JPH04227778A - 摺動部用塗料組成物 - Google Patents

摺動部用塗料組成物

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JPH04227778A
JPH04227778A JP9563791A JP9563791A JPH04227778A JP H04227778 A JPH04227778 A JP H04227778A JP 9563791 A JP9563791 A JP 9563791A JP 9563791 A JP9563791 A JP 9563791A JP H04227778 A JPH04227778 A JP H04227778A
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JP
Japan
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parts
coating composition
resin
weight
sliding parts
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JP9563791A
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English (en)
Inventor
Yoshiro Oki
芳郎 沖
Yoshibumi Terayama
寺山 義文
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Chukoh Chemical Industries Ltd
NTN Engineering Plastics Corp
Original Assignee
Chukoh Chemical Industries Ltd
NTN Engineering Plastics Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は産業機器の摺動部用塗
料に用いる摺動部用塗料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、機械・化学・電気・食品・宇宙
・航空産業等の各産業機器における滑り面、滑り軸受な
どの摺動部には、無給油状態でも良好な低摩擦特性、耐
摩耗性、耐熱性を保つように滑り性の良好な摺動部用塗
料が用いられている。
【0003】このような摺動部用塗料には、大別して2
つのタイプがある。第1のタイプとしては、テトラフル
オロエチレン樹脂(以下、PTFEと略称する)、テト
ラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエー
テル共重合体(以下、PFAと略称する)、テトラフル
オロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(以
下、FEPと略称する)その他のフッ素系重合体をバイ
ンダー樹脂と共に有機溶媒に分散したものである。上記
バインダー樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹
脂、ポリアミドイミド樹脂またはポリイミド樹脂等があ
る。このようなバインダー樹脂を含んだ第1のタイプは
、焼成時にバインダー樹脂が表面エネルギーの差によっ
て下地側に片寄るため密着性が良く、また、フッ素系重
合体は表層側に移動してその非粘着性が表層に現れる。 このタイプは、焼成時にフッ素系重合体を溶融する必要
がなく、焼成温度は前記したバインダー樹脂の溶融・硬
化温度(180〜250℃程度)とすればよいため、加
工が容易である。
【0004】しかし、この第1のタイプの摩擦特性およ
び耐摩耗性は、たとえば事務用機器などにおける2〜3
kgf/cm2 程度の低荷重下での使用には充分耐え
得るが、自動車用摺動部材などにおける10kgf/c
m2 以上の高荷重の使用条件では充分とはいえない。 また、表層にはバインダー樹脂も混在するため、フッ素
樹脂本来の優れた非粘着性は得られなかった。
【0005】このような欠点に対処するものとして、非
粘着性に優れたポリフェニレンサルファイド樹脂(以下
、PPSと略称する)を用いたものも公知であり(特開
昭57−90043号、特開昭57−90044号)、
PTFEと配合したものも知られている。
【0006】しかし、PPSは、ガラス転移点が約10
0℃であり、耐熱性に劣るものであった。また、PPS
とガラス転移点230℃のポリエーテルサルファイド樹
脂(以下、PESと略称する)を配合したものも知られ
ているが、耐熱性は満足し得るものではない。また、そ
の塗膜には靭性が充分になく、割れ、剥がれを起こすこ
とから焼成後の折り曲げ加工または打ち抜き加工ができ
ないという欠点があった。
【0007】第2のタイプとして、PTFE、PFA、
FEPまたはテトラフルオロエチレン・エチレン共重合
体(以下、ETFEと略称する)を単独または充填剤と
共に、前記したフッ素系重合体に配合したものがある。 この摺動部用塗料は、下地材である摺動部に密着させる
ため所定のプライマーを塗布し、フッ素系重合体の溶融
を利用して熱融着して用いる。使用例としては、フライ
パン、鍋、包丁またははさみなどのシルバーストーン(
デュポン社製)が揚げられる。
【0008】上記した第2のタイプは、表層でフッ素系
重合体がフィルム化するので非粘着性に優れている。し
かし、前記した第1のタイプ以上に耐摩耗性に劣り、破
れ、剥れ等の問題を起こすことから工業用摺動材料とし
て用いることができなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、フッ素
系重合体本来の良好な非粘着を表層に有しながら、低摩
擦性、耐摩耗性に優れ、しかも300℃以上の耐熱性を
有し、さらに割れ、剥がれ等をおこすことなく折り曲げ
加工または打ち抜き加工できるような靭性および耐衝撃
性に優れた摺動部用塗料組成物は得られていないという
問題点があり、これを解決することが課題となっていた
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、この発明はポリフェニレンサルファイド樹脂10
0重量部と、熱硬化性樹脂20〜100重量部およびフ
ッ素系重合体10〜100重量部とを必須成分とする摺
動部用塗料組成物を採用したものである。
【0011】または、ポリフェニレンサルファイド樹脂
100重量部と、芳香族アラミド系樹脂およびポリイミ
ド系樹脂から選ばれる1種以上の耐熱性樹脂20〜10
0重量部およびフッ素系重合体10〜100重量部とを
必須成分とする摺動部用塗料組成物とすることもできる
。また、これら摺動部用塗料組成物にはそれぞれオルガ
ノポリシロキサンエラストマーまたはフルオロエラスト
マーから選ばれる1種以上のエラストマーを添加しても
よい。
【0012】また、上記のフッ素系重合体は、主鎖に炭
素鎖を持ち、側鎖にフッ素の結合をもつポリマーであっ
て、たとえば、テトラフルオロエチレン重合体(以下P
TFEと略記する)、テトラフルオロエチレン・パーフ
ルオロアルキルビニルエーテル共重合体(以下PFAと
略記する)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロ
プロピレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重
合体(以下EPEと略記する)、テトラフルオロエチレ
ン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(以下FEPと
略記する)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合
体(以下ETFEと略記する)、トリフルオロクロロエ
チレン重合体(以下CTFEと略記する)、トリフルオ
ロクロロエチレン・エチレン共重合体(以下ECTFE
と略記する)、ポリビニルフルオライド(以下PVFと
略記する)およびポリビニリデンフルオライド(以下P
VDFと略記する)からなる群から選ばれる1種以上の
重合体であればよい。以下、その詳細を述べる。
【0013】この発明におけるPPSは、特に限定され
るものではなく、主要構造単位として、一般式
【001
4】
【化1】
【0015】で示される繰り返し単位からなるポリマー
である。
【0016】PPSは、吹き付け塗装に際して有機溶剤
あるいは水に均一に分散させて用いるため、平均粒径5
μm以下の低分子量のものが好ましい。このような条件
を満たす市販のPPSとしては、米国フィリップスペト
ロリアム社製ライトンV−1 あるいは米国特許第40
46749号記載のPPSオリゴマーが望ましい。しか
し、塗装方法として、流動浸漬等のパウダーコーティン
グ法を採用するならば直鎖状PPS(たとえば呉羽化学
工業社製:KSP)、架橋型PPS(たとえばトープレ
ン社製:T−4)も使用し得る。
【0017】この発明における熱硬化性樹脂は、特に限
定されるものでなく、たとえば、フェノール樹脂、エポ
キシ樹脂、ポリイミド系樹脂またはそれらの熱硬化物(
処理温度300〜1000℃)が挙げられる。耐熱性樹
脂としては、芳香族アラミド系樹脂、ポリイミド系樹脂
が挙げられるが、これらのガラス転移点は300℃以上
のものを採用することが好ましい。
【0018】上記したポリイミド系樹脂は、熱硬化性ま
たは熱可塑性のいずれかに特に限定されるものではなく
、主鎖中にイミド結合を有し、またはイミド結合と共に
アミド結合、エーテル結合等を有するイミド系の重合体
であってよく、たとえば、ポリイミド樹脂、ポリアミド
イミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂または、ポリアミ
ノビスマレイミド等のイミド系オリゴマーが挙げられる
。これらポリイミド系樹脂の粒径は20μm以下である
ことが好ましく、配合された塗料組成物に対する分散性
および塗膜に平滑性を得るためには、10μ以下が特に
好ましい。また、ポリイミド系樹脂を熱硬化処理した後
、冷凍粉砕して微粒子化し、耐熱性を高めて用いてもよ
い。
【0019】前記した熱硬化性樹脂または耐熱性樹脂の
配合割合は、PPS100重量部に対して20〜100
重量部である。なぜなら、上記配合割合が20重量部未
満の少量では、塗料組成物によって形成される塗膜に充
分な耐熱性および耐摩耗性が得られず、100重量部を
越える多量では、塗膜と摺動部下地材との密着強度が弱
まり、耐摩耗性に劣るからである。
【0020】前記した熱硬化性樹脂のうち市販のフェノ
ール樹脂の硬化粉砕品としては、鐘紡社製:ベルパール
H300、ポリイミド樹脂としては三井東圧化学社製N
ew−TPI450P、ポリアミノビスマレイミドとし
てローヌプーラン社製:ケルイミドなどが挙げられる。
【0021】また、ガラス転移点が300℃以上の市販
の耐熱性樹脂としては、芳香族アラミド樹脂の粉砕品で
ある旭化成社製:MP−P、ポリイミド樹脂の硬化粉砕
品である三笠産業社製:PWA20、熱硬化性ポリイミ
ド樹脂粉末である宇部興産社製:ユーピレックスS(T
g>500)が挙げられる。その他のポリイミド系樹脂
としては、ポリアミドイミド樹脂であるアモコ社製トー
ロン4503、ポリエーテルイミド樹脂であるGE社製
ウルテム1000などが挙げられる。上記の樹脂粉末の
粒径は、1〜15μmのものが混練・加工工程での容易
性の点で好ましいといえる。
【0022】また、この発明におけるフッ素系重合体は
、PTFE、PFA、ETFE、FEP、EPE、CT
FE、ECTFE、PVF、PVDFからなる群から選
ばれる1種以上の重合体であればよい。フッ素系重合体
は、配合時の分散性を考慮して、平均分子量50000
以下が好ましく、5000〜30000が特に好ましい
。同様に、平均粒径では、20μm以下が好ましく、5
〜10μmが特に好ましい。このような条件を満たす市
販のフッ素系重合体としては、次のものが挙げられる。 すなわち、PTFEとして旭硝子社製ルーブリカントL
169、ヘキスト社製TF9502、セントラル硝子社
製セフラルルーブ、ETFEとして旭硝子社製アフロン
COP、PFAとして三井デュポン・フロロケミカル社
製MP10などである。
【0023】フッ素系重合体の配合割合は、PPS10
0重量部に対して10〜100重量部である。なぜなら
、フッ素系重合体が10重量部未満の少量では充分な非
粘着性および摺動特性が得られず、100重量部を越え
る多量では、摺動部下地材との密着強度が弱まり耐摩耗
性に劣るからである。フッ素系重合体の併用例としては
、ETFEとPTFEまたはPFAとPTFEなどが挙
げられる。
【0024】また、耐衝撃性、靭性の向上を図り折り曲
げ加工、後加工等の加工性を改良するためにオルガノポ
リシロキサンエラストマーまたはフルオロエラストマー
から選ばれるエラストマー材料を添加するのも好ましい
【0025】この発明におけるオルガノポリシロキサン
エラストマーとはSi−O結合(シロキサン結合)を有
する高重合度のオルガノポリシロキサン類であって室温
においてゴム状弾性を有するものであれば、広範囲のも
のを例示することができる。また、このオルガノポリシ
ロキサンエラストマーの分子量は、通常5万以上のもの
が望ましく、可及的に高分子量のものが良好な結果を得
ることから、より望ましくは7万以上、特に望ましくは
10〜25万程度のものを用いる。以上の条件に該当す
る代表例としては、ポリジメチルシリコーンエラストマ
ー(以下MQと略記する)信越化学社製KE76、メチ
ルビニルシリコーンエラストマー(以下VMQと略記す
る)東レ・シリコーン社製SH433または信越化学社
製TSE201、メチルフェニルシリコーンエラストマ
ー(以下PMQと略記する)東レ・シリコーン社製SE
955Uおよびフルオロシリコーンエラストマー(以下
FVMQと略記する)ダウコーニング社製シラスティッ
クLSが挙げられる。
【0026】また、この発明におけるフルオロエラスト
マーとは、平均して1個以上のフッ素原子を含む単位モ
ノマーの重合体または共重合体であって、ガラス転移点
が室温以下であり、室温でゴム状弾性を有するものであ
れば、特に限定されるものでなく、広範囲のものを例示
することができる。フルオロエラストマーの重合方式と
しては、塊状重合、懸濁重合、乳化重合、溶液重合、触
媒重合、電離性放射線重合、レドックス重合などを挙げ
ることができる。また、フルオロエラストマーの分子量
は、通常5万以上のものが望ましく、可及的に高分子量
のものが良好な結果を得ることから、より望ましくは7
万以上、特に望ましくは10万〜25万程度のものを用
いる。以上の条件に該当する代表例としては、テトラフ
ルオロエチレン・プロピレン共重合体である旭硝子社製
アフラス、フッ化ビニリデン・ヘキサフルオロプロピレ
ン共重合体であるデュポン・昭和電工社製バイトン、フ
ッ化ビニリデン・ヘキサフルオロプロピレン・テトラフ
ルオロエチレン共重合体であるモンテフルオス社製テク
ノフロン、フルオロシリコーン系エラストマーであるダ
ウコーニング社製シラスティックLS、フォスファゼン
系エラストマーであるファイアストーン社製PNF、パ
ーフルオロ系エラストマーであるダイキン工業社製ダイ
エルパーフロなどを挙げることができる。
【0027】上記したエラストマーの配合割合はポリフ
ェニレンサルファイド樹脂100重量部に対して5〜5
0重量部であることが望ましい。なぜならば、5重量部
以下であれば耐衝撃性、靭性の向上という特性が得られ
ず、50重量部を超えるようであれば下地材との密着強
度が弱まり耐摩耗性に劣るためである。
【0028】なお、この発明の目的を損なわない範囲で
、樹脂組成物に汎用される添加剤類を配合してもよい。 添加剤類の適当な配合割合は、それぞれ比重が異なるた
め体積部でこれを示せば、PPS100体積部に対して
5〜50体積部が好ましく、15〜35体積部が特に好
ましい。代表的な添加剤類を以下に列挙する。
【0029】潤滑剤:グラファイト、二硫化モリブデン
、 補強剤:ガラス繊維、カーボン繊維、ボロン繊維、炭化
ケイ素繊維、カーボンウィスカー、アスベスト、金属繊
維、ロックウールなど、 難燃剤:酸化アンチモン、炭酸マグネシウム、炭酸カル
シウムなど、 電気特性向上剤:クレー、マイカなど、熱伝導度向上剤
:鉄、亜鉛、アルミニウム、銅その他の金属化合物 その他の充填材:ガラスビーズ、ガラス球、アルミナ、
タルク、ケイソウ土、水和アルミナ、シラスバルーン、
酸化亜鉛、酸化チタン、その他金属酸化物で 500℃
以上で安定な天然若しくは合成の化合物、以上の材料を
配合した組成物を製造するには、そのままあるいは、水
または有機溶剤へ分散させ、磁性ボール等によって粉砕
し、均質に混合する。このようにして得られた摺動部用
塗料組成物は、スプレー塗装、流動浸漬、静電塗装等に
よって塗装する。
【0030】
【作用】以上述べたように、この発明の摺動部用塗料組
成物は、必須成分としてPPS、熱硬化性樹脂または芳
香族アラミド樹脂およびポリイミド樹脂から選ばれる1
種以上の耐熱性樹脂、およびフッ素系重合体を所定の割
合で併用することにより、フッ素系重合体の非粘着性を
表層に有して低摩擦性であり、かつ耐摩耗性に優れ、し
かも300℃以上の耐熱性を有する塗膜を形成する。ま
た、上記組成物に、エラストマーを添加すれば塗膜の耐
衝撃性、靭性がより高められたものとなる。
【0031】
【実施例】実施例および比較例1〜5に用いた諸原料を
一括して示すと以下の通りである。
【0032】(1)PPS(米国フィリップス社製:V
−1) (2)ETFE(旭硝子社製:アフロンCOP)(3)
PFA(三井・デュポンフロロケミカル社製:テフロン
PFA  MP−10) (4)FEP(三井・デュポンフロロケミカル社製:テ
フロン100) (5)PTFE(ヘキスト社製:TF9205)(6)
フェノール・アルキル系変性フェノール樹脂(鐘紡社製
:ベルパールH300) (7)ポリイミド粉砕品(三笠産業社製:PWA20)
(8)熱硬化性ポリイミド樹脂(宇部興産社製:ユーピ
レックスS) (9)ポリイミド樹脂(三井東圧化学社製:New−T
PI450P) (10)ポリイミド樹脂(ローヌプーラン社製:ケルイ
ミド) (11)ポリエーテルサルフォン樹脂(ICI社製:V
ICTREX500  3P) (12)シリコーンゴムパウダー(トーレ・シリコン社
製:トレフィルE501) (13)フルオロエラストマー(旭モント社製:テクノ
フロンFOR420) (14)グラファイト(日本黒鉛社製:ACP)(15
)界面活性剤( ローム&ハス社製:トライトンX10
0) (16)プロピレングリコール(一般試薬)実施例1〜
9:前記した有機粉体、無機充填剤、界面活性剤および
溶剤を表1に示す組成で一括して仕込み、塗料化した。 すなわち、PPSを250gとして、各実施例の組成の
全量を1.5リットルの容器に入れ、多数の磁性ボール
(直径20mmまたは25mmのものをそれぞれ0.5
4kgずつ)を混在させて、回転数80rpmで80時
間、この磁性ボールを回転して組成物を粉砕、混合した
【0033】なお、表1および表2中の組成比は、PP
S100重量部に対する重量部で示した。
【0034】得られた塗料をスプレーガンでリング状の
外径33mm、内径6mm、長さ6mmのSUJ2プレ
ートに吹き付け、370℃で45分間焼付けて平滑な塗
膜を得た。この塗膜に対して摩擦摩耗特性、密着性、表
面硬度、非粘着性、耐熱性および屈曲性を以下の方法で
調べ、得られた結果を表3にまとめて示した。
【0035】(1)摩擦試験 相手材としてSUJ2の内径17mm、外径21mm、
長さ10mmのリング試片を採用し、滑り速度12.0
m/分、面圧5.0kgf/cm2 の条件でスラスト
型摩擦試験機を用い動摩擦係数を測定した。
【0036】(2)摩耗試験 相手材としてSUJ2の内径17mm、外径21mm、
長さ10mmのリング試片を採用し、滑り速度1.0m
/分、面圧30.0kgf/cm2 の条件でスラスト
型摩擦試験機を用い50時間後の摩耗量(mg)を測定
した。
【0037】(3)密着性試験 塗膜に1mm角の基盤目状のクロスカットを10列10
行形成し、感圧接着テープを用いて剥がれ強度試験を行
なった。その評価は、たとえばクロスカットの100目
中a目剥がれた場合、( 100−a)/100と表示
して評価した。
【0038】(4)表面硬度試験 鉛筆硬度試験機を用いて、荷重500gでの塗膜引っか
き痕の発生を鉛筆硬度で評価した。
【0039】(5)非粘着性試験 塗膜表面に水を滴下した際、両者の境界の接触角を接触
角測定器で測定した。
【0040】(6)表面軟化温度試験 TMA法にて、直径1mmのガラス製円柱試験片に1g
の負荷を加えて昇温し、塗膜表面が軟化する温度を測定
した。
【0041】(7)屈曲試験 JIS  K5400に準拠して、150mm×150
mm×厚さ0.3mmのSPCC板片面に塗膜を形成し
、屈曲後の塗膜の割れの有無を調べた。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
【表4】
【0046】実施例10PPSを250gとし、表1に
示す割合の全量を1.5リットルの容器に入れ、多数の
磁性ボール(直径20mm、または25mmのものをそ
れぞれ0.54kgずつ)を混在させて回転数80rp
mで24時間、この磁性ボールを回転して粉砕混合し、
粉末状組成物を得た。
【0047】390℃に予熱した前記の試験片に上記粉
末状組成物を静電スプレーガンにてコーティングし、さ
らに370℃、45分間焼成して平滑な塗膜を得た。こ
の塗膜に対して実施例1〜9と同様に試験(1)〜(7
)を行ない、その結果を表3中に併記した。
【0048】実施例11 フルオロエラストマーを冷凍粉砕し、約1mm径とした
後、実施例10と同様な手法で混合し、粉末状組成物を
得た。ついでこれを二軸溶融押し出し機にて表1に示す
他の原材料と溶融ブレンドしペレットを得た。つぎにこ
れを上記同様の手法で粉砕し、約50μm程度の粉末状
塗料組成物とし、実施例10と同様な手法で試験片に静
電コーティングし、試験(1)〜(7)を行ない、その
結果を表3中に併記した。
【0049】比較例1〜5:前記した有機粉体、無機充
填剤、界面活性剤および溶剤を表3に示す組成で一括し
て仕込み、実施例1〜9と全く同様の手法で塗料および
塗膜を得た。さらに、実施例と比較するため、前記した
試験(1)〜(7)を行ない、この結果を表4中に示し
た。
【0050】比較例6:PTFE系熱融着タイプの市販
A社製プライマーaをスプレーガンで外径33mm、内
径6mm、長さ6mmのSUJ2プレートおよび150
mm×150mm×0.3mmのSPCCプレートに吹
き付け、100℃で10分間乾燥し、その上に同社製の
プライマーbを別途同様に吹き付け、100℃で10分
間乾燥した。さらにトップコートとしてPTFE系ディ
スパージョンを吹き付け、370℃で45分間焼付けた
【0051】比較例7:PFA系熱融着タイプの市販B
社製プライマーをスプレーガンで外径33mm、内径6
mm、長さ6mmのSUJ2プレートおよび150mm
×150mm×0.3mmのSPCCプレートに吹き付
け、100℃で10分間乾燥し、その上にトップコート
としてPFA系ディスパージョンを吹き付け、350℃
で30分間焼付けた。
【0052】比較例8:ポリアミドイミドとPTFEと
からなるエナメルタイプの市販C社製塗料をスプレーガ
ンで外径33mm、内径6mm、長さ6mmのSUJ2
プレートおよび150mm×150mm×0.3mmの
SPCCプレートに吹き付け、100℃で10分間乾燥
し、さらに230℃で45分間焼付けた。
【0053】比較例6〜8で得られた塗膜に対して、前
記試験(1)〜(7)を行ない、得られた結果を表4中
に併記した。
【0054】表4からも明らかなように、PPS、熱硬
化性樹脂または耐熱性樹脂およびフッ素系重合体からな
る実施例1〜8は摩擦係数が0.145〜0.185と
低く、また、接触角度は110°と大きく、フッ素系重
合体本体の非粘着性が表層に充分現われている。また、
軟化温度は、安定して330℃と高く、摩耗量は0.7
mg以下で耐熱性と共に耐摩耗性にきわめて優れた性質
を示した。このような特性は、PTFEとETFEを併
用した実施例2で特に顕著であった。
【0055】また、塗料組成物にエラストマーを添加し
た実施例9〜11においては実施例1〜8と同様な低摩
擦特性、耐摩耗性、非粘着性および耐熱性を有しながら
靭性及び耐衝撃性をかねそなえたものであった。
【0056】しかし、PPSに変性フェノール樹脂のみ
を40重量部配合した比較例1、PTFEを30重量部
のみを配合した比較例2、PTFEを30重量部とグラ
ファイトを10重量部とを配合した比較例3、PTFE
を30重量部とPESを40重量部とを配合した比較例
4の耐摩耗性は実施例に比較して劣っていた。比較例1
では、特に非粘着性が劣り、比較例2〜4では、特に耐
熱性が劣っていた。また、比較例6〜8では2種類のプ
レートについてほぼ同様の試験結果であり、PTFE系
の熱融着タイプである比較例6およびPFA系タイプで
ある比較例7は、非粘着性に優れるが、いずれも耐摩耗
性および表面硬度に劣り、摩耗量試験開始後、約1時間
で下地が露出した。バインダー樹脂とPTFE混合のエ
ナメルタイプである比較例8は、摩擦係数が高く、耐摩
耗性および非粘着性に劣るものであった。
【0057】
【効果】この発明の摺動部用塗料組成物は、以上説明し
たようにフッ素系重合体本来の非粘着性を表層に有する
と共に、低摩擦性であり、かつ耐摩耗性に優れ、300
℃を越える耐熱性を有する塗膜を得ることができ、さら
にエラストマーを添加すれば、靭性、耐衝撃性に優れる
ので折り曲げ加工、打ち抜き加工もできるので、従来の
塗料組成物に比べてはるかに優れた特性を示し、工業用
摺動部用塗料として好適なものである。したがって、こ
の発明の意義は、きわめて大きいといえる。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  ポリフェニレンサルファイド樹脂10
    0重量部と、熱硬化性樹脂20〜100重量部およびフ
    ッ素系重合体10〜100重量部とを必須成分としてな
    る摺動部用塗料組成物。
  2. 【請求項2】  ポリフェニレンサルファイド樹脂10
    0重量部と、芳香族アラミド系樹脂およびポリイミド系
    樹脂から選ばれる1種以上の耐熱性樹脂20〜100重
    量部、およびフッ素系重合体10〜100重量部とを必
    須成分としてなる摺動部用塗料組成物。
  3. 【請求項3】  熱硬化性樹脂がフェノール樹脂、エポ
    キシ樹脂、ポリイミド系樹脂からなる群から選ばれる1
    種以上の樹脂である請求項1記載の摺動部用塗料組成物
  4. 【請求項4】  熱硬化性樹脂が300〜1000℃で
    熱硬化処理された平均粒径10μm以下の微粒子である
    請求項1記載の摺動部用塗料組成物。
  5. 【請求項5】  耐熱性樹脂がガラス転移点300℃以
    上の耐熱性樹脂である請求項2記載の摺動部用塗料組成
    物。
  6. 【請求項6】  フッ素系重合体がテトラフルオロエチ
    レン重合体、テトラフルオロエチレン・パーフルオロア
    ルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレ
    ン・ヘキサフルオロプロピレン・パーフルオロアルキル
    ビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン・ヘ
    キサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチ
    レン・エチレン共重合体、トリフルオロクロロエチレン
    重合体、トリフルオロエチレン・エチレン共重合体、ポ
    リビニルフルオライドおよびポリビニリデンフルオライ
    ドからなる群から選ばれる1種以上の重合体である請求
    項1または2記載の摺動部用塗料組成物。
  7. 【請求項7】  請求項1または2記載の摺動部用塗料
    組成物にオルガノポリシロキサンエラストマーまたはフ
    ルオロエラストマーから選ばれる1種以上のエラストマ
    ーを添加した摺動部用塗料組成物。
  8. 【請求項8】  エラストマーの配合割合がポリフェニ
    レンサルファイド100重量部に対して5〜50重量部
    である請求項7記載の摺動部用塗料組成物。
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