JPWO2009107842A1 - 環状リン系難燃剤含有重合性組成物、ドライフィルム、及びそれを用いた積層体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

シクロオレフィンモノマー、重合触媒、ラジカル発生剤、及び環構造を有し該環構造内にリン原子を有する環状リン系難燃剤を含む重合性組成物、並びに、該重合性組成物を支持体上に塗布し、次いで重合して、重合体層を形成してなるドライフィルムを提供する。また、該ドライフィルムの重合体層面を基材に積層し、次いで硬化させることにより積層体を製造する方法を提供する。

Description

本発明は、重合性組成物、ドライフィルム、及びそれを用いた積層体の製造方法に関し、さらに詳しくは、高周波領域での誘電損失が小さく、且つハロゲン不含で難燃性に優れた積層体を与える、重合性組成物及びドライフィルム、並びに前記ドライフィルムを用いた積層体の製造方法に関する。
近年、高度情報化時代を迎え、情報伝送は高速化・高周波に動き出し、マイクロ波通信やミリ波通信が現実になってきている。これらの高周波化時代の回路基板は、高周波における伝送ロスを極限まで軽減するために誘電正接が小さく、且つ民生用途で使用されるために、ハロゲンを含まずに難燃性を有する、いわゆるノンハロ難燃の材料が求められている。誘電正接が小さい化合物としてはシクロオレフィンモノマーを重合したシクロオレフィンポリマーが注目されているが、該シクロオレフィンポリマーは極性基をほとんど含まない炭化水素のポリマーであるため非常に燃えやすく、難燃化が困難な状況にあった。
たとえば、特許文献1には、ジシクロペンタジエンなどの分子内にメタセシス開環反応性部を2つ以上有する環状オレフィンモノマー、メタセシス重合触媒及び連鎖移動剤を含む反応液をポリエチレンテレフタレートなどのキャリヤー上に注ぐかまたは塗布し、加熱して重合反応を行い熱可塑性樹脂を製造し、次いで該熱可塑性樹脂を加熱溶融して、架橋する架橋樹脂の製造方法が開示されている。該反応液には、難燃剤や充填剤などを含有できることが記載され、これらの添加量が熱可塑性樹脂100重量部に対して0.001〜10重量部であることが記載されている。
また、特許文献2には、芳香環を有するシクロオレフィンモノマー、難燃剤、メタセシス重合触媒及びラジカル発生剤などの架橋剤を含む重合性組成物をフィルムなどの支持体上に塗布し、所定温度に加熱して塊状重合を行うことで樹脂成形体を製造する方法が開示され、難燃剤を多量に添加できること、難燃剤としてハロゲン系難燃剤、アンチモン系難燃剤、金属水酸化物系難燃剤、燐系難燃剤、窒素系難燃剤、シリコンパウダーなどが使用できること、及び充填剤や強化材が添加できることが記載されている。
しかしながら、これらのシクロオレフィンモノマーを重合してなる樹脂には、より高いレベルの難燃化が求められており、特に民生製品応用のためには高いノンハロ難燃化が求められている。
特開2007−277572号公報 国際公開第2005/014690号パンフレット
本発明は、高周波領域での誘電損失が小さく、且つハロゲン不含で難燃性に優れた積層体を与える、重合性組成物及びドライフィルム、並びに前記ドライフィルムを用いた積層体の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討の結果、シクロオレフィンモノマー、重合触媒及びラジカル発生剤を含んでなる組成物に、環構造を有する特定のリン系難燃剤を配合し、得られた重合性組成物を支持体上に塗布して重合することでドライフィルムを製造し、次いで回路の形成された基板上に積層して硬化(架橋)させると、樹脂層と回路基板との積層性に優れ、高周波領域での誘電損失が小さく、且つノンハロ難燃性にも優れた積層体が得られることを見出した。また、1分間半減期温度の高いラジカル発生剤を用いると一層積層性に優れ且つノンハロ難燃性にも優れた積層体が製造できること、また重合性組成物に多量の充填剤を配合すると低い誘電正接とノンハロ難燃性とが高度にバランスした積層体が得られること、そして、該重合性組成物にシロキサン化合物を添加することによりノンハロ難燃性が高まることを見出した。本発明者らは、これらの知見に基づいて本発明を完成するに至ったものである。
かくして本発明によれば、シクロオレフィンモノマー、重合触媒、ラジカル発生剤、及び環構造を有し該環構造内にリン原子を有する環状リン系難燃剤を含む重合性組成物が提供される。
本発明によれば、また、上記重合性組成物を支持体上に塗布し、次いで重合して、重合体層を形成してなるドライフィルムが提供される。
本発明によれば、また、上記ドライフィルムの重合体層面を基材に積層し、次いで硬化させることを特徴とする積層体の製造方法が提供される。
本発明によれば、高周波領域での誘電損失が小さく、且つノンハロ難燃性に優れた積層体を与えるドライフィルムが提供できる。また、本発明の積層体は、高周波領域での誘電損失が小さく且つノンハロ難燃化されているため、通信機器用途等のマイクロ波またはミリ波等の高周波回路基板に好適に使用することができる。
本発明の重合性組成物は、シクロオレフィンモノマー、重合触媒、ラジカル発生剤、及び環構造を有し該環構造内にリン原子を有する環状リン系難燃剤を含んでなる。
(シクロオレフィンモノマー)
本発明に使用されるシクロオレフィンモノマーは、炭素原子で形成される環構造を有し、該環中に炭素−炭素二重結合を有する化合物である。その例としては、ノルボルネン系モノマーおよび単環シクロオレフィンモノマーなどが挙げられ、ノルボルネン系モノマーが好ましい。ノルボルネン系モノマーは、ノルボルネン環を含むモノマーである。ノルボルネン系モノマーとしては、格別な限定はないが、例えば、2−ノルボルネン、ノルボルナジエンなどの二環体、ジシクロペンタジエン、ジヒドロジシクロペンタジエン、テトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン(MTF)などの三環体、テトラシクロドデセン、エチリデンテトラシクロドデセン、フェニルテトラシクロドデセンなどの四環体、トリシクロペンタジエンなどの五環体、テトラシクロペンタジエンなどの七環体、及びこれらのアルキル置換体(メチル、エチル、プロピル、ブチル置換体など)、アルキリデン置換体(例えば、エチリデン置換体)、アリール置換体(例えば、フェニル、トリル置換体)、並びにエポキシ基、メタクリル基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、シアノ基、ハロゲン原子、エーテル結合(-O-)含有基、エステル結合〔-C(=O)O-〕含有基などの極性基を有する誘導体などが挙げられる。
単環シクロオレフィンモノマーとしては、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロオクテン、シクロドデセン、1,5−シクロオクタジエンなどの単環シクロオレフィン、及びノルボルネン系モノマーで例示したのと同様な置換体や極性基を有する誘導体が挙げられる。
これらのシクロオレフィンモノマーは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、本発明に用いるシクロオレフィンモノマーには、本発明の効果を損なわない範囲であれば、シクロオレフィンモノマーと共重合可能な、例えば、鎖状オレフィンモノマーが含まれていてもよい。鎖状オレフィンモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ブテン、2−ペンテン、1,4−ヘキサジエンなどが挙げられる。
(重合触媒)
本発明に使用される重合触媒としては、シクロオレフィンモノマーを重合できるものであれば格別な限定はないが、ドライフィルム生産性の向上の観点から、通常はメタセシス重合触媒が好適に用いられる。メタセシス重合触媒は、シクロオレフィンモノマーをメタセシス開環重合できるものであり、通常遷移金属原子を中心原子として、複数のイオン、原子、多原子イオン及び/又は化合物が結合してなる錯体が挙げられる。遷移金属原子としては、5族、6族及び8族(長周期型周期表、以下同じ)の原子が使用される。それぞれの族の原子は特に限定されないが、5族の原子としては例えばタンタルが挙げられ、6族の原子としては、例えばモリブデンやタングステンが挙げられ、8族の原子としては、例えばルテニウムやオスミウムが挙げられる。これらの中でも、8族のルテニウムやオスミウムの錯体をメタセシス重合触媒として用いることが好ましく、ルテニウムカルベン錯体が特に好ましい。ルテニウムカルベン錯体は、塊状重合時の触媒活性が優れるため、得られるドライフィルムにおいて未反応のモノマーに由来する臭気が少なく、その生産性に優れる。また、酸素や空気中の水分に対して比較的安定であって、失活しにくいので、大気下でも生産が可能である。
ルテニウムカルベン錯体としては、下記式(1)または式(2)で表されるものが挙げられる。
Figure 2009107842
上記式(1)及び式(2)において、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、又はハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子若しくは珪素原子を含んでもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表す。
1及びX2は、それぞれ独立して任意のアニオン性配位子を示す。アニオン性配位子とは、中心金属原子から引き離されたときに負の電荷を持つ配位子であり、例えば、ハロゲン原子、ジケトネート基、置換シクロペンタジエニル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、カルボキシル基などを挙げることができる。これらの中でもハロゲン原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
1及びL2はそれぞれ独立して、ヘテロ原子含有カルベン化合物又は中性電子供与性化合物を表す。ヘテロ原子とは、周期律表第15族及び第16族の原子を意味し、具体的には、N、O、P、S、As、Se原子などを挙げることができる。これらの中でも、安定なカルベン化合物が得られる観点から、N、O、P、S原子などが好ましく、N原子が特に好ましい。
ヘテロ原子含有カルベン化合物としては、下記式(3)又は式(4)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2009107842
式中、R〜Rは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、又はハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子若しくは珪素原子を含んでもよい炭素数1〜20個の炭化水素基を表す。また、R〜Rは任意の組合せで互いに結合して環を形成していてもよい。
中性の電子供与性化合物は、中心金属から引き離されたときに中性の電荷を持つ配位子であればいかなるものでもよい。その具体例としては、ホスフィン類、エーテル類及びピリジン類などが挙げられ、トリアルキルホスフィンがより好ましい。
なお、上記式(1)及び(2)において、RとRは互いに結合して環を形成してもよく、さらに、R、R、X1、X2、L1及びL2は、任意の組合せで互いに結合して、多座キレート化配位子を形成してもよい。
本発明においては、重合触媒としてヘテロ環構造を有する化合物を配位子として有するルテニウム触媒を用いることが、得られるドライフィルム及び積層体の機械的強度と耐衝撃性が高度にバランスされ好適である。ヘテロ環構造を構成するヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子等が挙げられ、好ましくは窒素原子である。また、ヘテロ環構造としては、イミダゾリン構造やイミダゾリジン構造が好ましく、かかるヘテロ環構造を有する化合物の具体例としては、1,3−ジ(1−アダマンチル)イミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジメシチルオクタヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン、1,3−ジ(1−フェニルエチル)−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3,4−トリフェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イリデン、1,3−ジシクロヘキシルヘキサヒドロピリミジン−2−イリデン、N,N,N’,N’−テトライソプロピルホルムアミジニリデン、1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジイソプロピル−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジメシチル−2,3−ジヒドロベンズイミダゾール−2−イリデンなどが挙げられる。
好ましいルテニウム触媒の例としては、ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(3−メチル−2−ブテン−1−イリデン)(トリシクロペンチルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−オクタヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン[1,3−ジ(1−フェニルエチル)−4−イミダゾリン−2−イリデン](トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−2,3−ジヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(トリシクロヘキシルホスフィン)(1,3,4−トリフェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イリデン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジイソプロピルヘキサヒドロピリミジン−2−イリデン)(エトキシメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)ピリジンルテニウムジクロリドなどの、配位子としてヘテロ環構造を有する化合物と中性の電子供与性化合物とを有するルテニウム錯体化合物が挙げられる。
これらの重合触媒は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。重合触媒の使用量は、(触媒中の金属原子:シクロオレフィンモノマー)のモル比で、通常1:2,000〜1:2,000,000、好ましくは1:5,000〜1:1,000,000、より好ましくは1:10,000〜1:500,000の範囲である。
重合触媒は所望により、少量の不活性溶剤に溶解又は懸濁して使用することができる。かかる溶媒としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、流動パラフィン、ミネラルスピリットなどの鎖状脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、ジシクロヘプタン、トリシクロデカン、ヘキサヒドロインデン、シクロオクタンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;インデン、テトラヒドロナフタレンなどの脂環と芳香環とを有する炭化水素;ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリルなどの含窒素炭化水素;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどの含酸素炭化水素;などが挙げられる。これらの中では芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、および脂環と芳香環とを有する炭化水素の使用が好ましい。
(ラジカル発生剤)
本発明で使用されるラジカル発生剤は、ドライフィルムにおいて硬化反応を誘起する目的で用いられる。具体的には、有機過酸化物、ジアゾ化合物および非極性ラジカル発生剤などが挙げられ、好ましくは有機過酸化物や非極性ラジカル発生剤である。
有機過酸化物としては、例えば、t−ブチルヒドロペルオキシド、p−メンタンヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシドなどのヒドロペルオキシド類;ジクミルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサンなどのジアルキルペルオキシド類;ジプロピオニルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシドなどのジアシルペルオキシド類;2,2−ジ(t−ブチルペルオキシ)ブタン、1,1−ジ(t−ヘキシルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサンなどのペルオキシケタール類;t−ブチルペルオキシアセテート、t−ブチルペルオキシベンゾエートなどのペルオキシエステル類;t−ブチルペルオキシイソプロピルカルボナート、ジ(イソプロピルペルオキシ)ジカルボナートなどのペルオキシカルボナート類;t−ブチルトリメチルシリルペルオキシドなどのアルキルシリルペルオキシド類;3,3,5,7,7−ペンタメチル−1,2,4−トリオキセパン、3,6,9−トリエチル−3,6,9−トリメチル−1,4,7−トリパーオキソナン、3,6−ジエチル−3,6−ジメチル−1,2,4,5−テトロキサンなどの環状パーオキサイド類;が挙げられる。中でも、重合反応に対する障害が少ない点で、環状パーオキサイド類、ジアルキルペルオキシドおよびペルオキシケタール類が好ましい。
ジアゾ化合物としては、例えば、4,4’−ビスアジドベンザル(4−メチル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4’−アジドベンザル)シクロヘキサノンなどが挙げられる。
非極性ラジカル発生剤としては、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、3,4−ジメチル−3,4−ジフェニルヘキサン、1,1,2−トリフェニルエタン、1,1,1−トリフェニル−2−フェニルエタンなどが挙げられる。
本発明に使用されるラジカル発生剤の1分間半減期温度は、硬化の条件により適宜選択されるが、通常、100〜300℃、好ましくは150〜250℃、より好ましくは170〜230℃の範囲である。一層積層性に優れ、且つノンハロ難燃性に優れた積層体を得る観点からは、ラジカル発生剤の1分間半減期温度は高いのが好ましく、具体的には、150℃以上であるのが好適である。ここで1分間半減期温度は、ラジカル発生剤の半量が1分間で分解する温度である。
これらのラジカル発生剤は、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。ラジカル発生剤の使用量は、シクロオレフィンモノマー100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.5〜5重量部の範囲である。
(環状リン系難燃剤)
本発明で使用される環状リン系難燃剤は、環構造を有し該環構造内にリン原子を有する化合物である。例えば、環状ホスフィンオキサイド化合物、環状ホスフィネート化合物、環状ホスホネート化合物、環状ホスフェイト化合物などが挙げられ、好ましくは環状ホスフィネート化合物である。
環状ホスフィネート化合物としては、例えば、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、8−t−ブチル−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10オキサイド、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、10−(2,3−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、10−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−オキシドなどが挙げられる。
これらの環状リン系難燃剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。その配合量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、シクロオレフィンモノマー100重量部に対して通常1〜500重量部、好ましくは10〜200重量部、より好ましくは20〜100重量部の範囲である。
(重合性組成物)
本発明の重合性組成物には、上記シクロオレフィンモノマー、重合触媒、ラジカル発生剤、及び環状リン系難燃剤を必須成分として、所望により重合調整剤、連鎖移動剤、重合反応遅延剤、充填剤、シロキサン化合物、老化防止剤、架橋助剤、及びその他の配合剤を添加することができる。
重合調整剤は、重合活性を制御したり、重合反応率を向上させたりする目的で配合されるものであり、例えば、トリアルコキシアルミニウム、トリフェノキシアルミニウム、ジアルコキシアルキルアルミニウム、アルコキシジアルキルアルミニウム、トリアルキルアルミニウム、ジアルコキシアルミニウムクロリド、アルコキシアルキルアルミニウムクロリド、ジアルキルアルミニウムクロリド、トリアルコキシスカンジウム、テトラアルコキシチタン、テトラアルコキシスズ、テトラアルコキシジルコニウムなどが挙げられる。これらの重合調整剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。重合調整剤の使用量は、(重合触媒中の金属原子:重合調整剤)のモル比で、通常、1:0.05〜1:100、好ましくは1:0.2〜1:20、より好ましくは1:0.5〜1:10の範囲である。
連鎖移動剤としては、通常は、置換基を有していてもよい鎖状のオレフィン類を用いることができる。その具体例としては、例えば、1−ヘキセン、2−ヘキセンなどの脂肪族オレフィン類;スチレン、ジビニルベンゼン、スチルベンなどの芳香族基を有するオレフィン類;ビニルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素基を有するオレフィン類;エチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;メチルビニルケトン、1,5−ヘキサジエン−3−オン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン−3−オン、メタクリル酸ビニル、メタクリル酸アリル、メタクリル酸ウンデセニル、メタクリル酸3−ブテン−1−イル、メタクリル酸3−ブテン−2−イル、メタクリル酸スチリル、アクリル酸アリル、アクリル酸3−ブテン−1−イル、アクリル酸3−ブテン−2−イル、アクリル酸1−メチル−3−ブテン−2−イル、アクリル酸スチリル、エチレングリコールジアクリレート、アリルトリビニルシラン、アリルメチルジビニルシラン、アリルジメチルビニルシラン、アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、アリルアミン、2−(ジエチルアミノ)エタノールビニルエーテル、2−(ジエチルアミノ)エチルアクリレート、4−ビニルアニリンなどが挙げられる。
これらの連鎖移動剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができ、その添加量は、シクロオレフィンモノマー100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部である。
本発明の重合性組成物は、重合反応遅延剤を含有していると、その粘度増加を抑制できるので、好ましい。重合反応遅延剤としては、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、ジシクロヘキシルホスフィン、ビニルジフェニルホスフィン、アリルジフェニルホスフィン、トリアリルホスフィン、スチリルジフェニルホスフィンなどのホスフィン化合物;アニリン、ピリジンなどのルイス塩基;等を用いることができる。
本発明においては、重合性組成物に充填剤を配合することで、得られる積層体の誘電損失、難燃性及び耐熱性が高度にバランスされ好適である。充填剤としては、工業的に一般に使用されるものであれば格別な限定はなく、無機充填剤や有機充填剤のいずれも用いることができるが、好適には無機充填剤である。
無機充填剤としては、例えば、鉄、銅、ニッケル、金、銀、アルミニウム、鉛、タングステン等の金属粒子;カーボンブラック、グラファイト、活性炭、炭素バルーン等の炭素粒子;シリカ、シリカバルーン、アルミナ、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化すず、酸化ベリリウム、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト等の無機酸化物粒子;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム等の無機炭酸塩粒子;硫酸カルシウム等の無機硫酸塩粒子;タルク、クレー、マイカ、カオリン、フライアッシュ、モンモリロナイト、ケイ酸カルシウム、ガラス、ガラスバルーン等の無機ケイ酸塩粒子;チタン酸カルシウム、チタン酸ジルコン酸鉛等のチタン酸塩粒子、窒化アルミニウム、炭化ケイ素粒子やウィスカー等が挙げられる。
有機充填剤としては、例えば、木粉、デンプン、有機顔料、ポリスチレン、ナイロン、ポリエチレンやポリプロピレンのようなポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、各種エラストマー、廃プラスチック等の化合物粒子が挙げられる。
これらの充填剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は、シクロオレフィンモノマー100重量部に対して、通常10〜1,000重量部、好ましくは30〜750重量部、より好ましくは50〜500重量部の範囲である。
本発明においては、重合性組成物に充填剤を配合する場合、環状リン系難燃剤と充填剤との合計配合量が、シクロオレフィンモノマー100重量部に対して、好ましくは50重量部以上、より好ましくは50〜1,500重量部、さらに好ましくは100〜1,000重量部、特に好ましくは150〜600重量部であるときに高度な難燃化が達成でき好適である。
本発明の重合性組成物は、シロキサン化合物を配合することで、ノンハロ難燃性をより高めることでき好適である。シロキサン化合物は、シロキサン構造(Si-O-Si)を分子内に有する化合物である。具体的には、オルガノクロロシランやオルガノアルコキシシランなどの加水分解重縮合等によって得られるシロキサン構造を1つ以上有するシリコーン化合物などが挙げられ、好ましくはオルガノアルコキシシランの加水分解重縮合によって得られるシリコーン化合物である。
オルガノアルコキシシランのオルガノ基は、通常一般的に使用されるものであれば格別な限定はないが、炭素−炭素不飽和結合を有するものが環状リン系難燃剤の難燃性をより高めるため好ましい。本発明に用いられる重合性組成物中における、オルガノ基が炭素−炭素不飽和結合を有するオルガノアルコキシシランと環状リン系難燃剤との配合割合は、本明細書に記載する両成分の配合量の範囲で適宜調整すればよい。炭素−炭素不飽和結合を有するオルガノ基としては、例えばアクリロキシ基、メタクリロキシ基、ビニル基、エチニル基、アリル基、スチリル基などが挙げられ、好ましくはアクリロキシ基またはメタクリロキシ基であり、より好ましくはメタクリロキシ基である。
オルガノアルコキシシランの好適例としては、例えば、以下の一般式:
(RSi(OR4−m
(式中、Rは、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、ビニル基、エチニル基、アリル基、又はスチリル基であり、Rは、炭素数1〜20のアルキル基であり、mは1又は2である。)
で示される化合物が挙げられる。
かかる好適なオルガノ基を有するオルガノアルコキシランとしては、例えば、3−アクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジエトキシメチルシラン、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、ジエトキシジビニルシラン、ジエトキシ−2−ピペリジノエトキシビニルシラン、トリイソプロポキシビニルシラン、アリルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシランなどが挙げられ、3−メタクリロキシプロピルジメトキシメチルシランや3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどが特に好ましい。
また、上記一般式で示される化合物以外のオルガノアルコキシランとして、メトキシジメチルビニルシラン、エトキシジメチルビニルシラン、ジメチルイソブトキシビニルシラン、ジメチルイソペンチロキシビニルシラン、ジメチルエトキシエチニルシランなども好適に用いられる。
オルガノアルコキシシランの加水分解重縮合によって得られるシリコーン化合物としては、これらのオルガノアルコキシランを公知の方法に従って加水分解重縮合することにより得られるシリコーン化合物が好適に用いられる。
これらのシロキサン化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その使用量は、シクロオレフィンモノマー100重量部に対して、通常1〜100重量部、好ましくは5〜50重量部、より好ましくは10〜40重量部の範囲である。
本発明の重合性組成物に環状リン系難燃剤、充填剤及びシロキサン化合物の3成分が含まれる場合、環状リン系難燃剤、充填剤及びシロキサン化合物の配合割合が、[シロキサン化合物+環状リン系難燃剤]/[充填剤](重量比)で、通常1/9〜9/1、好ましくは1/9〜7/3、より好ましくは1/9〜5/5、最も好ましくは2/8〜4/6であるときに、得られる積層体において誘電損失と難燃性の両特性が高度にバランスされ好適である。
本発明の重合性組成物は、老化防止剤として、フェノール系老化防止剤、アミン系老化防止剤、リン系老化防止剤及びイオウ系老化防止剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の老化防止剤を加えることにより、硬化反応を阻害しないで、得られる積層体の耐熱性を高度に向上させることができ好適である。これらの中でも、フェノール系老化防止剤とアミン系老化防止剤が好ましく、フェノール系老化防止剤が特に好ましい。これらの老化防止剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。老化防止剤の使用量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、シクロオレフィンモノマー100重量部に対して、通常0.0001〜10重量部、好ましくは0.001〜5重量部、より好ましくは0.01〜2重量部の範囲である。
本発明においては、架橋性樹脂組成物に架橋助剤を加えることで、得られる積層体の機械的強度及び耐クラック性を高度に改善でき好適である。架橋助剤とは、架橋構造を形成し得る2官能性以上の化合物である。架橋助剤としては、一般的に用いられるものを格別な限定なく使用でき、例えば、炭素−炭素不飽和結合を2つ有する2官能性化合物、炭素−炭素不飽和結合を3つ以上有する多官能性化合物などを挙げることができる。
架橋助剤の具体例としては、p−ジイソプロペニルベンゼン、m−ジイソプロペニルベンゼン、o−ジイソプロペニルベンゼン、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレートなどの2官能性化合物、トリメタクリル酸−2−エチル−2−ヒドロキシメチル−1−3−プロパンジオール、トリイソプロペニルベンゼン、トリメタアリルイソシアネートなどの3官能性化合物等が挙げられる。中でも、トリメタクリル酸−2−エチル−2−ヒドロキシメチル−1−3−プロパンジオール、トリイソプロペニルベンゼン、p−ジイソプロペニルベンゼン、m−ジイソプロペニルベンゼン、o−ジイソプロペニルベンゼンが好ましく、トリメタクリル酸−2−エチル−2−ヒドロキシメチル−1−3−プロパンジオール、m−ジイソプロペニルベンゼンがより好ましい。
これらの架橋助剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。架橋助剤の使用量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、シクロオレフィンモノマー100重量部に対し、通常0.1〜50重量部、好ましくは0.5〜30重量部、さらに好ましくは1〜20重量部、最も好ましくは5〜15重量部である。
本発明の重合性組成物には更に、その他の配合剤を配合することができる。その他の配合剤としては、環状リン系難燃剤以外の難燃剤、着色剤、光安定剤、顔料、発泡剤などを用いることができる。環状リン系難燃剤以外の難燃剤としては、環状リン系難燃剤以外の含リン難燃剤、含窒素難燃剤、含ハロゲン難燃剤、水酸化アルミニウムなどの金属水酸化物難燃剤、三酸化アンチモンなどのアンチモン化合物などが挙げられる。着色剤としては、染料、顔料などが用いられる。染料の種類は多様であり、公知のものを適宜選択して使用すればよい。これらのその他の配合剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その使用量は、本発明の効果を損ねない範囲で適宜選択される。
本発明の重合性組成物は、上記成分を混合して得ることができる。混合方法としては、常法に従えばよく、例えば、重合触媒を適当な溶媒に溶解若しくは分散させた液(触媒液)を、シクロオレフィンモノマー、ラジカル発生剤、及び環状リン系難燃剤に、所望により、重合調整剤、連鎖移動剤、重合反応遅延剤、充填剤、シロキサン化合物、老化防止剤、架橋助剤、及びその他の配合剤を適宜配合した液(モノマー液)に添加し、攪拌することによって調製することができる。
(支持体)
本発明に使用される支持体としては、例えば、金属箔、樹脂製支持フィルム、金属ドラム、スチールベルト、フッ素樹脂ベルトなどが挙げられる。これらの中でも、本発明においては、金属箔、樹脂製支持フィルムの使用が好ましい。
金属箔の具体例としては、銅箔、アルミ箔、ニッケル箔、クロム箔、金箔、銀箔などが揚げられ、銅箔が特に好ましい。用いられる銅箔としては、通常の銅張積層板に使用されるものであれば特に制限されず、その厚みや粗化状態は使用目的に応じて適宜選択することができる。
また、金属箔は、その表面がシランカップリング剤、チオール系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、各種接着剤等で処理されていてもよく、シランカップリング剤で処理されたものが特に好ましい。好適なシランカップリング剤の具体例としては、アリルトリメトキシシラン、スチリルトリメトキシシラン、N−β−(N−(ビニルベンジル)アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン及びその塩、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、σ−メタクリロキシブチルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
樹脂製支持フィルムの具体例としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリアリレートフィルム、ナイロンフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム等が挙げられる。
これらの支持フィルムの厚さは、格別な限定はないが、作業性の観点から、通常1〜150μm、好ましくは2〜100μm、より好ましくは3〜75μmの範囲である。
(ドライフィルム)
本発明のドライフィルムは、重合体層と支持体層から構成されるものであり、前記重合性組成物を上記支持体上に塗布し、次いで重合して、支持体層上に重合体層を形成してなるものである。
重合性組成物の支持体上への塗布は、例えば、重合性組成物の所定量を用い、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、カーテンコート法、ダイコート法、スリットコート法等の公知の方法により行うことができる。塗布は、所望により、重合性組成物上に保護フィルムを重ねて行うことができる。重合性組成物を支持体上に塗布した後、塗布物を所定温度に加熱することにより、重合性組成物を塊状重合させることができ、それによってシート状又はフィルム状のドライフィルムが得られる。
重合性組成物を重合させるための加熱温度は、通常50〜250℃、好ましくは60〜200℃、より好ましくは70〜170℃、特に好ましくは90〜150℃の範囲であり、なお且つ、通常、ラジカル発生剤の1分間半減期温度以下、好ましくは1分間半減期温度より10℃以上低く、より好ましくは1分間半減期温度より20℃以上低い温度である。重合時間は適宜選択すればよいが、通常、10秒間から60分間、好ましくは20分間以内である。重合性組成物をこの温度範囲に加熱することにより未反応モノマーの少ないドライフィルムが得られるので好適である。
本発明のドライフィルムは、熱可塑性で且つ架橋性の重合体層が支持体上に形成されてなるフィルムである。
本発明のドライフィルムの厚みは、使用目的に応じて適宜選択されるが、通常0.001〜10mm、好ましくは0.01〜1mm、より好ましくは0.05〜0.5mmの範囲である。この範囲であるときに、積層時の賦形性、また硬化して得られる積層体の機械的強度や靭性の特性が充分に発揮され好適である。
(積層体)
本発明の積層体は、上記ドライフィルムの重合体層面を基材に積層し、次いで硬化させて製造できる。
基材としては、使用目的に応じて適宜選択されるが、例えば、熱可塑性樹脂材料、金属材料、及び回路基板などが挙げられ、特に回路基板が好適に用いられる。
積層及び硬化させる方法は、常法に従えはよく、例えば、ロールラミネータ、平板成形用のプレス枠型を有する公知のプレス機、シートモールドコンパウンド(SMC)やバルクモールドコンパウンド(BMC)などのプレス成形機を用いて熱プレスを行なうことができる。加熱温度は、ラジカル発生剤により硬化反応が誘起される温度であり、通常ラジカル発生剤の1分間半減期温度以上、好ましくは1分間半減期温度より5℃以上高い温度、より好ましくは1分間半減期温度より10℃以上高い温度である。通常は、100〜300℃、好ましくは150〜250℃の範囲である。加熱時間は、0.1〜180分間、好ましくは1〜120分間、より好ましくは2〜60分間の範囲である。プレス圧力としては、通常0.1〜20MPa、好ましくは0.1〜10MPa、より好ましくは1〜5MPaである。また、熱プレスは、真空または減圧雰囲気下で行ってもよい。
かくして得られる本発明の積層体は、高周波領域での伝送ロスが少なく且つ難燃性に優れるため、幅広い用途で高周波基板材料として好適に用いることができる。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例における部および%は、特に断りのない限り重量基準である。
実施例および比較例における各特性は、下記の方法に従い測定、評価した。
(1)積層性:得られた積層体の外観を観察し下記基準で評価した。
◎:積層間の剥離、形状崩れが認められない
×:積層間の剥離、形状崩れが認められる
(2)難燃性:125mm×15mm×0.9mmにカットした短冊状の積層体サンプルに、長手方向の下端から6秒間接炎し、その燃えあがり方を観察し、下記基準で判断した。
◎:離炎後の有炎はない。
△:離炎後の有炎がサンプル下端から9cm未満まで達する。
×:離炎後の有炎がサンプル下端から9cm以上まで達する。
(3)誘電正接:
インピーダンスアナライザー(アジレントテクノロジー社製、型番号E4991A)を用いて周波数1GHzにおける誘電正接(tanδ)を容量法にて測定した。tanδが小さいほど、電気特性に優れることを表す。
◎:tanδが0.003未満
○:tanδが0.003以上0.005未満
×:tanδが0.005以上
実施例1
ベンジリデン(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド51部と、トリフェニルホスフィン79部とを、トルエン952部に溶解させて触媒液を調製した。これとは別に、テトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン(MTF)100部、連鎖移動剤としてアリルメタクリレート0.74部、ラジカル発生剤として3,3,5,7,7−ペンタメチル−1,2,4−トリオキセパン(1分間半減期温度205℃)2部、架橋助剤としてm−ジイソプロペニルベンゼン2部、フェノール系老化防止剤として3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール1部、環状リン系難燃剤として9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド80部、充填剤としてチタン酸カリウム100部、を混合してモノマー液を調製した。ここに上記触媒液をシクロオレフィンモノマー100gあたり0.12mLの割合で加えて撹拌して重合性組成物を調製した。
ついで、得られた重合性組成物を電解銅箔上(厚さ12μm)に塗布し、これを120℃で5分間で重合反応を行い、重合体層の厚さ0.1mmのドライフィルムを得た。ドライフィルムの揮発成分量は0.5%であった。
一方、作製したドライフィルムをL/S=50/50μmの配線が形成されたエポキシ基板上にラミネーターを用いて積層後、205℃で20分間、3MPaにて加熱プレスを行い積層体を得た。得られた積層体の積層性、難燃性、及び誘電正接を評価した。その結果を表1に示す。
Figure 2009107842
実施例2
ラジカル発生剤をジ−t−ブチルパーオキサイド(1分間半減期温度186℃)2部に変える以外は実施例1と同様にしてドライフィルム及び積層体を得、各特性を評価した。その結果を表1に示す。
実施例3
環状リン系難燃剤として9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドの量を60部とし、シリコーン化合物としてDC4−7081(東レ・ダウコーニング製)20部をさらに用いた以外は実施例1と同様にしてドライフィルム及び積層体を得、各特性を評価した。その結果を表1に示す。
比較例1
難燃剤をポリリン酸アンモニウム80部に変え、ラジカル発生剤をジベンゾイルパーオキサイド(1分間半減期温度149℃)2部に変える以外は実施例1と同様にしてドライフィルム及び積層体を得、各特性を評価した。その結果を表1に示す。
以上の実施例から明らかなように、本発明の重合性組成物及びドライフィルムによれば、樹脂層と回路基板との積層性に優れ、高周波領域での誘電損失が小さく、且つノンハロ難燃性にも優れた積層体が得られることが分かる。

Claims (7)

  1. シクロオレフィンモノマー、重合触媒、ラジカル発生剤、及び環構造を有し該環構造内にリン原子を有する環状リン系難燃剤を含む重合性組成物。
  2. 前記ラジカル発生剤の1分間半減期温度が、150℃以上である請求項1記載の重合性組成物。
  3. 前記重合性組成物が、さらにシロキサン化合物を含んでなる請求項1または2記載の重合性組成物。
  4. 前記重合性組成物が、さらに充填剤を含んでなる請求項1〜3のいずれかに記載の重合性組成物。
  5. 前記充填剤と前記環状リン系難燃剤の合計量が、シクロオレフィンモノマー100重量部に対して50重量部以上である請求項4記載の重合性組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の重合性組成物を支持体上に塗布し、次いで重合して、重合体層を形成してなるドライフィルム。
  7. 請求項6記載のドライフィルムの重合体層面を基材に積層し、次いで硬化させることを特徴とする積層体の製造方法。
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