JPWO2008105235A1 - 組成物、光学フィルター及びディスプレイ用前面フィルター - Google Patents

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Abstract

本発明は、特定のアザポルフィリン化合物及び特定の金属イオン含有化合物とバインダーとの組成物、さらには該組成物を用いた光学フィルター及びディスプレイ用前面フィルターを提供する。この組成物は、下記一般式(P−I)で表される可視光領域に極大吸収を有するテトラアザポルフィリン誘導体と、下記一般式(X−I)で表される金属イオン含有化合物、及びバインダーを含有することを特徴とする。【化1】【化2】

Description

本発明は、組成物、光学フィルター及びディスプレイ用前面フィルターに関し、さらに詳しくは、アザポルフィリン化合物を少なくとも1種と、金属イオン含有化合物を少なくとも1種、及びバインダーを少なくとも1種含有する組成物及びこれを用いた光学フィルター及びディスプレイ用前面フィルターに関する。
近年、大型の壁掛けテレビをはじめ種々の電子機器の表示パネルとして、プラズマディスプレイ、CRT、蛍光表示管、液晶ディスプレイ等、様々なディスプレイが開発され、その需要が増大している。また、ELディスプレイやFEDディスプレイ等新規ディスプレイ技術も実用化の域に達しており、今後もディスプレイの需要は大幅に拡大するものを推測されている。
こうした中でもプラズマディスプレイやCRT等発光型ディスプレイでは、発光体に電子線や紫外線を照射させる等種々の方法により、赤、青、緑のそれぞれの3原色発光を得て表示を行うが、これらの三色の発光に悪影響を及ぼさずに三色の色バランスを補正する色調整フィルターが求められている。
上記の色調整フィルター用色素には、可視域に良好な吸収特性を有すること、例えばモル吸光係数が大きいこと、半値幅が小さいこと、副吸収を有さないことが求められる。また同時にフィルター製造の観点から、種々の有機溶媒に対して溶解性が高いこと、バインダーとの相溶性が高いこと等が求められる。また更にディスプレイは長期間の使用が前提とされるため高い耐候性、特に耐光性が高いことが求められている。
プラズマディスプレイにおいては、色純度を向上させたり、色温度を上げたりするために560〜620nm近辺に吸収をもつ色素を配合する必要がある。また、この波長域にはパネル内のネオンガスからの発光も含まれるため、このような不必要な発光を吸収する光学フィルターが求められている。
このような要望を受けて、様々な色素が提案されており、そのなかでもアザポルフィリン色素は、比較的モル吸光係数が大きく、半値幅も小さいという優れた吸収特性を有し、これを利用した光学フィルター、ディスプレイ用前面フィルター(例えば、特許文献1参照)が提案されている。
アザポルフィリン色素を用いた組成物の耐久性を改良する試みとしてヒンダードアミン系化合物とトリアジン系化合物と組み合わせる方式(例えば、特許文献2参照)が提案されている。しかしながら、特許文献2ではその効果がナフタロシアニンに対してのみ開示されているだけである。
特定のアザポルフィリン色素を含有した光学フィルターの更なる耐久性の改良を目的とした場合、特定のアザポルフィリン色素に特定の金属イオン含有化合物及びバインダーを含有する組成物を用いた光学フィルター及びディスプレイ用前面フィルターについては未だ知られていない。
特開2005−272660号公報 特開2006−56913号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、特定のアザポルフィリン化合物及び特定の金属イオン含有化合物とバインダーとの組成物、さらには該組成物を用いた光学フィルター及びディスプレイ用前面フィルターを提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成することができる。
1.下記一般式(P−I)で表される可視光領域に極大吸収を有するテトラアザポルフィリン誘導体と、下記一般式(X−I)で表される金属イオン含有化合物、及びバインダーを含有することを特徴とする組成物。
(式中、Rp1、Rp2、Rp3、Rp4、Rp5、Rp6、Rp7、Rp8は各々独立に水素原子または置換基を表し、Mpは2個の水素原子または2価の金属原子または3価の1置換金属原子または4価の二置換金属原子またはオキシ金属原子を表す。ただし、Rp1、Rp2、Rp3、Rp4、Rp5、Rp6、Rp7、Rp8は各々、連結して芳香環を形成することは無い。)
一般式(X−I) M(X1m(X2l・(W1s
(式中、Mは、ZnまたはCuの2価イオンを表し、X1及びX2はそれぞれ独立に1座または2座配位子を表し、同一であっても異なっていてもよく、X1とX2は連結していてもよい。m、l及びsは0〜2の整数を表し、m+l>1である。(W1sは電荷を中和させるのに必要な対イオンを表す。ただし、X1またはX2で表される配位子の少なくとも1つは下記一般式(X−Ia)である。)
(式中、E1は置換基、E2は水素原子または置換基を表し、Rはアルキル基、アリール基、複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基またはアミノ基を表す。)
2.前記一般式(X−I)で表される金属イオン含有化合物の2価イオンがCuであることを特徴とする前記1に記載の組成物。
3.前記一般式(P−I)におけるRp1、Rp2、Rp3、Rp4、Rp5、Rp6、Rp7、Rp8で表される置換基が各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、スルファモイル基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、カルバモイル基、ウレイド基、スルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アミノ基、シアノ基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルケニル基、アリール基、へテロアリール基、ヘテロ環基から選ばれる少なくとも1種であり、かつ、Mpが水素原子またはPd、Cu、Ru、Pt、Ni、Co、Rh、Zn、VO、TiO、Mg、Zn、Si(Y)2、Ge(Y)2(Yは、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、ヒドロキシ基、アルキル基、アリール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、トリアルキルシリルオキシ基、トリアルキルスズオキシ基またはトリアルキルゲルマニウムオキシ基を表す)から選ばれる少なくとも1種であり、前記一般式(X−Ia)におけるE1及びE2で表される置換基が、それぞれ上記Rp1〜Rp8の置換基と同義の基であることを特徴とする前記1または2に記載の組成物。
4.前記1〜3のいずれか1項に記載の組成物を含有することを特徴とする光学フィルター。
5.570nm〜630nmの可視光線領域に極大吸収を有することを特徴とする前記4に記載の光学フィルター。
6.前記4または5に記載の光学フィルターを用いることを特徴とするディスプレイ用前面フィルター。
本発明により、耐候性、特に耐光性に優れた組成物を提供することができた。さらにはこの組成物を用いて、優れた分光吸収特性及び耐候性を有する光学フィルター及びディスプレイ用前面フィルターを提供することができた。
以下、本発明の特定のアザポルフィリン化合物及び特定の金属イオン含有化合物とバインダーをそれぞれ少なくとも1種含有する組成物、さらにこれを用いた光学フィルター及びディスプレイ用前面フィルターについて説明するが、本発明はこれらに限定されない。
本発明に関するアザポルフィリン化合物は前記一般式(P−I)で表されることを特徴とする。一般式(P−I)において、Rp1、Rp2、Rp3、Rp4、Rp5、Rp6、Rp7、Rp8は各々独立に水素原子または置換基を表し、置換基の例としてはアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、トリフルオロメチル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、ヘテロアリール基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、キナゾリル基、フタラジル基等)、ヘテロ環基(複素環基とも呼び、例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、ホスホリル基(例えばジメトキシホスホニル、ジフェニルホスホリル)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基、ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基(フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、ジブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、アゾ基(例えば、フェニルアゾ)、アルキルスルホニルオキシ基(例えば、メタンスルホニルオキシ)、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、ヒドロキシル基等が挙げられ、より好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、スルファモイル基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、カルバモイル基、ウレイド基、スルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アミノ基、シアノ基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルケニル気、アリール基、へテロアリール基、ヘテロ環基であり、さらに好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、カルバモイル基、シアノ基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルケニル基であり、より好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アミド基、カルバモイル基、シアノ基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルケニル基である。またこれら置換基は更に上述したRp1〜Rp8の置換基の例と同義の置換基によって置換されてもよい。
Mpは2個の水素原子または2価の金属原子または3価の1置換金属原子または4価の二置換金属原子またはオキシ金属原子を表す。
Mpで示される2価金属の例としては、Cu、Zn、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Pt、Mn、Sn、Mg、Hg、Cd、Ba、Ti、Be、Ca等が挙げられる。
1置換の3価金属の例としては、Al−F、Al−Cl、Al−Br、Al−I、Ga−F、Ga−Cl、Ga−Br、Ga−I、In−F、In−I、In−Br、In−I、In−Cl、Tl−F、Tl−Cl、Tl−Br、Tl−I、Al−C65、Al−C64(CH3)、In−C65、In−C64(CH3)、Mn(OH)、Mn(OC65)、Mn[OSi(CH33]、Fe−Cl、Ru−Cl等が挙げられる。
2置換の4価金属の例としては、CrCl2、SiF2、SiCl2、SiBr2、SiI2、SnF2、SnCl2、SnBr2、ZrCl2、GeF2、GeCl2、GeBr2、GeI2、TiF2、TiCl2、TiBr2、Si(OH)2、Sn(OH)2、Ge(OH)2、Zr(OH)2、Mn(OH)2、TiR2、CrR2、SiR2、SnR2、GeR2[Rはアルキル基、フェニル基、ナフチル基及びその誘導体を表わす。]、Si(OR’)2、Sn(OR’)2、Ge(OR’)2、Ti(OR’)2、Cr(OR’)2[R’は、アルキル基、フェニル基、ナフチル基、トリアルキルシリル基、ジアルキルアルコキシシリル基及びその誘導体を表わす。]、Si(SR”)2、Sn(SR”)2、Ge(SR”)2[R”は、アルキル基、フェニル基、ナフチル基及びその誘導体を表わす。]等が挙げられる。
オキシ金属の例としては、VO、MnO、TiO等が挙げられる。
上記のMのうち、好ましくは、Pd、Cu、Ru、Pt、Ni、Co、Rh、Zn、VO、TiO、Mg、Zn、Si(Y)2、Ge(Y)2(Yは、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、ヒドロキシ基、アルキル基、アリール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、トリアルキルシリルオキシ基、トリアルキルスズオキシ基またはトリアルキルゲルマニウムオキシ基を表わす)である。さらに好ましくは、Cu、VO、Ni、Pd、Pt、Co、Mg、TiO、Znである。
以下に一般式(P−I)で表されるアザポルフィリン化合物の具体例を示すが本発明はこれらに限定されることはない。なお、表中の構造式に*印がある場合、構造式のポルフィラジン環への結合箇所を示す。
表中、例えば化合物例P−1において、Rp1とRp2、Rp3とRp4、Rp5とRp6、Rp7とRp8をそれぞれひとくくりの欄とし、欄内に−t−Bu,−CH2OCH2CF3という二つの置換基を記載しているが、これは置換位置の異なる異性体を全て含めた形で表している。つまり、Rp1とRp2のいずれかに−t−Buが置換し、他方に−CH2OCH2CF3が置換することを意味する。具体的にはP−1は以下の4つの異性体全てを表している。P−2以降も同様である。
本発明においては、上記一般式(P−I)で示されるアザポルフィリン化合物の一種を用いることもできるし、二種以上を併用することができる。異性体がある場合には、異性体の混合物で用いてもよく、それぞれの異性体から1種類を選んで用いてもよい。
本発明に係る前記一般式(P−I)で表されるアザポルフィリン化合物は、例えば、特開平11−35837号公報、同11−43619号公報、同11−130971号公報、特開2002−129052号公報等に記載された従来公知の方法を参考にして合成することができる。
本発明は前記一般式(X−I)で表される金属イオン含有化合物を含有する。
さらに一般式(X−I)を説明する。式中、MはZnまたはCuの2価イオンを表し、好ましくはCuである。
1及びX2はそれぞれ独立に1座または2座の配位子を表し、同一であっても異なっていてもよく、X1とX2は連結していてもよい。X1及びX2として、例えば特開2000−251957号、同2000−311723号、同2000−323191号、同2001−6760号、同2001−59062号、同2001−60467号等に記載されているようなものが挙げられる。具体的にはハロゲンイオン、水酸イオン、アンモニア、ピリジン、アミン(たとえばメチルアミン、ジエチルアミン、トリブチルアミン等)、シアン化物イオン、シアン酸イオン、チオラートイオン、チオシアン酸イオン、及びビピリジン類、アミノポリカルボン酸類、8−ヒドロキシキノリン等の各種のキレート配位子が挙げられ、キレート配位子については上野景平著「キレート化学」等に例示されている。
1座配位子としてはアシル基、カルボニル基、チオシアネート基、イソシアネート基、シアネート基、イソシアネート基、ハロゲン原子、シアノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ基またはアリールオキシ基で配位する配位子、或いはジアルキルケトンまたはカルボンアミドからなる配位子が好ましい。
2座配位子としてはアシルオキシ基、オキザリレン基、アシルチオ基、チオアシルオキシ基、チオアシルチオ基、アシルアミノオキシ基、チオカルバメート基、ジチオカルバメート基、チオカルボネート基、ジチオカルボネート基、トリチオカルボネート基、アルキルチオ基またはアリールチオ基で配位する配位子、或いはジアルキルケトンまたはカルボンアミドからなる配位子が好ましい。
以下に配位子例を示すが、本発明はこれらに限定される事はない。尚、ここに示す構造式は幾つも取り得る共鳴構造の中の1つの極限構造に過ぎず、共有結合(−で示す)と配位結合(…で示す)の区別も形式的なもので、絶対的な区別を表すものではない。
本発明において一般式(X−I)で表される金属イオン含有化合物のX1またはX2で表される配位子の少なくとも1つは前記一般式(X−Ia)である。
1及びE2が置換基である場合は、具体的には、上述したRp1〜Rp8の置換基の例と同義の置換基を挙げることができる。これら置換基は更に同様の置換基よって置換されてもよく、また置換基同士が更に互いに結合して環を形成してもよい。
1及びE2は電子吸引性基であることが好ましく、電子吸引性の度合いを示す指標としてハメット置換基定数(σp)が0.1〜0.9の電子吸引性基であることが好ましく、より好ましくは、E1がハメット置換基定数(σp)0.35〜0.9であることが好ましく、さらに好ましくはE1及びE2がともにハメット置換基定数(σp)が0.35(株)〜0.9であることである。
電子吸引性の度合いを示すハメットの置換基定数(σp)が0.1〜0.9の置換基について説明する。ここでいうハメットの置換基定数σpの値としては、Hansch,C.Leoらの報告(例えば、J.Med.Chem.,16、1207(1973);ibid.20、304(1977))に記載の値を用いるのが好ましい。
例えば、σpの値が0.10以上の置換基または原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン置換アルキル基(例えばトリクロロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、トリフルオロメチルチオメチル、トリフルオロメタンスルホニルメチル、パーフルオロブチル)、脂肪族、芳香族もしくはヘテロ環アシル基(例えばホルミル、アセチル、ベンゾイル)、脂肪族・芳香族もしくはヘテロ環スルホニル基(例えばトリフルオロメタンスルホニル、メタンスルホニル、ベンゼンスルホニル)、カルバモイル基(例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、フェニルカルバモイル、2−クロロ−フェニルカルバモイル)、アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ジフェニルメチルカルボニル)、置換アリール基(例えばペンタクロロフェニル、ペンタフルオロフェニル、2,4−ジメタンスルホニルフェニル、2−トリフルオロメチルフェニル)、ヘテロ環基(例えば2−ベンゾオキサゾリル、2−ベンズチアゾリル、1−フェニル−2−ベンズイミダゾリル、1−テトラゾリル)、アゾ基(例えばフェニルアゾ)、ジトリフルオロメチルアミノ基、トリフルオロメトキシ基、アルキルスルホニルオキシ基(例えばメタンスルホニルオキシ)、アシロキシ基(例えばアセチルオキシ、ベンゾイルオキシ)、アリールスルホニルオキシ基(例えばベンゼンスルホニルオキシ)、ホスホリル基(例えばジメトキシホスホニル、ジフェニルホスホリル)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、N,N−ジプロピルスルファモイル、N−(2−ドデシルオキシエチル)スルファモイル、N−エチル−N−ドデシルスルファモイル、N,N−ジエチルスルファモイル)等が挙げられる。
また、σpの値が0.35以上の置換基としては、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、フッ素置換アルキル基(例えば、トリフルオロメチル、パーフルオロブチル)、脂肪族、芳香族もしくはヘテロ環アシル基(例えば、アセチル、ベンゾイル、ホルミル)、脂肪族、芳香族もしくはヘテロ環スルホニル基(例えば、トリフルオロメタンスルホニル、メタンスルホニル、ベンゼンスルホニル)、カルバモイル基(例えば、カルバモイル、メチルカルバモイル、フェニルカルバモイル、2−クロロ−フェニルカルバモイル)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ジフェニルメチルカルボニル)、フッ素またはスルホニル基置換芳香族基(例えば、ペンタフルオロフェニル、2,4−ジメタンスルホニルフェニル)、ヘテロ環基(例えば、1−テトラゾリル)、アゾ基(例えば、フェニルアゾ)、アルキルスルホニルオキシ基(例えば、メタンスルホニルオキシ)、ホスホリル基(例えば、ジメトキシホスホリル、ジフェニルホスホリル)、スルファモイル基等が挙げられる。
σpの値が0.60以上の置換基としては、シアノ基、ニトロ基、脂肪族・芳香族もしくはヘテロ環スルホニル基(例えば、トリフルオロメタンスルホニル、ジフルオロメタンスルホニル、メタンスルホニル、ベンゼンスルホニル)等が挙げられる。
また、E1及びE2で表される置換基のファンデルワールス(VDW)体積が75Å3以下であることが好ましく、45Å3以下であることがより好ましい。特にE2はファンデルワールス(VDW)体積が35Å3以下であることが好ましい。
置換基のファンデルワールス(VDW)体積とは、アクセルリス社製分子シミュレーションソフトCerius2を用いて求められるパラメーターを用いるが、ベンゼン環に置換基を導入し、Dreiding Force Fieldを用いて、MM計算で分子構造を最適化して、Connoly Surfaceを用いて求めたVolume値と定義する。具体的な置換基のファンデルワールス(VDW)体積の例を数例以下に示す。
置換基 Å3
メチル基 25.4
エチル基 42.6
イソプロピル基 59.5
tert−ブチル基 76.2
フェニル基 74.9
メトキシ基 34.0
アミノ基 22.2
ヒドロキシル基 16.7
塩素原子 22.4
臭素原子 26.5
フッ素原子 13.3
トリフルオロメチル基 42.5
1及びE2で表される置換基の好ましい例として、具体的にはハロゲン化アルキル基、カルボニル基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アルキルスルホニルオキシ基等が挙げられる。また、E1がハロゲン置換アルキル基、シアノ基であることがより好ましく、さらに好ましくはハロゲン置換アルキル基であることであって、最も好ましくはフッ素置換アルキル基であることである。E2はシアノ基、ニトロ基、アルキルスルホニル基あるいはカルボニル基であることがより好ましく、さらに好ましくはシアノ基、ニトロ基であることであって、最も好ましくはシアノ基であることである。
Rはアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基であることが好ましく、より好ましい置換基としては炭素数2〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基が挙げられ、更に好ましくは炭素数2〜18のアルキル基または炭素数1〜18のアルコキシ基、アリールオキシ基であり、最も好ましくは炭素数1〜16のアルコキシ基である。m及びnはそれぞれ0〜2の整数を表し、m+n≧1である。
以下に前記一般式(X−Ia)で示される配位子の具体例を示すが、本発明はこれらに限定される事はない。
1は電荷を中和させるのに必要な対イオンを表し、例えば、ある金属イオン含有化合物が陽イオン、陰イオンであるか、あるいは正味のイオン電荷を持つかどうかは、その金属、配位子、及び置換基に依存する。置換基が解離性基を有する場合、解離して負電荷を持ってもよく、この場合にも分子全体の電荷はXによって中和される。典型的な陽イオンは無機または有機のアンモニウムイオン(例えばテトラアルキルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン)、アルカリ金属イオン及びプロトンであり、一方、陰イオンは無機陰イオンあるいは有機陰イオンのいずれであってもよく、例えば、ハロゲン陰イオン、(例えば、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン)、置換アリールスルホン酸イオン(例えば、p−トルエンスルホン酸イオン、p−クロロベンゼンスルホン酸イオン)、アリールジスルホン酸イオン(例えば、1,3−ベンゼンジスルホン酸イオン、1,5−ナフタレンジスルホン酸イオン、2,6−ナフタレンジスルホン酸イオン)、アルキル硫酸イオン(例えば、メチル硫酸イオン)、硫酸イオン、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、ピクリン酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、エノレート(アセチルアセトナート、ヘキサフルオロアセチルアセトナート)、水酸イオン、亜硫酸イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、炭酸イオン、過塩素酸イオン、アルキルカルボン酸イオン、アリールカルボン酸イオン、テトラアルキルボレート、サリシネート、ベンゾエート、ヘキサフルオロアンチモン等が挙げられる。sは0〜3の整数であって、好ましくは0〜2の整数であり、より好ましくは0である。
以下に、前記一般式(X−I)で表される金属イオン含有化合物の代表的な具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明のアザポルフィリン化合物と金属イオン含有化合物の混合比(モル比)に特に制限はないが、アザポルフィリン化合物:金属イオン含有化合物=1:Yと表す場合、Yは好ましくは0.01〜100を表し、より好ましくは0.1〜10、更に好ましくは0.3〜2.0を表し、最も好ましくは0.5〜1.0である。
本発明のアザポルフィリン化合物は、バインダー(分散剤)との組成物、もしくはこれに更に溶媒を加えた組成物として用いられることが好ましい。
バインダーとしては、(メタ)アクリレート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、アミノ系樹脂、フッ素系樹脂、フェノール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アラミド樹脂等が挙げられるが、好ましくは(メタ)アクリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂等が好ましく用いられ、最も好ましくは(メタ)アクリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂である。また、これらの共重合体も同様に好ましい。
(メタ)アクリレート系樹脂とは、種々のメタクリレート系モノマー、もしくはアクリレート系モノマーを単独重合、もしくは共重合することにより合成され、モノマー種及びモノマー組成比を種々変えることによって、望みの(メタ)アクリレート系樹脂を得ることができる。また本発明においては、(メタ)アクリレート系モノマーと一緒に(メタ)アクリレート系モノマー以外の不飽和二重結合を有する共重合可能なモノマーと共に共重合しても使用可能であり、更に本発明においては、ポリ(メタ)アクリレート系樹脂と一緒に他の複数の樹脂を混合しても使用可能である。
本発明において用いられる(メタ)アクリレート系樹脂を形成するモノマー成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジ(エチレングリコール)エチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールメチルエーテル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、塩化エチルトリメチルアンモニウム(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、2−アセトアミドメチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、3−トリメトキシシランプロピル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられるが、好ましくは(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートである。
ポリスチレン系樹脂とはスチレンモノマーの単独重合物、あるいはスチレンモノマーと共重合可能な他の不飽和二重結合を有するモノマーを共重合したランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体が挙げられる。更に、かかるポリマーに他のポリマーを配合したブレンド物やポリマーアロイも含まれる。前記スチレンモノマーの例としては、スチレン、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、α−メチルスチレン−p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、等の核アルキル置換スチレン、o−クロルスチレン、m−クロルスチレン、p−クロルスチレン、p−ブロモスチレン、ジクロルスチレン、ジブロモスチレン、トリクロルスチレン、トリブロモスチレン等の核ハロゲン化スチレン等が挙げられるが、この中でスチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
これらを単独重合、もしくは共重合することによって本発明で用いられる樹脂は合成され、例えば、ベンジルメタクリレート/エチルアクリレート、あるいはブチルアクリレート等の共重合体樹脂、またメチルメタクリレート/2−エチルヘキシルメタクリレート等の共重合体樹脂、またメチルメタクリレート/メタクリル酸/ステアリルメタクリレート/アセトアセトキシエチルメタクリレートの共重合体樹脂、またスチレン/アセトアセトキシエチルメタクリレート/ステアリルメタクリレートの共重合体樹脂、また、スチレン/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ステアリルメタクリレートの共重合体、更には、2−エチルヘキシルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の共重合体樹脂等が例として挙げられる。
《光学フィルター及びディスプレイ用前面フィルター》
本発明の光学フィルター及びディスプレイ用前面フィルターは、基材中に本発明のアザポルフィリン化合物、金属イオン含有化合物及びバインダーをそれぞれ少なくとも1種含有する組成物を含むことを特徴とする。本発明でいう基材に含有するとは、基材の内部に含有されることは勿論、基材の表面に塗布した状態、基材と基材の間に挟まれた状態等を意味する。
本発明における光学フィルターは、可視域に吸収極大を少なくとも一つ有する事が特徴であって、いわゆるカラーフィルターとして知られるような、RGB三色を1組として格子状に多数並び全体として四角形に配置され、CCDイメージセンサ等固体撮像素子、あるいは液晶を使用したカラーディスプレイに用いられる部品のように特定の色の光を透過させ、それ以外を遮るものではなく、特定の波長域の光を減色させる、あるいは遮り、それ以外の光は透過させるために用いられるものである。
また、本発明におけるディスプレイ用前面フィルターは、プラズマディスプレイや有機ELディスプレイのような自発光型表示装置の前面に配置され、色調補整や不要な波長域の発光を遮るために用いられる。このために本発明のディスプレイ用前面フィルターは可視領域に少なくとも一つの吸収極大を有することが特徴である。これを実現するために本発明のアザポルフィリン化合物は溶液状態において可視領域に吸収極大を有することが特徴であり、より好ましくは色調調整のために450〜620nmに吸収極大を有することが好ましく、特にネオン発光をカットするためには560〜620nmに吸収極大を有することが好ましく、580〜610nmに吸収極大を有することがより好ましい。
基材としては、透明樹脂板、透明フィルム、透明ガラス等が挙げられ、波長400〜700nmの光線透過率が40%以上の透明性があれば特に制限はない。例えば、ポリイミド、ポリスルフォン(PSF)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメチレンメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリプロピレン(PP)、トリアセチルセルロース(TAC)等が挙げられる。特に、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びトリアセチルセルロース(TAC)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等のアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等が好ましく用いられる。
基材の厚さは、ある程度の機械的強度があれば特に制限はないが、通常は、20μm〜10mmであり、20μm〜1mmが好ましく、20〜200μmが特に好ましい。
上記光学フィルター用組成物を用いて本発明の光学フィルター及びディスプレイ用前面フィルターを作製する方法としては、特に限定されるものではないが、
(1)透明粘着剤に含有させる方法
(2)高分子成形体へ含有させる方法
(3)高分子成形体またはガラス表面にコーティングする
方法等が挙げられる。
(1)に挙げた透明粘着剤の具体的な例としては、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリビニルブチラール粘着剤(PVB)、エチレン−酢酸ビニル系粘着剤(EVA)等、ポリビニルエーテル、飽和無定形ポリエステル、メラミン樹脂等のシート状または液状の粘着剤等を挙げることができ、この中でもアクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリビニルブチラール系粘着剤が好ましい。色素の添加量は、通常10ppm〜30質量%であり、10ppm〜20質量%が好ましく、10ppm〜10質量%が特に好ましい。
(2)に挙げた高分子樹脂成形体へ含有させる方法としては、
(A)樹脂に色素混合物を混錬し、加熱成形する方法と
(B)有機溶剤に、樹脂または樹脂モノマーと色素混合物を分散、溶解させ、キャスティング法により高分子成形体を作製する方法が挙げられる。
(A)で使用される樹脂としては、板またはフィルム作製した際に、できるだけ透明性の高いものが好ましく、具体的にはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン6等のポリアミド、ポリイミド、トリアセチルセルロース等のセルロース樹脂、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂、ポリ塩化ビニル等のビニル化合物、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ビニル化合物の付加重合体、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸エステル、ポリ塩化ビニリデン等のビニリデン化合物、フッ化ビニリデン/ トリフルオロエチレン共重合体、エチレン/ 酢酸ビニル共重合体等のビニル化合物またはフッ素系化合物の共重合体、ポリエチレンオキシド等のポリエーテル、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等を挙げることができる。
加工条件としては、色素混合物をベース高分子の粉体或いはペレットに添加、混合し、150〜350℃に加熱、溶解させた後、成形して板を作製する方法、押し出し機でフィルム化する方法、押し出し機で原反を作製し、30〜120℃で2〜5倍に1軸乃至2軸に延伸して、10〜200μm厚のフィルムにする方法、等が挙げられる。尚、混錬する際に可塑性等の通常の樹脂成形に用いる添加剤を加えてもよい。
(B)のキャスティング法では、樹脂または樹脂モノマーの有機溶剤溶液もしくは有機溶剤に、色素混合物を添加・溶解させ、必要であれば可塑剤、重合開始剤、酸化防止剤を加え、必要とする面状態を有する金型やドラム上へ流し込み、溶剤揮発・乾燥または重合・溶剤揮発・乾燥させることにより、板またはフィルムを製造することができる。
使用される樹脂としては、脂肪族エステル系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン樹脂、芳香族エステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂肪族ポリオレフィン樹脂、芳香族ポリオレフィン樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニル系変成樹脂(PVA、EVA等)或いはそれらの共重合樹脂の樹脂モノマーが挙げられる。溶媒としては、ハロゲン系、アルコール系、ケトン系、エステル系、脂肪族炭化水素系、芳香族炭化水素系、エーテル系溶媒、或いはそれらの混合物系等が挙げられる。
(3)に挙げた高分子成形体またはガラス表面にコーティングする方法としては、本発明の金属イオン含有化合物及び色素をバインダー樹脂及び有機系溶媒に溶解させて組成物とした後に塗料化する方法、未着色のアクリルエマルジョン塗料に本発明の金属イオン化合物とスクアリリウム色素を微粉砕(50〜500nm)したものを分散させてアクリルエマルジョン系水性塗料にする方法等が挙げられる。塗料中には、酸化防止剤等の通常塗料に用いるような添加物を加えてもよい。
バインダーとしては、脂肪族エステル系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、芳香族エステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂肪族ポリオレフィン樹脂、芳香族ポリオレフィン樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニル系変成樹脂(PVB、EVA等)或いはそれらの共重合樹脂等が挙げられる。
溶媒としては、ハロゲン系、アルコール系、ケトン系、エステル系、脂肪族炭化水素系、芳香族炭化水素系、エーテル系溶媒、或いはそれらの混合物系等が挙げられる。
組成物の濃度は、グラム吸光係数、コーティングの厚み、目的の吸収強度、目的の可視光透過率等によって異なるが、バインダー樹脂の質量に対して、通常、0.1ppm〜30質量%である。また、樹脂濃度は、塗料全体に対して、通常、1〜50質量%である。
上記の方法で作製した塗料は、基材上にバーコーダー、ブレードコーター、スピンコーター、リバースコーター、ダイコーター、或いはスプレー等のコーティング法等の公知の方法で薄膜を形成することにより、塗工することができる。
さらに本発明のディスプレイ用前面フィルターには、電磁波シールド機能や近赤外線遮断機能を持たせることが好ましい。電磁波シールドとしては、銀薄膜を用いた積層体や銅を主として用いる金属のメッシュを用いることができる。銀薄膜を用いた積層体としては、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化チタン等の誘電体と銀を交互に、積層したようなものが好ましい。金属のメッシュとしては、繊維に金属を蒸着した繊維メッシュ、フォトリソグラフィーの技術を用いパターンを形成してエッチングによりメッシュを得るエッチングメッシュ等を使用することができる。また、金属を含有するインクによるパターニングを行う方法、ハロゲン化銀を塗布、現像定着させる方法等も好適に用いられる。
近赤線遮断機能については、銀薄膜を用いる電磁波シールドを用いる場合は、銀の自由電子による散乱のため、同時に、近赤外線の遮断を行うことができる。その他、メッシュ、インクパターニングあるいは現像法等を用いた場合は、別途、近赤外線を吸収、もしくは反射するフィルムを用いる。
更に本発明のディスプレイ用前面フィルターには公知の反射防止層、防眩層、ハードコート層、静電防止層、防汚層等の機能性透明層を付加することができる。
また、紫外線カットについては、紫外線カットアクリル板を基板に使ってもよいし、基板の一方の面あるいは両面に紫外線吸収層を形成させてもよいが、本発明のディスプレイ用前面フィルムに、紫外線吸収剤を含有させてもよい。紫外線吸収剤として、例えば、サリチル酸誘導体(UV−1)、ベンゾフェノン誘導体(UV−2)、ベンゾトリアゾール誘導体(UV−3)、アクリロニトリル誘導体(UV−4)、安息香酸誘導体(UV−5)または有機金属錯塩(UV−6)等があり、それぞれ(UV−1)としては、サリチル酸フェニル、4−t−チルフェニルサリチル酸等を、(UV−2)としては、2−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等を、(UV−3)としては、2−(2‘−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2‘−ヒドロキシ−3’−5‘−ジ−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等を、(UV−4)としては、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、メチル−α−シアノ−β−(p−メトキシフェニル)アクリレート等を、(UV−5)としては、レゾルシノール−モノベンゾエート、2‘、4’−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等を、(UV−6)としては、ニッケルビス−オクチルフェニルサルファミド、エチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルリン酸のニッケル塩等を挙げることができる。
本発明で好ましく用いられる上記記載の紫外線吸収剤は、透明性が高く、偏光板や液晶素子、プラズマディスプレイ等の光学装置の劣化を防ぐ効果に優れたベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やベンゾフェノン系紫外線吸収剤が好ましく、不要な着色がより少ないベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が特に好ましい。また、これ以外にも酸化防止剤や重合開始剤等を必要に応じて適宜添加することができる。
本発明のディスプレイ用前面フィルターを用いて、電子ディスプレイ、またはプラズマディスプレイパネル表示装置を得るには、表示装置として、公知の表示装置あるいは市販品であれば特に限定なく用いることができる。
プラズマディスプレイパネル表示装置とは、次のような原理によってカラー画像の表示を行う装置である。前面ガラス板と背面ガラス板との間に表示電極対と、2枚のガラス板の間に設けた各画素(R(赤)、G(緑)、B(青))に対応するセルを設け、セルの中にキセノンガスやネオンガスを封入し、一方セル内の背面ガラス板側に各画素に対応する蛍光体を塗布しておく。表示電極間の放電によって、セル中のキセノンガス及びネオンガスの励起発光し、紫外線が発生する。そしてこの紫外線を蛍光体に照射することによって、各画素に対応する可視光が発生する。そして、背面ガラス板にアドレス用電極を設け、このアドレス用電極に信号を印加することにより、どの放電セルを表示するかを制御し、カラー画像の表示を行うものである。
本発明のディスプレイ用前面フィルターはセル内のネオンガスの発光を選択的に遮断するネオンカットフィルターとして好適に利用することができる。上述したようにプラズマディスプレイでは蛍光体の発光によりカラー表示を行っているが、ネオン原子が励起された後基底状態に戻る際に600nm付近を中心とするいわゆるネオンオレンジ光を発光することが知られている(映像情報メディア学会誌;Vol.51No.4,459〜463頁(1997))。このため、プラズマディスプレイでは、赤色にオレンジ色が混ざり鮮やかな赤色が得られない欠点があった。この欠点を解消するため、ネオン発光をカットすることが好ましく、本発明の組成物を用いてネオン発光吸収フィルターを作製する場合には、アザポルフィリン化合物が溶液状態で560〜620nmに吸収極大を有していること好ましく、580〜605nmに吸収極大を有することが更に好ましい。このとき560〜620nmの波長領域の吸収極大でのフィルターの透過率は、0.01〜80%の範囲であることが好ましく、1〜70%の範囲であることがさらに好ましい。またディスプレイの色再現性を高めるために、560〜620nmの波長領域の吸収波形は、シャープであることが好ましい。具体的には560〜620nmにおける吸収波形は、半値幅(吸収極大の吸光度の半分の吸光度を示す波長領域の幅)が、15〜100nmであることが好ましく、20〜70nmであることがより好ましく、25〜50nmであることがさらに好ましい。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
《光学フィルターの製造》
(光学フィルター 1−Aの製造)
ポリエステル樹脂(バイロン200;東洋紡績(株)製)100質量%に対して、本発明のアザポルフィリン化合物(「TAP2」、山田化学工業(株)製)1質量%、本発明の金属イオン含有化合物MS−14を2質量%秤量した。秤量したポリエステル樹脂、アザポルフィリン化合物、金属イオン含有化合物を同一の容器に移し、さらにポリエステル樹脂固形分質量が25質量%となるようにシクロヘキサノンを加え、この本発明の組成物を超音波分散機で十分に分散させた(組成物:1−a)。この組成物をガラス基板上にバーコーターで塗工、乾燥して光学フィルター(試料:1−A)を作製した。このフィルターは、青紫色を呈しており、可視光線を有効に吸収することがわかった(極大吸収波長:596nm)。
(光学フィルター:2−A〜23−Aの製造)
アザポルフィリン化合物、金属イオン含有化合物、バインダーを下記表5に示す通りに変更した以外は上記光学フィルター1−Aの製造と同様にして光学フィルター2−A〜23−Aを製造した。なお、表中の色素の添加割合(X)、金属イオン含有化合物の添加割合(Y)は、それぞれ、バインダーの固形分質量を100質量%とした場合の添加割合である。
使用したバインダーは以下のとおりである
A: ポリエステル樹脂(バイロン200;東洋紡績(株)製)
B: アクリル樹脂(オリバインBPS5896;東洋インキ製造(株)製)
C:ポリスチレン樹脂(St/HEMA/SMA=30/40/30共重合体、St:スチレン、HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート、SMA:ステアリルメタクリレート)
D: エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(東ソー社製、商品名:メルセンG)。
比較で使用した化合物は以下のとおりである。
比較化合物E:特開2006−56913記載化合物
比較化合物F:ジ・ブチル錫マレート系安定剤(P−5T;東京ファインケミカル(株)製)
作製した本発明の光学フィルター1−A〜23−Aについて表面状態、耐光性及び耐湿性を下記基準により評価した。評価結果を表5に併せて示す。
(表面状態)
乾燥後の表面状態を目視で観察し、以下の評価基準に基づいて4段階評価した。A、Bが実用上問題ないレベルであり、表面状態が優れていることを示す。
A:フィルターの失透やヒビ、ワレ等が観察されないもの
B:若干の失透が見られるが実用上問題ないもの
C:明らかな失透が観察されたもの
D:ヒビ、ワレ等が観察されたもの
A、Bが実用上問題ないレベルである。
(耐光性試験)
可視光線吸収光学フィルターAにキセノンランプを5.5万luxで7日間照射した後、可視光線吸収光学フィルターの極大吸収波長での吸収変化から色素残存量を測定した。作製直後の吸収極大の吸光度をA0、キセノンランプを7万luxで7日間照射した後の吸収極大の吸光度をA1としたとき、色素の残存量は
色素残存量(%)=(A1/A0)×100
として求めた。
A:色素残存量80%以上
B:色素残存量50%以上〜80%未満
C:色素残存量25%以上〜50%未満
D:色素残存量25%未満
A、Bが実用上問題ないレベルである。
(高温条件−低温条件繰り返し保存試験)
・高温条件−低温条件繰り返し保存(サイクルサーモ試験)
作製直後の可視光線吸収光学フィルターAを密閉容器に入れ、60℃の恒温槽に1日間保存後、続いて−20℃の冷凍庫で1日間保存した場合、サイクルサーモ試験1回とした。
サイクルサーモ試験を5回行った後に、密閉容器を室温で1日かけて常温に戻し、フィルターを取り出し、表面状態を目視で観察し、下記評価基準に基づいて4段階評価した。
A:保存前後でフィルターの失透やヒビ、ワレ等が観察されないもの
B:保存後、若干の失透が見られたもの
C:保存後、明らかな失透が観察されたもの
D:保存後、ざらつきが観察されたもの
A、Bが実用上問題ないレベルである。
以上より、本発明のアザポルフィリン化合物、本発明の金属イオン含有化合物とバインダーを含有する光学フィルター1−A〜14−Aは比較の光学フィルターに較べ、表面状態に優れていることがわかる。またさらには本発明のアザポルフィリン化合物、金属イオン含有化合物とバインダーを含有する組成物よりなる光学フィルターは表面状態に優れると共に耐光性にも優れていることがわかった。また、バインダーを変更しても十分な耐光性を維持していることがわかる。以上より、本発明によってバインダーとの相溶性が高く、耐光性に優れた光学フィルターを提供できた。
実施例2
(ディスプレイ用前面フィルターの製造)
《ディスプレイ用前面フィルター》
(本発明のディスプレイ用前面フィルター1の作製)
アクリル系粘着剤の主剤溶液(オリバインBPS5896;東洋インキ製造(株)製)に酢酸エチル、本発明のアザポルフィリン化合物(TAP2;山田化学工業(株)製)0.150質量%/(樹脂固形分)、本発明の金属イオン含有化合物MS−14:0.300質量%/(樹脂固形分)及びポリイソシアネート系硬化剤[BXX4773(東洋インキ製造(株)製)]を加え、この可視光吸収粘着剤をポリエチレンテレフタレート(PET)製フィルム(厚み50μm)にバーコーターで塗工、乾燥し、この面にPET製フィルム(厚み50μm)をローラーで貼り合わせディスプレイ用前面フィルター1を得た。このディスプレイ用前面フィルターの透過率曲線は、593nmに極小値を有しており、これ以外に可視光域に明瞭な極小値はなく、可視光透過率の最小値の波長がネオン発光の波長領域である560〜620nmにあることから、ネオン発光を有効に吸収することのできるネオン発光カットフィルター、ディスプレイ用前面フィルターを提供することができた。
得られたフィルターをキセノンフェードメーター(5.5万Lux)にて48時間露光した後の、試料の未露光試料からの可視領域の極大吸収波長における吸収スペクトル濃度の低下率を評価し、色素残存量%を算出したところ、97%であった。
(比較ディスプレー前面フィルター)
前記、実施例1で得られた可視光吸収粘着剤にMS−14を加えなかった以外は同様にして、本発明のディスプレイ用前面フィルター2を作製した。このディスプレイ用前面フィルターの透過率曲線は、594nmに極小値を有していた。
キセノンフェードメーター(5.5万Lux)を用いて48時間露光した後のサンプルの未露光サンプルからの可視領域極大吸収波長における色素残存率%を算出したところ、88%であった。
以上より、本発明のアザポルフィリン化合物、本発明の金属イオン含有化合物とバインダーを含有する光学フィルター用いることでディスプレイパネルから発せられる560〜620nmのネオン発光を有効に吸収することができ、耐光性の良好なディスプレイ用前面フィルターを提供することができた。また本発明のアザポルフィリン化合物、本発明の金属イオン含有化合物とバインダーを含有する光学フィルターを用いることで耐光性に優れたディスプレイ用前面フィルターを提供できることが明らかとなった。これによってプラズマディスプレイからのネオン発光を有効に吸収できるネオン発光吸収フィルター及び紫外線吸収層、赤外線吸収層等を有するディスプレイ用前面フィルターを提供することができた。

Claims (6)

  1. 下記一般式(P−I)で表される可視光領域に極大吸収を有するテトラアザポルフィリン誘導体と、下記一般式(X−I)で表される金属イオン含有化合物、及びバインダーを含有することを特徴とする組成物。

    (式中、Rp1、Rp2、Rp3、Rp4、Rp5、Rp6、Rp7、Rp8は各々独立に水素原子または置換基を表し、Mpは2個の水素原子または2価の金属原子または3価の1置換金属原子または4価の二置換金属原子またはオキシ金属原子を表す。ただし、Rp1、Rp2、Rp3、Rp4、Rp5、Rp6、Rp7、Rp8は各々、連結して芳香環を形成することは無い。)
    一般式(X−I) M(X1m(X2l・(W1s
    (式中、Mは、ZnまたはCuの2価イオンを表し、X1及びX2はそれぞれ独立に1座または2座配位子を表し、同一であっても異なっていてもよく、X1とX2は連結していてもよい。m、l及びsは0〜2の整数を表し、m+l>1である。(W1sは電荷を中和させるのに必要な対イオンを表す。ただし、X1またはX2で表される配位子の少なくとも1つは下記一般式(X−Ia)である。)

    (式中、E1は置換基、E2は水素原子または置換基を表し、Rはアルキル基、アリール基、複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基またはアミノ基を表す。)
  2. 前記一般式(X−I)で表される金属イオン含有化合物の2価イオンがCuであることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の組成物。
  3. 前記一般式(P−I)におけるRp1、Rp2、Rp3、Rp4、Rp5、Rp6、Rp7、Rp8で表される置換基が各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、スルファモイル基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、カルバモイル基、ウレイド基、スルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アミノ基、シアノ基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルケニル基、アリール基、へテロアリール基、ヘテロ環基から選ばれる少なくとも1種であり、かつ、Mpが水素原子またはPd、Cu、Ru、Pt、Ni、Co、Rh、Zn、VO、TiO、Mg、Zn、Si(Y)2、Ge(Y)2(Yは、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、ヒドロキシ基、アルキル基、アリール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、トリアルキルシリルオキシ基、トリアルキルスズオキシ基またはトリアルキルゲルマニウムオキシ基を表す)から選ばれる少なくとも1種であり、前記一般式(X−Ia)におけるE1及びE2で表される置換基が、それぞれ上記Rp1〜Rp8の置換基と同義の基であることを特徴とする請求の範囲第1項または第2項に記載の組成物。
  4. 請求の範囲第1項〜第3項のいずれか1項に記載の組成物を含有することを特徴とする光学フィルター。
  5. 570nm〜630nmの可視光線領域に極大吸収を有することを特徴とする請求の範囲第4項に記載の光学フィルター。
  6. 請求の範囲第4項または第5項に記載の光学フィルターを用いることを特徴とするディスプレイ用前面フィルター。
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