JPWO2008044668A1 - 粉体塗料、塗装物の製造方法及び塗装物 - Google Patents

粉体塗料、塗装物の製造方法及び塗装物 Download PDF

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Abstract

合成樹脂と導電性フィラーとを含む粉体塗料であって、導電性フィラーが、炭素含有量が85〜97質量%で体積抵抗率が1×10〜1×108Ω・m(1×103〜1×1010Ω・cm)の炭素前駆体であり、合成樹脂と炭素前駆体との含有割合が、合成樹脂が60〜95質量%で、炭素前駆体が5〜40質量%であり、粉体塗料の形態が、平均粒径10〜300μmの合成樹脂粒子と平均粒径5〜100μmの炭素前駆体粒子との粉体混合物、合成樹脂と炭素前駆体とを含有する合成樹脂組成物からなる平均粒径10〜300μmの合成樹脂組成物粒子、またはこれらの混合物である粉体塗料;該粉体塗料を用いた塗装物の製造方法、並びに塗装物。

Description

本発明は、合成樹脂と炭素前駆体とを含む粉体塗料に関し、さらに詳しくは、被塗装物の表面に塗装して半導電性塗膜を形成することができる粉体塗料に関する。また、本発明は、該粉体塗料を利用した半導電性塗膜を有する塗装物とその製造方法に関する。
近年、静電気放電対策は、電子機器の分野を含む幅広い技術分野で注目されている。例えば、広範な産業分野において、軽量化や耐食性などの観点から、金属材料から樹脂材料への代替化が進んでいる。電子機器の分野においても、電子デバイスのキャリアやカセットなどとして樹脂部材が用いられている。しかし、樹脂材料は、一般に電気絶縁性であるため、樹脂材料からなる成形品や部品などの部材は、摩擦などにより容易に帯電する性質を有している。
帯電した樹脂部材に電子機器が接触すると、瞬間的な電荷移動による静電気放電(Electrostatic discharge:ESD)が起こる。電荷移動時に発生する電流は、静電気ノイズを発生して電子機器に誤動作を起こしたり、静電破壊(ESD破壊)を生じたりする。このような電子機器には、電子デバイスが含まれる。電子デバイスとしては、LSI、システムLSI、トランジスタなどの半導体デバイス;半導体デバイスの周辺で用いられる電子部品;CRT、EL、フラットパネルディスプレイ(液晶パネル、プラズマディスプレイなど)などのディスプレイデバイス;プリント配線基板などの機構部品;などが含まれる。
特に、入力インピーダンスの大きい回路を有する高周波デバイスでは、静電気放電による電流が回路に大きな電圧を生じさせて、該回路の絶縁破壊を引き起こす。静電気によって励起される放電電流による電磁界により、LSIなどの半導体デバイスが磁気的に破壊されるソフトESDという現象が生じたり、放電時の火花による火災・爆発などの発生が生じたりすることがある。
静電気放電による問題として軽視できないのは、摩擦による人体の帯電現象である。例えば、衣服同士の摩擦、車のシートと衣類との摩擦などにより、人体に静電気が帯電する。帯電した静電気は、人体が電子機器と触れることにより放電する。この静電気放電により流れる電流は、高周波数の成分を含んでいるため、電子機器に高周波数の電流が流れて、誤動作や静電破壊を生じる。人体に帯電した静電気が、電子機器と接触して用いられる部材に流れると、該部材を介して、電子機器に静電気放電や静電気破壊を引き起こす。
静電気放電対策技術が特に注目されているのは、半導体分野、ハードディスクドライブ(HDD)分野、液晶ディスプレイ分野などである。これらの技術分野では、電子デバイスの高性能化、高集積化、高密度化による各構成部位の微細化が進行しており、電子デバイスの静電破壊対策は、極めて重要な課題となっている。電子デバイスを誤動作や静電破壊から保護するには、電子デバイスが接触する部材を帯電させないこと、該部材の静電気放電時の電荷移動速度を制御して、発生電流レベルを抑制することが重要である。
電子機器が接触する部材が帯電すると、空気中の塵埃を吸着して汚染されるため、汚染された部材と接触する電子機器をも汚染する。同様に、帯電した部材に電子機器が接触すると、該部材の静電気が電子機器側に流れて電子機器の表面が帯電し、それが空気中の塵埃を吸着して汚染する原因となる。
導電性フィラーを添加した樹脂組成物を用いて、電子機器と接触する樹脂部材を形成する方法が提案されている。しかし、この方法では、樹脂部材の表面抵抗率を精密かつ均一に制御することが困難であることに加えて、樹脂部材の機械的強度が不足する場合があったり、使用可能な樹脂材料の種類が制限されたりするという問題があった。
他方、金属材料を用いて作製したキャリアやカセットなどのように、電子機器と接触する部材の導電性が高すぎると、感電または漏電若しくは帯電している電子機器が該部材との接触時に急激に放電して、回路が破壊されることがある。
ESD対応部材に求められる特性は、電荷移動速度が比較的遅く、かつ、帯電し難いことである。電荷移動速度は、部材の表面抵抗率に依存する。一般に、ESD対応部材に求められる表面抵抗率は、10〜1013Ω/□の半導電性領域(静電気拡散性領域)である。表面抵抗率の単位は、一般にΩで表わされているが、Ω/□で表わす場合がある。すなわち、表面抵抗率は、試験片の表面に沿って流れる電流と平行方向に電位傾度を、表面の単位幅当りの電流で除した数値である。この数値は、各辺1cmの正方形の相対する辺を電極とする2つの電極間の表面抵抗に等しい。そこで、従来より、表面抵抗率の単位をΩ/□で表わすことがあり、本発明でも表面抵抗率の単位をΩ/□で表わす。
ESD対策として、樹脂部材や金属部材の表面に半導電性塗膜を形成する方法が考えられる。つまり、部材の表面に表面抵抗率が10〜1013Ω/□の半導電性領域の塗膜を形成することによって、電荷移動速度を制御し、静電破壊を防止する方法である。半導電性塗膜を形成するには、導電性カーボンブラックや炭素繊維、金属繊維などの導電性フィラーを添加した塗料を使用する方法が考えられる。しかし、導電性フィラーを添加した塗料は、溶剤の揮散に伴う環境汚染、塗膜の表面抵抗率のバラツキ、塗膜からの脱落粉などの問題を抱えている。
溶液型の塗料は、塗膜形成時に有機溶剤が揮散するため、環境を汚染する。導電性フィラーとして代表的な導電性カーボンブラックを添加した塗料は、導電性カーボンブラックの添加量やストラクチャー、分散状態によって、塗膜の表面抵抗率を所望の範囲内に制御することが困難である上、場所による表面抵抗率のバラツキが大きい。表面抵抗率の場所によるバラツキが大きい塗膜は、摩擦による帯電が起こりやすい部位と急激な電荷移動が起こりやすい部位とが混在し、これらの微小領域から静電破壊が生じることがある。
導電性カーボンブラックなどの汎用の導電性フィラーは、導電性フィラーの体積抵抗率が小さすぎるため、塗膜の表面抵抗率を半導電性領域に制御するには、その添加量を少なくする必要がある。ところが、導電性フィラーの添加量を少なくすると、形成された塗膜に表面抵抗率のバラツキが生じる。該導電性フィラーは、添加量の僅かな変動によっても、塗膜の表面抵抗率を大幅に変動させる。導電性フィラーの添加量を大きくすると、塗膜の導電性が高くなり、所望の半導電性領域の表面抵抗率を有する塗膜を得ることができない。
さらに、導電性フィラーを含有する塗料において重要な問題は、塗膜からの脱落粉が極めて多いことである。例えば、導電性カーボンブラックや金属粉を添加した塗料を用いて形成した塗膜は、導電性カーボンブラックや金属粉の脱落が生じやすい。これらの脱落粉は、半導体デバイスなどの電子機器の汚染、微細な回路の短絡、電子デバイスの性能低下などの原因となる。
導電性フィラーとして炭素繊維や金属繊維を使用すると、薄い塗膜を形成することが困難である。塗膜の膜厚が薄すぎると、塗膜表面から炭素繊維または金属繊維の一部が突き出して、導電スポットを形成したり、突き出した部分が剥離の原因となって脱落粉が増大する。膜厚を厚くしても、このような傾向を十分に抑制することは困難である。
より具体的に、特開平4−180972号公報(特許文献1)には、10μm以下の粉末に微細化した炭素繊維と合成樹脂とを主成分とする導電性コーティング用組成物が開示されている。しかし、このコーティング用組成物は、溶剤の揮散、脱落粉の発生などの問題がある。
特開昭61−148702号公報(特許文献2)には、バインダー樹脂、カーボンブラック、および溶剤からなる処理剤を基材上に塗布し、その上にオーバーコート処理剤を塗布した導電材料が開示されている。しかし、この導電材料は、塗膜の表面抵抗率の制御と場所による表面抵抗率のバラツキの抑制、溶剤の揮散などの問題がある。また、特許文献2に記載の方法では、オーバーコート層の形成が必要である。
粉体塗料の技術分野では、例えば、特開昭62−227967号公報(特許文献3)には、平均粒径2〜150μmの熱流動性フッ素樹脂の焼結粉末の粒子内に、導電性カーボンブラックおよび炭素繊維粉末を含有させたフッ素樹脂粉体塗料が開示されている。該フッ素樹脂粉体塗料は、溶剤を用いていないため、塗膜形成時の環境汚染問題が緩和されているが、導電性カーボンブラックを用いているため、塗膜の表面抵抗率の制御や場所によるバラツキの抑制が困難であり、脱落粉の問題もある。
特開昭54−56640号公報(特許文献4)には、熱可塑性重合体の粒子内に分散したカーボンブラックを有し、かつ、粒子の表面にカーボンブラックの粘着被覆を有する微細粒子が開示されている。この微細粒子は、静電複写法におけるトナーとして用いられるものである。
特開昭61−283624号公報(特許文献5)には、平均粒径0.7〜300μmのポリマーコアの表面に、カップリング剤処理した微粒子を付着させたポリマー粒子が開示されており、該微粒子として、カーボンブラックなどの顔料を用いることが記載されている。このポリマー粒子は、トナー、塗料、インキ、担体などの用途に用いられるものである。
特開昭63−93346号公報(特許文献6)には、懸濁重合法により得られた合成樹脂微小球が開示されており、該合成樹脂微小球にカーボンなどの着色剤を含有させることも記載されている。この合成樹脂微小球は、磁性粉体、粉体塗料、トナーなどの用途に用いられるものである。
特開2002−69334号公報(特許文献7)及び特開2002−69379号公報(特許文献8)には、粉体塗料の製造方法に関する発明が開示されており、黒色顔料としてカーボンブラックを含有させることも記載されている。
しかし、特許文献4〜8に開示されている樹脂粒子は、カーボンブラックを含有するものであるため、粉体塗料として用いた場合、塗膜の表面抵抗率の制御や場所によるバラツキの抑制が困難であり、脱落粉の問題もある。さらに、カーボンブラックを多量に含有させると、塗膜との接触により、電子機器に黒色の汚染が生じやすい。
特開平4−180972号公報 特開昭61−148702号公報 特開昭62−227967号公報 特開昭54−56640号公報(米国特許第4,158,634号明細書) 特開昭61−283624号公報 特開昭63−93346号公報 特開2002−69334号公報 特開2002−69379号公報
本発明の課題は、溶剤の揮散による環境汚染がなく、樹脂材料や金属材料などの各種材料から形成された部材の表面に塗装したとき、表面平滑性に優れ、所望の半導電性領域の表面抵抗率を有し、脱落粉が著しく少ない塗膜を形成することができる粉体塗料を提供することにある。
また、本発明の課題は、電子機器と接触して用いられる部材の表面に塗膜を形成した場合、電子機器の静電気放電や静電破壊が顕著に抑制された塗膜を形成することができる粉体塗料を提供することにある。
本発明の他の課題は、このような優れた諸特性を有する粉体塗料を被塗装物の表面に塗装して、半導電性塗膜を形成する塗装物の製造方法、並びに該半導電性塗膜を有する塗装物を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究した結果、合成樹脂と導電性フィラーとを含む粉体塗料において、導電性フィラーとして、炭素含有量が85〜97質量%で、体積抵抗率が1×10〜1×10Ω・m(1×10〜1×1010Ω・cm)の炭素前駆体を使用し、合成樹脂と炭素前駆体とを特定の割合で含有させた粉体塗料に想到した。本発明の粉体塗料の形態としては、合成樹脂粒子と炭素前駆体粒子との粉体混合物、合成樹脂と炭素前駆体とを含有する合成樹脂組成物粒子、またはこれらの混合物がある。
本発明の粉体塗料は、溶剤を用いていないため、溶剤の揮散による環境汚染の発生を引き起こすことがない。本発明の粉体塗料は、好ましくは、1×10〜1×1013Ω/□の表面抵抗率を有する半導電性塗膜を形成することができる。本発明の粉体塗料を用いて形成した塗膜は、表面抵抗率を精密に制御することができる上、場所による表面抵抗率のバラツキが小さく、脱落粉も著しく少ない。該塗膜は、被塗装物に、耐薬品性、防食性などの特性を付与することもできる。本発明の粉体塗料は、流動浸漬法、溶射法または静電粉体吹付け法により、被塗装物の表面に塗装して、半導電性塗膜を形成することができる。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
かくして、本発明によれば、合成樹脂と導電性フィラーとを含む粉体塗料であって、
(1)導電性フィラーが、炭素含有量が85〜97質量%で、体積抵抗率が1×10〜1×10Ω・m(1×10〜1×1010Ω・cm)の炭素前駆体であり、
(2)合成樹脂及び炭素前駆体の含有割合が、合成樹脂が60〜95質量%で、炭素前駆体が5〜40質量%であり、並びに
(3)粉体塗料の形態が、
a)平均粒径10〜300μmの合成樹脂粒子と平均粒径5〜100μmの炭素前駆体粒子との粉体混合物、
b)合成樹脂と炭素前駆体とを含有する合成樹脂組成物からなる平均粒径10〜300μmの合成樹脂組成物粒子、または
c)これらの混合物である
ことを特徴とする粉体塗料が提供される。
また、本発明によれば、前記粉体塗料を被塗装物の表面に塗装して、半導電性塗膜を形成することを特徴とする塗装物の製造方法が提供される。さらに、本発明によれば、前記粉体塗料の塗装による半導電性塗膜が形成された塗装物が提供される。
本発明によれば、溶剤の揮散による環境汚染がなく、樹脂材料や金属材料などの各種材料から形成された部材の表面に塗装したとき、表面平滑性に優れ、所望の半導電性領域の表面抵抗率を有し、脱落粉が著しく少ない塗膜を形成することができる粉体塗料が提供される。本発明の粉体塗料は、電子機器と接触して用いられる部材の表面に塗膜を形成した場合、電子機器の静電気放電や静電破壊が顕著に抑制された塗膜を形成することができる。
本発明によれば、このような優れた諸特性を有する粉体塗料を被塗装物の表面に塗装して、半導電性塗膜を形成する塗装物の製造方法、並びに該半導電性塗膜を有する塗装物が提供される。
本発明の粉体塗料は、電子機器の静電気放電や静電破壊の対策の分野に適用することができるだけではなく、帯電防止、静電防止、電波障害防止、塵埃の吸着防止、半導電性付与など半導電性領域の表面抵抗率を有する表面特性を必要とする広範な技術分野において、各種物品の被覆に利用することができる。
本発明では、導電性フィラーとして、炭素含有量が85〜97質量%で、体積抵抗率が1×10〜1×10Ω・m(1×10〜1×1010Ω・cm)の炭素前駆体を使用する。導電性カーボンブラックや黒鉛などの炭素系導電性フィラーは、一般に、炭素含有量が99質量%以上で、体積抵抗率も1×10−4Ω・m(1×10−2Ω・cm)程度と極めて小さい導電性フィラーであり、本発明で使用する炭素前駆体とは異なるものである。本発明で使用する炭素前駆体の真密度は、通常、1.20〜1.60g/cmである。
本発明で使用する炭素前駆体は、有機物質を不活性雰囲気中、400〜900℃の温度で焼成することにより得ることができる。このような炭素前駆体は、例えば、(1)石油タール、石油ピッチ、石炭タール、石炭ピッチなどのピッチやタールを加熱して、芳香族化と重縮合を行い、必要に応じて、酸素雰囲気中において酸化・不融化し、さらに、不活性雰囲気において加熱・焼成する方法;(2)ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニルなどの熱可塑性樹脂を酸素雰囲気中において不融化し、さらに、不活性雰囲気中で加熱・焼成する方法;(3)フェノール樹脂、フラン樹脂などの熱硬化性樹脂を加熱硬化後、不活性雰囲気中で加熱・焼成する方法;などにより製造することができる。これらの製造方法によって、炭素の含有量が85〜97質量%で、完全には炭素化していない炭素前駆体が得られる。
有機物を不活性雰囲気中で加熱・焼成すると、焼成温度が上昇するにつれて、得られる焼成体の炭素含有量が上昇する。炭素前駆体の炭素含有量は、焼成温度を適正に設定することによって、容易に制御することができる。本発明で使用する炭素前駆体の炭素含有量は、85〜97質量%の範囲内にある。炭素前駆体の炭素含有量が少なすぎると、その体積抵抗率が大きくなり、得られる塗膜の表面抵抗率を1×1013Ω/□以下にすることが困難となる。
炭素前駆体の炭素含有量が多すぎると、その体積抵抗率が小さくなり、得られる塗膜の表面抵抗率が小さくなりすぎる。しかも、炭素前駆体の添加量の僅かの変化でも、塗膜の表面抵抗率が急激に変化する。したがって、このような炭素前駆体を用いると、所望の半導電性領域の表面抵抗率を有する塗膜を安定して再現性よく製造することが困難となる。
炭素前駆体の体積抵抗率は、1×10〜1×10Ω・m(1×10〜1×1010Ω・cm)であり、好ましくは1×10〜1×10Ω・m(1×10〜1×10Ω・cm)、より好ましくは1×10〜1×10Ω・m(1×10〜1×10Ω・cm)である。炭素前駆体の体積抵抗率が上記範囲内にあることによって、所望の表面抵抗率を有し、場所による表面抵抗率のバラツキが小さな塗膜を形成することができる。
炭素前駆体の形状は、粒状、フレーク状、棒状、不定形などであり、非繊維状であることが好ましい。炭素前駆体の平均粒径は、好ましくは5〜100μm、より好ましくは10〜75μm、さらに好ましくは15〜30μmである。炭素前駆体の平均粒径が大きすぎると、粉体塗装時において、塗装膜の凹凸が大きくなったり、分散不良による表面抵抗率のバラツキが生じたりするため、好ましくない。炭素前駆体の平均粒径が前記範囲内にあることによって、表面性、表面抵抗率、脱落粉の抑制などの点で良好な塗膜を得ることができる。
炭素前駆体の平均粒径が所望の範囲内にあっても、その中に含まれる最大粒子径が大きく、その含有率が高い場合には、塗膜厚によっては、表面性が悪くなってしまう。塗膜厚は、好ましくは20〜2000μm、より好ましくは30〜500μm、特に好ましくは40〜300μmである。炭素前駆体の最大粒径の上限値は、塗膜厚からみて、500μm程度であることが好ましい。炭素前駆体の最小粒子径の下限値も、脱落粉の量と関連しており、1μm程度であることが好ましい。
炭素前駆体の平均粒径が10〜75μmである場合、粒径106μm以上の粒子の含有量が5質量%以下であり、かつ、粒径4.7μm以下の粒子の含有量が10質量%以下であることが好ましい。炭素前駆体の平均粒径が15〜30μmである場合は、粒径75μm以上の粒子の含有量が5質量%以下であり、かつ、粒径4.7μm以下の粒子の含有量が8質量%以下であることが好ましい。
炭素前駆体の粒径分布は、平均粒径の4倍以上の粒子の含有量が5質量%以下で、平均粒径の1/4以下の粒子径の粒子の含有量が8質量%以下であることが好ましい。
本発明で使用する合成樹脂は、粉体塗料に適したものが好ましく、その具体例としては、ポリアミド、ポリアセタール、熱可塑性ポリエステル(ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートなど)、ポリエチレン(高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレンなど)、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリイソプレン、ポリブテン、ポリ−p−キシレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテル、ポリウレタン、ポリジメチルシロキサン、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル、ABS樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィドケトン、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリエーテルニトリル、全芳香族ポリエステル、熱流動性フッ素樹脂、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリアミノビスマレイド、トリアジン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、またはこれらの変性物などが挙げられる。
熱流動性フッ素樹脂としては、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン/テトラフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニル、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、エチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体、プロピレン/テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルパーフルオロビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン/クロロトリフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン/エチレン/イソブチレン共重合体、エチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/エチルビニルエーテル共重合体などが挙げられる。
これらの合成樹脂は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの合成樹脂の中でも、熱可塑性樹脂としては、PEEK、PPS、PEI、PC、フッ素樹脂(FEP、PFA、ETFEなど)、アクリル樹脂(ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸メチルなど)などが好ましく、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂が好ましい。
これらの合成樹脂を用いることにより、表面平滑性に優れ、半導電性領域の表面抵抗率を有し、脱落粉が少ない塗膜を形成することができる。特に、アクリル樹脂およびエポキシ樹脂を用いた粉体塗料は、脱落粉の発生を抑制しつつ、静電破壊の防止性、耐薬品性に優れ、被塗装物が金属材料からなるものである場合には、防食性を付与することができる塗膜を形成することができる。フッ素樹脂を用いると、離型性にも優れるため、電子写真方式の複写機などの画像形成装置に配置される定着ローラ、加圧ローラ、現像ローラなどの表面層を形成するのに好ましい粉体塗料を得ることができる。
本発明の粉体塗料の形態は、
a)平均粒径10〜300μmの合成樹脂粒子と平均粒径5〜100μmの炭素前駆体粒子との粉体混合物、
b)合成樹脂と炭素前駆体とを含有する合成樹脂組成物からなる平均粒径10〜300μmの合成樹脂組成物粒子、または
c)これらの混合物である。
粉体塗料が、合成樹脂粒子と炭素前駆体粒子との粉体混合物である場合、合成樹脂粒子の平均粒径は、好ましくは10〜300μm、より好ましくは20〜250μm、さらに好ましくは30〜200μmである。合成樹脂粒子が熱可塑性樹脂粒子である場合、粉砕し、必要に応じて分級することにより、所望の粒径を有する合成樹脂粒子を調製することができる。
合成樹脂粒子が熱硬化性樹脂粒子である場合には、未硬化の熱硬化性樹脂を粉砕し、必要に応じて分級する方法により、所望の粒径を有する合成樹脂粒子を調製することができる。熱硬化性樹脂の粉砕および分級は、熱硬化性樹脂の硬化温度より低い温度で行うことが好ましい。未硬化の熱硬化性樹脂の溶融粘度が低すぎる場合には、粒子形状を保持するために、粉砕工程の前後で一部硬化させてもよい。したがって、未硬化の熱可塑性樹脂粒子には、完全に硬化していない熱硬化性樹脂粒子だけではなく、一部硬化した(半硬化状態の)熱硬化性樹脂粒子が含まれる。炭素前駆体は、必要に応じて粉砕し、分級することにより、所望の粒径に調整することができる。炭素前駆体の好ましい平均粒径は、前述のとおりである。
本発明の粉体塗料の形態が合成樹脂と炭素前駆体とを含有する合成樹脂組成物からなる平均粒径10〜300μmの合成樹脂組成物粒子である場合、熱可塑性樹脂と炭素前駆体とを溶融混練し、得られた混練物を粉砕し、必要に応じて分級する方法を採用することができる。また、熱可塑性樹脂を形成する1種以上の重合性単量体と炭素前駆体とを混合し、得られた重合性単量体組成物を懸濁重合する方法により、炭素前駆体が分散した合成樹脂組成物粒子を合成することができる。
合成樹脂が熱硬化性樹脂の場合、未硬化の熱硬化性樹脂と炭素前駆体とを、該熱硬化性樹脂が実質的に硬化しない温度条件下で溶融混練し、得られた混練物を粉砕し、必要に応じて分級することにより、合成樹脂組成物粒子を調製することができる。熱硬化性樹脂の溶融粘度が低すぎる場合は、溶融混練時に、一部硬化させてもよい。したがって、未硬化の熱硬化性樹脂には、完全に硬化していない熱硬化性樹脂だけではなく、一部硬化した熱硬化性樹脂も含まれる。
合成樹脂組成物粒子の平均粒径は、好ましくは10〜300μm、より好ましくは20〜250μm、さらに好ましくは30〜200μmである。多くの場合、30〜100μm程度の平均粒径の合成樹脂組成物粒子を用いることにより、諸特性に優れた塗膜を得ることができる。
本発明の粉体塗料は、通常、合成樹脂粒子と炭素前駆体粒子との粉体混合物、および合成樹脂と炭素前駆体とを含有する合成樹脂組成物粒子の形態であるが、所望により、これらの混合物であってもよい。本発明の粉体塗料には、必要に応じて、硬化促進剤、充填剤、着色剤、潤滑剤、界面改質剤などの各種添加剤を含有させることができる。各種添加剤は、合成樹脂粒子または合成樹脂組成物粒子に含有させるか、所望により、独立して添加する。
本発明の粉体塗料を合成樹脂部材などの耐熱性が低い被塗装物に塗装する場合には、合成樹脂として、低温硬化型の熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。低温硬化型熱硬化性樹脂を用いて、合成樹脂粒子または合成樹脂組成物粒子を調製するには、粒状化の際、混練機内での早期の熱硬化を避けるため、熱硬化性樹脂と必要に応じて添加する各種添加剤とを予め乾式混合し、混練機により溶融混練した後、粉砕し、次いで、硬化剤を添加して乾式混合し、これを微粉砕および分級する方法を採用することが望ましい。
本発明の粉体塗料は、鉄、アルミニウム、ニッケル、チタン、銅などの金属材料;金属元素合金、金属と炭素または珪素などとの合金;ガラス、陶磁器などのセラミック;合成樹脂材料;などから形成された被塗装物(部材または基材ともいう)の表面に塗装することができる。被塗装物には、必要ならば、塗膜との間の接着強度を向上させるために、サンドブラスト処理、エッチング処理、プライマー処理などの前処理を施してもよい。
本発明の粉体塗料の塗装方法については、特に限定されず、各種の粉体塗装手段を採用することができる。これらの中でも、流動浸漬法、溶射法、静電粉体吹付け法などが好ましい。その他の粉体塗装法としては、例えば、吹き付け散布法や静電流動浸漬法などがある。
流動浸漬法は、予熱した被塗装物を、流動化した粉体塗料槽の中に浸漬し、被塗装物表面に粉体塗料を融着させ、その後、必要に応じて、焼き付けを行う方法である。溶射法は、高温ガスと一緒に粉体塗料を溶融させながら被塗装物に吹き付けて、塗膜を形成させる方法である。
静電粉体吹付け法は、空気によって搬送されてきた粉体塗料を、接地した被塗装物に向けたガン(先端に高電圧のかかった針電極が組み込まれている)により吹付ける方法である。これにより、高電圧のかかったガン先端針電極より被塗装物に向かって流れる微小電流(コロナ放電)によって、ガンから吐出された粉体が帯電して被塗装物に引き寄せられ、塗着粉体層が形成される。次いで、この塗着粉体層を焼付ける。
一般に、導電性フィラーを含む粉体塗料を静電粉体吹付けする場合、(1)該粉体塗料は帯電性に劣るため、絶縁性の被塗装物に対して電気的付着力を利用して塗装することができない、(2)塗料供給経路を通じて接地した塗料タンクに電流が流れてしまう、等の問題が指摘されてきた。そのため、導電性カーボンブラックを静電粉体吹付けする場合には、導電性カーボンブラックをフッ素樹脂粉末の粒子内に包含することにより、静電粉体吹付けを行うこともされていた。しかし、近年、電気的抵抗が比較的低い粉体塗料を使用する静電粉体吹付けに適したスプレーガンが開発されている。
被塗装物に粉体塗料を吹き付ける際には、吹き付け温度は、使用する合成樹脂の種類により異なるが、結晶性合成樹脂の場合、結晶融点より10℃から120℃高い温度範囲で行うのが好ましい。
熱硬化性樹脂を用いた粉体塗装においては、予め被塗装物の表面に粘着層を形成した後、合成樹脂と炭素前駆体とを含む合成樹脂組成物粒子(粉体塗料)を付着させ、次いで、焼き付けを行うことにより、塗膜を固定させることもできる。粘着層を形成する粘着剤としては、エポキシ樹脂等の未硬化状態の液体状または半液体状の樹脂のみならず、その他のアミン類、エーテル類などの液体状または半液体状物質を用いることができる。
本発明の粉体塗料を用いて形成された塗膜の膜厚は、好ましくは20〜2000μm、より好ましくは30〜500μm、さらに好ましくは40〜300μmである。塗膜の厚みが薄すぎると、塗膜の平滑性が損なわれたり、局所的にピンホールやクラックが発生しやすい。塗膜の厚みが厚すぎると、塗布に時間を要することに加えて、発泡などが生じやすく、緻密な塗膜を得ることが困難になる。
焼き付け時において、合成樹脂が溶融状態にあるときに、溶融状態の合成樹脂中での個々の炭素前駆体の挙動が安定していることが、均一で表面抵抗率のバラツキが少ない塗膜を形成する上で重要である。炭素前駆体は、その真密度が1.20〜1.60g/cmである。これに対して、多くの合成樹脂の溶融状態での密度は、1.1〜2.2g/cmである。両者の密度が重複または近似しているため、炭素前駆体を含む本発明の粉体塗料は、溶融状態の合成樹脂中での個々の炭素前駆体の挙動が安定している。合成樹脂の溶融状態の密度と、炭素前駆体の真密度とは、それぞれ別個に測定される。合成樹脂の溶融状態での密度は、溶融温度における規定体積とその時の重量を測定し、重量を体積で除することにより測定することができる。 炭素前駆体の真密度は、JIS:R7212(カーボンブラックの試験方法)に定められた方法に従い、ブタノール法により測定される。
本発明の粉体塗料は、導電性フィラーとして、炭素含有量が85〜97質量%で、体積抵抗率が1×10〜1×10Ω・m(1×10〜1×1010Ω・cm)の炭素前駆体を含有する。炭素前駆体の割合は、合成樹脂と炭素前駆体との合計量を基準として、5〜40質量%である。塗膜からの脱落粉の量を少なくする観点からは、炭素前駆体の割合は、好ましくは5〜30質量%である。
炭素前駆体の割合が大きすぎると、焼き付け時の塗膜粘度の上昇により、塗膜の表面平滑性が低下する。炭素前駆体の割合が小さすぎると、塗膜の表面抵抗率を下げることが困難となるか、表面抵抗率を1×10〜1×1013Ω/□の範囲内に制御することが困難となる。
本発明の粉体塗料を用いて形成される塗膜の表面抵抗率は、好ましくは1×10〜1×1013Ω/□、より好ましくは1×1010〜1×1013Ω/□である。塗膜の表面抵抗率が小さすぎると、塗膜を介して静電気が散逸するため、粉体塗料の塗装時に塗膜の厚さにバラツキを生じて、均一な塗装面を形成することが困難になる。塗膜の表面抵抗率が大きすぎると、静電気放電や静電破壊を防ぐ目的が果たせない。
本発明の粉体塗料中の合成樹脂の割合は、合成樹脂と炭素前駆体との合計量を基準として、60〜95質量%である。合成樹脂の割合が大きすぎると、塗膜の表面抵抗率を低くすることができず、所望の半導電性領域の表面抵抗率を有する塗膜を得ることが困難になる。合成樹脂の割合が小さすぎると、表面抵抗率が低くなりすぎて、所望の半導電性領域の表面抵抗率を有する塗膜を得ることが困難になる。また、合成樹脂の割合が小さすぎると、粉体塗料の流動性が低下する。
以下に実施例を挙げて、本発明についてより具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。物性および特性の測定方法は、以下に示すとおりである。
(1)平均粒径
日本工業規格JIS:K0069に規定されている試験方法(化学製品の篩い分け試験方法)に従って、試料の粒径分布を測定し、積算百分率グラフに表す。次いで、積算百分率が50%になる点をグラフ上から読み取って、平均粒径とした。
(2)炭素前駆体の炭素含有率
炭素前駆体の炭素含有率は、JIS:M8813(石炭類及びコークス類一元素分析方法)の付属書に規定されている炭素及び水素の定量方法に従って測定した。単位は、質量分率(%)である。
(3)体積抵抗率
体積抵抗率が10Ω・m(10Ω・cm)以上の試料の場合は、JIS:K6911に従って、リング状プローブ(三菱化学社製、商品名称URSプローブ、内側電極の外径0.59cm、外側電極の内径1.10cm、外側電極の外径1.78cm)と測定ステージ(三菱化学社製、商品名称レジテーブルUFL)との間に試料を挟み、約3kg重の圧力で押さえ付けつつ、プローブの内側の電極と測定ステージとの間に100Vの電圧を印加して、抵抗率測定装置(三菱化学社製、商品名称ハイレスタUP)により体積抵抗率を求めた。体積抵抗率が10Ω・m(10Ω・cm)未満の試料の場合は、印加電圧を10Vにしたこと以外は、体積抵抗率が10Ω・m(10Ω・cm)以上の試料と同様にして求めた。
(4)表面抵抗率
表面抵抗率が10Ω/□以上の場合は、JIS:K6911に従って、定電圧器(菊水社製、商品名称300−1A型)、電流計(ケースレー社製、商品名称616型)、及び試料セル(横河・ヒューレットパッカード社製、商品名称1608A型)を用い、印加電圧100Vで測定した。表面抵抗率が10Ω/□未満の場合は、JIS:K7194に従って、三菱化学社製、商品名ハイレスターUPを用いて測定した。
(5)脱落粉
脱落粉量の測定は、塗膜を施した鋼板(JIS規格S45C;サイズ60mm×90mm×3mm厚)をビーカー中に入れ、純水を500cm加えた後、超音波発振機(定格出力1200W)で1分間処理し、次いで、RION社製、商品名「液中パーティクルカウンター」を用いて、脱落粉粒子の量を測定した。
[製造例1]
<炭素前駆体粒子A−10、A−25およびA−75の製造>
軟化点210℃、キノリン不溶分1質量%、H/C原子比0.63の石油系ピッチ68kgとナフタレン32kgとを、攪拌翼を備えた内容積0.3mの耐圧容器に仕込み、190℃に加熱して溶解混合した後、80〜90℃に冷却して押出し、直径が約500μmの紐状成形体を得た。次いで、この紐状成形体を直径と長さの比が約1.5になるように粉砕し、得られた粉砕物を93℃に加熱した0.53%のポリビニルアルコール(ケン化度88%)水溶液中に投下し、攪拌分散し、冷却して、球状ピッチ成形体を得た。さらに、濾過を行って水分を除去し、球状ピッチ成形体の約6倍量のn−ヘキサンでピッチ成形体中のナフタレンを抽出除去した。このようにして得られた球状ピッチ成形体を、加熱空気を通じながら、260℃で1時間保持して酸化処理を行い、酸化ピッチを得た。この酸化ピッチを窒素気流中で580℃で1時間処理した後、粉砕して炭素前駆体Aを得た。
粉砕条件を変更することにより、平均粒径がそれぞれ10μm(A−10)、25μm(A−25)、および75μm(A−75)の炭素前駆体粒子を調製した。このようにして得られた各炭素前駆体Aの炭素含有量は、91.0質量%であった。粉砕工程後、目開き規格106μmのメッシュを用いて、100μmより大きい粒子を篩い分けして除いた。
この炭素前駆体Aの粒子13gを、断面積80cmの円筒金型に充填し、圧力196MPaで成形して成形体を得た。この成形体を窒素気流中で上述の炭素前駆体粒子の製造方法における熱処理温度と同一温度である580℃で1時間熱処理して、炭素前駆体の測定用試料(成形体)を得た。この試料について、JIS:K7194に従って、体積抵抗率を測定した。その結果、体積抵抗率は、3×10Ω・m(3×10Ω・cm)であった。
[製造例2]
<炭素前駆体粒子B−25の製造>
製造例1の炭素前駆体粒子Aの製造方法と同様にして得た球状ピッチ成形体を、加熱空気を通じながら、260℃で1時間保持して酸化処理を行い、酸化ピッチを得た。この酸化ピッチを窒素気流中で680℃で1時間処理した後、粉砕して、平均粒径が25μmの炭素前駆体粒子B−25を得た。この炭素前駆体粒子の炭素含有量は、95.0質量%であった。粉砕工程後、目開き規格106μmのメッシュを用いて、大きい粒子を篩い分けして除いた。
この炭素前駆体粒子13gを、断面積80cmの円筒金型に充填し、圧力196MPaで成形して成形体を得た。この成形体を窒素気流中で上述の炭素前駆体粒子の製造方法における熱処理温度と同一温度である580℃で1時間熱処理して、炭素前駆体の測定用試料(成形体)を得た。この試料について、JIS:K7194に従って体積抵抗率を測定した。その結果、体積抵抗率は、2×10Ω・m(2×10Ω・cm)であった。
上記で得られた各炭素前駆体粒子の炭素含有量、真密度、および体積抵抗率を表1にまとめて示す。また、導電性カーボンブラック(ケッチェンブラック)および黒鉛の炭素含有量、真密度、および体積抵抗率を表2にまとめて示す。
Figure 2008044668
Figure 2008044668
<粉体塗装>
以下の実施例および比較例において、鋼板(JIS規格S45C)の表面をサンドブラストした後、粉体塗料を、静電スプレー装置により60000Vの印加電圧により吹き付け塗装を行った。
[実施例1]
冷凍粉砕機により粉砕を行って調製した平均粒径150μmのポリエーテルエーテルケトン(PEEK)と、平均粒径25μmの炭素前駆体粒子A−25とを、炭素前駆体粒子A−25を5質量%、PEEKを95質量%の質量比で混合して粉体塗料を作製した。該粉体塗料を、静電スプレー装置により、印加電圧60000Vで、サンドブラスト処理された鋼板の表面に、粉体塗料噴出量270g/分で吹付塗装した。次いで、385℃で20分間、塗膜の加熱流動化と焼付けを行った後、大気中で冷却した。
このようにして得られた塗膜について、目視による表面状態の評価、膜厚測定、表面抵抗率測定及び脱落粉量測定を行った。膜厚250μmの平滑な塗装面が得られ、塗膜の表面抵抗率は1×1011〜1×1012Ω/□で安定しており、脱落粉量は150個/cmで少ないレベルであった。
[実施例2]
実施例1において、粉体塗料を構成する各成分の質量比を、炭素前駆体粒子A−25を10質量%、PEEKを90質量%に変更したこと以外は、同様に粉体塗料を作製し、評価を行った。その結果、膜厚230μmの平滑な塗装面が得られ、塗膜の表面抵抗率は1×1010〜1×1011Ω/□で安定しており、脱落粉量は200個/cmで少ないレベルであった
[実施例3]
実施例1において、粉体塗料を構成する各成分の質量比を、炭素前駆体粒子A−10を20質量%、PEEKを80質量%に変更したこと以外は、同様に粉体塗料を作製し、評価を行った。その結果、膜厚50μmの平滑な塗装面が得られ、塗膜の表面抵抗率は1×10〜1×1010Ω/□で安定しており、脱落粉量は210個/cmで少ないレベルであった。実施例2との比較から、膜厚が薄くなった場合でも、脱落粉量は変化していないことが分かる。
[実施例4]
実施例1において、粉体塗料を構成する各成分の質量比を、炭素前駆体粒子A−25を20質量%、PEEKを80質量%に変更したこと以外は、同様に粉体塗料を作製し、評価を行った。その結果、膜厚220μmの平滑な塗装面が得られ、塗膜の表面抵抗率は1×10〜1×1010Ω/□で安定しており、脱落粉量は220個/cmで少ないレベルであった。
[実施例5]
実施例1において、粉体塗料を構成する各成分の質量比を、炭素前駆体粒子A−75を20質量%、PEEKを80質量%に変更したこと以外は、同様に粉体塗料を作製し、評価を行った。その結果、膜厚350μmの平滑な塗膜面が得られ、塗膜の表面抵抗率は1×10〜1×1010Ω/□で安定しており、脱落粉量は230個/cmで少ないレベルであった。
[実施例6]
実施例1において、粉体塗料を構成する各成分の質量比を、炭素前駆体粒子A−25を20質量%、PEEKを80質量%に変更したこと以外は、同様に粉体塗料を作製し、評価を行った。その結果、膜厚1000μmの平滑な塗装面が得られ、塗膜の表面抵抗率は1×10〜1×1010Ω/□で安定しており、脱落粉量は200個/cmで少ないレベルであった。
[実施例7]
実施例1において、粉体塗料を構成する各成分の質量比を、炭素前駆体粒子A−25を20質量%、PEEKを80質量%に変更したこと以外は、同様に粉体塗料を作製し、評価を行った。その結果、膜厚1800μmの平滑な塗装面が得られ、塗膜の表面抵抗率は1×10〜1×1010Ω/□で安定しており、脱落粉量は260個/cmで少ないレベルであった。
[実施例8]
実施例1において、粉体塗料を構成する各成分の質量比を、炭素前駆体粒子B−25を20質量%、PEEKを80質量%に変更したこと以外は、同様に粉体塗料を作製し、評価を行った。その結果、膜厚250μmの平滑な塗装面が得られ、塗膜の表面抵抗率は1×10Ω/□で安定しており、脱落粉量は210個/cmで少ないレベルであった。
[実施例9]
実施例1において、粉体塗料を構成する各成分の質量比を、炭素前駆体粒子A−25を30質量%、PEEKを70質量%に変更したこと以外は、同様に粉体塗料を作製し、評価を行った。その結果、膜厚200μmの平滑な塗装面が得られ、塗膜の表面抵抗率は1×10〜1×10Ω/□で安定しており、脱落粉量は250個/cmで少ないレベルであった。
[実施例10]
粉体塗料として、粉砕機により粉砕を行った平均粒径90μmのテトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)と、炭素前駆体粒子A−25とを、炭素前駆体粒子A−25を10質量%、PFAを90質量%の質量比で混合して粉体塗料を作製した。該粉体塗料を、静電スプレー装置により、印加電圧60000Vで、サンドブラスト処理された鋼板の表面に、粉体塗料噴出量240g/分で吹付塗装した。次いで、380℃で20分間、塗膜の加熱流動化、焼付けを行った後、大気中で冷却した。このようにして得られた塗膜について、目視による表面評価、膜厚測定、表面抵抗率測定及び脱落粉量測定を行った。膜厚90μmの平滑な塗装面が得られ、塗膜の表面抵抗率は1×1011Ω/□で安定しており、脱落粉量は180個/cmで少ないレベルであった。
[実施例11]
実施例10において、粉体塗料を構成する各成分の質量比を、炭素前駆体粒子A−25を40質量%、PFAを60質量%に変更したこと以外は、同様に粉体塗料を作製し、評価を行った。その結果、120μmの平滑な塗装面が得られ、塗膜の表面抵抗率は1×10〜1×10Ω/□で安定しており、脱落粉量は280個/cmで少ないレベルであった。
[実施例12]
粉体塗料として、粉砕機により粉砕を行った平均粒径120μmのテトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)と、炭素前駆体粒子A−25とを、炭素前駆体粒子A−25を10質量%、FEPを90質量%の質量比で混合して粉体塗料を作製した。該粉体塗料を、静電スプレー装置により、印加電圧60000Vで、サンドブラスト処理された鋼板の表面に、粉体塗料噴出量210g/分で吹付塗装した。次いで、360℃で20分間、塗膜の加熱流動化、焼付けを行った後、大気中で冷却した。
このようにして得られた塗膜について、目視による表面評価、膜厚測定、表面抵抗率測定及び脱落粉量測定を行った。膜厚80μmの平滑な塗装面が得られ、塗膜の表面抵抗率は1×1011Ω/□で安定しており、脱落粉量は160個/cmで少ないレベルであった。
[実施例13]
実施例12において、粉体塗料を構成する各成分の質量比を、炭素前駆体粒子A−25を40質量%、FEPを60質量%に変更したこと以外は、同様に粉体塗料を作製し、評価を行った。その結果、膜厚110μmの平滑な塗装面が得られ、塗膜の表面抵抗率は1×10〜1×10Ω/□で安定しており、脱落粉量は270個/cmで少ないレベルであった。
[実施例14]
粉体塗料として、粉砕機により粉砕を行った平均粒径110μmのテトラフルオロエチレン/エチレン共重合体(ETFE)と、炭素前駆体粒子A−25とを、炭素前駆体粒子A−25を10質量%、ETFEを90質量%の質量比で混合して粉体塗料を作製した。該粉体塗料を、静電スプレー装置により、印加電圧60000Vで、サンドブラスト処理された鋼板の表面に、粉体塗料噴出量230g/分で吹付塗装した。次いで、360℃で20分間、塗膜の加熱流動化、焼付けを行った後、大気中で冷却した。塗膜について、目視による表面評価、膜厚測定、表面抵抗率測定及び脱落粉量測定を行った。膜厚100μmの平滑な塗装面が得られ、塗膜の表面抵抗率は1×1011Ω/□で安定しており、脱落粉量は190個/cmで少ないレベルであった。
[実施例15]
実施例14において、粉体塗料を構成する各成分の質量比を、炭素前駆体粒子A−25を40質量%、ETFEを60質量%に変更したこと以外は、同様に粉体塗料を作製し、評価を行った。その結果、膜厚110μmの平滑な塗装面が得られ、塗膜の表面抵抗率は1×10〜1×10Ω/□で安定しており、脱落粉量は270個/cmで少ないレベルであった。
[実施例16]
粉体塗料として、粉砕機により粉砕を行った平均粒径155μmのポリフェニレンスルフィド(PPS)と、炭素前駆体粒子A−25とを、炭素前駆体粒子A−25を10質量%、PPSを90質量%の質量比で混合して粉体塗料を作製した。該粉体塗料を、静電スプレー装置により、印加電圧60000Vで、サンドブラスト処理された鋼板の表面に、粉体塗料噴出量230g/分で吹付塗装した。次いで、350℃で20分間、塗膜の加熱流動化、焼付を行った後、大気中で冷却した。このようにして得られた塗膜について、目視による表面評価、膜厚測定、表面抵抗率測定及び脱落粉量測定を行った。膜厚120μmの平滑な塗装面が得られ、塗膜の表面抵抗率は1010〜1011Ω/□で安定しており、脱落粉量は210個/cmで少ないレベルであった。
[実施例17]
粉体塗料として、粉砕機により粉砕を行った平均粒径125μmのポリエーテルイミド(PEI)と、炭素前駆体粒子A−25とを、炭素前駆体A−25を10質量%、PEIを90質量%の質量比で混合して粉体塗料を作製した。該粉体塗料を、静電スプレー装置により、印加電圧60000Vで、サンドブラスト処理された鋼板の表面に、粉体塗料噴出量230g/分で吹付塗装した。次いで、365℃で20分間、塗膜の加熱流動化、焼付けを行った後、大気中で冷却した。このようにして得られた塗膜について、目視による表面評価、膜厚測定、表面抵抗率測定及び脱落粉量測定を行った。膜厚100μmの平滑な塗装面が得られ、塗膜の表面抵抗率は1×1010〜1×1011Ω/□で安定しており、脱落粉量は170個/cmで少ないレベルであった。
[実施例18]
粉体塗料として、粉砕機により粉砕を行った平均粒径105μmのポリカーボネート(PC)と、炭素前駆体粒子A−25とを、炭素前駆体粒子A−25を10質量%、PCを90質量%の質量比で混合して粉体塗料を作製した。該粉体塗料を、静電スプレー装置により、印加電圧60000Vで、サンドブラスト処理された鋼板の表面に、粉体塗料噴出量210g/分で吹付塗装した。次いで、300℃で20分間、塗膜の加熱流動化、焼付けを行った後、大気中で冷却した。このようにして得られた塗膜について、目視による表面評価、膜厚測定、表面抵抗率測定及び脱落粉量測定を行った。膜厚140μmの平滑な塗装面が得られ、塗膜の表面抵抗率は1×1010〜1×1011Ω/□で安定しており、脱落粉量は180個/cmで少ないレベルであった。
[実施例19]
エポキシ樹脂に、フェノール系硬化剤及び炭素前駆体粒子A−25をドライブレンドした後、2軸混錬機により溶融混合分散し(120℃)、冷却後に粉砕を行い、平均粒径80μmの粉体塗料を得た。該粉体塗料において、各成分の割合は、質量比で炭素前駆体粒子A−25を10質量%、エポキシ樹脂及び硬化剤の合計量で90質量%とした。該粉体塗料を、静電スプレー装置により、印加電圧60000Vで、サンドブラスト処理された鋼板の表面に、粉体噴出量230g/分で吹付塗装した。次いで、200℃で15分間、塗膜の加熱流動化、焼付けを行った後、大気中で冷却した。このようにして得られた塗膜について、目視による表面評価、膜厚測定、表面抵抗率測定及び脱落粉量測定を行った。膜厚160μmの平滑な塗装面が得られ、塗膜の表面抵抗率は1×1010〜1×1011Ω/□で安定しており、脱落粉量は170個/cmで少ないレベルであった。
[実施例20]
アクリル樹脂に、硬化剤(ドデカン二酸)及び炭素前駆体粒子A−10をドライブレンドした後、2軸混錬機により溶融混合分散(100℃)し、冷却後に粉砕を行い、平均粒径50μmの粉体塗料を得た。粉体塗料において、各成分の割合は、質量比で炭素前駆体粒子A−10を10質量%、アクリル樹脂及び硬化剤の合計量で90重量%とした。該粉体塗料を、静電スプレー装置により、印加電圧60000Vで、サンドブラスト処理された鋼板の表面に、粉体塗料噴出量230g/分で吹付塗装した。次いで、180℃で20分間、塗膜の加熱流動化、焼付けを行った後、大気中で冷却した。このようにして得られた塗膜について、目視による表面評価、膜厚測定、表面抵抗率測定及び脱落粉量測定を行った。膜厚50μmの平滑な塗装面が得られ、塗膜の表面抵抗率は1×1010〜1×1011Ω/□で安定しており、脱落粉量は180個/cmで少ないレベルであった。
Figure 2008044668
[比較例1]
実施例1において、導電性フィラーとして、5質量%の炭素前駆体粒子A−25に代えて、20質量%の導電性カーボンブラックを用いたこと以外は、同様にして粉体塗料を調製した。該粉体塗料を粉体塗装後、膜厚250μmの平滑な塗装面が得られた。塗膜の表面抵抗率は、1×10〜1×1010Ω/□の範囲であり、測定箇所により、測定値が大きなバラツキを示した。脱落粉量は、2800個/cmと多量であった。
[比較例2]
実施例1において、導電性フィラーとして、5質量%の炭素前駆体粒子A−25に代えて、20質量%の導電性カーボンブラックを用いたこと以外は、同様にして粉体塗料を調製した。該粉体塗料を粉体塗装して、膜厚100μmの平滑な塗装面を得た。表面抵抗率は、1×10〜1×1010Ω/□の範囲であり、測定箇所により、測定値が大きなバラツキを示した。膜厚が薄くなることにより、脱落粉量は、5800個/cmと極めて多量になった。
[比較例3]
実施例1において、導電性フィラーとして、5質量%の炭素前駆体粒子A−25に代えて、20質量%の黒鉛を用いたこと以外は、同様にして粉体塗料を調製した。該粉体塗料を粉体塗装後、膜厚230μmの平滑な塗装面が得られた。塗膜の表面抵抗率は、1×10〜1×1010Ω/□の範囲であり、測定箇所により、測定値が大きなバラツキを示した。脱落粉量は、2200個/cmと多量であった。
[比較例4]
実施例1において、導電性フィラーとして、5質量%の炭素前駆体粒子A−25に代えて、20質量%の黒鉛を用いたこと以外は、同様にして粉体塗料を調製した。該粉体塗料を粉体塗装後、膜厚100μmの平滑な塗装面が得られた。塗膜の表面抵抗率は、1×10〜1×1010Ω/□の範囲であり、測定箇所により、測定値が大きなバラツキを示した。膜厚が薄くなることにより、脱落粉量が増加し、5000個/cmとなった。
Figure 2008044668
(脚注)
PEEK:ポリエーテルエーテルケトン、ビクトレックスMC社製、商品名称「PEEK150P」
PFA:テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体
FEP:テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体
ETFE:テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体
PEI:ポリエーテルイミド、GEプラスチックス社製、商品名称「ウルテム1010」
PPS:ポリフェニレンスルフィド、クレハ社製、商品名称「フォートロンKPS W203」
PC:ポリカーボネート、帝人化成社製、商品名称「パンライトL−1225WX」
エポキシ樹脂:油化シェルエポキシ社製、商品名称「エピコート1004」
フェノール系硬化剤:明和化成社製、商品名称「DL−92」
導電性カーボンブラック:ライオン社製、商品名称「ケッチェンブラックEC600JD」
[考察]
炭素前駆体を含有する粉体塗料を用いた実施例1〜20において、形成された塗膜は、表面が平滑であり、表面抵抗率のバラツキも少なく、脱落粉量も少ない。これに対して、導電性カーボンブラックまたは黒鉛を含有する粉体塗料を用いた比較例1〜4では、塗膜の表面抵抗率が大きくばらついており、脱落粉量も多いことが分かる。
本発明の粉体塗料は、電子機器の静電気放電や静電破壊の対策の分野に適用することができるだけではなく、帯電防止、静電防止、電波障害防止、塵埃の吸着防止、半導電性付与など半導電性領域の表面抵抗率を有する表面特性を必要とする広範な技術分野において、各種物品の被覆に利用することができる。

Claims (13)

  1. 合成樹脂と導電性フィラーとを含む粉体塗料であって、
    (1)導電性フィラーが、炭素含有量が85〜97質量%で、体積抵抗率が1×10〜1×10Ω・mの炭素前駆体であり、
    (2)合成樹脂及び炭素前駆体の含有割合が、合成樹脂が60〜95質量%で、炭素前駆体が5〜40質量%であり、並びに
    (3)粉体塗料の形態が、
    a)平均粒径10〜300μmの合成樹脂粒子と平均粒径5〜100μmの炭素前駆体粒子との粉体混合物、
    b)合成樹脂と炭素前駆体とを含有する合成樹脂組成物からなる平均粒径10〜300μmの合成樹脂組成物粒子、または
    c)これらの混合物である
    ことを特徴とする粉体塗料。
  2. 表面抵抗率が1×10〜1×1013Ω/□の半導電性塗膜を形成することができる請求項1記載の粉体塗料。
  3. 該炭素前駆体が、平均粒径が10〜75μmであり、粒径106μm以上の粒子の含有量が5質量%以下、かつ、粒径4.7μm以下の粒子の含有量が10質量%以下の炭素前駆体粒子である請求項1記載の粉体塗料。
  4. 該炭素前駆体の真密度が、1.20〜1.60g/cmである請求項1記載の粉体塗料。
  5. 該合成樹脂粒子が、熱可塑性樹脂粒子または未硬化の熱硬化性樹脂粒子である請求項1記載の粉体塗料。
  6. 該合成樹脂組成物粒子が、熱可塑性樹脂または未硬化の熱硬化性樹脂と炭素前駆体とを含有する合成樹脂組成物粒子である請求項1記載の粉体塗料。
  7. 該合成樹脂が、ポリアミド、ポリアセタール、熱可塑性ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリイソプレン、ポリブテン、ポリ−p−キシレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリウレタン、ポリジメチルシロキサン、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル、ABS樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィドケトン、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリエーテルニトリル、全芳香族ポリエステル、熱流動性フッ素樹脂、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリアミノビスマレイド、トリアジン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、これらの変性物、またはこれらの2種以上の混合物である請求項1記載の粉体塗料。
  8. 該合成樹脂が、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリカーボネート、熱流動性フッ素樹脂、及びアクリル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂、またはエポキシ樹脂である請求項1記載の粉体塗料。
  9. 該合成樹脂が、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン/テトラフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニル、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体、プロピレン/テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルパーフルオロビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン/クロロトリフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン/エチレン/イソブチレン共重合体、エチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、及びテトラフルオロエチレン/エチルビニルエーテル共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種の熱流動性フッ素樹脂である請求項1記載の粉体塗料。
  10. 粉体塗料を被塗装物の表面に塗装して、半導電性塗膜を形成する塗装物の製造方法において、該粉体塗料が、
    合成樹脂と導電性フィラーとを含む粉体塗料であって、
    (1)導電性フィラーが、炭素含有量が85〜97質量%で、体積抵抗率が1×10〜1×10Ω・mの炭素前駆体であり、
    (2)合成樹脂及び炭素前駆体の含有割合が、合成樹脂が60〜95質量%で、炭素前駆体が5〜40質量%であり、並びに
    (3)粉体塗料の形態が、
    a)平均粒径10〜300μmの合成樹脂粒子と平均粒径5〜100μmの炭素前駆体粒子との粉体混合物、
    b)合成樹脂と炭素前駆体とを含有する合成樹脂組成物からなる平均粒径10〜300μmの合成樹脂組成物粒子、または
    c)これらの混合物である
    ことを特徴とする塗装物の製造方法。
  11. 該粉体塗料を、流動浸漬法、溶射法または静電粉体吹付け法により、被塗装物の表面に塗装して、半導電性塗膜を形成する請求項10記載の製造方法。
  12. 被塗装物の表面に粉体塗料の半導電性塗膜が形成された塗装物において、該粉体塗料が、
    合成樹脂と導電性フィラーとを含む粉体塗料であって、
    (1)導電性フィラーが、炭素含有量が85〜97質量%で、体積抵抗率が1×10〜1×10Ω・mの炭素前駆体であり、
    (2)合成樹脂及び炭素前駆体の含有割合が、合成樹脂が60〜95質量%で、炭素前駆体が5〜40質量%であり、並びに
    (3)粉体塗料の形態が、
    a)平均粒径10〜300μmの合成樹脂粒子と平均粒径5〜100μmの炭素前駆体粒子との粉体混合物、
    b)合成樹脂と炭素前駆体とを含有する合成樹脂組成物からなる平均粒径10〜300μmの合成樹脂組成物粒子、または
    c)これらの混合物である
    ことを特徴とする塗装物。
  13. 該半導電性塗膜の表面抵抗率が1×10〜1×1013Ω/□であり、膜厚が20〜2000μmである請求項12記載の塗装物。
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