JPWO2008139681A1 - モールド整流子、及びそれを組込んだ整流子モータ - Google Patents

モールド整流子、及びそれを組込んだ整流子モータ Download PDF

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Abstract

本発明のモールド整流子は、銅または銅合金からなり円周上に配置された複数の整流子片と、隣接する整流子片の間に配設され、平行な一対の面を有しそれぞれに電極を有する複数のスパーク吸収素子と、それらを一体的に成形する樹脂モールド部とを有する。このスパーク吸収素子は、電極を介して整流子片に電気的に接続され、この整流子片に発生するスパーク電圧は、電極間に流れる電流により吸収されるように構成される。

Description

本発明は、掃除機や電動工具などに使用される整流子モータの整流機能を行うモールド整流子、及びそれを組込んだ整流子モータに関する。
掃除機など家電機器に使用される整流子モータは、モータの小型軽量化、性能向上、高入力化に伴い、モータ回転中にブラシと整流子片間に生ずる火花放電(以下、スパークと記載する)が大きくなり、ブラシ寿命が確保できなくなる課題がある。
この課題を解決するためには、スパーク電圧を小さくする必要があり、ブラシの比抵抗を高く設定し、電機子の巻線回数を少なくするなどの対策を行うことによって、ブラシ寿命を確保している。しかしながら、この対策は、モータの効率を低下させるため、最良の対策ではないのが現状である。
一方、情報機器などに使用される低電圧(3〜20V)駆動の整流子モータには、ブラシ寿命を確保するために、一般的に、整流子片と巻線間に円盤状のバリスタ特性を有するスパーク吸収素子が外付けされている。
スパーク吸収素子として一般的に使用されているバリスタは、ある電圧以上になると抵抗値が急減して電流を流し始める特性を有しているものであり、一般的に1mAの電流が流れたときの電圧をバリスタ電圧と呼んでいる。
前述の情報機器などに使用される整流子モータに使用されるバリスタは、チタン酸ストロンチウム系で、バリスタ電圧は、3V/mAより20V/mA程度のものである。
このスパーク吸収素子を巻線と整流子片間に電気的接合した場合、整流切り替わり時に発生する起電力を吸収する効果が得られることにより、スパーク発生時のスパークエネルギーが抑えられ、ブラシ寿命の長寿命化が可能となる。このようなスパーク吸収素子を使ってブラシ寿命の長寿命化を図る例として、例えば特許文献1、特許文献2が開示されている。特許文献1には球形状のスパーク吸収素子を使用した例が、そして特許文献2にはピン形状のスパーク吸収素子を使用した例が開示されている。後者の例について、以下、図面を参照して説明する。図9は従来のモールド整流子におけるスパーク吸収素子挿入部分の部分断面図であり、図10はスパーク吸収素子に流れる電流経路の説明図である。
この従来のモールド整流子は、銅または銅合金からなり円周上に配置された複数の整流子片80と、ピン形状のスパーク吸収素子82と、これらを一体的に成形する樹脂モールド部85とを備える。各整流子片間にアンダーカット81を施すことにより切り離し、モールド整流子が完成する。
ピン形状のスパーク吸収素子82は、整流子片80間のスパーク電圧を吸収する機能とともに、高速回転時に整流子片80にかかる遠心力に対し、整流子片80を固定、補強する機能も兼ねる。整流子モータが回転したときのスパーク電圧は、図10の矢印に示すスパーク吸収電流91、スパーク吸収電流92によって吸収される。
しかしながら、このスパーク吸収電流は、スパーク吸収素子82に均一に流れないという課題があった。即ち、スパーク吸収電流91(実線矢印で示す)は、スパーク吸収電流92(破線矢印で示す)より遙かに大きい値になり、結果的にスパーク吸収素子82の整流子片80との接触部95に電流が集中してしまう。その結果、バリスタ特性が大幅に低下し、スパーク電圧の吸収性能が充分に発揮されず、ブラシ寿命の低下をきたすという課題があった。また、高電圧モータに使用した場合、この接触部95周辺の局部的な自己発熱が大きくなり、素子の劣化を起こす可能性もあった。
特開平8−237913号公報 特開平10−257739号公報
本発明のモールド整流子は、銅または銅合金からなり円周上に配置された複数の整流子片と、平行な一対の面を有しそれぞれに電極を有する複数のスパーク吸収素子と、それぞれの隣接する整流子片の間にスパーク吸収素子が配設され、複数の整流子片と複数のスパーク吸収素子とを一体的に成形する樹脂モールド部とを有する。
ここで、このスパーク吸収素子は、電極を介して整流子片に電気的に接続され、この整流子片に発生するスパーク電圧は、電極間に流れる電流により吸収されるように構成される。本発明は、さらにこのモールド整流子を組込んだ整流子モータを含む。
本発明は、この構成により、スパーク吸収素子の厚み方向に電流を流すことができるので、素子のスパークに対するエネルギー耐量を大きくすることができる。さらに、それぞれの電極面積を最大限に大きくすることが可能であるとともに、電流を最短距離に流すことができるため、スパークの吸収性を向上させることができる。したがって、高電圧モータに使用する際、整流子片間電圧も高くなることから、漏れ電流を抑えることができ、発熱などを最小限に抑えることができる。簡単な構成で高信頼性、長寿命のモールド整流子、及び整流子モータを提供することができる。
図1は本発明の実施の形態1における整流子モータの外観図である。 図2は本発明の実施の形態1における電機子及び整流子部分の外観図である。 図3は本発明の実施の形態1における整流子の縦断面図である。 図4は同横断面図である。 図5は図4におけるA部拡大図である。 図6は本発明の実施の形態1におけるスパーク吸収素子の斜視図である。 図7は本発明の実施の形態2におけるスパーク吸収素子挿入部分の部分断面図である。 図8は本発明の実施の形態2におけるスパーク吸収素子に流れる電流経路の説明図である。 図9は従来のモールド整流子におけるスパーク吸収素子挿入部分の部分断面図である。 図10は従来のモールド整流子におけるスパーク吸収素子に流れる電流経路の説明図である。
符号の説明
1 界磁
2 界磁コア
3 界磁巻線
5 軸受
10 電機子
11 回転軸
12 電機子コア
13 電機子巻線
17 回転ファン
18 エアガイド
22 ブラケット
23 ブラシ保持器
24 ネジ
25 吸気口
26 排気口
31 渡り線部
40 整流子
41,41a 整流子片
42 溝部
43 埋設凹部
47 アンカー部
48,48a フック
49,49a アンダーカット
50,50a スパーク吸収素子
51,51a スパーク吸収素子本体
52,52a 電極
56 スパーク吸収素子の電流の流れ
60,61 樹脂モールド部
65 セラミックピン
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
(実施の形態1)
まず、本発明のモールド整流子が組込まれる整流子モータの外観図を示す図1にしたがって説明を行う。また、この整流子モータは、電源電圧が100V以上、240V以下の交流電源で使用される。
図1において、界磁1は、界磁コア2に界磁巻線3を施して構成されている。電機子10は、回転軸11に固着された電機子コア12に電機子巻線13を施し、整流子40を同軸上に配置して、回転軸11の両端に設けられた軸受5によって回転自在に支承されている。
界磁1は、ブラケット22に固定され、ブラケット22に一対のカーボンブラシ(図示せず)が、ブラシ保持器23を介してネジ24にて固定されている。また、回転軸11には回転ファン17が備えられ、その外周部及び下部に通風路を形成するエアガイド18が配されている。
上記構成において、電力が供給されると界磁巻線3を伝導した電流がカーボンブラシ(図示せず)を通って整流子40に伝わり、界磁コア2で発生した磁束と電機子巻線13を通る電流との間で力が発生し、電機子10が回転する。電機子10が回転することにより、回転ファン17が回転し、吸気口25より吸い込んだ空気は、矢印の経路を通って電機子10、界磁1、カーボンブラシを冷却しながら、ブラケット22の排気口26より排出される。
図2は、上記図1にて説明した本発明の電機子10の詳細を示したものである。電機子コア12と整流子40が、回転軸11に圧入、焼バメなどの方法で接合されている。電機子コア12には電機子巻線13が巻回されている。巻回された電機子巻線13は、渡り線部31を経て整流子40のフック48に接合されている。
次に、本発明の実施の形態1における整流子40の具体的構成について説明を行う。図3は本発明の実施の形態1における整流子の縦断面図、図4は同横断面図、図5は図4におけるA部の拡大図である。
本実施の形態における整流子40の整流子片41は、これらの図に示すように、円周上に配置されている。この整流子片41は、導電性が良好な電気銅に耐加工性を向上するため約0.07wt%の銀が添加された銅合金を使用している。そして、この形状は異形ダイスを使用し、連続的に引き抜いた状態で長手方向の整流子片形状を作り、その後プレス加工にて最終形状に加工される。なお、この整流子片の材料は、銅合金に限定されるものではなく、例えば銅であってもよい。
セラミックピン65は、整流子片41の回転方向両側端面の溝部と合致する形状の円筒状のピンであり、アルミナセラミックで作製されている。そして、円形板形状のスパーク吸収素子50が、それぞれの整流子片41の間に配設されている。本実施の形態では、合計24個の整流子片41が円周上に配置されているので、それぞれの間に、合計24本のセラミックピン65と24個のスパーク吸収素子50が配設されることになる。これらを交互に組み合せ仮組みし、モールド成形用リングに圧入される。これにより整流子片41によりセラミックピン65とスパーク吸収素子50とが押圧保持された状態となっている。これにより、高速回転時に整流子片41にかかる遠心力に対し、セラミックピン65によって補強されることになる。
次に、図6は本実施の形態におけるスパーク吸収素子50の斜視図である。スパーク吸収素子50は、図6に示すように、円形板形状をなしている。また、その厚さは0.5mm以上であることが好ましい。これは、バリスタ電圧がスパーク吸収素子の厚み(より詳細には、スパーク吸収素子内の結晶粒の大きさ)により決定されるためである。仮に、0.5mm未満とすると、必要となるバリスタ電圧を得るために、結晶粒の大きさの調整が困難となるためである。また、0.5mm未満であれば、スパーク吸収素子の機械的強度が極端に低減し、割れや欠けも発生すると考えられるためである。また、スパーク吸収素子の厚さは、1.5mm以下であることがさらに好ましい。これは、1.5mmを超えると、技術的に困難であるとともに、生産性やコスト面で不利となるためである。つまり、1.5mmを超えると、必要となるバリスタ電圧を得るために、結晶粒1粒当たりの粒径を70〜80μm以上としなければならなくなる。そして、結晶粒をこの程度まで成長させるためには焼成時間を長くしたり、焼成温度を高温にする必要がある。そうすると、現在の技術では困難であるとともに、生産性、コスト面でも不利益が大きいのである。また、仮に以上の困難性を乗り越えて、焼成時間を長くしたり、焼成温度を高温にしたりして、所望の粒径を得たとしても、α値が小さくなって漏れ電流が大きくなるため、特性が低下すると考えられる。
そしてスパーク吸収素子本体51の表裏に電極52を備える構成となっている。電極52の面積は、スパーク吸収素子本体51の面積の80%以上としている。スパーク吸収素子50に流れる電流は、スパーク吸収素子本体51の厚み方向に流れるが、スパーク吸収素子本体51に均等且つ有効に流れるようにするためである。つまり、電極の面積は、スパーク吸収素子に全体的に均一となり、一部に電流が集中することを避けるために、できるだけ広く設定しておいた方がよく、80%以上であることが好ましい。仮に80%未満になると、スパーク吸収素子の表裏面の面積のうち電極のない部分が有効に利用されなくなり、電極のある部分に電流が集中して流れる。この結果、スパーク吸収素子の劣化が早まり、破壊を生じる可能性が高くなるためである。
整流子片41は、各々の側面におけるスパーク吸収素子50と接する部分には、溝部42を備えている。この溝部42の断面形状は半円形状であり、それぞれの側面に2個設けるのが好適である。この整流子片41の各々の側面は、スパーク吸収素子50の表裏の電極52に電気的に接合される。接合方法としては、圧接、導電性接着剤、はんだ付けなど、適切な方法が選択される。この溝部42には、樹脂モールド部60が一体的に充填されることにより、スパーク吸収素子50がより強固に固着される。また、成形時におけるスパーク吸収素子50の傾きや割れを防止し、さらに高速回転時の遠心力に対してスパーク吸収素子50を保護する効果も期待できる。なお、この溝部42の数は、それぞれの側面に2個に限定されるものではなく、例えば1個、3個など、適宜選択される。また、形状も半円形状に限定されるものではない。
以上のように整流子片41とスパーク吸収素子50の電極52とを接合することにより、整流子片41に発生するスパーク電圧は、スパーク吸収素子本体51の厚み方向に流れる電流により吸収される。従来例のように電流が局部に集中することなく均等に流れるので、スパーク電圧の吸収性能を向上させることが可能となる。
このスパーク吸収素子50として、非直線性抵抗特性を有するいわゆるバリスタ素子が用いられる。そして、バリスタ電圧は、このスパーク吸収素子50に1mAの電流を流した時の電圧値として定義される。非直線抵抗指数αは、1mAと100μAにおける各電流を流した時の電圧値から下記式により算出する。
α=(logI1―logI2)/(logV1―logV2)
ただし、I1=1mA、I2=100μAであり、V1、V2はI1、I2における電圧値である。
非直線抵抗指数αは、高いほど安定してバリスタ素子間に電流(スパーク電流)を流すことが可能となり、さらにスパーク電圧除去効果も高くなる。チタン酸ストロンチウム系バリスタのα値は2〜10程度のものであるのに対して、酸化亜鉛系バリスタは20〜60程度のα値を有することが可能であり、スパーク吸収効果には非常に有用である。
次に、このスパーク吸収素子50の物性的内容を説明する。このスパーク吸収素子50は、酸化亜鉛を主成分としたいわゆるバリスタである。より具体的には、酸化亜鉛(ZnO)粉末に酸化ビスマス(Bi23)、酸化コバルト(CoO)、酸化ニッケル(NiO)、酸化マンガン(MnO)、酸化クロム(Cr23)、酸化アルミニウム(Al23)、酸化ケイ素(SiO2)、酸化スズ(SnO2)、酸化アンチモン(Sb23)の酸化物を添加し混合した粉末を使用している。この粉末にバインダーとしてポリビニルアルコールを添加し、組成の均質化のためにスプレードライヤーにて造粒する。その後、所定のリング状にプレス成形を行う。
なお、酸化亜鉛粉末の平均粒径は0.6μmより3μmを使用し、焼成温度は900℃より1200℃、焼成時間は3時間より30時間、昇温速度は20℃/時間より100℃/時間の条件にて実施することで、酸化亜鉛の結晶粒径を調整し、所定のバリスタ電圧になるよう調整を行う。
その後、円形板形状の表裏両面にマスク印刷により、銀電極52を形成し、スパーク吸収素子50が完成する。
さらに、図4、図5に示す樹脂モールド部60は、酸化アルミニウム、炭化珪素及びガラス繊維の少なくとも一つが添加材料として添加された熱硬化性樹脂(例えば、フェノール樹脂)を使用して、整流子片41とスパーク吸収素子50、及びセラミックピン65とを一体的に成形する。その後、各整流子片を絶縁するために、各子片間にアンダーカット49を施すことにより切り離し、本発明のモールド整流子40が完成する。
本実施の形態によれば、整流子片41の各側面と、スパーク吸収素子50の表裏の面電極52とが電気的に接合されることから、隣り合う整流子片間に発生するスパークを吸収する際、スパーク吸収素子50の厚み方向に電流を流すことができる。このため、片側面に電極を設けた構造の場合より、エネルギー耐量を高くすることができる。また、モータ回転時に整流子間に発生するスパーク電圧をスパーク吸収素子50の厚み方向で吸収することから、整流子片間のバリスタ特性を厚み調整することにより設定が可能となる。このため、モータ仕様が変わっても対応が可能となり汎用性が非常に高くなる。これにより、100V以上、240V以下の交流電源で使用される高電圧モータや様々なモータ仕様への適応が可能となる。
(実施の形態2)
図7は本発明の実施の形態2におけるスパーク吸収素子挿入部分の部分断面図、図8はそのスパーク吸収素子に流れる電流経路の説明図である。
本実施の形態における整流子片41aは、実施の形態1における溝部42の代わりに埋設凹部43が設けられている。そして、隣接する整流子片41aの埋設凹部43との間にスパーク吸収素子50aが挟み込まれて埋設される。スパーク吸収素子50aの形状は、四角形板状が好適である。スパーク吸収素子50aは、スパーク吸収素子本体51aとその表裏両面に設けられた電極52aより構成される。そして、この電極52aの面積は、実施の形態1と同様に、スパーク吸収素子本体51aの面積の80%以上である。図8に示すように、スパーク吸収電流56は、スパーク吸収素子本体51aの厚み方向に均一に流れる。この構成により、実施の形態1と同様の効果を奏することができる。
なお、図7に示す電流経路の説明図においては、埋設凹部43は省略して示している。また、スパーク吸収素子50aの形状は、四角形板状に限定されるものではなく、例えば実施の形態1と同様に円形板状、あるいは楕円形板状など、適宜選択可能である。また、スパーク吸収素子50aの厚さは、実施の形態1と同様に、0.5mm以上、1.5mm以下の範囲で選択される。ただし、実施の形態1より若干厚くする方が好ましい。
次に、実施の形態1と実施の形態2とを含めて、従来例との比較実験を行ったので、その結果を説明する。
表1は、従来例のスパーク吸収素子(ピン形状)と実施の形態1のスパーク吸収素子(円形板形状)との比較において、バリスタ電圧とα値(非直線抵抗指数)との測定値を示す。
Figure 2008139681
この表より明らかなように、実施の形態1のスパーク吸収素子は、従来例のスパーク吸収素子に比べて、α値が遙かに大きい値を示す。これにより、大きいスパーク吸収電流を流すことが可能となり、スパーク電圧の吸収効果が大きいことがわかる。
次に、表2は、実施の形態1(円形板形状)、実施の形態2(四角形板形状)、従来例(ピン形状)、スパーク吸収素子なし、の4つの場合について、ブラシ寿命を測定したものである。モータは、無負荷の状態で240Vの交流電圧を印加し、オリフィス径16mm、37,000r/分の回転数、10分オン−2分オフの条件でブラシ(モータ)寿命を測定した。ブラシ長は、摩耗代30mmとした。
Figure 2008139681
この結果より、実施の形態1と実施の形態2に示す本発明のモールド整流子を使った整流子モータは、ブラシ寿命がスパーク吸収素子なしの場合に比べて約2倍、従来例の構造の場合に比べて約1.5倍に改善でき、長寿命化の効果があることが確認された。
なお、上述した実施の形態においては、スパーク吸収素子50、50aとしてバリスタ素子を利用しているが、バリスタ素子に代えてコンデンサ素子及び抵抗素子を組み合わせたものを利用してもよい。このようにコンデンサ素子と抵抗素子とを組み合わせた場合には、バリスタ素子と同様の効果を奏することができる。
また、上述した実施の形態においては、セラミックピン65を備える構成を採用しているが、セラミックピン65を備えない構成としてもよい。特に、実施の形態2の構成は、スパーク吸収素子50aがセラミックピンの代用をすることが可能であり、セラミックピン65を備えない構成として好適である。
本発明のモールド整流子及びそれを組込んだ整流子モータによると、スパーク吸収素子の厚み方向に電流を流すことによって、整流子片に発生するスパークの吸収性を向上させることができる。これにより、掃除機や電動工具などに使用される高電圧モータとして、簡単な構成で高信頼性、長寿命のモールド整流子、及び整流子モータを提供することができる。
本発明は、掃除機や電動工具などに使用される整流子モータの整流機能を行うモールド整流子、及びそれを組込んだ整流子モータに関する。
掃除機など家電機器に使用される整流子モータは、モータの小型軽量化、性能向上、高入力化に伴い、モータ回転中にブラシと整流子片間に生ずる火花放電(以下、スパークと記載する)が大きくなり、ブラシ寿命が確保できなくなる課題がある。
この課題を解決するためには、スパーク電圧を小さくする必要があり、ブラシの比抵抗を高く設定し、電機子の巻線回数を少なくするなどの対策を行うことによって、ブラシ寿命を確保している。しかしながら、この対策は、モータの効率を低下させるため、最良の対策ではないのが現状である。
一方、情報機器などに使用される低電圧(3〜20V)駆動の整流子モータには、ブラシ寿命を確保するために、一般的に、整流子片と巻線間に円盤状のバリスタ特性を有するスパーク吸収素子が外付けされている。
スパーク吸収素子として一般的に使用されているバリスタは、ある電圧以上になると抵抗値が急減して電流を流し始める特性を有しているものであり、一般的に1mAの電流が流れたときの電圧をバリスタ電圧と呼んでいる。
前述の情報機器などに使用される整流子モータに使用されるバリスタは、チタン酸ストロンチウム系で、バリスタ電圧は、3V/mAより20V/mA程度のものである。
このスパーク吸収素子を巻線と整流子片間に電気的接合した場合、整流切り替わり時に発生する起電力を吸収する効果が得られることにより、スパーク発生時のスパークエネルギーが抑えられ、ブラシ寿命の長寿命化が可能となる。このようなスパーク吸収素子を使ってブラシ寿命の長寿命化を図る例として、例えば特許文献1、特許文献2が開示されている。特許文献1には球形状のスパーク吸収素子を使用した例が、そして特許文献2にはピン形状のスパーク吸収素子を使用した例が開示されている。後者の例について、以下、図面を参照して説明する。図9は従来のモールド整流子におけるスパーク吸収素子挿入部分の部分断面図であり、図10はスパーク吸収素子に流れる電流経路の説明図である。
この従来のモールド整流子は、銅または銅合金からなり円周上に配置された複数の整流子片80と、ピン形状のスパーク吸収素子82と、これらを一体的に成形する樹脂モールド部85とを備える。各整流子片間にアンダーカット81を施すことにより切り離し、モールド整流子が完成する。
ピン形状のスパーク吸収素子82は、整流子片80間のスパーク電圧を吸収する機能とともに、高速回転時に整流子片80にかかる遠心力に対し、整流子片80を固定、補強する機能も兼ねる。整流子モータが回転したときのスパーク電圧は、図10の矢印に示すスパーク吸収電流91、スパーク吸収電流92によって吸収される。
しかしながら、このスパーク吸収電流は、スパーク吸収素子82に均一に流れないという課題があった。即ち、スパーク吸収電流91(実線矢印で示す)は、スパーク吸収電流92(破線矢印で示す)より遙かに大きい値になり、結果的にスパーク吸収素子82の整流子片80との接触部95に電流が集中してしまう。その結果、バリスタ特性が大幅に低下し、スパーク電圧の吸収性能が充分に発揮されず、ブラシ寿命の低下をきたすという課題があった。また、高電圧モータに使用した場合、この接触部95周辺の局部的な自己発熱が大きくなり、素子の劣化を起こす可能性もあった。
特開平8−237913号公報 特開平10−257739号公報
本発明のモールド整流子は、銅または銅合金からなり円周上に配置された複数の整流子片と、平行な一対の面を有しそれぞれに電極を有する複数のスパーク吸収素子と、それぞれの隣接する整流子片の間にスパーク吸収素子が配設され、複数の整流子片と複数のスパーク吸収素子とを一体的に成形する樹脂モールド部とを有する。
ここで、このスパーク吸収素子は、電極を介して整流子片に電気的に接続され、この整流子片に発生するスパーク電圧は、電極間に流れる電流により吸収されるように構成される。本発明は、さらにこのモールド整流子を組込んだ整流子モータを含む。
本発明は、この構成により、スパーク吸収素子の厚み方向に電流を流すことができるので、素子のスパークに対するエネルギー耐量を大きくすることができる。さらに、それぞれの電極面積を最大限に大きくすることが可能であるとともに、電流を最短距離に流すことができるため、スパークの吸収性を向上させることができる。したがって、高電圧モータに使用する際、整流子片間電圧も高くなることから、漏れ電流を抑えることができ、発熱などを最小限に抑えることができる。簡単な構成で高信頼性、長寿命のモールド整流子、及び整流子モータを提供することができる。
本発明の実施の形態1における整流子モータの外観図 本発明の実施の形態1における電機子及び整流子部分の外観図 本発明の実施の形態1における整流子の縦断面図 同横断面図 図4におけるA部拡大図 本発明の実施の形態1におけるスパーク吸収素子の斜視図 本発明の実施の形態2におけるスパーク吸収素子挿入部分の部分断面図 本発明の実施の形態2におけるスパーク吸収素子に流れる電流経路の説明図 従来のモールド整流子におけるスパーク吸収素子挿入部分の部分断面図 従来のモールド整流子におけるスパーク吸収素子に流れる電流経路の説明図
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
(実施の形態1)
まず、本発明のモールド整流子が組込まれる整流子モータの外観図を示す図1にしたがって説明を行う。また、この整流子モータは、電源電圧が100V以上、240V以下の交流電源で使用される。
図1において、界磁1は、界磁コア2に界磁巻線3を施して構成されている。電機子10は、回転軸11に固着された電機子コア12に電機子巻線13を施し、整流子40を同軸上に配置して、回転軸11の両端に設けられた軸受5によって回転自在に支承されている。
界磁1は、ブラケット22に固定され、ブラケット22に一対のカーボンブラシ(図示せず)が、ブラシ保持器23を介してネジ24にて固定されている。また、回転軸11には回転ファン17が備えられ、その外周部及び下部に通風路を形成するエアガイド18が配されている。
上記構成において、電力が供給されると界磁巻線3を伝導した電流がカーボンブラシ(図示せず)を通って整流子40に伝わり、界磁コア2で発生した磁束と電機子巻線13を通る電流との間で力が発生し、電機子10が回転する。電機子10が回転することにより、回転ファン17が回転し、吸気口25より吸い込んだ空気は、矢印の経路を通って電機子10、界磁1、カーボンブラシを冷却しながら、ブラケット22の排気口26より排出される。
図2は、上記図1にて説明した本発明の電機子10の詳細を示したものである。電機子コア12と整流子40が、回転軸11に圧入、焼バメなどの方法で接合されている。電機子コア12には電機子巻線13が巻回されている。巻回された電機子巻線13は、渡り線部31を経て整流子40のフック48に接合されている。
次に、本発明の実施の形態1における整流子40の具体的構成について説明を行う。図3は本発明の実施の形態1における整流子の縦断面図、図4は同横断面図、図5は図4におけるA部の拡大図である。
本実施の形態における整流子40の整流子片41は、これらの図に示すように、円周上に配置されている。この整流子片41は、導電性が良好な電気銅に耐加工性を向上するため約0.07wt%の銀が添加された銅合金を使用している。そして、この形状は異形ダイスを使用し、連続的に引き抜いた状態で長手方向の整流子片形状を作り、その後プレス加工にて最終形状に加工される。なお、この整流子片の材料は、銅合金に限定されるものではなく、例えば銅であってもよい。
セラミックピン65は、整流子片41の回転方向両側端面の溝部と合致する形状の円筒状のピンであり、アルミナセラミックで作製されている。そして、円形板形状のスパーク吸収素子50が、それぞれの整流子片41の間に配設されている。本実施の形態では、合計24個の整流子片41が円周上に配置されているので、それぞれの間に、合計24本のセラミックピン65と24個のスパーク吸収素子50が配設されることになる。これらを交互に組み合せ仮組みし、モールド成形用リングに圧入される。これにより整流子片41によりセラミックピン65とスパーク吸収素子50とが押圧保持された状態となっている。これにより、高速回転時に整流子片41にかかる遠心力に対し、セラミックピン65によって補強されることになる。
次に、図6は本実施の形態におけるスパーク吸収素子50の斜視図である。スパーク吸収素子50は、図6に示すように、円形板形状をなしている。また、その厚さは0.5mm以上であることが好ましい。これは、バリスタ電圧がスパーク吸収素子の厚み(より詳細には、スパーク吸収素子内の結晶粒の大きさ)により決定されるためである。仮に、0.5mm未満とすると、必要となるバリスタ電圧を得るために、結晶粒の大きさの調整が困難となるためである。また、0.5mm未満であれば、スパーク吸収素子の機械的強度が極端に低減し、割れや欠けも発生すると考えられるためである。また、スパーク吸収素子の厚さは、1.5mm以下であることがさらに好ましい。これは、1.5mmを超えると、技術的に困難であるとともに、生産性やコスト面で不利となるためである。つまり、1.5mmを超えると、必要となるバリスタ電圧を得るために、結晶粒1粒当たりの粒径を70〜80μm以上としなければならなくなる。そして、結晶粒をこの程度まで成長させるためには焼成時間を長くしたり、焼成温度を高温にする必要がある。そうすると、現在の技術では困難であるとともに、生産性、コスト面でも不利益が大きいのである。また、仮に以上の困難性を乗り越えて、焼成時間を長くしたり、焼成温度を高温にしたりして、所望の粒径を得たとしても、α値が小さくなって漏れ電流が大きくなるため、特性が低下すると考えられる。
そしてスパーク吸収素子本体51の表裏に電極52を備える構成となっている。電極52の面積は、スパーク吸収素子本体51の面積の80%以上としている。スパーク吸収素子50に流れる電流は、スパーク吸収素子本体51の厚み方向に流れるが、スパーク吸収素子本体51に均等且つ有効に流れるようにするためである。つまり、電極の面積は、スパーク吸収素子に全体的に均一となり、一部に電流が集中することを避けるために、できるだけ広く設定しておいた方がよく、80%以上であることが好ましい。仮に80%未満になると、スパーク吸収素子の表裏面の面積のうち電極のない部分が有効に利用されなくなり、電極のある部分に電流が集中して流れる。この結果、スパーク吸収素子の劣化が早まり、破壊を生じる可能性が高くなるためである。
整流子片41は、各々の側面におけるスパーク吸収素子50と接する部分には、溝部42を備えている。この溝部42の断面形状は半円形状であり、それぞれの側面に2個設けるのが好適である。この整流子片41の各々の側面は、スパーク吸収素子50の表裏の電極52に電気的に接合される。接合方法としては、圧接、導電性接着剤、はんだ付けなど、適切な方法が選択される。この溝部42には、樹脂モールド部60が一体的に充填されることにより、スパーク吸収素子50がより強固に固着される。また、成形時におけるスパーク吸収素子50の傾きや割れを防止し、さらに高速回転時の遠心力に対してスパーク吸収素子50を保護する効果も期待できる。なお、この溝部42の数は、それぞれの側面に2個に限定されるものではなく、例えば1個、3個など、適宜選択される。また、形状も半円形状に限定されるものではない。
以上のように整流子片41とスパーク吸収素子50の電極52とを接合することにより、整流子片41に発生するスパーク電圧は、スパーク吸収素子本体51の厚み方向に流れる電流により吸収される。従来例のように電流が局部に集中することなく均等に流れるので、スパーク電圧の吸収性能を向上させることが可能となる。
このスパーク吸収素子50として、非直線性抵抗特性を有するいわゆるバリスタ素子が用いられる。そして、バリスタ電圧は、このスパーク吸収素子50に1mAの電流を流した時の電圧値として定義される。非直線抵抗指数αは、1mAと100μAにおける各電流を流した時の電圧値から下記式により算出する。
α=(logI1―logI2)/(logV1―logV2)
ただし、I1=1mA、I2=100μAであり、V1、V2はI1、I2における電圧値である。
非直線抵抗指数αは、高いほど安定してバリスタ素子間に電流(スパーク電流)を流すことが可能となり、さらにスパーク電圧除去効果も高くなる。チタン酸ストロンチウム系バリスタのα値は2〜10程度のものであるのに対して、酸化亜鉛系バリスタは20〜60程度のα値を有することが可能であり、スパーク吸収効果には非常に有用である。
次に、このスパーク吸収素子50の物性的内容を説明する。このスパーク吸収素子50は、酸化亜鉛を主成分としたいわゆるバリスタである。より具体的には、酸化亜鉛(ZnO)粉末に酸化ビスマス(Bi23)、酸化コバルト(CoO)、酸化ニッケル(NiO)、酸化マンガン(MnO)、酸化クロム(Cr23)、酸化アルミニウム(Al23)、酸化ケイ素(SiO2)、酸化スズ(SnO2)、酸化アンチモン(Sb23)の酸化物を添加し混合した粉末を使用している。この粉末にバインダーとしてポリビニルアルコールを添加し、組成の均質化のためにスプレードライヤーにて造粒する。その後、所定のリング状にプレス成形を行う。
なお、酸化亜鉛粉末の平均粒径は0.6μmより3μmを使用し、焼成温度は900℃より1200℃、焼成時間は3時間より30時間、昇温速度は20℃/時間より100℃/時間の条件にて実施することで、酸化亜鉛の結晶粒径を調整し、所定のバリスタ電圧になるよう調整を行う。
その後、円形板形状の表裏両面にマスク印刷により、銀電極52を形成し、スパーク吸収素子50が完成する。
さらに、図4、図5に示す樹脂モールド部60は、酸化アルミニウム、炭化珪素及びガラス繊維の少なくとも一つが添加材料として添加された熱硬化性樹脂(例えば、フェノール樹脂)を使用して、整流子片41とスパーク吸収素子50、及びセラミックピン65とを一体的に成形する。その後、各整流子片を絶縁するために、各子片間にアンダーカット49を施すことにより切り離し、本発明のモールド整流子40が完成する。
本実施の形態によれば、整流子片41の各側面と、スパーク吸収素子50の表裏の面電極52とが電気的に接合されることから、隣り合う整流子片間に発生するスパークを吸収する際、スパーク吸収素子50の厚み方向に電流を流すことができる。このため、片側面に電極を設けた構造の場合より、エネルギー耐量を高くすることができる。また、モータ回転時に整流子間に発生するスパーク電圧をスパーク吸収素子50の厚み方向で吸収することから、整流子片間のバリスタ特性を厚み調整することにより設定が可能となる。このため、モータ仕様が変わっても対応が可能となり汎用性が非常に高くなる。これにより、100V以上、240V以下の交流電源で使用される高電圧モータや様々なモータ仕様への適応が可能となる。
(実施の形態2)
図7は本発明の実施の形態2におけるスパーク吸収素子挿入部分の部分断面図、図8はそのスパーク吸収素子に流れる電流経路の説明図である。
本実施の形態における整流子片41aは、実施の形態1における溝部42の代わりに埋設凹部43が設けられている。そして、隣接する整流子片41aの埋設凹部43との間にスパーク吸収素子50aが挟み込まれて埋設される。スパーク吸収素子50aの形状は、四角形板状が好適である。スパーク吸収素子50aは、スパーク吸収素子本体51aとその表裏両面に設けられた電極52aより構成される。そして、この電極52aの面積は、実施の形態1と同様に、スパーク吸収素子本体51aの面積の80%以上である。図8に示すように、スパーク吸収電流56は、スパーク吸収素子本体51aの厚み方向に均一に流れる。この構成により、実施の形態1と同様の効果を奏することができる。
なお、図7に示す電流経路の説明図においては、埋設凹部43は省略して示している。また、スパーク吸収素子50aの形状は、四角形板状に限定されるものではなく、例えば実施の形態1と同様に円形板状、あるいは楕円形板状など、適宜選択可能である。また、スパーク吸収素子50aの厚さは、実施の形態1と同様に、0.5mm以上、1.5mm以下の範囲で選択される。ただし、実施の形態1より若干厚くする方が好ましい。
次に、実施の形態1と実施の形態2とを含めて、従来例との比較実験を行ったので、その結果を説明する。
表1は、従来例のスパーク吸収素子(ピン形状)と実施の形態1のスパーク吸収素子(円形板形状)との比較において、バリスタ電圧とα値(非直線抵抗指数)との測定値を示す。
Figure 2008139681
この表より明らかなように、実施の形態1のスパーク吸収素子は、従来例のスパーク吸収素子に比べて、α値が遙かに大きい値を示す。これにより、大きいスパーク吸収電流を流すことが可能となり、スパーク電圧の吸収効果が大きいことがわかる。
次に、表2は、実施の形態1(円形板形状)、実施の形態2(四角形板形状)、従来例(ピン形状)、スパーク吸収素子なし、の4つの場合について、ブラシ寿命を測定したものである。モータは、無負荷の状態で240Vの交流電圧を印加し、オリフィス径16mm、37,000r/分の回転数、10分オン−2分オフの条件でブラシ(モータ)寿命を測定した。ブラシ長は、摩耗代30mmとした。
Figure 2008139681
この結果より、実施の形態1と実施の形態2に示す本発明のモールド整流子を使った整流子モータは、ブラシ寿命がスパーク吸収素子なしの場合に比べて約2倍、従来例の構造の場合に比べて約1.5倍に改善でき、長寿命化の効果があることが確認された。
なお、上述した実施の形態においては、スパーク吸収素子50、50aとしてバリスタ素子を利用しているが、バリスタ素子に代えてコンデンサ素子及び抵抗素子を組み合わせたものを利用してもよい。このようにコンデンサ素子と抵抗素子とを組み合わせた場合には、バリスタ素子と同様の効果を奏することができる。
また、上述した実施の形態においては、セラミックピン65を備える構成を採用しているが、セラミックピン65を備えない構成としてもよい。特に、実施の形態2の構成は、スパーク吸収素子50aがセラミックピンの代用をすることが可能であり、セラミックピン65を備えない構成として好適である。
本発明のモールド整流子及びそれを組込んだ整流子モータによると、スパーク吸収素子の厚み方向に電流を流すことによって、整流子片に発生するスパークの吸収性を向上させることができる。これにより、掃除機や電動工具などに使用される高電圧モータとして、簡単な構成で高信頼性、長寿命のモールド整流子、及び整流子モータを提供することができる。
1 界磁
2 界磁コア
3 界磁巻線
5 軸受
10 電機子
11 回転軸
12 電機子コア
13 電機子巻線
17 回転ファン
18 エアガイド
22 ブラケット
23 ブラシ保持器
24 ネジ
25 吸気口
26 排気口
31 渡り線部
40 整流子
41,41a 整流子片
42 溝部
43 埋設凹部
47 アンカー部
48,48a フック
49,49a アンダーカット
50,50a スパーク吸収素子
51,51a スパーク吸収素子本体
52,52a 電極
56 スパーク吸収素子の電流の流れ
60,61 樹脂モールド部
65 セラミックピン

Claims (13)

  1. 銅または銅合金からなり円周上に配置された複数の整流子片と、平行な一対の面を有しそれぞれに電極を有する複数のスパーク吸収素子と、それぞれの隣接する前記整流子片の間に前記スパーク吸収素子が配設され、前記複数の整流子片と前記複数のスパーク吸収素子とを一体的に成形する樹脂モールド部とを備え、
    前記スパーク吸収素子は、前記電極を介して前記整流子片に電気的に接続され、
    前記整流子片に発生するスパーク電圧は、前記電極間に流れる電流により吸収されることを特徴とするモールド整流子。
  2. 前記スパーク吸収素子は、板状であることを特徴とする請求項1記載のモールド整流子。
  3. 前記スパーク吸収素子は、円形または四角形であることを特徴とする請求項2記載のモールド整流子。
  4. 前記スパーク吸収素子は、前記電極の面積が前記板状の面積の80%以上であることを特徴とする請求項2記載のモールド整流子。
  5. 前記電極は、前記整流子片と電気的に接触するように構成されることを特徴とする請求項1記載のモールド整流子。
  6. 前記整流子片は、前記スパーク吸収素子と接する部分に溝部を有することを特徴とする請求項1記載のモールド整流子。
  7. 前記溝部は、前記樹脂モールド部によって一体的に充填されることを特徴とする請求項6記載のモールド整流子。
  8. 前記整流子片は、前記スパーク吸収素子と接する部分に埋設凹部を有することを特徴とする請求項1記載のモールド整流子。
  9. 前記スパーク吸収素子は、非直線性抵抗特性を有する素子であることを特徴とする請求項1記載のモールド整流子。
  10. 前記スパーク吸収素子は、酸化亜鉛系バリスタであることを特徴とする請求項1記載のモールド整流子。
  11. 前記スパーク吸収素子は、厚みが0.5mm以上1.5mm以下であることを特徴とする請求項1記載のモールド整流子。
  12. 前記樹脂モールド部は、酸化アルミニウム、炭化珪素、及びガラス繊維の少なくとも一つを添加材料として含有する熱硬化性樹脂より成ることを特徴とする請求項1記載のモールド整流子。
  13. 請求項1から12のいずれか一項に記載のモールド整流子を備え、100V以上、240V以下の交流電源で使用されることを特徴とする整流子モータ。
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