JPWO2008093709A1 - アミロイド蛋白質の凝集抑制および分解促進によりアミロイドーシスと関連する疾患を予防または治療するための組成物 - Google Patents
アミロイド蛋白質の凝集抑制および分解促進によりアミロイドーシスと関連する疾患を予防または治療するための組成物 Download PDFInfo
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Abstract
アミロイド蛋白質の分解を促進するための手段およびアミロイド蛋白質の凝集を抑制するための手段を提供することを目的とする。本発明は、プラスマローゲンを有効成分として含む、アミロイド蛋白質の分解を促進するための組成物、アミロイド蛋白質の凝集を抑制するための組成物およびアミロイドーシスに関連する疾患を予防または治療するための組成物に関する。
Description
本発明は、アミロイド蛋白質の分解を促進するための組成物、アミロイド蛋白質の凝集を抑制するための組成物およびアミロイドーシスと関連する疾患を予防または治療するための組成物に関する。
アミロイドーシスは、アミロイド蛋白質と呼ばれる異常蛋白質がさまざまな組織や器官に蓄積し、正常な機能を阻害する疾患である。近年、アミロイド蛋白質の沈着を制御する「抗アミロイド療法」が、アルツハイマー病をはじめとするアミロイドーシスの本質的な治療法として期待されている。抗アミロイド療法はそのターゲットとする段階により、アミロイド蛋白質の生成抑制、アミロイド蛋白質の沈着抑制、アミロイド蛋白質の除去、の3つに分けることができる。
プラスマローゲンは、脳神経細胞に特徴的に多く含まれるリン脂質である。プラスマローゲンは、脳のシグナル伝達への関与や、脳内における抗酸化物質としての機能が予測されてきた。最近、プラスマローゲンの抗酸化作用に関する知見が報告され、老化および酸化障害が関与する疾病でのプラスマローゲンの影響について報告されている。また、アルツハイマー病患者は正常人に比べてプラスマローゲン量が少なく、膜の臨界温度が低いことが報告されている(非特許文献1)。さらに、培養細胞系でのプラスマローゲンによる神経細胞死予防効果も報告されている(特許文献1)。
特開2004−026803号公報
J. Neurochem. Res., 70, 2533-2538
本発明は、アミロイド蛋白質の分解を促進するための手段およびアミロイド蛋白質の凝集を抑制するための手段を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために検討した結果、プラスマローゲンが、アミロイド蛋白質の凝集抑制作用および分解促進作用を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
(1)プラスマローゲンを有効成分として含む、アミロイド蛋白質の分解を促進するための組成物。
(2)プラスマローゲンを有効成分として含む、アミロイド蛋白質の凝集を抑制するための組成物。
(3)グリセロール骨格のsn−2位にドコサヘキサエン酸がエステル結合したプラスマローゲンを含む、(1)または(2)に記載の組成物。
(4)プラスマローゲンを有効成分として含む、アミロイドーシスと関連する疾患を予防または治療するための組成物。
本発明により、アミロイド蛋白質の凝集抑制および分解促進のために有用な組成物が提供される。
本明細書は、本願の優先権の基礎である特願2007−018988号の明細書に記載された内容を包含する。
アミロイドーシスは、組織に様々な不溶性の繊維状蛋白質が蓄積することを特徴とする。蓄積物または沈着物を形成する繊維状蛋白質はアミロイド蛋白質と呼ばれる。沈着物に存在する特定の蛋白質またはペプチドは様々だが、多くのタイプのアミロイド蛋白質に共通するのは繊維状の形態を持ち、β−シートの二次構造が多量に存在することである。従って、本発明においてアミロイド蛋白質は、特にアミロイドβ蛋白質をさす。
アミロイドーシスは、大きく以下の4つのグループに分けることができる。(1) 原発性アミロイドーシスでは、アミロイド蛋白質の蓄積から形質細胞の異常を伴い、ときとして多発性骨髄腫を併発する。(2) 続発性アミロイドーシスは、結核や間接リウマチなど持続的な炎症を伴う病気により発症し、脾臓や腎臓、リンパ節などにアミロイド蛋白質が蓄積するものである。(3) 遺伝性アミロイドーシスは、遺伝的なアミロイドーシスで、神経系、心臓、腎臓などにアミロイド蛋白質が蓄積するものである。(4) 加齢によるアミロイドーシスでは、加齢により、心臓や脳へのアミロイド蛋白質の蓄積が見られる。
本発明者らは、プラスマローゲンがアミロイド蛋白質の分解促進活性および凝集抑制活性を有することを見出した。従って、一実施形態において本発明は、プラスマローゲンを有効成分として含む、アミロイド蛋白質の分解を促進するための組成物およびアミロイド蛋白質の凝集を抑制するための組成物に関する。
プラスマローゲンは、エーテル型リン脂質の一種で、グリセロール分子のsn−1位にビニルエーテル結合をもち、sn−3位にコリンやエタノールアミンなどが結合したリン酸基をもつ1−アルケニル−2−アシル−sn−グリセロ−3−リン酸をさす。本発明においてプラスマローゲンは、好ましくは、グリセロール骨格のsn−2位に長鎖脂肪酸がエステル結合し、sn−1位にアルキル基がビニルエーテル結合しているグリセロリン脂質である。sn−2位にエステル結合する長鎖脂肪酸は、好ましくは長鎖不飽和脂肪酸である。ここで長鎖不飽和脂肪酸は、炭素数16以上、好ましくは18〜26、より好ましくは20〜24であり、不飽和結合が1以上、好ましくは2以上、より好ましくは2〜6の脂肪酸、好ましくは直鎖脂肪酸をさす。ここでsn−2位にエステル結合する長鎖不飽和脂肪酸の具体例としては、例えば、オレイン酸(18:1)、リノール酸(18:2)、リノレン酸(18:3)、イコセン酸(20:1)、イコサジエン酸(20:2)、イコサトリエン酸(20:3)、アラキドン酸(20:4)、イコサペンタエン酸(20:5)、ドコサジエン酸(22:2)、ドコサトリエン酸(22:3)、ドコサテトラエン酸(22:4)、ドコサペンタエン酸(22:5)およびドコサヘキサエン酸(22:6)が挙げられ、好ましくはアラキドン酸またはドコサヘキサエン酸である。sn−1位にビニルエーテル結合するアルキル基は、炭素数8以上、好ましくは10〜26、より好ましくは12〜24のアルキル基であり、具体的には、ステアリル基、ヘキサデカノイル基などが挙げられる。また、プラスマローゲンには、塩基部がそれぞれ、エタノールアミン、コリン、セリンおよびイノシトールとのエステルからなるエタノールアミンプラスマローゲン、コリンプラスマローゲン、セリンプラスマローゲンおよびイノシトールプラスマローゲンが包含されるが、好ましくはエタノールアミンプラスマローゲンである。プラスマローゲンは、複数種を組み合わせて用いてもよい。
[式中、
R1は、炭素数8以上、好ましくは10〜26、より好ましくは12〜24のアルキル基であり、
R2は、炭素数16以上、好ましくは18〜26、より好ましくは20〜24、不飽和結合が1以上、好ましくは2以上、より好ましくは2〜6の脂肪族基、好ましくは直鎖脂肪族基であり、
Xは、−CH2CH2N+H3、−CH2CH2N+(CH3)3、−CH2CH2N+H3COO−または−C6H11O5であり、好ましくは−CH2CH2N+H3である]
で表される化合物を用いるのが好ましい。
R1は、炭素数8以上、好ましくは10〜26、より好ましくは12〜24のアルキル基であり、
R2は、炭素数16以上、好ましくは18〜26、より好ましくは20〜24、不飽和結合が1以上、好ましくは2以上、より好ましくは2〜6の脂肪族基、好ましくは直鎖脂肪族基であり、
Xは、−CH2CH2N+H3、−CH2CH2N+(CH3)3、−CH2CH2N+H3COO−または−C6H11O5であり、好ましくは−CH2CH2N+H3である]
で表される化合物を用いるのが好ましい。
[式中、R1およびXは式(1)について定義したとおりである]
の化合物を用いるのが特に好ましい。
の化合物を用いるのが特に好ましい。
プラスマローゲンは天然のものでも合成のものでもよい。プラスマローゲンは、特に、動物の臓器(特に、脳、神経組織、心筋、骨格筋、赤血球)、嫌気性バクテリアならびに発芽中のエンドウおよびダイズに多く含まれ、これらの原料から抽出することができる。抽出溶媒は特に制限されないが、例えば、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、アセトン、アセトニトリル、シクロヘキサン、トルエン、酢酸エチルなどのエステル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル、ならびにメタノール、エタノール、イソプロパノールなどの炭素数1〜6の低級アルコール、これらの混合物、ならびにこれらと水との混合物から選択される抽出溶媒を使用できる。得られたプラスマローゲン含有抽出物は、必要に応じて、順相系、逆相系またはイオン交換系の充填剤を用いるカラムクロマトグラフィーや高速液体クロマトグラフィー、ならびに酵素処理等を用いて精製することができる。
認知症に有効であることが報告されているドコサヘキサエン酸は、その摂取により生体内の過酸化を引き起こす可能性が危惧されている。一方、プラスマローゲンは、ドコサヘキサエン酸がエステル結合した式(2)の化合物であっても生体内過酸化反応を惹起することがない。これは、式(2)のプラスマローゲンが、ドコサヘキサエン酸単体に比べて酸化されにくく、生体内過酸化反応のイニシエーターになりにくいためであると考えられる。アルツハイマー病などの認知症の予防および治療においては、有効成分を長期間にわたって摂取可能であることが必須条件である。プラスマローゲンは酸化を受けにくく長期摂取が可能な点で非常に有用である。
本発明者らは、プラスマローゲンが、アミロイド蛋白質の分解促進活性および凝集抑制活性を有することを見出した。アミロイド蛋白質の分解を促進し、または凝集を抑制することにより、アミロイドーシスを改善できる。従って、一実施形態において本発明は、プラスマローゲンを有効成分として含む、アミロイドーシスに関連する疾患を予防または治療するための組成物に関する。換言すれば、本発明は、プラスマローゲンを有効成分として含む、アミロイド蛋白質の分解促進および/または凝集抑制に基づいてアミロイドーシスに関連する疾患を予防または治療するための組成物に関する。
アミロイドーシスに関連する疾患は、換言すれば、アミロイド蛋白質の分解または凝集抑制により予防または治療することができる疾患である。具体例として、例えば、アルツハイマー病を含む認知症、地中海熱、マックル−ウェルズ症候群、特発性骨髄腫、多発性骨髄腫、アミロイド多発性神経障害、アミロイド心筋症、全身性老人性アミロイド症、アミロイド−シスを伴う遺伝性脳出血、ダウン症候群、スクレイピー、クロイツフェルド−ヤコブ病、単独心房アミロイド、封入体筋炎、鎌状赤血球貧血、パーキンソン病、およびランゲルハンス島II型糖尿病インシュリノーマなどが挙げられる。本発明の組成物は、認知症、特にアルツハイマー病を予防または治療するために適している。
本発明において、疾患の予防には、疾患の発症を抑えることおよび遅延させることが含まれ、疾患の治療には、疾患を治癒すること、症状を改善することおよび症状の進行を抑えることが包含される。
以下、プラスマローゲンを有効成分として含む、アミロイド蛋白質の分解を促進するための組成物、アミロイド蛋白質の凝集を抑制するための組成物およびアミロイドーシスに関連する疾患を予防または治療するための組成物を合わせて本発明の組成物と称する。
本発明の組成物の投与対象は、哺乳動物である。本明細書において哺乳動物は、温血脊椎動物をさし、例えば、ヒトおよびサルなどの霊長類、マウス、ラットおよびウサギなどの齧歯類、イヌおよびネコなどの愛玩動物、ならびにウシ、ウマおよびブタなどの家畜が挙げられる。本発明の組成物は、霊長類、特にヒトへの投与に好適である。アミロイドーシスに関連する疾患に罹患しているヒト、アミロイドーシスに関連する疾患と診断されているヒト、アミロイドーシスに関連する疾患に罹患する可能性があるヒト、アミロイドーシスに関連する疾患を予防する必要があるヒトに本発明の組成物を投与することが特に好ましい。
本発明の組成物は、特に制限されないが、例えば、医薬組成物として、および食品組成物として調製することができる。
本発明の組成物を医薬組成物として調製する場合は、通常、プラスマローゲンと好ましくは薬学的に許容される担体とを含む製剤として調製する。医薬組成物は、経口により、非経口により、例えば、皮下に、静脈内に、動脈内に、筋肉内に、腹腔内に、および鼻腔内に投与される。
薬学的に許容される担体とは、一般的に、本発明の有効成分とは反応しない、不活性の、無毒の、固体または液体の、増量剤、希釈剤またはカプセル化材料等をいい、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、適切なそれらの混合物、植物性油などの溶媒または分散媒体などが挙げられる。
医薬組成物は、好ましくは経口投与製剤の形態である。当該形態としては、錠剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、カプセル剤、シロップ剤、液剤などが挙げられる。
医薬組成物はさらに医薬分野において慣用の添加剤を含んでいてもよい。そのような添加剤には、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、抗酸化剤、着色剤、矯味剤などがあり、必要に応じて使用できる。長時間作用できるように徐放化するためには、既知の遅延剤等でコーティングすることもできる。賦形剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、寒天、軽質無水ケイ酸、ゼラチン、結晶セルロース、ソルビトール、タルク、デキストリン、デンプン、乳糖、白糖、ブドウ糖、マンニトール、メタ珪酸アルミン酸マグネシウム、リン酸水素カルシウム等が使用できる。結合剤としては、例えば、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、エタノール、エチルセルロース、カゼインナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、寒天、精製水、ゼラチン、デンプン、トラガント、乳糖、ヒドロキシセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。崩壊剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、結晶セルロース、デンプン、ヒドロキシプロピルスターチ等が挙げられる。滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、硬化油、ショ糖脂肪酸エステル、ロウ類等が挙げられる。抗酸化剤としては、トコフェロール、没食子酸エステル、ジブチルヒドロキシトルエン (BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、アスコルビン酸等が挙げられる。必要に応じてその他の添加剤や薬剤、例えば制酸剤(炭酸水素ナトリウム、炭酸マグネシウム、沈降炭酸カルシウム、合成ヒドロタルサイト等)、胃粘膜保護剤(合成ケイ酸アルミニウム、スクラルファート、銅クロロフィリンナトリウム等)を加えてもよい。
医薬組成物は、徐放性皮下インプラントの形態で、または標的送達系(例えば、モノクローナル抗体、ベクター送達、イオン注入、ポリマーマトリックス、リポソームおよびミクロスフェア)の形態で、非経口で投与してもよい。
本発明の組成物を食品組成物として調製する場合、その形態は特に制限されず、飲料も包含される。健康食品および機能性食品も包含される。健康食品および機能性食品は、具体的には、細粒剤、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、シロップ剤、液剤、流動食等の各種製剤形態とすることができる。製剤形態の食品組成物は、医薬製剤と同様に製造することができ、例えば、適当な賦形剤(例えば、でん粉、加工でん粉、乳糖、ブドウ糖、水等)を加えた後、慣用の手段を用いて製造することができる。さらに、食品組成物は、スープ類、ジュース類、乳飲料、ココア飲料、ゼリー状飲料などの液状食品組成物、プリン、ヨーグルトなどの半固形食品組成物、パン、菓子、うどんなどの麺類、クッキー、チョコレート、キャンディ、せんべいなどの菓子、ふりかけ、バター、ジャムなどのスプレッド類等の形態もとりうる。
食品組成物には、種々の食品添加物、例えば、酸化防止剤、香料、各種エステル類、有機酸類、有機酸塩類、無機酸類、無機酸塩類、無機塩類、色素類、乳化剤、保存料、調味料、甘味料、酸味料、果汁エキス類、野菜エキス類、花蜜エキス類、pH調整剤、品質安定剤などの添加剤を単独、あるいは併用して配合してもよい。
本発明の組成物の投与量は、投与方法、年齢、症状等により適宜決定することができる。1日あたり、体重1kgあたり、経口投与で通常0.01〜2mg、好ましくは0.1〜0.2mgである。
本発明の組成物におけるプラスマローゲンの含有量は、上記投与量を達成するように適宜決定できる。例えば、錠剤、顆粒剤、細粒剤、散剤およびカプセル剤等の形態の場合は、通常0.35〜70質量%、好ましくは3.5〜7質量%の量でプラスマローゲンを含む。
本発明の組成物には、例えば、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンB12、ビタミンB2、ビタミンB1、キサントフィル類、カロテノイド類、トコトリエノール、ミネラル類(カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛等)、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、イチョウ葉エキス、クロレラ、ワインポリフェノール 、緑茶カテキン、テアフラビン、シソ油等の機能性成分などを適宜加えてもよい。
哺乳動物に本発明の組成物の有効量を投与することにより、すなわち、哺乳動物にプラスマローゲンの有効量を投与することにより、アミロイド蛋白質の分解を促進し、および/または凝集を抑制することができ、ひいてはアミロイドーシスに関連する疾患を予防または治療することができる。
プラスマローゲンは、食経験が豊富な安全な食品成分であることから、通常の食生活のなかで栄養指導などを通じで、アミロイドーシスを予防し、また症状の進行を遅延できる点で有利である。
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は実施例の範囲に限定されない。
凝集性蛋白質であるアミロイドβ1−42をインキュベートし、凝集を誘導し、凝集の程度を蛍光試薬により測定する系、または電子顕微鏡により定性する系を用いた。凝集の前後にプラスマローゲン、プラスマローゲン以外のリン脂質を加え、アミロイド蛋白質の凝集に対する影響を実施例1〜6の試験により評価した。なお、各実施例で用いたサンプルおよび試薬を次に示す。
リン酸水素2ナトリウム(和光純薬工業)、リン酸2水素ナトリウム(和光純薬工業)、アミロイドβ1−42(ペプチド研究所)、チオフラビン−T(Sigma)、グリセロール骨格のsn−2位にアラキドン酸がエステル結合したプラスマローゲン(Pls−AA、Avanti Polar Lipids)、グリセロール骨格のsn−2位にオレイン酸がエステル結合したプラスマローゲン(Pls−OA、Avanti Polar Lipids)、グリセロール骨格のsn−2位にドコサヘキサエン酸(DHA)がエステル結合したプラスマローゲン(Pls−DHA、Avanti Polar Lipids)、グリセロール骨格のsn−2位にドコサヘキサエン酸がエステル結合したホスファチジルエタノールアミン(PE−DHA、Avanti Polar Lipids)、2グリセロール骨格のsn−2位にドコサヘキサエン酸がエステル結合したホスファチジルコリン(PC-DHA、Avanti Polar Lipids)、蛍光プレートリーダー(Molecular Devices)。
実施例1 プラスマローゲンによるアミロイド蛋白質凝集抑制の評価
本実施例では、チオフラビン−Tを用いた方法(Fujiwara, H. et al., Uncaria rhynchophylla, J Neurosci Res 84, 427-33 (2006))で評価を実施した。チオフラビン−Tがアミロイドβ蛋白質のβシートに結合し、蛍光を発することを利用したものである。
本実施例では、チオフラビン−Tを用いた方法(Fujiwara, H. et al., Uncaria rhynchophylla, J Neurosci Res 84, 427-33 (2006))で評価を実施した。チオフラビン−Tがアミロイドβ蛋白質のβシートに結合し、蛍光を発することを利用したものである。
プラスマローゲンまたは他のリン脂質を50mM リン酸カリウム緩衝液(pH 7.4)に希釈し、蛍光用96穴プレートに25μlずつ分注した。アミロイドβ1−42を20μMになるように50mM リン酸カリウム緩衝液(pH 7.4)に溶解し、25μlずつ分注した。85rpm、37℃で、24時間インキュベートした。6μM チオフラビン−Tを50μlずつ添加した。室温で30分インキュベート後、蛍光マイクロプレートリーダーで測定した(Ex 442nm、Em 485nm)。プラスマローゲンまたは他のリン脂質の代わりに精製水を入れたときの値を100%、チオフラビン−Tのみのときの値を0%として換算することにより、それぞれの場合の凝集率を求めた。結果を表1に示す。
表1は、DHAまたはアラキドン酸を含むプラスマローゲン(Pls−DHA、Pls−AA)およびDHAを含む2種の他のリン脂質(PE−DHA、PC−DHA)の各濃度でのアミロイド蛋白質凝集率を示している。表1の値は、平均値±標準偏差(n=3)で示したものである。
Pls−DHAは、10μMで約50%の特に強いアミロイド蛋白質凝集抑制活性を示した。一方、DHAを含む他のリン脂質のアミロイド蛋白質凝集抑制活性は弱いものであった。以上から、プラスマローゲンは、他のリン脂質に比べて強いアミロイド蛋白質凝集抑制活性を有することが示された。
実施例2 プラスマローゲンによるアミロイド蛋白質分解の評価1
本実施例もまた、実施例1と同様に、チオフラビン−Tを用いた方法で評価を実施した。
本実施例もまた、実施例1と同様に、チオフラビン−Tを用いた方法で評価を実施した。
アミロイドβ1−42を20μMになるように50mM リン酸カリウム緩衝液(pH 7.4)に溶解し、蛍光用96穴プレートに25μlずつ分注した。85rpm、37℃で、24時間インキュベートした。プラスマローゲンまたは他のリン脂質を50mM リン酸カリウム緩衝液(pH 7.4)に希釈し、25μlずつ分注した。1,200rpm、室温で、30分間インキュベートした。6μM チオフラビン−Tを50μlずつ添加した。室温で30分インキュベート後、蛍光マイクロプレートリーダーで測定した(Ex 442nm、Em 485nm)。プラスマローゲンまたは他のリン脂質の代わりに精製水を入れたときの値を100%、チオフラビン−Tのみのときの値を0%に換算することにより、それぞれの場合の分解残存率を求めた。結果を表2に示す。
表2は、3種のプラスマローゲンおよびDHAを含むその他2種のリン脂質を用いたときの各濃度でのアミロイド蛋白質分解残存率を示している。表2の値は、平均値±標準偏差(n=3)で示したものである。
Pls−DHAは、10μMで約60%の強いアミロイド蛋白質分解促進活性を示した。Pls−AAおよびPls−OAは、10μMで30〜40%のアミロイド蛋白質分解促進活性を示した。以上から、プラスマローゲンは、他のリン脂質に比べて強いアミロイド蛋白質分解促進活性を有することが示された。
実施例3 プラスマローゲンによるアミロイド蛋白質分解の評価2
本実施例では、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた方法で評価を実施した
(Ono, K. et al., Exp Neurol 189, 380-92 (2004))。TEMは、対象に電子線を当て、それを透過してきた電子を拡大して観察するものである。
本実施例では、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた方法で評価を実施した
(Ono, K. et al., Exp Neurol 189, 380-92 (2004))。TEMは、対象に電子線を当て、それを透過してきた電子を拡大して観察するものである。
アミロイドβ1−42を20μMになるように50mM リン酸カリウム緩衝液(pH 7.4)に溶解し、0.6mlエッペンチューブに100μlずつ分注した。85rpm、37℃で、24時間インキュベートした。プラスマローゲンまたは他のリン脂質を50mM リン酸カリウム緩衝液(pH 7.4)に希釈し、100μlずつ分注した。1,200rpm、室温で、30分間インキュベートした。銅メッシュにサンプルを10μlのせ、1分間静置した後、1%リンタングステン酸で染色し、TEMに供した。TEMを用い、アミロイド蛋白質の分解を観察した。
コントロールとして、精製水を添加したもの、サンプルとして、Pls−DHAを添加したものを、3万倍と11万倍で観察した。
3万倍の低倍率と11万倍の高倍率ともに、Pls−DHAを添加したもので明らかなアミロイド蛋白質の分解がみられた。
本明細書中で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願をそのまま参考として本明細書中にとり入れるものとする。
Claims (4)
- プラスマローゲンを有効成分として含む、アミロイド蛋白質の分解を促進するための組成物。
- プラスマローゲンを有効成分として含む、アミロイド蛋白質の凝集を抑制するための組成物。
- グリセロール骨格のsn−2位にドコサヘキサエン酸がエステル結合したプラスマローゲンを含む、請求項1または2に記載の組成物。
- プラスマローゲンを有効成分として含む、アミロイドーシスと関連する疾患を予防または治療するための組成物。
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