JPWO2009084418A1 - ポリアニリン複合体、その組成物及び成形体 - Google Patents

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Abstract

有機溶剤、及び有機酸と、無機酸でドープされている置換若しくは非置換ポリアニリン複合体と、フェノール性水酸基を有する化合物を含む導電性ポリアニリン組成物であって、前記ポリアニリン複合体における有機酸と無機酸のドープ率の総和(a)が0.4<a<0.6であり、ドープ率の総和(a)のうち、無機酸のドープ率(b)の割合(b/a)が0.02以上であり、前記ポリアニリン複合体の重量平均分子量が20,000以上で、分子量分布が5.0未満であることを特徴とする導電性ポリアニリン組成物。

Description

本発明は、新規なポリアニリン複合体及びその製造方法に関し、さらに、そのポリアニリン複合体を用いた導電性組成物及びそれから得られる成形体に関する。
ポリアニリンは、導電性高分子の1つとして周知の材料である。ポリアニリンは、その電気的な特性に加え、安価なアニリンから比較的簡便に合成でき、且つ導電性を示す状態で、空気等に対して優れた安定性を示すという利点及び特性を有する。
ポリアニリンの製造方法としては、アニリン又はアニリン誘導体を電解酸化重合する方法又は化学酸化重合する方法が知られている。
電解酸化重合では、電気的特性等に優れたフィルムが得られるが、一般に、化学酸化重合に比べて製造コストが高く、大量生産には適しておらず、複雑な形状の成形体を得ることも困難である。
一方、化学酸化重合によって導電性のアニリン又はアニリン誘導体の重合体を得るためには、一般に、非導電性塩基状態(いわゆるエメラルディン塩基状態)で得られるポリアニリンにドーパント(ドーピング剤)を加えてプロトネーションする工程を必要とする。しかしながら、非導電性塩基状態のポリアニリンは大部分の有機溶剤に殆ど溶解しないため、工業的な製造に適するものではない。さらに、プロトネーション後に生成する導電性のポリアニリン(いわゆるエメラルディン塩状態)は、実質的に不溶不融であり、導電性の複合材料及びその成形体を簡便に製造することは難しい。
上記の問題に対し、本発明者らは、製造や取り扱いが容易な可溶性の導電性ポリアニリン複合体及びその組成物を開発している(特許文献1)。
国際公開第2005/052058パンフレット
特許文献1に記載のポリアニリン複合体及びその組成物は優れた性質を有するものであるが、ポリアニリン複合体及びその組成物、並びにそれらの製造方法についてさらなる改善が求められていた。
従って、本発明は、新規な優れたポリアニリン複合体及びその製造方法、並びにそれを用いた組成物及び成形体を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究の結果、ポリアニリン組成物の導電率が、ポリアニリン複合体の有機酸と無機酸のドープ率及び有機ドーパントと無機ドーパントの比率、分子量、分子量分布に依存することを見出し、また、多段重合法によれば、ドープ率、有機ドーパントと無機ドーパントの比率、分子量、分子量分布をある特定の範囲で制御でき、高い導電率を有するポリアニリン複合体が得られることを見出した。導電性ポリマーにおいては、ここに挙げたドープ率、ドープ種、分子量、分子量分布は、その性能を決める重要な構造因子である。即ち本発明で開示されたポリアニリン複合体は、特徴的な構造因子を有する点において、新規な物質である。本発明によれば、以下のポリアニリン複合体及びその組成物等が提供される。
1.有機溶剤、及び
有機酸と、無機酸でドープされている置換若しくは非置換ポリアニリン複合体と、
フェノール性水酸基を有する化合物を含む導電性ポリアニリン組成物であって、
前記ポリアニリン複合体における有機酸と無機酸のドープ率の総和(a)が0.4<a<0.6であり、
ドープ率の総和(a)のうち、無機酸のドープ率(b)の割合(b/a)が0.02以上であり、
前記ポリアニリン複合体の重量平均分子量が20,000以上で、分子量分布が5.0未満であることを特徴とする導電性ポリアニリン組成物。
2.前記フェノール性水酸基を有する化合物の、前記ポリアニリン複合体1gに対するモル濃度が、0.01mmol/g〜50mmol/gの範囲である1記載の導電性ポリアニリン組成物。
3.前記有機酸が、下記式(I)
HXARn (I)
{式中、Xは、酸性基であり、Aは、置換基を含んでもよい炭化水素基であり、Rは、それぞれ独立して、−R、−OR、−COR、−COOR、−CO(COR)、又は−CO(COOR)[ここで、Rは炭素数が4以上の置換基を含んでもよい炭化水素基、シリル基、−(RO)x−R基、又は−(OSiR )x−OR基(Rはアルキレン基、Rはそれぞれ同一でも異なってもいてもよい炭化水素基であり、xは1以上の整数である)である]であり、nは2以上の整数である}
で示される有機プロトン酸である1又は2記載の導電性ポリアニリン組成物。
4.式(I)で示される有機プロトン酸が、下記式(II)
HXCR(CR COOR)COOR (II)
{式中、Xは、酸性基であり、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、炭化水素基又はR Si−基(ここで、Rは、炭化水素基であり、3つのRは同一又は異なっていてもよい)であり、R及びRは、それぞれ独立して炭化水素基又は−(RO)−R10基[ここで、Rは炭化水素基又はシリレン基であり、R10は水素原子、炭化水素基又はR11 Si−(R11は、炭化水素基であり、3つのR11は同一又は異なっていてもよい)であり、qは1以上の整数である]である}
で示される有機プロトン酸である3記載の導電性ポリアニリン組成物。
5.式(II)で示される有機プロトン酸が、下記式(III)
HOSCH(CHCOOR12)COOR13 (III)
{式中、R12及びR13は、それぞれ独立して炭化水素基又は−(R14O)−R15基[ここで、R14は炭化水素基又はシリレン基であり、R15は水素原子、炭化水素基又はR16 Si−基(ここで、R16は炭化水素基であり、3つのR16は同一又は異なっていてもよい)であり、rは1以上の整数である]である}
で示されるスルホコハク酸誘導体である4記載の導電性ポリアニリン組成物。
6.前記無機酸が塩酸、硫酸、燐酸又は硝酸である1〜5のいずれか記載の導電性ポリアニリン組成物。
7.前記有機溶剤が実質的に水に混和しない溶剤である1〜6のいずれか記載の導電性ポリアニリン組成物。
8.前記有機溶剤が水溶性有機溶剤である1〜6のいずれか記載の導電性ポリアニリン組成物。
9.さらに、樹脂又は樹脂の前駆体を含む1〜8のいずれか記載の導電性ポリアニリン組成物。
10.前記樹脂が塩素化ポリオレフィンである9記載の導電性ポリアニリン組成物。
11.前記有機溶剤が水不混和性有機溶剤と水溶性有機溶剤との混合物であって、その混合比(水不混和性有機溶剤:水溶性有機溶剤)が、99〜50:1〜50の質量比である1〜10のいずれか記載の導電性ポリアニリン組成物。
12.前記水不混和性有機溶剤は、芳香族溶剤、含ハロゲン溶剤、エステル系溶剤、炭素数4以上のケトン類、炭素数5以上のアルコール類、アクリル誘導体から選択され、
前記水溶性有機溶剤は、水溶性アルコール、水溶性ケトン、水溶性含酸素環誘導体、非プロトン性極性溶剤から選択されたものである11に記載の導電性ポリアニリン組成物。
13.置換又は未置換アニリンを、有機酸又はその塩、及び無機酸又はその塩と共に、−10℃〜20℃の温度において第一段の工程で重合し、さらに前記温度から5℃以上高い温度において3w/m以下の撹拌動力で第二段以降の工程で重合する、有機酸と無機酸でドープされている置換若しくは非置換ポリアニリン複合体の製造方法。
14.実質的に水と混和しない有機溶剤と水溶液の二相系で、ポリアニリン複合体を製造する13に記載のポリアニリン複合体の製造方法。
15.前記有機酸又はその塩が、下記一般式(I’)
M(XARn)m (I’)
{式中、Mは、水素原子又は有機若しくは無機遊離基であり、Xは、酸性基であり、Aは、置換基を含んでもよい炭化水素基であり、Rは、それぞれ独立して、−R、−OR、−COR、−COOR、−CO(COR)、又は−CO(COOR)[ここで、Rは置換基を含んでもよい炭素数が4以上の炭化水素基、シリル基、アルキルシリル基、−(RO)x−R基、又は−(OSiR )x−OR(Rはアルキレン基、Rはそれぞれ同一でも異なってもいてもよい炭化水素基であり、xは1以上の整数である)である]であり、nは2以上の整数であり、mは、Mの価数である}で示される有機プロトン酸又はその塩である13又は14記載のポリアニリン複合体の製造方法。
16.式(I)で示される有機プロトン酸又はその塩が、下記式(II’)
M(XCR(CR COOR)COOR (II’)
{式中、Mは、水素原子又は有機若しくは無機遊離基であり、Xは、酸性基であり、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、炭化水素基又はR Si−基(ここで、Rは、炭化水素基であり、3つのRは同一又は異なっていてもよい)であり、R及びRは、それぞれ独立して炭化水素基又は−(RO)−R10基[ここで、Rは炭化水素基又はシリレン基であり、R10は水素原子、炭化水素基又はR11 Si−(R11は、炭化水素基であり、3つのR11は同一又は異なっていてもよい)であり、qは1以上の整数である]であり、pは、Mの価数である}で示される有機プロトン酸又はその塩である15記載のポリアニリン複合体の製造方法。17.式(II)で示される有機プロトン酸又はその塩が、下記式(III’)
M(OSCH(CHCOOR12)COOR13 (III’)
{式中、Mは、水素原子又は有機若しくは無機遊離基であり、R12及びR13は、それぞれ独立して炭化水素基又は−(R14O)−R15基[ここで、R14は炭化水素基又はシリレン基であり、R15は水素原子、炭化水素基又はR16 Si−基(ここで、R16は炭化水素基であり、3つのR16は同一又は異なっていてもよい)であり、rは1以上の整数である]であり、mは、Mの価数である}で示されるスルホコハク酸誘導体である16記載のポリアニリン複合体の製造方法。
18.上記13〜17のいずれか記載の製造方法により得られる有機酸と無機酸でドープされている置換若しくは非置換ポリアニリン複合体。
19.上記18記載の有機酸と無機酸でドープされている置換若しくは非置換ポリアニリン複合体とフェノール性水酸基を有する化合物とを反応させる導電性ポリアニリン組成物の製造方法。
20.上記1〜12のいずれか記載の導電性ポリアニリン組成物を成形してなる導電性成形体。
21.上記1〜12のいずれか記載の導電性ポリアニリン組成物を成形してなる導電性フィルム。
22.上記1〜12のいずれか記載の導電性ポリアニリン組成物を、基材に塗布してなる表面導電性物品。
23.基材が樹脂フィルムである22記載の表面導電性物品。
24.上記1〜12のいずれか記載の導電性ポリアニリン組成物を、基材と混合してなる導電性物品。
25.上記1〜12のいずれか記載の導電性ポリアニリン組成物を、基材にエレクトロスピニングしてなる導電性物品。
本発明によれば、新規な優れたポリアニリン複合体及びその製造方法、並びにそれを用いた組成物及び成形体を提供できる。
本発明の導電性ポリアニリン組成物は、有機溶剤、及び有機酸と無機酸でドープされている置換若しくは非置換ポリアニリン複合体(以下、ポリアニリン複合体という)と、フェノール性水酸基を有する化合物(以下、フェノール性化合物という)を含む。ポリアニリン複合体とフェノール性化合物は有機溶剤に溶解している。
ここで、ポリアニリン複合体における有機酸と無機酸のドープ率の総和(a)は0.4<a<0.6である。ポリアニリン複合体における有機酸と無機酸のドープ率の総和(a)が、0.5であることは、窒素2分子に対して1分子のドーパントがドープすることを意味し、この値及びその近傍において、導電率が最も高くなる。
有機酸と無機酸のドープの割合は、ドープ率の総和(a)のうち、無機酸のドープ率(b)の割合(b/a)が0.02以上であり、好ましくは有機酸:無機酸=0.98:0.02〜0.90:0.1である。
ここで、有機酸、無機酸の総ドープ率が0.6以上であると、本発明で得られる導電性組成物の固有伝導率が低下する傾向がある。一方、0.4以下では各種溶剤に不溶となり、基材塗布等の加工性を著しく損なう結果となる。
また、高導電率の導電性組成物を得るためには、無機酸のドープ率が非常に重要な役割を担っており、トータルドープ率の0.02以上が必要である。無機酸のドープ率がトータルドープ率の0.02以上になった場合にフェノール性化合物の添加効果、即ちフェノール性化合物との分子間相互作用が発現し、結果として高導電率の導電性組成物を与えるのである。
また、ポリアニリン複合体の重量平均分子量(以下、分子量という)は20,000以上で、分子量分布が5.0未満である。分子量が20,000未満であると、導電性が低下する。好ましくは分子量は50,000〜200,000以上である。分子量分布が5.0未満であると導電率が高くなる。好ましくは分子量分布は4.0以下であり、より好ましくは2.0〜4.0である。
分子量と分子量分布はゲルパーミェションクロマトグラフィ(GPC)により測定し、詳細な測定条件は実施例にて後述する。
本発明のポリアニリン複合体及びポリアニリン組成物は後述する方法により製造できる。
ポリアニリン複合体における置換ポリアニリンの置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、ヘキシル基、オクチル基等の直鎖又は分岐の炭化水素基、メトキシ基、フェノキシ基等のアルコキシル基、アリーロキシ基、CF基等の含ハロゲン炭化水素基等が挙げられる。
ポリアニリン複合体にドープする好適な有機酸の例として、下記式(I)
HXARn (I)
で示される有機プロトン酸(以下、有機プロトン酸(I)という)が挙げられる。
上記式(I)において、Xは、酸性基であり、例えば、−SO 基、−PO 2−基、−PO(OH)基、−OPO 2−基、−OPO(OH)基、−COO基等が挙げられ、−SO 基が好ましい。
Aは、置換基を含んでもよい炭化水素基であり、例えば、炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐状のアルキルやアルケニル基、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、メンチル等の置換基を含んでいてもよいシクロアルキル基、ビシクロヘキシル、ノルボルニル、アダマンチル等の縮合してもよいジシクロアルキル基若しくはポリシクロアルキル基、フェニル、トシル、チオフェニル、ピローリニル、ピリジニル、フラニル等の置換基を含んでいてもよい芳香環を含むアリール基、ナフチル、アントラセニル、フルオレニル、1,2,3,4−テトラヒドロナフチル、インダニル、キノリニル、インドニル等の縮合していてもよいジアリール基若しくはポリアリール基、アルキルアリール基等が挙げられる。
Rは、それぞれ独立して、−R、−OR、−COR、−COOR、−CO(COR)、−CO(COOR)である。ここで、Rは置換基を含んでもよい炭素数が4以上の炭化水素基、シリル基、アルキルシリル基、又は−(RO)x−R基、−(OSiR )x−OR(Rはアルキレン基、Rはそれぞれ同一でも異なってもいてもよい炭化水素基であり、xは1以上の整数である)である。Rが炭化水素基である場合の例としては、直鎖若しくは分岐のブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、ペンタデシル基、エイコサニル基等が挙げられる。
nは2以上の整数である。
式(I)で示される化合物としては、ジアルキルベンゼンスルフォン酸、ジアルキルナフタレンスルフォン酸、下式(II)で表される化合物が好ましく利用できる。
HXCR(CR COOR)COOR (II)
上記式(II)において、Xは、酸性基であり、例えば、−SO 基、−PO 2−基、−PO(OH)基、−OPO 2−基、−OPO(OH)基、−COO基等が挙げられ、−SO 基が好ましい。
及びRは、それぞれ独立して水素原子、炭化水素基又はR Si−基(ここで、Rは、炭化水素基であり、3つのRは同一又は異なっていてもよい)である。R及びRが炭化水素基である場合の炭化水素基としては、炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐状のアルキル基、芳香環を含むアリール基、アルキルアリール基等が挙げられる。Rが炭化水素基である場合の炭化水素基としては、R及びRの場合と同様である。
及びRは、それぞれ独立して炭化水素基又は−(RO)−R10基[ここで、Rは炭化水素基又はシリレン基であり、R10は水素原子、炭化水素基又はR11 Si−(R11は、炭化水素基であり、3つのR11は同一又は異なっていてもよい)であり、qは1以上の整数である]である。R及びRが炭化水素基である場合の炭化水素基としては、炭素数1〜24、好ましくは炭素数4以上の直鎖若しくは分岐状のアルキル基、芳香環を含むアリール基、アルキルアリール基等が挙げられ、R及びRが炭化水素基である場合の炭化水素基の具体例としては、例えば、直鎖又は分岐状のブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基等が挙げられる。
及びRにおける、Rが炭化水素基である場合の炭化水素基としては、炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐状のアルキレン基、芳香環を含むアリーレン基、アルキルアリーレン基、アリールアルキレン基等である。また、R及びRにおける、R10及びR11が炭化水素基である場合の炭化水素基としては、R及びRの場合と同様であり、qは、1〜10であることが好ましい。R及びRが−(RO)−R10基である場合の具体例としては、例えば、
Figure 2009084418
(式中、Xは−SO基等である)で示される基が挙げられる。
上記有機プロトン酸(II)は、下記式(III)で示されるスルホコハク酸誘導体(以下、スルホコハク酸誘導体(III)という)であることがさらに好ましい。
HOSCH(CHCOOR12)COOR13 (III)
12及びR13は、それぞれ独立して炭化水素基又は−(R14O)−R15基[ここで、R14は炭化水素基又はシリレン基であり、R15は水素原子、炭化水素基又はR16 Si−基(ここで、R16は炭化水素基であり、3つのR16は同一又は異なっていてもよい)であり、rは1以上の整数である]である。
12及びR13が炭化水素基である場合の炭化水素基としては、R及びRと同様である。
12及びR13において、R14が炭化水素基である場合の炭化水素基としては、上記Rと同様である。また、R12及びR13において、R15及びR16が炭化水素基である場合の炭化水素基としては、上記R及びRと同様である。
rは、1〜10であることが好ましい。
12及びR13が−(R14O)−R15基である場合の具体例としては、R及びRにおける−(RO)−R10と同様である。
12及びR13が炭化水素基である場合の炭化水素基としては、R及びRと同様であり、ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、デシル基等が好ましい。
ポリアニリン複合体にドープする無機酸の例として、塩酸、硫酸、燐酸、硝酸が挙げられる。
本発明の組成物で用いるフェノール性化合物は、特に限定されず、芳香族性の水酸基を有する化合物であれば、特に何の制限もなく好適に使用できる。即ち置換フェノール類、多価フェノール類、ビスフェノール類、ビフェノール類及びフェノール性水酸基を有するポリマー類が、目的に応じて好適に用いられる。具体的には、フェノール、o−,m−若しくはp−クレゾール、o−,m−若しくはp−エチルフェノール、o−,m−若しくはp−プロピルフェノール、o−,m−若しくはp−ブチルフェノール、o−,m−若しくはp−メトキシフェノール、o−,m−若しくはp−エトキシフェノール、o−,m−若しくはp−プロポキシフェノール、o−,m−若しくはp−ブトキシフェノールo−,m−若しくはp−ニトロフェノール、o−,m−若しくはp−シアノフェノール、o−,m−若しくはp−クロロフェノール、o−,m−若しくはp−臭化フェノール、o−,m−若しくはp−フッ化フェノール、o−,m−若しくはp−ヨウ化フェノール等のフェノール誘導体、サリチル酸、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシナフタレン等の置換フェノール類;カテコール、レゾルシノール等の多価フェノール性化合物、4,4’−イソプロピリデンジフェノール(Bis−A)、2−メチレンビス(4−メチルフェノール)、4−(2−フェニルプロパン−2−イル)ベンゼンー1,3ジオール等のビスフェノール類、4,4’ジヒドロキシビフェノール、4,4’ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’ジヒドロキシジフェニルスルホン等のビフェノール類及びフェノール樹脂、ポリフェノール、ポリ(ヒドロキシスチレン)等の高分子化合物等を例示することができる。
本発明の組成物において、フェノール性化合物は、溶媒ではなく、ドーパントとして存在している。フェノール性化合物がドーパントであることは、フェノール性化合物を添加した本発明の組成物から製造した成形体は、これを添加しない成形体に比べて電気伝導率が非常に高いこと、及び有機溶剤を除去した後の、フェノール性化合物を含む本発明の導電性ポリアニリン組成物から得られる成形体とフェノール性化合物を含まないポリアニリン複合体から得られる成形体とが、異なるUV−vis(紫外可視)スペクトルを示すことによって裏付けられ、有機溶剤を除去した後の成形体中にフェノール性化合物が残存していることは明らかである。このことは、本発明において好適に用いられるフェノール性化合物に、前述のようにフェノール、クレゾールのような溶剤にとどまらず、ナフトールや2−メチレンビス(4−メチルフェノール)のような、通常一般には溶剤と認識されない化合物が含まれることからも明らかである。即ち、これらフェノール性化合物は、本発明のポリアニリン複合体に強く分子相互作用を及ぼし、高い伝導率を発現する新たな組成物を形成するのである。
フェノール性化合物のポリアニリン複合体1gに対するモル濃度は、0.01mmol/g〜50mmol/gの範囲であることが好ましい。この化合物の添加量が少なすぎると、電気伝導率の改善効果が得られないおそれがある。また、多すぎる場合にも、組成物の均一性が損なわれたり、余剰のフェノール性化合物の影響で透明性や電気特性が損なわれた材料となるおそれがある。特に、0.05mmol/g〜20mmol/gの範囲であることが好ましい。
耐熱性の観点から、フェノール性化合物は、好ましくは芳香環を2個以上有し、より好ましくは芳香環を2個有することが好ましい。芳香環を2個以上有するフェノール性化合物としては芳香族性を有していれば特に制限は無く、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、ピリジン環、ピロール環等の芳香環を2つ以上有し、かつフェノール性水酸基を1つ以上有するものが使用できる。
このような化合物として、下記式(IV)で表されるものが好ましく使用できる。
Ar−X−Ar’ (IV)
[式中、Xは単結合、酸素原子、窒素原子を含む基、又は炭素原子を含む基であり、Ar及びAr’は芳香環基であり、両者は同一でも異なってもよい。Ar及び/又はAr’は、少なくとも一つの水酸基を有する。ArとAr’は、ハロゲン原子、ニトロ基、ニトリル基、アミノ基、シアノ基及びカルボニル基からなる群から選択される置換基を1つ以上有してもよい。]
Xとしては、単結合、酸素原子、−NH−、−NHCO−、−COO−、−CO−、−COCH−、−OCO−、−CH−、−C−、−C−等が挙げられる。耐熱性と高い導電性を得るという観点から、好ましいXとして、酸素原子を挙げることができる。
Xは、フェノール性化合物中に1個又は2個存在させることができる。2個存在する場合、2つのXは同一でも異なっていてもよい。このようなものとして、例えば、Xとして単結合と−CH−を有するフルオレン構造が挙げられる。
Ar、Ar’上の置換基のうち、炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基等が挙げられる。
また、Ar、Ar’のその他の置換基としては、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、ニトリル基、カルボニル基等が挙げられる。
また、Ar又はAr’の複数の置換基は、互いに結合して環を形成してもよい。環構造としては、例えば、シクロヘキシル環、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、ピリジン環、ピロール環等が挙げられる。
また、2個の芳香環がXを介して結合している式(IV)化合物以外の好ましいフェノール性化合物として、ナフタレン環やアントラセン環のような多環芳香環に水酸基が付加したフェノール性化合物が挙げられる。このような化合物は、耐熱性と高い導電性が発現する点で好ましい。このような化合物として、例えば、α−ナフトールやβ−ナフトールが挙げられる。
芳香族環を2個以上含むフェノール性化合物は、融点が室温以上又は、室温での沸点が200℃以上のフェノール性化合物が好ましい。特に好ましくは、2−、3−、又は4−ヒドロキシビフェニル、2−、3−、又は4−フェノキシフェノール、1−又は2−ナフトール等が挙げられる。
ポリアニリン組成物に含まれる有機溶剤は、有機溶剤が実質的に水に混和しない溶剤(水不混和性有機溶剤)でも、水溶性有機溶剤でもよい。
水不混和性有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、テトラリン、スチレン誘導体(例えばスチレン、ジビニルベンゼン等)等の芳香族溶剤、クロロホルム、ジクロロメタン等の含ハロゲン溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等の炭素数4以上のケトン類、ペンタノール、ベンジルアルコール等の炭素数5以上のアルコール類、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート等のアクリル誘導体が挙げられる。
水溶性有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、2−メトキシエタノール等の水溶性アルコール、アセトン、ガンマブチロラクトン等の水溶性ケトン、テトラヒドロフラン等の水溶性含酸素環誘導体、Nメチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルフォキシド等の、非プロトン性極性溶剤が挙げられる。
本発明のポリアニリン複合体とフェノール性化合物は、2−ブタノール、2−ペンタノール、ベンジルアルコール等のアルコールに溶解する。アルコールは、トルエン等と異なり環境負荷低減の観点から好ましい。
また、有機溶剤を用いるに当たり、水不混和性有機溶剤と水溶性有機溶剤との混合有機溶剤を99〜50:1〜50の質量比で用いることにより、本発明で得られるポリアニリン複合体溶液を保存する際に、ゲル等の発生を防止でき、長期保存する上から好ましい。
有機溶剤中のポリアニリン複合体の割合は、有機溶剤の種類によるが、通常、900g/L以下であり、好ましくは0.01〜300g/L以下の範囲である。ポリアニリン複合体の含有量が多すぎると、溶液状態が保持できなくなり、成形体を成形する際の取り扱いが困難になり、成形体の均一性が損なわれ、ひいては成形体の電気特性や機械的強度、透明性の低下を生じる。一方、ポリアニリン複合体の含有量が少なすぎると、後述する方法により成膜したとき、非常に薄い膜しか製造できず、均一な導電性膜の製造が難しくなる恐れがある。
本発明のポリアニリン組成物は導電性であり、その導電性はポリアニリン複合体の性状や、用いるフェノール性水酸基を有する化合物の種類や添加量により幅広く制御可能であって、各種の用途に応じて使い分けることが可能であるが、通常では1.0S/cm以上、好ましくは、50S/cm以上、さらに好ましくは100S/cmである。
本発明のポリアニリン組成物には、目的に応じて他の樹脂、無機材料、硬化剤、又は可塑剤等を添加してもよい。
他の樹脂は、例えば、バインダー基材や可塑剤、マトリックス基材等の目的で添加され、その具体例としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、塩素化ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリビニルアルコール等が挙げられる。好ましくは塩素化ポリオレフィンである。
また樹脂の代わりに、また樹脂と共に、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂を形成し得る前駆体を用いてもよい。
また本発明によれば、溶解可能な有機媒体としてスチレン、ジビニルベンゼン等のスチレン誘導体、あるいはメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート等のアクリル誘導体を用いることができる。このことは、これら反応性官能基を有する有機媒体とポリアニリンを均質に混合、溶解させた後に、任意の方法でこれら反応性官能基を有する有機媒体を反応させることにより、導電性を有する各種の複合体が得られることを意味する。即ち、例えば、熱硬化型やUV硬化型の導電性硬化樹脂を、必要な用途に応じて提供できる。
無機材料は、例えば、強度、表面硬度、寸法安定性その他の機械的物性の向上等の目的で添加され、その具体例としては、例えば、シリカ(二酸化ケイ素)、チタニア(酸化チタン)、アルミナ(酸化アルミニウム)等が挙げられる。
硬化剤は、例えば、強度、表面硬度、寸法安定性その他の機械的物性の向上等の目的で添加され、その具体例としては、例えば、フェノール樹脂等の熱硬化剤、アクリレート系モノマーと光重合性開始剤による光硬化剤等が挙げられる。
可塑剤は、例えば、引張強度や曲げ強度等の機械的特性の向上等の目的で添加され、その具体例としては、例えば、フタル酸エステル類やリン酸エステル類等が挙げられる。
本発明の導電性ポリアニリン組成物は、置換若しくは非置換ポリアニリン複合体を以下のようにして製造してから、フェノール性化合物と反応させる。
置換又は未置換アニリンを、有機酸又はその塩、及び無機酸又はその塩と共に、−10℃〜20℃の温度において第一段の工程で重合し、さらに前記温度から5℃以上高い温度において3w/m以下の撹拌動力で第二段以降の工程で重合して、有機酸と無機酸でドープされている置換若しくは非置換ポリアニリン複合体を製造する。
好ましくは、第一段の重合温度は−10℃〜20℃であり、第二段以降の重合温度は15℃〜40℃である。第二段以降の重合温度が第一段の重合温度に比較して、5℃以上、好ましくは20〜30℃高い。第二段以降の重合温度によりドープ率を調整できる。即ち、重合温度を高くするとドープ率が理想値である0.5に近づき、さらに無機ドーパントのドープ率が増加する傾向がある。
好ましくは、第一段の撹拌動力は50〜300w/mである。また、好ましくは、第二段以降の撹拌動力は0〜3w/mである。第二段以降の撹拌動力により分子量分布を調整できる。即ち、撹拌動力を小さくすると分子量分布が小さくなる傾向がある。
尚、分子量は、重合に用いる酸化剤濃度、反応時間を変更することにより調整できる。
各段の重合時間は適宜設定できるが、例えば、第一段の重合時間は5〜25時間であり、第二段以降の各段の重合時間は0.5〜4時間である。
ポリアニリン複合体の重合の段数には特に制限はないが、二段重合で効率的に製造できる。
このような多段重合でポリアニリン複合体を製造すると、安定して再現良くポリアニリン複合体を製造できる。
さらに、水不混和性有機溶剤を用いて製造すると、水不混和性有機溶剤と水溶液の二相系で、ポリアニリン複合体を製造できる。
さらに水不混和性有機溶剤と水溶液の二相系で製造する場合、必要に応じて界面活性剤を添加し、反応速度の向上や収率向上を図ることができる。この場合、用いる界面活性剤には特に制限はなく、アニオン性、カチオン性、ノニオン性界面活性剤が広く好適に用いられる。この中で好ましいのはカチオン性及びノニオン性界面活性剤である。
置換又は未置換アニリンに対する有機酸又はその塩、及び無機酸又はその塩の添加量は、適宜設定できるが、例えば、置換又は未置換アニリンに対して、有機酸又はその塩が1〜50モル%及び無機酸又はその塩が10〜100モル%である。
ポリアニリン複合体は、例えば化学酸化重合法や電解重合法により重合する。 有機酸又はその塩は、好ましくは、下記式(I’)で示される有機プロトン酸又はその塩である。
M(XARn)m (I’)
{式中、Mは、水素原子又は有機若しくは無機遊離基であり、Xは、酸性基であり、Aは、置換基を含んでもよい炭化水素基であり、Rは、それぞれ独立して、−R、−OR、−COR、−COOR、−CO(COR)、−CO(COOR)[ここで、Rは炭素数が4以上の置換基を含んでもよい炭化水素基、シリル基、−(RO)x−R基、又は−(OSiR )x−OR基(Rはアルキレン基、Rはそれぞれ同一でも異なってもいてもよい炭化水素基であり、xは1以上の整数である)である]であり、nは2以上の整数であり、mは、Mの価数である}
上記式(I’)において、Mは、水素原子又は有機若しくは無機遊離基である。有機遊離基としては、例えば、ピリジニウム基、イミダゾリウム基、アニリニウム基等が挙げられ、無機遊離基としては、例えば、ナトリウム、リチウム、カリウム、セシウム、アンモニウム等が挙げられる。mは、Mの価数である。
X、A、R、nは上記式(I)と同じである。
式(I’)で示される化合物としては、ジアルキルベンゼンスルフォン酸、ジアルキルナフタレンスルフォン酸、スルホフタール酸エステル、下式(II’)で表される化合物が好ましく利用できる。
M(XCR(CR COOR)COOR (II’)
上記式(II’)において、Mは、式(I’)と同じである。X、R、R、R、Rは、上記式(II)と同じである。pは、上記Mの価数である。
上記有機プロトン酸又はその塩(II’)は、下記式(III’)で示されるスルホコハク酸誘導体(以下、スルホコハク酸誘導体(III’)という)であることがさらに好ましい。
M(OSCH(CHCOOR12)COOR13 (III’)
上記式(III’)において、M及びmは、上記式(I’)と同じである。R12及びR13は、上記式(III)と同じである。
ポリアニリン複合体を得た後、フェノール性化合物と反応させる。フェノール性化合物を、固体状態又は液状で加えても、水不混和性溶剤中に溶解又は懸濁した状態で添加してもよい。好ましくは、添加後も溶解した状態になるように適切な溶剤添加法を選択する。
ポリアニリン複合体を水不混和性有機溶剤中で製造した場合は、水不混和性有機溶剤に溶解した状態のポリアニリン複合体に、フェノール性化合物を添加して製造できる。
本発明のポリアニリン組成物から導電性成形体が得られる。具体的には、本発明のポリアニリン組成物を成形し有機溶剤を除去することにより、導電性成形体が得られる。
本発明の成形体が膜又はフィルムである場合、これらの厚さは、通常1mm以下、好ましくは10nm〜50μmの範囲である。この範囲の厚みの膜は、成膜時にひび割れが生じにくく、電気特性が均一である等の利点を有する。
特に、本発明の導電性ポリアニリン組成物を成膜すると、強靭で柔軟な自立性の導電性フィルムが得られる。このフィルムは、引張り速度1mm/分での引張り伸びが10%以上にもなり得る。
本発明の導電性ポリアニリン組成物を、所望の形状を有するガラスや樹脂フィルム、シート、不織布等の基材に塗布し、有機溶剤を除去することによって導電性膜(表面導電性物品)を製造できる。
組成物を基材に塗布する方法としては、キャスト法、スプレー法、ディップコート法、ドクターブレード法、バーコード法、スピンコート法、エレクトロスピニング法、スクリーン印刷、グラビア印刷法等、公知の一般的な方法を用いることができる。
有機溶剤を除去するには、加熱して有機溶剤を揮発させればよい。有機溶剤を揮発させる方法としては、例えば、空気気流下250℃以下、好ましくは50〜200℃の温度で加熱し、さらに、必要に応じて、減圧下に加熱する。尚、加熱温度及び加熱時間は、特に制限されず、用いる材料に応じて適宜選択すればよい。
また、本発明のポリアニリン組成物は、基材と混合して導電性物品としてもよい。基材としてポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、塩素化ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリビニルアルコール等の熱可塑性樹脂、又はエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。
さらに、本発明の成形体は、基材を有しない自己支持型成形体とすることもできる。自己支持型成形体とする場合には、好ましくは、組成物が上述した他の樹脂を含むようにすると、所望の機械的強度を有する成形体を得ることができる。
[実施例]
実施例1
[ポリアニリン複合体の製造]
AOT(ジイソオクチルスルホコハク酸ナトリウム)1.8gをトルエン50mLに溶解し、窒素気流下においた500mLのセパラブルフラスコに溶液を入れ、さらにこの溶液に、1.8mLのアニリンを加えた。その後、1N塩酸150mLを溶液に添加し、溶液温度を5℃に冷却した。
溶液内温が5℃に到達した時点で、テフロン(登録商標)製アンカー翼にて180w/mの攪拌強度で攪拌を開始し、ここに、3.6gの過硫酸アンモニウムを1N塩酸50mLに溶解した溶液を滴下ロートを用いて、2時間かけて滴下した。滴下開始から18時間、溶液内温を5℃に保ったまま反応を実施した。その後、トルエン125mLを追加し、攪拌強度3w/mの条件で、反応温度を25℃まで上昇させ4時間、反応を継続した。
その後、静置により二相に分離した水相側を分液し、トルエン相側をイオン交換水50mLで2回、1N塩酸50mLで1回洗浄を行うことでポリアニリン複合体トルエン溶液を得た。
この複合体溶液に含まれる若干の不溶物を#5Cの濾紙により除去し、ポリアニリン複合体のトルエン溶液を回収した。この溶液をエバポレーターに移し、60℃の湯浴で加温し、減圧することにより、揮発分を蒸発留去し、1.16gのポリアニリン複合体を得た。
[ポリアニリン複合体の特性及びポリアニリン組成物]
得られたポリアニリン複合体1gを20mlのトルエンに再度溶解し、分液ロート中で、水洗を5回実施し不純物を完全に除去した。その後、トルエンを蒸発乾固し、ポリアニリン複合体を回収して元素分析に供し、炭素、水素、窒素、硫黄、塩素の含量を測定した。この測定から、スルホコハク酸、及び塩素の、ポリアニリン骨格に対するドープ率を算出し、その和をとることで有機酸、無機酸の総ドープ率とした。結果を表1,2に示す。
同時に得られたポリアニリン複合体を1gとり、20mlのトルエンに再溶解した。この溶液を、1N水酸化ナトリウム水溶液40mlに混合し、析出分を濾過、回収した。この固形分を0.01モルのLiBr/N−メチルピロリドン溶液に溶解させ、60℃、流速0.35ml/分の条件で、GPC測定を行いポリスチレン(PS)換算法にて分子量、分子量分布を測定した(使用カラム:TOSOH TSK−GEL GMHHR−H)。結果を表2に示す。
さらに、得られたポリアニリン複合体1gを20mlのトルエンに再度溶解し、均一なポリアニリン複合体溶液を調製し、ITO(インジウム錫酸化物)基板上にスピンコート法で製膜し、4端子法により固有伝導率を測定した。上記と同様にポリアニリン複合体のトルエン溶液を調整し、さらにm−クレゾール2mlを添加してポリアニリン組成物を得た。結果を表2に示す。
得られたポリアニリン組成物溶液をITO基板上にスピンコート法で製膜し、4端子法により固有伝導率を測定した。結果を表2に示す。
実施例2
実施例1にて一段目の重合温度を0℃とした以外は、実施例1と同様の操作を行いポリアニリン複合体を得た。さらにこのポリアニリン複合体を用いて実施例1と同様の手順、操作にて、有機酸、無機酸のドープ率、分子量、分子量分布及びポリアニリン複合体の固有伝導率、またフェノール性化合物との組成物の固有伝導率を測定した。結果を表1,2に示す。
実施例3
実施例1にて二段目の重合温度を10℃とした以外は、実施例1と同様の操作を行いポリアニリン複合体を得た。さらにこのポリアニリン複合体を用いて実施例1と同様の手順、操作にて、有機酸、無機酸のドープ率、分子量、分子量分布及びポリアニリン複合体の固有伝導率、またフェノール性化合物との組成物の固有伝導率を測定した。結果を表1,2に示す。
実施例4
実施例1にて重合に用いる塩酸濃度を0.5Nに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行いポリアニリン複合体を得た。さらにこのポリアニリン複合体を用いて実施例1と同様の手順、操作にて、有機酸、無機酸のドープ率、分子量、分子量分布及びポリアニリン複合体の固有伝導率、またフェノール性化合物との組成物の固有伝導率を測定した。結果を表1,2に示す。
比較例1
AOT1.8gをトルエン50mLに溶解し、窒素気流下においた500mLのセパラブルフラスコに溶液を入れ、さらにこの溶液に、1.8mLのアニリンを加えた。その後、1N塩酸150mLを溶液に添加し、溶液温度を5℃に冷却した。
溶液内温が5℃に到達した時点で、テフロン(登録商標)製アンカー翼にて180w/mの攪拌強度で攪拌を開始し、ここに、3.6gの過硫酸アンモニウムを1N塩酸50mLに溶解した溶液を滴下ロートを用いて、2時間かけて滴下した。滴下開始から18時間、溶液内温を5℃に保ったまま反応を実施した。その後、静置により二相に分離した水相側を分液し、トルエン相側をイオン交換水50mLで2回、1N塩酸50mLで1回洗浄を行うことでポリアニリン複合体トルエン溶液を得た。
この複合体溶液に含まれる若干の不溶物を#5Cの濾紙により除去し、ポリアニリン複合体のトルエン溶液を回収した。この溶液をエバポレーターに移し、60℃の湯浴で加温し、減圧することにより、揮発分を蒸発留去し、1.05gのポリアニリン複合体を得た。
得られたポリアニリン複合体について、実施例1と同様にして固有伝導率、ドープ率、分子量、分子量分布を測定した。またフェノール性化合物との組成物の固有伝導率を測定した。結果を表1,2に示す。
比較例2
AOT1.8gをトルエン50mLに溶解し、窒素気流下においた500mLのセパラブルフラスコに溶液を入れ、さらにこの溶液に、1.8mLのアニリンを加えた。その後、1N塩酸150mLを溶液に添加し、溶液温度を5℃に冷却した。
溶液内温が5℃に到達した時点で、テフロン(登録商標)製アンカー翼にて180w/mの攪拌強度で攪拌を開始し、ここに、3.6gの過硫酸アンモニウムを1N塩酸50mLに溶解した溶液を滴下ロートを用いて、2時間かけて滴下した。滴下開始から4時間、溶液内温を5℃に保ったまま反応を実施した。
その後、静置により二相に分離した水相側を分液し、トルエン相側をイオン交換水50mLで2回、1N塩酸50mLで1回洗浄を行うことでポリアニリン複合体トルエン溶液を得た。
この複合体溶液に含まれる若干の不溶物を#5Cの濾紙により除去し、ポリアニリン複合体のトルエン溶液を回収した。この溶液をエバポレーターに移し、60℃の湯浴で加温し、減圧することにより、揮発分を蒸発留去し、0.55gのポリアニリン複合体を得た。
得られたポリアニリン複合体について、実施例1と同様にしてドープ率、分子量、分子量分布、固有伝導率を測定した。またフェノール性化合物との組成物の固有伝導率を測定した。結果を表1,2に示す。
比較例3
AOT2.7gをトルエン50mLに溶解し、窒素気流下においた500mLのセパラブルフラスコに溶液を入れ、さらにこの溶液に、1.8mLのアニリンを加えた。その後、1N塩酸150mLを溶液に添加し、溶液温度を5℃に冷却した。
溶液内温が5℃に到達した時点で、テフロン(登録商標)製アンカー翼にて180w/mの攪拌強度で攪拌を開始し、ここに、3.6gの過硫酸アンモニウムを1N塩酸50mLに溶解した溶液を滴下ロートを用いて、2時間かけて滴下した。滴下開始から18時間、溶液内温を5℃に保ったまま反応を実施した。その後、トルエン125mLを追加し、攪拌強度22w/mの条件で、反応温度を25℃まで上昇させ4時間、反応を継続した。
その後は、実施例1と同様の操作でポリアニリン複合体を得た。さらに実施例1と同様の手順、操作にてドープ率、分子量、分子量分布、固有伝導率を測定した。またフェノール性化合物との組成物の固有伝導率を測定した。結果を表1,2に示す。
比較例4
実施例1で、重合に用いるAOTの量を0.9gに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行いポリアニリン複合体の重合を実施した。しかしながら、この場合はトルエン相側から殆ど、ポリアニリン複合体が回収されず、大部分が不溶分として回収された。この不溶分を濾別し、水にて数回洗浄し乾燥した後、さらにヘキサンで2回洗浄し精製した。このものを実施例1と同様に元素分析に供し、ドープ率の測定を実施した。
同時に得られたポリアニリン複合体を実施例1と同様に1N水酸化ナトリウム水溶液に混合し、再回収後、GPC測定に供し、分子量、分子量分布を測定した。
さらに、得られたポリアニリン複合体を実施例1と同様にトルエンに再溶解させ固有導電率の測定を試みたが、殆どが溶解せず、測定不能であった。
Figure 2009084418
Figure 2009084418
表2から、実施例1〜4におけるポリアニリン複合体にフェノール性化合物を添加すると飛躍的に固有伝導率が向上すること、また、比較例1〜4より、フェノール性化合物の添加効果は、得られたポリアニリン複合体のドープ率、そのうちの無機ドーパントの含量、及び分子量、分子量分布といったポリマーの構造因子に依存することが明らかである。
実施例5
実施例1で得られたポリアニリン複合体1gを20mlのトルエンに再度溶解し、均一なポリアニリン複合体溶液を調製した。ここに、m−クレゾールの代わりに2−ナフトール1gを添加して、ポリアニリン組成物を得た。この溶液をITO基板上にスピンコート法で製膜し、4端子法により固有伝導率を測定した。得られた塗布膜の固有伝導率は122S/cmであった。
実施例6
実施例5で、2−ナフトールの代わりに、2−メチレンビス(4−メチルフェノール)1gを用いた以外は、実施例5と同様な操作を行い、ポリアニリン組成物を得た。この溶液をITO基板上にスピンコート法で製膜し、4端子法により固有伝導率を測定した。得られた塗布膜の固有伝導率は76S/cmであった。
実施例5,6より、本発明でのフェノール性化合物の役割は、単なる溶剤としての機能ではなく、ポリアニリン複合体に分子相互作用を及ぼし、高い固有伝導率を有する組成物を形成せしめることであることが、明らかである。
実施例7
実施例1で得られたポリアニリン複合体1gをアルコール溶剤20mlに溶解させた以外は、実施例1と同様な操作を行い、固有伝導率を測定した。用いた溶剤と得られた固有伝導率を表3に示す。
Figure 2009084418
実施例8
実施例1で得られたポリアニリン複合体1gを20mlのトルエン溶液に再度溶解し、ポリアニリン複合体溶液を調製し、さらにm−クレゾール2mlを添加してポリアニリン組成物を得た。
この組成物をガラス基板上、14mm×52mmの範囲に展開し、空気気流下、80℃で30分間乾燥し、厚さ16μmの導電性膜を作成した。得られた導電性膜を、引張り試験機を用いて、DIN53504−53に準拠し、引張り速度1mm/min.にて引張り試験を実施した。その結果、破断伸びは22%であった。
実施例9
実施例8で得られたポリアニリン組成物をスピンコート法によりガラス基板に塗布し、この基板を窒素雰囲気下、105℃、500時間保持して表面抵抗値の変化を測定した。結果を表4に示す。
実施例10
実施例1で得られたポリアニリン複合体をトルエンに溶解させ、5重量%のポリアニリン複合体溶液を調製した。この溶液5gに塩素化ポリエチレン樹脂スーパークロンHE−505(日本製紙ケミカル株式会社製)を1.25g添加し、m−クレゾール2mLを添加して均一な溶液とし、ポリアニリン組成物を得た。
0.3mm厚スーパーピュアレイシート(SG−140TC、出光ユニテック社製)に上記で調製した組成物をバーコーターを用いて塗布し、80℃のオーブン中で5分間乾燥し、導電シートを得た。このシートの表面抵抗は1.4×10Ω/□であった。
さらに、この溶液をスピンコート法によりガラス基板に塗布し、この基板を窒素雰囲気下、105℃、500時間保持して表面抵抗値の変化を測定した。結果を表4に示す。
実施例11
実施例10にて塩素化ポリエチレン樹脂として、スーパークロンHE505の代わりに、HE910(日本製紙ケミカル株式会社製)を用いたこと以外は実施例10と同様な操作を行い、窒素雰囲気下、105℃、500時間保持して表面抵抗値の変化を測定した。結果を表4に示す。
表4に示すように、塩素化ポリオレフィンを添加したポリアニリン組成物では、大幅に高温暴露下での抵抗安定性が改善されている。
Figure 2009084418
実施例12
(1)3,4−ビス[(2−エチルヘキシル)オキシカルボニル]シクロヘキサンスルホン酸ナトリウムの合成
アルゴンガス気流下、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ(2−エチルヘキシル)エステル(東京化成社製)80gとイソプロピルアルコール900mLを仕込み、亜硫酸水素ナトリウム(和光純薬製)42.3gの水660mL溶液を添加した。この溶液を還流の温度まで加熱し、80〜83℃で16時間攪拌した。この間、還流開始から、1〜5時間後までの1時間毎、その後、9時間後、10時間後に2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(和光純薬製)1.66gをそれぞれ添加した。反応液を室温まで冷却したのち、減圧下に濃縮を行った。濃縮残渣を酢酸エチル/ヘキサン混合溶液に1Lに溶解し、シリカゲル250gを加えて攪拌し、溶液を濾別した。さらに、シリカゲルから1Lの酢酸エチル/ヘキサン溶液で2回抽出を行い、濾液を合せて減圧下に濃縮した。この濃縮液をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル1500g、展開溶媒:酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、精製物を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶剤を減圧留去することで、3,4−ビス[(2−エチルヘキシル)オキシカルボニル]シクロヘキサンスルホン酸ナトリウム(下記式に示す化合物AのNa塩)52.4gを得た。
Figure 2009084418
(2)ポリアニリン複合体及び組成物の製造
実施例1にてAOT1.8gの代わりに、上記(1)で合成した3,4−ビス[(2−エチルヘキシル)オキシカルボニル]シクロヘキサンスルホン酸ナトリウム2.0gを用いた他は、実施例1と全く同様の操作、手順にてポリアニリン複合体を得、有機酸、無機酸のドープ率、分子量、分子量分布、固有伝導率を測定した。またフェノール性化合物との組成物の固有伝導率を測定した。結果を表5に示す。表5に示されるように、本発明においては、AOTに代表されるスルホコハク酸以外の有機酸を用いても、高導電性の導電性組成物を得ることができる。
Figure 2009084418
実施例13
実施例1で得られたポリアニリン複合体をクロロホルムに溶解させ、5重量%のポリアニリン複合体溶液を調製した。その溶液200gに重量平均分子量(Mw)が900000のポリエチレンオキサイド(Aldrich)を6g添加し、m−クレゾール20g及びイソプロピルアルコール150gを添加して均一な溶液とし、組成物を得た。
この溶液をNanospider NS LAB 200S(Elmarco社製)を用い、電極間160mm、電圧50kV、シリンダー回転数3.5rpm、巻取り速度8cm/minにて、エレクトロスピニングをおこない,直径100nm〜300nmの糸状の組成物を得た。基材にはそれぞれ厚み0.3mm、幅40cmであるポリプロピレン製シート及び目付け20g/m、幅40cmであるポリプロピレン製不織布を用いた。ポリプロピレン製シート及びポリプロピレン製不織布へのポリアニリン組成物の付着量をエレクトロスピニング前後の重量差を測定することにより求めた。その結果、ポリアニリン組成物の付着量は、いずれも0.4〜0.8g/mであった。
実施例14
実施例1で得られたポリアニリン複合体をクロロホルムに溶解させ、5重量%のポリアニリン複合体溶液を調製した。その溶液410gに重量平均分子量(Mw)が900000のポリエチレンオキサイド(Aldrich)を1g添加し、m−クレゾール20g及びイソプロピルアルコール210gを添加して均一な溶液とし、組成物を得た。
この溶液をNanospider NS LAB 200S(Elmarco社製)を用い、電極間160mm、電圧73kV、シリンダー回転数3rpm、巻き取り速度8cm/minにてエレクトロスピニングをおこない、直径300nm以下の糸状の組成物を得た。基材にはそれぞれ厚み0.3mmで幅40cmであるポリプロピレン製シート、厚み0.1mmで幅40cmであるPET製シート及び目付け30g/m、幅40cmであるポリプロピレン製不織布を用いた。ポリプロピレン製シート、PET製シート及びポリプロピレン製不織布へのポリアニリン組成物の付着量をエレクトロスピニング前後の重量差を測定することにより求めた。その結果、ポリアニリン組成物の付着量は、いずれも0.4〜0.8g/mであった。
実施例15
実施例1で得られたポリアニリン複合体5質量部を、クロロホルム又はトルエン95質量部に溶解させた。この溶液に、さらにm−クレゾール10質量部、表6に示す各種高極性有機溶剤1〜90質量部を加えポリアニリン組成物溶液を調製した。得られたポリアニリン組成物溶液をITO基板上にスピンコート法で製膜し、4端子法により固有伝導率を測定したところ、表6の結果が得られた。
また、得られた各ポリアニリン組成物溶液の保存安定性をそれぞれ調べたところ、10日間保存してもいずれもゲルの発生は見られなかった。
Figure 2009084418
本発明のポリアニリン複合体、導電性ポリアニリン組成物、成形体はパワーエレクトロニクス、オプトエレクトロニクス分野において、静電・帯電防止材料、透明電極や導電性フィルム材料、エレクトロルミネッセンス素子の材料、回路材料、アンテナ材料、電磁波遮蔽材料、コンデンサの電極・誘電体・電解質、太陽電池や二次電池の極材料、燃料電池セパレータ材料、アクチュエーター、各種センサー基材等、あるいはメッキ下地剤、防錆剤に利用できる。

Claims (25)

  1. 有機溶剤、及び
    有機酸と、無機酸でドープされている置換若しくは非置換ポリアニリン複合体と、
    フェノール性水酸基を有する化合物を含む導電性ポリアニリン組成物であって、
    前記ポリアニリン複合体における有機酸と無機酸のドープ率の総和(a)が0.4<a<0.6であり、
    ドープ率の総和(a)のうち、無機酸のドープ率(b)の割合(b/a)が0.02以上であり、
    前記ポリアニリン複合体の重量平均分子量が20,000以上で、分子量分布が5.0未満であることを特徴とする導電性ポリアニリン組成物。
  2. 前記フェノール性水酸基を有する化合物の、前記ポリアニリン複合体1gに対するモル濃度が、0.01mmol/g〜50mmol/gの範囲である請求項1記載の導電性ポリアニリン組成物。
  3. 前記有機酸が、下記式(I)
    HXARn (I)
    {式中、Xは、酸性基であり、Aは、置換基を含んでもよい炭化水素基であり、Rは、それぞれ独立して、−R、−OR、−COR、−COOR、−CO(COR)、又は−CO(COOR)[ここで、Rは炭素数が4以上の置換基を含んでもよい炭化水素基、シリル基、−(RO)x−R基、又は−(OSiR )x−OR基(Rはアルキレン基、Rはそれぞれ同一でも異なってもいてもよい炭化水素基であり、xは1以上の整数である)である]であり、nは2以上の整数である}
    で示される有機プロトン酸である請求項1又は2記載の導電性ポリアニリン組成物。
  4. 式(I)で示される有機プロトン酸が、下記式(II)
    HXCR(CR COOR)COOR (II)
    {式中、Xは、酸性基であり、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、炭化水素基又はR Si−基(ここで、Rは、炭化水素基であり、3つのRは同一又は異なっていてもよい)であり、R及びRは、それぞれ独立して炭化水素基又は−(RO)−R10基[ここで、Rは炭化水素基又はシリレン基であり、R10は水素原子、炭化水素基又はR11 Si−(R11は、炭化水素基であり、3つのR11は同一又は異なっていてもよい)であり、qは1以上の整数である]である}
    で示される有機プロトン酸である請求項3記載の導電性ポリアニリン組成物。
  5. 式(II)で示される有機プロトン酸が、下記式(III)
    HOSCH(CHCOOR12)COOR13 (III)
    {式中、R12及びR13は、それぞれ独立して炭化水素基又は−(R14O)−R15基[ここで、R14は炭化水素基又はシリレン基であり、R15は水素原子、炭化水素基又はR16 Si−基(ここで、R16は炭化水素基であり、3つのR16は同一又は異なっていてもよい)であり、rは1以上の整数である]である}
    で示されるスルホコハク酸誘導体である請求項4記載の導電性ポリアニリン組成物。
  6. 前記無機酸が塩酸、硫酸、燐酸又は硝酸である請求項1〜5のいずれか記載の導電性ポリアニリン組成物。
  7. 前記有機溶剤が実質的に水に混和しない溶剤である請求項1〜6のいずれか記載の導電性ポリアニリン組成物。
  8. 前記有機溶剤が水溶性有機溶剤である請求項1〜6のいずれか記載の導電性ポリアニリン組成物。
  9. さらに、樹脂又は樹脂の前駆体を含む請求項1〜8のいずれか記載の導電性ポリアニリン組成物。
  10. 前記樹脂が塩素化ポリオレフィンである請求項9記載の導電性ポリアニリン組成物。
  11. 前記有機溶剤が水不混和性有機溶剤と水溶性有機溶剤との混合物であって、その混合比(水不混和性有機溶剤:水溶性有機溶剤)が、99〜50:1〜50の質量比である請求項1〜10のいずれか記載の導電性ポリアニリン組成物。
  12. 前記水不混和性有機溶剤は、芳香族溶剤、含ハロゲン溶剤、エステル系溶剤、炭素数4以上のケトン類、炭素数5以上のアルコール類、アクリル誘導体から選択され、
    前記水溶性有機溶剤は、水溶性アルコール、水溶性ケトン、水溶性含酸素環誘導体、非プロトン性極性溶剤から選択されたものである請求項11に記載の導電性ポリアニリン組成物。
  13. 置換又は未置換アニリンを、有機酸又はその塩、及び無機酸又はその塩と共に、−10℃〜20℃の温度において第一段の工程で重合し、さらに前記温度から5℃以上高い温度において3w/m以下の撹拌動力で第二段以降の工程で重合する、有機酸と無機酸でドープされている置換若しくは非置換ポリアニリン複合体の製造方法。
  14. 実質的に水と混和しない有機溶剤と水溶液の二相系で、ポリアニリン複合体を製造する請求項13に記載のポリアニリン複合体の製造方法。
  15. 前記有機酸又はその塩が、下記一般式(I’)
    M(XARn)m (I’)
    {式中、
    Mは、水素原子又は有機若しくは無機遊離基であり、
    Xは、酸性基であり、
    Aは、置換基を含んでもよい炭化水素基であり、
    Rは、それぞれ独立して、−R、−OR、−COR、−COOR、−CO(COR)、又は−CO(COOR)[ここで、Rは置換基を含んでもよい炭素数が4以上の炭化水素基、シリル基、アルキルシリル基、−(RO)x−R基、又は−(OSiR )x−OR(Rはアルキレン基、Rはそれぞれ同一でも異なってもいてもよい炭化水素基であり、xは1以上の整数である)である]であり、
    nは2以上の整数であり、
    mは、Mの価数である}
    で示される有機プロトン酸又はその塩である請求項13又は14記載のポリアニリン複合体の製造方法。
  16. 式(I)で示される有機プロトン酸又はその塩が、下記式(II’)
    M(XCR(CR COOR)COOR (II’)
    {式中、
    Mは、水素原子又は有機若しくは無機遊離基であり、
    Xは、酸性基であり、
    及びRは、それぞれ独立して水素原子、炭化水素基又はR Si−基(ここで、Rは、炭化水素基であり、3つのRは同一又は異なっていてもよい)であり、
    及びRは、それぞれ独立して炭化水素基又は−(RO)−R10基[ここで、Rは炭化水素基又はシリレン基であり、R10は水素原子、炭化水素基又はR11 Si−(R11は、炭化水素基であり、3つのR11は同一又は異なっていてもよい)であり、qは1以上の整数である]であり、pは、Mの価数である}
    で示される有機プロトン酸又はその塩である請求項15記載のポリアニリン複合体の製造方法。
  17. 式(II)で示される有機プロトン酸又はその塩が、下記式(III’)
    M(OSCH(CHCOOR12)COOR13 (III’)
    {式中、Mは、水素原子又は有機若しくは無機遊離基であり、R12及びR13は、それぞれ独立して炭化水素基又は−(R14O)−R15基[ここで、R14は炭化水素基又はシリレン基であり、R15は水素原子、炭化水素基又はR16 Si−基(ここで、R16は炭化水素基であり、3つのR16は同一又は異なっていてもよい)であり、rは1以上の整数である]であり、mは、Mの価数である}で示されるスルホコハク酸誘導体である請求項16記載のポリアニリン複合体の製造方法。
  18. 請求項13〜17のいずれか記載の製造方法により得られる有機酸と無機酸でドープされている置換若しくは非置換ポリアニリン複合体。
  19. 請求項18記載の有機酸と無機酸でドープされている置換若しくは非置換ポリアニリン複合体とフェノール性水酸基を有する化合物とを反応させる導電性ポリアニリン組成物の製造方法。
  20. 請求項1〜12のいずれか記載の導電性ポリアニリン組成物を成形してなる導電性成形体。
  21. 請求項1〜12のいずれか記載の導電性ポリアニリン組成物を成形してなる導電性フィルム。
  22. 請求項1〜12のいずれか記載の導電性ポリアニリン組成物を、基材に塗布してなる表面導電性物品。
  23. 基材が樹脂フィルムである請求項22記載の表面導電性物品。
  24. 請求項1〜12のいずれか記載の導電性ポリアニリン組成物を、基材と混合してなる導電性物品。
  25. 請求項1〜12のいずれか記載の導電性ポリアニリン組成物を、基材にエレクトロスピニングしてなる導電性物品。
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