JPWO2008018600A1 - グレリン及びその誘導体又はGHS−R1aに作用する物質を有効成分とする脊髄神経修復促進治療剤 - Google Patents

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Abstract

脊髄神経損傷治療における脊髄神経損傷治療剤、脊髄神経前駆細胞の培養における脊髄神経前駆細胞増殖促進剤、培養脊髄神経前駆細胞移植時の脊髄神経再生促進剤等を提供する。成長ホルモン分泌促進因子レセプターに作用する物質(例えばグレリン)を有効成分とする脊髄神経損傷の治療における脊髄神経損傷治療剤、脊髄神経前駆細胞の培養における培養脊髄神経前駆細胞の増殖促進剤、及び培養脊髄神経前駆細胞移植時の脊髄神経再生促進剤等を提供する。

Description

本発明は、成長ホルモン分泌促進因子レセプターに作用する物質の脊髄神経前駆細胞増殖作用に関する。より具体的には当該物質を有効成分とする脊髄神経損傷治療における脊髄神経損傷治療剤、脊髄神経前駆細胞の培養における脊髄神経前駆細胞増殖促進剤、培養脊髄神経前駆細胞移植時の脊髄神経再生促進剤等に関する。
交通事故やスポーツ中の事故、労働災害で、年間6000人以上の人が脊髄を損傷し、その総数は全国で約11万人にも上る。その社会的損失は年間3000億円とも言われ、治療法がないと言われてきた(非特許文献1)。脊髄神経は、これまで再生あるいは移植できないとされてきたが、近年、胎児脊髄細胞の移植などが実験レベルで検討され、移植治療の可能性が示唆されつつある組織である。更に、今後の移植再生研究を見据えるとき、脊髄神経発生研究、培養胎児脊髄神経細胞を用いた再生研究などを通して、今後、発生・再生過程などが検証されることが期待される組織と考えられる。しかも、脊髄神経移植再生研究は、脊髄損傷、脊髄腫瘍や脳腫瘍あるいは脳神経障害において重要な役割を果たすことが期待される。
現実にも、神経再生の基礎研究は日進月歩の状況にある。神経の修復・再生に可能性がある細胞・物質としてヒト幹細胞、鼻粘膜細胞、骨髄間質細胞などの骨髄系細胞、臍帯血、マクロファージ、4-アミノピジリン(大規模第III相治験中)等がある。このように最近2、3年間に、神経の修復・再生の可能性を示す新たな細胞や物質の研究報告が相次いでなされてきている。これらの研究のいくつかは動物実験レベルの研究からヒトにおける臨床研究段階に入ろうとしており、その着実な発展のためには基礎研究と臨床研究を結合させ総合的な研究体制をもった脊髄再生医療センターの開設が我が国における緊急の課題となってきている(非特許文献2)。
現在、脊髄細胞移植は実験的に動物を用いて研究されており、ヒトでの脊髄損傷治療に応用するために臨床研究が開始されている。基礎研究あるいは臨床研究に用いられる細胞には、ヒト幹細胞、鼻粘膜細胞、骨髄系細胞、臍帯血、マクロファージ、胎児由来組織等がある(非特許文献2)。
また、神経再生研究に用いられるソースの1つとして胎児由来組織がある。動物実験では高い再生能力を示すソースとして注目され、サルを用いて胎児脊髄から神経幹細胞を取り出し、脊髄損傷サルに移植して機能回復に成功している(非特許文献3)が、一般に胎児細胞の増殖速度は遅いために増殖を促進させる技術の開発が望まれている。
更に、神経再生治療に用いられるGM-CSFやレクチン誘導体などの臨床応用にも、人体他部位の細胞分化や副作用に関する懸念もあり、安全性の高いこのような活性を持つ物質の発見・開発が望まれている(非特許文献4)。
グレリン(Ghrelin)は1999年に胃から発見されたホルモンであり、28残基からなるアミノ酸配列を有し、当該配列のアミノ末端から3番目のアミノ酸が脂肪酸でアシル化された極めて珍しい化学構造を有するペプチドである(非特許文献5、特許文献1)。グレリンは成長ホルモン分泌促進因子レセプター1a(Growth Hormone Secretagogue- Receptor 1a:GHS-R1a)に働き(非特許文献6)、下垂体からの成長ホルモン(GH)の分泌を亢進させる内因性の脳−消化管ホルモンである(非特許文献5)。
また、グレリンはGHS-R1aに対する内因性のGHSとして、ラットから初めて単離精製され、ラット以外の脊椎動物、例えばヒト、マウス、ブタ、ニワトリ、ウナギ、ウシ、ウマ、ヒツジ、カエル、ニジマス、イヌからも、類似した一次構造を有するグレリンのアミノ酸配列が知られている(特許文献1)。
ヒト(Human)
: GSS(n-octanoyl)FLSPEHQRVQQRKESKKPPAKLQPR(配列番号1に対応)
: GSS(n-octanoyl)FLSPEHQRVQRKESKKPPAKLQPR(配列番号2に対応)
ラット(Rat)
: GSS(n-octanoyl)FLSPEHQKAQQRKESKKPPAKLQPR(配列番号3に対応)
: GSS(n-octanoyl)FLSPEHQKAQRKESKKPPAKLQPR(配列番号4に対応)
マウス(Mouse)
: GSS(n-octanoyl)FLSPEHQKAQQRKESKKPPAKLQPR(配列番号5に対応)
ブタ(Porcine)
: GSS(n-octanoyl)FLSPEHQKVQQRKESKKPAAKLKPR(配列番号6に対応)
ウシ(Bovine)
: GSS(n-octanoyl)FLSPEHQKLQRKEAKKPSGRLKPR(配列番号7に対応)
ヒツジ(Ovine)
: GSS(n-octanoyl)FLSPEHQKLQRKEPKKPSGRLKPR(配列番号8に対応)
イヌ(Canine)
: GSS(n-octanoyl)FLSPEHQKLQQRKESKKPPAKLQPR(配列番号9に対応)
ウナギ(Eel)
: GSS(n-octanoyl)FLSPSQRPQGKDKKPPRV-NH2(配列番号10に対応)
ニジマス(Trout)
: GSS(n-octanoyl)FLSPSQKPQVRQGKGKPPRV-NH2(配列番号11に対応)
: GSS(n-octanoyl)FLSPSQKPQGKGKPPRV-NH2(配列番号12に対応)
ニワトリ(Chicken)
: GSS(n-octanoyl)FLSPTYKNIQQQKGTRKPTAR(配列番号13に対応)
: GSS(n-octanoyl)FLSPTYKNIQQQKDTRKPTAR(配列番号14に対応)
: GSS(n-octanoyl)FLSPTYKNIQQQKDTRKPTARLH(配列番号15に対応)
ウシガエル(Bullfrog)
: GLT(n-octanoyl)FLSPADMQKIAERQSQNKLRHGNM(配列番号16に対応)
: GLT(n-decanoyl)FLSPADMQKIAERQSQNKLRHGNM(配列番号16に対応)
: GLT(n-octanoyl)FLSPADMQKIAERQSQNKLRHGNMN(配列番号17に対応)
テラピア(Tilapia)
: GSS(n-octanoyl)FLSPSQKPQNKVKSSRI-NH2(配列番号18に対応)
ナマズ(Catfish)
: GSS(n-octanoyl)FLSPTQKPQNRGDRKPPRV-NH2(配列番号19に対応)
: GSS(n-octanoyl)FLSPTQKPQNRGDRKPPRVG(配列番号20に対応)
ウマ(Equine)
: GSS(n-butanoyl)FLSPEHHKVQHRKESKKPPAKLKPR(配列番号21に対応)
(上記表記において、アミノ酸残基は一文字標記により表している)。
上記ペプチドは、3位のセリン残基(S)又はスレオニン残基(T)の側鎖水酸基がオクタン酸、デカン酸などの脂肪酸によりアシル化された特異的な構造を有するペプチドであり、このような疎水性修飾構造を有する生理活性ペプチドは、グレリン以外に生体から単離された例はない。
また、GHS-R1aに作用する物質としては上記ペプチド化合物以外にペプチド化合物であるGHRP-2や低分子化合物であるMK-0677等を挙げることができる。
最近の研究では、グレリンが食欲を亢進させること、皮下投与することにより体重及び体脂肪が増加すること(非特許文献7〜9)、及び心機能を改善する等などの作用を有することも明らかにされている(非特許文献10〜12)。
更にグレリンはGH分泌促進作用や食欲亢進作用を持ち、GHの作用を介して脂肪を燃焼してエネルギーに変換する作用、あるいはGHのアナボリックな作用を発現して筋肉を増強させる効果を、食欲亢進によって更に、有効に引き出せることが期待されている(非特許文献13)。
また、本発明者らは、グレリンを妊娠母動物(ラット)に投与すると胎児の成長を促進させること、及び投与された当該物質は胎児に移行すると共に羊水にも移行することを見出し、羊水中の成長ホルモン分泌促進因子レセプター(GHS-R1a)に作用する物質の機能や役割を考慮して検討した結果、胎児の皮膚細胞にGHS-R1aが存在すること及びグレリンが胎児皮膚細胞の増殖作用を有することを見出している(非特許文献14)。
グレリンがライン化されたラット副腎褐色細胞腫PC12細胞において神経突起伸展作用を有することは知られている(特許文献2)。PC12細胞は神経細胞のモデルとして神経成長因子(NGF)など各種神経作用物質のメカニズム研究に広く用いられている。しかしながら、PC12細胞は副腎褐色細胞腫由来の癌細胞であり、カテコールアミンやPACAP(pituitary acenylate cyclase activating peptide)などのニューロトランスミッターや生理活性ペプチド、各種生体活性物質であるアデノシン受容体など、多くの活性物質や受容体などを数多く発現している癌細胞であるため、生理学的作用の研究にはprimary culture 系、in vivoあるいはextra vivoなど、更に生理的条件に近い条件下での研究が必要になる。また、グレリンがGHS-R1aを介して細胞内カルシウムを上昇させることにより迷走神経の背側運動核(DMNV)や孤束核の神経細胞増殖作用を示すことが報告されている(非特許文献15、16)。しかしながら、中枢神経系に移植すると神経細胞が成育することにより脊髄損傷の治療に有望な胎児脊髄神経前駆細胞に対するGHS-R1aに作用する物質(例えば、グレリン)の作用に関する知見はなく、脊髄神経細胞の再生及び移植を目指す技術として更なる研究発展が望まれている。更に、本発明者らは、本発明においてL型カルシウムチャンネル阻害剤であるDiltiazemはグレリンの脊髄神経細胞増殖作用を抑制しなかったことを見出し、当該知見から、DMNVでの神経増殖作用は脊髄神経細胞増殖作用とは別のものであると考えられる。
国際公開番号 WO 01/07475 特開2005-239712 医療イン・フォーカス、第2部再生医療、6.「脊髄神経」再生、2005年5月21日、(URL:http://www.ubenippo.co.jp/infocus/saisei/saisei_6.html) 神経再生研究における胎児組織利用に関する見解、2005年4月5日、NPO法人日本せきずい基金、(URL:http://www.jscf.org/jscf/SIRYOU/igaku-1/saiboisyoku/jscf050405.html) 神経幹細胞で脊髄損傷回復、2001年12月10日、東京新聞記事(URL:http://www.normanet.ne.jp/~JSCF/SIRYOU/tokyo-2.htm) 神経再生治療(Regeneration of Central Nerves System)(URL:http://www.ins-gbs.co.jp/nerve.html) Kojima et al.: Nature,402,pp.656-660(1999) Howard et al.: Science,273,pp.974-977(1996) Wren et al.: Endocrinology,141,pp.4325-4328(2000) Nakazato et al.: Nature,409,194-198(2001) Shintani et al.: Diabetes,50,pp.227-232(2001) Nakazato et al.: Nature,409,pp.194-198(2001) Lely et al.: Endocr.Rev.,25,pp.656-660(2004) Korbonits et al.: Front Neuroendocrinol.,25,pp.27-68(2004) Kangawa et al.: J. Pharmacol. Sci.,100,pp.398-410(2006) Nakahara et al.:Endocrinology,147,pp.1333-1342(2006) Zhang et al.: J Physiol.,559,pp.729-737 (2004) Zhang et al.: Peptides,26,pp.2280-2288 (2005)
本発明は、脊髄神経前駆細胞の増殖作用を有する物質を用いた、脊髄神経損傷治療における脊髄神経損傷治療剤、脊髄神経前駆細胞の培養における脊髄神経前駆細胞増殖促進剤、培養脊髄神経前駆細胞移植時の脊髄神経再生促進剤等の提供に関する。
本発明者らは、上述したように、成長ホルモン分泌促進因子レセプターに作用する物質であるグレリンを妊娠母動物(ラット)に投与すると胎児の成長を促進させること、及び投与された当該物質は胎児に移行すると共に羊水にも移行することを見出し、胎児の皮膚細胞に成長ホルモン分泌促進因子レセプター(GHS-R 1a)が存在すること及びグレリンが胎児皮膚細胞の増殖作用を有することを見出した。
更に、本発明者らは、胎児(ラット)の成長ホルモン分泌促進因子レセプターに作用する物質の作用を検討する目的で、RT-PCR法により成長ホルモン分泌促進因子レセプターの存在部位を検索したところ、脊髄神経前駆細胞に成長ホルモン分泌促進因子レセプターが存在することを見出した。そして、成長ホルモン分泌促進因子レセプターに作用する物質を脊髄神経前駆細胞に作用させたところ、BrdUの取り込みを促進すること、及び当該物質が脊髄神経前駆細胞の増殖作用を示すことを見出した。さらには、ラット脊髄損傷モデルを用いた試験により、培養脊髄神経前駆細胞移植とともにグレリンを局所投与することで、脊髄損傷による下肢機能の低下が回復することを確認した。即ち、本発明者らは、既に皮膚細胞において成長ホルモン分泌促進因子レセプターが発現していることを見出しているが(非特許文献14)、更に本発明により脊髄神経前駆細胞においても成長ホルモン分泌促進因子レセプターが発現していることを見出し、成長ホルモン分泌促進因子レセプターに作用する物質であるグレリン及びその誘導体が脊髄神経前駆細胞に作用して当該細胞を増殖させ、神経再生医療に応用可能であることを見出した。
即ち、本発明は成長ホルモン分泌促進因子レセプターに作用する物質又はその薬学的に許容される塩を有効成分とする脊髄神経損傷の治療における脊髄神経損傷治療剤、脊髄神経前駆細胞の培養における培養脊髄神経前駆細胞の増殖促進剤、及び培養脊髄神経前駆細胞移植時の脊髄神経再生促進剤に関する。
また、本発明は成長ホルモン分泌促進因子レセプターに作用する物質又はその薬学的に許容される塩を投与することからなる個体における脊髄神経損傷の治療方法、脊髄神経前駆細胞の培養における培養脊髄神経前駆細胞の増殖を促進する方法、及び個体における培養脊髄神経前駆細胞移植時の脊髄神経再生を促進する方法に関する。
更に、本発明は脊髄神経損傷の治療における脊髄神経損傷治療剤、脊髄神経前駆細胞の培養における培養脊髄神経前駆細胞の増殖促進剤、及び培養脊髄神経前駆細胞移植時の脊髄神経再生促進剤を製造するための成長ホルモン分泌促進因子レセプターに作用する物質又はその薬学的に許容される塩の使用に関する。
以上のことから、本発明は具体的には以下の事項に関する:
[1] 成長ホルモン分泌促進因子レセプターに作用する物質又はその薬学的に許容される塩を有効成分とする、脊髄神経損傷治療剤。
[2] 前記物質が:
(1) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列において、アミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチド;
(2) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列において、アミノ末端から5番目〜28番目までのアミノ酸配列の1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加したアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドであって、脊髄神経前駆細胞増殖作用を有するペプチド;及び
(3) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列のアミノ末端から少なくとも4番目までの配列を有し、かつアミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドであって、脊髄神経前駆細胞増殖作用を有するペプチド;
からなる群から選択されるペプチド又はその誘導体である、上記[1]の治療剤。
[3] 前記物質が、配列番号1に記載のアミノ酸配列において、アミノ末端から3番目に位置するセリン残基が当該残基の側鎖の水酸基に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドである、上記[2]の治療剤。
[4] 前記物質が、配列番号1に記載のアミノ酸配列において、アミノ末端から3番目に位置するセリン残基の側鎖の水酸基がn-オクタノイル基によりアシル化されているペプチドである、上記[3]の治療剤。
[5] 前記物質又はその薬学的に許容される塩を0.001mg〜100mg含有する、上記[1]〜[4]に記載の治療剤。
[6] 成長ホルモン分泌促進因子レセプターに作用する物質又はその塩を有効成分とする、脊髄神経前駆細胞の培養における脊髄神経前駆細胞増殖促進剤。
[7] 前記物質が:
(1) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列において、アミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチド;
(2) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列において、アミノ末端から5番目〜28番目までのアミノ酸配列の1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加したアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドであって、脊髄神経前駆細胞増殖作用を有するペプチド;及び
(3) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列のアミノ末端から少なくとも4番目までの配列を有し、かつアミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドであって、脊髄神経前駆細胞増殖作用を有するペプチド;
からなる群から選択されるペプチド又はその誘導体である、上記[6]の促進剤。
[8] 前記物質が、配列番号1に記載のアミノ酸配列において、アミノ末端から3番目に位置するセリン残基が当該残基の側鎖の水酸基に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドである、上記[7]の促進剤。
[9] 前記物質が、配列番号1に記載のアミノ酸配列において、アミノ末端から3番目に位置するセリン残基の側鎖の水酸基がn-オクタノイル基によりアシル化されているペプチドである、上記[8]の促進剤。
[10] 脊髄神経前駆細胞の培地中の前記物質又はその塩の含有量が0.0000001mg/L〜0.1mg/Lである、上記[6]〜[9]に記載の促進剤。
[11] 成長ホルモン分泌促進因子レセプターに作用する物質又はその薬学的に許容される塩を有効成分とする、培養脊髄神経前駆細胞移植時の脊髄神経再生促進剤。
[12] 前記物質が:
(1) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列において、アミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチド;
(2) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列において、アミノ末端から5番目〜28番目までのアミノ酸配列の1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加したアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドであって、脊髄神経前駆細胞増殖作用を有するペプチド;及び
(3) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列のアミノ末端から少なくとも4番目までの配列を有し、かつアミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドであって、脊髄神経前駆細胞増殖作用を有するペプチド;
からなる群から選択されるペプチド又はその誘導体である、上記[11]の促進剤。
[13] 前記物質が、配列番号1に記載のアミノ酸配列において、アミノ末端から3番目に位置するセリン残基が当該残基の側鎖の水酸基に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドである、上記[12]の促進剤。
[14] 前記物質が、配列番号1に記載のアミノ酸配列において、アミノ末端から3番目に位置するセリン残基の側鎖の水酸基がn-オクタノイル基によりアシル化されているペプチドである、上記[13]の促進剤。
[15]前記物質又はその薬学的に許容される塩を0.001mg〜100mg含有する、上記[11]〜[14]に記載の促進剤。
[16] 成長ホルモン分泌促進因子レセプターに作用する物質又はその薬学的に許容される塩を個体に投与することを含む、脊髄神経損傷の治療方法。
[17] 前記物質が:
(1) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列において、アミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチド;
(2) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列において、アミノ末端から5番目〜28番目までのアミノ酸配列の1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加したアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドであって、脊髄神経前駆細胞増殖作用を有するペプチド;及び
(3) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列のアミノ末端から少なくとも4番目までの配列を有し、かつアミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドであって、脊髄神経前駆細胞増殖作用を有するペプチド;
からなる群から選択されるペプチド又はその誘導体である、上記[16]の方法。
[18] 前記物質が、配列番号1に記載のアミノ酸配列において、アミノ末端から3番目に位置するセリン残基が当該残基の側鎖の水酸基に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドである、上記[17]の方法。
[19] 前記物質が、配列番号1に記載のアミノ酸配列において、アミノ末端から3番目に位置するセリン残基の側鎖の水酸基がn-オクタノイル基によりアシル化されているペプチドである、上記[18]の方法。
[20] 前記物質又はその薬学的に許容される塩を0.001mg〜100mg投与する、上記[16]〜[19]に記載の方法。
[21] 成長ホルモン分泌促進因子レセプターに作用する物質又はその塩を用いることを特徴とする、培養脊髄神経前駆細胞の増殖を促進する方法。
[22] 前記物質が:
(1) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列において、アミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチド;
(2) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列において、アミノ末端から5番目〜28番目までのアミノ酸配列の1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加したアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドであって、脊髄神経前駆細胞増殖作用を有するペプチド;及び
(3) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列のアミノ末端から少なくとも4番目までの配列を有し、かつアミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドであって、脊髄神経前駆細胞増殖作用を有するペプチド;
からなる群から選択されるペプチド又はその誘導体である、上記[21]の方法。
[23] 前記物質が、配列番号1に記載のアミノ酸配列において、アミノ末端から3番目に位置するセリン残基が当該残基の側鎖の水酸基に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドである、上記[22]の方法。
[24] 前記物質が、配列番号1に記載のアミノ酸配列において、アミノ末端から3番目に位置するセリン残基の側鎖の水酸基がn-オクタノイル基によりアシル化されているペプチドである、上記[23]の方法。
[25] 培養脊髄神経前駆細胞の培地中の、前記物質又はその塩の含有量が0.0000001mg/L〜0.1mg/Lである、上記[21]〜[24]に記載の方法。
[26] 成長ホルモン分泌促進因子レセプターに作用する物質又はその薬学的に許容される塩を個体に投与することを含む、培養脊髄神経前駆細胞移植時の脊髄神経再生を促進する方法。
[27] 前記物質が:
(1) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列において、アミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチド;
(2) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列において、アミノ末端から5番目〜28番目までのアミノ酸配列の1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加したアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドであって、脊髄神経前駆細胞増殖作用を有するペプチド;及び
(3) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列のアミノ末端から少なくとも4番目までの配列を有し、かつアミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドであって、脊髄神経前駆細胞増殖作用を有するペプチド;
からなる群から選択されるペプチド又はその誘導体である、上記[26]の方法。
[28] 前記物質が、配列番号1に記載のアミノ酸配列において、アミノ末端から3番目に位置するセリン残基が当該残基の側鎖の水酸基に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドである、上記[27]の方法。
[29] 前記物質が、配列番号1に記載のアミノ酸配列において、アミノ末端から3番目に位置するセリン残基の側鎖の水酸基がn-オクタノイル基によりアシル化されているペプチドである、上記[28]の方法。
[30] 前記物質又はその薬学的に許容される塩を0.001mg〜100mg投与する、上記[26]〜[29]に記載の方法。
[31] 脊髄神経損傷治療剤を製造するための、成長ホルモン分泌促進因子レセプターに作用する物質又はその薬学的に許容される塩の使用。
[32] 前記物質が:
(1) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列において、アミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチド;
(2) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列において、アミノ末端から5番目〜28番目までのアミノ酸配列の1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加したアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドであって、脊髄神経前駆細胞増殖作用を有するペプチド;及び
(3) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列のアミノ末端から少なくとも4番目までの配列を有し、かつアミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドであって、脊髄神経前駆細胞増殖作用を有するペプチド;
からなる群から選択されるペプチド又はその誘導体である、上記[31]の使用。
[33] 前記物質が、配列番号1に記載のアミノ酸配列において、アミノ末端から3番目に位置するセリン残基が当該残基の側鎖の水酸基に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドである、上記[32]の使用。
[34] 前記物質が、配列番号1に記載のアミノ酸配列において、アミノ末端から3番目に位置するセリン残基の側鎖の水酸基がn-オクタノイル基によりアシル化されているペプチドである、上記[33]の使用。
[35] 前記脊髄神経損傷治療剤中に、前記物質又はその薬学的に許容される塩を0.001mg〜100mg含有する、上記[31]〜[34]に記載の使用。
[36] 培養脊髄神経前駆細胞移植時の脊髄神経再生促進剤を製造するための、成長ホルモン分泌促進因子レセプターに作用する物質又はその薬学的に許容される塩の使用。
[37] 前記物質が:
(1) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列において、アミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチド;
(2) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列において、アミノ末端から5番目〜28番目までのアミノ酸配列の1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加したアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドであって、脊髄神経前駆細胞増殖作用を有するペプチド;及び
(3) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列のアミノ末端から少なくとも4番目までの配列を有し、かつアミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドであって、脊髄神経前駆細胞増殖作用を有するペプチド;
からなる群から選択されるペプチド又はその誘導体である、上記[36]の使用。
[38] 前記物質が、配列番号1に記載のアミノ酸配列において、アミノ末端から3番目に位置するセリン残基が当該残基の側鎖の水酸基に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドである、上記[37]の使用。
[39] 前記物質が、配列番号1に記載のアミノ酸配列において、アミノ末端から3番目に位置するセリン残基の側鎖の水酸基がn-オクタノイル基によりアシル化されているペプチドである、上記[38]の使用。
[40] 前記脊髄神経再生促進剤中に、前記物質又はその薬学的に許容される塩を0.001mg〜100mg含有する、上記[35]〜[39]に記載の使用。
本発明により、成長ホルモン分泌促進因子レセプターに作用する物質が脊髄神経前駆細胞を増殖させる作用を持つことが明らかにされた。当該作用に基づき、脊髄神経を損傷している個体に成長ホルモン分泌促進因子レセプターに作用する物質を投与することにより脊髄神経損傷の治療が可能となる。また、脊髄神経前駆細胞を培養するときに成長ホルモン分泌促進因子レセプターに作用する物質を添加して細胞増殖を促進させることにより、速やかに培養脊髄神経前駆細胞を治療に使用することが可能となる。即ち、脊髄神経前駆細胞を培養して脊髄神経損傷部位に移植することによって脊髄神経の修復治療を行う際に、培養脊髄神経前駆細胞をより速やかに個体に供給することが可能となる。
更に、培養脊髄神経前駆細胞を直接障害部位に移植し、成長ホルモン分泌促進因子レセプターに作用する物質を移植部位に投与することにより治癒促進を図ることが可能となる。即ち、培養脊髄神経前駆細胞移植時の脊髄神経再生を促進することが可能となる。
図1は、脊髄におけるGHS-R1a mRNAの発現を示す。 図2は、脊髄における免疫染色によるGHS-R1aの存在を示す。Aは抗GHS-R抗体で染色したものを示し、Bは抗GHS-R抗体で組織を処理した後に抗GHS-R抗体を用いて染色したものを示す。なお、図2A'及び2B'は、図2A及び2Bに基づいて作成した線図である。 図3-1は、脊髄神経細胞及び脊髄神経前駆細胞における細胞増殖時の免疫二重染色によるNestin、Map2及びGHS-R1aの共存を示す。AはMAP2とBrdUを、BはNestinとBrdUを、CはMap2とGHS-Rを、DはNestinとGHS-Rを示し、それぞれの二重染色像をMargeとして示す。 図3-2のA’、B’、C’及びD’は、図3-1のA、B、C及びDに基づいて作成した線図である。 図4は、グレリンの脊髄神経前駆細胞へのBrdU取り込み促進作用を示す。数値は平均±SEMを示す。*:p<0.05。 図5は、グレリンの脊髄神経前駆細胞増殖作用を示す。Aはグレリンを作用させなかった場合、Bはグレリンを作用させた場合について、BrdU陽性細胞を検出した。なお、A'及びB'は、A及びBに基づいて作成した線図である。
成長ホルモン分泌促進因子レセプター(GHS-R)とは、成長ホルモン分泌因子(GHS: growth hormone secretagogue)が結合するレセプターであり、GHS-R 1a、GHS-R 1b等のサブタイプが存在することが知られる。このうち、GHS-R 1aのみがホスホリパーゼC関連のシグナル伝達関連受容体を活性化し、細胞内カルシウムを増加させることが知られる。本明細書中において、「成長ホルモン分泌促進因子レセプター(= GHS-R)」と言うときは、特に断りのない限り、GHS-R 1aを指す。
GHS-Rの存在は、当業者に公知の手法を用いて確認することができる。例えば、後述の実施例1に記載のように、当業者に公知の手法を用いて、GHS-Rの存在を確認したい組織からRNAを抽出し、該RNAからcDNAを得る。得られたcDNAをGHS-Rに特異的なセンスプライマー(例えば、配列番号22)及びアンチセンスプライマー(例えば、配列番号23)を用いて、PCR法により増幅させ、次いで電気泳動して、GHS-R mRNAの発現を見ることで確認することが出来る。
また、後述の実施例2に記載のように、当業者に公知の手法を用いてGHS-Rの存在を確認したい組織から凍結切片を作製し、抗GHS-R抗体を用いた免疫染色をし、蛍光顕微鏡で観察することで、GHS-Rの存在を確認することが出来る。
更に、後述の実施例3に記載のように、特定の細胞に対するマーカー(例えば、神経細胞前駆細胞のマーカーであるネスチンや神経細胞のマーカーであるMap2(Microtuble-associated protein 2))と、GHS-Rとの二重染色を行うことで、特定の細胞にGHS-Rが発現しているか否かを確認することができ、GHS-Rに作用する物質の働きを理解するのに役立つ。例えば、ネスチン陽性細胞は、GHS-Rに対する抗体でも共染色される。また、Map2及びGHS-Rの共配置が、神経細胞中で観察される。
本明細書中において、成長ホルモン分泌促進因子レセプターに作用する物質であるか否かは、例えば細胞内のカルシウムイオン濃度の上昇など、前述の刊行物に記載の、GHS-Rを介した生理作用を指標として判断することが出来る。
本明細書中において、「細胞内のカルシウムイオン濃度を上昇させる活性を有する」か否かは、当業者に公知の手法を用いて細胞内カルシウムイオン濃度を測定することで判断することが出来る。例えば、カルシウムイオン濃度変化によるFluo-4 AM(Molecular Probe社)の蛍光強度の変化を利用したFLIPR(Fluorometric Imaging Plate Reader, Molecular Devices社)を用いることができる。また、細胞内カルシウム濃度上昇活性を有するペプチドが、in vitro及びin vivoで成長ホルモン分泌促進因子活性を有するか確認するために、当業者に公知の手法を用いることができる。例えばin vitroでは、成長ホルモンを分泌し、GHS-Rの発現も確認されている脳下垂体細胞に添加して、細胞培養液中に分泌される成長ホルモンを、抗成長ホルモン抗体を用いたラジオイムノアッセイによって測定することができる。in vivoでの成長ホルモン分泌促進活性を確認するためには、細胞内カルシウム濃度上昇活性を有するペプチドを動物の末梢静脈に注射した後の血清中の成長ホルモン濃度を測定すればよい。
本明細書中において、「脊髄神経前駆細胞増殖作用を有する物質」であるか否かは、当業者に公知の手法を用いて調べることができ、例えば、チミジンのアナログで、細胞周期S期特異的にDNAに組み込まれるブロモデオキシウリジン(BrdU)を用いて、後述の実施例4及び5に記載のように、細胞を、試験物質の存在下又は非存在下で、BrdU添加倍地中で培養してBrdUを取り込ませた後、該細胞を、抗BrdU抗体を用いてBrdU取り込み細胞を染色することで、調べることが出来る。
この際、上述のように、特定の細胞に対するマーカー(例えば、神経細胞前駆細胞のマーカーであるネスチンや神経細胞のマーカーであるMap2)や特定のレセプター(例えばGHS-R)と、BrdUとの二重染色を行うこともできる。試験物質非存在下で培養した細胞(コントロール)と比較して、試験物質存在下で培養した細胞における染色BrdU取り込み細胞の数が多い場合に、該試験物質は脊髄神経細胞増殖作用を有する物質であると判断できる。コントロールと比較して有意差が得られる場合であればよく、特に限定されるものではないが、例えば試験物質存在下で培養した細胞における染色BrdU取り込み細胞の数が、コントロールと比較して105%以上であることが好ましく、より好ましくは110%以上である。
また、例えば後述の実施例4及び5に記載のように、細胞を、試験物質の存在下又は非存在下で、BrdU添加倍地中で培養してBrdUを取り込ませた後、ELISA法を用いて細胞へのBrdU取り込み量を測定して調べることも出来る。試験物質非存在下で培養した細胞(コントロール)と比較して、試験物質存在下で培養した細胞におけるBrdU取り込み量が多い場合に、該試験物質は脊髄神経前駆細胞増殖作用を有する物質であると判断できる。コントロールと比較して有意差が得られる場合であればよく、特に限定されるものではないが、例えばコントロールと比較して試験物質存在下で培養した細胞におけるBrdU取り込み量が105%以上であることが好ましく、より好ましくは110%以上である。
上記のように脊髄神経前駆細胞増殖作用を有することが確認された物質について、例えば後述の実施例6に記載のように、ラット脊髄損傷モデルに脊髄神経前駆細胞移植と併せて該物質を投与することで、個体における脊髄損傷からの回復に有用な物質であることを確認することができる。
本発明の医薬はヒトを含む動物(個体)の医薬として使用できる。本発明において、「成長ホルモン分泌促進因子レセプターに作用する物質」とは、成長ホルモン分泌促進因子レセプター(GHS-R)に作用する物質(リガンド)であり、好ましくはGHS-Rに結合することによって、細胞内のカルシウムイオン濃度を上昇させる活性を有する物質であり、より好ましくは、ウリジン取り込み促進作用を有する物質である。例えば、成長ホルモン分泌促進因子(GHS)を挙げることができる。更に、GHSとしては公知のペプチド化合物や低分子化合物を用いることができるが、特にグレリンが望ましい。
「ペプチド」とは、複数のアミノ酸がペプチド結合で連なった化合物のことをいう。ここでアミノ酸(又はアミノ酸残基とも表現する)とは、一般式:NH2-CH(R')-COOHのアミノ酸において、R'が天然に存在する置換基を有する天然アミノ酸のほか、そのD,L-光学異性体等を含む。天然アミノ酸が修飾アミノ酸(又は修飾アミノ酸残基と表現する)で置換されている場合もある。修飾アミノ酸は、上記一般式の置換機R'がさらに修飾されたアミノ酸及びそのD,L-光学異性体ばかりではなく、例えば上記一般式の置換基R'において、エステル、エーテル、チオエステル、チオエーテル、アミド、カルバミド又はチオカルバミド等を介して又は介さずに、様々な置換基が結合した非天然アミノ酸も含む。また、アミノ酸のアミノ基に低級アルキル基が置換されている非天然アミノ酸も含まれる。
本明細書中において「ペプチド誘導体」には、例えばペプチドにおいて少なくとも1つのアミノ酸が非アミノ酸化合物で置換された化合物、ペプチドのアミノ末端及び/又はカルボキシル末端が修飾された化合物(例えば、カルボキシル末端がアミド化された化合物)、ペプチドにおいて少なくとも1つのアミノ酸が非アミノ酸化合物で置換され更にアミノ末端及び/又はカルボキシル末端が修飾された化合物が含まれ、上記「ペプチド」及び「ペプチド誘導体」を総称して、本明細書中において「ペプチド化合物」と言う。
本明細書中において、「アミノ酸」には、L-アミノ酸、D-アミノ酸、α-アミノ酸、β-アミノ酸、γ-アミノ酸、天然アミノ酸、合成アミノ酸等あらゆるアミノ酸が含まれる。
本明細書中において、「修飾アミノ酸」とは、上記アミノ酸の任意の基が化学修飾されているアミノ酸を意味する。特に、α-アミノ酸におけるα炭素が化学修飾されている修飾アミノ酸が好ましい。
本明細書中において、「グレリン」とは、配列番号1〜21のいずれか1つの配列を有するペプチドの、アミノ末端から3番目のアミノ酸残基の側鎖の水酸基が脂肪酸によりアシル化されたペプチドを指す。脂肪酸の炭素数は、2、4、6、8、10、12、14、16又は18であることが望ましく、オクタン酸及びデカン酸又はそのモノエン脂肪酸若しくはそのポリエン脂肪酸がより望ましく、特にオクタン酸(炭素数:8、オクタノイル基)が望ましい。各配列番号について、「背景技術」の項に記載した脂肪酸をそれぞれ有するものもまた、好ましい。
グレリンとしては、上述したようにヒト由来グレリンをはじめ、ラット、マウス、ブタ、ウシ等その他の動物由来のグレリン及びその誘導体を用いることができる。
各々の個体に対して当該個体が属する種由来のグレリンを用いることが望ましく、例えばヒトに対してはヒト由来グレリンを用いることが望ましい。ヒト由来グレリンとしては28個のアミノ酸からなる配列番号1の配列を有するペプチドの、アミノ末端から3番目のセリン残基の側鎖の水酸基が脂肪酸(n-オクタノイル基)によりアシル化されたペプチドを挙げることができる。また、グレリンの誘導体としては、例えば配列番号1〜21に記載されたアミノ酸配列においてアミノ末端から5番目〜28番目(好ましくは、11番目〜28番目)のアミノ酸残基において1若しくは数個のアミノ酸が置換、挿入、又は欠失したアミノ酸配列を有し、且つ成長ホルモン分泌促進因子レセプター(GHS-R)に作用するペプチドであれば使用することができる。
すなわち、配列番号1〜21に記載されたアミノ酸配列においてアミノ末端から4番目まで、例えば少なくとも5番目まで、好ましくは10番目までの配列が保持され、かつアミノ末端から3番目のアミノ酸残基の側鎖の水酸基が脂肪酸によりアシル化されたものであればグレリン誘導体として好適に用いることができ、例えば、実施例5に記載のグレリン(1-5)-Lys-NH2 (GSS(n-octanoyl)FLK-NH2)及びグレリン(1-7)-Lys-NH2 (GSS(n-octanoyl)FLSPK-NH2)のように、グレリンのアミノ末端から少なくとも5番目までの配列を有するものを用いることができる。
このような誘導体は、塩基性アミノ酸の付加によりGHS-R発現細胞でのグレリン様活性(細胞内カルシウム濃度上昇活性)が増強されることや、アミノ酸のカルボキシル末端をカルボン酸で終わらせずにアミド化しペプチド結合をミミックした形にすることでより短いアミノ酸配列での最小活性単位を見出すことが可能になることから、所望によりカルボキシル末端に塩基性アミノ酸を付加したものや、-Lys-NH2のようなアミド体であるアミノ酸を導入したものであってもよい。
本明細書において、アミノ酸に関し「1若しくは数個が置換、欠失、挿入、及び/又は付加された」というときの置換等されるアミノ酸の個数は、そのアミノ酸配列からなるペプチド又はその誘導体が所望の機能を有する限り特に限定されないが、例えば1〜9個、又は1〜4個程度である。性質(電荷及び/又は極性)の似たアミノ酸への置換等であれば、多数のアミノ酸が置換されていても、所望の機能を消失しないであろう。
また、ペプチド又はその誘導体のアミノ酸配列としては天然型のアミノ酸配列と比較して70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上、最も好ましくは97%以上の相同性を有することが望ましい。他の動物由来のグレリン(配列番号2〜21)においても同様である。
その他のペプチド又はその誘導体については、例えば上述の特許文献1の記載を参照して設計することが出来る。例えば、好ましいペプチド又はその誘導体としては:
配列番号1〜21好ましくは配列番号1〜9、より好ましくは配列番号1に記載のアミノ酸配列のいずれか1つを有し、アミノ末端から3番目のアミノ酸が、側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸であるペプチド又はその誘導体;
グレリンの、アミノ末端から2番目又は3番目のアミノ酸残基が、アミノ酸のα炭素に炭素数1〜10のアルキレン基を介して、又は介さず、エステル、エーテル、チオエーテル、チオエステル、アミド、カルバミド、チオカルバミド又はジスルフィド結合を介して炭素数が1〜35の飽和若しくは不飽和アルキル鎖を導入した修飾アミノ酸残基であるか、又はアミノ酸のα炭素に炭素数1〜35の飽和若しくは不飽和アルキル鎖を導入した修飾アミノ酸残基であるペプチド又はその誘導体;
グレリンの側鎖に導入された脂肪酸が、炭素数2、4、6、8、10、12、14、16及び18の脂肪酸(好ましくは、オクタン酸及びデカン酸又はそのモノエン脂肪酸若しくはそのポリエン脂肪酸)からなる群から選ばれた脂肪酸であるペプチド又はその誘導体;
グレリンのカルボキシル末端に酸性のマスキング及び塩基性基を導入したペプチド又はその誘導体;
グレリンの3位のアミノ酸が、疎水性アミノ酸(例えば、芳香族性の疎水性アミノ酸であるトリプトファン、シクロヘキシルアラニン、ナフチルアラニン等や、脂肪族性の疎水性アミノ酸であるロイシン、イソロイシン、イルロイシン、バリン等)であるペプチド又はその誘導体;
グレリンの3位のアミノ酸が塩基性であるペプチド又はその誘導体;
グレリンの2位のアミノ酸が、側鎖が比較的小さく、近隣残基の自由度を束縛しないアミノ酸(例えばセリン、アラニン、ノルバリン)であるペプチド又はその誘導体;
グレリンの3位と4位のアミノ酸がともにL-体であるペプチド又はその誘導体;
グレリン又はその誘導体のカルボキシル末端がアミド体であるペプチド又はその誘導体;
等が挙げられる。
上記以外に、本発明の成長ホルモン分泌促進因子レセプターに作用する物質として、更に、ペプチド化合物である、成長ホルモン放出ペプチド-2(GHRP-2)(D-Ala-D-βNal-Ala-Trp-D-Phe-Lys-NH2)及びGHRP-6(His-D-Trp-Ala-Trp-D-Phe-Lys-NH2) (Muccioli, G et al.:J. Endocrino., 157; 99-106 (1998))並びにそれらの誘導体を用いることができる。更に低分子化合物として、L-692,429 (MK-0751)及びL-163,191(MK-0677)等(Patchett et al.: Proc.Natl.Acad.Sci., USA, 92, pp.7001-7005(1995))を用いることができる。
本発明に係る成長ホルモン分泌促進因子レセプターに作用する物質は常法により得ることができる(例えば、J. Med. Chem., 43, pp.4370-4376, 2000、特許文献1参照)。例えば、天然の原料から単離することができるし、又は組換えDNA技術及び/又は化学的合成によって製造することができる。更にグレリン及びその誘導体等、ペプチド化合物において、アミノ酸残基に修飾(アシル化)が必要な場合は公知の手段に従って修飾反応を施すことができる。例えば組換えDNA技術を用いた製法においては、本発明に係るペプチド化合物をコードするDNAを有する発現ベクターにより形質転換された宿主細胞を培養し、当該培養物から目的のペプチド化合物を採取することにより本発明に係るペプチド化合物を得ることもできる。当該宿主細胞を選択することにより、当該細胞内において目的のペプチド化合物に修飾(例えばアシル化)がされた化合物を得ることができる。また、当該ペプチド化合物が修飾されていない場合は、所望により公知の手段に従ってアシル化等の修飾反応を行えばよい。
遺伝子を組み込むベクターとしては、例えば大腸菌のベクター(pBR322、pUC18、pUC19等)、枯草菌のベクター(pUB110、pTP5、pC194等)、酵母のベクター(YEp型、YRp型、YIp型)、又は動物細胞のベクター(レトロウィルス、ワクシニアウィルス等)等が挙げられるが、その他のものであっても、宿主細胞内で安定に目的遺伝子を保持できるものであれば、いずれをも用いることができる。当該ベクターは、適当な宿主細胞に導入される。目的の遺伝子をプラスミドに組み込む方法や宿主細胞への導入方法としては、例えば、Molecular Cloninng (Sambrook et al., 1989)に記載された方法が利用できる。
上記プラスミドにおいて目的のペプチド遺伝子を発現させるために、当該遺伝子の上流にはプロモーターを機能するように接続させる。
本発明において用いられるプロモーターとしては、目的遺伝子の発現に用いる宿主細胞に対応して適切なプロモーターであればいかなるものでもよい。例えば、形質転換する宿主細胞がEscherichia属の場合はlacプロモーター、trpプロモーター,lppプロモーター、λPLプロモーター,recAプロモーター等を用いることができ、Bacillus属の場合はSPO1プロモーター、SPO2プロモーター等を用いることができ、酵母の場合はGAPプロモーター,PHO5プロモーター、ADHプロモーター等を用いることができ、動物細胞の場合は、SV40由来プロモーター、レトロウィルス由来プロモーター等を用いることができる。
上記のようにして得られた目的遺伝子を含有するベクターを用いて宿主細胞を形質転換する。宿主細胞としては細菌(例えば、Escherichia属、Bacillus属等)、酵母(Saccharomyces属、Pichia属、Candida属等)、動物細胞(CHO細胞、COS細胞等)等を用いることができる。培養時の培地としては液体培地が適当であり、当該培地中には培養する形質転換細胞の生育に必要な炭素源、窒素源等が含まれることが特に好ましい。所望によりビタミン類、成長促進因子、血清などを添加することができる。
脂肪酸修飾(アシル化)ペプチド化合物を直接製造するためには、当該ペプチド化合物の前駆体ポリペプチドを適切な位置で切断できるプロセッシング・プロテアーゼ活性を有し、当該ペプチド化合物中のセリン残基をアシル化できる活性を有する細胞が望ましい。このようなプロセッシング・プロテアーゼ活性及びセリンアシル化活性を有する宿主細胞は、当該前駆体ポリペプチドをコードするcDNAを含む発現ベクターで宿主細胞を形質転換し、該形質転換細胞がカルシウム上昇活性又は成長ホルモン分泌促進活性を有する脂肪酸修飾ペプチドを産生することを確認することにより選抜できる。
培養後、培養物から本発明に係るペプチド化合物を常法により分離精製する。例えば、培養菌体又は細胞から目的物質を抽出するには、培養後、菌体又は細胞を集め、これをタンパク質変性剤(塩酸グアニジンなど)を含む緩衝液に懸濁し、超音波などにより菌体又は細胞を破砕した後、遠心分離を行う。次に上清から目的物質を精製するには、目的物質の分子量、溶解度、荷電(等電点)、親和性等を考慮して、ゲル濾過、限外濾過、透析、SDS-PAGE、各種クロマトグラフィーなどの分離精製方法を適宜組み合わせて行うことができる。
本発明に係る成長ホルモン分泌促進因子レセプターに作用する物質(例えば、グレリン及びその誘導体)は常法により化学合成することができる。例えば、保護基の付いたアミノ酸を液相法及び/又は固相法により縮合、ペプチド鎖を延長させ、酸で全保護基を除去し、得られた粗生成物を上記の精製方法で精製することにより得られる。アシル化酵素又はアシル基転移酵素で選択的に目的位置にあるアミノ酸の側鎖をアシル化することもできる。
またペプチド化合物の製造法は従来既に種々の方法が知られており、本発明に係る物質としてのペプチド化合物の製造も公知の方法に従って容易に製造でき、例えば古典的なペプチド合成法に従ってもよいし、固相法に従っても容易に製造できる。
また、組換えDNA技術と化学合成を併用した製法を用いてもよく、修飾アミノ酸残基を含むフラグメントを化学合成により製造し、修飾アミノ酸残基を含まないその他のフラグメントを組換えDNA技術を用いて製造し、その後各々のフラグメントを融合させる方法でも製造することができる(特許文献1参照)。
本発明に用いることができる成長ホルモン分泌促進因子レセプターに作用する物質(例えば、グレリン及びその誘導体)に係る塩としては薬学的に許容される塩が好ましく、例えば無機塩基との塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性又は酸性アミノ酸との塩などが挙げられる。
無機塩基との塩の好適な例としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;並びにアルミニウム塩、アンモニウム塩などが挙げられる。
有機塩基との塩の好適な例としては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’-ジベンジルエチレンジアミンなどとの塩が挙げられる。
無機酸との塩の好適な例としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などとの塩が挙げられる。
有機酸との塩の好適な例としては、例えばギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマール酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸などとの塩が挙げられる。
塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアルギニン、リジン、オルニチンなどとの塩が挙げられ、酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアスパラギン酸、グルタミン酸などとの塩が挙げられる。
以上の塩の中でも特にナトリウム塩、カリウム塩が最も好ましい。
本発明に係る成長ホルモン分泌因子レセプターに作用する物質(例えば、グレリン)は、本明細書の実施例に具体的に示すとおり、脊髄神経前駆細胞の増殖作用を有することが見出され、特に胎児の脊髄神経前駆細胞数を顕著に増加させることができる。そのような細胞増殖作用は、成長ホルモン分泌因子レセプターを介して、又は介さずに起こり得る。
細胞の増殖は、当業者に公知の手法を用いて調べることができ、例えば、BrdU取り込み量、BrdUを取り込んだ細胞の数を計測することで調べることが出来る。そのような計測には、例えば上述したような方法や、後述の実施例に記載の方法を用いることが出来る。
即ち、本発明に係る成長ホルモン分泌因子レセプターに作用する物質(例えば、グレリン)又はその薬学的に許容される塩は、脊髄神経損傷の治療における脊髄神経損傷治療剤、脊髄神経前駆細胞の培養における培養脊髄神経前駆細胞の増殖促進剤、及び培養脊髄神経前駆細胞移植時の脊髄神経再生促進剤及び治療剤において有効成分として用いることができる。
また、本発明に係る成長ホルモン分泌促進因子レセプターに作用する物質(例えば、グレリン)又はその薬学的に許容される塩を投与することにより、個体における脊髄神経損傷の治療方法、脊髄神経前駆細胞の培養における培養脊髄神経前駆細胞の増殖を促進する方法、及び個体における培養脊髄神経前駆細胞移植時の脊髄神経再生を促進する方法に用いることができる。
更に、本発明に係る成長ホルモン分泌促進因子レセプターに作用する物質(例えば、グレリン)又はその薬学的に許容される塩を、脊髄神経損傷の治療における脊髄神経損傷治療剤、脊髄神経前駆細胞の培養における培養脊髄神経前駆細胞の増殖促進剤、及び培養脊髄神経前駆細胞移植時の脊髄神経再生促進剤を製造する際に使用することができる。
成長ホルモン分泌促進因子レセプターに作用する物質(例えば、グレリン)又はその薬理学的に許容しうる塩を有効成分として含む本発明の薬剤は、薬理学的に許容しうる担体、賦形剤、増量剤などと混合して個体(例えば、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、サル等)に対して用いることができる。
本発明の薬剤(治療剤、促進剤)は、脊髄神経再生治療中の個体に対して、非経口的に、例えば静脈内、皮下、筋肉内への注射により、所定量を単回又は複数回に分けて投与することが好ましいが、個体がヒト成人であり特に在宅治療の場合には経鼻投与、経肺投与、坐剤投与が望ましい。
本発明において薬剤の投与量は特に限定されず、使用目的や投与対象の個体の年齢、体重、個体の種類、症状、栄養状態及び併用薬剤等に応じて適宜選択可能であるが、単回又は複数回をヒト成人に投与する場合、成長ホルモン分泌促進因子レセプターに作用する物質(例えば、グレリン)又はその薬学的に許容される塩を有効成分として0.001mg〜100mgの範囲が好ましく、0.01mg〜10mgがより望ましい。
投与期間としては、上記の投与量を1日1回〜数回、4週間〜24週間投与することが好ましく、より好ましくは4週間〜12週間の投与が好ましい。
薬学的に許容される担体としては、製剤素材として慣用の各種有機あるいは無機担体物質が用いられ、固形製剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤;液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤等として配合される。
また必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤などの製剤添加物を用いることもできる。
賦形剤の好適な例としては、例えば乳糖、白糖、D-マンニトール、デンプン、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸などが挙げられる。
滑沢剤の好適な例としては、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカなどが挙げられる。
結合剤の好適な例としては、例えば結晶セルロース、白糖、D-マンニトール、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
崩壊剤の好適な例としては、例えばデンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウムなどが挙げられる。
溶剤の好適な例としては、例えば注射用水、アルコール、プロピレングリコール、マクロゴール、ゴマ油、トウモロコシ油などが挙げられる。
溶解補助剤の好適な例としては、例えばポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D-マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムなどが挙げられる。
懸濁化剤の好適な例としては、例えばステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリンなどの界面活性剤;例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどの親水性高分子などが挙げられる。
等張化剤の好適な例としては、例えば塩化ナトリウム、グリセリン、D-マンニトールなどが挙げられる。
緩衝剤の好適な例としては、例えばリン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩などの緩衝液などが挙げられる。
無痛化剤の好適な例としては、例えばベンジルアルコールなどが挙げられる。
防腐剤の好適な例としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸などが挙げられる。
抗酸化剤の好適な例としては、例えば亜硫酸塩、アスコルビン酸などが挙げられる。
本発明の医薬の製剤形態としては非経口投与に適する製剤形態が好ましく、非経口投与に適する製剤形態としては、例えば、静脈内投与、皮内投与、皮下投与、又は筋肉内投与用等の注射剤、点滴剤、坐剤、経皮吸収剤、経粘膜吸収剤又は吸入剤などを挙げることができるが、上記注射剤の製剤形態が好ましく、特に個体がヒト成人であり在宅治療の場合には経粘膜吸収剤、吸入剤、坐剤等の製剤形態も好ましい。これらの製剤形態は当業者に種々知られており、当業者は所望の投与経路に適する製剤形態を適宜選択し、必要に応じて当業界で利用可能な1又は2以上の製剤用添加物を用いて医薬用組成物の形態の製剤を製造することが可能である。
例えば、注射剤又は点滴剤の形態の医薬は、有効成分であるGHS-R1aに作用する物質(例えば、グレリン)と共に適切な緩衝液、糖溶液、等張化剤、pH調節剤、無痛化剤、防腐剤などの1又は2以上の製剤用添加物を注射用蒸留水に溶解して滅菌(フィルター)濾過後にアンプル又はバイアル詰めするか、滅菌濾過した溶液を凍結乾燥して凍結乾燥製剤とすることにより調製し提供することができる。添加剤としては、例えばグルコース、マンニトール、キシリトール、ラクトースなどの糖類、ポリエチレングリコールなどの親水性ポリマー類、グリセロールなどのアルコール類、グリシンなどのアミノ酸類、血清アルブミンなどのタンパク類、NaCl、クエン酸ナトリウムなどの塩類、酢酸、酒石酸、アスコルビン酸などの酸類、Tween 80などの界面活性剤、亜硫酸ナトリウムなどの還元剤などを使用することができる。このような製剤は、用時に注射用蒸留水や生理食塩水などを添加して溶解することにより注射剤又は点滴剤として使用できる。また、経粘膜投与には、点鼻剤や鼻腔内スプレー剤などの鼻腔内投与剤(経鼻投与剤)等も好適であり、経肺投与には吸入剤等も好適である。
1製剤中の成長ホルモン分泌因子レセプターに作用する物質(例えば、グレリン)又はその薬学的に許容される塩の含量は0.001mg〜100mg、好ましくは0.01mg〜10mgであり、1日1回〜数回投与することが望ましい。
単離した脊髄神経前駆細胞の処理方法としては、単離した脊髄神経前駆細胞を培養液中でインキュベートし、インキュベート液中に無菌濾過又はオートクレーブ滅菌して調製した成長ホルモン分泌因子レセプターに作用する物質(例えば、グレリン)又はその薬学的に許容される塩を0.1nM〜1μM、好ましくは1nM〜100nM添加することにより行うことができる。成長ホルモン分泌因子レセプターに作用する物質(例えば、グレリン)又はその薬学的に許容される塩を0.0000001mg/L〜0.1mg/L添加することにより行うこともできる。この処理を行うことによって、実施例4及び5に示すように、本来は増殖がほとんど進まない脊髄神経前駆細胞の増殖を促進させることが可能となる。
さらには、実施例6に記載のように、個体の脊髄損傷による機能障害の回復を促進することが可能となる。
本明細書中において、物質(例えば、ペプチド化合物)又はその塩に関し、量に言及する場合(例えば、「物質又はその薬学的に許容される塩を0.001mg〜100mg含有する」、「物質又はその塩の含有量が、0.0000001mg/L〜0.1mg/Lである」等)その量は、特別な場合を除き、物質(例えば、ペプチド化合物)としての量を示している。すなわち、塩に関しては、特別な場合を除き、対応する物質(例えば、ペプチド化合物)の相当量として記載されている。
以下に、実施例により本発明を具体的に示す。
実施例1 ラット胎児脊髄におけるGHS-R1a mRNA 発現
妊娠13〜19日のWistarラット胎児及び出生直後のラット胎児から脊髄組織を摘出し、トリゾール試薬(Life Technologies, Inc., Gaithersburg, MD USA)を用い、Nakahara et al.:Biochem. Biophys. Res. Commun. 303: 751 - 755 (2003)に記載の方法により、全RNAを抽出した。全RNA 1μgから、ランダムプライマー逆転写により、Superscript 3 preamplification reagents (Life Technologies, Inc.)を用いてシングルストランドのcDNAを合成した。得られたcDNAをGHS-R1aに特異的なセンスプライマー及びアンチセンスプライマーを用いて、PCR法により増幅させた後(BD Advantage TM 2 PCR Enzyme System, BD Science, CA USAを使用)、2%アガロースゲルを用いて電気泳動した。なお、コントロールmRNAとして、細胞に安定して発現しているGAPDH(Glyceraldehyde 3-phasphate dehydrogenase)を用いた。
GHS-R1aに特異的なPCRプライマーとして、
5’-GATACCTCTTTTCCAAGTCCTTCGAGCC-3’(配列番号22)をセンス用に、
5’-TTGAACACTGCCACCCGGTACTTCT-3’(配列番号23)をアンチセンス用に用いた(nucleotides 842-869 and 1001-1025 in accession No. AB001982, GenBank)。
GAPDHに特異的なプライマーとして、
5’-CGGCAAGTTCAACGGCACA-3’(配列番号24)をセンス用に、
5’-AGACGCCAGTAGACTCCACGACA-3’(配列番号25)をアンチセンス用に用いた(nucleotides 1002-1020 and 1125-1147 in accession No. AF106860, GenBank)。
結果を図1に示す。図1から、妊娠13、15、17、19日(ED13,15,17,19)のラット胎児の脊髄、及び出産直後(PD0)の新生児の脊髄に、GHS-R1a mRNAの発現が確認された。
実施例2 脊髄細胞におけるGHS-R1aの存在
妊娠17日のWistarラットより胎児の脊髄を採取し、厚さ14μmの凍結切片を作製した。この切片を4% paraformaldehyde/0.1M リン酸緩衝液で30分間固定し、0.1M リン酸緩衝液で洗浄した後、2% ノーマルヤギ血清/PBSを用いて室温で30分間インキュベートした。その後、切片をPBSで3回洗浄し、ウサギ抗GHS-R抗体と4℃で一夜インキュベートしてPBSで洗浄後、Alexa Fluoro 488-conjugatedヤギ抗ウサギIgGとインキュベートして免疫染色を行った。残留抗体を洗浄し、切片を包埋した後、蛍光顕微鏡で観察した。
結果を図2に示す。抗GHS-R抗体を用いた免疫染色により、神経細胞の細胞体が存在している灰白質にGHS-R1aが存在することが明らかとなった(図2A)。免疫染色強度は抗GHS-R抗体による前処理によって大きく低下している(図2B)。
実施例3 脊髄神経細胞及び脊髄神経前駆細胞における、細胞増殖時のNestin、Map2及びGHS-R 1aの共存
細胞増殖している細胞(BrdUを取り込んでいる細胞)において、神経細胞前駆細胞のマーカーであるネスチン、神経細胞のマーカーであるMap2及びGHS-Rが共存していることを確認するために、免疫二重染色を行った。
妊娠17日のWistar系ラットより麻酔下に開腹して胎児を摘出した。この胎児から、脊髄を採取して冷ハンクス液内でパパイン消化し、ピペッティングによる機械的分離を経て胎児脊髄細胞分散液を得た。この分散細胞を、濾過及び遠心分離した後、NaHCO3、5%ウシ胎児血清、ペニシリン(100U/mL)、及びストレプトマイシン(100μg/mL)を含有するDMEM培地に懸濁し、ラミニン被覆96穴マルチウェルプレートに105細胞/wellを播種した。
これに5-ブロモ-2’-デオキシウリジン(BrdU)(10μM)を添加して4日間インキュベートすることによりBrdUを脊髄細胞に取り込ませた。脊髄細胞を、メタノール及び氷酢酸で、-20℃で20分処理して固定した。2M HClによりDNAを変性させ、2% ノーマルヤギ血清/PBSを用いて30分間室温でブロッキングを行った。
ネスチンの染色には、抗ネスチンマウスモノクローナル抗体(1:1000, Chemicon International, Inc. CA, USA)を、Map2の染色にはマウス抗Map2ポリクローナル抗体(1:1000, Chemicon International, Inc.)を用い、4℃で一夜インキュベートした。その後、ネスチン及びMap2共に、FITC-conjugatedヤギ抗マウスIgG(1:200, Chemicon International)を二次抗体として用い、室温で1時間インキュベートした。
細胞の洗浄工程後、BrdUの二重染色は、ラット抗BrdUモノクローナル抗体(1:1000, Abcam, Cambridge, UK)を一次抗体として用い、CyTM 3-conjugatedロバ抗ラットIgGポリクローナル抗体(1:1000, Jackson ImmunoResearch Laboratories, Inc., PA, USA)を二次抗体として用いて行った。GHS-Rの二重染色は、洗浄後の細胞を4% paraformaldehyde/0.1M リン酸緩衝液で固定した後、まず上記のネスチン又はMap2に対する抗体を用いてインキュベートし、次にウサギ抗GHS-R抗体を用いて行った。
結果を図3-1に示す。GHS-RはMap2が発現している樹状突起を形成している特徴的な脊髄神経細胞にも発現していることから(図3-1 C)、グレリンを含むGHS-R 1aに作用する物質が、脊髄神経細胞を増殖させる可能性が示唆された。しかし、ネスチン染色細胞において、GHS-Rが細胞質において同時に染色されたことから(図3-1 D)、脊髄神経前駆細胞にGHS-Rが発現しており、グレリンを含むGHS-R 1aに作用する物質が脊髄神経前駆細胞を増殖させる可能性が強く示唆された。
更にグレリンで処理した後に、Map2を染色した細胞と、BrdUで染色された細胞の二重染色像を見ると、両者が同時に染色されていないことから、グレリンが増殖作用を示す細胞は脊髄神経細胞ではないことが分かった(図3-1 A)。一方、ネスチンが染色される細胞は多形態性を示し、その核内にBrdUが取り込まれていたことから、この細胞は脊髄神経細胞前駆細胞であることが示され、グレリンが脊髄神経前駆細胞を増殖する作用を有することが明らかとなった(図3-1 B)。
実施例4 培養脊髄神経前駆細胞におけるグレリンのBrdU取り込み促進作用及び脊髄神経前駆細胞増殖作用
妊娠17日のWistar系ラットより麻酔下に開腹して胎児を摘出した。この胎児から、脊髄を採取して冷ハンクス液内でパパイン消化し、ピペッティングによる機械的分離を経て胎児脊髄神経前駆細胞の分散液を得た。この分散細胞を濾過及び遠心分離した後、NaHCO3、5% ウシ胎児血清、ペニシリン(100U/mL)及びストレプトマイシン(100μg/mL)を含有するDMEM培地に懸濁し、ラミニン被覆96穴マルチウェルプレートに105細胞/well を播種した。4日間のインキュベート後、5-ブロモ-2’-デオキシウリジン(BrdU)(10μM)を添加して6時間インキュベートし、更にラットグレリン(0.003〜300nM)を添加して12時間インキュベートした。
インキュベート終了後、細胞を回収して、Cell Proliferation ELISA Kit(Roche Diagnostic GmbH, Mannheim, Germany)を用いて細胞へのBrdU取り込み量を測定して、グレリンのBrdU取り込み作用を検討した。
結果を図4に示す。脊髄神経前駆細胞にグレリンを作用させると、3nM以上のグレリンにより細胞へのBrdU取り込みが増加した(図4)。
また、インキュベート終了後、細胞をメタノール、氷酢酸で固定し、2N HCl でDNAを変性させた後に、細胞に取り込まれたBrdUを、ラット抗BrdUモノクローナル抗体(1:1000, Abcam, Cambridge, UK)を一次抗体として用い、2次抗体としてCyTM 3-conjugatedロバ抗ラットIgGポリクローナル抗体(1:1000, Jackson ImmunoResearch Laboratories, Inc., PA, USA)を用いてBrdU陽性細胞を検出してグレリンの脊髄前駆細胞増殖作用を検討した。
対照としてグレリンの代わりに生理食塩水を作用させた場合と比較した。
結果を図5に示す。グレリンを作用させなかった場合(図5 A)に比べて、グレリンを作用させた場合(図5 B)、検出されたBrdU陽性細胞の数が多く、グレリンには脊髄神経前駆細胞を増殖させる作用があることが細胞レベルで確認された。
実施例5 培養脊髄神経前駆細胞におけるグレリン及びその誘導体のBrdU取り込み促進作用
妊娠16日のWistar系ラットより麻酔下に開腹して胎児を摘出した。この胎児から、脊髄を採取して冷ハンクス液内でパパイン消化し、ピペッティングによる機械的分離を経て胎児脊髄神経前駆細胞の分散液を得た。この分散細胞を濾過及び遠心分離した後、NaHCO3、5% ウシ胎児血清、ペニシリン(100U/mL)及びストレプトマイシン(100μg/mL)を含有するDMEM培地に懸濁し、ラミニン被覆96穴マルチウェルプレートに105細胞/well を播種した。4日間のインキュベート後、5-ブロモ-2’-デオキシウリジン(BrdU)(10μM)を添加して6時間インキュベートし、更にラットグレリン、グレリン(1-5)-Lys-NH2 (GSS(n-octanoyl)FLK-NH2)、グレリン(1-7)-Lys-NH2 (GSS(n-octanoyl)FLSPK-NH2)又は以下の構造を有するMK-0677(0.03〜3nM)を添加して12時間インキュベートし、グレリンのBrdU取り込み作用を検討した。
Figure 2008018600
インキュベート終了後、細胞を回収して、Cell Proliferation ELISA Kit(Roche Diagnostic GmbH, Mannheim, Germany)を用いて細胞へのBrdU取り込み量を測定して、グレリンのBrdU取り込み作用を検討した。
結果を表1に示す。脊髄神経前駆細胞にグレリンを作用させると、0.03〜3nM以上のグレリンにより、或いは0.3〜3nMのグレリン(1-5)-Lys-NH2又はグレリン(1-7)-Lys-NH2により細胞へのBrdU取り込みが増加したことから、グレリン及びその誘導体には胎児脊髄神経前駆細胞を増殖させる作用があることが確認された。
また、GHS-Rの化学合成低分子アゴニストである低濃度(0.03nM)のMK-0677により、グレリン及びその誘導体と同様に脊髄神経前駆細胞を増殖させる作用があることが細胞レベルで確認された。
Figure 2008018600
以上のことから、胎児培養脊髄神経前駆細胞にグレリン又はその誘導体を作用させると、細胞へのBrdU取り込みが増加すると共にBrdU陽性細胞の数が増加するので、グレリン又はその誘導体には脊髄神経前駆細胞を増殖させる作用があることが明らかとなった。
実施例6 ラット脊髄損傷モデルにおける、脊髄神経前駆細胞移植及びグレリン局所投与の評価
Morino, T. et al, Neuroscience Research, 2003, vol. 46, pp 309-318に記載の手法に準じ、ラット脊髄損傷モデルにおける、脊髄神経前駆細胞移植及びグレリン局所投与の評価を行った。SD系雄性ラット(8〜9週齢)をペントバルビタールで麻酔し、背部を切開して脊椎骨(L11)を露出させた。椎弓を切除した後、歯科用ドリルで直径約3mmの窓を開けて、シリコン性ゴムをステンレス針に固定したものを垂直に当て、上部に重さ20gの重しを負荷した。圧迫時間は30分間とし、最後に上部から重さ約100g相当の落下障害を加え、下肢の運動障害を起こしたモデルを作成した。群構成は、1) シャムオペ群、2) 脊髄損傷コントロール群、3)脊髄損傷+細胞移植+グレリン局所投与群、とした。シャムオペ群は椎弓切除までで筋肉、皮膚を縫合した。脊髄損傷を加えた後に、培養脊髄神経前駆細胞 105 cells/25μLを硬膜下に移植した。ラットグレリンは、細胞とともに1nmol を硬膜下に投与した。
手術後24時間に、シースルーケージ内にラットを移し、立ち上がり回数を観察した(3分間観察)。すなわち、ラット後肢の機能を反映する立ち上がり(上肢を持ち上げ、下肢のみで体重を支える姿勢)の回数を評価した。結果を表2に示す。
Figure 2008018600
表2に示すように、脊髄損傷モデル・コントロール群において立ち上がり回数が術前の10.7回が1.3回に減少したが、細胞移植+グレリンの局所投与により、立ち上がり回数が回復した。

Claims (20)

  1. 成長ホルモン分泌促進因子レセプターに作用する物質又はその薬学的に許容される塩を有効成分とする、脊髄神経損傷治療剤。
  2. 前記物質が:
    (1) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列において、アミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチド;
    (2) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列において、アミノ末端から5番目〜28番目までのアミノ酸配列の1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加したアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドであって、脊髄神経前駆細胞増殖作用を有するペプチド;及び
    (3) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列のアミノ末端から少なくとも4番目までの配列を有し、かつアミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドであって、脊髄神経前駆細胞増殖作用を有するペプチド;
    からなる群から選択されるペプチド又はその誘導体である、請求項1の治療剤。
  3. 前記物質が、配列番号1に記載のアミノ酸配列において、アミノ末端から3番目に位置するセリン残基が当該残基の側鎖の水酸基に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドである、請求項2の治療剤。
  4. 前記物質が、配列番号1に記載のアミノ酸配列において、アミノ末端から3番目に位置するセリン残基の側鎖の水酸基がn-オクタノイル基によりアシル化されているペプチドである、請求項3の治療剤。
  5. 前記物質又はその薬学的に許容される塩を0.001mg〜100mg含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の治療剤。
  6. 成長ホルモン分泌促進因子レセプターに作用する物質又はその塩を有効成分とする、脊髄神経前駆細胞の培養における脊髄神経前駆細胞増殖促進剤。
  7. 前記物質が:
    (1) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列において、アミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチド;
    (2) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列において、アミノ末端から5番目〜28番目までのアミノ酸配列の1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加したアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドであって、脊髄神経前駆細胞増殖作用を有するペプチド;及び
    (3) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列のアミノ末端から少なくとも4番目までの配列を有し、かつアミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドであって、脊髄神経前駆細胞増殖作用を有するペプチド;
    からなる群から選択されるペプチド又はその誘導体である、請求項6の促進剤。
  8. 前記物質が、配列番号1に記載のアミノ酸配列において、アミノ末端から3番目に位置するセリン残基が当該残基の側鎖の水酸基に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドである、請求項7の促進剤。
  9. 前記物質が、配列番号1に記載のアミノ酸配列において、アミノ末端から3番目に位置するセリン残基の側鎖の水酸基がn-オクタノイル基によりアシル化されているペプチドである、請求項8の促進剤。
  10. 脊髄神経前駆細胞の培地中の前記物質又はその塩の含有量が、0.0000001mg/L〜0.1mg/Lである、請求項6〜9のいずれか1項に記載の促進剤。
  11. 成長ホルモン分泌促進因子レセプターに作用する物質又はその薬学的に許容される塩を有効成分とする、培養脊髄神経前駆細胞移植時の脊髄神経再生促進剤。
  12. 前記物質が:
    (1) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列において、アミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチド;
    (2) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列において、アミノ末端から5番目〜28番目までのアミノ酸配列の1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加したアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドであって、脊髄神経前駆細胞増殖作用を有するペプチド;及び
    (3) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列のアミノ末端から少なくとも4番目までの配列を有し、かつアミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドであって、脊髄神経前駆細胞増殖作用を有するペプチド;
    からなる群から選択されるペプチド又はその誘導体である、請求項11の促進剤。
  13. 前記物質が、配列番号1に記載のアミノ酸配列において、アミノ末端から3番目に位置するセリン残基が当該残基の側鎖の水酸基に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドである、請求項12の促進剤。
  14. 前記物質が、配列番号1に記載のアミノ酸配列において、アミノ末端から3番目に位置するセリン残基の側鎖の水酸基がn-オクタノイル基によりアシル化されているペプチドである、請求項13の促進剤。
  15. 前記物質又はその薬学的に許容される塩を0.001mg〜100mg含有する、請求項11〜14のいずれか1項に記載の促進剤。
  16. 成長ホルモン分泌促進因子レセプターに作用する物質又はその塩を用いることを特徴とする、培養脊髄神経前駆細胞の増殖を促進する方法。
  17. 前記物質が:
    (1) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列において、アミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチド;及び
    (2) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列において、アミノ末端から5番目〜28番目までのアミノ酸配列の1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加したアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドであって、脊髄神経前駆細胞増殖作用を有するペプチド;及び
    (3) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列のアミノ末端から少なくとも4番目までの配列を有し、かつアミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドであって、脊髄神経前駆細胞増殖作用を有するペプチド;
    からなる群から選択されるペプチド又はその誘導体である、請求項16の方法。
  18. 前記物質が、配列番号1に記載のアミノ酸配列において、アミノ末端から3番目に位置するセリン残基が当該残基の側鎖の水酸基に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドである、請求項17の方法。
  19. 前記物質が、配列番号1に記載のアミノ酸配列において、アミノ末端から3番目に位置するセリン残基の側鎖の水酸基がn-オクタノイル基によりアシル化されているペプチドである、請求項18の方法。
  20. 培養脊髄神経前駆細胞の培地中の、前記物質又はその塩の含有量が0.0000001mg/L〜0.1mg/Lである、請求項16〜19のいずれか1項に記載の方法。
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