JP2009175671A - 微細構造体用反射防止膜及びその製造方法 - Google Patents

微細構造体用反射防止膜及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】常温・常圧にて製造でき、微細構造体への追従性に優れ、樹脂材料に対して広い波長範囲で優れた反射防止性能を有し、かつ透明性が高く微細構造体の幾何光学的な性能を損なうことのない微細構造体用反射防止膜及びその製造方法を提供する。
【解決手段】微細構造体表面に電解質ポリマー及び微粒子を交互に積層させて形成される微粒子積層膜からなり、該微粒子積層膜の屈折率が1.10以上1.21以下であることを特徴とする微細構造体用反射防止膜である。
【選択図】図1

Description

本発明は、微細構造体用反射防止膜及びその製造方法、詳しくは、光学機能部材や光電変換素子に含まれる微細構造体の表面の反射防止膜に関しに関する。
光電変換素子であるCCD、CMOS等の固体撮像素子においては、各画素における感光部(センサ部)の占める割合、すなわち開口率が一般的に20〜50%程度である。この開口率の低さによる光の利用効率低下を防ぐために、画素毎に樹脂製のオンチップマイクロレンズを設け、光の利用効率を向上させることで、固体撮像素子の感度を向上させている。
また、小型化や高精細化による固体撮像素子の微細化に伴った感度低下に対しても、マイクロレンズによる光効率向上は欠かせない技術となっている。
液晶用バックライトの輝度向上レンズフィルムや拡散フィルム、ビデオプロジェクションテレビのスクリーンに用いられるフレネルレンズ、レンチキュラーレンズ等の光学機能部材は、いずれも樹脂材料に微細構造体を与えることで、所望の幾何光学的な性能を得ている。
固体撮像素子用マイクロレンズや光学機能部材のフレネルレンズのような微細構造体には、集光性を考慮して屈折率が1.5〜1.65程度の透明樹脂を用いるため、微細構造体の表面反射率は約4〜6%程度となる。この微細構造体表面に反射防止膜を形成することで、微細構造体表面の光の反射を抑制でき、微細構造体の光線透過率も向上できる。
固体撮像素子では、マイクロレンズ表面の反射光は結像に無関係な光となって受光面に到達し、撮像画像中の高輝度被写体の周りにセル・ゴーストと称されるフレアを発生させる。また反射光は迷光成分であるためにコントラストも低下させる。
微細構造体用反射防止膜は、このような反射光を抑制するために撮像画質の向上に有用である。また、マイクロレンズ表面での光の反射損失を抑制できるために、光の利用効率が向上し、固体撮像素子の光電変換の効率を高めることができる。
フレネルレンズやレンチキュラーレンズの場合でも、微細構造体用反射防止膜は、レンズ表面の反射光を抑制し、ビデオプロジェクション用スクリーン等に投影される画像のゴーストを抑制することに有効である。またその他の光学機能部材においても、それらの幾何光学的な性能を損なうことなく、微細構造体用反射防止膜は透過光を増加できる。
反射防止膜の形成方法には蒸着法やスパッタ法などの気相法や、ディッピング法やスピンコート法などの塗布法が挙げられる。気相法では微細構造体の形状に追従させて薄膜を形成することができる。
しかし、気相法では真空装置が必要となるため、製造コストが高価になる。さらに、真空装置の内壁に形成された膜が剥がれ落ち、反射防止膜に異物として残存する。また、反射防止膜の密着性を得るために一般的に行われる基板加熱は、熱応力により樹脂製の微細構造体にクラックを発生させる(例えば、特許文献1参照)。
反射防止膜の層構成としては単層構造が望まれている。反射防止性能がより広い波長範囲で得られ、さらに、層数低減によりコストが低減するためである。単層構造の反射防止膜の屈折率としては、基材が樹脂材料である場合は、1.2〜1.3の範囲の低屈折率が望まれる。
しかし、気相法により得られる代表的な低屈折率の薄膜は、屈折率が1.38のMgFや1.39のLiFであり、これらの薄膜の単層反射防止膜としての性能は低い。
一方、塗布法では、真空装置は不要であり、また真空装置に由来する異物も発生しない。
しかし、スピンコート法では、塗布材料が微細構造体の凹部分に残留することが避けらず、凹部分で反射防止膜が厚くなる。このように微細構造体へ反射防止膜が追従しない場合、微細構造体のもたらす拡散性や集光性等の幾何光学的な性能が損なわれる。
一方、ディップコート法などは、引き上げ速度により膜厚を制御できるため、塗布材料を微細構造体に追従させることも可能である。
しかし、引き上げ速度が数十μm/秒まで遅くする必要があり、製造コストが著しく高くなる(例えば、特許文献2参照)。
また、塗布法で得られる樹脂材料用反射防止膜の代表的な材料には、屈折率が1.35〜1.4のフッ素系高分子材料や、屈折率が1.37〜1.46であるフッ素モノマーの重合体からなる微粒子を融着させた多孔質材料があるが(例えば、特許文献3参照)、屈折率が1.3以下のフッ素系高分子材料は得られていない。
一方、焼成により得られた多孔質構造膜が低屈折率膜となる例として、多孔質SOGやフッ化マグネシウムの多孔質膜が挙げられる(例えば、特許文献4、5参照)。
しかし、多孔質SOGは屈折率を1.3以下にするために200度以上の焼成処理が必要であり、フッ化マグネシウムの多孔質膜は150度1時間の熱処理が必要である。そのため、樹脂材料の耐熱性や微細構造体の構造維持の点から、焼成を必要とする反射防止膜は微細構造体用反射防止膜には適さない。
交互積層法では、液中での静電吸着により薄膜が形成されるため、微細構造体に良好に追従した薄膜を得ることができる。
また、常温プロセスであるために、微細構造体に熱的ダメージを与えない。
正の電荷を有する電解質ポリマーと負の電荷を有する電解質ポリマーを交互に積層した薄膜は、塩酸処理により薄膜に空隙を発生させることで屈折率が約1.2の反射防止膜となる(例えば、特許文献6、7参照)。
一方、電解質ポリマー層の上に微粒子を1層静電吸着させた微粒子単層膜は、酸処理等の必要なく反射防止膜となる(例えば、特許文献8、9参照)。微粒子単層膜の反射防止性能は、直径が100nm以上の微粒子による表面凹凸形状が屈折率の連続変化を引き起こすために反射率が低減する効果と、微粒子間の空隙が平均屈折率を低下させるために反射率が低減する効果により得られる。
しかし、直径が100nmを超える微粒子を用いた微粒子単層膜は可視光を散乱・拡散させ、光が斜めから入射する場合に顕著になる。微細構造体表面に対する光の入射方向は、斜入射である場合も多い。そのため、例えばレンズ形状物の表面に光を散乱・拡散させる反射防止膜が形成された場合、光が焦点に集まらない等の幾何光学的な性能低下を生じる。
一方、直径が100nm以下の微粒子を用いる場合、透明な微粒子積層膜が得られやすい。
しかし、表面凹凸形状に由来する反射率低減効果は得られなくなる。そのため、微粒子間の空隙の密度を増加させて平均屈折率を低下させることで、微粒子積層膜に高い反射防止性能を与えることが取り組まれている(例えば、特許文献10〜12参照)。
特開2000−156486号公報 特許第2905712号公報 特許第3718031号公報 特開2003−158125号公報 特開2004−302112号公報 特開2004−109624号公報 特開2005−266252号公報 特開2002−006108号公報 特開2006−208726号公報 特開2006−297680号公報 特開2006−301124号公報 特開2006−301125号公報
本発明においては、常温・常圧にて製造でき、微細構造体への追従性に優れ、樹脂材料に対して広い波長範囲で優れた反射防止性能を有し、かつ透明性が高く微細構造体の幾何光学的な性能を損なうことのない微細構造体用反射防止膜及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明は、次の事項に関する。
(1)微細構造体表面に電解質ポリマー及び微粒子を交互に積層させて形成される微粒子積層膜からなり、該微粒子積層膜の屈折率が1.10以上1.21以下であることを特徴とする微細構造体用反射防止膜。
(2)前記微粒子積層膜が、微細構造体表面に電解質ポリマー及び微粒子を交互に吸着させて形成される前記(1)に記載の微細構造体用反射防止膜。
(3)前記微粒子積層膜中の微粒子が、多孔質シリカ微粒子、中空状シリカ微粒子、及び一次粒子がつながった形状のシリカ微粒子のうちの1種以上を含む前記(1)または(2)に記載の微細構造体用反射防止膜。
(4)前記微粒子積層膜中の微粒子の平均一次粒子径が、1nm以上40nm以下である前記(1)〜(3)のいずれかに記載の微細構造体用反射防止膜。
(5)前記微粒子積層膜がさらに電解質ポリマーを含み、該電解質ポリマーの含有率が微粒子に対して0.01質量%以上10質量%以下であることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の微細構造体用反射防止膜。
(6)前記微細構造が、レンチキュラーレンズ、フレネルレンズ、プリズム、マイクロレンズアレイ、導光性微細構造、光拡散性微細構造、及びホログラムのうちのいずれかを得るための微細構造であることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の微細構造体用反射防止膜。
(7)微細構造体表面に形成される、屈折率が1.10以上1.21以下の微粒子体積膜からなる微細構造体用反射防止膜の製造方法であって、
(i)微細構造体表面に電解質ポリマー溶液(A液)又は微粒子分散液(B液)を接触させる工程、次いでリンスする工程、
(ii)前記A液を接触させた後の微細構造体表面にA液の電解質ポリマーと反対電荷を有する微粒子の分散液を接触させる工程、又は前記B液を接触させた後の微細構造体表面にB液の微粒子と反対電荷を有する電解質ポリマーの溶液を接触させる工程、次いでリンスする工程、及び
(iii)(i)と(ii)を交互に繰り返す工程、
を含むことを特徴とする微細構造体用反射防止膜の製造方法。
(8)前記微粒子分散液の微粒子が、多孔質シリカ微粒子、中空状シリカ微粒子、及び一次粒子がつながった形状のシリカ微粒子のうちの1種以上を含むことを特徴とする前記(7)に記載の微細構造体用反射防止膜の製造方法。
(9)前記微粒子分散液の微粒子の平均一次粒子径が、1nm以上40nm以下であることを特徴とする前記(7)又は(8)に記載の微細構造体用反射防止膜の製造方法。
(10)前記微粒子積層膜を、微粒子に対する電解質ポリマーの含有率が0.01質量%以上10質量%以下となるように形成することを特徴とする前記(7)〜(9)のいずれかに記載の微細構造体用反射防止膜の製造方法。
(11)微細構造体表面に微粒子及び電解質ポリマーを交互に吸着させて微粒子積層膜を形成することを特徴とする前記(7)〜(10)のいずれかに記載の微細構造体用反射防止膜の製造方法。
(12)前記微細構造が、レンチキュラーレンズ、フレネルレンズ、プリズム、マイクロレンズアレイ、導光性微細構造、光拡散性微細構造、及びホログラムのうちのいずれかを得るための微細構造であることを特徴とする前記(7)〜(11)のいずれかに記載の微細構造体用反射防止膜の製造方法。
本発明の微細構造体用反射防止膜は、空気と微細構造体との屈折率差に起因する微細構造体表面の光の反射を抑制でき、微細構造体の光線透過率も向上できる。さらに、低屈折率膜のみの単層膜であるために反射光と透過光の分光特性を変えず、反射光と透過光を無彩色にできる。そのため、本発明の微細構造体用反射防止膜は、微細構造体の反射光抑制が特性向上につながる光学機能部材や光電変換素子又は微細構造体の透過光増加が特性向上につながる光学機能部材や光電変換素子に好適に用いることができる。
また、本発明の微細構造体用反射防止膜は、微粒子積層膜が多孔質層であることにより、内部の空隙が微粒子積層膜の屈折率を低下させ、優れた反射防止性能を示す。
本発明の微細構造体用反射防止膜において、微粒子積層膜の屈折率及び空隙の体積率を規定することで、より確実に優れた反射防止性能を発揮することができる。
また、本発明の微細構造体用反射防止膜において、微粒子の材料を屈折率の低い材料及び微粒子の形状を限定することで、微粒子積層膜の屈折率をより確実に低下することができる。
本発明の微細構造体用反射防止膜において、微粒子の平均一次粒子径を規定することで、微粒子積層膜の透明性を向上でき、微細構造体の幾何光学的な性能を損なうことがない。
また、本発明の微細構造体用反射防止膜において、微粒子積層膜に含まれる電解質ポリマー量を規定することで、より確実に微粒子積層膜の屈折率を低下することができる。
また、本発明の微細構造体用反射防止膜において、微粒子積層膜を交互積層法により形成することで、微粒子積層膜に含まれる空隙の体積率を高めることができ、より確実に微粒子積層膜の屈折率を低下することができる。
一方、本発明の微細構造体用反射防止膜の製造方法により、以上の本発明の微細構造体用反射防止膜を製造することができる。特に、常温・常圧にて微粒子積層膜を形成できるため、真空装置等を必要とせず、また樹脂性微細構造体に熱応力によるクラックを生じることがない。加えて、微細構造体表面に微粒子及び電解質ポリマーを交互に吸着させて微粒子積層膜を形成するため、微細構造体への追従性に優れ、微細構造体のもたらす拡散性や集光性等の幾何光学的な性能を損なうことがない。
本発明の微細構造体用反射防止膜において、微細構造を規定することで、微細構造体用反射防止膜による光学機能部材や光電変換素子の性能をより確実に向上することができる。
本発明の微細構造体用反射防止膜は、 微細構造体表面に電解質ポリマー及び微粒子を交互に積層させて形成される微粒子積層膜からなり、該微粒子積層膜の屈折率が1.10以上1.21以下であることを特徴としている。
また、本発明の微細構造体用反射防止膜の製造方法は、微細構造体表面に形成される、屈折率が1.10以上1.21以下の微粒子体積膜からなる微細構造体用反射防止膜の製造方法であって、
(i)微細構造体表面に電解質ポリマー溶液(A液)又は微粒子分散液(B液)を接触させる工程、次いでリンスする工程、
(ii)前記A液を接触させた後の微細構造体表面にA液の電解質ポリマーと反対電荷を有する微粒子の分散液を接触させる工程、又は前記B液を接触させた後の微細構造体表面にB液の微粒子と反対電荷を有する電解質ポリマーの溶液を接触させる工程、次いでリンスする工程、及び
(iii)(i)と(ii)を交互に繰り返す工程、
を含むことを特徴としている。
以下に、本発明の微細構造体用反射防止膜及びその製造方法それぞれの実施の形態の双方を交えて説明する。
本発明の微細構造体用反射防止膜は、例えば、CCD、CMOS等の固体撮像素子の受光面に設置されたマイクロレンズ表面に設置することで、マイクロレンズの集光性能を損なうことなく、マイクロレンズ表面の反射を高度に防止し、また低屈折率の単層膜であるために、反射防止の有効な波長範囲を広げることができる。これにより、固体撮像素子の感度が向上し、フレア等による画像の劣化を防ぐことができる。
また、本発明の微細構造体用反射防止膜は、フレネルレンズやレンチキュラーレンズの表面に設置することで、ビデオプロジェクション用スクリーンなどに投影された画像のゴースト抑制に有効である。
さらに、その他の光学機能部材においても、本発明の微細構造体用反射防止膜を微細構造体表面に設置することで、幾何光学的な性能を損なうことなく、微細構造体表面の反射防止及び透過光を増加させることができる。
(A)微細構造体
微細構造体は光学的用途に用いられ、微細構造による幾何光学的な性能を有するものが例として挙げられる。微細構造体の例としては、レンチキュラーレンズシート、フレネルレンズシート、プリズムシート、マイクロレンズアレイシート、オンチップマイクロレンズアレイ、導光シート、拡散シート、ホログラムシート、太陽電池等が挙げられる。そのため、微細構造の例としては、レンチキュラーレンズ、フレネルレンズ、プリズム、マイクロレンズアレイ、導光性微細構造、光拡散性微細構造、ホログラムを得るための微細構造等が挙げられる。
(B)微細構造体材料
微細構造体の表面に交互積層法により微粒子積層膜を形成するためには、微細構造体がその表面に電荷を有することが必要である。交互積層法を用いて形成した微粒子積層膜を微細構造体表面に密着するためには、微細構造体表面に電荷を有する極性基が存在することが望ましい。極性基は分子内に電荷の偏り(分子内分極)を有するため又は解離によりイオンになるため、局所的にプラス又はマイナスの電荷を有する。この極性基の電荷と反対の電荷を有する物質を吸着させる。
極性基としては、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、アミノ基、ウレイド基、クロロプロピル基、メルカプト基、スルフィド基、スルホン酸基、リン酸基、イソシアネート基、カルボキシル基、エステル基、カルボニル基、水酸基、シラノール基等の官能基のうち一つ又は二つ以上であることが望ましい。
微細構造体が表面に極性基を有する結果、ゼータ電位の絶対値が1〜100mVであることが好ましく、5〜90mVであることがより好ましく、10〜80mVであることがさらに好ましい。
微細構造体の材質としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルであって水酸基又はカルボキシル基を有するもの、カルボキシル基又はアミノ基を有するポリアミド、ポリビニルアルコール、アクリル酸又はメタクリル酸の重合体又は共重合体等が挙げられる。
上記の他に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、アセテートブチレートセルロース、ポリエーテルサルフォン、ポリイミド、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリウレタン等を使用することもできる。
微細構造体の表面をコロナ放電処理、グロー放電処理、プラズマ処理、紫外線照射、オゾン処理、アルカリや酸などによる化学的エッチング処理等して極性基を導入してもよい。このような処理により極性基を導入した樹脂を使用してもよい。
微粒子積層膜の形成を望まない微細構造体の表面部分又は裏面部分には、粘着フィルムなどを貼り付ける等の微粒子分散液と固体基材との接触防止を施すことで、微粒子積層膜の形成を防ぐことができる。
(C)中間層
微細構造体に極性基を確実に導入するために、微細構造体に中間層を積層することができる。この場合、中間層は微細構造体の表面層とされる。又は中間層材料が微細構造体を形成していてもよい。
中間層は、微細構造体と微粒子積層膜の間に設けられ、中間層が極性基を有することで微細構造体と微粒子積層膜との密着性を向上させる。微粒子積層膜が中間層を介して微細構造体と強固に接着するために、微細構造体上の微粒子積層膜の表面硬度が向上すると考えられる。
中間層に含まれる極性基は、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、アミノ基、ウレイド基、クロロプロピル基、メルカプト基、スルフィド基、スルホン酸基、リン酸基、イソシアネート基、カルボキシル基、エステル基、カルボニル基、水酸基、シラノール基のうち一つ又は二つ以上の官能基であることが望ましい。 中間層の材料としては、これらの基を有する樹脂、シランカップリング剤などを使用することができる。
中間層の材料としての樹脂には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルであって水酸基又はカルボキシル基を有するもの、カルボキシル基又はアミノ基を有するポリアミド、ポリビニルアルコール、アクリル酸又はメタクリル酸の重合体若しくは共重合体などがある。
微細構造体へのこの中間層の積層は、例えば、微細構造体に極性基を有する樹脂を溶剤に溶解して塗布し乾燥する方法、中間層の樹脂の原料となるモノマーやオリゴマー(この中には、極性基を有するモノマーやオリゴマーが含まれる)を微細構造体に塗布し、反応硬化させる方法、中間層としての樹脂の原料モノマーやオリゴマーにシランカップリング剤を混ぜて塗布し、反応硬化させる方法などにより行うことができる。前述の中間層の形成方法に加えて、中間層材料を金型に転写するなどして、中間層材料を固体基材にしてもよい。
極性基が付与されたポリエステル系樹脂の塗布液を次のように製造してもよい。
ジメチルテレフタレート117部、ジメチルイソフタレート117部、エチレングリコール103部、ジエチレングリコール58部、酢酸亜鉛0.08部及び三酸化アンチモン0.08部を反応容器中で40〜220℃に昇温させて、3時間エステル交換反応させ、ポリエステル形成成分を得る。
次いで、5−ナトリウムスルホイソフタル酸9部を添加して220〜260℃で1時間エステル化反応させ、さらに減圧下(10〜0.2mmHg)で2時間重縮合反応を行ない、平均分子量18000、軟化点140℃のスルホン酸基を付与したポリエステル共重合体を得る。
このスルホン酸基を付与したポリエステル共重合体300部とnブチルセロソルブ140部とを150〜170℃で3時間撹拌して均一な粘稠溶融液を得、この溶融液に水560部を徐々に添加してポリエステル系樹脂水分散液を得ることができる。
市販品であるスルホン酸が付与された水分散ポリエステル樹脂(例えば、バイロナールMD−1200、東洋紡積(株)製、商品名)を利用してもよい。
前記手順において、5−ナトリウムスルホイソフタル酸の代わりに、スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸及びそれらのエステル形成性誘導体などの金属塩を用いても、スルホン酸基を付与したポリエステル共重合体を得ることができる。
金属塩における金属の例としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、マグネシウムなどが挙げられる。
また、5−ナトリウムスルホイソフタル酸の代わりに、5−アミノイソフタル酸などを用いることで、アミノ基を付与したポリエステル共重合体を得ることができる。
極性基が付与されたポリウレタン系樹脂を次のように製造してもよい。
アリルアルコールから出発したエチレンオキシドのポリエーテルをメタ重亜硫酸ナトリウムでスルホン化したスルホン酸ナトリウムを含むポリエーテル(SO−含有量8.3重量%、ポリエチレンオキシド含有量83重量%)192部、ポリテトラメチレンアジペート1013部及びビスフェノールAで開始されたポリプロピレンオキシドポリエーテル248部を混合し、減圧下(10〜0.2mmHg)100℃で脱水してこの混合物を70℃とし、これにイソホロンジイソシアネート178部とヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート244部との混合物を加え、さらに、生成混合物をイソシアネート含有量が5.6重量%になるまで80℃から90℃の範囲で撹拌する。
得られたプレポリマーを60℃に冷却し、ヘキサメチレジイソシアネート3モルと水1モルから得られるビウレットポリイソシアネート56部とイソホロンジアミンとアセトンから得られるビスケチミン173部とを順次加える。
次いでヒドラジン水和物の15部を溶解した50℃水溶液をこの混合物に激しく撹拌しながら加え、ポリウレタン系樹脂水分散液を得ることができる。
官能基が付与するように調製された樹脂としては、有機溶剤可溶型の非晶性ポリエステル樹脂が挙げられ、その市販品としては、東洋紡績(株)製、バイロン(103、200、220、226、240、245、270、280、290、296、300、500、516、530、550、560、600、630、650、660、670、885、GK110、GK130、GK140、GK150、GK180、GK190、GK250、GK330、GK360、GK590、GK640、GK680、GK780、GK810、GK880、GK890、BX1001、商品名)が挙げられる。
また、水分散ポリエステル樹脂が挙げられ、その市販品としては、東洋紡積(株)製、バイロナール(MD−1100、MD−1200、MD−1220、MD−1245、MD−1250、MD−1335、MD−1400、MD−1480、MD−1500、MD−1930、MD−1985、商品名)が挙げられる。
また、ポリエステルウレタン樹脂が挙げられ、その市販品としては、東洋紡績(株)製、バイロン(UR−1350、UR−1400、UR−2300、UR−3200、UR−3210、UR−3500、UR−4125、UR−5537、UR−8200、UR−8300、UR−8700、UR−9500、商品名)が挙げられる。
本発明において、前記シランカップリング剤としては、下記化学式(I)で表されるものが挙げられる。
Figure 2009175671

(ただし、式中、Rは非加水分解性基であって、ビニルアルキル基、エポキシアルキル基、スチリルアルキル基、メタクリロキシアルキル基、アクリロキシアルキル基、アミノアルキル基、ウレイドアルキル基、クロロプロピルアルキル基やスルフィドアルキル基等のハロゲンアルキル基、メルカプトアルキル基、イソシアネートアルキル基又はヒドロキシアルキル基である。Rは加水分解性基であって炭素数が1〜6のアルキル基、nは1〜3の整数を示し、Rが複数ある場合、各Rは互いに同一であっても異なっていてもよく、ORが複数ある場合、各ORは互いに同一であっても異なっていてもよい。)
固体基材のシランカップリング剤処理の例としては、まず、シランカップリング剤を水性媒体中で、酸の存在下又は不存在下、アルコキシ基を加水分解してシラノール基とし、得られたシラン溶液に固体基材を接触させることで、固体基材表面に存在する水酸基にシラノール基を水素結合的に吸着させ、その後、固体基材を乾燥処理することにより行うことができ、これにより脱水縮合反応がおこり、非加水分解性基を固体基材表面に付与することができる。
非加水分解性基と反応しなかったシラノール基も本発明における極性基として機能し、微粒子積層膜と相互作用することで、固体基材と微粒子積層膜の密着が得られる。詳細は明らかではないが、相互作用には、共有結合、分子間力、ファンデアワールス力のいずれか一つ以上が寄与していると考えられる。
シランカップリング剤としては、具体的には、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルフェニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン等のビニル基官能性シラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等のアルキル基又はアリール基官能性シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジイソプロペノキシシラン、メチルトリグリシドキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシ基官能性シラン、p−スチリルトリメトキシシラン等のスチリル基官能性シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、メチルトリ(メタクリロキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のメタクリロキシ基官能性シラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアクリロキシ基官能性シラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)−プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基官能性シラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のウレイド基官能性シラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等のクロロプロピル基官能性シラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等のメルカプト基官能性シラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のスルフィド基官能性シラン、γ−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、トリメチルシリルイソシアネート、ジメチルシリルイソシアネート、フェニルシリルトリイソシアネート、テトライソシアネートシラン、メチルシリルトリイソシアネート、ビニルシリルトリイソシアネート、エトキシシラントリイソシアネート等のイソシアネート基官能性シラン等がある。
これらのシランカップリング剤を用いて、微粒子の表面に官能基を付与してもよい。これにより、微粒子間や微粒子−基板間に共有結合、分子間力、ファンデアワールス力のいずれか一つ以上の引力を確実に与えることができる。
シランカップリング剤の市販品としては、例えば、ビニル基を有するKA−1003、KBM−1003、KBE−1003、エポキシ基を有するKBM−303、KBM−403、KBE−402、KBE−403、スチリル基を有するKBM−1403、メタクリロキシ基を有するKBM−502、KBM−503、KBE−502、KBE−503、アクリロキシ基を有するKBM−5103、アミノ基を有するKBM−602、KBM−603、KBE−603、KBM−903、KBE−903、KBE−9103、KBM−573、KBM−575、KBM−6123、ウレイド基を有するKBE−585、クロロプロピル基を有するKBM−703、メルカプト基を有するKBM−802、KBM−803、スルフィド基を有するKBE−846、イソシアネート基を有するKBE−9007(いずれも信越化学工業(株)製、商品名)等が挙げられる。
また、シランカップリング剤をすでに溶剤や水に希釈したプライマーを用いて中間層を形成してもよい。プライマーの市販品としては、例えば、アミノ基を有するシランカップリング剤を希釈したKBP−40、KBP−41、KBP−43、KBP−90、イソシアネート基を有するシランカップリング剤を希釈したKBP−44、メルカプト基を有するシランカップリング剤を希釈したX−12−414(信越化学工業(株)製、商品名)等が挙げられる。
中間層には極性基を有する樹脂を用いることが微細構造体と中間層との密着を得るために好ましい。シランカップリング剤や樹脂を中間層として固体基材上に形成する際に、採用できる塗布法としては、よく知られた方法により行うことができ、例えば、リバースロール・コート法、グラビア・コート法、キス・コート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーバーコート法、パイプドクター法及びカーテン・コート法、スピンコート法、ディップコート法、交互積層法等を採用することができる。これらの方法を単独で又は組み合わせて行うことができる。いずれの塗布法においても、微細構造を中間層が追従するように、塗布液の濃度を希釈することが望ましい。
微細構造体と中間層との密着をより確実にするために、固体基材にコロナ放電処理、グロー放電処理、プラズマ処理、紫外線照射、オゾン処理、アルカリや酸などによる化学的エッチング処理を施してもよい。
微細構造体(中間層を含んでもよい)表面の電荷密度を均一にし、微粒子をムラなく吸着させることを目的として、電解質ポリマー層を形成してもよい。電解質ポリマーには、プラスの電荷を有するポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(PDDA)やポリエチレンイミン(PEI)又はマイナスの電荷を有するポリスチレンスルホン酸ナトリウム(PSS)が好ましい。
また、アドバンスト マテリアル(Advanced Material)13巻52−54頁(2001年発行)に示されるように、交互積層法を用いて、荷電の符号の異なる2種類の電解質ポリマーの交互積層膜を微細構造体(中間層を含んでもよい)に形成してもよい。
これら電解質ポリマー層を中間層として微細構造体表面に形成する場合は、電解質ポリマー層を微細構造体と密着させることが望ましい。密着させる方法としては、微細構造体がポリマーである場合、熱、光、電子線、γ線等の従来公知の方法によって、電解質ポリマーなどを微細構造体表面のポリマーに結合させる方法が挙げられる。
また、この方法を用いて極性基を有するモノマーを微細構造体にグラフトさせてもよい。極性基を有するモノマーとしては、アクリル酸又はメタクリル酸若しくはそれらのアルカリ金属塩もしくはアミン塩、イタコン酸又はそのアルカリ金属塩もしくはアミン酸塩、アリルアミン又はそのハロゲン化水素酸塩、3−ビニルポロピオン酸又はそのアルカリ金属塩もしくはアミン塩、ビニルスルホン酸又はそのアルカリ金属塩もしくはアミン塩、ビニルスチレンスルホン酸又はそのアルカリ金属塩若しくはアミン塩、2−スルホエチレンアクリレート、2−スルホエチレンメタクリレート、3−スルホプロピレンアクリレート、3−スルホプロピレンメタクリレート又はそれらのアルカリ金属塩若しくはアミン塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸又はそのアルカリ金属塩若しくはアミン塩、モノ(2−アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、モノ(2−メタクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、アシッドホスホオキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のリン酸モノマー又はそのアルカリ金属塩若しくはアミン塩が挙げられる。
(D)微粒子積層膜の形成方法
Langmuir,Vol.13,pp.6195−6203,(1997)に示されるように、微細構造体表面に電解質ポリマー溶液(A液)を接触する工程と微粒子分散液(B液)を接触する工程とを交互に繰り返す方法(交互積層法)により、固体基材上に微粒子積層膜を形成することができる。より具体的には、以下の(i)〜(iii)の工程により形成される。
(i)微細構造体表面に電解質ポリマー溶液(A液)又は微粒子分散液(B液)を接触させる工程、次いでリンスする工程、
(ii)前記A液を接触させた後の微細構造体表面にA液の電解質ポリマーと反対電荷を有する微粒子の分散液を接触させる工程、又は前記B液を接触させた後の微細構造体表面にB液の微粒子と反対電荷を有する電解質ポリマーの溶液を接触させる工程、次いでリンスする工程、及び
(iii)(i)と(ii)を交互に繰り返す工程
この交互積層法によると、電解質ポリマー溶液と微粒子分散溶液とが接触することで、電解質ポリマー及び微粒子は交互に吸着して微粒子積層膜が形成される。繰り返す回数に特に制限はないが、その回数により、薄膜の膜厚を制御することができる。上記の交互積層法において、交互に繰り返す回数は、1回以上百回以下とすることが透明性を確保する上で好ましい。また上記の交互積層法において、電解質ポリマー溶液に接触する工程で終わるよりも、微粒子分散溶液に接触する工程で終わることが好ましい。
各工程において吸着が進行して表面電荷が反転すると、さらなる静電吸着は起こらなくなるために、電解質ポリマー溶液又は微粒子分散溶液の一回の接触により形成される膜の厚さは制御できる。また余分に物理吸着した材料は、吸着面をリンスすることで除去できる。
さらに、表面電荷が反転する限り、膜の形成を継続することができる。そのため、通常のディップコート法よりも、交互積層法で形成した薄膜の膜厚均一性は高く、かつ膜厚制御性も高い。高い膜厚制御性は微粒子積層膜が光干渉効果によって所望の光学機能を発現するために重要である。リンス液は、水、有機溶媒又は水と水溶性の有機溶媒のような混合溶媒が好ましい。水溶性の有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル等が挙げられる。
微粒子積層膜の形成装置としては、J.Appl.Phys.,Vol.79,pp.7501−7509,(1996)や国際公開第00/13806号パンフレット(特願2000−568599号)に示されるように、微細構造体を固定したアームが自動的に動き、プログラムに従って固体基材を電解質ポリマー溶液中や微粒子分散液中又はリンス液中に浸漬させるディッパーと呼ばれる装置を用いてもよい。
また、微細構造体上に電解質ポリマー溶液又は微粒子分散液を滴下又はスプレーすることで微粒子積層膜を形成してもよい。その際、リンス液は滴下、スプレー、シャワーのいずれか又は組み合わせた方法で供給されてもよい。また微細構造体は、搬送や回転などの運動を行っていてもよい。
(E)微粒子分散液
本発明で用いる微粒子分散液は、後述する微粒子が、水、有機溶媒又は水と水溶性の有機溶媒のような混合溶媒である媒体(液)に分散されたものである。水溶性の有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル等が挙げられる。
微粒子分散液中に占める微粒子の割合は、通常0.005〜15重量%程度が好ましく、0.001〜10重量%程度がより好ましく、0.01〜5重量%程度がさらに好ましい。微粒子の割合が低すぎると微粒子積層膜が形成できず、高すぎると微粒子同士の凝集により微粒子積層膜が透明性や平坦性を損なうために好ましくない。微粒子の分散は公知の方法によって行うことができる。微粒子の分散性が低い場合は、分散性を改善するために、微粒子分散液を調製する際にいわゆる分散剤を用いることができる。
このような分散剤としては、界面活性剤や電解質ポリマー又は非イオン性のポリマーなどを用いることができる。これらの分散剤の使用量は、用いる分散剤の種類によって異なるものであるが、一般に、微粒子に対する分散剤の量が0.001〜100重量%程度であることが好ましく、多すぎるとゲル化・分離を起こしたり、分散液中で微粒子が電気的に中性となったりして、微粒子積層膜が得られにくくなる。
また、微粒子分散液のpHは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ性水溶液又は塩酸、硫酸等の酸性水溶液により1〜13の範囲で調整することができ、分散剤によってもpHの調整はできる。微粒子分散液のpHが等電位点からずれるほど、微細構造体や電解質ポリマーとの静電的引力が強くなる傾向がある。なお、等電位点とは微粒子の表面電位が0となり、静電反発力がなくなるために粒子が凝集を起こすpH値であるが、等電位点は表面水酸基の数や結晶構造により異なるため、微粒子の材料によって異なる。
(F)微粒子材料
本発明に用いる微粒子分散水溶液に分散されている微粒子の平均一次粒子径は、1nm以上40nm以下であることが、微粒子積層膜が高い透明性を有し、その結果、微細構造体の幾何光学的な性能を損なわないために好ましく、2nm以上30nm以下がより好ましく、3nm以上20nm以下がさらに好ましい。平均一次粒子径が1nm未満の微粒子は形成が難しくなる。平均一次粒子径が40nmを超えると、微細構造上に透明な微粒子積層膜を形成しにくくなり、微細構造体の幾何光学的な性能を損なう。
また、交互積層法で微粒子積層膜を形成する場合、交互積層回数1回あたりの微粒子積層膜の膜厚変化量は、通常は微粒子の平均一次粒子径と同程度である。そのため、平均一次粒子径が大きすぎると膜厚制御の精度が低くなり、光学機能発現に膜厚を精度良く得ることが困難になる。
なお、微粒子積層膜の光学機能発現に必要な膜厚dは、次式(1)
Figure 2009175671

(ただし、式中、λは光学的機能を発現したい波長、nは膜の屈折率、xは通常2〜8である)で求められる(光学薄膜技術、日本オプトメカトロニクス協会、岡本幹夫著、pp.7−45、2002年1月15日発行、参照)。
本発明において、微粒子の平均一次粒子径、平均二次粒子径、一次粒子がつながった形状の粒子の粒子径の測定は、公知の方法を用いて行うことができる。本発明では、一次粒子がつながった形状の粒子を数珠状粒子と表現する場合がある。
一次粒子が凝集せずに微粒子分散液中に分散している場合、平均一次粒子径を動的散乱法により測定することができる。ただし、一次粒子が凝集した二次粒子の場合や一次粒子が共有結合してなる数珠状粒子の場合は、動的散乱法により測定されるのは平均一次粒子ではなく、平均二次粒子径や数珠状粒子の粒子径である。二次粒子や数珠状粒子における平均一次粒子径はBET法や電子顕微鏡法によって測定できる。
BET法では、窒素ガスのように占有面積の分かった分子を粒子表面に吸着させ、その吸着量と圧力の関係から比表面積を求め、この比表面積を換算表から粒子径に変換をすることで平均一次粒子径を求めることができる。
電子顕微鏡法では、まず厚さ数十nmのアモルファスカーボン膜が形成された銅製メッシュ上で微粒子を微粒子分散液からすくいとる又はアモルファスカーボン膜上に微粒子を吸着させる。これらの微粒子を透過型電子顕微鏡により観察し、次いで、撮影画像中の全ての微粒子の長さを測定しその相加平均を平均一次粒子径として求める。
なお、長さをはかる微粒子の数は100以上が望ましく、1つの撮影画像中の微粒子の数が100未満の場合は複数の撮影画像を用いて100以上となるようする。柱状粒子のように粒子の軸比が大きく異なる場合は、一般的に短軸の長さを測定し、その相加平均を平均一次粒子径とする。
前記の粒子径測定における微粒子は、微粒子積層膜を作製するための微粒子分散液から得るだけではなく、微粒子積層膜から得てもよい。微粒子積層膜から得る方法としては、スチールウール(日本スチールウール社製、#0000)やカッターなどで微細構造体上の微粒子積層膜を研磨することで粉末状の微粒子凝集体を剥離し、その微粒子凝集体を溶媒中に分散させる方法が挙げられる。
微粒子凝集体を分散させる方法・装置は特に制限はなく、例えば、超音波をかける方法、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー、単軸押出機、2軸押出機等によって分散させる方法が挙げられる。
これにより、サイズの小さくなった微粒子凝集体や単分散の微粒子が得られる。前記溶媒には水、有機溶媒、又は、水と水溶性の有機溶媒のような混合溶媒を用いることができる。
電子顕微鏡法では、微粒子の粒子径と同時に形状も観察できる。一次粒子が多孔質構造であるか、中空であるか、一次粒子がつながった形状であるかが区別できる。一次粒子がつながった形状の粒子は図1に示すように形状をしており、本発明では数珠状粒子と呼ぶ場合がある。
なお、本発明において規定する平均一次粒子径の数値は、BET法によって得られる数値である。ただし、後述する中空状微粒子および多孔質微粒子については(透過型)電子顕微鏡法によって得られる数値とする。
この数珠状粒子は、微粒子積層膜の強度を向上させるために、一次粒子同士が共有結合していることが好ましい。数珠状粒子を用いた微粒子膜では、数珠状の形状がもたらす立体的な障害により、他の数珠状粒子や反対電荷を有する電解質ポリマーが空間を密に占めることができず、その結果、球状粒子を用いた微粒子積層膜よりも空隙率が高く低屈折率となる。
図1に示すような数珠状粒子は、溶液中に分散している数珠状粒子の半数以上が4個以上の一次粒子から構成されている。また数珠状粒子では、一次粒子は3次元的な団子上に凝集しておらず、一つの一次粒子が隣接する粒子数は10を超えない場合が多い。最密充填では一つの一次粒子が隣接する粒子数が16となる。
数珠状粒子における一次粒子の配置としては、一つの一次粒子が隣接する粒子数が1以上8以下である部位が、半分以上を占めることが特徴である。そのため、数珠状粒子は基材に吸着した際に2次元的にひろがった形状を取りやすく、造膜性の向上にも寄与する。 さらに、一次粒子同時が共有結合している場合、微粒子積層膜の強度向上にも寄与する。
本発明における微粒子としては、無機微粒子があるが、具体的は、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、インジウム、シリコン、錫、チタン、ジルコニウム、イットリウム、ビスマス、ニオブ、セリウム、コバルト、銅、鉄、ホルミウム、マンガン等のハロゲン化物や酸化物などが使用されるが、さらに具体的には、フッ化リチウム(LiF)、フッ化ナトリウム(NaF)、フッ化マグネシウム(MgF)、フッ化アルミニウム(AlF)、酸化アルミニウム(Al)、酸化亜鉛(ZnO)、インジウムスズ酸化物(ITO)、シリカ(SiO)、酸化スズ(SnO)、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化イットリウム(Y)、酸化ビスマス(Bi)、酸化ニオブ(Nb)、セリア(CeO)、酸化コバルト(CoO)、銅(CuO)、鉄(Fe)、ホルミウム(Ho)、マンガン(Mn)等が挙げられ、これらは単独で又は二種類以上を混合して使用することができる。微粒子は不定型であってもよく、取り得る結晶型に特に制限はない。
上記の無機微粒子の中でも反射防止膜に必要とされる低屈折率の薄膜が得られる点でシリカ(SiO)が好ましく、平均一次粒子径を1nm〜40nmのように制御した水分散コロイダルシリカ(SiO)が最も好ましい。このような無機微粒子の市販品としては、例えば、スノーテックス(日産化学工業社製)等が挙げられる。
さらに、形状面から言えば、多孔質シリカ微粒子、中空状シリカ微粒子、及び一次粒子がつながった形状のシリカ微粒子のうちの1種以上を用いることが好ましい。一次粒子がつながった形状の粒子を用いて微粒子積層膜を形成すると、立体障害により緻密化が阻害されるために、微粒子積層膜の屈折率が低下するからである。また、多孔質の粒子及び中空の粒子を用いて微粒子積層膜を形成すると、多孔質粒子表面の空隙及び中空粒子内部の空隙が導入され、微粒子積層膜の屈折率が低下するからである。
多孔質シリカ微粒子としては、空隙率10〜70%のものが好ましく、内径が1〜25nmの細孔を有することが好ましい。製造方法の例としては、0.1molのテトラエトキシシランに1mmolの塩酸と40mLの水を加え、さらにゼラチンを10wt%加えて室温下で1時間加水分解を行い、次いで50℃で乾燥し、空気中で1℃/minで600℃まで昇温して、ゼラチンの除去により生じた細孔を有するシリカ系多孔質体を得る。さらに、この多孔質体を水中でビーズミル等により粉砕することで、直径数十nmの多孔質シリカ微粒子の水分散液を得ることができる。市販されているものとしては、日本シリカ工業社製NipsilやNipgelが挙げられる。
中空状シリカ微粒子としては、微粒子に対する中空部分の空隙率が10〜50%のものが好ましく、市販されているものとしては、触媒化成工業社製スルーリアが挙げられる。
より低い屈折率を得るためには、基本となる微粒子が、図1に示されるように数珠状に連なった粒子形状を含有するものがより好ましい。市販されているものとしては、スノーテックスUPやスノーテックスPS−S、スノーテックスPS−M(日産化学工業社製、商品名)や、ファインカタロイドF120(触媒化成工業社製、商品名)で、パールネックレス状シリカゾルがある。
本発明における微粒子として、ポリマー微粒子も用いることができ、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、アクリル系ポリマー、シリコンポリマー、フェノール樹脂、ポリアミド、天然高分子を挙げることができ、これらは単独で又は二種類以上を混合して使用することができる。それらは液相から溶液噴霧法、脱溶媒法、水溶液反応法、エマルション法、懸濁重合法、分散重合法、アルコキシド加水分解法(ゾル−ゲル法)、水熱反応法、化学還元法、液中パルスレーザーアブレーション法などの製造方法で合成される。ポリマー微粒子の市販品としては、例えば、ミストパール(荒川化学工業(株)製)等が挙げられる。
また、微粒子間や微粒子−基板間に共有結合、分子間力、ファンデアワールス力のいずれか一つ以上の引力を与える目的で、これらの微粒子の表面にイオン性の官能基を付加してもよい。微粒子表面への官能基の付与は、前記化学式(I)で表されるシランカップリング剤を微粒子の水酸基などと縮合反応させることで行うことができる。
微粒子表面へ付与する官能基としては、例えば、前述したビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、アミノ基、ウレイド基、クロロプロピル基、スルフィド基、メルカプト基、イソシアネート基を挙げることができる。
シランカップリングの市販品としては、信越化学製のKBMシリーズやKBEシリーズが挙げられる。また、カルボキシル基、カルボニル基、フェノール基等を微粒子表面に付与してもよく、このような官能基が表面に付与された微粒子の市販品としては、例えば、ミストパール(荒川化学工業社製、商標名)等が挙げられる。
媒体中に分散している微粒子は、その表面極性基の解離やイオンの吸着によって拡散電気二重層が生じるために、電気的に負又は正に帯電する。次式に表される微粒子表面の拡散電気二重層の厚さ(1/κ)は、表面電荷と対イオン(電解質イオン)の間の引力と、熱運動による力がつりあう距離である。ここで、κはDebye−Huckelのパラメータと呼ばれ、次式のように表される(大島広行、「ナノ微粒子の分散安定性・凝集制御及びゼータ電位の測定評価」、技術情報協会)。
Figure 2009175671

(式中、kはBoltzmann定数、εは真空の誘電率、εは媒体(液)の比誘電率、Tは絶対温度、Zは価数、eは単位電荷、Nはアボガドロ数、Cは電解質濃度で単位はM(=mol/リットル)である。)
微粒子の表面電位(φ)は、表面電荷密度(σ)による電場(σ/εε)と電気二重層(1/κ)との積であり、次式のように表される。
Figure 2009175671

この式から、微粒子の表面電位(φ)は、表面電荷密度(σ)や電解質濃度(C)により制御できることが分かる。
電解質濃度を上げるために加える電解質としては、水又は水、アルコール混合溶媒等に溶解するものであれば制限はないが、アルカリ金属及びアルカリ土類金属、四級アンモニウムイオン等とハロゲン元素との塩、LiCl、KCl、NaCl、MgCl、CaCl等が用いられる。
表面電荷密度(σ)は、pHによって制御できる。なぜなら、粒子表面にある解離基の解離(イオン化)度はpHによって影響を受けるからである。例えば微粒子表面にカルボキシル基(−COOH)や表面水酸基(−OH)がある場合は、pHを上げるとイオン化してカルボキシレート陰イオン(−COO)又は水酸化物イオン(−O)となるため、電荷密度σは上がる。
一方、アミノ基(−NH)がある場合はpHを下げるとアンモニウムイオン(−NH )となり電荷密度が上がる。すなわち、高いpH領域及び低いpH領域で電荷密度の上昇がある。
表面電位が同じ符号である微粒子は互いに反発し、凝集することなく安定に媒質中に分散する。ゼータ電位は微粒子の表面電荷を反映し、微粒子の分散安定性の指標として用いられている(北原文雄、古澤邦夫、尾崎正孝、大島広行、「Zeta Potentialゼータ電位:微粒子界面の物理化学」、サイエンティスト社、1995年1月発行)。ゼータ電位の絶対値が増加すれば微粒子間の反発力が強くなり粒子の安定性は高くなり、逆にゼータ電位がゼロに近づくと微粒子は凝集しやすくなる。
このゼータ電位は、例えば、電気泳動光散乱測定法(別名レーザードップラー法)により測定することができる。外部電場(E)によって泳動する微粒子に波長(λ)のレーザー光を照射し、散乱角(θ)で散乱する光の周波数変化(ドップラーシフト量Δν)を測定し、次式によって微粒子の泳動速度(V)を求める。
Figure 2009175671

(ただし、nは媒体(液)の屈折率である。ここで得られた泳動速度(V)と外部電場(E)から電気移動度(U)が次式より求められる。)
Figure 2009175671

電気移動度(U)からゼータ電位(ζ)は、次式のSmoluchowskiの式を用いて求められる。
Figure 2009175671

(ただし、ηは媒体(液)の粘度、εは媒体(液)の誘電率である(北原文雄、古澤邦夫、尾崎正孝、大島広行、「Zeta Potentialゼータ電位:微粒子界面の物理化学」、サイエンティスト社、1995年1月発行))。
ゼータ電位の比較的新しい測定方法として、超音波方式又はコロイド振動電流法も挙げられる。測定装置としてはDispersion Technology社製の、商品名DT−200やDT−1200、DT−300が挙げられる。超音波を照射された溶媒中の微粒子は、溶媒と微粒子の密度差により相対的に振動するために、荷電した微粒子とその周囲のカウンターイオンの分極によりコロイド振動電位と呼ばれる電場を発生する。この電場を検出し、解析することでゼータ電位を測定できる。
無機酸化物の粒子では分散溶液のpHが変わるとゼータ電位が大きく変化する。例えば、チタニア粒子(日本アエロジル社製)が分散する溶液のpHを3、7.5、11と変化させると、ゼータ電位は+40mV、0mV、−20mVと変化し、粒子径は400nm、1600nm、900nmと変化する。
すなわち、ゼータ電位が0mVになると粒子は凝集することがわかる(大塚電子(株)、アプリケーションノート、ゼータ電位「無機物のゼータ電位測定」、p.LS−N002−6、2002年9月1日発行)。このことから、溶液中の微粒子を安定に分散させるために、微粒子のゼータ電位の絶対値を数mV〜数十mVの範囲に制御することが望ましい。
例えば、1重量%に調整した日産化学製のシリカ微粒子水分散液(スノーテックス(ST)20)はpHが10であり、シリカ微粒子のゼータ電位は−48mVである。このシリカ微粒子分散液のpHを9に調整すると、シリカ微粒子のゼータ電位は−45mVとなる。またpHが10のシリカ微粒子水分散液に塩化ナトリウムを添加し、塩化ナトリウム濃度が0.25モル/リットルのシリカ微粒子水分散液を調整すると、シリカ微粒子のゼータ電位は−40mVとなる。
シリカ微粒子水分散液と、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(PDDA)の0.3重量%水溶液を用いて、交互積層法により作製したシリカ微粒子積層膜では、ゼータ電位が−48mVのときにシリカ微粒子積層膜の屈折率が1.31となるのに対して、ゼータ電位が−45mVと−40mVのときには屈折率が1.29となる。この1.31の屈折率から微粒子体積率を求めると60%、1.29の屈折率から微粒子体積率を求めると56%となる。このことから、屈折率の低下は、微粒子のゼータ電位低下により、微粒子体積率が低下したためと考えられる。つまり微粒子のゼータ電位の制御により、微粒子積層膜の屈折率を制御することができる。
微粒子積層膜に含まれる微粒子の種類は一種類に限らない。例えば、微粒子分散溶液の一回の液の接触において吸着される微粒子は二種類以上でもよく、また微粒子分散溶液の液の接触毎に微粒子の種類が異なっていてもよい。
なお、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ニオブ、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化ケイ素の微粒子が、微粒子積層膜の表面硬度を高める点で好ましい。
(G)電解質ポリマー溶液
電解質ポリマー溶液は、交互積層法を用いて微粒子積層膜を作製する際に必要となる。この電解質ポリマー溶液は、微粒子の表面電荷と反対又は同じ符号の電荷の電解質ポリマーを、水、有機溶媒又は水溶性の有機溶媒と水の混合溶媒に溶解したものである。使用できる水溶性の有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル等が挙げられる。
電解質ポリマーとしては、荷電を有する官能基を主鎖又は側鎖に持つ高分子を用いることができる。
ポリアニオンとしては、一般的に、スルホン酸、硫酸、カルボン酸等、負電荷を帯びることのできる官能基を有するものであり、例えば、ポリスチレンスルホン酸(PSS)、ポリビニル硫酸(PVS)、デキストラン硫酸、コンドロイチン硫酸、ポリアクリル酸(PAA)、ポリメタクリル酸(PMA)、ポリマレイン酸、ポリフマル酸、ポリパラフェニレン(−)、ポリチオフェン−3−アセティックアシド、ポリアミック酸及びそれらを少なくとも1種以上を含む共重合体などを用いることができる。またポリ(アニリン−N−プロパンスルホン酸)(PAN)等の機能性高分子イオン、種々のデオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、ペクチン等の荷電を有する多糖類など、荷電を有する生体高分子を用いることもできる。
例えば、ポリエチレンイミン(PEI及びその4級化物)、ポリアリルアミン及びその4級化物、ポリアリルアミン塩酸塩(PAH)、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(PDDA)、ポリビニルピリジン(PVP)、ポリリジン、ポリアクリルアミド、ポリピロール、ポリアニリン、ポリパラフェニレン(+)、ポリパラフェニレンビニレン、ポリエチルイミン及びそれらを少なくとも1種以上を含む共重合体や塩の種類を変えたものなどを用いることができる。
例えば、ポリアリルアミンアミド硫酸塩、アリルアミン塩酸塩とジアリルアミン塩酸塩の共重合体、アリルアミン塩酸塩とジメチルアリルアミン塩酸塩の共重合体、アリルアミン塩酸塩とその他の共重合体、部分メトキシカルボニル化アリルアミン重合体、部分メチルカルボニル化アリルアミン酢酸塩重合体、ジアリルアミン塩酸塩重合体、メチルジアリルアミン塩酸塩重合体、メチルジアリルアミンアミド硫酸塩重合体、メチルジアリルアミン酢酸塩重合体、ジアリルアミン塩酸塩と二酸化イオウの共重合体、ジアリルアミン酢酸塩と二酸化イオンの共重合体、ジアリルメチルエチルアンモニウムエチルサルフェイトと二酸化イオウとの共重合体、メチルジアリルアミン塩酸塩と二酸化イオウとの共重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロリドと二酸化イオウとの共重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロリドとアクリルアミドとの共重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロリドとジアリルアミン塩酸塩誘導体との共重合体、ジメチルアミンとエピクロロヒドリンの共重合体、ジメチルアミンとエチレンジアミンとエピクロロヒドリンの共重合体、ポリアミドポリアミンとエピクロロヒドリンとの共重合体等が挙げられる。
ポリカチオンとしては、1級から3級のアミノ基や4級アンモニウム基が好ましい。詳細は不明だが、シリカの表面水酸基とアミノ基やアンモニウム基が比較的強く結合する。
これらの電解質ポリマーは、いずれも水溶性又は水と有機溶媒との混合液に可溶なものであり、電解質ポリマーの重量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、標準ポリスチレンの検量線を用いて測定した値)としては、用いる電解質ポリマーの種類により一概には定めることができないが、一般に、400〜300,000程度のものが好ましい。なお、溶液中の電解質ポリマーの濃度は、一般に、0.0003〜3重量%程度が好ましく、0.001〜1重量%程度がより好ましく、0.01〜1重量%程度がさらに好ましい。電解質ポリマーの濃度が低すぎると微粒子積層膜が形成できず、高すぎると洗浄工程での余剰な電解質ポリマーの除去が不十分となり、凝集物を生成するために微粒子積層膜が透明性や平坦性を損なう。また、電解質ポリマー溶液のpHは、5以上12以下が好ましく、6以上11.5以下がより好ましく、7以上11以下がさらに好ましい。pHが低すぎると、金属酸化物微粒子の水酸基を活性化できずに電解質ポリマーの吸着量が不均一になり、微粒子積層膜の膜厚が不均一化になる。pHが高すぎると金属酸化物を溶かすため、微粒子積層膜が透明性や平坦性を損なう。
ポリカチオンであるポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(PDDA)と、ポリアニオンであるポリスチレンスルホン酸(PSS)を用いて、交互積層法により(PDDA/PSS)多層膜を作製できる。シリコンウエハ上に交互積層回数45回で形成した(PDDA/PSS)45層構造膜の厚さは60nmであり、交互積層回数1回あたりのPDDA/PSS膜の厚さは約1.3nmと概算できる。このことから、PDDA層とPSS層は、分子オーダーの薄さで形成されることがわかる。なお、PDDAとPSSの単分子層はその分子構造から数Åと考えられる。
(H)微粒子積層膜
本発明に係る微粒子積層膜は低屈折率の微粒子積層膜であって、既述の通り、屈折率が1.10以上1.21以下であり、優れた反射防止性能を発揮することができる。また、多孔質層であることにより内部の空隙が屈折率の減少に寄与し、微粒子積層膜の空隙の体積率等を規定することで、より確実に優れた反射防止性能を発揮することができる。
以下に、当該微粒子積層膜について詳述する。
微粒子積層膜は、微粒子材料の選択によりその屈折率を制御できる。微粒子積層膜の屈折率は、エリプソメトリーで測定した偏光特性からの解析又は分光光度計で測定した反射スペクトルや透過スペクトルからの解析により求めることができる。これらの手法の優れている点は微粒子積層膜の膜厚を同時に評価できることである。その他に微粒子積層膜の膜厚を求める方法には、SEM(走査型電子顕微鏡)、TEM(透過型電子顕微鏡)、AFM(原子間力顕微鏡)等の膜を観察する方法もある。また水晶振動子上に膜を形成し、周波数変化量と膜材料の密度から膜厚を求めることもできる。
微粒子と荷電の異なる電解質ポリマーとしてポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(PDDA)を用いる場合、前述のように、PDDA層は1.3nm未満という分子オーダーの薄さである。従って、PDDA層は微細構造体や微粒子表面を、その表面形状に追従しながら覆っていると考えられる。そして、その薄さで、微細構造体と微粒子、微粒子と微粒子の静電的な結合材として機能している。
微粒子積層膜の屈折率は微粒子材料のバルクより低いが、それは微粒子積層膜中の微粒子の間に隙間ができるからである。本発明の微粒子積層膜では微粒子の間の隙間はほとんど空気であり、微粒子積層膜の屈折率nは次式から求めることができる。
Figure 2009175671

(ただし、式中、ρは微粒子積層膜中の微粒子の体積密度、nは微粒子を構成する物質の屈折率、nは空気の屈折率=1.0を示す。)(薄膜・光デバイス、吉田貞史、矢嶋弘義著、東京大学出版会、pp.34−37、1994年9月20日発行、参照)。
例えば、バルクの屈折率nが2.3のチタニア微粒子を用いた微粒子積層膜の屈折率nは1.8となり、バルクの屈折率nが1.48のシリカ微粒子を用いた微粒子積層膜の屈折率nは1.3となる。このように、微粒子積層膜は微粒子材料のバルクより低い屈折率を示すため、光学的な設計において屈折率の選択範囲を広げる。
本発明に係る微粒子積層膜の屈折率は、1.10以上1.21以下であるが、1.10未満ではその屈折率を有する微粒子積層膜の形成が困難であり、1.21を超えると汚染材料や吸着材料により屈折率が増加した場合に、反射防止機能が容易に低下してしまう。当該屈折率は、1.14以上1.20以下が好ましく、1.14以上1.19以下がより好ましい。
本発明の微粒子積層膜では微粒子の間の隙間はほとんど空気であるため、次式より微粒子積層膜の屈折率から微粒子積層膜中の空隙の体積率(空隙率ρ)を求めることもできる。
Figure 2009175671
例えば、屈折率nが1.8のチタニア微粒子積層膜中の空隙率ρは48%となり、屈折率nが1.3のシリカ微粒子積層膜中の空隙率ρは42%となる。
本発明に係る微粒子積層膜の空隙率ρとしては、61.0%以上82.4%以下が好ましく、63.0%以上74.8%以下がより好ましく、63.0%以上74.8%以下が最も好ましい。空隙率ρが61.0%以上82.4%以下であると、微粒子積層膜の屈折率を既述の所定の数値とすることができる。
一方、微粒子積層膜の空隙を完全に埋めるように屈折率nの樹脂を充填した場合の微粒子積層膜の屈折率n’は次式で表される。
Figure 2009175671
同じ微粒子の体積密度の場合、空隙を樹脂で完全に充填した微粒子積層膜の屈折率n’よりも、空隙を有する微粒子積層膜の屈折率nのほうが屈折率は低くなる。そのため、空隙を樹脂で完全に充填した微粒子積層膜よりも空隙を有する微粒子積層膜のほうが低い屈折率を示し、光学的な設計において屈折率の選択範囲を広げる。
微粒子積層膜は膜中に空隙を有するが、微粒子と空隙のサイズが光(可視光)の波長よりも十分小さいために、平均的な屈折率nを有する。また微粒子積層膜の空隙になんらかの理由で微粒子以外の材料が充填された場合では、微粒子積層膜の空隙のサイズは小さくなるため、その場合でも平均的な屈折率を示す。これらの微粒子積層膜を含む反射防止膜又は空隙に微粒子以外の材料を含んだ微粒子積層膜を含む反射防止膜は、ある平均的な屈折率を有し、光学的に1層の膜として機能する。
図1に示すような一次粒子がつながった形状の粒子を用いて形成した微粒子積層膜では、粒子同士の立体障害により緻密化が阻害されるために、微粒子積層膜の屈折率が低下する。その場合、一次粒子の粒子径以上の空隙が微粒子積層膜の内部や表面に存在するため、内部の空隙はTEM(透過型電子顕微鏡)により、表面の空隙はSEM(走査型電子顕微鏡)やAFM(原子間力顕微鏡)などにより観察することができる。
屈折率nの微細構造体の表面に次式のような屈折率nARと膜厚dARを有する低屈折率膜が形成される時、波長λでの微細構造体の表面反射率が0%となる。
Figure 2009175671
Figure 2009175671
例えば、波長550nmでのn=1.54の透明な微細構造体の表面反射率を0%にするためには、nAR=1.241、dAR=111nmの低屈折率膜を微細構造体表面に形成する必要がある。n=1.54の透明な微細構造体に反射防止膜を形成した場合の表面反射率と、低屈折率膜の屈折率の関係を図2に示す。低屈折率膜の屈折率がnARより小さくても大きくても、低屈折率膜付きの微細構造体の表面反射率は0%より増大する。
一方で、波長550nmでのn=1.54の透明な微細構造体の表面反射率を0.1%以下にするためには、低屈折率膜のnは1.203以上1.281以下であればよい。また、波長550nmでのn=1.54の透明な微細構造体の表面反射率を1.0%以下にするためには、低屈折率膜のnは1.123以上1.372以下であればよい。低屈折率膜がない場合、n=1.54の透明な微細構造体の表面反射率は4.5%である。そのため、屈折率が1.123以上1.372以下の低屈折率膜を微細構造体表面に形成すれば、その低屈折率膜は反射防止膜として機能する。
本発明に係る微粒子積層膜の屈折率は、微細構造体の表面反射率を0%にする屈折率nAR(式(5)参照)より小さい。これにより、微粒子積層膜の屈折率が何らかの理由で増加しても、反射防止膜として機能し続ける。例えば、1.372であった微粒子積層膜の屈折率が何らかの理由で1.490に増加すると、微細構造体の表面反射率は1.0%から3.3%に増加し、微粒子積層膜は反射防止膜ではなくなる。
しかし、1.123であった微粒子積層膜の屈折率が何らかの理由で1.241に増加すると、微細構造体の表面反射率は1.0%から0.0%に減少し、微粒子積層膜は最適な反射防止膜となる。このことから、屈折率がnAR(式(5)参照)より小さい微粒子積層膜は、何らかの理由で屈折率が増加しても反射防止機能を維持できる観点で優れた低屈折率膜といえる。
微粒子積層膜の屈折率が増加する理由には、微粒子積層膜の汚染、吸湿、補強等が挙げられる。微粒子積層膜は膜中に空隙を有し、空隙は膜表面につながっている。そのため、汚染材料の染込み、水や溶媒や低分子量体の吸着が起こり得る。その場合、汚染材料や吸着材料の除去のために清掃を要する。
しかし、前述のように屈折率がnARより小さい微粒子積層膜を用いることで汚染材料や吸着材料を除去することなく反射防止機能を維持することができる。
また、微粒子積層膜を微細構造体へ密着させるため、微粒子積層膜自身の強度を向上させるため又はそれらの両方を得るために、微粒子積層膜に補強剤を染込ませ、硬化させる場合がある。
微粒子積層膜を硬化性樹脂に接触させ、空隙を樹脂である程度埋め、その後硬化させることで、微粒子積層膜の密着性や膜強度は向上できる。そのような樹脂材料は、例えば電離放射線硬化樹脂、熱硬化型樹脂、熱可塑性樹脂、反応性シリコーンオイル等の樹脂組成物が挙げられる。
また、金属アルコキシド溶液に接触した後、乾燥して金属酸化物の硬化物で空隙をある程度埋める方法やポリシラザンの溶液にディップして、転化させたシリカで空隙をある程度埋めることもできる。
また、これらの樹脂組成物や金属酸化物が微粒子積層膜上をコートしてもよく、このオーバーコートは膜強度をさらに向上させる。これらの材料が微粒子積層膜の空隙をある程度埋める場合は屈折率を若干増加させるが、前述のように屈折率がnARより小さい微粒子積層膜を用いることで反射防止機能を維持することができる。なお、樹脂組成物や金属酸化物が微粒子積層膜中の空隙を埋めずに、オーバーコートされるだけでもよい。
また、反射防止膜以外の光学機能薄膜としての用途に対しても、本発明のように屈折率の低い微粒子積層膜は光学性能の向上や光学機能の維持に有用である。
(I)光学部材
本発明に係る微粒子積層膜は、交互積層法により得られるために膜厚均一性が高く、それゆえ、その微粒子積層膜は光学部材(微細構造体)に好適に用いることができる。
微細構造が高度に制御され、幾何光学的に高い性能を有する微細構造体においては、微細構造体表面の反射防止膜は、可視光を散乱・拡散させることは望ましくない。若干でも光を散乱・拡散させる反射防止膜や低屈折率膜は、光が斜めから入射する場合に光の散乱・拡散の度合いが増すためである。
微細構造体表面の反射防止膜には光が法線方向から入射するだけでなく、斜入射である場合も多い。そのため、例えば、レンズ形状物の表面に光を散乱・拡散させる反射防止膜や低屈折率膜が形成された場合、光が焦点に集まらない等の幾何光学的な性能低下を生じる。すなわち、反射防止膜が微細構造体の幾何光学的な性能を損なわないためには、反射防止膜が透明であることが望ましい。本発明では、反射防止膜や低屈折率膜の濁度を測定することにより、本発明の微細構造体用反射防止膜が微細構造体の幾何光学的な性能を損なわないことを評価できる。
微細構造が高度に制御され、幾何光学的に高い性能を有する微細構造体においては、微細構造体表面の反射防止膜は、微細構造体の形状に追従して形成されることが望ましい。反射防止膜が微細構造体の形状に追従しない場合は、微細構造体の幾何光学的な性能が損なわれる。レンズ状微細構造を例にとれば、固体撮像素子に用いられるオンチップマイクロレンズアレイ表面の反射防止膜がマイクロレンズに追従しない場合、レンズの集光性能を損なうために、集光される光量の減少により感度が低下し、さらにフォトダイオード以外の部分に照射された光が迷光となり、フレアやコントラスト低下を引き起こす。
本発明では、微粒子積層膜を形成した微細構造体の断面を走査型電子顕微鏡などにより観察し、微細構造表面からの法線方向に対する微粒子積層膜の厚みを測定することで、微粒子積層膜の微細構造体への追従性を評価することができる。また微細構造体を斜め方向より走査型電子顕微鏡などにより観察し、投影された微細構造体の形状より微粒子積層膜の微細構造体への追従性を評価することもできる。
本発明では、微細構造体が表面に極性基を有することにより、その上に形成された微粒子積層膜が実用的な密着性を得ることができる。微細構造体上の膜の表面硬度を評価する方法としては鉛筆硬度試験が挙げられる。微細構造体の硬度に依存せずに薄膜そのものの硬度を評価する装置にはナノインデンターが挙げられる。
また、密着性を評価する方法にはテープ剥離試験が挙げられる。
なお、テープ剥離試験には必ずしもJIS Z 1522に規定するような2.94N/10mm以上の粘着力を有する必要は無く、より実際の工程において用いる粘着テープを用いて試験してもよい。光電変換素子等の半導体の製造工程においては、バックグラインド工程に用いる粘着テープ等の保護テープがそれにあたる。
また、液晶用バックライトの輝度向上レンズフィルム、拡散フィルム、ビデオプロジェクションテレビのスクリーンに用いられるフレネルレンズやレンチキュラーレンズなどの光学機能部材においては、加工・輸送・組立て・保管に表面保護、汚染防止や固定をするために貼る粘着テープがそれにあたる。
(J)質量測定
水晶振動子は極めて微量の質量変化を計測する質量センサーとして利用されている。水晶振動子の電極表面に物質が付着すると、水晶振動子全体の質量が増加するため、水晶振動子の共振周波数は減少する。(表面技術、瀬尾眞浩著、「水晶振動微量天秤法」、Vol.45、No.10、pp.1003−1008、1994年、参照)この水晶振動子の質量増加量(Δm)は付着物質の質量に等しく、水晶振動子の共振周波数の減少分(ΔF)と次式に示すSauerbreyの式で関係付けられる。
Figure 2009175671

(ただし、Aは電極面積、μは水晶のせん断応力(2.947×1010kg・m・s)、pは水晶の比重(2648kg/m)、Fはセンサーの共振基本周波数である。(Z.Phys.,G.Sauerbrey著,Vol.155,p.206,1959年))
交互積層法による微粒子積層膜の形成において、この水晶振動子を微粒子分散液に接触し、水晶振動子上に微粒子を吸着させることで、微細構造体上に吸着する微粒子の質量を評価することができる。
また、国際公開第00/13806号パンフレット(特願2000−568599号)に示されるように、同じ水晶振動子を電解質ポリマー溶液に接触し、水晶振動子上に電解質ポリマーを吸着させることで、基板上に吸着する電解質ポリマーの質量を評価することができる。
交互積層法により形成した微粒子積層膜は、ほとんど微粒子から構成されており、電解質ポリマーの構成比は少ない。水晶振動子を用いた質量評価により、微粒子積層膜中の微粒子に対する電解質ポリマーの質量比を評価することができる。
微粒子と電解質ポリマーが同じ水晶振動子の電極面に吸着する場合、微粒子の質量(Δm)に対する電解質ポリマーの質量(Δm)の比(Δm/Δm)は、式(A)から次式のように導かれる。
Figure 2009175671

(ただし、ΔFは電解質ポリマーの吸着による共振周波数の減少分であり、ΔFは微粒子の吸着による共振周波数の減少分である。すなわち、微粒子に対する電解質ポリマーの質量比(Δm/Δm)は、微粒子に対する電解質ポリマーの吸着による共振周波数の減少分の比(ΔF/ΔF)として求めることができる。)
本発明における微粒子積層膜を形成するために、微細構造体を電解質ポリマー溶液に接触し、次いでリンス用の超純水に接触する工程(A)と、微粒子分散液に接触し、次いでリンス用の超純水に接触する工程(B)をこの順に施す。この工程(A)1回と工程(B)1回を順に行う工程を微粒子積層膜製膜工程の1サイクルとし、微粒子積層膜が光学機能を発現する厚さとなるサイクル数(Nmax)まで繰り返す。
微細構造体とともに水晶振動子を電解質ポリマー溶液、超純水、微粒子分散液、超純水の順に接触すると、電解質ポリマーの吸着とリンス、微粒子の吸着とリンスに伴う共振周波数の変化が図3のように測定できる。ここでは、微粒子分散液としてシリカ微粒子の水分散液(スノーテックス(ST)20)を、電解質ポリマー溶液としてPDDAを用いた。
周波数減少分(ΔF)は、電解質ポリマーの吸着とリンスを経て水晶振動子及び微細構造体の上に残る電解質ポリマーの質量による周波数減少分である。このΔFを微粒子積層膜製膜工程が1回目からNmax回目までの間に測定し、それらの平均値をΔFee avとする。
また、周波数減少分(ΔF)は微粒子の吸着とリンスを経て水晶振動子及び微細構造体の上に残る微粒子の質量による周波数減少分である。このΔFを微粒子積層膜製膜工程が1からNmaxの間に測定し、それらの平均値をΔF avとする。これらを用いて、微粒子積層膜中の微粒子に対する電解質ポリマーの質量比(me/P)を次式のように求めることができる。
Figure 2009175671
本発明で形成する微粒子積層膜では、微粒子に対する電解質ポリマーの質量比(me/p)は、0.01質量%以上10質量%以下であることが好ましい。微粒子の体積率が同じ場合、空隙を樹脂で完全に充填した微粒子積層膜の屈折率n’(式(4)参照)よりも空隙を有する微粒子積層膜の屈折率n(式(2)参照)のほうが低い。このことから、微粒子積層膜に含まれる微粒子に対する電解質ポリマーの体積率が小さいほど、すなわち微粒子積層膜に含まれる微粒子に対する電解質ポリマーの質量比(me/P)が小さいほど、微粒子積層膜の屈折率は低くなることがわかる。
同じ微粒子の体積密度(充填率)において、樹脂中に微粒子が分散した膜に比べて、微粒子に対する電解質ポリマーの質量比(me/P)が0.01%〜10%と小さい微粒子積層膜の屈折率は低くなる。すなわち、微粒子積層膜の屈折率を下げるためには、微粒子に対して0.01質量%以上10質量%以下の電解質ポリマーを含むことが好ましく、0.1質量%以上5質量%以下がより好ましい。
微粒子積層膜中の電解質ポリマーの質量を、示差熱天秤にて電解質ポリマーの沸点以上に加熱した際の質量減少分として評価してもよい。この場合、シリコンウエハ、ガラス等の高硬度な基材上に形成された微粒子積層膜をカッターなどで基材から剥離し、粉末状になった微粒子積層膜を試料として用いればよい。
また、高感度電子天秤によって高温焼成後の基材上の微粒子積層膜中の電解質ポリマーの質量減少分を測定し、微粒子積層膜中の電解質ポリマーの質量を評価してもよい。この場合、シリコンウエハやガラス等の高融点の基材を用い、高温焼成後に十分な時間を経過させて微粒子積層膜の吸湿量に違いを与えなければよい。
(K)乾燥処理
上記のようにして微細構造体表面に形成した微粒子積層膜を加熱することで乾燥処理を行ってもよい。乾燥処理により微粒子積層膜中に含有される水が除去されるとともに、微粒子間のファンデアワールス力、分子間力、クーロン引力及び共有結合がより多く生じ、膜硬度の向上が図られる。
加熱温度は、微細構造体の融点、ガラス転移温度、軟化温度等より低い温度が良く、微細構造体の透明性や無着色といった光学機能が保たれる温度がよい。なお、加熱温度は、微粒子積層膜中の電解質ポリマーの融点や沸点を越えてもよい。
本発明における微粒子積層膜中の電解質ポリマーは極微量であるため、加熱によって蒸発し、微粒子積層膜中から除去されても光学機能や機械特性は保たれる。
また、微粒子積層膜の形成のためには電解質ポリマーは静電的な結合材として必要であるが、微粒子積層膜の形成後では微粒子積層膜は微粒子間引力により保持されるために電解質ポリマーは存在してもよいし、存在しなくてもよい。
加熱時間は、1分〜1時間程度であることが好ましい。もちろん、加熱温度と加熱時間との関係は、相対的なものであり、処理温度を低くした場合には、その分長い時間にわたって処理を続けることで目的を達成できる。
また、加熱処理の雰囲気に制限はなく、空気中のような酸化性の雰囲気、窒素中のような不活性な雰囲気、あるいは水素などを含む還元性雰囲気であっても差し支えない。加熱方法にも制限はなく、オーブン、誘導加熱装置、赤外線ヒータのような加熱手段ないしは加熱装置を用いて行うことができる。
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれら実施例によって何等制限されるものではない。
[実施例1]
1.微粒子積層膜(反射防止膜)の形成(微粒子積層膜の製膜工程)
BET法で測定した平均一次粒子径が8nmの数珠状シリカ微粒子が分散したシリカ水分散液(日産化学工業(株)製、商品名:スノーテックス(ST)OUP、シリカゾル)をpHは調整せずに濃度を0.01重量%に調整した微粒子分散液として用い、電解質ポリマーとしてポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(PDDA、アルドリッチ社製)を0.001重量%、pH10に調整した水溶液を電解質ポリマー水溶液として用いた。
基材であるマイクロレンズアレイシート、シリコンウエハ(SUMCO社製、6PW−A1、6インチΦ、625μm厚)、ガラス基材(松浪硝子社製、商品名:S1111、25mm×75mm×0.7mm厚、波長550nmでの屈折率は1.54)のそれぞれに、電解質ポリマー水溶液を滴下して1分間経過後にリンス用の超純水を1分間シャワーする工程(ア)、微粒子分散液を滴下して1分間経過後にリンス用の超純水を1分間シャワーする工程(イ)をこの順に施した。工程(ア)1回と工程(イ)1回を順に行うことを1サイクルとし、このサイクル数を微粒子交互積層回数とした。微粒子交互積層回数を21回行い、微細構造体又は固体基材表面に微粒子積層膜(反射防止膜)を形成した。
微粒子積層膜中における微粒子に対する電解質ポリマーの質量比の測定方法を以下に示す。
水晶振動子を電解質ポリマー水溶液に1分間浸漬し、リンス用の超純水に3分間浸漬する工程(ア’)、微粒子分散液に1分間浸漬した後、リンス用の超純水に3分間浸漬する工程(イ’)をこの順に施した。工程(ア’)での水晶振動子の共振周波数をモニタすることで、水晶振動子上及び微細構造体又は固体基材上に残る電解質ポリマーの質量による周波数減少分(ΔF)を評価することができる。このΔFの評価を微粒子交互積層回数だけ繰り返し、平均化することで、電解質ポリマーの質量による周波数減少分の平均値(ΔF av)を求めることができる。工程(イ’)における水晶振動子の共振周波数をモニタすることで、水晶振動子上及び微細構造体又は固体基材上に残る微粒子の質量による周波数減少分(ΔF)を評価することができる。
このΔFの評価を微粒子交互積層回数だけ繰り返し、平均化することで、微粒子の質量による周波数減少分の平均値(ΔF av)を求めることができる。ΔF avとΔF avの比として、微粒子積層膜中の微粒子に対する電解質ポリマーの質量比(me/p)を求めることができる(式(9)参照)。
水晶振動子の共振周波数変化から評価した微粒子積層膜中の微粒子に対する電解質ポリマーの質量比(me/p)は3%であった。これより、微粒子積層膜はほぼ微粒子のみから構成されていることがわかる。
2.微粒子積層膜の透明性の評価
前記で得た微粒子積層膜が形成されたガラス基板のヘイズ値を、濁度計(日本電色工業社製)でJIS K 7361−1−1997に準拠して測定した結果、0.4%であった。ガラス基板のみのヘイズ値を同様に測定した結果、0.1%であった。微粒子積層膜が形成された微細構造体又は固体基材のヘイズ値から、微細構造体又は固体基材のみのヘイズ値を差し引くことで微粒子積層膜の濁度を求めた。その結果、微粒子積層膜の濁度は0.3%であり、微粒子積層膜の透明性が非常に高いことがわかった。
3.微粒子積層膜の反射防止性能の評価
微粒子積層膜が形成されたガラス基板の透過スペクトルを可視紫外分光光度計(日本分光(株)製、商品名:V−570)で測定したところ、波長400〜800nmでの最大の透過率は94.4%であった。
また、微粒子積層膜が形成されたガラス基板の反対面に黒い粘着テープ(ニチバン(株)製、商品名:VT−196)を気泡が残らないように貼り付け、微粒子積層膜が形成された片面の表面反射率のスペクトルを可視紫外分光光度計(日本分光(株)製、商品名:V−570)で測定した。微粒子積層膜が形成されたガラス基板の波長400〜800nmでの最小の表面反射率は0.8%であった。
ガラス基板の透過率は91%、表面反射率は4.5%であることから、優れた特性の反射防止膜が形成され、透過率も向上させることがわかった。
4.微粒子積層膜の屈折率の評価
シリコンウエハ上の微粒子積層膜の屈折率と膜厚を自動エリプソメータ(ファイブラボ(株)製、商品名:MARY−102、レーザー波長632.8nm)で評価した結果、微粒子積層膜の屈折率は1.138、厚さは121nmであった。
[実施例2]
0.3重量%に調整した微粒子分散液として用いたこと、微粒子交互積層回数を6回としたこと以外は実施例1に準じて基材上に微粒子積層膜(反射防止膜)を作製した。
微粒子積層膜が形成されたガラス基板の透過スペクトルを実施例1と同様に測定したところ、波長400〜800nmでの最大の透過率は95.1%であった。
実施例1と同様に微粒子積層膜が形成されたガラス基板の表面反射スペクトルを測定したところ、波長400〜800nmでの最小の表面反射率は0.1%であった。
また、実施例1と同様に評価した微粒子積層膜の屈折率は1.204、厚さは114nmであり、実施例1と同様に評価した微粒子積層膜の濁度は0.3%であり、実施例1と同様に評価した微粒子積層膜中の微粒子に対する電解質ポリマーの質量比(me/p)は3%であった。
[実施例3]
1重量%に調整した微粒子分散液として用いたこと、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(PDDA)を0.1重量%、pH10に調整した電解質ポリマー水溶液を用いたこと、微粒子交互積層回数を2回としたこと以外は実施例1に準じて基材上に微粒子積層膜(反射防止膜)を作製した。
微粒子積層膜が形成されたガラス基板の透過スペクトルを実施例1と同様に測定したところ、波長400〜800nmでの最大の透過率は95.0%であった。
実施例1と同様に微粒子積層膜が形成されたガラス基板の表面反射スペクトルを測定したところ、波長400〜800nmでの最小の表面反射率は0.2%であった。
また、実施例1と同様に評価した微粒子積層膜の屈折率は1.199、厚さは115nmであり、実施例1と同様に評価した微粒子積層膜の濁度は0.3%であり、実施例1と同様に評価した微粒子積層膜中の微粒子に対する電解質ポリマーの質量比(me/p)は3%であった。
[実施例4]
0.1重量%に調整した微粒子分散液として用いたこと、ポリエチレンイミン(PEI)を0.01重量%に調整し、pHを調整しない電解質ポリマー水溶液を用いたこと、微粒子交互積層回数を3回としたこと以外は実施例1に準じて基材上に微粒子積層膜(反射防止膜)を作製した。
微粒子積層膜が形成されたガラス基板の透過スペクトルを実施例1と同様に測定したところ、波長400〜800nmでの最大の透過率は94.7%であった。
実施例1と同様に微粒子積層膜が形成されたガラス基板の表面反射スペクトルを測定したところ、波長400〜800nmでの最小の表面反射率は0.5%であった。
また、実施例1と同様に評価した微粒子積層膜の屈折率は1.167、厚さは118nmであり、実施例1と同様に評価した微粒子積層膜の濁度は0.3%であり、実施例1と同様に評価した微粒子積層膜中の微粒子に対する電解質ポリマーの質量比(me/p)は3%であった。
[実施例5]
BET法で測定した平均一次粒子径が15nmの数珠状シリカ微粒子が分散したシリカ水分散液(日産化学工業(株)製、商品名:スノーテックス(ST)PSS、シリカゾル)をpHは調整せずに濃度を10重量%に調整した微粒子分散液として用いたこと、ポリエチレンイミン(PEI)を1重量%に調整し、pHを調整しない電解質ポリマー水溶液を用いたこと、微粒子交互積層回数を10回としたこと以外は実施例1に準じて基材上に微粒子積層膜を作製した。
微粒子積層膜が形成されたガラス基板の透過スペクトルを実施例1と同様に測定したところ、波長400〜800nmでの最大の透過率は95.0%であった。
実施例1と同様に微粒子積層膜が形成されたガラス基板の表面反射スペクトルを測定したところ、波長400〜800nmでの最小の表面反射率は0.2%であった。
また、実施例1と同様に評価した微粒子積層膜の屈折率は1.195、厚さは115nmであり、実施例1と同様に評価した微粒子積層膜の濁度は0.3%であり、実施例1と同様に評価した微粒子積層膜中の微粒子に対する電解質ポリマーの質量比(me/p)は3%であった。
[実施例6]
BET法で測定した平均一次粒子径が20nmの数珠状シリカ微粒子が分散したシリカ水分散液(日産化学工業(株)製、商品名:スノーテックス(ST)PSM、シリカゾル)をpHは調整せずに濃度を1重量%に調整した微粒子分散液として用いたこと、ポリエチレンイミン(PEI)を0.1重量%に調整し、pHを調整しない電解質ポリマー水溶液を用いたこと、微粒子交互積層回数を15回としたこと以外は実施例1に準じて基材上に微粒子積層膜を作製した。
微粒子積層膜が形成されたガラス基板の透過スペクトルを実施例1と同様に測定したところ、波長400〜800nmでの最大の透過率は94.9%であった。
実施例1と同様に微粒子積層膜が形成されたガラス基板の表面反射スペクトルを測定したところ、波長400〜800nmでの最小の表面反射率は0.3%であった。
また、実施例1と同様に評価した微粒子積層膜の屈折率は1.180、厚さは117nmであり、実施例1と同様に評価した微粒子積層膜の濁度は0.3%であり、実施例1と同様に評価した微粒子積層膜中の微粒子に対する電解質ポリマーの質量比(me/p)は3%であった。
[実施例7]
基材に微細構造体であるマイクロレンズ(光硬化性樹脂、幅9μm、高さ1.5μm)を有するマイクロレンズアレイシートを用いたこと以外は実施例1に準じて基材上に微粒子積層膜を作製した。なお、マイクロレンズアレイシートの一部に保護テープを貼り、微粒積層膜が形成されない部分を設けた。
走査型電子顕微鏡(フィリップス社製、商品名:XL30ESEM)で、微粒子積層膜が形成したマイクロレンズアレイシートを、シート面の法線方向から75°の角度から観察し、微粒子積層膜が形成したマイクロレンズの形状を観察した。
また、同様に微粒子積層膜が形成していない部分のマイクロレンズの形状も観察した。微粒子積層膜が形成したマイクロレンズの観察像の輪郭を図4に破線で示す。
また、微粒子積層膜が形成していないマイクロレンズの観察像の輪郭も図4に実線で示す。微粒子積層膜の厚みが0.1μmと仮定して、微粒子積層膜が形成したマイクロレンズの輪郭を微粒子積層膜が形成していないマイクロレンズの輪郭の上に0.1μmずらして記した。その結果、マイクロレンズ上の微粒子積層膜は、マイクロレンズの法線方向に対する厚みが均一であることが確認でき、微粒子積層膜がマイクロレンズの形状に良好に追従していることが確認できた。
[実施例8]
基材に微細構造体であるマイクロレンズ(光硬化性樹脂、幅9μm、高さ1.5μm)を有するマイクロレンズアレイシートを用いたこと以外は実施例4に準じて基材上に微粒子積層膜(反射防止膜)を作製した。なお、マイクロレンズアレイシートの一部に保護テープを貼り、微粒積層膜が形成されない部分を設けた。
実施例7と同様に微粒子積層膜が形成したマイクロレンズと微粒子積層膜が形成していないマイクロレンズの走査型電子顕微鏡観察し、観察像の輪郭の比較を行った結果、微粒子積層膜はマイクロレンズの法線方向に対する厚みが均一であり、微粒子積層膜の形状追従性は良好であることが確認できた。
[実施例9]
基材に微細構造体であるマイクロレンズ(光硬化性樹脂、幅9μm、高さ1.5μm)を有するマイクロレンズアレイシートを用いたこと以外は実施例6に準じて基材上に微粒子積層膜(反射防止膜)を作製した。なお、マイクロレンズアレイシートの一部に保護テープを貼り、微粒積層膜が形成されない部分を設けた。
実施例7と同様に微粒子積層膜が形成したマイクロレンズと微粒子積層膜が形成していないマイクロレンズの走査型電子顕微鏡観察し、観察像の輪郭の比較を行った結果、微粒子積層膜はマイクロレンズの法線方向に対する厚みが均一であり、微粒子積層膜の形状追従性は良好であることが確認できた。
[実施例10]
透過型電子顕微鏡法で測定した平均一次粒子径が40nmの中空状シリカ微粒子が分散したシリカイソプロパノール分散液(触媒化成工業(株)製、商品名:スルーリア、シリカゾル)をpHは調整せずに超純水での希釈により濃度を0.1重量%に調整した微粒子分散液として用いたこと、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(PDDA)を0.3重量%、pH10に調整した電解質ポリマー水溶液を用いたこと、及び微粒子交互積層回数を5回としたこと以外は実施例1に準じて基材上に微粒子積層膜(反射防止膜)を作製した。
微粒子積層膜が形成されたガラス基板の透過スペクトルを実施例1と同様に測定したところ、波長400〜800nmでの最大の透過率は94.9%であった。
実施例1と同様に微粒子積層膜が形成されたガラス基板の表面反射スペクトルを測定したところ、波長400〜800nmでの最小の表面反射率は0.3%であった。
また、実施例1と同様に評価した微粒子積層膜の屈折率は1.180、厚さは117nmであり、実施例1と同様に評価した微粒子積層膜の濁度は0.3%であり、実施例1と同様に評価した微粒子積層膜中の微粒子に対する電解質ポリマーの質量比(me/p)は3%であった。
[比較例1]
BET法で測定した平均一次粒子径が15nmの球状シリカ微粒子が分散したシリカ水分散液(日産化学工業(株)製、商品名:スノーテックス(ST)O、シリカゾル)を0.1重量%に調整した微粒子分散液として用いたこと、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(PDDA)を0.1重量%、pH10に調整した電解質ポリマー水溶液に用いたこと、微粒子交互積層回数を3回としたこと以外は実施例1に準じて基材上に微粒子積層膜を作製した。
微粒子積層膜が形成されたガラス基板の透過スペクトルを実施例1と同様に測定したところ、波長400〜800nmでの最大の透過率は95.1%であった。
実施例1と同様に微粒子積層膜が形成されたガラス基板の表面反射スペクトルを測定したところ、波長400〜800nmでの最小の表面反射率は0.1%であった。
また、実施例1と同様に評価した微粒子積層膜の屈折率は1.268、厚さは108nmであり、実施例1と同様に評価した微粒子積層膜の濁度は0.3%であり、実施例1と同様に評価した微粒子積層膜中の微粒子に対する電解質ポリマーの質量比(me/p)は3%であった。
[比較例2]
BET法で測定した平均一次粒子径が50nmの球状シリカ微粒子が分散したシリカ水分散液(日産化学工業(株)製、商品名:スノーテックス(ST)XL、シリカゾル)を1重量%に調整した微粒子分散液として用いたこと、ポリエチレンイミン(PEI)を0.1重量%に調整し、pHを調整しない電解質ポリマー水溶液を用いたこと、微粒子交互積層回数を23回としたこと以外は実施例1に準じて基材上に微粒子積層膜を作製した。
微粒子積層膜が形成されたガラス基板の透過スペクトルを実施例1と同様に測定したところ、波長400〜800nmでの最大の透過率は94.8%であった。
実施例1と同様に微粒子積層膜が形成されたガラス基板の表面反射スペクトルを測定したところ、波長400〜800nmでの最小の表面反射率は0.1%であった。
また、実施例1と同様に評価した微粒子積層膜の屈折率は1.223、厚さは112nmであり、実施例1と同様に評価した微粒子積層膜の濁度は0.6%であり、実施例1と同様に評価した微粒子積層膜中の微粒子に対する電解質ポリマーの質量比(me/p)は3%であった。
[比較例3]
BET法で測定した平均一次粒子径が85nmの球状シリカ微粒子が分散したシリカ水分散液(日産化学工業(株)製、商品名:スノーテックス(ST)ZL、シリカゾル)を1重量%に調整した微粒子分散液として用いたこと、ポリエチレンイミン(PEI)を1重量%に調整し、pHを調整しない電解質ポリマー水溶液を用いたこと、微粒子交互積層回数を16回としたこと以外は実施例1に準じて基材上に微粒子積層膜を作製した。
微粒子積層膜が形成されたガラス基板の透過スペクトルを実施例1と同様に測定したところ、波長400〜800nmでの最大の透過率は93.6%であった。
実施例1と同様に微粒子積層膜が形成されたガラス基板の表面反射スペクトルを測定したところ、波長400〜800nmでの最小の表面反射率は0.1%であった。
また、実施例1と同様に評価した微粒子積層膜の屈折率は1.241、厚さは111nmであり、実施例1と同様に評価した微粒子積層膜の濁度は1.8%であり、実施例1と同様に評価した微粒子積層膜中の微粒子に対する電解質ポリマーの質量比(me/p)は3%であった。
[比較例4]
BET法で測定した平均一次粒子径が15nmの球状シリカ微粒子が分散したシリカ微粒子メチルエチルケトン分散液(日産化学工業(株)製、商品名:MEK−ST、オルガノシリカゾル)を1.5重量%に調整した微粒子分散液を用いた。
基材である上記のマイクロレンズアレイシート、シリコンウエハ(SUMCO社製6PW−A1、6インチΦ、625μm厚)、ガラス基材(松浪硝子社製、S1111、25mm×75mm×0.7mm厚、波長550nmでの屈折率は1.54)に微粒子分散液を滴下し、回転数1000min−1で展開及び乾燥し、基材上に微粒子積層膜を形成した。
微粒子積層膜が形成されたガラス基板の透過スペクトルを実施例1と同様に測定したところ、波長400〜800nmでの最大の透過率は94.8%であった。
実施例1と同様に微粒子積層膜が形成されたガラス基板の表面反射スペクトルを測定したところ、波長400〜800nmでの最小の表面反射率は0.4%であった。
また、実施例1と同様に評価した微粒子積層膜の屈折率は1.315、厚さは105nmであり、実施例1と同様に評価した微粒子積層膜の濁度は0.3%であった。
[比較例5]
BET法で測定した平均一次粒子径が8nmの数珠状シリカ微粒子が分散したシリカ微粒子イソプロパノール分散液(日産化学工業(株)製、商品名:IPA−ST−UP、オルガノシリカゾル)を1.5重量%に調整した微粒子分散液を用いたこと以外は比較例4に準じて基材上に微粒子積層膜を作製した。
微粒子積層膜が形成されたガラス基板の透過スペクトルを実施例1と同様に測定したところ、波長400〜800nmでの最大の透過率は95.1%であった。
実施例1と同様に微粒子積層膜が形成されたガラス基板の表面反射スペクトルを測定したところ、波長400〜800nmでの最小の表面反射率は0.1%であった。
また、実施例1と同様に評価した微粒子積層膜の屈折率は1.232、厚さは112nmであり、実施例1と同様に評価した微粒子積層膜の濁度は0.3%であった。
[比較例6]
基材に微細構造体であるマイクロレンズ(光硬化性樹脂、幅9μm、高さ1.5μm)を有するマイクロレンズアレイシートを用いたこと以外は比較例1に準じて基材上に微粒子積層膜を作製した。なお、マイクロレンズアレイシートの一部に保護テープを貼り、微粒積層膜が形成されない部分を設けた。
実施例7と同様に微粒子積層膜が形成したマイクロレンズと微粒子積層膜が形成していないマイクロレンズの走査型電子顕微鏡観察し、観察像の輪郭の比較を行った結果、微粒子積層膜はマイクロレンズの法線方向に対する厚みが均一であり、微粒子積層膜の形状追従性は良好であることが確認できた。
[比較例7]
基材に微細構造体であるマイクロレンズ(光硬化性樹脂、幅9μm、高さ1.5μm)を有するマイクロレンズアレイシートを用いたこと以外は比較例5に準じて基材上に微粒子積層膜を作製した。なお、マイクロレンズアレイシートの一部に保護テープを貼り、微粒積層膜が形成されない部分を設けた。
実施例7と同様に微粒子積層膜が形成したマイクロレンズと微粒子積層膜が形成していないマイクロレンズの走査型電子顕微鏡観察し、観察像の輪郭の比較を行った結果、図5に示すように微粒子積層膜はマイクロレンズの法線方向に対する厚みが不均一であり、マイクロレンズの谷部分に近づくほど厚くなった。これにより、微粒子積層膜がマイクロレンズの形状を変化させることがわかり、集光性能を低下させることが推察される。
以上の実施例及び比較例の結果を表1、表2に示す。
Figure 2009175671
Figure 2009175671
表1、表2より、実施例1〜6、10では、微粒子積層膜の屈折率を1.138〜1.204に低下でき、それらの屈折率で反射防止機能が得られることがわかる。また、例えば実施例4の微粒子積層膜は、汚染等により屈折率が0.15増加しても最小表面反射率0.5%の反射防止機能を維持できることがわかる(図2参照)。これに対して比較例1〜5では、屈折率が1.223〜1.315の範囲にあり、現行における最小表面反射率は実施例よりもむしろ低いが、汚染などにより屈折率が増加した場合、図2に示すように表面反射率が増加し反射防止機能を維持できなくなるという問題がある。
数珠状に連なった微粒子の状態と、一次粒子の粒子径を示す模式図である。 反射防止膜の屈折率と反射防止膜付き固体基材(屈折率1.54)の表面反射率との関係を示すグラフである。 水晶振動子上に電解質ポリマーが吸着し、リンスされ、次いで微粒子が吸着し、リンスされる時の水晶振動子の共振周波数の変化を示すグラフである。 実施例7の微粒子積層膜が形成したマイクロレンズをSEMで観察した像の輪郭(図中破線)と微粒子積層膜を形成する前のマイクロレンズをSEM観察した像の輪郭(図中実線)を上下に0.1μmずらして並べた図である。 比較例7の微粒子積層膜が形成したマイクロレンズをSEMで観察した像の輪郭(図中破線)と微粒子積層膜を形成する前のマイクロレンズをSEM観察した像の輪郭(図中実線)を上下に0.1μmずらして並べた図である。

Claims (12)

  1. 微細構造体表面に電解質ポリマー及び微粒子を交互に積層させて形成される微粒子積層膜からなり、該微粒子積層膜の屈折率が1.10以上1.21以下であることを特徴とする微細構造体用反射防止膜。
  2. 前記微粒子積層膜が、微細構造体表面に電解質ポリマー及び微粒子を交互に吸着させて形成される請求項1に記載の微細構造体用反射防止膜。
  3. 前記微粒子積層膜中の微粒子が、多孔質シリカ微粒子、中空状シリカ微粒子、及び一次粒子がつながった形状のシリカ微粒子のうちの1種以上を含む請求項1または2に記載の微細構造体用反射防止膜。
  4. 前記微粒子積層膜中の微粒子の平均一次粒子径が、1nm以上40nm以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の微細構造体用反射防止膜。
  5. 前記微粒子積層膜がさらに電解質ポリマーを含み、該電解質ポリマーの含有率が微粒子に対して0.01質量%以上10質量%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の微細構造体用反射防止膜。
  6. 前記微細構造が、レンチキュラーレンズ、フレネルレンズ、プリズム、マイクロレンズアレイ、導光性微細構造、光拡散性微細構造、及びホログラムのうちのいずれかを得るための微細構造であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の微細構造体用反射防止膜。
  7. 微細構造体表面に形成される、屈折率が1.10以上1.21以下の微粒子体積膜からなる微細構造体用反射防止膜の製造方法であって、
    (i)微細構造体表面に電解質ポリマー溶液(A液)又は微粒子分散液(B液)を接触させる工程、次いでリンスする工程、
    (ii)前記A液を接触させた後の微細構造体表面にA液の電解質ポリマーと反対電荷を有する微粒子の分散液を接触させる工程、又は前記B液を接触させた後の微細構造体表面にB液の微粒子と反対電荷を有する電解質ポリマーの溶液を接触させる工程、次いでリンスする工程、及び
    (iii)(i)と(ii)を交互に繰り返す工程、
    を含むことを特徴とする微細構造体用反射防止膜の製造方法。
  8. 前記微粒子分散液の微粒子が、多孔質シリカ微粒子、中空状シリカ微粒子、及び一次粒子がつながった形状のシリカ微粒子のうちの1種以上を含むことを特徴とする請求項7に記載の微細構造体用反射防止膜の製造方法。
  9. 前記微粒子分散液の微粒子の平均一次粒子径が、1nm以上40nm以下であることを特徴とする請求項7又は8に記載の微細構造体用反射防止膜の製造方法。
  10. 前記微粒子積層膜を、微粒子に対する電解質ポリマーの含有率が0.01質量%以上10質量%以下となるように形成することを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の微細構造体用反射防止膜の製造方法。
  11. 微細構造体表面に微粒子及び電解質ポリマーを交互に吸着させて微粒子積層膜を形成することを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載の微細構造体用反射防止膜の製造方法。
  12. 前記微細構造が、レンチキュラーレンズ、フレネルレンズ、プリズム、マイクロレンズアレイ、導光性微細構造、光拡散性微細構造、及びホログラムのうちのいずれかを得るための微細構造であることを特徴とする請求項7〜11のいずれか1項に記載の微細構造体用反射防止膜の製造方法。
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