JPWO2008152915A1 - 磁気デバイスの製造方法、磁気デバイスの製造装置、及び磁気デバイス - Google Patents

磁気デバイスの製造方法、磁気デバイスの製造装置、及び磁気デバイス Download PDF

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Abstract

一方向異方性定数(JK)を向上させた磁気デバイスの製造方法。成膜空間(21a)の基板ホルダ(24)に基板(S)を載置し、基板(S)を所定の温度に加熱してプロセス圧力を0.1(Pa)以下に減圧する。反強磁性層の構成元素を主成分とするターゲット(T2)を、KrとXeの少なくともいずれか一方を用いてスパッタして基板(S)の上に反強磁性層を成膜する。反強磁性層は、組成式Mn100−X−MX(Mは、Ru、Rh、Ir、Ptからなる群の中から選択される少なくともいずれか一つの元素である。Xは、20(atom% )≦X≦30(atom% )である。)によって表されるL12規則相を含む。

Description

本発明は、磁気デバイスの製造方法、磁気デバイスの製造装置、及び磁気デバイスに関するものである。
巨大磁気抵抗(GMR:Giant Magnetic Resistive )効果やトンネル磁気抵抗(TMR:Tunneling Magnetoresistive )効果を利用する磁気抵抗素子は、優れた磁気抵抗変化率を有するために、磁気センサ、磁気再生ヘッド、磁気メモリ等の各種の磁気デバイスに採用されている。
磁気抵抗素子は、6〜15層程度の人工格子構造を呈し、自発磁化の方向が回転可能な自由層と、自発磁化の方向が固定された固定層と、固定層と自由層との間に挟まれた非磁性層と、固定層に対して一方向の磁気異方性を誘導させる反強磁性層とを有する。
反強磁性層としては、マンガンイリジウム(MnIr)薄膜や白金マンガン(PtMn)薄膜等が知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2)。MnIr薄膜は、固定層との間において強い磁気的な結合力を発生させる。PtMn薄膜は、磁気的な結合力に優れた熱的安定性を与える。
反強磁性層と固定層との間の磁気的な結合力は、一般に、一方向異方性定数Jを用いて評価される。反強磁性層と固定層とからなる積層膜の一方向異方性定数Jは、J=M・d・Hexによって与えられる。Mは固定層の飽和磁化、dは固定層の膜厚、Hexは磁気ヒステリシス曲線上におけるシフト磁界の大きさを表す。
膜厚が5〜10nmの極薄のMnIr薄膜は、MnとIrの組成比が3:1になり、かつ、その結晶構造がL1型に規則化するに従って、極めて大きな一方向異方性定数Jを発現する。このMnIr薄膜では、磁気的な結合力の消失する温度、いわゆるブロッキング温度が360℃以上である。このため、MnIr薄膜は、磁気特性に関して高い熱的安定性を示す(特許文献3)。
反強磁性層の製造工程には、一般に、高純度のアルゴン(Ar)ガスを用いるスパッタ法が利用される。スパッタ時の圧力が1.0(Pa)を超える高圧プロセスは、基板温度Tsubを上昇させることによって積層膜の一方向異方性定数Jを増大させる。
図8は、反強磁性層にMnIr、固定層にCoFeを用いる場合の一方向異方性定数Jを示す。なお、図8において、スパッタ時の圧力は2.0(Pa)であり、基板温度Tsubは室温(20℃)〜400℃である。また、縦軸は一方向異方性定数J、横軸はMnおよびIrを主成分とするターゲットへの印加電力密度Pを示す。
図8に示すように、一方向異方性定数Jは、印加電力密度Pの増加に伴って増大する。また、同一の印加電力密度Pにおいて、一方向異方性定数Jは基板温度Tsubの上昇に伴って増大する。積層膜の一方向異方性定数Jは、一般に、MnとIrの組成比が3:1となるMnIr付近において極大値を示す。上記印加電力密度Pの依存性は、印加電力密度Pの増加がMnIr薄膜の組成をMnIrに近づけることを示唆するものである。また、上記基板温度Tsubの依存性は、基板温度Tsubの上昇がL1規則相の形成を促進させることを示唆するものである。
しかしながら、上記の高圧プロセスを用いて反強磁性層を形成すると、以下の問題を招いてしまう。スパッタされる粒子のうちでIr等の質量の大きな粒子は、Arに衝突しても、その運動方向が容易に変化しない。一方、Mn等の質量の小さい粒子は、残留するArに衝突して、その運動方向が容易に変化してしまう。この結果、高圧プロセスにおいては、反強磁性層の組成や膜厚が、基板の面内で大きなバラツキを来たしてしまう。一層ごとに厚みのバラツキ幅が1nm以下である膜厚均一性が要求される磁気デバイスでは、こうした反強磁性層の組成や膜厚の面内バラツキが、デバイスの磁気特性を大きく劣化させてしまう。
上記の問題は、スパッタ時の圧力を低くすることによって解決可能と考えられる。しかし、本発明者による実験によれば、スパッタ時の圧力を0.1(Pa)以下にすると、上記印加電力密度Pや基板温度Tsubに関わらず、積層膜の一方向異方性定数Jを十分に得られなくなってしまう。
図9は、反強磁性層にMnIr、固定層にCoFeを用いる場合の一方向異方性定数Jを示す。なお、図9において、基板温度Tsubは室温(20℃)あるいは350℃、印加電力密度Pは0.41(W/cm2 )〜2.44(W/cm2)である。また、縦軸は一方向異方性定数J、横軸はスパッタ時の圧力(以下単に、プロセス圧力Pという。)を示す。
図9に示すように、基板温度Tsubが350℃のとき、一方向異方性定数Jは、プロセス圧力Pの低下に伴って徐々に低下し、最終的には、基板温度Tsubが室温(20℃)のときの一方向異方性定数Jと略同じレベル(約0.4(erg/cm2 ))になってしまう。一方、基板温度Tsubが室温のとき、一方向異方性定数Jは、プロセス圧力Pの低下に伴って徐々に増大するが、その値は、いずれも基板温度Tsubが350℃のときの一方向異方性定数Jを超えるものではない。
特許2672802号公報 特許2962415号公報 特開2005−333106号公報
本発明は、スパッタ時の圧力が0.1(Pa)以下の低圧プロセスにおいて一方向異方性定数Jを向上させた磁気デバイスの製造方法、磁気デバイスの製造装置、及び該製造装置を用いて製造した磁気デバイスを提供する。
本発明の一つの態様は、磁気デバイスの製造方法である。当該方法は、成膜室に基板を配置すること、前記基板を所定の温度に加熱すること、前記成膜室の圧力を0.1(Pa)以下に減圧すること、減圧された前記成膜室内で、反強磁性層の構成元素を主成分とするターゲットを、KrとXeの少なくともいずれか一方を用いてスパッタすることにより、前記基板の上に前記反強磁性層を成膜することを備える。前記反強磁性層は、組成式Mn100−X−M(Mは、Ru、Rh、Ir、Ptからなる群の中から選択される少なくともいずれか一つの元素である。Xは、20(atom% )≦X≦30(atom% )である。)によって表されるL1規則相を含む。
本発明の他の態様は、磁気デバイスの製造装置である。当該装置は、基板を収容する成膜室と、前記成膜室を減圧する減圧部と、前記成膜室で前記基板を加熱する加熱部と、前記反強磁性層の構成元素を主成分とするターゲットを有するカソードと、前記成膜室にKrとXeの少なくともいずれか一方を供給する供給部と、前記加熱部を駆動して前記基板を所定の温度に加熱し、前記減圧部を駆動して前記成膜室の圧力を0.1(Pa)以下に減圧し、前記供給部を駆動してKrとXeの少なくともいずれか一方を前記成膜室に供給し、前記カソードを駆動して前記ターゲットをスパッタすることにより前記基板の上に前記反強磁性層を成膜する制御部とを備える。前記反強磁性層は、組成式Mn100−X−M(Mは、Ru、Rh、Ir、Ptからなる群の中から選択される少なくともいずれか一つの元素である。Xは、20(atom% )≦X≦30(atom% )である。)によって表されるL1規則相を含む。
本発明の更に他の態様は、上記製造装置によって製造された磁気デバイスである。
磁気デバイスの製造装置を模式的に示す図。 反強磁性層チャンバを示す側断面図。 一方向異方性定数に関わる印加電力密度の依存性を示す図。 一方向異方性定数に関わるプロセス圧力の依存性を示す図。 抵抗均一性に関わるプロセス圧力の依存性を示す図。 交換結合磁界の均一性に関わるプロセス圧力の依存性を示す図。 磁気メモリを示す要部断面図。 従来例の一方向異方性定数に関わる印加電力密度の依存性を示す図。 従来例の一方向異方性定数に関わるプロセス圧力の依存性を示す図。
以下、本発明の一実施形態の磁気デバイスの製造装置10を図面に従って説明する。図1は、磁気デバイスの製造装置10を模式的に示す図である。図1において、製造装置10は、移載装置11、成膜装置12、及び制御部としての制御装置13を有している。
移載装置11は、複数の基板Sを収容可能なカセット(複数)Cと、基板Sを移載する移載ロボットとを搭載している。移載装置11は、基板Sの成膜処理を開始するとき、カセットCにある基板Sを成膜装置12に搬入し、基板Sの成膜処理を終了するとき、成膜装置12にある基板SをカセットCに搬出する。基板Sとしては、例えば、シリコン、ガラス、AlTiC等からなるものを用いることができる。
成膜装置12の搬送チャンバFXには、基板Sを搬入及び搬出するためのロードチャンバFLと、基板Sの表面を洗浄するための前処理チャンバF0が連結されている。また、搬送チャンバFXには、反強磁性層を成膜するための反強磁性層チャンバF1と、固定層を成膜するための固定層チャンバF2が連結されている。また、搬送チャンバFXには、非磁性層を成膜するための非磁性層チャンバF3と、自由層を成膜するための自由層チャンバF4が連結されている。
ロードチャンバFLは、基板Sの成膜処理を開始するとき、移載装置11の基板Sを収容して搬送チャンバFXへ搬出する。ロードチャンバFLは、基板Sの成膜処理を終了するとき、搬送チャンバFXの基板Sを収容して移載装置11へ搬出する。
搬送チャンバFXは、基板Sを搬送する図示しない搬送ロボットを搭載している。搬送チャンバFXは、基板Sの成膜処理を開始するとき、ロードチャンバFLの基板Sを、前処理チャンバF0、反強磁性層チャンバF1、固定層チャンバF2、非磁性層チャンバF3、自由層チャンバF4の順に搬送する。搬送チャンバFXは、基板Sの成膜処理を終了するとき、自由層チャンバF4の基板SをロードチャンバFLへ搬出する。
前処理チャンバF0は、基板Sの表面をスパッタするスパッタ装置であって、基板Sの表面をスパッタ洗浄する。
反強磁性層チャンバF1は、下地電極層を形成するためのターゲットTや反強磁性層を形成するためのターゲットTを搭載するスパッタ装置である。反強磁性層チャンバF1は、各ターゲットTをスパッタして各ターゲットTの構成元素と実質的に同一組成の金属膜や反強磁性膜を基板Sの上に成膜する。なお、実質的に同一組成の膜とは、ターゲットからの組成のずれが10(atom% )以下の膜組成を有する膜である。
下地電極層は、基板Sの表面荒れを緩和するバッファ層、および反強磁性層の結晶配向を規定するシード層を含む。下地電極層としては、タンタル(Ta)、ルテニウム(Ru)、チタン(Ti)、タングステン(W)、クロム(Cr)、又はこれらの合金を用いることができる。反強磁性層は、固定層との相互作用によって固定層の磁化方向を一方向に固定させる層である。反強磁性層は、組成式Mn100−X−M(Mは、Ru、Rh、Ir、Ptからなる群の中から選択される少なくともいずれか一つの元素である。Xは、20(atom% )≦X≦30(atom% )である。)によって表されるL1規則相の反強磁性体からなる薄膜である。反強磁性層としては、例えば、イリジウムマンガン(IrMn)、白金マンガン(PtMn)等を用いることができる。
固定層チャンバF2は、固定層を形成するための複数のターゲットTを搭載するスパッタ装置である。固定層チャンバF2は、各ターゲットTをスパッタして各ターゲットTの構成元素と実質的に同一組成の強磁性膜を基板Sの上に成膜する。固定層は、反強磁性層との相互作用によって、その磁化方向が一方向に固定される強磁性層である。固定層としては、コバルト鉄(CoFe)、コバルト鉄ボロン(CoFeB)、ニッケル鉄(NiFe)を用いることができる。また、固定層としては、単層構造に限らず、強磁性層/磁気結合層/強磁性層、例えばCoFe/Ru/CoFeBからなる積層フェリ構造を用いることができる。
非磁性層チャンバF3は、非磁性層を形成するための複数のターゲットTを搭載するスパッタ装置である。非磁性層チャンバF3は、各ターゲットTをスパッタして各ターゲットTの構成元素と実質的に同一組成の非磁性膜を基板Sの上に成膜する。非磁性層は、0.4〜2.5nmの膜厚を有する金属薄膜、若しくは、その厚さ方向にトンネル電流が流れる程度の膜厚を有する絶縁膜である。非磁性層の抵抗値は、固定層の自発磁化と自由層の自発磁化とが平行であるか否かによって変化する。非磁性層としては、例えば、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、又はそれらの合金を用いることができる。さらに、非磁性層としては、酸化マグネシウム(MgO)または酸化アルミニウム(Al)を用いることもできる。
自由層チャンバF4は、自由層を形成するためのターゲットTや保護層を形成するためのターゲットTを搭載するスパッタ装置である。自由層チャンバF4は、各ターゲットTをスパッタして各ターゲットTの構成元素と実質的に同一組成の強磁性膜や金属膜を基板Sの上に成膜する。自由層は、自発磁化の方向を回転可能にする保磁力を有する層であって、自発磁化の方向を固定層の自発磁化の方向と平行、あるいは反平行にする。自由層としては、CoFe、CoFeB、NiFeの単層構造、CoFeB/Ru/CoFeBからなる積層フェリ構造、あるいは、CoFeにNiFeを積層した積層構造を用いることができる。保護層は、基板Sの表面荒れを緩和するバッファ層や外気に対するバリア層を含む。保護層としては、Ta、Ti、W、Cr、又はこれらの合金を用いることができる。
図1において、制御装置13は、製造装置10に各種の処理動作を実行させるものである。制御装置13は、各種の演算処理を実行するためのCPU、各種のデータを格納するためのRAM、各種の制御プログラムを格納するためのROMやハードディスクなどを有する。制御装置13は、例えば、ハードディスクに格納された搬送プログラムを読み出して、該搬送プログラムに従って基板Sを各チャンバへ搬送させる。また、制御装置13は、ハードディスクに格納された各層の成膜条件を読み出して、該成膜条件に従って各層の成膜処理を実行させる。
制御装置13は、図1の二点鎖線で示すように、移載装置11及び成膜装置12の各チャンバと電気的に接続されている。移載装置11は、図示しない各種のセンサを用いて処理対象の基板Sの枚数やサイズを検出し、その検出結果を制御装置13に供給する。制御装置13は、移載装置11からの検出結果を利用して移載装置11に対応する第1の駆動制御信号を生成し、その第1の駆動制御信号を移載装置11に供給する。移載装置11は、第1の駆動制御信号に応答して基板Sの移載処理を実行する。成膜装置12は、図示しない各種のセンサを用いてロードチャンバFLや反強磁性層チャンバF1等の各チャンバの状態、例えば、基板Sの有無や圧力を検出し、その検出結果を制御装置13に供給する。制御装置13は、成膜装置12からの検出結果を利用して成膜装置12に対応する第2の駆動制御信号を生成し、その第2の駆動制御信号を成膜装置12に供給する。成膜装置12は、第2の駆動制御信号に応答して基板Sの成膜処理を実行する。
そして、制御装置13は、移載装置11と成膜装置12を駆動して、移載装置11にある基板Sを前処理チャンバF0に搬入させて基板Sの表面をスパッタ洗浄させる。さらに、制御装置13は、成膜装置12を駆動して、前処理チャンバF0にある基板Sを反強磁性層チャンバF1、固定層チャンバF2、非磁性層チャンバF3、自由層チャンバF4の順に搬送させて、洗浄された基板Sの表面に、下地電極層、反強磁性層、固定層、非磁性層、自由層、保護層を順に積層させる。これによって、制御装置13は、下地電極層/反強磁性層/固定層/非磁性層/自由層/保護層からなる磁気抵抗素子を形成させる。
次に、反強磁性層チャンバF1について以下に説明する。図2は、反強磁性層チャンバF1を示す側断面図である。
図2において、反強磁性層チャンバF1は、搬送チャンバFXに連結された真空槽(以下単に、成膜空間21aという。)を有し、搬送チャンバFXの基板Sをチャンバ本体21の内部空間に搬入する。一実施形態では、チャンバ本体21の内部空間を成膜空間21a(成膜室)という。
チャンバ本体21は、供給配管22を介して、供給部を構成するマスフローコントローラMFCに連結されている。マスフローコントローラMFCは、クリプトン(Kr)とキセノン(Xe)の少なくともいずれか一方をプロセスガスとして成膜空間21aに供給する。一実施形態では、プロセスガスとしてKrあるいはXeを用いる成膜プロセスを、それぞれKrプロセスあるいはXeプロセスという。なお、プロセスガスとしてArを用いる成膜プロセスをArプロセスという。
チャンバ本体21は、排気配管23を介して、減圧部を構成する排気ユニットPUに連結されている。排気ユニットPUは、ターボ分子ポンプやロータリポンプなどからなる排気系であって、プロセスガスが供給された成膜空間21aの圧力を所定の圧力まで減圧する。一実施形態では、成膜空間21aの圧力をプロセス圧力Pという。プロセス圧力Pは、0.1(Pa)以下であり、より好ましくは、0.1(Pa)〜0.04(Pa)である。プロセス圧力Pが0.1(Pa)よりも高くなると、反強磁性層の組成や膜厚の均一性を得難くなる。また、プロセス圧力Pが0.02(Pa)よりも低くなると、成膜空間21aにてプラズマの安定性が損なわれる。
チャンバ本体21の成膜空間21aには、加熱部を構成する基板ホルダ24と、下側防着板25とが配設されている。基板ホルダ24は、図示しないヒータを有しており、搬入される基板Sを所定の温度に加熱するとともに同基板Sを位置決め固定する。一実施形態では、成膜時における基板Sの温度を基板温度Tsubという。基板温度Tsubは、20℃よりも高い温度であって、より好ましくは、100℃〜400℃である。基板温度Tsubが100℃以下になると、L1規則相を得難くなり、基板温度Tsubが400℃よりも高くなると、基板S等の下地に熱的損傷を与えてしまう。
基板ホルダ24は、ホルダモータ26の出力軸に駆動連結されて、中心軸Aを回転中心にして基板Sを周方向に回転させる。基板ホルダ24は、一方向からのスパッタ粒子を基板Sの全周にわたって分散させて堆積物の面内均一性を向上させる。下側防着板25は、基板ホルダ24の周囲を覆うように配設されて、成膜空間21aの内壁に対するスパッタ粒子の付着を抑制する。
チャンバ本体21は、基板ホルダ24の斜め上方に、複数のカソード27を有している。一実施形態では、図2における左側のカソード27を第1カソード27aとし、図2における右側のカソード27を第2カソード27bという。
各カソード27は、バッキングプレート28を有し、対応するバッキングプレート28を介して外部電源(図示略)に接続されている。各外部電源は、対応するバッキングプレート28に、所定の直流電力を供給する。一実施形態では、各バッキングプレート28に供給される電力密度を、印加電力密度Pという。印加電力密度Pは、反強磁性層の組成比Xを20(atom% )≦X≦30(atom% )にする範囲に規定される。
各カソード27は、対応するバッキングプレート28の下側にターゲットTを搭載している。第1カソード27aのターゲットTは、下地電極層の構成元素を主成分とするターゲットであり、第2カソード27bのターゲットTは、反強磁性層の構成元素を主成分とするターゲットである。第2カソード27bのターゲットTは、その構成元素が反強磁性層と同一構成元素であり、かつ反強磁性層の主成分であるマンガン(Mn)を60(atom% )〜90(atom% )含むターゲットであれば良い。
各ターゲットTは、成膜空間21aに露出する円盤状に形成されて、その内表面の法線を基板Sの法線(中心軸A)に対して所定の角度(例えば、22°)だけ傾斜させる。一実施形態では、第1カソード27aに搭載されるターゲットTを第1ターゲットT1とし、第2カソード27bに搭載されるターゲットTを第2ターゲットT2という。
各カソード27は、対応するバッキングプレート28の上側に磁気回路MG及びカソードモータMを搭載している。各磁気回路MGは、対応するターゲットTの内表面に沿ってマグネトロン磁場を形成し、ターゲットTがスパッタされるとき、ターゲットTの近傍に高密度のプラズマを生成する。各磁気回路MGは、対応するカソードモータMの出力軸に駆動連結されており、カソードモータMが駆動するとき、対応するターゲットTの面方向に沿って回転する。各カソードモータMは、対応する磁気回路MGのマグネトロン磁場を対応するターゲットTの全周にわたって移動させて、そのエロージョンの均一性を向上させる。
チャンバ本体21の成膜空間21aには、上側防着板29が配設されている。上側防着板29は、成膜空間21aの上側の全体を覆うように配設されて、成膜空間21aの内壁に対するスパッタ粒子の付着を抑制する。上側防着板29は、各ターゲットTと対向する領域にシャッター部29aを有している。各シャッター部29aは、対応するターゲットTに所定の電力が供給されるとき、該ターゲットTと対向する開口を開けて、該ターゲットTを用いるスパッタ処理を実施可能にする。また、各シャッター部29aは、対応するターゲットTに所定の電力が供給されていないとき、該ターゲットTと対向する開口を閉じて、該ターゲットTを用いるスパッタ処理を実施不能にする。
制御装置13は、下地電極層と反強磁性層の成膜処理を開始するとき、マスフローコントローラMFCを駆動制御して、成膜空間21aにKrとXeの少なくともいずれか一方を供給させる。また、制御装置13は、排気ユニットPUを駆動制御して、成膜空間21aの圧力を0.1(Pa)以下に調整して低圧雰囲気を形成させる。制御装置13は、ホルダモータ26及び第1カソード27aを駆動制御して第1ターゲットT1をスパッタさせて、次いで、ホルダモータ26及び第2カソード27bを駆動制御して第2ターゲットT2をスパッタさせる。すなわち、制御装置13は、KrとXeの少なくともいずれか一方を含む低圧雰囲気の下で第1ターゲットT1と第2ターゲットT2をスパッタさせて、所定の温度に昇温された基板Sの上に、下地電極層と反強磁性層を積層させる。
プロセスガスがターゲット原子と正面衝突する場合、一般に、散乱角90°、並びに180°の反跳粒子が保有するエネルギーは、それぞれV・(M−M)/(M+M)、並びにV・(M−M/(M+Mによって表される。ここで、Vは、プロセスガスのターゲット表面への加速電圧を表し、MとMは、それぞれターゲット原子の質量、並びにプロセスガスの質量を表す。
Ar原子のモル質量が40.0(g/mol )であるのに対して、Kr原子とXe原子のモル質量は、それぞれ83.8(g/mol )と131.30(g/mol )である。反跳粒子が保有するエネルギーは、Krプロセス、あるいはXeプロセスを用いることによって、Arプロセスのものよりも低くなる。これによって、Krプロセス、あるいはXeプロセスは、L1規則相の妨げとなる反跳粒子の数量やエネルギーを低下させて、L1規則相に与えるダメージを低減させる。そして、KrプロセスあるいはXeプロセスは、反強磁性層に対してL1規則相の形成を促進させて、反強磁性層/固定層からなる積層膜に、より高い一方向異方性定数Jを与える。
(実施例)
次に、実施例を挙げて本発明を説明する。
まず、直径が200mmのシリコンウェハを基板Sとして用い、該基板Sに対して上記製造装置10による成膜処理を施し、Ta(5nm)/Ru(20nm)/MnIr(10nm)/CoFe(4nm)/Ru(1nm)/Ta(2nm)からなる積層膜を得た。
詳述すると、反強磁性層チャンバF1を用いて、膜厚が5nmのTa膜と、膜厚が20nmのRu膜を積層して下地層を形成し、次いで、膜厚が10nmのMnIr膜を成膜して反強磁性層を得た。なお、第2ターゲットT2として、直径が125mmであって、組成がMn77Ir23の合金ターゲットを用いた。また、基板SとターゲットTとの間の距離を、各ターゲットTの法線方向において200mmに設定した。そして、プロセスガスとして、Krを用いた。
次いで、固定層チャンバF2及び自由層チャンバF4を用いて、膜厚が4nmのCo70Fe30膜を成膜して固定層を形成し、次いで、膜厚が1nmのRu膜と、膜厚が2nmのTa膜を成膜して保護層を形成した。
この際、下地層、固定層、及び保護層を成膜するときの基板の温度を20℃に調整し、反強磁性層を成膜するときの基板温度Tsubを350℃、ターゲットへの印加電力密度Pを2.04(W/cm2)、プロセス圧力Pを0.04(Pa)に調整して、実施例の積層膜を得た。
また、反強磁性層を成膜するときの基板温度Tsubと、印加電力密度Pと、プロセス圧力Pと、プロセスガスとのうちの少なくともいずれか1つを以下のように変更し、その他を実施例と同じくして比較例の積層膜を得た。
・基板温度Tsub:20(℃)、200(℃)、250(℃)、400(℃)
・印加電力密度P:0.41(W/cm2 )、0.81(W/cm2)、1.22(W/cm2 )、1.63(W/cm2 )、2.44(W/cm2
・プロセス圧力P:0.1(Pa)、0.2(Pa)、0.4(Pa)、1.0(Pa)、2.0(Pa)
・プロセスガス:Ar
そして、各積層膜に対して、室温における磁気ヒステリシス曲線を計測して各積層膜の一方向異方性定数Jを算出した。また、各積層膜に対して、室温におけるシート抵抗値を計測して各積層膜の抵抗均一性を算出した。なお、一方向異方性定数Jは、J=M・d・Hexとして算出した。ここで、Hexは、磁気ヒステリシス曲線における印加磁界方向へのシフト磁界の大きさ(以下単に、交換結合磁界Hexという)である。M及びdは、それぞれ固定層(Co70Fe30膜)の飽和磁化M及び固定層の膜厚dである。
一方向異方性定数Jに関わる印加電力密度Pの依存性を図3に示し、一方向異方性定数Jに関わるプロセス圧力Pの依存性を図4に示す。なお、図3におけるプロセス圧力Pは、2.0(Pa)であり、図4における基板温度Tsubは、20℃と350℃である。また、ウェハ面内の抵抗均一性に関わるプロセス圧力Pの依存性を図5に示し、交換結合磁界Hexの均一性に関わるプロセス圧力Pの依存性を図6に示す。
図3において、一方向異方性定数Jは、印加電力密度Pの増加に伴って増大する。同一の印加電力密度Pにおいて、一方向異方性定数Jは基板温度Tsubの上昇に伴い増大する。このような印加電力密度Pの依存性は、Arプロセス(図8参照)と同じく、印加電力密度Pの増加がMnIr膜の組成をMnIrに近づけることを示唆するものである。また、この基板温度Tsubの依存性は、基板温度Tsubの上昇がL1規則相の形成を促進させることを示唆するものである。
したがって、Krプロセスは、印加電力密度Pと基板温度Tsubを適宜選択することにより、例えば、基板温度Tsubを350℃、印加電力密度Pを2.04(W/cm2 )に選択することよって、L1規則相に適した組成と結晶性を与えることができる。
図4において、基板温度Tsubが350℃のとき、一方向異方性定数Jは、プロセス圧力Pに関わらず、1.0(erg/cm2 )近傍の高い値を示す。この低圧プロセスにおける一方向異方性定数Jは、Arプロセス(図9参照)と大きく異なり、L1規則相の形成が著しく促進されていることを示唆するものである。一方、基板温度Tsubが20℃のとき、一方向異方性定数Jは、Arプロセス(図9参照)と略同じ依存性を示す。但し、Krプロセスの一方向異方性定数Jは、約0.6(erg/cm2 )であり、同じ低圧におけるArプロセス(図9参照)のものよりも高い値である。すなわち、Krプロセスは、印加電力密度P、基板温度Tsub、プロセス圧力Pによって与えられる組成や結晶性に応じてL1規則相の形成を促進させる。
したがって、Krプロセスは、プロセス圧力Pを0.1(Pa)以下にするとき、Arプロセスに比べて、一方向異方性定数Jを向上させることができ、基板Sを加熱することにより、さらに一方向異方性定数Jを向上させることができる。なお、Krプロセスにおいては、プロセス圧力Pを0.1(Pa)以下にして、かつ、基板温度Tsubを100℃以上にするとき、1.0(erg/cm2 )近傍の高い一方向異方性定数Jを得ることができる。
図5において、プロセス圧力Pを0.1(Pa)以下にするとき、積層膜の抵抗均一性は、Arプロセスにおいて1σで1%〜2%を示し、Krプロセスにおいて1.0%以下の良好な値を示す。プロセス圧力Pを0.1〜1.0(Pa)にすると、積層膜の抵抗均一性は、Arプロセスにおいて約1.0%を維持する一方、Krプロセスにおいては約5%に増大してしまう。プロセス圧力Pを1.0(Pa)よりも高くすると、積層膜の抵抗均一性は、プロセスガスの種別に関わらず10%を超える値に増大してしまう。このプロセス圧力Pの依存性は、平均自由工程の低下にともなう成膜速度の低下、並びにスパッタ粒子の散乱確率の差異が、ウェハ面内の膜厚差及び組成比の差を増大させて積層膜の抵抗均一性を著しく劣化させることを示唆するものである。
したがって、Krプロセスは、プロセス圧力Pを0.1(Pa)以下にするとき、一方向異方性定数Jを向上させることができ、かつ、ウェハ面内における膜厚、並びに組成に対して良好な均一性を得ることができる。
図6において、Krプロセスのプロセス圧力Pが0.04(Pa)のとき、積層膜の交換結合磁界Hexは、ウェハ位置の5mm〜85mmの間で、すなわちウェハの略中心から外縁までの間で略一定値を示す。Krプロセスのプロセス圧力Pが1.0(Pa)のとき、積層膜の交換結合磁界Hexは、ウェハ中心とウェハ外縁で若干の差異を生じる。一方、Arプロセスのプロセス圧力Pが1.0(Pa)のとき、積層膜の交換結合磁界Hexは、ウェハ中心から径方向に沿って減少し、ウェハの面内で大きなバラツキを与えてしまう。このプロセス圧力P、並びにプロセスガスの依存性は、上記と同じく、平均自由工程の低下にともなう成膜速度の低下、並びにスパッタ粒子の散乱確率の差異が、ウェハ面内の膜厚差及び組成比の差を増大させて積層膜の抵抗均一性を著しく劣化させることを示唆するものである。
したがって、Krプロセスは、プロセス圧力Pを0.1(Pa)以下にするとき、一方向異方性定数Jを向上させることができ、かつ、ウェハ面内における交換結合磁界Hexに対して良好な均一性を得ることができる。
(磁気デバイス)
次に、磁気デバイスの製造装置10を用いて製造した磁気デバイスとしての磁気メモリ30について説明する。図7は、磁気メモリ30を示す概略断面図である。
磁気メモリ30の基板Sには、薄膜トランジスタTrが形成されている。薄膜トランジスタTrの拡散層LDは、コンタクトプラグCP、配線ML、下部電極層31を介して磁気抵抗素子32に接続されている。磁気抵抗素子32は、下部電極層31の上側に積層される反強磁性層33、固定層34、非磁性層35、自由層36とからなるTMR素子である。
磁気抵抗素子32の下側には、下部電極層31の下方に離間するワード線WLが配設されている。ワード線WLは、紙面に対して垂直方向に延びる帯状に形成されている。また、磁気抵抗素子32の上側には、ワード線WLと直交する方向に延びる帯状のビット線BLが配設されている。すなわち、磁気抵抗素子32は、互いに直交するワード線WLとビット線BLとの間に配設されている。
磁気抵抗素子32は、上記製造装置10を用いて、下部電極層31、反強磁性層33、固定層34、非磁性層35、自由層36を積層し、各層にエッチングを施すことによって形成されている。上記製造装置10を用いて製造された磁気抵抗素子32では、反強磁性層33/固定層34の一方向異方性定数Jを、約1.0(erg/cm2 )の高いレベルで安定させることができ、かつ、反強磁性層33の膜厚均一性を向上させることができる。ひいては、磁気メモリ30のデバイス特性を向上させることができる。
一実施形態の製造装置10(製造方法)及びそれにより製造された磁気デバイスは以下の利点を有する。
(1)製造装置10は、成膜空間21aの基板ホルダ24に載置された基板Sを所定の温度に加熱し、プロセス圧力Pを0.1(Pa)以下に減圧する。そして、製造装置10は、反強磁性層の構成元素を主成分とする第2ターゲットT2を、KrとXeの少なくともいずれか一方をプロセスガスとして用いてスパッタすることにより反強磁性層を成膜する。
従来のように、Arをプロセスガスとして用いた場合、プロセス圧力Psが低くなるにつれて、スパッタ時に反跳するAr粒子の平均自由工程は増大する。反跳するAr粒子とは、スパッタ時において、ターゲットに衝突したArイオンが、ターゲット構成元素をスパッタせず、かつ電荷を失って散乱されたAr粒子である。低圧プロセスでは、より高い運動エネルギーを保有する反跳Ar粒子が基板の上の反強磁性層に対して照射される。この反跳Ar粒子の照射は、基板の上に成長するL1規則相から構成元素(例えば、Mn原子やIr原子等)を物理的にエッチングし、L1規則相に対して大きなダメージを与える。本発明者は、低圧プロセスが一方向異方性定数Jの低下を招く要因の一つとして、反跳Ar粒子から受けるL1規則相のダメージに着目した。そして、本発明者は、反跳するプロセスガス粒子(以下単に、反跳粒子という。)の低エネルギー化を検討する中で、KrとXeの少なくともいずれか一方をプロセスガスとして用いるとき、一方向異方性定数Jが、プロセス圧力Pに関わらず、約1.0(erg/cm2 )の高いレベルを示すことを見出した。
従って、KrとXeの少なくともいずれか一方をプロセスガスとして用いることにより、L1規則相の成長を促進させることができる。この結果、スパッタ時の圧力が0.1(Pa)以下の低圧プロセスにおいて一方向異方性定数Jを向上させることができ、反強磁性層の組成や膜厚の均一性を向上させることができる。ひいては、磁気デバイスの磁気特性を向上させることができる。
(2)製造装置10は、基板Sを所定の温度(好ましくは、100℃〜400℃)に加熱して反強磁性層を成膜する。したがって、スパッタ時の圧力が0.1(Pa)以下の低圧プロセスにおいて、L1規則相の成長を、より確実に促進させことができる。
尚、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態のプロセスガスは、KrとXeの混合ガスであってもよく、KrとXeの少なくともいずれか1つを含むガスであればよい。
・上記実施形態において、反強磁性層チャンバF1は、直流マグネトロン方式のスパッタ装置である。これに限らず、例えば、反強磁性層チャンバF1は、RFマグネトロン方式であってもよく、磁気回路MGを搭載しない構成であってもよい。
・上記実施形態において、磁気デバイスは、磁気メモリ30である。これに限らず、例えば、磁気デバイスは、磁気センサや磁気再生ヘッドでもよく、L1規則相の反強磁性層を有する磁気デバイスであればよい。

Claims (5)

  1. 組成式Mn100−X−M(Mは、Ru、Rh、Ir、Ptからなる群の中から選択される少なくともいずれか一つの元素である。Xは、20(atom% )≦X≦30(atom% )である。)によって表されるL1規則相を含む反強磁性層を基板の上に成膜して磁気デバイスを製造する磁気デバイスの製造方法であって、
    成膜室に前記基板を配置すること、
    前記基板を所定の温度に加熱すること、
    前記成膜室の圧力を0.1(Pa)以下に減圧すること、
    減圧された前記成膜室内で、前記反強磁性層の構成元素を主成分とするターゲットを、KrとXeの少なくともいずれか一方を用いてスパッタすることにより、前記基板の上に前記反強磁性層を成膜すること、
    を備えることを特徴とする磁気デバイスの製造方法。
  2. 請求項1に記載の磁気デバイスの製造方法において、
    前記反強磁性層を成膜することは、前記加熱によって100℃〜400℃に加熱された前記基板の上に前記反強磁性層を成膜することを含む
    ことを特徴とする磁気デバイスの製造方法。
  3. 組成式Mn100−X−M(Mは、Ru、Rh、Ir、Ptからなる群の中から選択される少なくともいずれか一つの元素である。Xは、20(atom% )≦X≦30(atom% )である。)によって表されるL1規則相を含む反強磁性層を基板の上に成膜して磁気デバイスを製造する磁気デバイスの製造装置であって、
    前記基板を収容する成膜室と、
    前記成膜室を減圧する減圧部と、
    前記成膜室で前記基板を加熱する加熱部と、
    前記反強磁性層の構成元素を主成分とするターゲットを有するカソードと、
    前記成膜室にKrとXeの少なくともいずれか一方を供給する供給部と、
    前記加熱部を駆動して前記基板を所定の温度に加熱し、前記減圧部を駆動して前記成膜室の圧力を0.1(Pa)以下に減圧し、前記供給部を駆動してKrとXeの少なくともいずれか一方を前記成膜室に供給し、前記カソードを駆動して前記ターゲットをスパッタすることにより、減圧された前記成膜室内で前記基板の上に前記反強磁性層を成膜する制御部と、
    を備えたことを特徴とする磁気デバイスの製造装置。
  4. 請求項3に記載の磁気デバイスの製造装置において、
    前記制御部は、前記加熱部を駆動して前記基板を100℃〜400℃に加熱させることを特徴とする磁気デバイスの製造装置。
  5. 組成式Mn100−X−M(Mは、Ru、Rh、Ir、Ptからなる群の中から選択される少なくともいずれか一つの元素である。Xは、20(atom% )≦X≦30(atom% )である。)によって表されるL1規則相を含む反強磁性層を備えた磁気デバイスであって、
    前記反強磁性層は、請求項3又は4に記載の磁気デバイスの製造装置によって製造されたことを特徴とする磁気デバイス。
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