JPWO2008149841A1 - β−フルオロ−α,β−不飽和カルボニル化合物の製造方法 - Google Patents

β−フルオロ−α,β−不飽和カルボニル化合物の製造方法 Download PDF

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Abstract

医薬品等の機能化学品用途に於いて有用なβ−フルオロ−α,β−不飽和カルボニル化合物を高収率、高選択率に製造できる工業的に優れた製造方法に関する。β−ジカルボニル化合物と特定のフルオロアミンとを反応させる方法である。

Description

本発明はフルオロ化合物の製造方法、即ち、β−ジカルボニル化合物のフッ素化反応による選択的なβ−フルオロ−α,β−不飽和カルボニル化合物の製造方法に関するものである。β−フルオロ−α,β−不飽和カルボニル化合物は医薬、農薬の他、機能化学品の原料として有用な化合物である。
含ハロゲン化合物はそのハロゲン原子に由来し、特徴的な性質を有する物が少なくない。その中でも特に含フッ素化合物は、特異な生理活性や機能を示すものが多く、広範な分野でその応用が検討されている。特に医薬品や農薬などの分野での含フッ素化合物の重要性は高まる一方である。
含フッ素化合物は、天然には殆ど存在しないので有機合成的にフッ素原子を導入する必要がある。そのため、他のハロゲンと同様に環境負荷が小さく、工業的に有利なフッ素化剤及びフッ素化方法が強く望まれており、多方面で研究開発が進められている。
有機化合物にフッ素原子を導入する方法として種々のフッ素化剤を利用する方法が知られているが(例えば、非特許文献1参照)、フッ素化剤は形式上フッ素カチオンを発生する求電子的フッ素化剤とフッ素アニオンを発生する求核的フッ素化剤の二つに大別される。求核的フッ素化剤は酸素官能基をフッ素に変換することができることから、選択的なフッ素導入手段として重宝されており、HFやHF/塩基(例えば、非特許文献2参照)をはじめ多くの化合物が開発されている。中でも含酸素官能基のケトンにも活性を示す四フッ化硫黄やジエチルアミノ三フッ化硫黄(DAST)、ビス(2−メトキシエチル)アミノ三フッ化硫黄(例えば、非特許文献3参照)などの高活性なフッ素化剤は研究室などで良く用いられている。
これらフッ素化剤を用いたβ−フルオロ−α,β−不飽和カルボニル化合物の合成研究が試みられている。アセチレン化合物のイノンを原料にHF系フッ素化剤でフッ素化反応を行ってβ−フルオロ−α,β−不飽和カルボニル化合物が合成されている(例えば、非特許文献4参照)。しかし、この方法では原料にアセチレン化合物のイノンを用いているが、この原料が高価な上に、工業的規模での入手が容易でないという問題点を有する。
一方、比較的容易に入手できるβ−カルボニル化合物を原料に用い、フッ素化剤でフッ素化を行う、β−フルオロ−α,β−不飽和カルボニル化合物の合成も研究されている(例えば、非特許文献5,6参照)。この方法では、フッ素化剤に四フッ化硫黄を用いジエチルエーテル中で反応を行い、収率60%程度で目的物が合成されている。しかし、使用しているフッ素化剤の四フッ化硫黄は毒性が非常に強く取り扱いには特別な装備を必要とするため工業的規模での実施は困難と考えられる。また収率も十分と言えず改善の余地がある。
四フッ化硫黄と同様に含酸素官能基のケトンに活性を示し、比較的取り扱いやすい求核的フッ素化剤として知られるDASTやビス(2−メトキシエチル)アミノ三フッ化硫黄があるが、これらをフッ素化剤に用いてβ−ジカルボニル化合物をフッ素化してもβ−フルオロ−α,β−不飽和カルボニル化合物は得られず、ジフルオロエノンとなってしまう(例えば、非特許文献7参照)。
このように、比較的入手容易なβ−ジカルボニル化合物を原料に用い、それを高選択的にフッ素化し、β−フルオロ−α,β−不飽和カルボニル化合物を効率良く合成する工業的に実施し得る製造法は知られていない。
John A.Wilkinson,Chemical Reviews,vol.92, No.4,1992, pp505-519 Norihiko Yoneda,Tetrahedron, vol.47, No.29, 1991, pp5329-5365 Gauri S.Lai,Guido P.Pez,et al.,Journal of Organic Chemistry,vol.64, No.19, 1999, pp7048-7054 Patrice Albert,Jack Cousseau,Journal of the Chemical Society,Chemical Communications,No.14, 1985, pp961-962 Stepanov I.V.,Burmakov A.I.,et al.,Zhurnal Organicheskoi Khimii,vol.22, No.1, 1986, pp227-228 Stepanov I.V.,Burmakov A.I.,et al.,Zhurnal Organicheskoi Khimii,vol.19, No.2, 1983, pp273-279 Rajendra P.Singh,Utpal Majumder.Jean’ne,M.SheeveJournal of Organic Chemistry, vol.66, No.19, 2001, pp6263-6267
本発明の目的は、β−ジカルボニル化合物を特定のフッ素化剤でフッ素化する、高収率、高選択的なβ−フルオロ−α,β−不飽和カルボニル化合物の、工業的規模で実施可能な製造法を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、β−ジカルボニル化合物を原料とし、特定のフルオロアミンを用いて反応させることにより、目的とするβ−フルオロ−α,β−不飽和カルボニル化合物が高選択的に生成することを見出し、本発明を完成するに到った。
即ち、本発明は、
〔1〕一般式(1)で表されるフルオロアミンと一般式(2)で表されるβ−ジカルボニル化合物を反応させることを特徴とする、一般式(3)で表されるβ−フルオロ−α,β−不飽和カルボニル化合物の製造方法、
Figure 2008149841
〔但し、一般式(1)におけるR0、R1及びR2は水素原子、又は置換基を有することのあるアルキル基若しくはアリール基であり、それぞれが同一でも異なっていてもよい。また、R0、R1、R2の二つ以上が結合して環を形成していてもよい〕
Figure 2008149841
Figure 2008149841
〔但し、一般式(2)及び(3)におけるR3、R4は水素原子、又は置換基を有することのあるアルキル基、ハロアルキル基若しくはアリール基であり、それぞれが同一でも異なっていてもよい。R5は水素原子、又は置換基を有することのあるアルキル基若しくはアリール基である。また、R5はR3とR4の何れか又は両方と環を形成しても良い〕、及び
〔2〕一般式(1)で表されるフルオロアミンのR0が3−メチルフェニル基又は2−メトキシフェニル基であり、R1及びR2がエチル基である、前記〔1〕に記載のβ−フルオロ−α,β−不飽和カルボニル化合物の製造方法、
を提供する。
本発明に示す、β−ジカルボニル化合物と特定のフルオロアミンとを反応させる方法を用いることにより、医薬品等の機能化学品用途に於いて有用なβ−フルオロ−α,β−不飽和カルボニル化合物を高選択率、高収率でしかも工業的規模で容易に製造することができる。
原料として用いられるβ-ジカルボニル化合物は、一般式(2)で示される。R3及びR4は水素原子、又は置換基を有することのあるアルキル基、ハロアルキル基若しくはアリール基であり、それぞれが同一でも異なっていてもよい。R5は水素原子、又は置換基を有することのあるアルキル基であり、R3若しくはR4又は両方と環を形成することもある。
Figure 2008149841
一般式(2)で示されるβ-ジカルボニル化合物の具体例としては、ペンタン−2,4−ジオン、ノナン−4,6−ジオン、トリデカン−6,8−ジオン、1,3−ジシクロヘキシルプロパン−1,3−ジオン、1,3−ジフェニルプロパン−1,3−ジオン、ヘプタン−2,4−ジオン、5,5−ジメチルヘキサン−2,4−ジオン、1,1,1−トリフルオロペンタン−2,4−ジオン、4,4,4−トリフルオロ−1−フェニルブタン−1,3−ジオン、ウンデカン−5,7−ジオン、1−フェニルブタン−1,3−ジオン、3−メチルペンタン−2,4−ジオン、4,4,4−トリフルオロ−1−フェニルブタン−1,3−ジオン、4,4−ジメチル−1−フェニルペンタン−1,3−ジオン、2−アセチルシクロヘキサノン、ヘキサヒドロナフタレン−1,8−ジオンを挙げることができる。
一方、フッ素化反応に用いる一般式(1)で示されるフルオロアミンとしては、N,N−ジメチル−α,α−ジフルオロメチルアミン、N,N−ジエチル−α,α−ジフルオロメチルアミン、N,N−ジ(イソプロピル)−α,α−ジフルオロメチルアミン、N,N−ジメチル−α,α−ジフルオロエチルアミン、N,N−ジメチル−α,α−ジフルオロプロピルアミン、N,N−ジメチルシアノ−α,α−ジフルオロエチルアミン、N,N−ジメチル−α,α−ジフルオロ−α−シクロプロピルアミン、N,N−ジエチル−α,α−ジフルオロ−(3−メチル)ベンジルアミン、N,N−ジエチル−α,α−ジフルオロ−(2−メトキシ)ベンジルアミン、N,N−ジエチル−α,α−ジフルオロ−2−ピリジルアミン、1−ジフルオロメチル−ピペリジン、及び4−ジフルオロメチル−ピペラジン等を挙げることができる。これらの化合物は、例えば特開2003−64034号公報に記載のように、N,N−2置換アミド化合物を出発原料に用い、種々のフッ素化剤を用いて直接フッ素原子を導入する方法、又はハロゲン化剤でハロゲン化反応を行った後、引き続き、ハロゲン交換反応を行ってフッ素を導入する方法で合成することができる。
一般式(1)で表されるフルオロアミンと一般式(2)で表されるβ−ジカルボニル化合物との反応は、回分式、半回分式、或いは連続方式での実施が可能であり、通常の熱反応、若しくはマイクロ波及び/又はマイクロ波近傍の電磁波の照射下に反応を行うことができる。
反応温度は、通常200℃以下で実施することが好ましく、10℃150℃の温度範囲がより好ましく、20℃〜120℃がさらに好ましい。10℃以上であれば、十分な反応速度が得られ、効率的であり、また、150℃以下であれば、フッ素化剤の分解や副反応による収率低下が起こらない。
また振動数が0.3GHz〜300GHzの範囲のマイクロ波、或いは1GHz以下又は30GHz〜300GHzのマイクロ波近傍の電磁波を照射して反応を行うことができる。該電磁波は、連続的、又は断続的に温度を制御しながら行うなどして照射することができる。
前記特定のフルオロアミンによるβ−ジカルボニル化合物のフッ素化反応に関し、フルオロアミンの使用量は、基質としてのβ−ジカルボニル化合物1モルに対し1モルから4モルの範囲で用いることが好ましく、さらに好ましくは1.5モルから3.0モルで、特に好ましくは1.8〜2.2である。1モル以上であれば、十分な収率が得られ、4モル以下であれば、無駄に過剰となることや、副反応を懸念する必要がない。
該フッ素化反応に対し反応溶媒は必ずしも用いる必要はないが、基質の溶解、反応の制御やその他操作性向上などの目的に用いることができる。その場合使用可能な溶媒は基質、フルオロアミンや生成物に対して不活性な脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、芳香族ハロゲン化炭化水素、ニトリル類、エーテル類等であり、適宜これらから選択し、必要に応じてこれらを組み合わせて用いることもできる。
反応時間は、熱反応では1時間から36時間の範囲が好ましい。マイクロ波及び/又はマイクロ波近傍の電磁波の照射下に反応を行う場合は、0.1分から180分の範囲が好ましいが、更に長時間照射することもできる。
該反応に用いるフルオロアミンは反応系に含まれる水分と反応し不活性化するため、反応雰囲気に対する水分管理は重要である。例えば、反応雰囲気中の水分濃度として10ppmから5重量%の範囲で管理することが好ましく、100ppmから1重量%で管理することがより好ましい。また、その他の反応雰囲気については特に定めはないが、防爆及び副反応防止の観点から、不活性ガス雰囲気で行うことが望ましい。反応圧力は常圧で実施するが、加圧下で実施することもできる。
反応生成物は、反応終了後、例えば、反応液をアルカリ水溶液や水によって中和し洗浄した後、有機溶媒による抽出などを行うことによって分離回収することができる。また、そのようにして分離した反応生成物を一般的な蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの操作でさらに精製することもできる。
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明する。尚、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
参考例1
N,N−ジエチル−α,α−ジフルオロ−(3−メチル)ベンジルアミンの合成
a)N,N−ジエチル−α−クロロメタトルイルアミジウムクロリドの合成
三つ口フラスコ(300mL)に、窒素雰囲気下、オキサリルクロリド25g(0.197mol)を含む四塩化炭素溶液125gを仕込んだ。フラスコを氷冷し、撹拌しながらN,N−ジエチルメタトルアミド45g(0.236mol)を20分かけて滴下した。滴下終了後、同温度で10分保持し、内容物温度を50℃とした後、一時間反応を行った。反応時にガス発生が観察され、その後白色の固体が析出した。得られた析出物を濾別し四塩化炭素、n−ヘキサンで洗浄後乾燥し、N,N−ジエチル−α−クロロメチトルイルアミジウムクロリド47.5gを得た(収率98%)。
b)N,N−ジエチル−α,α−ジフルオロ−(3−メチル)ベンジルアミンの合成
三つ口フラスコ(500mL)に、先に合成したN,N−ジエチル−α−クロロメタトルイルアミジウムクロリド25g(0.1mol)とスプレードライしたフッ化カリウム23.5g(0.4mol:森田化学品)、アセトニトリル250gを仕込み、窒素雰囲気下にアセトニトリルの還流温度で18時間反応を行った。反応終了後、室温まで冷却して濾過を行った。この濾液をエバポレーターで濃縮後蒸留によりN,N−ジエチル−α,α−ジフルオロ−(3−メチル)ベンジルアミン13gを得た(収率60%)。以下の記述においてN,N−ジエチル−α,α−ジフルオロ−(3−メチル)ベンジルアミンを「フッ素化剤A」と略すことがある。
参考例2
N,N−ジエチル−α,α−ジフルオロ−(2−メトキシ)ベンジルアミンの合成
a)2−メトキシ−N,N−ジエチルベンズアミドの合成
200mLの4つ口フラスコにジエチルアミン25.8g(0.352mol)のトルエン溶液(トルエン30.8g)を入れ、氷冷下で急激な発熱が起きないように2−メトキシ安息香酸クロリド20g(0.117mol)のトルエン溶液(トルエン10.0g)をゆっくり滴下した。全液加えた後、水でアミンの塩酸塩を抽出、除去した。得られたトルエン層をMgSO4で乾燥し、溶媒留去により2−メトキシ−N,N−ジエチルベンズアミド22.8gを得た(収率94%)。
b)N,N−ジエチル−α−クロロ−(2−メトキシ)フェニルアミジウムクロリドの合成
200mLの4つ口フラスコを窒素で置換し、オキサリルクロリドの45%四塩化炭素溶液(オキサリルクロリド:24.5g,0.193mol)を加え、室温、窒素雰囲気下、先に合成した2−メトキシ−N,N−ジエチルベンズアミド20.1g(0.0965mol)を滴下した(内温が5℃上昇)。滴下終了後53℃で5時間加熱撹拌すると、反応液は2層分離した。反応停止後溶媒を留去し、粘性液体を得た。グローブボックス中放置すると茶色固体が析出した(収量26.6g)。ヘキサンおよび四塩化炭素で洗浄後乾燥し、N,N−ジエチル−α−クロロ−(2−メトキシ)フェニルアミジウムクロリド21.4gを得た(収率80%)。
c)N,N−ジエチル−α,α−ジフルオロ−(2−メトキシ)ベンジルアミンの合成
グローブボックス中、100mLの三つ口フラスコに先に合成したN,N−ジエチル−α−クロロ−(2−メトキシ)フェニルアミジウムクロリド5.0g(0.018mol)、アセトニトリル50g、スプレードライしたフッ化カリウム4.4g(0.076mol:森田化学品)を仕込み、窒素雰囲気下、80℃で20時間反応させた。反応停止後、室温に戻し、グローブボックス中で濾過、洗浄した。得られた溶液をエバポレーターで濃縮後、蒸留によりN,N−ジエチル−α,α−ジフルオロ(2−メトキシ)ベンジルアミン3.51gを得た(収率67%)。以下の記述においてN,N−ジエチル−α,α−ジフルオロ−(2−メトキシ)ベンジルアミンを「フッ素化剤B」と略すことがある。
実施例1
(1,3−ジフェニルプロパン−1,3−ジオンのフッ素化)
テフロンPFA容器に1,3−ジフェニルプロパン−1,3−ジオン(1mmol)、ジオキサン(1mL)を入れ80℃でフッ素化剤A(2mmol)を滴下した。そのまま5時間の反応を行った後、0℃まで冷却してから氷水にクエンチした。飽和炭酸水素ナトリウム水を10ml入れて中和した後、エーテル(25ml)で抽出を3回行い、硫酸マグネシウムで乾燥させた。抽出物をカラムクロマトグラフィーで分離精製した。目的物である3−フルオロ−1,3−ジフェニル−2プロペン−1−オンが収率78%で得られた。
なお、目的物は、β位のフッ素原子がカルボニル基と同じ側にあるものをZ、反対側にあるものをEとして表すと、その比率はE:Z=56:44であった。以下の実施例においても、(E:Z)は、立体異性体の比率を表す。
実施例2
(ウンデカン−5,7−ジオンのフッ素化)
テフロンPFA容器にウンデカン−5,7−ジオン(1mmol)、ジオキサン(1mL)を入れ30℃でフッ素化剤A(2mmol)を滴下した。そのまま24時間の反応を行った後、0℃まで冷却してから氷水にクエンチした。飽和炭酸水素ナトリウム水を10ml入れて中和した後、エーテル(25ml)で抽出を3回行い、硫酸マグネシウムで乾燥させた。抽出物をカラムクロマトグラフィーで分離精製した。目的物である7−フルオロ−6−ウンデセン−5−オンが収率79%(E:Z=73:27)で得られた。
実施例3
(1−フェニルブタン−1,3−ジオンのフッ素化)
テフロンPFA容器に1−フェニルブタン−1,3−ジオン(1mmol)、ジオキサン(1mL)を入れ30℃でフッ素化剤A(2mmol)を滴下した。
そのまま24時間の反応を行った後、0℃まで冷却してから氷水にクエンチした。飽和炭酸水素ナトリウム水を10ml入れて中和した後、エーテル(25ml)で抽出を3回行い、硫酸マグネシウムで乾燥させた。抽出物をカラムクロマトグラフィーで分離精製した。目的物である3−フルオロ−1−フェニル−2−ブテン−1−オンが収率89%(E:Z=62:38)で得られた。
実施例4
(4,4,4−トリフルオロ−1−フェニルブタン−1,3−ジオンのフッ素化)
テフロンPFA容器に4,4,4−トリフルオロ−1−フェニルブタン−1,3−ジオン(1mmol)、ジオキサン(1mL)を入れ30℃でフッ素化剤A(2mmol)を滴下した。そのまま24時間の反応を行った後、0℃まで冷却してから氷水にクエンチした。飽和炭酸水素ナトリウム水を10ml入れて中和した後、エーテル(25ml)で抽出を3回行い、硫酸マグネシウムで乾燥させた。抽出物をカラムクロマトグラフィーで分離精製した。目的物である3,4,4,4−テトラフルオロ−1−フェニル−2−ブテン−1−オンが収率83%(E:Z=18:82)で得られた。
実施例5
(4,4−ジメチル−1−フェニルペンタン−1,3−ジオンのフッ素化)
テフロンPFA容器に4,4−ジメチル−1−フェニルペンタン−1,3−ジオン(1mmol)、ジオキサン(1mL)を入れ80℃でフッ素化剤B(2mmol)を滴下した。そのまま5時間の反応を行った後、0℃まで冷却してから氷水にクエンチした。飽和炭酸水素ナトリウム水を10ml入れて中和した後、エーテル(25ml)で抽出を3回行い、硫酸マグネシウムで乾燥させた。抽出物をカラムクロマトグラフィーで分離精製した。目的物である1−フルオロ−4,4−ジメチル−1−フェニル−1−ペンテン−3−オンが収率82%(E:Z=1:99)で得られた。
上記実施例の結果をまとめて表1に示す。
Figure 2008149841
表1の結果から明らかなように、本発明の実施例では、目的物のβ−フルオロ−α,β−不飽和カルボニル化合物が、78〜89%の高い収率で得られている。また、目的物の立体異性体も、E体又はZ体の何れかが高い比率となっており、特に実施例5、実施例4、及び実施例2では、高い選択率が得られている。
本発明に示す、β−ジカルボニル化合物と特定のフルオロアミンとを反応させる方法を用いることにより、β−フルオロ−α,β−不飽和カルボニル化合物を高収率、高選択率でしかも工業的規模で容易に製造することができ、医薬品等の機能化学品用途の製造方法として有効に利用できる。

Claims (2)

  1. 一般式(1)で表されるフルオロアミンと一般式(2)で表されるβ−ジカルボニル化合物を反応させることを特徴とする、一般式(3)で表されるβ−フルオロ−α,β−不飽和カルボニル化合物の製造方法。
    Figure 2008149841
    〔但し、一般式(1)におけるR0、R1及びR2は水素原子、又は置換基を有することのあるアルキル基若しくはアリール基であり、それぞれが同一でも異なっていてもよい。また、R0、R1、R2の二つ以上が結合して環を形成していてもよい〕
    Figure 2008149841
    Figure 2008149841
    〔一般式(2)及び(3)におけるR3、R4は水素原子、又は置換基を有することのあるアルキル基、ハロアルキル基若しくはアリール基であり、それぞれが同一でも異なっていてもよい。R5は水素原子、又は置換基を有することのあるアルキル基若しくはアリール基である。また、R5はR3とR4の何れか又は両方と環を形成しても良い〕
  2. 一般式(1)で表されるフルオロアミンのR0が3−メチルフェニル基又は2−メトキシフェニル基であり、R1及びR2がエチル基である、請求項1に記載のβ-フルオロ-α,β-不飽和カルボニル化合物の製造方法。
JP2009517859A 2007-06-08 2008-06-02 β−フルオロ−α,β−不飽和カルボニル化合物の製造方法 Withdrawn JPWO2008149841A1 (ja)

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