JP3014523B2 - 架橋ポリエチレン絶縁ケーブルの接続方法 - Google Patents

架橋ポリエチレン絶縁ケーブルの接続方法

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JP3014523B2 JP3353142A JP35314291A JP3014523B2 JP 3014523 B2 JP3014523 B2 JP 3014523B2 JP 3353142 A JP3353142 A JP 3353142A JP 35314291 A JP35314291 A JP 35314291A JP 3014523 B2 JP3014523 B2 JP 3014523B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、架橋ポリエチレン絶縁
ケーブルの接続方法の改良に関するものである。
【0002】
【従来技術】架橋ポリエチレン絶縁ケーブルの超高圧線
路への適用が進むにつれ、接続作業の時間短縮が線路建
設工程の合理化の大きな課題になってきている。そこ
で、工場で予め成形した絶縁部品を現地で組み立てるい
わゆるプレハブジョイント工法に対するニーズが高ま
り、既に275KV級のプレハブジョイント工法が開発
され実用化されようとしている。
【0003】しかし、プレハブジョイント工法は補強絶
縁体にエポキシやゴムのような架橋ポリエチレンほど高
い電気的ストレスで使用することができない材料を使用
しているため、接続部寸法の縮小化に限界があるという
欠点があり、275KV級、500KV級の線路ではス
ペース上の制約から適用箇所が制限されることが予想さ
れる。
【0004】一方、絶縁テープ巻きや絶縁樹脂押出成形
によって補強絶縁層を形成し、それを架橋してケーブル
と一体化するモールドジョイント工法についても改良研
究が行われており、補強絶縁体を一体または二つ割りの
絶縁ブロックとして予め工場で成形しておき、この絶縁
ブロックを現場でケーブルに取り付け、加熱一体化する
という絶縁ブロック工法の技術が提案されている。
【0005】この絶縁ブロック工法は、モールドジョイ
ント工法の高い性能とプレハブジョイント工法の簡便性
を兼ね備えた接続方法であり、特に従来の押出モールド
ジョイント工法と比較して時間短縮の観点からかなりの
効果が期待されている。
【0006】絶縁ブロック工法には、二つ割り型と絶縁
筒型があるが、二つ割り型は二つ割り面が電気的弱点に
なりやすいので絶縁筒型の方が電気的に有利である。絶
縁筒型は、導体接続が終わるまで、接続すべきケーブル
の一方に絶縁ブロックを通して接続作業上支障がない位
置に待機させ、導体接続が終わった段階で導体接続部上
にスライドさせるという方法である。このためこの方法
では絶縁ブロックの内径をケーブルの外径より大きくし
なければならず、そのような大きな内径では導体接続部
上に持ってきたときに導体接続部の外周面との間に大き
な間隙が生じ、ケーブル絶縁厚の大きな超高圧用として
はほとんど使用できないという問題がある。
【0007】そこでこの絶縁筒型を改良したのが拡管収
縮型である。この拡管収縮型は、絶縁体材料であるポリ
エチレンは、加熱して応力を加えて変形させ、それを冷
却後、その応力を取り去れば変形状態を維持し、さらに
その後再度加熱すると、最初の状態に戻るという性質を
利用したものである。すなわち、もともと導体接続部外
径に近い内径の絶縁ブロックを、加熱して内側から圧力
をかけてケーブル外径より大きい内径にまで拡径して収
縮性を付与しておき、それを導体接続および内部導電層
処理が終了した導体接続部上に位置させて加熱収縮を行
えば、収縮性絶縁ブロックがもとの径まで収縮し、導体
接続部上に密着するというものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、拡管収縮型
でケーブルを接続する場合、図3に示すように、ケーブ
ル11の導体12をスリーブ13で接続して内部半導電層14を
形成した導体接続部15に、予め一方のケーブル11の外周
に挿通しておいた収縮性絶縁ブロック16を位置させ、し
かる後その収縮性絶縁ブロック16の外周に加熱炉17を被
せて収縮性絶縁ブロック16を加熱収縮させるが、このと
き収縮性絶縁ブロック16は、加熱収縮を開始する前にケ
ーブル12と同心円配置となるように支持台18上に載せら
れて位置決めされる。なお19は外部半導電層である。
【0009】このような状態で収縮性絶縁ブロック16を
加熱収縮させると、図4に示すように、収縮性絶縁ブロ
ック16(ただし収縮性絶縁ブロックの厚みは図示しな
い)はAの同心円配置の状態からまずBに示すように上
方からケーブル11に近づく。そして収縮性絶縁ブロック
16がケーブル11の上部に到達したCの時点で、今度はケ
ーブル11にぶら下がるような形で、Dに示すように下方
からケーブルに迫っていき、そして最後にEに示すよう
にケーブル11に密着する。
【0010】このように収縮性絶縁ブロック16がケーブ
ル11にぶら下がるような形で収縮すると、ケーブル11の
絶縁体または収縮性絶縁ブロック16の内面に擦り傷が発
生し、かかる傷が接続部の電気特性に悪影響をおよぼす
という問題があった。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記問題点に
鑑みてなされたもので、架橋ポリエチレン絶縁ケーブル
を接続する際に、予め一方のケーブル外周に、ケーブル
絶縁体と同等の材質からなり、かつケーブルの外径より
大きい内径に拡径処理した収縮性絶縁ブロックを挿通し
ておき、この収縮性絶縁ブロックを導体接続部に位置さ
せ、しかる後その収縮性絶縁ブロックの外周に加熱炉を
被せて収縮性絶縁ブロックを加熱収縮させる架橋ポリエ
チレン絶縁ケーブルの接続方法において、前記収縮性絶
縁ブロックを加熱収縮させる際に、収縮性絶縁ブロック
の加熱収縮進行中に収縮性絶縁ブロックがケーブルと同
心円配置となるように、収縮性絶縁ブロックを所定速度
で上昇させることを特徴とする。
【0012】
【作用】収縮性絶縁ブロックを加熱収縮させる際に、収
縮性絶縁ブロックの加熱収縮進行中に収縮性絶縁ブロッ
クがケーブルと同心円配置となるように、収縮性絶縁ブ
ロックを所定速度で上昇させると、収縮性絶縁ブロック
は収縮が完全に終了するまでケーブルと同心円をなす位
置関係を取り続けるので、収縮性絶縁ブロックがケーブ
ルにぶら下がるような形になることはなく、したがって
ケーブルの絶縁体または収縮性絶縁ブロックの内面に擦
り傷が発生することがなくなる。
【0013】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細
に説明する。本発明の架橋ポリエチレン絶縁ケーブルの
接続方法は、図1に示すように、ケーブル11の導体12を
スリーブ13で接続して内部半導電層14を形成した接続部
15に、予め一方のケーブル11外周に挿通しておいた収縮
性絶縁ブロック16を位置させ、しかる後その収縮性絶縁
ブロック16の外周に加熱炉17を被せ、収縮性絶縁ブロッ
ク16を支持台18に載せてケーブル11と同心円配置となる
ように支持した状態で加熱収縮させる点では従来の方法
と同様である。なお19はケーブルの外部半導電層であ
る。
【0014】本発明は、収縮性絶縁ブロック16の加熱収
縮の進行に伴い、収縮性絶縁ブロック16を所定速度で上
昇させる点に特徴がある。このため本発明では収縮性絶
縁ブロック16に熱電対21を取付けると共に、支持台18
を、収縮性絶縁ブロック16を支持する台座22と、その台
座22を所定速度で上昇させる上昇装置23とで構成する。
【0015】いま加熱炉17に通電して収縮性絶縁ブロッ
ク16を加熱すると、収縮性絶縁ブロック16は、その温度
が収縮温度(ほぼ拡径時の温度に等しい)に達した時点
で収縮を開始する。このとき本発明では、熱電対21によ
って収縮性絶縁ブロック16の温度を検出し、この熱電対
21により検出される温度が収縮性絶縁ブロック16の収縮
温度に達したところで、上昇装置23を起動し、台座22を
所定速度で上昇させる。この速度は次式で表せる。
【0016】 V=(d−D)/2/t ただし、V:上昇速度(mm/分) d:収縮性絶縁ブロックの最小内径(mm) D:導体接続部内部半導電層最大外径(mm) t:収縮必要時間(分)
【0017】上記台座22の上昇は収縮性絶縁ブロック16
の収縮が完了した時点で止まり、収縮性絶縁ブロック16
は収縮完了により、図2に示すようにケーブル11の導体
接続部15に密着する。なお、収縮性絶縁ブロック16を収
縮させた後は、加熱炉17を取り外し、必要に応じて外部
半導電層処理を行い、さらに全体の架橋処理を行う。
【0018】収縮性絶縁ブロックは、接続すべきケーブ
ルの絶縁体と同一もしくは類似の材質を使用できる。好
ましくは収縮性絶縁ブロックは接続すべきケーブルと同
一仕様のケーブルを切断し、導体を引き抜いて切削加工
することにより製作するとよい。この場合、ケーブルは
架橋工程において絶縁材料中の架橋剤の分解量を抑制
し、かつ所定の電気試験をパスしたものを使用する。必
要に応じてγ線照射架橋等の別手段で架橋したものを使
用してもよい。
【0019】また外部半導電層は、切り出したケーブル
にすでに付いているものを利用するようにしてもよい。
さらに内部半導電層も、切り出したケーブルにすでに付
いているものを利用してもよく、この場合は導体接続部
における内部半導電層処理が不要となる。
【0020】次に本発明のさらに具体的な実施例を説明
する。 実施例1 275KV1400mm2 (絶縁体外径103mm、外部半
導電層外径105mm、内部半導電層外径49mm)の架橋
ポリエチレン絶縁ケーブルの接続部を組み立てた。
【0021】収縮性絶縁ブロックは、上記と同仕様のケ
ーブルを製造する時の架橋工程で加熱温度を抑えて平均
架橋度65%に抑制し、所定の電気試験で内部欠陥がな
いことを確認したものを長さ630mmに切断し、導体を
引き抜いて所定の形状に成形加工し、これを130℃に
加熱してマンドレルを圧入して内径110mmまで拡径
後、マンドレルと共に徐冷してからマンドレルを引き抜
くことにより製作した。なお内部半導電層は除去し、外
部半導電層は両端部を除去した。このようにして製作さ
れた収縮性絶縁ブロックは一部の架橋剤が未反応である
が、既に電気的に出荷試験まで済んでいるので、突起、
異物、ボイド等の有害な欠陥がないことが確認できてい
る。
【0022】まず、接続すべきケーブルの端部を所定の
長さ、形状に段剥ぎした後、上記収縮性絶縁ブロック、
外部半導電層用収縮チューブ、架橋用ガスバリアー層な
どの必要な部品類をケーブルに挿通し、しかる後、導体
をスリーブにより圧縮接続した。導体を接続した後、内
部半導電層を形成した。内部半導電層外径はスリーブ上
で56mmとなる。
【0023】次に、予めケーブルに挿通しておいた収縮
性絶縁ブロックを、導体接続および内部半導電層処理を
済ませた導体接続部に位置させ、二つ割りの加熱炉をそ
の外側にセットした。この加熱炉内には収縮性絶縁ブロ
ックを支持する台座および台座を上方に上昇させる上昇
装置が配置されている。
【0024】収縮性絶縁ブロックとケーブルとが同心円
配置となるように台座を調整した後、加熱炉を閉じ、加
熱を開始して収縮性絶縁ブロックに予め取付けてある熱
電対により検知される温度が収縮性絶縁ブロックの収縮
温度すなわち拡径温度と等しい130℃に達したところ
で、この温度を維持するように加熱炉を制御する。
【0025】一方、熱電対により検知される温度が13
0℃に達したところで、台座が所定速度で上昇を始め
る。この速度は、 V=(d−D)/2/t=(110−56)/2/60
=0.45mm/分 である。収縮性絶縁ブロックの収縮が完了した時点で上
昇は止まる。
【0026】その後、加熱炉を除去し、ケーブルの外部
半導電層と収縮性絶縁ブロックの外部半導電層とに跨が
って、予めケーブルに挿通しておいた外部半導電層用収
縮チューブを取付け、架橋用ガスバリアー層および加圧
管を取付けた後、加圧管内で加熱加圧モールドし、収縮
性絶縁ブロックおよび外部半導電層をケーブル絶縁体と
一体化させた。この架橋工程において、収縮性絶縁ブロ
ックの未反応の架橋剤が分解してケーブル絶縁体との界
面が強固に一体化する。
【0027】上記のようにして形成した架橋ポリエチレ
ン絶縁ケーブルの接続部の電気試験を実施したところ、
電気的特性の優れた接続部であることが確認された。
【0028】実施例2 66KV2000mm2 (絶縁体外径78mm、外部半導電
層外径80mm、内部半導電層外径58mm)の架橋ポリエ
チレン絶縁ケーブルの接続部を組み立てた。
【0029】収縮性絶縁ブロックは、上記と同仕様のケ
ーブルを製造する時の架橋工程で加熱温度を抑えて平均
架橋度65%に抑制し、所定の電気試験で内部欠陥がな
いことを確認したものを長さ500mmに切断し、導体を
引き抜いて所定の形状に成形加工し、これを130℃に
加熱してマンドレルを圧入して内径115mmまで拡径
後、マンドレルと共に徐冷してからマンドレルを引き抜
くことにより製作した。なお内部半導電層は除去し、外
部半導電層は両端部を除去した。
【0030】次に、実施例1と同様に導体接続後、内部
半導電層を形成した。内部半導電層の外径はスリーブ上
で61mmである。その後加熱炉によって収縮性絶縁ブロ
ックを収縮させた。熱電対によって検知される温度が1
30℃に達したところで、台座が所定速度で上昇を始め
る。この速度は、次のようである。 V=(d−D)/2/t=(115−61)/2/60
=0.45mm/分
【0031】以下、実施例1と同様にして架橋まで行
い、接続を完了した。上記のようにして形成した架橋ポ
リエチレン絶縁ケーブルの接続部の電気試験を実施した
ところ、電気的特性の優れた接続部であることが確認さ
れた。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、収縮性絶
縁ブロックを加熱収縮させる際に、収縮性絶縁ブロック
の加熱収縮進行中に収縮性絶縁ブロックがケーブルと同
心円配置となるように、収縮性絶縁ブロックを所定速度
で上昇させるので、収縮性絶縁ブロックは収縮が完全に
終了するまでケーブルと同心円をなす位置関係を取り続
ける。したがって収縮性絶縁ブロックがケーブルにぶら
下がるような形になることがなくなり、このためケーブ
ルの絶縁体または収縮性絶縁ブロックの内面に擦り傷が
発生せず、電気的特性に優れた接続部を得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の接続方法の一実施例を示す断面図。
【図2】 図1の接続方法における収縮性絶縁ブロック
の収縮後の断面図。
【図3】 従来の接続方法を示す断面図。
【図4】 図3の接続方法における収縮性絶縁ブロック
の収縮過程を示す説明図。
【符号の説明】
11:ケーブル 12:導体 13:スリーブ
14:内部半導電層 15:導体接続部 16:収縮性絶縁ブロック
17:加熱炉 18:支持台 19:外部半導電層
21:熱電対 22:台座 23:上昇装置
フロントページの続き (72)発明者 佐久間 進 東京都千代田区丸の内2丁目6番1号 古河電気工業株式会社内 (72)発明者 松本 鉄男 東京都千代田区丸の内2丁目6番1号 古河電気工業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭59−25511(JP,A) 特開 平3−270616(JP,A) 特開 平3−270617(JP,A) 特開 平4−150714(JP,A) 特開 平5−22823(JP,A) 実開 昭57−159318(JP,U) 実開 昭58−15416(JP,U) 実開 平2−68616(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02G 1/14 H02G 15/08

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】架橋ポリエチレン絶縁ケーブルを接続する
    際に、予め一方のケーブル外周に、ケーブル絶縁体と同
    等の材質からなり、かつケーブルの外径より大きい内径
    に拡径処理した収縮性絶縁ブロックを挿通しておき、こ
    の収縮性絶縁ブロックを導体接続部に位置させ、しかる
    後その収縮性絶縁ブロックの外周に加熱炉を被せて収縮
    性絶縁ブロックを加熱収縮させる架橋ポリエチレン絶縁
    ケーブルの接続方法において、前記収縮性絶縁ブロック
    を加熱収縮させる際に、収縮性絶縁ブロックの加熱収縮
    進行中に収縮性絶縁ブロックがケーブルと同心円配置と
    なるように、収縮性絶縁ブロックを所定速度で上昇させ
    ることを特徴とする架橋ポリエチレン絶縁ケーブルの接
    続方法。
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