JP2001347601A - 耐腐食性部材 - Google Patents

耐腐食性部材

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JP2001347601A
JP2001347601A JP2000174033A JP2000174033A JP2001347601A JP 2001347601 A JP2001347601 A JP 2001347601A JP 2000174033 A JP2000174033 A JP 2000174033A JP 2000174033 A JP2000174033 A JP 2000174033A JP 2001347601 A JP2001347601 A JP 2001347601A
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pas
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Masato Tada
正人 多田
Masakazu Takaiwa
正和 高岩
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Kureha Corp
Kureha Techno Engineering Co Ltd
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Kureha Corp
Kureha Techno Engineering Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属基材表面がPASで被覆され、耐腐食性
に優れかつ帯電防止機能をも持った部材を提供するこ
と。 【解手段】 金属基材が、その表面にPASからなる樹
脂被覆層Aを有し、さらに該樹脂被覆層Aの一部または
全部の表面に、導電性充填剤および半導電性充填剤から
選ばれる少なくとも1種を含有する帯電防止性樹脂層B
を有してなることを特徴とする耐腐食性部材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は耐腐食性に優れ、か
つ帯電防止性にも優れた部材に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリアリーレンサルファイド(以下PA
Sと称す)は、特に耐薬品性、耐酸性および耐アルカリ
性に優れた樹脂である。また、PASは金属との密着性
に優れ、特に高温蒸気の浸透防止性は極めて高く、金属
基材とPAS被覆層との界面での膨れが発生しないとい
う特徴を持っている。この特徴を活かし、PASを金属
基材の表面に被覆してなる部材は、金属基材のままでは
極めて短時問の内に腐食が進行してしまうような、極め
て過酷な腐食性物質を取り扱う必要がある各種装置のい
ろいろな部材として活用されている。
【0003】PASは、上記の如く耐薬品性に優れ、さ
らに電気抵抗率が極めて高い特徴を有している。このた
め、PASを金属基材の表面に被覆した場合、このPA
S被覆層の電気抵抗率が極めて高く、該PAS被覆層面
に流体あるいは粉体を流動させた場合、該PAS被覆層
の表面に電荷が蓄積(帯電)するという問題があった。
この帯電した電荷が放電する場合、時として該部材を組
み込んだ装置あるいはその周辺装置の動作に悪影響を与
えるという問題、あるいは放電に際しては火花を発し、
可燃物への着火や粉塵爆発に至るなどの極めて重大な事
故に結びつく可能性があった。
【0004】従来、上記の問題を克服するため、PAS
を金属基材の表面に被覆した部材の帯電を防ぐ方法とし
ては、導電性充填剤または半導電性充填剤を該樹脂と混
在する状態で、金属基材の表面に被覆する方法が用いら
れている。しかしながら、このような方法により、金属
基材の表面にPASと導電性または半導電性充填剤が混
在してなる被覆層を形成した場合、被覆層を経て金属基
材へ至る物質の浸透が顕著となるという問題があった。
特に腐食性が高い雰囲気中においては、腐食性物質が被
覆層に浸透し金属基材へ至り、ついには金属基材の腐食
が極めて短時間の内に進行するという問題が時として発
生する場合があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の課題
は、金属基材表面がPASで被覆され、耐腐食性に優れ
かつ帯電防止機能をも持った部材を提供することであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題は本発明によっ
て解決される。すなわち、本発明は、金属基材が、その
表面にPASからなる樹脂被覆層Aを有し、さらに該樹
脂被覆層Aの一部または全部の表面に、導電性充填剤お
よび半導電性充填剤から選ばれる少なくとも1種を含有
する帯電防止性樹脂層Bを有してなることを特徴とする
耐腐食性部材を提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】次に好ましい実施の形態を挙げて
本発明をさらに詳しく説明する。本発明において使用す
る金属基材としては、例えば、鉄系金属基材、銅系金属
基材、アルミニウム系金属基材およびマグネシウム系金
属基材などが挙げられる。このうち、鉄系金属基材とし
て、軟鋼、低Mn系非調質高張力鋼などの普通鋼、炭素
鋼および合金鋼などの機械構造用鋼、炭素工具鋼、合金
工具鋼および高速度工具鋼などの工具鋼、バネ鋼、軸受
け鋼、快削鋼、調質高張力鋼、ステンレス鋼、耐熱鋼お
よび高マンガン非磁性鋼などの特殊鋼からなる金属基材
が挙げられる。また、銅系金属基材としては、銅、黄
銅、快削黄銅、アルミニウム青銅、キュプロニッケル
(白銅)、洋白、ベリリウム銅、Cu−Ti系合金、C
u−Cr合金、Cu−Zr合金、錫青銅および高力黄銅
などか挙げられる。アルミニウム系金属基材としては、
Al−Cu合金、Al−Cu−Mg合金、Al−Mg−
Si合金、Al−Zn−Mg合金およびAl−Zn−M
g−Cu合金などの時効硬化型合金、Al−Si合金、
Al−Mg合金およびAl−Mn合金などの非時効硬化
型合金などが挙げられる。また、マグネシウム系金属基
材としては、Mg−Al合金、Mg−Zn合金、Mg−
Al−Zn合金、Mg−Mn合金およびMg−Th合金
などが挙げられる。
【0008】上記金属基材の被覆に使用するPAS(ポ
リアリーレンサルファイド)とは、主構成単位として−
Ar−S−(ここで−Ar−はアリーレン基を表す)を
50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ま
しくは90質量%以上含む重合体である。上記のアリー
レン基としては、例えば、p−フェニレン基、m−フェ
ニレン基、置換フェニレン基(置換基は好ましくは炭素
数1から6のアルキル基またはフェニレン基であ
る。)、p,p’−ジフェニレンスルホン基、p,p’
−ビフェニレン基、p,p’−ジフェニレンカルボニル
基、ナフチレン基などを挙げることができる。PASと
しては、主として同一のアリーレン基を有する重合体が
好ましく用いられるが、PASの加工法や耐熱性の観点
から、2種以上のアリーレン基を含んだ共重合PASを
用いることもできる。また、重合体鎖中に部分的に架橋
構造を含むもの、あるいは酸化架橋により溶融粘度の増
大処理(キュアー)を行ったものでも、機械的特性が損
なわれない限り、本発明において使用に差し支えない。
【0009】さらに、これらのPASの中でも、p−フ
ェニレンスルフィドの繰り返し単位を主構成単位とする
ポリフェニレンサルファイド(以下PPSと称す)が加
工性、耐熱性および寸法安定性に優れ、しかも工業的に
入手が容易であることから本発明では特に好ましい。
【0010】また、本発明で使用するPASの溶融粘度
は特に制限されないが、金属基材へ安定した樹脂被覆層
Aを形成すること、さらには被覆を行った後、過酷な温
度変化や腐食性物質に接触する環境下においても充分な
機能を発揮する点から、310℃でせん断速度1200
-1における見かけの溶融粘度が150以上500Pa
・s以下、さらに180以上400Pa・s以下である
ものが特に好ましい。
【0011】すなわち、溶融粘度が150Pa・s未満
のPASを用いると、十分な強度を有する樹脂被覆層A
を得ることができない場合がある。また、溶融粘度が5
00Pa・sを超えるPASを用いると、均質な樹脂被
覆層Aを得ることが困難になる場合がある。かくして本
発明では、見かけの溶融粘度が150以上500Pa・
s以下、さらに180以上400Pa・s以下のPAS
を用いることが特に好ましい。
【0012】本発明では、前記金属基材の表面に上記P
ASからなる樹脂被覆層Aを形成する。金属基材の表面
に樹脂被覆層Aを形成する方法としては、PASのフィ
ルムまたはシートを金属基材の表面に接着する方法、あ
るいはPASの粉末を金属基材の表面にコーティングし
て被覆層を形成する方法が挙げられる。本発明では特に
粉末コーティング法が、複雑な表面形状を有する金属基
材の表面に対しても樹脂被覆層Aを均一に形成し得る点
で好ましい。例えば、特開平8−239599号公報な
どに記載の公知の粉末コーティング法は本発明において
使用することができる。例えば、予め下地処理が施され
た金属基材を所定温度に予熱しておき、その表面にPA
Sの粉末をコーティングして溶融および成膜させた後、
冷却することによって所望の樹脂被覆層Aを形成するこ
とができる。
【0013】また、本発明で使用する粉末状のPAS
は、粒径が177μm以下(80メッシュパス)の粒子
を80質量%以上含有するものが好ましい。すなわち、
本発明では金属基材の表面に樹脂被覆層Aを形成する
際、粉末状PASの粒径が177μmを超えると、形成
される樹脂被覆層Aの膜厚が不均一となる場合がある。
また、177μm以下の粒径を持った粒子が、粉末状P
AS全体の80質量%未満となっても、樹脂被覆層Aの
膜厚が不均一になる場合がある。かくして、本発明にお
いてPASを粉末状で使用する場合には、該粉末状PA
Sは、その粒径が好ましくは177μm以下(80メッ
シュパス)の粒子を80質量%以上、より好ましくは8
5質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上含有す
るものが好ましい。
【0014】以上の如くして形成される樹脂被覆層Aの
厚みについては特に限定されないが、通常は約50μm
〜10mmの厚みであり、好ましくは約100μm〜3
mmの厚みである。樹脂被覆層Aの厚みが前記範囲より
も薄いと皮膜にピンホール等の欠陥が発生し、金属基体
に優れた耐腐蝕性を与えることが困難となる場合があ
る。又、樹脂被覆層Aの厚みが前記範囲よりも厚くして
も、厚くした意味がなく経済的ではない。
【0015】本発明では、上記の如く形成された金属基
材の樹脂被覆層Aの一部または全部の表面に、導電性充
填剤および半導電性充填剤から選ばれる少なくとも1種
を含有する帯電防止性樹脂層Bを形成する。該帯電防止
性樹脂層Bの形成に用いる樹脂としては、PASと同等
の耐食性を持つ樹脂が好ましい。このため、本発明で
は、PASおよびフッ素樹脂から選ばれる少なくとも1
種の樹脂を上記樹脂層Bの形成に使用する。
【0016】帯電防止性樹脂層Bの形成に使用されるP
ASとしては、先に示した金属基材の表面に形成する樹
脂被覆層Aに使用するものと同様のPASを使用するこ
とが可能である。ただし、導電性充填剤または半導電性
充填剤を含有する帯電防止性樹脂層Bを均一に形成する
ために、その溶融粘度は120Pa・s以上500Pa
・s以下であることが好ましい。
【0017】また、本発明で使用する上記フッ素樹脂と
しては、例えば、PFA、PTFE(ポリテトラフルオ
ロエチレン)、ETFE、FEP(テトラフルオロエチ
レン/へキサフルオロプロピレン共重合体)、PVDF
およびPCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)
から選ばれる少なくとも1種のフッ素樹脂が好ましい。
特に本発明では、金属基材の表面に樹脂被覆層Aを形成
し、さらに帯電防止性樹脂層Bを形成する際、樹脂被覆
層Aの変形を最小限に抑えるために、帯電防止性樹脂層
Bに使用するフッ素樹脂としては、被覆に要する溶融温
度がPASの溶融温度と等しいか、あるいはそれよりも
低いものが好ましい。この点から本発明では、特に帯電
防止性樹脂層Bを形成する樹脂としてPVDF、PFA
およびETFEを使用することが好ましい。
【0018】このうち、PVDFとは、フッ化ビニリデ
ン単独重合体(すなわち、ポリフッ化ビニリデン;PV
DF)、およびフッ化ビニリデンを主構成単位とするフ
ッ化ビニリデンと他の共重合可能なモノマーとの共重合
体を挙げることができる。このような共重合体として
は、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合
体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−へキ
サフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−ク
ロロトリフルオロエチレン共重合体が好適なものとして
挙げられる。また、これらのポリフッ化ビニリデン系樹
脂は、それぞれ単独で、あるいは2種類以上を組み合わ
せて使用することができる。
【0019】さらに本発明において好適に使用されるポ
リフッ化ビニリデン樹脂としては、230℃で荷重5k
gにて測定した際のMFR(メルトフローレイト)が1
以上30以下のものが好ましい。すなわち、導電性充填
剤および/または半導電性充填剤を含有し、さらに均一
な膜厚の帯電防止性樹脂層Bを形成することが重要であ
ることから、MFRが1未満のポリフッ化ビニリデン樹
脂では流動性が低いために膜厚が均一にならない場合が
あり、一方、MFRが30を超えるポリフッ化ビニリデ
ン樹脂では、その製膜の際に膜の変形を起こすことがあ
る。
【0020】また、本発明でいうPFAとは、テトラフ
ルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテル
の共重合体を指し、−[(CF2−CF2n−CF(O
f)−CF2m−の化学構造式で示されるランダム共
重合体が本発明では好ましい。ここで−Rfは、パーフ
ルオロアルキル基である。
【0021】本発明にいうPFAとしては、パーフルオ
ロアルキルビニルエーテルとテトラフルオロエチレンの
共重合によって得られたものを指すが、本発明では公知
の方法で得られたPFAを使用することが可能である。
例えば、溶液重合法、乳化重合法、あるいは懸濁重合法
によって得られたPFAを使用することができる。ま
た、高温での成形加工の際の安定性を高めるため、重合
の際に連鎖移動剤を使用して得られたものが好ましい。
【0022】また、本発明で用いられるPFAとして
は、熱的安定性および化学的安定性の点からパーフルオ
ロアルキルビニルエーテルの割合がPFAを構成する全
モノマーの2.8モル%以上4モル%以下であるものが
好ましい。また、ASTM D3307にて測定したM
FRが1以上20以下のPFAが好ましい。すなわち、
MFRが1未満のPFAを用いると、均一な膜厚の帯電
防止性樹脂層Bを得ることが困難になることがある。ま
た、MFRが20を越えるPFAを用いると、帯電防止
性樹脂層Bを形成する際に膜の変形が発生しやすくなる
ことがある。
【0023】また、本発明でいうETFEとは、テトラ
フルオロエチレンとエチレンとの共重合によって得られ
たものを指すが、本発明では公知の方法で得られたET
FEを使用することが可能である。例えば、塊状重合、
乳化重合、溶液重合、あるいは懸濁重合によって得られ
たETFEが挙げられる。さらに、テトラフルオロエチ
レンとエチレンの混合ガスを連続的に重合系内に導入
し、重合中のモノマー組成を一定に保った定圧吹き込み
法によって得られたETFEが好ましい。
【0024】また、帯電防止性樹脂層Bの機械的強度の
低下を防ぐために、テトラフルオロエチレンとエチレン
との組成は、50/50〜60/40モル%程度のもの
が用いられる。さらに、ストレスクラッキングを防ぐた
め、第三成分として、パーフルオロブテン−1、パーフ
ルオロペンテン、パーフルオロヘプテン−1のようなフ
ッ素系ビニルモノマー、ω−ハイドロパーフルオロオク
テン−1のようなフッ素化α−モノオレフィン、パーフ
ルオロエチルビニルエーテル、パーフルオロプロピルビ
ニルエーテル、3−ハイドロパーフルオロプロピルビニ
ルエーテルなどのフッ素化ビニルエーテル、n−ブチル
トリフルオロビニルエーテルに代表されるハイドロフル
オロカーボンフッ素化ビニルエーテル、2,2,3,
3,3−ペンタフルオロプロピルトリフルオロビニルエ
ーテルに代表される炭化水素フッ素化ビニルエーテル、
酢酸ビニルのようなビニルエステル、アリルあるいはメ
タリル化合物、1,1,1−トリフルオロ−2−(トリ
フルオロメチル)−4−ペンテン−2−オールなどのビ
ニルモノマー、(パーフルオロブチル)エチレン、(パ
ーフルオロヘキシル)エチレンに代表されるフルオロオ
レフィンが挙げられる。
【0025】また、本発明でいうETFEとしては、M
FRが1以上20以下のものが好ましい。すなわち、M
FRが1未満のETFEを用いると、均一な膜厚の帯電
防止性樹脂層Bを得ることが困難になることがある。ま
た、MFRが20を越えるETFEを用いると、帯電防
止性樹脂層Bを形成する際に膜の変形が発生しやすくな
ることがある。
【0026】本発明でいう導電性充填剤としては、例え
ば、カ−ボンブラック、黒鉛、活性炭、フラーレン、カ
ーボンナノチューブ或いは炭素繊維などの炭素系の導電
性充填剤、金属粉末または金属繊維などの金属系の導電
性充填剤が挙げられる。本発明の目的には、耐食性の点
からカーボンブラック、黒鉛、活性炭、フラーレン、カ
ーボンナノチューブ或いは炭素繊維などの炭素系の導電
性充填剤が特に好ましい。また、本発明でいう半導電性
充填剤としては、例えば、炭素前駆体粉末や炭素前駆体
繊維などの炭素系の半導電性充填剤、金属酸化物粉末ま
たは金属酸化物繊維などの金属酸化物系の半導電性充填
剤が挙げられる。本発明の目的には、耐食性の点から炭
素前駆体粉末や炭素前駆体繊維などの炭素系半導電性充
填剤が特に好ましい。
【0027】以上の如き、導電性または半導電性充填剤
の使用量は、最終的に得られる本発明の部材の用途によ
っても異なるが、前記PASまたはフッ素系樹脂100
質量部当たり約15〜100質量部であることが好まし
い。上記充填剤の使用量が上記範囲未満では、最終的に
得られる部材の帯電防止性が不足する場合があり、一
方、上記範囲を超える使用量では帯電防止性樹脂層Bの
成膜性が不足する場合がある。又、導電性または半導電
性充填剤の添加量を上記の如くすることによって、本発
明の部材の表面抵抗率を1×1012Ω/□以下にするこ
とができる。本発明の部材の表面抵抗率は通常1×10
2〜1×1012Ω/□であり、好ましい表面抵抗率は1
×103〜1×1010Ω/□である。
【0028】本発明では、上記導電性充填剤および半導
電性充填剤から選ばれる少なくとも1種の充填剤とPA
Sまたはフッ素系樹脂からなる帯電防止性樹脂層Bを形
成する。この帯電防止性樹脂層Bを形成する方法として
は、導電性充填剤および/または半導電性充填剤とPA
Sまたはフッ素系樹脂とを、樹脂の溶融温度以上に加熱
して上記充填剤を混合および分散した後、得られた組成
物を所望の粒度に調整し、前記樹脂被覆層Aを形成した
部材を加熱し、所望の帯電防止性樹脂層Bを形成する方
法を用いることができる。あるいは、導電性充填剤およ
び/または半導電性充填剤とPASまたはフッ素系樹脂
の粉末を、樹脂被覆層Aを形成した部材表面に直接被覆
する方法が用いられる。
【0029】このうち、本発明では、樹脂層Bに帯電防
止機能を均一に発現させる点から、PASまたはフッ素
系樹脂と、導電性充填剤および/または半導電性充填剤
を含有する組成物を調製し、さらに得られた組成物を粉
砕した後、粉末コーティングを行う方法が好ましい。
【0030】粉末コーティングの方法としては、吹き付
け法または流動浸漬法を使用することが可能である。こ
のうち、部材形状の自由度の点から、吹き付け法が本発
明では好ましい。吹き付け法のうち、エアスプレー法、
エア静電塗装法が好適である。粉末コーティング後、P
ASまたはフッ素系樹脂と導電性充填剤および/または
半導電性充填剤を含有する組成物が塗布された部材は、
PASまたはフッ素系樹脂の融点以上の温度にて焼成さ
れる。予め金属基材の温度がPASまたはフッ素系樹脂
の融点以上に加熱され、粉末コーティングと共に帯電防
止性樹脂層Bが形成される場合は、必ずしも焼成は必要
としない。ただし、帯電防止性樹脂層Bが極めて厚い場
合、金属基材の温度の不均一が懸念される場合は、さら
に焼成を行うことは何ら差し支えない。
【0031】また、本発明では前記樹脂披覆層Aと、帯
電防止性樹脂層Bの接着性を向上させるため、必要に応
じて樹脂披覆層Aの平滑度を調整することや、プライマ
ー処理を行うことは何ら差し支えない。
【0032】以上の如くして形成される帯電防止性樹脂
層Bの厚みについては特に限定されないが、通常は約5
0μm〜10mmの厚みであり、好ましくは約100μ
m〜3mmの厚みである。帯電防止性樹脂層Bの厚みが
前記範囲よりも薄いと表面抵抗の均一性などの点で不充
分であり、又、帯電防止性樹脂層Bの厚みが前記範囲よ
りも厚くしても、厚くした意味がなく経済的ではない。
以上の如くして本発明で提供される耐食性に優れ、かつ
帯電防止性に優れた部材は、耐食性が求められる薬液配
管およびその関連装置、高温水配管およびその関連装
置、各種バルブ或いは撹拌装置などへ適用することが可
能である。
【0033】
【実施例】以下に実施例及び比較例を示して本発明をさ
らに具体的に説明する。ただし、本発明は本実施例に限
定されるものではない。 実施例1 <樹脂被覆層Aの形成>110mm×110mm×4.
5mmの鋼板(SS400)の表面を、サンドブラスト
により錆を除き、ホワイトメタル仕上げの下地処理を行
った。次いで該鋼板を300℃に1時間保持した。この
後、PPS(呉羽化学工業製、310℃、1200/秒
における溶融粘度200Pa・s、177μm以下の粒
径の粉末が89質量%)を、圧力1.5kg/cm2
圧縮空気で吹き付け塗布を行い、310℃の温度におい
て60分間電気炉で焼成した。さらに、この塗布および
焼成を3回繰り返した後、電気炉の扉を開放し270℃
まで急冷した。次に電気炉の扉を閉じ、270℃から8
0℃まで約3℃/分の速度で冷却し、PPSからなる樹
脂被覆層A(厚み1,200μm)で金属基材を被覆し
た。
【0034】<帯電防止性樹脂層Bの形成>一方、PP
S(呉羽化学工業製、310℃、1200/秒における
溶融粘度140Pa・s)75質量%および炭素繊維
(呉羽化学工業製、M107T)25質量%を混合し、
290℃から330℃に調整された二軸押出機へ供給
し、溶融混練を行なってペレット状組成物を得た。得ら
れたペレット状組成物をハンマーミルにて粉砕し、80
メッシュの篩を通過した粉体を得た。先に樹脂被覆層A
で被覆した金属基材を300℃に1時間保持し、得られ
た粉体を圧力1.5kg/cm2の圧縮空気で吹き付け
塗布を行い、電気炉で310℃の温度にて60分間焼成
した。さらにこの塗布および焼成を3回繰り返した後、
電気炉の扉を開放し270℃まで急冷した。さらに電気
炉の扉を閉じ、270℃から80℃まで約3℃/分の速
度で冷却し、PPSと炭素繊維を含有する帯電防止性樹
脂層B(膜厚900μm)を形成した。得られた部材の
表面抵抗率を測定したところ、3×104Ω/□であっ
た。尚、表面抵抗率はASTM D257に準拠し、印
加電圧500Vにて測定した。(以下同様である。) 更に、得られた部材を50質量%NaOH溶液(温度7
0℃)が流れる配管内に固定し、180日間暴露した。
暴露後、部材の表面を観察したところ、その表面には何
ら異常は認められなかった。
【0035】実施例2 <樹脂被覆層Aの形成>実施例1と同様の操作を行い、
PPSからなる樹脂被覆層A(厚み1,100μm)で
金属基材を被覆した。
【0036】<帯電防止性樹脂層Bの形成>PVDF
(呉羽化学工業製、KF#850)85質量%および炭
素繊維(呉羽化学工業製、M107T)15質量%を混
合し、200℃〜250℃に調整された二軸押出機へ供
給し溶融混練を行い、ペレット状組成物を得た。得られ
たペレット状組成物を冷却し、ハンマーミルにて凍結粉
砕を行い、80メッシュの篩を通過した粉体を得た。先
に樹脂被覆層Aで被覆した金属基材を240℃に1時間
保持し、得られた粉体を圧力1.5kg/cm2の圧縮
空気で吹き付け塗布を行い、電気炉で240℃の温度に
て60分間焼成した。さらにこの塗布および焼成を3回
繰り返した後、電気炉の扉を開放し180℃まで急冷し
た。次いで電気炉の扉を閉じ、180℃から80℃まで
約3℃/分の速度で冷却し、PVDFと炭素繊維を含有
する帯電防止性樹脂層B(膜厚1,100μm)を形成
した。得られた部材の表面抵抗率を測定したところ、2
×105Ω/□であった。
【0037】実施例3 <樹脂被覆層Aの形成>実施例1と同様の操作を行い、
PPSからなる樹脂被覆層A(厚み1,300μm)で
金属基材を被覆した。
【0038】<帯電防止性樹脂層Bの形成>一方、PP
S(呉羽化学工業製、310℃、1200/秒における
溶融粘度140Pa・s)75質量%、炭素繊維(呉羽
化学工業製、M107T)5質量%および炭素前駆体粉
末(呉羽化学工業製、炭素含有率92%、平均粒径25
μm)20質量%を混合し、290℃から330℃に調
整された二軸押出機へ供給し溶融混練を行い、ペレット
状組成物を得た。得られたペレット状組成物をハンマー
ミルにて粉砕し、80メッシュの篩を通過した粉体を得
た。先に樹脂被覆層Aで被覆した金属基材を300℃に
1時間保持し、得られた粉体を圧力1.5kg/cm2
の圧縮空気で吹き付け塗布を行い、電気炉で310℃の
温度にて60分間焼成した。さらにこの塗布および焼成
を3回繰り返した後、電気炉の扉を開放し270℃まで
急冷した。さらに電気炉の扉を閉じ、270℃から80
℃まで約3℃/分の速度で冷却し、PPSと炭素繊維と
炭素前駆体粉末とを含有する帯電防止性樹脂層B(膜厚
1,500μm)を形成した。得られた部材の表面抵抗
率を測定したところ、2×108Ω/□であった。
【0039】比較例1 <樹脂被覆層Aの形成>実施例1と同様の操作を行い、
PPSからなる樹脂被覆層A(厚み1,300μm)で
金属基材を被覆した。得られた部材の表面抵抗率を測定
したところ、3×1014Ω/□であった。更に、実施例
1と同様に、得られた部材を50質量%NaOH溶液
(温度70℃)が流れる配管内に固定し、180日間暴
露した。暴露後、部材の表面を観察したところ、その表
面には何ら異常は認められなかった。
【0040】比較例2 <樹脂被覆層Aの形成>実施例1と同様の操作を行い、
PPSからなる樹脂被覆層A(厚み1,200μm)で
金属基材を被覆した。上記樹脂被覆層Aで被覆した金属
基材を240℃に1時間保持し、PVDF(呉羽化学工
業製、KF#850)を圧力1.5kg/cm2の圧縮
空気で吹き付け塗布を行い、電気炉で240℃の温度に
て60分間焼成した。さらにこの塗布および焼成を3回
繰り返した後、電気炉の扉を開放し180℃まで急冷し
た。次いで電気炉の扉を閉じ、180℃から80℃まで
約3℃/分の速度で冷却し、PVDF樹脂層(厚み1,
000μm)を形成した。得られた部材の表面抵抗率を
測定したところ、2×1014Ω/□であった。
【0041】比較例3 実施例1と同様に110mm×110mm×4.5mm
の鋼板の表面を、サンドブラストにより錆を取り除き、
ホワイトメタル仕上げに下地処理を行った。次いで該鋼
板を300℃に1時間保持した。この後、実施例1で得
られた、PPS75質量%および炭素繊維25質量%か
らなる組成物から得られた粉体を、圧力1.5kg/c
2の圧縮空気で吹き付け塗装を行い、310℃の温度
にて60分間電気炉で焼成した。更にこの塗布及び焼成
を3回繰り返した後、電気炉の扉を開放し270℃まで
急冷した。次に270℃から80℃まで約3℃/分の速
度で冷却し、PPSと炭素繊維からなる樹脂層(厚み
1,500μm)で金属基材を被覆した。得られた部材
の表面抵抗率を測定したところ、4×104Ω/□であ
った。更に、実施例1と同様に、得られた部材を50質
量%NaOH溶液(温度70℃)が流れる配管内に固定
し、180日間暴露した。暴露後、部材の表面を観察し
たところ、金属基材と樹脂被覆層表面に膨れの箇所が多
数見られた。また、一部に被覆層の剥離が見られた。以
上の結果をまとめて下記の表1に示す。尚、表中の
「%」は質量%である。
【0042】
【表1】
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、耐食性と帯電防止機能
を併せ持った部材を安定的に得ることが可能である。す
なわち、本発明によって提供される耐食性部材は、腐食
性物質を扱う化学プラント、廃棄物処理装置、その他各
種産業機器へ適用される。さらに、本発明で提供される
部材は、特に帯電防止機能を持つため、本発明で提供さ
れる部材を上記用途へ使用した場合、静電気の放電に起
因する種々の問題、例えば、機器の誤動作、粉塵への着
火や爆発などを未然に防ぐことが可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 101/00 C08L 101/00 C09D 5/08 C09D 5/08 5/24 5/24 181/02 181/02 (72)発明者 高岩 正和 福島県いわき市錦町落合135番地 呉羽テ クノエンジ株式会社内 Fターム(参考) 4F100 AA37C AB01A AB03 AD11C AJ20C AK01C AK17C AK57B AK57C AK57K AL05C BA03 BA07 BA10A BA10C CA21C DE01 EH61 EJ48 GB51 JB02 JG03 JG03C JG04C YY00C 4J002 BD121 BD141 BD151 CN011 DA016 DA026 DA036 FA046 FD016 FD106 FD116 GF00 GH00 GQ02 4J038 CD091 CD111 CD121 CD131 DK001 HA026 KA08 KA19 NA17 NA20 PA02 PC02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属基材が、その表面にポリアリーレン
    サルファイドからなる樹脂被覆層Aを有し、さらに該樹
    脂被覆層Aの一部または全部の表面に、導電性充填剤お
    よび半導電性充填剤から選ばれる少なくとも1種を含有
    する帯電防止性樹脂層Bを有してなることを特徴とする
    耐腐食性部材。
  2. 【請求項2】 帯電防止性樹脂層Bが、ポリアリーレン
    サルファイドまたはフッ素樹脂を含有する請求項1に記
    載の耐食性部材。
  3. 【請求項3】 導電性充填剤または半導電性充填剤が、
    カーボンブラック、黒鉛、活性炭、炭素前駆体および炭
    素繊維から選ばれる少なくとも1種である請求項1また
    は2に記載の耐腐食性部材。
  4. 【請求項4】 帯電防止性樹脂層Bの表面抵抗率が、1
    ×1012Ω/□以下である請求項1〜3のいずれか1項
    に記載の耐腐食性部材。
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