JPWO2009041298A1 - 防眩フィルム、及びその製造方法 - Google Patents

防眩フィルム、及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等の画像表示装置の使用時に反射像の写り込みが気にならないようにする防眩フィルムの製造において、ウェブの搬送張力を、ウェブの左右両端部において互いに異なるように調整することにより、ウェブ搬送の左右ムラを小さく抑えることができて、フィルムのツレやシワの発生を防止し得て、平面性に優れ、表面のギラツキ、異物故障を低減した防眩フィルム、及びその製造方法を提供する。溶液流延製膜法による防眩フィルムの製造方法は、鋳型加工ロールのウェブ搬送方向の上流側または下流側においてウェブの搬送張力を、ウェブの左右両端部において互いに異なるように調整する。同側にウェブ搬送張力を左右独立に測定する手段を設け、測定手段によるウェブ左右両端部のウェブ搬送張力の測定値の差が、1〜5%となるように、ウェブ搬送張力調整機構を微動調整する。

Description

本発明は、防眩フィルム、及びその製造方法に関する。
画像ディスプレイ装置の表面においては、外光の写り込みを防いだり、ギラツキの少ない表示性能を得るために表面に微細な凹凸を設けて反射光を散乱させる防眩性を付与させることが多い。凹凸面の上にさらに反射防止層を設けることもある。
防眩層は、表面に反射した像の輪郭をぼかすことによって反射像の視認性を低下させて、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイといった画像表示装置などの使用時に反射像の写り込みが気にならないようにするものである。また、光源側からの透過光を適切にぼかすことで、ディスプレイ画素のギラツキを抑制する効果も持つ。また、ディスプレイの表面は手で触れる機会も多く、傷や指紋が付かないことも求められている。
こうした画像ディスプレイ装置の前面板として用いられる防眩フィルムは、透明フィルム基材表面の塗布、または全面エンボス加工等で作製される。防眩フィルムの上に、さらに反射防止層が塗布または化学的あるいは物理的蒸着等により形成されることもある。
近年、表示装置の大画面化のため、防眩フィルムの幅も広いものが求められている。特に大画面においては、平面性に優れた防眩フィルムが求められているが、従来の防眩フィルムでは、特に広幅では平面性に優れたものが得られず、また耐擦傷性についても、広い面積のフィルムでは、十分なものが得られなかった。
従来、防眩フィルムを得るには、無機または有機の単一種類あるいは異なる粒径の複数種の粒子をフィルムに塗布し、表面に凹凸を設ける方法が知られているが、比較的大きい粒子によるギラツキの問題や、製造時の異物故障の問題があった。
一方、特別な防眩層を設けずに、基材自身に凹凸を付与し、その上にハードコート層や反射防止層を設けて、防眩効果を有する防眩フィルムを得る方法も、従来より知られている。このような基材自身に凹凸を付与して、防眩効果を生じさせる技術に関わる特許文献には、従来、つぎのようなものがある。
特許文献1には、セルロース系プラスチックを主とする保護基板を粘着してなる偏光板において、保護基板の表面にエンボス加工して微細凹凸面を形成し、その凹凸面を有機溶媒により一部溶解して、無反射の偏光板を提供する技術が開示されている。
また、特許文献2には、トリアセチルセルロースフィルムの製造時に、ドープを流延する支持体に凹凸面を設け、製膜と同時にフィルム面に凹凸を付与し、防眩性トリアセチルセルロースフィルムを製造する技術が開示されている。
また、特許文献3には、残留溶媒を含んだ状態のフィルムに規則的な形状のエンボス加工をする方法が開示されている。
さらに、特許文献4には、支持体上に反射防止層あるいはハードコート層を設けた後に、活性エネルギー線照射により該層を予備硬化した後にエンボス加工し、その後、再度活性エネルギー線を照射して、防眩フィルムを得る方法が開示されている。
特公平4−59605号公報 特開平10−119067号公報 特開2005−258055号公報 特開2005−195726号公報
しかしながら、特許文献1の方法では、有機溶媒による凹凸面の溶解を伴うことから、基板自身の溶媒による平面性の劣化を生じたり、溶媒により基板が白濁したりするという欠点があり、好ましくない。特許文献2の方法では、流延装置に特別な流延支持体が必要であり、さらに高い残留溶媒を含んだ状態で凹凸面を形成するため、凹凸面形成の制御が困難であり、剥離しにくくなり剥離時の故障が生じやすく、でき上がったフィルムの平面性が劣るという問題がある。また流延支持体の洗浄やメンテナンスにコストがかかり、生産性に劣る。
特許文献3の方法では、エンボス加工開始時の溶媒含有量がフィルム固形分に対して2.0〜4.0倍と高い状態での加工のため、ウェブ(フィルム)が柔らかく、平坦であるべき反加工面にも変形が生じてしまう、エンボス加工ロールへウェブ(フィルム)が入る際に、ツレやシワが発生しやすいといった欠点を持つ。また、ウェブ(フィルム)の残留溶媒量が大きいときは、加工中のフィルムの乾燥によるフィルムの幅手方向あるいは搬送方向の収縮が大きく、それらの収縮のためにエンボス加工用鋳型ロールの凹凸形状の精密な転写が困難であり、特に、フィルム幅手方向の収縮に起因する、該幅手方向の微細な傷が発生するといった問題がある。
さらに、特許文献4の方法では、予備硬化条件によっては塗布液とエンボス加工ロールとの離型性が悪く、塗膜が剥がれてしまったり、また表面の凹凸にムラができやすい、表面にクラックが入って、射防止層あるいはハードコート層が剥がれ落ちたり、湿度変動の影響を受けやすくなる、といった欠点を持つ。
よって近年は、広幅および/または薄膜の防眩フィルムを低コストで、安定に製造でき、しかもフィルム表面のギラツキや、異物故障が生じにくく、平面性に優れた防眩フィルムの出現が、待たれている状態にある。
本発明の目的は、上記の従来技術の問題を解決し、平面性に優れ、表面のギラツキ、異物故障を低減した防眩フィルム、及びその製造方法を提供しようとすることにある。
本発明者は、上記の点に鑑み鋭意研究を重ねた結果、溶液流延製膜法により、樹脂を溶剤に溶解したドープ(樹脂溶液)を、平滑面を有する回転駆動支持体上に流延し、剥離可能となるまで支持体上で溶剤を揮発させて、ウェブ(支持体上にドープを流延した以降の残留溶媒を含むフィルムをウェブと言う)を形成した際、支持体より剥離された残留溶媒を含むウェブは、加工性が良好であり、ウェブに全面エンボス加工をしやすい反面、ウェブが柔らかいため、エンボス加工時の鋳型加工ロールとバックアップロールの精度の狂いにより、フィルムにシワが発生しやすく、また仮に、これらの精度が充分であっても、ウェブ搬送時の蛇行および/または斜行や、幅手方向のウェブの膜厚分布の変動により、シワが発生しやすいものであるが、鋳型加工ロールのウェブ搬送方向の上流側または下流側において、ウェブの搬送張力を、ウェブの左右両端部において互いに異なるように調整することにより、ウェブ搬送の左右ムラを小さく抑えることができて、フィルムのツレやシワの発生を防止し得ることを見い出し、本発明を完成するに至ったものである。
上記の目的を達成するために、請求の範囲第1項の発明は、樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液を、平滑面を有する回転駆動支持体上に流延し、剥離可能となるまで支持体上で溶剤を揮発させて、ウェブ(支持体上にドープを流延した以降の残留溶媒を含むフィルムをウェブと言う)を形成した後、支持体より剥離したウェブを乾燥する工程の途上において、ウェブ表面に鋳型加工ロールを押し当てて、フィルム表面に凹凸を形成する、溶液流延製膜法による防眩フィルムの製造方法であって、鋳型加工ロールのウェブ搬送方向の上流側または下流側においてウェブの搬送張力を、ウェブの左右両端部において互いに異なるように調整することを特徴としている。
請求の範囲第2項の発明は、請求の範囲第1項に記載の防眩フィルムの製造方法であって、鋳型加工ロールのウェブ搬送方向の上流側または下流側に、ウェブの搬送張力を該ウェブの左右両端部において互いに異なるように調整するウェブ搬送張力調整機構が設けられるとともに、同側にウェブ搬送張力を左右独立に測定する手段が設けられており、測定手段によるウェブ左右両端部のウェブ搬送張力の測定値の差が、1〜5%となるように、ウェブ搬送張力調整機構を微動調整することを特徴としている。
請求の範囲第3項の発明は、請求の範囲第1項または第2項に記載の防眩フィルムの製造方法であって、鋳型加工ロールによる凹凸形成時のウェブ中の残留溶媒量が、10〜70質量%であることを特徴としている。
請求の範囲第4項の発明は、請求の範囲第1項乃至第3項のうちのいずれか一項に記載の防眩フィルムの製造方法であって、鋳型加工ロールによる凹凸形成時、鋳型加工ロールへのウェブの接触時間を、2.5×10−3〜1.0秒とすることを特徴としている。
請求の範囲第5項の発明は、請求の範囲第1項乃至第4項のうちのいずれか一項に記載の防眩フィルムの製造方法であって、鋳型加工ロールのウェブへの圧力が、200〜50000N/mであることを特徴としている。
請求の範囲第6項の発明は、請求の範囲第2項に記載の防眩フィルムの製造方法であって、ウェブ搬送張力調整機構は、測定手段によるウェブ左右両端部のウェブ搬送張力の測定値の差が、2〜4.5%となるように調整することを特徴としている。
請求の範囲第7項の防眩フィルムの発明は、請求の範囲第1項乃至第6項のうちのいずれか一項に記載の方法で製造されたことを特徴としている。
請求の範囲第1項の発明は、熱可塑性樹脂を溶剤に溶解したドープ(樹脂溶液)を、平滑面を有する回転駆動支持体上に流延し、剥離可能となるまで支持体上で溶剤を揮発させて、ウェブを形成した後、支持体より剥離したウェブを乾燥する工程の途上において、ウェブ表面に鋳型加工ロールを押し当てゝ、フィルム表面に凹凸を形成する、溶液流延製膜法による防眩フィルムの製造方法であって、鋳型加工ロールのウェブ搬送方向の上流側または下流側においてウェブの搬送張力を、ウェブの左右両端部において互いに異なるように調整するもので、請求の範囲第1項の発明によれば、ツレ・シワや表面の微小な傷を発生させることなく、平面性に優れ、表面のギラツキ、異物故障を低減した防眩フィルムを、高い生産性で製造することができるという効果を奏する。
請求の範囲第2項の発明は、請求の範囲第1項に記載の防眩フィルムの製造方法であって、鋳型加工ロールのウェブ搬送方向の上流側または下流側に、ウェブの搬送張力を該ウェブの左右両端部において互いに異なるように調整するウェブ搬送張力調整機構が設けられるとともに、同側にウェブ搬送張力を左右独立に測定する手段が設けられており、測定手段によるウェブ左右両端部のウェブ搬送張力の測定値の差が、1〜5%となるように、ウェブ搬送張力調整機構を微動調整するもので、請求の範囲第2項の発明によれば、ツレ・シワや表面の微小な傷を発生させることなく、平面性に優れ、表面のギラツキ、異物故障を低減した防眩フィルムを、高い生産性で製造することができるという効果を奏する。
請求の範囲第3項の発明は、請求の範囲第1項または第2項に記載の防眩フィルムの製造方法であって、鋳型加工ロールによる凹凸形成時のウェブ中の残留溶媒量が、10〜70質量%であるもので、請求の範囲第3項の発明によれば、ツレ・シワや表面の微小な傷を発生させることなく、平面性に優れ、表面のギラツキ、異物故障を低減した防眩フィルムを製造することができるという効果を奏する。
請求の範囲第4項の発明は、請求の範囲第1項乃至第3項のうちのいずれか一項に記載の防眩フィルムの製造方法であって、鋳型加工ロールによる凹凸形成時、鋳型加工ロールへのウェブの接触時間を、2.5×10−3〜1.0秒とするもので、請求の範囲第4項の発明によれば、ツレ・シワや表面の微小な傷を発生させることなく、平面性に優れ、表面のギラツキ、異物故障を低減した防眩フィルムを、高い生産性で製造することができるという効果を奏する。
請求の範囲第5項の防眩フィルムの発明は、請求の範囲第1項乃至第4項のうちのいずれか一項に記載の防眩フィルムの製造方法で製造されたもので、請求の範囲第5項の防眩フィルムの発明によれば、平面性に優れ、表面のギラツキ、異物故障を低減し得るという効果を奏する。
本発明の方法を実施する鋳型ロールを用いた第1実施形態の凹凸面形成装置を具備する防眩フィルム製造装置の概略フローシートで、図1aは概略全体側面図、図1bは要部平面図である。 本発明の方法を実施するフィルム張力調整機構と鋳型ロールを用いた凹凸面形成装置の第2実施形態を示す要部側面図である。 同第3実施形態を示す要部側面図である。 同第4実施形態を示す要部側面図である。 同第5実施形態を示す要部側面図である。 本発明の方法を実施する鋳型ロールを用いた凹凸面形成装置を具備するいま1つの防眩フィルム製造装置の概略フローシートで、図6aは概略全体側面図、図6bは要部平面図である。 本発明の方法を実施する鋳型ロールを用いた凹凸面形成装置を具備するさらにいま1つの防眩フィルム製造装置の概略フローシートで、図7aは概略全体側面図、図7bは要部平面図である。
符号の説明
1:流延ダイ
2:回転駆動ステンレス鋼製エンドレスベルト(支持体)
3:剥離ロール
4:ガイドロール
5:前側搬送張力調整ロール
5a:右端部
5b:左端部
6:後側搬送張力調整ロール
6a:右端部
6b:左端部
7:鋳型加工ロール
7A〜7D:鋳型加工ロール
8:バックロール
8A,8B:バックロール
9A:張力計(ウェブ搬送張力測定手段)
9B:張力計(ウェブ搬送張力測定手段)
10:ウェブ
11:ガイドロール
12:ガイドロール
13:乾燥装置
14:搬送ロール
15:巻取りロール
20:フィルム
22:回転駆動ステンレス鋼製ドラム(支持体)
つぎに、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
この明細書において、前後、左右は図1を基準とし、前とは図1の右側、すなわちウェブまたはフィルムの搬送方向をいい、後とは同左側をいい、また左右は前方に向かっていうものとする。
本発明による防眩フィルムの製造方法は、樹脂を溶剤に溶解したドープ(樹脂溶液)を、平滑面を有する回転駆動支持体上に流延し、剥離可能となるまで支持体上で溶剤を揮発させて、ウェブを形成した後、支持体より剥離したウェブを乾燥する工程の途上において、ウェブ表面に鋳型加工ロールを押し当てて、フィルム表面に凹凸を形成する、溶液流延製膜法によるものである。
そして、本発明による防眩フィルムの製造方法は、鋳型加工ロールのウェブ搬送方向の上流側または下流側においてウェブの搬送張力を、ウェブの左右両端部において互いに異なるように調整するものである。
一般に、残留溶媒量を含むウェブは、ウェブ表面が柔らかく、表面の加工性が優れるが、ウェブを鋳型ロールに押し付ける際に、ウェブにツレやシワが発生しやすい。ウェブのツレやシワは搬送中のウェブの微小な膜厚の幅手方向の不均一性や、ロールアライメントなどの搬送装置の微小な左右差、または乾燥時の乾燥風の左右の風速差や温度差によって発生する。設備的な左右差は、生産設備の据付時に可能な限り小さく調整しても、生産の立ち上げや立ち下げ時の温度変化といった繰り返しの温度変化により経時で変化してしまい、実質的にツレやシワが発生しない状態を長期間保つことは、極めて困難である。
そこで、本発明では、鋳型加工ロールのウェブ搬送方向の上流側または下流側において、ウェブ左右両端部の搬送張力を異ならせることにより、ツレやシワの発生が抑制できることを発見した。これは、ウェブの上流側でウェブ左右両端部の搬送張力を異ならせた場合、ウェブの幅方向にかかる張力により、ツレやシワの発生しにくくなるためと考えられる。また、ウェブの下流側でウェブ左右両端部の搬送張力を異ならせた場合、ウェブの幅方向にかかる張力が、発生しかかったツレやシワを解消するように作用するためと考えられる。
この実施形態では、鋳型加工ロールのウェブ搬送方向の上流側または下流側に、ウェブの搬送張力を該ウェブの左右両端部において互いに異なるように調整するウェブ搬送張力調整機構が設けられるとともに、同側にウェブ搬送張力を左右独立に測定する手段が設けられている。そして、測定手段によるウェブ左右両端部のウェブ搬送張力の測定値の差が2〜4.5%となるように、ウェブ搬送張力調整機構を微動調整する。
ここで、測定手段によるウェブ左右両端部のウェブ搬送張力の測定値が、同じになるように調整制御すると、装置のアライメントの狂いや、加工されるウェブの膜厚偏差等の影響を受けやすく、ウェブ幅方向および搬送方向の凹凸のムラが発生しやすく、好ましくない。また、ウェブには搬送方向によって幅方向の膜厚偏差が異なり、左右両端部のウェブ搬送張力は時々刻々変動するが、この変動を常時ゼロになるように調整制御を加えると、ウェブに搬送方向の微細なツレが発生し、このツレ起因の凹凸ムラが生じてしまうので、好ましくない。また、測定手段によるウェブ左右両端部のウェブ搬送張力の測定値の差が大きすぎると、鋳型加工ロールへウェブが入る際にツレやシワが発生しやすくなる。このような理由から、ウェブ左右両端部の搬送張力の差は1〜5%とすることが好ましく、2〜4.5%とすることがより好ましい。
本発明の方法においては、鋳型加工ロールによる凹凸形成時のウェブ中の残留溶媒量を、10〜70質量%とするのが、好ましい。
ここで、残留溶媒量を含むウェブの表面加工時には、ウェブの乾燥が進行することにより、ウェブが幅手方向および搬送方向に収縮し、鋳型ロールの表面に対して相対的な速度を持ち、鋳型ロール表面の凹凸がウェブ表面に幅手方向および搬送方向に微小な傷をつけてしまうことがある。この傷はウェブの残留溶媒量を70質量%以下にすることで抑制できる。しかしながら、ウェブの残留溶媒量が10質量%未満では、鋳型ロールによる凹凸加工に大きな押圧力が必要になり、フィルムのシワがより発生しやすくなる。
また、本発明の方法においては、鋳型加工ロールによる凹凸形成時、鋳型加工ロールへのフィルムの接触時間を、2.5×10−3〜1.0秒とするのが、好ましい。
すなわち、フィルムと鋳型ロールのラップ角度やラップ時間が大きいときにもツレや傷が発生しやすく、小さいときには加工性が悪くなり、適切ならラップ角度やラップ時間が存在する。
本発明の方法によれば、ツレ・シワや表面の微小な傷を発生させることなく、平面性に優れ、表面のギラツキ、異物故障が低減した防眩フィルムを、高い生産性で製造することができる。
本発明による防眩フィルムの製造方法は、溶液流延製膜法によるものであり、以下、順に説明する。
(ポリマー)
本発明の防眩フィルムの製造方法において好ましく用いられる樹脂としては、例えば、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等のアシル基の置換度が1.8〜2.80のセルロースエステル系樹脂、またセルロースメチルエーテル、セルロースエチルエーテル、セルロースプロピルエーテル等のアルキル基置換度2.0〜2.80のセルロースエーテル樹脂、シクロオレフィン樹脂、ノルボルネン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、またアルキレンジカルボン酸とジアミンとの重合物のポリアミド樹脂、またアルキレンジカルボン酸とジオールとの重合物、アルキレンジオールとジカルボン酸との重合物、シクロヘキサンジカルボン酸とジオールとの重合物、シクロヘキサンジオールとジカルボン酸との重合物、芳香族ジカルボン酸とジオールとの重合物等のポリエステル樹脂、またポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル共重合体等の酢酸ビニル樹脂、またポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール樹脂、エポキシ樹脂、ケトン樹脂、アルキレンジイソシアナートとアルキレンジオールの線状重合物等のポリウレタン樹脂等を挙げることができ、これらから選ばれる少なくとも一つを含有することが好ましい。
中でも、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどのセルロースエステル系樹脂、シクロオレフィン樹脂、ノルボルネン系樹脂、ポリカーボネート樹脂が特に好ましい。また、相溶性のあるポリマーを2種類以上ブレンドして後で述べるドープ溶解を行なっても良いが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明において好ましく用いられるその他の樹脂としては、エチレン性不飽和単量体単位を有する単独重合体または共重合体を挙げることができる。より好ましくは、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸プロピル、ポリアクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸アルキルの共重合体、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸アルキルエステル共重合体等のアクリル酸またはメタクリル酸エステルの単独重合体または共重合体が挙げられる。さらにアクリル酸またはメタクリル酸のエステルは、透明性、相溶性に優れるので、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル単位を有する単独重合体または共重合体、特に、アクリル酸またはメタクリル酸メチル単位を有する単独重合体または共重合体が好ましい。具体的にはポリメタクリル酸メチルが好ましい。ポリアクリル酸またはポリメタクリル酸シクロヘキサンのようなアクリル酸またはメタクリル酸の脂環式アルキルエステルは、耐熱性が高く、吸湿性が低い、複屈折が低い等の利点を有しているものが、好ましい。
(セルロースエステル)
本発明に用いられるセルロースエステルの原料のセルロースとしては、特に限定はないが、綿花リンター、木材パルプ、ケナフ等を挙げることができる。またそれらから得られたセルロースエステルはそれぞれ単独で、または任意の割合で混合して使用することができる。
本発明において、セルロースエステルは、セルロース原料のアシル化剤が酸無水物(無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸)である場合には、酢酸のような有機酸やメチレンクロライド等の有機溶媒を用い、硫酸のようなプロトン性触媒を用いて反応が行なわれる。
アシル化剤が、酸クロライド(CHCOCl、CCOCl、CCOCl)の場合には、触媒としてアミンのような塩基性化合物を用いて反応が行なわれる。具体的には、特開平10−45804号公報に記載の方法で合成することができる。
セルロースエステルは、アシル基がセルロース分子の水酸基に反応する。セルロース分子はグルコースユニットが多数連結したものからなっており、グルコースユニットあたり3個の水酸基がある。この3個の水酸基にアシル基が誘導された数を置換度という。例えば、セルローストリアセテートはグルコースユニットの3個の水酸基全てにアセチル基が結合している。
セルロースエステルフィルムに用いることができるセルロースエステルとしては、総アシル基置換度が2.4〜2.8であることが好ましい。
本発明に用いられるセルロースエステルの分子量は、数平均分子量(Mn)で50,000〜200,000のものが用いられる。60,000〜200,000のものがさらに好ましく、80,000〜200,000が特に好ましい。
本発明で用いられるセルロースエステルは、質量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比、Mw/Mnが、前記のように1.4〜3.0であることが好ましく、さらに好ましくは1.7〜2.2の範囲である。
セルロースエステルの平均分子量及び分子量分布は、高速液体クロマトグラフィーを用いて公知の方法で測定することができる。これを用いて数平均分子量、質量平均分子量を算出し、その比(Mw/Mn)を計算することができる。測定条件は以下の通りである。
溶媒:メチレンクロライド
カラム:Shodex−K806、K805、K803G
(昭和電工株式会社製カラムを3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ:L6000(日立製作所株式会社製)
流量:1.0ml/min
校正曲線:標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー株式会社製)Mw=1000000〜500迄の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いることが好ましい。
本発明に用いられるセルロースエステルは、炭素数2〜22程度のカルボン酸エステルであり、特にセルロースの低級脂肪酸エステルであることが好ましい。
セルロースの低級脂肪酸エステルにおける低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味し、例えば、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートフタレート等や、特開平10−45804号公報、特開平8−231761号公報、及び米国特許第2,319,052号公報等に記載されているようなセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等の混合脂肪酸エステルを用いることができる。あるいは、特開2002−179701号公報、特開2002−265639号公報、及び特開2002−265638号公報に記載の芳香族カルボン酸とセルロースとのエステル、セルロースアシレートも好ましく用いられる。
上記の中でも、特に好ましく用いられるセルロースの低級脂肪酸エステルは、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネートである。これらのセルロースエステルは混合して用いることもできる。
セルローストリアセテート以外で好ましいセルロースエステルは、炭素原子数2〜4のアシル基を置換基として有し、アセチル基の置換度をXとし、プロピオニル基もしくはブチリル基の置換度をYとした時、下記式(a)及び(b)を同時に満たすセルロースエステルである。
式(a) 2.4≦X+Y≦2.8
式(b) 0≦X≦2.5
アシル基で置換されていない部分は通常水酸基として存在している。これらは公知の方法で合成することができる。
これらアシル基置換度は、ASTM−D817−96に規定の方法に準じて測定することができる。
アセチルセルロースの場合、酢化率を上げようとすれば、酢化反応の時間を延長する必要がある。ただし、反応時間を余り長くとると分解が同時に進行し、ポリマー鎖の切断やアセチル基の分解等が起こり、好ましくない結果をもたらす。従って、酢化度を上げ、分解をある程度抑えるためには、反応時間はある範囲に設定することが必要である。反応時間で規定することは反応条件がさまざまであり、反応装置や設備その他の条件で大きく変わるので適切でない。ポリマーの分解は進むにつれ、分子量分布が広くなっていくので、セルロースエステルの場合にも、分解の度合いは通常用いられる質量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)の値で規定できる。すなわち、セルローストリアセテートの酢化の過程で、余り長過ぎて分解が進み過ぎることがなく、かつ酢化には十分な時間酢化反応を行なわせるための反応度合いの一つの指標として質量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)の値を用いることができる。
セルロースエステルの製造法の一例を以下に示すと、セルロース原料として綿化リンター100質量部を解砕し、40質量部の酢酸を添加し、36℃で20分間前処理活性化をした。その後、硫酸8質量部、無水酢酸260質量部、酢酸350質量部を添加し、36℃で120分間エステル化を行なった。24質量%酢酸マグネシウム水溶液11質量部で中和した後、63℃で35分間ケン化熟成し、アセチルセルロースを得た。これを10倍の酢酸水溶液(酢酸:水=1:1(質量比))を用いて、室温で160分間攪拌した後、濾過、乾燥させてアセチル置換度2.75の精製アセチルセルロースを得た。このアセチルセルロースはMnが92,000、Mwが156,000、Mw/Mnは1.7であった。同様にセルロースエステルのエステル化条件(温度、時間、攪拌)、加水分解条件を調整することによって置換度、Mw/Mn比の異なるセルロースエステルを合成することができる。
なお、合成されたセルロースエステルは、精製して低分子量成分を除去したり、未酢化の成分を濾過で取り除くことも好ましく行なわれる。
また、混酸セルロースエステルの場合には、特開平10−45804号公報に記載の方法によって得ることができる。アシル基の置換度の測定方法はASTM−D817−96の規定に準じて測定することができる。
また、セルロースエステルは、セルロースエステル中の微量金属成分によっても影響を受ける。これらは製造工程で使われる水に関係していると考えられるが、不溶性の核となり得るような成分は少ない方が好ましく、鉄、カルシウム、マグネシウム等の金属イオンは、有機の酸性基を含んでいる可能性のあるポリマー分解物等と塩形成することにより不溶物を形成する場合があり、少ないことが好ましい。鉄(Fe)成分については、1ppm以下であることが好ましい。カルシウム(Ca)成分については、地下水や河川の水等に多く含まれ、これが多いと硬水となり、飲料水としても不適当であるが、カルボン酸や、スルホン酸等の酸性成分と、また多くの配位子と配位化合物、すなわち、錯体を形成しやすく、多くの不溶なカルシウムに由来するスカム(不溶性の澱、濁り)を形成する。
カルシウム(Ca)成分は60ppm以下、好ましくは0〜30ppmである。マグネシウム(Mg)成分については、やはり多過ぎると不溶分を生ずるため、0〜70ppmであることが好ましく、特に0〜20ppmであることが好ましい。鉄(Fe)分の含量、カルシウム(Ca)分含量、マグネシウム(Mg)分含量等の金属成分は、絶乾したセルロースエステルをマイクロダイジェスト湿式分解装置(硫硝酸分解)、アルカリ溶融で前処理を行なった後、ICP−AES(誘導結合プラズマ発光分光分析装置)を用いて分析を行なうことによって求めることができる。
(有機溶媒)
セルロースエステルを溶解してドープ(溶液)の形成に有用な有機溶媒としては、塩素系有機溶媒と非塩素系有機溶媒がある。塩素系の有機溶媒としてメチレンクロライド(塩化メチレン)を挙げることができ、セルロースエステルの溶解に適している。
昨今の環境問題から非塩素系有機溶媒の使用が検討されている。非塩素系有機溶媒としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン等を挙げることができる。
これらの有機溶媒をセルロースエステルに対して使用する場合には、常温での溶解方法も使用可能であるが、高温溶解方法、冷却溶解方法、高圧溶解方法等の溶解方法を用いることにより不溶解物を少なくすることができるので好ましい。セルローストリアセテート以外のセルロースエステルに対しては、メチレンクロライドを用いることはできるが、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトンが好ましく使用される。特に酢酸メチルが好ましい。本発明において、上記セルロースエステルに対して良好な溶解性を有する有機溶媒を良溶媒という。
本発明において、ドープには、上記有機溶媒の他に、1〜40質量%の炭素原子数1〜4のアルコールを含有させることが好ましい。これらはドープを支持体に流延後溶媒が蒸発をし始めアルコールの比率が多くなるとドープ膜(ウェブ)がゲル化し、ウェブを丈夫にし、金属持体から剥離することを容易にするゲル化溶媒として用いられたり、これらの割合が少ない時は非塩素系有機溶媒のセルロースエステルの溶解を促進する役割もある。
炭素原子数1〜4のアルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールを挙げることができる。これらのうちドープの安定性に優れ、沸点も比較的低く、乾燥性もよいこと等からエタノールが好ましい。これらの有機溶媒は単独ではセルロースエステルに対して溶解性を有していないので貧溶媒という。
ドープ中のセルロースエステルの濃度は15〜30質量%、ドープ粘度は、B型粘度計による測定値として10〜100Pa・sの範囲に調製されることが良好なフィルム面品質を得る上で好ましい。
ドープ中に添加される添加剤としては、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、染料、微粒子がある。本発明において、これらの添加剤はセルロースエステル溶液の調製の際に添加してもよいし、マット剤などの微粒子分散液の調製の際に添加してもよい。
液晶画像表示装置に使用する偏光板には、耐熱・耐湿性を付与する可塑剤、酸化防止剤や紫外線吸収剤等を添加することが好ましい。下記に添加剤について説明する。
(可塑剤)
本発明において、セルロースエステル溶液またはドープには、いわゆる可塑剤として知られる化合物を、機械的性質向上、柔軟性を付与、耐吸水性付与、水蒸気透過率低減、リタデーション調整等の目的で添加することが好ましく、例えばリン酸エステルやカルボン酸エステルが好ましく用いられる。
リン酸エステルとしては、例えばトリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、フェニルジフェニルホスフェート等を挙げることができる。
カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステル及びクエン酸エステル等、フタル酸エステルとしては、例えばジメチルフタレート、ジエチルホスフェート、ジオクチルフタレート及びジエチルヘキシルフタレート等、またクエン酸エステルとしてはクエン酸アセチルトリエチル及びクエン酸アセチルトリブチルを挙げることができる。またその他、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバチン酸ジブチル、トリアセチン等も挙げられる。アルキルフタリルアルキルグリコレートもこの目的で好ましく用いられる。アルキルフタリルアルキルグリコレートのアルキルは炭素原子数1〜8のアルキル基である。アルキルフタリルアルキルグリコレートとしてはメチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルプロピルグリコレート、プロピルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルメチルグリコレート、ブチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルオクチルグリコレート、エチルフタリルオクチルグリコレート、オクチルフタリルメチルグリコレート、オクチルフタリルエチルグリコレート等を挙げることができ、メチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレートが好ましく用いられる。またこれらアルキルフタリルアルキルグリコレートを2種以上混合して使用してもよい。
また、多価アルコールエステルも好ましく用いられる。
本発明において用いられる多価アルコールは、次の一般式で表される。
−(OH)n
ただし、式中、Rはn価の有機基、nは2以上の正の整数、OH基はアルコール性、及び/またはフェノール性水酸基を表す。
多価アルコールエステル系可塑剤は2価以上の脂肪族多価アルコールとモノカルボン酸のエステルよりなる可塑剤であり、分子内に芳香環またはシクロアルキル環を有することが好ましい。好ましくは2〜20価の脂肪族多価アルコールエステルである。
好ましい多価アルコールの例としては、例えば以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。アドニトール、アラビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、ガラクチトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、キシリトール等を挙げることができる。特に、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、キシリトールが好ましい。
多価アルコールエステルに用いられるモノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることができる。脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸を用いると透湿性、保留性を向上させる点で好ましい。
好ましいモノカルボン酸の例としては以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数1〜32の直鎖または側鎖を有する脂肪酸を好ましく用いることができる。炭素数は1〜20であることがさらに好ましく、1〜10であることが特に好ましい。酢酸を含有させるとセルロースエステルとの相溶性が増すため好ましく、酢酸と他のモノカルボン酸を混合して用いることも好ましい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることができる。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタレンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。特に安息香酸が好ましい。
多価アルコールエステルの分子量は特に制限はないが、300〜1500であることが好ましく、350〜750であることがさらに好ましい。分子量が大きい方が揮発し難くなるため好ましく、また、透湿性、セルロースエステルとの相溶性の点では小さい方が好ましい。
多価アルコールエステルに用いられるカルボン酸は1種類でもよいし、2種以上の混合であってもよい。また、多価アルコール中のOH基は、全てエステル化してもよいし、一部をOH基のままで残してもよい。
これらの化合物は、セルロースエステルに対して1〜30質量%、好ましくは1〜20質量%となるように含まれていることが好ましい。また、延伸及び乾燥中のブリードアウト等を抑制させるため、200℃における蒸気圧が1400Pa以下の化合物であることが好ましい。
これらの化合物は、セルロースエステル溶液の調製の際に、セルロースエステルや溶媒と共に添加してもよいし、溶液調製中や調製後に添加してもよい。
さらに、本発明では、下記一般式(2)で表される芳香族末端エステル系可塑剤を用いることが好ましい。
一般式(2) B−(G−A)n−G−B
(式中、Bはベンゼンモノカルボン酸残基、Gは炭素数2〜12のアルキレングリコール残基または炭素数6〜12のアリールグリコール残基または炭素数が4〜12のオキシアルキレングリコール残基、Aは炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸残基または炭素数6〜12のアリールジカルボン酸残基を表し、またnは1以上の整数を表す。)
一般式(2)中、Bで示されるベンゼンモノカルボン酸残基とGで示されるアルキレングリコール残基またはオキシアルキレングリコール残基またはアリールグリコール残基、Aで示されるアルキレンジカルボン酸残基またはアリールジカルボン酸残基とから構成されるものであり、通常のポリエステル系可塑剤と同様の反応により得られる。
本発明に用いられる芳香族末端エステル系可塑剤のベンゼンモノカルボン酸成分としては、例えば、安息香酸、パラターシャリブチル安息香酸、オルソトルイル酸、メタトルイル酸、パラトルイル酸、ジメチル安息香酸、エチル安息香酸、ノルマルプロピル安息香酸、アミノ安息香酸、アセトキシ安息香酸等があり、これらはそれぞれ1種または2種以上の混合物として使用することができる。
本発明に用いられる芳香族末端エステル系可塑剤の炭素数2〜12のアルキレングリコール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロ−ルペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル1,3−ペンタンジオール、2−エチル1,3−ヘキサンジオール、2−メチル1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−オクタデカンジオール等があり、これらのグリコールは、1種または2種以上の混合物として使用される。
また、芳香族末端エステルの炭素数4〜12のオキシアルキレングリコール成分としては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等があり、これらのグリコールは、1種または2種以上の混合物として使用できる。
また、芳香族末端エステルの炭素数6〜12のアリールグリコール成分としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノール等があり、これらのグリコールは、1種または2種以上の混合物として使用できる。
芳香族末端エステルの炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸成分としては、例えば、コハク酸、マレイン酸、フマール酸、グルタール酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等があり、これらは、それぞれ1種または2種以上の混合物として使用される。炭素数6〜12のアリールジカルボン酸成分としては、フタル酸、テレフタル酸、1,5ナフタレンジカルボン酸、1,4ナフタレンジカルボン酸等がある。
芳香族末端エステル系可塑剤は、数平均分子量が、好ましくは300〜2000、より好ましくは500〜1500の範囲が好適である。また、その酸価は、0.5mgKOH/g以下、水酸基価は25mgKOH/g以下、より好ましくは酸価0.3mgKOH/g以下、水酸基価は15mgKOH/g以下のものが好適である。
なお、芳香族末端エステルの酸価とは、試料1g中に含まれる酸(分子末端に存在するカルボキシル基)を中和するために必要な水酸化カリウムのミリグラム数をいう。酸価及び水酸基価は、JIS K 0070(1992)に準拠して測定することができる。
本発明に用いられる芳香族末端エステル系可塑剤の含有量は、例えばセルロースエステルフィルム中に1〜20質量%含有することが好ましく、特に3〜11質量%含有することが好ましい。
(紫外線吸収剤)
本発明において、セルロースエステルフィルムには、紫外線吸収剤を含有させることができる。
使用し得る紫外線吸収剤としては、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物、トリアジン系化合物等を挙げることができるが、着色の少ないベンゾトリアゾール系化合物が好ましい。また、特開平10−182621号公報、特開平8−337574号公報、特開2001−72782号公報に記載の紫外線吸収剤、特開平6−148430号公報、特開2002−31715号公報、特開2002−169020号公報、特開2002−47357号公報、特開2002−363420号公報、特開2003−113317号公報に記載の高分子紫外線吸収剤も好ましく用いられる。紫外線吸収剤としては、偏光子や液晶の劣化防止の観点から、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れており、かつ、液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましい。
本発明に有用な紫外線吸収剤の具体例として、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、オクチル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートの混合物等を挙げることができるが、これらに限定されない。また、市販品として、チヌビン(TINUVIN)109、チヌビン(TINUVIN)171、チヌビン(TINUVIN)326(何れもチバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)を好ましく使用できる。高分子紫外線吸収剤としては、大塚化学社製の反応型紫外線吸収剤RUVA−93を例として挙げることができる。
ベンゾフェノン系化合物の具体例として、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)等を挙げることができるが、これらに限定されない。
本発明で好ましく用いられる上記の紫外線吸収剤は、透明性が高く、偏光板や液晶素子の劣化を防ぐ効果に優れたベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やベンゾフェノン系紫外線吸収剤が好ましく、不要な着色がより少ないベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が特に好ましく用いられる。
紫外線吸収剤のドープへの添加方法は、ドープ中で紫外線吸収剤が溶解するようなものであれば制限なく使用できるが、本発明においては紫外線吸収剤をメチレンクロライド、酢酸メチル、ジオキソラン等のセルロースエステルに対する良溶媒、または良溶媒と低級脂肪族アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等)のような貧溶媒との混合有機溶媒に溶解し紫外線吸収剤溶液としてセルロースエステル溶液に添加するかまたは直接ドープ組成中に添加してもよい。無機粉体のように有機溶剤に溶解しないものは、有機溶剤とポリマー中にデゾルバーやサンドミルを使用し、分散してからドープに添加する。
紫外線吸収剤の含有量は0.01〜5質量%、特に0.5〜3質量%である。
本発明においては、これら紫外線吸収剤を単独で用いても良いし、異なる2種以上の混合で用いても良い。
(酸化防止剤)
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系の化合物が好ましく用いられ、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト等が挙げられる。特に2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕が好ましい。また例えば、N,N′−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン等のヒドラジン系の金属不活性剤やトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト等のリン系加工安定剤を併用してもよい。これらの化合物の添加量は、セルロースエステルに対して質量割合で1ppm〜1.0%が好ましく、10〜1000ppmがさらに好ましい。
以下に、本発明に用いられる微粒子の例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
微粒子としては、無機化合物粒子または有機化合物粒子が挙げられる。
無機化合物粒子の例としては、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、カオリン、タルク、クレイ、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、及びリン酸カルシウム等の金属酸化物、水酸化物、ケイ酸塩、リン酸塩、炭酸酸塩、珪酸カルシウム、チタン酸カリウム、硼酸アルミニウム、塩基性硫酸マグネシウム、グラスファイバーなどが挙げられる。
有機化合物粒子の例としては、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂等の微粒子が挙げことができ、シリコーン樹脂が好ましく、特に三次元網状状構造を有するものが好ましい。例えばトスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120及び同240(東芝シリコーン株式会社製)を挙げることができる。
また、2種以上の異なる種類(組成)、形状の粒子を併用しても構わない。
二酸化ケイ素微粒子としては、例えばアエロジル株式会社製のアエロジル(AEROSIL)200、200V、300、R972、R972V、R974、R202、R812,R805、OX50、TT600などを挙げることができ、好ましくはアエロジル200V、R972、R972V、R974、R202、R812である。これらの微粒子は2種以上併用してもよい。2種以上併用する場合は、任意の割合で混合して使用することができる。
(界面活性剤)
本発明で用いられるドープあるいは微粒子分散液には、界面活性剤を含有することが好ましく、リン酸系、スルフォン酸系、カルボン酸系、ノニオン系、カチオン系等特に限定されない。これらは、例えば特開昭61−243837号公報等に記載されている。界面活性剤の添加量は、セルロースアシレートに対して0.002〜2質量%が好ましく、0.01〜1質量%がより好ましい。添加量が0.001質量%未満であれば添加効果を十分に発揮することができず、添加量が2質量%を超えると、析出したり、不溶解物を生じたりすることがある。
ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン、ポリグリシジルやソルビタンをノニオン性親水性基とする界面活性剤であり、具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニールエーテル、ポリオキシエチレンーポリオキシプロピレングリコール、多価アルコール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸ジエタノールアミド、トリエタノールアミン脂肪酸部分エステルを挙げることができる。
アニオン系界面活性剤としてはカルボン酸塩、硫酸塩、スルフォン酸塩、リン酸エステル塩であり、代表的なものとしては脂肪酸塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルナフタレンスルフォン酸塩、アルキルスルフォン酸塩、α−オレフィンスルフォン酸塩、ジアルキルスルフォコハク酸塩、α−スルフォン化脂肪酸塩、N−メチル−Nオレイルタウリン、石油スルフォン酸塩、アルキル硫酸塩、硫酸化油脂、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニールエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンスチレン化フェニールエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ナフタレンスルフォン酸塩ホルムアルデヒド縮合物等である。
カチオン系界面活性剤としてはアミン塩、4級アンモニウム塩、ピリジウム塩等を挙げることができ、第1〜第3脂肪アミン塩、第4級アンモニウム塩(テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジウム塩、アルキルイミダゾリウム塩等)を挙げることができる。両性系界面活性剤としてはカルボキシベタイン、スルフォベタイン等であり、N−トリアルキル−N−カルボキシメチルアンモニウムベタイン、N−トリアルキル−N−スルフォアルキレンアンモニウムベタイン等である。
なお、フッ素系界面活性剤は、フルオロカーボン鎖を疎水基とする界面活性剤である。
(剥離促進剤)
さらに、剥離時の荷重を小さくするための剥離促進剤も、ドープに添加してもよい。それらは、界面活性剤が有効であり、リン酸系、スルフォン酸系、カルボン酸系、ノニオン系、カチオン系等があるが、これらに特に限定されない。これらの剥離促進剤は、例えば、特開昭61−243837号公報等に記載されている。特開昭57−500833号公報にはポリエトキシル化リン酸エステルが剥離促進剤として開示されている。特開昭61−69845号公報には非エステル化ヒドロキシ基が遊離酸の形であるモノまたはジリン酸アルキルエステルをセルロースエステルに添加することにより迅速に剥離できることが開示されている。また、特開平1−299847号公報には非エステル化ヒドロキシル基及びプロピレンオキシド鎖を含むリン酸エステル化合物と無機物粒子を添加することにより剥離荷重が低減できることが開示されている。
(その他の添加剤)
この他、カオリン、タルク、ケイソウ土、石英、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナ等の無機微粒子、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属の塩等の熱安定剤を加えてもよい。さらに帯電防止剤、難燃剤、滑剤、油剤等も加える場合がある。
本発明による防眩フィルムの製造方法は、ドープ調製工程(溶解工程)、流延工程、乾燥工程、および巻取り工程を具備するものである。
[溶解工程]
本発明による防眩フィルムの製造方法において、ポリマーフィルムが、セルロースエステルフィルムである場合を例にとると、まず、セルロースエステルの溶解は、溶解釜中での撹拌溶解方法、加熱溶解方法、超音波溶解方法等の手段が、通常用いられ、加圧下で、溶剤の常圧での沸点以上でかつ溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱し、攪拌しながら溶解する方法が、ゲルやママコと呼ばれる塊状未溶解物の発生を防止するため、より好ましい。また、特開平9−95538号公報記載の冷却溶解方法、あるいはまた特開平11−21379号公報記載の高圧下で溶解する方法なども用いてもよい。
セルロースエステルを貧溶剤と混合して湿潤、あるいは膨潤させた後、さらに良溶剤と混合して溶解する方法も好ましく用いられる。このとき、セルロースエステルを貧溶媒と混合して湿潤あるいは膨潤させる装置と、良溶剤と混合して溶解する装置を別々に分けても良い。
セルロースエステルの溶解に用いる加圧容器の種類は、特に問うところではなく、所定の圧力に耐えることができ、加圧下で加熱、攪拌ができればよい。加圧容器には、その他、圧力計、温度計などの計器類を適宜配設する。加圧は窒素ガスなどの不活性気体を圧入する方法や、加熱による溶剤の蒸気圧の上昇によって行なってもよい。加熱は外部から行なうことが好ましく、例えばジャケットタイプのものは温度コントロールが容易で好ましい。
溶剤を添加しての加熱温度は、使用する溶剤の沸点以上で、2種類以上の混合溶剤の場合は、沸点が低い方の溶剤の沸点以上の温度に加温しかつ該溶剤が沸騰しない範囲の温度が好ましい。加熱温度が高すぎると、必要とされる圧力が大きくなり、生産性が悪くなる。好ましい加熱温度の範囲は20〜120℃であり、30〜100℃が、より好ましく、40〜80℃の範囲がさらに好ましい。また圧力は、設定温度で、溶剤が沸騰しないように調整される。
セルロースエステルと溶剤の他に、必要な可塑剤、紫外線吸収剤等の添加剤は、予め溶剤と混合し、溶解または分散してからセルロースエステル溶解前の溶剤に投入しても、セルロースエステル溶解後のドープへ投入しても良い。
セルロースエステルの溶解後は、冷却しながら容器から取り出すか、または容器からポンプ等で抜き出して、熱交換器などで冷却し、得られたポリマーのドープを製膜に供するが、このときの冷却温度は、常温まで冷却してもよい。
原料としてのセルロースエステルの粒径dは、0.1mm≦d≦20mmの粒子が60質量%以上の比率で構成されることが、セルロースエステルの凝集塊を発生させることなく、良好な溶解性を得るために、望ましい。
原料セルロースエステルと溶媒の混合物は、撹拌機を有する溶解釜で溶解し、このとき、撹拌翼の周速は少なくとも0.5m/秒以上で、かつ30分以上撹拌して溶解することが好ましい。
本発明の方法において、溶解釜で溶解したセルロースエステルのドープを、ポンプにより濾過機に送り、濾過機において濾過する。この濾過は、通常の方法で行なうことができるが、溶剤の常圧での沸点以上でかつ溶剤が沸騰しない範囲の温度で加圧下加熱しながら濾過する方法が、濾過材前後の差圧(以下、濾圧ということがある)の上昇が小さく、好ましい。
本発明の方法において、セルロースエステルドープは、これを濾過することによって、異物、特に液晶画像表示装置において、画像と認識し間違う異物は、これを除去しなければならない。偏光板用保護フィルムの品質は、この濾過によって決まるといってもよい。
濾過に使用する濾材は、絶対濾過精度が小さい方が好ましいが、絶対濾過精度が小さすぎると、濾過材の目詰まりが発生しやすく、濾材の交換を頻繁に行なわなければならず、生産性を低下させるという問題点ある。
このため、本発明の方法において、セルロースエステルドープに使用する濾材は、絶対濾過精度0.020mm以下のものが好ましい。濾紙としては、例えば市販品の安積濾紙株式会社のNo.244や277等を挙げることができ、好ましく用いられる。
濾材の材質には、特に制限はなく、通常の濾材を使用することができるが、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)等のプラスチック繊維製の濾材やステンレス繊維等の金属製の濾材が繊維の脱落等がなく好ましい。
ドープ濾過の好ましい温度範囲は、45〜120℃であり、45〜70℃が、より好ましく、45〜55℃の範囲であることがさらに好ましい。
濾圧は、3500kPa以下であることが好ましく、3000kPa以下が、より好ましく、2500kPa以下であることがさらに好ましい。なお、濾圧は、濾過流量と濾過面積を適宜選択することで、コントロールできる。こうして得られたドープは、ストックタンクに保管され、脱泡された後、流延に用いられる。
このように、溶解釜中で、あらかじめドメイン形成材料とセルロースエステルと溶媒とを混合してドープを調製する場合は、通常、ドメイン形成材料をインライン添加する必要はない。しかしながら、必要に応じて、ドメイン形成材料の全部もしくは一部をインラインで混合することができる。
例えば、溶解釜中で適当な溶媒に混合または分散された微粒子分散液は、ポンプにより濾過機に送り、濾過機において濾過する。得られたドープは、第2ストックタンクに保管され、脱泡される。
第1ストックタンクからポンプによって導管中を移送したセルロースエステル溶液(もしくはドープ原液と称する場合がある)と、第2ストックタンクからポンプによって導管中を移送したドメイン形成材料溶液(微粒子分散液)とは、合流管で合流させる。
合流管の直前には、濾過器が配置されており、例えば濾材交換等に伴い経路から発生する、塊や大きな異物を、送液中の微粒子分散液あるいはドープ原液から除去することができる。ここでは、耐溶剤性を有する金属製の濾過器が好ましく用いられる。
濾材としては、耐久性の観点から金属、特にステンレス鋼が好ましい。目詰まりの観点から60〜80%の空孔率を有していることが好ましい。最も好ましくは、絶対濾過精度30〜60μmであって、かつ空孔率60〜80%の金属製濾材で濾過することであり、これにより、長期に亘り、確実に粗大な異物を除くことができ好ましい。絶対濾過精度30〜60μmでかつ空孔率60〜80%の金属製濾材としては、例えば日本精線株式会社製ファインポアNFシリーズのNF−10、同NF−12、同NF−13等を挙げることができる。
上記のようにして合流した両液は、導管内を層状で移送するためそのままでは混合しにくい。そこで、両液を合流後、インラインミキサーのような混合機(19)で十分に混合しながら次工程に移送する。
本発明で使用できるインラインミキサーとしては、例えば、スタチックミキサーSWJ(東レ静止型管内混合器、Hi−Mixer、東レエンジニアリング製)が好ましい。
[流延工程]
図1は、本発明の方法を実施する鋳型ロールを用いた凹凸面形成装置を具備する防眩フィルム製造装置の概略フローシートで、図1aは、概略の全体側面図、図1bは、同要部平面図である。
図1aを参照すると、溶解釜で調整されたドープを、導管によって流延ダイ(1)に送液し、無限に移送する例えば回転駆動ステンレス鋼製エンドレスベルトよりなる支持体(2)上の流延位置に、流延ダイ(1)からドープを流延する工程である。
本発明において、流延ダイ(1)としては、口金部分のスリット形状を調製でき、膜厚を均一にしやすい加圧ダイが好ましい。
流延ダイ(1)は、内部スリット壁面と支持体(2)表面とのなす角度を40〜90°にするのが、好ましく、特に60〜75°が好ましい。流延ダイ(1)のダイリップと支持体(2)表面との間隙は、0.2〜10mmの間隙を取って設置されるのが好ましく、さらに0.5〜5mmの間隙が、より好ましい。流延ダイ(1)のスリットのギャップは0.05〜1.5mmが好ましく、0.15〜1.0mmが、より好ましい。
つぎに、流延支持体(2)の表面粗さRaは、0.0001〜1μmであり、0.0003〜0.1μmが、より好ましく、0.0005〜0.05μmがさらに好ましい。
支持体(2)として回転駆動エンドレスベルトを具備する図示の製膜装置では、該ベルト支持体(2)は一対のドラムおよびその中間に配置されかつエンドレスベルト支持体(2)の上部移行部及び下部移行部をそれぞれ裏側より支えている複数のサポートロール(図示略)より構成される。
また、エンドレスベルト支持体(2)の両端巻回部のドラムの一方、もしくは両方に、ベルト支持体(2)に張力を付与する駆動装置が設けられ、これによってベルト支持体(2)は張力が掛けられて張った状態で使用される。
支持体(2)としてエンドレスベルトを用いる場合には、製膜時のベルト温度は、一般的な温度範囲0℃〜溶剤の沸点未満の温度で流延することができ、さら0には5℃〜溶剤沸点−5℃の範囲が、より好ましい。このとき、周囲の雰囲気湿度は露点以上に制御する必要がある。
また、支持体(2)搬送速度が10m/分以上では、流延ダイ(1)のリップから出てくる流延膜に減圧を掛けてエア混入や、フィルム幅手方向に横段状のスジをつくる原因となる流延リボンのばたつきを抑制するため、流延ダイ(1)上流側に減圧チャンバを設け、10〜600Pa減圧するのが好ましく、さらに好ましくは10〜200Paである。
減圧チャンバの下部端面と、支持体(2)表面との間隙は、0.5〜5mmの範囲が吸引風量が大きくなり過ぎず、それにより、流延ダイ(1)のリップ端部のドープ乾燥皮膜の発生が抑制されるため望ましい。
また、製膜速度を上げるために、加圧流延ダイ(1)を流延用支持体(2)上に2基以上設け、ドープ量を分割して重層製膜してもよい。
支持体(2)上へドープを流延する際は、原料ポリマーの溶解に用いた溶剤の沸点未満、混合溶剤では最も沸点の低い溶剤の沸点未満の温度に制御するのが好ましい。
支持体(2)としてエンドレスベルトを用いる方式においては、支持体(2)上では、ウェブ(支持体上にドープを流延した以降の残留溶媒を含むフィルムをウェブと言う)(10)が支持体(2)から剥離ロール(3)によって剥離可能な膜強度となるまで乾燥固化させるため、ウェブ(10)中の残留溶媒量が150質量%以下まで乾燥させるのが好ましく、80〜120%が、より好ましい。また、支持体(2)からウェブ(10)を剥離するときのウェブ温度は、0〜30℃が好ましい。また、ウェブ(10)は、支持体(2)からの剥離直後に、支持体(2)密着面側からの溶媒蒸発で温度が一旦急速に下がり、雰囲気中の水蒸気や溶剤蒸気など揮発性成分がコンデンスしやすいため、剥離時のウェブ温度は5〜30℃がさらに好ましい。
ここで、残留溶媒量は、下記の式で表わせる。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
式中、Mはウェブの任意時点での質量、Nは質量Mのものを110℃で3時間乾燥させたときの質量である。
[溶媒蒸発工程]
エンドレスベルト支持体(2)上に流延されたドープにより形成されたドープ膜(ウェブ)を、支持体(2)上で加熱し、支持体(2)から剥離ロール(3)によってウェブが剥離可能になるまで溶媒を蒸発させる工程である。
溶媒を蒸発させるには、ウェブ側から風を吹かせる方法、及び/または支持体(2)の裏面から液体により伝熱させる方法、輻射熱により表裏から伝熱する方法等がある。
[剥離工程]
支持体(2)にエンドレスベルトを用いる方式においては、支持体(2)とウェブ(10)を剥離ロール(3)によって剥離する際の剥離張力は、通常20〜25kg/mで剥離が行なわれるが、従来よりも薄膜化されている本発明により作製されたセルロースエステルフィルムでは、剥離の際にウェブ(10)にシワが入らないように、剥離できる最低張力〜17kg/mで剥離することが好ましく、さらに好ましくは、最低張力〜14kg/mで剥離することである。
[凹凸形成工程]
つぎに、図1aおよび図1bを参照すると、本発明による防眩フィルムの製造方法は、熱可塑性樹脂を溶剤に溶解したドープ(樹脂溶液)を、流延ダイ(1)より平滑面を有する回転駆動ステンレス鋼製流延用ベルト(支持体)(2)上に流延して、ウェブ(10)を形成し、支持体(2)より剥離ロール(3)によって剥離したウェブ(10)を乾燥する工程の途上において、ウェブ(10)表面に鋳型加工ロール(7)を押し当てるとともに、それと対向したバックロール(8)により、フィルム表面上に凹凸面を形成するものである。
その後、ウェブ(10)を乾燥装置(13)により乾燥して、フィルムを形成し、巻取りロール(15)により巻き取るが、これらについては、後述する。
ウェブ(10)の凹凸加工面は、支持体(2)に流延した際に空気側の面(A面)でも、支持体(2)に接した面(B面)でも、適宜選択することができるが、加工の容易性・均一性から、B面の加工が好ましい。
本発明の方法においては、鋳型加工ロール(7)による凹凸形成時のウェブ(10)中の残留溶媒量は、10〜70質量%が好ましく、15〜50質量%がさらに好ましい。
ここで、残留溶媒量を含むウェブ(10)の表面加工時には、ウェブ(10)の乾燥が進行することにより、ウェブ(10)が幅手方向および搬送方向に収縮し、鋳型ロール(7)の表面に対して相対的な速度を持ち、鋳型ロール(7)表面の凹凸がウェブ表面に幅手方向および搬送方向に微小な傷をつけてしまうことがある。この傷はウェブ(10)の残留溶媒量を70質量%以下にすることで抑制できる。また、凹凸加工時のウェブ(10)の残留溶媒量が大きすぎると、ウェブ(10)が柔らかく、加工が容易であるが、ツレ・シワの発生がしやすく、場合によっては、搬送中のウェブ(10)が破断してしまう。しかしながら、ウェブ(10)の残留溶媒量が10質量%未満では、鋳型ロール(7)による凹凸加工に大きな押圧力が必要になり、バックロール(8)のたわみ変形により、やはりツレ・シワが発生しやすくなる。
フィルムの幅は1000mm〜3000mmであり、厚みは20〜200μmが好ましい。
鋳型ロール(7)/バックロール(8)は、必要に応じて、温度調整機能を持っていてもよい。適切な温度とすることで、凹凸の形状を制御することができる。また、加工時のウェブ(10)の残留溶媒量が30質量%以上の時には、鋳型ロール(7)/バックロール(8)を加熱することで、ウェブ(10)から揮発する溶媒やその他の添加剤が、鋳型ロール(7)/バックロール(8)上にコンデンスすることを防止できる。鋳型ロール(7)/バックロール(8)に適切な温度は、ウェブ(10)の残留溶媒量によって異なるが、10〜100℃が好ましい。残留溶媒量が比較的大きいときに高温のロールを用いると、平面性が劣化する。
鋳型ロール(7)/バックロール(8)の温度は、ロール内に温度制御された熱媒体を循環させたり、ロール内部に金属ヒータを設置することなどで、制御することができる。
本発明において、凹凸面形成に用いられる鋳型加工ロール(7)としては、凹凸が細かいもの、粗いものまで、適宜選択して適用でき、模様、マット状、レンチキュラーレンズ状、球面の一部からなる凹部または凸部、プリズム状の凹凸を形成するための鋳型が規則正しくもしくはランダムに配列されたものが使用できる。
例えば、凸部または凹部の直径が5〜100μm、高さが0.1〜2μmの球の一部からなる凹部または凸部等が挙げられるが、これらは大きな凹凸と小さな凹凸を組み合わせてもよい。
本発明のように、フィルム中に残留溶媒量がある状態で凹凸加工をする場合、加工後のフィルムの乾燥による搬送方向/幅手方向/厚み方向のフィルム収縮量を想定し、乾燥巻取り後に所望のフィルム凹凸形状となるような鋳型ロール(7)表面形状を選択する。凹凸加工前または後にテンターで幅延伸する場合や、搬送方向に延伸する場合も、延伸後に適切なフィルム凹凸形状となるように、鋳型ロール(7)の表面形状を選択する必要がある。
凹凸加工後のフィルムの伸縮が幅手方向と搬送方向で大きく異なる場合には、鋳型ロール(7)の粗さやピッチを接線方向と軸方向で異なる形状にしても良い。また、凹凸形成後にハードコート層や反射防止層を塗布する場合には、塗布による凹凸の目減りを考慮した凹凸形状となるような鋳型ロール(7)表面を選択する。
仕上がりのフィルムの表面の凹凸は、JIS B 0601で規定される平均粗さ(Ra)で、0.1〜1.5μm、ピッチ(Sm)が5〜100μmであることが好ましい。
鋳型ロール(7)及びバックロール(8)の材質は、金属、ステンレス、炭素鋼、アルミニウム合金、チタン合金、セラミック、ガラス、硬質ゴム、プラスチックまたはこれらを組み合わせた素材などが使用できるが、強度の点や加工のし易さの点から鋳型ロール(7)は金属が好ましい。特に洗浄のし易さ、耐久性も重要であり、ステンレス製またはハードクロムメッキの鋳型ロール(7)を使用することが好ましい。また、表面に撥水もしくは撥水加工を施してもよい。
鋳型ロール(7)に所望の凹凸面を形成する方法としては、サンドブラストによる方法、パルスレーザによる方法、放電加工といった機械的な加工方法や、エッチングによる方法などの化学的方法、さらに反応性物質を研磨剤と同時に吹付けるような機械的方法と化学的方法を組み合わせた方法を用いてもよい。また、ロール表面に塗布後、未乾燥のバインダー上に微粒子を吹き付けた後、バインダーを乾燥させ微粒子を固定する方法、微粒子とバインダを含む物質をロールに吹付ける方法や、金型を使用しても良い。
バックロール(8)としては、硬質ゴム、硬質プラスチックまたは金属ロール、または金属弾性ロールが好ましく用いられる。
鋳型ロール(7)またはバックロール(8)は、これらの両方をフリーロールとしても良いし、どちらか一方を駆動しても良い。本発明のように、残留溶媒を含んだフィルムを加工する場合は、フィルムの搬送方向の収縮があるため、駆動速度は張力制御することが好ましい。
また鋳型ロール(7)及びバックロール(8)の偏芯は、50μm以内であることが好ましく、20μm以内がさらに好ましく、0〜5μmであることがさらに好ましい。
鋳型ロール(7)の直径は、5〜200cmが好ましく、10〜100cmがさらに好ましく、10〜50cmが特に好ましい。
凹凸を形成する際のロール圧力は、線圧で200〜50000N/m、さらに好ましくは500〜30000N/mから熱可塑性樹脂の種類、形成する凹凸の形状、温度等を考慮して、適宜決定される。
そして、本発明による防眩フィルムの製造方法は、鋳型加工ロール(7)のウェブ搬送方向の上流側おいてウェブ(10)の搬送張力を、ウェブ(10)の左右両端部において互いに異なるように調整するものである。
一般に、残留溶媒量を含むウェブ(10)は、ウェブ表面が柔らかく、表面の加工性が優れるが、ウェブ(10)を鋳型ロール(7)に押し付ける際に、ウェブ(10)にツレやシワが発生しやすい。ウェブ(10)のツレやシワは搬送中のウェブの微小な膜厚の幅手方向の不均一性や、ロールアライメントなどの搬送装置の微小な左右差、または乾燥時の乾燥風の左右の風速差や温度差によって発生する。設備的な左右差は、生産設備の据付時に可能な限り小さく調整しても、生産の立ち上げや立ち下げ時の温度変化といった繰り返しの温度変化により経時で変化してしまい、実質的にツレやシワが発生しない状態を長期間保つことは、極めて困難である。
そこで、本実施形態では、鋳型加工ロール(7)のウェブ搬送方向の上流側おいて、ウェブ(10)の搬送張力を左右独立に測定し、その結果により、ウェブ搬送張力調整機構を作動させて、ウェブ左右両端部のウェブ搬送張力の測定値の差が許容範囲内に小さくすることにより、ツレやシワの発生を抑制することにした。
具体的には、支持体(2)より剥離ロール(3)によって剥離されたウェブ(10)は、ガイドロール(4)によって鋳型加工ロール(7)の方に搬送されるが、鋳型加工ロール(7)のウェブ搬送方向の上流側、ウェブの搬送張力を該ウェブの左右両端部において互いに異なるように調整するウェブ搬送張力調整機構が設けられるとともに、同側にウェブ搬送張力を左右独立に測定する手段としての張力計(9A)(9B)が設けられており、張力計(9A)(9B)によるウェブ左右両端部のウェブ搬送張力の測定値の差が、1〜5%、好ましくは2〜4.5%となるように、ウェブ搬送張力調整機構を微動調整するものである。
すなわち、ウェブ(10)の凹凸加工前の左右の張力は、図1aおよび図1bに示す張力計(9A)(9B)で左右独立に測定され、その上流側にあるフィルムガイド装置(11)(12)のロールが左右に動くことにより、張力計(9A)(9B)の値が、所望の値以下になるように調整される。
図1aおよび図1bでは、前後に若干の間隔をおいてかつ上下2段に配置された2本の搬送張力調整ロール(5)(6)の右端部(5a)(6a)を基点として、同左端部(5b)(6b)をそれぞれ前後に揺動させて調整している。
そして、例えば図1aおよび図1bの後側で下段のロール(5)の右端部(5a)を基点として、同ロール左端部(5b)を前方に揺動させると、同ロール左端部(5b)が搬送ウェブ(10)の左端部に押圧されるため、フィルム搬送張力がこの部分において増大する。一方、図1aおよび図1bの前側で上段のロール(6)の右端部(6a)を基点として、同ロール左端部(6b)を前方に揺動させると、同ロール左端部(6b)が搬送ウェブの左端部に押圧されるため、フィルム搬送張力がこの部分において増大するものである、これによって、搬送ウェブ(10)の左端部の搬送張力と、同右端部の搬送張力とが、相対的に互いに異なるように変更されるものである。
また、本発明の方法においては、鋳型加工ロール(7)による凹凸形成時、鋳型加工ロール(7)へのフィルムの接触時間を、2.5×10−3〜1.0秒とするのが、好ましい。
すなわち、フィルムと鋳型ロール(7)のラップ角度やラップ時間が大きいときにもツレや傷が発生しやすく、小さいときには加工性が悪くなり、適切ならラップ角度やラップ時間が存在する。
本発明の方法によれば、ツレ・シワや表面の微小な傷を発生させることなく、平面性に優れ、表面のギラツキ、異物故障を低減した防眩フィルムを、高い生産性で製造することができる。
図2は、本発明の方法を実施するフィルム張力調整機構と鋳型ロール(7)を用いた凹凸面形成装置の第2実施形態を示す要部側面図で、1本のバックロール(8)に対して2本の鋳型ロール(7A)(7B)を用いている。
凹凸形成鋳型ロール(7)は1本でも良いが、複数本の鋳型ロール(7)を用いると、凹凸の均一性が増し、また複雑な凹凸形状が容易に得られるため好ましい。また、複数の鋳型ロール(7A)(7B)を用いる場合は、表面の凹凸形状が異なる鋳型ロール(7A)(7B)を使用することで、防眩特性および透過写像鮮明性の制御が容易になり、またフィルム表面の白ボケやギラツキを減少させることができる。
このように、1本のバックロール(8)に対して2本の鋳型ロール(7A)(7B)を使用する場合は、鋳型ロール(7A)(7B)の位置をバックロール(8)の中心に対して180°の位置に設置すると、バックロール(8)のたわみによる凹凸の不均一性が発生しづらいため好ましい。
図3は、本発明の方法を実施するフィルム張力調整機構と鋳型ロール(7)を用いた凹凸面形成装置の第3実施形態を示す要部側面図で、1本のバックロール(8)に対して4本の鋳型ロール(7A)(7B)(7C)(7D)を用いている。そして、1本のバックロール(8)に対して4本の鋳型ロール(7A)(7B)(7)を使用する場合は、鋳型ロール(7A)(7B)(7C)(7D)の位置をバックロール(8)の中心に対して前後両側の位置に設置すると、バックロール(8)のたわみによる凹凸の不均一性が発生しづらいため好ましい。
図4は、本発明の方法を実施するフィルム張力調整機構と鋳型ロール(7)を用いた凹凸面形成装置の第4実施形態を示すもので、この実施形態では、鋳型加工ロール(7)による凹凸形成時、ウェブ(10)を鋳型加工ロール(7)の全周の約3分の1の表面に全周指せることにより、鋳型加工ロール(7)へのフィルム(ウェブ)(10)の接触時間を長くしているものである。
すなわち、フィルム(ウェブ)(10)と鋳型ロール(7)のラップ角度やラップ時間を適切なものとすることにより、ツレや傷の発生を防止することができ、かつ加工性に優れているものである。
図5は、本発明の方法を実施するフィルム張力調整機構と鋳型ロール(7)を用いた凹凸面形成装置の第5実施形態を示すもので、本発明の方法では、1ケ所に複数の鋳型ロール(7)とバックロール(8)の組を配置することもできる。
同図に示すように、1本の鋳型ロール(7)と1本のバックロール(8)の組を、2組用いているものである。
このように、複数の鋳型ロール(7)を用いると、鋳型ロール(7)の凹凸をより均一に、またランダムに形成することができ、また複雑な凹凸形状を容易に形成することができる。
図6は、本発明の方法を実施する鋳型ロール(7)を用いた第6実施形態の凹凸面形成装置を具備するいま1つの防眩フィルム製造装置の概略フローシートで、図6aは、概略の全体側面図、図6bは、同要部平面図である。この第6実施形態では、張力計(9A)(9B)およびフィルムガイド(11)(12)を、鋳型加工ロール(7)およびバックロール(8)のウェブ搬送方向下流側に設置している。
なお、上記図2〜図6の本発明の第2実施形態〜第6実施形態において、本発明では、鋳型加工ロール(7)のウェブ搬送方向の上流側おいて、ウェブ(10)の搬送張力を左右独立に測定し、その結果により、ウェブ搬送張力調整機構を作動させて、ウェブ左右両端部のウェブ搬送張力の測定値の差が許容範囲内に小さくすることにより、ツレやシワの発生を抑制することは、上記第1実施形態の場合と同様である。
具体的には、上記図2〜図6の本発明の第2実施形態〜第6実施形態においても、鋳型加工ロール(7)のウェブ搬送方向の上流側に、ウェブ(10)の搬送張力を該ウェブ(10)の左右両端部において互いに異なるように調整するウェブ搬送張力調整機構が設けられるとともに、同側にウェブ搬送張力を左右独立に測定する手段としての張力計(9A)(9B)が設けられており、張力計(9A)(9B)によるウェブ左右両端部のウェブ搬送張力の測定値の差が、1〜5%、好ましくは2〜4.5%となるように、ウェブ搬送張力調整機構を微動調整するものである。
すなわち、ウェブ(10)の凹凸加工前の左右の張力は、張力計(9A)(9B)で左右独立に測定され、その上流側にあるフィルムガイド装置(11)(12)のロールが左右に動くことにより、張力計(9A)(9B)の値が、所望の値以下になるように調整される。
前後に若干の間隔をおいてかつ上下2段に配置された2本の搬送張力調整ロール(5)(6)の右端部(5a)(6a)を基点として、同左端部(5b)(6b)をそれぞれ前後に揺動させて調整している。
そして、後側で下段のロール(5)の右端部(5a)を基点として、同ロール左端部(5b)を前方に揺動させると、同ロール左端部(5b)が搬送ウェブ(10)の左端部に押圧されるため、フィルム搬送張力がこの部分において増大する。一方、前側で上段のロール(6)の右端部(6a)を基点として、同ロール左端部(6b)を前方に揺動させると、同ロール左端部(6b)が搬送ウェブの左端部に押圧されるため、フィルム搬送張力がこの部分において増大するものである、これによって、搬送ウェブ(10)の左端部の搬送張力と、同右端部の搬送張力とが、相対的に互いに異なるように変更されるものである。
[ドラムでの流延]
図7は、本発明の方法を実施するさらにいま1つの防眩フィルム製造装置の概略フローシートで、支持体(22)としてドラムを用いており、図7aは概略全体側面図、図7bは要部平面図である。
このように、本発明において用いる凹凸面形成装置は、流延用ベルトを用いた装置以外にも適用でき、流延用ドラム(22)を用いた装置に組み込むことも可能である。この場合も、凹凸面形成用鋳型ロール(7)及びそれと対向したバックロール(8)を配置する。
同図において、上記の場合と同様に、熱可塑性樹脂を溶剤に溶解したドープ(樹脂溶液)を調製し、ドープは加圧型定量ギヤポンプを通して流延ダイ(1)に送液し、流延位置において、ドープを流延ダイ(1)からハードクロム鍍金が施されたドラム支持体(22)上に流延してウェブ(10)を得、ウェブ(10)がドラム支持体(22)の回転によってほぼ3/4周移動したところで、剥離ロール(3)により剥離する。
支持体(22)としてドラムを用いる場合には、ドラム支持体(22)上では、ウェブ(10)が支持体(22)から剥離可能な膜強度となるまで乾燥固化させるため、ドラム支持体(22)の温度は、10℃以下に冷却することが好ましく、0℃以下に冷却するとより好ましく、−10℃以下に冷却することがさらに好ましい。ドラム表面に流延されたドープは冷却ゲル化によりゲル膜の強度(フイルム強度)が増加して、さらに剥ぎ取りまでの間で乾燥が促進されることによってもゲル膜の強度(フイルム強度)が増加する。
そして、ウェブ(10)の支持残留溶媒量が10〜250質量%の状態で剥離するのが好ましく、20〜220質量%の状態で剥離するのがより好ましい。残留溶剤量が250質量%を越えると、支持体(22)上に熱可塑性樹脂の剥げ残りが発生する場合がある。また、ドラム支持体(22)とウェブ(10)を剥離する際の剥離張力は、0.1〜6kg/mであるのが、好ましい。
なお、この図7の実施形態において、鋳型加工ロール(7)のウェブ搬送方向の下流側において、ウェブ(10)の搬送張力を左右独立に測定し、その結果により、ウェブ搬送張力調整機構を作動させて、ウェブ左右両端部のウェブ搬送張力の測定値の差が許容範囲内に小さくすることにより、ツレやシワの発生を抑制することは、上記第1実施形態の場合と同様であり、図面において、同一部分には同一の符号を付した。
[テンター延伸工程]
つぎに、図示は省略したが、上記のようなウェブ(10)への凹凸形成の前または後に、必要に応じて、ウェブ(10)をその幅手方向あるいはウェブ搬送方向に延伸処理を施してもよい。
画像表示部材用フィルムとしては、ウェブ(またはフィルム)(10)の両側縁部をクリップ等で固定して延伸するテンター方式が知られており、平面性や寸法安定性を向上させるために好ましい。
特に、支持体(2)から剥離した後の乾燥工程では、溶媒の蒸発によってウェブ(またはフィルム)は幅手方向に収縮しようとする。高温度で乾燥するほど収縮が大きくなる。この収縮は可能な限り抑制しながら乾燥することが、でき上がったフィルムの平面性を良好にする上で好ましい。
この点から、テンターを用いる方法としては、例えば乾燥全工程あるいは一部の工程を幅手方向にクリップでウェブの幅両端を幅保持しつつ乾燥させる方法/テンター方式が好ましい。
残留溶媒量が10〜100質量%のときに80〜130℃、及び/又は残留溶媒量が5〜10質量%のときに90〜150℃に保持する場合、テンターで幅保持もしくはフィルム幅に対して1〜20%程度の延伸を行なうと、例えばセルロースエステルフィルムの平面性の向上効果が大きく特に好ましい。
また、テンターの前後での、ウェブ(10)に搬送方向に沿って作用する張力の差を8N/mm以下とすることが好ましい。
なお、ウェブ(10)を予熱する予熱工程と、この予熱工程の後、テンター式乾燥機を用いてウェブ(10)を延伸する延伸工程と、この延伸工程の後、ウェブ(10)をこの延伸工程での延伸量よりも少ない量だけ緩和させる緩和工程とを具備し、予熱工程および延伸工程における温度T1を、(フィルムのガラス転移温度Tg−60℃)以上とし、かつ、緩和工程における温度T2を、(T1℃−10℃)以下とすることが好ましい。
特に、上記延伸工程でのウェブ(10)の延伸率を、この延伸工程に入る直前のウェブ幅に対する比率で0〜30%に、他方、緩和工程でのウェブ(10)の延伸率を、−10〜10%とすることが望ましい。
テンター装置による延伸工程においては、例えばセルロースエステルフィルムを製造する際の延伸倍率は、製膜方向もしくは幅手方向に対して、1.01〜3倍であり、好ましくは1.5〜3倍である。2軸方向に延伸する場合、高倍率で延伸する側が、1.01〜3倍であり、好ましくは1.5〜3倍であり、もう一方の方向の延伸倍率は0.8〜1.5倍、好ましくは0.9〜1.2倍に延伸することができる。
製膜工程のこれらの幅保持あるいは横方向の延伸は、テンター装置によって行なうことが好ましく、ピンテンターでもクリップテンターでもよい。
なお、テンター装置による延伸工程においては、テンター装置の底の前寄り部分から吹込まれ、テンター装置の天井の後寄り部分から排出せられる温風(24)によってウェブ(10)が、延伸と共に乾燥されている。
[乾燥工程]
テンター装置(図示略)による延伸工程の後に、例えば図1、図6および図7に示すように、乾燥装置(13)を設けることが好ましい。乾燥装置(13)内では、側面から見て千鳥配置せられた複数の搬送ロール(14)によってウェブ(10)が蛇行せられ、その間にウェブ(10)が乾燥せられるものである。また、乾燥装置(13)でのフィルム搬送張力は、ドープの物性、剥離時及びフィルム搬送工程での残留溶媒量、乾燥装置(13)での温度等に影響を受けるが、30〜250N/mが好ましく、60〜150N/mがさらに好ましい。80〜120N/mが最も好ましい。
なお、ウェブ(またはフィルム)(10)を乾燥させる手段は、特に制限なく、一般的に熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等で行なう。簡便さの点から熱風で乾燥するのが好ましく、例えば乾燥装置(13)の底の前寄り部分から吹込まれ、乾燥装置(13)の天井の後寄り部分から排出せられる温風によって乾燥される。乾燥温度は40〜160℃が好ましく、50〜160℃が平面性、寸法安定性を良くするためさらに好ましい。
これら流延から乾燥までの工程は、空気雰囲気下でもよいし、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下でもよい。この場合、乾燥雰囲気を溶媒の爆発限界濃度を考慮して実施することは勿論のことである。
乾燥時のウェブ搬送張力は、30〜300N/幅mであり、40〜270N/幅mが、より好ましい。
乾燥終了後、巻き取り前にスリッターを設けて端部を切り落とすことが良好な巻姿を得るため好ましい。
[エンボス工程]
つぎに、搬送乾燥工程を終えたポリマーフィルムに対し、巻取工程に導入する前段において、エンボス加工装置によりフィルムにエンボスを形成する加工を行なうのが、好ましい。
ここで、エンボスの高さh(μm)は、フィルム膜厚Tの0.05〜0.3倍の範囲、幅Wは、フィルム幅Lの0.005〜0.02倍の範囲に設定する。例えばフィルム膜厚40μm、フィルム幅100cmであるとき、エンボス31の厚みは2〜12μm、エンボス幅は5〜30mmに設定する。
エンボスは、フィルムの両面に形成してもよい。この場合、エンボスの高さh1+h2(μm)は、フィルム膜厚Tの0.05〜0.3倍の範囲、幅Wはフィルム幅Lの0.005〜0.02倍の範囲に設定する。例えばフィルム膜厚40μmであるとき、エンボスの高さh1+h2(μm)は2〜12μmに設定する。エンボス幅は5〜30mmに設定するのが、好ましい。
[巻き取り工程]
乾燥が終了したフィルム(20)を巻取り装置(15)によって巻き取り、防眩フィルムの元巻を得る工程である。乾燥を終了するフィルム(20)の残留溶媒量は、0.5質量%以下、好ましくは0.1質量%以下とすることにより寸法安定性の良好なフィルムを得ることができる。
フィルムの巻き取り方法は、一般に使用されているワインダーを用いればよく、定トルク法、定テンション法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法等の張力をコントロールする方法があり、それらを使い分ければよい。
巻取りコア(巻芯)への、フィルムの接合は、両面接着テープでも、片面接着テープでもどちらでも良い。
本発明による防眩フィルムの膜厚は、使用目的によって異なるが、液晶表示装置の薄型化の観点から、仕上がりフィルムとして10〜150μmの範囲が好ましく、さらに20〜100μmの範囲がより好ましく、特に25〜80μmの範囲が好ましい。
フィルムの膜厚が薄過ぎると、例えば偏光板用保護フィルムとしての必要な強度が得られない場合がある。フィルムの膜厚が厚過ぎると、従来のセルロースエステルフィルムに対して薄膜化の優位性がなくなる。
膜厚の調節には、所望の厚さになるように、ドープ濃度、ポンプの送液量、流延ダイの口金のスリット間隙、流延ダイの押し出し圧力、支持体の速度等をコントロールするのがよい。また、膜厚を均一にする手段として、膜厚検出手段を用いて、プログラムされたフィードバック情報を上記各装置にフィードバックさせて調節するのが好ましい。
溶液流延製膜法を通しての流延直後からの乾燥までの工程において、乾燥装置内の雰囲気を、空気とするのもよいが、窒素ガスや炭酸ガス等の不活性ガス雰囲気で行なってもよい。ただ、乾燥雰囲気中の蒸発溶媒の爆発限界の危険性は常に考慮されなければならないことはもちろんである。
本発明による防眩フィルムは、良好な透湿性、寸法安定性等から液晶表示用部材、詳しくは偏光板用保護フィルムに用いられるのが好ましい。特に、透湿度と寸法安定性に対して共に厳しい要求のある偏光板用保護フィルムにおいて、本発明による防眩フィルムは好ましく用いられる。
一般的に、セルロ−スエステルフィルムを偏光板用保護フィルムとして使用する場合、偏光子との接着性を良好なものにするため、アルカリ鹸化処理が行なわれる。アルカリ鹸化処理後のフィルムと偏光子とをポリビニルアルコール水溶液を接着剤として接着するため、セルロ−スエステルフィルムのアルカリ鹸化処理後の水との接触角が高いとポリビニルアルコールでの接着ができず偏光板用保護フィルムとしては問題となる。
本発明の方法により製造されたセルロ−スエステルフィルムをLCD用部材として使用する際、フィルムの光漏れを低減するため高い平面性が要求されるが、防眩フィルムの中心線平均粗さ(Ra)は、JIS B 0601に規定されており、測定方法としては、例えば触針法もしくは光学的方法等が挙げられる。
本発明において、セルロ−スエステルフィルムの中心線平均粗さ(Ra)としては、20nm以下が好ましく、さらに好ましくは、10nm以下であり、特に好ましくは、4nm以下である。
偏光板は、例えば上記の本発明の方法により製造された防眩フィルムよりなる偏光板用保護フィルムを、少なくとも一方の面に有するものである。
そして、液晶表示装置は、上記の偏光板を、液晶セルの少なくとも一方の面に有するものである。
つぎに、これらの偏光板、および該偏光板を用いた液晶表示装置について説明する。
偏光板は一般的な方法で作製することができる。アルカリ鹸化処理した本発明によるセルロ−スエステルフィルムは、ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の少なくとも一方の面に、完全鹸化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせることが好ましい。もう一方の面にも本発明によるセルロ−スエステルフィルムを用いても、別の偏光板用保護フィルムを用いてもよい。
本発明による防眩フィルムに対して、もう一方の面に用いられる偏光板用保護フィルムは市販のセルロースエステルフィルムを用いることができる。例えば、市販のセルロースエステルフィルムとして、KC8UX2M、KC4UX、KC5UX、KC4UY、KC8UY、KC12UR、KC8UY−HA、KC8UX−RHA、KC8UX−RHA−N(以上、コニカミノルタオプト株式会社製)等が好ましく用いられる。あるいは、セルロースエステルフィルム以外の環状オレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート等のフィルムをもう一方の面の偏光板用保護フィルムとして用いてもよい。
この場合は、ケン化適性が低いため、適当な接着層を介して偏光板に接着加工することが好ましい。
偏光板は、本発明による防眩フィルムを偏光子の少なくとも片側に偏光板用保護フィルムとして使用したものである。その際、該防眩フィルムの遅相軸が偏光子の吸収軸に実質的に平行または直交するように配置されていることが好ましい。
この偏光板が、横電界スイッチングモード型である液晶セルを挟んで配置される一方の偏光板として、本発明によるセルロースエステルフィルムが液晶表示セル側に配置されることが好ましい。
偏光板に好ましく用いられる偏光子としては、ポリビニルアルコール系偏光フィルムが挙げられ、これはポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと二色性染料を染色させたものがある。ポリビニルアルコール系フィルムとしては、エチレンで変性された変性ポリビニルアルコール系フィルムが好ましく用いられる。偏光子は、ポリビニルアルコール水溶液を製膜し、これを一軸延伸させて染色するか、染色した後一軸延伸してから、好ましくはホウ素化合物で耐久性処理を行なったものが用いられている。
偏光子の膜厚は5〜40μm、好ましくは5〜30μmであり、特に好ましくは5〜20μmである。該偏光子の面上に、本発明による防眩フィルムの片面を貼り合わせて偏光板を形成する。好ましくは完全鹸化ポリビニルアルコール等を主成分とする水系の接着剤によって貼り合わせる。また、セルロースエステルフィルム以外の樹脂フィルムの場合は、適当な粘着層を介して偏光板に接着加工することができる。
偏光子は一軸方向(通常は長手方向)に延伸されているため、偏光板を高温高湿の環境下に置くと、延伸方向(通常は長手方向)は縮み、延伸に対して直交する方向(通常は幅手方向)には伸びる。偏光板用保護フィルムの膜厚が薄くなるほど偏光板の伸縮率は大きくなり、特に偏光子の延伸方向の収縮量が大きい。通常、偏光子の延伸方向は偏光板用保護フィルムの流延方向(MD方向)と貼り合わせるため、偏光板用保護フィルムを薄膜化する場合は、特に流延方向の伸縮率を抑えることが重要である。本発明による防眩フィルムは寸法安定に優れるため、このような偏光板用保護フィルムとして好適に使用される。
偏光板は、さらに該偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成することができる。プロテクトフィルム及びセパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。
本発明の方法により作製された防眩フィルムを用いた液晶表示装置は、画面上にムラ等のない優れた品質を有する。
偏光子は一軸方向(通常は長手方向)に延伸されているため、偏光板を高温高湿の環境下に置くと延伸方向(通常は長手方向)は縮み、延伸に対して直交する方向(通常は幅手方向)には伸びる。偏光板用保護フィルムの膜厚が薄くなるほど偏光板の伸縮率は大きくなり、特に偏光子の延伸方向の収縮量が大きい。通常、偏光子の延伸方向は偏光板保護フィルムの流延方向(MD方向)と貼り合わせるため、偏光板用保護フィルムを薄膜化する場合は、特に流延方向の伸縮率を抑えることが重要である。本発明の防眩フィルムは寸法安定に優れるため、このような偏光板用保護フィルムとして好適に使用される。
偏光板は、さらに該偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成することができる。プロテクトフィルム及びセパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。
(液晶表示装置)
本発明の防眩フィルムが用いられた偏光板を液晶表示装置に組み込むことによって、種々の視認性に優れた液晶表示装置を作製することができる。
本発明の防眩フィルムは、反射型、透過型、半透過型LCDあるいはTN型、STN型、OCB型、HAN型、VA型(PVA型、MVA型)、IPS型等の各種駆動方式のLCDで好ましく用いられる。特に画面が30型以上、特に30型〜54型の大画面の表示装置では、画面周辺部での白抜けなどもなく、その効果が長期間維持され、MVA型液晶表示装置では顕著な効果が認められる。特に、色むら、ぎらつきや波打ちムラが少なく、長時間の鑑賞でも目が疲れないという効果があった。
このように、本発明の防眩フィルムを用いた偏光板を、液晶セルの少なくとも一方の面に有する液晶表示装置は、表示品質が非常に優れているものである。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1〜9
(セルロースエステルフィルム1)
(二酸化珪素分散液Aの作製)
アエロジル972V(日本アエロジル株式会社製) 12質量部
(一次粒子の平均径16nm、見掛け比重90g/リットル)
エタノール 88質量部
上記の材料をディゾルバーで30分間撹拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行ない、二酸化珪素分散液Aを調整した。
ついで、この二酸化珪素分散液Aに、88質量部のメチレンクロライドを撹拌しながら投入し、ディゾルバーで30分間撹拌混合し、二酸化珪素分散希釈液Aを作製した。
(インライン添加液Aの作製)
チヌビン109(チバスペシャルティケミカルズ株式会社製) 11質量部
チヌビン171(チバスペシャルティケミカルズ株式会社製) 5質量部
メチレンクロライド 100質量部
上記の材料を密閉容器に投入し、加熱し、撹拌しながら、完全に溶解し、濾過した。これに、上記の二酸化珪素分散希釈液Aを36質量部、撹拌しながら加えて、さらに30分間撹拌した後、セルロースアセテートプロピオネート(アセチル基置換度1.9、プロピオニル基置換度0.8)6質量部を撹拌しながら加えて、さらに60分間撹拌した後、アドバンテック東洋株式会社のポリプロピレンワインドカートリッジフィルターTCW−PPS−1Nで濾過し、インライン添加液Aを調製した。
(ドープ液Aの調製)
セルローストリアセテート 100質量部
(リンター綿から合成、Mn=95000、Mw=323000、
Mw/Mn=3.4、アセチル基置換度2.9)
トリメチロールプロパントリベンゾエート 5.0質量部
(脂肪族多価アルコールエステル)
エチルフタリルエチルグリコレート 5.5質量部
メチレンクロライド 440質量部
エタノール 40質量部
上記の材料を密閉容器に投入し、加熱し、撹拌しながら、完全に溶解し、安積濾紙株式会社製の安積濾紙No.24を使用して濾過して、ドープ液Aを調製した。
ついで、濾過したドープ液Aを100質量部に対し、濾過したインライン添加液Aを2質量部加えて、インラインミキサー(東レ静止型管内混合機Hi−Mixer、SWJ)で十分混合した。
ついで、図1に示すベルト流延装置を用い、流延ダイ(1)より温度35℃、1800mm幅でステンレスバンド支持体(2)に均一に流延した。ステンレスバンド支持体(2)上で、残留溶剤量が100%になるまで溶媒を蒸発させ、ステンレスバンド支持体(2)上から、剥離ロール(3)により剥離した。
つぎに、剥離したセルローストリアセテートのウェブ(10)を40℃で溶媒を蒸発させながら、鋳型ロール(中心線平均表面粗さRa;1.5μm、凹凸ピッチSm;20μm)(7)と、バックロール〔ステンレス鋼製ロール表面に厚み10mmのMCナイロン(登録商標)を巻いたもの〕(8)から構成される凹凸形成装置において、溶媒を含むウェブ(10)を挟んで、ウェブ(10)のB面(ステンレスバンド支持体に接していた側をB面とし、その反対側をA面とする)側に鋳型ロール(7)を押し当てて、A面側にはバックロール(8)を配置し、両ロール間を通すことによってB面側に凹凸を形成した。鋳型ロール(7)のバックロール(8)に対する押圧は5000(N/m)とし、凹凸形成部近傍には、除電ワイヤーを設置してフィルムの帯電を抑制した。
ウェブ(10)の残留溶媒量と、ウェブ(10)の入り側の左右張力差を調整し、実施例1〜9を実施した。
ウェブ(10)の左右両端部の搬送張力差は、鋳型ロール(7)上流側に設置したフィルムガイド装置(ロールがフィルム搬送方向に対して角度を変更する)によって所望の値になるように調整した。
ここで、実施例1〜4では、ウェブ(10)の左右両端部の搬送張力差は、2.4%であり、実施例5〜8では、ウェブ(10)の左右両端部の搬送張力差は、4.0%とした。実施例9では、ウェブ(10)の左右両端部の搬送張力差は、0.8%とした。
また、実施例1〜9では、鋳型加工ロール(7)による凹凸形成時のウェブ()と中の残留溶媒量を、10〜70質量%の範囲で種々変更した。
さらに、鋳型ロール(7)とウェブ(10)の接触時間は、所定の押圧時の鋳型ロール(7)とバックロール(8)の位置をマイクロメータで測定し、実測したそれぞれのロールの外径より幾何学的に算出した。実施例1〜9では、鋳型ロール(7)とウェブ(10)の接触時間は、2.5×10−3秒であった。
こうして、ウェブ(10)表面に凹凸形成後、110℃、120℃の加熱ゾーン(13)を多数の搬送ロール(14)で搬送させながら、乾燥を終了させ、1400mm幅にスリットし、フィルム両端に幅15mm、平均高さ10μmのナーリング加工を施して、巻取りロール(15)によって巻き取り、セルローストリアセテートフィルム(20)を得た。巻き取ったセルローストリアセテートフィルム(20)の残留溶剤量は0.1%であり、平均膜厚は70μm、巻数は3000mであった。
つぎに、こうして作製した実施例1〜9の防眩フィルムの表面の凹凸を、Zygo Corporation NewView6200を用い、JIS B0651 2001に準拠した方法で測定して、フィルムの表面粗さ(Ra)を測定し、下記式により凹凸の転写率を算出した。
転写率=(フィルムRa)/(鋳型ロールRa)×100(%)
得られた転写率の数値をつぎの4段階のランク分けにより、転写性の評価とした。
転写性の評価
◎:転写率70%以上
○:転写率50〜70%
△:転写率30〜50%
×:転写率30%未満
また、転写率は防眩フィルムの幅方向に5点測定し、転写率の幅方向の偏差を算出し、凹凸ムラの評価とした。
凹凸ムラの評価
○:転写率の偏差5%以内
△:転写率の偏差10%以内
×:転写率の偏差10%以上
また、得られた実施例1〜9の防眩フィルムについて、シワの発生を、目視により評価した。
シワの評価
○:シワが発生しない
△:弱いシワが発生。搬送は可能であったが製品にシワが残る。
×:加工ロールでシワが発生。搬送ができない。
下記の表1に、鋳型加工ロールのウェブ搬送方向の上流側におけるウェブ(10)の右端部(基端側)の搬送張力(張力1)と同左端部(揺動端側)の搬送張力(張力2)、およびこれらの左右差(%)、鋳型加工ロールのウェブ搬送方向の上流側におけるウェブ(10)の残留溶媒量(質量%)、鋳型加工ロールによる凹凸形成時、鋳型加工ロールへのウェブの接触時間(秒)、鋳型加工ロールによる押し圧(N/m)、並びに凹凸の転写性評価の結果と、シワ発生の有無の評価結果とをまとめて示した。
実施例10〜21
上記実施例1〜9の場合と同様に実施するが、上記実施例1〜9の場合と異なる点は、実施例10〜17においては、鋳型加工ロール(7)による凹凸形成時のウェブ中の残留溶媒量を、10質量%よりも少なく、また70質量%よりも多くし、実施例18〜21においては、鋳型加工ロールのウェブ搬送方向の上流側に、ウェブの搬送張力を該ウェブの左右両端部において互いに異なるように調整するウェブ搬送張力調整機構が設けられるとともに、同側にウェブ搬送張力を左右独立に測定する手段が設けられており、測定手段によるウェブ左右両端部のウェブ搬送張力の測定値の差を、1%よりも小さく、また5%よりも大きくした点にある。
得られた実施例10〜21の防眩フィルムについて、転写率、凹凸むら、およびシワの発生を、同様に評価し、得られた結果を下記の表1にあわせて示した。
この表1の結果から明らかなように、実施例1〜21の防眩フィルムでは、いずれも良好な結果が得られたが、実施例1〜8の防眩フィルムでは、特に転写性が良好であり、またシワの発生も見られなかった。
実施例22〜27
図2および図5に示す装置を用いて、鋳型ロール(7)とフィルムの接触時間を変更して実験を行なった。図2の装置では、鋳型ロール(7)の数を2個にして接触時間を2倍にした。また、図5の装置では、鋳型ロール(7)にフィルムをラップさせることで接触時間をコントロールした。
そして、でき上がった幅1400mmの防眩フィルムを、長さ1000mmとり、目視で、フィルム表面のキズの状態を検査して、微小キズの有無を評価した。
微小キズの有無評価
◎:長さ30μm以上のキズが存在しない
○:長さ50μm以上のキズが存在しない
△:長さ50μm以上のキズが5個以下満
×:長さ50μm以上のキズが6個以上
得られた結果を、下記の表2にまとめて示した。なお、下記の表2には、上記実施例1〜21の場合と同様に、鋳型加工ロールのウェブ搬送方向の上流側におけるウェブ(10)の右端部(基端側)の搬送張力(張力1)と同左端部(揺動端側)の搬送張力(張力2)、およびこれらの左右差(%)、鋳型加工ロールのウェブ搬送方向の上流側におけるウェブ(10)の残留溶媒量(質量%)、鋳型加工ロールによる凹凸形成時、鋳型加工ロールへのウェブの接触時間(秒)、並びに凹凸の転写性評価の結果と、シワ発生の有無の評価結果とを、まとめて示した。
この表2の結果から明らかなように、鋳型加工ロールへのウェブの接触時間が長くなると、キズが増加し、接触時間を1以下にした方が、シワやキズがより少ない防眩フィルムが得られた。
なお、上記実施例は、鋳型ロール(7)のフィルム搬送方向の上流側でのフィルム搬送張力を左右独立で調整した結果であるが、鋳型ロール(7)のフィルム搬送方向の下流側で、フィルム搬送張力を左右独立で調整した場合も、同様の結果が得られた。

Claims (7)

  1. 樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液を、平滑面を有する回転駆動支持体上に流延し、剥離可能となるまで支持体上で溶剤を揮発させて、ウェブを形成した後、支持体より剥離したウェブを乾燥する工程の途上において、ウェブ表面に鋳型加工ロールを押し当てて、フィルム表面に凹凸を形成する、溶液流延製膜法による防眩フィルムの製造方法であって、鋳型加工ロールのウェブ搬送方向の上流側または下流側においてウェブの搬送張力を、ウェブの左右両端部において互いに異なるように調整することを特徴とする、防眩フィルムの製造方法。
  2. 鋳型加工ロールのウェブ搬送方向の上流側または下流側に、ウェブの搬送張力を該ウェブの左右両端部において互いに異なるように調整するウェブ搬送張力調整機構が設けられるとともに、同側にウェブ搬送張力を左右独立に測定する手段が設けられており、測定手段によるウェブ左右両端部のウェブ搬送張力の測定値の差が、1〜5%となるように、ウェブ搬送張力調整機構を微動調整することを特徴とする、請求の範囲第1項に記載の防眩フィルムの製造方法。
  3. 鋳型加工ロールによる凹凸形成時のウェブ中の残留溶媒量が、10〜70質量%であることを特徴とする、請求の範囲第1項または第2項に記載の防眩フィルムの製造方法。
  4. 鋳型加工ロールによる凹凸形成時、鋳型加工ロールへのウェブの接触時間を、2.5×10−3〜1.0秒とすることを特徴とする、請求の範囲第1項乃至第3項のうちのいずれか一項に記載の防眩フィルムの製造方法。
  5. 前記鋳型加工ロールの前記ウェブへの圧力が、200〜50000N/mであることを特徴とする、請求の範囲第1項乃至第4項のうちのいずれか一項に記載の防眩フィルムの製造方法。
  6. 前記ウェブ搬送張力調整機構は、前記測定手段によるウェブ左右両端部のウェブ搬送張力の測定値の差が、2〜4.5%となるように調整することを特徴とする、請求の範囲第2項に記載の防眩フィルムの製造方法。
  7. 請求の範囲第1項乃至第6項のうちのいずれか一項に記載の方法で製造されたことを特徴とする、防眩フィルム。
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