐熱合金からなり、例えばNi基合金、Co基合金等が好適に用いられる。Ni基合金としては、例えば約20〜70質量%のCrを含有するCr−Ni合金が挙げられる。Co基合金としては、例えば15〜30質量%のCrと、5〜16%のAlと、0.1〜1質量%のYを含有するCo合金が挙げられる。また公知のMCrAlY合金等を使用することもできる。
酸化物分散系サーメットにおけるセラミックス相の含有率が5〜20質量%で、金属相の含有率が80〜95質量%であることが好ましい。
酸化物分散系サーメット溶射皮膜を形成するための原料としては、粒子径を30〜150μm程度に調整した酸化物と、バインダーとなる耐熱合金を混合して用いることが好ましい。
第1の溶射皮膜がサーメットからなる場合、該第1の溶射皮膜の厚さは30〜150μmが好ましく50〜80μmがより好ましい。上記範囲の下限値以上であると皮膜の密着力が得られやすく、上限値以下であると母材と第2の溶射皮膜との熱膨張差を緩和しやすい。
(金属)
第1の溶射皮膜をなす金属としては、特に限定されず、ガラス搬送用ロールにおける下地膜として公知の金属材料から、ロール母材の熱膨張係数と、第2の溶射皮膜の熱膨張係数との中間の熱膨張係数を有する金属材料を適宜用いることができる。
第1の溶射皮膜の金属材料としては、例えばNi基合金、Co基合金等が好適に用いられる。Ni基合金としては、例えば約20〜70質量%のCrを含有するCr−Ni合金が挙げられる。Co基合金としては、例えば15〜30質量%のCrと、5〜16%のAlと、0.1〜1質量%のYを含有するCo合金が挙げられる。また公知のコバルト基合金であるステライト合金やトリバロイ合金等を使用することもできる。
第1の溶射皮膜が金属からなる場合、該第1の溶射皮膜の厚さは30〜150μmが好ましく50〜80μmがより好ましい。上記範囲の下限値以上であると皮膜の密着力が得られやすく、上限値以下であると母材と第2の溶射皮膜との熱膨張差を緩和しやすい。
<第2の溶射皮膜>
本発明のガラス搬送用ロールにおいて、第1の溶射皮膜上に第2の溶射皮膜が積層形成されている。第2の溶射皮膜はセラミックスからなる。
第2の溶射皮膜をなすセラミックスは、酸化物系、炭化物系、窒化物系等の各種セラミックが適用される。その材質の具体例として、酸化ジルコニウム(ZrO)を主成分とするジルコニア系セラミックス、酸化アルミニウム(Al)を主成分とするアルミナ系セラミックス等が挙げられる。
ジルコニア系セラミックスは、高温においてもガラスや錫および酸化錫が付着し難いという利点を有する。ジルコニア系セラミックスは、添加剤としてY、CaO、MgO、CeO、その他の酸化物の1種ないし2種以上を、3〜15質量%程度含有する安定化ジルコニアまたは部分安定化ジルコニアが好ましい。安定化ジルコニアの好ましい例として8質量%酸化イットリウム安定化酸化ジルコニウム(8YSZ)が挙げられる。
アルミナ系セラミックスは、高純度のAlのほか、2〜3%程度のTiO等を付随するグレイ・アルミナ等も有効である。
また、2種以上のセラミックスからなる混合成分系でもよい。
第2の溶射皮膜は少なくとも酸化ジルコニウムを含有することが、ガラス、錫、酸化錫等の付着を防止する点で好ましい。第2の溶射皮膜における酸化ジルコニウムの含有量は60質量%以上が好ましい。酸化ジルコニウム以外の他の含有成分の例としては、酸化イットリウム、酸化マグネシウム、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化チタニウムなどが挙げられる。
第2の溶射皮膜の厚みは、好ましくは50〜500μmであり、より好ましくは100〜400μmである。
第2の溶射皮膜の厚みが50μm以上であると、熱衝撃の緩衝層としての効果が充分に得られやすく、熱サイクルによる第2の溶射皮膜の剥離が生じ難い。厚みが500μm以下であると、メンテナンスなどの際の機械的な力による亀裂が生じ難い。
<シリカ前駆体溶液>
本発明のガラス搬送用ロールにおいて、第2の溶射皮膜はシリカ前駆体溶液を用いて封孔処理されている。
シリカ前駆体とは、物理的、化学的変化によりシリカ(SiO)を生じる化合物をいう。シリカ前駆体の例としてはアルコキシシランやそのオリゴマー、ポリシラザン、アルカリケイ酸塩、ポリケイ酸が挙げられる。ここでアルコキシシランのオリゴマーとは、アルコキシシランの部分加水分解縮合物をいう。アルコキシシランのオリゴマーとしては、例えばアルコキシシランを部分的に加水分解縮合して得られる2〜20量体がある。ポリシラザンとしてはパーヒドロポリシラザンが好ましい。アルコキシシランの具体例としてはテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン(珪酸エチル)、テトライソプロポキシシラン等のテトラアルコキシシランやそのオリゴマー;メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン等のオルガノアルコキシシランやそれらのオリゴマー等が挙げられる。これらアルコキシシランは、前駆体溶液中で加水分解された形で用いることが好ましい。ポリシラザンの具体例としては、パーヒドロポリシラザンが好ましい。
シリカ前駆体溶液として、シリカ前駆体を含有する公知のコーティング液を適宜使用できる。具体例としては、アルコキシシランやそのオリゴマーのアルコール溶液、ポリシラザンの有機溶媒溶液、アルカリケイ酸塩水溶液(水ガラス)、ポリケイ酸水溶液等が挙げられる。シリカ前駆体溶液は、必要に応じて触媒、界面活性剤、収縮抑制剤等の他の成分を適宜含有してもよい。
アルカリケイ酸塩水溶液(水ガラス)からなる前駆体溶液はセラミック溶射皮膜表面に塗布し大気中で適当な温度で保持すると二酸化ケイ素を析出して、巨視的には表面の塗膜となるとともに、一部は溶射皮膜の粒子境界に滲入する。水溶液の濃度などを調整することによって、この滲入効果を大きくすることが可能であり、前述した第2の様態である剥離が支配的な場合に対し有効な結果を得るのに好ましい。しかし、これらの二酸化ケイ素物質はセラミック溶射粒子間の結合力を向上させる効果が若干弱い場合がある。また溶射皮膜表面に塗膜状に形成したものは、高温保持によって亀甲状のわれを不可避に生じるとともに、その組織内に容易に液相が出現する。
また、アルコキシシラン(代表的にはテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン)は加熱履歴によってシリカに転じるものの微細粉末のゲル状を呈する。これらは凝集性に乏しくかつ外力が働いたとき、その環境中にしばしば脱離する場合がある。ただし、アルコキシシランオリゴマーの使用やシリカゾルなどの収縮抑制剤の併用によりこれら問題を解決することができる。
一方、アルコキシシラン類から形成される酸化ケイ素に比較して、ポリシラザン類から形成される酸化ケイ素は緻密な構造を有し、高い機械的耐久性やガスバリヤ性を有し、セラミックス溶射被膜の封孔剤として用いた場合に、セラミックス粒子の結合力を高め、粒子の脱落防止への効果が大きいため、前述した第1の様態である粒子脱落が支配的な場合にはポリシラザンを用いるのが好ましい。
本発明で用いるシリカ前駆体は、問題の様態によって選定される必要があるが、アルコキシシランやそのオリゴマー、ポリシラザンまたはアルカリケイ酸塩に限定されるものではなく、他のシリカ前駆体を用いることが出来る。
<ガラス搬送用ロールの製造方法>
本発明のガラス搬送用ロールの製造方法について説明する。
まず、ロール母材の表面に、金属またはサーメットからなる第1の溶射皮膜を形成する(第1の成膜工程)。次いで第1の溶射皮膜上にセラミックスからなる第2の溶射皮膜を形成する(第2の成膜工程)。
第1の溶射皮膜および第2の溶射皮膜はそれぞれ、プラズマ溶射法、高速フレーム溶射法などの公知の溶射法で形成できる。第1の溶射皮膜の形成は、高速度によって溶射粒子が母材に衝突するため皮膜と基材間の高い密着力が得られるという点で、高速フレーム溶射法が好ましい。一方、第2の溶射皮膜の形成は、高い溶融温度が実現でき、溶射粒子を半溶融状態にすることが出来るという点で、プラズマ溶射法が好ましい。
溶射法で用いる原料は粉末原料が好ましい、粉末原料は、予め混合、造粒、焼結、粉砕、分級などを行い造粒焼結粉や焼結粉砕粉として、溶射に用いることが好ましい。
第1の溶射皮膜の形成に先立って、ロール母材の表面を粗化するブラスト処理を行うことが好ましい。ブラスト処理後のロール母材の表面粗さ(JIS B0601:2001に規定される算術平均高さRa、以下同様。)は2.0〜5.0μmが好ましい。
第1の溶射皮膜および第2の溶射皮膜は、原料が溶融した液滴粒子が基材(ロール母材表面)へ衝突し、急速凝固、積層することによって形成されるため一般に気孔を有する。第2の溶射皮膜の気孔率は1〜10%が好ましく、1〜5%がより好ましい。該気孔率が上記範囲の下限値以上であると熱膨張差による剥離を抑制し、上記範囲の上限値以下であると皮膜の強度を得られやすく、さらにシリカ前駆体溶液による含浸での熱膨張差を緩和しやすい。また、第2の溶射皮膜の気孔率が大きすぎると、前述したように貫通気孔を通じて、酸素や硫黄酸化物が、微量ではあるが溶射皮膜を通り抜けて下地層に接触しやすく、封孔の効果が得られない場合があるので好ましくない。第1の溶射皮膜の気孔率は0.5〜5%が好ましく、この範囲であれば母材への酸素や硫黄酸化物の侵入を比較的長期に抑制できる。第1の溶射皮膜の気孔率は1〜3%がより好ましく、この範囲であれば、母材への酸素や硫黄酸化物の侵入をより長期に抑制できる。第2の溶射皮膜の気孔率は、第1の溶射皮膜の気孔率よりも大きい必要はない。なお、気孔率の値は断面画像解析法や水銀圧入法により求められるが、本発明では断面画像解析法によって求める。
溶射皮膜における気孔率は溶射法、溶射条件、原料粉末の粒子径等によって調整することができる。
次いで、第2の溶射皮膜を形成した後、第2の溶射皮膜の表面を研磨することが好ましい(研磨工程)。後述する含浸工程の前に研磨を行うことによりシリカ前駆体硬化後の皮膜中の亀裂発生を抑制できる。
研磨後の第2の溶射皮膜の表面の粗さ(Ra)は0.2〜0.8μmが好ましく、0.4〜0.6μmがより好ましい。
研磨方法は特に限定されず、例えば耐水性研磨紙を用いた手研磨、ダイヤモンド工具による機械的研磨等を用いることができる。
次いで、第2の溶射皮膜にシリカ前駆体溶液を含浸させる(含浸工程)。含浸条件は、第2の溶射皮膜表面に存在する全部の気孔内にシリカ前駆体溶液が浸透するように設定するのが好ましい。該気孔内にシリカ前駆体溶液が浸透する浸透深さは、酸素および腐食性ガスの透過を良好に防止するうえで10μm以上が好ましく、20μm以上がより好ましく、50μm以上がさらに好ましい。第2の溶射皮膜の全厚にわたって浸透してもよい。シリカ前駆体溶液の浸透深さは、シリカ前駆体溶液の粘度、含浸時間、雰囲気温度等によって調整できる。
含浸工程後、好ましくは、第2の溶射皮膜上に付着しているシリカ前駆体溶液を拭き取り、該第2の溶射皮膜の表面上に残っているシリカ前駆体溶液層が硬化して形成されるシリカ皮膜の厚さ(残渣膜厚)を5μm以下とすることが好ましい。第2の溶射皮膜の表面上において該残渣膜厚がゼロの領域、すなわち硬化前において、気孔内にはシリカ前駆体溶液が浸透しており、表面にはシリカ前駆体溶液が付着していない領域が存在してもよい。
該シリカ前駆体溶液の拭き取り工程は必須ではないが、後述するシリカ前駆体溶液の硬化工程の前に拭き取りを行うことにより、加熱時に表面で硬化したシリカ前駆体の亀裂発生を抑制する。
次いで、シリカ前駆体溶液を硬化させて第2の溶射皮膜を封孔処理する(硬化工程)。
シリカ前駆体溶液の硬化は、用いたシリカ前駆体の種類に応じた公知の方法で行うことができる。これによりシリカ前駆体溶液中のシリカ前駆体がシリカに転化する。
こうして得られるガラス搬送用ロールは、ロール母材の表面に、第1の溶射皮膜が設けられ、該第1の溶射皮膜上に第2の溶射皮膜が設けられ、該第2の溶射皮膜の気孔がシリカで封孔されている。また硬化前において第2の溶射皮膜の表面上にシリカ前駆体溶液が付着している領域では、第2の溶射皮膜の表面上にシリカ皮膜が積層された状態となる。
本発明のガラス搬送用ロールは、第2の溶射皮膜の空隙がシリカで充填されているため、雰囲気中の酸素や腐食性ガスが第2の溶射皮膜を透過して第1の溶射皮膜に接触するのを抑制することができる。これにより第1の溶射皮膜の酸化や腐食に起因する、第2の溶射皮膜表面における粒子脱落と第2の溶射皮膜の剥離自体が良好に抑制される。
また第2の溶射皮膜を構成している粒子間の隙間がシリカで埋められた状態となるため粒子間強度自体が向上し、これによっても粒子の脱落が生じ難くなる。
したがって、本発明のガラス搬送用ロールは搬送中のガラスへの粒子付着が生じ難く、ガラス搬送用ロールを用いてガラスを製造することにより、ガラスの高品質化を実現することができる。
また雰囲気中の酸素や腐食性ガスが第2の溶射皮膜を透過して第1の溶射皮膜に接触するのが防止されるため、第1の溶射皮膜を金属で構成することもできる。
<板ガラスの製造方法>
本発明の板ガラスの製造方法は、建築用板ガラス、自動車ガラス、ディスプレイ用板ガラスなどの公知の種々の製造方法や、ガラスの組成によらず利用できる。例えば、板ガラスの製造方法は一般に、原材料を溶解して溶融ガラスを得る溶融工程と、溶融ガラスを成形する成形工程と、成形後のガラスを移動させながら徐々に冷却して応力を除去する徐冷工程と、そのガラスを切断する切断工程と、を有する。上記成形工程は、フロート法、ロールアウト法、ダウンドロー法、フュージョン法など種々のものがある。本発明の搬送用ロールは、上記工程中の搬送を目的とする工程中であればどこでも利用することができ、おもに成形工程以降の各工程内および各工程間での高温、好ましくは550〜750℃の雰囲気下にあるガラスリボンならびに切断後の板ガラスの搬送に利用する。
さらに、前述の切断工程後に物理強化工程を含む場合では、上記切断後の板ガラスを搬送用ロールを用いて移動し、強化炉で軟化点以上に加熱後に冷却空気で急冷、または必要に応じて軟化点以上に加熱後に成形をした板ガラスを冷却空気で急冷する。急冷は通常、ガラス表面に対向させた複数のノズルから冷却空気を吹き付けることによって行う。これによって、ガラスの表面に圧縮性の残留応力が付与され、いわゆる物理強化法あるいは風冷強化法による強化板ガラスになる。上記物理強化工程は、前記の切断工程と連続していてもよいし、板ガラスを貯蔵後に板ガラスを取り出し、必要に応じて切断後に行ってもよい。本発明の搬送用ロールは、上記工程中の搬送を目的とするところであればどこでも利用することができる。
板ガラスの製造方法において物理強化工程以外に、イオン交換によって化学的にガラス表面に圧縮応力を付与するいわゆる化学強化工程がある。本発明の搬送用ロールは、この化学強化工程中の搬送を目的とするところでも利用することができる。
以上の本発明のガラス搬送用ロールを用いた板ガラスの製造方法によって、高品質の板ガラスを提供することができる。
以下に実施例を用いて本発明の搬送用ロールと搬送用ロールの製造方法をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例1、2、及び4がシリカ処理(封孔処理)としてポリシラザン処理をしたもので、実施例3がシリカ処理としてアルコキシシランオリゴマー処理をしたものである。
(粒子の付着性の評価)
以下に、シリカ処理としてポリシラザン処理をした場合のガラス表面への溶射皮膜の粒子付着性を評価した結果について説明する。
(実施例1)第2の溶射皮膜の気孔率8%+シリカ処理(ポリシラザン)
まず、24質量%程度のCrを含有するステンレス(SUS310相当、高温用)からなるロール母材を用意した。ロール母材の形状は、後述する試験に用いるために便宜上、外径150mm×厚み20mmの円板状とし、ロール外周面の半径方向断面は外方に凸状の曲面とし、該曲面の曲率半径は50mmとした。
次に、ロール母材の外周面に対して、平均粒子径500μm程度のアルミナ粒子を用いてブラスト処理を施し、表面粗さ(Ra)を3.5μmとした。
ブラスト処理後、プラズマ溶射法により炭化クロム系サーメットからなる第1の溶射皮膜を形成した。溶射原料として、粒子径50〜150μmのCr−20質量%NiCr合金(Ni20質量%Cr合金)粉末を用いた。得られた第1の溶射皮膜の膜厚は80μm、気孔率は2%であった。なお、気孔率は、断面画像解析法によって求めた(以下、同様)。
次に、第1の溶射皮膜上に、プラズマ溶射法によりジルコニア系セラミックスからなる第2の溶射皮膜を形成した。溶射原料として、粒子径50〜100μmのイットリア安定化ジルコニア(8YSZ)粉末を用いた。得られた第2の溶射皮膜の膜厚は400μm、表面粗さ(Ra)は2.0μm、気孔率は8%であった。
続いて、第2の溶射皮膜の表面を手研磨にて研磨した。研磨後の第2の溶射皮膜の膜厚は300μm、表面粗さ(Ra)は0.5μm、気孔率は8%であった。
次いで、研磨後の第2の溶射皮膜上にシリカ前駆体溶液を塗布し、第2の溶射皮膜の気孔にシリカ前駆体溶液を含浸させた。シリカ前駆体溶液としては、溶射皮膜の気孔に含浸しやすく、大気中の酸素および水分と容易に反応して非晶質シリカを形成するポリシラザン系のパーヒドロポリシラザンのキシレン溶液(パーヒドロポリシラザンの含有量:10質量%)を用いた。塗布方法としては刷毛を用いて塗りこむことによって行った。塗布方法は噴霧、ロールコート、液浸漬などの方法を用いても同様の結果を得ることができる。塗布は溶液が第2の溶射皮膜に十分に染込み、溶液の第2の溶射皮膜上への残存が目視で確認されるまで行い、塗布量の制御はこの目視観察によって行なった。
塗布後、ワイピングクロスを用いて第2の溶射皮膜の表面上のシリカ前駆体溶液を拭き取り、第2の溶射皮膜の表面上におけるシリカ前駆体溶液の残渣膜厚を1μm以下とした。これらの作業は、温度を5〜35℃、相対湿度を35〜60%の大気環境で実施した。この後、室温大気中で24時間保持してシリカ前駆体溶液を硬化させることにより、第2の溶射皮膜の気孔がシリカ封孔された溶射皮膜を得た。また、温度100℃の大気中で1時間保持することによっても、室温大気中24時間保持の場合と同様の結果を得た。
(実施例2)第2の溶射皮膜の気孔率2%+シリカ処理(ポリシラザン)
実施例1の第2の溶射皮膜の気孔率のみ2%に変更した。その他の条件は、実施例1と同様である。
(比較例1)第2の溶射皮膜の気孔率8%+シリカ処理無し
上記実施例1と同様の工程で、手研磨にて研磨し、表面粗さ(Ra)を0.5μmとしたところまで行った。
(比較例2)第2の溶射皮膜の気孔率2%+シリカ処理無し
上記実施例2と同様の工程で、手研磨にて研磨し、表面粗さ(Ra)を0.5μmとしたところまで行った。
(比較例3)第2の溶射皮膜の気孔率8%+シリカ処理(ポリシラザン)+20μm研磨
上記実施例1と同様の工程でシリカ封孔を行った溶射皮膜の表面を手研磨にて20μm研磨し、表面粗さ(Ra)を0.5μmとした。
(比較例4)第2の溶射皮膜の気孔率8%+シリカ処理(ポリシラザン)+200μm研

上記実施例1と同様の工程でシリカ封孔を行った溶射皮膜の表面を手研磨にて200μm研磨し、表面粗さ(Ra)を0.5μmとした。
以上のサンプルに基づいてガラス搬送用ロールの性能を評価するため、下記の方法で、高温におけるガラス板への粒子の付着性を評価した。
図1は該評価に用いた試験装置を説明するための概略図である。この試験装置はロール・オン・ディスク型転動摩擦試験機1(高千穂精機社製)と電気炉(図示略)とを組み合わせて構成されている。
ロール・オン・ディスク型転動摩擦試験機1は、周方向に回転する円板状のガラス板2の上面に、ガラス搬送用ロール(以下、単にロールということもある。)3の周面が接触するように設けられている。ロール3は周方向に回動自在であり、回転軸方向がガラス板2の径方向と同じであり、かつ回転軸方向に進退可能に設けられている。
該試験機1において、ガラス板2の上面とロール3の周面とを接触させ、ロール3に対して、ロール3の中心からガラス板2へ向かう方向に一定の荷重をかけた状態で、ガラス板2を回転させると、その回転に伴ってロール3がガラス板2上を転がるように回転する。そしてガラス板2を回転させつつ、ロール3をその回転軸方向にガラス板2の中心に向かって前進させることにより、ロール3はガラス板2上面に螺旋状の摩擦痕を描きながら転がる。また上記実施例および比較例ではロールの外周面を、外方に凸状の曲面としたため、ガラス板2の上面とロール3の周面との接触は点接触となり、摩擦痕は線状となる。
試験機1は電気炉内に収容されており試験機1の雰囲気温度が所定の温度に制御されるようになっている。
試験条件は、雰囲気温度600℃、ロール3に対する荷重500gf、ガラス板2の半径90mm、ガラス板2の回転速度0.5rps、摩擦痕の幅(ガラス板2とロール3との点接触直径に相当する)0.12mm、ガラス板2の径方向における摩擦痕の間隔(摩擦痕の幅方向の中心間距離)0.125mmとした。
まず、ガラス板2とロール3を試験機1にセットした。ガラス板2とロール3とが接触しない状態として、電気炉内の温度を600℃に昇温した。600℃で30分保持後、ガラス板2およびロール3の温度が充分に均一になったところで、ガラス板2の上面の端縁にロール3の周面を接触させ、ロール3に所定の荷重をかけた状態で、ガラス板2の回転とロール3の軸方向への前進(軸送り)を同時に開始した。ロール3の軸送り速度は、摩擦痕の間隔が所定の値となるように設定する。ロール3がガラス板2の中心に達したら両者の接触を解除し、ガラス板2の回転を止めた。そしてガラス板2が割れないように電気炉内の温度を徐々に降下させ、室温まで下げてからガラス板2を取り出した。
こうして得たガラス板2の上面にどの程度のZrO粒子が付着しているかを、以下の方法で評価した。
得られたガラス板2の上面において、端縁から中心に向かう径方向に沿って、10mm間隔で観察点を決めた。ガラス板2から、該観察点の全部を含む適宜の大きさのガラス板片を切り出し、その上面をカーボンコートした。この後、電子顕微鏡により各観察点を中心とする反射電子像を一定倍率でそれぞれ撮影し、各撮影像(観察領域)中に存在するZrO粒子の面積と撮影像の全面積に基づき、下式(1)により各観察領域における粒子付着率を算出した。
粒子付着率(%)=(ZrO粒子の面積合計/撮影像の全面積)×100…(1)
このようにして、実施例1、2および比較例1〜4で得られたガラス搬送用ロールについて、ガラス板へのZrO粒子の付着率を測定した結果を図2に示す。
図2において、横軸はガラス板2の端縁(外周)から各観察点までの距離を示し、縦軸はガラス板への粒子付着率(単位:%)を示す。
図2のグラフに示されるように、比較例1〜4のガラス搬送用ロールは、ロールからガラス板へのZrO粒子の付着が多く生じたのに対して、実施例1と2のガラス搬送用ロールは、かかる粒子の付着率が0.15%以下となり、付着が良好に抑えられた。特に、ガラス板とロールの摩擦開始直後(ガラス板の端縁部)において、実施例と比較例の差が大きい。例えば実施例1のロールは比較例1のロールに比べて、摩擦初期におけるガラス板への粒子の付着率が1/10以下に減少した。また、実施例1と実施例2の結果からわかるように、気孔率が2%の場合と8%の場合において、付着率の顕著な差はなく、気孔率が比較的小さな場合でも効果が得られた。さらに、比較例3と比較例4の結果からわかるように、封孔処理後の研磨処理では顕著な効果は得られなかった。
(ポリシラザン処理による微細間隙浸入性と充填性の評価)
以下に、上記の評価とは別のサンプルを用いて、ポリシラザン処理でのセラミックス溶射皮膜への含浸性の評価をするために、溶射膜にポリシラザン処理をしたサンプルでの評価結果を示す。
ポリシラザン処理を気孔率8%のZrO−8質量%Yプラズマ溶射皮膜に施した。EPMA(X線マイクロアナライザー)を用いて断面の元素分布を精査した。図3に、この結果として、ZrO−8質量%Y溶射皮膜の気孔および粒子境界がポリシラザンから生成したシリカで充填されている様態例を示す。図3の上段にEPMAによる元素マッピング、下段にSEM(走査電子顕微鏡)写真を示す。ただし、上段の元素マッピングは、カラー画像をグレースケール画像にしたもので、(a)は表面近傍、(b)は表面から25〜50μm、(c)は表面から125〜150μmのところの断面を示す。上段の元素マッピングにおいて、白っぽく見えているところがSiの量が多い部分である。これより、ポリシラザン材は溶射皮膜内部の気孔および粒子境界の全体によく進入し、溶射皮膜の表面から125〜150μmの深さまでの領域の溶射皮膜粒子境界がシリカで充填されていることがわかった。
(シリカ処理の高温での耐腐食性の評価)
以下に、シリカ処理の高温での耐腐食性の評価をするために、シリカ処理としてアルコキシシランオリゴマー処理とポリシラザン処理をしたサンプルでの評価結果を示す。
(実施例3)第2の溶射皮膜の気孔率8%+シリカ処理(アルコキシシランオリゴマー) Crを24質量%含有するステンレス(SUS310相当、高温用)からなる平板を用意した。ロール母材の形状は、後述する試験に用いるために便宜上、100mm×50mm×厚み5mmの平板状とした。
この平板に対して、平均粒子径500μm程度のアルミナ粒子を用いてブラスト処理を施し、表面粗さ(Ra)を3.5μmとした。
このブラスト処理後、プラズマ溶射法により炭化クロム系サーメットからなる第1の溶射皮膜を形成した。溶射原料として、粒子径50〜150μmのCr−20質量%NiCr合金(Ni−20質量%Cr)粉末を用いた。得られた第1の溶射皮膜の膜厚は80μm、気孔率は2%であった。
第1の溶射皮膜上に、プラズマ溶射法によりジルコニア系セラミックスからなる第2の溶射皮膜を形成した。溶射原料として、粒子径50〜100μmのイットリア安定化ジルコニア(8YSZ)粉末を用いた。得られた第2の溶射皮膜の膜厚は400μm、表面粗さ(Ra)は2.0μm、気孔率は8%であった。
続いて、第2の溶射皮膜の表面を手研磨にて研磨した。研磨後の第2の溶射皮膜の膜厚は300μm、表面粗さ(Ra)は0.5μm、気孔率は8%であった。
研磨後の第2の溶射皮膜上にシリカ前駆体溶液を塗布し、第2の溶射皮膜の気孔にシリカ前駆体溶液を含浸させた。シリカ前駆体溶液としては、溶射皮膜の気孔の深くに浸入するように表面張力が高く、比較的低粘度なテトラエトキシシランオリゴマーのイソプロパノール溶液(テトラエトキシシランオリゴマーの含有量10質量%)に、架橋収縮を抑制するためコロイダルシリカ(平均粒径10〜80nm)を30〜50質量%分散させた、分散液を用いた。
塗布量は第2の溶射皮膜の表面全面がシリカ前駆体溶液で覆われるに充分な量とした。塗布後、60分間静置してシリカ前駆体溶液を気孔内へ浸透させた後、第2の溶射皮膜の表面上のシリカ前駆体溶液を拭き取り、硬化後の第2の溶射皮膜の表面上におけるシリカ皮膜の残渣膜厚を5μm以下とした。
この後、雰囲気温度100度で1時間保持しシリカ前駆体溶液を硬化させることにより、第2の溶射皮膜の気孔がシリカで封孔された溶射皮膜を得た。
(比較例5)第2の溶射皮膜の気孔率8%+シリカ処理無し
上記実施例3と同様の工程で、手研磨にて研磨し、表面粗さ(Ra)を0.5μmとしたところまで行った溶射皮膜を得た。
(実施例4)第2の溶射皮膜の気孔率8%+シリカ処理(ポリシラザン)
Crを24質量%含有するステンレス鋼(SUS310相当、高温用)からなる平板を用意した。ロール母材の形状は、後述する試験に用いるために便宜上、100mm×50mm×厚み5mmの平板状とした。
この平板に対して、平均粒子径500μm程度のアルミナ粒子を用いてブラスト処理を施し、表面粗さ(Ra)を3.5μmとした。
このブラスト処理後、プラズマ溶射法により、前述の実施例1〜3とは違い、酸化物分散系サーメットからなる第1の溶射皮膜を形成した。溶射原料として、粒子径50〜150μmのAl−CoNiCrAlTa粉末を用いた。得られた第1の溶射皮膜の膜厚は80μm、気孔率は3%であった。
第1の溶射皮膜上に、プラズマ溶射法によりジルコニア系セラミックスからなる第2の溶射皮膜を形成した。溶射原料として、粒子径50〜100μmのイットリア安定化ジルコニア(8YSZ)粉末を用いた。得られた第2の溶射皮膜の膜厚は400μm、表面粗さ(Ra)は2.0μm、気孔率は8%であった。
続いて、第2の溶射皮膜の表面を手研磨にて研磨した。研磨後の第2の溶射皮膜の膜厚は300μm、表面粗さ(Ra)は0.5μm、気孔率は8%であった。
続くシリカ処理については、実施例1と2のポリシラザン処理と同様である。
(比較例6)第2の溶射皮膜の気孔率8%+シリカ処理無し
上記実施例4と同様に前述の実施例1〜3とは違い、酸化物分散系サーメットからなる第1の溶射皮膜を形成し、実施例4と同様の工程で、手研磨にて研磨し、表面粗さ(Ra)を0.5μmとしたところまで行って溶射皮膜を得た。
実施例3のアルコキシシランオリゴマー使用によるシリカ前駆体のシリカ封孔を行っても、溶射皮膜の剥離は生じなかった。また、シリカによる封孔処理によって発現する性能を評価するため、下記の方法で、高温腐食ガス環境下における溶射皮膜の耐腐食性を評価した。
評価のために、実施例3と4ならびに比較例5と6で作成された溶射皮膜を25mm角に切出した各サンプルを、密閉した容器内で雰囲気温度700℃、雰囲気条件SO(3600ppm)/Nベースとし480時間暴露した後、試験片を密閉容器から取り出した。
図4、5、6および7に、高温腐食ガス環境で暴露後に密閉容器から取り出した各サンプルから切り出したサンプル片の断面を反射電子像で観察した結果を示す。図4は、実施例3での溶射皮膜断面の腐食生成物の様態を示す。図5は、比較例5での溶射皮膜断面の腐食生成物の様態を示す。図6は、実施例4での溶射皮膜断面の腐食生成物の様態を示す。図7は、比較例6での溶射皮膜断面の腐食生成物の様態を示す。
図5に示す比較例5のシリカによる封孔のない溶射皮膜では、第1の溶射皮膜(CrNiCr)と第2の溶射皮膜(8YSZ)の界面で図中の円で囲んだ領域内のように腐食生成物(Cr(SO)が多く生じ、第1の溶射皮膜と第2の溶射皮膜の界面だけでなく、第1の溶射皮膜中に入っている亀裂中にも存在していることを確認した。また、図7の比較例6のシリカによる封孔のない溶射皮膜では、第1の溶射皮膜(Al−CoNiCrAlTa)と第2の溶射皮膜(8YSZ)の界面の図中の円で囲んだ領域内のように腐食生成物(Cr(SO)が多く生じるが、腐食生成物は第1の溶射皮膜と第2の溶射皮膜の界面だけであり、第1の溶射皮膜中に入っている亀裂中には確認できなかった。
他方、シリカによる封孔を行った図4に示す実施例3の溶射皮膜では、比較例5と異なり、第1の溶射皮膜と第2の溶射皮膜層との境界に、腐食生成物がほとんど確認できず、腐食生成物の発生が良好に抑えられることを確認した。同様にシリカによる封孔を行った図6に示す実施例4の溶射皮膜でも腐食生成物がほとんど確認できず、腐食生成物の発生が良好に抑えられることを確認した。なお、図4と図6において、第2の溶射膜に水平に走る大きな亀裂は、密閉容器から取り出す際に第2の溶射皮膜と第1の溶射皮膜または第2の溶射皮膜と母材との熱膨張差によって生じたものである。すなわち、本試験でのサンプルの取り出し速度に起因するもので、実際のガラス搬送用ロールの使用中に発生するものではない。図5と図7の溶射皮膜でこのような大きな亀裂が発生していないのは、取り出し速度は同じであるが、図4と図6の溶射皮膜に比べて緻密性が相対的に低いためと考えられる。
上記の観察とは別に、比較例5と比較例6のそれぞれの第1の溶射皮膜への硫黄の侵入の様態を確認するために、上記サンプルの断面についてEDXのマッピングで硫黄の存在位置を確認してその部位を撮影後、それを別途撮影した下地膜断面の反射電子像に合成した。その断面画像から、比較例5ではCr−20質量%NiCr合金(Ni−20質量%Cr)粉末を用いた炭化クロム系サーメットからなる第1の溶射皮膜の場合には硫黄が層厚方向に渡って存在しているのが確認できた。他方の比較例6ではAl−CoNiCrAlTa粉末を用いた酸化物分散系サーメットからなる第1の溶射皮膜の場合には硫黄が膜厚方向のある深さ以上は存在しないことが確認できた。これらは、比較例6の酸化物分散系サーメットの酸化物であるAlがラメラ構造として積層しているため、腐食ガスを第1の溶射皮膜の深部まで浸入させることを抑制するフレークライニングの効果を発揮していることを示している。
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
本出願は、2008年3月13日出願の日本特許出願2008−064064に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。

Claims (10)

  1. ロール母材の表面に、サーメットまたは金属からなる第1の溶射皮膜が設けられ、該第1の溶射皮膜上にセラミックスからなる第2の溶射皮膜が設けられたガラス搬送用ロールであって、該第2の溶射皮膜がシリカ前駆体溶液を用いて封孔処理されている、ガラス搬送用ロール。
  2. 前記第1の溶射皮膜のサーメットが、酸化物分散系サーメット、炭化クロム系サーメット、および硼化物系サーメットのいずれかである請求項1に記載のガラス搬送用ロール。
  3. 前記第2の溶射皮膜の気孔率が、断面画像解析法による測定で1〜10%である請求項1または2に記載のガラス搬送用ロール。
  4. ロール母材の表面に、金属またはサーメットからなる第1の溶射皮膜を形成する第1の成膜工程と、
    該第1の溶射皮膜上にセラミックスからなる第2の溶射皮膜を形成する第2の成膜工程と、
    該第2の溶射皮膜に、シリカ前駆体溶液を含浸させる含浸工程と、
    該シリカ前駆体溶液を硬化させて第2の溶射皮膜を封孔処理する硬化工程を有する、ガラス搬送用ロールの製造方法。
  5. 前記第2の成膜工程と、前記含浸工程との間に、前記第2の溶射皮膜の表面を研磨する研磨工程を有する、請求項4記載のガラス搬送用ロールの製造方法。
  6. 前記第1の溶射皮膜のサーメットが、酸化物分散系サーメット、炭化クロム系サーメット、または硼化物系サーメットのいずれかである請求項4または5に記載のガラス搬送用ロールの製造方法。
  7. 前記第2の溶射皮膜の気孔率が、断面画像解析法による測定で1〜10%である請求項4から6のいずれかに記載のガラス搬送用ロールの製造方法。
  8. 請求項1から3のいずれかに記載のガラス搬送用ロールを用いてガラスを搬送する工程を有する、板ガラスの製造方法。
  9. 板ガラスを加熱した後、または加熱後に成形した後に、急冷してガラス表面に残留応力を付与する物理強化工程を含む、請求項8に記載の板ガラスの製造方法。
  10. 前記ガラス搬送用ロールを、550〜750℃の雰囲気温度下で用いる請求項8または9に記載の板ガラスの製造方法。
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