JP2005290328A - 低汚染性の射出成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 熱可塑性樹脂成分と炭素系充填材とを含有する樹脂組成物を射出成形して得られる射出成形体であって、表面抵抗率を半導電性領域内の所望の値に厳密に制御可能で、射出成形時のバリの発生を安定的に低減することができ、異物微粒子の発生量が著しく少ない低汚染性の射出成形体を提供する。
【解決手段】 結晶性熱可塑性樹脂と非晶性熱可塑性樹脂とを含有する熱可塑性樹脂成分30〜94質量%、体積抵抗率10〜1010Ω・cmの炭素前駆体5〜40質量%、及び体積抵抗率10Ω・cm未満の導電性充填材1〜30質量%を含有する樹脂組成物から形成された低汚染性の射出成形体。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱可塑性樹脂成分と炭素系充填材とを含有する射出成形体に関し、さらに詳しくは、表面抵抗率を半導電性領域内の所望の値に厳密に制御可能で、射出成形時のバリの発生が著しく低減され、しかも異物微粒子(パーティクル)の発生量が著しく少ない低汚染性射出成形体に関する。本発明の射出成形体は、熱可塑性樹脂成分を構成する結晶性熱可塑性樹脂と非晶性熱可塑性樹脂の組み合わせを選択することにより、前記特性に加えて、機械的特性、耐熱性、寸法安定性などを所望の高水準に制御することができる。
本発明の射出成形体は、静電気による放電現象(Electro-Static Discharge)やそれによる静電破壊(Electro-Static Destroy)などのESD障害に対応することができ、かつ低汚染性であるため、半導体デバイスなどの電子デバイスの搬送用トレーや容器などとして特に好適である。
ICやLSIなどの半導体の製造工程で使用される部品及びその実装用部品、磁気ヘッド及びハードディスクドライブの製造工程で使用される部品及びその実装部品、液晶ディスプレイの製造工程で使用される部品及びその実装部品などの成形に使用される樹脂材料には、機械的特性、耐熱性、耐薬品性、寸法安定性に優れることが求められている。これらの部品には、例えば、電子デバイスの製造工程で搬送(輸送を含む)などに用いられるトレーや容器なども含まれる。このようなトレー及び容器としては、例えば、ウェハキャリア、洗浄用トレー、ICチップトレー、ハードディスクドライブ部品搬送用の磁気ヘッド用トレーやヘッド・ジンバル・アセンブリー(Head Gimbal Assembly;HGA)トレーなどがある。
従来、この技術分野での樹脂材料としては、例えば、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド等の耐熱性、耐薬品性などに優れた熱可塑性樹脂が使用されている。
しかし、電子デバイスの高密度ピッチ化が進展するに伴い、表面抵抗率1013Ω/□を超える樹脂材料で形成された部品を使用すると、部品の摩擦帯電の影響により、電子デバイスが帯電し易くなる。帯電して静電気を蓄積した電子デバイスは、静電気の放電により損傷を受けたり、空中に浮遊している塵埃を静電吸着する。一方、表面抵抗率が10Ω/□未満の樹脂材料で形成された部品は、樹脂部品中での電荷の移動速度が速すぎて、静電気の放電の際に発生する強い電流や高い電圧により、電子デバイスに障害を与えることがある。
電子デバイスを静電気障害から保護し、また、塵埃を寄せ付けずに高いクリーン度を保つという観点から、これらの技術分野で使用される部品には、表面抵抗率を半導電性領域の10〜1013Ω/□の範囲内に制御することが求められている。そこで、従来から、帯電防止剤や導電性充填材を配合した樹脂材料を用いて、半導電性領域の表面抵抗率を有する成形体を得る方法が提案されている。
しかし、樹脂材料に帯電防止剤を配合する方法は、成形体の表面に存在する帯電防止剤が洗浄や摩擦により除去されて帯電防止効果が失われ易い。帯電防止剤の配合量を多くして、帯電防止剤が成形体の内部から表面にブリードし易くすると、帯電防止効果をある程度持続させることができるものの、ブリードした帯電防止剤により成形体の表面に塵埃が粘着したり、帯電防止剤の溶出や揮発により電子デバイスや環境が汚染される。また、帯電防止剤を多量に配合すると、成形体の耐熱性が低下する。
樹脂材料に導電性カーボンブラックや炭素繊維などの体積抵抗率が10Ω・cm未満の導電性充填材を配合する方法は、樹脂材料と導電性充填材の電気抵抗率が大きくかけ離れているため、導電性充填材の配合割合の僅かの違いや成形条件の僅かな変動によって、得られる成形体の表面抵抗率が大きく変動する。そのため、単に導電性充填材を配合する方法では、得られる成形体の表面抵抗率を10〜1013Ω/□の範囲内の所望の値となるように厳密かつ安定的に制御することが極めて困難である。しかも、導電性充填材を配合する方法では、成形体の場所による表面抵抗率に大きなバラツキが生じ易い。表面抵抗率のバラツキが大きな成形体は、表面抵抗率が大きすぎる場所と小さすぎる場所とが混在しているため、例えば、電子デバイス部品の搬送用トレーや容器として使用すると、ESD障害に十分に対応することができない。
上記問題を解決するために、本件出願人は、熱可塑性樹脂に体積抵抗率10〜1010Ω・cmの炭素前駆体と体積抵抗率10Ω・cm未満の導電性充填材とを組み合わせて配合した樹脂組成物、及び該樹脂組成物を用いて射出成形したICソケットなどを提案している(例えば、特許文献1〜2)。熱可塑性樹脂としては、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリブチレンテレフタレートなどが用いられている。
上記樹脂組成物を射出成形すると、表面抵抗率を半導電性領域の限定された所望の範囲内に精密に制御した射出成形体を得ることができる。しかし、上記樹脂組成物を射出成形して得られる射出成形体は、異物微粒子(パーティクル)の発生量が多いという問題のあることが判明した。また、この射出成形体の多くは、バリが発生し易いという問題を有している。熱可塑性樹脂として、ポリエーテルエーテルケトンやポリフェニレンスルフィドなどの高融点の結晶性熱可塑性樹脂を用いると、バリがより一層発生し易くなる。また、一般的な射出成形条件下ではバリが発生し難い熱可塑性樹脂であっても、精密部品の射出成形のために、高射出速度、高射出圧力の射出成形条件を採用すると、バリが発生し易くなる。
ハードディスクドライブ(HDD)製造工程などで用いられる搬送用トレーや容器などの部品は、クリーンルーム内で使用されるため、パーティクルの発生量が多いと、クリーンルームや電子デバイスの汚染原因となる。また、これらの部品は、超純水や溶媒での洗浄工程で用いられたり、それ自体が洗浄されてから使用されることが多い。これらの部品のパーティクル発生量が多いと、洗浄工程で電子デバイスを汚染したり、洗浄液を汚染する。
半導体デバイスなどの電子デバイスがパーティクル(異物微粒子)により汚染されると、電子デバイスの電気的諸特性、信頼性、製品収率などに悪影響を及ぼす。洗浄液がパーティクルにより汚染されると、洗浄液を繰り返し使用することが困難になったり、洗浄液の精製を頻繁に行う必要がある。
また、バリが発生し易い射出成形体は、バリによる短絡の惧れがあることに加えて、摺動条件下や洗浄液による洗浄時にバリが脱落して異物微粒子となり易いという問題がある。
特表2002−531660号公報 国際公開第02/082592号パンフレット
本発明の課題は、熱可塑性樹脂成分と炭素系充填材とを含有する樹脂組成物を射出成形して得られる射出成形体であって、表面抵抗率を半導電性領域内の所望の値に厳密に制御可能で、異物微粒子(パーティクル)の発生量が著しく少ない低汚染性の射出成形体を提供することにある。また、本発明の課題は、前記諸特性に加えて、バリ長の短い射出成形体を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するために鋭意研究した結果、熱可塑性樹脂成分と炭素前駆体と導電性充填材とを含有する樹脂組成物を射出成形してなる射出成形体において、熱可塑性樹脂成分として、結晶性熱可塑性樹脂と非晶性熱可塑性樹脂とを組み合わせて使用することにより、パーティクルの発生量が著しく少ない低汚染性の射出成形体が得られることを見出した。
前記特許文献1及び2の実施例に具体的に開示されている樹脂組成物から得られる射出成形体は、純水中で測定した粒径0.5μm以下のパーティクル発生量が約3000個/mlまたはそれを超過し、6000個/mlを超える場合もあった。すなわち、熱可塑性樹脂成分として、結晶性熱可塑性樹脂と非晶性熱可塑性樹脂をそれぞれ単独で使用した場合には、パーティクルの発生量が著しく多いことが判明した。
これに対して、結晶性熱可塑性樹脂と非晶性熱可塑性樹脂とを組み合わせて使用することにより、同じ条件で測定したとき、純水中で測定した粒径0.5μm以下のパーティクル発生量を1500個/ml以下、さらには1000個/ml以下にまで低減することができる。したがって、結晶性熱可塑性樹脂と非晶性熱可塑性樹脂とを組み合わせて使用することにより得られる低汚染性の効果は、一種の相乗的な効果であるということができる。
また、結晶性熱可塑性樹脂または非晶性熱可塑性樹脂をそれぞれ単独で用いると、バリの発生を十分に抑制することが困難になることがあったが、これら両者を組み合わせて使用することにより、バリの発生を安定して低水準に抑制することができる。
本発明の射出成形体は、表面抵抗率を半導電性領域内の所望の値に厳密に制御可能であり、表面抵抗率の場所によるバラツキも小さいものである。さらに、本発明の射出成形体は、結晶性熱可塑性樹脂と非晶性熱可塑性樹脂とを併用することにより、耐熱性を高水準に維持することができる。結晶性熱可塑性樹脂と非晶性熱可塑性樹脂との組み合わせを選択することにより、前記諸特性に加えて、電気絶縁性、機械的特性、耐熱性、耐薬品性、寸法安定性等に優れた射出成形体を得ることができる。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
本発明によれば、結晶性熱可塑性樹脂(A1)と非晶性熱可塑性樹脂(A2)とを含有する熱可塑性樹脂成分(A)30〜94質量%、体積抵抗率10〜1010Ω・cmの炭素前駆体(B)5〜40質量%、及び体積抵抗率10Ω・cm未満の導電性充填材(C)1〜30質量%を含有する樹脂組成物から形成された低汚染性の射出成形体が提供される。
本発明によれば、熱可塑性樹脂成分と炭素系充填材とを含有する樹脂組成物を用いて、表面抵抗率を半導電性領域内の所望の値に厳密に制御可能で、射出成形時のバリの発生を安定的に低減することができ、しかもパーティクルの発生量が著しく少ない低汚染性の射出成形体を提供することができる。また、本発明によれば、熱可塑性樹脂成分を構成する結晶性熱可塑性樹脂と非晶性熱可塑性樹脂の組み合わせを選択することにより、前記特性に加えて、機械的特性、耐熱性、寸法安定性などを所望の高水準に制御することが可能な射出成形体を提供することができる。
1.熱可塑性樹脂成分:
本発明で使用する結晶性熱可塑性樹脂には、例えば、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリーレンスルフィド樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、全芳香族ポリエステル樹脂(液晶ポリマー)、ポリアミド樹脂、ポリメチルペンテン、ポリアセタール、フッ素樹脂、ポリオレフィン樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン)、ポリ塩化ビニリデン、ポリイソブチレン、ポリイソプレン、ポリブテンなどが含まれる。
結晶性熱可塑性樹脂は、耐熱性の観点から、融点が好ましくは150℃以上、より好ましくは160℃以上、さらに好ましくは200℃以上、特に好ましくは220℃以上の結晶性熱可塑性樹脂であることが望ましい。このような高融点の結晶性熱可塑性樹脂の具体例を融点(代表値)と共に例示すると、ポリエーテルエーテルケトン(334℃);ポリフェニレンスルフィド(280〜295℃)などのポリアリーレンスルフィド樹脂;ポリブチレンテレフタレート(224〜228℃)、ポリエチレンテレフタレート(248〜260℃)などの熱可塑性ポリエステル樹脂;全芳香族ポリエステル樹脂(450℃以上);ナイロン6(220〜228℃)、ナイロン66(260〜265℃)、ナイロン46(290℃)などのポリアミド樹脂;ポリメチルペンテン(235℃);ポリアセタール(165〜179℃);ポリテトラフルオロエチレン(327℃)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/パーフルオロアルコキシビニルエーテル共重合体(290〜300℃)、テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体(260〜270℃)、ポリフッ化ビニル(227℃)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(253〜282℃)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(302〜310℃)などのフッ素樹脂;が挙げられる。
これらの結晶性熱可塑性樹脂の中でも、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリーレンスルフィド樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、全芳香族ポリエステル樹脂、ポリメチルペンテン、ポリアセタール、ポリアミド樹脂、及びフッ素樹脂が好ましく、ポリエーテルエーテルケトン及びポリフェニレンスルフィドがより好ましい。パーティクル発生量とバリ抑制の観点からは、ポリエーテルエーテルケトンが特に好ましい。前記の結晶性熱可塑性樹脂は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明で使用する非晶性熱可塑性樹脂には、例えば、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ABS樹脂、変性ポリフェニレンエーテル、ポリウレタン、ポリジメチルシロキサン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリアリレート、ポリ塩化ビニルなどが含まれる。
非晶性熱可塑性樹脂は、耐熱性の観点から、ガラス転移温度が好ましくは140℃以上、より好ましくは150℃以上、特に好ましくは170℃以上の非晶性熱可塑性樹脂であることが望ましい。高ガラス転移温度の非晶性熱可塑性樹脂の具体例をガラス転移温度(代表値)と共に例示すると、ポリエーテルイミド(217℃)、ポリエーテルスルホン(225〜230℃)、ポリカーボネート(145〜231℃)、ポリフェニレンエーテル(220℃)、ポリアリレート(193℃)、ポリスルホン(190℃)、ポリアミドイミド(280〜285℃)などが挙げられる。
これらの非晶性熱可塑性樹脂の中でも、パーティクル発生量とバリ発生の抑制の観点から、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、及びポリカーボネートが特に好ましい。前記の非晶性熱可塑性樹脂は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
熱可塑性樹脂成分(A)としては、結晶性熱可塑性樹脂がポリエーテルエーテルケトンまたはポリフェニレンスルフィドであり、非晶性熱可塑性樹脂がポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホンまたはポリカーボネートである組み合わせが特に好ましいが、これらの組み合わせに限定されるものではない。
結晶性熱可塑性樹脂(A1)と非晶性熱可塑性樹脂(A2)とは、通常、結晶性熱可塑性樹脂(A1)1〜99質量%と非晶性熱可塑性樹脂(A2)99〜1質量%の範囲内の任意の割合で使用することができる。パーティクル発生量とバリ発生とを効果的に抑制する観点から、結晶性熱可塑性樹脂(A1)5〜95質量%と非晶性熱可塑性樹脂(A2)95〜5質量%が好ましく、結晶性熱可塑性樹脂(A1)10〜90質量%と非晶性熱可塑性樹脂(A2)90〜10質量%がより好ましい。
高度の耐熱性の観点から、熱可塑性樹脂成分(A)は、結晶性熱可塑性樹脂(A1)50質量%超過95質量%以下と非晶性熱可塑性樹脂(A2)5質量%以上50質量%未満とを含むものであることが好ましく、結晶性熱可塑性樹脂(A1)55〜90質量%と非晶性熱可塑性樹脂(A2)10〜45質量%とを含むものであることがより好ましい。
他方、パーティクル発生量とバリ発生を高度に抑制する観点からは、熱可塑性樹脂成分(A)は、結晶性熱可塑性樹脂(A1)5質量%以上50質量%未満と非晶性熱可塑性樹脂(A2)50質量%超過95質量%以下とを含むものであることが好ましく、結晶性熱可塑性樹脂(A1)10〜45質量%と非晶性熱可塑性樹脂(A2)55〜90質量%とを含むものであることがより好ましい。
本発明で使用する樹脂組成物において、熱可塑性樹脂成分(A)の配合割合は、結晶性熱可塑性樹脂と非晶性熱可塑性樹脂との合計で30〜94質量%であり、好ましくは40〜90質量%、より好ましくは50〜80質量%である。
熱可塑性樹脂成分(A)の配合割合が大きすぎると、成形体の表面抵抗率が高くなり、所望の半導電性領域の表面抵抗率に制御することが困難になる。他方、熱可塑性樹脂成分(A)の配合割合が小さすぎると、成形体の表面抵抗率が低くなりすぎて、所望の半導電性領域の表面抵抗率に制御することが困難になり、成形体の電気絶縁性も低下しすぎる。
2.炭素前駆体:
本発明で使用する体積抵抗率が10〜1010Ω・cmである炭素前駆体は、有機物質を不活性雰囲気中で、400℃〜900℃の温度で焼成することにより得ることができる。
より具体的に、本発明で使用する炭素前駆体は、例えば、(i)石油タール、石油ピッチ、石炭タール、石炭ピッチ等のタールまたはピッチを加熱し、芳香族化と重縮合を行い、必要に応じて、酸化雰囲気中において酸化・不融化し、さらに不活性雰囲気において加熱・焼成する方法、(ii)ポリアクリルニトリル、ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂を酸化雰囲気中において不融化し、さらに不活性雰囲気中で加熱・焼成する方法、(iii)フェノール樹脂、フラン樹脂等の熱硬化性樹脂を加熱硬化後、不活性雰囲気中で加熱・焼成する方法などにより製造することができる。
炭素前駆体とは、これらの処理によって得られる炭素の含有量が97質量%以下の完全には炭素化していない物質を意味する。有機物を不活性雰囲気中で加熱・焼成すると、焼成温度が上昇するにつれて、得られる焼成体の炭素含有量が上昇する。炭素前駆体の炭素含有量は、焼成温度を適正に設定することによって、容易に制御することができる。本発明で使用する体積抵抗率が10〜1010Ω・cmの炭素前駆体は、炭素含有量が好ましくは80〜97質量%の完全に炭化していない状態の炭素前駆体として得ることができる。
炭素前駆体の炭素含有量が少なすぎると、体積抵抗率が大きくなりすぎて、樹脂組成物から得られる射出成形体の表面抵抗率を1013Ω/□以下にすることが困難となる。炭素前駆体の体積抵抗率は、好ましくは10〜1010Ω・cm、より好ましくは10〜10Ω・cmである。
炭素前駆体は、通常、粒子または繊維の形状で使用される。本発明で用いる炭素前駆体粒子の平均粒子径は、1mm以下であることが好ましい。炭素前駆体の平均粒子径が大きすぎると、樹脂組成物を成形した場合に、良好な外観の成形体を得ることが困難になる。炭素前駆体粒子の平均粒子径は、通常0.1mm〜1mm、好ましくは0.5〜500μm、より好ましくは1〜100μmである。多くの場合、5〜50μm程度の平均粒子径の炭素前駆体を使用することにより、良好な結果を得ることができる。本発明で使用する繊維状炭素前駆体の平均直径は、0.1mm以下であることが好ましい。繊維状炭素前駆体の平均直径が0.1mmを超えると、良好な外観の成形体を得ることが難しくなる。繊維状炭素前駆体は、短繊維であることが樹脂組成物中への分散性の観点から好ましい。
本発明で使用する樹脂組成物において、炭素前駆体(B)の配合割合は、5〜40質量%であり、好ましくは6〜30質量%、より好ましくは10〜22質量%である。炭素前駆体の配合割合が大きすぎると、射出成形体の機械的特性が低下することがある。他方、炭素前駆体の配合割合が小さすぎると、射出成形体の表面抵抗率を十分に下げることが困難となったり、表面抵抗率の場所によるバラツキが大きくなる傾向が見られる。
3.導電性充填材:
本発明で使用する体積抵抗率が10Ω・cm未満の導電性充填材としては、特に制限はなく、例えば、炭素繊維、黒鉛、導電性カーボンブラック、金属粉末などが挙げられる。これらの中でも、表面抵抗率の制御性や再現性などの観点から、炭素繊維、黒鉛、導電性カーボンブラック、及びこれらの混合物などの導電性炭素材料が好ましい。
導電性炭素材料の中でも、炭素前駆体と組み合わせて使用した場合に、射出成形体の表面抵抗率を厳密に半導電性領域に制御することができ、表面抵抗率の場所によるバラツキを十分に小さくすることができ、さらには、パーティクル発生量を抑制できる点で、炭素繊維がより好ましい。また、炭素繊維を用いると、射出成形体の機械的特性を良好にすることができる。
本発明で使用する炭素繊維としては、セルロース系炭素繊維、ポリアクリルニトリル系炭素繊維(PAN系炭素繊維)、リグニン系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維などが挙げられる。これらの炭素繊維の中でも、PAN系炭素繊維及びピッチ系炭素繊維が好ましい。
炭素繊維の平均直径は、0.1mm以下であることが好ましい。炭素繊維の平均直径が0.1mmを超えると、良好な外観の射出成形体を得ることが難しくなる。炭素繊維は、平均繊維長が20μm以上で、かつ短繊維であることが好ましい。平均繊維長が20μm以下の炭素繊維を用いると、クリープ特性、弾性率、強度等の機械的特性の改善効果が小さくなる。
導電性カーボンブラックとしては、導電性を有するものであれば特に制限はなく、例えば、アセチレンブラック、オイルファーネスブラック、サーマルブラック、チャンネルブラックなどを挙げることができる。黒鉛としては、特に制限はなく、コークス、タール、ピッチなどを高温で黒鉛化処理した人造黒鉛、鱗片状黒鉛、鱗状黒鉛、及び土状黒鉛等の天然黒鉛などを挙げることができる。
本発明で使用する導電性充填材の体積抵抗率は、10Ω・cm未満であり、その下限は、通常、金属粉末や金属繊維などの金属材料の体積抵抗率である。
本発明で使用する樹脂組成物において、導電性充填材(C)の配合割合は、1〜30質量%であり、好ましくは6〜29質量%、より好ましくは10〜28質量%である。導電性充填材の配合割合が大きすぎると、射出成形体の表面抵抗率が低くなりすぎて、半導電性領域内の表面抵抗率に制御することが困難となるか、場所による表面抵抗率のバラツキが大きくなる。導電性充填材の配合割合が小さすぎると、射出成形体の表面抵抗率を半導電性領域内に制御することが困難になる。
4.その他の充填材:
本発明の熱可塑性樹脂からなる樹脂組成物には、さらに機械的強度や耐熱性を上げることを目的に、各種充填材を配合することができる。充填材としては、例えば、ガラス繊維、アスベスト繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化珪素繊維、硼素繊維、チタン酸カリ繊維などの無機繊維状物;ポリアミド、フッ素樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂などの高融点有機質繊維状物質;等の繊維状充填材が挙げられる。繊維状充填材としては、電気絶縁性の観点から、ガラス繊維などの導電性を持たないものが好ましい。
また、充填材としては、例えば、マイカ、シリカ、タルク、アルミナ、カオリン、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、フェライト、クレー、ガラス粉、酸化亜鉛、炭酸ニッケル、酸化鉄、石英粉末、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム等の粒状または粉末状充填材を用いることができる。
これらの充填材は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することかできる。充填材は、必要に応じて、集束剤または表面処理剤により処理されていてもよい。集束剤または表面処理剤としては、例えば、エボキシ系化合物、イソシアネート系化合物、シラン系化合物、チタネート系化合物などの官能性化合物が挙げられる。これらの化合物は、充填材に対して予め表面処理または集束処理を施して用いるか、あるいは樹脂組成物調製の際に同時に添加してもよい。
5.添加剤:
本発明で使用する樹脂組成物には、その他の添加剤として、例えば、エポキシ基含有α−オレフィン共重合体のような衝撃改質材;エチレングリシジルメタクリレートのような樹脂改良剤;炭酸亜鉛、炭酸ニッケルのような金型腐食防止剤;ペンタエリスリトールテトラステアレートのような滑剤;熱硬化性樹脂;酸化防止剤;紫外線吸収剤;ボロンナイトライドのような核剤;難燃剤;染料や顔料等の着色剤;等を適宜添加することができる。
6.樹脂組成物:
本発明で使用する樹脂組成物は、一般に熱可塑性樹脂組成物の調製に用いられている設備と方法により調製することができる。例えば、各原料成分をヘンシェルミキサー、タンブラー等により予備混合し、必要があればガラス繊維等の充填材を加えてさらに混合した後、1軸または2軸の押出機を使用して混練し、押出して成型用ペレットとする。必要成分の一部をマスターバッチとしてから、残りの成分と混合する方法、また、各成分の分散性を高めるために、使用する原料の一部を粉砕し、粒径を揃えて混合し溶融押出することも可能である。
7.射出成形体:
本発明の射出成形体は、前記各成分を含有する樹脂組成物を射出成形することにより製造することができる。樹脂組成物としては、前述したとおり、ペレットの形態で用いることが好ましい。
射出成形は、一般の射出成形条件に従って、使用する熱可塑性樹脂の種類に応じて、射出成形機のシリンダー温度、金型温度などを適宜調整することにより行うことができる。本発明の樹脂組成物を用いると、バリの発生を効果的に抑制することができるため、射出速度や射出圧力を高めて、精密部品を射出成形することも可能である。金型の形状は、所望の射出成形体の形状に合わせて設計することができる。
本発明の射出成形体は、純水中で測定した粒径0.5μm以下のパーティクル発生量が1500個/ml以下、好ましくは1000個/ml以下、より好ましくは900個/ml以下、特に好ましくは800個/ml以下であり、パーティクル(すなわち、異物微粒子)の発生による汚染が顕著に抑制されたものである。純水中でのパーティクル発生量は、実施例において説明する測定法により測定された値であり、「液中パーティクル発生量」と呼ぶことがある。
本発明の射出成形体は、例えば、ポリエーテルエーテルケトンを主成分とする樹脂組成物または非晶性熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂組成物を用いることにより、0.5μm以下のパーティクル発生量を好ましくは600個/ml以下、より好ましくは500個/ml以下、さらには450個/ml以下にまで低減することが可能である。
パーティクル発生量は、粒径0.5μm以下の微粒子の発生量を指標とすることができる。粒径0.5μm以下のパーティクル発生量が十分に少ないと、粒径0.5μm超過の微粒子の発生量が顕著に少なくなる傾向が見られる。
本発明の射出成形体の表面抵抗率は、好ましくは10〜1013Ω/□、より好ましくは10〜1012Ω/□、特に好ましくは10〜1011Ω/□である。一般に、試料の表面抵抗率は、単位表面積当りの抵抗を表わし、その単位は、Ωであるが、単なる抵抗と区別するために、Ω/□またはΩ/sq.(オーム・パー・スクエア)で表わす。表面抵抗率は、実施例に記載の方法により測定した値である。
本発明の射出成形体は、場所による表面抵抗率のバラツキが極めて小さなものである。表面抵抗率のバラツキは、射出成形体の最大表面抵抗率(MAX)と最小表面抵抗率(MIN)との比(MAX/MIN)で表わすことができる。この比(MAX/MIN)は、実施例に記載の方法により測定した値である。本発明の射出成形体の表面抵抗率のバラツキ(MAX/MIN)は、通常1000以下、好ましくは500以下、より好ましくは100以下である。
本発明の射出成形体は、実施例に記載の方法により測定したバリ長が好ましくは300μm以下、より好ましくは280μm以下、特に好ましくは250μm以下である。このバリ長は、使用する熱可塑性樹脂成分の種類によって異なり、ポリフェニレンスルフィドなどの一般の射出成形によってもバリが発生し易い結晶性熱可塑性樹脂を主成分とする熱可塑性樹脂成分を用いた場合には、比較的長くなる傾向が見られる。しかし、その場合でも、本発明の樹脂組成物を用いることにより、ポリフェニレンスルフィドを単独で樹脂成分として用いた場合と比べて、バリ長を顕著に短くすることができる。
ポリエーテルエーテルケトンを主成分とする樹脂組成物や、非晶性熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂組成物を用いると、射出成形体のバリ長を好ましくは100μm以下、さらには80μm以下にまで小さくすることができる。
本発明の射出成形体は、ICやLSIなどの半導体の製造工程で使用される部品及びその実装用部品、磁気ヘッド及びハードディスクドライブの製造工程で使用される部品及びその実装部品、液晶ディスプレイの製造工程で使用される部品及びその実装部品などとして好適に用いることができる。
本発明の射出成形体は、特に、電子デバイスの製造工程で搬送などに用いられるトレーや容器などとして好適である。このようなトレー及び容器としては、例えば、ウェハキャリア、洗浄用トレー、ICチップトレー、ハードディスクドライブ部品搬送用の磁気ヘッド用トレーやヘッド・ジンバル・アセンブリー(Head Gimbal Assembly;HGA)などがある。これらの中でも、本発明の射出成形体は、汚染を極度に避けることが要求されるハードディスクドライブ(HDD)部品搬送用の磁気ヘッド用トレーやヘッド・ジンバル・アセンブリー(HGA)トレーなどに好適に適用することができる。
これらのトレーは、例えば、多数の貫通孔が設けられた板状成形体であって、その上に多数の磁気ヘッドやHGAを載置し、貫通孔で固定して搬送するように構成されている。このような成形体を射出成形により作製すると、一般に、貫通孔を含む各部にバリが発生し易く、パーティクル発生量も多くなる。しかも、従来のトレーは、導電性カーボンブラックを単独で配合した樹脂組成物から形成されたものであり、表面抵抗率のバラツキが大きいものである。これに対して、本発明の射出成形体は、このような形状のトレーであっても、パーティクルの発生量やバリの発生が顕著に抑制され、表面抵抗率のバラツキも小さい。
本発明の射出成形体は、そのままで、あるいは切削、穴あけ、切断などの二次加工を施して使用することができる。前記の用途を含む本発明の射出成形体の用途としては、電気・電子分野では、例えば、ウエハキャリア、ウエハカセット、スピンチャック、トートビン、ウエハボート、ICチップトレー、ICチップキャリア、ICカード、ICテストソケット、バーンインソケット、ピングリッドアレイソケット、クワッドフラットパッケージ、リードレスチップスキャリア、デュアルインラインパッケージ、スモールアウトラインパッケージ、リールパッキング、各種ケース、保存用トレー、保存用ビン、搬送装置部品、磁気カードリーダーなどが挙げられる。
OA機器分野では、例えば、電子写真複写機や静電記録装置などの画像形成装置における帯電ロール、転写ロール、現像ロールなどの帯電部材、記録装置用転写ドラム、プリント回路基板カセット、ブッシュ、紙及び紙幣搬送部品、紙送りレール、フォントカートリッジ、インクリボンキャニスター、ガイドピン、トレー、ローラー、ギア、スプロケット、コンピュータ用ハウジング、モデムハウジング、モニターハウジング、CD−ROMハウジング、プリンタハウジング、コネクター、コンピュータスロットなどが挙げられる。
通信機分野では、携帯電話部品、ペーガー、各種摺動材などが挙げられる。自動車分野では、内装材、アンダーフード、電子・電気機器ハウジング、ガスタンクキャップ、燃料フィルタ、燃料ラインコネクタ、燃料ラインクリップ、燃料タンク、機器ビージル、ドアハンドル、各種部品などが挙げられる。その他の分野では、電線支持体、電波吸収体、床材、パレット、靴底、送風ファン、面状発熱体、ポリスイッチなどが挙げられる。
以下に、製造例、実施例及び比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。物性の測定方法は、以下に示すとおりである。
(1)表面抵抗率の測定:
試料の体積抵抗率が10Ω・cm以上の場合は、JIS K6911に準拠し、印加電圧100Vで測定した。試料の体積抵抗率が10Ω・cm未満の場合は、JIS K7194(導電性プラスチックスの4探針法による抵抗率測定試験法)により測定した。微小領域の表面抵抗率測定は、三菱化学社製ハイレスターUPを用い、自作のピンタイプの電極により測定が可能なプローブを用い、印加電圧100Vで測定した。
表面抵抗率の測定には、樹脂組成物を射出成形して得られた試験板(65mm×90mm×3mm厚)を使用した。表面抵抗率の測定は、試験板の5点について行った。表面抵抗率は、その平均値で示した。また、5点の測定値のうちの最大値(MAX)と最小値(MIN)からその比(MAX/MIN)を算出し、表面抵抗率のバラツキを示す指標とした。
(2)バリ評価方法:
樹脂組成物の溶融押出により得られたペレットを用いて、直径70mm、厚さ3mmのキャビティーを有し、最適金型温度に保持した金型内に、樹脂組成物が完全に充填される最小充填圧力の1.05倍の射出圧力で射出成形を行い、円盤状成形体を作製した。得られた円盤状成形体について、金型円周部に設けられた厚さ20μm、幅5mmの隙間(バリ評価用スリット)に生じるバリ長を、拡大投影機を用いて測定した。
最適金型温度は、樹脂組成物を構成する熱可塑性樹脂の種類によって異なる。最適金型温度は、例えば、ポリエーテルエーテルケトンを主成分とする樹脂組成物の場合には、180〜190℃である。ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、及びポリエーテルイミドを主成分とする樹脂組成物の場合には、150〜160℃である。ポリカーボネートを主成分とする樹脂組成物の場合には、110〜120℃である。
(3)パーティクル発生量の測定:
樹脂組成物を射出成形して得られた射出成形板(65mm×90mm×3mm厚)を500mlビーカー中に入れ、純水を500ml注入した後、超音波発振機(1200W)で1分間処理した。処理後の純水中のパーティクル発生量を液中パーティクルカウンター(RION社製)を用いて測定した。単位は、個/mlで表わした。
[製造例1]炭素前駆体の製造例
軟化点210℃、キノリン不溶分1重量%、H/C原子比0.63の石油系ピッチ68kgとナフタレン32kgとを、攪拌翼のついた内容積300リットルの耐圧容器に仕込み、190℃に加熱し溶解混合した後、80〜90℃に冷却して押出し、直径が約500μmの紐状成形体を得た。次いで、この紐状成形体を直径と長さの比が約1.5になるように粉砕し、得られた粉砕物を93℃に加熱した0.53%のポリビニルアルコール(ケン化度88%)水溶液中に投下し、撹拌分散し、冷却して球状ピッチ成形体を得た。
さらに、濾過を行い水分を除去し、球状ピッチ成形体の約6倍量のn−ヘキサンでピッチ成形体中のナフタレンを抽出除去した。このようにして得られた球状ピッチ成形体を、加熱空気を通じながら、260℃で1時間保持して酸化処理を行い酸化ピッチを得た。この酸化ピッチを窒素気流中で580℃で1時間熱処理した後、粉砕し、平均粒子径が約25μmの炭素前駆体粒子とした。この炭素前駆体粒子の炭素含有量は91.0質量%であった。
この炭素前駆体の体積抵抗率を調べるために、酸化ピッチを粉砕し、さらに、目開き約100μmのメッシュでふるい、100μm以上の粒子を除去した。この粉砕酸化ピッチ粉末13gを、断面積80cmの円筒金型に充填し圧力196MPaで成形し成形体を得た。この成形体を窒素気流中で上述の炭素前駆体粒子の製造方法における熱処理温度と同一温度である580℃で1時間熱処理して、炭素前駆体の体積抵抗率測定用試料(成形体)を得た。この試料について、JIS K7194に従って体積抵抗率を測定した。その結果、炭素前駆体の体積抵抗率は、3×10Ω・cmであった。
[実施例1]
ポリエーテルエーテルケトン(PEEK;ビクトレックスMC社製、商品名「PEEK450P」、融点334℃)49.0質量%、ポリエーテルイミド(PEI;GEプラスチックス社製、商品名「ウルテム1010」、ガラス転移温度217℃)10.0質量%、炭素前駆体(製造例1)16.0質量%、及びPAN系炭素繊維(東邦レーヨン社製、商品名「べスファイトHTA3000」、体積抵抗率10Ω・cm未満)25.0質量%をタンブラーミキサーで均一にドライブレンドし、45mmφの2軸混練押出機(池貝鉄鋼社製PCM−45)へ供給し、溶融押出を行って、ペレットを作製した。
上記で作製したペレットを乾燥した後、射出成形機(東芝機械社製「IS−75」)を用いて射出成形を行い、表面抵抗測定用試験板及びバリ評価用円盤状成形体を作製した。射出成形機のシリンダー温度(最高温度)を390℃、フィード部(根元)温度を230℃、金型温度を190℃として射出成形を行った。結果を表1に示す。
[実施例2]
各成分の配合割合を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして表面抵抗測定用試験板及びバリ評価用円盤状成形体を作製した。結果を表1に示す。
[実施例3及び4]
ポリエーテルイミドに代えてポリエーテルスルホン(PES;住友化学社製、商品名「スミカエクセルPES3600G」、ガラス転移温度225℃)を使用し、かつ各成分の配合割合を表1に示すとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様にして表面抵抗測定用試験板及びバリ評価用円盤状成形体を作製した。結果を表1に示す。
[比較例1]
熱可塑性樹脂成分として、非晶性熱可塑性樹脂を使用せず、ポリエーテルエーテルケトンのみを用い、かつ各成分の配合割合を表1に示すとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様にして表面抵抗測定用試験板及びバリ評価用円盤状成形体を作製した。結果を表1に示す。
[比較例2]
熱可塑性樹脂成分として、非晶性熱可塑性樹脂を使用せず、ポリエーテルエーテルケトンのみを用い、かつ各成分の配合割合を表1に示すとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様にして表面抵抗測定用試験板及びバリ評価用円盤状成形体を作製した。結果を表1に示す。
この射出成形体は、炭素前駆体を配合していないため、表面抵抗率が極めて不安定であり、場所によるバラツキが大きすぎるため、バリ長や液中パーティクル発生量の測定を行わなかった。
Figure 2005290328
(脚注)
(1)PEEK:ポリエーテルエーテルケトン、ビクトレックスMC社製、商品名「PEEK450P」、融点334℃。
(2)PEI:ポリエーテルイミド、GEプラスチックス社製、商品名「ウルテム1010」、ガラス転移温度217℃。
(3)PES:ポリエーテルスルホン、住友化学社製、商品名「スミカエクセルPES3600G」、ガラス転移温度225℃。
(4)炭素前駆体:製造例1で作製。体積抵抗率3×10Ω・cm、炭素含有量は91.0質量%。
(5)PAN系炭素繊維:東邦レーヨン社製、商品名「べスファイトHTA3000」、体積抵抗率10Ω・cm未満。
<考察>
表1に示すように、熱可塑性樹脂成分としてPEEKのみを用い、非晶性熱可塑性樹脂を併用しない樹脂組成物を用いた射出成形体(比較例1)は、0.5μm以下のパーティクル発生量が3200個/mlと極めて多く、0.5μm超過の粒子数も多く、バリ長も180μmと長い。
また、熱可塑性樹脂成分としてPEEKのみを用い、かつ炭素前駆体を配合しなかった樹脂組成物を用いた射出成形体(比較例2)は、表面抵抗率が極めて不安定であり、場所によるバラツキが大きすぎるため、ESD障害に対応することができないものであった。
これに対して、PEEKを主成分とし、非晶性熱可塑性樹脂としてPEIまたはPESと組み合わせた樹脂組成物を用いた射出成形体(実施例1〜4)は、表面抵抗率がE+07Ω/□(すなわち、10Ω/□)であり、半導電領域に安定的に制御され、表面抵抗率のバラツキも小さく、ESD障害に対する対応が可能である。しかも、これらの射出成形体は、バリ長も40〜60μmと短く、しかも液中での0.5μm以下のパーティクル発生量が320〜440個/mlと極めて少ない水準である。
[実施例5]
ポリフェニレンスルフィド(PPS;呉羽化学工業社製、商品名「フォートロンKPS W214」、融点288℃)54.0質量%、ポリエーテルスルホン(PES;住友化学社製、商品名「スミカエクセルPES3600G」、ガラス転移温度225℃)10.0質量%、炭素前駆体(製造例1)16.0質量%、及びPAN系炭素繊維(東邦レーヨン社製、商品名「べスファイトHTA3000」、体積抵抗率10Ω・cm未満)20.0質量%をタンブラーミキサーで均一にドライブレンドし、45mmφの2軸混練押出機(池貝鉄鋼社製PCM−45)へ供給し、溶融押出を行って、ペレットを作製した。
上記で作製したペレットを乾燥した後、射出成形機(東芝機械社製「IS−75」)を用いて射出成形を行い、表面抵抗測定用試験板及びバリ評価用円盤状成形体を作製した。射出成形機のシリンダー温度(最高温度)を320℃、フィード部(根元)温度を230℃、金型温度を145℃として射出成形を行った。結果を表2に示す。
[実施例6]
ポリエーテルスルホンに代えてポリエーテルイミド(PEI;GEプラスチックス社製、商品名「ウルテム1010」、ガラス転移温度217℃)に変更したこと以外は、実施例5と同様にして表面抵抗測定用試験板及びバリ評価用円盤状成形体を作製した。結果を表2に示す。
[実施例7]
ポリエーテルスルホンに代えてポリカーボネート(PC;帝人化成社製、商品名「パンライトL−1225W」、ガラス転移温度150℃)を用い、射出成形機のシリンダー温度(最高温度)320℃、フィード部(根元)温度230℃、金型温度140℃の射出成形条件としたこと以外は、実施例5と同様にして表面抵抗測定用試験板及びバリ評価用円盤状成形体を作製した。結果を表2に示す。
[比較例3]
熱可塑性樹脂成分として、非晶性熱可塑性樹脂を使用せず、ポリフェニレンスルフィドのみを用い、かつ各成分の配合割合を表2に示すとおりに変更したこと以外は、実施例5と同様にして表面抵抗測定用試験板及びバリ評価用円盤状成形体を作製した。結果を表2に示す。
Figure 2005290328
(脚注)
(1)PPS:ポリフェニレンスルフィド、呉羽化学工業社製、商品名「フォートロンKPS W214」、融点288℃。
(2)PEI:ポリエーテルイミド、GEプラスチックス社製、商品名「ウルテム1010」、ガラス転移温度217℃。
(3)PES:ポリエーテルスルホン、住友化学社製、商品名「スミカエクセルPES3600G」、ガラス転移温度225℃。
(4)PC:ポリカーボネート、帝人化成社製、商品名「パンライトL−1225W」、ガラス転移温度150℃。
(5)炭素前駆体:製造例1で作製。体積抵抗率3×10Ω・cm、炭素含有量は91.0質量%。
(6)PAN系炭素繊維:東邦レーヨン社製、商品名「べスファイトHTA3000」、体積抵抗率10Ω・cm未満。
<考察>
表2に示すように、熱可塑性樹脂成分としてPPSのみを用い、非晶性熱可塑性樹脂を併用しない樹脂組成物を用いた射出成形体(比較例3)は、0.5μm以下のパーティクル発生量が6600個/mlと極めて多く、0.5μm超過の粒子数も非常に多く、バリ長も420μmと長い。
これに対して、PPSを主成分とし、非晶性熱可塑性樹脂としてPEIまたはPESと組み合わせた樹脂組成物を用いた射出成形体(実施例5〜7)は、表面抵抗率がE+07Ω/□(すなわち、10Ω/□)であり、半導電領域に安定的に制御され、表面抵抗率のバラツキも小さく、ESD障害に対する対応が可能である。しかも、これらの射出成形体は、比較例3の射出成形体に比べて、バリ長が200〜250μmと短くなっており、しかも液中での0.5μm以下のパーティクル発生量が760〜790個/mlと少ない水準である。
[実施例8]
表3に示すように、ポリフェニレンスルフィド(PPS)の配合割合が小さく、ポリエーテルスルホン(PES)の配合割合が主成分の樹脂組成物を用いて、射出成形機のシリンダー温度(最高温度)350℃、フィード部(根元)温度250℃、金型温度150℃の射出成形条件としたこと以外は、実施例5と同様にして表面抵抗測定用試験板及びバリ評価用円盤状成形体を作製した。結果を表3に示す。
[実施例9]
表3に示すように、ポリフェニレンスルフィド(PPS)の配合割合が小さく、ポリエーテルイミド(PEI)の配合割合が主成分の樹脂組成物を用いて、射出成形機のシリンダー温度(最高温度)360℃、フィード部(根元)温度250℃、金型温度165℃の射出成形条件としたこと以外は、実施例6と同様にして表面抵抗測定用試験板及びバリ評価用円盤状成形体を作製した。結果を表3に示す。
[実施例10]
表3に示すように、ポリフェニレンスルフィド(PPS)の配合割合が小さく、ポリカーボネート(PC)の配合割合が主成分の樹脂組成物を用いて、射出成形機のシリンダー温度(最高温度)300℃、フィード部(根元)温度220℃、金型温度120℃の射出成形条件としたこと以外は、実施例6と同様にして表面抵抗測定用試験板及びバリ評価用円盤状成形体を作製した。結果を表3に示す。
[実施例11]
表3に示すように、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)の配合割合を小さく、ポリエーテルスルホン(PES)の配合割合が主成分の樹脂組成物を用いて、射出成形機のシリンダー温度(最高温度)350℃、フィード部(根元)温度250℃、金型温度150℃の射出成形条件としたこと以外は、実施例3と同様にして表面抵抗測定用試験板及びバリ評価用円盤状成形体を作製した。結果を表3に示す。
[比較例4]
熱可塑性樹脂成分として、結晶性熱可塑性樹脂を使用せず、ポリエーテルイミド(PEI)のみを用い、かつ各成分の配合割合を表1に示すとおりに変更したこと以外は、実施例9と同様にして表面抵抗測定用試験板及びバリ評価用円盤状成形体を作製した。結果を表3に示す。
[比較例5]
熱可塑性樹脂成分として、結晶性熱可塑性樹脂を使用せず、ポリエーテルスルホン(PES)のみを用い、かつ各成分の配合割合を表1に示すとおりに変更したこと以外は、実施例8と同様にして表面抵抗測定用試験板及びバリ評価用円盤状成形体を作製した。結果を表3に示す。
この射出成形体は、炭素前駆体を配合していないため、表面抵抗率が極めて不安定であり、場所によるバラツキが大きすぎるため、バリ長や液中パーティクル発生量の測定を行わなかった。
Figure 2005290328
(脚注)
(1)PEEK:ポリエーテルエーテルケトン、ビクトレックスMC社製、商品名「PEEK450P」、融点334℃。
(2)PPS:ポリフェニレンスルフィド、呉羽化学工業社製、商品名「フォートロンKPS W214」、融点288℃。
(3)PEI:ポリエーテルイミド、GEプラスチックス社製、商品名「ウルテム1010」、ガラス転移温度217℃。
(4)PES:ポリエーテルスルホン、住友化学社製、商品名「スミカエクセルPES3600G」、ガラス転移温度225℃。
(5)PC:ポリカーボネート、帝人化成社製、商品名「パンライトL−1225W」、ガラス転移温度150℃。
(6)炭素前駆体:製造例1で作製。体積抵抗率3×10Ω・cm、炭素含有量は91.0質量%。
(7)PAN系炭素繊維:東邦レーヨン社製、商品名「べスファイトHTA3000」、体積抵抗率10Ω・cm未満。
<考察>
表3に示すように、熱可塑性樹脂成分として、非晶性熱可塑性樹脂であるポリエーテルイミド(PEI)のみを含有する樹脂組成物の射出成形体(比較例5)は、0.5μm以下のパーティクル発生量が3700個/mlと極めて多く、0.5μm超過の粒子数も非常に多く、耐汚染性が不十分なものである。
また、熱可塑性樹脂成分として、非晶性熱可塑性樹脂であるポリエーテルスルホン(PES)のみを用い、かつ炭素前駆体を配合しなかった樹脂組成物を用いた射出成形体(比較例5)は、表面抵抗率が極めて不安定であり、場所によるバラツキが大きすぎるため、ESD障害に対応することができないものであった。
これに対して、非晶性熱可塑性樹脂のポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)またはポリカーボネート(PC)を主成分とし、これらと結晶性樹脂のポリフェニレンスルフィド(PPS)またはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)とを組み合わせた樹脂組成物を用いた射出成形体(実施例8〜11)は、表面抵抗率がE+07Ω/□(すなわち、10Ω/□)であり、半導電領域に安定的に制御され、表面抵抗率のバラツキも小さく、ESD障害に対する対応が可能である。しかも、これらの射出成形体は、バリ長も40〜65μmと短く、しかも液中での0.5μm以下のパーティクル発生量が310〜410個/mlと極めて少ない水準である。
本発明の射出成形体は、ICやLSIなどの半導体の製造工程で使用される部品及びその実装用部品、磁気ヘッド及びハードディスクドライブの製造工程で使用される部品及びその実装部品、液晶ディスプレイの製造工程で使用される部品及びその実装部品などとして利用することができる。
本発明の射出成形体は、静電気による放電現象やそれによる静電破壊などのESD障害に対応することができ、かつ低汚染性であるため、半導体デバイスなどの電子デバイスの搬送用トレーや容器などとして特に好適である。

Claims (16)

  1. 結晶性熱可塑性樹脂(A1)と非晶性熱可塑性樹脂(A2)とを含有する熱可塑性樹脂成分(A)30〜94質量%、体積抵抗率10〜1010Ω・cmの炭素前駆体(B)5〜40質量%、及び体積抵抗率10Ω・cm未満の導電性充填材(C)1〜30質量%を含有する樹脂組成物から形成された低汚染性の射出成形体。
  2. 純水中で測定した粒径0.5μm以下のパーティクル発生量が1500個/ml以下である請求項1記載の射出成形体。
  3. 表面抵抗率が10〜1013Ω/□である請求項1記載の射出成形体。
  4. 最大表面抵抗率(MAX)と最小表面抵抗率(MIN)との比(MAX/MIN)で表わされる表面抵抗率のバラツキが1000以下である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の射出成形体。
  5. バリ長が300μm以下である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の射出成形体。
  6. 熱可塑性樹脂成分(A)が、結晶性熱可塑性樹脂(A1)1〜99質量%と非晶性熱可塑性樹脂(A2)99〜1質量%とを含むものである請求項1乃至5のいずれか1項に記載の射出成形体。
  7. 熱可塑性樹脂成分(A)が、結晶性熱可塑性樹脂(A1)50質量%超過95質量%以下と非晶性熱可塑性樹脂(A2)5質量%以上50質量%未満とを含むものである請求項6記載の射出成形体。
  8. 熱可塑性樹脂成分(A)が、結晶性熱可塑性樹脂(A1)5質量%以上50質量%未満と非晶性熱可塑性樹脂(A2)50質量%超過95質量%以下とを含むものである請求項6記載の射出成形体。
  9. 結晶性熱可塑性樹脂(A1)が、150℃以上の融点を有する結晶性熱可塑性樹脂である請求項1乃至8のいずれか1項に記載の射出成形体。
  10. 結晶性熱可塑性樹脂(A1)が、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリーレンスルフィド樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、全芳香族ポリエステル樹脂、ポリメチルペンテン、ポリアセタール、ポリアミド樹脂、及びフッ素樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の結晶性熱可塑性樹脂である請求項9記載の射出成形体。
  11. 非晶性熱可塑性樹脂(A2)が、140℃以上のガラス転移温度を有する非晶性熱可塑性樹脂である請求項1乃至8のいずれか1項に記載の射出成形体。
  12. 非晶性熱可塑性樹脂(A2)が、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、及びポリカーボネートからなる群より選ばれる少なくとも1種の非晶性熱可塑性樹脂である請求項11記載の射出成形体。
  13. 導電性充填材(C)が、ポリアクリロニトリル系炭素繊維及びピッチ系炭素繊維からなる群より選ばれる少なくとも1種の炭素繊維である請求項1乃至12のいずれか1項に記載の射出成形体。
  14. 電子デバイスの搬送用トレーまたは容器である請求項1乃至13のいずれか1項に記載の射出成形体。
  15. ハードディスクドライブ部品の搬送用トレーまたは容器である請求項14記載の射出成形体。
  16. 磁気ヘッド用トレーまたはヘッド・ジンバル・アセンブリー(HGA)トレーである請求項15記載の射出成形体。
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