JP5358729B2 - 低反射性基体の製造方法及び基体の反射率低減方法 - Google Patents

低反射性基体の製造方法及び基体の反射率低減方法 Download PDF

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Description

本発明は反射率を低減し光透過量を増大させた低反射性基体、及び、それを用いた太陽電池モジュール、並びに、低反射性基体の製造方法に関する。
太陽光エネルギーを直接電気エネルギーに変換する太陽電池は、近年、特に地球環境問題の観点から次世代のエネルギー源としての期待が急激に高まっている。太陽電池としては、化合物半導体または有機材料を使ったものなど、様々な種類があるが、現在、主流となっているのは、シリコンを材料に用いたものである。太陽光発電システムが急速に普及するにつれ、太陽電池セルの高効率化が求められ、太陽電池モジュールにおいても、太陽電池セル受光面に配置される光透過性基体表面での光反射を低減し太陽電池セルへの光透過率を向上させることは非常に有効な手段である。これに対して、特許文献1(特開平11−179835号公報)にはフッ素樹脂系フィルムの表面に酸化チタン微粒子をバインダー、例えば二酸化珪素で担持させた表面保護材を提案している。フィルムを接着剤で貼り付ける必要があり、特に受光面積の大きい太陽電池モジュール等においてはとても煩雑な作業が加わり生産性の点で困難であった。
また、特許文献2(特開昭50−70040号公報)には、反射率低減のためにレンズ基体の表面にエッチング処理を行って所定のパターンを有する微細な凹凸を形成することが記載されているが、エッチング処理にレーザー光干渉を利用するために処理装置が大掛かりとなり、特に受光面積の大きい太陽電池モジュール等においては生産性の点で困難であった。
特開平11−179835号公報 特開昭50−70040号公報
本発明は、上記の従来技術に鑑みて為されたものであり、基体表面での光反射を低減し、太陽電池セル等の光透過率を向上させる低反射性基体を提供することを目的としている。また、本発明は、上記の低反射性基体を用いた太陽電池モジュールを提供することを目的としている。
本発明の目的は、銅及びジルコニウム含有アナターゼ型酸化チタン、並びに、ケイ素化合物を含み、平均厚さ50nm〜300nm、最大高さ30nm以下の反射率低減多孔質膜を表面に備える低反射性基体であって、前記アナターゼ型酸化チタンが、アモルファス型酸化チタンを加熱して得られたアナターゼ型酸化チタンと、アモルファス型酸化チタンを加熱して得られたものではないアナターゼ型酸化チタンの混合物からなることを特徴とする低反射性基体によって達成される。
本発明の低反射性基体は、熱分解性有機化合物、有機ケイ素化合物及び/又は無機ケイ素化合物、並びに、銅及びジルコニウム含有アモルファス型過酸化チタン及びアナターゼ型過酸化チタンの混合物を含む反射率低減剤を基体の表面に塗布し、加熱することにより得られる、平均厚さ50nm〜300nmであり、最大高さ30nm以下の反射率低減多孔質膜を表面に備える低反射性基体であってもよいが、この場合、反射率低減多孔質膜の具体的な製造方法にかかわらず、前記反射率低減多孔質膜に相当する表面層を備える基体は全て本発明の低反射性基体の範疇に含まれる。
前記反射率低減多孔質膜の平均厚さは130nm〜180nmであることが好ましい。
前記低反射性基体は太陽電池モジュールに好適に使用することができる。
本発明の低反射性基体は、熱分解性有機化合物、有機ケイ素化合物及び/又は無機ケイ素化合物、並びに、銅及びジルコニウム含有アモルファス型過酸化チタン及びアナターゼ型過酸化チタンの混合物を含む反射率低減剤を基体の表面に塗布し、加熱することにより製造することができる。
前記熱分解性有機化合物は糖又は糖アルコールであることが好ましい。
前記基体の少なくとも一部はガラス製であることが好ましい。
前記加熱は400℃以上の温度で行うことが好ましい。
本発明によれば、基体表面での光反射を低減し、太陽電池セル等の光透過率を向上させる低反射性基体を提供することができる。したがって、本発明の低反射性基体を備える太陽電池モジュールは高い発電効率をもたらすことができる。特に、本発明では、銅及びジルコニウム含有アモルファス型過酸化チタンに加えてアナターゼ型過酸化チタンを含む反射率低減剤を使用して、アモルファス型酸化チタンを加熱して得られたアナターゼ型酸化チタンと、アモルファス型酸化チタンを加熱して得られたものではないアナターゼ型酸化チタンの混合物を含む反射率低減膜を基体上に形成するので、基体の光透過性を更に高めることができる。
また、反射率低減多孔質膜の平均厚さが130nm〜180nmの場合は、光透過性を更に高めることができる。
金属ドープ過酸化チタンの第1の製造方法の一例の概略を示す図 複合体による正電荷付与機構付与機構を示す概念図 正電荷を帯びる基体表面から汚染物質が除去される機構を示す概念図 複合体による正電荷及び負電荷付与機構の一例を示す概念図 複合体による正電荷及び負電荷付与機構の他の例を示す概念図 正電荷及び負電荷を帯びる基体表面から汚染物質が除去される機構を示す概念図 加熱処理後の実施例1〜2及び比較例2の表面の様子を示す斜視図 加熱処理後の実施例1〜2及び比較例2の表面の様子を示す断面図
本発明では、熱分解性有機化合物、有機ケイ素化合物及び/又は無機ケイ素化合物、並びに、銅とジルコニウム含有アモルファス型過酸化チタン及びアナターゼ型過酸化チタンの混合物を含む組成物である反射率低減剤を基体の表面に塗布して加熱処理することによって、低反射性基体を製造する。
なお、本発明において「光」とは、紫外線、可視光線、赤外線等の電磁波を意味しており、ここで「可視光線」とは380nmから780nmの波長を有する電磁波を意味する。
本発明において使用される基体としては、各種の光透過性基体を使用することができる。基体の材質としては、特に限定されるものではなく、親水性又は疎水性の無機系基体及び有機系基体、或いは、それらの組み合わせを使用することができる。
無機系基体としては、例えば、ソーダライムガラス、石英ガラス、耐熱ガラス等の透明若しくは半透明ガラス、又は、インジウムスズ酸化物(ITO)等の金属酸化物からなる基体が挙げられる。また、有機系基体としては、例えば、プラスチックからなる基体が挙げられる。プラスチックをより具体的に例示すると、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ボリカーボネート、アクリル樹脂、PET等のポリエステル、ポリアミド、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂、及び、ポリウレタン、メラミン樹脂、尿素樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。耐熱性の点では無機系基体が好ましく、特に、少なくとも一部若しくは好ましくは全部がガラス製の基体が好ましい。なお、有機系基体の材質としては熱硬化性樹脂が好ましい。
基体の形状は特に限定されるものではなく、立方体、直方体、球形、紡錘形、シート形、フィルム形、繊維状等の任意の形状をとることができる。基体表面はコロナ放電処理又は紫外線照射処理等によって親水性化又は疎水性化されていてもよい。基体表面は平面及び/又は曲面を備えていてもよく、また、エンボス加工されていてもよいが、平滑がより好ましい。
本発明において使用される反射率低減剤は、少なくとも、熱分解性有機化合物、有機ケイ素化合物及び/又は無機ケイ素化合物、並びに、銅及びジルコニウム含有アモルファス型過酸化チタン及びアナターゼ型過酸化チタンの混合物を含む液状の組成物である。
熱分解性有機化合物は、加熱により分解する有機化合物であれば特に限定されないが、加熱により分解してガスを放出するものが好ましい。加熱温度としては、400℃以上が好ましく、450℃以上がより好ましく、500℃以上が更により好ましい。熱分解性有機化合物としては、例えば、糖又は糖アルコール、水溶性有機高分子、及び、これらの混合物が挙げられるが、糖又は糖アルコールが好ましく、糖が更に好ましい。
ここで、「糖」とは、多数のヒドロキシ基とカルボニル基を有する炭水化物であり、単糖類、二糖類、オリゴ糖類、多糖類等が挙げられる。単糖類としては、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、リボース、エリトロース等が挙げられる。二糖類としては、マルトース、ラクトース、スクロース(ショ糖)等が挙げられる。オリゴ糖類としては、フルクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖等が挙げられる。多糖類としては、デンプン、セルロース、ペクチン等が挙げられる。これらは単独で使用されてもよく、混合物であってもよい。使用性の観点からは、糖としては高水溶性のものが好ましい。したがって、本発明においては、単糖類及び二糖類からなる群から選択される1つ又は2種以上の混合物が好適に使用される。
「糖アルコール」とは、糖のカルボニル基が還元されたものである。糖アルコールとしては、具体的には、エリスリトール、トレイトール、アラビニトール、キシリトール、リビトール、マンニトール、ソルビトール、マルチトイノシトール等が挙げられる。これらは単独で使用されてもよく、また、二種類以上の混合物として使用されてもよい。
「水溶性有機高分子」としては、水溶性である限り任意の熱分解性有機高分子を使用することができるが、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体等のポリエーテル;ポリビニルアルコール;ポリアクリル酸(アルカリ金属塩、アンモニウム塩等の塩を含む)、ポリメタクリル酸(アルカリ金属塩、アンモニウム塩等の塩を含む)、ポリアクリル酸−ポリメタクリル酸(アルカリ金属塩、アンモニウム塩等の塩を含む)共重合体;ポリアクリルアミド;ポリビニルピロリドン等を挙げることができる。
前記水溶性有機高分子は単独で使用してもよいが、糖及び/又は糖アルコールの溶解助剤として機能することができるので、糖又は糖アルコールと共に配合することができる。これにより糖又は糖アルコールを反射率低減剤に良好に溶解させることができる。
前記組成物中の熱分解性有機化合物の濃度は、基体の表面処理の程度に応じて適宜変更することができるが、典型的には0.01〜15重量%であり、好ましくは0.05〜1.0重量%であり、より好ましくは0.1〜5.0重量%である。
本発明で使用される有機ケイ素化合物としては、例えば、各種の有機シラン化合物、並びに、シリコーンオイル、シリコーンゴム及びシリコーンレジン等のシリコーンが挙げられる。これらは単独で使用されてもよく、混合物であってもよい。シリコーンとしては、分子中にアルキルシリケート構造若しくはポリエーテル構造を有するもの、又は、アルキルシリケート構造及びポリエーテル構造の両方を有するものが好ましい。ここで、アルキルシリケート構造とは、シロキサン骨格のケイ素原子にアルキル基が結合した構造をさす。一方、ポリエーテル構造とは、エーテル結合を有する構造をさし、これらに限定されるものではないが、具体的には、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリテトラメチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイド―ポリプロピレンオキサイドブロック共重合体、ポリエチレンポリテトラメチレングリコール共重合体、ポリテトラメチレングリコール―ポリプロピレンオキサイド共重合体等の分子構造が挙げられる。そのなかでも、ポリエチレンオキサイド―ポリプロピレンオキサイドブロック共重合体は、そのブロック度及び分子量により、基体表面における濡れ性を制御できる観点から好適である。
有機ケイ素化合物としては、分子中にアルキルシリケート構造及びポリエーテル構造の双方を有するシリコーンが特に好ましい。具体的には、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン等のポリエーテル変性シリコーンが好適である。これは公知の方法で製造することができ、例えば、特開平4―242499号公報の合成例1,2,3,4や、特開平9−165318号公報の参考例記載の方法等により製造することができる。特に、両末端メタリルポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイドブロック共重合体とジヒドロポリジメチルシロキサンとを反応させて得られるポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイドブロック共重合体変性ポリジメチルシロキサンが好適である。具体的には、TSF4445、TSF4446(GE東芝シリコーン(株))、KPシリーズ(信越化学工業(株))、並びに、SH200、SH3746M、DC3PA、ST869A(東レ・ダウコーニング(株))等を用いることができる。
前記組成物中の有機ケイ素化合物の濃度は、基体の表面処理の程度に応じて適宜変更することができるが、典型的には0.01〜5.0重量%であり、好ましくは0.05〜2.0重量%であり、より好ましくは0.1〜1.0重量%である。
本発明で使用される無機ケイ素化合物としては、シリカ(二酸化ケイ素)、窒化ケイ素、炭化ケイ素、シラン等が挙げられるが、シリカが好ましい。シリカとしては、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ、沈降シリカ等を使用することができるがコロイダルシリカが好ましい。市販のコロイダルシリカとしては、例えば、PL−1,PL−3(扶桑化学工業(株))、ポリシリケートとして、WM−12(多摩化学工業(株)製)、メチルシリケート51(コルコート(株)製)等を用いることができる。
前記組成物中の無機ケイ素化合物の濃度は、基体の表面処理の程度に応じて適宜変更することができるが、典型的には0.01〜95重量%であり、好ましくは0.1〜90重量%であり、より好ましくは10〜80重量%である。
本発明で使用される、銅及びジルコニウム含有アモルファス型過酸化チタンは、銅及びジルコニウムとアモルファス型過酸化チタンとの混合物である。銅がドープされたアモルファス型過酸化チタンとジルコニウムがドープされたアモルファス型過酸化チタンの混合物を使用してもよいが、銅及びジルコニウムの両方が予めドープされたアモルファス型過酸化チタンを使用することが好ましい。
銅及び/又はジルコニウム含有アモルファス型過酸化チタンの製造方法としては、一般的な二酸化チタン粉末の製造方法である塩酸法又は硫酸法をベースとする製造方法を採用してもよいし、各種の液体分散チタニア溶液の製造方法を採用してもよい。そして、銅及び/又はジルコニウムは、製造段階の如何を問わず過酸化チタンと複合化することができる。
例えば、銅及び/又はジルコニウム含有過酸化チタンの具体的な製造方法としては、以下の第1〜第3の製造方法、並びに、従来から知られているゾル−ゲル法が挙げられる。
第1の製造方法
まず、四塩化チタン等の四価チタンの化合物とアンモニア等の塩基とを反応させて、水酸化チタンを形成する。次に、この水酸化チタンを酸化剤でペルオキソ化し、超微細粒子のアモルファス型過酸化チタンを形成する。この反応は好ましくは水性媒体中で行なわれる。さらに、任意に加熱処理することによりアナターゼ型過酸化チタンに転移させることも可能である。上記の各工程のいずれかにおいて銅及び/又はジルコニウム、或いは、それらの化合物の少なくとも1つが混合される。
ペルオキソ化用酸化剤は特に限定されるものではなく、チタンのペルオキソ化物、すなわち過酸化チタンが形成できるものであれば各種のものが使用できるが、過酸化水素が好ましい。酸化剤として過酸化水素水を使用する場合は、過酸化水素の濃度は特に制限されることはないが、30〜40%のものが好適である。ペルオキソ化前には水酸化チタンを冷却することが好ましい。その際の冷却温度は1〜5℃が好ましい。
図1に上記第1の製造方法の一例を示す。図示される製造方法では、四塩化チタン水溶液とアンモニア水とを、銅及び/又はジルコニウム、或いは、それらの化合物の少なくとも1つの存在下で混合し、当該金属の水酸化物及びチタンの水酸化物の混合物を生成させる。その際の反応混合液の濃度及び温度については、特に限定されるわけではないが、希薄且つ常温とすることが好ましい。この反応は中和反応であり、反応混合液のpHは最終的に7前後に調整されることが好ましい。
このようにして得られた銅及び/又はジルコニウム、並びに、チタンの水酸化物は純水で洗浄した後、5℃前後に冷却され、次に、過酸化水素水でペルオキソ化される。これにより、前記金属を含むアモルファス型のペルオキソ基を有する過酸化チタン微細粒子を含有する水性分散液、すなわち金属ドープ過酸化チタンを含有する水性分散液を製造することができる。
第2の製造方法
四塩化チタン等の四価チタンの化合物を酸化剤でペルオキソ化し、これとアンモニア等の塩基とを反応させて超微細粒子のアモルファス型過酸化チタンを形成する。この反応は好ましくは水性媒体中で行なわれる。さらに、任意に加熱処埋することによりアナターゼ型過酸化チタンに転移させることも可能である。上記の各工程のいずれかにおいて銅及び/又はジルコニウム、或いは、それらの化合物の少なくとも1つが混合される。
第3の製造方法
四塩化チタン等の四価チタンの化合物を、酸化剤及び塩基と同時に反応させて、水酸化チタン形成とそのペルオキソ化とを同時に行い、超微細粒子のアモルファス型過酸化チタンを形成する。この反応は好ましくは水性媒体中で行なわれる。さらに、任意に加熱処埋することによりアナターゼ型過酸化チタンに転移させることも可能である。上記の各工程のいずれかにおいて銅及び/又はジルコニウム、或いは、それらの化合物の少なくとも1つが混合される。
なお、一般に、アモルファス型過酸化チタンは、加熱によりアナターゼ型過酸化チタンに転移する。第1乃至第3の製造方法において、アモルファス型過酸化チタンと、これを加熱して得られるアナターゼ型過酸化チタンとの混合物を金属ドープ過酸化チタンとして使用することもできる。
ゾル−ゲル法による製造方法
チタンアルコキシドに、水、アルコール等の溶媒、酸又は塩基触媒を混合撹拌し、チタンアルコキシドを加水分解させ、超微粒子の過酸化チタンのゾル溶液を生成する。この加水分解の前後のいずれかに、銅及び/又はジルコニウム、或いは、それらの化合物の少なくとも1つが混合される。なお、このようにして得られる過酸化チタンは、ペルオキソ基を有するアモルファス型である。
上記チタンアルコキシドとしては、一般式:Ti(OR´)(ただし、R´はアルキル基)で表示される化合物、又は上記一般式中の1つ或いは2つのアルコキシド基(OR´)がカルボキシル基或いはβ−ジカルボニル基で置換された化合物、或いは、それらの混合物が好ましい。
上記チタンアルコキシドの具体例としては、Ti(O−isoC、Ti(O−nC、Ti(O−CHCH(C)C、Ti(O−C1735、Ti(O−isoC[CO(CH)CHCOCH、Ti(O−nC[OCN(COH)、Ti(OH)[OCH(CH)COOH]、Ti(OCHCH(C)CH(OH)C、Ti(O−nC(OCOC1735)等が挙げられる。
四価チタンの化合物
金属ドープチタン酸化物の製造に使用する四価チタンの化合物としては、塩基と反応させた際に、オルトチタン酸(HTiO)とも呼称される水酸化チタンを形成できるものであれば各種のチタン化合物が使用でき、例えば四塩化チタン、硫酸チタン、硝酸チタン、燐酸チタン等のチタンの水溶性無機酸塩がある。それ以外にも蓚酸チタン等のチタンの水溶性有機酸塩も使用できる。なお、これらの各種チタン化合物の中では、水溶性に特に優れ、かつ金属ドープ過酸化チタンの分散液中にチタン以外の成分が残留しない点で、四塩化チタンが好ましい。
また、四価チタンの化合物の溶液を使用する場合は、当該溶液の濃度は、水酸化チタンのゲルが形成できる範囲であれば特に制限されるものではないが、比較的希薄な溶液が好ましい。具体的には、四価チタンの化合物の溶液濃度は、5〜0.01重量%が好ましく、0.9〜0.3重量%がより好ましい。
塩基
上記四価チタンの化合物と反応させる塩基は、四価チタンの化合物と反応して水酸化チタンを形成できるものであれば、各種のものが使用可能であり、それにはアンモニア、苛性ソーダ、炭酸ソーダ、苛性カリ等が例示できるが、アンモニアが好ましい。
また、上記の塩基の溶液を使用する場合は、当該溶液の濃度は、水酸化チタンのゲルが形成できる範囲であれば特に制限されるものではないが、比較的希薄な溶液が好ましい。具体的には、塩基溶液の濃度は、10〜0.01重量%が好ましく、1.0〜0.1重量%がより好ましい。特に、塩基溶液としてアンモニア水を使用した場合のアンモニアの濃度は、10〜0.01重量%が好ましく、1.0〜0.1重量%がより好ましい。
金属化合物
銅、ジルコニウムの化合物としては、それぞれ以下のものが例示できる。
Cu化合物:Cu(OH)、Cu(NO、CuSO、CuCl、Cu(CHCOO)
Zr化合物:Zr(OH)、ZrCl、ZrCl
第1乃至第3の製造方法で得られる水性分散液中の過酸化チタン濃度(共存する銅及び/又はジルコニウムを含む合計量)は、0.05〜15重量%が好ましく、0.1〜5重量%がより好ましい。また、銅及び/又はジルコニウムの配合量については、チタンと金属成分とのモル比で、本発明からは1:1が望ましいが、水性分散液の安定性から1:0.01〜1:0.5が好ましく、1:0.03〜1:0.1がより好ましい。
銅及び/又はジルコニウム含有アモルファス型過酸化チタンの市販品としては、例えば、銅ドープチタニア水分散液Z18−1000nA、銅及びジルコニウムドープチタニア水分散液Z18−1000SuperA(全てサスティナブル・テクノロジー(株)製)を挙げることができる。
本発明で使用される反射率低減剤には、上記のようにして得られた銅及びジルコニウム含有アモルファス型過酸化チタンと共に、アナターゼ型過酸化チタンが含まれる。アナターゼ型過酸化チタンとしては、アモルファス型過酸化チタンが加熱により転移したものであってもよいが、アモルファス型過酸化チタンが加熱により転移したものではないアナターゼ型過酸化チタンが好ましい。すなわち、反射率低減剤に含まれるアナターゼ型過酸化チタンはアモルファス型過酸化チタンの一部が加熱により転移してin−situで形成されたものであってもよいが、その少なくとも一部(好ましくは全部)は外部より別途添加されたものであることが好ましい。
前記組成物中の、銅及びジルコニウム含有アモルファス型過酸化チタン、並びに、アナターゼ型過酸化チタンとの混合物の濃度は、基体の表面処理の程度に応じて適宜変更することができるが、典型的には0.01〜20重量%であり、好ましくは0.05〜15重量%であり、より好ましくは0.1〜10重量%である。
本発明で使用される反射率低減剤は、水、アルコール又はこれらの混合物である水性媒体、或いは、有機溶媒等の非水性媒体を含むことが好ましい。熱分解性有機化合物の溶解性の点では、反射率低減剤は水性媒体を含むことが好ましい。これらの媒体の濃度は典型的には50〜99.9重量%であり、好ましくは60〜99重量%であり、より好ましくは70〜97重量%である。
本発明の低反射性基体は、上記の反射率低減剤を、基体の表面に塗布して加熱することによって製造することができる。
反射率低減剤の塗布手段及び塗布方法は特に限定されるものではなく任意の手段及び方法を使用することができる。例えば、ディップ工法、スプレー工法、ロールコーター工法、スピンコーター工法、スポンジシート工法等の任意の塗布方法を使用することができる。特に、親水性スポンジシートは効率良く反射率低減剤を吸収し、基体へ転写できるので、飛散ロスを抑えて経済的に均一な反射率低減膜を形成することができる。
前記加熱は、反射率低減剤中の熱分解性有機化合物が分解する温度以上であれば特に限定されるものではないが、熱分解性有機化合物が糖又は糖アルコール、或いは、水溶性有機高分子の場合は、水蒸気、炭酸ガス等の分解ガスが発生する温度以上が好ましく、400℃以上がより好ましく、450℃以上が更により好ましく、500℃以上が更により好ましい。加熱温度の上限については特に限定されるものではないが、基体の各種特性への影響の点からは、1000℃以下とすることが好ましく、850℃以下がより好ましく、800℃以下が更により好ましい。加熱時間も熱分解性有機化合物の炭化を十分に行える限り特に限定されるものではないが、1分から3時間が好ましく、1分から1時間がより好ましく、1分から30分が更により好ましい。
なお、基体として、未強化ガラスを用いる場合は未強化ガラスを強化するために必要な温度であることが好ましく、例えば650℃以上の温度とすることが好ましい。ここで未強化ガラスとは加熱処理を施すことで強度が向上するガラスのことを意味しており、加熱前に既に加熱処理を受けているかどうかは問わない。
加熱により、反射率低減剤中の過酸化チタンは酸化チタン(二酸化チタン)に変化する。このとき、更に、アモルファス型酸化チタンはアナターゼ型酸化チタンに転移する(一般に、アモルファス型酸化チタンは、100℃で2時間以上加熱することによりアナターゼ型に転移する)。したがって、本発明の低反射性基体の表面には、アモルファス型過酸化チタン→アモルファス型酸化チタン→アナターゼ型酸化チタンのプロセスにより得られた銅及び/又はジルコニウム含有アナターゼ型酸化チタンが存在する。更に、前記反射率低減剤中に既に含まれているアナターゼ型過酸化チタンは、加熱により、そのままアナターゼ型酸化チタンに変化する。
加熱処理された基体の表面には、反射率低減剤中の熱分解性有機化合物由来の分解物(水蒸気、炭酸ガス等)の噴出により、多数の微細な凹凸を表面に有する多孔質層が形成される。この微細な凹凸により、基体表面の反射率が低減され、結果的に、基体の光透過率が向上する。前記多孔質層の平均層厚は50〜300nmであり、80〜250nmが好ましく、100〜200nmがより好ましく、130〜180nmが特に好ましい。
前記多孔質層は、最大高さ(Rmax)30nm以下の表面粗さを有しており、最大高さは、より好ましくは25nm以下であり、より好ましくは5〜20nmである。反射率低減膜の平均膜厚を50nm〜300nmにすることにより、凹凸形状(Rmax≦30nm)を有しても、基体側から一定厚以上の反射率低減多孔質膜が確保されている。例えば、反射率低減膜の膜厚が300nmの場合では膜表面の最深部以下の反射率低減多孔質膜の厚さはおおよそ270nm〜295nmである。また、反射率低減膜の膜厚が160nmの場合では膜表面の最深部以下の反射率低減多孔質膜の厚さはおおよそ130nm〜155nmである。また、反射率低減膜の膜厚が80nmの場合では膜表面の最深部以下の反射率低減多孔質膜の厚さはおおよそ50nm〜75nmである。
本発明では、基体自体の表面にエッチング処理等によって微細な凹凸を形成するのではなく、その表面に薄い多孔質層を形成することによって基体表面に微細な凹凸を形成するので、基体自体への微細加工が不要であり、凹凸形成が容易である。また、多孔質層の前駆体である反射率低減剤は塗布により基体表面に適用されるので、広範囲に亘って基体表面を処理することができ、更に、レンズのように曲面を有する基体であっても容易に凹凸を形成することができる。更に、光透過性基体表面にテクスチャー構造を採用している太陽電池モジュール等の場合であっても容易に反射率低減膜を形成することができる。
したがって、本発明では、基体の材質及び形状に係わらず適用可能な簡易な方法により基体の反射率を低減させることが可能であり、これにより、透過率が増大して光学特性が向上した低反射性基体を提供することができる。
本発明の反射率低減剤には、上記の成分の他に、各種の正電荷物質、負電荷物質、又は、これらの混合物を配合することができる。これにより、基体表面の汚染が回避又は低減されるので、長期亘って、低反射性を維持することができる。
正電荷物質としては、例えば、陽イオン;正電荷を有する導電体又は誘電体;正電荷を有する導電体と誘電体又は半導体との複合体;或いは、これらの混合物が挙げられる。
前記陽イオンとしては、特に限定されるものではないが、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属のイオン;カルシウム等のアルカリ土類金属のイオン;アルミニウム、錫、セシウム、インジウム、セリウム、セレン、クロム、ニッケル、アンチモン、鉄、銅、マンガン、タングステン、ジルコニウム、亜鉛等の金属元素のイオンが好ましく、特に銅イオンが好ましい。更に、メチルバイオレット、ビスマルクブラウン、メチレンブルー、マラカイトグリーン等のカチオン性染料、第4級窒素原子含有基により変性されたシリコーン等のカチオン基を備えた有機分子も使用可能である。イオンの価数も特に限定されるものではなく、例えば、1〜4価の陽イオンが使用可能である。
前記金属イオンの供給源として、金属塩を使用することも可能である。具体的には、塩化アルミニウム、塩化第1及び第2錫、塩化クロム、塩化ニッケル、塩化第1及び第2アンチモン、塩化第1及び第2鉄、塩化セシウム、三塩化インジウム、塩化第1セリウム、四塩化セレン、塩化第2銅、塩化マンガン、四塩化タングステン、オキシ二塩化タングステン、タングステン酸カリウム、オキシ塩化ジルコニウム、塩化亜鉛、炭酸バリウム等の各種の金属塩が挙げられる。更に、水酸化アルミニウム、水酸化鉄、水酸化クロム、水酸化インジウム等の金属水酸化物、ケイタングステン酸等の水酸化物、又は、油脂酸化物等の酸化物も使用可能である。
正電荷を有する導電体又は誘電体としては、上記の陽イオン以外の、正電荷が発生した導電体又は誘電体を挙げることができ、例えば、使用される導電体は耐久性の点から金属が望ましく、アルミニウム、錫、セシウム、インジウム、セリウム、セレン、クロム、ニッケル、アンチモン、鉄、銀、銅、マンガン、白金、タングステン、ジルコニウム、亜鉛等の金属や酸化金属が挙げられる。また、これらの金属の複合体又は合金も使用することができる。導電体の形状は特に限定されるものではなく、粒子状、薄片状、繊維状等の任意の形状をとることができる。
導電体としては、一部の金属の金属塩も使用可能である。具体的には、塩化アルミニウム、塩化第1及び第2錫、塩化クロム、塩化ニッケル、塩化第1及び第2アンチモン、塩化第1及び第2鉄、硝酸銀、塩化セシウム、三塩化インジウム、塩化第1セリウム、四塩化セレン、塩化第2銅、塩化マンガン、塩化第2白金、四塩化タングステン、オキシ二塩化タングステン、タングステン酸カリウム、塩化第2金、オキシ塩化ジルコニウム、塩化亜鉛等の各種の金属塩が例示できる。また、水酸化インジウム、ケイタングステン酸等の水酸化物又は酸化物等も使用可能である。
正電荷を有する誘電体としては、例えば、摩擦により正に帯電した羊毛、ナイロン等の誘電体が挙げられる。
次に、前記複合体によって正電荷を付与する原理を図2に示す。図2は図示を省略する基体の表面上又は表面層中に、導電体−誘電体又は半導体−導電体の組み合わせを配列した概念図である。導電体は、内部に自由に移動できる自由電子が高い濃度で存在することによって、表面に正電荷状態を有することができる。なお、導電体として陽イオンを含む導電性物質を使用することも可能である。
一方、導電体に隣接する誘電体又は半導体は、導電体の表面電荷状態の影響により誘電分極される。この結果、導電体に隣接する側には負電荷が、また、非隣接側には正電荷が誘電体又は半導体に発生する。これらの作用により導電体−誘電体又は半導体−導電体の組み合わせの表面は正電荷を帯びることとなり、基体表面に正電荷が付与される。前記複合体のサイズ(複合体を通過する最長軸の長さをいう)は1nmから100μm、好ましくは1nmから10μm、より好ましくは1nmから1μm、より好ましくは1nmから100nmの範囲とすることができる。
本発明において使用される複合体を構成する導電体は耐久性の点から金属が望ましく、アルミニウム、錫、セシウム、インジウム、セリウム、セレン、クロム、ニッケル、アンチモン、鉄、銀、銅、マンガン、白金、タングステン、ジルコニウム、亜鉛等の金属が挙げられる。また、これらの金属の酸化物や複合体又は合金も使用することができる。導電体の形状は特に限定されるものではなく、粒子状、薄片状、繊維状等の任意の形状をとることができる。
導電体としては、一部の金属の金属塩も使用可能である。具体的には、塩化アルミニウム、塩化第1及び第2錫、塩化クロム、塩化ニッケル、塩化第1及び第2アンチモン、塩化第1及び第2鉄、硝酸銀、塩化セシウム、三塩化インジウム、塩化第1セリウム、四塩化セレン、塩化第2銅、塩化マンガン、塩化第2白金、四塩化タングステン、オキシ二塩化タングステン、タングステン酸カリウム、塩化第2金、オキシ塩化ジルコニウム、塩化亜鉛、リン酸鉄リチウム等の各種の金属塩が例示できる。また、水酸化アルミニウム、水酸化鉄、水酸化クロム等の上記導電体金属の水酸化物、並びに、酸化亜鉛等の上記導電体金属の酸化物も使用可能である。
導電体としては、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリチオフェンビニロン、ポリイソチアナフテン、ポリアセチレン、ポリアルキルピロール、ポリアルキルチオフェン、ポリ−p−フェニレン、ポリフェニレンビニロン、ポリメトキシフェニレン、ポリフェニレンスルファイド、ポリフェニレンオキシド、ポリアントラセン、ポリナフタレン、ポリピレン、ポリアズレン等の導電性高分子も使用可能である。
半導体としては、例えば、C、Si、Ge、Sn、GaAs、Inp、GeN、ZnSe、PbSnTe等があり、半導体酸化金属や光半導体金属、光半導体酸化金属も使用可能である。好ましくは、酸化チタン(TiO)の他に、ZnO、SrTiOP、CdS、CdO、CaP、InP、In、CaAs、BaTiO、KNbO、Fe、Ta、WO、NiO、CuO、SiC、SiO、MoS、InSb、RuO、CeO等が使用されるが、Na等で光触媒能を不活性化したものが望ましい。
誘電体としては、強誘電体であるチタン酸バリウム(PZT)いわゆるSBT、BLTや次に挙げる PZT、PLZT―(Pb、La)(Zr、Ti)O、SBT、SBTN―SrBi(Ta、Nb)、BST―(Ba、Sr)TiO、LSCO―(La、Sr)CoO、BLT、BIT―(Bi、La)Ti12、BSO―BiSiO等の複合金属が使用可能である。また、有機ケイ素化合物であるシラン化合物、シリコーン化合物、いわゆる有機変性シリカ化合物、また、有機ポリマー絶縁膜アリレンエーテル系ポリマー、ベンゾシクロブテン、フッ素系ポリマーパリレンN、またはF、フッ素化アモルファス炭素等の各種低誘電材料も使用可能である。
次に、正電荷を帯びる基体表面から汚染物質が除去される機構を図3に示す。
まず、基体表面に正電荷が付与される(図3(1))。
基体表面に汚染物質が堆積し、太陽光等の電磁波の作用により光酸化される。光酸化反応とは、太陽光をはじめとした電磁波の作用により、有機物又は無機物表面の水分(HO)、酸素(O)からヒドロキシルラジカル(・OH)や一重項酸素()が生成される際に当該有機物又は無機物から電子(e)が引き抜かれて酸化される現象をいう。この酸化により、有機物では分子構造が変化し、劣化と称される変色又は脆化現象がみられ、無機物、特に金属では錆が発生する。これら「酸化」された有機物又は無機物の表面は、電子(e)の引き抜きにより、正に帯電する。こうして汚染物質にも正電荷が付与される(図3(2))。
基体表面と汚染物質との間に正電荷同士の静電反発が発生し、反発離脱力が汚染物質に発生する。これにより、基体表面への汚染物質の固着力が低減される(図3(3))。
風雨等の物理的な作用により、汚染物質は基体から容易に除去される(図3(4))。これにより、基体はセルフクリーニングされる。
負電荷物質としては、例えば、陰イオン;負電荷を有する導電体又は誘電体;負電荷を有する導電体と誘電体又は半導体との複合体;或いは、これらの混合物が挙げられる。
前記陰イオンとしては、特に限定されるものではないが、フッ化物イオン、塩化物イオン、ヨウ化物イオン等のハロゲン化物イオン;水酸化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、炭酸イオン等の無機系イオン;酢酸イオン等の有機系イオンが挙げられる。イオンの価数も特に限定されるものではなく、例えば、1〜4価の陰イオンが使用可能である。
負電荷を有する導電体又は誘電体としては、上記の陰イオン以外の、負電荷が発生した導電体又は誘電体を挙げることができ、例えば、金、銀、白金等の金属;石墨、硫黄、セレン、テルル等の元素;硫化ヒ素、硫化アンチモン、硫化水銀等の硫化物;粘土、ガラス粉、石英粉、石綿、澱粉、木綿、絹、羊毛等;コンジョウ、インジゴ、アニリンブルー、エオシン、ナフトールイエロー等の染料のコロイドが挙げられる。これらの中でも金、銀、白金等の金属のコロイドが好ましく、特に銀コロイドがより好ましい。この他に、既述した各種の導電体からなる電池の負電極、並びに、負に帯電したテフロン(登録商標)、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリエステル等の誘電体が挙げられる。
半導体としては既述したものを使用することができる。
負電荷を帯びた基体表面は、図3に示した正電荷を帯びた基体の場合と同様に、負の電荷を帯びた汚染物質を静電的に反発するので、当該汚染物質の基体表面への付着を回避することができる。
一方、汚染物質の中には、正電荷を当初有していたが他物体との相互作用(摩擦等)により負電荷を帯びるに至ったもの等が存在する。このような正及び負の両方の電荷を帯びた汚染物質は単一の電荷のみを帯びた基体表面に容易に吸着される。そこで、その場合には正及び負の両方の電荷を基体に付与することにより、これら汚染物質が基体表面に付着することを防止することができる。
例えば、花粉等の正電荷及び負電荷の両方を有する汚染物質には、本発明の反射率低減剤に正電荷物質と負電荷物質の両者を配合することにより、これらの基体への付着を回避又は低減することができる。例えば、正電荷と負電荷を有する基体の表面では、黄砂やカリオン粘土微粉末、藻菌類や花粉、水道水中の塩化物イオン等のように負電荷や両性電荷を有する汚染誘引物質が静電的に反発して、基体表面への付着が妨げられる。したがって、そのような不純物の付着による基体表面特性の変化を防止して、基体表面を清浄に維持することが可能となる。なお、正電荷量又は負電荷量の一方が過剰に大きいと、負電荷を有する不純物又は光酸化により正電荷を帯びた汚染物質を吸着する傾向が強まり、結果的に基体表面が汚染されるおそれがあるので、基体表面では見かけ上、正電荷量及び負電荷量が均衡している状態が好ましく、具体的には、基体表面の帯電圧が−50Vから50Vの範囲内であることが好適である。
また、正電荷又は負電荷の帯電量が比較的少ない絶縁物(例えばシリコーンオイル)からなる汚染物質は、当該物質の種類によっては、基体表面に強い正電荷又は負電荷のみが存在すると、汚染物質の表面電荷が反転してしまい、結果的に当該基体表面に当該汚染物質が吸着する恐れがあるので、正電荷物質及び負電荷物質の両者を共存させることによって、そのような吸着を回避又は低減することで透過率の低下を防ぐことができる。
図4は、基体表面に正電荷及び負電荷を付与する一つの態様を示す概念図である。
図4では、正電荷及び負電荷付与機構の一例を示す概念図であり、図示を省略する基体上に誘電体又は半導体−負電荷を有する導電体−誘電体又は半導体−正電荷を有する導電体の組み合わせが存在する。
図4に示す負電荷を有する導電体及び正電荷を有する導電体としては、既述したものを使用することができる。
図4に示すように、負電荷を有する導電体に隣接する誘電体又は半導体は、導電体の表面電荷状態の影響により誘電分極される。この結果、負電荷を有する導電体に隣接する側には正電荷が、また、正電荷を有する導電体に隣接する側には負電荷が誘電体又は半導体に発生する。これらの作用により図4に示す誘電体又は半導体−導電体−誘電体又は半導体−導電体の組み合わせの表面は正電荷と共に負電荷を帯びることとなり、正電荷数と負電荷数が同一の場合は、基体表面は見かけ上電気的に中性に保たれる。前記導電体と誘電体又は半導体との複合体のサイズ(複合体を通過する最長軸の長さをいう)は1nmから100μm、好ましくは1nmから10μm、より好ましくは1nmから1μm、より好ましくは1nmから100nmの範囲とすることができる。
図5は、基体表面に正電荷及び負電荷を付与する他の態様を示す概念図である。
図5では、負電荷を有する導電体と正電荷を有する導電体とが隣接し、正電荷及び負電荷が接触消滅等して少ない状態である。なお、負電荷を有する導電体及び正電荷を有する導電体としては、既述したものを使用することができる。
正電荷及び負電荷を帯びた基体は、正電荷を帯びる汚染物質についても除去することができる。正電荷及び負電荷を帯びる基体表面から正電荷を帯びる汚染物質が除去される機構を図6に示す。便宜上、正電荷物質及び負電荷物質を含む層が単層として配置されているが、複数層であってもよい。
まず、図6に示されるように基体表面に正電荷及び負電荷を付与する(図6(1))。
基体表面に汚染物質が堆積し、太陽光等の電磁波の作用により光酸化される。こうして汚染物質にも正電荷が付与される(図6(2))。
基体表面と汚染物質との間に正電荷同士の静電反発が発生し、反発離脱力が汚染物質に発生する。これにより、基体表面への汚染物質の固着力が低減される(図6(3))。
風雨等の物理的な作用により、汚染物質は基体から容易に除去される(図6(4))。これにより、基体はセルフクリーニングされる。
前記反射率低減剤は、各種金属(Ag、Pt)を含んでいてもよい。また、金属塩等の各種物質を、機能を失活させない程度の範囲で含むことできる。前記金属塩としては、例えば、アルミニウム、錫、クロム、ニッケル、アンチモン、鉄、銀、セシウム、インジウム、セリウム、セレン、銅、マンガン、カルシウム、白金、タングステン、ジルコニウム、亜鉛等の金属塩があり、それ以外にも一部の金属或いは非金属等については水酸化物又は酸化物も使用可能である。具体的には、塩化アルミニウム、塩化第一及び第二錫、塩化クロム、塩化ニッケル、塩化第一及び第二アンチモン、塩化第一及び第二鉄、硝酸銀、塩化セシウム、三塩化インジウム、塩化第一セリウム、四塩化セレン、塩化第二銅、塩化マンガン、塩化カルシウム、塩化第二白金、四塩化タングステン、オキシ二塩化タングステン、タングステン酸カリウム、塩化第二金、オキシ塩化ジルコニウム、塩化亜鉛等の各種金属塩が例示できる。また、金属塩以外の化合物としては、水酸化インジウム、ケイタングステン酸、シリカゾル、水酸化カルシウム等が例示できる。
ところで、これらの正電荷物質、負電荷物質又はこれらの組み合わせは、基体表面を親水性とするので、基体表面における水滴の形成が防止又は低減される。したがって、基体表面の水滴による屈折及び乱反射によって光透過性が低下することを回避できる。
本発明では、前記多孔質層と基体表面との間に中間層が存在してもよい。前記中間層は、例えば、基体に親水性若しくは疎水性又は撥水性若しくは撥油性を付与することのできる各種の有機又は無機物質からなることができる。
本発明により得られた基体は任意の分野に使用することができ、特に、光の透過性向上、反射率低減が求められる機器の部品として有効である。例えば、太陽電池等の光電池のフェイスガラス;液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、ブラウン管テレビ等の各種ディスプレイのフェイスガラス;レンズ等の光学素子;窓ガラス等の建築部材;並びに、各種の受光体、発光体、プロジェクター、偏光ガラス、光学ガラス等に使用することができる。特に、屋外で使用される太陽電池等の光電池のフェイスガラスや発電体セル表面に使用する場合は、低反射性により発電効率の向上に寄与することができる。
本発明の低反射性基体は、太陽電池モジュールに好適に使用することができる。
太陽電池モジュールは屋外に設置するため、耐候性が求められる。したがって、一般に、熱可塑性樹脂等を加熱して太陽電池セルを封止し、且つ、その表面に光透過性基体を配置することによって太陽電池モジュールは製造される。そして、太陽電池の発電効率の向上のために太陽電池モジュールの表面の反射率はできるだけ低いことが好ましい。
太陽電池モジュール表面の反射率低減方法としては、太陽電池モジュールの製造過程における加熱温度に耐えられる反射率低減膜で太陽電池モジュール表面の光透過性基体の表面を予め被覆しておくか、或いは、太陽電池モジュールの製造が完了した時点若しくは加熱工程が完了した時点で光透過性基体の表面に反射率低減膜を被覆する必要がある。したがって、加熱温度に耐えられない反射率低減用フィルムを接着剤で光透過性基体表面に貼着する場合には加熱工程が完了した時点でフィルムの貼着を行うことになるが、樹脂封止の際に光透過性基体の表面に付着した樹脂カス等の付着物を取り除き、光透過性基体の表面を洗浄して、フィルムとの密着性を損なわないようにする必要がある。
また、光透過性基体表面での光反射を抑える方法として、光透過性基体表面に比較的大きな凹凸を形成する所謂テクスチャー構造を採用しているものもあるが、空気中の埃や塵などが凹部に堆積するため、太陽電池モジュールの設置角度が制約を受けたり、光透過性基体表面を難付着性に加工する必要が生じる。なお、このように表面形状に比較的大きな凹凸を有する光透過性基体の場合はフィルムを接着剤でその表面に貼着することは困難である。
更に、太陽電池は太陽電池発電に寄与する固有の電磁波(ここでは太陽光)の波長があり、耐候性もさることながら、特定の波長に対する光透過性についても考慮する必要がある。すなわち、 一般的には、必要に応じて各種の金属、金属酸化物、有機金属化合物、及び、無機金属化合物を光透過性基体に添加することによって、その光の吸収・反射特性を調整して、特定の波長領域の反射率を低下させることがなされており、例えば、赤外線等をカットすることもあるが、発電に積極的に寄与する波長の透過率を向上することも重要となる。
このように、太陽電池モジュールには、様々な要素を考慮する必要がある。しかし、本発明の低反射性基体を構成部品とする太陽電池モジュールは、反射率低減用フィルムが不要であり、また、その表面の凹凸は微細であるので、その設置角度に制限を受けることがなく、また、更なる表面処理は不要である。 また、本発明の低反射性基体は光の透過性が高いので、当該基体を構成部品とする太陽電池モジュールは発電効率が高い。
本発明の低反射性基体を備える太陽電池モジュールは以下のようにして製造することができる。
太陽電池モジュールの表面材(前面カバー部材)として低反射性基体となるガラス板の少なくとも受光面を洗浄した後、当該ガラス板の受光面表側を上にして、上記の反射率低減剤を滴下し、ガラス板表面に均一に塗布した後、10分から30分程度自然乾燥もしくは強制乾燥を施し、次いで、450℃以上850℃未満で10分程度加熱し、ガラスの強化と反射率低減剤中の糖の焼成を行い、50nm〜300nmの平均厚みを有する反射率低減膜を形成する。このようにして、表面に反射率低減膜が形成されて、且つ、強化された低反射性基体が完成する。
次に、シリコン基板を用いた太陽電池セルを用いる場合は、インターコネクタと呼ばれる配線材料で相互に太陽電池セルの接続を行って太陽電池ストリングを形成し、複数の太陽電池ストリングをバスバーと呼ばれる配線材を用いて相互に接続し、太陽電池セルアレイを形成する。
そして、低反射性基体とされたガラス板の表面側を下にして、この上に封止材料となるEVA(エチレン・ビニル・アセテート)樹脂シートを配置し、その上に前記太陽電池セルアレイを配置し、更にその上に封止材料となるEVA樹脂シートを配置し、最後に、アクリル樹脂等で形成された裏面カバー部材となる耐候性フィルムを順次積層して積層体を形成する。この状態で、前記積層体を150℃程度の温度で加熱するとともに真空状態とした容器内でプレスして各層間に入った気泡を減圧して抜くラミネート工程を行う。ラミネート工程ではEVA樹脂が溶融し架橋硬化するので、EVA樹脂により太陽電池セルアレイは封止され、積層体が一体化される。積層体全体を一体化した後に端面にはみ出したEVA樹脂や耐候性フィルムを切断してブチルゴムなどの耐湿絶縁材を前記切断面にガラス板の端面を含めて張り付けアルミフレームを取り付け、更に、太陽電池ストリングを介して外部に延びる一対の外部端子に端子ボックスを接続し、ガラス板表面のゴミやEVAカスなどを除去して、太陽電池モジュールが完成する。太陽電池セルがガラス基板などに形成された薄膜太陽電池モジュールであっても基本的には同様の工程を経て製造することができる。
以下、実施例により本発明をより詳細に例証するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
(評価液1)
下記の方法で調製したジルコニウムをドープしたアモルファス型過酸化チタン水分散液、銅ドープチタニア(アモルファス型過酸化チタン)水分散液(Z18−1000nA(サスティナブル・テクノロジー(株)製)(濃度0.6重量%に調整したもの))、アナターゼ型過酸化チタン水分散液(B51(サスティナブル・テクノロジー(株)製)(濃度0.6重量%に調整したもの))、及び、ポリシリケート(WM−12(多摩化学工業(株)製))を1:1:1:7(重量比)の割合で混合し、更に、この混合物に対して、有機ケイ素化合物水分散液(Z−B(サスティナブル・テクノロジー(株)製))10重量%、及び、市販の上白糖1重量%を添加して評価液1を調製した。
(ジルコニウムドープアモルファス型過酸化チタン水分散液の調製)
純水1000mlに50%四塩化チタン溶液(住友シチックス株式会社製)20gとZrClO・8HO(二塩化酸化ジルコニウム:和光純薬工業(株)製)1.696gを完全に溶解した溶液に純水を加え2000mlにメスアップした溶液を準備する。これに25%アンモニア水(高杉製薬株式会社製)を10倍希釈したアンモニア水を滴下してpH7.0に調整して水酸化ジルコニウムと水酸化チタンの混合物を沈殿させた。この沈殿物を純水で上澄み液の導電率が0.8mS/m以下になるようデカンテーション洗浄を繰り返し、導電率が0.702mS/mになったところで洗浄を終了すると、0.79重量%濃度の水酸化物が626g作製された。次いで、この含有液に室温下で35%過酸化水素水(タイキ薬品工業(株)製)を56g添加し16時間撹拌すると黄褐色の0.88重量%濃度のジルコニウムがドープしたアモルファス型過酸化チタン溶液680gが得られた。
(評価液2)
ジルコニウム及び銅ドープチタニア(アモルファス型過酸化チタン)水分散液:Z18−1000superA(サスティナブル・テクノロジー(株)製)(濃度0.6重量%に調整したもの)、アナターゼ型過酸化チタン水分散液(B51(サスティナブル・テクノロジー(株)製)(濃度0.6重量%に調整したもの))、及び、ポリシリケート((WM−12(多摩化学工業(株)製))を1:1:8(重量比)の割合で混合し、更に、この混合物に対して、有機ケイ素化合物水分散液(Z−B(サスティナブル・テクノロジー(株)製))10重量%、及び、市販の上白糖1重量%を添加して評価液2を調製した。
(評価液3)
銅ドープチタニア(アモルファス型過酸化チタン)水分散液(Z18−1000nA(サスティナブル・テクノロジー(株)製)(濃度0.6重量%に調整したもの))、及び、ポリシリケート(WM−12(多摩化学工業(株)製))を1:9(重量比)の割合で混合して、評価液3を調製した。
(評価液4)
銅ドープチタニア(アモルファス型過酸化チタン)水分散液(Z18−1000nA(サスティナブル・テクノロジー(株)製)(濃度0.6重量%に調整したもの))、及び、ポリシリケート(WM−12(多摩化学工業(株)製))を1:9(重量比)の割合で混合し、更に、この混合物に対して、有機ケイ素化合物水分散液(Z−B(サスティナブル・テクノロジー(株)製))10重量%、及び、市販の上白糖1重量%を添加して評価液4を調製した。
(評価基板の調製)
評価液1〜4を、厚さ2.8mmの透明白ガラス製基板にスポンジシート工法でそれぞれ塗布し、580℃で30分焼成した。このようにして得られた評価基板を、それぞれ、実施例1〜2及び比較例1〜2とした。比較例1以外は、その表面に図7及び図8に示されるような多数の微細な凹凸を有する多孔質層が形成されていた。なお、多孔質層の厚みは平均約150nmであった。一方、評価液を塗布しないで同様に焼成したものを比較例3とした。
(光学特性評価)
実施例1〜2及び比較例1〜3のそれぞれについて、紫外線・可視光光度計V−550DS(日本分光(株))を用いて、以下の条件で可視光線の透過率及び反射率を測定した。測光モード:%T、%R、レスポンス:Medium、走査速度100nm/分、開始波長780nm、終了波長380nm、データ取込間隔1.0nm。測定は4回繰り返し、その平均値を透過率及び反射率とした。結果を表1及び表2に示す。
Figure 0005358729
表1の結果から、予めアナターゼ型過酸化チタンを含有する評価液1及び2を使用して得られた実施例1及び2が透過率に優れており、特に、銅及びジルコニウムドープ過酸化チタンを使用する評価液2を使用して得られた実施例2が優れていることがわかる。一方、糖を含まない評価液3を使用して得られた比較例1は、表面処理を行った基板の中では最も透過率が低い。糖を含む評価液4を使用して得られた比較例2は比較例1よりも透過率が向上しているが、当該評価液はアナターゼ型過酸化チタンを予め含有していないので、実施例1及び2に比べて透過率が若干低い。
(膜厚依存性評価)
次に、以下の評価基板1〜4及び比較基板を使用して、光透過性の反射率低減膜厚依存性を評価した。
(評価基板1)
厚さ1.8mmのガラス基板に評価液2をコーティングし、焼成して多孔質層を形成した。多孔質層の膜厚は80〜130nmであった(干渉膜色:グレー)。
(評価基板2)
厚さ1.8mmのガラス基板に評価液2をコーティングし、焼成して多孔質層を形成した。多孔質層の膜厚は130〜180nmであった(干渉膜色:青)。
(評価基板3)
厚さ1.8mmのガラス基板に評価液2をコーティングし、焼成して多孔質層を形成した。多孔質層の膜厚は180〜250nmであった(干渉膜色:黄)。
(評価基板4)
厚さ1.8mmのガラス基板に評価液2をコーティングし、焼成し多孔質層を形成した。多孔質層の膜厚は250〜300nmであった(干渉膜色:紫)。
(比較基板)
厚さ1.8mmのガラス基板。
(光学特性評価)
評価基板1〜4及び比較基板のそれぞれについて、紫外可視近赤外分光光度計UV-3100((株)島津製作所)を用いて、以下の条件で基板の透過率を測定した。測定モード:スペクトル、スキャン速度:高速、開始波長1500nm、終了波長300nm、データ取込間隔2.0nm。測定は4回繰り返し、波長300nm〜1200nmの平均値を透過率とした。結果を表2に示す。
Figure 0005358729
表2の結果から、多孔質層の厚みにより透過率が変化することがわかる。なお、評価基板1〜4の透過率向上順位は次の通りである:評価基板2>評価基板3>評価基板1>評価基板4

Claims (8)

  1. 熱分解性有機化合物、有機ケイ素化合物及び/又は無機ケイ素化合物、並びに、銅及びジルコニウム含有アモルファス型過酸化チタン及びアナターゼ型過酸化チタンの混合物を含む反射率低減剤を基体の表面に塗布し、加熱することを特徴とする、低反射性基体の製造方法。
  2. 前記熱分解性有機化合物が糖又は糖アルコールである、請求項1記載の低反射性基体の製造方法。
  3. 前記基体の少なくとも一部がガラス製である、請求項1又は2記載の低反射性基体の製造方法。
  4. 前記加熱を400℃以上の温度で行う、請求項1乃至3のいずれかに記載の低反射性基体の製造方法。
  5. 熱分解性有機化合物、有機ケイ素化合物及び/又は無機ケイ素化合物、並びに、銅及びジルコニウム含有アモルファス型過酸化チタン及びアナターゼ型過酸化チタンの混合物を含む反射率低減剤を基体の表面に塗布し、加熱することを特徴とする、基体の反射率低減方法。
  6. 前記熱分解性有機化合物が糖又は糖アルコールである、請求項5記載の基体の反射率低減方法。
  7. 前記基体の少なくとも一部がガラス製である、請求項5又は6記載の基体の反射率低減方法。
  8. 前記加熱を400℃以上の温度で行う、請求項5乃至7のいずれかに記載の基体の反射率低減方法。
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