JPWO2009008419A1 - 基体の反射率低減剤及びそれを用いた低反射性基体の製造方法 - Google Patents

基体の反射率低減剤及びそれを用いた低反射性基体の製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、基体の材質及び形状に係らず適用可能な簡易な方法により、基体の反射率を低減させると共に透過率が増大して光学特性が向上した基体を提供することを目的とする。前記目的達成のために、本発明では、炭素及び/又は熱分解性有機化合物、並びに、酸化チタン及び/又は無機ケイ素化合物を含む反射率低減剤を光透過性基体の表面に塗布し、これを加熱して当該基体を光高透過性とする。

Description

本発明は、基体の光反射率を低減させる反射率低減剤、及び、当該反射率低減剤で表面処理を行うことを特徴とする低反射性基体の製造方法に関する。
従来より、光を透過する機能を有する光学素子の機能性向上のために、当該素子の反射率の低減が求められている。例えば、レンズ等の光学素子では、基体として透明度の高いガラスを使用したり、反射率を低減させるための有機高分子フィルムを基体表面に適用することが行われている。しかし、高透明度のガラスの使用は経済性に問題があり、また、有機高分子フィルムの適用では非常に薄いフィルムの厚みをレンズ等の光学特性に影響を与えない程度に均一に制御することが困難であった。
また、特開昭50−70040号公報には、反射率低減のためにレンズ基体の表面にエッチング処理を行って所定のパターンを有する微細な凹凸を形成することが記載されているが、エッチング処理にレーザー光干渉を利用するために処理装置が大掛かりとなり、また、レンズ基体が曲面を有する場合は、当該曲面上での凹凸の形成が困難であった。
特開昭50−70040号公報
本発明は、上記の従来技術に鑑みて為されたものであり、基体の材質及び形状に係わらず適用可能な簡易な方法により基体の反射率を低減させ、それにより透過率を増大して光学特性が向上した基体を提供することをその目的とする。
本発明の目的は、炭素及び/又は熱分解性有機化合物、並びに、酸化チタン及び/又は無機ケイ素化合物を含む、基体の反射率低減剤によって達成される。有機ケイ素化合物を更に含むことが好ましい。
前記酸化チタンは過酸化チタンであることが好ましい。前記酸化チタンは、アモルファス型、アナターゼ型、又はそれらの混合物であることが好ましい。前記酸化チタンの少なくとも一部は金属ドープ酸化チタンもしくは過酸化チタンであることが好ましい。
前記炭素は、カーボンブラック、グラファイト、フラーレン、カーボンナノチューブ、又は、墨汁の形態であることが好ましい。
前記熱分解性有機化合物は糖又は糖アルコールであることができ、当該糖は、単糖類及び二糖類からなる群から選択される少なくとも1つであることができる。
前記熱分解性有機化合物は水溶性有機高分子であってもよい。
前記反射率低減剤は、更に
(1)陽イオン;
(2)正電荷を有する導電体又は誘電体;並びに
(3)正電荷を有する導電体、及び、誘電体又は半導体、の複合体
からなる群から選択される1種又は2種以上の、正電荷物質を含有することができる。
前記反射率低減剤は、更に
(4)陰イオン;
(5)負電荷を有する導電体又は誘電体;
(6)負電荷を有する導電体、及び、誘電体又は半導体、の複合体;
からなる群から選択される1種又は2種以上の、負電荷物質を含有することができる。
前記反射率低減剤は、前記正電荷物質及び負電荷物質を共に含有することができる。
本発明の低反射性基体の製造方法は、前記反射率低減剤を基体の表面に塗布し、加熱することにより実施される。前記表面は平滑であることが好ましい。
前記基体の少なくとも一部はガラス製であることが好ましい。
前記加熱を400℃以上の温度で行うことが好ましい。
本発明の低反射性基体は、前記製造方法により得られたものであり、最大高さ(Rmax)50nm以下の表面粗さを有する。
前記低反射性基体は、50nm〜300nmの平均厚さの表面膜を表面に備えることが好ましい。
前記表面膜は直径1nm〜50nmの超微粒子からなることが好ましい。
前記低反射性基体は、光学素子又は光電池の構成部品として好適に使用することができる。
本発明によれば、基体の材質及び形状に係わらず、簡易な方法により、反射率が低減され、光透過率が増大した基体を提供することができる。したがって、本発明により、低反射性基体を簡便、且つ、経済的に製造することができる。本発明により得られた基体は、光等の電磁波の低反射性が求められる、光学素子、光電池等の構成物品として特に好ましい。
金属ドープ酸化チタンの第1の製造方法の一例の概略を示す図 複合体による正電荷付与機構を示す概念図 正電荷を帯びる基体表面から汚染物質が除去される機構を示す概念図 加熱処理後の評価基板1の表面を示す斜視図 加熱処理後の評価基板1の表面の断面図
本発明では、炭素及び/又は熱分解性有機化合物、並びに、酸化チタン及び/又は無機ケイ素化合物を必須に含む組成物である反射率低減剤を基体の表面に塗布して加熱処理することによって、低反射性基体を製造する。すなわち、本発明は、前記反射率低減剤並びに当該反射率低減剤を使用する低反射性基体の製造方法に関する。したがって、本発明は、前記反射率低減剤を用いた基体の表面処理方法でもある。なお、「光」とは、紫外線、可視光線、赤外線等の電磁波を意味しており、ここで「可視光線」とは380nmから780nmの波長を有する電磁波を意味する。
本発明により表面処理される基体としては、各種の光透過性基体を使用することができる。基体の材質としては、特に限定されるものではなく、親水性又は疎水性の無機系基体及び有機系基体、或いは、それらの組み合わせを使用することができる。
無機系基体としては、例えば、ソーダライムガラス、石英ガラス、耐熱ガラス等の透明若しくは半透明ガラス、又は、インジウムスズ酸化物(ITO)等の金属酸化物からなる基体が挙げられる。また、有機系基体としては、例えば、プラスチックからなる基体が挙げられる。プラスチックをより具体的に例示すると、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ボリカーボネート、アクリル樹脂、PET等のポリエステル、ポリアミド、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂、及び、ポリウレタン、メラミン樹脂、尿素樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。耐熱性の点では無機系基体が好ましく、特に、少なくとも一部若しくは好ましくは全部がガラス製の基体が好ましい。なお、有機系基体の材質としては熱硬化性樹脂が好ましい。
基体の形状は特に限定されるものではなく、立方体、直方体、球形、紡錘形、シート形、フィルム形、繊維状等の任意の形状をとることができる。基体表面はコロナ放電処理又は紫外線照射処理等によって親水性化又は疎水性化されていてもよい。基体表面は平面及び/又は曲面を備えていてもよく、また、エンボス加工されていてもよいが、平滑面が好ましい。
本発明において使用される反射率低減剤は、少なくとも、炭素及び/又は熱分解性有機化合物、並びに、無機ケイ素化合物及び/又は酸化チタンを含む液状の組成物である。
本発明において「炭素」とは、炭素の単体を意味しており、例えば、カーボンブラック、グラファイト、フラーレン、カーボンナノチューブ、又は、墨汁の形態をとることができる。使用性の点では、墨汁等の液状媒体に分散されたものが好ましい。なお、墨汁とは、膠によって分散された炭素粒子のコロイド分散液であり、そのまま使用することができる。墨汁中の炭素濃度は適宜設定することができる。本発明で使用される「炭素」は、その製造の際に使用された金属触媒等の不純物を含んでもよいが、そのような不純物が少ないものが好ましい。
本発明における熱分解性有機化合物は、加熱により分解する有機化合物であれば特に限定されないが、加熱により分解してガスを放出するものが好ましい。加熱温度としては、400℃以上が好ましく、450℃以上がより好ましく、500℃以上が更により好ましい。熱分解性有機化合物としては、例えば、コラーゲン、ゼラチン、膠等のタンパク質、糖又は糖アルコール、水溶性有機高分子、及び、これらの混合物が挙げられるが、糖又は糖アルコールが好ましく、糖が更に好ましい。
ここで、「糖」とは、多数のヒドロキシ基とカルボニル基を有する炭水化物であり、単糖類、二糖類、オリゴ糖類、多糖類等が挙げられる。単糖類としては、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、リボース、エリトロース等が挙げられる。二糖類としては、マルトース、ラクトース、スクロース(ショ糖)等が挙げられる。オリゴ糖類としては、フルクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖等が挙げられる。多糖類としては、デンプン、セルロース、ペクチン等が挙げられる。これらは単独で使用されてもよく、混合物であってもよい。使用性の観点からは、糖としては高水溶性のものが好ましい。したがって、本発明においては、単糖類及び二糖類からなる群から選択される1つ又は2種以上の混合物が好適に使用される。
「糖アルコール」とは、糖のカルボニル基が還元されたものである。糖アルコールとしては、具体的には、エリスリトール、トレイトール、アラビニトール、キシリトール、リビトール、マンニトール、ソルビトール、マルチトイノシトール等が挙げられる。これらは単独で使用されてもよく、また、二種類以上の混合物として使用されてもよい。
「水溶性有機高分子」としては、水溶性である限り任意の熱分解性有機高分子を使用することができるが、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体等のポリエーテル;ポリビニルアルコール;ポリアクリル酸(アルカリ金属塩、アンモニウム塩等の塩を含む)、ポリメタクリル酸(アルカリ金属塩、アンモニウム塩等の塩を含む)、ポリアクリル酸−ポリメタクリル酸(アルカリ金属塩、アンモニウム塩等の塩を含む)共重合体;ポリアクリルアミド;ポリビニルピロリドン等を挙げることができる。
前記水溶性有機高分子は、糖又は糖アルコールの溶解助剤として機能することができるので、糖又は糖アルコールと共に配合することが好ましい。これにより糖又は糖アルコールを反射率低減剤に良好に溶解させることができる。
前記組成物中の炭素及び/又は熱分解性有機化合物の濃度は、基体の表面処理の程度に応じて適宜変更することができるが、典型的には0.01〜15重量%であり、好ましくは0.05〜10重量%であり、より好ましくは1.0〜5.0重量%である。
本発明で使用される無機ケイ素化合物としては、シリカ(二酸化ケイ素)、窒化ケイ素、炭化ケイ素、シラン等が挙げられるが、シリカが好ましい。シリカとしては、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ、沈降シリカ等を使用することができるがコロイダルシリカが好ましい。市販のコロイダルシリカとしては、例えば、PL−1,PL−3(扶桑化学工業(株))、ポリシリケートとして、WM−12(多摩化学工業(株)製)、シリカゾル51(コルコート(株)製)等を用いることができる。
前記組成物中の無機ケイ素化合物の濃度は、基体の表面処理の程度に応じて適宜変更することができるが、典型的には0.01〜98重量%であり、好ましくは0.1〜90重量%であり、より好ましくは10〜80重量%である。
本発明で使用される酸化チタンとは、チタンの酸化物の意味であり、例えば、TiO、TiO、TiO、TiO/nHO等の各種の一酸化チタン、二酸化チタン、過酸化チタン等が挙げられるが、ペルオキソ基を有する過酸化チタンが好ましい。また、酸化チタンは微粒子状であることが好ましい。酸化チタンは、アモルファス型、アナターゼ型、ブルッカイト型、ルチル型のいずれの結晶形であってもよいが、アモルファス型が好ましく、特に、アモルファス型とアナターゼ型との混合物が好ましい。酸化チタンとして、本発明では、市販の各種結晶型の酸化チタンのゾル液を使用することができる。
また、酸化チタンとしては、金属ドープ酸化チタンが好ましい。前記金属としては、金、銀、白金、銅、ジルコニウム、マンガン、ニッケル、コバルト、鉄及び亜鉛からなる群から選択された金属元素の少なくとも1つが好ましい。金属ドープ酸化チタンとしては、市販の各種結晶型の酸化チタンのゾル液と各種金属のゾル液を混合したものを使用することができる。
金属ドープ酸化チタンとしては、特に、金属ドープ過酸化チタンが好ましい。金属ドープ過酸化チタンの製造方法としては、一般的な二酸化チタン粉末の製造方法である塩酸法又は硫酸法をベースとする製造方法を採用してもよいし、各種の液体分散チタニア溶液の製造方法を採用してもよい。そして、上記金属は、製造段階の如何を問わず過酸化チタンと複合化することができる。
例えば、前記金属ドープ過酸化チタンの具体的な製造方法としては、以下の第1〜第3の製造方法、並びに、従来から知られているゾル−ゲル法が挙げられる。
第1の製造方法
まず、四塩化チタン等の四価チタンの化合物とアンモニア等の塩基とを反応させて、水酸化チタンを形成する。次に、この水酸化チタンを酸化剤でペルオキソ化し、超微細粒子のアモルファス型過酸化チタンを形成する。この反応は好ましくは水性媒体中で行なわれる。さらに、任意に加熱処理することによりアナターゼ型過酸化チタンに転移させることも可能である。上記の各工程のいずれかにおいて金、銀、白金、銅、ジルコニウム、マンガン、ニッケル、コバルト、鉄、亜鉛又はそれらの化合物の少なくともいずれか1つが混合される。
ペルオキソ化用酸化剤は特に限定されるものではなく、チタンのペルオキソ化物、すなわち過酸化チタンが形成できるものであれば各種のものが使用できるが、過酸化水素が好ましい。酸化剤として過酸化水素水を使用する場合は、過酸化水素の濃度は特に制限されることはないが、30〜40%のものが好適である。ペルオキソ化前には水酸化チタンを冷却することが好ましい。その際の冷却温度は1〜5℃が好ましい。
図1に上記第1の製造方法の一例を示す。図示される製造方法では、四塩化チタン水溶液とアンモニア水とを、金、銀、白金、銅、ジルコニウム、マンガン、ニッケル、コバルト、鉄、亜鉛の少なくとも1つの存在下で混合し、当該金属の水酸化物及びチタンの水酸化物の混合物を生成させる。その際の反応混合液の濃度及び温度については、特に限定されるわけではないが、希薄且つ常温とすることが好ましい。この反応は中和反応であり、反応混合液のpHは最終的に7前後に調整されることが好ましい。
このようにして得られた金属及びチタンの水酸化物は純水で洗浄した後、5℃前後に冷却され、次に、過酸化水素水でペルオキソ化される。これにより、金属を含む、アモルファス型のペルオキソ基を有する過酸化チタン微細粒子を含有する水性分散液、すなわち金属ドープ過酸化チタンを含有する水性分散液を製造することができる。
第2の製造方法
四塩化チタン等の四価チタンの化合物を酸化剤でペルオキソ化し、これとアンモニア等の塩基とを反応させて超微細粒子のアモルファス型過酸化チタンを形成する。この反応は好ましくは水性媒体中で行なわれる。さらに、任意に加熱処埋することによりアナターゼ型過酸化チタンに転移させることも可能である。上記の各工程のいずれかにおいて金、銀、白金、銅、ジルコニウム、マンガン、ニッケル、コバルト、鉄、亜鉛又はそれらの化合物の少なくともいずれか1つが混合される。
第3の製造方法
四塩化チタン等の四価チタンの化合物を、酸化剤及び塩基と同時に反応させて、水酸化チタン形成とそのペルオキソ化とを同時に行い、超微細粒子のアモルファス型過酸化チタンを形成する。この反応は好ましくは水性媒体中で行なわれる。さらに、任意に加熱処埋することによりアナターゼ型過酸化チタンに転移させることも可能である。上記の各工程のいずれかにおいて金、銀、白金、銅、ジルコニウム、マンガン、ニッケル、コバルト、鉄、亜鉛又はそれらの化合物の少なくともいずれか1つが混合される。
なお、第1乃至第3の製造方法において、アモルファス型過酸化チタンと、これを加熱して得られるアナターゼ型過酸化チタンとの混合物を金属ドープ過酸化チタンとして使用できることは言うまでもない。
ゾル−ゲル法による製造方法
チタンアルコキシドに、水、アルコール等の溶媒、酸又は塩基触媒を混合撹拌し、チタンアルコキシドを加水分解させ、超微粒子の過酸化チタンのゾル溶液を生成する。この加水分解の前後のいずれかに、金、銀、白金、銅、ジルコニウム、マンガン、ニッケル、コバルト、鉄、亜鉛又はそれらの化合物の少なくともいずれか1つが混合される。なお、このようにして得られる過酸化チタンは、ペルオキソ基を有するアモルファス型である。
上記チタンアルコキシドとしては、一般式:Ti(OR´)(ただし、R´はアルキル基)で表示される化合物、又は上記一般式中の1つ或いは2つのアルコキシド基(OR´)がカルボキシル基或いはβ−ジカルボニル基で置換された化合物、或いは、それらの混合物が好ましい。
上記チタンアルコキシドの具体例としては、Ti(O−isoC、Ti(O−nC、Ti(O−CHCH(C)C、Ti(O−C1735、Ti(O−isoC[CO(CH)CHCOCH、Ti(O−nC[OCN(COH)、Ti(OH)[OCH(CH)COOH]、Ti(OCHCH(C)CH(OH)C、Ti(O−nC(OCOC1735)等が挙げられる。
四価チタンの化合物
金属ドープ過酸化チタンの製造に使用する四価チタンの化合物としては、塩基と反応させた際に、オルトチタン酸(HTiO)とも呼称される水酸化チタンを形成できるものであれば各種のチタン化合物が使用でき、例えば四塩化チタン、硫酸チタン、硝酸チタン、燐酸チタン等のチタンの水溶性無機酸塩がある。それ以外にも蓚酸チタン等のチタンの水溶性有機酸塩も使用できる。なお、これらの各種チタン化合物の中では、水溶性に特に優れ、かつ金属ドープ過酸化チタンの分散液中にチタン以外の成分が残留しない点で、四塩化チタンが好ましい。
また、四価チタンの化合物の溶液を使用する場合は、当該溶液の濃度は、水酸化チタンのゲルが形成できる範囲であれば特に制限されるものではないが、比較的希薄な溶液が好ましい。具体的には、四価チタンの化合物の溶液濃度は、5〜0.01重量%が好ましく、0.9〜0.3重量%がより好ましい。
塩基
上記四価チタンの化合物と反応させる塩基は、四価チタンの化合物と反応して水酸化チタンを形成できるものであれば、各種のものが使用可能であり、それにはアンモニア、苛性ソーダ、炭酸ソーダ、苛性カリ等が例示できるが、アンモニアが好ましい。
また、上記の塩基の溶液を使用する場合は、当該溶液の濃度は、水酸化チタンのゲルが形成できる範囲であれば特に制限されるものではないが、比較的希薄な溶液が好ましい。具体的には、塩基溶液の濃度は、10〜0.01重量%が好ましく、1.0〜0.1重量%がより好ましい。特に、塩基溶液としてアンモニア水を使用した場合のアンモニアの濃度は、10〜0.01重量%が好ましく、1.0〜0.1重量%がより好ましい。
金属化合物
金、銀、白金、銅、ジルコニウム、マンガン、ニッケル、コバルト、鉄又は亜鉛の化合物としては、それぞれ以下のものが例示できる。
Au化合物:AuCl、AuCl、AuOH、Au(OH)、AuO、AuO
Ag化合物:AgNO、AgF、AgClO、AgOH、Ag(NH)OH、AgSO
Pt化合物:PtCl、PtO、Pt(NH)Cl、PtO、PtCl、〔Pt(OH)2−
Ni化合物:Ni(OH)、NiCl
Co化合物:Co(OH)NO、Co(OH)、CoSO、CoCl
Cu化合物:Cu(OH)、Cu(NO、CuSO、CuCl、Cu(CHCOO)
Zr化合物:Zr(OH)、ZrCl、ZrCl
Mn化合物:MnNO、MnSO、MnCl
Fe化合物:Fe(OH)、Fe(OH)、FeCl
Zn化合物:Zn(NO、ZnSO、ZnCl
第1乃至第3の製造方法で得られる水性分散液中の過酸化チタン濃度(共存する金、銀、白金、銅、ジルコニウム、マンガン、ニッケル、コバルト、鉄又は亜鉛を含む合計量)は、0.05〜15重量%が好ましく、0.1〜5重量%がより好ましい。また、金、銀、白金、銅、ジルコニウム、マンガン、ニッケル、コバルト、鉄又は亜鉛の配合量については、チタンと金属成分とのモル比で、本発明からは1:1が望ましいが、水性分散液の安定性から1:0.01〜1:0.5が好ましく、1:0.03〜1:0.1がより好ましい。
市販の過酸化チタンとしては、例えば、アモルファス型過酸化チタン水分散液SP185、シリカドープアモルファス型過酸化チタン水分散液SPS185、銅及びジルコニウムドープチタニア水分散液Z18−1000SuperA、銀ドープチタニア水分散液SP−10(サスティナブル・テクノロジー(株))を挙げることができる。
本発明で使用される反射率低減剤は、上記のようにして得られたアモルファス型過酸化チタンと共に、アナターゼ型過酸化チタンを含むことが好ましい。アナターゼ型過酸化チタンとしては、アモルファス型過酸化チタンが加熱(典型的には後述する光透過性基体表面塗布後)により転移したものであってもよいが、アモルファス型過酸化チタンが加熱により転移したものではないアナターゼ型過酸化チタンが好ましい。すなわち、反射率低減剤に含まれるアナターゼ型過酸化チタンはアモルファス型過酸化チタンの一部が加熱により転移してin−situで形成されたものであってもよいが、その少なくとも一部(好ましくは全部)は外部より別途添加されたものであることが好ましい。
前記反射率低減剤中の酸化チタンの濃度は、基体の表面処理の程度に応じて適宜変更することができるが、典型的には0.01〜90重量%であり、好ましくは0.1〜50重量%であり、より好ましくは1〜20重量%である。
本発明の反射率低減剤は、有機ケイ素化合物を更に含むことができる。有機ケイ素化合物としては、例えば、各種の有機シラン化合物、並びに、シリコーンオイル、シリコーンゴム及びシリコーンレジン等のシリコーンが挙げられる。これらは単独で使用されてもよく、混合物であってもよい。シリコーンとしては、分子中にアルキルシリケート構造若しくはポリエーテル構造を有するもの、又は、アルキルシリケート構造及びポリエーテル構造の両方を有するものが好ましい。ここで、アルキルシリケート構造とは、シロキサン骨格のケイ素原子にアルキル基が結合した構造をさす。一方、ポリエーテル構造とは、エーテル結合を有する構造をさし、これらに限定されるものではないが、具体的には、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリテトラメチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイド―ポリプロピレンオキサイドブロック共重合体、ポリエチレンポリテトラメチレングリコール共重合体、ポリテトラメチレングリコール―ポリプロピレンオキサイド共重合体等の分子構造が挙げられる。そのなかでも、ポリエチレンオキサイド―ポリプロピレンオキサイドブロック共重合体は、そのブロック度及び分子量により、基体表面における濡れ性を制御できる観点から好適である。
有機ケイ素化合物としては、分子中にアルキルシリケート構造及びポリエーテル構造の双方を有するシリコーンが特に好ましい。具体的には、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン等のポリエーテル変性シリコーンが好適である。これは公知の方法で製造することができ、例えば、特開平4―242499号公報の合成例1,2,3,4や、特開平9−165318号公報の参考例記載の方法等により製造することができる。特に、両末端メタリルポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイドブロック共重合体とジヒドロポリジメチルシロキサンとを反応させて得られるポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイドブロック共重合体変性ポリジメチルシロキサンが好適である。具体的には、TSF4445、TSF4446(GE東芝シリコーン(株))、KPシリーズ(信越化学工業(株))、並びに、SH200、SH3746M、DC3PA、ST869A(東レ・ダウコーニング(株))等を用いることができる。
前記組成物中の有機ケイ素化合物の濃度は、基体の表面処理の程度に応じて適宜変更することができるが、典型的には0.01〜5.0重量%であり、好ましくは0.05〜2.0重量%であり、より好ましくは0.1〜1.0重量%である。
本発明の反射率低減剤は、水、アルコール又はこれらの混合物である水性媒体、或いは、有機溶媒等の非水性媒体を含むことが好ましい。炭素の分散性及び熱分解性有機化合物の溶解性の点では、本発明の反射率低減剤は水性媒体を含むことが好ましい。これらの媒体の濃度は典型的には50〜99.9重量%であり、好ましくは60〜99重量%であり、より好ましくは70〜97重量%である。
本発明の反射率低減剤は、基体の表面に塗布されて加熱される。これにより、基体表面の反射率が低減し、光透過性が向上する。反射率低減剤の塗布手段及び塗布方法は特に限定されるものではなく任意の手段及び方法を使用することができ、例えば、ディップ工法、スプレー工法、ロールコーター工法、スピンコーター工法、スポンジシート工法等の任意の塗布方法を使用することができる。
前記加熱は、炭素が炭酸ガスとして噴出し、若しくは、反射率低減剤中の熱分解性有機化合物が分解する温度以上であれば特に限定されるものではないが、熱分解性有機化合物が糖又は糖アルコール、或いは、水溶性有機高分子の場合は、水蒸気、炭酸ガス等の分解ガスが発生する温度以上が好ましく、400℃以上がより好ましく、450℃以上が更により好ましく、500℃以上が更により好ましい。加熱温度の上限については特に限定されるものではないが、基体の各種特性への影響の点からは、1000℃以下とすることが好ましく、850℃以下がより好ましく、800℃以下が更により好ましい。加熱時間も熱分解性有機化合物の炭化を十分に行える限り特に限定されるものではないが、1分から3時間が好ましく、1分から1時間がより好ましく、1分から30分が更により好ましい。
加熱により、反射率低減剤中に過酸化チタンが存在する場合は、過酸化チタンは酸化チタン(二酸化チタン)に変化する。このとき、更に、アモルファス型酸化チタンはアナターゼ型酸化チタンに転移する(一般に、アモルファス型酸化チタンは、100℃で2時間以上加熱することによりアナターゼ型に転移する)。したがって、本発明の反射率低減剤中にアモルファス型過酸化チタンが含まれる場合は、アモルファス型過酸化チタン→アモルファス型酸化チタン→アナターゼ型酸化チタンのプロセスにより得られたアナターゼ型酸化チタンが基体表面上に存在する。更に、前記反射率低減剤中アナターゼ型過酸化チタンが既に含まれている場合は、加熱により、そのままアナターゼ型酸化チタンに変化する。
加熱処理された基体の表面には、反射率低減剤中の炭素の炭酸ガスとしての噴出、若しくは、熱分解性有機化合物由来の分解物(水蒸気、炭酸ガス等)の噴出により、多数の微細な凹凸を表面に有する多孔質層が形成される。この微細な凹凸により、基体表面の反射率が低減され、結果的に、基体の光透過率が向上する。前記多孔質層の平均層厚は基体の透過率が向上する限り特に限定されるものではないが、0.05から0.3μm(50〜300nm)が好ましく、80〜250nmがより好ましく、100〜250nmが更により好ましく、120〜200nmが特に好ましい。
前記多孔質層の表面は、最大高さ(Rmax)50nm以下の表面粗さを有することが好ましく、最大高さは、より好ましくは30nm以下である。但し、多孔質層は、基板面から形成されており、孔の深さは層厚さ分、又は、表層厚さのものもある。このような多数の微細な凹凸の存在により、基体の表面における反射率が低減し、その結果、当該基体の光透過率が向上する。多孔質層に含まれる酸化チタンの粒径は、1nm〜100nmが好ましく、1nm〜50nmがより好ましく、1nm〜20nmが更により好ましい。
本発明では、基体自体の表面にエッチング処理等によって微細な凹凸を形成するのではなく、その表面に薄い多孔質層を形成することによって基体表面に微細な凹凸を形成するので、基体自体への微細加工が不要であり、凹凸形成が容易である。また、多孔質層の前駆体である反射率低減剤は塗布により基体表面に適用されるので、広範囲に亘って基体表面を処理することができ、更に、レンズのように曲面を有する基体であっても容易に凹凸を形成することができる。
したがって、本発明では、基体の材質及び形状に係わらず適用可能な簡易な方法により基体の反射率を低減させることが可能であり、これにより、透過率が増大して光学特性が向上した低反射性基体を提供することができる。
本発明の反射率低減剤には、上記の成分の他に、各種の正電荷物質、負電荷物質、又は、これらの混合物を配合することができる。これにより、基体表面の汚染が回避又は低減されるので、長期亘って、低反射性を維持することができる。
正電荷物質としては、例えば、陽イオン;正電荷を有する導電体又は誘電体;正電荷を有する導電体と誘電体又は半導体との複合体;或いは、これらの混合物が挙げられる。
前記陽イオンとしては、特に限定されるものではないが、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属のイオン;カルシウム等のアルカリ土類金属のイオン;アルミニウム、錫、セシウム、インジウム、セリウム、セレン、クロム、ニッケル、アンチモン、鉄、銅、マンガン、タングステン、ジルコニウム、亜鉛等の金属元素のイオンが好ましく、特に銅イオンが好ましい。更に、メチルバイオレット、ビスマルクブラウン、メチレンブルー、マラカイトグリーン等のカチオン性染料、第4級窒素原子含有基により変性されたシリコーン等のカチオン基を備えた有機分子も使用可能である。イオンの価数も特に限定されるものではなく、例えば、1〜4価の陽イオンが使用可能である。
前記金属イオンの供給源として、金属塩を使用することも可能である。具体的には、塩化アルミニウム、塩化第1及び第2錫、塩化クロム、塩化ニッケル、塩化第1及び第2アンチモン、塩化第1及び第2鉄、塩化セシウム、三塩化インジウム、塩化第1セリウム、四塩化セレン、塩化第2銅、塩化マンガン、四塩化タングステン、オキシ二塩化タングステン、タングステン酸カリウム、オキシ塩化ジルコニウム、塩化亜鉛、炭酸バリウム等の各種の金属塩が挙げられる。更に、水酸化アルミニウム、水酸化鉄、水酸化クロム、水酸化インジウム等の金属水酸化物、ケイタングステン酸等の水酸化物、又は、油脂酸化物等の酸化物も使用可能である。
正電荷を有する導電体又は誘電体としては、上記の陽イオン以外の、正電荷が発生した導電体又は誘電体を挙げることができ、例えば、使用される導電体は耐久性の点から金属が望ましく、アルミニウム、錫、セシウム、インジウム、セリウム、セレン、クロム、ニッケル、アンチモン、鉄、銀、銅、マンガン、白金、タングステン、ジルコニウム、亜鉛等の金属や酸化金属が挙げられる。また、これらの金属の複合体又は合金も使用することができる。導電体の形状は特に限定されるものではなく、粒子状、薄片状、繊維状等の任意の形状をとることができる。
導電体としては、一部の金属の金属塩も使用可能である。具体的には、塩化アルミニウム、塩化第1及び第2錫、塩化クロム、塩化ニッケル、塩化第1及び第2アンチモン、塩化第1及び第2鉄、硝酸銀、塩化セシウム、三塩化インジウム、塩化第1セリウム、四塩化セレン、塩化第2銅、塩化マンガン、塩化第2白金、四塩化タングステン、オキシ二塩化タングステン、タングステン酸カリウム、塩化第2金、オキシ塩化ジルコニウム、塩化亜鉛等の各種の金属塩が例示できる。また、水酸化インジウム、ケイタングステン酸等の水酸化物又は酸化物等も使用可能である。
正電荷を有する誘電体としては、例えば、摩擦により正に帯電した羊毛、ナイロン等の誘電体が挙げられる。
次に、前記複合体によって正電荷を付与する原理を図2に示す。図2は図示を省略する基体の表面上又は表面層中に、導電体−誘電体又は半導体−導電体の組み合わせを配列した概念図である。導電体は、内部に自由に移動できる自由電子が高い濃度で存在することによって、表面に正電荷状態を有することができる。なお、導電体として陽イオンを含む導電性物質を使用することも可能である。
一方、導電体に隣接する誘電体又は半導体は、導電体の表面電荷状態の影響により誘電分極される。この結果、導電体に隣接する側には負電荷が、また、非隣接側には正電荷が誘電体又は半導体に発生する。これらの作用により導電体−誘電体又は半導体−導電体の組み合わせの表面は正電荷を帯びることとなり、基体表面に正電荷が付与される。前記複合体のサイズ(複合体を通過する最長軸の長さをいう)は1nmから100μm、好ましくは1nmから10μm、より好ましくは1nmから1μm、より好ましくは1nmから100nmの範囲とすることができる。
本発明において使用される複合体を構成する導電体は耐久性の点から金属が望ましく、アルミニウム、錫、セシウム、インジウム、セリウム、セレン、クロム、ニッケル、アンチモン、鉄、銀、銅、マンガン、白金、タングステン、ジルコニウム、亜鉛等の金属が挙げられる。また、これらの金属の酸化物や複合体又は合金も使用することができる。導電体の形状は特に限定されるものではなく、粒子状、薄片状、繊維状等の任意の形状をとることができる。
導電体としては、一部の金属の金属塩も使用可能である。具体的には、塩化アルミニウム、塩化第1及び第2錫、塩化クロム、塩化ニッケル、塩化第1及び第2アンチモン、塩化第1及び第2鉄、硝酸銀、塩化セシウム、三塩化インジウム、塩化第1セリウム、四塩化セレン、塩化第2銅、塩化マンガン、塩化第2白金、四塩化タングステン、オキシ二塩化タングステン、タングステン酸カリウム、塩化第2金、オキシ塩化ジルコニウム、塩化亜鉛、リン酸鉄リチウム等の各種の金属塩が例示できる。また、水酸化アルミニウム、水酸化鉄、水酸化クロム等の上記導電体金属の水酸化物、並びに、酸化亜鉛等の上記導電体金属の酸化物も使用可能である。
導電体としては、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリチオフェンビニロン、ポリイソチアナフテン、ポリアセチレン、ポリアルキルピロール、ポリアルキルチオフェン、ポリ−p−フェニレン、ポリフェニレンビニロン、ポリメトキシフェニレン、ポリフェニレンスルファイド、ポリフェニレンオキシド、ポリアントラセン、ポリナフタレン、ポリピレン、ポリアズレン等の導電性高分子も使用可能である。
半導体としては、例えば、C、Si、Ge、Sn、GaAs、Inp、GeN、ZnSe、PbSnTe等があり、半導体酸化金属や光半導体金属、光半導体酸化金属も使用可能である。好ましくは、酸化チタン(TiO)の他に、ZnO、SrTiOP、CdS、CdO、CaP、InP、In、CaAs、BaTiO、KNbO、Fe、Ta、WO、NiO、CuO、SiC、SiO、MoS、InSb、RuO、CeO等が使用されるが、Na等で光触媒能を不活性化したものが望ましい。
誘電体としては、強誘電体であるチタン酸バリウム(PZT)いわゆるSBT、BLTや次に挙げる PZT、PLZT―(Pb、La)(Zr、Ti)O、SBT、SBTN―SrBi(Ta、Nb)、BST―(Ba、Sr)TiO、LSCO―(La、Sr)CoO、BLT、BIT―(Bi、La)Ti12、BSO―BiSiO等の複合金属が使用可能である。また、有機ケイ素化合物であるシラン化合物、シリコーン化合物、いわゆる有機変性シリカ化合物、また、有機ポリマー絶縁膜アリレンエーテル系ポリマー、ベンゾシクロブテン、フッ素系ポリマーパリレンN、またはF、フッ素化アモルファス炭素等の各種低誘電材料も使用可能である。
次に、正電荷を帯びる基体表面から汚染物質が除去される機構を図3に示す。
まず、基体表面に正電荷が付与される(図3(1))。
基体表面に汚染物質が堆積し、太陽光等の電磁波の作用により光酸化される。光酸化反応とは、太陽光をはじめとした電磁波の作用により、有機物又は無機物表面の水分(HO)、酸素(O)からヒドロキシルラジカル(・OH)や一重項酸素()が生成される際に当該有機物又は無機物から電子(e)が引き抜かれて酸化される現象をいう。この酸化により、有機物では分子構造が変化し、劣化と称される変色又は脆化現象がみられ、無機物、特に金属では錆が発生する。これら「酸化」された有機物又は無機物の表面は、電子(e)の引き抜きにより、正に帯電する。こうして汚染物質にも正電荷が付与される(図3(2))。
基体表面と汚染物質との間に正電荷同士の静電反発が発生し、反発離脱力が汚染物質に発生する。これにより、基体表面への汚染物質の固着力が低減される(図3(3))。
風雨等の物理的な作用により、汚染物質は基体から容易に除去される(図3(4))。これにより、基体はセルフクリーニングされる。
負電荷物質としては、例えば、陰イオン;負電荷を有する導電体又は誘電体;負電荷を有する導電体と誘電体又は半導体との複合体;或いは、これらの混合物が挙げられる。
前記陰イオンとしては、特に限定されるものではないが、フッ化物イオン、塩化物イオン、ヨウ化物イオン等のハロゲン化物イオン;水酸化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、炭酸イオン等の無機系イオン;酢酸イオン等の有機系イオンが挙げられる。イオンの価数も特に限定されるものではなく、例えば、1〜4価の陰イオンが使用可能である。
負電荷を有する導電体又は誘電体としては、上記の陰イオン以外の、負電荷が発生した導電体又は誘電体を挙げることができ、例えば、金、銀、白金等の金属;石墨、硫黄、セレン、テルル等の元素;硫化ヒ素、硫化アンチモン、硫化水銀等の硫化物;粘土、ガラス粉、石英粉、石綿、澱粉、木綿、絹、羊毛等;コンジョウ、インジゴ、アニリンブルー、エオシン、ナフトールイエロー等の染料のコロイドが挙げられる。これらの中でも金、銀、白金等の金属のコロイドが好ましく、特に銀コロイドがより好ましい。この他に、既述した各種の導電体からなる電池の負電極、並びに、負に帯電したテフロン(登録商標)、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリエステル等の誘電体が挙げられる。
半導体としては既述したものを使用することができる。
負電荷を帯びた基体表面は、図3に示した正電荷を帯びた基体の場合と同様に、負の電荷を帯びた汚染物質を静電的に反発するので、当該汚染物質の基体表面への付着を回避することができる。
一方、汚染物質の中には、正電荷を当初有していたが他物体との相互作用(摩擦等)により負電荷を帯びるに至ったもの等が存在する。このような正及び負の両方の電荷を帯びた汚染物質は単一の電荷のみを帯びた基体表面に容易に吸着される。そこで、その場合には正及び負の両方の電荷を基体に付与することにより、これら汚染物質が基体表面に付着することを防止することができる。
例えば、花粉等の正電荷及び負電荷の両方を有する汚染物質には、本発明の反射率低減剤に正電荷物質と負電荷物質の両者を配合することにより、これらの基体への付着を回避又は低減することができる。例えば、正電荷と負電荷を有する基体の表面では、黄砂やカリオン粘土微粉末、藻菌類や花粉、水道水中の塩化物イオン等のように負電荷や両性電荷を有する汚染誘引物質も、静電的に反発して、基体表面への付着が妨げられる。したがって、そのような不純物の付着による基体表面特性の変化を防止して、基体表面を清浄に維持することが可能となる。なお、正電荷量又は負電荷量の一方が過剰に大きいと、負電荷を有する不純物又は光酸化により正電荷を帯びた汚染物質を吸着する傾向が強まり、結果的に基体表面が汚染されるおそれがあるので、基体表面では見かけ上、正電荷量及び負電荷量が均衡している状態が好ましく、具体的には、基体表面の帯電圧が−50Vから50Vの範囲内であることが好適である。
また、正電荷又は負電荷の帯電量が比較的少ない絶縁物(例えばシリコーンオイル)からなる汚染物質は、当該物質の種類によっては、基体表面に強い正電荷又は負電荷のみが存在すると、汚染物質の表面電荷が反転してしまい、結果的に当該基体表面に当該汚染物質が吸着する恐れがあるので、正電荷物質及び負電荷物質の両者を共存させることによって、そのような吸着を回避又は低減することで透過率の低下を防ぐことができる。
前記反射率低減剤は、各種金属(Ag、Pt)を含んでいてもよい。また、金属塩等の各種物質を、機能を失活させない程度の範囲で含むことできる。前記金属塩としては、例えば、アルミニウム、錫、クロム、ニッケル、アンチモン、鉄、銀、セシウム、インジウム、セリウム、セレン、銅、マンガン、カルシウム、白金、タングステン、ジルコニウム、亜鉛等の金属塩があり、それ以外にも一部の金属或いは非金属等については水酸化物又は酸化物も使用可能である。具体的には、塩化アルミニウム、塩化第一及び第二錫、塩化クロム、塩化ニッケル、塩化第一及び第二アンチモン、塩化第一及び第二鉄、硝酸銀、塩化セシウム、三塩化インジウム、塩化第一セリウム、四塩化セレン、塩化第二銅、塩化マンガン、塩化カルシウム、塩化第二白金、四塩化タングステン、オキシ二塩化タングステン、タングステン酸カリウム、塩化第二金、オキシ塩化ジルコニウム、塩化亜鉛等の各種金属塩が例示できる。また、金属塩以外の化合物としては、水酸化インジウム、ケイタングステン酸、シリカゾル、水酸化カルシウム等が例示できる。
ところで、これらの正電荷物質、負電荷物質又はこれらの組み合わせは、基体表面を親水性とするので、基体表面における水滴の形成が防止又は低減される。したがって、基体表面の水滴による屈折及び乱反射によって光透過性が低下することを回避できる。
本発明では、前記多孔質層と基体表面との間に中間層が存在してもよい。前記中間層は、例えば、基体に親水性若しくは疎水性又は撥水性若しくは撥油性を付与することのできる各種の有機又は無機物質からなることができる。
本発明により得られた基体は任意の分野に使用することができ、特に、光の透過性向上、反射率低減が求められる機器の部品として有効である。例えば、太陽電池等の光電池のフェイスガラス;液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、ブラウン管テレビ等の各種ディスプレイのフェイスガラス;レンズ等の光学素子;窓ガラス等の建築部材;並びに、各種の受光体、発光体、プロジェクター、偏光ガラス、光学ガラス等に使用することができる。特に、屋外で使用される太陽電池等の光電池のフェイスガラスや発電体セル表面に使用する場合は、低反射性により発電効率の向上に寄与することができる。
更に、正電荷物質、負電荷物質又はこれらの混合物を含む反射低減剤を使用して基体を表面処理した場合は、基体表面の親水化による水滴の形成防止効果と相まって、基体表面における静電反発によって長期間に亘って汚染物質の付着が回避又は低減されるので、基体の低反射性を経時的に維持することができ、例えば、当該基体をフェイスガラスとして使用した光電池は屋外において高効率の発電を継続的に行うことができる。
以下、実施例により本発明をより詳細に例証するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
(評価液1)
シリカドープアモルファス型過酸化チタン水分散液SPS185(サスティナブル・テクノロジー(株)製)50gを純水希釈して100gとした液に、有機ケイ素化合物であるSH3746M(東レ・ダウコーニング(株)製)を10:0.2の割合で混合し、更に、市販白糖を2重量%添加して評価液1を作製した。
(評価液2)
シリカゾル液WM−12(多摩化学工業(株)製)を固形分濃度0.4重量%に純水で調整した液100gに、SH3746M(東レ・ダウコーニング(株)製)を10:0.2の割合で混合し、更に市販白糖を2重量%添加して評価液2を作製した。
(評価液3)
銅及びジルコニウムドープチタニア水分散液Z18−1000SuperA(サスティナブル・テクノロジー(株)製)と、シリカゾル液WM−12(多摩化学工業(株)製)を固形分濃度0.4重量%に純水で調整した液とを1:1の割合で混合して得られた液100gに、SH3746M(東レ・ダウコーニング(株)製)を10:0.2の割合で混合し、更に、市販白糖を2重量%添加して評価液3を作製した。
(評価液4)
銀ドープチタニア水分散液SP−10(サスティナブル・テクノロジー(株)製)と、シリカゾル液WM−12(多摩化学工業(株)製)を固形分濃度0.4重量%に純水で調整した液とを1:1の割合で混合して得られた液100gに、SH3746M(東レ・ダウコーニング(株)製)を10:0.2の割合で混合し、更に、市販白糖を2重量%添加して評価液4を作製した。
(評価液5)
銅及びジルコニウムドープチタニア水分散液Z18−1000SuperA(サスティナブル・テクノロジー(株)製)と、 銀ドープチタニア水分散液SP−10(サスティナブル・テクノロジー(株)製)を固形分濃度0.4重量%に純水で調整した液とを1:1の割合で混合して得られた液100gに、SH3746M(東レ・ダウコーニング(株)製)を10:0.2の割合で混合し、更に、市販白糖を2重量%添加して評価液5を作製した。
(評価基板1〜5の調製)
各評価液1〜5を、厚さ3mmの5枚の市販建材用フロートガラス製基板に、スプレーコーティングでそれぞれ塗布し、500℃で15分加熱して表面処理を行って評価基板1〜5とした。評価基板1〜5の表面を観察したところ、その表面には図4及び図5(評価基板1の表面を示す)に示されるような多数の微細な凹凸を有する多孔質層が形成されていた。なお、多孔質層の厚みは約150nmであった。
(比較基板1)
市販白糖の添加をしない以外は評価液1の調製方法と同一の方法により調製されたものを用いて、上記と同様の表面処理を厚さ3mmのガラス製基板について行い比較基板1とした。
(比較基板2)
市販白糖の添加をしない以外は評価液2の調製方法と同一の方法により調製されたものを用いて、上記と同様の表面処理を厚さ3mmのガラス製基板について行い比較基板2とした。
(比較基板3)
未表面処理の厚さ3mmのガラス製基板を比較基板3とした。
[評価1]
評価基板1〜5及び比較基板1〜3のそれぞれについて、紫外線・可視光光度計V−550DS(日本分光(株))を用いて、以下の条件で可視光線の透過率及び反射率を測定した。測光モード:%T、%R、レスポンス:Medium、走査速度100nm/分、開始波長780nm、終了波長380nm、データ取込間隔1.0nm。
測定は4回繰り返し、その平均値を透過率及び反射率とした。結果を表1及び表2に示す。
表1及び表2の結果から、比較基板1〜3に対して評価基板1〜5の反射率が低下し、透過率が向上していることが分かる。なお、評価基板1〜5の透過率向上順位及び反射率低減順位は次のとおりである:評価基板2>評価基板4>評価基板3>評価基板5>評価基板1
(評価基板6〜10)
評価液1〜5にアナターゼ型過酸化チタン水分散液B56(サスティナブル・テクノロジー(株)製)を前記評価液と9:1の割合で混合し、評価基板1〜5と同様の方法で作製し評価基板6〜10とした。なお、多孔質層の膜厚も同様であった。
[評価2]
評価基板6〜10のそれぞれについて、評価1の場合と同様に、透過率を測定した。結果を表3に示す。
表3の結果から、アナターゼ型過酸化チタンの添加により透過率が更に向上することが分かる。また、透過率は、評価基板8(正電荷金属を含有)>評価基板10(正・負電荷金属:両性電荷を含有)>評価基板9(負電荷金属を含有)の順に向上した。
(評価基板11〜15)
評価液1〜5に、下記の方法で調製した、ジルコニウムをドープしたアモルファス型過酸化チタン水分散液を前記評価液と9:1の割合で混合し、評価基板1〜5と同様の方法で評価基板11〜15を作製した。また、評価基板6〜10の作製時に用いた評価液とジルコニウムをドープしたアモルファス型過酸化チタン水分散液を9:1の割合で混合し、同様に評価基板16〜20を作製した。なお多孔質層の膜厚も同様であった。
(ジルコニウムドープアモルファス型過酸化チタン水分散液の調製)
純水1000mlに50%四塩化チタン溶液(住友シチックス(株)製)20gとZrClO・8HO(二塩化ジルコニウム:和光純薬工業(株)製)1.696gを完全に溶解した溶液に純水を加え2000mlにメスアップした溶液を準備する。これに25%アンモニア水(高杉製薬(株)製)を10倍希釈したアンモニア水を滴下してpH7.0に調整して水酸化ジルコニウムと水酸化チタンの混合物を沈殿させた。この沈殿物を純水で上澄み液の導電率が0.8mS/m以下になるようデカンテーション洗浄を繰り返し、導電率が0.702mS/mになったところで洗浄を終了すると、0.79重量%濃度の水酸化物が626g作製された。次いで、この含有液に室温下で35%過酸化水素水(タイキ薬品工業(株)製)を56g添加し16時間撹拌すると黄褐色の0.88重量%濃度のジルコニウムがドープしたアモルファス型過酸化チタン溶液680gが得られた。
[評価3]
評価基板11〜20のそれぞれについて、評価1の場合と同様に、透過率を測定した。結果を表4に示す。
表4の結果からジルコニウムの添加により各々透過率が向上することが分かる。また、透過率向上順位は、評価2における結果と同様の傾向を示した。
[評価4]
評価液3を使用して、エンボス状の凹凸を表面に有する透明基板と、平滑な表面を有する透明基板に同様の表面処理を行い、評価1の場合と同様に透過率を測定した。詳細は以下のとおりである。
反射率低減剤:評価液3
基体:太陽光発電用エンボス白板ガラス(厚さ3.2mm)、及び、みがき白板ガラス(厚さ2.8mm)
表面処理方法:スプレーコートにより25g/mの割合で塗布し、自然乾燥させた後、500℃で15分加熱した。
評価板1:表面処理されたエンボス白板ガラス
評価板2:表面処理されたみがき白板ガラス
対照1:未表面処理のエンボス白板ガラス
対照2:未表面処理のみがき白板ガラス
表5の結果から、平滑な表面を有する基板に表面処理を行う方が反射率低減及び透過率向上の効果が優れていることが分かる。
(評価液6)
シリカゾルWM−12(固形分濃度3.6重量%)(多摩化学工業(株)製)16.7gを純水で希釈し固形分濃度0.6重量%に調整した分散液95gにプロピレングリコール(小宋化学薬品(株)製)5gを混合した。次に有機ケイ素系界面活性剤ZB(サスティナブル・テクノロジー(株)製)を10g混合し、110gの評価液6を作製した。
(評価液7)
シリカゾルWM−12(固形分濃度3.6重量%)(多摩化学工業(株)製)16.7gを純水で希釈し固形分濃度0.6重量%に調整した分散液95gに2.5%に調整した重合度約500のポリビニルアルコール(和光純薬工業(株)製)溶液5gを混合した。次に有機ケイ素系界面活性剤ZB(サスティナブル・テクノロジー(株)製)を10g混合し、110gの評価液7を作製した。
(評価液8)
シリカゾルWM−12(固形分濃度3.6重量%)(多摩化学工業(株)製)16.7gを純水で希釈し固形分濃度0.6重量%に調整した分散液80gに2.5%に調整した重合度約500のポリビニルアルコール(和光純薬工業(株)製)溶液20gを混合した。次に有機ケイ素系界面活性剤ZB(サスティナブル・テクノロジー(株)製)を10g混合し、110gの評価液8を作製した。
(評価基板21〜23の調製)
5cm×5cm(厚さ3mm)のフロートガラス製基板を準備し、予め表面を洗浄した。この基板に、評価液6〜8の塗布液をスポンジシート法で2回塗布し、乾燥後、580℃で30分間焼成して評価基板21〜23を作製した。なお、対照として、未表面処理のガラス製基板を比較基板4とした。
[評価5]
評価基板21〜23及び比較基板4のそれぞれについて評価1の場合と同様の方法で透過率を測定した。結果を表6に示す。
表6の結果から、糖に代えて水溶性高分子を使用した場合も透過率が改善することが分かる。
(評価液9)
シリカゾル液WM−12(固形分濃度3.6w%)(多摩化学工業(株)製)15.8gを純水で希釈し固形分濃度0.6w%に調整した分散液95gと市販の書道用墨液5g(5%)を混合し塗布液を作製した。
(評価液10)
シリカゾル液WM−12(固形分濃度3.6w%)(多摩化学工業(株)製)15.8gを純水で希釈し固形分濃度0.6w%に調整した分散液95gと市販の書道用墨液5gと市販の白糖1g(1%)を混合し塗布液を作製した。
(評価液11)
シリカゾル液WM−12(固形分濃度3.6w%)(多摩化学工業(株)製)15.8gを純水で希釈し固形分濃度0.6w%に調整した分散液95gと書道用墨液5g(5%)と市販の白糖1g(1%)を混合し、更に界面活性剤Z−B(サスティナブル・テクノロジー(株)製)を10:1の割合で混合し塗布液を作製した。
(評価基板24〜26の調製)
10cm×10cm(厚さ3mm)のフロートガラス(青板ガラス)製基板を準備し、予め表面を洗浄した。この基板に、評価液9〜11の塗布液をスポンジシート法で20g/mの割合で塗布し、乾燥後、580℃で30分間焼成して評価基板24〜26を作製した。
[評価6]
評価基板24〜26および比較基板4のそれぞれについて、評価1の場合と同様の方法で透過率を測定した。結果を表7に示す。
表7の結果から、書道用墨汁を使用した場合も透過率が改善することがわかる。
[評価7]
評価基板1〜5及び比較基板1〜3を1週間暗所にて放置した後、それぞれの表面に純水をスポイトにて滴下し、手動分度計にて目視で接触角を測定した。測定は3回繰り返し、その平均値を接触角とした。結果を表8及び表9に示す。
表8及び表9に示されるように、評価基板1〜5は接触角が5°未満であり超親水性を有していた。超親水性を有する基板は特に屋外において高い防汚性を有する。
[評価8]
評価基板1〜5及び比較基板1〜3を除電ブロアSJ−F020((株)キーエンス)にて除電し、アースしたSUS板上に設置した静電気センサーSK((株)キーエンス)に、5mmの距離で平置きし、気温28℃、湿度65%、浮遊電気イオン−50Vの条件下で、基板表面の静電圧を3回測定し、それらの平均値を測定値とした。結果を表10及び表11に示す。
表10の結果から正電荷を付与した評価基板3は正帯電圧を示し、負電荷を付与した評価基板4は負帯電圧を示すことが分かる。また、正電荷物質及び負電荷物質を共に含有した評価液5を使用した評価基板5は低い帯電圧状態を示し、各基板の表面が所望の電荷特性を有していることが分かる。

Claims (20)

  1. 炭素及び/又は熱分解性有機化合物、並びに、酸化チタン及び/又は無機ケイ素化合物を含む基体の反射率低減剤。
  2. 更に有機ケイ素化合物を含む請求項1記載の反射率低減剤。
  3. 前記酸化チタンが過酸化チタンである、請求項1又は2記載の反射率低減剤。
  4. 前記酸化チタンがアモルファス型、アナターゼ型、又は、それらの混合物である、請求項1乃至3のいずれかに記載の反射率低減剤。
  5. 前記酸化チタンの少なくとも一部が金属ドープ酸化チタンである、請求項1乃至4のいずれかに記載の反射率低減剤。
  6. 前記炭素が、カーボンブラック、グラファイト、フラーレン、カーボンナノチューブ、又は、墨汁の形態である、請求項1乃至5のいずれかに記載の反射率低減剤。
  7. 前記熱分解性有機化合物が糖又は糖アルコールである、請求項1乃至6のいずれかに記載の反射率低減剤。
  8. 前記糖が、単糖類及び二糖類からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項7記載の反射率低減剤。
  9. 前記熱分解性有機化合物が水溶性有機高分子である、請求項1乃至6のいずれかに記載の反射率低減剤。
  10. 更に
    (1)陽イオン;
    (2)正電荷を有する導電体又は誘電体;並びに
    (3)正電荷を有する導電体、及び、誘電体又は半導体、の複合体
    からなる群から選択される1種又は2種以上の、正電荷物質を含有する、請求項1乃至9のいずれかに記載の反射率低減剤。
  11. 更に
    (4)陰イオン;
    (5)負電荷を有する導電体又は誘電体;
    (6)負電荷を有する導電体、及び、誘電体又は半導体、の複合体;
    からなる群から選択される1種又は2種以上の、負電荷物質を含有する、請求項1乃至9のいずれかに記載の反射率低減剤。
  12. 更に
    (1)陽イオン;
    (2)正電荷を有する導電体又は誘電体;並びに
    (3)正電荷を有する導電体、及び、誘電体又は半導体、の複合体
    からなる群から選択される1種又は2種以上の、正電荷物質
    及び
    (4)陰イオン;
    (5)負電荷を有する導電体又は誘電体;
    (6)負電荷を有する導電体、及び、誘電体又は半導体、の複合体;
    からなる群から選択される1種又は2種以上の、負電荷物質を含有する、請求項1乃至9のいずれかに記載の反射率低減剤。
  13. 請求項1乃至12のいずれかに記載の反射率低減剤を基体の表面に塗布し、加熱することを特徴とする、低反射性基体の製造方法。
  14. 前記基体の少なくとも一部がガラス製である、請求項13記載の製造方法。
  15. 前記加熱を400℃以上の温度で行う、請求項13又は14記載の製造方法。
  16. 前記表面が平滑である、請求項13乃至15のいずれかに記載の製造方法。
  17. 請求項13乃至16のいずれかに記載の製造方法により得られた、最大高さ50nm以下の表面粗さを有する低反射性基体。
  18. 50nm〜300nmの平均厚さの表面膜を表面に備える、請求項17記載の低反射性基体。
  19. 前記表面膜が直径1nm〜50nmの超微粒子からなる、請求項18記載の低反射性基体。
  20. 請求項17乃至19のいずれかに記載の低反射性基体を備える光学素子又は光電池。
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