JPWO2008117538A1 - 移乗支援機器およびマルチ支え具機構つき移乗支援機器 - Google Patents

移乗支援機器およびマルチ支え具機構つき移乗支援機器 Download PDF

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Abstract

【課題】載置具が水平でない場合でも、介護者にとって、円滑に被介護者を載置具から掬い上げ、移乗させることを可能とする移乗支援機器を提供する。【解決手段】移乗支援機器1は、載置具に載置された人体を掬う支え具16と、支え具16の姿勢を変更するための関節部13、15と、支え具16の下面が載置面上に着床したことを検知する複数の着床検知センサ32と、支え具16を昇降させる脚部8と、複数の着床検知センサ32の出力に基づいて関節部13、15の回動動作または脚部8の昇降動作を制御する制御部110とを備え、制御部110は、関節部13、15および脚部8の少なくともいずれかを動作させて、複数の着床検知センサ32の出力に基づいて、載置具の載置面と支え具16下面との間の平行状態および倣い状態の少なくともいずれかの状態を形成し、維持する。

Description

本発明は、病院や家庭などにおいて人が行う移乗作業を支援する移乗支援機器に関し、特に、老人、病人または怪我人などの介護を受ける者(以下、「被介護者」という)であって、車椅子やベッド、ストレッチャーなどの載置具に載置されている被介護者を掬い上げ、移乗させるための移乗支援機器およびマルチ支え具機構つき移乗支援機器に関するものである。
病院や家庭などにおいて、自ら移動したり、体を動かすことが困難な者やベッドに横たわっている者に対しては、従来、家族や専門の担当者が主として人手により介護を行うことになる。この場合、介護者の作業の負担が大きく、人材確保や費用などの面を含め、様々な課題を伴う。現在、社会の高齢化が進むなかで、この状況は重要な社会的な課題となりつつある。
これに対して、従来、ベッド上に横たわった患者の運搬を介護する移載介護装置や入浴用の看護介助ロボットの例が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2を参照)。
特許文献1では、患者の上半身、腰部および脚部をそれぞれ支える3つの移載用プレートをベッドの上面に沿って前後移動可能に設け、介護者が3つのプレートを操作して患者の全部位を無理なくベッドから移動し、またはベッドに戻す機能が開示されている。また、この特許文献1の介助装置では、力検出器およびリミットスイッチを配設することにより、プレートの位置および操作力を検知して介護の制御を行う。
また、特許文献2では、入浴用の看護介護ロボットの例では2つの支え板(上半身用および下半身用)にそれぞれ水面検知センサを設け、入浴者の姿勢および入浴深さを制御して入浴を行う。
特開平8−168505号公報 特公平6−9588号公報
しかしながら、従来の移乗支援機器は、いずれも固定式のベッドや浴漕の水面などの水平面を検知する装置であり、傾斜面を含む複雑な形状の検知面に対応して制御する機能は想定されていない。一方、近年、病院や家庭において使用される被介護者用のベッドとしては背もたれの傾斜を調整できるリクライニング機能を有するベッドが普及しており、従来の移乗支援機器ではリクライニング機能を有するベッドなどに係る被介護者の移乗作業には利用できなかった。
特に、被介護者を載置するベッドの載置面が、背もたれを起した状態で水平になっていない場合には、被介護者を支持する支え具の傾きをベッド上面の傾きに合わせ、支え具をベッドに接触させて被介護者を掬い上げる必要があった。このため、介護者にとって、手動操作により、載置面の傾きに合わせて支え具の位置および傾斜角度の調整を行うのが困難であった。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、被介護者を載置する載置具の載置面の傾きが水平でない場合であっても、介護者にとって、スムーズに被介護者を載置具から掬い上げ、移乗させることを可能にする移乗支援機器およびマルチ支え具機構つき移乗支援機器を提供することを目的とする。
上述したような目的を達成するために、本発明の移乗支援機器は、載置具の載置面と当該載置面に載置された人体との間に挿入され、人体を掬う支え具と、支え具の姿勢の変更および調整の少なくともいずれかを行うための1つ以上の回動手段と、支え具の下面が載置面の上面に着床したことを検知する複数の着床検知手段と、支え具を昇降させる昇降手段と、前記複数の着床検知手段の出力に基づいて、前記載置面と前記支え具との間の平行状態および倣い状態の少なくともいずれかの状態を形成し、維持するように前記回動手段または前記昇降手段を制御する制御手段と、を備えていることを特徴とする。
本発明の実施の形態1における移乗支援機器の使用時の状況を示す斜視図である。 同移乗支援機器が作業の対象とする、被介護者を載置する載置具の使用例を示す側面図である。 同移乗支援機器の要部の構造を示す斜視図である。 同移乗支援機器の支え具の構造を示す側面図である。 同移乗支援機器の着床検知手段の構造を示す部分拡大図である。 同移乗支援機器における報知手段の構造を示す斜視図である。 同移乗支援機器の電気的な構成を示すブロック図である。 同移乗支援機器の制御系について説明するための図である。 同移乗支援機器の動作を説明するためのフローチャートである。 同移乗支援機器の着床検知手段の他の配置例を示す平面図である。 本発明の実施の形態2における移乗支援機器で使用される車椅子の例を示す図である。 同移乗支援機器の支え具の構造例を示す図である。 同移乗支援機器の支え具を用いたときの動作を説明するための図である。 同移乗支援機器の使用時の支え具の他の状態例を示す図である。 本発明の実施の形態3における移乗支援機器の基本構成を示す斜視図である。 本発明の実施の形態4における移乗支援機器の支え具の構造に関する応用例について説明するための図である。 本発明の実施の形態5における移乗支援機器の支え具の構造に関する他の応用例を説明するための図である。 同移乗支援機器の支え具の構造に関する他の応用例を説明するための図である。 本発明の実施の形態6における移乗支援機器の支え具の構造に関するさらに他の応用例について説明するための側面図である。 本発明の実施の形態7における移乗支援機器の車輪の構造例を示す正面図である。 本発明の実施の形態8における移乗支援機器の表示部の構成例について説明するための説明図である。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
(実施の形態1)
まず、図1および図2を参照しながら、介護者3が本発明の実施の形態1の移乗支援機器1を使用して、被介護者2の介護を行う場合の概要を説明する。図1は、本発明の実施の形態1における移乗支援機器1の使用時の状況を示す斜視図であり、図2は、本発明の実施の形態1における移乗支援機器1が作業対象とする被介護者2を載置する載置具の使用例を示す側面図である。
移乗支援機器1は、載置具上に載置されている被介護者2と載置具との間に支え具16を挿入し、支え具16の掬い面上に被介護者2を掬い上げて別の載置具に移乗させることを主要な目的として使用される。
図1は、被介護者2を載置している載置具(例えば、ベッドなど)から、2つの移乗支援機器1を操作し、2つの支え具16により被介護者2を掬い上げて保持している状態を示す。通常、載置具は水平の状態で使用される場合が多いが、実施の形態1では、載置台の多様な使用状態に対しても対応可能な構成になっている。
図2(a)に示す例では、被介護者2は水平面Hに対する傾きの角度が角度θaとなっている載置具51に載置されている。
この場合には、介護者3は、移乗支援機器1を操作することにより、支え具16を載置具51に近づけ、載置具51の載置面と支え具16の下面との平行度を検知し、支え具16の傾斜角度を調整する。次に、介護者3は、被介護者2と載置具51の載置面との間に支え具16を挿入し、支え具16の掬い面上に被介護者2を掬い上げる。これにより、介護者3は被介護者2を他の載置具に移乗させることができる。
図2(b)に示す例では、載置具51は2つの載置部51a、51bが連結されており、載置部51a、51bそれぞれの載置面の傾きが異なっている。ここでは、載置部51aは水平面Hに対する傾きの角度が角度θbであり、載置部51bは水平面Hに対する傾きの角度が角度θcとなっている。
この場合には、介護者3は、2台の移乗支援機器1を操作し、載置具51(載置部51a、51b)にそれぞれの支え具16を近づけた後、載置部51a、51bの載置面と支え具16それぞれの下面との平行度を検知し、支え具16の下面を載置面の傾きに対して平行に調整した後、被介護者2と載置具51(載置部51a、51b)の載置面との間に支え具16それぞれを挿入する。次に、介護者3は、2台の移乗支援機器1を操作することにより、支え具16それぞれを用いて被介護者2を掬い上げる。これにより、介護者3は被介護者2を他の載置具に寝たままの状態で移乗させることができる。
次に、図3を参照しながら、移乗支援機器1の構造について説明する。図3は本発明の実施の形態1における移乗支援機器1の要部の構造を示す斜視図である。なお、図3において、互いに直交する3つの軸(X軸、Y軸およびZ軸)は、XY平面が地面に対して平行な水平面であり、移乗支援機器1は正面がX軸方向を向いている。すなわち、X軸方向は支え具16の挿入方向となる。またZ軸は鉛直方向となる。
移乗支援機器1は、支え具16、関節部13、関節部15、アーム部12、支持部4、制御部110および入力部14を備えている。
支え具16は、載置具51に載置された被介護者2と載置具51の載置面の間に挿入し、被介護者2を掬う目的で配設されている。支え具16は、支え具16上に掬い上げた被介護者2を支えている位置を変えるためのベルト部23と、支え具16の下面が載置具51の載置面(又は上面)に着床したことを検知するための着床検知手段(又は着床検知部)としての着床検知センサ32とを備えている。
ベルト部23は、後述するベルト駆動部25(図4)により駆動されて回転する。着床検知センサ32は、支え具16の挿入方向における前側の下面両端部の近傍にそれぞれ複数設けられている。幅方向の一方の端部近傍にある着床検知センサ32を着床検知センサ32aとし、他方の端部近傍にある着床検知センサ32を着床検知センサ32bとする。着床検知センサ32aと着床検知センサ32bとは、Y軸方向に互いに離間している。着床検知センサ32aは、X軸方向に互いに離間した2つのセンサを有する。また、着床検知センサ32bは、X軸方向に互いに離間した2つのセンサを有する。なお、着床検知センサ32a,32bは、支え具6の下端面の両端部に設けられていてもよく、あるいは、側面の下端部に設けられていてもよい。
関節部13は、支え具16の姿勢の変更および調整の少なくともいずれかを行うための第1の回動手段(又は第1の回動部)として設けられている。関節部13は、支持部4に対してX軸回りに回動動作を行う。同様に、関節部15は、支え具16の姿勢の変更および調整の少なくともいずれかを行うための第2の回動手段(又は第2の回動部)として設けられ、支持部4に対してY軸回りに回動動作を行う。関節部15は支持部4に結合されており、この関節部15に関節部13が結合されている。そして、関節部13の回動軸が関節部15の回動軸に直交する位置関係となっている。関節部13、15には、それぞれに1軸方向に回転可能な公知の軸受機構を用いることができ、モータなどを動力源とした関節駆動部114により駆動される。
アーム部12は、関節部13と関節部15とを連結する。なお、アーム部12に伸縮機構を設け、このアーム部12の伸縮動作によって支え具16の位置を変更可能にしてもよい。
支持部4は、支え具16を被介護者2と載置具51の載置面との間に挿入するための支え具挿入手段(又は支え具挿入部)としての保持部6と、支え具16を昇降させる昇降手段(又は昇降部)としての脚部8とを備え、関節部13、関節部15およびアーム部12を介して支え具16を支持している。
保持部6には、複数の車輪5が配設されている。車輪5は、モータなどを動力源とした位置駆動部116により駆動され、移乗支援機器1を自立して前後左右に移動させ、Z軸の回りに回動可能に保持部6に支持されている。なお、支え具挿入手段としては、車輪5とアーム部12とを併用する構成や、アーム部12のみを使用してもよい。アーム部12のみを使用する場合には、アーム部12の伸縮動作によって支え具16の位置を変更する。
脚部8は、保持部6と関節部15とを連結し、スライド機構により支え具16を昇降させる。スライド機構はモータなどを動力源とした昇降駆動部118により駆動される。なお、他の昇降手段として、複数のリンクを組み合わせて、連結した部分の角度を変更可能にすることで支え具16を昇降させる構成にすることができる。
制御部110は、関節駆動部114、位置駆動部116、昇降駆動部118およびベルト駆動部25の制御を行う。
入力部14は、移乗支援機器1を操作するための指示情報を入力するためのものである。この指示情報は制御部110に伝達され、制御部110は上記した各駆動部114,116,118,25を制御する。また、入力部14には、移動方向、移動速度、操作指示の切り換えなどの操作入力が可能なジョイスティック、レバー、プッシュスイッチ、タッチパネルなどの公知の入力デバイスを用いることができる。介護者3は、入力部14を操作することにより、移乗支援機器1を操縦することができる。なお、入力部14に、入力操作を補助するための報知部または表示部をさらに備えてもよい。この報知部および表示部の構成例については後述する。
次に、図4および図5を参照しながら、支え具16の詳細な構成について説明する。図4は、本発明の実施の形態1における移乗支援機器1の支え具16の構造を示す側面図であり、図5は、本発明の実施の形態1における移乗支援機器1の着床検知手段の構成を示す部分拡大図である。
図4に示すように、支え具16は、枠体21、ベルトガイドローラ22、ベルト部23、ベルト駆動部25、固定ローラ26、可動ローラ26aおよび着床検知センサ32(32a、32b)を備えている。
ベルト部23は、枠体21に支持されたベルトガイドローラ22により保持され、モータを動力源とするベルト駆動部25により駆動される。また、ベルト部23はカバー20の上側の表面に露出しており、被介護者2をベルト部23に乗せた状態で移動させることができる。ベルト部23の上面によって構成される、被介護者3の支持面は、挿入方向において、人の背中の幅と同程度の長さを有する。
固定ローラ26は、支え具16の挿入方向と直交するように枠体21の両側面で保持され、下端面33まで突出した状態で回転可能に複数設けられている。固定ローラ26の回転により、支え具16を被介護者2と載置具51の載置面との間に挿入するときの負荷を小さくしている。
着床検知センサ32(32a、32b)は、枠体21に設けられ、支え具16の挿入方向における前側の近傍で且つ下面の両端部近傍に複数設けられている。着床検知センサ32(32a、32b)を使用することで、支え具16の挿入に先立ち、載置具51の載置面と支え具16との姿勢関係を検知し、支え具16の傾きを調整することができる。
図5は、図4におけるA部(2箇所)を拡大した部分拡大図であり、A部に設けられた着床検知センサ32(32a、32b)の構成を示している。図5に示すように、可動ローラ26aは支え具16の姿勢を検知するためのローラであり、この可動ローラ26aは、支え具16の挿入方向と直交するように枠体21の両側面で下端面33から僅かに下方に突出した状態で保持されている。可動ローラ26aは、ローラ軸芯26bを中心に回転する。ローラ軸芯26bは、枠体21の両側面部で板ばね28により下方に押圧された状態で、長穴部31により軸支されている。枠体21の両側面部の一方に設けられた長穴部31を長穴部31aとし、他方に設けられた長穴部31を長穴部31bとする。可動ローラ26aは、支え具16の下面の法線方向に位置移動可能な可動案内部材であり、このローラ26aは長穴部31(31a、31b)に軸支されている。板ばね28は、可動ローラ26aが長穴部31a,31bに沿って枠体21の下端面に垂直な方向に移動するのを許容する。これにより、可動ローラ26aは、支え具16と載置具51との接触圧力により位置が変わる。
なお、可動ローラ26aの移動方向として、支え具16の下面に対する法線方向の成分があればよい。また、可動案内部材としては、可動ローラ26aに限られるのものではなく、摩擦係数の小さなソリ式の案内部材(例えば、低摩擦な樹脂材料など)や可動フレームなどを使用することができる。この可動フレームについては後述する。また、着床検知センサ32(32a、32b)は、ローラ軸芯26bの近傍に設けられている。
移乗支援機器1は、さらに、制御部110を備えている。制御部110は、着床検知センサ32(32a、32b)により、ローラ軸芯26bの変位を検知すると、着床検知センサ32の出力が設定した範囲内になるように、支え具16の傾きや、支え具16の載置具51の載置面に対する平行度などの相互の位置関係を制御する。すなわち制御部110は、支え具16と載置具51の載置面との平行状態および倣い状態の少なくともいずれかの状態を形成し、維持する機能を有する。制御部110による着床状態の判定は、着床検知センサ32の出力が設定した範囲内にある場合に着床状態と判定する。
なお、実施の形態1では着床検知センサ32を4箇所に設けたが、これに限られるものではなく、設計的事項として支え具16の構造や機能に対応して着床検知センサ32の配設の数や配設の位置について、種々の形態をとることができる。また、可動ローラ26aを押圧する部材には板ばね28の他、ゴム、スプリングなどの弾性体を使用することできる。また、長穴部31(31a、31b)はZ軸方向だけでなく、X軸方向の成分を含んだ形状、例えば長穴部31(31a,31b)が斜め方向に長い形状に形成されていても同様の効果を得ることができる。また、可動ローラ26aは、枠体21の両側面部においてそれぞれ独立した構造として配設することもできる。さらに、着床検知センサ32としては、図5に示すマイクロスイッチの他、リードスイッチ、近接スイッチ、光反射式のフォトリフレクタなどを使用することができる。また、着床検知センサ32として、歪センサ27を用い、可動ローラ26aの変位により変形した板ばね28の歪量を歪センサ27で検知する方法でも同様の効果を発揮することができる。
また、可動ローラ26aの変位を検知するようにしたが、接触圧力を検知するようにしてもよい。例えば、固定ローラ26を支える部分に、支え具16と載置具51との接触圧力を検知するシート型の感圧センサなどの圧力センサを設け、支え具16の下面に対する載置具51の載置面の接触圧力を検知する。これにより、制御部110は、着床検知センサ32の出力値に基づき、載置面との接触圧力が設定された圧力範囲内にある場合に着床状態と判定する。この設定圧力は、被介護者2によって載置具51の載置面が受ける圧力と同程度に設定されていてもよい。このように、支え具16の挿入部位において、載置面が被介護者2により受ける圧力範囲と同じにすることで、載置面に対する被介護者2の沈み込み量と、挿入部位における支え具16の沈み込み量とを略同じにすることができる。これにより、支え具16を挿入する位置で、沈み込み量の違いからおこる段差を抑え、被介護者2の体に支え具16の先端部を突き当てることなく、載置具51と被介護者2との間に支え具16をスムーズに挿入することができる。
設定圧力は固定値としてもよい。例えば、本実施形態による移乗支援機器1により対応可能な被介護者2の身長Lを150cm〜180cmとした場合には、その中央値である165cmの人の体重の50パーセンタイル値が約57kgとなる。この場合には、この人による圧力値Pが0.035kgf/cmとなるので、この圧力値を設定圧力としてもよく、あるいはその上下10%程度の許容値を持たせた範囲を設定圧力としてもよい。
また設定圧力は対象者によって変更されるようにしてもよい。例えば、被介護者2を支え具16で掬う際には、被介護者2の身長に応じて支え具16間の間隔が調整されるため、この間隔に応じて設定圧力を変更するようにしてもよい。例えば、身長165cmの被介護者2を掬う際の支え具16間の間隔に相当するデータ等、被介護者2の身長Lと支え具16間の間隔とを関連付けるデータと、下記式とが記憶されていて、設定圧力P(L)は、導出された身長Lに基づいて下記式による演算によって導出される。つまり、身長165cmの人による圧力値Pを身長で補正し、その補正後の値を設定圧力P(L)として使用する。
設定圧力P(L)=P×L/165
なお、設定された圧力範囲は、支え具16の挿入部位において載置面が被介護者2により受ける圧力の範囲であってもよい。この場合には、設定される接触圧力の範囲は、被介護者2の頭部、肩部、足部または背中部など、支え具16を挿入する部位において載置面が被介護者2から受ける圧力の範囲であって、予め実験によって測定されたものである。移乗支援機器1の記憶部(図示せず)には、被介護者2の各部位での計測の数値をデータベース化したものが格納されており、制御部110によって記憶部のデータベースへのアクセスが可能になっている。制御部110は、データベースから圧力情報を取得し、圧力情報に基づいて支え具16を載置面に着床させることで、載置面に対する被介護者2の沈み込み量と、挿入部位における支え具16の沈み込み量とを略同じにすることができる。
この場合の設定圧力は、固定値でも可変値でもよい。固定値の場合には、例えば身長165cmの人の背、尻、腿の各部位での圧力値(50パーセンタイル値等)をデータベースに記憶しておいて、この圧力値を設定圧力にすることができる。一方、可変値の場合には、支え具16間の間隔に相当するデータを用い、身長165cmの人の各部位での圧力値を前記データ及び身長で補正し、その補正後の各部位における設定圧力を使用することができる。
次に、図6を参照しながら、支え具16に設けられた報知手段について説明する。図6は、本発明の実施の形態1における移乗支援機器1における報知手段の構造を示す斜視図である。
図6に示すように、介護者3に着床検知センサ32それぞれの状態を報知する報知手段として、複数の報知部34が着床検知センサ32それぞれの近傍に設けられている。報知部34は、介護者3から直視可能な位置に設けられており、支え具16のベルト部23上に被介護者2を掬い上げたときに被介護者2と接触しないように配置されている。例えば、報知部34は、枠体21の両側面部に設けられており、着床検知センサ32毎に設けられている。
報知部34として、発光ダイオード、液晶パネルなどを使用し、点灯、点滅、非点灯などの状態変化を利用して介護者3に着床状態を報知する。これにより、介護者3は、支え具16の傾きの状況を容易に把握することができる。なお、報知手段は、発光ダイオードなどの表示手段に限定されるものでなく、例えば、音声発生装置や振動装置などを使用し、介護者3に音声または振動を伝えることで報知することができる。音声発生装置では、「支え具の左側が着床しました。」などの着床状態を伝えるためのメッセージを発生するようにしてもよい。振動装置では、着床状態に応じて介護者3の手などに異なった振動の揺れを感じさせる「振動モード」を備え、音声発生装置と同様に、着床状態に応じて異なる「振動モード」を設定することで、介護者3に異なるメッセージを伝えることができる。
次に、図7および図8を参照しながら、移乗支援機器1の電気的な構成および制御系に係る動作について説明する。
図7は本発明の実施の形態1における移乗支援機器1の電気的な構成を示すブロック図、図8は本発明の実施の形態1における移乗支援機器1の制御系について説明するための図である。
まず、図7に示すように、移乗支援機器1は、操作指令を入力するための入力部14、関節部13、15を回動させる関節駆動部114、ベルト部23を駆動するベルト駆動部25、脚部8を昇降させる昇降駆動部118、車輪5を駆動する位置駆動部116および制御部110を備えている。さらに、移乗支援機器1は入出力手段として、支え具16の着床状態を検知するための複数の着床検知センサ32と、介護者3に着床状態を報知するための報知部34とを備えている。関節駆動部114、ベルト駆動部25、昇降駆動部118および位置駆動部116には、それぞれ公知のモータなどを動力源とした駆動手段を用いることができる。
次に、図8を参照しながら、移乗支援機器1の制御系に係る動作について説明する。ここでは、関節駆動部114、昇降駆動部118を例として詳細に説明する。
最初に、関節駆動部114の制御系の動作について説明する。関節駆動部114の制御系には、マイナー制御ループと全体制御ループが含まれている。マイナー制御ループでは、入力部14での操作に基づいて指令された各角度指令値に対して関節部13および関節部15の回動作を制御し、これにより支え具16の傾きを制御する。全体制御ループでは、支え具16が載置具51(図2)に着床したとき、支え具16と載置具51の載置面との平行度のずれに応じて角度指令値を補正する。
このような構成により、関節駆動部114では、全体制御ループに含まれるマイナー制御ループで角度制御を行うことにより、例えば、入力部14から操作指令が途切れた場合であっても、マイナー制御ループを働かせて内部安定しているので、操作指令が途切れた時点での支え具16の傾きをそのまま維持するように制御することができる。
まず、関節駆動部114において、関節部13のX軸周りの回動動作を制御するためのマイナー制御ループについて説明する。
図8に示すように、関節駆動部114は、関節部13をX軸周りに回動させる駆動モータ82aと、関節部13のX軸周りの回転角度を検出する回転角度検出部87aと、回転角度検出部87aで検出された関節部13の回転角度量と角度指令値θeとの差分値を検出する差分検出部41aと、差分検出部41aから出力された差分値に基づいて駆動モータ82aを駆動し、関節部13の回転角度を制御するレギュレータ40aとを備えている。
駆動モータ82aとしては、公知のモータ、例えば、DCモータ、ACモータ、ステッピングモータなどを使用することができる。
回転角度検出部87aとしては、公知のエンコーダを用いることができ、例えば、回転型ポテンショメータまたは回転型差動変圧器などを使用することができる。
レギュレータ40aは、差分検出部41aから出力された差分値に基づいて駆動モータ82aを正転または反転方向に回転させる駆動回路83aを有する。
駆動回路83aとしては、公知の駆動回路、例えばブリッジ回路などを用いることができる。これにより、レギュレータ40aは駆動モータ82aに接続される電源の極性を切り替え、駆動モータ82aを正転または反転方向に回転させることができる。さらに、レギュレータ40aは微分器(図示せず)を有し、マイナー制御ループの制御系を安定化する。これにより、関節駆動部114は、関節部13を角度指令された回転角度に安定に制御することができる。
さらに、関節駆動部114は、支え具16の下面が載置具51(図2)の載置面に着床した場合に自動着床倣いの全体制御ループを形成するために、差分検出部43aと、安定化補償器42aと、加算部44aとを備えている。
差分検出部43aは、支え具16の下面に設けられている着床検知センサ32aの出力と着床検知センサ32bの出力との差分値を検出する。
安定化補償器42aは、差分検出部43aから出力された差分値を累積加算する積分器(図示せず)を有し、全体制御ループの制御系を安定化する。これにより、関節駆動部114は、差分検出部43aで検出された差分値に基づいて支え具16の下面を載置具51の載置面と平行状態および倣い状態のうちいずれかの状態を形成し、その状態を安定させて維持することができる。
加算部44aは、角度情報θdと安定化補償器42aの出力とを加算し、上述した角度指令値θeを算出する。
このように、関節駆動部114では、入力部14からの操作指令θdに応じて支え具16のY軸方向(X軸回り)の傾きを制御し、かつ、支え具16の下面が載置具51の載置面に着床した場合には、操作指令値θdに対して全体制御ループを働かせ、支え具16が載置具51に着床したときの支え具16の下面と載置面とのY軸方向の平行度のずれに応じて操作指令θdを角度指令値θeに補正する。これにより、関節駆動部114では、支え具16のY軸方向の傾きにおいて、支え具16と載置具51の載置面とを平行状態および倣い状態のうちいずれかの状態を形成し、維持する。
次に、関節駆動部114において、関節部15のY軸周りの回動動作を制御するためのマイナー制御ループについて説明する。
図8に示すように、関節駆動部114は、関節部15をY軸周りに回動させる駆動モータ82bと、関節部15のY軸周りの回転角度を検出する回転角度検出部87bと、回転角度検出部87bで検出された関節部15の角度量と角度指令値θgとの差分値を検出する差分検出部41bと、差分検出部41bから出力された差分値に基づいて駆動モータ82bを駆動し、関節部15の回転角度を制御するレギュレータ40bとを備えている。
駆動モータ82bとしては、公知のモータ、例えば、DCモータ、ACモータ、ステッピングモータなどを使用することができる。
回転角度検出部87bとしては、公知のエンコーダを用いることができ、例えば、回転型ポテンショメータまたは回転型差動変圧器などを使用することができる。
レギュレータ40bは、差分検出部41bから出力された差分値に基づいて駆動モータ82bを正転または反転方向に回転させる駆動回路83bを有する。
駆動回路83bとしては、公知の駆動回路、例えばブリッジ回路などを用いることができる。これにより、レギュレータ40bは駆動モータ82bに接続される電源の極性を切り替え、駆動モータ82bを正転または反転方向に回転させることができる。さらに、レギュレータ40bは微分器(図示せず)を有し、マイナー制御ループの制御系を安定化する。これにより、関節部15を角度指令された回転角度に安定に制御することができる。
さらに、関節駆動部114は、支え具16の下面が載置具51(図2)の載置面に着床した場合に自動着床倣いの全体制御ループを形成するために、差分検出部43bと、安定化補償器42bと、加算部44bとを備えている。
差分検出部43bは、例えば、支え具16の下面のX軸方向に離間して設けられている2つの着床検知センサ32aそれぞれの出力の差分値を検出する。
安定化補償器42bは、差分検出部43bから出力された差分値を累積加算する積分器(図示せず)を有し、全体制御ループの制御系を安定化する。これにより、関節駆動部114は、差分検出部43bで検出された差分値に基づいて支え具16の下面を載置具51(図2)の載置面と平行状態および倣い状態のうちいずれかの状態を形成し、この状態を安定して維持する。
加算部44bは、角度情報θfと安定化補償器42bの出力とを加算し、上述した角度指令値θgを算出する。
このように、関節駆動部114では、入力部14からの操作指令値θfに応じて支え具16のX軸方向(Y軸回り)の傾きを制御し、かつ、支え具16の下面が載置具51(図2)の載置面に着床した場合には、操作指令値θfに対して、全体制御ループを働かせ、支え具16が載置具51に着床したときの支え具16と載置面とのX軸方向の平行度のずれに応じて操作指令θfを角度指令値θgに補正する。これにより、関節駆動部114では、支え具16のX軸方向の傾きにおいて、支え具16と載置具51の載置面とを平行状態および倣い状態のうちいずれかの状態を形成し、維持する。
上記したように、関節駆動部114では、全体制御ループに含まれるマイナー制御ループで角度制御を行うことにより、例えば、入力部14から操作指令が途切れた場合であっても、マイナー制御ループを働かせて内部安定しているので、操作指令が途切れた時点での支え具16の傾きをそのまま維持するように制御することができる。これにより、被介護者2を支え具16で挟み込むなどの動作を防止し、移乗支援機器1の安全性を高めることができる。
次に、支え具16を昇降させる昇降駆動部118の制御系に係る動作について説明する。
図8に示すように、昇降駆動部118では、入力部14から操作指令された高さ位置指令値Hcに応じて脚部8をZ軸方向に上下動作させ、支え具16の昇降を制御している。このため、昇降駆動部118は、脚部8をZ軸方向に上下させる駆動モータ82cと、脚部8を上下させたときの支え具16の高さ方向の停止位置を検出する高さ位置検出部87cと、高さ位置検出部87cで検出された高さ方向の停止位置と高さ位置指令値Hcとの差分値を検出する差分検出部41cと、差分検出部41cから出力された差分値に基づいて駆動モータ82cを駆動し、支え具16の高さ方向の停止位置を制御するレギュレータ40cとを備えている。
駆動モータ82cとしては、公知のモータ、例えば、DCモータ、ACモータ、ステッピングモータなどを使用することができる。
高さ位置検出部87cとしては、公知の直動、回転位置検出器、たとえば光学式エンコーダ、磁気式エンコーダ、ポテンショメータ、差動変圧器などを使用することができる。
レギュレータ40cは、差分検出部41cから出力された差分値に基づいて駆動モータ82cを正転または反転方向に回転させ、脚部8をZ軸方向に上下するための駆動回路83cを有する。駆動回路83cとしては、公知の駆動回路、例えばブリッジ回路を用いることができ、駆動モータ82cに接続される電源の極性を切り替え、駆動モータ82cを正転または反転方向に回転させる。
さらに、レギュレータ40cは微分器を有し、マイナー制御ループの制御系を安定化する。これにより、脚部8を上下させ、支え具16を高さ位置指令された高さに位置決めすることができる。
さらに、昇降駆動部118は支え具16の高さ位置の指令値Hcを生成するための高さ位置生成器45を備えている。
高さ位置生成器45は、例えば、制御部110から出力される方向指令値を累積加算し、高さ位置の指令値を出力する。なお、制御部110は、入力部14からの操作指令として上向き「−1」の値が入力されると、高さ位置生成器45に対して上向き「−1」の方向指令値を出力する。同様に、制御部110は、入力部14からの操作指令として停止「0」の値が入力されると、高さ位置生成器45に対して停止「0」の方向指令値を出力する。同様に、制御部110は、入力部14からの操作指令として下向き「+1」の値が入力されると、高さ位置生成器45に対して下向き「+1」の方向指令値を出力する。
高さ位置生成器45は、この方向指令値に所定の係数を乗じて累積加算する。例えば、所定の係数を「2」とした場合、高さ位置生成器45は方向指令値を2倍にして累積加算する。高さ調整をするときの位置合わせ速度は、この所定の係数を変えることで可能となり、所定の係数を大きくすると位置合わせ速度が速くなり、所定の係数を小さくすると位置合わせ速度が遅くなる。なお、所定の係数は「2」に限定されない。
また、制御部110は、入力部14からの操作指令として下向き「+1」の値が入力されており、かつ支え具16の下面が載置具51(図2)の載置面に着床して、着床検知センサ32aおよび着床検知センサ32bの出力がいずれも「ON」となった場合には、高さ位置生成器45に対して停止「0」の方向指令値を出力する。
このように、昇降駆動部118では、入力部14からの操作指令に応じて支え具16の高さ方向の停止位置を制御し、かつ、支え具16の下面が載置具51(図2)の載置面に着床した場合には、支え具16の昇降動作を停止させ、支え具16の高さを維持する。
上記の構成により、移乗支援機器1では、制御部110により、複数の着床検知センサ32の出力を設定した範囲内の値となるように関節部13、15および脚部8のうちいずれかを動作させ、載置具51(図2)の載置面と支え具16との平行状態および倣い状態のうちいずれかの状態を形成し、維持するための制御を行う。これにより、移乗支援機器1は、被介護者2が載置されている載置具51の載置面の傾斜に合わせて支え具16の位置および角度などの空間姿勢を自動的に調整するので、介護者3が載置面と支え具16との位置関係を特に意識することなく円滑に被介護者2を載置具51から掬い上げ、移乗させることができる。
また、移乗支援機器1では、支え具16の下面に関節部13の回動軸と直交する方向に離間するように着床検知センサ32aと32bが設けられるとともに、これら着床検知センサ32a,32bの何れにおいても、支え具16の下面に関節部15の回動軸と直交する方向に離間して設けられる2つのセンサを有する。そして、脚部8のスライド動作によって支え具16を載置面の上方より載置面に向かって降下するときにおいて、複数の着床検知センサ32のいずれか1つが載置面への着床を検知した場合には、着床を検知した着床検知センサ32の載置面に対する高さを保持するように脚部8のスライド動作とともに関節部13および関節部15のいずれかを回動させる。そして、複数の着床検知センサ32のうち2つ以上が着床を検知した場合には、傾きに対応する軸周りに係る関節部13、15の回動を終了し、全ての関節部13、15の回動を終了した時点で脚部8のスライド動作による支え具16の降下を停止する。これにより、移乗支援機器1は、支え具16を載置面に対して平行に着床させ、停止させることができる。
さらに、移乗支援機器1では、車輪5を駆動し、被介護者2と載置面との間への支え具16の挿入動作時において、複数の着床検知センサ32のいずれもが着床を検知しないときは、脚部8のスライド動作により支え具16を降下させる。そして、関節部13、15の回動軸と直交する方向に設けられた複数の着床検知センサ32のいずれかの出力が設定した範囲より大きいときには、出力が大きい着床検知センサ32を載置面から離間する方向に関節部13、15を回動させる一方、複数の着床検知センサ32のいずれかの出力が設定した範囲より小さいときには、出力が小さい着床検知センサ32を載置面に当接する方向に関節部13、15を回動させて、複数の着床検知センサ32の出力状態を設定した範囲内に維持する。これにより、支え具16の挿入動作時において、支え具16を載置面に対して一定の当接状態に調整することができる。
次に、図9を参照しながら、移乗支援機器1の動作について説明する。図9は本発明の実施の形態1における移乗支援機器1の動作を説明するためのフローチャートである。以下、移乗支援機器1が、載置具51上に載置されている被介護者2を掬い上げて移乗させる場合の、介護者3の操作手順と移乗支援機器1の動作について説明する。
図9に示すように、介護者3は、移乗支援機器1を被介護者2が横たわっている載置具51の側面に近づけるため、入力部14に入力し操作指示を行う(S1)。この入力に基づいて、制御部110は、位置駆動部116を制御して車輪5を駆動させ、移乗支援機器1を載置具51の側面に近づける(S2)。
次に、介護者3は、支え具16を降下させ、載置具51の載置面と支え具16の先端部分とを平行状態して、被介護者2と載置具51との間に支え具16を挿入するための指示情報を入力する(S3)。
この入力に基づいて、制御部110は、関節駆動部114および昇降駆動部118に制御情報を伝達し、関節部13、15および脚部8を動作させる。なお、必要に応じて、制御部110は位置駆動部116を制御することにより車輪5を駆動し、移乗支援機器1の位置を調節する。
制御部110は、脚部8のスライド動作によって支え具16を載置面の上方より載置面に向かって降下するときにおいて、複数の着床検知センサ32のいずれか1つが載置面への着床を検知した場合には、着床を検知した着床検知センサ32の載置面に対する高さを保持するように関節部13および関節部15のいずれかを回動させ、複数の着床検知センサ32のうち、X方向およびY方向のいずれかの方向で2つ以上のセンサ32が着床を検知した場合には、その方向における傾きに対応する軸周りに係る関節部13、15の回動動作を終了し、同様に他の方向での全ての関節部13、15の回動動作を終了した時点で脚部8のスライド動作による支え具16の降下を停止する(S4、S5、S6)。これにより、支え具16を載置面に対して平行に着床させ、停止させることができる。
介護者3は、支え具16の降下が停止した後、報知部34の発光ダイオードの点灯状態を確認する。介護者3は、例えば、報知部34の点灯状態により、少なくとも3つの着床検知センサ32が着床を検知している状態を確認した段階で、支え具16の下端面33を載置具51の上面に接触させたまま、被介護者2と載置具51との間に支え具16を挿入するための指示を入力部14に入力する(S7)。これにより、介護者3は、支え具16の挿入に対する傾きに細心の注意を払うことなく、支え具16の下端面33の傾きを維持した状態で被介護者2と載置具51との間に支え具16を挿入することができる。
次に、制御部110は、支え具16の挿入時にベルト駆動部25に指示を行い、支え具16の上部に露出した状態で設けられたベルト部23を、支え具16の移動方向とは逆の方向に、支え具16の移動速度と略同じ速度で回動させる(S8)。また、制御部110は位置駆動部116に指示を行い、ベルト部23の回動に合わせて、車輪5を駆動して移乗支援機器1を前方(X軸方向)に移動させ、支え具16を挿入する(S9)。したがって、支え具16の挿入時には被介護者2とベルト部23との相対速度は略「0」となり、被介護者2の背中に接する支え具16のベルト部23が被介護者2と擦れることがなく、また、支え具16の下端面33に設けられた複数の固定ローラ26により、支え具16を円滑に挿入することができる。
次に、介護者3は、支え具16が被介護者2と載置具51の上面との間に十分に挿入されたと判断した場合に、被介護者2を支え具16の掬い面上に掬い上げるための指示情報を入力部14に入力する(S10)。この入力に基づいて、制御部110は、支え具16のベルト駆動部25の駆動を停止させ、ベルト部23の回転を停止させる(S11)。これと同時または直後に、制御部110は昇降駆動部118に指示を行い、脚部8を駆動して支え具16を持ち上げる(S12)。
次に、介護者3は、移乗支援機器1を移動先の載置具51に移動させるための指示情報を入力部14に入力する(S13)。この入力に基づいて、制御部110は位置駆動部116を制御し、移動先、例えば、他方側の載置具51の位置まで、移乗支援機器1を移動させる(S14)。
介護者3は、移乗支援機器1が移動先の載置具51に近づいたことを確認して、支え具16を移動先の載置具51の面上に接触させるための指示情報を入力部14に入力する(S15)。
この入力に基づいて、制御部110は、昇降駆動部118または関節駆動部114を制御し、脚部8の昇降動作、関節部13、15の回動動作を行い、被介護者2を乗せた支え具16を他方側の載置具51の上に接触させる。
制御部110は、脚部8のスライド動作によって支え具16を載置面の上方より載置面に向かって降下するときにおいて、複数の着床検知センサ32のいずれか1つが載置面への着床を検知した場合には、着床を検知した着床検知センサ32の載置面に対する高さを保持するように関節部13および関節部15のいずれかを回動させ、複数の着床検知センサ32のうち、X方向およびY方向のいずれかの方向で2つ以上のセンサ32が着床を検知した場合には、その方向における傾きに対応する軸周りに係る関節部13、15の回動動作を終了し、同様に他の方向での全ての関節部13、15の回動動作を終了した時点で脚部8のスライド動作による支え具16の降下を停止する(S16、S17、S18)。
次に、介護者3は、支え具16の降下が停止した後、報知部34の点灯状態を確認し、例えば、少なくとも3つの着床検知センサ32が着床を検知している状態(支え具16の下端面33が載置具51の載置面に対して平行状態および倣い状態の少なくともいずれかの状態)で、支え具16を後方(X方向と反対方向)に移動させるための指示を入力部14に入力する(S19)。この入力に基づいて、制御部110は、ベルト部23が支え具16の移動方向とは逆方向に、支え具16の移動速度と略同じ速度で回動するように、ベルト駆動部25に指示を行う(S20)。これと同時または直後に、制御部110は位置駆動部116を制御し、車輪5を駆動して移乗支援機器1を後方に移動させ、支え具16を被介護者2と載置具51との間から引き抜く(S21)。支え具16の引き抜き時も、挿入時と同様に、ベルト部23および固定ローラ26の機能および動作により、支え具16が被介護者2と擦れることなく、円滑に引き抜きを行うことができる。
以上述べたように、本発明の実施の形態1における移乗支援機器1によれば、被介護者2と載置具51の載置面との間に支え具16を挿入するときに載置面が水平でない場合であっても、被介護者2と載置面との間に支え具16を挿入するに際して、関節部13、関節部15の回動動作および脚部8の昇降動作の少なくともいずれかを動作させて、複数の着床検知センサ32の出力を設定した範囲内の値とすることにより、載置面と支え具16との間の平行状態および倣い状態の少なくともいずれかの状態を形成し、維持することができる。したがって、移乗支援機器1では、被介護者2の移乗動作を行うときに、載置面の傾斜に合わせて支え具16の位置および角度などの空間姿勢を自動的に調整するので、介護者3が載置面と支え具16との位置関係を特に意識することなく円滑に被介護者2を載置具51から掬い上げ、移乗させることができる。
なお、2台の移乗支援機器1が連携した動作を行うように制御する制御装置(図示せず)を設け、2台の移乗支援機器1のうち、一方の移乗支援機器1を操作するときに、他方の移乗支援機器1も連動して動くように動作させるようにすることができる。例えば、介護者3が一方の移乗支援機器1を前後左右に移動させるように操作したとき、制御装置は、それぞれに設けてある支え具16の間隔を一定に保持しながら、2台の移乗支援機器1が前後左右に移動するように制御することができる。この場合の制御装置は、実施形態3及び図15に示す制御部110と同様の構成とすることができる。
これにより、リクライニング機能を有するベッドなど、傾きの異なる複数の載置面を有する載置具51に対しても、移乗支援機器1を複数用い、支え具16の傾きをそれぞれ調整すれば対応することができる。したがって、この移乗支援機器では、多様な載置具に柔軟に対応することができる。例えば、載置具51の載置面の傾きが2つ以上の複雑な形状の載置具51であっても対応することができ、マルチ支え具機構つき移乗支援機器を実現することができる。
制御装置としては、2台の移乗支援機器1のうちいずれか1つの移乗支援機器1が備えている制御部110を共用してもよい。なお、移乗支援機器1を連携させる台数は2台に限定されない。載置具51の載置面の形状に合わせて、3台以上の移乗支援機器1を連携させるようにしてもよい。
また、移乗支援機器1の着床検知センサ32a、32bの配置は本実施の形態の配置に限定されない。以下、上記した移乗支援機器1の着床検知手段の他の配置例について説明する。
図10(a)〜(d)は、本発明の実施の形態1における移乗支援機器1の支え具16における着床検知手段の他の配置例を示す平面図であり、図10(a)および図10(d)はX軸およびY軸方向での支え具16の下端面33の傾きを検知する場合の配置例であり、図10(b)はY軸方向での支え具16の下端面33の傾きを検知する場合の配置例であり、図10(c)はX軸方向での支え具16の下端面33の傾きを検知する場合の配置例である。
具体的には、図10(a)は、2本の可動ローラ26aのローラ軸芯26bの一方の端部にそれぞれ着床検知センサ32aを配置し、他方の端部では、一方のローラ軸芯26bのみに着床検知センサ32bを配置する例である。このような配置により、支え具16の挿入方向のX軸周りに回動する関節部13と、支え具16の下面において挿入方向と直交するY軸周りに回動する関節部15を備えた移乗支援機器1において、支え具16の挿入方向および挿入方向と直交する方向の2方向により支え具16の下端面33の傾きを検知することができ、載置具51の上面との平行度を調整することができる。
また、図10(b)は、2つの可動ローラ26aのうち、いずれか1つの可動ローラ26aのローラ軸芯26bの両端部に着床検知センサ32a、32bを配置する例である。このような配置により、着床検知センサ32a、32bはローラ軸芯26bの変位を検出する。移乗支援機器1は、支え具16の挿入方向のX軸回りに回動する関節部13を使って、支え具16の下端面33の傾きを検知しながら、支え具16の下端面33と載置具51上面との平行度を調整することができる。したがって、支え具16の挿入方向に対して、載置具51、例えばベッドが傾斜していない場合などに効果を発揮する。なお、ベッドのようにX軸方向の傾きを合わせる必要がなく、Y軸回りの回動が不要となる場合には、関節部15はなくてもよい。
また、図10(c)は、2本の可動ローラ26aのローラ軸芯26bの支え具16のいずれか一方の側面側で、2本の可動ローラ26aのローラ軸芯26bの近傍に着床検知センサ32bを2箇所に配置する例である。このような配置により、支え具16のX軸方向の傾きを検知し、支え具16の下端面33と載置具51の上面とを平行に調整することができる。
また、図10(d)は、支え具16の挿入方向と直交する幅方向において支え具16の下面の中心近傍、例えば、両側面からそれぞれ距離Yaの位置に着床検知センサ32を1個配置する例である。このような構成の場合には、着床検知センサ32は、可動ローラ26aの軸芯26bの両端部が長穴部31の上側にそれぞれ移動したときに作動する。これによっても、Y軸方向において、支え具16の下端面33が載置具51の載置面に対して平行となることが検知できる。さらに、この例では可動ローラ26aを支え具16の下端面33の先端部から距離Xaの位置、すなわち支え具16の先端部から距離Xbの範囲の部位に対する中心位置に配置される。つまり、着床検知センサ32は、支え具16の先端側における距離Xbの範囲における重心位置に配置されている。この構成の場合には、X軸方向に対して支え具16の下端面33の先端部が載置具51と距離Xbの範囲で当接するときに、X軸方向において、支え具16の下端面33が載置具51の載置面に対して平行となる。ただし、この図10(d)の場合には、支え具16と載置具51とが平行でない場合に、支え具16をどの方向に傾けるべきか判断が困難であるので、平行度の確認用として着床検知センサ32が設けられる。したがって、このセンサ32と図10(a)〜(c)に示すセンサ32a、32bとを組み合わせてもよい。なお、支え具16の下端面33の先端部と載置具51との当接させる距離Xbは、支え具16の挿入時に適切な距離となるように予め設定される。
(実施の形態2)
次に、図11から図14を参照しながら、本発明の実施の形態2における支え具17について説明する。
図11は本発明の実施の形態2における移乗支援機器1で使用される車椅子の例を示す図であり、図12は本発明の実施の形態2における支え具17の構造例を示す図であり、図13は本発明の実施の形態2における移乗支援機器1の支え具17を用いたときの動作を説明するための図であり、図14は本発明の実施の形態2における移乗支援機器1の使用時の支え具17の他の状態例を示す図である。なお、実施の形態1における移乗支援機器1と同一の機能は同じ符号を付し、その説明を省略する。
実施の形態1では、移乗支援機器1の支え具16下面に設けられた可動ローラ26a(又はローラ軸芯26b)の変位を検出することにより、載置面と支え具16との平行状態および倣い状態のうちいずれかの状態を形成し、維持するようにした。すなわち、実施形態1では、支え具16がベッドなどの幅の大きい載置具51(図2)に対して着床することを前提としている。
これに対し、実施の形態2では、ベッドなどに比較して幅の狭い載置具51(図2)、例えば、図11に示すような車椅子53などへ支え具を着床させる場合に載置面と支え具17との平行状態および倣い状態のうちいずれかの状態を形成し、維持することができる支え具17について説明する。なお、本実施の形態における移乗支援機器1では、支え具16に代えて支え具17を使用するものとする。
以下、支え具17の詳細について説明する。まず、図12(a)に支え具17の側面図を示す。この図は、支え具17の一部を破断した状態で示している。支え具17は、図12(a)に示すように、支え具17下面側において支え具17の本体に固定された枠体21と、この枠体21に保持されている可動フレーム18と、可動フレーム18が支え具17下面の法線方向に変位するのを検知する複数の着床検知センサ32cとを備えている。なお、可動フレーム18の移動方向として、支え具17の下面に対する法線方向の成分があればよい。
さらに、支え具17では、枠体21と可動フレーム18との間に弾性体としてのばね19が設けられている。ばね19は、可動フレーム18を支え具17下面の法線方向の下面側へ付勢している。可動フレーム18は、枠体21の内側に配置されていて、ばね19の伸縮に応じて上下方向に変位する。
次に、図12(b)に支え具17の下面図を示す。枠体21の開口は支え具17下面の大部分に亘る大きさに形成されており、可動フレーム18は枠体21の開口の大部分に亘る大きさに形成されている。可動フレーム18は、図12(b)に示すように、支え具17の挿入方向と直交するように配置された複数の固定ローラ26を保持している。また、可動フレーム18は、図12(a)に示すように、ローラ列を構成する固定ローラ26それぞれを、下端面33から僅かに下方に突出した状態で回転可能に保持している。この固定ローラ26の回転により、支え具17を被介護者2と載置具51の載置面との間に挿入するときの負荷が小さくなる。
次に、図12(c)に図12(b)におけるB−B断面図(主要な部分)を示す。可動フレーム18は、図12(c)に示すように、支え具17下面側で枠体21により保持されるとともに、支え具17の下面に対して法線方向に変位可能に維持されている。これにより、支え具17の下面側において、可動フレーム18の一部分、例えば、固定ローラ26、または、フレーム下面(先端部、中央部、後端部のいずれかで載置面と点、線または面で接触可能な部分領域)などと車椅子53の載置面51と接触させることができる。
なお、図12(a)から図12(c)に示す構造に限定されるものではない。例えば、ワイヤなどの結合部材を用いて、支え具17下面側で枠体21から所定の距離だけ離れた状態で可動フレーム18を変位可能に維持するようにしてもよい。また、ワイヤに代えて、ばねを用いてもよい。さらに、支え具17下面側にガイドやスライド機構などを設け、可動フレーム18を直動させるように支持してもよい。支え具17の下面の法線方向に可動フレーム18が変位可能な機構であれば、可動フレーム18の変位により着床検知センサ32cと接触させることができるので、着床検知センサ32cを作動させることができる。
ばね19は、可動フレーム18の四隅近傍に配置されている。ばね19としては、例えば、公知の圧縮コイルバネ、板バネ、皿バネなどを使用することができる。このように、可動フレーム18を支え具17下面の法線方向の下面側へばね19により付勢するので、支え具17の傾き、振動、外乱によって可動フレーム18が枠体21側へ変位するのを抑えることができ、着床検知センサ32cが誤検知するのを防止することができる。なお、ばね19の配置は4箇所に限定されない。
着床検知センサ32cは、枠体21と可動フレーム18との間に、互いに離間した状態で複数設けられている。各センサ32cは枠体21に固定されている。これにより、着床検知センサ32cは、可動フレーム18が変位して着床検知センサ32cと接触すると、その接触圧力により作動する。着床検知センサ32cとしては、着床検知センサ32aと同様のものを使用することができる。また、図12(b)に示す配置例では、4つの着床検知センサ32cが可動フレーム18の四隅近傍に配置されている。すなわち、着床検知センサ32cはX軸方向及びY軸方向に配列されている。着床検知センサ32cを本体側である枠体21に取り付けることにより、着床検知センサ32cへの配線が容易となる。また、枠体21側から可動フレーム18側への配線を行う必要がなく、枠体21側に固定して配線することができるので、信頼性を向上させることができる。
このような構成により、ローラ列のいずれかの固定ローラ26が載置具51と接触した場合、あるいは可動フレーム18の一部分が載置具51と接触した場合に、支え具17の下面の法線方向に可動フレーム18が変位し、枠体21に固定されている着床検知センサ32cのいずれかと可動フレーム18の一部分とが接触することにより着床検知センサ32cのいずれかが作動する。これにより、支え具17下面が載置具51に着床したことを検出することができる。これにより、移乗支援機器1の支え具17では、可動フレーム18の一部分と車椅子53の載置面51とが接触した場合であっても、可動フレーム18を変位させて、可動フレーム18と着床検知センサ32cとを接触させることができるので、面積の小さな載置面を有する載置具への着床をも検出することができる。
さらに、可動フレーム18には、支え具17の前側である先端部近傍に突起部30が設けられている。この突起部30では固定ローラ26を保持する必要がないため、突起部30の形状を薄くすることができる。そのため、突起部30を可動フレーム18から支え具17の先端部近傍に近づくほど薄くなるように加工することができる。突起部30は、一方端が可動フレーム18に結合されるとともに、他方端が支え具17の先端部近傍まで延長されている。なお、突起部30と可動フレーム18を一体に成型してもよい。
これにより、支え具17の先端部近傍でも、可動フレーム18が載置具51に着床したことを検出することができる。また、突起部30が支え具17の先端部近傍に近づくほど薄くなる形状に形成されているので、支え具17の挿入方向における先端部全体を薄くでき、支え具17を被介護者2と載置具51の載置面との間に挿入する際の挿入作業を容易にしている。
次に、図13(a)〜(e)を参照しながら、移乗支援機器1において支え具17を用いたときの動作について説明する。
移乗支援機器1は、図13(a)に示すように、被介護者2と載置具51の載置面との間に支え具17を挿入するために被介護者2の手前である載置具51の端に支え具17を降下させる。このとき、移乗支援機器1では、載置具51の端で、かつ、被介護者2との接触を避けることができる位置に支え具17の先端部を降下させる。このような場合でも、移乗支援機器1には、支え具17の先端部近傍に突起部30が設けられているため、突起部30と載置面51とを接触させることができる。この突起部30と載置面51とが接触するのに伴って支え具17の下面の法線方向に可動フレーム18が変位し、可動フレーム18と着床検知センサ32cとの接触により着床検知センサ32cが作動する。これにより、移乗支援機器1では、支え具17が載置具51の載置面へ着床したことを検知できるので、載置面と支え具17との平行状態および倣い状態のうちいずれかの状態を形成し、維持することができる。
次に、図13(b)に示すように、移乗支援機器1は、被介護者2と載置具51の載置面との間に支え具17を挿入する。そして、移乗支援機器1は、図13(c)に示すように、挿入時に可動フレーム18の先端部および後端部のいずれもが載置面と接触するようにし、載置面の傾きと支え具17の傾きとが平行状態および倣い状態のうちいずれかの状態になるように、維持することができる。
次に、移乗支援機器1は、支え具17の挿入が完了すると、図13(d)に示すように、被介護者2を支え具17に掬い上げる。
次に、移乗支援機器1は、図13(e)に示すように、例えば、ベッドなどに比較して幅の狭い車椅子53に被介護者2を移乗させるために、支え具17を降下させ、支え具17を車椅子53に着床させる。このとき、支え具17において着床検知センサ32cが配置されている箇所の長さLbが車椅子53の幅La(図11)より大きい場合(Lb>La)であっても、支え具17下面にある可動フレーム18の一部分(中央部)と車椅子53との接触により可動フレーム18が変位する。そして、可動フレーム18が、当該可動フレーム18の四隅近傍の枠体21側にそれぞれ固定した着床検知センサ32cの少なくともいずれかと接触することにより着床検知センサ32cが作動し、支え具17下面が車椅子53に着床したことを検出する。そのため、ベッドなどに比較して幅が狭い車椅子53などへ被介護者2を移乗させる場合であっても支え具17下面が車椅子53に着床したことを検出することができる。
このように、移乗支援機器1における一連の移乗動作においては、図13(a)に示すように、移乗支援機器1は、まず載置具51の端に支え具17を降ろし、被介護者2と載置具51の載置面との間に支え具17を挿入して被介護者2を掬い上げ、被介護者2を移乗位置まで支え具17で保持して移動する必要がある。そして、図13(e)に示すように、車椅子53に移乗させるときには被介護者2を車椅子53の中央の位置まで移動し、支え具17を着床させた後で被介護者2と載置具51との間から支え具17を引き抜く必要がある。この移乗支援機器1では、載置面の傾き対して支え具17の傾きを調整できると共に、支え具17の先端部および中央部でも着床を検出するので、多様な載置具51の大きさ、形状にも対応することができる。
また、着床検知センサ32cは、可動フレーム18の四隅近傍の枠体21側にそれぞれ固定されている。そして、移乗支援機器1では、着床検知センサ32cの出力に基づいて、載置面のX軸方向およびY軸方向の傾き対して支え具17の傾きを調整するので、支え具17を被介護者2の体側に突き当てることなく載置具51の面に沿わせて被介護者2の背面に滑らかに挿入することができる。
以上述べたように、本発明の実施の形態2における移乗支援機器1によれば、ベッドなどに比較して幅が狭い車椅子53などへ被介護者2を移乗させる場合であっても、支え具17に設けられた可動フレーム18の一部分、例えば、突起部30、固定ローラ26またはフレーム下面(先端部、中央部、後端部のいずれかで載置面と点、線または面で接触可能な部分領域)などと車椅子53の載置面とを接触させることができる。これにより、移乗支援機器1では、ベッドなどに比較して幅が狭い車椅子53に支え具17を降ろす場合であっても、支え具17下面の法線方向に可動フレーム18が変位することにより、可動フレーム18と着床検出センサ32との接触により着床検出センサ32が作動するので、支え具17下面が車椅子53の載置面に着床したことを検出することができ、載置面と支え具17との平行状態および倣い状態のうちいずれかの状態を形成し、維持することができる。
さらに、図14(a)に示すように、移乗支援機器1では、支え具17の前端部が載置具51の載置面へ着床しているが、支え具17の後方部が浮いているような姿勢の場合には、支え具17下面の法線方向に可動フレーム18先端部の位置が変位して先端部近傍の着床検知センサ32cが作動する一方、可動フレーム18後端部の位置は変位せずに、後端部近傍の着床検知センサ32cは作動しない。これにより、可動フレーム18の四隅に相当する位置に配置された4つの着床検知センサ32cの検知状況に基づいて、図14(a)に示すような支え具17下面の傾き姿勢を検出することができる。
また、支え具17の降下によって被介護者2を押しつぶさないように、安全のために、例えば、支え具17とアーム部12との連結部に逃げ機構を設けた場合、支え具17が図14(b)に示すような姿勢となることがある。すなわち、移乗支援機器1において、載置具51の載置面に支え具17の前端部が着床していない状態で、支え具17後方部が着床しているような姿勢をとる場合がある。この場合、支え具17下面の法線方向に可動フレーム18後端部の位置が変位するので、支え具17後端部近傍の着床検知センサ32cが作動する。しかし、可動フレーム18先端部の位置が変位しないので、支え具17先端部近傍の着床検知センサ32cは作動しない。これにより、移乗支援機器1は、4つの着床検知センサ32cの検知状況に基づいて、図14(b)に示すような支え具17下面の姿勢を検出することができる。移乗支援機器1では、このような支え具17下面の姿勢を検出したときに挿入動作を停止する制御が含まれているので、支え具17を被介護者2の体側に突き当てるような動作を防止することができる。
なお、可動フレーム18の可動案内部材として、複数の固定ローラ26を用いた例について説明したが、複数の固定ローラ26に代えて、摩擦係数の小さな面状のボード(例えば、低摩擦な樹脂材料で成型されたボードなど)を可動フレーム18に備えるようにしてもよい。このボード下面を下端面33(図11(a))から僅かに突出するように可動フレーム18に取り付けることで、固定ローラ26と同様に、支え具17を被介護者2と載置具51の載置面との間に挿入するときの負荷を小さくすることができる。また、ボードの場合には、固定ローラ26の場合のような固定ローラ26間の隙間をなくすことができるので、支え具17下面のどこでも着床を検出することが可能となる。これにより、例えば、車椅子53の載置面上に突起物、例えば車椅子53の載置面の傾きを調整するレバーなどがあっても、支え具17下面が載置具51に着床したことを検出することができるようになる。
また、可動フレーム18とボードとを一体成型するようにしても、支え具17下面のどこでも着床を検出することができ、上述の効果を奏することができる。
(実施の形態3)
次に、図15を参照しながら、本発明の実施の形態3における移乗支援機器9について説明する。図15は、本発明の実施の形態3における移乗支援機器9の基本構成を示す斜視図である。なお、実施の形態1における移乗支援機器1と同一の機能は同じ符号を付し、その説明を省略する。
実施の形態1における移乗支援機器1では、1つの支え具16で載置具51の上に載置されている被介護者2を、載置具51と被介護者2との間に支え具16を挿入し、支え具16の掬い面上に被介護者2を掬い上げて別の載置具に移乗させる例について説明した。実施形態1では、支え具16を載置具51の1つの載置面の傾きに合わせて着床させ、載置具51と被介護者2との間に支え具16を挿入していた。
これに対し、実施の形態3における移乗支援機器9では、複数の支え具16を備えており、それぞれの支え具16に対応するように複数の回動手段(関節部13、15がそれぞれ複数)および複数の昇降手段(脚部8)を備えたことを特徴とする。これにより、載置面の傾きが2つ以上ある複雑な形状の載置具51であっても支え具16それぞれの姿勢が変更可能な移乗支援機器9を実現する。
移乗支援機器9は、図15に示すように、2つの支え具16と、支え具16それぞれを姿勢自在に支持するための2つの関節部13と、2つのアーム部12と、2つの関節部15と、2つの脚部8と、2つの脚部8を保持するための2つの保持部11と、1つの制御部110と、2つの入力部14とを備えている。
介護者3は、図1と同様に、2つの支え具16の間に立ち両手で入力部14を操作し、移乗支援機器9の移動、それぞれの支え具16の移動、および被介護者2の持ち上げ動作などを行うため、各種の入力を行う。
制御部110は、入力部14からの操作指示により、傾きの異なる載置面を有する載置具51(例えば、載置部51a、51b)に対して、2つの支え具16それぞれの傾斜を制御し、載置面それぞれに対して、支え具16それぞれの傾きを倣わせる。また、制御部110は、一方の入力部14からの指示により一方の支え具16が操作されるとき、他方の支え具16も連動して動くように制御可能とする。例えば、載置具51と被介護者2との間に支え具16をそれぞれ挿入し、被介護者2を掬い上げた後、制御部110は、2つの支え具16を連動させてこれら両支え具16の間隔が一定に保たれるように制御する。これにより、移乗支援機器9は、被介護者2を支え具16の上に寝かせたままの状態で安全に移乗させることができる。なお、2つの支え具16を連動させる制御は、支え具16の挿入時、引き抜き時にも実行してもよく、あるいは、2つの支え具16で被介護者2を支えているときのみ実行するようにしてもよい。例えば、支え具16を被介護者2及び載置面間に挿入した後で両支え具16を連動させる場合には、支え具16のそれぞれが挿入完了したことが検知されるとフラグを立てて抱き上げモードに移行し、この抱き上げモードにおいて、2つの支え具16を連動させる制御を行うようにすることができる。
保持部11は、2つの保持部6を連結部10により連結して一体化されている。なお、連結部10を伸縮自在な構成とし、2つの支え具16の間隔を変更できるようにしてもよい。これにより、支え具16それぞれの位置、角度などの空間姿勢の制御を高機能に行うことができ、操作性を高めることができる。これにより、被介護者2の身体条件により、支え具16は頭部や足元など個別に適切な条件で支え、移乗時の機能の向上に効果を発揮する。
以上述べたように、本発明の実施の形態3における移乗支援機器9では、リクライニング機能を有するベッドなど、傾きの異なる複数の載置面を有する載置具51に対しても、複数の支え具16を用いて、支え具16の傾きをそれぞれ調整することにより対応することができるので、多様かつ高度な対応効果を発揮することができる。例えば、傾きが異なる2つの載置面を有する載置具51であっても対応することができる。また、各支え具16は、一体化されている保持部11を土台にして支持されているため、装置の変形に対する強度を高めることができる。これにより、各支え具16の間隔を精度よく保つことができる。
なお、移乗支援機器9においては、2つの支え具16が設けられ、被介護者2を掬い上げ、寝たままの状態で移乗させる例について説明した。しかしながら、移乗支援機器9における支え具16の数は2つに限定されない。載置具51の載置面の形状に合わせて、支え具16の数を増やすことができる。これにより、載置具51の複雑な載置面の形状に支え具16それぞれを合わせることができる。支え具16を増やす場合には、支え具16それぞれを自在に支持する回動手段(関節部13、15)および昇降手段(脚部8)も合わせて増やすようにすればよい。
また、移乗支援機器9では、実施の形態1に記載の支え具16を使用した場合について説明したが、支え具16に代えて実施の形態2に記載の支え具17を使用するようにしてもよい。
(実施の形態4)
次に、図16(a)(b)を参照しながら、本発明の実施の形態4における移乗支援機器1の支え具16に関する応用例について説明する。
図16(a)(b)は、本発明の実施の形態4における移乗支援機器1の支え具16の構造に関する応用例について説明するための図であり、図16(a)は移乗支援機器1の使用時における着床前の支え具16の状態を示す図であり、図16(b)は移乗支援機器1の使用時における着床後の支え具16の着床状態を示す図である。なお、実施の形態1における移乗支援機器1と同一の機能は同じ符号を付し、その説明を省略する。
図16(a)に示すように、支え具16は、Y軸回りに支え具16を回動させるための関節部15に接続されており、この関節部15にはアーム部12が連結されている。アーム部12は関節部15に結合された平行リンク機構の1つのリンクを構成している。このため、支え具16が載置具51の載置面に着床していない状態では水平に保たれている。
関節部15は、角度θ0が小さくなる方向へ支え具16が自由に回動できるようにするための逃げ機構(図示省略)と、Y軸を中心軸とした軸周りに回動する回動部分に支え具16とアーム部12とがなす角度θ0を検出するための角度検出センサ73とを備えている。
角度検出センサ73としては、公知のエンコーダを使用することができ、例えば、回転型ポテンショメータまたは回転型差動変圧器などを使用することができる。
まず、移乗支援機器1では、角度検出センサ73により、支え具16が載置具51の載置面に着床する前の状態のときの支え具16とアーム部12とのなす角度θ0を検出し、検出された角度θ0を制御部110の記憶部(図示せず)に記憶する。
次に、移乗支援機器1では、介護者3が支え具16をZ軸方向における下方(矢印aの方向)に下げた場合において、図16(b)に示すように、支え具16の一部が載置具51の載置面に着床したことにより、支え具16とアーム部12とのなす角度が角度θ0よりも僅かに小さな角度θ1に変化したことを、角度検出センサ73により検出する。
これにより、移乗支援機器1は、記憶部に記憶されている角度θ0の角度情報と角度θ1の角度情報とを比較して角度θ0<角度θ1の状態を判断することができるので、支え具16が載置具51の載置面に着床したことを検知することができる。
以上述べたように、本発明の実施の形態4における移乗支援機器1によれば、角度検出センサ73により、支え具16とアーム部12とのなす角度の変化を検出し、この角度の変化から支え具16が載置具51の載置面に着床したことを検知することができるので、着床検知センサ32と同様の効果を発揮することができる。よって、ベッドなどのように載置具51の載置面がX軸方向の傾きもなく平らな場合には、移乗支援機器1において、着床検知センサ32に代えて角度検出センサ73を使用することができる。なお、説明は省略しているが、この移乗支援機器1には、支え具16をX軸回りに回動可能な関節部13が設けられるとともに、支え具16の両側面にそれぞれ着床検知センサ32a,32bが設けられていてもよい。この場合には、Y軸方向の支え具16の傾きを、このセンサ32a,32bの検出結果に基づいて制御することができる。
(実施の形態5)
次に、図17(a)(b)および図18(a)(b)を参照しながら、本発明の実施の形態5における移乗支援機器1の支え具16について説明する。
実施の形態5では、ベッドなどの載置具51の載置面の傾きがY軸方向だけでなく、さらにX軸方向に傾いている場合において、支え具16の傾きを合わせる自動調芯機能について説明する。
図17(a)(b)および図18(a)(b)は、本発明の実施の形態5における移乗支援機器1の支え具16の構造に関する他の応用例について説明するための図であり、図17(a)は支え具16の構造の側面図であり、図17(b)は図17(a)におけるC−C線断面を拡大した断面矢視図であり、図18(a)は支え具16と載置具51との位置関係を示す正面図であり、図18(b)は支え具16が載置具51に接触したときの側面図である。なお、実施の形態1における移乗支援機器1と同一の機能は同じ符号を付し、その説明を省略する。
まず、支え具16をアーム部12に連結する構造について説明する。図17(a)および図17(b)に示すように、支え具16は、関節部13および関節部15を介してアーム部12に連結されている。関節部13は、電磁クラッチなどのクラッチ部81を備えている。
関節部13、15では、X軸およびY軸を中心とする軸周りに支え具16を回動するために、それぞれの軸に対応させて駆動モータ82を備えている。駆動モータ82において、関節部13をX軸周りに回動するものを駆動モータ82aとし、関節部15をY軸周りに回動するものを駆動モータ82bとする。駆動モータ82(82a、82b)は、回転数を下げ、トルクを強化する減速装置などを有していてもよい。
クラッチ部81は、駆動軸部81aと従動軸部81bとを備えている。駆動軸部81aは、Y軸方向の両側に突出した2つのばね掛け部84を有する。さらに、支え具16には、関節部13側の側面にX軸方向の両側に突出した2つのばね掛け部85が設けられており、同じ側にある2つのばね掛け部84、85間にそれぞれ引張ばね86が配設されている。この2つの引張ばね86は、支え具16がX軸を中心とする軸周りに回動したとき、駆動モータ82aにより固定された回動位置での支え具16の傾きを維持する自動調芯作用を有している。なお、引張ばね86は、ゴムやスプリングなどの弾性体であってもよい。
クラッチ部81がOFF(非作動)のときには、支え具16は駆動モータ82aから切り離される。これにより、支え具16はX軸を中心とした軸の軸周りの回動が自由になり、駆動モータ82aからクラッチ部81の両側に設けられた2つの引張ばね86の付勢力に抗して回動する。これによって、駆動モータ82aによって固定された回動位置での支え具16の傾きを中心にして、その支え具16の傾きが所定の回動範囲に維持される。
一方、クラッチ部81がON(作動)のときには、支え具16は、関節部13に固定されて、駆動モータ82aの回転に伴ってX軸を中心とした軸の軸周りに回転する。移乗支援機器1は、例えば、関節駆動部114により、駆動モータ82aを使ってX軸を中心とした軸の軸周りに支え具16を回動させる。
次に、支え具16の傾きを調整するときの動作について説明する。図18(a)に示すように、支え具16を載置具51の載置面に着床させる際には、支え具16が載置具51と離れている状態で、クラッチ部81をOFF(非作動)にする。このとき、支え具16は2つの引張ばね86によって、姿勢が維持される。次に、支え具16の幅方向において支え具16の端部Eが載置具51の載置面に接触すると、支え具16は引張ばね86の付勢力に抗してX軸を中心として回動する。さらに、支え具16をZ軸下方向に降ろすと、支え具16は矢印D方向に回動し、載置具51の載置面と平行になる。この状態でクラッチ部81をON(作動)にすることにより、支え具16の傾きを固定することができる。
次に、介護者3は、図18(b)に示すように、X軸方向において載置具51の載置面と支え具16下面との間に傾きの差がある場合には、指示情報を入力部14に入力して着床検知センサ32a、32bを作動させ、駆動モータ82bを駆動し、Y軸を中心に支え具16を回動させる。
以上述べたように、本発明の実施の形態5における移乗支援機器1では、クラッチ部81をOFFして支え具16を駆動モータ82aから切り離し、これにより支え具16をX軸を中心とした軸の軸周りへ自由に回動させることができるので、支え具16を載置具51の載置面に円滑に倣わせることができる。さらに、支え具16下面と載置具51の載置面とが平行になった状態でクラッチ部81をONにすることにより、支え具16の傾きを固定することができる。また、X軸方向において載置具51の載置面と支え具16下面との間に傾きの差がある場合には、指示情報を入力部14に入力して着床検知センサ32a、32bを作動させ、駆動モータ82bを駆動し、Y軸を中心に支え具16の傾きを調整することができる。これにより、ベッドなどの載置具51の載置面の傾きが、Y軸方向だけでなく、さらにX軸方向に傾いている場合に支え具16の傾きを合わせることができる。
さらには、引張ばね86およびクラッチ部81により、支え具16の動きを制動すると共に、被介護者2の体形、姿勢に応じて、支え具16の傾きを調節するので、介護者3は移乗作業をスムーズに行うことができる。
(実施の形態6)
次に、図19を参照しながら、本発明の実施の形態6における移乗支援機器1の支え具16について説明する。
実施の形態6では、支え具16の傾きを駆動モータを用いて維持する例について説明する。
図19は、本発明の実施の形態6における移乗支援機器1の支え具16の構造に関するさらに他の応用例について説明するための側面図である。なお、実施の形態1における移乗支援機器1と同一の機能は同じ符号を付し、その説明を省略する。
図19に示すように、支え具16を保持する関節部13および関節部15は、駆動モータ82及び回転角度検出部87を備えており、制御部110は姿勢制御部88を備えている。
回転角度検出部87において、X軸周りの回転を検知するものを回転角度検出部87aとし、Y軸周りの回転を検知するものを回転角度検出部87bとする。
姿勢制御部88は、制御部110の一部であり、入力部14からの指示情報により作動する。姿勢制御部88は、入力部14から「傾き維持モード」などの指示情報が入力されると、回転角度検出部87(87a、87b)からの情報に基づいて、関節部13、15をX軸およびY軸を中心とする軸周りに回動させるために駆動モータ82a、82bを作動させて、支え具16の傾きを制御する。
なお、支え具16の傾きを維持するときに、支え具16を設定された許容範囲内で変動可能に制御するようにしてもよい。例えば、入力部14において、支え具16の傾きの変動許容範囲が大きい「モードA」や支え具16の傾きの変動許容範囲が小さい「モードB」などの設定モードを複数設けてもよい。また、スライド型の入力デバイスを使用して、段階的または連続的に支え具16の傾きの変動許容範囲や支え具16の傾きを制御するときの駆動力を調整してもよい。
以上述べたように、本発明の実施の形態6における移乗支援機器1によれば、姿勢制御部88により、入力部14から「傾き維持モード」などの指示情報と回転角度検出部87(87a、87b)からの情報とに基づいて、駆動モータ82a、82bを作動させ、関節部13、15をX軸およびY軸を中心とする軸周りに回動させるので、支え具16の傾きを維持することができる。
また、入力部14において、支え具16の傾きの変動許容範囲が大きい「モードA」や支え具16の傾きの変動許容範囲が小さい「モードB」を備えているので、設定モードに応じて変動許容範囲が異なるように支え具16の傾きを制御することができる。
また、スライド型の入力デバイスを使用することにより、段階的または連続的に、支え具16の傾きの変動許容範囲や支え具16の傾きを制御するときの駆動力を調整することができるので、被介護者2の姿勢に対して細やかな制御が可能となり、被介護者2に優しい自動調芯機能を実現することができる。
(実施の形態7)
次に、図20を参照しながら、本発明の実施の形態7における移乗支援機器1において、着床検知の他の方式について説明する。具体的には、複数の荷重センサを用いて着床を検知する方式例について説明する。
図20は、本発明の実施の形態7における移乗支援機器1の車輪5の構造例を示す正面図である。なお、実施の形態1における移乗支援機器1と同一の機能は同じ符号を付し、その説明を省略する。
図20に示すように、車輪5は、ローラ101、ローラ軸102、ハウジング103および荷重センサ104を備えている。車輪5は、複数設けられていて、各車輪5はそれぞれ保持部6(例えば図3参照)に固定または回動可能に取り付けられている。また、荷重センサ104はハウジング103に取り付けられている。車輪5には減速装置を介して駆動源105が連結されており、自走可能な構成としている。
制御部110は、移乗支援機器1の重心位置を算出する演算部106と、演算結果を記憶するための記憶部107とを備えている。
演算部106は、複数の荷重センサ104からの出力信号に基づいて移乗支援機器1の重心位置を所定の時間間隔で算出し、その演算結果を順次に記憶部107に記憶する。そして、演算部106は、記憶部107に記憶された複数の演算結果の差分値を算出し、この差分値から支え具16が載置具51の載置面に着床したことを検知する。つまり、荷重センサ104は着床検知手段として機能している。
以上述べたように、本発明の実施の形態7における移乗支援機器1によれば、複数の荷重センサ104からの出力信号に基づいて、操作時の移乗支援機器1の重心位置の変化を検出することができ、この変化から支え具16が載置具51の載置面に着床したことを検知することができる。さらに、移乗支援機器1の重心位置を検出して重心姿勢を操作中に把握することができ、危険な姿勢を予め防止することが可能となるので、移乗支援機器1の安全性を高めることが可能となる。
(実施の形態8)
次に、図21を参照しながら、本発明の実施の形態8における移乗支援機器1に表示部111を備えた場合の応用例について説明する。
図21は、本発明の実施の形態8における移乗支援機器1の表示部111の構成例について説明するための説明図である。なお、実施の形態1における移乗支援機器1と同一の機能は同じ符号を付し、その説明を省略する。ここでは、移乗支援機器1を2台使用し、連携して移乗動作を行う場合における表示部111の構成例を示している。
図21に示すように、表示部111では、ローラ101の配置位置113、移乗支援機器1の重心位置Gおよび支え具16を載置具51の載置面に着床させたときの機器1の重心位置G1を投影表示する。なお、重心位置Gおよび重心位置G1としては、実施の形態7で算出されたものを使用することができる。また、表示部111には、2台の支え具16の位置を示す外形枠F1、F2をそれぞれ表示する。
表示部111としては、例えば、液晶表示部や有機EL(electroluminescence)ディスプレイなどを用いた表示装置を使用することができる。これにより、介護者3は、支え具16を載置具51の載置面に着床させたとき、表示部111に表示される重心位置Gと重心位置G1との位置関係の変化から、支え具16が載置具51の載置面に着床したことを知ることができる。なお、2台ある移乗支援機器1のいずれか一方に表示部111を設ければよい。
また、着床確認枠(E1、E2)内に重心位置G1がある場合には、支え具16が載置具51の載置面に適切な圧力で着床していることを示している。ここで、着床確認枠E1は、載置具51の載置面に着床する支え具16が1つの場合に使用され、着床確認枠E2は支え具16が2つの場合に使用する。また、表示部111に表示される着床確認枠(E1、E2)の外側は移乗支援機器1が転倒するなどの危険な姿勢の領域とし、その内側を安全な姿勢の領域とする。
以上述べたように、本発明の実施の形態8における移乗支援機器1によれば、表示部111に表示される重心位置Gと重心位置G1との位置関係の変化から、介護者3は、支え具16が載置具51の載置面に着床したことを知ることができる。
また、介護者3は、表示部111に表示される重心位置G、G1の表示位置から移乗支援機器1が安全な姿勢状態になっているか否かを容易に把握することができるので、移乗支援機器1が転倒するなどの危険な姿勢状態を回避することができ、移乗支援機器1の安全性を高めることができる。
なお、支え具16の位置を示す外形枠F1、F2上に、着床検知センサ32の配置位置に応じた座標上に着床検知センサ32の作動状態を表示するための報知部表示112を設けてもよい。
以上述べたように、本発明の実施の形態における移乗支援機器1および移乗支援機器9では、介護者3が被介護者2を移乗させる場合について説明したが、被介護者2は人体であればよく、例えば、自ら移動したり、体を動かすことが困難な者に対しても、同様に応用できる。これにより、移乗支援機器1および移乗支援機器9では、載置具の載置面からその人体を掬い上げ、他の載置具に移乗させることができる。
また、移乗支援機器1にカメラなどを配設し、画像情報に基づき支え具16、17を認識し、支え具16、17の位置および姿勢を制御することもできる。
[実施の形態の概要]
ここで、本実施の形態の概要について、以下に説明する。
(1) 以上説明したように、ベッド面が傾斜している場合など、人体を載置する載置具の載置面が水平でない場合であっても、人体と載置面との間に支え具を挿入するに際し、回動手段および昇降手段の少なくともいずれかを動作させて、複数の着床検知手段の出力に基づいて、載置面と支え具との間の平行状態および倣い状態の少なくともいずれかの状態を形成し、維持することが可能となる。したがって、本実施形態の移乗支援機器は、被介護者の移乗動作時に、人を載置する載置具の載置面の傾斜に合わせて支え具の位置および角度を自動的に調整する効果を発揮する。これにより、介護者が載置面と移乗支援機器との位置関係を特に意識することなく円滑に被介護者を載置具から掬い上げ、移乗させることを可能にする。
(2) また、複数の着床検知手段は、各々の回動手段の回動軸と直交する方向に複数が離間して、支え具の下面に設けられ、制御手段は、昇降手段によって支え具を載置面の上方より載置面に向かって降下させるときにおいて、各々の回動手段について回動手段の回動軸と直交する方向に設けられた複数の着床検知手段のいずれか1つが載置面への着床を検知した場合には、着床を検知した着床検知手段の載置面に対する高さを保持するように回動手段を回動させながら前記昇降手段を動作させ、複数の着床検知手段のうち2つ以上が着床を検知した場合には、回動手段の回動を終了し、全ての回動手段の回動を終了した時点で昇降手段の降下を停止するようにしてもよい。
このような構成によれば、複数の着床検知手段および回動手段により支え具を載置面に対して平行に着床させ、停止させることが可能となる。したがって、傾きの異なる載置面に対して、支え具の下面の傾きを平行にすることができる。
(3) また、移乗支援機器は、支え具を挿入方向へ移動させる支え具挿入手段をさらに備え、制御手段は、支え具挿入手段による人体と載置面の間への支え具の挿入動作時において、複数の着床検知手段のいずれもが着床を検知しないときは昇降手段を降下させ、各々の回動手段の回動軸と直交する方向に設けられた複数の着床検知手段のいずれかの出力が設定した範囲より大きいときには、出力が大きい着床検知手段を載置面から離間する方向に回動手段を回動させ、複数の着床検知手段のいずれかの出力が設定した範囲より小さいときには、出力が小さい着床検知手段を載置面に当接する方向に回動手段を回動させて、複数の着床検知手段の出力状態を設定した範囲内に維持するようにしてもよい。
このような構成によれば、支え具の挿入動作時において、複数の着床検知手段の出力状態を設定した範囲内に維持することが可能となる。したがって、支え具の挿入動作時において、支え具を載置面に対して一定の当接状態に調整することができる。
(4) また、複数の着床検知手段はそれぞれ圧力センサにより構成され、載置面との接触圧力が設定された圧力範囲内にあるか否かによって着床状態を判定するようにしてもよい。
このような構成によれば、支え具の載置面に対する着床状態を接触圧力の情報に基づいて判定することができる。これにより接触圧力を制御して支え具を載置面に着床させることができる。また、支え具を誤って載置面に接触させた場合に、その反力による移乗支援機器の転倒や破損、載置具の破損などを防止することができる。
(5) また、設定された圧力範囲は、支え具の挿入部位において載置面が人体により受ける圧力範囲であってもよい。このような構成によれば、支え具の挿入部位において、載置面が人体により受ける圧力範囲と同じにすることで、載置面に対する人体の沈み込み量と、挿入部位における支え具の沈み込み量とを略同じにすることができる。これにより、支え具の挿入部位での沈み込み量の違いによる段差を抑え、支え具をスムーズに挿入することができる。
(6) また、前記支え具の下面の法線方向に変位可能に構成された可動案内部材をさらに備え、複数の着床検知手段は、前記支え具の下面に設けられるとともに、前記可動案内部材の変位を検出することにより着床状態を検知するようにしてもよい。
このような構成では、載置具と支え具との接触圧力に応じて可動案内部材が変位するので、この可動案内部材が変位することによって、支え具が載置具の上面に着床したことを検知することができる。
(7) また、可動案内部材は、支え具の枠体に対して変位可能に支持された可動フレームであって、可動フレームは、載置面との接触圧力により支え具下面の法線方向へ変位するようにしてもよい。これによれば、例えば、可動フレームの一部分と載置面とが接触すると支え具下面の法線方向に可動フレームが変位する。そして、可動フレームと載置面との接触により着床検知手段が作動する。したがって、可動フレームという比較的広い面積の動作で着床検知を行うことができるので、ベッドに比較して幅の狭い車椅子などへ被介護者を移乗させるときに支え具下面の中央部分を車椅子の載置面に降ろす場合であっても、着床検知手段により着床を検出することができる。
(8) また、枠体と可動フレームとの間に配置され、前記可動フレームを下向きに付勢する弾性体を備えるようにしてもよい。これによれば、可動フレームを枠体から支え具下面の法線方向の下面側へ付勢されているので、支え具の傾き、振動、外乱によって可動フレームが変位するのを抑えることができ、着床検知手段の誤検知を防止することができる。
(9) また、複数の着床検知手段は、支え具の枠体に設けられるようにしてもよい。このような構成によれば、支え具の周辺部において着床検知を行うことができ、着床時の支え具の姿勢に関する検知精度を高めることができる。さらに、本体側である枠体に配線することができるので、配線が容易となる。また、枠体から可動案内部材に対して配線を行う必要がなく、枠体側に固定して配線することができるので、信頼性を向上させることができる。
(10)また、複数の着床検知手段は少なくとも支え具の挿入方向における前側の下面両端部の近傍にそれぞれ設けられていてもよい。このような構成によれば、挿入時に支え具の着床状況を前側下面の両端部近傍で検知することが可能となる。したがって、挿入時に支え具の姿勢に関する検知を支え具の先端部(前端部)において行い、円滑な挿入および着床を実現する効果を発揮することができる。
(11)また、回動手段は、支え具の挿入方向の軸周りに回動する第1の回動手段を有し、複数の着床検知手段は少なくとも2つ設けられている構成であってもよい。このような構成によれば、支え具の挿入方向の軸周りに回動する1つの回動手段と2つの着床検知手段により支え具の姿勢を制御することが可能となる。したがって、載置面の2次元の傾斜に対して、支え具の姿勢の制御に効果を発揮することができる。
(12)また、回動手段は、支え具の挿入方向の軸周りに回動する第1の回動手段と、第1の回動手段と支え具の下面内において直交する軸周りに回動する第2の回動手段とを有し、着床検知手段が少なくとも3つ設けられていてもよい。このような構成によれば、支え具の直交する2つの軸周りに回動する2つの回動手段と3つの着床検知手段により支え具の姿勢を制御することが可能となる。したがって、載置面の3次元の傾斜に対する支え具の姿勢制御に効果を発揮することができる。
(13)本発明の移乗支援機器は、載置具の載置面と当該載置面に載置された人体との間に挿入され、人体を掬う支え具と、支え具の空間姿勢を変更および調整の少なくともいずれかを行うために設けられた1つ以上の回動手段と、支え具の下面が載置面の上面に着床したことを検知する着床検知手段と、支え具を昇降させる昇降手段と、着床検知手段の出力に基づいて、昇降手段を制御可能な制御手段とを備えた移乗支援機器であって、着床検知手段は、支え具の挿入方向と直交する幅方向において支え具の下面の中心近傍に設けられ、前記移乗支援機器は、前記支え具と前記回動手段との間に配置されたクラッチと、前記回動手段に対して前記支え具の相対的な回動が可能なように前記支え具を弾性支持する弾性体と、をさらに備え、制御手段は、載置面の上方より昇降手段によって支え具を降下させるときには、着床検知手段が載置面への着床を検知するまでクラッチを解除した状態で支え具を降下させ、着床検知手段が着床を検知したときクラッチを繋ぐと共に支え具の降下を終了するように前記クラッチ及び前記昇降手段を制御することを特徴とする。
このような構成によれば、支え具の昇降時には支え具の回動動作が弾性体によって制限された範囲で許容され、着床検知手段により支え具の着床を検知し、着床位置においてクラッチが接続されたときには支え具は回動手段によって固定され、回転を止めることが可能となる。したがって、着床検知手段を1つだけ配設することにより支え具の空間姿勢を制御し、維持する効果を発揮するとともに、着床検知手段の数を削減することができる。また、弾性体はクラッチが切られたとき、支え具が自由に動くことがないように制限することができる。さらに、被介護者の体形や姿勢に応じて、支え具の傾斜を調整することができる。
(14)また、複数の支え具と、前記複数の支え具それぞれに対応する複数の回動手段および昇降手段と、を備え、前記複数の着床検知手段は、前記複数の支え具の下面がそれぞれ載置具の載置面に着床したことを検知し、前記制御手段は、前記複数の着床検知手段の出力に基づいて回動手段または昇降手段を制御することを特徴とする。
このような構成によれば、複数の支え具を使って載置具の載置面の傾斜に容易に対応することができ、多様かつ高度な対応効果を発揮することができる。例えば、載置具の載置面の傾きが3つ以上の複雑な形状の載置具であっても対応することができる。
(15)また、本発明のマルチ支え具機構つき移乗支援機器は、上記したいずれか1つの移乗支援機器を複数個と、複数個の移乗支援機器を連携して制御する制御装置とを備え、それぞれの移乗支援機器の支え具を載置面の傾斜角度に対応した角度に倣わせることを特徴とする。
このような構成によれば、載置具が互いに傾斜の異なる複数の載置面を有する場合であっても、複数の支え具を使って載置具の載置面の傾斜に対応することができる。したがって、多様な載置具に柔軟に対応することができる。例えば、載置具の載置面の傾きが3つ以上の複雑な形状の載置具であっても対応することができる。
(16)また、複数の移乗支援機器を連結部により連結して一体化してもよい。これにより、さらに、複数の移乗支援機器の連携を強化でき、装置の変形に対する強度を高めることができる。これにより、各支え具の間隔を精度よく保つことができる。
以上述べたように本実施形態によれば、人体を載置する載置具の載置面の傾きが水平でない場合であっても、スムーズに人体を載置具から掬い上げ、移乗させることが可能で、かつ介護者にとって作業負担の少ない移乗支援機器およびマルチ支え具機構つき移乗支援機器を提供することができる。
以上述べたように本発明によれば、移乗すべき被介護者を載置する載置具と被介護者との間に支え具を挿入し、支え具の掬い面上に掬い上げて移乗させることができ、特に、被介護者を載置する載置具の載置面の傾きが水平でない場合であっても、介護者にとって、円滑に被介護者を載置具から掬い上げ、移乗させることができる。したがって、移乗支援機器およびそれを用いたマルチ支え具機構つき移乗支援機器、介護ロボット装置などとして有用である。
本発明は、病院や家庭などにおいて人が行う移乗作業を支援する移乗支援機器に関し、特に、老人、病人または怪我人などの介護を受ける者(以下、「被介護者」という)であって、車椅子やベッド、ストレッチャーなどの載置具に載置されている被介護者を掬い上げ、移乗させるための移乗支援機器およびマルチ支え具機構つき移乗支援機器に関するものである。
病院や家庭などにおいて、自ら移動したり、体を動かすことが困難な者やベッドに横たわっている者に対しては、従来、家族や専門の担当者が主として人手により介護を行うことになる。この場合、介護者の作業の負担が大きく、人材確保や費用などの面を含め、様々な課題を伴う。現在、社会の高齢化が進むなかで、この状況は重要な社会的な課題となりつつある。
これに対して、従来、ベッド上に横たわった患者の運搬を介護する移載介護装置や入浴用の看護介助ロボットの例が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2を参照)。
特許文献1では、患者の上半身、腰部および脚部をそれぞれ支える3つの移載用プレートをベッドの上面に沿って前後移動可能に設け、介護者が3つのプレートを操作して患者の全部位を無理なくベッドから移動し、またはベッドに戻す機能が開示されている。また、この特許文献1の介助装置では、力検出器およびリミットスイッチを配設することにより、プレートの位置および操作力を検知して介護の制御を行う。
また、特許文献2では、入浴用の看護介護ロボットの例では2つの支え板(上半身用および下半身用)にそれぞれ水面検知センサを設け、入浴者の姿勢および入浴深さを制御して入浴を行う。
特開平8−168505号公報 特公平6−9588号公報
しかしながら、従来の移乗支援機器は、いずれも固定式のベッドや浴漕の水面などの水平面を検知する装置であり、傾斜面を含む複雑な形状の検知面に対応して制御する機能は想定されていない。一方、近年、病院や家庭において使用される被介護者用のベッドとしては背もたれの傾斜を調整できるリクライニング機能を有するベッドが普及しており、従来の移乗支援機器ではリクライニング機能を有するベッドなどに係る被介護者の移乗作業には利用できなかった。
特に、被介護者を載置するベッドの載置面が、背もたれを起した状態で水平になっていない場合には、被介護者を支持する支え具の傾きをベッド上面の傾きに合わせ、支え具をベッドに接触させて被介護者を掬い上げる必要があった。このため、介護者にとって、手動操作により、載置面の傾きに合わせて支え具の位置および傾斜角度の調整を行うのが困難であった。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、被介護者を載置する載置具の載置面の傾きが水平でない場合であっても、介護者にとって、スムーズに被介護者を載置具から掬い上げ、移乗させることを可能にする移乗支援機器およびマルチ支え具機構つき移乗支援機器を提供することを目的とする。
上述したような目的を達成するために、本発明の移乗支援機器は、載置具の載置面と当該載置面に載置された人体との間に挿入され、人体を掬う支え具と、支え具の姿勢の変更および調整の少なくともいずれかを行うための1つ以上の回動手段と、支え具の下面が載置面の上面に着床したことを検知する複数の着床検知手段と、支え具を昇降させる昇降手段と、前記複数の着床検知手段の出力に基づいて、前記載置面と前記支え具との間の平行状態および倣い状態の少なくともいずれかの状態を形成し、維持するように前記回動手段または前記昇降手段を制御する制御手段と、を備えていることを特徴とする。
本発明によれば、人体を載置する載置具の載置面の傾きが水平でない場合であっても、スムーズに人体を載置具から掬い上げ、移乗させることが可能で、かつ介護者にとって作業負担の少ない移乗支援機器およびマルチ支え具機構つき移乗支援機器を提供することができる。
本発明の実施の形態1における移乗支援機器の使用時の状況を示す斜視図である。 同移乗支援機器が作業の対象とする、被介護者を載置する載置具の使用例を示す側面図である。 同移乗支援機器の要部の構造を示す斜視図である。 同移乗支援機器の支え具の構造を示す側面図である。 同移乗支援機器の着床検知手段の構造を示す部分拡大図である。 同移乗支援機器における報知手段の構造を示す斜視図である。 同移乗支援機器の電気的な構成を示すブロック図である。 同移乗支援機器の制御系について説明するための図である。 同移乗支援機器の動作を説明するためのフローチャートである。 同移乗支援機器の着床検知手段の他の配置例を示す平面図である。 本発明の実施の形態2における移乗支援機器で使用される車椅子の例を示す図である。 同移乗支援機器の支え具の構造例を示す図である。 同移乗支援機器の支え具を用いたときの動作を説明するための図である。 同移乗支援機器の使用時の支え具の他の状態例を示す図である。 本発明の実施の形態3における移乗支援機器の基本構成を示す斜視図である。 本発明の実施の形態4における移乗支援機器の支え具の構造に関する応用例について説明するための図である。 本発明の実施の形態5における移乗支援機器の支え具の構造に関する他の応用例を説明するための図である。 同移乗支援機器の支え具の構造に関する他の応用例を説明するための図である。 本発明の実施の形態6における移乗支援機器の支え具の構造に関するさらに他の応用例について説明するための側面図である。 本発明の実施の形態7における移乗支援機器の車輪の構造例を示す正面図である。 本発明の実施の形態8における移乗支援機器の表示部の構成例について説明するための説明図である。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
(実施の形態1)
まず、図1および図2を参照しながら、介護者3が本発明の実施の形態1の移乗支援機器1を使用して、被介護者2の介護を行う場合の概要を説明する。図1は、本発明の実施の形態1における移乗支援機器1の使用時の状況を示す斜視図であり、図2は、本発明の実施の形態1における移乗支援機器1が作業対象とする被介護者2を載置する載置具の使用例を示す側面図である。
移乗支援機器1は、載置具上に載置されている被介護者2と載置具との間に支え具16を挿入し、支え具16の掬い面上に被介護者2を掬い上げて別の載置具に移乗させることを主要な目的として使用される。
図1は、被介護者2を載置している載置具(例えば、ベッドなど)から、2つの移乗支援機器1を操作し、2つの支え具16により被介護者2を掬い上げて保持している状態を示す。通常、載置具は水平の状態で使用される場合が多いが、実施の形態1では、載置台の多様な使用状態に対しても対応可能な構成になっている。
図2(a)に示す例では、被介護者2は水平面Hに対する傾きの角度が角度θaとなっている載置具51に載置されている。
この場合には、介護者3は、移乗支援機器1を操作することにより、支え具16を載置具51に近づけ、載置具51の載置面と支え具16の下面との平行度を検知し、支え具16の傾斜角度を調整する。次に、介護者3は、被介護者2と載置具51の載置面との間に支え具16を挿入し、支え具16の掬い面上に被介護者2を掬い上げる。これにより、介護者3は被介護者2を他の載置具に移乗させることができる。
図2(b)に示す例では、載置具51は2つの載置部51a、51bが連結されており、載置部51a、51bそれぞれの載置面の傾きが異なっている。ここでは、載置部51aは水平面Hに対する傾きの角度が角度θbであり、載置部51bは水平面Hに対する傾きの角度が角度θcとなっている。
この場合には、介護者3は、2台の移乗支援機器1を操作し、載置具51(載置部51a、51b)にそれぞれの支え具16を近づけた後、載置部51a、51bの載置面と支え具16それぞれの下面との平行度を検知し、支え具16の下面を載置面の傾きに対して平行に調整した後、被介護者2と載置具51(載置部51a、51b)の載置面との間に支え具16それぞれを挿入する。次に、介護者3は、2台の移乗支援機器1を操作することにより、支え具16それぞれを用いて被介護者2を掬い上げる。これにより、介護者3は被介護者2を他の載置具に寝たままの状態で移乗させることができる。
次に、図3を参照しながら、移乗支援機器1の構造について説明する。図3は本発明の実施の形態1における移乗支援機器1の要部の構造を示す斜視図である。なお、図3において、互いに直交する3つの軸(X軸、Y軸およびZ軸)は、XY平面が地面に対して平行な水平面であり、移乗支援機器1は正面がX軸方向を向いている。すなわち、X軸方向は支え具16の挿入方向となる。またZ軸は鉛直方向となる。
移乗支援機器1は、支え具16、関節部13、関節部15、アーム部12、支持部4、制御部110および入力部14を備えている。
支え具16は、載置具51に載置された被介護者2と載置具51の載置面の間に挿入し、被介護者2を掬う目的で配設されている。支え具16は、支え具16上に掬い上げた被介護者2を支えている位置を変えるためのベルト部23と、支え具16の下面が載置具51の載置面(又は上面)に着床したことを検知するための着床検知手段(又は着床検知部)としての着床検知センサ32とを備えている。
ベルト部23は、後述するベルト駆動部25(図4)により駆動されて回転する。着床検知センサ32は、支え具16の挿入方向における前側の下面両端部の近傍にそれぞれ複数設けられている。幅方向の一方の端部近傍にある着床検知センサ32を着床検知センサ32aとし、他方の端部近傍にある着床検知センサ32を着床検知センサ32bとする。着床検知センサ32aと着床検知センサ32bとは、Y軸方向に互いに離間している。着床検知センサ32aは、X軸方向に互いに離間した2つのセンサを有する。また、着床検知センサ32bは、X軸方向に互いに離間した2つのセンサを有する。なお、着床検知センサ32a,32bは、支え具6の下端面の両端部に設けられていてもよく、あるいは、側面の下端部に設けられていてもよい。
関節部13は、支え具16の姿勢の変更および調整の少なくともいずれかを行うための第1の回動手段(又は第1の回動部)として設けられている。関節部13は、支持部4に対してX軸回りに回動動作を行う。同様に、関節部15は、支え具16の姿勢の変更および調整の少なくともいずれかを行うための第2の回動手段(又は第2の回動部)として設けられ、支持部4に対してY軸回りに回動動作を行う。関節部15は支持部4に結合されており、この関節部15に関節部13が結合されている。そして、関節部13の回動軸が関節部15の回動軸に直交する位置関係となっている。関節部13、15には、それぞれに1軸方向に回転可能な公知の軸受機構を用いることができ、モータなどを動力源とした関節駆動部114により駆動される。
アーム部12は、関節部13と関節部15とを連結する。なお、アーム部12に伸縮機構を設け、このアーム部12の伸縮動作によって支え具16の位置を変更可能にしてもよい。
支持部4は、支え具16を被介護者2と載置具51の載置面との間に挿入するための支え具挿入手段(又は支え具挿入部)としての保持部6と、支え具16を昇降させる昇降手段(又は昇降部)としての脚部8とを備え、関節部13、関節部15およびアーム部12を介して支え具16を支持している。
保持部6には、複数の車輪5が配設されている。車輪5は、モータなどを動力源とした位置駆動部116により駆動され、移乗支援機器1を自立して前後左右に移動させ、Z軸の回りに回動可能に保持部6に支持されている。なお、支え具挿入手段としては、車輪5とアーム部12とを併用する構成や、アーム部12のみを使用してもよい。アーム部12のみを使用する場合には、アーム部12の伸縮動作によって支え具16の位置を変更する。
脚部8は、保持部6と関節部15とを連結し、スライド機構により支え具16を昇降させる。スライド機構はモータなどを動力源とした昇降駆動部118により駆動される。なお、他の昇降手段として、複数のリンクを組み合わせて、連結した部分の角度を変更可能にすることで支え具16を昇降させる構成にすることができる。
制御部110は、関節駆動部114、位置駆動部116、昇降駆動部118およびベルト駆動部25の制御を行う。
入力部14は、移乗支援機器1を操作するための指示情報を入力するためのものである。この指示情報は制御部110に伝達され、制御部110は上記した各駆動部114,116,118,25を制御する。また、入力部14には、移動方向、移動速度、操作指示の切り換えなどの操作入力が可能なジョイスティック、レバー、プッシュスイッチ、タッチパネルなどの公知の入力デバイスを用いることができる。介護者3は、入力部14を操作することにより、移乗支援機器1を操縦することができる。なお、入力部14に、入力操作を補助するための報知部または表示部をさらに備えてもよい。この報知部および表示部の構成例については後述する。
次に、図4および図5を参照しながら、支え具16の詳細な構成について説明する。図4は、本発明の実施の形態1における移乗支援機器1の支え具16の構造を示す側面図であり、図5は、本発明の実施の形態1における移乗支援機器1の着床検知手段の構成を示す部分拡大図である。
図4に示すように、支え具16は、枠体21、ベルトガイドローラ22、ベルト部23、ベルト駆動部25、固定ローラ26、可動ローラ26aおよび着床検知センサ32(32a、32b)を備えている。
ベルト部23は、枠体21に支持されたベルトガイドローラ22により保持され、モータを動力源とするベルト駆動部25により駆動される。また、ベルト部23はカバー20の上側の表面に露出しており、被介護者2をベルト部23に乗せた状態で移動させることができる。ベルト部23の上面によって構成される、被介護者3の支持面は、挿入方向において、人の背中の幅と同程度の長さを有する。
固定ローラ26は、支え具16の挿入方向と直交するように枠体21の両側面で保持され、下端面33まで突出した状態で回転可能に複数設けられている。固定ローラ26の回転により、支え具16を被介護者2と載置具51の載置面との間に挿入するときの負荷を小さくしている。
着床検知センサ32(32a、32b)は、枠体21に設けられ、支え具16の挿入方向における前側の近傍で且つ下面の両端部近傍に複数設けられている。着床検知センサ32(32a、32b)を使用することで、支え具16の挿入に先立ち、載置具51の載置面と支え具16との姿勢関係を検知し、支え具16の傾きを調整することができる。
図5は、図4におけるA部(2箇所)を拡大した部分拡大図であり、A部に設けられた着床検知センサ32(32a、32b)の構成を示している。図5に示すように、可動ローラ26aは支え具16の姿勢を検知するためのローラであり、この可動ローラ26aは、支え具16の挿入方向と直交するように枠体21の両側面で下端面33から僅かに下方に突出した状態で保持されている。可動ローラ26aは、ローラ軸芯26bを中心に回転する。ローラ軸芯26bは、枠体21の両側面部で板ばね28により下方に押圧された状態で、長穴部31により軸支されている。枠体21の両側面部の一方に設けられた長穴部31を長穴部31aとし、他方に設けられた長穴部31を長穴部31bとする。可動ローラ26aは、支え具16の下面の法線方向に位置移動可能な可動案内部材であり、このローラ26aは長穴部31(31a、31b)に軸支されている。板ばね28は、可動ローラ26aが長穴部31a,31bに沿って枠体21の下端面に垂直な方向に移動するのを許容する。これにより、可動ローラ26aは、支え具16と載置具51との接触圧力により位置が変わる。
なお、可動ローラ26aの移動方向として、支え具16の下面に対する法線方向の成分があればよい。また、可動案内部材としては、可動ローラ26aに限られるのものではなく、摩擦係数の小さなソリ式の案内部材(例えば、低摩擦な樹脂材料など)や可動フレームなどを使用することができる。この可動フレームについては後述する。また、着床検知センサ32(32a、32b)は、ローラ軸芯26bの近傍に設けられている。
移乗支援機器1は、さらに、制御部110を備えている。制御部110は、着床検知センサ32(32a、32b)により、ローラ軸芯26bの変位を検知すると、着床検知センサ32の出力が設定した範囲内になるように、支え具16の傾きや、支え具16の載置具51の載置面に対する平行度などの相互の位置関係を制御する。すなわち制御部110は、支え具16と載置具51の載置面との平行状態および倣い状態の少なくともいずれかの状態を形成し、維持する機能を有する。制御部110による着床状態の判定は、着床検知センサ32の出力が設定した範囲内にある場合に着床状態と判定する。
なお、実施の形態1では着床検知センサ32を4箇所に設けたが、これに限られるものではなく、設計的事項として支え具16の構造や機能に対応して着床検知センサ32の配設の数や配設の位置について、種々の形態をとることができる。また、可動ローラ26aを押圧する部材には板ばね28の他、ゴム、スプリングなどの弾性体を使用することできる。また、長穴部31(31a、31b)はZ軸方向だけでなく、X軸方向の成分を含んだ形状、例えば長穴部31(31a,31b)が斜め方向に長い形状に形成されていても同様の効果を得ることができる。また、可動ローラ26aは、枠体21の両側面部においてそれぞれ独立した構造として配設することもできる。さらに、着床検知センサ32としては、図5に示すマイクロスイッチの他、リードスイッチ、近接スイッチ、光反射式のフォトリフレクタなどを使用することができる。また、着床検知センサ32として、歪センサ27を用い、可動ローラ26aの変位により変形した板ばね28の歪量を歪センサ27で検知する方法でも同様の効果を発揮することができる。
また、可動ローラ26aの変位を検知するようにしたが、接触圧力を検知するようにしてもよい。例えば、固定ローラ26を支える部分に、支え具16と載置具51との接触圧力を検知するシート型の感圧センサなどの圧力センサを設け、支え具16の下面に対する載置具51の載置面の接触圧力を検知する。これにより、制御部110は、着床検知センサ32の出力値に基づき、載置面との接触圧力が設定された圧力範囲内にある場合に着床状態と判定する。この設定圧力は、被介護者2によって載置具51の載置面が受ける圧力と同程度に設定されていてもよい。このように、支え具16の挿入部位において、載置面が被介護者2により受ける圧力範囲と同じにすることで、載置面に対する被介護者2の沈み込み量と、挿入部位における支え具16の沈み込み量とを略同じにすることができる。これにより、支え具16を挿入する位置で、沈み込み量の違いからおこる段差を抑え、被介護者2の体に支え具16の先端部を突き当てることなく、載置具51と被介護者2との間に支え具16をスムーズに挿入することができる。
設定圧力は固定値としてもよい。例えば、本実施形態による移乗支援機器1により対応可能な被介護者2の身長Lを150cm〜180cmとした場合には、その中央値である165cmの人の体重の50パーセンタイル値が約57kgとなる。この場合には、この人による圧力値Pが0.035kgf/cmとなるので、この圧力値を設定圧力としてもよく、あるいはその上下10%程度の許容値を持たせた範囲を設定圧力としてもよい。
また設定圧力は対象者によって変更されるようにしてもよい。例えば、被介護者2を支え具16で掬う際には、被介護者2の身長に応じて支え具16間の間隔が調整されるため、この間隔に応じて設定圧力を変更するようにしてもよい。例えば、身長165cmの被介護者2を掬う際の支え具16間の間隔に相当するデータ等、被介護者2の身長Lと支え具16間の間隔とを関連付けるデータと、下記式とが記憶されていて、設定圧力P(L)は、導出された身長Lに基づいて下記式による演算によって導出される。つまり、身長165cmの人による圧力値Pを身長で補正し、その補正後の値を設定圧力P(L)として使用する。
設定圧力P(L)=P×L/165
なお、設定された圧力範囲は、支え具16の挿入部位において載置面が被介護者2により受ける圧力の範囲であってもよい。この場合には、設定される接触圧力の範囲は、被介護者2の頭部、肩部、足部または背中部など、支え具16を挿入する部位において載置面が被介護者2から受ける圧力の範囲であって、予め実験によって測定されたものである。移乗支援機器1の記憶部(図示せず)には、被介護者2の各部位での計測の数値をデータベース化したものが格納されており、制御部110によって記憶部のデータベースへのアクセスが可能になっている。制御部110は、データベースから圧力情報を取得し、圧力情報に基づいて支え具16を載置面に着床させることで、載置面に対する被介護者2の沈み込み量と、挿入部位における支え具16の沈み込み量とを略同じにすることができる。
この場合の設定圧力は、固定値でも可変値でもよい。固定値の場合には、例えば身長165cmの人の背、尻、腿の各部位での圧力値(50パーセンタイル値等)をデータベースに記憶しておいて、この圧力値を設定圧力にすることができる。一方、可変値の場合には、支え具16間の間隔に相当するデータを用い、身長165cmの人の各部位での圧力値を前記データ及び身長で補正し、その補正後の各部位における設定圧力を使用することができる。
次に、図6を参照しながら、支え具16に設けられた報知手段について説明する。図6は、本発明の実施の形態1における移乗支援機器1における報知手段の構造を示す斜視図である。
図6に示すように、介護者3に着床検知センサ32それぞれの状態を報知する報知手段として、複数の報知部34が着床検知センサ32それぞれの近傍に設けられている。報知部34は、介護者3から直視可能な位置に設けられており、支え具16のベルト部23上に被介護者2を掬い上げたときに被介護者2と接触しないように配置されている。例えば、報知部34は、枠体21の両側面部に設けられており、着床検知センサ32毎に設けられている。
報知部34として、発光ダイオード、液晶パネルなどを使用し、点灯、点滅、非点灯などの状態変化を利用して介護者3に着床状態を報知する。これにより、介護者3は、支え具16の傾きの状況を容易に把握することができる。なお、報知手段は、発光ダイオードなどの表示手段に限定されるものでなく、例えば、音声発生装置や振動装置などを使用し、介護者3に音声または振動を伝えることで報知することができる。音声発生装置では、「支え具の左側が着床しました。」などの着床状態を伝えるためのメッセージを発生するようにしてもよい。振動装置では、着床状態に応じて介護者3の手などに異なった振動の揺れを感じさせる「振動モード」を備え、音声発生装置と同様に、着床状態に応じて異なる「振動モード」を設定することで、介護者3に異なるメッセージを伝えることができる。
次に、図7および図8を参照しながら、移乗支援機器1の電気的な構成および制御系に係る動作について説明する。
図7は本発明の実施の形態1における移乗支援機器1の電気的な構成を示すブロック図、図8は本発明の実施の形態1における移乗支援機器1の制御系について説明するための図である。
まず、図7に示すように、移乗支援機器1は、操作指令を入力するための入力部14、関節部13、15を回動させる関節駆動部114、ベルト部23を駆動するベルト駆動部25、脚部8を昇降させる昇降駆動部118、車輪5を駆動する位置駆動部116および制御部110を備えている。さらに、移乗支援機器1は入出力手段として、支え具16の着床状態を検知するための複数の着床検知センサ32と、介護者3に着床状態を報知するための報知部34とを備えている。関節駆動部114、ベルト駆動部25、昇降駆動部118および位置駆動部116には、それぞれ公知のモータなどを動力源とした駆動手段を用いることができる。
次に、図8を参照しながら、移乗支援機器1の制御系に係る動作について説明する。ここでは、関節駆動部114、昇降駆動部118を例として詳細に説明する。
最初に、関節駆動部114の制御系の動作について説明する。関節駆動部114の制御系には、マイナー制御ループと全体制御ループが含まれている。マイナー制御ループでは、入力部14での操作に基づいて指令された各角度指令値に対して関節部13および関節部15の回動作を制御し、これにより支え具16の傾きを制御する。全体制御ループでは、支え具16が載置具51(図2)に着床したとき、支え具16と載置具51の載置面との平行度のずれに応じて角度指令値を補正する。
このような構成により、関節駆動部114では、全体制御ループに含まれるマイナー制御ループで角度制御を行うことにより、例えば、入力部14から操作指令が途切れた場合であっても、マイナー制御ループを働かせて内部安定しているので、操作指令が途切れた時点での支え具16の傾きをそのまま維持するように制御することができる。
まず、関節駆動部114において、関節部13のX軸周りの回動動作を制御するためのマイナー制御ループについて説明する。
図8に示すように、関節駆動部114は、関節部13をX軸周りに回動させる駆動モータ82aと、関節部13のX軸周りの回転角度を検出する回転角度検出部87aと、回転角度検出部87aで検出された関節部13の回転角度量と角度指令値θeとの差分値を検出する差分検出部41aと、差分検出部41aから出力された差分値に基づいて駆動モータ82aを駆動し、関節部13の回転角度を制御するレギュレータ40aとを備えている。
駆動モータ82aとしては、公知のモータ、例えば、DCモータ、ACモータ、ステッピングモータなどを使用することができる。
回転角度検出部87aとしては、公知のエンコーダを用いることができ、例えば、回転型ポテンショメータまたは回転型差動変圧器などを使用することができる。
レギュレータ40aは、差分検出部41aから出力された差分値に基づいて駆動モータ82aを正転または反転方向に回転させる駆動回路83aを有する。
駆動回路83aとしては、公知の駆動回路、例えばブリッジ回路などを用いることができる。これにより、レギュレータ40aは駆動モータ82aに接続される電源の極性を切り替え、駆動モータ82aを正転または反転方向に回転させることができる。さらに、レギュレータ40aは微分器(図示せず)を有し、マイナー制御ループの制御系を安定化する。これにより、関節駆動部114は、関節部13を角度指令された回転角度に安定に制御することができる。
さらに、関節駆動部114は、支え具16の下面が載置具51(図2)の載置面に着床した場合に自動着床倣いの全体制御ループを形成するために、差分検出部43aと、安定化補償器42aと、加算部44aとを備えている。
差分検出部43aは、支え具16の下面に設けられている着床検知センサ32aの出力と着床検知センサ32bの出力との差分値を検出する。
安定化補償器42aは、差分検出部43aから出力された差分値を累積加算する積分器(図示せず)を有し、全体制御ループの制御系を安定化する。これにより、関節駆動部114は、差分検出部43aで検出された差分値に基づいて支え具16の下面を載置具51の載置面と平行状態および倣い状態のうちいずれかの状態を形成し、その状態を安定させて維持することができる。
加算部44aは、角度情報θdと安定化補償器42aの出力とを加算し、上述した角度指令値θeを算出する。
このように、関節駆動部114では、入力部14からの操作指令θdに応じて支え具16のY軸方向(X軸回り)の傾きを制御し、かつ、支え具16の下面が載置具51の載置面に着床した場合には、操作指令値θdに対して全体制御ループを働かせ、支え具16が載置具51に着床したときの支え具16の下面と載置面とのY軸方向の平行度のずれに応じて操作指令θdを角度指令値θeに補正する。これにより、関節駆動部114では、支え具16のY軸方向の傾きにおいて、支え具16と載置具51の載置面とを平行状態および倣い状態のうちいずれかの状態を形成し、維持する。
次に、関節駆動部114において、関節部15のY軸周りの回動動作を制御するためのマイナー制御ループについて説明する。
図8に示すように、関節駆動部114は、関節部15をY軸周りに回動させる駆動モータ82bと、関節部15のY軸周りの回転角度を検出する回転角度検出部87bと、回転角度検出部87bで検出された関節部15の角度量と角度指令値θgとの差分値を検出する差分検出部41bと、差分検出部41bから出力された差分値に基づいて駆動モータ82bを駆動し、関節部15の回転角度を制御するレギュレータ40bとを備えている。
駆動モータ82bとしては、公知のモータ、例えば、DCモータ、ACモータ、ステッピングモータなどを使用することができる。
回転角度検出部87bとしては、公知のエンコーダを用いることができ、例えば、回転型ポテンショメータまたは回転型差動変圧器などを使用することができる。
レギュレータ40bは、差分検出部41bから出力された差分値に基づいて駆動モータ82bを正転または反転方向に回転させる駆動回路83bを有する。
駆動回路83bとしては、公知の駆動回路、例えばブリッジ回路などを用いることができる。これにより、レギュレータ40bは駆動モータ82bに接続される電源の極性を切り替え、駆動モータ82bを正転または反転方向に回転させることができる。さらに、レギュレータ40bは微分器(図示せず)を有し、マイナー制御ループの制御系を安定化する。これにより、関節部15を角度指令された回転角度に安定に制御することができる。
さらに、関節駆動部114は、支え具16の下面が載置具51(図2)の載置面に着床した場合に自動着床倣いの全体制御ループを形成するために、差分検出部43bと、安定化補償器42bと、加算部44bとを備えている。
差分検出部43bは、例えば、支え具16の下面のX軸方向に離間して設けられている2つの着床検知センサ32aそれぞれの出力の差分値を検出する。
安定化補償器42bは、差分検出部43bから出力された差分値を累積加算する積分器(図示せず)を有し、全体制御ループの制御系を安定化する。これにより、関節駆動部114は、差分検出部43bで検出された差分値に基づいて支え具16の下面を載置具51(図2)の載置面と平行状態および倣い状態のうちいずれかの状態を形成し、この状態を安定して維持する。
加算部44bは、角度情報θfと安定化補償器42bの出力とを加算し、上述した角度指令値θgを算出する。
このように、関節駆動部114では、入力部14からの操作指令値θfに応じて支え具16のX軸方向(Y軸回り)の傾きを制御し、かつ、支え具16の下面が載置具51(図2)の載置面に着床した場合には、操作指令値θfに対して、全体制御ループを働かせ、支え具16が載置具51に着床したときの支え具16と載置面とのX軸方向の平行度のずれに応じて操作指令θfを角度指令値θgに補正する。これにより、関節駆動部114では、支え具16のX軸方向の傾きにおいて、支え具16と載置具51の載置面とを平行状態および倣い状態のうちいずれかの状態を形成し、維持する。
上記したように、関節駆動部114では、全体制御ループに含まれるマイナー制御ループで角度制御を行うことにより、例えば、入力部14から操作指令が途切れた場合であっても、マイナー制御ループを働かせて内部安定しているので、操作指令が途切れた時点での支え具16の傾きをそのまま維持するように制御することができる。これにより、被介護者2を支え具16で挟み込むなどの動作を防止し、移乗支援機器1の安全性を高めることができる。
次に、支え具16を昇降させる昇降駆動部118の制御系に係る動作について説明する。
図8に示すように、昇降駆動部118では、入力部14から操作指令された高さ位置指令値Hcに応じて脚部8をZ軸方向に上下動作させ、支え具16の昇降を制御している。このため、昇降駆動部118は、脚部8をZ軸方向に上下させる駆動モータ82cと、脚部8を上下させたときの支え具16の高さ方向の停止位置を検出する高さ位置検出部87cと、高さ位置検出部87cで検出された高さ方向の停止位置と高さ位置指令値Hcとの差分値を検出する差分検出部41cと、差分検出部41cから出力された差分値に基づいて駆動モータ82cを駆動し、支え具16の高さ方向の停止位置を制御するレギュレータ40cとを備えている。
駆動モータ82cとしては、公知のモータ、例えば、DCモータ、ACモータ、ステッピングモータなどを使用することができる。
高さ位置検出部87cとしては、公知の直動、回転位置検出器、たとえば光学式エンコーダ、磁気式エンコーダ、ポテンショメータ、差動変圧器などを使用することができる。
レギュレータ40cは、差分検出部41cから出力された差分値に基づいて駆動モータ82cを正転または反転方向に回転させ、脚部8をZ軸方向に上下するための駆動回路83cを有する。駆動回路83cとしては、公知の駆動回路、例えばブリッジ回路を用いることができ、駆動モータ82cに接続される電源の極性を切り替え、駆動モータ82cを正転または反転方向に回転させる。
さらに、レギュレータ40cは微分器を有し、マイナー制御ループの制御系を安定化する。これにより、脚部8を上下させ、支え具16を高さ位置指令された高さに位置決めすることができる。
さらに、昇降駆動部118は支え具16の高さ位置の指令値Hcを生成するための高さ位置生成器45を備えている。
高さ位置生成器45は、例えば、制御部110から出力される方向指令値を累積加算し、高さ位置の指令値を出力する。なお、制御部110は、入力部14からの操作指令として上向き「−1」の値が入力されると、高さ位置生成器45に対して上向き「−1」の方向指令値を出力する。同様に、制御部110は、入力部14からの操作指令として停止「0」の値が入力されると、高さ位置生成器45に対して停止「0」の方向指令値を出力する。同様に、制御部110は、入力部14からの操作指令として下向き「+1」の値が入力されると、高さ位置生成器45に対して下向き「+1」の方向指令値を出力する。
高さ位置生成器45は、この方向指令値に所定の係数を乗じて累積加算する。例えば、所定の係数を「2」とした場合、高さ位置生成器45は方向指令値を2倍にして累積加算する。高さ調整をするときの位置合わせ速度は、この所定の係数を変えることで可能となり、所定の係数を大きくすると位置合わせ速度が速くなり、所定の係数を小さくすると位置合わせ速度が遅くなる。なお、所定の係数は「2」に限定されない。
また、制御部110は、入力部14からの操作指令として下向き「+1」の値が入力されており、かつ支え具16の下面が載置具51(図2)の載置面に着床して、着床検知センサ32aおよび着床検知センサ32bの出力がいずれも「ON」となった場合には、高さ位置生成器45に対して停止「0」の方向指令値を出力する。
このように、昇降駆動部118では、入力部14からの操作指令に応じて支え具16の高さ方向の停止位置を制御し、かつ、支え具16の下面が載置具51(図2)の載置面に着床した場合には、支え具16の昇降動作を停止させ、支え具16の高さを維持する。
上記の構成により、移乗支援機器1では、制御部110により、複数の着床検知センサ32の出力を設定した範囲内の値となるように関節部13、15および脚部8のうちいずれかを動作させ、載置具51(図2)の載置面と支え具16との平行状態および倣い状態のうちいずれかの状態を形成し、維持するための制御を行う。これにより、移乗支援機器1は、被介護者2が載置されている載置具51の載置面の傾斜に合わせて支え具16の位置および角度などの空間姿勢を自動的に調整するので、介護者3が載置面と支え具16との位置関係を特に意識することなく円滑に被介護者2を載置具51から掬い上げ、移乗させることができる。
また、移乗支援機器1では、支え具16の下面に関節部13の回動軸と直交する方向に離間するように着床検知センサ32aと32bが設けられるとともに、これら着床検知センサ32a,32bの何れにおいても、支え具16の下面に関節部15の回動軸と直交する方向に離間して設けられる2つのセンサを有する。そして、脚部8のスライド動作によって支え具16を載置面の上方より載置面に向かって降下するときにおいて、複数の着床検知センサ32のいずれか1つが載置面への着床を検知した場合には、着床を検知した着床検知センサ32の載置面に対する高さを保持するように脚部8のスライド動作とともに関節部13および関節部15のいずれかを回動させる。そして、複数の着床検知センサ32のうち2つ以上が着床を検知した場合には、傾きに対応する軸周りに係る関節部13、15の回動を終了し、全ての関節部13、15の回動を終了した時点で脚部8のスライド動作による支え具16の降下を停止する。これにより、移乗支援機器1は、支え具16を載置面に対して平行に着床させ、停止させることができる。
さらに、移乗支援機器1では、車輪5を駆動し、被介護者2と載置面との間への支え具16の挿入動作時において、複数の着床検知センサ32のいずれもが着床を検知しないときは、脚部8のスライド動作により支え具16を降下させる。そして、関節部13、15の回動軸と直交する方向に設けられた複数の着床検知センサ32のいずれかの出力が設定した範囲より大きいときには、出力が大きい着床検知センサ32を載置面から離間する方向に関節部13、15を回動させる一方、複数の着床検知センサ32のいずれかの出力が設定した範囲より小さいときには、出力が小さい着床検知センサ32を載置面に当接する方向に関節部13、15を回動させて、複数の着床検知センサ32の出力状態を設定した範囲内に維持する。これにより、支え具16の挿入動作時において、支え具16を載置面に対して一定の当接状態に調整することができる。
次に、図9を参照しながら、移乗支援機器1の動作について説明する。図9は本発明の実施の形態1における移乗支援機器1の動作を説明するためのフローチャートである。以下、移乗支援機器1が、載置具51上に載置されている被介護者2を掬い上げて移乗させる場合の、介護者3の操作手順と移乗支援機器1の動作について説明する。
図9に示すように、介護者3は、移乗支援機器1を被介護者2が横たわっている載置具51の側面に近づけるため、入力部14に入力し操作指示を行う(S1)。この入力に基づいて、制御部110は、位置駆動部116を制御して車輪5を駆動させ、移乗支援機器1を載置具51の側面に近づける(S2)。
次に、介護者3は、支え具16を降下させ、載置具51の載置面と支え具16の先端部分とを平行状態して、被介護者2と載置具51との間に支え具16を挿入するための指示情報を入力する(S3)。
この入力に基づいて、制御部110は、関節駆動部114および昇降駆動部118に制御情報を伝達し、関節部13、15および脚部8を動作させる。なお、必要に応じて、制御部110は位置駆動部116を制御することにより車輪5を駆動し、移乗支援機器1の位置を調節する。
制御部110は、脚部8のスライド動作によって支え具16を載置面の上方より載置面に向かって降下するときにおいて、複数の着床検知センサ32のいずれか1つが載置面への着床を検知した場合には、着床を検知した着床検知センサ32の載置面に対する高さを保持するように関節部13および関節部15のいずれかを回動させ、複数の着床検知センサ32のうち、X方向およびY方向のいずれかの方向で2つ以上のセンサ32が着床を検知した場合には、その方向における傾きに対応する軸周りに係る関節部13、15の回動動作を終了し、同様に他の方向での全ての関節部13、15の回動動作を終了した時点で脚部8のスライド動作による支え具16の降下を停止する(S4、S5、S6)。これにより、支え具16を載置面に対して平行に着床させ、停止させることができる。
介護者3は、支え具16の降下が停止した後、報知部34の発光ダイオードの点灯状態を確認する。介護者3は、例えば、報知部34の点灯状態により、少なくとも3つの着床検知センサ32が着床を検知している状態を確認した段階で、支え具16の下端面33を載置具51の上面に接触させたまま、被介護者2と載置具51との間に支え具16を挿入するための指示を入力部14に入力する(S7)。これにより、介護者3は、支え具16の挿入に対する傾きに細心の注意を払うことなく、支え具16の下端面33の傾きを維持した状態で被介護者2と載置具51との間に支え具16を挿入することができる。
次に、制御部110は、支え具16の挿入時にベルト駆動部25に指示を行い、支え具16の上部に露出した状態で設けられたベルト部23を、支え具16の移動方向とは逆の方向に、支え具16の移動速度と略同じ速度で回動させる(S8)。また、制御部110は位置駆動部116に指示を行い、ベルト部23の回動に合わせて、車輪5を駆動して移乗支援機器1を前方(X軸方向)に移動させ、支え具16を挿入する(S9)。したがって、支え具16の挿入時には被介護者2とベルト部23との相対速度は略「0」となり、被介護者2の背中に接する支え具16のベルト部23が被介護者2と擦れることがなく、また、支え具16の下端面33に設けられた複数の固定ローラ26により、支え具16を円滑に挿入することができる。
次に、介護者3は、支え具16が被介護者2と載置具51の上面との間に十分に挿入されたと判断した場合に、被介護者2を支え具16の掬い面上に掬い上げるための指示情報を入力部14に入力する(S10)。この入力に基づいて、制御部110は、支え具16のベルト駆動部25の駆動を停止させ、ベルト部23の回転を停止させる(S11)。これと同時または直後に、制御部110は昇降駆動部118に指示を行い、脚部8を駆動して支え具16を持ち上げる(S12)。
次に、介護者3は、移乗支援機器1を移動先の載置具51に移動させるための指示情報を入力部14に入力する(S13)。この入力に基づいて、制御部110は位置駆動部116を制御し、移動先、例えば、他方側の載置具51の位置まで、移乗支援機器1を移動させる(S14)。
介護者3は、移乗支援機器1が移動先の載置具51に近づいたことを確認して、支え具16を移動先の載置具51の面上に接触させるための指示情報を入力部14に入力する(S15)。
この入力に基づいて、制御部110は、昇降駆動部118または関節駆動部114を制御し、脚部8の昇降動作、関節部13、15の回動動作を行い、被介護者2を乗せた支え具16を他方側の載置具51の上に接触させる。
制御部110は、脚部8のスライド動作によって支え具16を載置面の上方より載置面に向かって降下するときにおいて、複数の着床検知センサ32のいずれか1つが載置面への着床を検知した場合には、着床を検知した着床検知センサ32の載置面に対する高さを保持するように関節部13および関節部15のいずれかを回動させ、複数の着床検知センサ32のうち、X方向およびY方向のいずれかの方向で2つ以上のセンサ32が着床を検知した場合には、その方向における傾きに対応する軸周りに係る関節部13、15の回動動作を終了し、同様に他の方向での全ての関節部13、15の回動動作を終了した時点で脚部8のスライド動作による支え具16の降下を停止する(S16、S17、S18)。
次に、介護者3は、支え具16の降下が停止した後、報知部34の点灯状態を確認し、例えば、少なくとも3つの着床検知センサ32が着床を検知している状態(支え具16の下端面33が載置具51の載置面に対して平行状態および倣い状態の少なくともいずれかの状態)で、支え具16を後方(X方向と反対方向)に移動させるための指示を入力部14に入力する(S19)。この入力に基づいて、制御部110は、ベルト部23が支え具16の移動方向とは逆方向に、支え具16の移動速度と略同じ速度で回動するように、ベルト駆動部25に指示を行う(S20)。これと同時または直後に、制御部110は位置駆動部116を制御し、車輪5を駆動して移乗支援機器1を後方に移動させ、支え具16を被介護者2と載置具51との間から引き抜く(S21)。支え具16の引き抜き時も、挿入時と同様に、ベルト部23および固定ローラ26の機能および動作により、支え具16が被介護者2と擦れることなく、円滑に引き抜きを行うことができる。
以上述べたように、本発明の実施の形態1における移乗支援機器1によれば、被介護者2と載置具51の載置面との間に支え具16を挿入するときに載置面が水平でない場合であっても、被介護者2と載置面との間に支え具16を挿入するに際して、関節部13、関節部15の回動動作および脚部8の昇降動作の少なくともいずれかを動作させて、複数の着床検知センサ32の出力を設定した範囲内の値とすることにより、載置面と支え具16との間の平行状態および倣い状態の少なくともいずれかの状態を形成し、維持することができる。したがって、移乗支援機器1では、被介護者2の移乗動作を行うときに、載置面の傾斜に合わせて支え具16の位置および角度などの空間姿勢を自動的に調整するので、介護者3が載置面と支え具16との位置関係を特に意識することなく円滑に被介護者2を載置具51から掬い上げ、移乗させることができる。
なお、2台の移乗支援機器1が連携した動作を行うように制御する制御装置(図示せず)を設け、2台の移乗支援機器1のうち、一方の移乗支援機器1を操作するときに、他方の移乗支援機器1も連動して動くように動作させるようにすることができる。例えば、介護者3が一方の移乗支援機器1を前後左右に移動させるように操作したとき、制御装置は、それぞれに設けてある支え具16の間隔を一定に保持しながら、2台の移乗支援機器1が前後左右に移動するように制御することができる。この場合の制御装置は、実施形態3及び図15に示す制御部110と同様の構成とすることができる。
これにより、リクライニング機能を有するベッドなど、傾きの異なる複数の載置面を有する載置具51に対しても、移乗支援機器1を複数用い、支え具16の傾きをそれぞれ調整すれば対応することができる。したがって、この移乗支援機器では、多様な載置具に柔軟に対応することができる。例えば、載置具51の載置面の傾きが2つ以上の複雑な形状の載置具51であっても対応することができ、マルチ支え具機構つき移乗支援機器を実現することができる。
制御装置としては、2台の移乗支援機器1のうちいずれか1つの移乗支援機器1が備えている制御部110を共用してもよい。なお、移乗支援機器1を連携させる台数は2台に限定されない。載置具51の載置面の形状に合わせて、3台以上の移乗支援機器1を連携させるようにしてもよい。
また、移乗支援機器1の着床検知センサ32a、32bの配置は本実施の形態の配置に限定されない。以下、上記した移乗支援機器1の着床検知手段の他の配置例について説明する。
図10(a)〜(d)は、本発明の実施の形態1における移乗支援機器1の支え具16における着床検知手段の他の配置例を示す平面図であり、図10(a)および図10(d)はX軸およびY軸方向での支え具16の下端面33の傾きを検知する場合の配置例であり、図10(b)はY軸方向での支え具16の下端面33の傾きを検知する場合の配置例であり、図10(c)はX軸方向での支え具16の下端面33の傾きを検知する場合の配置例である。
具体的には、図10(a)は、2本の可動ローラ26aのローラ軸芯26bの一方の端部にそれぞれ着床検知センサ32aを配置し、他方の端部では、一方のローラ軸芯26bのみに着床検知センサ32bを配置する例である。このような配置により、支え具16の挿入方向のX軸周りに回動する関節部13と、支え具16の下面において挿入方向と直交するY軸周りに回動する関節部15を備えた移乗支援機器1において、支え具16の挿入方向および挿入方向と直交する方向の2方向により支え具16の下端面33の傾きを検知することができ、載置具51の上面との平行度を調整することができる。
また、図10(b)は、2つの可動ローラ26aのうち、いずれか1つの可動ローラ26aのローラ軸芯26bの両端部に着床検知センサ32a、32bを配置する例である。このような配置により、着床検知センサ32a、32bはローラ軸芯26bの変位を検出する。移乗支援機器1は、支え具16の挿入方向のX軸回りに回動する関節部13を使って、支え具16の下端面33の傾きを検知しながら、支え具16の下端面33と載置具51上面との平行度を調整することができる。したがって、支え具16の挿入方向に対して、載置具51、例えばベッドが傾斜していない場合などに効果を発揮する。なお、ベッドのようにX軸方向の傾きを合わせる必要がなく、Y軸回りの回動が不要となる場合には、関節部15はなくてもよい。
また、図10(c)は、2本の可動ローラ26aのローラ軸芯26bの支え具16のいずれか一方の側面側で、2本の可動ローラ26aのローラ軸芯26bの近傍に着床検知センサ32bを2箇所に配置する例である。このような配置により、支え具16のX軸方向の傾きを検知し、支え具16の下端面33と載置具51の上面とを平行に調整することができる。
また、図10(d)は、支え具16の挿入方向と直交する幅方向において支え具16の下面の中心近傍、例えば、両側面からそれぞれ距離Yaの位置に着床検知センサ32を1個配置する例である。このような構成の場合には、着床検知センサ32は、可動ローラ26aの軸芯26bの両端部が長穴部31の上側にそれぞれ移動したときに作動する。これによっても、Y軸方向において、支え具16の下端面33が載置具51の載置面に対して平行となることが検知できる。さらに、この例では可動ローラ26aを支え具16の下端面33の先端部から距離Xaの位置、すなわち支え具16の先端部から距離Xbの範囲の部位に対する中心位置に配置される。つまり、着床検知センサ32は、支え具16の先端側における距離Xbの範囲における重心位置に配置されている。この構成の場合には、X軸方向に対して支え具16の下端面33の先端部が載置具51と距離Xbの範囲で当接するときに、X軸方向において、支え具16の下端面33が載置具51の載置面に対して平行となる。ただし、この図10(d)の場合には、支え具16と載置具51とが平行でない場合に、支え具16をどの方向に傾けるべきか判断が困難であるので、平行度の確認用として着床検知センサ32が設けられる。したがって、このセンサ32と図10(a)〜(c)に示すセンサ32a、32bとを組み合わせてもよい。なお、支え具16の下端面33の先端部と載置具51との当接させる距離Xbは、支え具16の挿入時に適切な距離となるように予め設定される。
(実施の形態2)
次に、図11から図14を参照しながら、本発明の実施の形態2における支え具17について説明する。
図11は本発明の実施の形態2における移乗支援機器1で使用される車椅子の例を示す図であり、図12は本発明の実施の形態2における支え具17の構造例を示す図であり、図13は本発明の実施の形態2における移乗支援機器1の支え具17を用いたときの動作を説明するための図であり、図14は本発明の実施の形態2における移乗支援機器1の使用時の支え具17の他の状態例を示す図である。なお、実施の形態1における移乗支援機器1と同一の機能は同じ符号を付し、その説明を省略する。
実施の形態1では、移乗支援機器1の支え具16下面に設けられた可動ローラ26a(又はローラ軸芯26b)の変位を検出することにより、載置面と支え具16との平行状態および倣い状態のうちいずれかの状態を形成し、維持するようにした。すなわち、実施形態1では、支え具16がベッドなどの幅の大きい載置具51(図2)に対して着床することを前提としている。
これに対し、実施の形態2では、ベッドなどに比較して幅の狭い載置具51(図2)、例えば、図11に示すような車椅子53などへ支え具を着床させる場合に載置面と支え具17との平行状態および倣い状態のうちいずれかの状態を形成し、維持することができる支え具17について説明する。なお、本実施の形態における移乗支援機器1では、支え具16に代えて支え具17を使用するものとする。
以下、支え具17の詳細について説明する。まず、図12(a)に支え具17の側面図を示す。この図は、支え具17の一部を破断した状態で示している。支え具17は、図12(a)に示すように、支え具17下面側において支え具17の本体に固定された枠体21と、この枠体21に保持されている可動フレーム18と、可動フレーム18が支え具17下面の法線方向に変位するのを検知する複数の着床検知センサ32cとを備えている。なお、可動フレーム18の移動方向として、支え具17の下面に対する法線方向の成分があればよい。
さらに、支え具17では、枠体21と可動フレーム18との間に弾性体としてのばね19が設けられている。ばね19は、可動フレーム18を支え具17下面の法線方向の下面側へ付勢している。可動フレーム18は、枠体21の内側に配置されていて、ばね19の伸縮に応じて上下方向に変位する。
次に、図12(b)に支え具17の下面図を示す。枠体21の開口は支え具17下面の大部分に亘る大きさに形成されており、可動フレーム18は枠体21の開口の大部分に亘る大きさに形成されている。可動フレーム18は、図12(b)に示すように、支え具17の挿入方向と直交するように配置された複数の固定ローラ26を保持している。また、可動フレーム18は、図12(a)に示すように、ローラ列を構成する固定ローラ26それぞれを、下端面33から僅かに下方に突出した状態で回転可能に保持している。この固定ローラ26の回転により、支え具17を被介護者2と載置具51の載置面との間に挿入するときの負荷が小さくなる。
次に、図12(c)に図12(b)におけるB−B断面図(主要な部分)を示す。可動フレーム18は、図12(c)に示すように、支え具17下面側で枠体21により保持されるとともに、支え具17の下面に対して法線方向に変位可能に維持されている。これにより、支え具17の下面側において、可動フレーム18の一部分、例えば、固定ローラ26、または、フレーム下面(先端部、中央部、後端部のいずれかで載置面と点、線または面で接触可能な部分領域)などと車椅子53の載置面51と接触させることができる。
なお、図12(a)から図12(c)に示す構造に限定されるものではない。例えば、ワイヤなどの結合部材を用いて、支え具17下面側で枠体21から所定の距離だけ離れた状態で可動フレーム18を変位可能に維持するようにしてもよい。また、ワイヤに代えて、ばねを用いてもよい。さらに、支え具17下面側にガイドやスライド機構などを設け、可動フレーム18を直動させるように支持してもよい。支え具17の下面の法線方向に可動フレーム18が変位可能な機構であれば、可動フレーム18の変位により着床検知センサ32cと接触させることができるので、着床検知センサ32cを作動させることができる。
ばね19は、可動フレーム18の四隅近傍に配置されている。ばね19としては、例えば、公知の圧縮コイルバネ、板バネ、皿バネなどを使用することができる。このように、可動フレーム18を支え具17下面の法線方向の下面側へばね19により付勢するので、支え具17の傾き、振動、外乱によって可動フレーム18が枠体21側へ変位するのを抑えることができ、着床検知センサ32cが誤検知するのを防止することができる。なお、ばね19の配置は4箇所に限定されない。
着床検知センサ32cは、枠体21と可動フレーム18との間に、互いに離間した状態で複数設けられている。各センサ32cは枠体21に固定されている。これにより、着床検知センサ32cは、可動フレーム18が変位して着床検知センサ32cと接触すると、その接触圧力により作動する。着床検知センサ32cとしては、着床検知センサ32aと同様のものを使用することができる。また、図12(b)に示す配置例では、4つの着床検知センサ32cが可動フレーム18の四隅近傍に配置されている。すなわち、着床検知センサ32cはX軸方向及びY軸方向に配列されている。着床検知センサ32cを本体側である枠体21に取り付けることにより、着床検知センサ32cへの配線が容易となる。また、枠体21側から可動フレーム18側への配線を行う必要がなく、枠体21側に固定して配線することができるので、信頼性を向上させることができる。
このような構成により、ローラ列のいずれかの固定ローラ26が載置具51と接触した場合、あるいは可動フレーム18の一部分が載置具51と接触した場合に、支え具17の下面の法線方向に可動フレーム18が変位し、枠体21に固定されている着床検知センサ32cのいずれかと可動フレーム18の一部分とが接触することにより着床検知センサ32cのいずれかが作動する。これにより、支え具17下面が載置具51に着床したことを検出することができる。これにより、移乗支援機器1の支え具17では、可動フレーム18の一部分と車椅子53の載置面51とが接触した場合であっても、可動フレーム18を変位させて、可動フレーム18と着床検知センサ32cとを接触させることができるので、面積の小さな載置面を有する載置具への着床をも検出することができる。
さらに、可動フレーム18には、支え具17の前側である先端部近傍に突起部30が設けられている。この突起部30では固定ローラ26を保持する必要がないため、突起部30の形状を薄くすることができる。そのため、突起部30を可動フレーム18から支え具17の先端部近傍に近づくほど薄くなるように加工することができる。突起部30は、一方端が可動フレーム18に結合されるとともに、他方端が支え具17の先端部近傍まで延長されている。なお、突起部30と可動フレーム18を一体に成型してもよい。
これにより、支え具17の先端部近傍でも、可動フレーム18が載置具51に着床したことを検出することができる。また、突起部30が支え具17の先端部近傍に近づくほど薄くなる形状に形成されているので、支え具17の挿入方向における先端部全体を薄くでき、支え具17を被介護者2と載置具51の載置面との間に挿入する際の挿入作業を容易にしている。
次に、図13(a)〜(e)を参照しながら、移乗支援機器1において支え具17を用いたときの動作について説明する。
移乗支援機器1は、図13(a)に示すように、被介護者2と載置具51の載置面との間に支え具17を挿入するために被介護者2の手前である載置具51の端に支え具17を降下させる。このとき、移乗支援機器1では、載置具51の端で、かつ、被介護者2との接触を避けることができる位置に支え具17の先端部を降下させる。このような場合でも、移乗支援機器1には、支え具17の先端部近傍に突起部30が設けられているため、突起部30と載置面51とを接触させることができる。この突起部30と載置面51とが接触するのに伴って支え具17の下面の法線方向に可動フレーム18が変位し、可動フレーム18と着床検知センサ32cとの接触により着床検知センサ32cが作動する。これにより、移乗支援機器1では、支え具17が載置具51の載置面へ着床したことを検知できるので、載置面と支え具17との平行状態および倣い状態のうちいずれかの状態を形成し、維持することができる。
次に、図13(b)に示すように、移乗支援機器1は、被介護者2と載置具51の載置面との間に支え具17を挿入する。そして、移乗支援機器1は、図13(c)に示すように、挿入時に可動フレーム18の先端部および後端部のいずれもが載置面と接触するようにし、載置面の傾きと支え具17の傾きとが平行状態および倣い状態のうちいずれかの状態になるように、維持することができる。
次に、移乗支援機器1は、支え具17の挿入が完了すると、図13(d)に示すように、被介護者2を支え具17に掬い上げる。
次に、移乗支援機器1は、図13(e)に示すように、例えば、ベッドなどに比較して幅の狭い車椅子53に被介護者2を移乗させるために、支え具17を降下させ、支え具17を車椅子53に着床させる。このとき、支え具17において着床検知センサ32cが配置されている箇所の長さLbが車椅子53の幅La(図11)より大きい場合(Lb>La)であっても、支え具17下面にある可動フレーム18の一部分(中央部)と車椅子53との接触により可動フレーム18が変位する。そして、可動フレーム18が、当該可動フレーム18の四隅近傍の枠体21側にそれぞれ固定した着床検知センサ32cの少なくともいずれかと接触することにより着床検知センサ32cが作動し、支え具17下面が車椅子53に着床したことを検出する。そのため、ベッドなどに比較して幅が狭い車椅子53などへ被介護者2を移乗させる場合であっても支え具17下面が車椅子53に着床したことを検出することができる。
このように、移乗支援機器1における一連の移乗動作においては、図13(a)に示すように、移乗支援機器1は、まず載置具51の端に支え具17を降ろし、被介護者2と載置具51の載置面との間に支え具17を挿入して被介護者2を掬い上げ、被介護者2を移乗位置まで支え具17で保持して移動する必要がある。そして、図13(e)に示すように、車椅子53に移乗させるときには被介護者2を車椅子53の中央の位置まで移動し、支え具17を着床させた後で被介護者2と載置具51との間から支え具17を引き抜く必要がある。この移乗支援機器1では、載置面の傾き対して支え具17の傾きを調整できると共に、支え具17の先端部および中央部でも着床を検出するので、多様な載置具51の大きさ、形状にも対応することができる。
また、着床検知センサ32cは、可動フレーム18の四隅近傍の枠体21側にそれぞれ固定されている。そして、移乗支援機器1では、着床検知センサ32cの出力に基づいて、載置面のX軸方向およびY軸方向の傾き対して支え具17の傾きを調整するので、支え具17を被介護者2の体側に突き当てることなく載置具51の面に沿わせて被介護者2の背面に滑らかに挿入することができる。
以上述べたように、本発明の実施の形態2における移乗支援機器1によれば、ベッドなどに比較して幅が狭い車椅子53などへ被介護者2を移乗させる場合であっても、支え具17に設けられた可動フレーム18の一部分、例えば、突起部30、固定ローラ26またはフレーム下面(先端部、中央部、後端部のいずれかで載置面と点、線または面で接触可能な部分領域)などと車椅子53の載置面とを接触させることができる。これにより、移乗支援機器1では、ベッドなどに比較して幅が狭い車椅子53に支え具17を降ろす場合であっても、支え具17下面の法線方向に可動フレーム18が変位することにより、可動フレーム18と着床検出センサ32との接触により着床検出センサ32が作動するので、支え具17下面が車椅子53の載置面に着床したことを検出することができ、載置面と支え具17との平行状態および倣い状態のうちいずれかの状態を形成し、維持することができる。
さらに、図14(a)に示すように、移乗支援機器1では、支え具17の前端部が載置具51の載置面へ着床しているが、支え具17の後方部が浮いているような姿勢の場合には、支え具17下面の法線方向に可動フレーム18先端部の位置が変位して先端部近傍の着床検知センサ32cが作動する一方、可動フレーム18後端部の位置は変位せずに、後端部近傍の着床検知センサ32cは作動しない。これにより、可動フレーム18の四隅に相当する位置に配置された4つの着床検知センサ32cの検知状況に基づいて、図14(a)に示すような支え具17下面の傾き姿勢を検出することができる。
また、支え具17の降下によって被介護者2を押しつぶさないように、安全のために、例えば、支え具17とアーム部12との連結部に逃げ機構を設けた場合、支え具17が図14(b)に示すような姿勢となることがある。すなわち、移乗支援機器1において、載置具51の載置面に支え具17の前端部が着床していない状態で、支え具17後方部が着床しているような姿勢をとる場合がある。この場合、支え具17下面の法線方向に可動フレーム18後端部の位置が変位するので、支え具17後端部近傍の着床検知センサ32cが作動する。しかし、可動フレーム18先端部の位置が変位しないので、支え具17先端部近傍の着床検知センサ32cは作動しない。これにより、移乗支援機器1は、4つの着床検知センサ32cの検知状況に基づいて、図14(b)に示すような支え具17下面の姿勢を検出することができる。移乗支援機器1では、このような支え具17下面の姿勢を検出したときに挿入動作を停止する制御が含まれているので、支え具17を被介護者2の体側に突き当てるような動作を防止することができる。
なお、可動フレーム18の可動案内部材として、複数の固定ローラ26を用いた例について説明したが、複数の固定ローラ26に代えて、摩擦係数の小さな面状のボード(例えば、低摩擦な樹脂材料で成型されたボードなど)を可動フレーム18に備えるようにしてもよい。このボード下面を下端面33(図11(a))から僅かに突出するように可動フレーム18に取り付けることで、固定ローラ26と同様に、支え具17を被介護者2と載置具51の載置面との間に挿入するときの負荷を小さくすることができる。また、ボードの場合には、固定ローラ26の場合のような固定ローラ26間の隙間をなくすことができるので、支え具17下面のどこでも着床を検出することが可能となる。これにより、例えば、車椅子53の載置面上に突起物、例えば車椅子53の載置面の傾きを調整するレバーなどがあっても、支え具17下面が載置具51に着床したことを検出することができるようになる。
また、可動フレーム18とボードとを一体成型するようにしても、支え具17下面のどこでも着床を検出することができ、上述の効果を奏することができる。
(実施の形態3)
次に、図15を参照しながら、本発明の実施の形態3における移乗支援機器9について説明する。図15は、本発明の実施の形態3における移乗支援機器9の基本構成を示す斜視図である。なお、実施の形態1における移乗支援機器1と同一の機能は同じ符号を付し、その説明を省略する。
実施の形態1における移乗支援機器1では、1つの支え具16で載置具51の上に載置されている被介護者2を、載置具51と被介護者2との間に支え具16を挿入し、支え具16の掬い面上に被介護者2を掬い上げて別の載置具に移乗させる例について説明した。実施形態1では、支え具16を載置具51の1つの載置面の傾きに合わせて着床させ、載置具51と被介護者2との間に支え具16を挿入していた。
これに対し、実施の形態3における移乗支援機器9では、複数の支え具16を備えており、それぞれの支え具16に対応するように複数の回動手段(関節部13、15がそれぞれ複数)および複数の昇降手段(脚部8)を備えたことを特徴とする。これにより、載置面の傾きが2つ以上ある複雑な形状の載置具51であっても支え具16それぞれの姿勢が変更可能な移乗支援機器9を実現する。
移乗支援機器9は、図15に示すように、2つの支え具16と、支え具16それぞれを姿勢自在に支持するための2つの関節部13と、2つのアーム部12と、2つの関節部15と、2つの脚部8と、2つの脚部8を保持するための2つの保持部11と、1つの制御部110と、2つの入力部14とを備えている。
介護者3は、図1と同様に、2つの支え具16の間に立ち両手で入力部14を操作し、移乗支援機器9の移動、それぞれの支え具16の移動、および被介護者2の持ち上げ動作などを行うため、各種の入力を行う。
制御部110は、入力部14からの操作指示により、傾きの異なる載置面を有する載置具51(例えば、載置部51a、51b)に対して、2つの支え具16それぞれの傾斜を制御し、載置面それぞれに対して、支え具16それぞれの傾きを倣わせる。また、制御部110は、一方の入力部14からの指示により一方の支え具16が操作されるとき、他方の支え具16も連動して動くように制御可能とする。例えば、載置具51と被介護者2との間に支え具16をそれぞれ挿入し、被介護者2を掬い上げた後、制御部110は、2つの支え具16を連動させてこれら両支え具16の間隔が一定に保たれるように制御する。これにより、移乗支援機器9は、被介護者2を支え具16の上に寝かせたままの状態で安全に移乗させることができる。なお、2つの支え具16を連動させる制御は、支え具16の挿入時、引き抜き時にも実行してもよく、あるいは、2つの支え具16で被介護者2を支えているときのみ実行するようにしてもよい。例えば、支え具16を被介護者2及び載置面間に挿入した後で両支え具16を連動させる場合には、支え具16のそれぞれが挿入完了したことが検知されるとフラグを立てて抱き上げモードに移行し、この抱き上げモードにおいて、2つの支え具16を連動させる制御を行うようにすることができる。
保持部11は、2つの保持部6を連結部10により連結して一体化されている。なお、連結部10を伸縮自在な構成とし、2つの支え具16の間隔を変更できるようにしてもよい。これにより、支え具16それぞれの位置、角度などの空間姿勢の制御を高機能に行うことができ、操作性を高めることができる。これにより、被介護者2の身体条件により、支え具16は頭部や足元など個別に適切な条件で支え、移乗時の機能の向上に効果を発揮する。
以上述べたように、本発明の実施の形態3における移乗支援機器9では、リクライニング機能を有するベッドなど、傾きの異なる複数の載置面を有する載置具51に対しても、複数の支え具16を用いて、支え具16の傾きをそれぞれ調整することにより対応することができるので、多様かつ高度な対応効果を発揮することができる。例えば、傾きが異なる2つの載置面を有する載置具51であっても対応することができる。また、各支え具16は、一体化されている保持部11を土台にして支持されているため、装置の変形に対する強度を高めることができる。これにより、各支え具16の間隔を精度よく保つことができる。
なお、移乗支援機器9においては、2つの支え具16が設けられ、被介護者2を掬い上げ、寝たままの状態で移乗させる例について説明した。しかしながら、移乗支援機器9における支え具16の数は2つに限定されない。載置具51の載置面の形状に合わせて、支え具16の数を増やすことができる。これにより、載置具51の複雑な載置面の形状に支え具16それぞれを合わせることができる。支え具16を増やす場合には、支え具16それぞれを自在に支持する回動手段(関節部13、15)および昇降手段(脚部8)も合わせて増やすようにすればよい。
また、移乗支援機器9では、実施の形態1に記載の支え具16を使用した場合について説明したが、支え具16に代えて実施の形態2に記載の支え具17を使用するようにしてもよい。
(実施の形態4)
次に、図16(a)(b)を参照しながら、本発明の実施の形態4における移乗支援機器1の支え具16に関する応用例について説明する。
図16(a)(b)は、本発明の実施の形態4における移乗支援機器1の支え具16の構造に関する応用例について説明するための図であり、図16(a)は移乗支援機器1の使用時における着床前の支え具16の状態を示す図であり、図16(b)は移乗支援機器1の使用時における着床後の支え具16の着床状態を示す図である。なお、実施の形態1における移乗支援機器1と同一の機能は同じ符号を付し、その説明を省略する。
図16(a)に示すように、支え具16は、Y軸回りに支え具16を回動させるための関節部15に接続されており、この関節部15にはアーム部12が連結されている。アーム部12は関節部15に結合された平行リンク機構の1つのリンクを構成している。このため、支え具16が載置具51の載置面に着床していない状態では水平に保たれている。
関節部15は、角度θ0が小さくなる方向へ支え具16が自由に回動できるようにするための逃げ機構(図示省略)と、Y軸を中心軸とした軸周りに回動する回動部分に支え具16とアーム部12とがなす角度θ0を検出するための角度検出センサ73とを備えている。
角度検出センサ73としては、公知のエンコーダを使用することができ、例えば、回転型ポテンショメータまたは回転型差動変圧器などを使用することができる。
まず、移乗支援機器1では、角度検出センサ73により、支え具16が載置具51の載置面に着床する前の状態のときの支え具16とアーム部12とのなす角度θ0を検出し、検出された角度θ0を制御部110の記憶部(図示せず)に記憶する。
次に、移乗支援機器1では、介護者3が支え具16をZ軸方向における下方(矢印aの方向)に下げた場合において、図16(b)に示すように、支え具16の一部が載置具51の載置面に着床したことにより、支え具16とアーム部12とのなす角度が角度θ0よりも僅かに小さな角度θ1に変化したことを、角度検出センサ73により検出する。
これにより、移乗支援機器1は、記憶部に記憶されている角度θ0の角度情報と角度θ1の角度情報とを比較して角度θ0<角度θ1の状態を判断することができるので、支え具16が載置具51の載置面に着床したことを検知することができる。
以上述べたように、本発明の実施の形態4における移乗支援機器1によれば、角度検出センサ73により、支え具16とアーム部12とのなす角度の変化を検出し、この角度の変化から支え具16が載置具51の載置面に着床したことを検知することができるので、着床検知センサ32と同様の効果を発揮することができる。よって、ベッドなどのように載置具51の載置面がX軸方向の傾きもなく平らな場合には、移乗支援機器1において、着床検知センサ32に代えて角度検出センサ73を使用することができる。なお、説明は省略しているが、この移乗支援機器1には、支え具16をX軸回りに回動可能な関節部13が設けられるとともに、支え具16の両側面にそれぞれ着床検知センサ32a,32bが設けられていてもよい。この場合には、Y軸方向の支え具16の傾きを、このセンサ32a,32bの検出結果に基づいて制御することができる。
(実施の形態5)
次に、図17(a)(b)および図18(a)(b)を参照しながら、本発明の実施の形態5における移乗支援機器1の支え具16について説明する。
実施の形態5では、ベッドなどの載置具51の載置面の傾きがY軸方向だけでなく、さらにX軸方向に傾いている場合において、支え具16の傾きを合わせる自動調芯機能について説明する。
図17(a)(b)および図18(a)(b)は、本発明の実施の形態5における移乗支援機器1の支え具16の構造に関する他の応用例について説明するための図であり、図17(a)は支え具16の構造の側面図であり、図17(b)は図17(a)におけるC−C線断面を拡大した断面矢視図であり、図18(a)は支え具16と載置具51との位置関係を示す正面図であり、図18(b)は支え具16が載置具51に接触したときの側面図である。なお、実施の形態1における移乗支援機器1と同一の機能は同じ符号を付し、その説明を省略する。
まず、支え具16をアーム部12に連結する構造について説明する。図17(a)および図17(b)に示すように、支え具16は、関節部13および関節部15を介してアーム部12に連結されている。関節部13は、電磁クラッチなどのクラッチ部81を備えている。
関節部13、15では、X軸およびY軸を中心とする軸周りに支え具16を回動するために、それぞれの軸に対応させて駆動モータ82を備えている。駆動モータ82において、関節部13をX軸周りに回動するものを駆動モータ82aとし、関節部15をY軸周りに回動するものを駆動モータ82bとする。駆動モータ82(82a、82b)は、回転数を下げ、トルクを強化する減速装置などを有していてもよい。
クラッチ部81は、駆動軸部81aと従動軸部81bとを備えている。駆動軸部81aは、Y軸方向の両側に突出した2つのばね掛け部84を有する。さらに、支え具16には、関節部13側の側面にX軸方向の両側に突出した2つのばね掛け部85が設けられており、同じ側にある2つのばね掛け部84、85間にそれぞれ引張ばね86が配設されている。この2つの引張ばね86は、支え具16がX軸を中心とする軸周りに回動したとき、駆動モータ82aにより固定された回動位置での支え具16の傾きを維持する自動調芯作用を有している。なお、引張ばね86は、ゴムやスプリングなどの弾性体であってもよい。
クラッチ部81がOFF(非作動)のときには、支え具16は駆動モータ82aから切り離される。これにより、支え具16はX軸を中心とした軸の軸周りの回動が自由になり、駆動モータ82aからクラッチ部81の両側に設けられた2つの引張ばね86の付勢力に抗して回動する。これによって、駆動モータ82aによって固定された回動位置での支え具16の傾きを中心にして、その支え具16の傾きが所定の回動範囲に維持される。
一方、クラッチ部81がON(作動)のときには、支え具16は、関節部13に固定されて、駆動モータ82aの回転に伴ってX軸を中心とした軸の軸周りに回転する。移乗支援機器1は、例えば、関節駆動部114により、駆動モータ82aを使ってX軸を中心とした軸の軸周りに支え具16を回動させる。
次に、支え具16の傾きを調整するときの動作について説明する。図18(a)に示すように、支え具16を載置具51の載置面に着床させる際には、支え具16が載置具51と離れている状態で、クラッチ部81をOFF(非作動)にする。このとき、支え具16は2つの引張ばね86によって、姿勢が維持される。次に、支え具16の幅方向において支え具16の端部Eが載置具51の載置面に接触すると、支え具16は引張ばね86の付勢力に抗してX軸を中心として回動する。さらに、支え具16をZ軸下方向に降ろすと、支え具16は矢印D方向に回動し、載置具51の載置面と平行になる。この状態でクラッチ部81をON(作動)にすることにより、支え具16の傾きを固定することができる。
次に、介護者3は、図18(b)に示すように、X軸方向において載置具51の載置面と支え具16下面との間に傾きの差がある場合には、指示情報を入力部14に入力して着床検知センサ32a、32bを作動させ、駆動モータ82bを駆動し、Y軸を中心に支え具16を回動させる。
以上述べたように、本発明の実施の形態5における移乗支援機器1では、クラッチ部81をOFFして支え具16を駆動モータ82aから切り離し、これにより支え具16をX軸を中心とした軸の軸周りへ自由に回動させることができるので、支え具16を載置具51の載置面に円滑に倣わせることができる。さらに、支え具16下面と載置具51の載置面とが平行になった状態でクラッチ部81をONにすることにより、支え具16の傾きを固定することができる。また、X軸方向において載置具51の載置面と支え具16下面との間に傾きの差がある場合には、指示情報を入力部14に入力して着床検知センサ32a、32bを作動させ、駆動モータ82bを駆動し、Y軸を中心に支え具16の傾きを調整することができる。これにより、ベッドなどの載置具51の載置面の傾きが、Y軸方向だけでなく、さらにX軸方向に傾いている場合に支え具16の傾きを合わせることができる。
さらには、引張ばね86およびクラッチ部81により、支え具16の動きを制動すると共に、被介護者2の体形、姿勢に応じて、支え具16の傾きを調節するので、介護者3は移乗作業をスムーズに行うことができる。
(実施の形態6)
次に、図19を参照しながら、本発明の実施の形態6における移乗支援機器1の支え具16について説明する。
実施の形態6では、支え具16の傾きを駆動モータを用いて維持する例について説明する。
図19は、本発明の実施の形態6における移乗支援機器1の支え具16の構造に関するさらに他の応用例について説明するための側面図である。なお、実施の形態1における移乗支援機器1と同一の機能は同じ符号を付し、その説明を省略する。
図19に示すように、支え具16を保持する関節部13および関節部15は、駆動モータ82及び回転角度検出部87を備えており、制御部110は姿勢制御部88を備えている。
回転角度検出部87において、X軸周りの回転を検知するものを回転角度検出部87aとし、Y軸周りの回転を検知するものを回転角度検出部87bとする。
姿勢制御部88は、制御部110の一部であり、入力部14からの指示情報により作動する。姿勢制御部88は、入力部14から「傾き維持モード」などの指示情報が入力されると、回転角度検出部87(87a、87b)からの情報に基づいて、関節部13、15をX軸およびY軸を中心とする軸周りに回動させるために駆動モータ82a、82bを作動させて、支え具16の傾きを制御する。
なお、支え具16の傾きを維持するときに、支え具16を設定された許容範囲内で変動可能に制御するようにしてもよい。例えば、入力部14において、支え具16の傾きの変動許容範囲が大きい「モードA」や支え具16の傾きの変動許容範囲が小さい「モードB」などの設定モードを複数設けてもよい。また、スライド型の入力デバイスを使用して、段階的または連続的に支え具16の傾きの変動許容範囲や支え具16の傾きを制御するときの駆動力を調整してもよい。
以上述べたように、本発明の実施の形態6における移乗支援機器1によれば、姿勢制御部88により、入力部14から「傾き維持モード」などの指示情報と回転角度検出部87(87a、87b)からの情報とに基づいて、駆動モータ82a、82bを作動させ、関節部13、15をX軸およびY軸を中心とする軸周りに回動させるので、支え具16の傾きを維持することができる。
また、入力部14において、支え具16の傾きの変動許容範囲が大きい「モードA」や支え具16の傾きの変動許容範囲が小さい「モードB」を備えているので、設定モードに応じて変動許容範囲が異なるように支え具16の傾きを制御することができる。
また、スライド型の入力デバイスを使用することにより、段階的または連続的に、支え具16の傾きの変動許容範囲や支え具16の傾きを制御するときの駆動力を調整することができるので、被介護者2の姿勢に対して細やかな制御が可能となり、被介護者2に優しい自動調芯機能を実現することができる。
(実施の形態7)
次に、図20を参照しながら、本発明の実施の形態7における移乗支援機器1において、着床検知の他の方式について説明する。具体的には、複数の荷重センサを用いて着床を検知する方式例について説明する。
図20は、本発明の実施の形態7における移乗支援機器1の車輪5の構造例を示す正面図である。なお、実施の形態1における移乗支援機器1と同一の機能は同じ符号を付し、その説明を省略する。
図20に示すように、車輪5は、ローラ101、ローラ軸102、ハウジング103および荷重センサ104を備えている。車輪5は、複数設けられていて、各車輪5はそれぞれ保持部6(例えば図3参照)に固定または回動可能に取り付けられている。また、荷重センサ104はハウジング103に取り付けられている。車輪5には減速装置を介して駆動源105が連結されており、自走可能な構成としている。
制御部110は、移乗支援機器1の重心位置を算出する演算部106と、演算結果を記憶するための記憶部107とを備えている。
演算部106は、複数の荷重センサ104からの出力信号に基づいて移乗支援機器1の重心位置を所定の時間間隔で算出し、その演算結果を順次に記憶部107に記憶する。そして、演算部106は、記憶部107に記憶された複数の演算結果の差分値を算出し、この差分値から支え具16が載置具51の載置面に着床したことを検知する。つまり、荷重センサ104は着床検知手段として機能している。
以上述べたように、本発明の実施の形態7における移乗支援機器1によれば、複数の荷重センサ104からの出力信号に基づいて、操作時の移乗支援機器1の重心位置の変化を検出することができ、この変化から支え具16が載置具51の載置面に着床したことを検知することができる。さらに、移乗支援機器1の重心位置を検出して重心姿勢を操作中に把握することができ、危険な姿勢を予め防止することが可能となるので、移乗支援機器1の安全性を高めることが可能となる。
(実施の形態8)
次に、図21を参照しながら、本発明の実施の形態8における移乗支援機器1に表示部111を備えた場合の応用例について説明する。
図21は、本発明の実施の形態8における移乗支援機器1の表示部111の構成例について説明するための説明図である。なお、実施の形態1における移乗支援機器1と同一の機能は同じ符号を付し、その説明を省略する。ここでは、移乗支援機器1を2台使用し、連携して移乗動作を行う場合における表示部111の構成例を示している。
図21に示すように、表示部111では、ローラ101の配置位置113、移乗支援機器1の重心位置Gおよび支え具16を載置具51の載置面に着床させたときの機器1の重心位置G1を投影表示する。なお、重心位置Gおよび重心位置G1としては、実施の形態7で算出されたものを使用することができる。また、表示部111には、2台の支え具16の位置を示す外形枠F1、F2をそれぞれ表示する。
表示部111としては、例えば、液晶表示部や有機EL(electroluminescence)ディスプレイなどを用いた表示装置を使用することができる。これにより、介護者3は、支え具16を載置具51の載置面に着床させたとき、表示部111に表示される重心位置Gと重心位置G1との位置関係の変化から、支え具16が載置具51の載置面に着床したことを知ることができる。なお、2台ある移乗支援機器1のいずれか一方に表示部111を設ければよい。
また、着床確認枠(E1、E2)内に重心位置G1がある場合には、支え具16が載置具51の載置面に適切な圧力で着床していることを示している。ここで、着床確認枠E1は、載置具51の載置面に着床する支え具16が1つの場合に使用され、着床確認枠E2は支え具16が2つの場合に使用する。また、表示部111に表示される着床確認枠(E1、E2)の外側は移乗支援機器1が転倒するなどの危険な姿勢の領域とし、その内側を安全な姿勢の領域とする。
以上述べたように、本発明の実施の形態8における移乗支援機器1によれば、表示部111に表示される重心位置Gと重心位置G1との位置関係の変化から、介護者3は、支え具16が載置具51の載置面に着床したことを知ることができる。
また、介護者3は、表示部111に表示される重心位置G、G1の表示位置から移乗支援機器1が安全な姿勢状態になっているか否かを容易に把握することができるので、移乗支援機器1が転倒するなどの危険な姿勢状態を回避することができ、移乗支援機器1の安全性を高めることができる。
なお、支え具16の位置を示す外形枠F1、F2上に、着床検知センサ32の配置位置に応じた座標上に着床検知センサ32の作動状態を表示するための報知部表示112を設けてもよい。
以上述べたように、本発明の実施の形態における移乗支援機器1および移乗支援機器9では、介護者3が被介護者2を移乗させる場合について説明したが、被介護者2は人体であればよく、例えば、自ら移動したり、体を動かすことが困難な者に対しても、同様に応用できる。これにより、移乗支援機器1および移乗支援機器9では、載置具の載置面からその人体を掬い上げ、他の載置具に移乗させることができる。
また、移乗支援機器1にカメラなどを配設し、画像情報に基づき支え具16、17を認識し、支え具16、17の位置および姿勢を制御することもできる。
[実施の形態の概要]
ここで、本実施の形態の概要について、以下に説明する。
(1) 以上説明したように、ベッド面が傾斜している場合など、人体を載置する載置具の載置面が水平でない場合であっても、人体と載置面との間に支え具を挿入するに際し、回動手段および昇降手段の少なくともいずれかを動作させて、複数の着床検知手段の出力に基づいて、載置面と支え具との間の平行状態および倣い状態の少なくともいずれかの状態を形成し、維持することが可能となる。したがって、本実施形態の移乗支援機器は、被介護者の移乗動作時に、人を載置する載置具の載置面の傾斜に合わせて支え具の位置および角度を自動的に調整する効果を発揮する。これにより、介護者が載置面と移乗支援機器との位置関係を特に意識することなく円滑に被介護者を載置具から掬い上げ、移乗させることを可能にする。
(2) また、複数の着床検知手段は、各々の回動手段の回動軸と直交する方向に複数が離間して、支え具の下面に設けられ、制御手段は、昇降手段によって支え具を載置面の上方より載置面に向かって降下させるときにおいて、各々の回動手段について回動手段の回動軸と直交する方向に設けられた複数の着床検知手段のいずれか1つが載置面への着床を検知した場合には、着床を検知した着床検知手段の載置面に対する高さを保持するように回動手段を回動させながら前記昇降手段を動作させ、複数の着床検知手段のうち2つ以上が着床を検知した場合には、回動手段の回動を終了し、全ての回動手段の回動を終了した時点で昇降手段の降下を停止するようにしてもよい。
このような構成によれば、複数の着床検知手段および回動手段により支え具を載置面に対して平行に着床させ、停止させることが可能となる。したがって、傾きの異なる載置面に対して、支え具の下面の傾きを平行にすることができる。
(3) また、移乗支援機器は、支え具を挿入方向へ移動させる支え具挿入手段をさらに備え、制御手段は、支え具挿入手段による人体と載置面の間への支え具の挿入動作時において、複数の着床検知手段のいずれもが着床を検知しないときは昇降手段を降下させ、各々の回動手段の回動軸と直交する方向に設けられた複数の着床検知手段のいずれかの出力が設定した範囲より大きいときには、出力が大きい着床検知手段を載置面から離間する方向に回動手段を回動させ、複数の着床検知手段のいずれかの出力が設定した範囲より小さいときには、出力が小さい着床検知手段を載置面に当接する方向に回動手段を回動させて、複数の着床検知手段の出力状態を設定した範囲内に維持するようにしてもよい。
このような構成によれば、支え具の挿入動作時において、複数の着床検知手段の出力状態を設定した範囲内に維持することが可能となる。したがって、支え具の挿入動作時において、支え具を載置面に対して一定の当接状態に調整することができる。
(4) また、複数の着床検知手段はそれぞれ圧力センサにより構成され、載置面との接触圧力が設定された圧力範囲内にあるか否かによって着床状態を判定するようにしてもよい。
このような構成によれば、支え具の載置面に対する着床状態を接触圧力の情報に基づいて判定することができる。これにより接触圧力を制御して支え具を載置面に着床させることができる。また、支え具を誤って載置面に接触させた場合に、その反力による移乗支援機器の転倒や破損、載置具の破損などを防止することができる。
(5) また、設定された圧力範囲は、支え具の挿入部位において載置面が人体により受ける圧力範囲であってもよい。このような構成によれば、支え具の挿入部位において、載置面が人体により受ける圧力範囲と同じにすることで、載置面に対する人体の沈み込み量と、挿入部位における支え具の沈み込み量とを略同じにすることができる。これにより、支え具の挿入部位での沈み込み量の違いによる段差を抑え、支え具をスムーズに挿入することができる。
(6) また、前記支え具の下面の法線方向に変位可能に構成された可動案内部材をさらに備え、複数の着床検知手段は、前記支え具の下面に設けられるとともに、前記可動案内部材の変位を検出することにより着床状態を検知するようにしてもよい。
このような構成では、載置具と支え具との接触圧力に応じて可動案内部材が変位するので、この可動案内部材が変位することによって、支え具が載置具の上面に着床したことを検知することができる。
(7) また、可動案内部材は、支え具の枠体に対して変位可能に支持された可動フレームであって、可動フレームは、載置面との接触圧力により支え具下面の法線方向へ変位するようにしてもよい。これによれば、例えば、可動フレームの一部分と載置面とが接触すると支え具下面の法線方向に可動フレームが変位する。そして、可動フレームと載置面との接触により着床検知手段が作動する。したがって、可動フレームという比較的広い面積の動作で着床検知を行うことができるので、ベッドに比較して幅の狭い車椅子などへ被介護者を移乗させるときに支え具下面の中央部分を車椅子の載置面に降ろす場合であっても、着床検知手段により着床を検出することができる。
(8) また、枠体と可動フレームとの間に配置され、前記可動フレームを下向きに付勢する弾性体を備えるようにしてもよい。これによれば、可動フレームを枠体から支え具下面の法線方向の下面側へ付勢されているので、支え具の傾き、振動、外乱によって可動フレームが変位するのを抑えることができ、着床検知手段の誤検知を防止することができる。
(9) また、複数の着床検知手段は、支え具の枠体に設けられるようにしてもよい。このような構成によれば、支え具の周辺部において着床検知を行うことができ、着床時の支え具の姿勢に関する検知精度を高めることができる。さらに、本体側である枠体に配線することができるので、配線が容易となる。また、枠体から可動案内部材に対して配線を行う必要がなく、枠体側に固定して配線することができるので、信頼性を向上させることができる。
(10)また、複数の着床検知手段は少なくとも支え具の挿入方向における前側の下面両端部の近傍にそれぞれ設けられていてもよい。このような構成によれば、挿入時に支え具の着床状況を前側下面の両端部近傍で検知することが可能となる。したがって、挿入時に支え具の姿勢に関する検知を支え具の先端部(前端部)において行い、円滑な挿入および着床を実現する効果を発揮することができる。
(11)また、回動手段は、支え具の挿入方向の軸周りに回動する第1の回動手段を有し、複数の着床検知手段は少なくとも2つ設けられている構成であってもよい。このような構成によれば、支え具の挿入方向の軸周りに回動する1つの回動手段と2つの着床検知手段により支え具の姿勢を制御することが可能となる。したがって、載置面の2次元の傾斜に対して、支え具の姿勢の制御に効果を発揮することができる。
(12)また、回動手段は、支え具の挿入方向の軸周りに回動する第1の回動手段と、第1の回動手段と支え具の下面内において直交する軸周りに回動する第2の回動手段とを有し、着床検知手段が少なくとも3つ設けられていてもよい。このような構成によれば、支え具の直交する2つの軸周りに回動する2つの回動手段と3つの着床検知手段により支え具の姿勢を制御することが可能となる。したがって、載置面の3次元の傾斜に対する支え具の姿勢制御に効果を発揮することができる。
(13)本発明の移乗支援機器は、載置具の載置面と当該載置面に載置された人体との間に挿入され、人体を掬う支え具と、支え具の空間姿勢を変更および調整の少なくともいずれかを行うために設けられた1つ以上の回動手段と、支え具の下面が載置面の上面に着床したことを検知する着床検知手段と、支え具を昇降させる昇降手段と、着床検知手段の出力に基づいて、昇降手段を制御可能な制御手段とを備えた移乗支援機器であって、着床検知手段は、支え具の挿入方向と直交する幅方向において支え具の下面の中心近傍に設けられ、前記移乗支援機器は、前記支え具と前記回動手段との間に配置されたクラッチと、前記回動手段に対して前記支え具の相対的な回動が可能なように前記支え具を弾性支持する弾性体と、をさらに備え、制御手段は、載置面の上方より昇降手段によって支え具を降下させるときには、着床検知手段が載置面への着床を検知するまでクラッチを解除した状態で支え具を降下させ、着床検知手段が着床を検知したときクラッチを繋ぐと共に支え具の降下を終了するように前記クラッチ及び前記昇降手段を制御することを特徴とする。
このような構成によれば、支え具の昇降時には支え具の回動動作が弾性体によって制限された範囲で許容され、着床検知手段により支え具の着床を検知し、着床位置においてクラッチが接続されたときには支え具は回動手段によって固定され、回転を止めることが可能となる。したがって、着床検知手段を1つだけ配設することにより支え具の空間姿勢を制御し、維持する効果を発揮するとともに、着床検知手段の数を削減することができる。また、弾性体はクラッチが切られたとき、支え具が自由に動くことがないように制限することができる。さらに、被介護者の体形や姿勢に応じて、支え具の傾斜を調整することができる。
(14)また、複数の支え具と、前記複数の支え具それぞれに対応する複数の回動手段および昇降手段と、を備え、前記複数の着床検知手段は、前記複数の支え具の下面がそれぞれ載置具の載置面に着床したことを検知し、前記制御手段は、前記複数の着床検知手段の出力に基づいて回動手段または昇降手段を制御することを特徴とする。
このような構成によれば、複数の支え具を使って載置具の載置面の傾斜に容易に対応することができ、多様かつ高度な対応効果を発揮することができる。例えば、載置具の載置面の傾きが3つ以上の複雑な形状の載置具であっても対応することができる。
(15)また、本発明のマルチ支え具機構つき移乗支援機器は、上記したいずれか1つの移乗支援機器を複数個と、複数個の移乗支援機器を連携して制御する制御装置とを備え、それぞれの移乗支援機器の支え具を載置面の傾斜角度に対応した角度に倣わせることを特徴とする。
このような構成によれば、載置具が互いに傾斜の異なる複数の載置面を有する場合であっても、複数の支え具を使って載置具の載置面の傾斜に対応することができる。したがって、多様な載置具に柔軟に対応することができる。例えば、載置具の載置面の傾きが3つ以上の複雑な形状の載置具であっても対応することができる。
(16)また、複数の移乗支援機器を連結部により連結して一体化してもよい。これにより、さらに、複数の移乗支援機器の連携を強化でき、装置の変形に対する強度を高めることができる。これにより、各支え具の間隔を精度よく保つことができる。
以上述べたように本実施形態によれば、人体を載置する載置具の載置面の傾きが水平でない場合であっても、スムーズに人体を載置具から掬い上げ、移乗させることが可能で、かつ介護者にとって作業負担の少ない移乗支援機器およびマルチ支え具機構つき移乗支援機器を提供することができる。
以上述べたように本発明によれば、移乗すべき被介護者を載置する載置具と被介護者との間に支え具を挿入し、支え具の掬い面上に掬い上げて移乗させることができ、特に、被介護者を載置する載置具の載置面の傾きが水平でない場合であっても、介護者にとって、円滑に被介護者を載置具から掬い上げ、移乗させることができる。したがって、移乗支援機器およびそれを用いたマルチ支え具機構つき移乗支援機器、介護ロボット装置などとして有用である。

Claims (16)

  1. 載置具の載置面と当該載置面に載置された人体との間に挿入され、前記人体を掬う支え具と、
    前記支え具の姿勢の変更および調整の少なくともいずれかを行うための1つ以上の回動手段と、
    前記支え具の下面が前記載置面に着床したことを検知する複数の着床検知手段と、
    前記支え具を昇降させる昇降手段と、
    前記複数の着床検知手段の出力に基づいて、前記載置面と前記支え具との間の平行状態および倣い状態の少なくともいずれかの状態を形成し、維持するように前記回動手段または前記昇降手段を制御する制御手段と、を備えていることを特徴とする移乗支援機器。
  2. 前記複数の着床検知手段は、各々の前記回動手段の回動軸と直交する方向に離間して、前記支え具の下面に設けられ、
    前記制御手段は、前記昇降手段によって前記支え具を前記載置面の上方より前記載置面に向かって降下させるときにおいて、
    各々の前記回動手段について前記回動手段の回動軸と直交する方向に設けられた前記複数の着床検知手段のいずれか1つが前記載置面への着床を検知した場合には、前記着床を検知した着床検知手段の前記載置面に対する高さを保持するように前記回動手段を回動させながら前記昇降手段を動作させ、
    前記複数の着床検知手段のうち2つ以上が着床を検知した場合には、前記回動手段の回動を終了し、
    全ての前記回動手段の回動を終了した時点で、前記昇降手段の降下を停止することを特徴とする請求項1に記載の移乗支援機器。
  3. 前記移乗支援機器は、前記支え具を挿入方向へ移動させる支え具挿入手段をさらに備え、
    前記制御手段は、前記支え具挿入手段による前記人体と前記載置面の間への前記支え具の挿入動作時において、
    前記複数の着床検知手段のいずれもが着床を検知しないときは前記昇降手段を降下させ、
    各々の前記回動手段の回動軸と直交する方向に設けられた前記複数の着床検知手段のいずれかの出力が設定した範囲より大きいときには、前記出力が大きい着床検知手段を前記載置面から離間する方向に前記回動手段を回動させ、
    前記複数の着床検知手段のいずれかの出力が設定した範囲より小さいときには、前記出力が小さい着床検知手段を前記載置面に当接する方向に前記回動手段を回動させて、
    前記複数の着床検知手段の出力状態を設定した範囲内に維持することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の移乗支援機器。
  4. 前記複数の着床検知手段はそれぞれ圧力センサにより構成され、前記載置面との接触圧力が設定された圧力範囲内にあるか否かによって着床状態を判定することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の移乗支援機器。
  5. 前記設定された圧力範囲は、前記支え具の挿入部位において前記載置面が前記人体により受ける圧力範囲であることを特徴とする請求項4に記載の移乗支援機器。
  6. 前記支え具の下面の法線方向に変位可能に構成された可動案内部材をさらに備え、
    前記複数の着床検知手段は、前記支え具の下面に設けられるとともに、前記可動案内部材の変位を検出することにより着床状態を検知することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の移乗支援機器。
  7. 前記可動案内部材は、前記支え具の枠体に対して変位可能に支持された可動フレームであって、
    前記可動フレームは、前記載置面との接触圧力により前記支え具の下面の法線方向へ変位することを特徴とする請求項6に記載の移乗支援機器。
  8. 前記枠体と前記可動フレームとの間に配置され、前記可動フレームを下向きに付勢する弾性体を備えていることを特徴とする請求項7に記載の移乗支援機器。
  9. 前記複数の着床検知手段は、前記支え具の枠体に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の移乗支援機器。
  10. 前記複数の着床検知手段は、少なくとも前記支え具の挿入方向における前側の下面両端部の近傍にそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の移乗支援機器。
  11. 前記回動手段は、前記支え具の挿入方向の軸周りに回動する第1の回動手段を有し、前記複数の着床検知手段は少なくとも2つ設けられていることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の移乗支援機器。
  12. 前記回動手段は、前記支え具の挿入方向の軸周りに回動する第1の回動手段と、前記第1の回動手段と前記支え具の下面内において直交する軸周りに回動する第2の回動手段とを有し、前記複数の着床検知手段が少なくとも3つ設けられていることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の移乗支援機器。
  13. 載置具の載置面と当該載置面に載置された人体との間に挿入され、前記人体を掬う支え具と、
    前記支え具の姿勢の変更および調整の少なくともいずれかを行うための1つ以上の回動手段と、
    前記支え具の下面が前記載置面の上面に着床したことを検知する着床検知手段と、
    前記支え具を昇降させる昇降手段と、
    前記着床検知手段の出力に基づいて、前記昇降手段を制御可能な制御手段とを備えた移乗支援機器であって、
    前記着床検知手段は、前記支え具の挿入方向と直交する幅方向において支え具の下面の中心近傍に設けられ、
    前記移乗支援機器は、前記支え具と前記回動手段との間に配置されたクラッチと、前記回動手段に対して前記支え具の相対的な回動が可能なように前記支え具を弾性支持する弾性体と、をさらに備え、
    前記制御手段は、前記載置面の上方より前記昇降手段によって前記支え具を降下させるときには、前記着床検知手段が前記載置面への着床を検知するまで前記クラッチを解除した状態で前記支え具を降下させ、前記着床検知手段が着床を検知したとき前記クラッチを繋ぐと共に前記支え具の降下を終了するように前記クラッチ及び前記昇降手段を制御することを特徴とする移乗支援機器。
  14. 複数の前記支え具と、前記複数の支え具それぞれに対応する複数の前記回動手段および前記昇降手段と、を備え、
    前記複数の着床検知手段は、前記複数の支え具の下面がそれぞれ前記載置具の載置面に着床したことを検知し、
    前記制御手段は、前記複数の着床検知手段の出力に基づいて前記回動手段または前記昇降手段を制御することを特徴とする請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の移乗支援機器。
  15. 請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の移乗支援機器を複数個と、
    複数個の前記移乗支援機器を連携して制御する制御装置とを備え、
    それぞれの前記移乗支援機器の前記支え具を載置面の傾斜角度に対応した角度に倣わせることを特徴とするマルチ支え具機構つき移乗支援機器。
  16. 複数の前記移乗支援機器を連結部により連結して一体化した構成からなることを特徴とする請求項15に記載のマルチ支え具機構つき移乗支援機器。
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