本発明は、光ディスクと、当該光ディスクに情報を記録する光ディスク記録装置及び光ディスク記録回路に関し、例えば、CD、DVD及びBlu−ray Disc媒体と、それらの光ディスクに情報を記録する光ディスク記録装置とに関するものである。本発明は、主情報を表す凹凸記録マークをスタンパによって光ディスク基板に複製した後、レーザを照射することによって反射率が変化する反射膜を蒸着して光ディスクを形成し、光ディスク形成後、ディスク固有情報などを表す副情報を光ディスクに重畳記録する技術に関するものである。また、本発明は、主情報の読み取り精度を悪化させることなく、不正な複製が困難な副情報を記録する技術に関するものである。
光ディスクは、安価なデジタル情報の記録媒体として、幅広く利用されている。例えば、Blu−ray Discは、単層25ギガバイト、2層50ギガバイトの容量を持ち、ハイビジョンの良質な映像コンテンツを、2〜4.5時間程度記録することができる。従って、光ディスクの容量が増す毎に、1枚の光ディスクに記録されるデジタルコンテンツの価値は高まり、記録されるデジタルコンテンツの著作権の保護が極めて重要な技術課題となっている。
しかしながら、昨今では、光ディスクからの不正なデジタルコンテンツの複製や、海賊版メーカのような違法な光ディスク製造業者が氾濫している。このことは、デジタル著作物の健全な流通を阻害するとともに、著作権者への正当な利益分配が成されない状況となっている。
そこで、例えば、特許文献1には、第1の信号を既に記録した記録媒体上の同一情報トラックに、第1の信号より帯域の低い第2の信号で記録状態のON/OFF制御されたレーザ光を2回以上複数回、記録媒体上の位置を同期して照射し、レーザ光が照射された部分の光学的変化をさらに変化させるよう、第2の信号を重畳記録し、再生時に、第2の信号を分離、再生する情報記録再生方法が開示されている。
特許文献1によれば、第1の信号が記録された情報トラック上に第2の信号を重畳記録することで、第2の信号が記録されている情報トラックの情報の有効/無効、あるいは、情報トラックの代わりとなり情報トラックの位置を管理するための特別な情報トラックを設けることなく、記録媒体上の情報トラックの管理を実現している。
しかしながら、特許文献1で開示された発明においては、予め第1の信号が記録された部分を第2の信号で複数回重畳記録し、第2の信号が正常に読み出し可能となるまで重畳記録を繰り返す。従って、予め記録された第1の信号の読み出し精度が悪化し、エラー訂正などで救済可能なディフェクトマージンが悪化する。また、第2の信号を正常に読み出し可能とするために、同じ領域にレーザ照射を2回以上繰り返すので、記録時間が過大となる。また、通常の光ディスク記録装置において、DVD−ROMなどのROMディスクの凹凸記録マークへのトラッキング制御中に、記録パワーレベルのレーザ照射を行うと、トラッキング動作が安定しないことが知られている。これは、通常、記録可能な光ディスクにおけるトラック溝へのトラッキング方法と、ROMディスクの凹凸記録マークへのトラキング方法とが異なるためである。
以上のように、トラッキング溝がない一般的なROMディスクの凹凸記録マークにトラッキング制御を行いながら、記録パワーレベルのレーザ照射を行う場合に、副情報を安定して記録する方法は、現在に至って開示されていない。
特許第2903422号公報
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、安定して凹凸マークへのトラッキング制御ができ、安定して副情報を記録することができる光ディスク記録装置、光ディスク記録回路及び光ディスクを提供することを目的とするものである。
本発明の一局面に係る光ディスク装置は、主情報に基づいて、螺旋状のトラックに従って形成された凹凸マークと、前記凹凸マーク上に形成され、レーザ照射によって反射率が変化する反射膜とを有する光ディスクに、前記主情報を再生するために用いられる副情報を記録する光ディスク記録装置であって、前記光ディスクにレーザ光を照射する光学ヘッドと、前記凹凸マークの前記螺旋状のトラックにトラッキングするトラッキング部と、前記凹凸マークに第1のレーザパワーでレーザ光を照射することによって、反射光から前記凹凸マークに対応した再生信号を抽出する再生信号抽出部と、前記再生信号抽出部によって抽出された前記再生信号から前記凹凸マークのチャネルビット長に同期するチャネルクロックを抽出するクロック抽出部と、前記トラッキング部による前記螺旋状のトラックへのトラッキングに従って、前記第1のレーザパワーと異なる第2のレーザパワーでレーザ光を照射することによって前記副情報を記録する副情報記録部とを備え、前記副情報記録部は、前記トラッキング部による一度のトラッキングで、前記クロック抽出部によって抽出された前記チャネルクロックに同期した、所定間隔かつ所定頻度で離散的な前記第2のレーザパワーのレーザ光を照射して前記反射膜上に追記マークを形成することで、一部の前記副情報を記録する処理を、複数回繰り返すことにより、全ての前記副情報を記録する。
この構成によれば、主情報に基づいて、螺旋状のトラックに従って形成された凹凸マークと、凹凸マーク上に形成され、レーザ照射によって反射率が変化する反射膜とを有する光ディスクに、レーザ光が照射される。凹凸マークの螺旋状のトラックにトラッキングされ、凹凸マークに第1のレーザパワーでレーザ光が照射されることによって、反射光から凹凸マークに対応した再生信号が抽出される。抽出された再生信号から凹凸マークのチャネルビット長に同期するチャネルクロックが抽出され、螺旋状のトラックへのトラッキングに従って、第1のレーザパワーと異なる第2のレーザパワーでレーザ光が照射されることによって副情報が記録される。そして、一度のトラッキングで、抽出されたチャネルクロックに同期した、所定間隔かつ所定頻度で離散的な第2のレーザパワーのレーザ光が照射されて反射膜上に追記マークが形成されることで、一部の副情報が記録される。さらに、一度のトラッキングで一部の副情報を記録する処理が、複数回繰り返されることにより、全ての副情報が記録される。
本発明によれば、1度のトラッキングで全ての副情報が記録されるのではなく、1度のトラッキングで離散的に第2のレーザパワーのレーザ光が照射されて一部の副情報が記録される処理が、複数回繰り返されることにより、全ての副情報が記録される。そのため、第1のレーザパワーで凹凸マークを再生している途中で、第2のレーザパワーで追記マークを形成したとしても、安定して凹凸マークへのトラッキング制御ができるとともに、安定して副情報を記録することができる。
本発明の目的、特徴及び利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白となる。
本実施の形態に係る光ディスクの構造を示す概念図である。
本実施の形態の光ディスクの追記マークの記録フォーマットを示すタイミングチャートである。
記録レベルのレーザ照射を行う期間をTp/2πS以下とすることが望ましいとする根拠を説明するための概念図である。
本実施の形態の光ディスク記録装置の特徴的な構成を示すブロック図である。
図4に示す副情報記録位置コントローラの詳細な構成を示すブロック図である。
本実施の形態におけるテスト発光動作の一例を示すタイミングチャートである。
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。尚、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
(実施の形態1)
実施の形態1では、本発明の一実施の形態に係る光ディスクについて説明する。
本実施の形態では、光ディスク原盤に凹凸記録マークを形成することにより主情報を記録し、ポリカーボネートなどの樹脂材料で作製された光ディスク基板に凹凸記録マークを転写後、凹凸記録マークが転写された光ディスク基板上に、レーザ光が照射されることによって反射率が変化する反射膜を蒸着し、反射膜の上に保護膜を付加することで光ディスクが成型される。そして、成型後の光ディスクに、レーザ光を照射し、凹凸記録マーク上の反射膜の反射率を変化させ、追記マークを形成することによって、副情報が記録される。以下、上記の光ディスクについて、その詳細な構成を説明する。
図1は、本実施の形態に係る光ディスクの構造を示す概念図である。
本実施の形態の光ディスク1は、光ディスク原盤から凹凸記録マークMKが転写された光ディスク基板1P、コンテンツ情報などの主情報を記録した凹凸記録マークMK、レーザ照射によって反射率が変化する反射膜1L、及び光ディスク形成後にレーザ照射によって反射膜1Lの反射率を変化させることによって副情報を記録した追記マークSMKで構成される。
光ディスク基板1Pは、ポリカーボネート樹脂などによって構成され、光ディスク原盤から凹凸記録マークMKが転写される。
凹凸記録マークMKは、光ディスク原盤から転写され、主に、光ディスクに記録されるコンテンツ情報と、コンテンツ情報の記録位置と、物理特性などを示す管理情報とが主情報として記録される。また、凹凸記録マークMKは、通常の再生専用メディアであるDVD−ROMやBlu−rayROMと同様に形成され、8−16変調方式や17pp変調方式などを用いて変調された主情報が記録されている。
反射膜1Lは、凹凸記録マークが転写された光ディスク基板1P上に蒸着され、一定強度以上のレーザ照射によって反射率が変化する。また、反射膜1Lは、一定強度以上のレーザ照射によって不可逆的に反射率が変化するライトワンス膜で構成される。通常の再生専用メディアでは、反射膜として、アルミニウムや銀材料を用いたものが適用される。また、ライトワンス膜は、一定強度以上のレーザ照射によって反射率が向上するLtoH(Low to High)膜を用いることが望ましい。なぜなら、通常の再生専用メディアの金属反射膜では、一定強度以上のレーザ照射によって、反射率が劣化する。したがって、意図的にLtoH膜を用いることにより、反射率を高くすることによって記録されている追記マークを通常の再生専用メディアへ複写することが困難となる。そのため、追記マークで著作権保護情報などを記録する場合には、不正複製への耐性が劇的に向上する。
光ディスク1は、光ディスク基板1Pに凹凸記録マークMKを転写後、反射膜1Lを蒸着し、保護膜を付与することにより成型される。追記マークSMKは、光ディスクの成型後、凹凸記録マークMKにトラッキング制御を行い、凹凸記録マークトラックのほぼ真上にレーザ照射を行い、LtoH膜で構成される反射膜1Lの反射率を上げることによって形成される。追記マークSMKによって副情報が記録される。
副情報は、例えば、凹凸記録マークMKによって記録されるコンテンツ情報(主情報)の暗号を解くための鍵情報などの著作権保護情報などである。従って、暗号化されたコンテンツ情報は、副情報を再生することができなければ再生できない。また、副情報は、追記マークにより、通常、複製できない形態で記録されるため、不正な複製を防止する効果もある。また、副情報は、光ディスク毎に固有であり、光ディスクを識別するための識別情報であってもよい。
本実施の形態の追記マークSMKは、凹凸記録マークトラックにトラッキング制御を行い、凹凸記録マークMKのデータフォーマットに同期して記録される。これによって、追記マークSMKは、凹凸記録マークMKの同期符号に同期して検出できるので、追記マークSMK特有の同期符号を持つ必要がなくなるとともに、凹凸記録マークMKと追記マークSMKとが同時に再生できるというメリットがある。
しかしながら、追記マークSMKを形成するためには、再生強度ではなく記録強度のレーザ照射を行う必要がある。従って、記録強度のレーザ照射と、再生強度のレーザ照射とを繰り返しながら追記マークSMKは記録されるが、追記マークSMKの記録中でも、凹凸記録マークMKへのトラッキング制御と、凹凸記録マークMKへの同期記録のための凹凸記録マークMKの再生とを安定に行う必要がある。通常、記録レベルのレーザ照射を長期間あるいは高頻度で行うと、凹凸記録マークMKからの反射光レベルが安定せず、凹凸記録マークMKへのトラッキング制御及び凹凸記録マークMKの再生が不安定になるという問題が生じる。
そこで、本実施の形態では、1回のトラッキング走査で、凹凸記録マークMKのデータ構造の所定範囲(例えば、フレーム単位又はセクタ単位など)内で離散的にレーザ照射を行うことで、一部の副情報ビットを記録し、同じ領域内で、複数回のトラッキング走査を行うことで、全ての副情報ビットを記録する。これにより、長期間あるいは頻繁な記録強度のレーザ照射を行う必要がなく、凹凸記録マークトラックへのトラッキング制御や、凹凸記録マークMKの再生制御を安定に行い、同時に、記録強度のレーザ照射によって副情報を安定に記録することが可能となる。
また、レーザは、通常、温度特性及び電圧特性を有しており、レーザ強度を設定しても、設定したレーザ強度から実際のレーザ強度がずれるという問題がある。レーザ強度がずれれば、副情報を安定に記録することは不可能となる。従って、本実施の形態では、副情報を記録する直前に、数パターンのレーザ強度での試し発光(テスト発光)を行い、レーザ強度を直接レーザ照射光から抽出することによって、レーザ強度を補正する。この試し発光も、凹凸記録マークトラックにトラッキング制御を行い、凹凸記録マークデータフォーマットと同期して行う。そのため、試し発光は、副情報の記録時と同様に、凹凸記録マークMKの所定データ範囲内で離散的に行われる。
図2は、本実施の形態の光ディスクの追記マークの記録フォーマットを示すタイミングチャートである。
本実施の形態の光ディスクは、クラスタC1の先頭位置(タイミングt1)から副情報が記録される形態で説明する。通常、光ディスク記録装置において、一旦設定したレーザ強度は、温度変化などの要因で変化する。そこで、副情報を記録する領域の直前の領域(例えばクラスタC1の直前のクラスタC0)で、複数のレーザ強度であらかじめレーザ照射(試し発光)を実施する。各レーザ強度ごとに照射されるレーザ光の実際のレーザ強度を測定し、副情報を記録する際に最適なレーザ強度を選択して、副情報を記録する直前に設定する。これによって、温度変化などでレーザ強度が変化しても、副情報を記録する直前に副情報を記録するためのレーザ強度を観測して設定するため、副情報を安定に記録することができる。
図2において主情報フォーマット101は、試し発光によってレーザ強度を確認し、レーザ強度を設定する区間であるクラスタC0、及びクラスタC0に円周トラック方向で連続するクラスタC1のフォーマットを示している。なお、主情報は、複数のクラスタで構成されるが、図2では、2つのクラスタC0,C1のみを表している。本実施の形態では、クラスタC1の先頭位置(タイミングt1)から、レーザ照射によって副情報が記録される。クラスタC1及びクラスタC0は、それぞれ16のセクタS0〜S15で構成され、各セクタは、16のフレームF0〜F15で構成される。クラスタC0の区間でレーザ強度を変化させながら試し発光が行われ、副情報の記録に最適なレーザ強度が選択された後、副情報の記録が、クラスタC1の先頭(t1)から開始される。
図2において記録パルス102は、1度目(1回転目)のトラッキング走査による副情報の記録パルスを示している。副情報は、フレーム毎に128ビットの区間で、副情報1ビットをPE変調して記録される。よって、1度目のトラッキング走査では、128ビット区間内の各フレームの先頭に副情報が記録される。本実施の形態では、クラスタC1のフレームF0に0番目の副情報(bit0)、フレームF1に8番目の副情報(bit8)、フレームF2に16番目の副情報(bit16)、フレームF3に24番目の副情報(bit24)、・・・、フレームF15に120番目の副情報(bit120)が記録される。
また、副情報はPE変調されて記録される。すなわち、bit0のように副情報として“1”が記録される場合は、副情報ビット記録領域である128チャネルビット区間の先頭64チャネルビットの区間で記録強度のレーザ照射を行う。これによって、副情報ビットとして“1”が記録される。一方、bit8のように副情報として“0”が記録される場合は、bit0とは反対に128チャネルビットの副情報ビット記録領域の後方64チャネルビットの区間で記録レベルのレーザ照射が行われる。
図2において追記マーク103は、図2の記録パルス102で副情報が記録された状態を示している。本光ディスクは、凹凸記録マーク上にLtoH記録膜(反射膜)が蒸着されている。よって、記録レベルのレーザ照射に応じて、記録レベルのレーザ照射がなされた区間のみ、反射率が高くなった追記マークが形成される。これによって副情報が記録される。また、副情報の記録は、試し発光と同様に、フレーム内に128チャネルビットの区間で1ビットずつ、複数周回のトラッキング走査で記録される。本実施の形態では、1フレームに8ビットの副情報を記録するので、同一トラックを8度周回することで、全ビットの副情報が記録される。
図2において記録パルス104は、2度目(2回転目)のトラッキング走査による副情報の記録パルスを示している。1度目のトラッキング走査によって、各フレームの先頭128チャネルビットの区間に副情報が記録された後、同一トラックに対して、2度目のトラッキング走査が行われ、1度目のトラッキング走査で記録した副情報に連続的に隣接した128チャネルビットの区間に副情報が記録される。1度目のトラッキング走査で記録した各フレームの先頭の128チャネルビットの区間のbit0、bit8、bit16、bit24、・・・、bit120の副情報に隣接する128チャネルビットの区間に、bit1、bit9、bit17、bit25、・・・、bit121の副情報が、PE変調されて記録される。
図2において追記マーク105は、図2の2度目のトラッキング走査の記録パルス104で副情報が記録された状態を示している。図2の記録パルス104で説明したように、2度目のトラッキング走査では、1度目のトラッキング走査で記録した副情報に連続的に隣接する128チャネルビットの区間に、bit1、bit9、bit17、bit25、・・・、bit121の副情報が、PE変調されて記録される。
図2において追記マーク106は、8度目のトラッキング走査によって副情報の全ビットが記録された状態を示している。本実施の形態では、セクタ毎に128ビットの副情報(bit0〜bit127)が繰り返し記録されている。
本実施の形態では、1度目のトラッキング走査の際、クラスタC0の区間で、試し発光を行って副情報を記録するための最適なレーザ強度を設定する。その後、連続的に、副情報の記録開始位置であるクラスタC1の先頭(タイミングt1)から、副情報をフレーム毎に1ビットずつ記録し、8度の同一トラックへのトラッキング走査を通して、全ビットの副情報を記録する。
本光ディスクの副情報は、凹凸記録マークに同期して記録されることによって、副情報に特有の同期符号を設ける必要がないが、凹凸記録マークを再生しながら記録レベルのレーザ照射を行う必要がある。通常、再生中に記録レベルのレーザ照射が行われた場合、トラッキング動作や、凹凸記録マークの再生動作が不安定となる。なぜなら、記録レベルのレーザ照射によって、再生時の想定を超えた反射光が帰ってくるからである。
一方、通常の記録再生ドライブは、光ディスクに指紋、埃及び傷などがあっても安定した再生動作を保証する必要がある。指紋、埃及び傷があるときには、バーストエラーと判断して、その区間のトラッキングサーボをホールドしたり、凹凸記録マークを再生して得るPLLクロックのクロック周波数をホールドしたりする。
よって、本光ディスクでは、ドライブがバーストエラーとして許容できる範囲及び頻度で記録レベルのレーザ照射を行うことにより、凹凸記録マークの再生を行いながら、副情報を記録することが可能となる。本実施の形態では、128チャネルビットの区間という範囲と、フレーム毎という頻度とで副情報を記録しているが、ドライブのバーストエラーの許容範囲(バーストエラー長)及び許容頻度(バーストエラー頻度)以下であれば、記録レベルのレーザ照射を行う範囲及び頻度は問わない。
すなわち、記録レベルのレーザ光を照射する所定間隔は、光ディスクの凹凸記録マークで記録された主情報の再生が許容されるバーストエラー長以下である。また、記録レベルのレーザ光を照射する所定頻度は、光ディスクの凹凸記録マークで記録される主情報の再生が許容されるバーストエラー頻度以下である。
さらに、主情報は、同期符号を伴う複数のフレームで構成され、フレームの長さをLf、記録レベルのレーザ光を照射する所定間隔をLwとするとき、Lw=Lf/(2×M)(ただし、Mは自然数)の式を満たす。さらにまた、記録レベルのレーザ光を照射する所定頻度は、フレームに同期した頻度である。
なお、安定にトラッキングサーボを制御するためには、トラッキングサーボへのトラッキングエラー信号の未入力区間が、光ディスクの回転周期Tに対して、Tp/2πS以下であることが望ましい。ただし、Tpはトラックピッチを示し、Sは最大偏心を示す。従って、記録レベルのレーザ照射を行う期間は、回転周期Tに対してTp/2πS以下であることが望ましく、同様に、トラッキング制御を行っている円周Lに対してTp/2πS以下であることが望ましい。よって、副情報のための追記マークの円周方向の長さは、L×Tp/2πS以下であることが望ましい。
図3は、記録レベルのレーザ照射を行う期間をTp/2πS以下とすることが望ましいとする根拠を説明するための概念図である。
トラッキングサーボの安定性は、光ディスクの最大偏心SとトラックピッチTpとによって定まる。詳しくは、トラッキングサーボの安定性は、トラッキングエラー信号が一度もサンプリングできない場合であり、偏心によりトラックピッチTpのトラックを跨ぐ最速点Aがトラックを跨ぐことのない許容範囲xにより定まる。
ここで、回転周期をT、最大偏心をS、トラックピッチをTpとすると、偏心によるトラック跨ぎの許容範囲xは、Tp/2πS以下と求めることができる。従って、記録レベルのレーザ照射を行い、最悪条件でトラッキングエラー信号が一度もサンプリングできない場合を考えると、記録レベルのレーザ照射を行う時間は、回転周期をTとするとT×Tp/2πS以下となる。従って、このようにレーザ照射をして形成する副情報の追記マークの円周方向の長さは、副情報を記録する領域の円周をLとすると、L×Tp/2πS以下にすることが望ましく、副情報を記録する領域の円周上の総チャネルビット数をCBとすると、CB×Tp/2πS以下にすることが望ましい。
以上のような追記マークを形成することによって、例え記録レベルのレーザ照射を行って、位相差方式のトラッキングエラー信号がサンプリングできない場合でも、最大偏心SでトラックピッチTpの光ディスクのトラックを誤って跨いでしまうことは無くなり、安定して副情報を記録することが可能となる。
また、本実施の形態の光ディスクがBlu−rayディスクである場合には、記録レベルのレーザ照射を行う最大時間は40us(マイクロ秒)、最大の追記マークの円周方向の長さは、0.2mm(ミリメートル)、2600チャネルビットとなる。Blu−rayディスクでは、同期符号を伴う最小単位のフレーム長が1932チャネルビットであるため、副情報を記録するための追記マークの円周方向の長さを1フレーム以下にすれば問題ない。
なお、最大偏心Sは、通常、光ディスクごとの物理規格によって制限される。Blu−rayディスクの場合、最大偏心Sは、37.5umである。
また、記録レベルのレーザ照射を行っている場合は、凹凸記録マークで記録された主情報が読み出せなくなる可能性がある。そこで、記録レベルでレーザ照射する時間及び区間を光ディスクごとのエラー訂正フォーマットから規定されるバーストエラー長以下とする。これにより、例え、記録レベルのレーザ照射で凹凸記録マークの信号がまったく読み出せない場合においても、エラー訂正可能となり、主情報を安定して読み出すことが可能となる。また、光ディスクのエラー訂正フォーマットが決まればバーストエラーの許容頻度がわかり、このバーストエラーの許容頻度以下で1回のトラッキング動作における記録レベルのレーザ照射を行うことが望ましい。
このように、光ディスクの円周方向の回転周期をTとし、トラックピッチをTpとし、最大偏心をSとするとき、記録レベルのレーザ光を照射する所定間隔は、T×Tp/2πS以下である。また、記録レベルのレーザ光を照射する所定間隔は、1フレーム以下である。
以上、本実施の形態の光ディスクでは、通常のROMディスクの作成と同様に、コンテンツなどを変調した信号に基づいて光ディスク原盤に形成した凹凸記録マークがディスク基板に転写されることにより、ディスク基板に凹凸記録マークが転写される。また、通常のROMディスクでは、凹凸記録マークを転写した後、銀又はアルミなどの金属膜を蒸着して光ディスクが成型されるが、本実施の形態の光ディスクでは、金属膜の変わりに、通常、ライトワンス型ディスクで用いられる、レーザ照射によって反射率が変化する追記膜が用いられる点に特徴がある。
また、光ディスク成型後、凹凸記録マークトラックにトラッキングを行い、かつ、凹凸記録マークの再生動作を行いながら、記録レベルのレーザ照射を行うことによって、追記膜の反射率を変化させた追記マークを形成して副情報が記録される。また、追記マークを形成する記録レベルのレーザ強度を安定に設定するため、副情報を記録する手前のクラスタで、凹凸記録マークに同期して試し発光を凹凸記録マークのデータフォーマットの所定の区間で段階的に行い、最適な記録レベルのレーザ強度を設定する。
しかしながら、通常の光ディスクドライブでは、記録レベルの照射を行えば、ディスクからの反射光強度が大きくなり、安定した凹凸記録マークへのトラッキング走査を行うことができない。そこで、本実施の形態の光ディスクは、副情報を記録するためのレーザ照射と、副情報を記録するために必要な試し発光とを、複数回のトラッキング走査に分けて行う。また、副情報の記録時又は試し発光時は、通常の光ディスクドライブで、バーストエラーとして許容できる範囲及び頻度で記録レベルのレーザ照射を行うことによって、追記マークが記録される。
これによって、本実施の形態の光ディスクは、追記マークによって副情報が記録される手前の所定の領域に、凹凸記録マークのデータフォーマットに同期した試し発光による追記マークが形成される。したがって、本実施の形態の光ディスクは、通常の光ディスクドライブにおいても、凹凸記録マークに同期した副情報の記録が安定に行なわれる。
(実施の形態2)
実施の形態2では、本発明の一実施の形態に係る光ディスク記録装置について説明する。図4は、本実施の形態の光ディスク記録装置の特徴的な構成を示すブロック図である。
光ディスク記録装置10は、光学ヘッド12、トラッキングサーボ13、アナログ信号処理器14、デジタル信号処理器15、フォーマッタ16、副情報記録位置コントローラ17、副情報記録信号生成器18、ANDゲート19、前光モニタ20及びレーザパワーコントローラ21で構成される。なお、副情報記録部30は、フォーマッタ16、副情報記録位置コントローラ17、副情報記録信号生成器18、ANDゲート19及びレーザパワーコントローラ21で構成される。
光ディスク11は、主情報に基づいて、螺旋状のトラックに従って形成された凹凸記録マークと、凹凸記録マーク上に形成され、レーザ照射によって反射率が変化する反射膜とを有する。なお、図4に示す光ディスク11は、実施の形態1における光ディスク1と同じ構成である。光ディスク記録装置10は、光ディスク11に主情報を再生するために用いられる副情報を記録する。
光学ヘッド12は、光ディスク11に再生レベルのレーザパワー(第1のレーザパワー)のレーザ光を照射して、その反射光強度に応じたアナログ再生波形を獲得し、トラッキングサーボ13、アナログ信号処理器14及び前光モニタ20に出力する。また、光学ヘッド12は、光ディスク11に記録レベルのレーザパワー(第2のレーザパワー)のレーザ光を照射して、反射膜上に追記マークを形成する。
トラッキングサーボ13は、凹凸記録マークの螺旋状のトラックにトラッキングする。トラッキングサーボ13は、光学ヘッド12からのアナログ再生波形から、光ディスク11の凹凸記録マークで形成された円周方向の螺旋状のトラックにトラッキング制御を行い、光学ヘッド12からの再生レーザ光のスポットが凹凸記録マークの中心に位置するように光学ヘッド12を制御する。トラッキングサーボ13は、凹凸記録マークエッジの反射光の位相差を利用した位相差方式によって凹凸記録マークへのトラッキング制御を行う。
アナログ信号処理器14は、凹凸記録マークに再生レベルのレーザパワーでレーザ光を照射することによって、反射光から凹凸記録マークに対応した再生信号(アナログ再生信号)を抽出する。アナログ信号処理器14は、光学ヘッド12からのアナログ再生波形を波形等化したり、アナログ再生波形から凹凸記録マークの周波数帯域を抽出したりして、アナログ再生信号を生成し、デジタル信号処理器15に出力する。
デジタル信号処理器15は、アナログ信号処理器14によって抽出された再生信号から凹凸記録マークのチャネルビット長に同期するチャネルクロックを抽出する。デジタル信号処理器15は、アナログ信号処理器14からのアナログ再生信号を2値化してデジタル再生信号に変換する。また、デジタル信号処理器15は、凹凸記録マークに同期したPLLクロック信号を内蔵するPLL(Phase−Locked−Loop)回路から生成し、フォーマッタ16に出力する。
副情報記録部30は、トラッキングサーボ13による螺旋状のトラックへのトラッキングに従って、記録レベルのレーザパワーでレーザ光を照射することによって副情報を記録する。また、副情報記録部30は、トラッキングサーボ13による一度のトラッキングで、デジタル信号処理器15によって抽出されたチャネルクロックに同期した、所定間隔かつ所定頻度で離散的なレーザ光を照射して反射膜上に追記マークを形成することで、一部の副情報を記録する処理を、複数回繰り返すことにより、全ての副情報を記録する。
また、副情報記録部30は、少なくとも1つの追記マークによって副情報の1ビットを記録する。さらに、副情報記録部30は、トラッキング毎にそれぞれ異なる領域で、記録レベルのレーザパワーのレーザ光を照射して追記マークを形成する。
フォーマッタ16は、入力されるPLLクロック信号に同期するデジタル回路で構成され、入力されるデジタル再生信号から、一定間隔(フレーム)毎に付与された同期符号を抽出し、所定のフレーム数で構成されるアドレスの付与された間隔(セクタ)にデジタル再生信号を分割して、アドレス情報を抽出する。そして、フォーマッタ16は、所定のセクタ数で構成され、かつエラー訂正符号化されているクラスタ単位にデジタル再生信号を分離し、クラスタ毎にエラー訂正を行い、凹凸記録マークで記録されているコンテンツ情報などの主情報を獲得する。また、フォーマッタ16は、セクタ単位で得られるアドレス情報を基に、副情報を記録する領域を示す記録ゲートを生成する。実施の形態1の図2に示すように、フォーマッタ16は、記録ゲートとして、クラスタC1全体を示すゲート信号を生成する。また、記録ゲートは、副情報記録位置コントローラ17及び副情報記録信号生成器18に出力される。
また、フォーマッタ16は、追記マークを形成するタイミングを示すタイミング信号を生成し、副情報記録位置コントローラ17及び副情報記録信号生成器18に出力する。なお、本実施の形態では、フレーム内の128チャネルビット区間で追記マークが形成されるため、タイミング信号は、128チャネルビット毎のタイミングを示す。
さらに、フォーマッタ16は、テスト発光を行う領域を示すテスト発光タイミング信号を副情報記録位置コントローラ17へ出力する。なお、テスト発光タイミング信号の詳細については、後述する。
副情報記録位置コントローラ17は、副情報を記録するフレーム内の位置を制御する。副情報記録位置コントローラ17のより詳細な構成を図5に示す。図5は、図4に示す副情報記録位置コントローラ17の詳細な構成を示すブロック図である。
副情報記録位置コントローラ17は、フォーマッタ16からの記録ゲート、タイミング信号及びテスト発光タイミング信号を入力し、副情報記録ゲート及びテスト発光信号を出力する。副情報記録位置コントローラ17は、副情報記録発光タイミング生成器171、記録周回記憶部172、副情報記録タイミング選択部173、テスト発光信号生成器174及び信号選択部175から構成される。
副情報記録発光タイミング生成器171は、フォーマッタ16からの記録ゲートが出力されている区間(副情報記録位置)で副情報を記録するための記録タイミングを生成する。副情報の記録タイミングは、図2の説明でも述べたように、副情報の記録開始位置(本実施の形態ではクラスタC1の先頭)から、128チャネルビット単位で1ビットずつの副情報を記録する記録発光タイミングである。
さらに、本実施の形態では、1フレームに8ビットの副情報を記録し、一回転のトラッキング走査で、フレーム毎に1ビットの副情報を記録する。よって、副情報記録発光タイミング生成器171は、フレーム内の128チャネルビット毎に“H”とする、1〜8回転目のそれぞれに対応した1回転目副情報記録発光ゲートから8回転目副情報記録発光ゲートを生成して、副情報記録タイミング選択部173に出力する。1回転目副情報記録発光ゲートは、各フレームの先頭の128チャネルビット区間を“H”とし、8回転目副情報記録発光ゲートは、各フレームの最終の128チャネルビット区間を“H”とする信号である。1回転目副情報記録発光ゲートから8回転目副情報記録発光ゲートは、それぞれ128チャネルビットずつずらした各128チャネルビット区間を“H”とする信号である。生成された1回転目副情報記録発光ゲートから8回転目副情報記録発光ゲートは、副情報記録タイミング選択部173に出力する。
記録周回記憶部172は、図示しないスピンドルモータの回転信号のカウンタであり、副情報の記録開始時にカウンタをリセットして、光ディスクの回転数をカウントする。なお、記録周回記憶部172は、副情報を記録するために副情報記録トラックにトラックジャンプした回数をカウントしてもよい。要は、複数回のトラック走査で全副情報を記録する場合、記録周回記憶部172は、副情報を記録するための同一トラックへの走査回数をカウントする。カウントした同一トラックへの走査回数を表す周回カウント情報は、副情報記録タイミング選択部173に出力される。
副情報記録タイミング選択部173は、副情報記録発光タイミング生成器171によって生成された8つの副情報記録発光ゲート(1回転目副情報記録発光ゲートから8回転目副情報記録発光ゲート)を、記録周回記憶部172からの周回カウント情報に基づいて選択して副情報記録ゲートとして出力する。すなわち、周回カウント情報が1回転目を示している場合には1回転目副情報記録発光ゲートを副情報記録ゲートとして出力し、周回カウント情報が8回転目を示している場合には、8回転目副情報記録発光ゲートを副情報記録ゲートとして出力する。
副情報記録タイミング選択部173は、副情報記録ゲートをANDゲート19へ出力する。なお、テスト発光信号生成器174及び信号選択部175については後述する。
副情報記録信号生成器18は、入力される副情報に基づいて、副情報を記録するための副情報記録信号を生成する。生成した副情報記録信号は、ANDゲート19に出力される。外部から入力される副情報は、前述の通り、フレームに同期して記録され、各フレーム内に8ビットの副情報が記録され、128チャネルビットの区間毎に1ビットの副情報が記録される。よって、副情報を記録するクラスタ(本実施の形態ではクラスタC1)内において、フレームF0には、副情報のbit0〜bit7、フレームF2には、副情報のbit8〜bit15、・・・、フレームF15には、副情報のbit120〜bit127が記録される。
また、副情報は、PE変調が施されて記録される。従って、副情報記録信号生成器18は、副情報として“1”を記録する場合には、128チャネルビット区間の前半の64チャネルビット区間が“H”、後半の64チャネルビット区間が“L”となる副情報記録信号を生成する。あるいは、副情報記録信号生成器18は、副情報として“0”を記録する場合には、128チャネルビット区間の前半の64チャネルビット区間が“L”、後半の64チャネルビット区間が“H”となる副情報記録信号を生成する。生成された副情報記録信号は、ANDゲート19に出力される。
ANDゲート19は、一般的なANDゲートから構成され、入力される副情報記録ゲートと副情報記録信号との論理和を算出し、マスク信号としてレーザパワーコントローラ21に出力する。前述の通り、副情報記録ゲートは、副情報を記録するときのトラックの走査回数(光ディスクの回転周回数)に従って、フレーム内のどの位置に副情報を記録するのかを示したゲート信号である。従って、副情報記録ゲートと副情報記録信号との論理和は、副情報を記録するときのトラックの走査回数(光ディスクの回転周回数)に応じて副情報を記録する区間のレーザ照射タイミングを示す信号となる(図2の1回転目記録パルス102及び2回転目記録パルス104)。
前光モニタ20は、光学ヘッド12によって照射されるレーザ光のレーザ強度を測定する。
レーザパワーコントローラ21は、入力されるテスト発光信号が“H”、あるいは副情報記録信号が“H”の時のみ、記録レベルのレーザ強度に設定するよう光学ヘッド12を制御する。また、レーザパワーコントローラ21は、テスト発光信号における“H”の区間の回数をカウントし、試し発光する毎にレーザ強度を強くしていく。また、実際には、レーザパワーコントローラ21は、前光モニタ20からレーザ強度を読み出し、複数回数の試し発光の中で、副情報を記録するために最適なレーザ強度を探索する。そして、レーザパワーコントローラ21は、副情報を記録する直前(図2のタイミングt1の直前)に、探索した最適なレーザ強度を設定して副情報の記録を行う。
これによって、温度変化等によってレーザ強度が多少変化したとしても、副情報を記録する直前のクラスタにて、レーザ強度を変化させながら試し発光を行い、最適なレーザ強度を探索し、設定できるので、常に、最適なレーザ強度で副情報の記録が可能となる。ゆえに、レーザ強度が小さく副情報を安定して記録することができない、あるいは、副情報を記録する際のレーザ強度が強すぎて、光ディスクの反射膜に傷をつけてしまうといった不具合を防止することができる。レーザパワーコントローラ21は、試し発光や副情報記録のための記録レベルのレーザ照射を行うタイミングと、試し発光時及び副情報記録時のレーザ強度とを示す記録信号を生成して、光学ヘッド12に出力する。
光学ヘッド12は、レーザパワーコントローラ21からの記録信号に基づいて再生レベル/記録レベルのレーザ強度を切り替えて凹凸記録マークトラック上に副情報を記録する。
なお、本実施の形態において、光学ヘッド12が光学ヘッドの一例に相当し、トラッキングサーボ13がトラッキング部の一例に相当し、アナログ信号処理器14が再生信号抽出部の一例に相当し、デジタル信号処理器15がクロック抽出部の一例に相当し、副情報記録部30が副情報記録部の一例に相当する。
以上のように、本実施の形態の光ディスク記録装置を用いれば、レーザ照射によって反射率の変化する記録膜が凹凸記録マーク上に形成された光ディスクに、一定強度以上の記録レベルのレーザ光を照射することによって、記録膜の反射率を変化させた追記マークを形成し、副情報を記録することができる。しかしながら、通常、記録レベルのレーザ照射を行えば、凹凸記録マークトラックへのトラッキング制御や凹凸記録マークの再生動作が不安定となり、凹凸記録マークの記録フォーマットに同期して副情報を記録することができない。
そこで、本実施の形態の光ディスク記録装置により、一回のトラッキング走査で副情報を部分的に記録し、トラッキング走査を複数回繰り返すことで全副情報を記録することが可能となる。一般的な光ディスク記録装置は、光ディスクのバーストエラーを想定して設計される。従って、バーストエラーが許容される範囲で、記録レベルのレーザ照射を行った場合、凹凸記録マークへのトラッキング走査及び凹凸記録マークの再生動作に支障をきたさない。
また、凹凸記録マーク上に記録レベルのレーザ照射を行い、反射膜の反射率を変化させることによって副情報を記録する場合、レーザ強度が強すぎると凹凸記録マークの再生信頼性が悪化し、逆にレーザ強度が弱すぎると副情報の再生信頼性が悪化する。よって、副情報を記録するためのレーザ強度は厳密に合わせこむことが必要となる。しかしながら、通常、レーザ強度は、温度特性等によって変化する。従って、本実施の形態の光ディスク記録装置では、副情報を記録する直前にレーザ強度を段階的に変化させて試し発光を行い、そのレーザ強度を測定して、副情報を記録するためのレーザ強度を設定する。これによって、温度が変化したとしても副情報を記録するための最適なレーザ強度を設定して副情報を記録することが可能となる。
次に、本実施の形態における副情報を記録するための試し発光(テスト発光)動作について説明する。
前述のように、本実施の形態では、原盤から転写された凹凸記録マークを形成することによって主情報が記録されている。また、凹凸記録マーク上に記録レーザ照射によって反射率が変化する反射膜を蒸着した光ディスクを作成後、記録する副情報に従って、凹凸記録マークにトラッキング制御を行いながら、記録レベルのレーザ照射を行い、凹凸記録マーク上に追記マークを形成することによって副情報が記録されている。
しかしながら、光学ヘッドのレーザは通常電流駆動であるが、駆動させるための電流値と実際に照射されるレーザ光のレーザ強度とには、温度特性によるばらつきや固体ばらつきなどが発生する虞がある。安定して追記マークを形成するためには、副情報を記録する領域よりも前の領域において、さまざまなバリエーションの設定電流値によるレーザ発光を行い、そのレーザ強度を前光モニタなどでモニタリングし、安定して追記マークを形成するためのレーザ強度を測定する必要がある。
前述の図2は、本実施の形態においてタイミングt1からクラスタC1に副情報を記録する場合のタイミングチャートを示している。よって、試し発光はタイミングt1より前の領域において実施される。本実施の形態では、タイミングt1より前の領域として、トラッキング方向に隣接するクラスタC1の1つ手前のクラスタC0において試し発光を行う形態について説明する。
図6は、本実施の形態におけるテスト発光動作の一例を示すタイミングチャートである。図6の主情報フォーマット201は、図2の主情報フォーマット101と同様に、凹凸記録マークで記録される主情報のデータフォーマットを示している。本実施の形態の光ディスクにおける主情報は、論理的な読み出しの最小単位であり、エラー訂正符号化されているクラスタ単位に記録されている。クラスタは、アドレス情報が付与される単位である複数のセクタで構成され、セクタは、同期符号を伴う最小単位である複数のフレームで構成される。
本実施の形態の副情報は、前述のように、主情報フォーマット201に同期して記録される。また、本実施の形態では、タイミングt1からクラスタC1に副情報を記録する形態であり、クラスタC1の手前のクラスタC0でテスト発光が実施される。図6の記録レーザ波形202は、テスト発光領域、すなわちクラスタC0でテスト発光を行う際のテスト発光パルスを示している。
本実施の形態における副情報の記録方法は、記録レーザ照射を行ってもトラッキングサーボが安定に制御できるように、フレーム単位に一度ずつ、記録レーザ照射を行って、同一のトラックに複数回のトラッキングを行うことによって、円周方向のトラックに連続的に副情報を記録する。テスト発光も同様に、クラスタC0の区間において、同一トラックへの複数のトラッキング制御のたびに、テスト発光を行う。よって、図6の記録レーザ波形202は、1回転目のトラッキング動作におけるテスト発光パターンを示し、図6の記録レーザ波形203は、2回転目のトラッキング動作におけるテスト発光パターンを示している。
本テスト発光は、副情報の記録時と同様に、フレーム内に1度ずつ記録レーザ照射を行い、そのレーザ照射における実際のレーザ強度を前光モニタ20などで観測する。本実施の形態では、フレームごとに異なるレーザ強度で発光させ、副情報を記録するための最適なレーザ強度を選択する。図6の記録レーザ波形202,203において、フレームF0の区間では、レベルP1のレーザ強度、フレームF1の区間では、レベルP1よりも高いレベルP2のレーザ強度、フレームF2の区間では、レベルP2よりも高いレベルP3のレーザ強度でテスト発光が行われる。また、テスト発光時において、複数のトラッキング制御ごとにテスト発光を行うフレーム内の領域を変化させてレーザ光を照射している。
テスト発光は、レーザ強度を測定することが目的であるので、複数のトラッキング制御ごとにフレーム内の同じ領域にテスト発光を行ってもよい。しかしながら、記録レーザ強度のレーザ照射を同じ領域に繰り返し行うことでの反射膜の劣化を防止するため、テスト発光の領域はトラッキング走査毎に変化させることが望ましい。ただし、光ディスクの内周部や外周部のコントロール領域で、凹凸記録マークが意味をなさない領域などでは、反射膜が劣化したとしてもシステム動作に問題はないので、このような場合には、フレーム内の同じ領域にテスト発光を行ってもよい。
図6のテスト追記マーク204は、テスト発光区間に形成される追記マークを示している。本実施の形態では、フレームごとにレベルP1、レベルP2及びレベルP3というように記録パワーを変化させてテスト発光が行われる。そのため、テスト発光が行われる領域では、記録レーザ強度に応じて、光ディスクの半径方向に長さ(太さ)の異なる、また、再生パワーのレーザ光に対して反射光強度(反射率)が異なる記録マークが連続的に形成される。
次に、図4及び図5を用いて、テスト発光動作を行うための、本実施の形態の光ディスク記録装置の構成について説明する。
テスト発光を行う区間(本実施の形態ではクラスタC0)において、フォーマッタ16は、テスト発光タイミング信号を生成する。フォーマッタ16は、主情報を表すデジタル再生信号からセクタ単位に付与されているアドレス情報をデコードして、このアドレス情報に基づいて、テスト発光区間を識別する。テスト発光タイミング信号は、同一トラックへの複数回のトラッキング制御において、1回のトラッキングごとに各フレーム内のテスト発光を行う領域を示す信号である。従って、テスト発光タイミング信号は、同一周回へのトラッキング動作ごとにフレーム内の位置を変化させて生成される信号である。テスト発光タイミング信号は、副情報記録位置コントローラ17に出力される。
また、フォーマッタ16は、セクタ単位で得られるアドレス情報を基に、テスト発光を行う領域(クラスタC0)全体における記録レーザ波形を示す記録ゲートを生成する。記録ゲートは、副情報記録位置コントローラ17に出力される。
副情報記録位置コントローラ17は、同一周回のトラッキング制御ごとにフレーム内のテスト発光位置を変化させたテスト発光信号を生成する。副情報記録位置コントローラ17は、フォーマッタ16からテスト発光のための記録ゲートと、テスト発光のレーザ照射区間を示すテスト発光タイミング信号とが入力され、テスト発光信号を生成する。
図5において、テスト発光信号生成器174は、フォーマッタ16からの記録ゲートに基づいて、テスト発光区間内でのすべてのパターンのテスト発光信号を生成する。すなわち、1〜n回目のトラッキングにおけるテスト発光信号(例えば、図6の記録レーザ波形202,203)をそれぞれ生成し、信号選択部175に出力する。
信号選択部175は、ANDゲートとORゲートとで構成され、フォーマッタ16からのトラッキング回数に対応したテスト発光位置を示すテスト発光タイミング信号と、テスト発光信号生成器174からの1〜n回目のテスト発光信号を入力する。信号選択部175は、1〜n回目のテスト発光信号をそれぞれテスト発光タイミング信号とAND演算し、演算結果であるn本の信号をOR演算することによって、トラッキング回数に応じたテスト発光信号を生成してレーザパワーコントローラ21に出力する。すなわち、AND演算によって、同一トラックへのアクセス回数に応じたテスト発光信号のみが抽出され、それ以外の信号は、テスト発光タイミング信号によってマスキングされ、n本の信号のOR演算が行われる。これにより、アクセス回数に対応するテスト発光信号を生成することができる。
なお、信号選択部175は、クラスタC1における副情報の記録のためのフレーム内のレーザ照射位置をテスト発光位置に対応付けるため、テスト発行タイミング信号の替わりに、副情報記録タイミング選択部173からの副情報記録ゲートを用いてもよい。この場合には、副情報の追記マークを形成するための記録レーザ照射位置と、テスト発光用の記録レーザ照射位置とがクラスタC0及びクラスタC1のフレーム内の同じ位置に設定される。
レーザパワーコントローラ21は、テスト発光信号に基づいて、フレームごとに異なる強度のレーザ照射を行う。
前光モニタ20は、レーザ照射された実際のレーザ強度を測定して、レーザパワーコントローラ21へ出力する。レーザパワーコントローラ21は、複数のレーザ強度の中から、副情報を記録するために最適なレーザ強度を選択して、選択したレーザ強度をタイミングt1より前に設定する。これにより、タイミングt1以後のクラスタC1において、設定された副情報を記録するための最適なレーザ強度で副情報が記録される。
以上のように、本実施の形態の光ディスク記録装置では、副情報を記録する領域の手前の領域でテスト発光が実施され、最適なレーザ強度を設定した上で、副情報を記録することが可能となる。通常、副情報を記録するためのレーザ強度が弱すぎる場合には、追記マークが形成できないか、安定して読み出すことのできないレベルの副情報が記録されてしまう。一方、レーザ強度が強すぎる場合には、反射膜そのものを劣化させたり、副情報を表す追記マークが視認可能となり、悪意のある者に容易に解読されるリスクが向上するという問題がある。しかしながら、本実施の形態のように、テスト発光を行った上で、最適なレーザ強度を設定する構成にすれば、これらの問題が生じるリスクは低減され、副情報を用いた著作権保護が可能となる。
また、本実施の形態の光ディスクでは、副情報を記録する領域(クラスタC1)とは異なる領域(クラスタC0)にテスト発光領域を設けている。テスト発光領域には、レーザ強度を測定するためのレーザ照射が行われるので、副情報とは異なる追記マークが形成されることになる。また、テスト発光領域での追記マークは、異なる強度が照射されることによる記録マークが形成され、記録レーザ強度を強くするごとに追記マークのディスク半径方向の幅が広くなる。
なお、本実施の形態では、副情報を記録する前に試し発光を行うことで、副情報を記録する際のレーザ強度を調整しているが、本発明は特にこれに限定されず、レーザ強度が変化しない場合、又はレーザ強度が変換したとしても副情報の記録及び再生に影響がない場合、試し発光を行わなくてもよい。
また、本実施の形態において、トラッキングサーボ13、アナログ信号処理器14、デジタル信号処理器15、フォーマッタ16、副情報記録位置コントローラ17、副情報記録信号生成器18、ANDゲート19及びレーザパワーコントローラ21は、LSI等の集積回路で構成してもよい。
なお、上述した具体的実施形態には以下の構成を有する発明が主に含まれている。
本発明の一局面に係る光ディスク装置は、主情報に基づいて、螺旋状のトラックに従って形成された凹凸マークと、前記凹凸マーク上に形成され、レーザ照射によって反射率が変化する反射膜とを有する光ディスクに、前記主情報を再生するために用いられる副情報を記録する光ディスク記録装置であって、前記光ディスクにレーザ光を照射する光学ヘッドと、前記凹凸マークの前記螺旋状のトラックにトラッキングするトラッキング部と、前記凹凸マークに第1のレーザパワーでレーザ光を照射することによって、反射光から前記凹凸マークに対応した再生信号を抽出する再生信号抽出部と、前記再生信号抽出部によって抽出された前記再生信号から前記凹凸マークのチャネルビット長に同期するチャネルクロックを抽出するクロック抽出部と、前記トラッキング部による前記螺旋状のトラックへのトラッキングに従って、前記第1のレーザパワーと異なる第2のレーザパワーでレーザ光を照射することによって前記副情報を記録する副情報記録部とを備え、前記副情報記録部は、前記トラッキング部による一度のトラッキングで、前記クロック抽出部によって抽出された前記チャネルクロックに同期した、所定間隔かつ所定頻度で離散的な前記第2のレーザパワーのレーザ光を照射して前記反射膜上に追記マークを形成することで、一部の前記副情報を記録する処理を、複数回繰り返すことにより、全ての前記副情報を記録する。
この構成によれば、主情報に基づいて、螺旋状のトラックに従って形成された凹凸マークと、凹凸マーク上に形成され、レーザ照射によって反射率が変化する反射膜とを有する光ディスクに、レーザ光が照射される。凹凸マークの螺旋状のトラックにトラッキングされ、凹凸マークに第1のレーザパワーでレーザ光が照射されることによって、反射光から凹凸マークに対応した再生信号が抽出される。抽出された再生信号から凹凸マークのチャネルビット長に同期するチャネルクロックが抽出され、螺旋状のトラックへのトラッキングに従って、第1のレーザパワーと異なる第2のレーザパワーでレーザ光が照射されることによって副情報が記録される。そして、一度のトラッキングで、抽出されたチャネルクロックに同期した、所定間隔かつ所定頻度で離散的な第2のレーザパワーのレーザ光が照射されて反射膜上に追記マークが形成されることで、一部の副情報が記録される。さらに、一度のトラッキングで一部の副情報を記録する処理が、複数回繰り返されることにより、全ての副情報が記録される。
したがって、1度のトラッキングで全ての副情報が記録されるのではなく、1度のトラッキングで離散的に第2のレーザパワーのレーザ光が照射されて一部の副情報が記録される処理が、複数回繰り返されることにより、全ての副情報が記録される。そのため、第1のレーザパワーで凹凸マークを再生している途中で、第2のレーザパワーで追記マークを形成したとしても、安定して凹凸マークへのトラッキング制御ができるとともに、安定して副情報を記録することができる。
また、上記の光ディスク装置において、前記所定間隔は、前記光ディスクの前記凹凸マークで記録された主情報の再生が許容されるバーストエラー長以下であることが好ましい。
この構成によれば、所定間隔は、光ディスクの凹凸マークで記録された主情報の再生が許容されるバーストエラー長以下であるので、追記マークをバーストエラーとして処理することができ、安定して凹凸マークへのトラッキング制御ができる。
また、上記の光ディスク装置において、前記主情報は、複数のフレームで構成され、前記フレームの長さをLf、前記所定間隔をLwとするとき、Lw=Lf/(2×M)(ただし、Mは自然数)の式を満たすことが好ましい。
この構成によれば、所定間隔Lwが、Lw=Lf/(2×M)(ただし、Mは自然数)の式を満たすので、フレームの長さを基準にして所定間隔を決定することができ、安定して凹凸マークへのトラッキング制御ができる。
また、上記の光ディスク装置において、前記所定頻度は、前記光ディスクの前記凹凸マークで記録される主情報の再生が許容されるバーストエラー頻度以下であることが好ましい。
この構成によれば、所定頻度は、光ディスクの凹凸マークで記録される主情報の再生が許容されるバーストエラー頻度以下であるので、追記マークをバーストエラーとして処理することができ、安定して凹凸マークへのトラッキング制御ができる。
また、上記の光ディスク装置において、前記主情報は、複数のフレームで構成され、前記所定頻度は、前記フレームに同期した頻度であることが好ましい。この構成によれば、フレームに同期した頻度で追記マークが形成されるので、凹凸マークを再生しながら、追記マークを形成することができる。
また、上記の光ディスク装置において、前記第2のレーザパワーは、前記第1のレーザパワーより高いことが好ましい。この構成によれば、第2のレーザパワーは、第1のレーザパワーより高いので、第1のレーザパワーで凹凸マークを再生し、第2のレーザパワーで追記マークを形成することができる。
また、上記の光ディスク装置において、前記副情報記録部は、少なくとも1つの前記追記マークによって前記副情報の1ビットを記録することが好ましい。この構成によれば、少なくとも1つの追記マークによって副情報の1ビットを記録することができる。
また、上記の光ディスク装置において、前記副情報記録部は、前記トラッキング毎にそれぞれ異なる領域で、前記第2のレーザパワーのレーザ光を照射して前記追記マークを形成することが好ましい。
この構成によれば、トラッキング毎にそれぞれ異なる領域で、第2のレーザパワーのレーザ光が照射されて追記マークが形成されるので、トラッキング毎に、同一の領域にレーザ光が照射されるのではなく、それぞれ異なる領域にレーザ光が照射されるので、副情報を複数回に分けて記録することができる。
また、上記の光ディスク装置において、前記光ディスクの円周方向の回転周期をTとし、トラックピッチをTpとし、最大偏心をSとするとき、前記所定間隔は、T×Tp/2πS以下であることが好ましい。
この構成によれば、第2のレーザパワーのレーザ照射を行って、位相差方式のトラッキングエラー信号がサンプリングできない場合でも、最大偏心SでトラックピッチTpの光ディスクのトラックを誤って跨いでしまうことは無くなり、安定して副情報を記録することができる。
また、上記の光ディスク装置において、前記主情報は、複数のフレームで構成され、前記所定間隔は、1フレーム以下であることが好ましい。この構成によれば、1フレーム以下の間隔で追記マークが形成されるので、凹凸マークを再生しながら、追記マークを形成することができる。
本発明の他の局面に係る光ディスクは、主情報に基づいて、チャネルビット長の整数倍に同期して形成された凹凸マークと、前記凹凸マーク上に形成され、レーザ光が照射されることにより反射率の変化する反射膜とを備え、前記凹凸マークの円周方向に形成された螺旋状のトラックに従って、一度のトラッキングで、前記チャネルビット長の整数倍に同期して、所定間隔かつ所定頻度で離散的にレーザ光が照射される処理が、複数回繰り返されることにより、前記主情報を再生するために用いられる副情報を記録するための追記マーク列が前記反射膜上に形成される。
この構成によれば、光ディスクは、主情報に基づいて、チャネルビット長の整数倍に同期して形成された凹凸マークと、凹凸マーク上に形成され、レーザ光が照射されることにより反射率の変化する反射膜とを備える。そして、凹凸マークの円周方向に形成された螺旋状のトラックに従って、一度のトラッキングで、チャネルビット長の整数倍に同期して、所定間隔かつ所定頻度で離散的にレーザ光が照射される。さらに、一度のトラッキングで離散的にレーザ光が照射される処理が、複数回繰り返されることにより、主情報を再生するために用いられる副情報を記録するための追記マーク列が反射膜上に形成される。
したがって、1度のトラッキングで全ての副情報が記録されるのではなく、1度のトラッキングで離散的にレーザ光が照射されて一部の副情報が記録される処理が、複数回繰り返されることにより、全ての副情報が記録される。そのため、凹凸マークを再生している途中で、追記マークを形成したとしても、安定して凹凸マークへのトラッキング制御ができるとともに、安定して副情報を記録することができる。
本発明の他の局面に係る光ディスク記録回路は、主情報に基づいて、螺旋状のトラックに従って形成された凹凸マークと、前記凹凸マーク上に形成され、レーザ照射によって反射率が変化する反射膜とを有する光ディスクに、前記主情報を再生するために用いられる副情報を記録する光ディスク記録回路であって、前記凹凸マークの前記螺旋状のトラックにトラッキングするトラッキング部と、前記凹凸マークに第1のレーザパワーでレーザ光を照射することによって、反射光から前記凹凸マークに対応した再生信号を抽出する再生信号抽出部と、前記再生信号抽出部によって抽出された前記再生信号から前記凹凸マークのチャネルビット長に同期するチャネルクロックを抽出するクロック抽出部と、前記トラッキング部による前記螺旋状のトラックへのトラッキングに従って、前記第1のレーザパワーと異なる第2のレーザパワーでレーザ光を照射することによって前記副情報を記録する副情報記録部とを備え、前記副情報記録部は、前記トラッキング部による一度のトラッキング毎に、前記クロック抽出部によって抽出された前記チャネルクロックに同期した、所定間隔かつ所定頻度で離散的な前記第2のレーザパワーのレーザ光を照射して前記反射膜上に追記マークを形成することで、一部の前記副情報を記録する処理を、複数回繰り返すことにより、全ての前記副情報を記録する。
この構成によれば、主情報に基づいて、螺旋状のトラックに従って形成された凹凸マークと、凹凸マーク上に形成され、レーザ照射によって反射率が変化する反射膜とを有する光ディスクに、レーザ光が照射される。凹凸マークの螺旋状のトラックにトラッキングされ、凹凸マークに第1のレーザパワーでレーザ光が照射されることによって、反射光から凹凸マークに対応した再生信号が抽出される。抽出された再生信号から凹凸マークのチャネルビット長に同期するチャネルクロックが抽出され、螺旋状のトラックへのトラッキングに従って、第1のレーザパワーと異なる第2のレーザパワーでレーザ光が照射されることによって副情報が記録される。そして、一度のトラッキング毎に、抽出されたチャネルクロックに同期した、所定間隔かつ所定頻度で離散的な第2のレーザパワーのレーザ光が照射されて反射膜上に追記マークが形成されることで、一部の副情報が記録される。さらに、一度のトラッキングで一部の副情報を記録する処理が、複数回繰り返されることにより、全ての副情報が記録される。
したがって、1度のトラッキングで全ての副情報が記録されるのではなく、1度のトラッキングで離散的に第2のレーザパワーのレーザ光が照射されて一部の副情報が記録される処理が、複数回繰り返されることにより、全ての副情報が記録される。そのため、第1のレーザパワーで凹凸マークを再生している途中で、第2のレーザパワーで追記マークを形成したとしても、安定して凹凸マークへのトラッキング制御ができるとともに、安定して副情報を記録することができる。
なお、発明の詳細な説明の項においてなされた具体的な実施態様または実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、本発明の精神と特許請求事項との範囲内で、種々変更して実施することができるものである。
以上の説明の通り、本発明を利用すれば、例え再生専用の光ディスクであったとしても、光ディスク毎に固有の副情報を記録できるばかりでなく、その光ディスクの副情報は、不正に他の光ディスクへ複製できないので、光ディスクに記録するコンテンツデータの著作権が不正に侵害されることを防止し、光ディスク毎に管理の必要となるネットワークを介して取得したコンテンツデータの著作権管理システムに応用可能な光ディスク記録装置、光ディスク記録回路及び光ディスクを提供することが可能となる。
本発明は、光ディスクと、当該光ディスクに情報を記録する光ディスク記録装置及び光ディスク記録回路に関し、例えば、CD、DVD及びBlu−ray Disc媒体と、それらの光ディスクに情報を記録する光ディスク記録装置とに関するものである。本発明は、主情報を表す凹凸記録マークをスタンパによって光ディスク基板に複製した後、レーザを照射することによって反射率が変化する反射膜を蒸着して光ディスクを形成し、光ディスク形成後、ディスク固有情報などを表す副情報を光ディスクに重畳記録する技術に関するものである。また、本発明は、主情報の読み取り精度を悪化させることなく、不正な複製が困難な副情報を記録する技術に関するものである。
光ディスクは、安価なデジタル情報の記録媒体として、幅広く利用されている。例えば、Blu−ray Discは、単層25ギガバイト、2層50ギガバイトの容量を持ち、ハイビジョンの良質な映像コンテンツを、2〜4.5時間程度記録することができる。従って、光ディスクの容量が増す毎に、1枚の光ディスクに記録されるデジタルコンテンツの価値は高まり、記録されるデジタルコンテンツの著作権の保護が極めて重要な技術課題となっている。
しかしながら、昨今では、光ディスクからの不正なデジタルコンテンツの複製や、海賊版メーカのような違法な光ディスク製造業者が氾濫している。このことは、デジタル著作物の健全な流通を阻害するとともに、著作権者への正当な利益分配が成されない状況となっている。
そこで、例えば、特許文献1には、第1の信号を既に記録した記録媒体上の同一情報トラックに、第1の信号より帯域の低い第2の信号で記録状態のON/OFF制御されたレーザ光を2回以上複数回、記録媒体上の位置を同期して照射し、レーザ光が照射された部分の光学的変化をさらに変化させるよう、第2の信号を重畳記録し、再生時に、第2の信号を分離、再生する情報記録再生方法が開示されている。
特許文献1によれば、第1の信号が記録された情報トラック上に第2の信号を重畳記録することで、第2の信号が記録されている情報トラックの情報の有効/無効、あるいは、情報トラックの代わりとなり情報トラックの位置を管理するための特別な情報トラックを設けることなく、記録媒体上の情報トラックの管理を実現している。
しかしながら、特許文献1で開示された発明においては、予め第1の信号が記録された部分を第2の信号で複数回重畳記録し、第2の信号が正常に読み出し可能となるまで重畳記録を繰り返す。従って、予め記録された第1の信号の読み出し精度が悪化し、エラー訂正などで救済可能なディフェクトマージンが悪化する。また、第2の信号を正常に読み出し可能とするために、同じ領域にレーザ照射を2回以上繰り返すので、記録時間が過大となる。また、通常の光ディスク記録装置において、DVD−ROMなどのROMディスクの凹凸記録マークへのトラッキング制御中に、記録パワーレベルのレーザ照射を行うと、トラッキング動作が安定しないことが知られている。これは、通常、記録可能な光ディスクにおけるトラック溝へのトラッキング方法と、ROMディスクの凹凸記録マークへのトラキング方法とが異なるためである。
以上のように、トラッキング溝がない一般的なROMディスクの凹凸記録マークにトラッキング制御を行いながら、記録パワーレベルのレーザ照射を行う場合に、副情報を安定して記録する方法は、現在に至って開示されていない。
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、安定して凹凸マークへのトラッキング制御ができ、安定して副情報を記録することができる光ディスク記録装置、光ディスク記録回路及び光ディスクを提供することを目的とするものである。
本発明の一局面に係る光ディスク装置は、主情報に基づいて、螺旋状のトラックに従って形成された凹凸マークと、前記凹凸マーク上に形成され、レーザ照射によって反射率が変化する反射膜とを有する光ディスクに、前記主情報を再生するために用いられる副情報を記録する光ディスク記録装置であって、前記光ディスクにレーザ光を照射する光学ヘッドと、前記凹凸マークの前記螺旋状のトラックにトラッキングするトラッキング部と、前記凹凸マークに第1のレーザパワーでレーザ光を照射することによって、反射光から前記凹凸マークに対応した再生信号を抽出する再生信号抽出部と、前記再生信号抽出部によって抽出された前記再生信号から前記凹凸マークのチャネルビット長に同期するチャネルクロックを抽出するクロック抽出部と、前記トラッキング部による前記螺旋状のトラックへのトラッキングに従って、前記第1のレーザパワーと異なる第2のレーザパワーでレーザ光を照射することによって前記副情報を記録する副情報記録部とを備え、前記副情報記録部は、前記トラッキング部による一度のトラッキングで、前記クロック抽出部によって抽出された前記チャネルクロックに同期した、所定間隔かつ所定頻度で離散的な前記第2のレーザパワーのレーザ光を照射して前記反射膜上に追記マークを形成することで、一部の前記副情報を記録する処理を、複数回繰り返すことにより、全ての前記副情報を記録する。
この構成によれば、主情報に基づいて、螺旋状のトラックに従って形成された凹凸マークと、凹凸マーク上に形成され、レーザ照射によって反射率が変化する反射膜とを有する光ディスクに、レーザ光が照射される。凹凸マークの螺旋状のトラックにトラッキングされ、凹凸マークに第1のレーザパワーでレーザ光が照射されることによって、反射光から凹凸マークに対応した再生信号が抽出される。抽出された再生信号から凹凸マークのチャネルビット長に同期するチャネルクロックが抽出され、螺旋状のトラックへのトラッキングに従って、第1のレーザパワーと異なる第2のレーザパワーでレーザ光が照射されることによって副情報が記録される。そして、一度のトラッキングで、抽出されたチャネルクロックに同期した、所定間隔かつ所定頻度で離散的な第2のレーザパワーのレーザ光が照射されて反射膜上に追記マークが形成されることで、一部の副情報が記録される。さらに、一度のトラッキングで一部の副情報を記録する処理が、複数回繰り返されることにより、全ての副情報が記録される。
本発明によれば、1度のトラッキングで全ての副情報が記録されるのではなく、1度のトラッキングで離散的に第2のレーザパワーのレーザ光が照射されて一部の副情報が記録される処理が、複数回繰り返されることにより、全ての副情報が記録される。そのため、第1のレーザパワーで凹凸マークを再生している途中で、第2のレーザパワーで追記マークを形成したとしても、安定して凹凸マークへのトラッキング制御ができるとともに、安定して副情報を記録することができる。
本実施の形態に係る光ディスクの構造を示す概念図である。
本実施の形態の光ディスクの追記マークの記録フォーマットを示すタイミングチャートである。
記録レベルのレーザ照射を行う期間をTp/2πS以下とすることが望ましいとする根拠を説明するための概念図である。
本実施の形態の光ディスク記録装置の特徴的な構成を示すブロック図である。
図4に示す副情報記録位置コントローラの詳細な構成を示すブロック図である。
本実施の形態におけるテスト発光動作の一例を示すタイミングチャートである。
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。尚、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
(実施の形態1)
実施の形態1では、本発明の一実施の形態に係る光ディスクについて説明する。
本実施の形態では、光ディスク原盤に凹凸記録マークを形成することにより主情報を記録し、ポリカーボネートなどの樹脂材料で作製された光ディスク基板に凹凸記録マークを転写後、凹凸記録マークが転写された光ディスク基板上に、レーザ光が照射されることによって反射率が変化する反射膜を蒸着し、反射膜の上に保護膜を付加することで光ディスクが成型される。そして、成型後の光ディスクに、レーザ光を照射し、凹凸記録マーク上の反射膜の反射率を変化させ、追記マークを形成することによって、副情報が記録される。以下、上記の光ディスクについて、その詳細な構成を説明する。
図1は、本実施の形態に係る光ディスクの構造を示す概念図である。
本実施の形態の光ディスク1は、光ディスク原盤から凹凸記録マークMKが転写された光ディスク基板1P、コンテンツ情報などの主情報を記録した凹凸記録マークMK、レーザ照射によって反射率が変化する反射膜1L、及び光ディスク形成後にレーザ照射によって反射膜1Lの反射率を変化させることによって副情報を記録した追記マークSMKで構成される。
光ディスク基板1Pは、ポリカーボネート樹脂などによって構成され、光ディスク原盤から凹凸記録マークMKが転写される。
凹凸記録マークMKは、光ディスク原盤から転写され、主に、光ディスクに記録されるコンテンツ情報と、コンテンツ情報の記録位置と、物理特性などを示す管理情報とが主情報として記録される。また、凹凸記録マークMKは、通常の再生専用メディアであるDVD−ROMやBlu−rayROMと同様に形成され、8−16変調方式や17pp変調方式などを用いて変調された主情報が記録されている。
反射膜1Lは、凹凸記録マークが転写された光ディスク基板1P上に蒸着され、一定強度以上のレーザ照射によって反射率が変化する。また、反射膜1Lは、一定強度以上のレーザ照射によって不可逆的に反射率が変化するライトワンス膜で構成される。通常の再生専用メディアでは、反射膜として、アルミニウムや銀材料を用いたものが適用される。また、ライトワンス膜は、一定強度以上のレーザ照射によって反射率が向上するLtoH(Low to High)膜を用いることが望ましい。なぜなら、通常の再生専用メディアの金属反射膜では、一定強度以上のレーザ照射によって、反射率が劣化する。したがって、意図的にLtoH膜を用いることにより、反射率を高くすることによって記録されている追記マークを通常の再生専用メディアへ複写することが困難となる。そのため、追記マークで著作権保護情報などを記録する場合には、不正複製への耐性が劇的に向上する。
光ディスク1は、光ディスク基板1Pに凹凸記録マークMKを転写後、反射膜1Lを蒸着し、保護膜を付与することにより成型される。追記マークSMKは、光ディスクの成型後、凹凸記録マークMKにトラッキング制御を行い、凹凸記録マークトラックのほぼ真上にレーザ照射を行い、LtoH膜で構成される反射膜1Lの反射率を上げることによって形成される。追記マークSMKによって副情報が記録される。
副情報は、例えば、凹凸記録マークMKによって記録されるコンテンツ情報(主情報)の暗号を解くための鍵情報などの著作権保護情報などである。従って、暗号化されたコンテンツ情報は、副情報を再生することができなければ再生できない。また、副情報は、追記マークにより、通常、複製できない形態で記録されるため、不正な複製を防止する効果もある。また、副情報は、光ディスク毎に固有であり、光ディスクを識別するための識別情報であってもよい。
本実施の形態の追記マークSMKは、凹凸記録マークトラックにトラッキング制御を行い、凹凸記録マークMKのデータフォーマットに同期して記録される。これによって、追記マークSMKは、凹凸記録マークMKの同期符号に同期して検出できるので、追記マークSMK特有の同期符号を持つ必要がなくなるとともに、凹凸記録マークMKと追記マークSMKとが同時に再生できるというメリットがある。
しかしながら、追記マークSMKを形成するためには、再生強度ではなく記録強度のレーザ照射を行う必要がある。従って、記録強度のレーザ照射と、再生強度のレーザ照射とを繰り返しながら追記マークSMKは記録されるが、追記マークSMKの記録中でも、凹凸記録マークMKへのトラッキング制御と、凹凸記録マークMKへの同期記録のための凹凸記録マークMKの再生とを安定に行う必要がある。通常、記録レベルのレーザ照射を長期間あるいは高頻度で行うと、凹凸記録マークMKからの反射光レベルが安定せず、凹凸記録マークMKへのトラッキング制御及び凹凸記録マークMKの再生が不安定になるという問題が生じる。
そこで、本実施の形態では、1回のトラッキング走査で、凹凸記録マークMKのデータ構造の所定範囲(例えば、フレーム単位又はセクタ単位など)内で離散的にレーザ照射を行うことで、一部の副情報ビットを記録し、同じ領域内で、複数回のトラッキング走査を行うことで、全ての副情報ビットを記録する。これにより、長期間あるいは頻繁な記録強度のレーザ照射を行う必要がなく、凹凸記録マークトラックへのトラッキング制御や、凹凸記録マークMKの再生制御を安定に行い、同時に、記録強度のレーザ照射によって副情報を安定に記録することが可能となる。
また、レーザは、通常、温度特性及び電圧特性を有しており、レーザ強度を設定しても、設定したレーザ強度から実際のレーザ強度がずれるという問題がある。レーザ強度がずれれば、副情報を安定に記録することは不可能となる。従って、本実施の形態では、副情報を記録する直前に、数パターンのレーザ強度での試し発光(テスト発光)を行い、レーザ強度を直接レーザ照射光から抽出することによって、レーザ強度を補正する。この試し発光も、凹凸記録マークトラックにトラッキング制御を行い、凹凸記録マークデータフォーマットと同期して行う。そのため、試し発光は、副情報の記録時と同様に、凹凸記録マークMKの所定データ範囲内で離散的に行われる。
図2は、本実施の形態の光ディスクの追記マークの記録フォーマットを示すタイミングチャートである。
本実施の形態の光ディスクは、クラスタC1の先頭位置(タイミングt1)から副情報が記録される形態で説明する。通常、光ディスク記録装置において、一旦設定したレーザ強度は、温度変化などの要因で変化する。そこで、副情報を記録する領域の直前の領域(例えばクラスタC1の直前のクラスタC0)で、複数のレーザ強度であらかじめレーザ照射(試し発光)を実施する。各レーザ強度ごとに照射されるレーザ光の実際のレーザ強度を測定し、副情報を記録する際に最適なレーザ強度を選択して、副情報を記録する直前に設定する。これによって、温度変化などでレーザ強度が変化しても、副情報を記録する直前に副情報を記録するためのレーザ強度を観測して設定するため、副情報を安定に記録することができる。
図2において主情報フォーマット101は、試し発光によってレーザ強度を確認し、レーザ強度を設定する区間であるクラスタC0、及びクラスタC0に円周トラック方向で連続するクラスタC1のフォーマットを示している。なお、主情報は、複数のクラスタで構成されるが、図2では、2つのクラスタC0,C1のみを表している。本実施の形態では、クラスタC1の先頭位置(タイミングt1)から、レーザ照射によって副情報が記録される。クラスタC1及びクラスタC0は、それぞれ16のセクタS0〜S15で構成され、各セクタは、16のフレームF0〜F15で構成される。クラスタC0の区間でレーザ強度を変化させながら試し発光が行われ、副情報の記録に最適なレーザ強度が選択された後、副情報の記録が、クラスタC1の先頭(t1)から開始される。
図2において記録パルス102は、1度目(1回転目)のトラッキング走査による副情報の記録パルスを示している。副情報は、フレーム毎に128ビットの区間で、副情報1ビットをPE変調して記録される。よって、1度目のトラッキング走査では、128ビット区間内の各フレームの先頭に副情報が記録される。本実施の形態では、クラスタC1のフレームF0に0番目の副情報(bit0)、フレームF1に8番目の副情報(bit8)、フレームF2に16番目の副情報(bit16)、フレームF3に24番目の副情報(bit24)、・・・、フレームF15に120番目の副情報(bit120)が記録される。
また、副情報はPE変調されて記録される。すなわち、bit0のように副情報として“1”が記録される場合は、副情報ビット記録領域である128チャネルビット区間の先頭64チャネルビットの区間で記録強度のレーザ照射を行う。これによって、副情報ビットとして“1”が記録される。一方、bit8のように副情報として“0”が記録される場合は、bit0とは反対に128チャネルビットの副情報ビット記録領域の後方64チャネルビットの区間で記録レベルのレーザ照射が行われる。
図2において追記マーク103は、図2の記録パルス102で副情報が記録された状態を示している。本光ディスクは、凹凸記録マーク上にLtoH記録膜(反射膜)が蒸着されている。よって、記録レベルのレーザ照射に応じて、記録レベルのレーザ照射がなされた区間のみ、反射率が高くなった追記マークが形成される。これによって副情報が記録される。また、副情報の記録は、試し発光と同様に、フレーム内に128チャネルビットの区間で1ビットずつ、複数周回のトラッキング走査で記録される。本実施の形態では、1フレームに8ビットの副情報を記録するので、同一トラックを8度周回することで、全ビットの副情報が記録される。
図2において記録パルス104は、2度目(2回転目)のトラッキング走査による副情報の記録パルスを示している。1度目のトラッキング走査によって、各フレームの先頭128チャネルビットの区間に副情報が記録された後、同一トラックに対して、2度目のトラッキング走査が行われ、1度目のトラッキング走査で記録した副情報に連続的に隣接した128チャネルビットの区間に副情報が記録される。1度目のトラッキング走査で記録した各フレームの先頭の128チャネルビットの区間のbit0、bit8、bit16、bit24、・・・、bit120の副情報に隣接する128チャネルビットの区間に、bit1、bit9、bit17、bit25、・・・、bit121の副情報が、PE変調されて記録される。
図2において追記マーク105は、図2の2度目のトラッキング走査の記録パルス104で副情報が記録された状態を示している。図2の記録パルス104で説明したように、2度目のトラッキング走査では、1度目のトラッキング走査で記録した副情報に連続的に隣接する128チャネルビットの区間に、bit1、bit9、bit17、bit25、・・・、bit121の副情報が、PE変調されて記録される。
図2において追記マーク106は、8度目のトラッキング走査によって副情報の全ビットが記録された状態を示している。本実施の形態では、セクタ毎に128ビットの副情報(bit0〜bit127)が繰り返し記録されている。
本実施の形態では、1度目のトラッキング走査の際、クラスタC0の区間で、試し発光を行って副情報を記録するための最適なレーザ強度を設定する。その後、連続的に、副情報の記録開始位置であるクラスタC1の先頭(タイミングt1)から、副情報をフレーム毎に1ビットずつ記録し、8度の同一トラックへのトラッキング走査を通して、全ビットの副情報を記録する。
本光ディスクの副情報は、凹凸記録マークに同期して記録されることによって、副情報に特有の同期符号を設ける必要がないが、凹凸記録マークを再生しながら記録レベルのレーザ照射を行う必要がある。通常、再生中に記録レベルのレーザ照射が行われた場合、トラッキング動作や、凹凸記録マークの再生動作が不安定となる。なぜなら、記録レベルのレーザ照射によって、再生時の想定を超えた反射光が帰ってくるからである。
一方、通常の記録再生ドライブは、光ディスクに指紋、埃及び傷などがあっても安定した再生動作を保証する必要がある。指紋、埃及び傷があるときには、バーストエラーと判断して、その区間のトラッキングサーボをホールドしたり、凹凸記録マークを再生して得るPLLクロックのクロック周波数をホールドしたりする。
よって、本光ディスクでは、ドライブがバーストエラーとして許容できる範囲及び頻度で記録レベルのレーザ照射を行うことにより、凹凸記録マークの再生を行いながら、副情報を記録することが可能となる。本実施の形態では、128チャネルビットの区間という範囲と、フレーム毎という頻度とで副情報を記録しているが、ドライブのバーストエラーの許容範囲(バーストエラー長)及び許容頻度(バーストエラー頻度)以下であれば、記録レベルのレーザ照射を行う範囲及び頻度は問わない。
すなわち、記録レベルのレーザ光を照射する所定間隔は、光ディスクの凹凸記録マークで記録された主情報の再生が許容されるバーストエラー長以下である。また、記録レベルのレーザ光を照射する所定頻度は、光ディスクの凹凸記録マークで記録される主情報の再生が許容されるバーストエラー頻度以下である。
さらに、主情報は、同期符号を伴う複数のフレームで構成され、フレームの長さをLf、記録レベルのレーザ光を照射する所定間隔をLwとするとき、Lw=Lf/(2×M)(ただし、Mは自然数)の式を満たす。さらにまた、記録レベルのレーザ光を照射する所定頻度は、フレームに同期した頻度である。
なお、安定にトラッキングサーボを制御するためには、トラッキングサーボへのトラッキングエラー信号の未入力区間が、光ディスクの回転周期Tに対して、Tp/2πS以下であることが望ましい。ただし、Tpはトラックピッチを示し、Sは最大偏心を示す。従って、記録レベルのレーザ照射を行う期間は、回転周期Tに対してTp/2πS以下であることが望ましく、同様に、トラッキング制御を行っている円周Lに対してTp/2πS以下であることが望ましい。よって、副情報のための追記マークの円周方向の長さは、L×Tp/2πS以下であることが望ましい。
図3は、記録レベルのレーザ照射を行う期間をTp/2πS以下とすることが望ましいとする根拠を説明するための概念図である。
トラッキングサーボの安定性は、光ディスクの最大偏心SとトラックピッチTpとによって定まる。詳しくは、トラッキングサーボの安定性は、トラッキングエラー信号が一度もサンプリングできない場合であり、偏心によりトラックピッチTpのトラックを跨ぐ最速点Aがトラックを跨ぐことのない許容範囲xにより定まる。
ここで、回転周期をT、最大偏心をS、トラックピッチをTpとすると、偏心によるトラック跨ぎの許容範囲xは、Tp/2πS以下と求めることができる。従って、記録レベルのレーザ照射を行い、最悪条件でトラッキングエラー信号が一度もサンプリングできない場合を考えると、記録レベルのレーザ照射を行う時間は、回転周期をTとするとT×Tp/2πS以下となる。従って、このようにレーザ照射をして形成する副情報の追記マークの円周方向の長さは、副情報を記録する領域の円周をLとすると、L×Tp/2πS以下にすることが望ましく、副情報を記録する領域の円周上の総チャネルビット数をCBとすると、CB×Tp/2πS以下にすることが望ましい。
以上のような追記マークを形成することによって、例え記録レベルのレーザ照射を行って、位相差方式のトラッキングエラー信号がサンプリングできない場合でも、最大偏心SでトラックピッチTpの光ディスクのトラックを誤って跨いでしまうことは無くなり、安定して副情報を記録することが可能となる。
また、本実施の形態の光ディスクがBlu−rayディスクである場合には、記録レベルのレーザ照射を行う最大時間は40us(マイクロ秒)、最大の追記マークの円周方向の長さは、0.2mm(ミリメートル)、2600チャネルビットとなる。Blu−rayディスクでは、同期符号を伴う最小単位のフレーム長が1932チャネルビットであるため、副情報を記録するための追記マークの円周方向の長さを1フレーム以下にすれば問題ない。
なお、最大偏心Sは、通常、光ディスクごとの物理規格によって制限される。Blu−rayディスクの場合、最大偏心Sは、37.5umである。
また、記録レベルのレーザ照射を行っている場合は、凹凸記録マークで記録された主情報が読み出せなくなる可能性がある。そこで、記録レベルでレーザ照射する時間及び区間を光ディスクごとのエラー訂正フォーマットから規定されるバーストエラー長以下とする。これにより、例え、記録レベルのレーザ照射で凹凸記録マークの信号がまったく読み出せない場合においても、エラー訂正可能となり、主情報を安定して読み出すことが可能となる。また、光ディスクのエラー訂正フォーマットが決まればバーストエラーの許容頻度がわかり、このバーストエラーの許容頻度以下で1回のトラッキング動作における記録レベルのレーザ照射を行うことが望ましい。
このように、光ディスクの円周方向の回転周期をTとし、トラックピッチをTpとし、最大偏心をSとするとき、記録レベルのレーザ光を照射する所定間隔は、T×Tp/2πS以下である。また、記録レベルのレーザ光を照射する所定間隔は、1フレーム以下である。
以上、本実施の形態の光ディスクでは、通常のROMディスクの作成と同様に、コンテンツなどを変調した信号に基づいて光ディスク原盤に形成した凹凸記録マークがディスク基板に転写されることにより、ディスク基板に凹凸記録マークが転写される。また、通常のROMディスクでは、凹凸記録マークを転写した後、銀又はアルミなどの金属膜を蒸着して光ディスクが成型されるが、本実施の形態の光ディスクでは、金属膜の変わりに、通常、ライトワンス型ディスクで用いられる、レーザ照射によって反射率が変化する追記膜が用いられる点に特徴がある。
また、光ディスク成型後、凹凸記録マークトラックにトラッキングを行い、かつ、凹凸記録マークの再生動作を行いながら、記録レベルのレーザ照射を行うことによって、追記膜の反射率を変化させた追記マークを形成して副情報が記録される。また、追記マークを形成する記録レベルのレーザ強度を安定に設定するため、副情報を記録する手前のクラスタで、凹凸記録マークに同期して試し発光を凹凸記録マークのデータフォーマットの所定の区間で段階的に行い、最適な記録レベルのレーザ強度を設定する。
しかしながら、通常の光ディスクドライブでは、記録レベルの照射を行えば、ディスクからの反射光強度が大きくなり、安定した凹凸記録マークへのトラッキング走査を行うことができない。そこで、本実施の形態の光ディスクは、副情報を記録するためのレーザ照射と、副情報を記録するために必要な試し発光とを、複数回のトラッキング走査に分けて行う。また、副情報の記録時又は試し発光時は、通常の光ディスクドライブで、バーストエラーとして許容できる範囲及び頻度で記録レベルのレーザ照射を行うことによって、追記マークが記録される。
これによって、本実施の形態の光ディスクは、追記マークによって副情報が記録される手前の所定の領域に、凹凸記録マークのデータフォーマットに同期した試し発光による追記マークが形成される。したがって、本実施の形態の光ディスクは、通常の光ディスクドライブにおいても、凹凸記録マークに同期した副情報の記録が安定に行なわれる。
(実施の形態2)
実施の形態2では、本発明の一実施の形態に係る光ディスク記録装置について説明する。図4は、本実施の形態の光ディスク記録装置の特徴的な構成を示すブロック図である。
光ディスク記録装置10は、光学ヘッド12、トラッキングサーボ13、アナログ信号処理器14、デジタル信号処理器15、フォーマッタ16、副情報記録位置コントローラ17、副情報記録信号生成器18、ANDゲート19、前光モニタ20及びレーザパワーコントローラ21で構成される。なお、副情報記録部30は、フォーマッタ16、副情報記録位置コントローラ17、副情報記録信号生成器18、ANDゲート19及びレーザパワーコントローラ21で構成される。
光ディスク11は、主情報に基づいて、螺旋状のトラックに従って形成された凹凸記録マークと、凹凸記録マーク上に形成され、レーザ照射によって反射率が変化する反射膜とを有する。なお、図4に示す光ディスク11は、実施の形態1における光ディスク1と同じ構成である。光ディスク記録装置10は、光ディスク11に主情報を再生するために用いられる副情報を記録する。
光学ヘッド12は、光ディスク11に再生レベルのレーザパワー(第1のレーザパワー)のレーザ光を照射して、その反射光強度に応じたアナログ再生波形を獲得し、トラッキングサーボ13、アナログ信号処理器14及び前光モニタ20に出力する。また、光学ヘッド12は、光ディスク11に記録レベルのレーザパワー(第2のレーザパワー)のレーザ光を照射して、反射膜上に追記マークを形成する。
トラッキングサーボ13は、凹凸記録マークの螺旋状のトラックにトラッキングする。トラッキングサーボ13は、光学ヘッド12からのアナログ再生波形から、光ディスク11の凹凸記録マークで形成された円周方向の螺旋状のトラックにトラッキング制御を行い、光学ヘッド12からの再生レーザ光のスポットが凹凸記録マークの中心に位置するように光学ヘッド12を制御する。トラッキングサーボ13は、凹凸記録マークエッジの反射光の位相差を利用した位相差方式によって凹凸記録マークへのトラッキング制御を行う。
アナログ信号処理器14は、凹凸記録マークに再生レベルのレーザパワーでレーザ光を照射することによって、反射光から凹凸記録マークに対応した再生信号(アナログ再生信号)を抽出する。アナログ信号処理器14は、光学ヘッド12からのアナログ再生波形を波形等化したり、アナログ再生波形から凹凸記録マークの周波数帯域を抽出したりして、アナログ再生信号を生成し、デジタル信号処理器15に出力する。
デジタル信号処理器15は、アナログ信号処理器14によって抽出された再生信号から凹凸記録マークのチャネルビット長に同期するチャネルクロックを抽出する。デジタル信号処理器15は、アナログ信号処理器14からのアナログ再生信号を2値化してデジタル再生信号に変換する。また、デジタル信号処理器15は、凹凸記録マークに同期したPLLクロック信号を内蔵するPLL(Phase−Locked−Loop)回路から生成し、フォーマッタ16に出力する。
副情報記録部30は、トラッキングサーボ13による螺旋状のトラックへのトラッキングに従って、記録レベルのレーザパワーでレーザ光を照射することによって副情報を記録する。また、副情報記録部30は、トラッキングサーボ13による一度のトラッキングで、デジタル信号処理器15によって抽出されたチャネルクロックに同期した、所定間隔かつ所定頻度で離散的なレーザ光を照射して反射膜上に追記マークを形成することで、一部の副情報を記録する処理を、複数回繰り返すことにより、全ての副情報を記録する。
また、副情報記録部30は、少なくとも1つの追記マークによって副情報の1ビットを記録する。さらに、副情報記録部30は、トラッキング毎にそれぞれ異なる領域で、記録レベルのレーザパワーのレーザ光を照射して追記マークを形成する。
フォーマッタ16は、入力されるPLLクロック信号に同期するデジタル回路で構成され、入力されるデジタル再生信号から、一定間隔(フレーム)毎に付与された同期符号を抽出し、所定のフレーム数で構成されるアドレスの付与された間隔(セクタ)にデジタル再生信号を分割して、アドレス情報を抽出する。そして、フォーマッタ16は、所定のセクタ数で構成され、かつエラー訂正符号化されているクラスタ単位にデジタル再生信号を分離し、クラスタ毎にエラー訂正を行い、凹凸記録マークで記録されているコンテンツ情報などの主情報を獲得する。また、フォーマッタ16は、セクタ単位で得られるアドレス情報を基に、副情報を記録する領域を示す記録ゲートを生成する。実施の形態1の図2に示すように、フォーマッタ16は、記録ゲートとして、クラスタC1全体を示すゲート信号を生成する。また、記録ゲートは、副情報記録位置コントローラ17及び副情報記録信号生成器18に出力される。
また、フォーマッタ16は、追記マークを形成するタイミングを示すタイミング信号を生成し、副情報記録位置コントローラ17及び副情報記録信号生成器18に出力する。なお、本実施の形態では、フレーム内の128チャネルビット区間で追記マークが形成されるため、タイミング信号は、128チャネルビット毎のタイミングを示す。
さらに、フォーマッタ16は、テスト発光を行う領域を示すテスト発光タイミング信号を副情報記録位置コントローラ17へ出力する。なお、テスト発光タイミング信号の詳細については、後述する。
副情報記録位置コントローラ17は、副情報を記録するフレーム内の位置を制御する。副情報記録位置コントローラ17のより詳細な構成を図5に示す。図5は、図4に示す副情報記録位置コントローラ17の詳細な構成を示すブロック図である。
副情報記録位置コントローラ17は、フォーマッタ16からの記録ゲート、タイミング信号及びテスト発光タイミング信号を入力し、副情報記録ゲート及びテスト発光信号を出力する。副情報記録位置コントローラ17は、副情報記録発光タイミング生成器171、記録周回記憶部172、副情報記録タイミング選択部173、テスト発光信号生成器174及び信号選択部175から構成される。
副情報記録発光タイミング生成器171は、フォーマッタ16からの記録ゲートが出力されている区間(副情報記録位置)で副情報を記録するための記録タイミングを生成する。副情報の記録タイミングは、図2の説明でも述べたように、副情報の記録開始位置(本実施の形態ではクラスタC1の先頭)から、128チャネルビット単位で1ビットずつの副情報を記録する記録発光タイミングである。
さらに、本実施の形態では、1フレームに8ビットの副情報を記録し、一回転のトラッキング走査で、フレーム毎に1ビットの副情報を記録する。よって、副情報記録発光タイミング生成器171は、フレーム内の128チャネルビット毎に“H”とする、1〜8回転目のそれぞれに対応した1回転目副情報記録発光ゲートから8回転目副情報記録発光ゲートを生成して、副情報記録タイミング選択部173に出力する。1回転目副情報記録発光ゲートは、各フレームの先頭の128チャネルビット区間を“H”とし、8回転目副情報記録発光ゲートは、各フレームの最終の128チャネルビット区間を“H”とする信号である。1回転目副情報記録発光ゲートから8回転目副情報記録発光ゲートは、それぞれ128チャネルビットずつずらした各128チャネルビット区間を“H”とする信号である。生成された1回転目副情報記録発光ゲートから8回転目副情報記録発光ゲートは、副情報記録タイミング選択部173に出力する。
記録周回記憶部172は、図示しないスピンドルモータの回転信号のカウンタであり、副情報の記録開始時にカウンタをリセットして、光ディスクの回転数をカウントする。なお、記録周回記憶部172は、副情報を記録するために副情報記録トラックにトラックジャンプした回数をカウントしてもよい。要は、複数回のトラック走査で全副情報を記録する場合、記録周回記憶部172は、副情報を記録するための同一トラックへの走査回数をカウントする。カウントした同一トラックへの走査回数を表す周回カウント情報は、副情報記録タイミング選択部173に出力される。
副情報記録タイミング選択部173は、副情報記録発光タイミング生成器171によって生成された8つの副情報記録発光ゲート(1回転目副情報記録発光ゲートから8回転目副情報記録発光ゲート)を、記録周回記憶部172からの周回カウント情報に基づいて選択して副情報記録ゲートとして出力する。すなわち、周回カウント情報が1回転目を示している場合には1回転目副情報記録発光ゲートを副情報記録ゲートとして出力し、周回カウント情報が8回転目を示している場合には、8回転目副情報記録発光ゲートを副情報記録ゲートとして出力する。
副情報記録タイミング選択部173は、副情報記録ゲートをANDゲート19へ出力する。なお、テスト発光信号生成器174及び信号選択部175については後述する。
副情報記録信号生成器18は、入力される副情報に基づいて、副情報を記録するための副情報記録信号を生成する。生成した副情報記録信号は、ANDゲート19に出力される。外部から入力される副情報は、前述の通り、フレームに同期して記録され、各フレーム内に8ビットの副情報が記録され、128チャネルビットの区間毎に1ビットの副情報が記録される。よって、副情報を記録するクラスタ(本実施の形態ではクラスタC1)内において、フレームF0には、副情報のbit0〜bit7、フレームF2には、副情報のbit8〜bit15、・・・、フレームF15には、副情報のbit120〜bit127が記録される。
また、副情報は、PE変調が施されて記録される。従って、副情報記録信号生成器18は、副情報として“1”を記録する場合には、128チャネルビット区間の前半の64チャネルビット区間が“H”、後半の64チャネルビット区間が“L”となる副情報記録信号を生成する。あるいは、副情報記録信号生成器18は、副情報として“0”を記録する場合には、128チャネルビット区間の前半の64チャネルビット区間が“L”、後半の64チャネルビット区間が“H”となる副情報記録信号を生成する。生成された副情報記録信号は、ANDゲート19に出力される。
ANDゲート19は、一般的なANDゲートから構成され、入力される副情報記録ゲートと副情報記録信号との論理和を算出し、マスク信号としてレーザパワーコントローラ21に出力する。前述の通り、副情報記録ゲートは、副情報を記録するときのトラックの走査回数(光ディスクの回転周回数)に従って、フレーム内のどの位置に副情報を記録するのかを示したゲート信号である。従って、副情報記録ゲートと副情報記録信号との論理和は、副情報を記録するときのトラックの走査回数(光ディスクの回転周回数)に応じて副情報を記録する区間のレーザ照射タイミングを示す信号となる(図2の1回転目記録パルス102及び2回転目記録パルス104)。
前光モニタ20は、光学ヘッド12によって照射されるレーザ光のレーザ強度を測定する。
レーザパワーコントローラ21は、入力されるテスト発光信号が“H”、あるいは副情報記録信号が“H”の時のみ、記録レベルのレーザ強度に設定するよう光学ヘッド12を制御する。また、レーザパワーコントローラ21は、テスト発光信号における“H”の区間の回数をカウントし、試し発光する毎にレーザ強度を強くしていく。また、実際には、レーザパワーコントローラ21は、前光モニタ20からレーザ強度を読み出し、複数回数の試し発光の中で、副情報を記録するために最適なレーザ強度を探索する。そして、レーザパワーコントローラ21は、副情報を記録する直前(図2のタイミングt1の直前)に、探索した最適なレーザ強度を設定して副情報の記録を行う。
これによって、温度変化等によってレーザ強度が多少変化したとしても、副情報を記録する直前のクラスタにて、レーザ強度を変化させながら試し発光を行い、最適なレーザ強度を探索し、設定できるので、常に、最適なレーザ強度で副情報の記録が可能となる。ゆえに、レーザ強度が小さく副情報を安定して記録することができない、あるいは、副情報を記録する際のレーザ強度が強すぎて、光ディスクの反射膜に傷をつけてしまうといった不具合を防止することができる。レーザパワーコントローラ21は、試し発光や副情報記録のための記録レベルのレーザ照射を行うタイミングと、試し発光時及び副情報記録時のレーザ強度とを示す記録信号を生成して、光学ヘッド12に出力する。
光学ヘッド12は、レーザパワーコントローラ21からの記録信号に基づいて再生レベル/記録レベルのレーザ強度を切り替えて凹凸記録マークトラック上に副情報を記録する。
なお、本実施の形態において、光学ヘッド12が光学ヘッドの一例に相当し、トラッキングサーボ13がトラッキング部の一例に相当し、アナログ信号処理器14が再生信号抽出部の一例に相当し、デジタル信号処理器15がクロック抽出部の一例に相当し、副情報記録部30が副情報記録部の一例に相当する。
以上のように、本実施の形態の光ディスク記録装置を用いれば、レーザ照射によって反射率の変化する記録膜が凹凸記録マーク上に形成された光ディスクに、一定強度以上の記録レベルのレーザ光を照射することによって、記録膜の反射率を変化させた追記マークを形成し、副情報を記録することができる。しかしながら、通常、記録レベルのレーザ照射を行えば、凹凸記録マークトラックへのトラッキング制御や凹凸記録マークの再生動作が不安定となり、凹凸記録マークの記録フォーマットに同期して副情報を記録することができない。
そこで、本実施の形態の光ディスク記録装置により、一回のトラッキング走査で副情報を部分的に記録し、トラッキング走査を複数回繰り返すことで全副情報を記録することが可能となる。一般的な光ディスク記録装置は、光ディスクのバーストエラーを想定して設計される。従って、バーストエラーが許容される範囲で、記録レベルのレーザ照射を行った場合、凹凸記録マークへのトラッキング走査及び凹凸記録マークの再生動作に支障をきたさない。
また、凹凸記録マーク上に記録レベルのレーザ照射を行い、反射膜の反射率を変化させることによって副情報を記録する場合、レーザ強度が強すぎると凹凸記録マークの再生信頼性が悪化し、逆にレーザ強度が弱すぎると副情報の再生信頼性が悪化する。よって、副情報を記録するためのレーザ強度は厳密に合わせこむことが必要となる。しかしながら、通常、レーザ強度は、温度特性等によって変化する。従って、本実施の形態の光ディスク記録装置では、副情報を記録する直前にレーザ強度を段階的に変化させて試し発光を行い、そのレーザ強度を測定して、副情報を記録するためのレーザ強度を設定する。これによって、温度が変化したとしても副情報を記録するための最適なレーザ強度を設定して副情報を記録することが可能となる。
次に、本実施の形態における副情報を記録するための試し発光(テスト発光)動作について説明する。
前述のように、本実施の形態では、原盤から転写された凹凸記録マークを形成することによって主情報が記録されている。また、凹凸記録マーク上に記録レーザ照射によって反射率が変化する反射膜を蒸着した光ディスクを作成後、記録する副情報に従って、凹凸記録マークにトラッキング制御を行いながら、記録レベルのレーザ照射を行い、凹凸記録マーク上に追記マークを形成することによって副情報が記録されている。
しかしながら、光学ヘッドのレーザは通常電流駆動であるが、駆動させるための電流値と実際に照射されるレーザ光のレーザ強度とには、温度特性によるばらつきや固体ばらつきなどが発生する虞がある。安定して追記マークを形成するためには、副情報を記録する領域よりも前の領域において、さまざまなバリエーションの設定電流値によるレーザ発光を行い、そのレーザ強度を前光モニタなどでモニタリングし、安定して追記マークを形成するためのレーザ強度を測定する必要がある。
前述の図2は、本実施の形態においてタイミングt1からクラスタC1に副情報を記録する場合のタイミングチャートを示している。よって、試し発光はタイミングt1より前の領域において実施される。本実施の形態では、タイミングt1より前の領域として、トラッキング方向に隣接するクラスタC1の1つ手前のクラスタC0において試し発光を行う形態について説明する。
図6は、本実施の形態におけるテスト発光動作の一例を示すタイミングチャートである。図6の主情報フォーマット201は、図2の主情報フォーマット101と同様に、凹凸記録マークで記録される主情報のデータフォーマットを示している。本実施の形態の光ディスクにおける主情報は、論理的な読み出しの最小単位であり、エラー訂正符号化されているクラスタ単位に記録されている。クラスタは、アドレス情報が付与される単位である複数のセクタで構成され、セクタは、同期符号を伴う最小単位である複数のフレームで構成される。
本実施の形態の副情報は、前述のように、主情報フォーマット201に同期して記録される。また、本実施の形態では、タイミングt1からクラスタC1に副情報を記録する形態であり、クラスタC1の手前のクラスタC0でテスト発光が実施される。図6の記録レーザ波形202は、テスト発光領域、すなわちクラスタC0でテスト発光を行う際のテスト発光パルスを示している。
本実施の形態における副情報の記録方法は、記録レーザ照射を行ってもトラッキングサーボが安定に制御できるように、フレーム単位に一度ずつ、記録レーザ照射を行って、同一のトラックに複数回のトラッキングを行うことによって、円周方向のトラックに連続的に副情報を記録する。テスト発光も同様に、クラスタC0の区間において、同一トラックへの複数のトラッキング制御のたびに、テスト発光を行う。よって、図6の記録レーザ波形202は、1回転目のトラッキング動作におけるテスト発光パターンを示し、図6の記録レーザ波形203は、2回転目のトラッキング動作におけるテスト発光パターンを示している。
本テスト発光は、副情報の記録時と同様に、フレーム内に1度ずつ記録レーザ照射を行い、そのレーザ照射における実際のレーザ強度を前光モニタ20などで観測する。本実施の形態では、フレームごとに異なるレーザ強度で発光させ、副情報を記録するための最適なレーザ強度を選択する。図6の記録レーザ波形202,203において、フレームF0の区間では、レベルP1のレーザ強度、フレームF1の区間では、レベルP1よりも高いレベルP2のレーザ強度、フレームF2の区間では、レベルP2よりも高いレベルP3のレーザ強度でテスト発光が行われる。また、テスト発光時において、複数のトラッキング制御ごとにテスト発光を行うフレーム内の領域を変化させてレーザ光を照射している。
テスト発光は、レーザ強度を測定することが目的であるので、複数のトラッキング制御ごとにフレーム内の同じ領域にテスト発光を行ってもよい。しかしながら、記録レーザ強度のレーザ照射を同じ領域に繰り返し行うことでの反射膜の劣化を防止するため、テスト発光の領域はトラッキング走査毎に変化させることが望ましい。ただし、光ディスクの内周部や外周部のコントロール領域で、凹凸記録マークが意味をなさない領域などでは、反射膜が劣化したとしてもシステム動作に問題はないので、このような場合には、フレーム内の同じ領域にテスト発光を行ってもよい。
図6のテスト追記マーク204は、テスト発光区間に形成される追記マークを示している。本実施の形態では、フレームごとにレベルP1、レベルP2及びレベルP3というように記録パワーを変化させてテスト発光が行われる。そのため、テスト発光が行われる領域では、記録レーザ強度に応じて、光ディスクの半径方向に長さ(太さ)の異なる、また、再生パワーのレーザ光に対して反射光強度(反射率)が異なる記録マークが連続的に形成される。
次に、図4及び図5を用いて、テスト発光動作を行うための、本実施の形態の光ディスク記録装置の構成について説明する。
テスト発光を行う区間(本実施の形態ではクラスタC0)において、フォーマッタ16は、テスト発光タイミング信号を生成する。フォーマッタ16は、主情報を表すデジタル再生信号からセクタ単位に付与されているアドレス情報をデコードして、このアドレス情報に基づいて、テスト発光区間を識別する。テスト発光タイミング信号は、同一トラックへの複数回のトラッキング制御において、1回のトラッキングごとに各フレーム内のテスト発光を行う領域を示す信号である。従って、テスト発光タイミング信号は、同一周回へのトラッキング動作ごとにフレーム内の位置を変化させて生成される信号である。テスト発光タイミング信号は、副情報記録位置コントローラ17に出力される。
また、フォーマッタ16は、セクタ単位で得られるアドレス情報を基に、テスト発光を行う領域(クラスタC0)全体における記録レーザ波形を示す記録ゲートを生成する。記録ゲートは、副情報記録位置コントローラ17に出力される。
副情報記録位置コントローラ17は、同一周回のトラッキング制御ごとにフレーム内のテスト発光位置を変化させたテスト発光信号を生成する。副情報記録位置コントローラ17は、フォーマッタ16からテスト発光のための記録ゲートと、テスト発光のレーザ照射区間を示すテスト発光タイミング信号とが入力され、テスト発光信号を生成する。
図5において、テスト発光信号生成器174は、フォーマッタ16からの記録ゲートに基づいて、テスト発光区間内でのすべてのパターンのテスト発光信号を生成する。すなわち、1〜n回目のトラッキングにおけるテスト発光信号(例えば、図6の記録レーザ波形202,203)をそれぞれ生成し、信号選択部175に出力する。
信号選択部175は、ANDゲートとORゲートとで構成され、フォーマッタ16からのトラッキング回数に対応したテスト発光位置を示すテスト発光タイミング信号と、テスト発光信号生成器174からの1〜n回目のテスト発光信号を入力する。信号選択部175は、1〜n回目のテスト発光信号をそれぞれテスト発光タイミング信号とAND演算し、演算結果であるn本の信号をOR演算することによって、トラッキング回数に応じたテスト発光信号を生成してレーザパワーコントローラ21に出力する。すなわち、AND演算によって、同一トラックへのアクセス回数に応じたテスト発光信号のみが抽出され、それ以外の信号は、テスト発光タイミング信号によってマスキングされ、n本の信号のOR演算が行われる。これにより、アクセス回数に対応するテスト発光信号を生成することができる。
なお、信号選択部175は、クラスタC1における副情報の記録のためのフレーム内のレーザ照射位置をテスト発光位置に対応付けるため、テスト発行タイミング信号の替わりに、副情報記録タイミング選択部173からの副情報記録ゲートを用いてもよい。この場合には、副情報の追記マークを形成するための記録レーザ照射位置と、テスト発光用の記録レーザ照射位置とがクラスタC0及びクラスタC1のフレーム内の同じ位置に設定される。
レーザパワーコントローラ21は、テスト発光信号に基づいて、フレームごとに異なる強度のレーザ照射を行う。
前光モニタ20は、レーザ照射された実際のレーザ強度を測定して、レーザパワーコントローラ21へ出力する。レーザパワーコントローラ21は、複数のレーザ強度の中から、副情報を記録するために最適なレーザ強度を選択して、選択したレーザ強度をタイミングt1より前に設定する。これにより、タイミングt1以後のクラスタC1において、設定された副情報を記録するための最適なレーザ強度で副情報が記録される。
以上のように、本実施の形態の光ディスク記録装置では、副情報を記録する領域の手前の領域でテスト発光が実施され、最適なレーザ強度を設定した上で、副情報を記録することが可能となる。通常、副情報を記録するためのレーザ強度が弱すぎる場合には、追記マークが形成できないか、安定して読み出すことのできないレベルの副情報が記録されてしまう。一方、レーザ強度が強すぎる場合には、反射膜そのものを劣化させたり、副情報を表す追記マークが視認可能となり、悪意のある者に容易に解読されるリスクが向上するという問題がある。しかしながら、本実施の形態のように、テスト発光を行った上で、最適なレーザ強度を設定する構成にすれば、これらの問題が生じるリスクは低減され、副情報を用いた著作権保護が可能となる。
また、本実施の形態の光ディスクでは、副情報を記録する領域(クラスタC1)とは異なる領域(クラスタC0)にテスト発光領域を設けている。テスト発光領域には、レーザ強度を測定するためのレーザ照射が行われるので、副情報とは異なる追記マークが形成されることになる。また、テスト発光領域での追記マークは、異なる強度が照射されることによる記録マークが形成され、記録レーザ強度を強くするごとに追記マークのディスク半径方向の幅が広くなる。
なお、本実施の形態では、副情報を記録する前に試し発光を行うことで、副情報を記録する際のレーザ強度を調整しているが、本発明は特にこれに限定されず、レーザ強度が変化しない場合、又はレーザ強度が変換したとしても副情報の記録及び再生に影響がない場合、試し発光を行わなくてもよい。
また、本実施の形態において、トラッキングサーボ13、アナログ信号処理器14、デジタル信号処理器15、フォーマッタ16、副情報記録位置コントローラ17、副情報記録信号生成器18、ANDゲート19及びレーザパワーコントローラ21は、LSI等の集積回路で構成してもよい。
なお、上述した具体的実施形態には以下の構成を有する発明が主に含まれている。
本発明の一局面に係る光ディスク装置は、主情報に基づいて、螺旋状のトラックに従って形成された凹凸マークと、前記凹凸マーク上に形成され、レーザ照射によって反射率が変化する反射膜とを有する光ディスクに、前記主情報を再生するために用いられる副情報を記録する光ディスク記録装置であって、前記光ディスクにレーザ光を照射する光学ヘッドと、前記凹凸マークの前記螺旋状のトラックにトラッキングするトラッキング部と、前記凹凸マークに第1のレーザパワーでレーザ光を照射することによって、反射光から前記凹凸マークに対応した再生信号を抽出する再生信号抽出部と、前記再生信号抽出部によって抽出された前記再生信号から前記凹凸マークのチャネルビット長に同期するチャネルクロックを抽出するクロック抽出部と、前記トラッキング部による前記螺旋状のトラックへのトラッキングに従って、前記第1のレーザパワーと異なる第2のレーザパワーでレーザ光を照射することによって前記副情報を記録する副情報記録部とを備え、前記副情報記録部は、前記トラッキング部による一度のトラッキングで、前記クロック抽出部によって抽出された前記チャネルクロックに同期した、所定間隔かつ所定頻度で離散的な前記第2のレーザパワーのレーザ光を照射して前記反射膜上に追記マークを形成することで、一部の前記副情報を記録する処理を、複数回繰り返すことにより、全ての前記副情報を記録する。
この構成によれば、主情報に基づいて、螺旋状のトラックに従って形成された凹凸マークと、凹凸マーク上に形成され、レーザ照射によって反射率が変化する反射膜とを有する光ディスクに、レーザ光が照射される。凹凸マークの螺旋状のトラックにトラッキングされ、凹凸マークに第1のレーザパワーでレーザ光が照射されることによって、反射光から凹凸マークに対応した再生信号が抽出される。抽出された再生信号から凹凸マークのチャネルビット長に同期するチャネルクロックが抽出され、螺旋状のトラックへのトラッキングに従って、第1のレーザパワーと異なる第2のレーザパワーでレーザ光が照射されることによって副情報が記録される。そして、一度のトラッキングで、抽出されたチャネルクロックに同期した、所定間隔かつ所定頻度で離散的な第2のレーザパワーのレーザ光が照射されて反射膜上に追記マークが形成されることで、一部の副情報が記録される。さらに、一度のトラッキングで一部の副情報を記録する処理が、複数回繰り返されることにより、全ての副情報が記録される。
したがって、1度のトラッキングで全ての副情報が記録されるのではなく、1度のトラッキングで離散的に第2のレーザパワーのレーザ光が照射されて一部の副情報が記録される処理が、複数回繰り返されることにより、全ての副情報が記録される。そのため、第1のレーザパワーで凹凸マークを再生している途中で、第2のレーザパワーで追記マークを形成したとしても、安定して凹凸マークへのトラッキング制御ができるとともに、安定して副情報を記録することができる。
また、上記の光ディスク装置において、前記所定間隔は、前記光ディスクの前記凹凸マークで記録された主情報の再生が許容されるバーストエラー長以下であることが好ましい。
この構成によれば、所定間隔は、光ディスクの凹凸マークで記録された主情報の再生が許容されるバーストエラー長以下であるので、追記マークをバーストエラーとして処理することができ、安定して凹凸マークへのトラッキング制御ができる。
また、上記の光ディスク装置において、前記主情報は、複数のフレームで構成され、前記フレームの長さをLf、前記所定間隔をLwとするとき、Lw=Lf/(2×M)(ただし、Mは自然数)の式を満たすことが好ましい。
この構成によれば、所定間隔Lwが、Lw=Lf/(2×M)(ただし、Mは自然数)の式を満たすので、フレームの長さを基準にして所定間隔を決定することができ、安定して凹凸マークへのトラッキング制御ができる。
また、上記の光ディスク装置において、前記所定頻度は、前記光ディスクの前記凹凸マークで記録される主情報の再生が許容されるバーストエラー頻度以下であることが好ましい。
この構成によれば、所定頻度は、光ディスクの凹凸マークで記録される主情報の再生が許容されるバーストエラー頻度以下であるので、追記マークをバーストエラーとして処理することができ、安定して凹凸マークへのトラッキング制御ができる。
また、上記の光ディスク装置において、前記主情報は、複数のフレームで構成され、前記所定頻度は、前記フレームに同期した頻度であることが好ましい。この構成によれば、フレームに同期した頻度で追記マークが形成されるので、凹凸マークを再生しながら、追記マークを形成することができる。
また、上記の光ディスク装置において、前記第2のレーザパワーは、前記第1のレーザパワーより高いことが好ましい。この構成によれば、第2のレーザパワーは、第1のレーザパワーより高いので、第1のレーザパワーで凹凸マークを再生し、第2のレーザパワーで追記マークを形成することができる。
また、上記の光ディスク装置において、前記副情報記録部は、少なくとも1つの前記追記マークによって前記副情報の1ビットを記録することが好ましい。この構成によれば、少なくとも1つの追記マークによって副情報の1ビットを記録することができる。
また、上記の光ディスク装置において、前記副情報記録部は、前記トラッキング毎にそれぞれ異なる領域で、前記第2のレーザパワーのレーザ光を照射して前記追記マークを形成することが好ましい。
この構成によれば、トラッキング毎にそれぞれ異なる領域で、第2のレーザパワーのレーザ光が照射されて追記マークが形成されるので、トラッキング毎に、同一の領域にレーザ光が照射されるのではなく、それぞれ異なる領域にレーザ光が照射されるので、副情報を複数回に分けて記録することができる。
また、上記の光ディスク装置において、前記光ディスクの円周方向の回転周期をTとし、トラックピッチをTpとし、最大偏心をSとするとき、前記所定間隔は、T×Tp/2πS以下であることが好ましい。
この構成によれば、第2のレーザパワーのレーザ照射を行って、位相差方式のトラッキングエラー信号がサンプリングできない場合でも、最大偏心SでトラックピッチTpの光ディスクのトラックを誤って跨いでしまうことは無くなり、安定して副情報を記録することができる。
また、上記の光ディスク装置において、前記主情報は、複数のフレームで構成され、前記所定間隔は、1フレーム以下であることが好ましい。この構成によれば、1フレーム以下の間隔で追記マークが形成されるので、凹凸マークを再生しながら、追記マークを形成することができる。
本発明の他の局面に係る光ディスクは、主情報に基づいて、チャネルビット長の整数倍に同期して形成された凹凸マークと、前記凹凸マーク上に形成され、レーザ光が照射されることにより反射率の変化する反射膜とを備え、前記凹凸マークの円周方向に形成された螺旋状のトラックに従って、一度のトラッキングで、前記チャネルビット長の整数倍に同期して、所定間隔かつ所定頻度で離散的にレーザ光が照射される処理が、複数回繰り返されることにより、前記主情報を再生するために用いられる副情報を記録するための追記マーク列が前記反射膜上に形成される。
この構成によれば、光ディスクは、主情報に基づいて、チャネルビット長の整数倍に同期して形成された凹凸マークと、凹凸マーク上に形成され、レーザ光が照射されることにより反射率の変化する反射膜とを備える。そして、凹凸マークの円周方向に形成された螺旋状のトラックに従って、一度のトラッキングで、チャネルビット長の整数倍に同期して、所定間隔かつ所定頻度で離散的にレーザ光が照射される。さらに、一度のトラッキングで離散的にレーザ光が照射される処理が、複数回繰り返されることにより、主情報を再生するために用いられる副情報を記録するための追記マーク列が反射膜上に形成される。
したがって、1度のトラッキングで全ての副情報が記録されるのではなく、1度のトラッキングで離散的にレーザ光が照射されて一部の副情報が記録される処理が、複数回繰り返されることにより、全ての副情報が記録される。そのため、凹凸マークを再生している途中で、追記マークを形成したとしても、安定して凹凸マークへのトラッキング制御ができるとともに、安定して副情報を記録することができる。
本発明の他の局面に係る光ディスク記録回路は、主情報に基づいて、螺旋状のトラックに従って形成された凹凸マークと、前記凹凸マーク上に形成され、レーザ照射によって反射率が変化する反射膜とを有する光ディスクに、前記主情報を再生するために用いられる副情報を記録する光ディスク記録回路であって、前記凹凸マークの前記螺旋状のトラックにトラッキングするトラッキング部と、前記凹凸マークに第1のレーザパワーでレーザ光を照射することによって、反射光から前記凹凸マークに対応した再生信号を抽出する再生信号抽出部と、前記再生信号抽出部によって抽出された前記再生信号から前記凹凸マークのチャネルビット長に同期するチャネルクロックを抽出するクロック抽出部と、前記トラッキング部による前記螺旋状のトラックへのトラッキングに従って、前記第1のレーザパワーと異なる第2のレーザパワーでレーザ光を照射することによって前記副情報を記録する副情報記録部とを備え、前記副情報記録部は、前記トラッキング部による一度のトラッキング毎に、前記クロック抽出部によって抽出された前記チャネルクロックに同期した、所定間隔かつ所定頻度で離散的な前記第2のレーザパワーのレーザ光を照射して前記反射膜上に追記マークを形成することで、一部の前記副情報を記録する処理を、複数回繰り返すことにより、全ての前記副情報を記録する。
この構成によれば、主情報に基づいて、螺旋状のトラックに従って形成された凹凸マークと、凹凸マーク上に形成され、レーザ照射によって反射率が変化する反射膜とを有する光ディスクに、レーザ光が照射される。凹凸マークの螺旋状のトラックにトラッキングされ、凹凸マークに第1のレーザパワーでレーザ光が照射されることによって、反射光から凹凸マークに対応した再生信号が抽出される。抽出された再生信号から凹凸マークのチャネルビット長に同期するチャネルクロックが抽出され、螺旋状のトラックへのトラッキングに従って、第1のレーザパワーと異なる第2のレーザパワーでレーザ光が照射されることによって副情報が記録される。そして、一度のトラッキング毎に、抽出されたチャネルクロックに同期した、所定間隔かつ所定頻度で離散的な第2のレーザパワーのレーザ光が照射されて反射膜上に追記マークが形成されることで、一部の副情報が記録される。さらに、一度のトラッキングで一部の副情報を記録する処理が、複数回繰り返されることにより、全ての副情報が記録される。
したがって、1度のトラッキングで全ての副情報が記録されるのではなく、1度のトラッキングで離散的に第2のレーザパワーのレーザ光が照射されて一部の副情報が記録される処理が、複数回繰り返されることにより、全ての副情報が記録される。そのため、第1のレーザパワーで凹凸マークを再生している途中で、第2のレーザパワーで追記マークを形成したとしても、安定して凹凸マークへのトラッキング制御ができるとともに、安定して副情報を記録することができる。
なお、発明の詳細な説明の項においてなされた具体的な実施態様または実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、本発明の精神と特許請求事項との範囲内で、種々変更して実施することができるものである。
以上の説明の通り、本発明を利用すれば、例え再生専用の光ディスクであったとしても、光ディスク毎に固有の副情報を記録できるばかりでなく、その光ディスクの副情報は、不正に他の光ディスクへ複製できないので、光ディスクに記録するコンテンツデータの著作権が不正に侵害されることを防止し、光ディスク毎に管理の必要となるネットワークを介して取得したコンテンツデータの著作権管理システムに応用可能な光ディスク記録装置、光ディスク記録回路及び光ディスクを提供することが可能となる。