JPWO2008062852A1 - 腸管出血性大腸菌の菌体外毒素を中和する組成物 - Google Patents

腸管出血性大腸菌の菌体外毒素を中和する組成物 Download PDF

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Abstract

安価かつ簡便に入手可能な供給源を主成分とする、腸管出血性大腸菌の菌体外毒素を中和するための組成物を提供することが、本発明の課題である。上記課題は、ヘビ抽出物中の成分が、腸管出血性大腸菌の菌体外毒素の中和活性を有することを見出し、そして、ヘビ抽出物を含有する組成物を提供することによって、解決された。本発明に従って、菌体外毒素中和活性を有する薬学的組成物および飲食用組成物が提供される。

Description

本発明は、腸管出血性大腸菌の菌体外毒素を中和する組成物に関する。より具体的には、ヘビ抽出物を含有する腸管出血性大腸菌の菌体外毒素を中和するための組成物に関する。
腸管出血性大腸菌感染症は、O157をはじめとするべロ毒素産生性の腸管出血性大腸菌(Enterohemorrhagic E.coli,EHEC)で汚染された食物などを経口摂取することによっておこる腸管感染が主体である。また、ヒトからヒトへの二次感染も問題となる。その症状は、無症候性から軽度の下痢、激しい腹痛、頻回の水様便、さらに、著しい血便とともに重篤な合併症を起こし死に至るものまで、様々である。多くの場合、3〜5日の潜伏期をおいて、激しい腹痛をともなう頻回の水様便の後に、血便となる(出血性大腸炎)。発熱は軽度で、多くは37℃台である。血便の初期には血液の混入は少量であるが次第に増加し、典型例では便成分の少ない血液そのものという状態になる。有症者の6〜7%において、下痢などの初発症状発現の数日から2週間以内に、溶血性尿毒症症候群(Hemolytic Uremic Syndrome,HUS)、または脳症などの重症な合併症が発症する。HUS を発症した患者の致死率は1〜5%とされている。
腸管出血性大腸菌感染症の原因菌は、ベロ毒素(Verotoxin=VT,またはShigatoxin=Stxと呼ばれている)を産生する大腸菌である。ベロ毒素は、培養細胞の一種であるベロ細胞に対して致死的に作用することから、この名前が付けられている。ヒトを発症させる菌数はわずか50個程度と考えられており、二次感染が起きやすいのも少数の菌で感染が成立するためである。また、この菌は強い酸抵抗性を示し、胃酸の中でも生残する。
知られている主な病原因子は、定着因子としてattaching and effacing病変を形成するIntiminと、ベロ毒素(抗原性の違いによりVT−1とVT−2がある)である。我が国においては、患者及び保菌者から検出される腸管出血性大腸菌のO抗原による血清型は、O157がもっとも多く、O26とO111がそれに次ぐ。分離培地上でのO157はそれ以外の血清型や一般の大腸菌などと異なり、ソルビトールを非分解であり、また、β‐D‐glucuronidase(MUGテスト)が陰性である。
O157感染症による下痢症は、細菌感染症であるので、適切な抗菌剤を使用することが基本であり、厚生科学研究事業で行われた全国調査では、抗菌剤を使用した群の中で早期投与された者ほどHUSの発症率が低かったとの結果が報告されている。
一方、「抗菌剤が菌を破壊することによって菌からのベロ毒素放出が増加した」という試験管内での実験結果から、「患者への抗菌剤の使用は、腸管内で増殖した菌を破壊して症状を悪化させるのではないか」との理論的懸念も指摘されている。
そのような懸念から、腸管出血性大腸菌感染症に対する対策としては、感染後の抗菌剤による治療よりも、菌体外毒素の中和が好ましい。菌体外毒素の中和のために有効な薬剤は、より安全な治療手段を提供するという利点のみならず、予防的効果を発揮する可能性からも注目を集めているが、その開発は遅れている。
菌体外毒素の中和のための薬剤の例としては、例えば、スフィンゴ糖脂質Gb3(非特許文献1)が挙げられる。菌体外毒素の中和という手段は、予防的手段でもあり得るため、簡便かつ安価に実行できる手法である必要がある。Gb3は、例えば、母乳および牛乳中に含まれるが、中和有効量である0.5mgのGb3を摂取するためには、約2.4リットルの牛乳を飲む必要があり、現実的ではない。
菌体外毒素を中和させる薬剤または飲食物を日常的に摂取することが可能であれば、腸管出血性大腸菌感染症に対する予防的手段が現実的となる。そこで、安価かつ簡便に入手可能な供給源を主成分とする、腸管出血性大腸菌の菌体外毒素を中和するための組成物が望まれている。
天然物由来の種々の薬効成分を含有する生薬は、所望の薬効を奏する物質の供給源として潜在的に有用である。しかしながら、多くの生薬では、その効能、効果の全てが充分解明されていないものも多く存在する。そのため、多種多様な生薬から、目的に適した薬効を奏する有効成分を含有する生薬を見出すためには、一般に、過度の試行錯誤が要求される。
Shinobu WATARAI、外7名、"Inhibition of Vero Cell Cytotoxic Activity in Escherichia coli O157:H7 Lysates by Globotriaosylceramide,Gb3,from Bovine Milk"、Bioscience,Biotechnology, and Biochemistry、日本、日本農芸化学会、2001年2月、第65巻、第2号、414−419頁
安価かつ簡便に入手可能な供給源を主成分とする、腸管出血性大腸菌の菌体外毒素を中和するための組成物を提供することが、本発明の課題である。
上記課題は、ヘビ抽出物中の成分が、腸管出血性大腸菌の菌体外毒素の中和活性を有することを見出し、ヘビ抽出物を含有する組成物を提供することによって、解決された。
したがって、本発明は、以下を提供する。
(項目1) ヘビ抽出物を含有する、腸管出血性大腸菌の菌体外毒素の毒性を中和するための薬学的組成物。
(項目2) 前記ヘビ抽出物が毒ヘビ類由来である、項目1に記載の薬学的組成物。
(項目3) 前記ヘビ抽出物がマムシ抽出物である、項目1に記載の薬学的組成物。
(項目4) 前記マムシ抽出物がハンピ流エキスである、項目3に記載の薬学的組成物。(項目5) 前記ヘビ抽出物がコブラ抽出物である、項目1に記載の薬学的組成物。
(項目6) 前記コブラ抽出物がコブラチンキ剤である、項目5に記載の薬学的組成物。(項目7) 前記ヘビ抽出物がハブ抽出物である、項目1に記載の薬学的組成物。
(項目8) 前記ハブ抽出物がハブ酒である、項目7に記載の薬学的組成物。
(項目9) 前記腸管出血性大腸菌がO157である、項目1に記載の薬学的組成物。
(項目10) ヘビ抽出物を含有する、腸管出血性大腸菌の菌体外毒素の毒性を中和するための飲食用組成物。
(項目11) 前記ヘビ抽出物が毒ヘビ類由来である、項目10に記載の飲食用組成物。(項目12) 前記ヘビ抽出物がマムシ抽出物である、項目10に記載の飲食用組成物。(項目13) 前記マムシ抽出物がハンピ流エキスである、項目12に記載の飲食用組成物。
(項目14) 前記ヘビ抽出物がコブラ抽出物である、項目10に記載の飲食用組成物。
(項目15) 前記コブラ抽出物がコブラチンキ剤である、項目14に記載の飲食用組成物。
(項目16) 前記ヘビ抽出物がハブ抽出物である、項目10に記載の飲食用組成物。
(項目17) 前記ハブ抽出物がハブ酒である、項目16に記載の飲食用組成物。
(項目18) 前記腸管出血性大腸菌がO157である、項目10に記載の飲食用組成物。
以下に、本発明の好ましい実施形態を示すが、当業者は本発明の説明および当該分野における周知慣用技術からその実施形態などを適宜実施することができ、本発明が奏する作用および効果を容易に理解することが認識されるべきである。
本発明によって、腸管出血性大腸菌の菌体外毒素の毒性を中和するための組成物が提供されるという効果が奏される。さらに、本発明によって提供される組成物の有効成分は、安価かつ入手が容易であるという効果も奏される。
図1は、VT−1を用いた場合の、生薬濃度による生存率への影響を示す図である。 図2は、VT−2を用いた場合の、生薬濃度による生存率への影響を示す図である。 図3は、 VT−1を用いた場合の、ベロ毒素中和抗体とベロ毒素による細胞の生存率を示す図である。 図4は、 VT−2を用いた場合の、ベロ毒素中和抗体とベロ毒素による細胞の生存率を示す図である。 図5は、 VT−1を用いた場合の、生薬原液の加熱処理とベロ毒素による細胞の生存率を示す図である。 図6は、 VT−2を用いた場合の、生薬原液の加熱処理とベロ毒素による細胞の生存率を示す図である。 図7は、 VT−1を用いた場合の、生薬原液の酸処理とベロ毒素による細胞の生存率を示す図である。 図8は、 VT−2を用いた場合の、生薬原液の酸処理とベロ毒素による細胞の生存率を示す図である。 図9は、 VT−1を用いた場合の、生薬原液とベロ毒素溶液を事前に混合したものを添加した場合とそれぞれを同時に細胞に添加した場合の細胞の生存率を示す図である。 図10は、 VT−2を用いた場合の、生薬原液とベロ毒素溶液を事前に混合したものを添加した場合とそれぞれを同時に細胞に添加した場合の細胞の生存率を示す図である。 図11は、 VT−1を用いた場合の、ベロ細胞に生薬を添加し、24時間放置し、その後、細胞の培養液を取り替えて、ベロ毒素を添加した場合と、同時に添加した場合の比較を示す図である。 図12は、 VT−2を用いた場合の、ベロ細胞に生薬を添加し、24時間放置し、その後、細胞の培養液を取り替えて、ベロ毒素を添加した場合と、同時に添加した場合の比較を示す図である。 図11は、種々の生薬等にGb3が含まれることを示す写真である。
本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
(用語の定義)
以下に本明細書において特に使用される用語の定義を列挙する。
本明細書において使用する場合、用語「ヘビ抽出物」とは、ヘビ亜目の動物の全体または一部(乾燥していても、していなくてもよい)を用いて調製された抽出物をいう。
本明細書において使用する場合、用語「腸管出血性大腸菌」とは、ベロ毒素(菌体外毒素または志賀毒素ともいう)を産生する大腸菌をいう。代表的な腸管出血性大腸菌としては、O157(正式にはEscherichia coli O157:H7という)が挙げられるが、これに限定されない。
本明細書において使用する場合、用語「中和」とは、菌体外毒素による毒性を弱める活性をいう。例えば、培養細胞を用いて中和活性を評価する場合、生存する細胞の割合の増加を指標として、中和活性を測定する。
本明細書において使用する場合、用語「流エキス(flude extracts)」とは、生薬の浸出液をいう。代表的には、流エキスは、溶媒1ml中に生薬1gの可溶性成分を含むように調製した液剤である。
本明細書において使用する場合、用語「チンキ(Tincture)」とは、生薬をエタノール又はエタノールと精製水の混液で浸出して製した液剤をいう。
本明細書において使用する場合、用語「ハンピ」とは、漢方薬の一種であり、マムシの皮を剥ぎ内臓を取り去り乾燥したものをいう。
(好ましい実施形態の説明)
(ヘビ抽出物の調製法)
ヘビ抽出物は、周知の種々の方法を用いて、調製することができる。その抽出のために使用するヘビは、乾燥処理をしたヘビであっても、乾燥処理をしていないヘビのいずれでもよい。本発明に使用するヘビ抽出物製造に用いる溶媒は、特に限定されない。例えば、メタノール、エタノール、ヘキサン、ベンゼン、アセトン、酢酸エチル、クロロホルム、、ジエチルエーテル、1、3−ブチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール等の有機溶媒や水等の溶媒を1種または2種以上を混合して使用することが出来る。好ましい溶媒は、エタノール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、またはプロピレングリコールのような有機溶媒、あるいは水である。抽出時間や抽出温度、抽出方法等の条件は、特に限定されない。溶媒の残留性や経済性、作業効率を考慮すると、ヘビをそのまま或いは乾燥した後、そのまま或いは粉砕し、ヘビの湿重量の1〜10倍量のエタノール又は、1、3−ブチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールを使用し、室温で1〜10日抽出するか、ヘビの湿重量の1〜10倍量の水を使用し80〜100℃で1〜10時間抽出した後、ろ過して得られる抽出液を用いることが好ましい。抽出液はそのまま或いは、必要に応じて濃縮または希釈し、本発明に用いることが出来る。
(流エキスの調製法)
生薬の流エキスは、代表的には、ヘビの乾燥物を25%〜50%エタノール(例えば、30%エタノール)で抽出することによって、製造することができる。ヘビ抽出物としての生薬は、例えば、三國株式会社(大阪市中央区)から市販されている。
(薬学的組成物の処方)
本発明はまた、有効量の治療剤の被験体への投与による、菌体外毒素の作用を中和することによって治療および/または予防され得る疾患または障害の処置および/または予防の方法を提供する。治療剤は、薬学的に受容可能なキャリア型(例えば、滅菌キャリア)と組み合せた、本発明の組成物を意味する。
治療剤を、個々の患者の臨床状態(特に、治療剤単独処置の副作用)、送達部位、投与方法、投与計画および当業者に公知の他の因子を考慮に入れ、医療実施基準(GMP=good medical practice)を遵守する方式で処方および投薬する。従って、本明細書において目的とする「有効量」は、このような考慮を行って決定される。
一般的提案として、用量当り、経口的に投与される治療剤の合計薬学的有効量は、患者体重を基準として、好ましくは、少なくとも10mg/kg/日、より好ましくは、約20mg/kg/日〜45mg/kg/日の範囲のGb3を投与する用量であるが、本発明の活性成分には毒性が認められないため、45mg/kg/日を越える量を投与することも可能であり、上記のようにこれは治療的裁量に委ねられる。
治療剤を、経口的、直腸内、非経口的、槽内(intracistemally)、膣内、腹腔内、局所的(粉剤、軟膏、ゲル、点滴剤、または経皮パッチによるなど)、口内あるいは経口または鼻腔スプレーとして投与し得る。本発明の薬学的組成物の代表的投与経路は、経口投与である。
「薬学的に受容可能なキャリア」とは、非毒性の固体、半固体または液体の充填剤、希釈剤、被包材または任意の型の処方補助剤をいう。
本発明の治療剤はまた、徐放性システムにより適切に投与されうる。徐放性治療剤の適切な例は、経口的、直腸内、非経口的、槽内(intracistemally)、膣内、腹腔内、局所的(粉剤、軟膏、ゲル、点滴剤、または経皮パッチによるなど)、口内あるいは経口または鼻腔スプレーとして投与され得る。「薬学的に受容可能なキャリア」とは、非毒性の固体、半固体または液体の充填剤、希釈剤、被包材または任意の型の処方補
助剤をいう。本明細書で用いる用語「非経口的」とは、静脈内、筋肉内、腹腔内、胸骨内、皮下および関節内の注射および注入を含む投与の様式をいう。
本発明の治療剤はまた、徐放性システムにより適切に投与される。徐放性治療剤の適切な例は、適切なポリマー物質(例えば、成形品(例えば、フィルムまたはマイクロカプセル)の形態の半透過性ポリマーマトリックス)、適切な疎水性物質(例えば、許容品質油中のエマルジョンとして)またはイオン交換樹脂、および貧可溶性誘導体(例えば、貧可溶性塩)を包含する。
徐放性マトリックスとしては、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号、EP58,481)、L−グルタミン酸およびγ−エチル−L−グルタメートのコポリマー(Sidmanら、Biopolymers 22:547−556(1983))、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)(Langerら、J.Biomed.Mater.Res.15: 167−277(1981)、およびLanger,Chem.Tech.12:98−105(1982))、エチレンビニルアセテート(Langerら、同書)またはポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸(EP133,988)が挙げられる。
徐放性治療剤はまた、リポソームに包括された本発明の治療剤を包含する(一般に、Langer,Science 249:1527−1533(1990);Treatら,Liposomes in the Therapy of Infectious Disease and Cancer,Lopez−Berestein and Fidler(編),Liss,New York,317−327頁および353−365(1989)を参照のこと)。治療剤を含有するリポソームは、それ自体が公知である方法により調製され得る:DE3,218,121;Epsteinら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:3688−3692(1985);Hwangら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4030−4034(1980);EP52,322;EP36,676;EP88,046;EP143,949;EP142,641;日本国特許出 願第83−118008号;米国特許第4,485,045号および同第4,544,545号ならびにEP第102,324号。通常、リポソームは、小さな(約200〜800Å)ユニラメラ型であり、そこでは、脂質含有量は、約30モル%コレステロールよりも多く、選択された割合が、最適治療剤のために調整される。
なおさらなる実施態様において、本発明の治療剤は、ポンプにより送達されうる(Langer、前出;Sefton、CRC Crit.Ref.Biomed.Eng.14:201(1987);Buchwaldら、Surgery 88:507(1980);Saudekら、N.Engl.J.Med.321:574(1989)を参照のこと)。
他の制御放出系は、Langer(Science 249:1527−1533(1990))による総説において議論される。
非経口投与のために、1つの実施態様において、一般に、治療剤は、それを所望の程度の純度で、薬学的に受容可能なキャリア、すなわち用いる投薬量および濃度でレシピエントに対して毒性がなく、かつ処方物の他の成分と適合するものと、単位投薬量の注射可能な形態(溶液、懸濁液または乳濁液)で混合することにより処方される。例えば、この処方物は、好ましくは、酸化、および治療剤に対して有害であることが知られている他の化合物を含まない。
一般に、治療剤を液体キャリアまたは微細分割固体キャリアあるいはその両方と均一および緊密に接触させて処方物を調製する。次に、必要であれば、生成物を所望の処方物に成形する。好ましくは、キャリアは、非経口的キャリア、より好ましくはレシピエントの血液と等張である溶液である。このようなキャリアビヒクルの例としては、水、生理食塩水、リンゲル溶液およびデキストロース溶液が挙げられる。不揮発性油およびオレイン酸エチルのような非水性ビヒクルもまた、リポソームと同様に本明細書において有用である。
キャリアは、等張性および化学安定性を高める物質のような微量の添加剤を適切に含有する。このような物質は、用いる投薬量および濃度でレシピエントに対して毒性がなく、このような物質としては、リン酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、酢酸および他の有機酸またはその塩類のような緩衝剤;アスコルビン酸のような抗酸化剤;低分子量(約10残基より少ない)ポリペプチド(例えば、ポリアルギニンまたはトリペプチド);血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリンのようなタンパク質;ポリビニルピロリドンのような親水性ポリマー;グリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸またはアルギニンのようなアミノ酸;セルロースまたはその誘導体、ブドウ糖、マンノースまたはデキストリンを含む、単糖類、二糖類、および他の炭水化物;EDTAのようなキレート剤;マンニトールまたはソルビトールのような糖アルコール;ナトリウムのような対イオン;および/またはポリソルベート、ポロキサマーもしくはPEGのような非イオン性界面活性剤が挙げられる。
治療剤は、代表的には、約10mg/ml〜50mg/ml、好ましくは25〜40mg/mlの濃度のGb3を提供するように(体重60kgとした場合)、約6〜9のpHで、このようなビヒクル中に処方される。前記の特定の賦形剤、キャリアまたは安定化剤を使用することにより、塩が形成されることが理解される。
治療的投与に用いられるべき任意の薬剤は、有効成分としてのウイルス以外の生物・ウイルスを含まない状態、すなわち、無菌状態であり得る。滅菌濾過膜(例えば0.2ミクロンメンブレン)で濾過することにより無菌状態は容易に達成される。一般に、治療剤は、滅菌アクセスポートを有する容器、例えば、皮下用注射針で穿刺可能なストッパー付の静脈内用溶液バッグまたはバイアルに配置される。
治療剤は、通常、単位用量または複数用量容器、例えば、密封アンプルまたはバイアルに、水溶液または再構成するための凍結乾燥処方物として貯蔵される。凍結乾燥処方物の例として、10mlのバイアルに、滅菌濾過した5%(w/v)治療剤水溶液5mlを充填し、そして得られる混合物を凍結乾燥する。凍結乾燥した治療剤を、注射用静菌水を用いて再構成して注入溶液を調製する。
本発明はまた、本発明の治療剤の1つ以上の成分を満たした一つ以上の容器を備える薬学的パックまたはキットを提供する。医薬品または生物学的製品の製造、使用または販売を規制する政府機関が定めた形式の通知が、このような容器に付属し得、この通知は、ヒトへの投与に対する製造、使用または販売に関する政府機関による承認を表す。さらに、治療剤を他の治療用化合物と組み合わせて使用し得る。
本発明の治療剤は、単独または他の治療剤と組合わせて投与され得る。組合わせは、例えば、混合物として同時に;同時にまたは並行してだが別々に;あるいは経時的のいずれかで投与され得る。これは、組み合わされた薬剤が、治療用混合物として共に投与されるという提示、およびまた、組み合わされた薬剤が、別々にしかし同時に、例えば、同じ個体に別々の静脈ラインを通じて投与される手順を含む。「組み合わせて」の投与は、一番目、続いて二番目に与えられる化合物または薬剤のうち1つの別々の投与をさらに含む。
本発明の菌体外毒素中和剤の製剤化にあたっては、前述の抽出物をそのまま使用してもよいが、これをさらに分画処理して有効成分であるGb3をより高濃度に含有する分画物として用いてもよい。
(飲食用組成物の製造)
本発明の好適な態様は飲食用組成物である。すなわち、前述のようにして得られるリン脂質を有効成分として含む薬学的組成物または飲食用組成物は、これをそのまま液状、ゲル状あるいは固形状の食品、例えばジュース、清涼飲料、コーヒー、紅茶、日本茶、ウーロン茶、野菜ジュース、天然果汁、乳飲料、牛乳、豆乳、スポーツ飲料、ニアウォーター系飲料、栄養補給飲料、コーヒー飲料、ココア、スープ、ドレッシング、ムース、ゼリー、ヨーグルト、プリン、ふりかけ、育児用粉乳、加工乳、スポーツドリンク、栄養ドリンク、ケーキミックス、パン、ピザ、パイ、クラッカー、ビスケット、ケーキ、クッキー、スパゲティー、マカロニ、パスタ、うどん、そば、ラーメン、キャンデー、ソフトキャンデー、ガム、チョコレート、おかき、ポテトチップス、スナック、アイスクリーム、シャーベット、クリーム、チーズ、粉乳、練乳、乳飲料などの粉末状または液状の乳製品、饅頭、ういろ、もち、おはぎ、醤油、たれ、麺つゆ、ソース、だしの素、シチューの素、スープの素、複合調味料、カレーの素、マヨネーズ、ケチャップ、レトルトカレー、レトルトシチュー、レトルトスープ、レトルトどんぶり、缶詰、ハム、ハンバーグ、ミートボール、コロッケ、餃子、ピラフ、おにぎり、冷凍食品および冷蔵食品、ちくわ、蒲鉾、弁当のご飯、寿司、乳児用ミルク、離乳食、ベビーフード、スポーツ食品、栄養補助食品、サプリメント、健康食品等に添加したり、必要に応じてデキストリン、乳糖、澱粉等の賦型剤や香料、色素等とともにペレット、錠剤、顆粒等に加工したり、またゼラチン等で被覆してカプセルに成形加工して健康食品や栄養補助食品等として利用できる。これらの食品類あるいは飲食用組成物における本発明のヘビ抽出物の配合量は、当該食品や組成物の種類や状態等により一律に規定しがたいが、約0.01〜50重量%、より好ましくは0.1〜30重量%である。配合量が0.01重量%未満では経口摂取による所望の効果が小さく、50重量%を超えると食品の種類によっては風味を損なったり当該食品を調製できなくなる場合がある。なお、本発明の菌体外毒素中和活性を有する抽出物は、これをそのまま食用に供してもさしつかえない。
本明細書において引用された、科学文献、特許、特許出願などの参考文献は、その全体が、各々具体的に記載されたのと同じ程度に本明細書において参考として援用される。
以上、本発明を、理解の容易のために好ましい実施形態を示して説明してきた。以下に、実施例に基づいて本発明を説明するが、上述の説明および以下の実施例は、例示の目的のみに提供され、本発明を限定する目的で提供したのではない。従って、本発明の範囲は、本明細書に具体的に記載された実施形態にも実施例にも限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
以下に実施例を示して本発明をさらに詳しく説明するが、この発明は以下の例に限定されるものではない。
(材料および方法)
19種類の生薬類(流エキス又はチンキ;三國株式会社、大阪市中央区)をリン酸緩衝液(PBS)で適宜希釈し、試料溶液とした。Vero細胞は、大日本製薬より購入した。培養液として、MEMα培地(GIBCO)に5%Fetal Bovine Serumを含む培養液を使用した。培養液で37℃、5%CO条件下で培養を行った。Vero毒素として、verotoxin−1(VT−1)、verotoxin−2(VT
−2)(いずれもNACALAI TESQUE INC製、100mg)を適宜培養液で希釈して使用した。Vero毒素中和抗体として、Anti−Verotoxin−1,2(NACALAI TESQUE INC製、100mg)を適宜培養液で希釈して用いた。測定用試薬として、Cell Count Reagent(NACALAI TESQUE INC製)を用いて吸光度測定を行った。
(試験方法)
96穴平底マイクロプレートの各ウェルに100μlのVero細胞浮遊液(10個/ml)を添加し、37℃、5%COインキュベーターで48時間培養後、一定濃度の生薬試料溶液(加熱処理、酸処理したものを含む)又はベロ毒素中和抗体Anti−Verotoxin−1,2及びVero毒素 verotoxin−1、verotoxin−2の希釈液を10μlずつ添加して撹拌する。更に37℃、5%COインキュベーターで48時間培養後、測定用試薬 Cell Count Reagent SF試薬を使用して細胞を発色させ、マイクロプレートリーダーを用いて紫外線(450μm)で吸光度測定し、なにも添加しない細胞の吸光度を生存率100%として、それぞれの条件での細胞の吸光度から生存率を算出した。対照として、細胞のみを培養したものを用いた。
(実施例1:20種類の生薬の流エキス又はチンキとベロ毒素による細胞の生存率について)
以下の20種の生薬について原液をPBSで4,16,64倍希釈した。Vero毒素
verotoxin−1,verotoxin−2原液を80、320、1280倍希釈した。
生薬として、流エキス(イカリソウ、エゾウコギ、オウギ、オウセイ、クコシ、コウジン、サンシュユ、サンヤク、ジオウ、タイソウ、トウキ、トウチュウカソウ、トチュウ、ニクジュヨウ、ニンジン、バクモンドウ、ハンピ、および、マタタビ)、ならびに、チンキ(カイクジン、および、ロクジョウ)を用いた。その結果、20種のうちハンピ流エキスを除く他の生薬では、ベロ毒素に対しての抗毒素活性を示さず、ベロ細胞の生存率は毒素のみを添加した場合とあまり変わらなかった。しかし、ハンピ流エキスのみは非常に高い抗毒素活性(Vero細胞に対するVero毒素の細胞障害作用を抑制)を示した。
添加する生薬原液の濃度とベロ毒素による細胞の生存率について、生薬A原液をPBSで希釈して0〜41.7mg/mlとなるように培養液に添加した。
生薬原液は、1ml中に生薬1g(の有効成分)が抽出されていると規定されている(日本薬局方)。試験に用いた試料は日局品であり、この規定に合っているため、この濃度を基準とした。毒素溶液は蛋白量として100mgを培養液で100mlとした。
(実施例2:VT−1を用いた場合の、生薬濃度による生存率への影響)
VT−1の9種の毒素濃度(0.4μg/L、0.8μg/L、1.6μg/L、3.3μg/L、6.5μg/L、13.0μg/L、26.0μg/L、52.1μg/L、および、104.5μg/L)について、生薬濃度に依存してベロ細胞の生存率が上昇した。
VT−1の場合、毒素のみの場合、毒素の濃度を低く(0.4μg/g)しても生存率は20%以下であった。しかし、生薬濃度を上げていくと、ベロ細胞の生存率は上昇し、生薬濃度が20mg/ml以上では毒素の量を100μg/lとしても生存率は50%に近い、またはそれ以上の生存率であった。ただし生薬濃度をこれ以上上げても生存率の上昇は見られなかった。結果を図1に示す。
(実施例3:VT−2を用いた場合の、生薬濃度による生存率への影響)
VT−2の9種の毒素濃度について、生薬濃度に依存してベロ細胞の生存率が上昇した。VT−2の場合、VT−1に比べて全体的に生存率が高い値を示した。また、毒素の濃度を低くすると、VT−1より生存率は高い傾向を示した。結果を図2に示す。
(実施例4:ベロ毒素中和抗体とベロ毒素による細胞の生存率)
生薬の代わりにベロ毒素中和抗体を加えて、毒素と反応させた場合のベロ細胞の生存率を測定した。毒素中和抗体を2.3〜225μg/mlとした。中和抗体溶液は蛋白量として54mgを培養液で10mlとした。これをまず2倍希釈した(そうするとこの液の中和抗体濃度は2.7mg/mlとなる)。これを細胞培養液と生薬溶液110μlに10μl加えた(120μl中に中和抗体量は27μgであるから、1ml中には225μgとなる)。VT−1についての結果を図3に、VT−2についての結果を図4に示す。
VT−1抗体を毒素と共に細胞に添加すると、抗体濃度が高いほど生存率は上昇した。
抗体濃度が225μg/mLでは、毒素の濃度にかかわらず、ほぼ毒素の効果は現れなかった。VT−2抗体を添加した場合も、抗体濃度が上がると、生存率も上がるが、VT−1ほど顕著には上がらず、225μg/mLでは、毒素を添加しない場合の60〜75%程度の生存率にとどまった。以上の結果からベロ細胞の生存率はベロ毒素の作用によることが確認された。
(実施例5:生薬原液の加熱処理とベロ毒素による細胞の生存率)
生薬原液を加熱処理(沸騰水浴中・約100℃で3分間)した場合のベロ細胞への影響を調べた。
VT−1については、生薬濃度の高い場合は若干の差は見られたものの、他の生薬濃度ではほぼ同様の生存率を示した。VT−2については、生薬濃度や毒素濃度の条件を変えてもほぼ同様の生存率を示した。これらの結果から生薬中の抗ベロ毒素活性物質は加熱(沸騰水浴中約98℃)により失活しないと推定された。VT−1についての結果を図5に、VT−2についての結果を図6に示す。
(実施例6:生薬原液の酸処理とベロ毒素による細胞の生存率)
生薬原液を酸処理(酢酸緩衝液でpHを4とする)した場合のベロ細胞への影響を調べた。VT−1については生薬濃度及び毒素濃度を変化させてもほぼ同様の生存率を示した。VT−2についてはVT−1より細胞の生存率が上がる他はほぼ同様の生存率を示した。酸処理は酢酸酸性(pH4)で行った。VT−1についての結果を図7に、VT−2についての結果を図8に示す。
(実施例7:生薬原液とベロ毒素溶液を事前に混合したものを添加した場合とそれぞれを同時に細胞に添加した場合の細胞の生存率)
生体外で生薬(漢方)成分をベロ毒素が反応するかを調べる目的で、生薬とベロ毒素溶液をベロ細胞培養液に添加あうる2時間前に混合した場合と、それぞれを同時にベロ細胞に添加した場合のベロ細胞の生存率を調べた。VT−1については全体的に事前に生薬と毒素を混合した場合の方がわずかに生存率が上がっていた。VT−2についても同様の傾向がみられたが、毒素を培養液で希釈した場合、時間経過と共に若干の毒力の低下を示すことから、添加方法の差による生存率への影響はVT−1、VT−2共にほとんどないと思われる。VT−1についての結果を図9に、VT−2についての結果を図10に示す。
(実施例8:ベロ細胞に生薬を添加し、24時間放置し、その後、細胞の培養液を取り
替えて、ベロ毒素を添加する。これと対照に今までのように同時に添加した場合を比較した)
ベロ細胞に生薬を添加し、24時間放置し、その後、細胞の培養液を取り替えて、ベロ毒素を添加した。これと対照に今までのように同時に添加した場合を比較した。その結果、実施例7と比較して、VT−1はどの生薬濃度における毒素濃度においても生薬を24時間前に添加したものの方が生存率が約10%前後減少した。VT−2では生薬濃度が低い方では、24時間前に添加したものの方が生存率が5〜10%減少したが、生薬濃度が20.8mg/mlでは、どの毒素濃度でもほぼ同じ生存率を示した。VT−1についての結果を図11に、VT−2についての結果を図12に示す。
(まとめ)
(1)20種の生薬のうち、ハンピ流エキスだけが抗毒素活性を示した。
(2)添加した生薬濃度と細胞の生存率は比例する(生薬濃度が上がれば、生存率も上がる)。
(3)ベロ毒素中和抗体を加えると、細胞の生存率は上がった(細胞の傷害を起こす原因物質はベロ毒素であることが確認された)。
(4)生薬溶液は沸騰水浴中で加熱しても効力を失わない(生薬溶液中の抗ベロ毒素活性を持つ物質は耐熱性である)。
(5)生薬溶液中の抗ベロ毒素活性物質は酢酸酸性pH4によっても効力を失わなかった

(6)生薬溶液と毒素溶液を2時間前に事前混合しておいても、細胞障害の程度にあまり差は認められなかった(事前混合によってわずかに生存率は上昇した)。
(7)細胞に生薬溶液を加えて24時間培養し、その後毒素溶液を加えると、生薬と毒素溶液を同時に加えた場合よりも生存率が10%ほど下がった。
という結果が得られた。
(実施例9:ヘビ抽出物は、Gb3を含有する)
(1.ポジティブコントロールとしてのGb3の単離)
Gb3を調製するための細胞として、ヒトネグロイドバーキットリンパ腫(Human
Negroid Burkitt’s Lymphoma)細胞であるECACC標準細胞、DAIDI(ECACC No.85011437)を2〜9×10細胞/mlを、10%ウシ胎児血清を添加したRPMI培地(シグマカタログナンバー R8757
グルタミン入り)中で培養した。培養細胞を、クロロホルム:メタノール混液(1:1)で抽出し、これをGb3のポジティブコントロールとして使用した。
(抗原抗体反応によるGb3の検出)
試料及びポジティブコントロール溶液各々100μLを、ポリビニリデンフロリド(PVDF)メンブラン(イモビロンP、ミリポア社製)にドットプレートを用いて吸引により吸着させた。サンプルは、「ブランク」(PBSのみ)、「バーキットリンパ腫」(ECACC標準細胞、DAIDI、5×10個)、「ハンピ」(マムシの25%流エキス50μl、三國株式会社、大阪市中央区)、「ハブ」(ハブ入りハブ酒50μl、三國株式会社、大阪市中央区)、「コブラ」(コブラの15%チンキ剤)、「ミルク」(牛乳100μl)を使用した。
メンブランをブロッキング溶液(0.4%ブロックエース)に室温で1時間漬けた。次いでメンブランに一次抗体溶液(ラットの抗ヒトCD77 100T抗体(Serotec社)を0.4%ブロックエースPBS溶液で50倍または100倍に希釈した溶液)をマウントし、表面をパラフィルムで覆い、4℃で一夜放置し、反応させた。メンブランを0.5% Triton X−100リン酸緩衝液で4〜5回洗浄し、次いでリン酸緩衝液で1〜2回洗浄する。次いでメンブランに二次抗体溶液(抗ラットIgG;Ameri
can Resarch Product,Inc製)をマウントし、室温で2時間反応させた。メンブランを先と同様に洗浄し、染色試薬(イムノステインHRP−1000 コニカミノルタMG(株)製)で染色した。結果を図11に示す。
結果に示されるように、ヘビ抽出物は、Gb3を含有していた。その含有量は、従来Gb3を含有することが公知である牛乳よりも多かった。従って、ヘビ抽出物による菌体外毒素中和活性の少なくとも一部は、Gb3に起因すると考えられる。
実施例1〜8の結果と、実施例9の結果を総合すると、牛乳で必要量の菌体外毒素中和剤を摂取する場合には、2.4リットルが必要であり、その一方で、ハンピでは10〜20mlが必要であり、ハブ酒では20〜30mlが必要である。従って、牛乳はハンピの120倍量、ハブ酒の80倍量が必要となる。これをGb3に換算すると、牛乳は0.5mg、ハンピは13〜26μgのGb3が必要という結果になる。この結果は、ハンピのようなヘビ抽出物中には未同定の菌体外毒素中和活性を有する物質が含まれていることを示唆するものであり、この点においても、ヘビ抽出物を含有する本発明の組成物は、従来技術からは予測できない顕著な効果を奏するものである。
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
本発明に従って、安価でかつ簡便に調製可能な、腸管出血性大腸菌の菌体外毒素を中和する組成物が提供される。

Claims (18)

  1. ヘビ抽出物を含有する、腸管出血性大腸菌の菌体外毒素の毒性を中和するための薬学的組成物。
  2. 前記ヘビ抽出物が毒ヘビ類由来である、請求項1に記載の薬学的組成物。
  3. 前記ヘビ抽出物がマムシ抽出物である、請求項1に記載の薬学的組成物。
  4. 前記マムシ抽出物がハンピ流エキスである、請求項3に記載の薬学的組成物。
  5. 前記ヘビ抽出物がコブラ抽出物である、請求項1に記載の薬学的組成物。
  6. 前記コブラ抽出物がコブラチンキ剤である、請求項5に記載の薬学的組成物。
  7. 前記ヘビ抽出物がハブ抽出物である、請求項1に記載の薬学的組成物。
  8. 前記ハブ抽出物がハブ酒である、請求項7に記載の薬学的組成物。
  9. 前記腸管出血性大腸菌がO157である、請求項1に記載の薬学的組成物。
  10. ヘビ抽出物を含有する、腸管出血性大腸菌の菌体外毒素の毒性を中和するための飲食用組成物。
  11. 前記ヘビ抽出物が毒ヘビ類由来である、請求項10に記載の飲食用組成物。
  12. 前記ヘビ抽出物がマムシ抽出物である、請求項10に記載の飲食用組成物。
  13. 前記マムシ抽出物がハンピ流エキスである、請求項12に記載の飲食用組成物。
  14. 前記ヘビ抽出物がコブラ抽出物である、請求項10に記載の飲食用組成物。
  15. 前記コブラ抽出物がコブラチンキ剤である、請求項14に記載の飲食用組成物。
  16. 前記ヘビ抽出物がハブ抽出物である、請求項10に記載の飲食用組成物。
  17. 前記ハブ抽出物がハブ酒である、請求項16に記載の飲食用組成物。
  18. 前記腸管出血性大腸菌がO157である、請求項10に記載の飲食用組成物。
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