JP2006274302A - 溶融金属めっき浴用ロール - Google Patents
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Abstract
【課題】使用時に熱衝撃による破壊が防止されるように高耐熱衝撃性を有するとともに、めっき鋼板とのすべりを低減して、めっき鋼板の走行速度の変化に追従しやすい溶融金属めっき浴用のセラミックスロールを提供する。
【解決手段】鋼板と接触する中空状胴部10と、前記胴部に接合された軸部20,21とからなる溶融金属めっき浴用ロールであって、少なくとも前記胴部が常温における熱伝導率が50W/(m・K)以上の窒化珪素系セラミックスからなり、前記胴部の平均表面粗さRaが0.2μm以下であることを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】鋼板と接触する中空状胴部10と、前記胴部に接合された軸部20,21とからなる溶融金属めっき浴用ロールであって、少なくとも前記胴部が常温における熱伝導率が50W/(m・K)以上の窒化珪素系セラミックスからなり、前記胴部の平均表面粗さRaが0.2μm以下であることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、鋼板に亜鉛めっき等の金属めっきを施す浴中に浸漬して用いるシンクロールやサポートロール等のロールに関する。
連続溶融亜鉛めっき装置は典型的には図2に示すような構造を有する。この連続溶融亜鉛めっき装置は、溶融亜鉛浴3を入れた浴槽4と、溶融亜鉛浴3の表層部分に浸漬されて、溶融亜鉛浴3内に導入される鋼板1の酸化を防止するためのスナウト2と、溶融亜鉛浴3中に配置されたシンクロール5と、溶融亜鉛浴3内でシンクロール5の上方に位置する一対のサポートロール6,6と、溶融亜鉛浴3の表面より僅か上方に位置するガスワイピングノズル7とを具備する。シンクロール5自体には外部駆動力が付与されず、移動する鋼板1との接触により駆動される。またサポートロール6,6は一方が外部のモーター(図示せず)に連結された駆動ロールであり、他方が非駆動ロールである。なおサポートロールには外部駆動力が付与されない無駆動タイプもある。シンクロール5及び一対のサポートロール6,6はフレーム(図示せず)に取り付けられており、常に一体として溶融亜鉛浴3内に浸漬される。
鋼板1はスナウト2を経て溶融亜鉛浴3内に進入し、シンクロール5を経由して進行方向を変えられる。溶融亜鉛浴3中を上昇する鋼板1は一対のサポートロール6,6に挟まれ、パスラインが保たれるとともに、反りや振動が防止される。ガスワイピングノズル7は、溶融亜鉛浴3から出てきた鋼板1に高速ガスを吹き付ける。高速ガスのガス圧及び吹き付け角度により、鋼板1に付着した溶融亜鉛の厚さを均一に調整する。このようにして、溶融亜鉛めっきが施された鋼板1’が得られる。
溶融金属めっき浴内で使用されるシンクロールやサポートロールは、溶融金属による著しい腐食環境下に曝されるので、従来から耐食性に優れたステンレス鋼やクロム系耐熱鋼等の鉄系材料により形成されてきた。しかしながら、これらのロールには、長時間の溶融金属浴中への浸漬により表面が侵食され、摩耗しやすくなるという欠点があった。そこで、耐食性、耐熱性及び耐摩耗性に優れたセラミックスにより、鋼板が接触するロール胴部を構成した溶融金属めっき浴用ロールが提案された。
特許文献1は、溶融金属めっき浴中で鋼帯と接触して回転するサポートロールであって、鋼製中空ロールと、前記鋼製中空ロールの表面に溶射した酸化物又は炭化物を主成分とするセラミック皮膜とからなり、前記セラミック皮膜の表面に表面粗さRaが1.0〜30μmのダルを形成したサポートロールを開示している。溶射セラミック皮膜を1.0〜30μmの表面粗さRaとすると、ロールと鋼板との間の摩擦力が増大し、ロールの回転不良と、これに起因する鋼板の疵の発生を防止できる。しかしながら、鉄系材料製ロール母材の表面に、セラミックスを溶射しているため、母材とセラミック皮膜との熱膨張率の差によりセラミック皮膜にクラックが生じ、そこからロールは侵食され、著しく摩耗するという欠点があった。また、ロールがめっき鋼板の走行速度の変化に追従しにくいという欠点があった。
摩耗が著しくなるとロールの真円度が維持できなくなり、ロール及び鋼板に振動が起こるために、均一なめっき厚の鋼板が得られなくなる。このため、従来は1〜2週間の連続使用の後にめっき作業を中止し、摩耗したロールを交換する必要があった。これは、溶融金属めっきの生産性を著しく低下させるだけでなく、めっきコストの上昇を招く。
特許文献2は、中空状のロール胴部及び軸部をそれぞれ窒化珪素系セラミックスで形成し、ロール胴部の両端部に軸部を嵌合又は螺合により接合した溶融金属めっき浴用ロールを開示している。このロールは全体がセラミックスにより形成されているため、耐食性、耐熱性及び耐摩耗性に優れている。
また特許文献3は、中空状のロール胴部及び軸部をそれぞれ窒化珪素系セラミックスで形成し、ロール胴部の両端部に軸部を嵌合又は螺合により接合し、軸部の外周に溶融金属を排出するための孔を形成した連続溶融金属めっき用ロールを開示している。
さらに特許文献4は、中空状のロール胴部、軸部及び駆動クラッチ部をそれぞれセラミックスにより形成し、ロール胴部の内面と軸部の外面との間に隙間を有するようにロール胴部の両端部に軸部を嵌合し、さらに駆動側の軸部の外面と駆動クラッチ部の内面との間に隙間を有するように駆動側の軸部に駆動クラッチ部を嵌合するとともに、それぞれの嵌合部をボルトやピン等の部材により固定した連続溶融金属めっき用ロールを開示している。
しかしながら、特許文献2〜4の公知例は、中空状のロール胴部及び軸部を嵌合又は螺合により接合しているため、軸部がずれて胴部から脱離しやすく不十分であった。また螺合の場合、ねじ部位から割れやすかった。また、前記公知例で使用された窒化珪素系セラミックスはいずれも、例えば87重量%のSi3N4と、5重量%のAl2O3と、3重量%のAlNと、5重量%のY2O3とからなるサイアロンであり、その熱伝導率は高々17W/(m・K)程度で、耐熱衝撃性が不十分であった。そのため、溶融金属浴に浸漬すると熱衝撃により破壊するおそれがあった。
シンクロールやサポートロール等の連続溶融金属めっき用ロールは、めっき鋼板との接触が不十分であるとすべり現象を起こし、ロールが均一に回転しなくなる。このような現象が著しいと、めっき鋼板の表面に疵を発生させる。このため、ロールはすべらず、めっき鋼板の走行速度の変化に追従しやすいことが望まれる。
従って本発明の目的は、使用時に熱衝撃による破壊が防止されるように高耐熱衝撃性を有するとともに、めっき鋼板とのすべりを低減して、めっき鋼板の走行速度の変化に追従しやすい溶融金属めっき浴用のセラミックスロールを提供することである。
すなわち、本発明の溶融金属めっき浴用ロールは、鋼板と接触する中空状胴部と、前記胴部に接合された軸部とからなる溶融金属めっき浴用ロールであって、少なくとも前記胴部が常温における熱伝導率が50W/(m・K)以上の窒化珪素系セラミックスからなり、前記胴部の平均表面粗さRaが0.2μm以下であることを特徴とする。
本発明の溶融金属めっき浴用ロールは、窒化珪素系セラミックスにより形成されているので、耐食性、耐熱性及び耐摩耗性に優れている。特に高熱伝導率の窒化珪素系セラミックスにより形成することにより、実際の連続溶融金属めっきラインでロール表面と内部との伝熱が速く、熱応力によるクラックや破壊が起こりにくい。すなわち、本発明のロールは優れた耐熱衝撃性を有する。
鋼板と接触して耐熱衝撃性が最も要求される胴部が少なくとも高熱伝導率の窒化珪素系セラミックスからなることが必要である。熱膨張率を完全に同じにするという目的で、胴部及び軸部の両者がともに高熱伝導率の窒化珪素系セラミックスからなるのが好ましい、使用条件等に応じて軸部は高熱伝導率の窒化珪素系セラミックス以外のセラミックスで形成してもよい。これに対して、前記公知例に記載されているような従来の窒化珪素系セラミックスはいずれも常温における熱伝導率が高々17W/(m・K)程度であり、連続溶融金属めっきラインでの使用では耐熱衝撃性が不十分である。本発明に使用する窒化珪素系セラミックスが常温で50W/(m・K)以上の熱伝導率を有するのは、不純物として存在するアルミニウム及び酸素の含有量を低減したためである。
[1] 窒化珪素系セラミックス
本発明のロールの少なくとも胴部は高熱伝導率の窒化珪素系セラミックスにより形成するのが最良である。窒化珪素系セラミックス自体は特許文献5に記載のものと同じでよい。
本発明のロールの少なくとも胴部は高熱伝導率の窒化珪素系セラミックスにより形成するのが最良である。窒化珪素系セラミックス自体は特許文献5に記載のものと同じでよい。
窒化珪素系セラミックス中に存在するアルミニウム及び酸素はフォノン散乱源となり、熱伝導率を低減させる。窒化珪素系セラミックスは、窒化珪素粒子とその周囲の粒界相とから構成され、アルミニウム及び酸素はこれらの相に含有される。アルミニウムは珪素に近いイオン半径を有するため、窒化珪素粒子内に容易に固溶する。アルミニウムの固溶により窒化珪素粒子自身の熱伝導率が低下し、窒化珪素系セラミックスの熱伝導率は著しく低下する。従って、窒化珪素系セラミックス中におけるアルミニウムの含有量はできるだけ少なくしなければならない。
本発明の窒化珪素系セラミックスは窒化珪素を主成分とする焼結体であり、その焼結体中のアルミニウム含有量が0.2重量%以下であり、酸素含有量が5重量%以下であるのが好ましい。また前記窒化珪素系セラミックスは相対密度が98%以上であり、常温における4点曲げ強度が700MPa以上であるのが好ましい。
焼結助剤として添加する酸化物中の酸素の多くは粒界相に存在する。窒化珪素系セラミックスの高熱伝導率化を達成するには、窒化珪素粒子に比べて熱伝導率が低い粒界相の量を低減することが必要である。焼結助剤の添加量の下限は、85%以上の相対密度を有する焼結体が得られる量である。焼結助剤の添加量をこの範囲内でできるだけ少なくすることにより、粒界相中の酸素量を低減させる必要がある。
酸素量の少ない窒化珪素粉末を原料とすると、粒界相中の酸素量が低減できるために粒界相の量自体を低減でき、焼結体の高熱伝導率化が達成されるが、焼結過程で生成するSiO2の量の減少により難焼結性となる。ところが、他の酸化物より焼結性に優れたMgOを焼結助剤として用いると、焼結助剤の添加量を少なくして、緻密な焼結体を得ることができる。その結果、焼結体の熱伝導率は飛躍的に高くなる。
マグネシウムとともに添加し得る焼結助剤としては、Y、La、Ce、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu等の周期律表第3a族元素(IIIA)が挙げられる。なかでも、焼結温度及び圧力が高くなり過ぎないという点で、Y、La、Ce、Gd、Dy、Ybが好ましい。
本発明に使用する窒化珪素系セラミックスの常温における熱伝導率は50W/(m・K)以上であり、より好ましくは60W/(m・K)以上である。従って、窒化珪素系セラミックス中の酸素含有量は、50W/(m・K)以上の熱伝導率を得るには5重量%以下であり、60W/(m・K)以上の熱伝導率を得るには3重量%以下である。また窒化珪素粒子中の酸素含有量は、50W/(m・K)以上の熱伝導率を得るには2.5重量%以下であり、60W/(m・K)以上の熱伝導率を得るには1.5重量%以下である。さらに窒化珪素系セラミックス中のアルミニウムの含有量は、50W/(m・K)以上の熱伝導率を得るには0.2重量%以下であり、60W/(m・K)以上の熱伝導率を得るには0.1重量%以下である。
窒化珪素系セラミックス中のマグネシウム(MgO換算)と周期律表第3a族元素(IIIA)(酸化物(IIIA2O3)換算)の合計量は0.6〜7重量%であるのが好ましい。その合計量が0.6重量%未満では、焼結体の相対密度が95%未満と不十分である。一方7重量%を超えると、熱伝導率の低い粒界相の量が過剰となり、焼結体の熱伝導率が50W/(m・K)未満となる。MgO+IIIA2O3は0.6〜4重量%であるのがより好ましい。
MgO/IIIA2O3の重量比は1〜70が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜5が最も好ましい。MgO/IIIA2O3が1未満では、粒界相中の希土類酸化物の割合が多すぎるため、難焼結性となり緻密な焼結体が得られない。またMgO/IIIA2O3が70を超えると焼結時におけるMgの拡散を抑制できず、焼結体表面に色むらが生じる。MgO/IIIA2O3が1〜70の範囲にあると、1650〜1850℃での焼結により高熱伝導率化が著しい。焼結体を1800〜2000℃で熱処理すると、さらに高熱伝導率化される。熱処理による高熱伝導率化は、窒化珪素粒子の成長と蒸気圧の高いMgOの揮発による。
窒化珪素粒子中のアルミニウム、マグネシウム及び周期律表第3a族元素(IIIA)の合計量は1.0重量%以下であるのが好ましい。
窒化珪素系焼結体中のβ型窒化珪素粒子のうち、短軸径が5μm以上のβ型窒化珪素粒子の割合が10体積%超では、焼結体の熱伝導率は向上するが、組織中に導入された粗大粒子が破壊の起点として作用するため破壊強度が著しく低下し、700MPa以上の曲げ強度が得られない。従って、窒化珪素系焼結体中のβ型窒化珪素粒子のうち、短軸径が5μm以上のβ型窒化珪素粒子の割合は10体積%以下であるのが好ましい。同様に、組織中に導入された粗大粒子が破壊の起点として作用することを抑えるために、β型窒化珪素粒子のアスペクト比は15以下であるのが好ましい。
[2] ロール
(1) 構造
図1は本発明の一実施態様による溶融金属めっき浴用ロールの断面形状を示し、このロールは図2に示す溶融金属めっき浴中でサポートロール6として使用される。ロール6は、中空円筒状の胴部10、胴部10の各端部に焼嵌めにより接合される軸部20,21から構成される。
(1) 構造
図1は本発明の一実施態様による溶融金属めっき浴用ロールの断面形状を示し、このロールは図2に示す溶融金属めっき浴中でサポートロール6として使用される。ロール6は、中空円筒状の胴部10、胴部10の各端部に焼嵌めにより接合される軸部20,21から構成される。
本発明は、軸部20,21の胴部10への接合を焼嵌めにより行うのが好ましい。胴部10と軸部20,21との焼嵌め率は0.01/1000〜0.5/1000の範囲内であるのが好ましい。焼嵌め率が0.01/1000未満であると、胴部10による軸部20,21への締付け力が不十分であり、軸部20,21が胴部10から抜けたり滑ったりするおそれがある。また焼嵌め率が0.5/1000を超えると、焼嵌めによる締付け力が大きくなりすぎ、胴部10又は軸部20,21が破損するおそれがある。より好ましい焼嵌め率は0.2/1000〜0.3/1000である。また、セラミックス製の胴部及び軸部のうち接触部の角部は、破損を防止するために、緩やかな曲率面又はテーパー面を有するのが望ましい。
(2) 表面粗さ
溶融金属めっき浴中で鋼板と接触するロール胴部10は0.2μm以下の算術平均表面粗さRaを有する必要がある。0.2μm以下の算術平均粗さRaを有する胴部10は、接触する鋼板との間に微細な隙間が少なく鋼板との密着力が大きく(鋼板との滑りがなく)、鋼板の走行速度の変化に確実に追従できる。平均表面粗さRaが0.2μmを超えると、ロールの追従性が不十分であり、また、めっき鋼板にロール胴部10の表面凹凸が転写されやすいので好ましくない。よりロール胴部10の平均表面粗さRaは好ましくは0.1μm以下であり、より好ましくは0.05μm以下である。
溶融金属めっき浴中で鋼板と接触するロール胴部10は0.2μm以下の算術平均表面粗さRaを有する必要がある。0.2μm以下の算術平均粗さRaを有する胴部10は、接触する鋼板との間に微細な隙間が少なく鋼板との密着力が大きく(鋼板との滑りがなく)、鋼板の走行速度の変化に確実に追従できる。平均表面粗さRaが0.2μmを超えると、ロールの追従性が不十分であり、また、めっき鋼板にロール胴部10の表面凹凸が転写されやすいので好ましくない。よりロール胴部10の平均表面粗さRaは好ましくは0.1μm以下であり、より好ましくは0.05μm以下である。
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
参考例1
平均粒径0.5μmの窒化珪素粉末94.0重量%に、焼結助剤として、平均粒径0.2μmの酸化マグネシウム粉末を3.0重量%、平均粒径2.0μmの酸化イットリウム粉末を3.0重量%添加し、適量の分散剤を加えてエタノール中で粉砕、混合した。得られた粉末混合物を造粒した後、ゴム型に充填して冷間静水圧プレス(CIP)し、得られた成形体を1950℃、60気圧の窒素ガス雰囲気中で5時間焼結した。
平均粒径0.5μmの窒化珪素粉末94.0重量%に、焼結助剤として、平均粒径0.2μmの酸化マグネシウム粉末を3.0重量%、平均粒径2.0μmの酸化イットリウム粉末を3.0重量%添加し、適量の分散剤を加えてエタノール中で粉砕、混合した。得られた粉末混合物を造粒した後、ゴム型に充填して冷間静水圧プレス(CIP)し、得られた成形体を1950℃、60気圧の窒素ガス雰囲気中で5時間焼結した。
得られた窒化珪素系焼結体中の酸素含有量は赤外線吸収法により測定した。また窒化珪素系焼結体中のアルミニウム含有量は誘導プラズマ発光分析法(ICP法)により測定した。
窒化珪素系焼結体中の窒化珪素粒子の割合(体積%)は、フッ化水素酸で粒界相をエッチング除去した後の窒化珪素系焼結体のSEM写真を撮り、SEM写真中の窒化珪素粒子の面積割合(体積%に相当)を測定することにより求めた。また窒化珪素粒子中の酸素含有量は赤外線吸収法により測定した。さらにβ型窒化珪素粒子のうち、短軸径が5μm以上のβ型窒化珪素粒子の割合を画像解析装置により測定した。
得られた焼結体から、直径10mm×厚さ3mmの熱伝導率及び密度測定用の試験片、及び縦3mm×横4mm×長さ40mmの4点曲げ試験用の試験片を切り出した。
熱伝導率は、レーザーフラッシュ法JIS R1611に準拠して常温で測定した比熱及び熱拡散率から算出した。相対密度は、JIS R2205に準拠したアルキメデス法により実測した密度を理論密度で割ることにより求めた。4点曲げ強度は常温でJIS R1601に準拠して測定した。以上の測定の結果を表1に示す。
比較参考例1
平均粒径1.0μmの窒化珪素粉末88.0重量%に、焼結助剤として、平均粒径0.5μmのアルミナ粉末を5.0重量%、平均粒径0.8μmの酸化イットリウム粉末を7.0重量%添加し、適量の分散剤を加えてエタノール中で粉砕、混合した。得られた粉末混合物を造粒した後、ゴム型に充填して冷間静水圧プレス(CIP)し、得られた成形体を1800℃、1気圧の窒素ガス雰囲気中で5時間焼結した。得られた窒化珪素系焼結体に対して、参考例1と同じ測定を行った。測定結果を表1に示す。
平均粒径1.0μmの窒化珪素粉末88.0重量%に、焼結助剤として、平均粒径0.5μmのアルミナ粉末を5.0重量%、平均粒径0.8μmの酸化イットリウム粉末を7.0重量%添加し、適量の分散剤を加えてエタノール中で粉砕、混合した。得られた粉末混合物を造粒した後、ゴム型に充填して冷間静水圧プレス(CIP)し、得られた成形体を1800℃、1気圧の窒素ガス雰囲気中で5時間焼結した。得られた窒化珪素系焼結体に対して、参考例1と同じ測定を行った。測定結果を表1に示す。
実施例1
参考例1と同じ窒化珪素系セラミックスを用いて、図1に示す形状のサポートロール6の胴部10及び軸部20,21を以下の手順で作製した。胴部10は、外径250mm、内径200mm及び長さ1800mmの中空円筒状焼結体からなり、胴部10の両端部の内面に各端面から奥行き250mmの範囲に焼嵌め部を機械加工により形成した。
参考例1と同じ窒化珪素系セラミックスを用いて、図1に示す形状のサポートロール6の胴部10及び軸部20,21を以下の手順で作製した。胴部10は、外径250mm、内径200mm及び長さ1800mmの中空円筒状焼結体からなり、胴部10の両端部の内面に各端面から奥行き250mmの範囲に焼嵌め部を機械加工により形成した。
胴部10の表面に対しては、0.05μmの算術平均粗さRaに鏡面仕上げを施した。
軸部20,21を作製した。軸部20(軸部21も同様)の全長は500mmで、軸部20の一端に焼嵌め部を機械加工により形成した。そして、胴部10の両端部の焼嵌め部に、軸部20,21の焼嵌め部をそれぞれ焼嵌めにより接合した。焼嵌め率は0.2/1000であった。
このロールを図2に示す連続溶融亜鉛めっき装置にサポートロール6として使用し、板厚が2mm、板幅が1300mmのSUS300系ステンレス鋼板の亜鉛めっき処理を行った。約1ヶ月の連続使用後でも、このサポートロール6には侵食及び摩耗がほとんど見られなかった。またロールに亀裂は全く見られず、耐熱衝撃性に優れていることが確認できた。これは、ロールを形成する窒化珪素系セラミックスが50W/(m・K)以上の高熱伝導率を有するためであると考えられる。また、0.05μmの算術平均粗さRaにより、サポートロール6は鋼板の走行速度の変化に良好に追従し、めっき表面に疵がない高品質な亜鉛めっき鋼板が得られた。
比較例1
比較参考例1と同じ窒化珪素系セラミックスを用いて、図1に示す形状のサポートロール6の胴部10及び軸部20,21を同じ手順で作製した。胴部10の表面に対しては、200μmの炭化珪素粒子により4μmの算術平均粗さRaにサンドブラスト処理を施した。
比較参考例1と同じ窒化珪素系セラミックスを用いて、図1に示す形状のサポートロール6の胴部10及び軸部20,21を同じ手順で作製した。胴部10の表面に対しては、200μmの炭化珪素粒子により4μmの算術平均粗さRaにサンドブラスト処理を施した。
このサポートロール6を用いて、実施例1と同様に亜鉛めっき処理を行った。その結果、このサポートロール6は、耐食性及び耐摩耗性は良好であったが、熱伝導率が50W/(m・K)未満であるために、使用を開始してまもなくロール表面に亀裂が発生した。また、4μmの算術平均粗さRaにより、サポートロール6は鋼板の走行速度の変化に対しすべりを生じ、めっき鋼板の表面に疵を発生させた。
以上サポートロールについて述べたが、本発明はシンクロール等の各種の溶融金属めっき浴用ロールにも適用できることは言うまでもない。
本発明の溶融金属めっき浴用ロールは、高い熱伝導率を有する窒化珪素系セラミックスにより形成されているので、溶融金属めっき浴への出し入れの際にかかる熱応力が小さく、優れた耐熱衝撃性を発揮する。また、めっき鋼板の走行速度の変化に良好に追従し、めっき鋼板表面の疵の発生を十分に抑えることができ高品質なめっき特性の鋼板を安定して生産できる。
1 鋼板、 2 スナウト、 3 溶融金属浴、 4 浴槽、 5 シンクロール、
6 サポートロール、 7 ガスワイピングノズル、
10 胴部、 20 軸部、 21 軸部
6 サポートロール、 7 ガスワイピングノズル、
10 胴部、 20 軸部、 21 軸部
Claims (1)
- 鋼板と接触する中空状胴部と、前記胴部に接合された軸部とからなる溶融金属めっき浴用ロールであって、少なくとも前記胴部が常温における熱伝導率が50W/(m・K)以上の窒化珪素系セラミックスからなり、前記胴部の平均表面粗さRaが0.2μm以下であることを特徴とする溶融金属めっき浴用ロール。
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