JPWO2009091045A1 - セリン誘導体の製造方法及びこれに用いるタンパク質 - Google Patents
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Abstract
Description
に示されるα−アミノ酸と、式(II):
に示されるアルデヒドとを反応させ、式(III):
に示されるセリン誘導体を生成させるセリン誘導体の製造方法であって、
前記酵素が、下記(A)および(B):
(A)配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質、
(B)配列番号5に記載のアミノ酸配列において、置換、欠失、挿入、および付加からなる群より選ばれる1または数個のアミノ酸の変異を含むアミノ酸配列を有し、かつ、式(III)に示されるセリン誘導体を生成する前記反応を触媒する活性を有するタンパク質、
からなる群より選ばれる1種または2種以上のタンパク質である、セリン誘導体の製造方法。
〔2〕 前記(B)のタンパク質が、配列番号5に記載のアミノ酸配列において第339番目の部位に位置するチロシンが、セリン、ヒスチジンおよびアスパラギンからなる群より選ばれるいずれかの一つのアミノ酸に置換された配列を備えるタンパク質である、上記〔1〕に記載のセリン誘導体の製造方法。
〔3〕 前記(B)のタンパク質が、配列番号5に記載のアミノ酸配列において第19番目の部位に位置するアスパラギンがセリンに置換された配列を備えるタンパク質である、上記〔1〕または〔2〕に記載のセリン誘導体の製造方法。
〔4〕 ロドコッカス(Rhodococcus)属に属する微生物に由来し、式(I)に示されるα−アミノ酸と、式(II)に示されるアルデヒドとから、式(III)に示されるセリン誘導体を生成する反応を触媒する活性を有するタンパク質の存在下で、式(I)に示されるα−アミノ酸と、式(II)に示されるアルデヒドとを反応させて式(III)に示されるセリン誘導体を生成せしめる、セリン誘導体の製造方法。
〔5〕 前記酵素を生産する微生物と、前記式(I)に示されるα−アミノ酸および式(II)に示されるアルデヒドとを混合し、前記式(III)に示されるセリン誘導体を生成せしめる、上記〔1〕から〔4〕のいずれか一項に記載のセリン誘導体の製造方法。
〔6〕 前記酵素を生産する微生物を含む培養物と、前記式(I)に示されるα−アミノ酸および前記式(II)に示されるアルデヒドとを混合し、前記式(III)に示されるセリン誘導体を生成せしめる、上記〔1〕から〔4〕のいずれか一項に記載のセリン誘導体の製造方法。
〔7〕 前記酵素を生産する微生物の菌体処理物と、前記式(I)に示されるα−アミノ酸および前記式(II)に示されるアルデヒドとを混合し、前記式(III)に示されるセリン誘導体を生成せしめる、上記〔1〕から〔4〕のいずれか一項に記載のセリン誘導体の製造方法。
〔8〕 前記式(I)に示されアミノ酸が、フェニルアラニン、ロイシン、メチオニン、アラニン、システイン、トリプトファン、イソロイシン、シクロヘキシルアラニン、2−アミノ−n−酪酸、2−アミノ吉草酸、および2−アミノヘキサン酸からなる群より選ばれる1種または2種以上のアミノ酸である、上記〔1〕から〔7〕のいずれか一項に記載のセリン誘導体の製造方法。
〔9〕 前記式(I)に示されるアミノ酸が、α−フェニルアラニンであり、前記式(III)に示されるセリン誘導体がα−ベンジルセリンである、上記〔1〕から〔7〕のいずれか一項に記載のセリン誘導体の製造方法。
〔10〕 前記式(I)に示されるアミノ酸が、α−ロイシンであり、前記式(III)に示されるセリン誘導体がα−イソブチルセリンである、上記〔1〕から〔7〕のいずれか一項に記載のセリン誘導体の製造方法。
〔11〕 前記式(I)に示されるアミノ酸が、α−メチオニンであり、前記式(III)に示されるセリン誘導体がα−メチルチオエチルセリンである、上記〔1〕から〔7〕のいずれか一項に記載のセリン誘導体の製造方法。
〔12〕 ロドコッカス(Rhodococcus)属に属する微生物に由来し、式(I)に示されるα−アミノ酸と、式(II)に示されるアルデヒドとから、式(III)に示されるセリン誘導体を生成する反応を触媒する活性を有するタンパク質。
〔13〕 式(I)に示されるα−アミノ酸と、式(II)に示されるアルデヒドとから、式(III)に示されるセリン誘導体を生成する反応を触媒する活性を有する、下記(A)および(B):
(A)配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質、
(B)配列番号5に記載のアミノ酸配列において、置換、欠失、挿入、および付加からなる群より選ばれる1または数個のアミノ酸の変異を含むアミノ酸配列を有するタンパク質、
からなる群より選ばれる1種または2種以上のタンパク質。
〔14〕 前記(B)のタンパク質が、配列番号5に記載のアミノ酸配列において第339番目の部位に位置するチロシンが、セリン、ヒスチジンおよびアスパラギンからなる群より選ばれるいずれかの一つのアミノ酸に置換された配列を備える、上記〔13〕に記載のタンパク質。
〔15〕 前記(B)のタンパク質が、さらに、配列番号5に記載のアミノ酸配列において第19番目の部位に位置するアスパラギンがセリンに置換された配列を備える、上記〔14〕に記載のタンパク質。
〔16〕 上記〔12〕から〔15〕のいずれか一項に記載のタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
〔17〕 下記(a)および(b)からなる群から選ばれるポリヌクレオチド。
(a)配列番号4に記載の塩基配列を有するポリヌクレオチド
(b)配列番号4に記載の塩基配列と相補的な塩基配列を有するポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下においてハイブリダイズし、かつ、式(I)のα−アミノ酸と下記式(II)のアルデヒドと反応させて、式(III)に示されるセリン誘導体を生成する反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
〔18〕 上記〔16〕または〔17〕に記載のポリヌクレオチドで形質転換された細胞。
〔19〕 前記細胞が、エシェリヒア・コリを宿主として形質転換された細胞である、上記〔18〕に記載の細胞。
なお、以下に挙げる種々の遺伝子工学的な技法については、Molecular Cloning: A Laboratory Manual,3rd edition,Cold Spring Harbor Press(2001年)、新遺伝子工学ハンドブック改訂第4版、村松ら編、羊土社(2003年)など、多くの標準的な実験マニュアルがあり、これらの文献を参考にすることにより当業者であれば実施可能である。本明細書においては、特に断らない限り、配列番号は配列表中の配列番号を示す。また、本明細書において、酵素とは化学反応を触媒する活性を有するタンパク質のことをいう。
R1が炭素数1〜7のアルキル基である場合とは、具体例を示すと、メチル基、エチル基、nプロピル基、イソプロピル基、nブチル基、イソブチル基、secブチル基、tertブチル基、nペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、nヘキシル基、イソヘキシル基などが例示される。また、炭素骨格中に脂環炭化水素構造を有するアルキル基の具体例として、シクロヘキシルメチル基などが挙げられる。
R1が炭素骨格中にヘテロ原子を含む基である一形態には、複素環含有炭化水素基が含まれる。複素環含有炭化水素基とは、環式化合物の環にヘテロ原子を含む環系炭化水素基である。複素環含有炭化水素基としてはヘテロアリール基などが含まれ、芳香族性の有無には限定されず、また単環式であっても多環式であってもよい。複素環含有炭化水素基として具体的には、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピペリジル基、ピペリジノ基、モルホリノ基、インドリル基、イミダゾリル基、さらには、これらの複素環基により置換されたアルキル基等が例示される。
さらに、上記R1は、直鎖状であっても分岐を有していてもよい。また、上記R1は炭素骨格中に脂環炭化水素構造を有していてもよい。脂環炭化水素構造としては、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサンなどの炭素骨格から1個または2個以上の水素基が脱離した置換基構造などが挙げられる。
また、R1は、上記の炭化水素基の一部に、ハロゲン原子、炭素数3までのアルキル基、炭素数3までのアルコキシル基、ケト基(=O)、水酸基(−OH)、チオール基(−SH)、アミノ基(−NH2)、アミド基(−CONH2)、イミノ基(=NH)、ヒドラジノ基(−NHNH2)等から選ばれる1種または2種以上が置換および/または付加されたものであってもよい。
R2は水素であってもよい。
R2が炭素数1〜7のアルキル基である場合とは、具体例を示すと、メチル基、エチル基、nプロピル基、イソプロピル基、nブチル基、イソブチル基、secブチル基、tertブチル基、nペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、nヘキシル基、イソヘキシル基などが挙げられる。また、炭素骨格中に脂環炭化水素構造を有するアルキル基の具体例として、シクロヘキシルメチル基などが挙げられる。
R2が炭素骨格中にヘテロ原子を含む基である一形態には、複素環含有炭素水素基が含まれる。複素環含有炭化水素基とは、環式化合物の環にヘテロ原子を含む環系炭化水素基である。複素環含有炭化水素基としてはヘテロアリール基などが含まれ、芳香族性の有無には限定されず、また単環式であっても多環式であってもよい。複素環含有炭化水素基として具体的には、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピペリジル基、ピペリジノ基、モルホリノ基、インドリル基、イミダゾリル基、さらには、これらの複素環基により置換されたアルキル基等が含まれる。
さらに、上記R2は、直鎖状であっても分岐を有していてもよい。また、上記R2は炭素骨格中に脂環炭化水素構造を有していてもよい。脂環炭化水素構造としては、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサンなどの炭素骨格から1個または2個以上の水素基が脱離した置換基構造などが挙げられる。
また、R2は、上記の炭化水素基の一部に、ハロゲン原子、炭素数3までのアルキル基、炭素数3までのアルコキシル基、ケト基(=O)、水酸基(−OH)、チオール基(−SH)、アミノ基(−NH2)、アミド基(−CONH2)、イミノ基(=NH)、ヒドラジノ基(−NHNH2)等から選ばれる1種または2種以上が置換および/または付加されたものであってもよい。
酵素反応液のpHを下げ、加熱殺菌と共に、溶存タンパクの凝集を行った後、遠心分離、ろ過、UF(ウルトラフィルトレーション:限外ろ過)等の手段により、除菌・除タンパクを行う。この液中には、無機塩類が含まれるため、晶析時に、これらの析出を回避する為、脱塩を行う。方法は、NF(ナノフィルトレーション:ナノろ過)、電気透析、イオン交換樹脂等何れの方法を用いてもよい。
受託番号:FERM BP−11042
寄託機関:独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター
寄託機関住所:日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6
上記寄託機関に受託された日:2007年3月29日
(A)配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質(全長アミノ酸残基数:365)
(B)配列番号5に記載のアミノ酸配列において、置換、欠失、挿入および付加からなる群より選ばれる1または数個のアミノ酸の変異を含むアミノ酸配列を有し、かつ式(I)のα−アミノ酸と式(II)のアルデヒドと反応させて、式(III)に示されるセリン誘導体を生成する反応を触媒する活性を有するタンパク質
上記のタンパク質を用いることにより、セリン誘導体を簡便に生成することができる。
これらの変異型タンパク質は、式(I)のアミノ酸と式(II)アルデヒドとから式(III)のセリン誘導体を生成する反応を触媒する活性がタンパク質(A)よりも高い。これらの中でも、第339番目の部位のチロシンがセリンに置換されたアミノ酸配列を備える変異型タンパク質は特に上記の活性が高い。なお、アミノ酸配列の置換については、元のアミノ酸の略号/変異部位の番号/置換後のアミノ酸略号の順に表記される場合がある。例えば、第339番目の部位のチロシンがセリンに置換されたアミノ酸配列を備える変異型タンパク質は、「Y339S」のような略号表記によって識別され得る。アミノ酸の略号には、学術的に、一文字略号および三文字略号が認められており、上記は一文字略号による表記である。他の変異型についても同様である。
(B2)配列番号5に記載のアミノ酸配列において、第19番目の部位のアスパラギンがセリンに置換された配列を備えるタンパク質。
タンパク質(B2)の変異は、「N19S」と略号表記される。N19Sの変異も、これらの変異型タンパク質は、式(I)のアミノ酸と式(II)アルデヒドとから式(III)のセリン誘導体を生成する反応を触媒する活性に関与している。
(1)「Y339S」および「「N19S」
(2)「Y339H」および「「N19S」
(3)「Y339N」および「「N19S」
これらのうちでも「Y339S」および「N19S」の双方の変異が導入されたアミノ酸配列を備えるタンパク質は、式(I)のアミノ酸がアラニンである場合に特に高い酵素活性を示す傾向がある。
<実施例1>2−ベンジルセリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ活性の検出(野生株の活性確認)
Nutrient Broth(Difco社)で調製した寒天培地で、Rhodococcus sp.(AJ110611株)を、30℃、24時間培養した。得られた微生物の菌体を、3mlの0.2% α−ベンジル−DLセリンおよび0.17% Yeast Nitrogen Base w/o amino acid and ammonium sulfate(Difco社)を含む液体培地(pH7.0)に1白金耳接種し、30℃、120往復/分で24時間、振とう培養した。培養後、菌体を遠心分離し、1mlの0.1mMピリドキサールリン酸を含む50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)で、菌体を2回洗浄した。洗浄菌体と0.1mM ピリドキサールリン酸を含む50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)とを用いて、全量0.3mlの菌体懸濁液を調製した。得られた菌体懸濁液を、4℃にて超音波破砕処理した。超音波処理後に遠心分離(18,000×g、10分)を行って得られる上清を、0.1mM ピリドキサールリン酸を含む50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)に対して透析し、無細胞抽出液とした。
(1)無細胞抽出液の調製
Nutrient Broth(Difco社)で調製した寒天培地で、Rhodococcus sp.(AJ110611株)を、30℃、24時間培養した。得られた微生物の菌体を、500ml容の坂口フラスコ内の50mlのNutrient Broth液体培地に接種し、25℃、120往復/分で19時間、振とう培養した。500ml容の坂口フラスコ内に、0.2% α−ベンジル−DLセリンおよび0.17% Yeast Nitrogen Base w/o amino acid and ammonium sulfate(Difco社)を含む液体培地(pH7.0)を50mlを注入したものを20本用意し、得られた培養液を0.25mlずつ、各坂口フラスコ内の液体培地に接種した。接種後、25℃、120往復/分で24時間、振とう培養を行った。得られた菌体を遠心分離(8,000×g、10分)により集菌し、10mlの0.1mMピリドキサールリン酸を含む50mM リン酸カリウム緩衝液A(pH7.4)で、菌体を2回洗浄した。さらに、0.02mM ピリドキサールリン酸および1mM EDTAを含む25mM リン酸カリウム緩衝液B(pH7.4)で、菌体を2回洗浄し、40mlの菌体懸濁液を調製した。超音波破砕処理により菌体を破砕し、遠心分離(8,000×g、20分)で得られる上清を、さらに超遠心分離(200,000×g、30分)にかけ、リン酸カリウム緩衝液Bを用いて透析し、無細胞抽出液を得た。
上記(1)にて得られた無細胞抽出液を、予め0.02mM ピリドキサールリン酸および1mM EDTAを含む25mMリン酸カリウム緩衝液B(pH7.4)で平衡化したQ−Sepharose−HP 16/10カラム(アマシャムバイオサイエンス製)にアプライし、0−1M 塩化ナトリウムの直線的濃度勾配により酵素を溶出した。得られたフラクションを酵素源として実施例1の方法に従って酵素活性を測定したところ、0.3−0.4M 塩化ナトリウム相当の画分に、2−ベンジルセリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ活性が検出された。
上記(2)で得られた酵素の活性画分を、0.02mM ピリドキサールリン酸および1mM EDTAを含む25mM リン酸カリウム緩衝液B(pH7.4)に透析し、等量の2M 硫酸アンモニウムを含む緩衝液Bと混和した。得られた混和物を、予め1M 硫酸アンモニウムを含む緩衝液Bで平衡化したPhenyl−Sepharose−HP16/10カラム(アマシャムバイオサイエンス社製)にアプライし、1−0M 硫酸アンモニウムの直線的濃度勾配により、酵素を溶出した。得られたフラクションを酵素源として、実施例1の方法に従って酵素活性を測定したところ、0.7−0.6M 硫酸アンモニウム相当の画分に2−ベンジルセリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ活性を検出した。
上記(3)で得られた酵素の活性画分を濃縮し、予め0.02mM ピリドキサールリン酸、1mM EDTAを含む25mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)で平衡化したSuperdex−200 16/60カラム(アマシャムバイオサイエンス社製)にアプライし、酵素を溶出した。得られたフラクションを酵素源として、実施例1の方法に従って酵素活性を測定したところ、2−ベンジルセリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ活性は64−68mlの溶出位置に検出された。
上記(4)にて得られた酵素の活性画分を、予め0.02mM ピリドキサールリン酸、1mMEDTAを含む25mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)で平衡化したMonoQ HR5/5カラム(アマシャムバイオサイエンス製)にアプライし、0−0.7M塩化ナトリウムの直線的濃度勾配により酵素を溶出した。得られたフラクションを酵素源として、実施例1の方法に従って酵素活性を測定したところ、0.45−0.55M塩化ナトリウム相当の画分に2−ベンジルセリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ活性を検出した。
実施例2で調製した精製酵素100pmol相当を、SDS−ポリアクリルアミド電気泳動後、PVDF膜に転写した。得られたサンプルを島津製作所社製プロテインシーケンサーPPSQ−21Aに供し、N末アミノ酸配列を23アミノ酸残基分決定した(配列番号1)。
pUCRHMT5Kを鋳型として、プライマーS11F(配列番号6)およびプライマーS12R(配列番号7)を用いて、PCRにより2−ベンジルセリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ遺伝子のORF領域1.1kbを増幅した。増幅された断片をNdeI/BamHI処理した後、予めNdeI/BamHI処理したpTrp4ベクター(Journal of Molecular Catalysis B:Enzymatic,2005,32,205−211)とライゲートした。得られたベクターを用いて、Escherichia coli JM109を形質転換し、目的の遺伝子断片を含むプラスミド(pTrp4RHMT)を有する形質転換体を得た。この形質転換体をJM109/pTrp4RHMTと命名した。
実施例4で作製したプラスミドpTrp4RHMTをBamHI処理した後、TaKaRa DNA Blunting Kit(TaKaRa社製)のマニュアル記載の方法に従って末端平滑化を行い、続いてNdeI処理することによって2−ベンジルセリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼをコードする遺伝子を調製した。次にpSFNベクター(国際公開第2006/075486号パンフレット)をPstI処理した後、TaKaRa DNA Blunting Kit(TaKaRa社製)のマニュアル記載の方法に従って末端平滑化を行い、続いてNdeI処理を行った。このベクターと先に調製した遺伝子をライゲートし、Escherichia coli JM109を形質転換し、目的の遺伝子断片を含むプラスミド(pSFNRHMT)を有する形質転換体を得た。この形質転換体をJM109/pSFNRHMTと命名した。
10mM ホルムアルデヒド、30mM L−フェニルアラニン、0.1mM ピリドキサールリン酸、および50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)からなる溶液に、実施例2で調製した精製酵素溶液を50μl添加し、30℃で30分反応した。なお、ホルムアルデヒドはナカライテスク株式会社製の特級ホルムアルデヒド液[コード番号:16223−55]を用いた。反応終了後、反応混合物100μlに4mM硫酸銅を100μl加え、SumichiralOA−5000(住化分析センター)によりHPLC分析を行った(移動相:2mM硫酸銅水溶液(10%イソプロピルアルコール)、カラム温度:30℃、流速:1ml/分、検出:UV230nm)。その結果、8.9mMのα−ベンジル−L−セリンの生成が確認された。
α−ベンジル−L−セリンを合成するために文献(Angew.Chem.Int.Ed.2004,43,2382−2385)に従い、エチルベンズイミデート塩酸塩939.2mg、L−セリン−tert−ブチルエステル塩酸塩1gを溶解させた塩化メチレン溶液に、トリエチルアミン1.41mlを加え、2.5時間加熱還流した後、室温で19時間撹拌した。反応混合物に塩化メチレン50mlを加え、水20mlで2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウム除去後溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル5/1−4/1)にて精製した。溶媒留去後、2−フェニル−2−オキサゾリン−4−カルボン酸tert−ブチルエステルを759mg得た。2−フェニル−2−オキサゾリン−4−カルボン酸tert−ブチルエステルを52.4mg、水酸化カリウム56.1mg、(S,S)−3,4,5−トリフルオロフェニル−NAS ブロミド9.55mg(和光純薬製、コード番号:201−16401)を懸濁させたトルエン溶液にベンジルブロミド0.12mlを加え、0℃にて8時間撹拌した。反応混合物に酢酸エチル20mlを加え、水5mlで2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウム除去後溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル8/1−5/1)にて精製した。溶媒留去後、4−ベンジル−2−フェニル−2−オキサゾリン−4−カルボン酸tert−ブチルエステルを51mg得た。CHIRALPAK OD−H(4.6×250mm)によりHPLC分析(移動相:ヘキサン/イソプロピルアルコール=99/1、カラム温度:室温、流速:1ml/分、検出:UV210nm)を行ったところ、光学純度は98.4%e.e.であった。4−ベンジル−2−フェニル−2−オキサゾリン−4−カルボン酸tert−ブチルエステル42mgにエタノール1ml、6N水酸化ナトリウム溶液0.5mlを加え1時間加熱還流した後、6NHCl1mlを加え2時間加熱還流した。pHを中性に調整し、不溶物を除去することでα−ベンジル−L−セリンを含む溶液を得た。
100mg/lのアンピシリンを含むLB寒天培地で一晩培養したJM109/pTrp4RHMT一白金耳分を、3mlの100mg/lのアンピシリンを含むLB培地に接種し、37℃で16時間培養を行った。得られた菌体を遠心分離にて集菌した後、0.1mM ピリドキサールリン酸を含む50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)を用いて洗菌し、同緩衝液0.3mlを用いて菌体懸濁液を調製した。菌体懸濁液を超音波破砕処理して菌体を破砕し、遠心分離(18,000×g、10分、4℃)を行い、得られる上澄み液を無細胞抽出液とした。得られた無細胞抽出液を、10mMホルムアルデヒド、30mM L−フェニルアラニン、0.1mM ピリドキサールリン酸、および50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)からなる溶液に30μl添加し、30℃で30分反応した。なお、ホルムアルデヒドはナカライテスク株式会社製の特級ホルムアルデヒド液[コード番号:16223−55]を用いた。反応終了後、反応混合物100μlに4mM硫酸銅を100μl加えた。
100mg/lのアンピシリンを含むLB寒天培地で一晩培養したJM109/pSFNRHMT一白金耳分を3mlの100mg/lのアンピシリンを含むLB培地に接種し、37℃で17時間培養を行った。得られた菌体を遠心分離にて集菌した後、0.1mM ピリドキサールリン酸を含む50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)を用いて洗菌し、同緩衝液0.3mlを用いて菌体懸濁液を調製した。菌体懸濁液を超音波破砕処理して菌体を破砕し、遠心分離(18,000×g、10分、4℃)を行い、得られる上澄み液を無細胞抽出液とした。得られた無細胞抽出液を10mM ホルムアルデヒド、30mM L−フェニルアラニン、0.1mM ピリドキサールリン酸、50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)からなる溶液に30μl添加し、30℃で1時間反応した。なお、ホルムアルデヒドはナカライテスク株式会社製の特級ホルムアルデヒド液[コード番号:16223−55]を用いた。反応終了後、反応混合物100μlに4mM 硫酸銅を100μl加え、SumichiralOA−5000(住化分析センター)によりHPLC分析を行った(移動相:2mM 硫酸銅水溶液(10%イソプロピルアルコール)、カラム温度:30℃、流速:1ml/分、検出:UV230nm)。その結果、7.8mMのα−ベンジル−L−セリンの生成が確認された。
100mg/lのアンピシリンを含むLB寒天培地で一晩培養したJM109/pSFNRHMT一白金耳分を、3mlの100mg/lのアンピシリンを含むLB培地に接種し、37℃で16.5時間培養を行った。得られた菌体を、500ml容の坂口フラスコ内の50mlの100mg/lのアンピシリンを含むLB培地に2.5ml接種し、37℃、120往復/分で17時間培養した。得られた培養液10mlから遠心分離(8,000×g、10分)により集菌した後、10mlの0.1mM ピリドキサールリン酸を含む50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)を用いて菌体を洗浄し、同じ緩衝液10mlを用いて菌体懸濁液を調製した。この菌体懸濁液1mlから遠心分離(18,000×g、10分)により集菌した菌体に、10mM ホルムアルデヒド、30mM L−フェニルアラニン、0.1mM ピリドキサールリン酸、および50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)からなる溶液100μlを添加し、30℃で10分反応した。なお、ホルムアルデヒドはナカライテスク株式会社製の特級ホルムアルデヒド液[コード番号:16223−55]を用いた。反応終了後、反応混合物に4mM 硫酸銅を100μl加え、菌体を遠心分離(18,000×g、5分)後SumichiralOA−5000(住化分析センター)によりHPLC分析を行った(移動相:2mM 硫酸銅水溶液(10% イソプロピルアルコール)、カラム温度:30℃、流速:1ml/分、検出:UV230nm)。その結果、6.2mMのα−ベンジル−L−セリンの生成が確認された。
100mg/lのアンピシリンを含むLB寒天培地で一晩培養したJM109/pSFNRHMT一白金耳分を、500ml容の坂口フラスコ内の50mlの100mg/lのアンピシリンを含むLB培地に接種し、37℃、120往復/分で一晩振とう培養した。得られた培養液10mlから遠心分離(8,000×g、10分)により集菌した後、10mlの0.1mM ピリドキサールリン酸を含む50mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)を用いて菌体を洗浄し、同じ緩衝液10mlを用いて菌体懸濁液を調製した。この菌体懸濁液1mlから遠心分離(18,000×g、10分)により集菌した菌体に、10mM ホルムアルデヒド、30mM L−ロイシン、0.1mM ピリドキサールリン酸、および50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)からなる溶液100μlを添加し、30℃で30分反応した。なお、ホルムアルデヒドはナカライテスク株式会社製の特級ホルムアルデヒド液[コード番号:16223−55]を用いた。反応終了後、反応混合物に4mM硫酸銅を100μl加え、菌体を遠心分離(18,000×g、5分)後、SumichiralOA−5000(住化分析センター)によりHPLC分析を行った(移動相:2mM硫酸銅水溶液(5%イソプロピルアルコール)、カラム温度:30℃、流速:1ml/分、検出:UV230nm)。その結果、0.6mMのα−イソブチル−セリンの生成が確認された。
文献(J.Peptide Sci.2001,7,619−625)に従い、DL−メチオニン10gに水20ml、6N NaOH11.5mlを加え溶解した。pHを10.5−11.5に維持しながら、ベンゾイルクロリド8.6mlを加え、室温で2時間撹拌した。得られた反応混合物をろ過後、ジエチルエーテルで洗浄し、濃塩酸を徐々に加え、pHを1に調整し、結晶を析出させた。結晶をろ過し、水で洗浄後、減圧下乾燥し、N−ベンゾイルメチオニンを16.2g得た。得られたN−ベンゾイルメチオニン4.9gに無水酢酸24mlを加え、100℃で4時間加熱した後、溶液を室温まで冷却し、溶媒を留去した。残留物にトルエン24mlを加え、溶媒留去することを2回繰り返した。残留物をピリジン2.5mlに溶解させ、35% ホルムアルデヒド溶液10mlを加え室温で17時間撹拌した。得られた反応混合物に水40mlを加えた後、酢酸エチル40mlで抽出し、水、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウム除去後溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル4/1−1/1)にて精製した。溶媒留去後、5−ベンゾイルアミノ−5−メチルチオエチル−4−オキソ−1,3−ジオキサンを2.56g得た。得られた5−ベンゾイルアミノ−5−メチルチオエチル−4−オキソ−1,3−ジオキサン1.06gに、6N塩酸7.5mlを加え、7時間加熱還流した。反応溶液をろ過後、溶媒を留去した。残留物に水5mlを加え、イオン交換樹脂(アンバーライト120)を用いて精製した。溶媒留去後、得られた結晶を水/エタノールから再結晶し、減圧下乾燥することにより、α−メチルチオエチル−セリンを129mg得た。この化合物のNMRを測定したところ、文献記載値とほぼ一致した。
100mg/lのアンピシリンを含むLB寒天培地で一晩培養したJM109/pSFNRHMT一白金耳分を、500ml容の坂口フラスコ内の50mlの100mg/lのアンピシリンを含むLB培地に接種し、37℃、120往復/分で一晩振とう培養した。得られた培養液10mlから遠心分離(8,000×g、10分)により集菌した後、10mlの0.1mM ピリドキサールリン酸を含む50mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)を用いて菌体を洗浄し、同じ緩衝液10mlを用いて菌体懸濁液を調製した。この菌体懸濁液1mlから遠心分離(18,000×g、10分)により集菌した菌体に、10mM ホルムアルデヒド、30mM L−メチオニン、0.1mM ピリドキサールリン酸、および50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)からなる溶液100μlを添加し、30℃で30分反応した。なお、ホルムアルデヒドはナカライテスク株式会社製の特級ホルムアルデヒド液[コード番号:16223−55]を用いた。反応終了後、反応混合物に4mM硫酸銅を100μl加え、菌体を遠心分離(18,000×g、5分)後、SumichiralOA−5000(住化分析センター)によりHPLC分析を行った(移動相:2mM 硫酸銅水溶液(2%イソプロピルアルコール)、カラム温度:30℃、流速:1ml/分、検出:UV230nm)。その結果、2.8mMのα−メチルチオエチル−セリンの生成が確認された。
変異型2−ベンジルセリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼを構築するために実施例5で作成したpSFNRHMTをPCRを用いる部位特異的突然変異誘発法の鋳型として使用した。Y339Sの変異はストラタジーン(Stratagene)社(アメリカ)の「クイックチェンジ部位特異的突然変異誘発キット(Quik change Site−Directed Mutagenesis Kit)」を使用し、製造元のプロトコールに従って、Y339S変異型酵素に対応するプライマーY339SF(配列番号8)およびプライマーY339SR(配列番号9)を用いて導入した。同様に変異型酵素に対応するプライマーY339HF(配列番号10)およびプライマーY339HR(配列番号11)を用いてY339Hの変異をプライマーY339NF(配列番号12)およびプライマーY339NR(配列番号13)を用いてY339Nの変異を導入した。PCR反応の生成物を用いてEscherichia coli JM109を形質転換し、目的の遺伝子断片を含むプラスミドを有する形質転換体を得た。この形質転換体をそれぞれJM109/pSFNRHMT−Y339S、JM109/pSFNRHMT−Y339H、JM109/pSFNRHMT−Y339Nと命名した。
実施例13で作成したJM109/pSFNRHMT−Y339S、JM109/pSFNRHMT−Y339H、JM109/pSFNRHMT−Y339Nをそれぞれ3mlの100mg/lのアンピシリンを含むLB培地に接種し、37℃で終夜培養を行った。得られた菌体を遠心分離(18,000×g、10分、4℃)にて集菌した後、0.1mMピリドキサールリン酸を含む50mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)を用いて洗浄し、同緩衝液0.3mlを用いて菌体懸濁液を調製した。菌体懸濁液を超音波破砕処理して菌体を破砕し、遠心分離(18,000×g、10分、4℃)を行い、得られる上澄み液を無細胞抽出液とした。50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)、10mM α−ベンジル−DLセリン、0.1mM ピリドキサールリン酸の組成を有する反応液に、0.02mlの無細胞抽出液を添加して全量0.06mlとした反応混合物を、30℃にて、10分間反応させた。10分後、ホルムアルデヒドキット−テストワコー(和光純薬工業)に付属されたアルカリ試液(5N−水酸化カリウム)を0.06ml混和させることで反応を停止した。以降、キット付帯のマニュアルに従い、ホルムアルデヒドの検出反応を行い、550nmの吸光度を測定し、生成したホルムアルデヒド量を求め活性を算出した。結果を表1に示す。
変異型2−ベンジルセリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼを構築するために実施例13で作成したpSFNRHMT−Y339SをPCRを用いる部位特異的突然変異誘発法の鋳型として使用した。変異はストラタジーン(Stratagene)社(アメリカ)の「クイックチェンジ部位特異的突然変異誘発キット(Quik change Site−Directed Mutagenesis Kit)」を使用し、製造元のプロトコールに従って、変異型酵素に対応するプライマーN19SF(配列番号14)およびプライマーN19SR(配列番号15)を用いて導入した。PCR反応の生成物を用いてEscherichia coli JM109を形質転換し、目的の遺伝子断片を含むプラスミドを有する形質転換体を得た。この形質転換体をJM109/pSFNRHMT−Y339S−N19Sと命名した。作成したJM109/pSFNRHMT−Y339S−N19Sを3mlの100mg/lのアンピシリンを含むLB培地に接種し、37℃で終夜培養を行った。得られた菌体を遠心分離(18,000×g、10分、4℃)にて集菌した後、0.1mM ピリドキサールリン酸を含む50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)を用いて洗浄し、同緩衝液0.3mlを用いて菌体懸濁液を調製した。菌体懸濁液を超音波破砕処理して菌体を破砕し、遠心分離(18,000×g、10分、4℃)を行い、得られる上澄み液を無細胞抽出液とした。50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)、10mM α−ベンジル−DLセリン、0.1mM ピリドキサールリン酸の組成を有する反応液に、0.005mlの無細胞抽出液を添加して全量0.06mlとした反応混合物を、30℃にて、5分間反応させた。5分後、ホルムアルデヒドキット−テストワコー(和光純薬工業)に付属されたアルカリ試液(5N−水酸化カリウム)を0.06ml混和させることで反応を停止した。以降、キット付帯のマニュアルに従い、ホルムアルデヒドの検出反応を行い、550nmの吸光度を測定し、生成したホルムアルデヒド量を求め活性を算出した。結果を表2に示す。
100mg/lのアンピシリンを含むLB寒天培地で一晩培養したJM109/pSFNRHMT−Y339S一白金耳分を、3mlの100mg/lのアンピシリンを含むLB培地に接種し、37℃で16.5時間培養を行った。得られた菌体を、500ml容の坂口フラスコ内の50mlの100mg/lのアンピシリンを含むLB培地に2.5ml接種し、37℃、120往復/分で17時間培養した。得られた培養液10mlから遠心分離(8,000×g、10分)により集菌した後、10mlの0.1mM ピリドキサールリン酸を含む50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)を用いて菌体を洗浄し、同じ緩衝液10mlを用いて菌体懸濁液を調製した。この菌体懸濁液0.2mlから遠心分離(18,000×g、10分)により集菌した菌体に、10mM ホルムアルデヒド、30mM L−フェニルアラニン、0.1mM ピリドキサールリン酸、および50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)からなる溶液100μlを添加し、30℃で10分反応した。なお、ホルムアルデヒドはナカライテスク株式会社製の特級ホルムアルデヒド液[コード番号:16223−55]を用いた。反応終了後、反応混合物に4mM 硫酸銅を100μl加え、菌体を遠心分離(18,000×g、5分)後SumichiralOA−5000(住化分析センター)によりHPLC分析を行った(移動相:2mM 硫酸銅水溶液(10% イソプロピルアルコール)、カラム温度:30℃、流速:1ml/分、検出:UV230nm)。その結果、定量的なα−ベンジル−L−セリンの生成が確認された。
100mg/lのアンピシリンを含むLB寒天培地で一晩培養したJM109/pSFNRHMT−Y339S一白金耳分を、500ml容の坂口フラスコ内の50mlの100mg/lのアンピシリンを含むLB培地に接種し、37℃、120往復/分で一晩振とう培養した。得られた培養液10mlから遠心分離(8,000×g、10分)により集菌した後、10mlの0.1mM ピリドキサールリン酸を含む50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)を用いて菌体を洗浄し、同じ緩衝液10mlを用いて菌体懸濁液を調製した。この菌体懸濁液1mlから遠心分離(18,000×g、10分)により集菌した菌体に、10mM ホルムアルデヒド、30mM L−ロイシン、0.1mM ピリドキサールリン酸、および50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)からなる溶液100μlを添加し、30℃で30分反応した。なお、ホルムアルデヒドはナカライテスク株式会社製の特級ホルムアルデヒド液[コード番号:16223−55]を用いた。反応終了後、反応混合物に4mM硫酸銅を100μl加え、菌体を遠心分離(18,000×g、5分)後、SumichiralOA−5000(住化分析センター)によりHPLC分析を行った(移動相:2mM 硫酸銅水溶液(5%イソプロピルアルコール)、カラム温度:30℃、流速:1ml/分、検出:UV230nm)。その結果、4.6mMのα−イソブチル−セリンの生成が確認された。
100mg/lのアンピシリンを含むLB寒天培地で一晩培養したJM109/pSF
NRHMT−Y339S−N19Sを350mlの100mg/lのアンピシリンを含むTB培地(12g/l トリプトン、24g/l 酵母エキス、2.3g/l リン酸二水素カリウム、12.5g/l リン酸水素二カリウム、4g/l グリセロール)に接種し、37℃で17時間培養を行った。得られた菌体を遠心分離(8,000×g、10分)により集菌した後、50mlの0.1mM ピリドキサールリン酸を含む50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)を用いて菌体を洗浄し、反応溶液に加えた(30mM L−フェニルアラニン、45mM ホルムアルデヒド、0.1mM ピリドキサールリン酸、50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)、200ml)。30℃で5時間撹拌した後、反応混合物20μlに4mM 硫酸銅を100μl、水80μlを加え菌体を遠心分離(18,000×g、5分)後、SumichiralOA−5000(住化分析センター)によりHPLC分析を行った(移動相:2mM 硫酸銅水溶液(10% イソプロピルアルコール)、カラム温度:30℃、流速:1ml/分、検出:UV230nm)。その結果、28.2mMのα−ベンジル−L−セリンの生成が確認された。
100mg/lのアンピシリンを含むLB寒天培地で一晩培養したJM109/pSF
NRHMT−Y339S−N19Sを700mlの100mg/lのアンピシリンを含むTB培地(12g/l トリプトン、24g/l 酵母エキス、2.3g/l リン酸二水素カリウム、12.5g/l リン酸水素二カリウム、4g/l グリセロール)に接種し、37℃で17時間培養を行った。培養液を2つ(350ml)にわけ、それぞれを遠心分離(8,000×g、10分)により集菌した後、50mlの0.1mM ピリドキサールリン酸を含む50mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)を用いて菌体を洗浄した。洗浄後、350ml分の菌体を反応溶液に加えた(60mM L−フェニルアラニン、90mM ホルムアルデヒド、0.1mM ピリドキサールリン酸、50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)、200ml)。30℃で6.5時間撹拌したところで350ml分の菌体を加えさらに15時間撹拌した。反応終了後、反応混合物20μlに4mM 硫酸銅を100μl、水80μlを加え菌体を遠心分離(18,000×g、5分)後、SumichiralOA−5000(住化分析センター)によりHPLC分析を行った(移動相:2mM 硫酸銅水溶液(10% イソプロピルアルコール)、カラム温度:30℃、流速:1ml/分、検出:UV230nm)。その結果、57.6mMのα−ベンジル−L−セリンの生成が確認された。
実施例18で得られた反応混合物から遠心分離(8,000×g、10分)により簡単に除菌を行った。得られた溶液に硫酸を加え、pHを3に調整し、50℃にて2時間溶存タンパクの加熱凝集を行った。これを0.2μmのMFにてろ過を行った。この溶液を強酸性カチオン交換樹脂(アルドリッチ製 アンバーライトIR120)40mlを充填したカラムにフィードし、α−ベンジル−L−セリンを吸着させた。樹脂量の2.5倍の水を貫流して洗浄した後、1M アンモニア水を用いて溶離させ、10mlごとに集めた。得られたフラクションの2番目から10番目までを減圧下濃縮を行い、アンモニアを概ね除去した。得られた結晶を減圧下50℃にて一晩乾燥することにより、1.57g(93wt%)のα−ベンジル−L−セリンの結晶を得た。
実施例20と同様に強酸性カチオン交換樹脂(アルドリッチ製 アンバーライトIR120)の精製で得られた184mgのα−ベンジル−L−セリンを含む粗結晶841mg(22wt%)を約5mlの水に溶解し、この溶液を合成吸着剤(三菱化学製 SP207)17mlを充填したカラムにフィードし、水で溶出させた。α−ベンジル−L−セリンを含むフラクションを集め、減圧下濃縮を行い、減圧下50℃にて一晩乾燥することにより、174mg(97wt%)のα−ベンジル−L−セリンの結晶を得た。この結晶の旋光度を測定したところ[α]20 D=+16.8(C 0.79、H2O)であり文献記載値と一致を示した。文献値[α]20 D=+16.4(C 0.81、H2O)(Synlett 1997、253.)
100mg/lのアンピシリンを含むLB寒天培地で一晩培養したJM109/pSFNRHMT−Y339S−N19Sを750mlの100mg/lのアンピシリンを含むTB培地(12g/l トリプトン、24g/l 酵母エキス、2.3g/l リン酸二水素カリウム、12.5g/l リン酸水素二カリウム、4g/l グリセロール)に接種し、37℃で17時間培養を行った。遠心分離(8,000×g、10分)により集菌した後、50mlの0.1mM ピリドキサールリン酸を含む50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)を用いて菌体を洗浄し、反応溶液に加えた(60mM L−メチオニン、90mM ホルムアルデヒド、0.1mM ピリドキサールリン酸、50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)、200ml)。30℃で23時間撹拌後、反応混合物20μlに4mM 硫酸銅を100μl、水80μlを加え菌体を遠心分離(18,000×g、5分)後、SumichiralOA−5000(住化分析センター)によりHPLC分析を行った(移動相:2mM 硫酸銅水溶液(2% イソプロピルアルコール)、カラム温度:30℃、流速:1ml/分、検出:UV230nm)。その結果、46mMのα−メチルチオエチル−L−セリンの生成が確認された。
100mg/lのアンピシリンを含むLB寒天培地で一晩培養したJM109/pSFNRHMT−Y339S−N19Sを750mlの100mg/lのアンピシリンを含むTB培地(12g/l トリプトン、24g/l 酵母エキス、2.3g/l リン酸二水素カリウム、12.5g/l リン酸水素二カリウム、4g/l グリセロール)に接種し、37℃で17時間培養を行った。培養液を2つ(350ml+400ml)にわけ、それぞれを遠心分離(8,000×g、10分)により集菌した後、50mlの0.1mM ピリドキサールリン酸を含む50mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)を用いて菌体を洗浄した。洗浄後、350ml分の菌体を反応溶液に加えた(60mM L−メチオニン、90mM ホルムアルデヒド、0.1mM ピリドキサールリン酸、50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)、200ml)。30℃で4時間撹拌し、400ml分の菌体を加えさらに18時間撹拌し、残存量に合わせて菌体とホルムアルデヒドを加えた。反応混合物から遠心分離(8,000×g、10分)により簡単に除菌を行った。得られた溶液に硫酸を加え、pHを2.5に調整し、50℃にて1時間溶存タンパクの加熱凝集を行った。不溶物を遠心分離(8,000×g、10分)により除去し、0.45μmのMFにてろ過を行った。この溶液を強酸性カチオン交換樹脂(アルドリッチ製 アンバーライトIR120)40mlを充填したカラムにフィードし、α−メチルチオエチル−L−セリンを吸着させた。樹脂量の2.5倍の水を貫流して洗浄した後、1M アンモニア水を用いて溶離させ、10mlごとに集めた。得られたフラクションの2番目から10番目までを減圧下濃縮を行い、アンモニアを概ね除去した。得られた結晶を減圧下50℃にて一晩乾燥することにより、1.40g(98wt%)のα−メチルチオエチル−L−セリンの結晶を得た。この結晶の旋光度を測定したところ[α]20 D=−21.7(C 1、5N HCl)であり文献記載値と一致を示した。文献値[α]20 D=−10.5(C 1、5N HCl)(J.Peptide Sci.2001、7、619.)
100mg/lのアンピシリンを含むLB寒天培地で一晩培養したJM109/pSFNRHMT−Y339Sを、500ml容の坂口フラスコ内の50mlの100mg/lのアンピシリンを含むLB培地に接種し、37℃、120往復/分で17時間培養した。得られた菌体を遠心分離(8,000×g、10分)にて集菌した後、0.1mMピリドキサールリン酸を含む50mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)30mlを用いて洗菌し、同じ緩衝液50mlを用いて菌体懸濁液を調製した。菌体懸濁液2mlから遠心分離(18,000×g、10分)により集菌した菌体に、10mM ホルムアルデヒド、30mM L−アラニン、0.1mM ピリドキサールリン酸、および50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)からなる溶液100μlを添加し、30℃で1時間反応した。反応終了後、遠心分離(18,000×g、5分、4℃)により得られる上澄み液のESI−MS分析を行ったところ、α−メチルセリンの分子イオンピークが観測された。
100mg/lのアンピシリンを含むLB寒天培地で一晩培養したJM109/pSFNRHMT−Y339Sを、500ml容の坂口フラスコ内の50mlの100mg/lのアンピシリンを含むLB培地に接種し、37℃、120往復/分で17時間培養した。得られた菌体を遠心分離(8,000×g、10分)にて集菌した後、0.1mM ピリドキサールリン酸を含む50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)30mlを用いて洗菌し、同じ緩衝液50mlを用いて菌体懸濁液を調製した。菌体懸濁液2mlから遠心分離(18,000×g、10分)により集菌した菌体に、10mM ホルムアルデヒド、30mM L−アスパラギン、0.1mM ピリドキサールリン酸、および50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)からなる溶液100μlを添加し、30℃で1時間反応した。反応終了後、遠心分離(18,000×g、5分、4℃)により得られる上澄み液のESI−MS分析を行ったところ、α−カルバモイルメチルセリンの分子イオンピークが観測された。
100mg/lのアンピシリンを含むLB寒天培地で一晩培養したJM109/pSFNRHMT−Y339Sを、500ml容の坂口フラスコ内の50mlの100mg/lのアンピシリンを含むLB培地に接種し、37℃、120往復/分で17時間培養した。得られた菌体を遠心分離(8,000×g、10分)にて集菌した後、0.1mMピリドキサールリン酸を含む50mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)30mlを用いて洗菌し、同じ緩衝液50mlを用いて菌体懸濁液を調製した。菌体懸濁液2mlから遠心分離(18,000×g、10分)により集菌した菌体に、10mM ホルムアルデヒド、30mM L−システイン、0.1mM ピリドキサールリン酸、および50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)からなる溶液100μlを添加し、30℃で1時間反応した。反応終了後、遠心分離(18,000×g、5分、4℃)により得られる上澄み液のESI−MS分析を行ったところ、α−チオメチルセリンの分子イオンピークが観測された。
100mg/lのアンピシリンを含むLB寒天培地で一晩培養したJM109/pSFNRHMT−Y339Sを、500ml容の坂口フラスコ内の50mlの100mg/lのアンピシリンを含むLB培地に接種し、37℃、120往復/分で17時間培養した。得られた菌体を遠心分離(8,000×g、10分)にて集菌した後、0.1mM ピリドキサールリン酸を含む50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)30mlを用いて洗菌し、同じ緩衝液50mlを用いて菌体懸濁液を調製した。菌体懸濁液2mlから遠心分離(18,000×g、10分)により集菌した菌体に、10mM ホルムアルデヒド、30mM L−トリプトファン、0.1mM ピリドキサールリン酸、および50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)からなる溶液100μlを添加し、30℃で1時間反応した。反応終了後、遠心分離(18,000×g、5分、4℃)により得られる上澄み液のESI−MS分析を行ったところ、α−インドールメチルセリンの分子イオンピークが観測された。
100mg/lのアンピシリンを含むLB寒天培地で一晩培養したJM109/pSFNRHMT−Y339Sを、500ml容の坂口フラスコ内の50mlの100mg/lのアンピシリンを含むLB培地に接種し、37℃、120往復/分で17時間培養した。得られた菌体を遠心分離(8,000×g、10分)にて集菌した後、0.1mM ピリドキサールリン酸を含む50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)30mlを用いて洗菌し、同じ緩衝液50mlを用いて菌体懸濁液を調製した。菌体懸濁液2mlから遠心分離(18,000×g、10分)により集菌した菌体に、10mM ホルムアルデヒド、30mM L−イソロイシン、0.1mM ピリドキサールリン酸、および50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)からなる溶液100μlを添加し、30℃で1時間反応した。反応終了後、遠心分離(18,000×g、5分、4℃)により得られる上澄み液のESI−MS分析を行ったところ、α−sec−ブチルセリンの分子イオンピークが観測された。
100mg/lのアンピシリンを含むLB寒天培地で一晩培養したJM109/pSFNRHMT−Y339S−N19Sを50mlの100mg/lのアンピシリンを含むTB培地(12g/l トリプトン、24g/l 酵母エキス、2.3g/l リン酸二水素カリウム、12.5g/l リン酸水素二カリウム、4g/l グリセロール)に接種し、37℃で18時間培養を行った。得られた菌体を遠心分離にて集菌した後、50mlの0.1mM ピリドキサールリン酸を含む50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)を用いて洗菌し、同緩衝液5mlを用いて菌体懸濁液を調製した。菌体懸濁液を超音波破砕処理して菌体を破砕し、遠心分離(8,000×g、10分、4℃)を行い、得られる上澄み液を無細胞抽出液とした。得られた無細胞抽出液を1mML チロシン、3mM ホルムアルデヒド、0.1mM ピリドキサールリン酸、50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)からなる溶液に53.3μl添加し、30℃で1時間反応した。反応終了後、遠心分離(18,000×g、5分、4℃)により得られる上澄み液のESI−MS分析を行ったところ、α−p−ヒドロシキ−ベンジルセリンの分子イオンピークが観測された。
100mg/lのアンピシリンを含むLB寒天培地で一晩培養したJM109/pSFNRHMT−Y339S−N19Sを50mlの100mg/lのアンピシリンを含むLB培地に接種し、37℃で17時間培養を行った。得られた菌体を遠心分離にて集菌した後、50mlの0.1mM ピリドキサールリン酸を含む50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)を用いて洗菌し、同緩衝液5mlを用いて菌体懸濁液を調製した。菌体懸濁液を超音波破砕処理して菌体を破砕し、遠心分離(8,000×g、10分、4℃)を行い、得られる上澄み液を無細胞抽出液とした。得られた無細胞抽出液を12.5mM シクロヘキシルアラニン、3mM ホルムアルデヒド、0.1mM ピリドキサールリン酸、50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)からなる溶液に59μl添加し、30℃で30分間反応した。反応終了後、遠心分離(18,000×g、5分、4℃)により得られる上澄み液のESI−MS分析を行ったところ、α−シクロヘキシルメチルセリンの分子イオンピークが観測された。
100mg/lのアンピシリンを含むLB寒天培地で一晩培養したJM109/pSFNRHMT−Y339S−N19Sを、500ml容の坂口フラスコ内の50mlの100mg/lのアンピシリンを含むTB培地(12g/l トリプトン、24g/l 酵母エキス、2.3g/l リン酸二水素カリウム、12.5g/l リン酸水素二カリウム、4g/l グリセロール)に接種し、37℃、120往復/分で16時間培養を行った。得られた培養液の10mlから遠心分離(8,000×g、10分)により集菌した後、10mlの0.1mM ピリドキサールリン酸を含む50mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)を用いて菌体を洗浄し、同じ緩衝液10mlを用いて菌体懸濁液を調製した。この菌体懸濁液1mlから遠心分離(18,000×g、10分)により集菌した菌体に、30mM ホルムアルデヒド、30mM L−アラニン、0.1mM ピリドキサールリン酸、および50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)からなる溶液100μlを添加し、30℃で1時間反応した。なお、ホルムアルデヒドはナカライテスク株式会社製の特級ホルムアルデヒド液[コード番号:16223−55]を用いた。反応終了後、反応混合物に4mM硫酸銅を100μl加え、菌体を遠心分離(18,000×g、5分)した。得られた溶液の100μlに水100μlを加えSumichiralOA−6100(住化分析センター)によりHPLC分析を行った(移動相:0.5mM硫酸銅水溶液、カラム温度:30℃、流速:1ml/分、検出:UV230nm)。その結果、3.4mMのα−メチル−L−セリンの生成が確認された。
100mg/lのアンピシリンを含むLB寒天培地で一晩培養したJM109/pSFNRHMT−Y339Sを、500ml容の坂口フラスコ内の50mlの100mg/lのアンピシリンを含むLB培地に接種し、37℃、120往復/分で17時間培養した。得られた培養液の10mlから菌体を遠心分離(8,000×g、10分)にて集菌した後、0.1mM ピリドキサールリン酸を含む50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)10mlを用いて洗菌し、同じ緩衝液10mlを用いて菌体懸濁液を調製した。菌体懸濁液2mlから遠心分離(18,000×g、5分、4℃)により集菌した菌体に、10mM ホルムアルデヒド、30mM S−2−アミノ−n−酪酸、0.1mM ピリドキサールリン酸、および50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)からなる溶液100μlを添加し、30℃で1時間反応した。反応終了後、遠心分離(18,000×g、5分、4℃)により得られる上澄み液のESI−MS分析を行ったところ、α−エチルセリンの分子イオンピークが観測された。
100mg/lのアンピシリンを含むLB寒天培地で一晩培養したJM109/pSFNRHMT−Y339Sを、500ml容の坂口フラスコ内の50mlの100mg/lのアンピシリンを含むLB培地に接種し、37℃、120往復/分で17時間培養した。得られた培養液の10mlから菌体を遠心分離(8,000×g、10分)にて集菌した後、0.1mM ピリドキサールリン酸を含む50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)10mlを用いて洗菌し、同じ緩衝液10mlを用いて菌体懸濁液を調製した。菌体懸濁液2mlから遠心分離(18,000×g、5分、4℃)により集菌した菌体に、10mM ホルムアルデヒド、30mM L−ノルバリン、0.1mM ピリドキサールリン酸、および50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)からなる溶液100μlを添加し、30℃で1時間反応した。反応終了後、遠心分離(18,000×g、5分、4℃)により得られる上澄み液のESI−MS分析を行ったところ、α−プロピルセリンの分子イオンピークが観測された。
100mg/lのアンピシリンを含むLB寒天培地で一晩培養したJM109/pSFNRHMT−Y339Sを、500ml容の坂口フラスコ内の50mlの100mg/lのアンピシリンを含むLB培地に接種し、37℃、120往復/分で17時間培養した。得られた培養液の10mlから菌体を遠心分離(8,000×g、10分)にて集菌した後、0.1mM ピリドキサールリン酸を含む50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)10mlを用いて洗菌し、同じ緩衝液10mlを用いて菌体懸濁液を調製した。菌体懸濁液2mlから遠心分離(18,000×g、5分、4℃)により集菌した菌体に、10mM ホルムアルデヒド、30mM L−ノルロイシン、0.1mM ピリドキサールリン酸、および50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)からなる溶液100μlを添加し、30℃で1時間反応した。反応終了後、遠心分離(18,000×g、5分、4℃)により得られる上澄み液のESI−MS分析を行ったところ、α−ブチルセリンの分子イオンピークが観測された。
100mg/lのアンピシリンを含むLB寒天培地で一晩培養したJM109/pSFNRHMT−Y339S−N19Sを、500ml容の坂口フラスコ内の50mlの100mg/lのアンピシリンを含むTB培地(12g/l トリプトン、24g/l 酵母エキス、2.3g/l リン酸二水素カリウム、12.5g/l リン酸水素二カリウム、4g/l グリセロール)に接種し、37℃、120往復/分で16時間培養を行った。得られた培養液の40mlから遠心分離(8,000×g、10分)により集菌した後、40mlの0.1mM ピリドキサールリン酸を含む50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)を用いて菌体を洗浄し、同じ緩衝液4mlを用いて菌体懸濁液を調製した。菌体懸濁液を超音波破砕処理して菌体を破砕し、遠心分離(18,000×g、5分、4℃)を行い、得られる上澄み液を無細胞抽出液とした。30mM ホルムアルデヒド、30mM L−アラニン、0.1mM ピリドキサールリン酸、および50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)の組成を有する反応液に、0.034mlの無細胞抽出液を添加して全量0.1mlとした反応混合物を、30℃にて、1時間反応させた。なお、ホルムアルデヒドはナカライテスク株式会社製の特級ホルムアルデヒド液[コード番号:16223−55]を用いた。反応終了後、反応混合物に4mM 硫酸銅を100μl加え、遠心分離(18,000×g、5分、4℃)した。得られた溶液の100μlに水100μlを加えSumichiralOA−6100(住化分析センター)によりHPLC分析を行った(移動相:0.5mM硫酸銅水溶液、カラム温度:30℃、流速:1ml/分、検出:UV230nm)。その結果、19.5mMのα−メチル−L−セリンの生成が確認された。
配列番号2:プライマーSEQA
配列番号3:プライマーSEQB
配列番号4:Rhodococcus sp.(AJ110611株)由来2−ベンジルセリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼをコードする核酸配列(ORF)
配列番号5:Rhodococcus sp.(AJ110611株)由来2−ベンジルセリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼのアミノ酸配列
配列番号6:プライマーS11F
配列番号7:プライマーS12R
配列番号8:プライマーY339SF
配列番号9:プライマーY339SR
配列番号10:プライマーY339HF
配列番号11:プライマーY339HR
配列番号12:プライマーY339NF
配列番号13:プライマーY339NR
配列番号14:プライマーN19SF
配列番号15:プライマーN19SR
Claims (19)
- 酵素の存在下で、式(I):
に示されるα−アミノ酸と、式(II):
に示されるアルデヒドとを反応させ、式(III):
に示されるセリン誘導体を生成させるセリン誘導体の製造方法であって、
前記酵素が、下記(A)および(B):
(A)配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質、
(B)配列番号5に記載のアミノ酸配列において、置換、欠失、挿入、および付加からなる群より選ばれる1または数個のアミノ酸の変異を含むアミノ酸配列を有し、かつ、式(III)に示されるセリン誘導体を生成する前記反応を触媒する活性を有するタンパク質、
からなる群より選ばれる1種または2種以上のタンパク質である、セリン誘導体の製造方法。 - 前記(B)のタンパク質が、配列番号5に記載のアミノ酸配列において第339番目の部位に位置するチロシンが、セリン、ヒスチジンおよびアスパラギンからなる群より選ばれるいずれか1つのアミノ酸に置換された配列を備えるタンパク質である、請求項1に記載のセリン誘導体の製造方法。
- 前記(B)のタンパク質が、配列番号5に記載のアミノ酸配列において第19番目の部位に位置するアスパラギンがセリンに置換された配列を備えるタンパク質である、請求項1または2に記載のセリン誘導体の製造方法。
- ロドコッカス(Rhodococcus)属に属する微生物に由来し、式(I):
に示されるα−アミノ酸と、式(II):
(式(II)においてR2は、水素、炭素数1〜7のアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数7〜19のアラルキル基、炭素数2〜11のアルコキシアルキル基、これらの炭素骨格中にヘテロ原子を含む基、およびこれらの炭素骨格中に炭素−炭素不飽和結合を含む基からなる群より選ばれ、これらの基は直鎖であっても分岐していてもよく、炭素骨格中に脂環炭化水素構造を有していてもよく、さらに置換基を有していてもよい)
に示されるアルデヒドとから、式(III):
(式(III)におけるR1は、式(I)中のR1と同じであり、式(III)におけるR2は式(II)中のR2と同じ)
に示されるセリン誘導体を生成する反応を触媒する活性を有するタンパク質の存在下で、式(I)に示されるα−アミノ酸と、式(II)に示されるアルデヒドとを反応させて式(III)に示されるセリン誘導体を生成せしめる、セリン誘導体の製造方法。 - 前記酵素を生産する微生物と、前記式(I)に示されるα−アミノ酸および式(II)に示されるアルデヒドとを混合し、前記式(III)に示されるセリン誘導体を生成せしめる、請求項1から4のいずれか一項に記載のセリン誘導体の製造方法。
- 前記酵素を生産する微生物を含む培養物と、前記式(I)に示されるα−アミノ酸および前記式(II)に示されるアルデヒドとを混合し、前記式(III)に示されるセリン誘導体を生成せしめる、請求項1から4のいずれか一項に記載のセリン誘導体の製造方法。
- 前記酵素を生産する微生物の菌体処理物と、前記式(I)に示されるα−アミノ酸および前記式(II)に示されるアルデヒドとを混合し、前記式(III)に示されるセリン誘導体を生成せしめる、請求項1から4のいずれか一項に記載のセリン誘導体の製造方法。
- 前記式(I)に示されアミノ酸が、フェニルアラニン、ロイシン、メチオニン、アラニン、システイン、トリプトファン、イソロイシン、シクロヘキシルアラニン、2−アミノ−n−酪酸、2−アミノ吉草酸、および2−アミノヘキサン酸からなる群より選ばれる1種または2種以上のアミノ酸である、請求項1から7のいずれか一項に記載のセリン誘導体の製造方法。
- 前記式(I)に示されるアミノ酸が、α−フェニルアラニンであり、前記式(III)に示されるセリン誘導体がα−ベンジルセリンである、請求項1から7のいずれか一項に記載のセリン誘導体の製造方法。
- 前記式(I)に示されるアミノ酸が、α−ロイシンであり、前記式(III)に示されるセリン誘導体がα−イソブチルセリンである、請求項1から7のいずれか一項に記載のセリン誘導体の製造方法。
- 前記式(I)に示されるアミノ酸が、α−メチオニンであり、前記式(III)に示されるセリン誘導体がα−メチルチオエチルセリンである、請求項1から7のいずれか一項に記載のセリン誘導体の製造方法。
- ロドコッカス(Rhodococcus)属に属する微生物に由来し、式(I):
に示されるα−アミノ酸と、式(II):
に示されるアルデヒドとから、式(III):
に示されるセリン誘導体を生成する反応を触媒する活性を有するタンパク質。 - 式(I):
に示されるα−アミノ酸と、式(II):
に示されるアルデヒドとから、式(III):
に示されるセリン誘導体を生成する反応を触媒する活性を有する、下記(A)および(B):
(A)配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質、
(B)配列番号5に記載のアミノ酸配列において、置換、欠失、挿入、および付加からなる群より選ばれる1または数個のアミノ酸の変異を含むアミノ酸配列を有するタンパク質、
からなる群より選ばれる1種または2種以上のタンパク質。 - 前記(B)のタンパク質が、配列番号5に記載のアミノ酸配列において第339番目の部位に位置するチロシンが、セリン、ヒスチジンおよびアスパラギンからなる群より選ばれるいずれかの一つのアミノ酸に置換された配列を備える、請求項13に記載のタンパク質。
- 前記(B)のタンパク質が、さらに、配列番号5に記載のアミノ酸配列において第19番目の部位に位置するアスパラギンがセリンに置換された配列を備える、請求項14に記載のタンパク質。
- 請求項12から15のいずれか一項に記載のタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
- 下記(a)および(b)からなる群から選ばれるポリヌクレオチド。
(a)配列番号4に記載の塩基配列を有するポリヌクレオチド
(b)配列番号4に記載の塩基配列と相補的な塩基配列を有するポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下においてハイブリダイズし、かつ、式(I):
のα−アミノ酸と下記式(II):
のアルデヒドと反応させて、式(III):
に示されるセリン誘導体を生成する反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド。 - 請求項16または17に記載のポリヌクレオチドで形質転換された細胞。
- 前記細胞が、エシェリヒア・コリを宿主として形質転換された細胞である、請求項18に記載の細胞。
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