JP3728853B2 - 電動送風機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電気掃除機等に用いられる電動送風機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、家庭用あるいは産業用電気掃除機は、吸込仕事率のハイパワー化と長寿命化、及び小型化が要求されている。
【0003】
以下に従来の電動送風機を図7、8を用いて説明する。
【0004】
電動送風機19は図7に示すように、一般的には電動送風機19に電圧が供給されると、界磁18、ブラシ7、整流子1、ブラシ7、界磁18の順で電流が流れ、これによって整流子1が回転し、ファン14も同回転を行う。
【0005】
このファン14の回転によってファン14の上部より、空気を吸引し放出する。この放出された空気をエアガイド16で整流や、高くなっている気圧を徐々に大気圧に戻しながら、界磁18の方向へ排出し、前記界磁18や整流子1、ブラシ7は、電流が流れるための発熱を生じており、エアガイド16からの排出空気によって冷却させている。
【0006】
従来の電動送風機19は、スパークを抑えるためにブラシ7の材質を検討し変更したりされていたが、スパークは多少緩和されてきてはいるが、依然多く発生するため、電源ラインにノイズが重畳していた。
【0007】
図8に示すように、電機子巻線2にはブラシ7と銅子片3を通じて電流Iが流れ、電機子13が回転する。電機子13が回転すると、電機子巻線2には誘導起電力が発生し、この誘導起電力による誘導電流iが電機子巻線2と銅子片3とブラシ7で構成される閉ループを流れる。回転により、銅子片3がブラシ7から離れるとき、今まで電機子巻線2と銅子片3とブラシ7の閉ループに流れていた誘導電流iは断ち切られるが、このとき誘導電流iを流し続けようとする電機子巻線2のインダクタンスに蓄えられたエネルギーにより、銅子片3と、ブラシ7の間にスパークが発生する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の電動送風機19では、整流子1とブラシ7が離れるときに発生するスパークによって、ブラシ7の温度上昇や、ブラシの異常磨耗による短寿命、さらには性能低下等の要因でもあった。
【0009】
寿命を延ばすために長さの長いブラシ7を用いれば良いのだが、長いブラシ7は電動送風機19の外形を大きくし、小型化に逆行する。また、長寿命化のために前記スパークの発生を抑制するためにブラシ7に固有値抵抗の高い材質を用いて、磨耗を抑える方法では、電力供給時にブラシ7部分での発熱による損失が大きくなり電動送風機の性能を低下させる。
【0010】
本発明は上記課題を解決するもので、電動送風機17において、整流子1の銅子片3がブラシ7から離れる際のスパークを抑制し、ブラシ7の減少を抑制し、ブラシ7の材質を代えること無く、また、ブラシ7を長くすること無く、長寿命化を図り、小型で、高効率で、長寿命の電動送風機17を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明は、電気子巻線に連結された銅子片を複数個有する整流子を備えた電機子と、前記整流子に接しながら電力を前記電機子に供給する一対のブラシと、銅子片間に埋め込まれた前記整流子とブラシが離れるときに発生するスパークを吸収するスパーク抑制手段と、前記整流子に固定され銅子片を固定する固定手段と、前記固定手段の少なくとも一方の端部に外部に露出して設けられた放熱手段とを備え、前記固定手段を前記スパーク抑制手段と兼ねて、整流子とブラシ間のスパークを抑制し、ブラシの高寿命化を図ったものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1記載の発明は、電気子巻線に連結された銅子片を複数個有する整流子を備えた電機子と、前記整流子に接しながら電力を前記電機子に供給する一対のブラシと、銅子片間に埋め込まれた、前記整流子とブラシが離れるときに発生するスパークを吸収するスパーク抑制手段と、前記整流子に固定され銅子片を固定する固定手段と、前記固定手段の少なくとも一方の端部に外部に露出して設けられた放熱手段とを備え、前記固定手段を前記スパーク抑制手段と兼ねる電動送風機としたもので、ブラシと整流子の間で発生していたスパークを、抑えることができる。
【0013】
また、固定手段をスパーク抑制手段と兼ねた事を特徴とし、発生するスパークを吸収しつつ、整流子強度を維持するといった2種の役割を兼ねることが可能になる。
【0014】
また、整流子の温度上昇を抑制することができる。
【0015】
【実施例】
(参考例1)
以下に、本発明の第1の参考例を図1、図2を参照しながら説明する。
【0016】
図1に示すように、整流子1の外周には電機子巻線2の端部を接続した銅子片3が複数配されており、この銅子片3は互いに隣接する他の銅子片3と電気的絶縁を保ちながら樹脂4でモールドされている。ブラケット5に固定された異形管6に挿入され、異形管6内を摺動するブラシ7は、反整流子1側の端面に導電線8が接続されており、異形管6の一部に連結されている。導電線8の周囲にはバネ9があり、このバネ9の弾力で、常にブラシ7の端部を銅子片3に密着させている。
【0017】
次に図2(a)(b)を参照しながら説明すると、2は電気子巻線であり、3はこの電気子巻線2に連結された銅子片、1は電機子巻線2、銅子片3を複数個有する整流子、7は前記整流子1に接しながら電力を前記電機子13に供給する一対のブラシ、10は、銅子片3間の溝に埋め込まれた、前記整流子1とブラシ7が離れるときに発生するスパークを吸収するスパーク抑制手段であり、比誘電率が4以上のセラミック等の誘電体で形成されている。
【0018】
次に、本発明の動作について説明すると、図8を用いて従来の例で説明したように、スパークは誘導電流iを流し続けようとするなかで、閉ループから開ループことによっておこるものである。そこで、銅子片3間の同一円周上にスパーク抑制手段10をそれぞれ設けることにより、開ループになった状態で前記スパーク抑制手段10が、その急峻なスパーク(電流)を吸収することによって、スパークの発生、又このスパークにとって発生する電気的なノイズを抑えることができる。
【0019】
また、このスパーク抑制手段10は銅子片3の外周にあった寸法になっており、ブラシ7と銅子片3の摺動時に発生するバウンジング(銅子片3間に隙間があるために微少なガタ発生)をなくし、スムーズな回転を得ることができる。
【0020】
発生したスパークは、銅子片3間に設けられたスパーク制御手段10を介し閉ループが存在するためこの閉ループで蓄積されたエネルギーを放電させることで、スパークの発生を抑えられまた、スパークによるノイズ発生・摩耗をなくすことができる。
【0021】
(参考例2)
以下に本発明の第2の参考例について、図3、4を参照しながら説明する。
【0022】
なお、上記参考例1と同一の部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0023】
銅子片3間の溝部aでブラシ7が摺動する範囲外の部分にスパーク抑制手段11を設けたものである。
【0024】
上記構成において動作を説明すると、参考例1にも記したように、スパークは誘導電流iを流し続けようとするなかで、閉ループから開ループことによっておこるものである。そこで、銅子片3間にスパーク抑制手段11(ここでは仮にコンデンサとする)をそれぞれ設け、開ループの発生を抑えることで、スパークをなくすことができるわけであるが、さらに、このスパーク抑制手段11はブラシ7の銅子片3との摺動部分以外(図3では摺動部の上部に配置)に配することで銅子片3とスパーク抑制手段11のブラシ7との摩擦による削れのアンバランスをなくし、(スパーク抑制手段11をブラシ7の摺動部に設けると、スパーク抑制手段11の材料が銅子片3の材料より柔らかい等、強度が異なる場合に、微妙が摺動部の段差が生じる場合がある。また、図3のように上部に位置させると、銅子片3とブラシ7の摺動によるブラシ7の削れかすが下方に飛ばされる効果もある)さらにスパークを抑えノイズの発生をなくすことができる。
【0025】
発生したスパークは、銅子片3間に設けられたスパーク制御手段11を介し閉ループが存在するためこの閉ループで蓄積されたエネルギーを放電させる。このことがスパークの発生を抑えることになる。
【0026】
(参考例3)
以下に本発明の第3の参考例について、図5を参照しながら説明する。
【0027】
なお、上記参考例1、2と同一の部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0028】
2は電気子巻線、3は電機子巻線2に連結された銅子片、1は銅子片3を複数個有する整流子、7は、前記銅子片3に接しながら電力を前記電機子13に供給する一対のブラシ、12は、前記整流子1の回転力が加わっても銅子片3を安定して固定するために整流子1に内蔵され、整流子1とブラシ7が離れるときに発生するスパークを吸収するスパーク抑制手段である。
【0029】
上記構成において動作を説明すると、整流子1は回転を行うために銅子片3に遠心力(P)が働く。樹脂4によって銅子片3は固定されているが、この遠心力(P)によって銅子片3の固定が甘くなり、他の銅子片3表面とのアンバランスが生じる。そこで、従来銅子片3間に固定用の固定手段(ピン)が設けられているわけであるが、このピンによって整流子1の外側への力による銅子片3表面のアンバランスをなくしている。
【0030】
ここで本参考例は、このスパーク抑制手段12を従来のピンの形状と同じ形状にして、同じ場所に配置させることで、前記銅子片3の固定と、隣接した銅子片3間に接触させて第1及び第2の参考例に記したようにスパーク抑制機能(たとえばコンデンサ)とすることで、2つの効果を有することになる。
【0031】
(実施例1)
以下に本発明の第1の実施例について、図6を参照しながら説明する。
【0032】
なお、上記参考例1〜3と同一の部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0033】
上記構成において動作を説明すると、2は電気子巻線、3は電機子巻線2に連結された銅子片、1は銅子片3を複数個有する整流子、7は前記整流子1に接しながら電力を前記電機子に供給する一対のブラシ、20は前記整流子1の回転時の温度を放熱させるために、整流子1の外郭に位置する部分に放熱手段20aを有した固定手段(スパーク抑制手段)で構成されている。
【0034】
次に動作について説明する。
【0035】
参考例3における固定手段(スパーク抑制手段)12は上下を樹脂4で覆われているが、本実施例では固定手段(スパーク抑制手段)20は上下面が樹脂4で覆われておらず、固定手段(スパーク抑制手段)20の上下端面に位置している放熱手段20aが樹脂4の表面に現れている。この放熱手段20aは、前記銅子片3とブラシ7の摺動や、電流による発熱を抑える働きを行う。つまり、ブラシ7の摺動や電流の発熱が銅子片3及びブラシ7から伝わってきて、これを銅子片3からこれに接している固定手段(スパーク抑制手段)20に伝わる。この伝わった熱を固定手段(スパーク抑制手段)20から放熱手段20aを経て雰囲気に放熱する。
【0036】
ここで、ブラシ7や整流子1・銅子片3の温度が高い場合には、ブラシ7寿命の時間が短くなったり、樹脂4の微妙な変形によるスパークの発生等、品質面が非常に低下する。
【0037】
本発明は、この固定手段(スパーク抑制手段)20は隣接した銅子片3間に接触しているため、更に銅子片3等の温度を抑制することで、寿命の安定やスパークの発生要因をなくし、品質向上できる。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、ブラシと銅子片間で発生するスパークを抑え、長寿命で高効率、高品質の電動送風機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の参考例を示す電動送風機の構成を示す図
【図2】 同電動送風機の整流子の構成図
【図3】 本発明の第2の参考例を示す電動送風機の整流子の構成図
【図4】 同電動送風機の整流子とブラシの位置関係を示す構成図
【図5】 本発明の第3の参考例を示す電動送風機の整流子とブラシの位置関係を示す構成図
【図6】 本発明の第1の実施例を示す電動送風機の整流子とブラシの位置関係を示す構成図
【図7】 従来の電動送風機の構成図
【図8】 同電動送風機の整流子部の部分断面図
【符号の説明】
1 整流子
2 電機子巻線
3 銅子片
7 ブラシ
10 スパーク抑制手段
13 電機子
Claims (1)
- 電気子巻線に連結された銅子片を複数個有する整流子を備えた電機子と、前記整流子に接しながら電力を前記電機子に供給する一対のブラシと、銅子片間に埋め込まれた前記整流子とブラシが離れるときに発生するスパークを吸収するスパーク抑制手段と、前記整流子に固定され銅子片を固定する固定手段と、前記固定手段の少なくとも一方の端部に外部に露出して設けられた放熱手段とを備え、前記固定手段を前記スパーク抑制手段と兼ねた電動送風機。
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JP05894397A JP3728853B2 (ja) | 1997-03-13 | 1997-03-13 | 電動送風機 |
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- 1997-03-13 JP JP05894397A patent/JP3728853B2/ja not_active Expired - Fee Related
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