以下、本発明を更に詳細に説明する。
先ず、本発明のスクアリリウム化合物およびバインダーをそれぞれ少なくとも1種含有する光学フィルター用組成物、さらにこれを用いた光学フィルターおよびディスプレイ用前面フィルターについて説明するが、本発明はこれらに限定されない。
本発明に関するスクアリリウム化合物は前記一般式(1)で表されることを特徴とする。
前記一般式(1)において、B1、B2、B3及びB4は炭素原子または窒素原子であり、炭素原子のとき水素原子または置換基を有する。R1およびR2は水素原子または置換基を表す。Aは含窒素複素5員縮合環を形成するのに必要な原子団を表す。
式中、R1およびR2は水素原子あるいは置換基を表し、少なくとも一つは置換基である。
R1およびR2で表される置換基として、具体的には、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、トリフルオロメチル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、ヘテロアリール基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、キナゾリル基、フタラジル基等)、ヘテロ環基(複素環基とも呼び、例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、ホスホリル基(例えばジメトキシホスホニル、ジフェニルホスホリル)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基、ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基(フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、ジブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、アゾ基(例えば、フェニルアゾ)、アルキルスルホニルオキシ基(例えば、メタンスルホニルオキシ)、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、ヒドロキシル基などが挙げられ、より好ましくはアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロアリール基であり、さらに好ましくはアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基であり、最も好ましくはアルキル基である。またこれら置換基は更に同様の置換基によって置換されても良い。またさらにR1とR2は同一でも異なっていてもよく、互いに、あるいはB2、B3の置換基と結合して環を形成しても良い。
このとき形成される環としてはR1とR2が互いに結合したヘテロ環あるいはヘテロアリール環が好ましく、形成される環の大きさは特に限定されないが、5員または6員環であることが好ましく、より好ましくは5員環である。
B1、B2、B3およびB4は炭素原子または窒素原子を表し、芳香環を形成する。
このときB1、B2、B3およびB4のうち少なくとも2つは炭素原子であることが好ましく、より好ましくは少なくとも3つが炭素原子であって、さらには全て炭素原子であることがより好ましい。
B1、B2、B3およびB4のいずれかが炭素原子である場合、水素原子または置換基を有する。
置換基の数としては特に限定されないが、1以上であることが好ましく、より好ましくは2以上である。
置換基として、具体的には上記R1およびR2で表される置換基と同義のものを挙げることができる。
この中でも好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロアリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アミノ基、アゾ基、アルキルスルホニルオキシ基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基が挙げられ、より好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリール基、アシル基、アミド基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基であり、さらに好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリール基、アシル基、アミド基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基である。
B1およびB4上の置換基として好ましくはアルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基が挙げられ、より好ましくはアルコキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基が挙げられ、最も好ましくはヒドロキシル基、アミノ基である。ここで示すアミノ基として好ましくはモノアルキルアミノ基、スルホニルアミノ基、アシルアミノ基が挙げられ、より好ましくはスルホニルアミノ基、アシルアミノ基が挙げられる。
B2およびB3上の置換基として好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子が挙げられ、いずれか一方は電子吸引性基であることがより好ましい。
また特にB1が炭素原子であり、置換基としてヒドロキシル基、アミノ基を有することが好ましい。
ここで示すアミノ基として好ましくはモノアルキルアミノ基、スルホニルアミノ基、アシルアミノ基が挙げられ、より好ましくはスルホニルアミノ基、アシルアミノ基が挙げられる。
Aは含窒素複素5員縮合環を形成するのに必要な原子団を表す。ここでいう含窒素複素5員縮合環とはスクアリン酸骨格に結合した環が含窒素複素5員環であり、該5員環の置換基がさらに環を形成し、全体として縮合環を形成した構造を示す。このような含窒素複素5員縮合環として、具体的には下記一般式(2−1)〜(2−22)を例示することができる。
一般式(2−1)〜(2−22)において、R21〜R48は水素原子または置換基を表す。
R21〜R48で表される置換基として、具体的には上記R1およびR2で表される置換基と同義のものを挙げることができる。
R21で表される置換基として好ましくはアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、ヘテロアリール基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、カルバモイル基、アミノ基、シアノ基が挙げられ、より好ましくはアルキル基、アシル基、アミド基、カルバモイル基、アミノ基が挙げられる。
アルキル基としてはその一部あるいは全てがフッ素原子で置換されたアルキル基も同様に好ましい。
またアルキル基としてより好ましくは分岐アルキル基(例えば、イソプロピル基、tert−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ネオペンチル基、tert−アミル基など)である。
R22〜R48で表される置換基として好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、ヒドロキシル基が挙げられる。
R21〜R48で表される置換基のうち、少なくとも一つはキレート可能な基を有することも同様に好ましい。
キレート可能な基とは非共有電子対を有する原子を含有する置換基を表し、具体的にはヘテロ環基、ヒドロキシル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、アルコキシ基、ヘテロ環オキシ基、カルボニルオキシ基、ウレタン基、スルホニルオキシ基、アミノ基、イミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルホニル基、スルファモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、およびヘテロ環チオ基等が挙げられ、より好ましくはヒドロキシ基、カルボニル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、アルコキシ基、カルボニルオキシ基、ウレタン基、スルホニルオキシ基、アミノ基、イミノ基、スルホニルアミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基アルキルチオ基、アリールチオ基が挙げられ、更に好ましくはヒドロキシ基、カルボニル基、カルバモイル基、アルコキシ基、スルホニルアミノ基、アシルアミノ基、ヘテロ環基等が挙げられる。
上記一般式(2−1)〜(2−22)の中でも特に一般式(2−1)〜(2−3)で表される構造であることが好ましく、さらには一般式(2−1)あるいは(2−2)で表される構造であることがより好ましい。
請求項6に記載の本発明のスクアリリウム化合物は前記一般式(2)で表されることを特徴としている。
一般式(2)において、R21およびR22はそれぞれ前記一般式(1)のR1およびR2と同義である。
またB22、B23、B24はそれぞれ前記一般式(1)のB2、B3、B4と同義である。
Xは、ヒドロキシル基あるいはアミノ基を表し、アミノ基として好ましくはモノアルキルアミノ基、スルホニルアミノ基、アシルアミノ基が挙げられ、より好ましくはスルホニルアミノ基、アシルアミノ基である。Aは前記一般式(1)と同義である。
以下に一般式(1)または(2)で表されるスクアリリウム化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されることはない。
本発明に係る前記一般式(1)で表されるスクアリリウム化合物は、例えば、特開平5−155144号公報、特開平5−239366号公報、特開平5−339233号公報、特開2000−345059号公報、特開2002−363434号公報、特開2004−86133号公報、特開2004−238606号公報等に記載された従来公知の方法を参考にして合成することができる。
本発明のスクアリリウム化合物は、製膜安定性などのためにバインダー(分散剤)との組成物、もしくはこれに更に溶媒を加えた組成物として用いられることが好ましい。
バインダーとしては、(メタ)アクリレート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、アミノ系樹脂、フッ素系樹脂、フェノール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アラミド樹脂などが挙げられるが、好ましくは(メタ)アクリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂などが好ましく用いられ、最も好ましくは(メタ)アクリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂である。また、これらの共重合体も同様に好ましい。
(メタ)アクリレート系樹脂とは、種々のメタクリレート系モノマー、もしくはアクリレート系モノマーを単独重合、もしくは共重合することにより合成され、モノマー種及びモノマー組成比を種々変えることによって、望みの(メタ)アクリレート系樹脂を得ることができる。
また本発明においては、(メタ)アクリレート系モノマーと一緒に(メタ)アクリレート系モノマー以外の不飽和二重結合を有する共重合可能なモノマーと共に共重合しても使用可能であり、更に本発明においては、ポリ(メタ)アクリレート系樹脂と一緒に他の複数の樹脂を混合しても使用可能である。
本発明において用いられる(メタ)アクリレート系樹脂を形成するモノマー成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジ(エチレングリコール)エチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールメチルエーテル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、塩化エチルトリメチルアンモニウム(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、2−アセトアミドメチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、3−トリメトキシシランプロピル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、好ましくは(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートである。
ポリスチレン系樹脂とはスチレンモノマーの単独重合物、あるいはスチレンモノマーと共重合可能な他の不飽和二重結合を有するモノマーを共重合したランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体が挙げられる。更に、かかるポリマーに他のポリマーを配合したブレンド物やポリマーアロイも含まれる。
前記スチレンモノマーの例としては、スチレン、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、α−メチルスチレン−p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、などの核アルキル置換スチレン、o−クロルスチレン、m−クロルスチレン、p−クロルスチレン、p−ブロモスチレン、ジクロルスチレン、ジブロモスチレン、トリクロルスチレン、トリブロモスチレンなどの核ハロゲン化スチレンなどが挙げられるが、この中でスチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
これらを単独重合、もしくは共重合することによって本発明で用いられる樹脂は合成され、例えば、ベンジルメタクリレート/エチルアクリレート、あるいはブチルアクリレート等の共重合体樹脂、またメチルメタクリレート/2−エチルヘキシルメタクリレート等の共重合体樹脂、またメチルメタクリレート/メタクリル酸/ステアリルメタクリレート/アセトアセトキシエチルメタクリレートの共重合体樹脂、またスチレン/アセトアセトキシエチルメタクリレート/ステアリルメタクリレートの共重合体樹脂、また、スチレン/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ステアリルメタクリレートの共重合体、更には、2−エチルヘキシルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の共重合体樹脂等が例として挙げられる。
本発明における金属イオン含有化合物とは金属イオンを含有するものであれば特に限定されない。金属イオンは特に限定されないが遷移金属であることが好ましく、より好ましくは第一遷移系列元素であって、さらに好ましくは鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛であり、最も好ましくは銅である。またこの時の金属の価数は2価あるいは3価であることが好ましく、より好ましくは2価である。
以下に配位子例を示すが、本発明はこれらに限定される事はない。尚、ここに示す構造式は幾つも取り得る共鳴構造の中の1つの極限構造に過ぎず、共有結合(−で示す)と配位結合(…で示す)の区別も形式的なもので、絶対的な区別を表すものではない。
さらに、X1で表される配位子は下記一般式(4)で表されることがより好ましい。
一般式(4)において、E1、E2およびRは置換基を表す。
置換基として、具体的には、前記R1およびR2で表される置換基と同様のものを挙げることができる。これら置換基は更に同様の置換基よって置換されても良く、また置換基同士が更に互いに結合して環を形成しても良い。
E1及びE2は電子吸引性基であることが好ましく、電子吸引性の度合いを示す指標としてハメット置換基定数(σp)が0.1以上0.9以下の電子吸引性基であることが好ましく、より好ましくは、E1がハメット置換基定数(σp)0.35以上0.9以下であることが好ましく、さらに好ましくはE1およびE2がともにハメット置換基定数(σp)が0.35以上0.9以下であることである。
電子吸引性の度合いを示すハメットの置換基定数(σp)が0.1以上0.9以下の置換基について説明する。ここでいうハメットの置換基定数σpの値としては、Hansch,C.Leoらの報告(例えば、J.Med.Chem.16、1207(1973);ibid.20、304(1977))に記載の値を用いるのが好ましい。
例えば、σpの値が0.10以上の置換基または原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン置換アルキル基(例えばトリクロロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、トリフルオロメチルチオメチル、トリフルオロメタンスルホニルメチル、パーフルオロブチル)、脂肪族、芳香族もしくはヘテロ環アシル基(例えばホルミル、アセチル、ベンゾイル)、脂肪族・芳香族もしくはヘテロ環スルホニル基(例えばトリフルオロメタンスルホニル、メタンスルホニル、ベンゼンスルホニル)、カルバモイル基(例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、フェニルカルバモイル、2−クロロ−フェニルカルバモイル)、アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ジフェニルメチルカルボニル)、置換アリール基(例えばペンタクロロフェニル、ペンタフルオロフェニル、2,4−ジメタンスルホニルフェニル、2−トリフルオロメチルフェニル)、ヘテロ環基(例えば2−ベンゾオキサゾリル、2−ベンズチアゾリル、1−フェニル−2−ベンズイミダゾリル、1−テトラゾリル)、アゾ基(例えばフェニルアゾ)、ジトリフルオロメチルアミノ基、トリフルオロメトキシ基、アルキルスルホニルオキシ基(例えばメタンスルホニルオキシ)、アシロキシ基(例えばアセチルオキシ、ベンゾイルオキシ)、アリールスルホニルオキシ基(例えばベンゼンスルホニルオキシ)、ホスホリル基(例えばジメトキシホスホニル、ジフェニルホスホリル)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、N,N−ジプロピルスルファモイル、N−(2−ドデシルオキシエチル)スルファモイル、N−エチル−N−ドデシルスルファモイル、N,N−ジエチルスルファモイル)などが挙げられる。
また、σpの値が0.35以上の置換基としてはシアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、フッ素置換アルキル基(例えば、トリフルオロメチル、パーフルオロブチル)、脂肪族、芳香族もしくはヘテロ環アシル基(例えば、アセチル、ベンゾイル、ホルミル)、脂肪族、芳香族もしくはヘテロ環スルホニル基(例えば、トリフルオロメタンスルホニル、メタンスルホニル、ベンゼンスルホニル)、カルバモイル基(例えば、カルバモイル、メチルカルバモイル、フェニルカルバモイル、2−クロロ−フェニルカルバモイル)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ジフェニルメチルカルボニル)、フッ素又はスルホニル基置換芳香族基(例えば、ペンタフルオロフェニル、2,4−ジメタンスルホニルフェニル)、ヘテロ環基(例えば、1−テトラゾリル)、アゾ基(例えば、フェニルアゾ)、アルキルスルホニルオキシ基(例えば、メタンスルホニルオキシ)、ホスホリル基(例えば、ジメトキシホスホリル、ジフェニルホスホリル)、スルファモイル基などが挙げられる。
σpの値が0.60以上の置換基としては、シアノ基、ニトロ基、脂肪族・芳香族もしくはヘテロ環スルホニル基(例えば、トリフルオロメタンスルホニル、ジフルオロメタンスルホニル、メタンスルホニル、ベンゼンスルホニル)などが挙げられる。
また、E1およびE2で表される置換基のファンデルワールス(VDW)体積が75Å3以下であることが好ましく、45Å3以下であることがより好ましい。特にE2はファンデルワールス(VDW)体積が35Å3以下であることが好ましい。
置換基のファンデルワールス(VDW)体積とは、アクセルリス社製分子シミュレーションソフトCerius2を用いて求められるパラメーターを用いるが、ベンゼン環に置換基を導入し、Dreiding Force Fieldを用いて、MM計算で分子構造を最適化して、Connoly Surfaceを用いて求めたVolume値と定義する。
具体的な置換基のファンデルワールス(VDW)体積の例を数例以下に示す。
置換基 Å3
メチル基 25.4
エチル基 42.6
イソプロピル基 59.5
tert−ブチル基 76.2
フェニル基 74.9
メトキシ基 34.0
アミノ基 22.2
ヒドロキシル基 16.7
塩素原子 22.4
臭素原子 26.5
フッ素原子 13.3
トリフルオロメチル基 42.5
E1及びE2で表される置換基の好ましい例として、具体的にはハロゲン化アルキル基、カルボニル基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アルキルスルホニルオキシ基等が挙げられる。
また、E1がハロゲン置換アルキル基、シアノ基であることがより好ましく、さらに好ましくはハロゲン置換アルキル基であることであって、最も好ましくはフッ素置換アルキル基であることである。
E2はシアノ基、ニトロ基、アルキルスルホニル基あるいはカルボニル基であることがより好ましく、さらに好ましくはシアノ基、ニトロ基であることであって、最も好ましくはシアノ基であることである。
Rはアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基であることが好ましく、より好ましい置換基としては炭素数2〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基が挙げられ、更に好ましくは炭素数2〜18のアルキル基又は炭素数1〜18のアルコキシ基、アリールオキシ基であり、最も好ましくは炭素数1〜16のアルコキシ基である。
mおよびnはそれぞれ0〜2の整数を表し、m+n≧1である。
以下に一般式(4)で示される配位子の具体例を示すが本発明はこれらに限定されることはない。
また、本発明の金属イオン含有化合物は下記一般式(3)で表されることがより好ましい。
一般式(3) M(X1)m(X2)n・Ws
一般式(3)において、Mは金属イオンを表す。
X1およびX2はそれぞれ独立に1座または2座の配位子を表し、同一であっても異なっていても良く、X1とX2は連結していても良い。X1およびX2として、例えば特開2000−251957号、特開2000−311723号、特開2000−323191号、特開2001−6760号、特開2001−59062号、特開2001−60467号等に記載されているようなものが挙げられる。具体的にはハロゲンイオン、水酸イオン、アンモニア、ピリジン、アミン(たとえばメチルアミン、ジエチルアミン、トリブチルアミン等)、シアン化物イオン、シアン酸イオン、チオラートイオン、チオシアン酸イオン、およびビピリジン類、アミノポリカルボン酸類、8−ヒドロキシキノリン等の各種のキレート配位子が挙げられ、キレート配位子については上野景平著「キレート化学」等に例示されている。
1座配位子としてはアシル基、カルボニル基、チオシアネート基、イソシアネート基、シアネート基、イソシアネート基、ハロゲン原子、シアノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ基又はアリールオキシ基で配位する配位子、或いはジアルキルケトン又はカルボンアミドからなる配位子が好ましい。
2座配位子としてはアシルオキシ基、オキザリレン基、アシルチオ基、チオアシルオキシ基、チオアシルチオ基、アシルアミノオキシ基、チオカルバメート基、ジチオカルバメート基、チオカルボネート基、ジチオカルボネート基、トリチオカルボネート基、アルキルチオ基又はアリールチオ基で配位する配位子、或いはジアルキルケトン又はカルボンアミドからなる配位子が好ましい。
sは0〜3の整数であって、好ましくは0〜2の整数であり、より好ましくは0である。
以下に、前記一般式(3)で表される金属イオン含有化合物の代表的な具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明のスクアリリウム化合物と金属イオン含有化合物の混合比(モル比)に特に制限はないが、スクアリリウム化合物:金属イオン含有化合物=1:Yと表す場合、Yは好ましくは0.01〜100を表し、より好ましくは0.1〜10、更に好ましくは0.3〜2.0を表し、最も好ましくは0.5〜1.0である。
《光学フィルターおよびディスプレイ用前面フィルター》
本発明の光学フィルターおよびディスプレイ用前面フィルターは、基材中に本発明のスクアリリウム化合物およびバインダーをそれぞれ少なくとも一種含有する組成物、もしくはスクアリリウム化合物、バインダーおよび金属イオン含有化合物をそれぞれ少なくとも1種含有する組成物を含むことを特徴とする。
本発明でいう基材に含有するとは、基材の内部に含有されることは勿論、基材の表面に塗布した状態、基材と基材の間に挟まれた状態等を意味する。
本発明における光学フィルターは、可視域に吸収極大を少なくとも一つ有する事が特徴であって、いわゆるカラーフィルターとして知られるような、RGB三色を1組として格子状に多数並び全体として四角形に配置され、CCDイメージセンサなど固体撮像素子、あるいは液晶を使用したカラーディスプレイに用いられる部品のように特定の色の光を透過させ、それ以外を遮るものではなく、特定の波長域の光を減色させる、あるいは遮り、それ以外の光は透過させるために用いられるものである。
また、本発明におけるディスプレイ用前面フィルターは、プラズマディスプレイや有機ELディスプレイのような自発光型表示装置の前面に配置され、色調補整や不要な波長域の発光を遮るために用いられる。
このために本発明のディスプレイ用前面フィルターは可視領域に少なくとも一つの吸収極大を有することが特徴である。
これを実現するために本発明の特定のスクアリリウム色素は溶液状態において可視領域に吸収極大を有することが特徴であり、より好ましくは色調調整のために450〜620nmに吸収極大を有することが好ましく、特にネオン発光をカットするためには560〜620nmに吸収極大を有することが好ましく、580〜600nmに吸収極大を有することがより好ましい。
基材としては、透明樹脂板、透明フィルム、透明ガラス等が挙げられ、波長400〜700nmの光線透過率が40%以上の透明性があれば特に制限はない。例えば、ポリイミド、ポリスルフォン(PSF)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメチレンメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリプロピレン(PP)、トリアセチルセルロース(TAC)等が挙げられる。特に、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びトリアセチルセルロース(TAC)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等のアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等が好ましく用いられる。
基材の厚さは、ある程度の機械的強度があれば特に制限はないが、通常は、20μm〜10mmであり、20μm〜1mmが好ましく、20μm〜200μmが特に好ましい。
上記光学フィルター用組成物を用いて本発明の光学フィルターおよびディスプレイ用前面フィルターを作製する方法としては、特に限定されるものではないが、
(1)透明粘着剤に含有させる方法
(2)高分子成形体へ含有させる方法
(3)高分子成形体又はガラス表面にコーティングする方法
等が挙げられる。
(1)に挙げた透明粘着剤の具体的な例としては、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリビニルブチラール粘着剤(PVB)、エチレン−酢酸ビニル系粘着剤(EVA)等、ポリビニルエーテル、飽和無定形ポリエステル、メラミン樹脂等のシート状または液状の粘着剤等を挙げることができ、この中でもアクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリビニルブチラール系粘着剤が好ましい。色素の添加量は、通常10ppm〜30質量%であり、10ppm〜20質量%が好ましく、10ppm〜10質量%が特に好ましい。
(2)に挙げた高分子樹脂成形体へ含有させる方法としては、(A)樹脂に色素混合物を混錬し、加熱成形する方法と(B)有機溶剤に、樹脂または樹脂モノマーと色素混合物を分散、溶解させ、キャスティング法により高分子成形体を作成する方法が挙げられる。
(A)で使用される樹脂としては、板またはフィルム作成した際に、できるだけ透明性の高いものが好ましく、具体的にはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン6等のポリアミド、ポリイミド、トリアセチルセルロース等のセルロース樹脂、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂、ポリ塩化ビニル等のビニル化合物、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ビニル化合物の付加重合体、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸エステル、ポリ塩化ビニリデン等のビニリデン化合物、フッ化ビニリデン/トリフルオロエチレン共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体等のビニル化合物又はフッ素系化合物の共重合体、ポリエチレンオキシド等のポリエーテル、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等を挙げることができる。
加工条件としては、色素混合物をベース高分子の粉体或いはペレットに添加、混合し、150〜350℃に加熱、溶解させた後、成形して板を作製する方法、押し出し機でフィルム化する方法、押し出し機で原反を作製し、30〜120℃で2〜5倍に1軸乃至2軸に延伸して、10〜200μm厚のフィルムにする方法、等が挙げられる。尚、混錬する際に可塑性等の通常の樹脂成形に用いる添加剤を加えても良い。
(B)のキャスティング法では、樹脂又は樹脂モノマーの有機溶剤溶液もしくは有機溶剤に、色素混合物を添加・溶解させ、必要であれば可塑剤、重合開始剤、酸化防止剤を加え、必要とする面状態を有する金型やドラム上へ流し込み、溶剤揮発・乾燥又は重合・溶剤揮発・乾燥させることにより、板又はフィルムを製造することができる。
使用される樹脂としては、脂肪族エステル系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン樹脂、芳香族エステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂肪族ポリオレフィン樹脂、芳香族ポリオレフィン樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニル系変成樹脂(PVA、EVA等)或いはそれらの共重合樹脂の樹脂モノマーが挙げられる。溶媒としては、ハロゲン系、アルコール系、ケトン系、エステル系、脂肪族炭化水素系、芳香族炭化水素系、エーテル系溶媒、或いはそれらの混合物系等が挙げられる。
(3)に挙げた高分子成形体又はガラス表面にコーティングする方法としては、本発明の金属イオン含有化合物および色素をバインダー樹脂及び有機系溶媒に溶解させて組成物とした後に塗料化する方法、未着色のアクリルエマルジョン塗料に本発明の金属イオン化合物とスクアリリウム色素を微粉砕(50〜500nm)したものを分散させてアクリルエマルジョン系水性塗料にする方法等が挙げられる。塗料中には、酸化防止剤等の通常塗料に用いるような添加物を加えても良い。
本発明に用いるバインダーとしては、脂肪族エステル系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、芳香族エステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂肪族ポリオレフィン樹脂、芳香族ポリオレフィン樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニル系変成樹脂(PVB、EVA等)或いはそれらの共重合樹脂等が挙げられる。
本発明に用いる溶媒としては、ハロゲン系、アルコール系、ケトン系、エステル系、脂肪族炭化水素系、芳香族炭化水素系、エーテル系溶媒、或いはそれらの混合物系等が挙げられる。
光学フィルター用組成物の濃度は、グラム吸光係数、コーティングの厚み、目的の吸収強度、目的の可視光透過率等によって異なるが、バインダー樹脂の質量に対して、通常、0.1ppm〜30質量%である。
また、樹脂濃度は、塗料全体に対して、通常、1〜50質量%である。
上記の方法で作製した塗料は、基材上にバーコーダー、ブレードコーター、スピンコーター、リバースコーター、ダイコーター、或いはスプレー等のコーティング法等の公知の方法で薄膜を形成することにより、塗工することができる。
さらに本発明のディスプレイ用前面フィルターには、電磁波シールド機能や近赤外線遮断機能を持たせることが好ましい。電磁波シールドとしては、銀薄膜を用いた積層体や銅を主として用いる金属のメッシュを用いることができる。
銀薄膜を用いた積層体としては、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化チタン等の誘電体と銀を交互に、積層したようなものが好ましい。
金属のメッシュとしては、繊維に金属を蒸着した繊維メッシュ、フォトリソグラフィーの技術を用いパターンを形成してエッチングによりメッシュを得るエッチングメッシュ等を使用することができる。
また、金属を含有するインクによるパターニングを行う方法、ハロゲン化銀を塗布、現像定着させる方法なども好適に用いられる。
近赤線遮断機能については、銀薄膜を用いる電磁波シールドを用いる場合は、銀の自由電子による散乱のため、同時に、近赤外線の遮断を行うことができる。
その他、メッシュ、インクパターニングあるいは現像法などを用いた場合は、別途、近赤外線を吸収、もしくは反射するフィルムを用いる。
更に本発明のディスプレイ用前面フィルターには公知の反射防止層、防眩層、ハードコート層、静電防止層、防汚層などの機能性透明層を付加することができる。
また、紫外線カットについては、紫外線カットアクリル板を基板に使っても良いし、基板の一方の面あるいは両面に紫外線吸収層を形成させても良いが、本発明のディスプレイ用前面フィルムに、紫外線吸収剤を含有させても良い。
紫外線吸収剤として、例えば、サリチル酸誘導体(UV−1)、ベンゾフェノン誘導体(UV−2)、ベンゾトリアゾール誘導体(UV−3)、アクリロニトリル誘導体(UV−4)、安息香酸誘導体(UV−5)又は有機金属錯塩(UV−6)等があり、それぞれ(UV−1)としては、サリチル酸フェニル、4−t−チルフェニルサリチル酸等を、(UV−2)としては、2−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等を、(UV−3)としては、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−5′−ジ−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等を、(UV−4)としては、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3′−ジフェニルアクリレート、メチル−α−シアノ−β−(p−メトキシフェニル)アクリレート等を、(UV−5)としては、レゾルシノール−モノベンゾエート、2′、4′−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等を、(UV−6)としては、ニッケルビス−オクチルフェニルサルファミド、エチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルリン酸のニッケル塩等を挙げることができる。
本発明で好ましく用いられる上記記載の紫外線吸収剤は、透明性が高く、偏光板や液晶素子、プラズマディスプレイ等の光学装置の劣化を防ぐ効果に優れたベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やベンゾフェノン系紫外線吸収剤が好ましく、不要な着色がより少ないベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が特に好ましい。
また、これ以外にも酸化防止剤や重合開始剤などを必要に応じて適宜添加することができる。
本発明のディスプレイ用前面フィルターを用いて、電子ディスプレイ、またはプラズマディスプレイパネル表示装置を得るには、表示装置として、公知の表示装置あるいは市販品であれば特に限定なく用いることができる。
プラズマディスプレイパネル表示装置とは、次のような原理によってカラー画像の表示を行う装置である。
前面ガラス板と背面ガラス板との間に表示電極対と、2枚のガラス板の間に設けた各画素(R(赤)、G(緑)、B(青))に対応するセルを設け、セルの中にキセノンガスやネオンガスを封入し、一方セル内の背面ガラス板側に各画素に対応する蛍光体を塗布しておく。
表示電極間の放電によって、セル中のキセノンガスおよびネオンガスの励起発光し、紫外線が発生する。
そしてこの紫外線を蛍光体に照射することによって、各画素に対応する可視光が発生する。
また、背面ガラス板にアドレス用電極を設け、このアドレス用電極に信号を印加することにより、どの放電セルを表示するかを制御し、カラー画像の表示を行うものである。
本発明のディスプレイ用前面フィルターはセル内のネオンガスの発光を選択的に遮断するネオンカットフィルターとして好適に利用することができる。
上述したようにプラズマディスプレイでは蛍光体の発光によりカラー表示を行っているが、ネオン原子が励起された後基底状態に戻る際に600nm付近を中心とするいわゆるネオンオレンジ光を発光することが知られている(映像情報メディア学会誌 Vol.51 NO.4 P.459−463(1997))。
この為、プラズマディスプレイでは、赤色にオレンジ色が混ざり鮮やかな赤色が得られない欠点があった。この欠点を解消するため、ネオン発光をカットすることが好ましく、本発明の光学フィルター用組成物を用いてネオン発光吸収フィルターを作製する場合には、スクアリリウム化合物が溶液状態で560〜620nmに吸収極大を有していること好ましく、580〜605nmに吸収極大を有することが更に好ましい。
このとき560〜620nmの波長領域の吸収極大でのフィルターの透過率は、0.01〜80%の範囲であることが好ましく、1〜70%の範囲であることがさらに好ましい。
またディスプレイの色再現性を高めるために、560〜620nmの波長領域の吸収波形は、シャープであることが好ましい。具体的には560〜620nmにおける吸収波形は、半値幅(吸収極大の吸光度の半分の吸光度を示す波長領域の幅)が、15〜100nmであることが好ましく、20〜70nmであることがより好ましく、25〜50nmであることがさらに好ましい。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
〔スクアリリウム化合物の合成〕
(例示化合物1−1の合成)
スクアリン酸ジクロライド1.5gを窒素雰囲気下、ジクロロメタン中に溶解させ、氷水冷し、これにN,N−ジブチル−3−フルオロアニリン2.2gのジクロロメタン溶液を滴下し、4時間撹拌した。この反応液に水を加え、希塩酸、水および飽和食塩水で洗浄した後、カラムクロマトグラフィーによって精製し、中間体A、0.8gを得た。
中間体A、0.8gに酢酸3mlおよび水3mlを加え、2時間加熱撹拌した。析出した固体をろ取し、水で洗浄して中間体B、0.6gを得た。
中間体B、0.32g、中間体C、0.28g、n−ブタノール25ml及びトルエン25mlを加え、4時間加熱還流した。反応終了後、カラムクロマトグラフィーによって精製し、例示化合物(1−1)の0.50gを得た。化合物は1H−NMRスペクトル、Massスペクトルによって同定した。
(例示化合物2−1の合成)
スクアリン酸ジクロライド1.5gを窒素雰囲気下、ジクロロメタン中に溶解させ、氷水冷し、これにN,N−エチル−m−アミノフェノール1.7gのジクロロメタン溶液を30分かけて滴下し、さらに3時間撹拌した。この反応液に水を加え、希塩酸および飽和食塩水で洗浄した後、カラムクロマトグラフィーによって精製し、中間体D、1.6gを得た。
中間体D、1.0gに酢酸5mlおよび水5mlを加え、1.5時間加熱撹拌した。析出した固体をろ取し、水で洗浄して中間体E、0.9gを得た。
中間体E、0.26g、中間体E、0.22g、n−ブタノール50ml及びトルエン25mlを加え、5時間加熱還流した。反応終了後、カラムクロマトグラフィーによって精製し、例示化合物(2−1)の0.37gを得た。化合物は1H−NMRスペクトル、Massスペクトルによって同定した。
実施例2
〔光学フィルターの製造〕
(光学フィルター:1−Aの製造)
例示化合物(1−2)、0.10gをポリエステル樹脂(バイロン200;東洋紡績(株)製)の20%テトラヒドロフラン溶液5.0mlに混合し、超音波分散機で十分に分散させた(組成物:1−a)。この組成物をガラス基板上にバーコーターで塗工、乾燥して光学フィルター(試料:1−A)を作製した。このフィルターは青紫色を呈しており、可視光線を有効に吸収することがわかった。(極大吸収波長606nm)
(光学フィルター:1−Bの製造)
上記、組成物1−aに金属イオン含有化合物MS−48、0.14g(スクアリリウム化合物:金属イオン含有化合物=1.0:1.0(モル比))を加え、攪拌して超音波分散機で十分に分散させた(組成物:1−b)。この組成物をガラス基板上にバーコーターで塗工、乾燥して光学フィルター(試料:1−B)を作製した。このフィルターも1−Aとほぼ同様の青紫色を呈したおり、可視光線を有効に吸収することがわかった(極大吸収波長608nm)。
(光学フィルター:2−A〜15−A及び2−B〜15−Bの製造)
スクアリリウム化合物を下記表1に示す通りに変更した以外は、上記光学フィルター:1−Aの製造と同様にして光学フィルター:2−A〜15−Aを製造した。
金属イオン含有化合物の種類及び添加量を下記表2に示す通りに変更した以外は、上記光学フィルター:1−Bの製造と同様にして、光学フィルター:2−B〜15−Bを製造した。
(光学フィルター:16−Aの製造)
例示化合物(2−1)、0.10gをテトラヒドロフラン5.0mlに溶解させ、超音波分散機で十分に分散させた後、この組成物をガラス基板上にバーコーターで塗工、乾燥して光学フィルター(試料:16−A)を作製した。このフィルターは青紫色を呈していた。
(光学フィルター:16−Bの製造)
例示化合物(2−1)、0.10g、金属イオン含有化合物MS−55、0.17g(スクアリリウム化合物:金属イオン含有化合物=1.0:1.0(モル比))にテトラヒドロフラン5.0mlを加え、攪拌して超音波分散機で十分に分散させ、この溶液をガラス基板上にバーコーターで塗工、乾燥して光学フィルター(試料:16−B)を作製した。
作製した光学フィルター:1−A〜16−A、1−B〜16−Bについて、表面状態、耐光性及び溶液保存性を下記基準により評価した。評価結果を表1及び表2に併せて示す。
(表面状態)
乾燥後の表面状態を目視で観察し、以下の評価基準に基づいて4段階評価した。◎、○が実用上問題ないレベルであり、表面状態が優れていることを示す。
◎:フィルターの失透やヒビ、ワレなどが観察されないもの
○:若干の失透が見られるが実用上問題ないもの
△:明らかな失透が観測されたもの
×:ヒビやワレなどが観察され、フィルターを作成できなかったもの。
(耐光性)
スガ試験機株式会社製キセノンウェザーメーターを用いてキセノン光(70000ルックス)を24時間曝射した後のフィルターの未曝射サンプルからの可視領域極大吸収波長における透過スペクトル濃度の低下率%(色素残存率%)を算出し、以下の評価基準で4段階評価した。実用上、◎、○であることが望ましい。
(色素残存率%)=(曝射試料極大吸収波長濃度/未曝射試料極大吸収波長濃度)×100
◎:色素残存率が90%以上
○:色素残存率が80%以上、90%未満
△:色素残存率が70%以上、80%未満
×:色素残存率が70%未満。
(溶液保存性)
上記光学フィルター1−Aおよび1−Bの製造と同様にして作成した組成物を密閉容器に入れ、暗所で1週間放置した。組成物作成直後に作成したフィルターと一週間放置後の組成物を用いて作成したフィルターの可視領域極大吸収波長における透過スペクトル濃度を比較し、以下の評価基準で4段階評価した。実用上、スペクトル濃度残存率90%以上が望ましい。
(スペクトル濃度残存率%)=(組成物作成直後に作成したフィルターの極大吸収波長濃度/一週間暗所放置した組成物を用いて作成したフィルターの吸収極大濃度)×100
◎:スペクトル濃度残存率が95%以上
○:スペクトル濃度残存率が90%以上、95%未満
△:スペクトル濃度残存率が75%以上、90%未満
×:スペクトル濃度残存率が75%未満
以上より、バインダーを用いなかった比較の光学フィルター:16−A及び16−Bはヒビやワレが発生したため均一な塗工ができず、フィルターを作成することができなかった。
この原因は塗工直後に色素が結晶化したためと推測される。
また、本発明のスクアリリウム化合物とバインダーからなる光学フィルター:1−A〜13−Aは比較の光学フィルター:15−Aおよび16−Aに較べ、表面状態で優位であり、さらには耐光性および溶液保存性に優れていることがわかる。
また、更には本発明のスクアリリウム化合物とバインダーに金属イオン含有化合物を加えた組成物よりなる光学フィルター:1−B〜13−Bは、比較の光学フィルター15−B、16−Bに較べ、耐光性と溶液保存性に優れていることがわかった。
以上より、本発明によってバインダーとの相溶性が高く、保存性に優れた光学フィルター用組成物および表面状態、耐光性に優れた光学フィルターを提供できた。
実施例3
〔ディスプレイ用前面フィルターの製造〕
(本発明のディスプレイ用前面フィルター1の作製)
アクリル系粘着剤の主剤溶液(オリバインBPS5896(東洋インキ製造(株)製))に、酢酸エチル、例示化合物(2−1)0.15質量%/樹脂及びポリイソシアネート系硬化剤(BXX4773(東洋インキ製造(株)製))を加え、この可視光吸収粘着剤をポリエチレンテレフタレート(PET)製フィルム(厚み50μm)にバーコーターで塗工、乾燥し、この面にPET製フィルム(厚み50μm)をローラーで貼り合わせ、ディスプレイ用前面フィルター1を得た。
このディスプレイ用前面フィルター1の透過率曲線は600nmに極小値を有しており、これ以外に可視光域に明瞭な極小値はなく、可視光透過率の最小値の波長がネオン発光の波長領域である560〜620nmにあることから、ネオン発光を有効に吸収することのできるネオン発光カットフィルター、ディスプレイ用前面フィルターを提供することができた。
得られたフィルターをキセノンフェードメーター(7万Lux)にて、キセノン光を色素塗布面の反対側から30時間露光した後の試料の未露光試料からの可視領域の極大吸収波長における吸収スペクトル濃度の低下率を評価し、色素残存率%を算出したところ70.3%であった。計算式は下記式を用いた。
色素残存率(%)=(露光後のフィルターの極大吸収波長濃度/未露光フィルターの極大吸収波長濃度)×100。
(本発明のディスプレイ用前面フィルター2の作製)
前記、実施例1で得られた可視光吸収粘着剤にMS−41を0.15質量%加えた以外は同様にして、本発明のディスプレイ用前面フィルター2を作製した。
このディスプレイ用前面フィルター2の透過率曲線は603nmに極小値を有しており、これ以外に可視光域に明瞭な極小値はなく、可視光透過率の最小値の波長がネオン発光の波長領域である560〜620nmにあることから、ネオン発光を有効に吸収することのできるネオン発光カットフィルター、ディスプレイ用前面フィルターを提供することができた。
キセノンフェードメーター(7万Lux)にて、キセノン光を色素塗布面の反対側から30時間露光した後のサンプルの未露光サンプルからの可視領域極大吸収波長における色素残存率%を算出したところ、92.8%であった。
(本発明のディスプレイ用前面フィルター3の作製)
スクアリリウム化合物に例示化合物(1−23)を用いた以外は実施例1と同様にして、本発明のディスプレイ用前面フィルター3を作製した。
このディスプレイ用前面フィルター4の透過率曲線は、610に極小値を有しており、これ以外に可視光域に明瞭な極小値はなく、可視光透過率の最小値の波長がネオン発光の波長領域である560〜620nmにあることから、ネオン発光を有効に吸収することのできるネオン発光カットフィルター、ディスプレイ用前面フィルターを提供することができた。
キセノンフェードメーター(7万Lux)にて、キセノン光を色素塗布面の反対側から30時間露光した後のサンプルの未露光サンプルからの可視領域極大吸収波長における色素残存率%を算出したところ、66.5%であった。
(本発明のディスプレイ用前面フィルター4の作製)
前記、実施例3で得られた可視光吸収粘着剤にMS−41を0.30質量%加えた以外は同様にして、本発明のディスプレイ用前面フィルター4を作製した。
このディスプレイ用前面フィルター4の透過率曲線は、611nmに極小値を有しており、これ以外に可視光域に明瞭な極小値はなく、可視光透過率の最小値の波長がネオン発光の波長領域である560〜620nmにあることから、ネオン発光を有効に吸収することのできるネオン発光カットフィルター、ディスプレイ用前面フィルターを提供することができた。
キセノンフェードメーター(7万Lux)にて、キセノン光を色素塗布面の反対側から30時間露光した後のサンプルの未露光サンプルからの可視領域極大吸収波長における色素残存率%を算出したところ、87.2%であった。
(本発明のディスプレイ用前面フィルター5の作製)
前記、本発明のディスプレイ用前面フィルター2に、色素塗布面の反対面に赤外線吸収色素(N,N,N′,N′−テトラキス(p−ジブチルアミノフェニル)−p−フェニレンジインモニウムの六フッ化アンチモン酸塩)を塗布したポリエステルフィルムを貼り合わせ本発明のディスプレイ用前面フィルター5とした。
このディスプレイ用前面フィルター5の透過率曲線は603nmと1100nmに極小値を有しており、可視光透過率の最小値の波長がネオン発光の波長領域である560〜620nmにあることから、ネオン発光カット能および赤外線吸収能を有するネオン発光カットフィルター、ディスプレイ用前面フィルターを提供することができた。
キセノンフェードメーター(7万Lux)にて、キセノン光を赤外線吸収色素面から30時間露光した後のサンプルの未露光サンプルからの可視領域極大吸収波長における色素残存率%を算出したところ、94.1%であり、一週間露光した後の残存率は58.4%であった。
(本発明のディスプレイ用前面フィルター6の作製)
前記、本発明のディスプレイ用前面フィルター5の色素塗布面上にジチオールニッケル錯体の近赤外線吸収色素(ビス−2,2−(1,2−ジ(3−クロロフェニル)エチレンジイミン)ベンゼンチオラート)ニッケルを塗布したポリエステルフィルムをコーティングしたポリエステルフィルム、電磁波シールドメッシュ(線巾10μm、線ピッチ250μm)フィルム及びガラスを貼り合わせ、更にARフィルムを紫外線防止剤(2−(2′−ヒドロキシ−5′−t−ブチルフェニル)−ベンゾトリアゾール)を添加した粘着剤により貼り合わせて、本発明のディスプレイ用前面フィルター6を得た。
キセノンフェードメーター(7万Lux)にて、キセノン光を紫外線吸収色素面から1週間露光した後のサンプルの未露光サンプルからの可視領域極大吸収波長における色素残存率%を算出したところ、70.5%であった。
これによって、ネオン発光カット能、赤外線吸収能、紫外線吸収能および電磁波カット能を有するディスプレイ用前面フィルター、プラズマディスレイ用前面フィルターを提供することができた。
(比較のディスプレイ用前面フィルター1の作製)
前記、本発明のディスプレイ前面フィルター1で用いた可視光吸収粘着剤の例示化合物(2−1)の代わりに、前記比較化合物1の0.15質量%/樹脂を用いた以外は同様にして、比較のディスプレイ用前面フィルター1を作製した。
キセノンフェードメーター(7万Lux)にて、キセノン光を色素塗布面の反対側から30時間露光した後のサンプルの未露光サンプルからの可視領域極大吸収波長における色素残存率%を算出したところ、30.7%であった。
(比較のディスプレイ用前面フィルター2の作製)
前記、比較のディスプレイ用前面フィルター1で用いた可視光吸収粘着剤にMS−41、0.50質量%/樹脂を加えた以外は同様にして、比較のディスプレイ用前面フィルター2を作製した。
キセノンフェードメーター(7万Lux)にて、キセノン光を色素塗布面の反対側から30時間露光した後のサンプルの未露光サンプルからの可視領域極大吸収波長における色素残存率%を算出したところ、47.9%であった。
以上より、本発明のスクアリリウム化合物を用いることでディスプレイパネルから発せられる560〜620nmのネオン発光を有効に吸収することができ、耐光性の良好なディスプレイ用前面フィルターを提供することができた。
また、本発明のスクアリリウム化合物及びバインダーからなる組成物に金属イオン含有化合物を加えることで、更に耐光性に優れたディスプレイ用前面フィルターを提供できることが明らかとなった。
これによって、プラズマディスプレイからのネオン発光を有効に吸収できるネオン発光吸収フィルター、及び紫外線吸収層、赤外線吸収層等を有するディスプレイ用前面フィルターを提供することができた。